JP2016159217A - ガス分離複合膜、ガス分離モジュール、ガス分離装置、ガス分離方法、及びガス分離複合膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高圧条件下でも優れたガス透過性及びガス分離選択性を示し、天然ガス中に存在するトルエン等の不純物成分の影響を受け難く、耐折性に優れ種々のモジュール形態への加工が可能であり、膜欠陥が生じ難く高い歩留りで製造できる、ガス分離複合膜の提供。【解決手段】ガス透過性を有する有機支持体4と、有機支持体4上に設けられた、シラザン化合物を含有してなるガス分離層1とを有するガス分離複合膜10。複合膜10の有機支持体4はガス透過性の多孔質層3とガス分離層1との間のガス分離層と接っする層2がオルガノシロキサン構造を有する化合物からなるガス分離複合膜10。複合膜製造方法は、ガス透過性を有する有機支持体にシラザン化合物含有溶液を塗布し、熱処理ないしプラズマ処理を経ずにガス分離層が形成されること。【選択図】図1
Description
本発明は、ガス分離複合膜、ガス分離モジュール、ガス分離装置、ガス分離方法、及びガス分離複合膜の製造方法に関する。
高分子化合物からなる素材には、その素材ごとに特有の気体透過性がある。その性質に基づき、特定の高分子化合物から構成された膜によって、所望の気体成分を選択的に透過させて分離することができる。この気体分離膜の産業上の利用態様として、地球温暖化の問題と関連し、火力発電所やセメントプラント、製鉄所高炉等において、大規模な二酸化炭素発生源から二酸化炭素を分離回収することが検討されている。そして、この膜分離技術は、比較的小さなエネルギーで達成できる環境問題の解決手段として着目されている。
一方、天然ガスやバイオガス(生物の排泄物、有機質肥料、生分解性物質、汚水、ゴミ、エネルギー作物などの発酵、嫌気性消化により発生するガス)は主としてメタンと二酸化炭素を含む混合ガスであり、その二酸化炭素等の不純物を除去する手段として膜分離方法が検討されている(特許文献1)。
一方、天然ガスやバイオガス(生物の排泄物、有機質肥料、生分解性物質、汚水、ゴミ、エネルギー作物などの発酵、嫌気性消化により発生するガス)は主としてメタンと二酸化炭素を含む混合ガスであり、その二酸化炭素等の不純物を除去する手段として膜分離方法が検討されている(特許文献1)。
膜分離方法を用いてより効率的にガスを分離するために、ガス分離複合膜には優れたガス分離選択性に加え、高いガス透過性が求められる。すなわち、実用的なガス分離複合膜とするためには、ガス分離層を薄層にして十分なガス透過性を確保しなければならない。
そのための手法として、高分子化合物を相分離法により非対称膜とすることで、分離に寄与する部分を緻密層あるいはスキン層と呼ばれる薄層にする方法がある。この非対称膜では、緻密層をガス分離層とし、緻密層以外の部分を膜の機械的強度を担う支持層として機能させる。
また、上記非対称膜の他に、ガス分離機能を担う素材と機械強度を担う素材とを別素材とする複合膜の形態も知られている。この複合膜は、機械強度を担うガス透過性支持体上に、高分子化合物からなる薄層のガス分離層が形成された構造を持つ。
そのための手法として、高分子化合物を相分離法により非対称膜とすることで、分離に寄与する部分を緻密層あるいはスキン層と呼ばれる薄層にする方法がある。この非対称膜では、緻密層をガス分離層とし、緻密層以外の部分を膜の機械的強度を担う支持層として機能させる。
また、上記非対称膜の他に、ガス分離機能を担う素材と機械強度を担う素材とを別素材とする複合膜の形態も知られている。この複合膜は、機械強度を担うガス透過性支持体上に、高分子化合物からなる薄層のガス分離層が形成された構造を持つ。
ガス分離層を構成する高分子化合物としては一般に、セルロース樹脂やポリイミド樹脂といった有機高分子化合物が用いられ、盛んに研究されている(例えば特許文献2及び3)。
また、ガス分離層の素材として無機高分子を用いることも報告されている。例えば特許文献4には、多孔質基材と、この多孔質基材の表面に形成された、水蒸気を透過しないガス透過性有機膜と、この有機膜の表面に形成された特定のガス分離選択性を有する多孔質無機膜とを備えるガス分離材の発明が記載され、水蒸気を含む混合ガスから特定のガスを分離することが記載されている。
そして上記特許文献4の実施例には、多孔質基材とその上に設けられた有機膜とからなる複合材を、ポリシラザン含有液中に浸漬してディップコーティングし、これを乾燥後、プラズマ処理することにより多孔質無機層を形成し、ガス分離材を作製したことが記載されている。上記プラズマ処理を施すと、ポリシラザンの窒素原子が酸素原子等に置き換わる。そのため、形成された多孔質無機層中にシラザン結合を有する化合物は実質的に存在しない状態となる。
また、ガス分離層の素材として無機高分子を用いることも報告されている。例えば特許文献4には、多孔質基材と、この多孔質基材の表面に形成された、水蒸気を透過しないガス透過性有機膜と、この有機膜の表面に形成された特定のガス分離選択性を有する多孔質無機膜とを備えるガス分離材の発明が記載され、水蒸気を含む混合ガスから特定のガスを分離することが記載されている。
そして上記特許文献4の実施例には、多孔質基材とその上に設けられた有機膜とからなる複合材を、ポリシラザン含有液中に浸漬してディップコーティングし、これを乾燥後、プラズマ処理することにより多孔質無機層を形成し、ガス分離材を作製したことが記載されている。上記プラズマ処理を施すと、ポリシラザンの窒素原子が酸素原子等に置き換わる。そのため、形成された多孔質無機層中にシラザン結合を有する化合物は実質的に存在しない状態となる。
一般に、ガス分離層の素材として、主鎖が無機系である高分子化合物を用いると膜欠陥を生じやすい。そのため通常は、均質な細孔を有するアルミナ多孔質体等を支持体とし、その上に、主鎖が無機系である高分子化合物の膜が形成される。しかし、このような支持体は高価である上柔軟性に乏しく、ガス分離複合膜の大面積化や、ガス分離複合膜を適用可能なモジュール形態には制約がある。
本発明は、シラザン化合物を用いて形成したガス分離層を有するガス分離複合膜であって、高圧条件下でも優れたガス透過性と共に優れたガス分離選択性を示し、天然ガス中に存在するトルエン等の不純物成分の影響も受けにくく、さらに耐折性に優れ種々のモジュール形態への加工が可能であり、しかも膜欠陥が生じにくく高い歩留りで製造することができるガス分離複合膜を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記ガス分離複合膜を用いたガス分離モジュール、ガス分離装置、及びガス分離方法を提供することを課題とする。さらに本発明は、上記ガス分離複合膜の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記ガス分離複合膜を用いたガス分離モジュール、ガス分離装置、及びガス分離方法を提供することを課題とする。さらに本発明は、上記ガス分離複合膜の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた。その結果、有機支持体上に、シラザン化合物を含有する溶液を塗布、成膜し、高温処理やプラズマ処理を経ずに形成したガス分離層を有するガス分離複合膜が、高圧条件下でも優れたガス透過性とガス分離選択性を示し、また、トルエン等の不純物成分に対して耐性を有することを見出した。さらに、支持体を有機支持体とすることにより、シラザン化合物を含有する層との密着性が向上し、耐折性が高められて種々のモジュール形態への加工が可能となり、しかも膜欠陥が生じにくく高い歩留りで製造できることを見い出した。本発明は、これらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明の上記課題は以下の手段により解決された。
〔1〕
ガス透過性を有する有機支持体と、この有機支持体上に設けられた、シラザン化合物を含有してなるガス分離層とを有するガス分離複合膜。
〔2〕
上記有機支持体が、上記ガス分離層との接触面にオルガノポリシロキサン構造を有する、〔1〕に記載のガス分離複合膜。
〔3〕
上記有機支持体が複層構造であり、この有機支持体中、上記ガス分離層と接する層がオルガノポリシロキサン化合物層である、〔2〕に記載のガス分離複合膜。
〔4〕
上記有機支持体が、ガス透過性の多孔質層と、この多孔質層上に設けられたオルガノポリシロキサン化合物層とを有し、このオルガノポリシロキサン化合物層に接して上記ガス分離層が設けられている、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔5〕
上記有機支持体が、不織布層と、この不織布層上に設けられたガス透過性の多孔質層と、この多孔質上に設けられたオルガノポリシロキサン化合物層とを有し、このオルガノポリシロキサン化合物層に接して上記ガス分離層が設けられている、〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔6〕
上記シラザン化合物が、−SiH2−NH−SiH2−で表される構造を有する含窒素無機シリコンポリマーである、〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔7〕
上記ガス分離層中に、上記シラザン化合物が互いに架橋連結されて存在する、〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔8〕
上記ガス分離層表面に存在するN原子とO原子のモル比が、N原子/O原子=0.020〜0.300である、〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔9〕
上記ガス分離層の層厚が2〜100nmである、〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔10〕
上記ガス分離層表面に存在するO原子とSi原子のモル比が、O原子/Si原子=1.000〜2.000である、〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔11〕
上記ガス分離層表面に存在するC原子とO原子のモル比が、C原子/O原子=0.150〜0.290である、〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔12〕
上記ガス分離層表面に存在するO原子とSi原子のモル比Sと、上記ガス分離層表面から有機支持体側に向けて10nmの距離の面におけるO原子とSi原子のモル比Dが、S>Dを満たす、〔1〕〜〔11〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
但し、上記モル比S及びDは、O原子/Si原子である。
〔13〕
二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させるために用いられる、〔1〕〜〔12〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔14〕
〔1〕〜〔13〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜を用いたガス分離モジュール。
〔15〕
〔14〕に記載のガス分離モジュールを備えたガス分離装置。
〔16〕
〔1〕〜〔13〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜を用いたガス分離方法。
〔17〕
二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させる、〔16〕に記載のガス分離方法。
〔18〕
ガス透過性を有する有機支持体上にシラザン化合物含有溶液を塗布し、この有機支持体上にシラザン化合物を含有してなるガス分離層を形成することを含むガス分離複合膜の製造方法であって、
上記の有機支持体上へのシラザン化合物含有溶液の塗布後、200℃以上の熱処理工程を経ずに、且つプラズマ処理工程を経ずに、ガス分離層を形成する、製造方法。
〔19〕
上記有機支持体が、ガス透過性の多孔質層と、この多孔質上に設けられたオルガノポリシロキサン化合物層とを有し、このオルガノポリシロキサン化合物層上に上記シラザン化合物含有溶液を塗布し、上記ガス分離層を形成する、〔18〕に記載のガス分離複合膜の製造方法。
〔20〕
上記有機支持体の、少なくともガス分離層が形成される側の表面を親水化処理することにより、この表面の純水に対する接触角を0〜75°とし、この表面に上記シラザン化合物含有溶液を塗布して上記ガス分離層を形成する、〔18〕又は〔19〕に記載のガス分離複合膜の製造方法。
〔21〕
上記有機支持体上にシラザン化合物含有溶液を塗布して塗布膜を形成した後、25〜120℃でこの塗布膜を硬化することにより上記ガス分離層を形成する、〔18〕〜〔20〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜の製造方法。
〔1〕
ガス透過性を有する有機支持体と、この有機支持体上に設けられた、シラザン化合物を含有してなるガス分離層とを有するガス分離複合膜。
〔2〕
上記有機支持体が、上記ガス分離層との接触面にオルガノポリシロキサン構造を有する、〔1〕に記載のガス分離複合膜。
〔3〕
上記有機支持体が複層構造であり、この有機支持体中、上記ガス分離層と接する層がオルガノポリシロキサン化合物層である、〔2〕に記載のガス分離複合膜。
〔4〕
上記有機支持体が、ガス透過性の多孔質層と、この多孔質層上に設けられたオルガノポリシロキサン化合物層とを有し、このオルガノポリシロキサン化合物層に接して上記ガス分離層が設けられている、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔5〕
上記有機支持体が、不織布層と、この不織布層上に設けられたガス透過性の多孔質層と、この多孔質上に設けられたオルガノポリシロキサン化合物層とを有し、このオルガノポリシロキサン化合物層に接して上記ガス分離層が設けられている、〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔6〕
上記シラザン化合物が、−SiH2−NH−SiH2−で表される構造を有する含窒素無機シリコンポリマーである、〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔7〕
上記ガス分離層中に、上記シラザン化合物が互いに架橋連結されて存在する、〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔8〕
上記ガス分離層表面に存在するN原子とO原子のモル比が、N原子/O原子=0.020〜0.300である、〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔9〕
上記ガス分離層の層厚が2〜100nmである、〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔10〕
上記ガス分離層表面に存在するO原子とSi原子のモル比が、O原子/Si原子=1.000〜2.000である、〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔11〕
上記ガス分離層表面に存在するC原子とO原子のモル比が、C原子/O原子=0.150〜0.290である、〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔12〕
上記ガス分離層表面に存在するO原子とSi原子のモル比Sと、上記ガス分離層表面から有機支持体側に向けて10nmの距離の面におけるO原子とSi原子のモル比Dが、S>Dを満たす、〔1〕〜〔11〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
但し、上記モル比S及びDは、O原子/Si原子である。
〔13〕
二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させるために用いられる、〔1〕〜〔12〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜。
〔14〕
〔1〕〜〔13〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜を用いたガス分離モジュール。
〔15〕
〔14〕に記載のガス分離モジュールを備えたガス分離装置。
〔16〕
〔1〕〜〔13〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜を用いたガス分離方法。
〔17〕
二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させる、〔16〕に記載のガス分離方法。
〔18〕
ガス透過性を有する有機支持体上にシラザン化合物含有溶液を塗布し、この有機支持体上にシラザン化合物を含有してなるガス分離層を形成することを含むガス分離複合膜の製造方法であって、
上記の有機支持体上へのシラザン化合物含有溶液の塗布後、200℃以上の熱処理工程を経ずに、且つプラズマ処理工程を経ずに、ガス分離層を形成する、製造方法。
〔19〕
上記有機支持体が、ガス透過性の多孔質層と、この多孔質上に設けられたオルガノポリシロキサン化合物層とを有し、このオルガノポリシロキサン化合物層上に上記シラザン化合物含有溶液を塗布し、上記ガス分離層を形成する、〔18〕に記載のガス分離複合膜の製造方法。
〔20〕
上記有機支持体の、少なくともガス分離層が形成される側の表面を親水化処理することにより、この表面の純水に対する接触角を0〜75°とし、この表面に上記シラザン化合物含有溶液を塗布して上記ガス分離層を形成する、〔18〕又は〔19〕に記載のガス分離複合膜の製造方法。
〔21〕
上記有機支持体上にシラザン化合物含有溶液を塗布して塗布膜を形成した後、25〜120℃でこの塗布膜を硬化することにより上記ガス分離層を形成する、〔18〕〜〔20〕のいずれか1つに記載のガス分離複合膜の製造方法。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基や連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、式中に同一の表示で表された複数の部分構造の繰り返しがある場合は、各部分構造ないし繰り返し単位は同一でも異なっていてもよい。また、特に断らない場合であっても、複数の置換基等が近接(特に隣接)するときにはそれらが互いに連結したり縮環したりして環を形成していてもよい意味である。
本明細書において化合物の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、目的の効果を奏する範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。
本明細書において置換・無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、所望の効果を奏する範囲で、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。
本明細書において置換・無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、所望の効果を奏する範囲で、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。
本発明のガス分離複合膜、ガス分離モジュール、及びガス分離装置は、優れたガス透過性と共に優れたガス分離選択性を示し、高圧条件下で使用してもガス分離性能に優れ、さらに天然ガス中に存在するトルエン等の不純物成分の影響も受けにくい。また本発明のガス分離複合膜は耐折性に優れ、種々のモジュール形態への加工が可能である。さらに本発明のガス分離複合膜は歩留りが高く生産性に優れる。
本発明のガス分離方法によれば、高圧条件下においても優れたガス透過性で、且つ、優れたガス分離選択性で、ガスを分離することができる。さらに、本発明のガス分離方法によれば、ガス中にトルエン等の不純物が存在しても、優れたガス分離性能が持続する。
本発明のガス分離複合膜の製造方法によれば、本発明のガス分離複合膜を高い歩留りで得ることができる。
本発明のガス分離方法によれば、高圧条件下においても優れたガス透過性で、且つ、優れたガス分離選択性で、ガスを分離することができる。さらに、本発明のガス分離方法によれば、ガス中にトルエン等の不純物が存在しても、優れたガス分離性能が持続する。
本発明のガス分離複合膜の製造方法によれば、本発明のガス分離複合膜を高い歩留りで得ることができる。
本発明のガス分離複合膜は、ガス透過性を有する有機支持体と、この有機支持体上に設けられた、シラザン化合物を含有してなるガス分離層とを有する。
本発明のガス分離複合膜の好ましい実施態様を、図面を参照して説明する。
本発明のガス分離複合膜の好ましい実施態様を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態であるガス分離複合膜10を模式的に示す縦断面図である。1はガス分離層、4はガス透過性を有する有機支持体である。図1の態様において有機支持体4はガス透過性の多孔質層3と、その上に形成されたオルガノポリシロキサン化合物層2からなる。
図2は、本発明の別の好ましい実施形態であるガス分離複合膜20を模式的に示す断面図である。この実施形態では、有機支持体4が、多孔質層3及びオルガノポリシロキサン化合物層2の他、多孔質層3の下側に不織布層5を有している。
図2は、本発明の別の好ましい実施形態であるガス分離複合膜20を模式的に示す断面図である。この実施形態では、有機支持体4が、多孔質層3及びオルガノポリシロキサン化合物層2の他、多孔質層3の下側に不織布層5を有している。
本明細書において、「上」、「下」の表現については、特に断らない限り、分離対象となるガスが供給される側を「上」とし、分離されたガスが出される側を「下」とする。
本明細書において「ガス透過性を有する」とは、40℃の温度下、ガス供給側の全圧力を4MPaにして二酸化炭素を供給した際に、二酸化炭素の透過速度が1×10−5cm3(STP)/cm2・sec・cmHg(10GPU)以上であることを意味し、30GPU以上であることが好ましく、50GPU以上であることがより好ましく、100GPU以上であることがさらに好ましい。
本発明のガス分離複合膜の構成をより詳細に説明する。
本明細書において「ガス透過性を有する」とは、40℃の温度下、ガス供給側の全圧力を4MPaにして二酸化炭素を供給した際に、二酸化炭素の透過速度が1×10−5cm3(STP)/cm2・sec・cmHg(10GPU)以上であることを意味し、30GPU以上であることが好ましく、50GPU以上であることがより好ましく、100GPU以上であることがさらに好ましい。
本発明のガス分離複合膜の構成をより詳細に説明する。
[有機支持体]
本発明のガス分離複合膜は、ガス分離層の支持体としてガス透過性を有する有機支持体を用いる。有機支持体は単層構造であっても複層構造であってもよいが、複層構造であることが好ましい。本発明に用いる有機支持体は、その一部に無機化合物を含んでいてもよい。本発明に用いる有機支持体の好ましい実施形態について以下に説明する。
本発明のガス分離複合膜は、ガス分離層の支持体としてガス透過性を有する有機支持体を用いる。有機支持体は単層構造であっても複層構造であってもよいが、複層構造であることが好ましい。本発明に用いる有機支持体は、その一部に無機化合物を含んでいてもよい。本発明に用いる有機支持体の好ましい実施形態について以下に説明する。
本発明に用いる有機支持体は、少なくともガス分離層との接触面に、オルガノポリシロキサン構造を有することが好ましい。本発明において「オルガノポリシロキサン構造を有する」とは、−[Si(R)2−O]p−で表される構造を有することを意味する。
上記式において、Siに結合する2つのRのうち少なくとも1つは有機基であり、残りのRは水素原子、水酸基、シロキシ基、又は有機基である。この有機基はアルキル基(好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチルである)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20のアリール基、より好ましくは炭素数6〜15のアリール基、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリール基、さらに好ましくはフェニルである)、又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基、より好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、さらに好ましくはメトキシ基である)であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。また、Siに結合する2つのRが共にアルキル基であることがさらに好ましい。pは2以上の整数であり、100以上の整数であることがより好ましい。
本発明に用いる有機支持体は、より好ましくは2層以上の複層構造からなり、ガス分離層と接する層(最表層)がオルガノポリシロキサン化合物層であることが好ましい。「オルガノポリシロキサン化合物層」とは、オルガノポリシロキサン化合物、あるいはその架橋反応物又は硬化物で形成された層を意味する。このオルガノポリシロキサン化合物層は、ポリジアルキルシロキサン化合物、ポリジアリールシロキサン化合物、及びポリアルキルアリールシロキサン化合物から選ばれる化合物で形成された層であることが好ましい。
ここで、「ポリジアルキルシロキサン化合物、ポリジアリールシロキサン化合物、及びポリアルキルアリールシロキサン化合物から選ばれる化合物で形成された層」とは、ポリジアルキルシロキサン化合物、ポリジアリールシロキサン化合物、及びポリアルキルアリールシロキサン化合物から選ばれる化合物同士の架橋反応物、硬化物、並びに、ポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン、及びポリアルキルアリールシロキサンから選ばれる化合物が所望の官能基を有する形態に変性された化合物で形成された層を含む意味である。
上記「オルガノポリシロキサン化合物層」は、より好ましくはポリジメチルシロキサン化合物層である。「ポリジメチルシロキサン化合物層」とは、ポリジメチルシロキサン化合物、あるいはその架橋反応物又は硬化物で形成された層を意味する。
上記「硬化物」とは、オルガノポリシロキサン化合物と重合性モノマー(好ましくは重合性基を有するオルガノオリゴシロキサン化合物、より好ましくはエポキシ基又はビニル基を有するオリゴジメチルシロキサン化合物)とを共存させ、重合性モノマーの重合反応によりオルガノポリシロキサン化合物層を硬化した形態を意味する。
上記式において、Siに結合する2つのRのうち少なくとも1つは有機基であり、残りのRは水素原子、水酸基、シロキシ基、又は有機基である。この有機基はアルキル基(好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチルである)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20のアリール基、より好ましくは炭素数6〜15のアリール基、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリール基、さらに好ましくはフェニルである)、又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基、より好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、さらに好ましくはメトキシ基である)であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。また、Siに結合する2つのRが共にアルキル基であることがさらに好ましい。pは2以上の整数であり、100以上の整数であることがより好ましい。
本発明に用いる有機支持体は、より好ましくは2層以上の複層構造からなり、ガス分離層と接する層(最表層)がオルガノポリシロキサン化合物層であることが好ましい。「オルガノポリシロキサン化合物層」とは、オルガノポリシロキサン化合物、あるいはその架橋反応物又は硬化物で形成された層を意味する。このオルガノポリシロキサン化合物層は、ポリジアルキルシロキサン化合物、ポリジアリールシロキサン化合物、及びポリアルキルアリールシロキサン化合物から選ばれる化合物で形成された層であることが好ましい。
ここで、「ポリジアルキルシロキサン化合物、ポリジアリールシロキサン化合物、及びポリアルキルアリールシロキサン化合物から選ばれる化合物で形成された層」とは、ポリジアルキルシロキサン化合物、ポリジアリールシロキサン化合物、及びポリアルキルアリールシロキサン化合物から選ばれる化合物同士の架橋反応物、硬化物、並びに、ポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン、及びポリアルキルアリールシロキサンから選ばれる化合物が所望の官能基を有する形態に変性された化合物で形成された層を含む意味である。
上記「オルガノポリシロキサン化合物層」は、より好ましくはポリジメチルシロキサン化合物層である。「ポリジメチルシロキサン化合物層」とは、ポリジメチルシロキサン化合物、あるいはその架橋反応物又は硬化物で形成された層を意味する。
上記「硬化物」とは、オルガノポリシロキサン化合物と重合性モノマー(好ましくは重合性基を有するオルガノオリゴシロキサン化合物、より好ましくはエポキシ基又はビニル基を有するオリゴジメチルシロキサン化合物)とを共存させ、重合性モノマーの重合反応によりオルガノポリシロキサン化合物層を硬化した形態を意味する。
上記有機支持体は、より好ましくはガス透過性を有する多孔質層と、この多孔質層上に設けられたオルガノポリシロキサン化合物層とを有し、このオルガノポリシロキサン化合物層上に、このオルガノポリシロキサン化合物層に接してガス分離層が設けられる。
上記オルガノポリシロキサン化合物層の形成に用いる原料(すなわちオルガノポリシロキサン化合物)の例としては、ジアルキルポリシロキサン、ジアリールポリシロキサン、アルキルアリールポリシロキサン、アクリレート変性ポリジアルキルシロキサン、アクリレート変性ポリジアリールシロキサン、アクリレート変性ポリアルキルアリールシロキサン、メタクリレート変性ポリジアルキルシロキサン、メタクリレート変性ポリジアリールシロキサン、メタクリレート変性ポリアルキルアリールシロキサン、チオール変性ポリジアルキルシロキサン、チオール変性ポリジアリールシロキサン、チオール変性ポリアルキルアリールシロキサン、ヒドロキシ変性ポリジアルキルシロキサン、ヒドロキシ変性ポリジアリールシロキサン、ヒドロキシ変性ポリアルキルアリールシロキサン、アミン変性ポリジアルキルシロキサン、アミン変性ポリジアリールシロキサン、アミン変性ポリアルキルアリールシロキサン、ビニル変性ポリジアルキルシロキサン、ビニル変性ポリジアリールシロキサン、ビニル変性ポリアルキルアリールシロキサン、カルボキシ変性ポリジアルキルシロキサン、カルボキシ変性ポリジアリールシロキサン、カルボキシ変性ポリアルキルアリールシロキサン、カルボン酸無水物変性ポリジアルキルシロキサン、カルボン酸無水物変性ポリジアリールシロキサン、カルボン酸無水物変性ポリアルキルアリールシロキサン、ヒドロシリル変性ポリジアルキルシロキサン、ヒドロシリル変性ポリジアリールシロキサン、ヒドロシリル変性ポリアルキルアリールシロキサン、エポキシ変性ポリジアルキルシロキサン、エポキシ変性ポリジアリールシロキサン、エポキシ変性ポリアルキルアリールシロキサン、オキセタニル変性ポリジアルキルシロキサン、オキセタニル変性ポリジアリールシロキサン、及びオキセタニル変性ポリアルキルアリールシロキサンから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
上記例示のポリシロキサン化合物において、各官能基による変性部位は末端(両末端を含む)でもよく側鎖であってもよい。また、架橋反応物を形成するためには1分子中に2つ以上の変性部位があることが好ましい。また、上記変性により導入された各官能基はさらに置換基を有してもよい。また、上記オルガノポリシロキサン化合物は3官能ケイ素(T成分)や4官能ケイ素(Q成分)を含んでいても良い。
また、上記「ポリアルキルアリールシロキサン」におけるアルキル基とアリール基の量比に特に制限はない。すなわち、「ポリアルキルアリールシロキサン」はその構造中に、ジアルキルシロキサン構造やジアリールシロキサン構造を有していてもよい。
上記例示のオルガノポリシロキサン化合物において、アルキル基の炭素数は1〜10が好ましくは、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、メチルがさらに好ましい。また、上記例示のシロキサン化合物において、アリール基の炭素数は6〜20が好ましくは、6〜15がより好ましく、6〜12がさらに好ましく、フェニルがさらに好ましい。
また、上記「ポリアルキルアリールシロキサン」におけるアルキル基とアリール基の量比に特に制限はない。すなわち、「ポリアルキルアリールシロキサン」はその構造中に、ジアルキルシロキサン構造やジアリールシロキサン構造を有していてもよい。
上記例示のオルガノポリシロキサン化合物において、アルキル基の炭素数は1〜10が好ましくは、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、メチルがさらに好ましい。また、上記例示のシロキサン化合物において、アリール基の炭素数は6〜20が好ましくは、6〜15がより好ましく、6〜12がさらに好ましく、フェニルがさらに好ましい。
本発明におけるオルガノポリシロキサン化合物層は、上記例示のオルガノポリシロキサン化合物を有する溶液を用いて成膜して形成した層であってもよい。また、オルガノポリシロキサン化合物が重合性基を有する場合には、必要により重合開始剤の存在下、熱処理、光照射等により重合させて形成した層であってもよい。また、上記例示のオルガノポリシロキサン化合物と、このオルガノポリシロキサン化合物の官能基に対して反応性を有する官能基を有する化合物(好ましくはオルガノポリシロキサン化合物の官能基に対して反応性を有する官能基を1分子中に2つ以上有する化合物(架橋剤))とを含有する溶液を用いて成膜し、必要により縮合剤等の存在下、熱処理、光照射等により架橋反応物を形成させて形成した層であってもよい。
さらに、本発明におけるオルガノポリシロキサン化合物層は、上記例示のオルガノポリシロキサン化合物と、硬化剤として重合性モノマー(好ましくは重合性基を有するオルガノオリゴシロキサン化合物、より好ましくはエポキシ基又はビニル基を有するオリゴジメチルシロキサン化合物)とを含有する溶液を用いて成膜し、必要により重合開始剤、縮合剤等の存在下、熱処理、光照射等により硬化して形成した層であってもよい。
さらに、本発明におけるオルガノポリシロキサン化合物層は、上記例示のオルガノポリシロキサン化合物と、硬化剤として重合性モノマー(好ましくは重合性基を有するオルガノオリゴシロキサン化合物、より好ましくはエポキシ基又はビニル基を有するオリゴジメチルシロキサン化合物)とを含有する溶液を用いて成膜し、必要により重合開始剤、縮合剤等の存在下、熱処理、光照射等により硬化して形成した層であってもよい。
オルガノポリシロキサン化合物層の成膜の際に用いる溶液の媒体としては、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられ、ヘプタンを用いることが好ましい。
ガス分離層の接するオルガノポリシロキサン化合物層の層厚に特に制限ないが、膜強度と透過性の観点から、0.1〜10.0μmが好ましく、0.3〜3.0μmがより好ましい。
本発明に用いる有機支持体を構成するガス透過性の多孔質層は、機械的強度及び高気体透過性の付与に合致する有機高分子の多孔質膜であり、その厚さは1〜3000μm、好ましくは5〜500μmであり、より好ましくは5〜150μmである。多孔質層の細孔構造は、通常平均細孔直径が10μm以下、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。空孔率は好ましくは20〜90%であり、より好ましくは30〜80%である。
また、多孔質層の分画分子量は100,000以下であることが好ましい。さらに、その気体透過率は40℃、4MPaにおいて、二酸化炭素透過速度で3×10−5cm3(STP)/cm2・sec・cmHg(30GPU)以上であることが好ましく、100GPU以上であることがより好ましく、200GPU以上であることがさらに好ましい。
多孔質層の素材としては、従来公知の高分子、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアラミド等の各種樹脂を挙げることができる。
多孔質層の形状としては、平板状、スパイラル状、管状、中空糸状などいずれの形状をとることもできる。
また、多孔質層の分画分子量は100,000以下であることが好ましい。さらに、その気体透過率は40℃、4MPaにおいて、二酸化炭素透過速度で3×10−5cm3(STP)/cm2・sec・cmHg(30GPU)以上であることが好ましく、100GPU以上であることがより好ましく、200GPU以上であることがさらに好ましい。
多孔質層の素材としては、従来公知の高分子、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアラミド等の各種樹脂を挙げることができる。
多孔質層の形状としては、平板状、スパイラル状、管状、中空糸状などいずれの形状をとることもできる。
本発明に用いる有機支持体は、ガス透過性の多孔質支持体の下側にさらに、機械的強度を付与するための支持体を有することが好ましい。このような支持体としては、織布、不織布、ネット等が挙げられるが、製膜性及びコスト面から不織布が好適に用いられる。不織布としてはポリエステル、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリアミド等からなる繊維を単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよい。不織布は、例えば、水に均一に分散した主体繊維とバインダー繊維を円網や長網等で抄造し、ドライヤーで乾燥することにより製造できる。また、毛羽を除去したり機械的性質を向上させたり等の目的で、不織布を2本のロール挟んで圧熱加工を施すことも好ましい。不織布層の層厚は10〜1000μmが好ましく、50〜500μmがより好ましい。
本発明において、有機支持体全体の厚さは20〜1200μmが好ましく、70〜600μmがより好ましい。
[ガス分離層]
本発明におけるガス分離層はシラザン化合物(シラザン結合を有する化合物)を含有する。
ガス分離層を構成するシラザン化合物は、分子中にシラザン結合を有する。なかでもガス分離層を構成するシラザン化合物は、−SiR2−NH−SiR2−で表される構造を有することが好ましい。Rは水素原子又はアルキル基を示し、水素原子であることが好ましい。Rとして採り得るアルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。上記アルキル基はさらに好ましくはメチルである。
−SiR2−NH−SiR2−中のN原子は空気中の水分等に由来するO原子と反応し、−SiR2−O−SiR2−に変化しやすい。したがって、本発明におけるガス分離層に含有されるシラザン化合物中には、−SiR2−NH−SiR2−構造よりも、−SiR2−O−SiR2−の構造の方が圧倒的に多くなる。
一方、プラズマ処理や200℃以上の高温熱処理に付さなければ、−SiR2−NH−SiR2−が完全に消失することはなく、ガス分離層を構成するシラザン化合物中に、一定程度−SiR2−NH−SiR2−構造を残存させることができる。すなわち、本発明におけるガス分離層として用いることができる。
本発明におけるガス分離層はシラザン化合物(シラザン結合を有する化合物)を含有する。
ガス分離層を構成するシラザン化合物は、分子中にシラザン結合を有する。なかでもガス分離層を構成するシラザン化合物は、−SiR2−NH−SiR2−で表される構造を有することが好ましい。Rは水素原子又はアルキル基を示し、水素原子であることが好ましい。Rとして採り得るアルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。上記アルキル基はさらに好ましくはメチルである。
−SiR2−NH−SiR2−中のN原子は空気中の水分等に由来するO原子と反応し、−SiR2−O−SiR2−に変化しやすい。したがって、本発明におけるガス分離層に含有されるシラザン化合物中には、−SiR2−NH−SiR2−構造よりも、−SiR2−O−SiR2−の構造の方が圧倒的に多くなる。
一方、プラズマ処理や200℃以上の高温熱処理に付さなければ、−SiR2−NH−SiR2−が完全に消失することはなく、ガス分離層を構成するシラザン化合物中に、一定程度−SiR2−NH−SiR2−構造を残存させることができる。すなわち、本発明におけるガス分離層として用いることができる。
上記シラザン化合物は無機ポリマーであることが好ましい。すなわち、本発明のガス分離複合膜において、ガス分離層は含窒素無機シリコンポリマーを含有することが好ましい。この含窒素無機シリコンポリマーにおいて、窒素原子はシラザン結合(SiH2−NH)を構成する窒素原子である。
本発明のガス分離複合膜は、ガス分離層がシラザン化合物を含有し、これと、ガス分離層に接する層が有機支持体であることと相俟って、ガス分離層に欠陥が生じにくく、且つ、優れたガス透過性と優れたガス分離選択性を示し、さらにトルエン等の不純物成分の存在下でもガス分離性能が低下しにくい。
本発明において、ガス分離層表面に存在するN原子とO原子のモル比は、N原子/O原子=0.005〜0.400であることが好ましい。N原子とO原子のモル比を上記好ましい範囲内とすることにより、成膜性が向上し、柔軟性も増し、且つ、ガス透過性とガス分離選択性の両立をより高いレベルで実現することができる。
本明細書において、「ガス分離複合膜表面」とは、非支持体側表面(すなわち、有機支持体と接する面とは反対側の面)を意味する。本明細書において、「ガス分離層表面」とは、シラザン化合物を含有してなるガス分離層の非支持体側表面を意味する。シラザン化合物を含有してなるガス分離層の非支持体側表面上に、別の層を設けない場合、「ガス分離複合膜表面」と「ガス分離層表面」は同義である。
より詳細には、本発明において「ガス分離層表面」は、O原子とSi原子のモル比(O原子/Si原子)をガス分離複合膜の非支持体側表面(ガス分離膜の最上層の非支持体側表面)から有機支持体の方向へ向けて連続的に測定した場合に、O原子/Si原子が最大となり、且つ、ケイ素原子数が3%(Atomic%)以上含まれ、且つ、窒素原子数が0.005%(Atomic%)以上含まれる面と一致する。このことは、後述の実施例1〜13のガス分離複合膜においても確認された(すなわち、ガス分離複合膜の非支持体側の最表面(すなわちガス分離層表面)が上記条件を満たすことを確認した)。なお、上記のガス分離複合膜の非支持体側表面から有機支持体の方向へ向けて、O原子とSi原子のモル比(O原子/Si原子)の連続的な測定は、後述する実施例の[試験例1]に記載の方法に準じて実施することができる。
ガス分離層表面に存在するN原子とO原子のモル比は、N原子/O原子=0.020〜0.300が好ましく、0.020〜0.100がより好ましい。
本明細書において、「ガス分離複合膜表面」とは、非支持体側表面(すなわち、有機支持体と接する面とは反対側の面)を意味する。本明細書において、「ガス分離層表面」とは、シラザン化合物を含有してなるガス分離層の非支持体側表面を意味する。シラザン化合物を含有してなるガス分離層の非支持体側表面上に、別の層を設けない場合、「ガス分離複合膜表面」と「ガス分離層表面」は同義である。
より詳細には、本発明において「ガス分離層表面」は、O原子とSi原子のモル比(O原子/Si原子)をガス分離複合膜の非支持体側表面(ガス分離膜の最上層の非支持体側表面)から有機支持体の方向へ向けて連続的に測定した場合に、O原子/Si原子が最大となり、且つ、ケイ素原子数が3%(Atomic%)以上含まれ、且つ、窒素原子数が0.005%(Atomic%)以上含まれる面と一致する。このことは、後述の実施例1〜13のガス分離複合膜においても確認された(すなわち、ガス分離複合膜の非支持体側の最表面(すなわちガス分離層表面)が上記条件を満たすことを確認した)。なお、上記のガス分離複合膜の非支持体側表面から有機支持体の方向へ向けて、O原子とSi原子のモル比(O原子/Si原子)の連続的な測定は、後述する実施例の[試験例1]に記載の方法に準じて実施することができる。
ガス分離層表面に存在するN原子とO原子のモル比は、N原子/O原子=0.020〜0.300が好ましく、0.020〜0.100がより好ましい。
本発明において、ガス分離層表面に存在するO原子とSi原子のモル比は、O原子/Si原子=1.000〜2.000であることが好ましい。O原子とSi原子のモル比を上記好ましい範囲内とすることにより、成膜性が向上し、且つ、ガス透過性とガス分離選択性の両立をより高いレベルで実現することができる。
ガス分離層表面に存在するO原子とSi原子のモル比は、1.400〜2.000がより好ましい。
ガス分離層表面に存在するO原子とSi原子のモル比は、1.400〜2.000がより好ましい。
本発明において、ガス分離層表面に存在するC原子とO原子のモル比は、C原子/O原子=0.150〜0.290であることが好ましい。C原子とO原子のモル比を上記好ましい範囲内とすることにより、成膜性が向上し、且つ、ガス透過性とガス分離選択性の両立をより高いレベルで実現することができる。
ガス分離層表面に存在するC原子とO原子のモル比は、0.155〜0.290がより好ましく、0.165〜0.250がさらに好ましい。この炭素原子は、有機シラザン化合物や残存溶媒、膜表面に吸着した二酸化炭素等の気体、有機不純物に由来しうる。
ガス分離層表面に存在するC原子とO原子のモル比は、0.155〜0.290がより好ましく、0.165〜0.250がさらに好ましい。この炭素原子は、有機シラザン化合物や残存溶媒、膜表面に吸着した二酸化炭素等の気体、有機不純物に由来しうる。
本発明において、ガス分離層表面に存在するO原子とSi原子のモル比S(O原子/Si原子)と、ガス分離層表面から有機支持体側に向けて10nmの距離の面に存在する(すなわち、ガス分離層表面から、ガス分離層表面に対して垂直方向に、有機支持体側に向けて10nm距離の面に存在する)O原子とSi原子のモル比D(O原子/Si原子)が、S>Dを満たす(すなわち、上記モル比Sの方が上記モル比Dよりも大きい)ことが好ましい。
本発明において、ガス分離層における上記N原子、Si原子、O原子、Si原子のモル比の測定は、後述する実施例に記載の方法で実施することができる。
ガス分離層中には、シラザン化合物が、互いに架橋連結された状態で存在していることも好ましい。この形態も本発明のガス分離膜の形態に包含される。この架橋連結反応については後述する。
本発明において、ガス分離層の層厚は2〜100nmであることが好ましく、5〜50nmであることがより好ましい。
[ガス分離複合膜の製造方法]
続いて本発明のガス分離複合膜の製造方法の好ましい実施形態について説明する、
本発明のガス分離複合膜は、好ましくは、上述したガス透過性を有する有機支持体上にシラザン化合物含有溶液を塗布し、乾燥等することにより、上記有機支持体上にシラザン化合物を含有してなるガス分離層を形成して製造することができる。また、加水分解性の含窒素成分とシラン化合物の混合物を用いて形成することもできる。
なかでも製造コスト、成膜の容易性等を考慮すると、上述したガス透過性を有する有機支持体上にシラザン化合物含有溶液を塗布し、乾燥等することにより、上記有機支持体上にシラザン化合物を含有してなるガス分離層を形成する方法を採用することが好ましい。この製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」という)について以下に説明する。
続いて本発明のガス分離複合膜の製造方法の好ましい実施形態について説明する、
本発明のガス分離複合膜は、好ましくは、上述したガス透過性を有する有機支持体上にシラザン化合物含有溶液を塗布し、乾燥等することにより、上記有機支持体上にシラザン化合物を含有してなるガス分離層を形成して製造することができる。また、加水分解性の含窒素成分とシラン化合物の混合物を用いて形成することもできる。
なかでも製造コスト、成膜の容易性等を考慮すると、上述したガス透過性を有する有機支持体上にシラザン化合物含有溶液を塗布し、乾燥等することにより、上記有機支持体上にシラザン化合物を含有してなるガス分離層を形成する方法を採用することが好ましい。この製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」という)について以下に説明する。
本発明の製造方法においては、有機支持体上にシラザン化合物含有溶液を塗布した後において、200℃以上の熱処理及びプラズマ処理のいずれの処理にも付さない。シラザン化合物を200℃以上の熱処理ないしプラズマ処理に付すと、上述した−SiR2−NH―SiR2−構造の少なくともN原子がO原子に置換されて−SiR2−O―SiR2−構造に変化し、シラザン化合物層(すなわちシラザン結合を有する化合物の層)を形成することができない。
上記シラザン化合物含有溶液は、パーヒドロポリシラザン含有溶液であることが好ましい。パーヒドロポリシラザン含有溶液を用いることで、上述の含窒素無機シリコンポリマーを含有してなるガス分離層を形成することができ、ガス分離選択性がより向上し、また、トルエン等の不純物成分に対する耐性もより向上しうる。
パーヒドロポリシラザンとしては市販品を用いることができる。例えば、AZ NAX120−20、AZ NL120−20、AZ NN120−20、AZ NAX120−20(いずれも商品名、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)が挙げられる。
パーヒドロポリシラザンとしては市販品を用いることができる。例えば、AZ NAX120−20、AZ NL120−20、AZ NN120−20、AZ NAX120−20(いずれも商品名、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)が挙げられる。
本発明の製造方法において、シラザン化合物含有溶液の媒体としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤や、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤が挙げられ、キシレンを用いることが好ましい。またシラザン化合物含有溶液は、シラザン化合物が分散された分散体(ペースト、スラリーもしくはインク状の組成物)であってもよい。
また、上記シラザン化合物含有溶液中、シラザン化合物の含有量は、0.05〜20.00とすることが好ましく、0.05〜5.00質量%とすることがより好ましく、0.15〜0.80質量%とすることがさらに好ましい。また、上記シラザン化合物含有溶液中には、シラザン化合物の他、アミン触媒、パラジウム触媒、酸触媒等が含まれていてもよい。
また、上記シラザン化合物含有溶液中、シラザン化合物の含有量は、0.05〜20.00とすることが好ましく、0.05〜5.00質量%とすることがより好ましく、0.15〜0.80質量%とすることがさらに好ましい。また、上記シラザン化合物含有溶液中には、シラザン化合物の他、アミン触媒、パラジウム触媒、酸触媒等が含まれていてもよい。
本発明の製造方法において、有機支持体上にシラザン化合物含有溶液を塗布する前に、有機支持体の少なくとも上側表面(ガス分離層を接する側表面)を親水化処理することにより、有機支持体の上側表面の純水に対する接触角を0〜75°としておくことが好ましい。こうすることで、シラザン化合物含有溶液の塗布性が向上し、形成されるガス分離層に欠陥がより生じにくくなる。上記接触角は、より好ましくは20〜70°とする。上記接触角は後述する実施例に記載の方法で測定される。
上記親水化処理としては、プラズマ処理、コロナ処理、UVオゾン処理、火炎処理等が挙げられ、これらの処理によって有機支持体表面に、カルボキシ基や水酸基等の官能基を導入し、有機支持体表面を親水化することができる。
上記親水化処理としては、プラズマ処理、コロナ処理、UVオゾン処理、火炎処理等が挙げられ、これらの処理によって有機支持体表面に、カルボキシ基や水酸基等の官能基を導入し、有機支持体表面を親水化することができる。
本発明の製造方法では、ガス透過性を有する有機支持体上に、シラザン化合物含有溶液を塗布した後、20℃以上200未満の温度条件下でシラザン化合物層を硬化させてガス分離層とすることが好ましい。この硬化現象は、空気中の水分子等に由来するOHがシラザン化合物中の−SiR2−NH−SiR2−構造等のSi原子に置換基として結合し、形成されたSi−OH同士が縮合して連結し、架橋構造が形成されて引き起こされると推定される。
上記硬化は40〜120℃で行うことが好ましく、50〜100℃で行うことがより好ましいが、120℃以上200℃未満で行う場合も、硬化時間を短くすることで同様の膜を得ることができる。例として70℃付近で硬化させる場合、硬化時間は10〜400時間が好ましい。
上記硬化は40〜120℃で行うことが好ましく、50〜100℃で行うことがより好ましいが、120℃以上200℃未満で行う場合も、硬化時間を短くすることで同様の膜を得ることができる。例として70℃付近で硬化させる場合、硬化時間は10〜400時間が好ましい。
本発明のガス分離複合膜において、ガス分離層中のシラザン化合物の含有量は、所望のガス分離性能が得られれば特に制限はない。ガス分離性能をより向上させる観点から、ガス分離層中のシラザン化合物の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。また、ガス分離層中のシラザン化合物の含有量は、100質量%であってもよいが、通常は99質量%以下である。
[ガス分離複合膜の用途と特性]
本発明のガス分離複合膜(複合膜及び非対称膜)は、ガス分離回収、ガス分離精製に好適に用いることができる。例えば、水素、ヘリウム、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、酸素、窒素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、メタン、エタンなどの炭化水素、プロピレンなどの不飽和炭化水素、テトラフルオロエタンなどのパーフルオロ化合物などのガスを含有する気体混合物から特定の気体を効率よく分離し得るガス分離複合膜とすることができる。特に二酸化炭素/炭化水素(メタン)を含む気体混合物から二酸化炭素を選択分離するガス分離複合膜とすることが好ましい。
本発明のガス分離複合膜(複合膜及び非対称膜)は、ガス分離回収、ガス分離精製に好適に用いることができる。例えば、水素、ヘリウム、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、酸素、窒素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、メタン、エタンなどの炭化水素、プロピレンなどの不飽和炭化水素、テトラフルオロエタンなどのパーフルオロ化合物などのガスを含有する気体混合物から特定の気体を効率よく分離し得るガス分離複合膜とすることができる。特に二酸化炭素/炭化水素(メタン)を含む気体混合物から二酸化炭素を選択分離するガス分離複合膜とすることが好ましい。
分離処理されるガスが二酸化炭素とメタンとの混合ガスである場合においては、30℃、5MPaにおける二酸化炭素の透過速度が20GPU超であることが好ましく、30GPU超であることがより好ましく、50GPU超であることがより好ましい。二酸化炭素とメタンとの透過速度比(RCO2/RCH4、分離選択性ともいう。)は10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。RCO2は二酸化炭素の透過速度、RCH4はメタンの透過速度を示す。
なお、1GPUは1×10−6cm3(STP)/cm2・sec・cmHgである。
なお、1GPUは1×10−6cm3(STP)/cm2・sec・cmHgである。
本発明のガス分離複合膜を形成する条件に特に制限はないが、温度は−30〜100℃が好ましく、−10〜80℃がより好ましく、5〜50℃が特に好ましい。
本発明においては、膜の形成時に空気や酸素などの気体を共存させてもよいが、不活性ガス雰囲気下で実施してもよい。
[ガス混合物の分離方法]
本発明のガス分離方法は、本発明のガス分離複合膜を用いて2種以上のガスを含む混合ガスから特定のガスを選択的に透過させ、分離する方法である。なかでも本発明のガス分離方法は、二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を選択的に透過させることを含む方法であることが好ましい。ガス分離の際のガスの圧力は0.5〜10MPaであることが好ましく、1〜10MPaであることがより好ましく、2〜7MPaであることがさらに好ましい。
また、本発明のガス分離方法を実施する際のガスの温度は、−30〜90℃であることが好ましく、15〜70℃であることがさらに好ましい。二酸化炭素とメタンガスとを含む混合ガスにおいて、二酸化炭素とメタンガスの混合比に特に制限はないが、二酸化炭素:メタンガス=1:99〜99:1(体積比)であることが好ましく、二酸化炭素:メタンガス=5:95〜90:10であることがより好ましい。
本発明のガス分離方法は、本発明のガス分離複合膜を用いて2種以上のガスを含む混合ガスから特定のガスを選択的に透過させ、分離する方法である。なかでも本発明のガス分離方法は、二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を選択的に透過させることを含む方法であることが好ましい。ガス分離の際のガスの圧力は0.5〜10MPaであることが好ましく、1〜10MPaであることがより好ましく、2〜7MPaであることがさらに好ましい。
また、本発明のガス分離方法を実施する際のガスの温度は、−30〜90℃であることが好ましく、15〜70℃であることがさらに好ましい。二酸化炭素とメタンガスとを含む混合ガスにおいて、二酸化炭素とメタンガスの混合比に特に制限はないが、二酸化炭素:メタンガス=1:99〜99:1(体積比)であることが好ましく、二酸化炭素:メタンガス=5:95〜90:10であることがより好ましい。
[ガス分離モジュール・ガス分離装置]
本発明のガス分離複合膜を用いてガス分離モジュールを調製することができる。モジュールの例としては、スパイラル型、中空糸型、プリーツ型、管状型、プレート&フレーム型などが挙げられる。
また、本発明のガス分離複合膜ないしガス分離モジュールを用いて、ガスを分離回収又は分離精製させるための手段を有するガス分離装置を得ることができる。本発明のガス分離複合膜は、例えば、特開2007−297605号公報に記載のような吸収液と併用した膜・吸収ハイブリッド法としての気体分離回収装置に適用してもよい。
本発明のガス分離複合膜を用いてガス分離モジュールを調製することができる。モジュールの例としては、スパイラル型、中空糸型、プリーツ型、管状型、プレート&フレーム型などが挙げられる。
また、本発明のガス分離複合膜ないしガス分離モジュールを用いて、ガスを分離回収又は分離精製させるための手段を有するガス分離装置を得ることができる。本発明のガス分離複合膜は、例えば、特開2007−297605号公報に記載のような吸収液と併用した膜・吸収ハイブリッド法としての気体分離回収装置に適用してもよい。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1] ガス分離複合膜の作製
<ジアルキルシロキサン構造を有する放射線硬化性ポリマー溶液の調製>
150mlの3口フラスコにUV9300(Momentive社製)39g、X−22−162C(信越化学工業社製)10g、及びDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)0.007gを加え、n−ヘプタン50gに溶解させた。これを95℃で168時間維持し、ポリジメチルシロキサン構造を有する放射線硬化性ポリマー溶液(25℃で粘度22.8mPa・s)を得た。
<ジアルキルシロキサン構造を有する放射線硬化性ポリマー溶液の調製>
150mlの3口フラスコにUV9300(Momentive社製)39g、X−22−162C(信越化学工業社製)10g、及びDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)0.007gを加え、n−ヘプタン50gに溶解させた。これを95℃で168時間維持し、ポリジメチルシロキサン構造を有する放射線硬化性ポリマー溶液(25℃で粘度22.8mPa・s)を得た。
<重合性の放射線硬化性組成物の調製>
20℃まで冷却した上記放射線硬化性ポリマー溶液5gを、n−ヘプタン95gで希釈した。得られた溶液に対し、光重合開始剤であるUV9380C(Momentive社製)0.5gおよびオルガチックスTA−10(マツモトファインケミカル社製)0.1gを添加し、重合性の放射線硬化性組成物を調製した。
20℃まで冷却した上記放射線硬化性ポリマー溶液5gを、n−ヘプタン95gで希釈した。得られた溶液に対し、光重合開始剤であるUV9380C(Momentive社製)0.5gおよびオルガチックスTA−10(マツモトファインケミカル社製)0.1gを添加し、重合性の放射線硬化性組成物を調製した。
<有機支持体の作製>
ポリアクリロニトリル(PAN)多孔質膜(不織布上にポリアクリロニトリル多孔質膜が存在する。不織布を含めた膜厚は約180μm)を支持体とし、その上に、上記の重合性の放射線硬化性組成物をスピンコートした後、UV強度24kW/m、処理時間10秒のUV処理条件でUV処理(Fusion UV System社製、Light Hammer 10、D−バルブ)した後、乾燥させた。こうして、多孔質支持体上に、ポリジメチルシロキサン構造を有する、厚み1μmのオルガノポリシロキサン化合物層を形成した(この層を下記表1で「PDMS」として表した)。
得られた有機支持体は、30℃の温度下、ガス供給側の全圧力を5MPaにして二酸化炭素を供給した際に、二酸化炭素の透過速度が800GPUであった(すなわちガス透過性を有していた)。
ポリアクリロニトリル(PAN)多孔質膜(不織布上にポリアクリロニトリル多孔質膜が存在する。不織布を含めた膜厚は約180μm)を支持体とし、その上に、上記の重合性の放射線硬化性組成物をスピンコートした後、UV強度24kW/m、処理時間10秒のUV処理条件でUV処理(Fusion UV System社製、Light Hammer 10、D−バルブ)した後、乾燥させた。こうして、多孔質支持体上に、ポリジメチルシロキサン構造を有する、厚み1μmのオルガノポリシロキサン化合物層を形成した(この層を下記表1で「PDMS」として表した)。
得られた有機支持体は、30℃の温度下、ガス供給側の全圧力を5MPaにして二酸化炭素を供給した際に、二酸化炭素の透過速度が800GPUであった(すなわちガス透過性を有していた)。
<有機支持体の親水化>
上記有機支持体をデスクトップ真空プラズマ装置(ユーテック社製)に入れ、キャリアガス条件を、酸素流量50cm3(STP)/min、アルゴン流量100cm3(STP)/minとし、真空度30Pa、投入電力を10Wとし、処理時間20秒でプラズマ処理し、有機支持体表面を親水化した。
親水化処理後の有機支持体表面(ガス分離層と接するオルガノポリシロキサン化合物層表面)の純水に対する接触角を、下記測定条件で測定した。
上記有機支持体をデスクトップ真空プラズマ装置(ユーテック社製)に入れ、キャリアガス条件を、酸素流量50cm3(STP)/min、アルゴン流量100cm3(STP)/minとし、真空度30Pa、投入電力を10Wとし、処理時間20秒でプラズマ処理し、有機支持体表面を親水化した。
親水化処理後の有機支持体表面(ガス分離層と接するオルガノポリシロキサン化合物層表面)の純水に対する接触角を、下記測定条件で測定した。
(接触角の測定条件)
測定装置:協和界面科学社製DM−501
液:純水
液量:2.0μl
測定温度:25℃
測定手法:液滴法、θ/2法。着滴1秒後に測定。
測定装置:協和界面科学社製DM−501
液:純水
液量:2.0μl
測定温度:25℃
測定手法:液滴法、θ/2法。着滴1秒後に測定。
<ガス分離層の形成>
ポリシラザン(商品名:AZ NAX120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)をキシレンに溶解し、ポリシラザンの0.25質量%溶液(塗布液)を調製した。この溶液を、上記有機支持体のオルガノポリシロキサン化合物層上に、下記条件でスピンコートした。
ポリシラザン(商品名:AZ NAX120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)をキシレンに溶解し、ポリシラザンの0.25質量%溶液(塗布液)を調製した。この溶液を、上記有機支持体のオルガノポリシロキサン化合物層上に、下記条件でスピンコートした。
(スピンコートの測定条件)
塗布面積:10cm2
溶液塗布量:3ml
回転数:1000rpm
回転時間:1min
スピンコートの後、70℃で3日間送風乾燥し、複合膜FS−101を得た。この複合膜のガス分離層の層厚は20nmであった。ガス分離層の層厚は、複合膜を液体窒素中に1分間浸漬後、ピンセットにて複合膜を割断し、断面部をSEMにて観察して測定した。
塗布面積:10cm2
溶液塗布量:3ml
回転数:1000rpm
回転時間:1min
スピンコートの後、70℃で3日間送風乾燥し、複合膜FS−101を得た。この複合膜のガス分離層の層厚は20nmであった。ガス分離層の層厚は、複合膜を液体窒素中に1分間浸漬後、ピンセットにて複合膜を割断し、断面部をSEMにて観察して測定した。
[実施例2〜11] ガス分離複合膜の作製
ポリシラザンの種類、塗布液濃度、硬化条件、及び有機支持体中のガス分離層と接する層を、下記表1に記載のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合膜を調製した。
ポリシラザンの種類、塗布液濃度、硬化条件、及び有機支持体中のガス分離層と接する層を、下記表1に記載のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合膜を調製した。
[実施例12、13]
実施例1及び2の有機支持体の親水化条件において、処理時間を20秒間から5秒間に変更した以外は、実施例1及び2と同様にして、複合膜を調製した。
実施例1及び2の有機支持体の親水化条件において、処理時間を20秒間から5秒間に変更した以外は、実施例1及び2と同様にして、複合膜を調製した。
[比較例1] 複合膜の作製
特開2010−240622号公報の段落[0041]〜[0044]に記載された方法と同様にして、ガス分離複合膜を作製した。
特開2010−240622号公報の段落[0041]〜[0044]に記載された方法と同様にして、ガス分離複合膜を作製した。
[比較例2] 複合膜の作製
塗布液を以下のシリカゾル溶液に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合膜を調製した。
(シリカゾル溶液の調整)
テトラエトキシシラン(東京化成製、T0100)4.17g、エタノール3.50g、水2.30g、硝酸0.18gを混合し、60℃で3時間加熱攪拌した。得られた混合液1gに対し、エタノール159gを加え、シリカゾル0.25%溶液を得た。
塗布液を以下のシリカゾル溶液に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、複合膜を調製した。
(シリカゾル溶液の調整)
テトラエトキシシラン(東京化成製、T0100)4.17g、エタノール3.50g、水2.30g、硝酸0.18gを混合し、60℃で3時間加熱攪拌した。得られた混合液1gに対し、エタノール159gを加え、シリカゾル0.25%溶液を得た。
[試験例1] ガス分離層表面のC原子、O原子、N原子、Si原子のモル比の算出
含窒素シリカ層の炭素、酸素、窒素、ケイ素原子の比は、ESCA(Electron Spectroscopy FOR Chemical Analysis)により算出した。より詳細には、上記各実施例及び比較例で作製した複合膜を、Physical Electronics,Inc.社製のQuanteraSXMに入れ、X線源:Al−Kα線(1490eV,25W,100umφ); 測定領域:300μm×300μm; Pass Energy:55eV; Step:0.05eVの条件で、ガス分離層の最表面(非支持体側表面)におけるC原子、O原子、N原子、Si原子の比を算出した。
含窒素シリカ層の炭素、酸素、窒素、ケイ素原子の比は、ESCA(Electron Spectroscopy FOR Chemical Analysis)により算出した。より詳細には、上記各実施例及び比較例で作製した複合膜を、Physical Electronics,Inc.社製のQuanteraSXMに入れ、X線源:Al−Kα線(1490eV,25W,100umφ); 測定領域:300μm×300μm; Pass Energy:55eV; Step:0.05eVの条件で、ガス分離層の最表面(非支持体側表面)におけるC原子、O原子、N原子、Si原子の比を算出した。
[試験例2] ガス分離層表面から有機支持体側に向けて10nmの距離の面におけるC原子、O原子、N原子、Si原子の比の算出
ガス分離層の最表面から有機支持体側に向けて、ガス分離層の表面に対して垂直方向に10nmの距離(深さ)の面における、C原子、O原子、N原子、Si原子の比を求めるために、C60イオンによるエッチングを行った。すなわち、Physical Electronics,Inc.社製のQuanteraSXMに付属のC60イオン銃にて、C60+イオンビーム強度:10keV、10nAとし、2mm×2mmの領域を、ガス分離層表面から有機支持体側に向けて垂直に10nmの距離までエッチングした。
QuanteraSXMを用いて、エッチング後の表面におけるC原子、O原子、N原子、Si原子の比を算出した。なお、ガス分離層表面から有機支持体方向へのエッチング深さは、エッチング速度:10nm/secから算出した。このエッチング速度はガス分離層の材質毎に定まる値である。
ガス分離層の最表面から有機支持体側に向けて、ガス分離層の表面に対して垂直方向に10nmの距離(深さ)の面における、C原子、O原子、N原子、Si原子の比を求めるために、C60イオンによるエッチングを行った。すなわち、Physical Electronics,Inc.社製のQuanteraSXMに付属のC60イオン銃にて、C60+イオンビーム強度:10keV、10nAとし、2mm×2mmの領域を、ガス分離層表面から有機支持体側に向けて垂直に10nmの距離までエッチングした。
QuanteraSXMを用いて、エッチング後の表面におけるC原子、O原子、N原子、Si原子の比を算出した。なお、ガス分離層表面から有機支持体方向へのエッチング深さは、エッチング速度:10nm/secから算出した。このエッチング速度はガス分離層の材質毎に定まる値である。
[試験例3] サンプルエラー率
上記各実施例及び比較例と同様にして、ガス分離複合膜を1例につき50サンプル作製し、水素の透過率を測定した。水素ガス透過率の値が1,000,000GPU(1×106cm3/cm2・sec・cmHg)を越えたサンプルをピンホール有りの膜(サンプルエラー)として下記式によりサンプルエラー率を求め、下記評価基準により評価した。
サンプルエラー率=(ピンホール有りの膜数/50)×100
(評価基準)
A:サンプルエラー率5%未満
B:サンプルエラー率5%以上10%未満
C:サンプルエラー率10%以上
上記各実施例及び比較例と同様にして、ガス分離複合膜を1例につき50サンプル作製し、水素の透過率を測定した。水素ガス透過率の値が1,000,000GPU(1×106cm3/cm2・sec・cmHg)を越えたサンプルをピンホール有りの膜(サンプルエラー)として下記式によりサンプルエラー率を求め、下記評価基準により評価した。
サンプルエラー率=(ピンホール有りの膜数/50)×100
(評価基準)
A:サンプルエラー率5%未満
B:サンプルエラー率5%以上10%未満
C:サンプルエラー率10%以上
[試験例4] ガス分離性能の評価
上記各実施例及び比較例で調製したガス分離複合膜を用いて、ガス分離性能を以下のように評価した。
ガス分離複合膜を不織布ごと直径47mmに切り取り、透過試験サンプルを作製した。GTRテック株式会社製ガス透過率測定装置を用い、二酸化炭素(CO2)とメタン(CH4)が1:9(体積比)の混合ガスをガス供給側の全圧力が5MPa(CO2の分圧:2MPa)、流量500mL/min、30℃となるように調整し、ガス分離層側から供給した。ガス分離膜を透過してきたガスをガスクロマトグラフィーにより分析した。膜のガス透過性は、ガス透過率(Permeance)としてガス透過速度を算出することにより比較した。ガス透過率(ガス透過速度)の単位はGPU(ジーピーユー)単位〔1GPU=1×10−6cm3(STP)/cm2・sec・cmHg〕で表した。ガス分離選択性は、この膜のCH4の透過速度RCH4に対するCO2の透過速度RCO2の比率(RCO2/RCH4)として計算した。
上記各実施例及び比較例で調製したガス分離複合膜を用いて、ガス分離性能を以下のように評価した。
ガス分離複合膜を不織布ごと直径47mmに切り取り、透過試験サンプルを作製した。GTRテック株式会社製ガス透過率測定装置を用い、二酸化炭素(CO2)とメタン(CH4)が1:9(体積比)の混合ガスをガス供給側の全圧力が5MPa(CO2の分圧:2MPa)、流量500mL/min、30℃となるように調整し、ガス分離層側から供給した。ガス分離膜を透過してきたガスをガスクロマトグラフィーにより分析した。膜のガス透過性は、ガス透過率(Permeance)としてガス透過速度を算出することにより比較した。ガス透過率(ガス透過速度)の単位はGPU(ジーピーユー)単位〔1GPU=1×10−6cm3(STP)/cm2・sec・cmHg〕で表した。ガス分離選択性は、この膜のCH4の透過速度RCH4に対するCO2の透過速度RCO2の比率(RCO2/RCH4)として計算した。
[試験例5] 耐折性試験
本発明のガス分離複合膜は、モジュール又はエレメントと呼ばれる膜が充填されたパッケージとして使用することが望ましい。ガス分離膜をモジュールとして使用する場合は膜表面積を大きくするために高密度に充填される。平膜ではスパイラル状に折り曲げて充填するため、十分な折曲げ強度が付与されていなければならない。本性能を確認するために得られた複合膜を180度折り曲げては戻す操作を50回実施した後、上記試験例4と同様にしてメタンガスの透過率を測定し、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
A:折り曲げ前後においてメタンガスの透過率がほとんど変化しなかった。
B:折り曲げ後にメタンガスの透過率が明らかに上昇した。
本発明のガス分離複合膜は、モジュール又はエレメントと呼ばれる膜が充填されたパッケージとして使用することが望ましい。ガス分離膜をモジュールとして使用する場合は膜表面積を大きくするために高密度に充填される。平膜ではスパイラル状に折り曲げて充填するため、十分な折曲げ強度が付与されていなければならない。本性能を確認するために得られた複合膜を180度折り曲げては戻す操作を50回実施した後、上記試験例4と同様にしてメタンガスの透過率を測定し、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
A:折り曲げ前後においてメタンガスの透過率がほとんど変化しなかった。
B:折り曲げ後にメタンガスの透過率が明らかに上昇した。
[試験例6] トルエン暴露試験
トルエン溶媒を張った蓋のできるガラス製容器内に、100mlビーカーを静置し、さらに上記各実施例及び比較例において作製したガス分離複合膜をビーカーの中に入れ、ガラス製の蓋をし、密閉系とした。その後、25℃条件下で10分間保存した後、上記試験例4と同様にしてガス分離性能を評価した。
トルエン溶媒を張った蓋のできるガラス製容器内に、100mlビーカーを静置し、さらに上記各実施例及び比較例において作製したガス分離複合膜をビーカーの中に入れ、ガラス製の蓋をし、密閉系とした。その後、25℃条件下で10分間保存した後、上記試験例4と同様にしてガス分離性能を評価した。
上記各試験例の結果を下記表2に示す。
上記表2に示されるように、ガス分離複合膜のガス分離層が、シラザン化合物以外のシリコン化合物を含有する場合、サンプルエラー率が高く歩留りに劣る結果となった。また、このガス分離複合膜はガス分離性選択性にも劣っていた(比較例1、2)。
これに対し、有機支持体上にポリシラザン化合物を含有してなるガス分離層を有する構成のガス分離複合膜は、サンプルエラー率、耐折性のいずれも良好で、ガス分離選択性も優れていた(実施例1〜13)。
これに対し、有機支持体上にポリシラザン化合物を含有してなるガス分離層を有する構成のガス分離複合膜は、サンプルエラー率、耐折性のいずれも良好で、ガス分離選択性も優れていた(実施例1〜13)。
1 ガス分離層
2 オルガノポリシロキサン層
3 多孔質層
4 有機支持体
5 不織布層
10、20 ガス分離複合膜
2 オルガノポリシロキサン層
3 多孔質層
4 有機支持体
5 不織布層
10、20 ガス分離複合膜
Claims (21)
- ガス透過性を有する有機支持体と、該有機支持体上に設けられた、シラザン化合物を含有してなるガス分離層とを有するガス分離複合膜。
- 前記有機支持体が、前記ガス分離層との接触面にオルガノポリシロキサン構造を有する、請求項1に記載のガス分離複合膜。
- 前記有機支持体が複層構造であり、該有機支持体中、前記ガス分離層と接する層がオルガノポリシロキサン化合物層である、請求項2に記載のガス分離複合膜。
- 前記有機支持体が、ガス透過性の多孔質層と、該多孔質層上に設けられたオルガノポリシロキサン化合物層とを有し、該オルガノポリシロキサン化合物層に接して前記ガス分離層が設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス分離複合膜。
- 前記有機支持体が、不織布層と、該不織布層上に設けられたガス透過性の多孔質層と、該多孔質上に設けられたオルガノポリシロキサン化合物層とを有し、該オルガノポリシロキサン化合物層に接して前記ガス分離層が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス分離複合膜。
- 前記シラザン化合物が、−SiH2−NH−SiH2−で表される構造を有する含窒素無機シリコンポリマーである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス分離複合膜。
- 前記ガス分離層中に、前記シラザン化合物が互いに架橋連結されて存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス分離複合膜。
- 前記ガス分離層表面に存在するN原子とO原子のモル比が、N原子/O原子=0.020〜0.300である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガス分離複合膜。
- 前記ガス分離層の層厚が2〜100nmである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガス分離複合膜。
- 前記ガス分離層表面に存在するO原子とSi原子のモル比が、O原子/Si原子=1.000〜2.000である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のガス分離複合膜。
- 前記ガス分離層表面に存在するC原子とO原子のモル比が、C原子/O原子=0.150〜0.290である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のガス分離複合膜。
- 前記ガス分離層表面に存在するO原子とSi原子のモル比Sと、当該表面から有機支持体側に向けて10nmの距離の面におけるO原子とSi原子のモル比Dが、S>Dを満たす、請求項1〜11のいずれか1項に記載のガス分離複合膜。
但し、前記モル比S及びDは、O原子/Si原子である。 - 二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させるために用いられる、請求項1〜12のいずれか1項に記載のガス分離複合膜。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載のガス分離複合膜を用いたガス分離モジュール。
- 請求項14に記載のガス分離モジュールを備えたガス分離装置。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載のガス分離複合膜を用いたガス分離方法。
- 二酸化炭素及びメタンを含むガスから二酸化炭素を選択的に透過させる、請求項16に記載のガス分離方法。
- ガス透過性を有する有機支持体上にシラザン化合物含有溶液を塗布し、該有機支持体上にシラザン化合物を含有してなるガス分離層を形成することを含むガス分離複合膜の製造方法であって、
前記の有機支持体上へのシラザン化合物含有溶液の塗布後、200℃以上の熱処理工程を経ずに、且つプラズマ処理工程を経ずに、ガス分離層を形成する、製造方法。 - 前記有機支持体が、ガス透過性の多孔質層と、該多孔質上に設けられたオルガノポリシロキサン化合物層とを有し、該オルガノポリシロキサン化合物層上に前記シラザン化合物含有溶液を塗布し、前記ガス分離層を形成する、請求項18に記載のガス分離複合膜の製造方法。
- 前記有機支持体の、少なくともガス分離層が形成される側の表面を親水化処理することにより、該表面の純水に対する接触角を0〜75°とし、該表面に前記シラザン化合物含有溶液を塗布して前記ガス分離層を形成する、請求項18又は19に記載のガス分離複合膜の製造方法。
- 前記有機支持体上にシラザン化合物含有溶液を塗布して塗布膜を形成した後、25〜120℃で該塗布膜を硬化することにより前記ガス分離層を形成する、請求項18〜20のいずれか1項に記載のガス分離複合膜の製造方法。
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WO2021146733A1 (en) * | 2020-01-17 | 2021-07-22 | The Research Foundation For The State University Of New York | Organosilica membranes, methods of making same, and uses thereof |
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WO2021146733A1 (en) * | 2020-01-17 | 2021-07-22 | The Research Foundation For The State University Of New York | Organosilica membranes, methods of making same, and uses thereof |
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