JP7440762B2 - 接合部材、接合継手、接合継手の製造方法、及び接合部材の製造方法 - Google Patents

接合部材、接合継手、接合継手の製造方法、及び接合部材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7440762B2
JP7440762B2 JP2020075271A JP2020075271A JP7440762B2 JP 7440762 B2 JP7440762 B2 JP 7440762B2 JP 2020075271 A JP2020075271 A JP 2020075271A JP 2020075271 A JP2020075271 A JP 2020075271A JP 7440762 B2 JP7440762 B2 JP 7440762B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel material
shaft portion
joining member
joining
shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020075271A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021171774A (ja
Inventor
美百合 梅原
翔 松井
千智 吉永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2020075271A priority Critical patent/JP7440762B2/ja
Publication of JP2021171774A publication Critical patent/JP2021171774A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7440762B2 publication Critical patent/JP7440762B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)

Description

本発明は、接合部材、接合継手、接合継手の製造方法、及び接合部材の製造方法に関する。
部材を接合して接合継手を製造する方法の一つとして、摩擦圧接が知られている。摩擦圧接とは、部材同士を摩擦しながら加圧することにより、部材同士を固相接合する技術である。部材同士の摩擦は、例えば、一方の部材の圧接面を回転対称形状(例えば円状又は多角形形状)とし、これを高速回転させることにより行われる。
摩擦圧接の特徴のひとつは、接合部において部材の溶融又は撹拌が生じない点にある。溶接は、部材を溶融及び再凝固させることにより接合部を形成する接合方法である。摩擦撹拌接合は、圧入部材を高速回転させて部材同士の接触部を撹拌することにより接合部を形成する接合方法である。従って、溶接又は摩擦撹拌接合によって形成された接合継手の接合部では、部材が混じり合っている。一方、摩擦圧接によって形成された接合継手では、部材が混じり合った領域は存在しないか、又は極めて小さい。摩擦圧接によって形成された接合継手の接合部の断面を観察すると、摩擦圧接面を介して部材が分かれている様子が判別できる。
摩擦圧接に関する技術として、例えば特許文献1には、質量%で、C:0.1~0.8%、Si:0.05~2.5%、Mn:0.2~3%、Al:0.005~0.1%、N:0.001~0.02%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、引張強さが600MPa以上の鋼材からなる部材を摩擦圧接した摩擦圧接部品であって、前記摩擦圧接部の表面における圧縮残留応力が、前記鋼材の引張強さの50~90%であることを特徴とする、耐疲労特性に優れた摩擦圧接部品が開示されている。
特許文献2には、薄肉パイプと厚肉パイプを同軸配置し、それらの端面を当接させて相対回転することにより生ずる摩擦熱にて両端面を圧接するプロペラシャフトの摩擦圧接方法において、薄肉パイプの内径を厚肉パイプの内径より小径にすることを特徴とするプロペラシャフトの摩擦圧接方法が開示されている。
なお、摩擦圧接においては、接合面(摩擦圧接面)の大きさに上限がある。そのため、大きな非接合材を摩擦圧接する際には、リベット状の接合部材を用いる。具体的には、(1)まず、接合部材を高速回転させながら、その軸部を上板に押し付けることによって、軸部を上板に貫通させ、(2)次いで、接合部材の尖端部を下板に摩擦圧接する。これにより、上板が接合部材の頭部によってかしめられ、上板及び下板が接合される。この場合、摩擦圧接されるのは接合部材及び下板であり、上板及び下板はリベット状の接合部材によって機械的に接合されることになる。しかし、記載の簡便化のために、このような機械接合と摩擦圧接とを組み合わせた接合も、以下では「摩擦圧接」と称する。
特開2006-297398号公報 特開2004-141933号公報
このような摩擦圧接を、高強度鋼材の接合に適用することを本発明者らは検討した。近年、高強度鋼材(例えば引張強さ780MPa以上の鋼板)を、機械部品(例えば自動車部品)に適用することが進められている。この過程で、高強度鋼材のスポット溶接部の接合強度の低下が問題となっている。通常、鋼材の強度が向上するほど、これのスポット溶接部の強度も向上する。しかしながら、鋼材の強度が約780MPaを越えると、鋼材強度が高いほど、スポット溶接部の強度(特に、十字引張強度CTS)は低くなる。これは、鋼材の強度を向上させるために鋼材に含まれる合金元素が、スポット溶接部を脆化させるからであると推定される。
上述の摩擦圧接によって高強度鋼材を接合する場合、鋼材は機械接合される。そのため、摩擦圧接によれば、高強度鋼材の脆化は生じない。本発明者らは、摩擦圧接が、高強度鋼材の接合手段として有望であると考えた。しかしながら、摩擦圧接を高強度鋼材の接合に適用すると、以下に説明するような問題点が知見された。
上述したように、摩擦圧接によって鋼材を接合するためには、(1)接合部材の軸部を一方の鋼材(以下、接合部材によって貫通される部材を第2の鋼材と称する)に貫通させる工程と、(2)接合部材の尖端部を他方の鋼材(以下、接合部材が摩擦圧接する部材を第1の鋼材と称する)に摩擦圧接する工程とが必要である。しかしながら、第2の鋼材が高強度鋼材である場合、接合部材の軸部の尖端部が、第2の鋼材を貫通する前に変形してしまい、第2の鋼材を貫通できなくなる。
一方、貫通を容易にするために軸部の硬さを増大させると、接合部材の尖端部を第1の鋼材に摩擦圧接することが困難になることを本発明者らは知見した。本発明者らは、種々の実験の結果、軸部の硬さを高めた接合部材によっては接合継手の接合強度(剥離方向の引張に耐える力)が十分に確保できないことを見出した。このような接合継手を詳細に調査した結果、接合強度が不足した接合継手の接合部材は、接合強度が十分に確保された接合継手と比較して、その尖端部の塑性変形量が小さく、摩擦圧接面の面積も小さいことがわかった。
摩擦圧接の際に、接合部材の尖端は潰されて、軸線から離れる方向に広がるように塑性変形する。この塑性変形によって、摩擦圧接面の面積が増大する。この摩擦圧接面の面積と、摩擦圧接面の接合強度との間に、強い相関関係があると推定される。換言すると、接合部材の尖端の塑性変形が小さい場合、摩擦圧接面の面積を確保することができず、接合強度が不足すると推定される。
以上述べたように、高強度鋼材を摩擦圧接するための接合部材には、第2の部材を貫通する機能と、第1の部材と摩擦圧接される機能の両方が求められる。これらの機能の両方を強化することは容易ではない。従来技術においては、高強度鋼材を摩擦圧接することを試みた例がほぼ存在しておらず、上述の問題を解決するための手段も、従来技術において検討されていない。
以上の事情に鑑みて、本発明は、高強度鋼材を摩擦圧接によって接合することができる接合部材、及び摩擦圧接によって得られた高強度鋼材の接合継手、並びにこれらの製造方法を提供することを課題とする。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)本発明の一態様に係る接合部材は、第1の鋼材、及び前記第1の鋼材に重ね合わされた第2の鋼材を接合する鋼製の接合部材であって、軸部と、前記軸部の第1端に設けられ、前記軸部の軸線方向に垂直な平面視において、前記軸部の外周よりも外方に張り出した頭部とを備え、前記軸部の径が2.5~10.0mmであり、前記軸部は、前記軸部の第2端に設けられた尖端部を有し、前記尖端部は、前記軸部の軸線を含む平面において、前記軸線に対して45~75°の角度をなす斜面から構成され、前記軸部の、表面から1.25mmの深さにおけるビッカース硬さが180~550HVであり、前記軸部の、前記表面から0.05mmの深さにおけるビッカース硬さが600HV以上である。
(2)上記(1)に記載の接合部材では、前記軸部の軸芯における化学成分が、質量%で、C:0.10~0.50%、Si:0.02~3.00%、Mn:0.05~3.00%、Cr:0.02~1.50%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Al:0.100%以下、N:0.001~0.05%、を含有し、残部がFe及び不純物であってもよい。
(3)上記(1)又は(2)に記載の接合部材は、前記軸部及び前記尖端部の表面に浸炭処理層を有してもよい。
(4)上記(1)又は(2)に記載の接合部材は、前記軸部及び前記尖端部の表面に窒化処理層を有してもよい。
(5)上記(1)~(4)の何れか一項に記載の接合部材は、前記軸部の、前記表面から0.05mmの前記深さにおける前記ビッカース硬さが711HV以上であってもよい。
)本発明の別の態様に係る接合継手は、第1の鋼材と、第1の鋼材に重ね合わされた第2の鋼材と、軸部と、前記軸部の第1端に設けられて前記第2の鋼材をかしめる頭部とを有する接合部材とを備え、前記接合部材の前記軸部が前記第2の鋼材を貫通し、前記軸部の第2端が前記第1の鋼材に摩擦圧接されており、前記第2の鋼材が前記頭部によってかしめられており、前記軸部の、表面から1.25mmの深さにおけるビッカース硬さが150~550HVであり、前記軸部の、前記表面から0.05mmの深さにおけるビッカース硬さが350HV以上である。
)上記()に記載の接合継手では、前記第2の鋼材の引張強さが150~2100MPaであり、前記第2の鋼材の厚さが0.3~2.5mmであってもよい。
)本発明の別の態様に係る接合継手の製造方法は、第1の鋼材及び第2の鋼材を重ね合わせる工程と、上記(1)~()のいずれか一項に記載の接合部材を回転させながら前記第2の鋼材に押し付けて、前記第2の鋼材に対して前記接合部材の軸部を貫通させる工程と、前記接合部材を回転させながら前記第1の鋼材に押し付けて、前記軸部の尖端部を前記第1の鋼材に摩擦圧接する工程と、を備える。
)本発明の別の態様に係る接合部材の製造方法は、上記(1)~()のいずれか一項に記載の接合部材の製造方法であって、鋼材を成形して、接合部材を得る工程と、前記接合部材の軸部及び尖端部を熱処理して、その表面を硬化させる工程とを備える。
10)上記()に記載の接合部材の製造方法では、前記熱処理が、浸炭処理、窒化処理、浸炭窒化処理、又は軟窒化処理であってもよい。
本発明によれば、高強度鋼材を摩擦圧接によって接合することができる接合部材、及び摩擦圧接によって得られた高強度鋼材の接合継手、並びにこれらの製造方法を提供することができる。
接合部材の一例の、軸線を含む平面における断面図である。 接合継手の一例の、軸線を含む平面における断面図である。 接合継手の製造方法の一例を示す概略図である。 表面硬化処理条件(1)の概略図である。 表面硬化処理条件(2)の概略図である。 表面硬化処理条件(3)の概略図である。 表面硬化処理条件(4)の概略図である。 表面硬化処理条件(5)の概略図である。 表面硬化処理条件(6)の概略図である。
高強度鋼材を摩擦圧接するための接合部材は、一方の鋼材(以下、接合部材によって貫通される部材を第2の鋼材と称する)を貫通しやすく、且つ、他方の鋼材(以下、接合部材が摩擦圧接する部材を第1の鋼材と称する)と摩擦圧接されやすいものとされなければならない。本発明者らは、この両方の条件を満たす接合部材について鋭意検討した。その結果、軸部の尖端部の貫通能力は軸部の表層の硬さに大きく依存し、一方、尖端部の変形能力は軸部の内部の硬さに大きく依存することを本発明者は知見した。この知見によれば、軸部の表層硬度だけを高めたとしても、第2の鋼材を貫通する能力を強化できる。また、軸部の表層の硬さを高めた場合であっても、軸部の内部を軟質にしておけば摩擦圧接面の面積を確保して接合強度を高めることができる。
以上の知見により得られた本発明の一態様に係る接合部材1は、図1に示されるように、第1の鋼材21、及び第1の鋼材21に重ね合わされた第2の鋼材22を接合する鋼製の接合部材1であって、軸部11と、軸部11の第1端に設けられ、軸部11の軸線A方向に垂直な平面視において、軸部11の外周よりも外方に張り出した頭部12とを備え、軸部11の径が2.5~10.0mmであり、軸部11は、軸部11の第2端に設けられた尖端部111を有し、尖端部111は、軸部11の軸線Aを含む平面において、軸線Aに対して45~75°の角度をなす斜面1111から構成され、軸部11の、表面から1.25mmの深さにおけるビッカース硬さが180~550HVであり、軸部11の、表面から0.05mmの深さにおけるビッカース硬さが600HV以上である。以下、本実施形態に係る接合部材1について詳細に説明する。
接合部材1は、軸部11と、軸部11の一方の端部(以下、便宜上、第1端と称する)に設けられた頭部12とを有する。また、軸部11は、その他方の端部(以下、便宜上、第2端と称する)に尖端部111を有する。
(頭部12)
頭部12は、接合部材1の尖端部111が第1の鋼材21に接合された後で、第2の鋼材22を挟持する役割を有する。そのため、頭部12の径は、第2の鋼材22に軸部11が貫通して形成される穴の径よりも大きくされる。第2の鋼材22に形成される穴の径と、軸部11の径とは実質的に同一であるので、頭部12は、軸部11の外周よりも外方に張り出した形状とされる。
頭部12の具体的な大きさは特に規定されず、第2の鋼材22を第1の鋼材21に機械的に接合しうる程度とすればよい。例えば、頭部12の径を軸部11の径の1.1倍以上、1.2倍以上、又は1.5倍以上と規定してもよい。ここで、頭部12の径及び軸部11の径とは、これらのC断面(軸部11の軸線Aに垂直な断面)における形状が円であれば、その断面の直径を意味し、これらのC断面における形状が円以外の形状(例えば多角形)であれば、その断面の最も長い幅を意味する。多くの場合、断面の最も長い幅は、断面の最小包含円の直径である。
(軸部11)
軸部11は、その先端が、軸部11の第2端に近づくに従って細くなる、いわゆる先細り形状とされている。以下、軸部11の先端を尖端部111と称する。尖端部111は、接合部材1による第2の鋼材22の貫通を促進する役割を担う。
軸部11の径は、2.5~10.0mmとされる。軸部11の径とは、軸部11(尖端部111とされている箇所を除く)のC断面における軸部形状が円以外の形状(例えば多角形)であれば、その断面の最も長い幅を意味し、このC断面における軸部形状が円であれば、その直径を意味する。軸部11の径が2.5mm未満である場合、接合継手2の接合強度を確保することが困難となる。一方、軸部11の径が10.0mm超である場合、軸部11が第2の鋼材22を貫通することが困難となる。
なお、図1において、軸部11の径は、その長手方向に沿って一定とされている。一方、軸部11がテーパー形状とされ、その径が先端に向けて徐々に狭められていてもよい。この場合、軸部11の長手方向全体(尖端部111とされている箇所を除く)にわたって、その径が2.5~10.0mmとされていればよい。
軸部11の長さ(軸部11及び頭部12の境界と、軸部11及び尖端部111の境界との間の、軸線Aに沿った距離)は、接合部材1が第2の鋼材22を板厚方向に貫通して第1の鋼材21に至ることができる範囲内で、適宜選択することができる。即ち、軸部11の長さは、第2の鋼材22の厚さに応じて選択すればよい。従って、本実施形態に係る接合部材1において、軸部11の長さは特に限定されない。後述する第2の鋼材22の好ましい厚さに鑑みて、軸部11の長さを3.0mm以上9.0mm以下としてもよい。
尖端部111は、軸部11の軸線Aを含む平面において、軸線Aに対して45~75°の角度をなす斜面から構成される。換言すると、軸部11の軸線Aを含む平面において接合部材1を切断した場合に、図1に示される符号θが付された箇所の角度を、45~75°とされていなければならない。θが75°超である場合、軸部11が第2の鋼材22を貫通することが困難となる。一方、θが45°未満である場合、穿孔工程の早期段階において尖端部111が変形及び鈍磨し、θが75°超である場合と同様に、軸部11が第2の鋼材22を貫通することが困難となる。θを48°以上、50°以上、又は52°以上としてもよい。θを70°以下、60°以下、58°以下、55°以下、又は53°以下としてもよい。
さらに、軸部11においては、その表面から1.25mmの深さの位置(内部)のビッカース硬さが180~550HVとされ、表面から0.05mmの深さの位置(表層)のビッカース硬さが600HV以上とされる。
軸部11の表層の硬さを600HV以上とすることにより、接合部材1の貫通能力を高めることができ、例えば引張強さが150MPa以上の鋼材を貫通させられるようになる。軸部11の表層の硬さを620HV以上、650HV以上、又は700HV以上としてもよい。
なお、軸部11の表層の硬さの上限を設ける必要はない。後述する軸部11の内部の硬さが適切である限り、軸部11の表層の硬さは大きいほど好ましい。一方、製造設備の能力を考慮して、軸部11の表層の硬さを1000HV以下、900HV以下、又は800HV以下としてもよい。
さらに、軸部11の内部の硬さを550HV以下とすることにより、尖端部111の変形能力を高め、摩擦圧接面の拡大及び接合強度の向上を達成することができる。軸部11の内部の硬さを500HV以下、450HV以下、又は400HV以下としてもよい。
ただし、軸部11の内部の硬さが低すぎる場合、接合部材1の貫通能力、及び接合強度が不足するおそれがある。そのため、軸部11の内部の硬さを180HV以上とする。軸部11の内部の硬さを200HV以上、250HV以上、又は300HV以上としてもよい。
なお、尖端部111の硬さは特に規定しない。通常、上述のように軸部11の表層の硬さを上昇させた場合、尖端部111の表層の硬さは軸部11よりも若干(例えば0%超15%以下)高くなる傾向にあるからである。このような現象は、例えば森田敏之、松村康志「真空浸炭におけるエッジ部過剰浸炭に対する合金成分の影響」(電気製鋼、第81巻2号、2010年、p109~p116)等において報告されている。尖端部111の表層では、軸部11の表層よりも、浸炭後の炭素濃度が高くなる。そのため、軸部11よりも尖端部111の方が高い硬度を有することが通常である。一方、尖端部111の内部における、浸炭などの表面処理の影響が小さい箇所においては、その硬さが軸部11の内部と同様になる。従って、軸部11の硬さを上述の通り規定すれば、接合部材1の貫通性能は確保されると考えられる。このことは、発明者らの実験結果によって裏付けられている。
軸部11の表層の硬さは、樹脂包埋された接合部材1を、軸部11の軸線Aを実質的に含む面において切断し、切断面を研磨し、表面から0.05mmの深さにおいて荷重を0.3kgfとしてビッカース硬さ試験を5回実施し、この測定値を平均することによって得られる。軸部11の内部の硬さは、表面から1.25mmの深さにおいて、上述の測定をすることによって得られる。
接合部材1の化学成分は、軸部11の硬さが上述の範囲内となるように適宜選択することができる。以下に、化学成分の好適な一例について述べる。ただし、下記の化学成分は一例にすぎず、上述の要件が満たされる限り、接合部材1の各部位の化学成分は限定されない。
軸部11の軸芯における化学成分は、質量%で、例えばC:0.10~0.50%、Si:0.02~3.00%、Mn:0.05~3.00%、Cr:0.02~1.50%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Al:0.100%以下、及びN:0.001~0.05%を含有し、残部がFe及び不純物である。以下、接合部材の軸部11の軸芯における化学成分を、単に、接合部材1の化学成分と記載する場合がある。
(C:好ましくは0.10~0.50%)
Cは、鋼の強度を確保する上で必須の元素である。接合部材1のC含有量を0.10%以上とすることにより、接合部材1の強度を一層高め、貫通能力及び接合強度を確保することができる。一方、接合部材1のC含有量を0.50%以下とすることにより、尖端部111の変形能力を確保し、摩擦圧接面の面積を一層大きくすることができる。
(Si:好ましくは0.02~3.00%)
Siは、鋼の焼入れ性を高め、且つ焼戻し軟化抵抗を増加させる元素である。接合部材1のSi含有量を0.02%以上とすることにより、接合部材1の強度を一層高め、貫通能力及び接合強度を確保することができる。一方、接合部材1のSi含有量を3.00%以下とすることにより、尖端部111の変形能力を確保し、摩擦圧接面の面積を一層大きくすることができる。
(Mn:好ましくは0.05~3.00%)
Mnは、鋼の焼入れ性を高める元素である。接合部材1のMn含有量を0.05%以上とすることにより、接合部材1の強度を一層高め、貫通能力及び接合強度を確保することができる。一方、接合部材1のMn含有量を3.00%以下とすることにより、尖端部111の変形能力を確保し、摩擦圧接面の面積を一層大きくすることができる。
(Cr:好ましくは0.02~1.50%)
Crは、鋼の焼入れ性を高める元素である。接合部材1のCr含有量を0.02%以上とすることにより、接合部材1の強度を一層高め、貫通能力及び接合強度を確保することができる。一方、接合部材1のCr含有量を1.50%以下とすることにより、尖端部111の変形能力を確保し、摩擦圧接面の面積を一層大きくすることができる。
(P:好ましくは0.030%以下)
Pは、粒界に偏析して粒界強度を下げる元素である。接合部材1のP含有量を0.030%以下とすることにより、接合部材1の粒界割れを防止し、接合強度を一層高めることができる。P含有量は0%であってもよい。ただし、製造設備の能力、及び製造コストを考慮して、P含有量の下限を0.001%以上、0.002%以上、又は0.005%以上としてもよい。
(S:好ましくは0.030%以下)
Sは、鋼の熱間延性を下げる元素である。従って、接合部材1のS含有量を0.030%以下とすることにより、接合部材1の製造を一層容易にすることができる。S含有量は0%であってもよい。ただし、製造設備の能力、及び製造コストを考慮して、S含有量の下限を0.001%以上、0.002%以上、又は0.005%以上としてもよい。
(Al:好ましくは0.100%以下)
Alは脱酸作用を有し、接合部材1の靭性を高めることができる。一方、Al含有量が0.100%を超えると上述の効果が飽和する。従って、接合部材1のAl含有量を0.100%以下とすることが好ましい。Al含有量は0%であってもよい。ただし、製造設備の能力、及び製造コストを考慮して、Al含有量の下限を0.001%以上、0.002%以上、又は0.005%以上としてもよい。
(N:好ましくは0.001~0.05%)
Nは、窒化物を形成し、析出強化によって鋼の強度を高める元素である。接合部材1のN含有量を0.02%以上とすることにより、接合部材1の強度を一層高め、貫通能力及び接合強度を確保することができる。一方、接合部材1のN含有量を0.05%以下とすることにより、尖端部111の変形能力を確保し、摩擦圧接面の面積を一層大きくすることができる。
接合部材1の化学成分の残部は、例えば鉄及び不純物とすることができる。不純物とは、例えば鋼材を工業的に製造する際に、鉱石若しくはスクラップ等のような原料、又は製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本実施形態に係る接合部材1に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
なお、上述した化学成分は、軸部11の軸芯における測定値である。測定は、軸部11の軸芯より採取した切粉を用いた高周波燃焼法によって実施する。具体的には、軸部11の軸芯を中心とした直径100μmの領域から、切粉を採取し、CおよびSの含有量は高周波誘導加熱燃焼法により求め、N含有量は不活性ガス融解-熱伝導度法によって求め、その他の元素の含有量は誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-OES)によって求める。
軸部11の表層の硬さは、内部より大きくされる必要がある。硬さを制御するための手段は特に限定されず、例えば種々の熱処理によって軸部11の表層の硬さを高めればよい。例えば、軸部の表面に浸炭処理層又は窒化処理層を設け、これにより軸部及び尖端部の表面から0.05mmの深さにおけるビッカース硬さを600HV以上としてもよい。また、高周波焼入れ層を軸部の表面に設けてもよい。なお、浸炭処理層、窒化処理層、及び高周波焼入れ層などの表面処理層を軸部11の表面に設けた場合、尖端部111及び頭部12等にもこれらの表面処理層が形成されることが通常である。
次に、本発明の別の態様に係る接合継手2について説明する。本発明の別の態様に係る接合継手2は、図2に示されるように、第1の鋼材21と、第1の鋼材21に重ね合わされた第2の鋼材22と、軸部11と、軸部11の第1端に設けられて第2の鋼材22をかしめる頭部12とを有する接合部材1とを備え、接合部材1の軸部11が第2の鋼材22を貫通し、軸部11の第2端が第1の鋼材21に摩擦圧接されており、第2の鋼材22が頭部12によってかしめられており、軸部11の、表面から1.25mmの深さにおけるビッカース硬さが150~550HVであり、軸部11の、表面から0.05mmの深さにおけるビッカース硬さが350HV以上である。
接合継手2の第1の鋼材21は、接合部材1が摩擦圧接される鋼材である。第1の鋼材21においては、接合部材1が圧接される面が、接合部材1の軸部11よりも大きいことが望ましい。第1の鋼材21において、接合部材1が圧接される面が接合部材1の軸部11よりも小さい場合、第1の鋼材21が接合部材1の軸部11の内部に食い込むこととなり、正常な摩擦圧接が困難となるからである。
しかしながら、上述の事項を換言すると、第1の鋼材21に接合部材1の軸部11の第2端が摩擦圧接されている接合継手2においては、第1の鋼材21が上述の要件を満たすことが通常である。従って、本実施形態に係る接合継手2において、第1の鋼材21に特段の限定は設けられない。強度、及び化学成分等は特に限定されない。溶接とは異なり、摩擦圧接は異種金属を接合可能であるからである。例えば、第1の鋼材21の引張強さを150~2100MPaとしてもよい。
第2の鋼材22は、接合部材1が貫通した鋼材であり、接合部材1の第1端に配された頭部12によってかしめられて、第1の鋼材21と機械的に接合されている。本実施形態に係る接合継手2において、第2の鋼材22に特段の限定は設けられない。強度、及び化学成分等は特に限定されない。溶接とは異なり、本実施形態に係る接合継手2の第2の鋼材22は、第1の鋼材21と機械接合されているからである。また、本実施形態に係る接合継手2においては、接合部材1が高い貫通能力を有するので、第2の鋼材22が高強度鋼材であっても、接合部材1を貫通させることができる。
第2の鋼材22の好ましい態様は以下の通りである。第2の鋼材22の引張強さは、例えば150~2100MPaとしてもよい。第2の鋼材22の引張強さを150MPa以上とすることで、接合継手2の強度を一層高めることができる。また、第2の鋼材22の引張強さを2100MPa以下とすることで、接合不良の発生を一層抑制することができる。第2の鋼材22の引張強さを250MPa以上、550MPa以上、又は950MPa以上としてもよい。第2の鋼材22の引張強さを1900MPa以下、1700MPa以下、又は1500MPa以下としてもよい。
また、第2の鋼材22の厚さは、例えば0.3mm~2.5mmとしてもよい。第2の鋼材22の厚さを0.3mm以上とすることで、接合継手2の強度を一層高めることができる。また、第2の鋼材22の厚さを2.5mm以下とすることで、接合不良の発生を一層抑制することができる。第2の鋼材22の厚さを0.5mm以上、0.7mm以上、又は0.9mm以上としてもよい。第2の鋼材22の厚さを2.2mm以下、2.0mm以下、又は1.8mm以下としてもよい。
接合部材1は、軸部11と、軸部11の第1端に設けられ、軸部11の軸線A方向に垂直な平面視において、軸部11の外周よりも外方に張り出した頭部12とを有する。さらに、接合部材1の軸部11は第2の鋼材22を貫通し、接合部材1の軸部11の第2端は第1の鋼材21に摩擦圧接されている。これらの構成により、接合部材1は、第1の鋼材21に接合された第2端と頭部12との間に第2の鋼材22を挟持し、第1の鋼材21と第2の鋼材22とを機械接合する。
ただし、本実施形態に係る接合継手2において、接合部材1の尖端部111の痕跡は確認できないことが通常である。図2に示されるように、接合部材1の尖端部111は、摩擦圧接の際に大きく塑性変形するからである。そのため、本実施形態に係る接合継手2において、尖端部111は特に規定されない。
また、接合部材1においては、軸部11の、表面から1.25mmの深さの位置(内部)におけるビッカース硬さが150~550HVとされ、表面から0.05mmの深さの位置(表層)におけるビッカース硬さが350HV以上とされる。接合部材1の表層の硬さが適切に制御されているので、本実施形態に係る接合継手2においては、第2の鋼材22に軸部11を容易に貫通させることができる。また、接合部材1の内部の硬さが適切に制御されているので、本実施形態に係る接合継手2においては、軸部11を大きく塑性変形させて、摩擦圧接面の面積を確保し、接合部材1と第1の鋼材21との接合強度を高めることができる。なお、本発明者らの実験結果によれば、摩擦圧接後の接合部材1の硬さは、特に表層部において、摩擦圧接前よりも低くなる傾向にある。軸部11の、表面から1.25mmの深さの位置におけるビッカース硬さが160HV以上、180HV以上、又は200HV以上でもよい。軸部11の、表面から1.25mmの深さの位置におけるビッカース硬さが520HV以下、500HV以下、又は450HV以下でもよい。軸部11の、表面から0.05mmの深さの位置におけるビッカース硬さが380HV以上、400HV以上、又は420HV以上でもよい。
接合継手2において、接合部材1の軸部11の表層の硬さは、樹脂包埋された接合継手2を、軸部11の軸線Aを実質的に含む面において切断し、切断面を研磨し、接合部材1の軸部11の表面から0.05mmの深さにおいて荷重を0.3kgfとしてビッカース硬さ試験を5回実施し、この測定値を平均することによって得られる。軸部11の内部の硬さは、表面から1.25mmの深さにおいて、上述の測定をすることによって得られる。
なお、上述の測定は原則的に、軸部11のうち実質的に塑性変形していない箇所において行われる。軸部11の第2端の変形が著しく、軸部11のあらゆる箇所が激しく塑性変形している場合は、頭部12において上述の測定を行ってもよい。通常、摩擦圧接前の接合部材1においては、表層硬さ及び内部硬さが全体的に均一である。従って、摩擦圧接後において、頭部12の表層硬さ及び内部硬さが上述の範囲内である場合、軸部11の表層硬さ及び内部硬さも上述の範囲内であるとみなすことができる。
接合継手2における接合部材1のその他の要件は、特に限定されない。接合部材1の好ましい化学成分、及び好ましい表面構造は、上述された摩擦圧接前の接合部材1のそれらに準じる。
次に、本発明の別の態様に係る接合継手2の製造方法について説明する。本発明の別の態様に係る接合継手2の製造方法は、図3に示されるように、第1の鋼材21及び第2の鋼材22を重ね合わせる工程S1と、本実施形態に係る接合部材1を回転させながら第2の鋼材22に押し付けて、第2の鋼材22に対して接合部材1の軸部11を貫通させる工程S2と、接合部材1を回転させながら第1の鋼材21に押し付けて、軸部11の尖端部111を第1の鋼材21に摩擦圧接する工程S3と、を有する。
接合継手2の製造方法では、接合部材1の軸部11の、表面から0.05mmの深さの位置(表層)のビッカース硬さが600HV以上とされる。そのため、たとえ第2の鋼材22が高強度鋼材であっても、第2の鋼材22に対して接合部材1の軸部11を容易に貫通させることができる。また、接合継手2の製造方法では、接合部材1の軸部11の、表面から1.25mmの深さの位置(内部)のビッカース硬さが180~550HVとされる。そのため、第1の鋼材21に対して接合部材1の尖端部111を容易に摩擦圧接させることができる。
接合部材1が上述のものとされる限り、接合継手2の製造方法では、その他の条件は特に規定されない。第1の鋼材21及び第2の鋼材22の好ましい態様は、上述された本実施形態に係る接合継手2において説明された態様に準じる。摩擦圧接の際の、接合部材1の回転数、加圧力、及び加圧時間等は、接合部材1、第1の鋼材21、及び第2の鋼材22の諸態様に応じて、適宜選択することができる。例えば、接合部材1の回転数を1000~8000rpmとし、接合部材の加圧力を3~9kNとしてもよいが、これに限定されない。
次に、本発明の別の態様に係る接合部材1の製造方法について説明する。本発明の別の態様に係る接合部材1の製造方法は、鋼材を成形して接合部材1を得る工程と、接合部材1の軸部11を熱処理して、その表面を硬化させる工程とを備える。
鋼材を成形するための手段は特に限定されず、例えば切削、熱間加工、及び冷間加工等である。鋼材を成形して得られる接合部材1は、上述された形状を有する。
次に、少なくとも接合部材1の軸部11が熱処理され、その表面が硬化される。当然のことながら、頭部12を含む接合部材1全体が熱処理され、接合部材1の表面全体にわたって硬化を生じさせてもよい。熱処理の種類は特に限定されないが、例えば浸炭処理、窒化処理、浸炭窒化処理、又は軟窒化処理である。高周波焼入れによって、軸部11の表層を硬化させてもよい。複数の熱処理を組み合わせてもよい。ただし、接合部材1の内部まで硬化させるような熱処理(例えば炉加熱による焼入れ焼戻し)は好ましくない。
具体的な熱処理条件は特に限定されない。最終的に得られる接合部材1の軸部11の表層硬さ及び内部硬さが上述の範囲内とされる限り、接合部材1の化学成分及び形状に応じた種々の条件を採用することができる。
実施例により本発明の一態様の効果を更に具体的に説明する。ただし、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例に過ぎない。本発明は、この一条件例に限定されない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限り、種々の条件を採用し得る。
表1に記載の化学成分を有する種々の鋼材を成形して、接合部材を作製した。接合部材の形状は以下の通りとした。
・軸部の断面形状:円形
・軸部の径:直径4.5mm
・頭部の径:直径9.0mm
・尖端部を構成する斜面が、軸線となす角度θ:70°
次に、接合部材に種々の熱処理を実施した。熱処理条件を図4-1~図4-6に示す。なお、これらの図における「Cp」とは、カーボンポテンシャルのことであり、「C」の値は、真空浸炭のために用いられたアセチレンガスの流量であり、「NH」「N」「CO」の値は、種々の窒化処理のために用いられたガス成分の流量である。なお、接合部材は1条件につき複数個作成し、その一部を硬さ測定に供し、その一部を摩擦圧接に供した。また、これら熱処理条件のいずれも、本実施例の接合部材の軸芯における化学成分に影響するものではない。表1に記載の化学成分は鋼材の化学成分であるが、これは軸部の軸芯における化学成分に等しいと推定される。
製造された接合部材を樹脂包埋し、これらの接合部材を軸部の軸線を実質的に含む面において切断し、切断面を研磨し、表面から1.25mmの深さにおいて荷重を0.3kgfとしてビッカース硬さ試験を5回実施し、この測定値を平均することによって、軸部及び尖端部の内部の硬さを得た。また、この切断面の、軸部表面から0.05mmの深さにおいて、荷重を0.3kgfとしてビッカース硬さ試験を5回実施し、この測定値を平均することによって、軸部及び尖端部の表層の硬さを得た。表2に、各接合部材の軸部の硬さを示す。
そして、第1の鋼材及び第2の鋼材を重ね合わせた後で、上述の種々の接合部材を回転させながら第2の鋼材に押し付けて、第2の鋼材に対して接合部材の軸部を貫通させた。さらに、接合部材を回転させながら第1の鋼材に押し付けて、軸部の尖端部を第1の鋼材に摩擦圧接した。全ての実施例において、第1の鋼材の厚さは1.6mmとし、第1の鋼材の引張強さは980MPaとした。第2の鋼材の厚さは1.0~1.4mmの範囲内とし、第2の鋼材の引張強さは590MPa又は980MPaとした。摩擦圧接の際に、接合部材の回転数は8000rpmとし、接合部材の加圧力は9kNとした。各実施例における、接合部材の成分、接合部材の熱処理条件、並びに第2の鋼材の引張強さ及び厚さを、表2に示す。
このようにして得られた種々の接合部材の接合強度を、JIS Z 3144:2013に規定されたたがね試験を準用して評価した。具体的には、摩擦圧接部の近くの適切な位置の、第1の鋼材及び第2の鋼材の界面部にたがねを当てて、圧入した。試験後に破断が生じなかった接合部材を、接合強度に優れたものと判断した。判断結果を表2に示す。
Figure 0007440762000001
Figure 0007440762000002
製造No.17の比較例では、接合部材の内部硬さが過剰であった。そのため、製造No.17の比較例では、接合部材の尖端部が十分に変形せず、摩擦圧接面の面積が不足し、たがね試験の結果が不合格となった。
製造No.18及びNo.19の比較例は、高炭素鋼材を通常の焼入れに供して、その表層から内部まで一様に硬化させた例である。製造No.18及びNo.19の比較例では、接合部材の内部硬さが過剰であった。そのため、製造No.18及びNo.19の比較例では、接合部材の尖端部が十分に変形せず、摩擦圧接面の面積が不足し、たがね試験の結果が不合格となった。
製造No.20の比較例では、接合部材の表層硬さが不足していた。そのため、製造No.20の比較例では、接合部材が第2の鋼材を貫通することができず、接合部材を製造することができなかった。そのため、試験結果には「×」と記載した。
一方、接合部材の表層硬さ及び内部硬さが適切であった製造No.1~15の発明例は、たがね試験の結果が合格となった。即ち、製造No.1~15の発明例は、高強度鋼材を摩擦圧接によって接合することができる接合部材であった。
本発明によれば、高強度鋼材を摩擦圧接によって接合することができる接合部材、及び摩擦圧接によって得られた高強度鋼材の接合継手、並びにこれらの製造方法を提供することができる。本発明を、例えば引張強さ780MPa以上の高強度鋼板の接合に適用した場合、接合部の脆化を防止し、従来のスポット溶接継手よりも高い接合強度を有する接合継手を製造することができる。従って、本発明は高い産業上の利用可能性を有する。
1 接合部材
11 軸部
111 尖端部
1111 斜面
12 頭部
2 接合継手
21 第1の鋼材
22 第2の鋼材
A 軸線

Claims (10)

  1. 第1の鋼材、及び前記第1の鋼材に重ね合わされた第2の鋼材を接合する鋼製の接合部材であって、
    軸部と、
    前記軸部の第1端に設けられ、前記軸部の軸線方向に垂直な平面視において、前記軸部の外周よりも外方に張り出した頭部と
    を備え、
    前記軸部の径が2.5~10.0mmであり、
    前記軸部は、前記軸部の第2端に設けられた尖端部を有し、
    前記尖端部は、前記軸部の軸線を含む平面において、前記軸線に対して45~75°の角度をなす斜面から構成され、
    前記軸部の、表面から1.25mmの深さにおけるビッカース硬さが180~550HVであり、
    前記軸部の、前記表面から0.05mmの深さにおけるビッカース硬さが600HV以上である
    接合部材。
  2. 前記軸部の軸芯における化学成分が、質量%で、
    C:0.10~0.50%、
    Si:0.02~3.00%、
    Mn:0.05~3.00%、
    Cr:0.02~1.50%、
    P:0.030%以下、
    S:0.030%以下、
    Al:0.100%以下、
    N:0.001~0.05%、
    を含有し、残部がFe及び不純物であることを特徴とする請求項1に記載の接合部材。
  3. 前記軸部及び前記尖端部の表面に浸炭処理層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の接合部材。
  4. 前記軸部及び前記尖端部の表面に窒化処理層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の接合部材。
  5. 前記軸部の、前記表面から0.05mmの前記深さにおける前記ビッカース硬さが711HV以上であることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の接合部材。
  6. 第1の鋼材と、
    第1の鋼材に重ね合わされた第2の鋼材と、
    軸部と、前記軸部の第1端に設けられて前記第2の鋼材をかしめる頭部とを有する接合部材と
    を備え、
    前記接合部材の前記軸部が前記第2の鋼材を貫通し、
    前記軸部の第2端が前記第1の鋼材に摩擦圧接されており、
    前記第2の鋼材が前記頭部によってかしめられており、
    前記軸部の、表面から1.25mmの深さにおけるビッカース硬さが150~550HVであり、
    前記軸部の、前記表面から0.05mmの深さにおけるビッカース硬さが350HV以上である
    接合継手。
  7. 前記第2の鋼材の引張強さが150~2100MPaであり、
    前記第2の鋼材の厚さが0.3~2.5mmである
    ことを特徴とする請求項に記載の接合継手。
  8. 第1の鋼材及び第2の鋼材を重ね合わせる工程と、
    請求項1~のいずれか一項に記載の接合部材を回転させながら前記第2の鋼材に押し付けて、前記第2の鋼材に対して前記接合部材の軸部を貫通させる工程と、
    前記接合部材を回転させながら前記第1の鋼材に押し付けて、前記軸部の尖端部を前記第1の鋼材に摩擦圧接する工程と、
    を備える接合継手の製造方法。
  9. 鋼材を成形して、接合部材を得る工程と、
    前記接合部材の軸部及び尖端部を熱処理して、その表面を硬化させる工程と
    を備える請求項1~のいずれか一項に記載の接合部材の製造方法。
  10. 前記熱処理が、浸炭処理、窒化処理、浸炭窒化処理、又は軟窒化処理であることを特徴とする請求項に記載の接合部材の製造方法。
JP2020075271A 2020-04-21 2020-04-21 接合部材、接合継手、接合継手の製造方法、及び接合部材の製造方法 Active JP7440762B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020075271A JP7440762B2 (ja) 2020-04-21 2020-04-21 接合部材、接合継手、接合継手の製造方法、及び接合部材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020075271A JP7440762B2 (ja) 2020-04-21 2020-04-21 接合部材、接合継手、接合継手の製造方法、及び接合部材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021171774A JP2021171774A (ja) 2021-11-01
JP7440762B2 true JP7440762B2 (ja) 2024-02-29

Family

ID=78281051

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020075271A Active JP7440762B2 (ja) 2020-04-21 2020-04-21 接合部材、接合継手、接合継手の製造方法、及び接合部材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7440762B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001247937A (ja) 1999-05-21 2001-09-14 Koji Onoe 高強度ねじ及び高強度ねじ用鋼
JP6240320B2 (ja) 2013-06-11 2017-12-06 アセルサン・エレクトロニク・サナイ・ヴェ・ティジャレット・アノニム・シルケティAselsan Elektronik Sanayi ve Ticaret Anonim Sirketi 4つのledのパターンによるポーズの決定
WO2019105711A1 (de) 2017-12-01 2019-06-06 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Verbindungselement zum unlösbaren verbinden von mindestens zwei bauteilen und verbundanordnung
WO2020067331A1 (ja) 2018-09-26 2020-04-02 日本製鉄株式会社 接合構造、接合方法及び自動車用部材

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001247937A (ja) 1999-05-21 2001-09-14 Koji Onoe 高強度ねじ及び高強度ねじ用鋼
JP6240320B2 (ja) 2013-06-11 2017-12-06 アセルサン・エレクトロニク・サナイ・ヴェ・ティジャレット・アノニム・シルケティAselsan Elektronik Sanayi ve Ticaret Anonim Sirketi 4つのledのパターンによるポーズの決定
WO2019105711A1 (de) 2017-12-01 2019-06-06 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Verbindungselement zum unlösbaren verbinden von mindestens zwei bauteilen und verbundanordnung
WO2020067331A1 (ja) 2018-09-26 2020-04-02 日本製鉄株式会社 接合構造、接合方法及び自動車用部材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021171774A (ja) 2021-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102077408B1 (ko) 마찰 접합 방법
US7591410B2 (en) Methods for extending the life of alloy steel welded joints by elimination and reduction of the HAZ
CN110430962B (zh) 摩擦压接方法
US20070175967A1 (en) High integrity welding and repair of metal components
WO2004105994A1 (ja) 金属機械部品の液相拡散接合方法および金属機械部品
JP5033423B2 (ja) 圧入接合における熱処理方法
JP7440762B2 (ja) 接合部材、接合継手、接合継手の製造方法、及び接合部材の製造方法
JP4854981B2 (ja) 耐疲労特性に優れた摩擦圧接接合部品およびその疲労特性向上方法
JP2009241084A (ja) 接合強度特性に優れた高強度鋼板の接合方法
JPH11104865A (ja) 溶接構造及び溶接方法
JP2003266182A (ja) 異種金属材料の摩擦攪拌接合方法
Johnson et al. Friction stir welding of 321stainless steel plates by tungsten lanthanum tool and its joint analyses
JP7485946B2 (ja) 接合継手、自動車部品、及び接合継手の製造方法
Purwanto Interface Structure in Friction Welded Joints between Stainless Steel 304 and Mild Carbon Steel
WO2021033647A1 (ja) 接合継手、自動車用部材、及び接合継手の製造方法
WO2022064980A1 (ja) 摩擦圧接方法
JPH108924A (ja) 大型ディーゼルエンジン用バルブの製造方法
Kimura et al. Effects of friction time and friction pressure on tensile strength of medium-and high-carbon steel welded joints by low-heat input friction welding method
JPH057185B2 (ja)
JPH08257804A (ja) 工作機械の主軸
JP2003301237A (ja) クラッド材およびそれを用いた曲げ型
JPS58168486A (ja) 打抜きパンチの製造法
JP2005305459A (ja) 低温靭性の良好な溶接金属を有する溶接継手の加工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221205

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230921

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231106

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240129

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7440762

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151