JP7439930B2 - アナログ-デジタル変換器 - Google Patents

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Description

本発明は、アナログ入力電圧を異なる複数の電圧区間と並列的に比較し、得られた比較結果をデジタルデータに変換して出力するアナログ-デジタル変換技術に関する。
入力電圧を高速でアナログ-デジタル変換(以下、AD:Analog-to-Digital変換という)するAD変換器の1つとして、フラッシュ型(並列型)のAD変換器(Analog-to-Digital Converter)、いわゆるフラッシュAD変換器(フラッシュADC)があり、光学系の受信器において広く使用されている(例えば、非特許文献1など参照)。
フラッシュADCには、入力電圧を一旦時間出力に変換した後、デジタル出力に変換する、時間ベースのフラッシュADC(Time-based flash ADC,TB flash ADC)がある。
図9は、一般的な時間ベースのフラッシュADCを示すブロック図である。時間ベースのフラッシュADCは、図9に示すように、電圧ドメイン変換(V-Domain Conversion)と時間ドメイン変換(T-Domain Conversion)を行う2つの処理回路で構成されている。電圧ドメイン変換は、電圧入力(VIN)をデジタル出力と時間出力とに変換する。電圧ドメイン変換の時間出力は、時間ドメイン変換に入力されて、時間-デジタル変換器(TDC:Time-to-Digital Converter)により、デジタルコードに変換される。電圧ドメイン変換のデジタル出力は、最終的な出力コードの上位ビットとして用いられ、時間ドメイン変換のデジタル出力は、最終的な出力コードの下位ビットとして用いられる。
他の構造の時間ベースのフラッシュADCでは、電圧ドメイン変換が、デジタル出力を生成せず、時間出力だけを生成する場合がある。この場合、出力コードのすべてのビットは、時間ドメイン変換によって生成される。時間ベースのアーキテクチャは、CMOS回路で構成できるため、従来の電圧ベースのアーキテクチャに比べて、低消費電力と高速動作が可能である。したがって、時間ベースのフラッシュADCは、電圧ベースのフラッシュADCよりエネルギー効率の高い性能を見せる。しかし、時間インターリーブ逐次比較(SAR:Successive Approximation Register)型ADCなどの他のADCアーキテクチャと比較した場合、まだ消費電力が大きく、エネルギー効率が低い。これを改善するためには、時間ドメイン変換のTDCの消費電力を低減させなければならない。
従来の時間ベースのフラッシュADCでは、時間-デジタル変換器(TDC)として、消費電力が大きいフラッシュ構造のTDCが、主に使用されている。これは、従来の時間ベースのフラッシュADCにおいて、電圧入力を時間出力に変換する際、使用される電圧-時間変換器(VTC:Voltage-to-Time Converter)が非線形変換をしたり、多数の出力信号を生成したりするからである。これにより、TDCで利用可能な構造が制限される。また、変換の線形化は、変換ゲインを減少させ、これはTDCの高性能を要求し、TDCの厳しい設計条件により消費電力が増加する。
Behzad Razavi、「The Flash ADC」、A Circuit for All Seasons、IEEE SOLID-STATE CIRCUITS MAGAZINE、Summer 2017
それぞれ異なる電圧-時間変換器(VTC)を用いた、時間ベースのフラッシュADCの3つの構成例について説明する。
まず、ラッチ構造を有するVTCを用いた、第1の時間ベースのフラッシュADCの構成例について説明する。図10は、第1の時間ベースのフラッシュADC(ラッチ構造VTC)の構成例を示すブロック図である。図10に示す、第1の時間ベースのフラッシュADCは、動的コンパレータ(Dynamic CMP)を使用したVTCで、複数の時間出力とデジタル出力を生成する。このVTCは、クロック信号CKの入力から出力が出てくるまでの時間が入力電圧に応じて変化する特性を利用して、電圧を時間に変換する。このとき、この変換の非線形性により、TDCから得ることができる解像度は1~3ビットに制限されるため、利用可能なTDCの構造は、大きな消費電力を持つフラッシュ構造に制限される、という問題点がある。
続いて、線形VTCを用いた、第2の時間ベースのフラッシュADCの構成例について説明する。図11は、第2の時間ベースのフラッシュADC(線形VTC)の構成例を示すブロック図である。図11に示す、第2の時間ベースのフラッシュADCは、動的コンパレータの代わりに線形VTCを使用して、線形電圧-時間変換を行う。VTC出力と時間領域補間を使用して、必要なすべての時間出力を生成し、これを多数の1ビットTDCを利用してデジタルコードに変換する。このとき、このTDCは、フラッシュのアーキテクチャのような大型のハードウェアと多くの消費電力を必要とする、という問題点がある。
次に、単一線形VTCと単一TDCを用いた、第3の時間ベースのフラッシュADCの構成例について説明する。図12は、第3の時間ベースのフラッシュADC(単一線形VTCと単一TDC)の構成例を示すブロック図である。図12に示す、第3の時間ベースのフラッシュADCにおいて、単一線形VTは、線形変換された単一の時間出力をTDCへ出力するため、TDCは低消費電力や高速化のためのさまざまなアーキテクチャを考慮することができる。しかし、線形入力の範囲が広がるにつれて変換ゲインが減少するので、広い範囲の大きな線形の変換ゲインを持つ変換を得るのが難しい、という問題点がある。
図13は、電圧-時間変換に関する性能要件を示す説明図である。前述した第1~第3の時間ベースのフラッシュADCの特性は、図13に示した変換ゲイン(gain)、線形入力範囲(linear range)、時間出力(time out)、およびデジタル出力(digital out)からなるVTCの4つの性能要件に基づいて、容易に比較でき。広い範囲の領域で線形の変換ゲインを有し、単一の時間出力を発生させるVTCは、さまざまなTDC構造を考慮することができ、TDCの消費電力の低減を可能とする。特に、大きな変換ゲインは、TDCの性能要件を緩和させることができる。また、デジタル出力の提供は、TDCの解像度要件を減少させることができる。これにより、LSB(量子化単位:Least Significant Bit)当たりのVTCの変換ゲインを増加させ、VTCの直線性要件を緩和させることができる。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、少ない消費電力で高い電圧-時間変換性能を有するアナログ-デジタル変換技術を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかるアナログ-デジタル変換器は、アナログ入力電圧を異なる複数の電圧区間と並列的に比較し、得られた比較結果をデジタル変換出力に変換して出力するアナログ-デジタル変換器であって、前記アナログ入力電圧を、予め設定されている入力電圧範囲を折り畳んで設けた2N(Nは1以上の整数)個の電圧区間と並列的に比較することにより、Nビットの上位デジタル変換出力を出力するとともに、前記アナログ入力電圧を電圧-時間変換することにより、前記アナログ入力電圧が位置する対象電圧区間における前記アナログ入力電圧の時間変換出力を出力する折り畳み電圧-時間変換回路と、前記折り畳み電圧-時間変換回路から出力された前記時間変換出力を、予め設定されているM(Mは2以上の整数)個の基準時間に基づいて時間-デジタル変換することにより、Mビットの下位デジタル変換出力を出力する時間-デジタル変換回路とを備えている。
本発明によれば、少ない消費電力で高い電圧-時間変換性能を得ることができる。
図1は、フラッシュADCの構成を示すブロック図である。 図2は、電圧区間と上位デジタル変換出力との関係を示すグラフである。 図3は、折り畳みVTCの構成を示すブロック図である。 図4は、VTCユニット回路の構成を示すブロック図である。 図5は、VTCユニット回路の動作を示す説明図である。 図6は、TDCの構成を示すブロック図である。 図7は1ビットTDCの構成を示すブロック図である。 図8は、時間出力の振幅と基準電圧との関係を示す説明図である。 図9は、一般的な時間ベースのフラッシュADCを示すブロック図である。 図10は、第1の時間ベースのフラッシュADC(ラッチ構造VTC)の構成例を示すブロック図である。 図11は、第2の時間ベースのフラッシュADC(線形VTC)の構成例を示すブロック図である。 図12は、第3の時間ベースのフラッシュADC(単一線形VTCと単一TDC)の構成例を示すブロック図である。 図13は、電圧-時間変換に関する性能要件を示す説明図である。
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[フラッシュADC]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかるフラッシュ型のアナログ-デジタル変換器(以下、フラッシュADCという)10について説明する。図1は、フラッシュADCの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態にかかるフラッシュADC10は、主な回路部として、トラック・アンド・ホールド(T/H:Track and Hold)回路11、折り畳み(folding)電圧-時間変換器(VTC:Voltage-to-Time Converter)12、基準電圧発生器(VR Generator)13、時間-デジタル変換器(TDC:Time-to-Digital Converter)14、基準時間発生器(TR Generator)15、および出力回路16を備えている。
以下では、トラック・アンド・ホールド回路11、折り畳み電圧-時間変換器12、および時間-デジタル変換器14を、それぞれT/H回路11、折り畳みVTC12、およびTDC14という。
[T/H回路]
T/H回路11は、クロック信号CKに基づいて、変換対象であるアナログ入力電圧VINをサンプリングして保持出力する回路部である。
[折り畳みVTC]
折り畳みVTC12は、アナログ入力電圧VINを、予め設定されているアナログ入力電圧VINの入力電圧範囲を折り畳んで設けた2N(Nは1以上の整数)個の電圧区間と並列的に比較することにより、Nビットの上位デジタル変換出力DOHを出力するとともに、アナログ入力電圧VINを電圧-時間変換することにより、アナログ入力電圧VINが位置する対象電圧区間における、アナログ入力電圧VINの時間変換出力Tとを出力する回路部である。
図2は、電圧区間と上位デジタル変換出力との関係を示すグラフであり、横軸がアナログ入力電圧VINを示し、縦軸が時間変換出力Tを示している。図2では、N=2の例が示されており、アナログ入力電圧VINの入力電圧範囲VRANGEが折り畳まれて(分割されて)4つの電圧区間VS1,VS2,VS3,VS4が設けられている。これら電圧区間VS1,VS2,VS3,VS4が、2ビットのデジタルコードからなる上位デジタル変換出力DOHの「00」,「01」,「10」,「11」に対応している。
電圧区間VS1,VS2,VS3,VS4の境界電圧は、基準電圧VR2,VR4,VR6からなり、基準電圧発生器13から与えられる。したがって、折り畳みVTC12は、アナログ入力電圧VINをこれら基準電圧VR2,VR4,VR6と比較することにより、アナログ入力電圧VINが位置する電圧区間、すなわち対象電圧区間を特定でき、対象電圧区間を示すデジタル出力を上位デジタル変換出力DOHとして出力する。
また、折り畳みVTC12は、電圧区間VS1,VS2,VS3,VS4ごとに、アナログ入力電圧VINを電圧-時間変換する。この際、電圧区間VS1,VS2,VS3,VS4の中点電圧でアナログ入力電圧VINを相対化して電圧-時間変換する。電圧区間VS1,VS2,VS3,VS4の中点電圧は、基準電圧VR1,VR3,VR5,VR7からなり、基準電圧発生器13から与えられる。これにより、電圧区間VS1,VS2,VS3,VS4におけるアナログ入力電圧VINの時間出力、すなわち電圧区間VS1,VS2,VS3,VS4に関する個別時間出力が得られる。折り畳みVTC12は、これら個別時間出力のうちから、対象電圧区間の個別時間電圧のみを単一の時間変換出力Tとして選択出力する。
時間変換出力Tは、2つのパルス信号からなり、これらパルス信号のパルス時間差が、対象電圧区間において相対化されたアナログ入力電圧VINの大きさを示す時間長に相当している。
折り畳みVTC12の具体的構成や動作の詳細については後述する。
このように、折り畳みVTC12における電圧-時間変換が、アナログ入力電圧VINの入力電圧範囲を折り畳んで縮小した電圧区間ごとに定義されることになる。このため、折り畳みVTC12は、緩和された線形入力範囲の要件を持つことになり、大きな変換利得を得ることができる。したがって、前述の図13で示した4つの性能要件をすべて満たすことができる。
本実施の形態では、例としてN=2の場合、すなわちアナログ入力電圧VINの入力電圧範囲が4つの電圧区間に畳み込まれる場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、Nが1以上であればいずれの場合も、以下と同様にして本発明を適用することができる。
[基準電圧発生器]
基準電圧発生器13は、予め設定されている2N個の電圧区間を規定する、境界電圧および中点電圧を、基準電圧Vとして発生させて折り畳みVTC12に供給する回路部である。N=2の場合、4個の電圧区間VS1,VS2,VS3,VS4の境界電圧を示す3つの基準電圧VR2,VR4,VR6と、電圧区間VS1,VS2,VS3,VS4の中点電圧を示す4つの基準電圧VR1,VR3,VR5,VR7とを供給する。
[TDC]
TDC14は、基準時間発生器15からの基準時間Tに基づいて、折り畳みVTC12から出力された時間変換出力Tを、予め設定されているM(Mは1以上の整数)-1個の基準時間に基づいて、Mビットの下位デジタル変換出力DOLを出力する回路部である。
TDC14の具体的構成や動作の詳細については後述する。本実施の形態では、例としてM=5の場合、すなわち時間変換出力Tを5ビットの下位デジタル変換出力DOLに変換する場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、Mが2以上であればいずれの場合も、以下と同様にして本発明を適用することができる。
[基準時間発生器]
基準時間発生器15は、予め設定されているM-1個の基準時間Tを発生させる回路部である。なお、時間-デジタル変換の感度を上げるためTDC14で時間増幅器を用いる場合、基準時間Tの数をMより削減できる。例えば、M=5の場合、M-1=4個の基準時間Tが必要となるが、後述の例では、2つの基準時間TR1,TR2に削減されて、基準時間発生器15からTDC14へ出力されている。
[出力回路]
出力回路16は、例えばDフリップフロップ回路からなり、クロック信号CKに基づいて、折り畳みVTC12から出力されたNビットの上位デジタル変換出力DOHと、TDC14から出力されたMビットの下位デジタル変換出力DOLとを保持し、アナログ入力電圧VINの電圧-デジタル変換結果として、N+Mビットのデジタル変換出力DOUTを出力する回路部である。
[折り畳みVTCの詳細]
次に、図3を参照して、本実施の形態にかかるフラッシュADC10で用いられる折り畳みVTC12について詳細に説明する。図3は、折り畳みVTCの構成を示すブロック図であり、N=2の場合の構成例が示されている。
図3に示すように、折り畳みVTC12は、主な回路部として、2N-1(=3)個の電圧比較器22,24,26と、2N(=4)個のVTCユニット回路21,23,25,27と、選択回路28とを備えている。
[電圧比較器]
電圧比較器22,24,26は、2N個の電圧区間VS1,VS2,VS3,VS4のうち、対応する電圧区間の境界の境界電圧を示す基準電圧Vと、アナログ入力電圧VINとをそれぞれ比較するように構成されている。
図3に示すように、電圧比較器22は、電圧区間VS1-VS2間の境界と対応しており、その境界電圧を示す基準電圧VR2とアナログ入力電圧VINとを比較し、比較結果Dを出力する。この際、アナログ入力電圧VINと基準電圧VR2との差分電圧VIN-VR2をゼロ電圧と比較するようにしてもよい。VIN≧VR2の場合にはD=「1」となり、VIN<VR2の場合にはD=「0」となる。
また、電圧比較器24は、電圧区間VS2-VS3間の境界と対応しており、その境界電圧を示す基準電圧VR4とアナログ入力電圧VINとを比較し、比較結果Dを出力する。この際、アナログ入力電圧VINと基準電圧VR4との差分電圧VIN-VR4をゼロ電圧と比較するようにしてもよい。VIN≧VR4の場合にはD=「1」となり、VIN<VR4の場合にはD=「0」となる。
また、電圧比較器26は、電圧区間VS3-VS4間の境界と対応しており、その境界電圧を示す基準電圧VR6とアナログ入力電圧VINとを比較し、比較結果Dを出力する。この際、アナログ入力電圧VINと基準電圧VR6との差分電圧VIN-VR6をゼロ電圧と比較するようにしてもよい。VIN≧VR6の場合にはD=「1」となり、VIN<VR6の場合にはD=「0」となる。
[VTCユニット回路]
VTCユニット回路21,23,25,27は、2N個の電圧区間VS1,VS2,VS3,VS4のうち、対応する電圧区間の中点電圧とアナログ入力電圧VINとの差分電圧を電圧-時間変換することにより、当該電圧区間に関する個別時間出力をそれぞれ出力するように構成されている。
具体的には、図3に示すように、VTCユニット回路21は、電圧区間VS1と対応しており、その中点電圧を示す基準電圧VR1とアナログ入力電圧VINとの差分電圧VIN-VR1を電圧-時間変換し、電圧区間VS1に関する個別時間出力TI1を出力する。
また、VTCユニット回路23は、電圧区間VS2と対応しており、その中点電圧を示す基準電圧VR3とアナログ入力電圧VINとの差分電圧VIN-VR3を電圧-時間変換し、電圧区間VS2に関する個別時間出力TI2を出力する。
また、VTCユニット回路25は、電圧区間VS3と対応しており、その中点電圧を示す基準電圧VR5とアナログ入力電圧VINとの差分電圧VIN-VR5を電圧-時間変換し、電圧区間VS3に関する個別時間出力TI3を出力する。
また、VTCユニット回路27は、電圧区間VS4と対応しており、その中点電圧を示す基準電圧VR7とアナログ入力電圧VINとの差分電圧VIN-VR7を電圧-時間変換し、電圧区間VS4に関する個別時間出力TI4を出力する。
[選択回路]
選択回路28は、電圧比較器22,24,26からの比較結果D,D,Dをエンコードすることにより、Nビットの上位デジタル変換出力DOHを生成して出力回路16へ出力し、VTCユニット回路21,23,25,27から出力された電圧区間VS1,VS2,VS3,VS4に関する個別時間出力TI1,TI2,TI3,TI4のうちから、対象電圧区間に関する個別時間出力を時間変換出力TとしてTDC14へ選択出力する回路部である。
[VTCユニット回路の詳細]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかるフラッシュADC10の折り畳みVTC12で用いられるVTCユニット回路20(21,23,25,27)について詳細に説明する。図4は、VTCユニット回路の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、VTCユニット回路20は、主な回路部として、VTCコア回路20A、時間増幅器20B、およびスイッチ回路20Cを備えている。
[VTCコア回路]
VTCコア回路20Aは、クロック信号CKに基づいて、対応する電圧区間の中点電圧VRiとアナログ入力電圧VINとの差分電圧VIN-VRxを電圧-時間変換し、得られた時間出力TDiを2つのパルス信号P,Nで出力するように構成されている。これらパルス信号P,Nのパルス時間差が、時間出力TDiの時間長に相当している。
[時間増幅器]
時間増幅器20Bは、VTCコア回路20Aからの時間出力TDを増幅(延長)し、得られた個別時間出力TIiを2つのパルス信号P,Nで出力するように構成されている。これらパルス信号P,Nのパルス時間差が、個別時間出力TIiの時間長に相当している。
[スイッチ回路]
スイッチ回路20Cは、VTCユニット回路20に対応する電圧区間Vと関係する電圧比較器(22,24,26)からの比較結果D,D(D,D,D)に基づいて、時間増幅器20Bからの個別時間出力TIiに関する出力制御を行うように構成されている。
具体的には、図3および図4に示すように、VTCユニット回路21は、対応する電圧区間VS1と関係する電圧比較器22からの比較結果Dに基づいて、対応する電圧区間VS1が対象電圧区間である場合にのみ、個別時間出力TI1を2つのパルス信号P,Nで選択回路28へ出力する。
また、VTCユニット回路23は、対応する電圧区間VS2と関係する電圧比較器22,24からの比較結果D,Dに基づいて、対応する電圧区間VS2が対象電圧区間である場合にのみ、個別時間出力TI2を2つのパルス信号P,Nで選択回路28へ出力する。
また、VTCユニット回路25は、対応する電圧区間VS3と関係する電圧比較器24,26からの比較結果D,Dに基づいて、対応する電圧区間3が対象電圧区間である場合にのみ、個別時間出力TI3を2つのパルス信号P,Nで選択回路28へ出力する。
また、VTCユニット回路27は、対応する電圧区間VS4と関係する電圧比較器26からの比較結果Dに基づいて、対応する電圧区間VS4が対象電圧区間である場合にのみ、個別時間出力TI4を2つのパルス信号P,Nで選択回路28へ出力する。
[VTCユニット回路の動作]
図5は、VTCユニット回路の動作を示す説明図である。図5に示すように、まず、VTCコア回路20Aは、クロック信号CKに基づいて、差分電圧VIN-Vを電圧-時間変換し、得られた時間出力Tを、クロック信号CKに類似した2つのパルス信号P,Nのパルス時間差、例えば立ち上がりエッジの時間差で出力する。この際、差分電圧VIN-Vは線形電圧-時間変換されるため、その線形の変換ゲインをαとした場合、時間出力Tは、T=α(VIN-V)で表される。
次に、時間増幅器20Bは、VTCコア回路20Aからの時間出力Tを増幅(延長)し、得られた個別時間出力Tを2つのパルス信号P,Nのパルス時間差、例えば立ち上がりエッジの時間差で出力する。この際、増幅率をβとした場合、個別時間出力Tは、T=βT=α・β(VIN-V)で表される。
この後、スイッチ回路20Cは、比較結果D,D(D,D,D)に基づいて、時間増幅器20Bからの個別時間出力Tに関する出力制御を行う。この際、比較結果D,Dが「10」を示す場合、個別時間出力Tを2つのパルス信号P,Nのパルス時間差、例えば立ち上がりエッジの時間差で出力する。一方、比較結果D,Dが「00」,「01」,「11」を示す場合、LOWレベルのパルス信号P,Nを出力する。これにより、比較結果D,Dが「10」を示す場合、すなわち、VTCユニット回路20に対応する電圧区間Vが対象電圧区間である場合にのみ、個別時間出力Tが選択回路28へ出力されることになる。
[TDCの詳細]
次に、図6を参照して、本実施の形態にかかるフラッシュADC10で用いられるTDC14について詳細に説明する。図6は、TDCの構成を示すブロック図であり、M=5の場合の構成例が示されている。
図6に示すように、TDC14は、主な回路部として、パイプライン回路14Pと時間比較器35とを備えている。
[パイプライン回路]
パイプライン回路14Pは、直列的に接続されたM-1個の1ビット時間-デジタル変換回路(以下、1ビットTDCという)31,32,33,34を含み、これら1ビットTDC31,32,33,34により、折り畳みVTC12から出力された時間変換出力Tを、M-1個の基準時間に基づいて順に時間-デジタル変換することにより、M-1ビットの下位デジタル変換出力DOL(DT1,DT2,DT3,DT4)を出力するように構成されている。このうち、DT1が下位デジタル変換出力DOLの最上位ビットに相当する。
[時間比較器]
時間比較器35は、パイプライン回路14Pから出力された時間出力Tの時間長を、ゼロ時間と比較する(正負を確認する)ことにより、残り1ビットの下位デジタル変換出力DOL(DT5)を出力するように構成されている。このDT5が下位デジタル変換出力DOLの最下位ビット、すなわちフラッシュADC10のデジタル変換出力DOUTの最下位ビットに相当する。
[パイプライン回路の詳細]
次に、図6を参照して、本実施の形態にかかるフラッシュADC10のTDC14で用いられるパイプライン回路14Pについて詳細に説明する。
図6に示すように、パイプライン回路14Pは、主な回路部として、M-1個の1ビットTDC31,32,33,34と、時間増幅器36とを備えている。
[1ビットTDC]
1ビットTDC31,32,33,34は、入力された時間出力の時間長をゼロ時間と比較(正負を確認)し、得られた比較結果を、下位デジタル変換出力DOLのうち対応するビット値Dとして出力するとともに、比較結果に応じて対応する基準時間分の時間長Tを時間出力TINに加減算した時間出力TOUTを出力するように構成されている。
具体的には、図6に示すように、1ビットTDC31は、入力された時間変換出力Tの時間長をゼロ時間と比較し、得られた比較結果を、下位デジタル変換出力DOLのうち対応するビット値DT1として出力する。
また、1ビットTDC32は、入力された時間出力TO1の時間長をゼロ時間と比較し、得られた比較結果を、下位デジタル変換出力DOLのうち対応するビット値DT2として出力する。
また、1ビットTDC33は、入力された時間出力TOAの時間長をゼロ時間と比較し、得られた比較結果を、下位デジタル変換出力DOLのうち対応するビット値DT3として出力する。
また、1ビットTDC34は、入力された時間出力TO3の時間長をゼロ時間と比較し、得られた比較結果を、下位デジタル変換出力DOLのうち対応するビット値DT4として出力する。
この際、入力された時間出力TINの時間長がゼロ時間以上(正)すなわち基準時間以上であれば、比較結果は「1」となり、ゼロ時間未満(負)すなわち基準時間未満であれば、比較結果は「0」となる。
また、1ビットTDC31,32,33,34は、比較結果が「1」の場合、入力された時間出力TINの時間長から対応する基準時間分の時間長Tを減算した時間出力TOUTを出力し、比較結果が「0」の場合、入力された時間出力TINの時間長に対応する基準時間分の時間長Tを加算した時間出力TOUTを出力する。
時間増幅器36は、いずれか2つの1ビットTDCの間に接続されて、一方の1ビットTDCから出力された時間出力を時間的に増幅(延長)して他方の1ビットTDCへ入力するように構成されている。図6の例では、1ビットTDC32と1ビットTDC33との間に時間増幅器36が接続されている。この場合、1ビットTDC32から出力された時間出力TO2が、時間増幅器36で増幅されて時間出力TOAとして1ビットTDC33に出力される。このように、1ビットTDC間に時間増幅器36を設けることにより、時間-デジタル変換する時間出力が増幅されるため、基準時間も増幅したものを用いることができる。このため、図6の例のように、時間増幅器36より後段の1ビットTDC33,34で、時間増幅器36より前段の1ビットTDC31,32と同じ基準時間TR1,TR2を兼用できる。
[1ビットTDCの詳細]
次に、図7を参照して、本実施の形態にかかるフラッシュADC10のTDC14で用いられるパイプライン回路14Pの1ビットTDC30(31,32,33,34)について詳細に説明する。図7は1ビットTDCの構成を示すブロック図である。
1ビットTDC30は、主な回路部として、遅延回路30A,30B,30C,30Dと、時間比較器30Eと、セレクタ30F,30Gとを備えている。
[遅延回路]
遅延回路30A,30B,30C,30Dは、入力された時間出力の2つの信号パルスinp,innに遅延を与えて出力するように構成されている。具体的には、図7に示すように、遅延回路(第1の遅延回路)30Aは、信号パルスinpに処理時間TC+基準時間T/2の遅延を与えてセレクタ30Fに出力し、遅延回路(第2の遅延回路)30Bは、信号パルスinpに処理時間TC-基準時間T/2分の遅延を与えてセレクタ30Fに出力する。また、遅延回路(第3の遅延回路)30Cは、信号パルスinnに処理時間TC+基準時間T/2の遅延を与えてセレクタ30Gに出力し、遅延回路(第4の遅延回路)30Dは、信号パルスinnに処理時間TC-基準時間T/2の遅延を与えて、セレクタ30Gに出力する。処理時間TCは、予め設定された一定時間長を有しているが、TDC14での時間-デジタル変換には直接影響しないため、以下では無視して説明する。
[時間比較器]
時間比較器30Eは、入力された時間出力の2つの信号パルスinp,innの時間位置、例えば立ち上がりタイミングを比較することにより、入力された時間出力を時間-デジタル変換し、対応するビット値Dを出力するように構成されている。
[セレクタ]
セレクタ(第1のセレクタ)30Fは、時間比較器30Eから出力されたビット値Dに基づいて、遅延回路30A,30Bのいずれか一方から出力された信号パルスinpを、時間出力TOUTの信号パルスoutpとして選択出力するように構成されている。
セレクタ(第2のセレクタ)30Gは、時間比較器30Eから出力されたビット値Dに基づいて、遅延回路30C,30Dのいずれか一方から出力された信号パルスinnを、時間出力TOUTの信号パルスoutnとして選択出力するように構成されている。
具体的には、ビット値Dが「1」を示す場合、遅延回路30Aから出力された信号パルスinpと遅延回路30Dから出力された信号パルスinnとが、セレクタ30F,30Gにより選択される。これにより、1ビットTDC30に入力された時間出力TINからT分の時間長が減算され、ビット値Dに相当する時間成分だけ振幅が減衰した時間出力TOUTが出力されることになる。
一方、ビット値Dが「0」を示す場合、遅延回路30Bから出力された信号パルスinpと遅延回路30Cから出力された信号パルスinnとが、セレクタ30F,30Gにより選択される。これにより、1ビットTDC30に入力された時間出力TINからT分の時間長が加算され、ビット値Dに相当する時間成分だけ振幅が減衰した時間出力TOUTが出力されることになる。
図8は、時間出力の振幅と基準電圧との関係を示す説明図である。図8に示すように、TDC14において、折り畳みVTC12からの時間変換出力Tを、ビット値DT1~DT5からなる5ビットの下位デジタル変換出力DOLに時間-デジタル変換する場合、時間変換出力Tの最大振幅(時間長)は、ビット値DT1~DT5の5ビット分に相当する±16GVT(s/LSB)となる。GVTは、VTCユニット回路20(21,23,25,27)における電圧-時間変換の変換ゲインα・βを示す。LSB(Least Significant Bit)は量子化単位を示す。
1ビットTDC31は、時間変換出力Tの正負に基づきビット値DT1「0/1」を出力する。この際、時間-デジタル変換が終了したビット値DT1に相当する時間成分を時間変換出力Tから除外する必要がある。このため、1ビットTDC31は、時間変換出力Tの最大振幅(時間長)を、ビット値DT2~DT5の4ビット分に相当する±8GVT(s/LSB)まで減衰させた後、時間出力TO1として出力する。この8GVT(s/LSB)が基準時間TR1に相当する。1ビットTDC31は、ビット値DT1「0/1」に応じて、時間変換出力Tに基準時間TR1を加減算した後、時間出力TO1として出力する。
同様にして、1ビットTDC32は、1ビットTDC31からの時間出力TO1の正負に基づきビット値DT2「0/1」を出力する。また、1ビットTDC32は、時間出力TO1の最大振幅(時間長)を、ビット値DT3~DT5の3ビット分に相当する±4GVT(s/LSB)まで減衰させた後、時間出力TO1として出力する。この4GVT(s/LSB)が基準時間TR2に相当する。1ビットTDC32は、ビット値DT2「0/1」に応じて、時間出力TO1に基準時間TR2を加減算した後、時間出力TO2として出力する。
時間増幅器36は、1ビットTDC32からの時間出力TO2の最大振幅(時間長)を増幅(延長)した時間出力TOAを出力する。この際、例えば時間出力TO2の最大振幅4GVT(s/LSB)を4倍した場合、時間変換出力Tと同様の16GVT(s/LSB)となる。このため、次段の1ビットTDC33において、時間増幅器36からの時間出力TOAの最大振幅(時間長)の減衰に、1ビットTDC31と同様の基準時間TR1を用いることができ、さらにその次段の1ビットTDC34において、1ビットTDC33からの時間出力TO3の最大振幅(時間長)の減衰に、1ビットTDC32と同様の基準時間TR2を用いることができる。
これにより、1ビットTDC33は、時間増幅器36からの時間出力TOAの正負に基づきビット値DT3「0/1」を出力する。また、1ビットTDC33は、時間出力TOAの最大振幅(時間長)を、ビット値DT4~DT5の2ビット分に相当する±2GVT(s/LSB)まで減衰させた後、時間出力TO3として出力する。この際、前述の通り、1ビットTDC33は、ビット値DT3「0/1」に応じて、時間出力TOAに基準時間TR1を加減算した後、時間出力TO3として出力する。
同様にして、1ビットTDC34は、1ビットTDC33からの時間出力TO3の正負に基づきビット値DT4「0/1」を出力する。また、1ビットTDC34は、時間出力TO3の最大振幅(時間長)を、ビット値DT5の1ビット分に相当する±GVT(s/LSB)まで減衰させた後、時間出力TO4として出力する。この際、前述の通り、1ビットTDC34は、ビット値DT4「0/1」に応じて、時間出力TO3に基準時間TR2を加減算した後、時間出力TO4として出力する。
この後、時間比較器35は、1ビットTDC34からの時間出力TO3、すなわちパイプライン回路14Pから時間出力Tの正負に基づきビット値DT5「0/1」を出力する。
これにより、折り畳みVTC12からの時間変換出力Tが、TDC14により時間-デジタル変換され、ビット値DT1~DT5からなる5ビットの下位デジタル変換出力DOLが、出力回路16へ出力される。
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、折り畳みVTC12が、アナログ入力電圧VINを、予め設定されている入力電圧範囲を折り畳んで設けた2N(Nは1以上の整数)個の電圧区間と並列的に比較することにより、Nビットの上位デジタル変換出力DOHを出力するとともに、アナログ入力電圧VINを電圧-時間変換することにより、アナログ入力電圧VINが位置する対象電圧区間におけるアナログ入力電圧VINの時間変換出力Tを出力するようにしたものである。
これにより、折り畳みVTC12における電圧-時間変換が、アナログ入力電圧VINの入力電圧範囲を折り畳んで縮小した電圧区間ごとに定義される。このため、折り畳みVTC12は、緩和された線形入力範囲の要件を持つことになり、大きな変換利得を得ることが可能となる。これにより、前述の図13で示した4つの性能要件をすべて満たすことができ、結果として、少ない消費電力で高い電圧-時間変換性能を得ることが可能となる。
また、本実施の形態において、折り畳みVTC12が、N-1個の電圧比較器22,24,26で、2N個の電圧区間のうち対応する電圧区間の境界の境界電圧とアナログ入力電圧VINとを比較し、N個のVTCユニット回路21,23,25,27で、2N個の電圧区間のうち対応する電圧区間の中点電圧とアナログ入力電圧VINとの差分電圧を電圧-時間変換することにより、当該電圧区間に関する個別時間出力をそれぞれ出力し、選択回路28で、N-1個の電圧比較器22,24,26から出力された比較結果に基づいて、上位デジタル変換出力DOHを生成して出力するとともに、N個のVTCユニット回路21,23,25,27から出力された電圧区間に関する個別時間出力のうちから、対象電圧区間に関する個別時間出力を時間変換出力Tとして選択出力するようにしてもよい。
より具体的には、N個のVTCユニット回路20(21,23,25,27)のそれぞれにおいて、電圧-時間変換コア回路20Aが、差分電圧を電圧-時間変換して得られた時間出力を出力し、時間増幅器20Bが、電圧-時間変換コア回路20Aからの時間出力を時間的に増幅することにより個別時間出力を生成して出力し、スイッチ回路20Cが、対応する電圧区間が対象電圧区間である場合にのみ、時間増幅器20Bからの個別時間出力を出力するようにしてもよい。
これにより、簡素な回路構成で、広い線形入力範囲において大きな直線変換ゲインを有する電圧-時間変換を実現することが可能となる。
また、本実施の形態において、TDC14が、パイプライン回路14Pで、直列的に接続されたM-1個の1ビットTDC31,32,33,34を含み、M-1個の1ビットTDC31,32,33,34により、折り畳みVTC12から出力された時間変換出力Tを、順に時間-デジタル変換し、時間比較器35で、パイプライン回路14Pから出力された時間出力Tを、M個の基準時間のうちの残り1個の基準時間と比較し、M-1個の1ビットTDC31,32,33,34のそれぞれで、入力された時間出力TINを時間-デジタル変換して得られた1ビットのデジタル出力Dを、下位デジタル変換出力DOLのうち対応するビット値として出力するとともに、1ビットのデジタル出力Dに応じて時間出力TOUTに対応する基準時間分の時間長を加減算して出力するようにしてもよい。
これにより、折り畳みVTC12から出力された時間変換出力Tを、効率よく下位デジタル変換出力DOLに時間-デジタル変換することができる。
また、本実施の形態において、パイプライン回路14Pが、直列的に接続されたいずれか2つの1ビットTDC31,32,33,34の間に接続された時間増幅器36で、一方の1ビットTDCから出力された時間出力を時間的に増幅して他方の1ビットTDCへ入力するようにしてもよい。
これにより、基準時間の数を削減することができ、TDC14の回路構成を簡素化することができる。
また、本実施の形態において、M-1個の1ビットTDC31,32,33,34で入出力される時間出力は、当該時間出力の時間長を互いのパルス時間差で示す第1および第2のパルス信号からなり、M-1個の1ビットTDC31,32,33,34のそれぞれが、第1の遅延回路30Aで、予め設定された設定時間長と対応する基準時間の時間長の1/2との和だけ第1のパルス信号に対して遅延を与えて出力し、第2の遅延回路30Bで、予め設定された設定時間長と対応する基準時間の時間長の1/2との差だけ第1のパルス信号に対して遅延を与えて出力し、第3の遅延回路30Cで、予め設定された設定時間長と対応する基準時間の時間長の1/2との和だけ第2のパルス信号に対して遅延を与えて出力し、第4の遅延回路30Dで、予め設定された設定時間長と対応する基準時間の時間長の1/2との差だけ第2のパルス信号に対して遅延を与えて出力し、時間比較器30Eが、第1および第2のパルス信号の時間位置を比較することにより、入力された時間出力を時間-デジタル変換し、対応するビット値Dを出力し、第1のセレクタ30Fが、時間比較器30Eから出力されたビット値Dに基づいて、第1の遅延回路30Aおよび第2の遅延回路30Bのいずれか一方から出力された第1のパルス信号を選択して出力し、第2のセレクタ30Gが、時間比較器30Eから出力されたビット値Dに基づいて、第3の遅延回路30Cおよび第4の遅延回路30Dのいずれか一方から出力された第2のパルス信号を選択して出力するようにしてもよい。
これにより、基準時間の数を1ビットTDC31,32,33,34の1/2に削減することができ、極めて簡素な回路構成で、折り畳みVTC12から出力された時間変換出力Tを、効率よく下位デジタル変換出力DOLに時間-デジタル変換することができる。
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
10…フラッシュADC(アナログ-デジタル変換器)、11…T/H回路(トラック・アンド・ホールド回路)、12…折り畳みVTC(折り畳み電圧-時間変換器)、13…基準電圧発生器、14…TDC(時間-デジタル変換器)、14P…パイプライン回路、15…基準時間発生器、16…出力回路、20,21,23,25,27…VTCユニット回路(電圧-時間変換ユニット回路)、20A…VTCコア回路(電圧-時間変換コア回路)、20B…時間増幅器、20C…スイッチ回路、22,24,26…電圧比較器、28…選択回路、30,31,32,33,34…1ビットTDC(1ビット時間-デジタル変換器)、30A,30B,30C,30D…遅延回路、30E…時間比較器、30F,30G…セレクタ、35…時間比較器、36…時間増幅器、VIN…アナログ入力電圧、V…基準電圧、T…時間変換出力、T…基準時間、DOH…上位デジタル変換出力、DOL…下位デジタル変換出力、DOUT…デジタル変換出力、CK…クロック信号。

Claims (6)

  1. アナログ入力電圧を異なる複数の電圧区間と並列的に比較し、得られた比較結果をデジタル変換出力に変換して出力するアナログ-デジタル変換器であって、
    前記アナログ入力電圧を、予め設定されている入力電圧範囲を折り畳んで設けた2N(Nは1以上の整数)個の電圧区間と並列的に比較することにより、Nビットの上位デジタル変換出力を出力するとともに、前記アナログ入力電圧を電圧-時間変換することにより、前記アナログ入力電圧が位置する対象電圧区間における前記アナログ入力電圧の時間変換出力を出力する折り畳み電圧-時間変換回路と、
    前記折り畳み電圧-時間変換回路から出力された前記時間変換出力を、予め設定されているM(Mは2以上の整数)個の基準時間に基づいて時間-デジタル変換することにより、Mビットの下位デジタル変換出力を出力する時間-デジタル変換回路と
    を備えることを特徴とするアナログ-デジタル変換器。
  2. 請求項1に記載のアナログ-デジタル変換器において、
    前記折り畳み電圧-時間変換回路は、
    前記2N個の電圧区間のうち対応する電圧区間の境界の境界電圧と前記アナログ入力電圧とを比較するN-1個の電圧比較器と、
    前記2N個の電圧区間のうち対応する電圧区間の中点電圧と前記アナログ入力電圧との差分電圧を電圧-時間変換することにより、当該電圧区間に関する個別時間出力をそれぞれ出力するN個の電圧-時間変換ユニット回路と、
    前記N-1個の電圧比較器から出力された比較結果に基づいて、前記上位デジタル変換出力を生成して出力するとともに、前記N個の電圧-時間変換ユニット回路から出力された前記電圧区間に関する個別時間出力のうちから、前記対象電圧区間に関する個別時間出力を前記時間変換出力として選択出力する選択回路とを備える
    ことを特徴とするアナログ-デジタル変換器。
  3. 請求項2に記載のアナログ-デジタル変換器において、
    前記N個の電圧-時間変換ユニット回路のそれぞれは、
    前記差分電圧を電圧-時間変換して得られた時間出力を出力する電圧-時間変換コア回路と、
    前記電圧-時間変換コア回路からの前記時間出力を時間的に増幅することにより前記個別時間出力を生成して出力する時間増幅器と、
    前記対応する電圧区間が前記対象電圧区間である場合にのみ、前記時間増幅器からの前記個別時間出力を出力するスイッチ回路と
    を備えることを特徴とするアナログ-デジタル変換器。
  4. 請求項1~請求項3のいずれかに記載のアナログ-デジタル変換器において、
    前記時間-デジタル変換回路は、
    直列的に接続されたM-1個の1ビット時間-デジタル変換回路を含み、前記M-1個の1ビット時間-デジタル変換回路により、前記折り畳み電圧-時間変換回路から出力された前記時間変換出力を、順に時間-デジタル変換するパイプライン回路と、
    前記パイプライン回路から出力された時間出力を、前記M個の基準時間のうちの残り1個の基準時間と比較する時間比較器とを備え、
    前記M-1個の1ビット時間-デジタル変換回路のそれぞれは、入力された時間出力を時間-デジタル変換して得られた1ビットのデジタル出力を、前記下位デジタル変換出力のうち対応するビット値として出力するとともに、前記1ビットのデジタル出力に応じて前記時間出力に対応する基準時間分の時間長を加減算して出力する
    ことを特徴とするアナログ-デジタル変換器。
  5. 請求項4に記載のアナログ-デジタル変換器において、
    前記パイプライン回路は、直列的に接続されたいずれか2つの前記1ビット時間-デジタル変換回路の間に接続されて、一方の1ビット時間-デジタル変換回路から出力された時間出力を時間的に増幅して他方の1ビット時間-デジタル変換回路へ入力する時間増幅器を備えることを特徴とするアナログ-デジタル変換器。
  6. 請求項4に記載のアナログ-デジタル変換器において、
    前記M-1個の1ビット時間-デジタル変換回路で入出力される時間出力は、当該時間出力の時間長を互いのパルス時間差で示す第1および第2のパルス信号からなり、
    前記M-1個の1ビット時間-デジタル変換回路のそれぞれは、
    予め設定された設定時間長と前記対応する基準時間の時間長の1/2との和だけ前記第1のパルス信号に対して遅延を与えて出力する第1の遅延回路と、
    予め設定された設定時間長と前記対応する基準時間の時間長の1/2との差だけ前記第1のパルス信号に対して遅延を与えて出力する第2の遅延回路と、
    予め設定された設定時間長と前記対応する基準時間の時間長の1/2との和だけ前記第2のパルス信号に対して遅延を与えて出力する第3の遅延回路と、
    予め設定された設定時間長と前記対応する基準時間の時間長の1/2との差だけ前記第2のパルス信号に対して遅延を与えて出力する第4の遅延回路と、
    前記第1および第2のパルス信号の時間位置を比較することにより、入力された時間出力を時間-デジタル変換し、前記対応するビット値を出力する時間比較器と、
    前記時間比較器から出力された前記ビット値に基づいて、前記第1の遅延回路および前記第2の遅延回路のいずれか一方から出力された前記第1のパルス信号を選択して出力する第1のセレクタと、
    前記時間比較器から出力された前記ビット値に基づいて、前記第3の遅延回路および前記第4の遅延回路のいずれか一方から出力された前記第2のパルス信号を選択して出力する第2のセレクタと
    を備えることを特徴とするアナログ-デジタル変換器。
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