この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
図1は、この発明の実施の形態における自動搬送装置を備える工作機械を示す斜視図である。図中では、工作機械の外観をなすカバー体が透視されることにより、工作機械の内部構造が示されている。
図1を参照して、工作機械100は、回転するワークに工具を接触させることによって、ワーク加工を行なう旋盤である。工作機械100には、停止するワークに回転する工具を接触させることによって、ワーク加工を行なうミーリング機能が備わっている。
工作機械100は、コンピュータによる数値制御によって、ワーク加工のための各種動作が自動化されたNC(Numerically Control)工作機械である。
本明細書においては、工作機械100の左右方向(幅方向)に平行で、水平方向に延びる軸を「Z軸」といい、工作機械100の前後方向(奥行き方向)に平行で、水平方向に延びる軸を「Y軸」といい、上下方向に延びる軸を「X軸」という。図1中における右方向を「+Z軸方向」といい、左方向を「-Z軸方向」という。図1中における紙面の手前方向を「+Y軸方向」といい、奥方向を「-Y軸方向」という。+Y軸方向が、機械前方に対応し、-Y軸方向が、機械後方に対応している。図1中における上方向を「+X軸方向」といい、下方向を「-X軸方向」という。
なお、工作機械100と、工作機械100に備わる自動搬送装置200との構造を説明する便宜上、上記のとおりX軸、Y軸およびZ軸を設定したが、これらは、旋盤で定義されるX軸、Y軸およびZ軸と必ずしも一致するものではない。
まず、工作機械100の構造について説明する。工作機械100は、ベッド11と、第1主軸台21と、第2主軸台26と、刃物台51と、マガジン10と、自動搬送装置200とを有する。
ベッド11は、第1主軸台21、第2主軸台26、刃物台51、マガジン10および自動搬送装置200等を支持するためのベース部材であり、工場などの床面に設置されている。ベッド11は、鋳鉄などの金属から形成されている。
第1主軸台21および第2主軸台26は、ベッド11に取り付けられている。第1主軸台21および第2主軸台26の各主軸台は、ワーク主軸(不図示)を有する。ワーク主軸の先端には、ワークを着脱可能に保持するチャックが設けられている。第1主軸台21のワーク主軸は、Z軸に平行な回転中心軸106を中心に回転駆動する。第2主軸台26のワーク主軸は、Z軸に平行な回転中心軸107を中心に回転駆動する。第1主軸台21および第2主軸台26は、回転中心軸106および回転中心軸107が一直線上に延びるように、Z軸方向において対向して配置されている。
刃物台51は、加工エリア内に設けられている。加工エリアは、ワークの加工が行なわれる空間であり、ワーク加工に伴う切屑または切削油等の異物が加工エリアの外側に漏出しないようにカバー体により略密閉されている。刃物台51は、複数の工具を保持可能なように構成されている。刃物台51は、Z軸に平行な旋回中心軸102を中心に旋回可能なタレット型刃物台である。
刃物台51は、タレット52と、刃物台ベース56と、複数の工具ホルダ61とを有する。刃物台ベース56は、横送り台(不図示)に取り付けられている。
タレット52は、刃物台ベース56から、Z軸方向において第1主軸台21に近接する方向(-Z軸方向)に突出するように設けられている。タレット52は、旋回中心軸102の軸方向が厚み方向となる円盤形状を有する。タレット52は、旋回中心軸102を中心に旋回可能である。
複数の工具ホルダ61は、タレット52に装着されている。複数の工具ホルダ61は、ボルト等を用いて、タレット52に接続されている。複数の工具ホルダ61は、旋回中心軸102の周方向に並んで設けられている。工具ホルダ61は、工具を着脱可能に保持する。工具ホルダ61は、工具をクランプしたり、アンクランプしたりするためのクランプ機構部と、工具を回転させるための回転機構部とを内蔵している。
タレット52が旋回中心軸102を中心に旋回することによって、工具ホルダ61に保持された工具が旋回中心軸102の周方向に移動する。工具ホルダ61は、第1主軸台21または第2主軸台26のワーク主軸に保持されたワークを加工する場合、ワーク加工位置Wに位置決めされる。工具ホルダ61は、後述する自動搬送装置200と工具交換する場合、刃物台側工具交換位置Kに位置決めされる。
刃物台51は、サドル57および横送り台(不図示)を介して、ベッド11により支持されている。サドル57は、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどによって、Z軸方向に移動可能である。横送り台は、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどによって、Z軸に直交し、X軸およびY軸に対して傾斜する軸方向(「Xa軸方向」という)に移動可能である。サドル57および横送り台が、それぞれ、Z軸方向およびXa軸方向に移動することによって、工具ホルダ61に保持された工具によるワークの加工位置をZ軸-Xa軸平面内で移動させることができる。
マガジン10は、加工エリア外に設けられている。マガジン10は、刃物台51から+Z軸方向に離れた位置に設けられている。刃物台51は、Z軸方向において、第1主軸台21およびマガジン10の間に配置されている。
マガジン10は、加工目的に応じて工具を順次、加工エリアに供給するため、複数の工具を格納する装置である。マガジン10には、刃物台51における工具ホルダ61に装着されるドリル、エンドミルもしくはフライス等の回転工具、または、外径切削工具、内径切削工具もしくは溝入れ工具等の固定工具が格納されている。
マガジン10は、支持プレート111と、複数の工具ポット120と、モータ(不図示)とを有する。支持プレート111は、Y軸に平行な旋回中心軸103を中心とする円盤形状を有する。複数の工具ポット120は、支持プレート111に取り付けられている。複数の工具ポット120は、旋回中心軸103を中心とする円周経路に沿って一定間隔で並んでいる。
支持プレート111は、モータ(不図示)により、旋回中心軸103を中心にしてプラスの周方向およびマイナスの周方向に旋回可能である。支持プレート111が旋回中心軸103を中心に旋回することによって、工具ポット120が旋回中心軸103の周方向に搬送される。工具ポット120は、後述する自動工具交換装置31と工具交換する場合、マガジン側工具交換位置に配置される。
自動搬送装置200は、搬送対象物としての工具を搬送するための装置である。自動搬送装置200は、支持フレーム14により支持されている。支持フレーム14は、第2主軸台26の上方でZ軸方向に延びている。
自動搬送装置200は、第1基台15と、第2基台231とを有する。第1基台15は、支持フレーム14に対して、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどにより、Z軸方向に移動可能である。第2基台231は、第1基台15に対して、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどにより、Y軸方向に移動可能である。このような構成により、自動搬送装置200は、Y軸方向およびZ軸方向の各方向に移動可能に構成されている。
自動搬送装置200は、Z軸方向に移動することによって、加工エリア内における刃物台51と、加工エリア外におけるマガジン10との間で工具を搬送する。刃物台51およびマガジン10の間には、開閉動作が可能なシャッター(不図示)が設けられている。シャッターは、X軸-Y軸平面に平行な板形状を有する。
図2から図4は、図1中の刃物台に対する工具交換工程の態様を示す上面図である。図1から図4を参照して、自動搬送装置200は、工具交換部310を有する。工具交換部310は、刃物台51において刃物台側工具交換位置Kに位置決めされた工具ホルダ61と工具交換し、マガジン10においてマガジン側工具交換位置に位置決めされた工具ポット120と工具交換する。
工具交換部310は、保持部321を有する。保持部321は、工具Tを着脱可能に保持する。保持部321は、工具を把持可能な爪形状を有する。工具交換部310は、保持部321として、一対の保持部321p,321qを有し、同時に2つの工具Tを保持可能なダブルアームタイプである。保持部321pおよび保持部321qは、後述の旋回中心軸202を中心とする周方向において、互いに180°ずれた位相位置に設けられている。
なお、工具交換部310は、同時に1つの工具Tを保持可能なシングルアームタイプであってもよい。
保持部321は、後述する旋回機構によって、旋回中心軸202を中心に旋回可能である。旋回中心軸202は、水平方向に延びている。旋回中心軸202は、保持部321に保持された工具Tの工具中心軸105と平行である。
複数の工具ホルダ61は、第1工具ホルダ61Sと、第2工具ホルダ61Tと、第3工具ホルダ61Uとを含む。
図2に示されるように、第1工具ホルダ61Sに保持される工具Tの工具中心軸105は、タレット52の旋回中心軸102の半径方向(Y軸方向)に延びている。第1工具ホルダ61Sに保持される工具Tを用いて、第1主軸台21および第2主軸台26に保持されたワークの加工が可能である。工具交換部310に保持された工具Tを第1工具ホルダ61Sに装着する場合、保持部321は、旋回中心軸102の半径方向(Y軸方向)において第1工具ホルダ61Sと対向するように位置決めされる。保持部321に保持された工具Tは、第1工具ホルダ61Sに対して旋回中心軸102の半径方向(-Y軸方向)にスライドしながら挿入される。
図3に示されるように、第2工具ホルダ61Tに保持される工具Tの工具中心軸105は、Z軸方向に延び、その工具Tは、第2工具ホルダ61Tから-Z軸方向に突出している。第2工具ホルダ61Tに保持される工具Tを用いて、主に、第1主軸台21に保持されたワークの加工が可能である。工具交換部310に保持された工具Tを第2工具ホルダ61Tに装着する場合、保持部321は、旋回中心軸102の軸方向においてZ軸のマイナス側から第2工具ホルダ61Tと対向するように位置決めされる。保持部321に保持された工具Tは、第2工具ホルダ61Tに対して旋回中心軸102の軸方向(+Z軸方向)にスライドしながら挿入される。
図4に示されるように、第3工具ホルダ61Uに保持される工具Tの工具中心軸105は、Z軸方向に延び、その工具Tは、第3工具ホルダ61Uから+Z軸方向に突出している。第3工具ホルダ61Uに保持される工具Tを用いて、主に、第2主軸台26に保持されたワークの加工が可能である。工具交換部310に保持された工具Tを第3工具ホルダ61Uに装着する場合、保持部321は、旋回中心軸102の軸方向においてZ軸のプラス側から第3工具ホルダ61Uと対向するように位置決めされる。保持部321に保持された工具Tは、第3工具ホルダ61Uに対して旋回中心軸102の軸方向(-Z軸方向)にスライドしながら挿入される。
図5は、図1中の自動搬送装置(第1姿勢)を示す斜視図である。図6は、ベース部が除かれた自動搬送装置(第1姿勢)を示す斜視図である。
図5および図6を参照して、自動搬送装置200は、ベース部210をさらに有する。ベース部210は、図1中の第1基台15を介して、支持フレーム14に接続されている。ベース部210は、第2基台231を有する。第2基台231は、Y軸-Z軸平面に平行に配置される板部材からなる。
自動搬送装置200は、回動部220と、回動機構240とをさらに有する。回動部220は、ベース部210の下方に配置されている。回動部220は、ベース部210により、回動中心軸201を中心に回転可能に支持されている。回動中心軸201は、X軸方向(上下方向)に延びている。-X軸方向に延ばした回動中心軸201の延長線は、旋回中心軸202と交差する。
ベース部210は、カップリング232をさらに有する。カップリング232は、第2基台231に対して、回動中心軸201を中心に回転可能なように設けられている。回動部220は、カップリング262と、アーム部271とを有する。カップリング262は、回動中心軸201の軸方向においてカップリング232と対向している。カップリング262は、カップリング232と連結されている。アーム部271は、カップリング262から、回動中心軸201の半径方向外側に向けてアーム状に延びている。
回動機構240は、回動部220を回動中心軸201を中心に回動させる。回動機構240は、第2基台231に取り付けられ、Y軸方向の直線運動を出力可能な第1ピストンシリンダと、第2基台231に取り付けられ、第1ピストンシリンダとZ軸方向に間隔を開けて配置され、Y軸方向の直線運動を出力可能な第2ピストンシリンダと、アーム部271から+Z軸方向に突出し、第1ピストンシリンダから出力された直線運動を受けて、回動部220を回動中心軸201を中心にしてプラスの周方向に回動させる第1軸部材と、アーム部271から+Z軸方向に突出し、第2ピストンシリンダから出力された直線運動を受けて、回動部220を回動中心軸201を中心にしてマイナスの周方向に回動させる第2軸部材とを有する。
回動部220には、工具交換部310(保持部321)が搭載されている。回動部220は、X軸方向において、ベース部210および工具交換部310の間に配置されている。工具交換部310(保持部321)は、回動中心軸201を中心とする回動部220の回動動作に伴って、回動部220と一体となって回動する。このような構成により、工具交換部310(保持部321)の姿勢は、工具交換部310(保持部321)を、第1姿勢(図2に示す姿勢)と、第1姿勢から+90°ずれた第2姿勢(図3に示す姿勢)と、第1姿勢から-90°ずれた第3姿勢(図4に示す姿勢)との間で変化する。
続いて、自動搬送装置200において、旋回中心軸202を中心に保持部321を旋回させるための機構について、詳細に説明する。
なお、工具交換部310は、Z軸方向に延びる回動中心軸201を中心に回動するため、工具交換部310と、Y軸およびZ軸との関係は、変化する。以下においては、代表的に、工具交換部310が第1姿勢とされた場合のY軸およびZ軸を用いて、保持部321の旋回機構を説明する。図5および図6に示されるように、工具交換部310が第1姿勢とされた場合、保持部321の旋回中心軸202はY軸方向に延びており、このため、Y軸方向が、本発明における「第1方向」に対応する。
図7は、図6中の自動搬送装置において、ピストンシリンダの伸張動作時の態様を示す側面図である。図8は、図6中の自動搬送装置において、ピストンシリンダの短縮動作時の態様を示す側面図である。図9は、図6中の自動搬送装置において、ピストンシリンダの伸張動作時の態様を示す別の側面図である。図10は、図6中の自動搬送装置において、ピストンシリンダの短縮動作時の態様を示す別の側面図である。図11は、図7中のXI-XI線上の矢視方向に見た自動搬送装置を示す断面図である。
図9中には、図7中の自動搬送装置200から、後述する、取り付け台381と、取り付け台381およびシャフト336に取り付けられる各種部品とが除かれた状態の自動搬送装置200が示されている。図10中には、図8中の自動搬送装置200から、後述する、取り付け台381と、取り付け台381およびシャフト336に取り付けられる各種部品とが除かれた状態の自動搬送装置200が示されている。
図5から図11を参照して、自動搬送装置200(工具交換部310)は、プレート331と、シャフト336と、ハウジング337と、第1軸受け338と、第2軸受け339とをさらに有する。
プレート331は、Y軸方向が厚み方向となり、X軸-Z軸平面に平行に配置される板形状を有する。プレート331は、旋回中心軸202の軸方向(Y軸方向)に見た場合に、Z軸方向に延びる一対の端辺と、X軸方向に延びる一対の端辺とを有する略矩形形状を有する。
プレート331は、回動部220に接続されている。プレート331は、アーム部271に接続されている。プレート331の上端部は、カップリング262から回動中心軸201の半径方向外側に向けて延びるアーム部271の先端部に接続されている。
シャフト336は、旋回中心軸202の軸上で延びている。シャフト336は、旋回中心軸202を中心とする軸形状を有する。シャフト336は、Y軸方向においてプレート331を貫通している。シャフト336は、プレート331から-Y軸方向に突出するとともに、+Y軸方向に突出している。シャフト336は、回動部220(アーム部271)から-X軸方向に離れた位置に設けられている。シャフト336は、X軸方向において、プレート331の上端部よりも下端部寄りの位置でプレート331を貫通している。
-Y軸方向におけるシャフト336の先端部には、保持部321(321p,321q)が接続されている。保持部321は、プレート331よりもY軸のマイナス側でシャフト336に接続されている。
Y軸のマイナス側におけるプレート331からのシャフト336の突出長さは、Y軸のプラス側におけるプレート331からのシャフト336の突出長さよりも大きい。Y軸方向におけるプレート331および保持部321の間の距離は、Y軸方向におけるプレート331および回動中心軸201の間の距離よりも大きい。
ハウジング337は、旋回中心軸202の軸上で延びている。ハウジング337は、旋回中心軸202を中心とする円筒形状を有する。
図11に示されるように、ハウジング337は、第1端部337mと、第2端部337nとを有する。第1端部337mは、+Y軸方向におけるハウジング337の端部に対応し、第2端部337nは、-Y軸方向におけるハウジング337の端部に対応している。第1端部337mは、プレート331に接続されている。第2端部337nは、プレート331から-Y軸方向に離れた位置に設けられている。ハウジング337の内側には、シャフト336が挿入されている。
第1軸受け338および第2軸受け339は、シャフト336を、旋回中心軸202を中心にして回転可能なように支持している。第1軸受け338および第2軸受け339は、シャフト336およびハウジング337の間に介挿されている。第1軸受け338は、転がり軸受けからなる。第2軸受け339は、滑り軸受けからなる。
第1軸受け338および第2軸受け339は、旋回中心軸202の軸方向において、互いに離れて設けられている。第1軸受け338は、第1端部337mの内側に設けられている。第1軸受け338は、旋回中心軸202の半径方向において、シャフト336およびプレート331の間に配置されている。第2軸受け339は、第2端部337nの内側に設けられている。
旋回中心軸202の軸方向におけるプレート331および保持部321の間には、空間320が形成されている。空間320には、保持部321に保持された工具(工具の刃部)が配置される。保持部321の旋回動作時、保持部321に保持された工具の刃部は、空間320において旋回中心軸202を中心とする周方向に移動する。
自動搬送装置200(工具交換部310)は、ピニオン366と、ラック361と、ピストンシリンダ356と、リニアガイド362とをさらに有する。
ピニオン366は、保持部321(321p,321q)とともに、旋回中心軸202を中心に回転可能に設けられている。ピニオン366は、プレート331よりもY軸のプラス側でシャフト336に接続されている。シャフト336は、保持部321およびピニオン366を接続している。
Y軸方向におけるプレート331およびピニオン366の間の距離は、Y軸方向におけるプレート331および保持部321の間の距離よりも小さい。
ラック361は、ピニオン366と係合している。ラック361は、第1方向(Y軸方向)と直交し、水平方向(Z軸方向)および上下方向(X軸方向)に対して傾斜する第2方向に延びている。第2方向は、X軸-Z軸平面に含まれ、X軸方向およびZ軸方向に対して非平行となる方向である。
上記の第2方向と、X軸方向およびZ軸方向とがなす角度は、45°である。第2方向と、Z軸方向とがなす角度は、35°以上45°以下の範囲であってもよいし、25°以上45°以下の範囲であってもよい。また別に、第2方向と、X軸方向とがなす角度は、35°以上45°以下の範囲であってもよいし、25°以上45°以下の範囲であってもよい。
ピストンシリンダ356は、ラック361と平行の第2方向に延びている。ピストンシリンダ356は、ラック361を第2方向にスライド動作させる。
ラック361およびピストンシリンダ356は、プレート331よりもY軸のプラス側に配置されている。ラック361およびピストンシリンダ356は、プレート331に取り付けられている。ラック361は、X軸のプラス側、かつ、Z軸のマイナス側となる斜め上側から、ピニオン366と係合している。
リニアガイド362は、プレート331に接続されている。ラック361は、リニアガイド362を介して、プレート331に取り付けられている。ラック361は、リニアガイド362によって、第2方向にスライド動作が可能なように支持されている。
ピストンシリンダ356は、油圧式である。ピストンシリンダ356は、シリンダ357と、ピストンロッド358とを有する。シリンダ357は、プレート331に接続されている。ピストンロッド358は、シリンダ357に嵌装されている。ラック361は、連結ブロック359を介して、ピストンロッド358に接続されている。ラック361は、ピストンロッド358およびシリンダ357と並列に設けられている。ピストンロッド358およびラック361は、連結ブロック359から、第2方向に沿った同じ方向に延出している。
図10に示されるように、ピストンシリンダ356のピストンロッド358を短縮動作させる。ラック361が第2方向に沿った一方向に直線運動するとともに、ピニオン366が旋回中心軸202を中心にしてプラスの周方向(図10中における時計回り方向)に180°回転する。図9に示されるように、ピストンシリンダ356のピストンロッド358を伸張動作させる。ラック361が第2方向に沿った逆方向に直線運動するとともに、ピニオン366が旋回中心軸202を中心にしてマイナスの周方向(図9中における反時計回り方向)に180°回転する。これにより、保持部321を旋回中心軸202を中心に±180°旋回動作させて、保持部321pおよび保持部321qの位置を相互に入れ替えることができる。
本実施の形態では、ラック361およびピストンシリンダ356が、水平方向および上下方向に対して斜めに配置されている。このような構成により、長尺状のラック361およびピストンシリンダ356が、水平方向および上下方向における自動搬送装置200の体格に影響を与えることを抑制し、自動搬送装置200をコンパクトに構成することができる。
また、第1軸受け338は、旋回中心軸202の半径方向においてシャフト336およびプレート331の間に配置されている。このような構成によれば、第1軸受け338がプレート331および保持部321間のハウジング337内に収容される構造と比較した場合に、ハウジング337を小径化し、旋回中心軸202の軸方向におけるプレート331および保持部321の間の空間320を大きく確保することができる。空間320には、保持部321に保持された工具の刃部が配置されるため、保持部321により保持可能な工具形状(刃部の形状)に制限が生じることを抑制できる。
また、ラック361およびピストンシリンダ356は、プレート331に取り付けられている。このような構成によれば、プレート331が、第1軸受け338を介してシャフト336を支持する役割に加えて、ラック361およびピストンシリンダ356を支持する役割をも果たすため、自動搬送装置200の構成を簡易にできる。
また、ピニオン366、ラック361およびピストンシリンダ356は、プレート331を挟んで保持部321の反対側に設けられている。このような構成によれば、旋回中心軸202の軸方向におけるプレート331および保持部321の間の空間320をさらに大きく確保することができる。
なお、本発明における搬送対象物は、工具に限られず、たとえば、ワークであってもよい。
図6から図8を参照して、自動搬送装置200(工具交換部310)は、取り付け台381と、旋回ブロック371と、第1当接部372と、第2当接部373とをさらに有する。
取り付け台381は、プレート331に接続されている。取り付け台381は、プレート331よりもY軸のプラス側に設けられている。取り付け台381は、プレート331から+Y軸方向に突出するシャフト336の上方に設けられている。取り付け台381は、ラック361およびピストンシリンダ356を跨ぐように設けられている。取り付け台381は、底面381uを有する。底面381uは、Y軸-Z軸平面と平行で、かつ、下方(-X軸方向)を向く平面からなる。底面381uは、X軸方向において、隙間を設けてシャフト336と対向している。
旋回ブロック371は、シャフト336に接続されている。旋回ブロック371は、旋回中心軸202の軸方向において、ピニオン366と並んで設けられている。旋回ブロック371は、旋回中心軸202の周方向における所定位相位置において、シャフト336から旋回中心軸202の半径方向外側に向けて延出している。旋回ブロック371は、旋回中心軸202を中心とするシャフト336の回転に伴って、旋回中心軸202を中心に±180°旋回する。
旋回ブロック371は、第1側面371sと、第2側面371tとを有する。第2側面371tは、第1側面371sの裏側に配置されている。第1当接部372および第2当接部373は、旋回ブロック371に接続されている。第1当接部372は、第1側面371sから突出している。第2当接部373は、第2側面371tから突出している。第1当接部372および第2当接部373は、ねじ部材からなり、それぞれ、第1側面371sおよび第2側面371tからの突出長さが調整可能に構成されている。
図7に示されるように、ピストンシリンダ356のピストンロッド358の伸張動作させると、第1側面371sが、底面381uと隙間を設けて対向する。このとき、第1当接部372が底面381uと当接する。図8に示されるように、ピストンシリンダ356のピストンロッド358の短縮動作させると、第2側面371tが、底面381uと隙間を設けて対向する。このとき、第2当接部373が底面381uと当接する。このような構成により、保持部321の旋回位置を正確に規定することができる。
自動搬送装置200(工具交換部310)は、第1近接スイッチ382と、第2近接スイッチ383とをさらに有する。
第1近接スイッチ382および第2近接スイッチ383は、取り付け台381に取り付けられている。第1近接スイッチ382および第2近接スイッチ383は、底面381uから突出している。第1近接スイッチ382および第2近接スイッチ383は、旋回中心軸202を含むX軸-Y軸平面を挟んでその両側にそれぞれ設けられている。
図7に示されるように、ピストンシリンダ356のピストンロッド358の伸張動作させると、第1側面371sが第1近接スイッチ382に対して近接配置される。図8に示されるように、ピストンシリンダ356のピストンロッド358の短縮動作させると、第2側面371tが第2近接スイッチ383に対して近接配置される。このような構成により、保持部321の旋回動作の完了を正確に検知することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。