JP7437516B2 - 電気化学装置及びこれを含む電子装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エネルギー貯蔵技術分野に関し、特に、電気化学装置及び該電気化学装置を含む電子装置に関する。
モバイル電子技術の急速な発展に伴い、人々は携帯電話、タブレット、ノートパソコン、無人機等のモバイル電子装置を使用する頻度及び体験に対する要求がますます高くなっている。したがって、電子装置にエネルギーを供給する電気化学装置(例えば、リチウムイオン電池)には、より高いエネルギー密度、より大きいレート、より高い安全性、及び充放電過程を繰り返した後のより小さい容量減衰を示すことが要求される。
電気化学装置のエネルギー密度及びサイクル特性は、正極活物質及び負極活物質と密接に関連している。これに鑑みて、より高いエネルギー密度を有する負極活物質を追求するために、負極活物質のさらなる研究及び改善が継続的に行われている。しかしながら、より高いエネルギー密度を有する負極活物質(例えば、シリコン系材料)は、例えば、電気伝導度が低すぎる、熱膨張率が高すぎる、加工性が不十分であるなどの、既存の電極アセンブリ構造と適合しない問題を有する。したがって、より高いエネルギー密度を有する材料を負極活物質として使用する電気化学装置については、その電極アセンブリ構造(例えば、負極、セパレータ及び正極)を改善及び最適化することが現在の緊急の研究課題である。
本発明は、関連分野に存在する問題の少なくとも一つを少なくともある程度で解決しようとする電気化学装置及び該電気化学装置を含む電子装置を提供する。
本発明の一態様によれば、本発明は正極、負極、セパレータ、粘着層及びリチウム化合物層を含む電気化学装置が提供され、ここで、負極が負極活物質層を含み、セパレータが正極と負極との間に配置されており、粘着層が負極活物質層とセパレータとの間に配置されており、且つリチウム化合物層が粘着層と負極活物質層との間に配置されており、リチウム化合物層が炭酸リチウム及び酸化リチウムのうちの少なくとも一種を含む。
本発明の他の態様によれば、本発明は、前記電気化学装置を含む電子装置を提供する。
本発明の電気化学装置は、リチウム補充プロセス(lithium supplementing process)後に負極活物質層の表面上に形成されたリチウム化合物層をさらに含むことができ、リチウム化合物層とセパレータとの間に粘着層を設けることにより、負極とセパレータとの粘着力を効果的に向上させることができる。電気化学装置が複数回の充放電サイクル過程を経た後も、依然として負極とセパレータとの粘着力を維持し、電気化学装置のサイクル特性及び安全性能を向上させることができる。
本発明の実施例の他の態様および利点については、部分的に以下の記載に説明されて示され、又は本発明の実施例の実施を通じて説明される。
以下では、本発明の実施例を説明するために、本発明の実施例または先行技術を説明するための必要な図面を簡単に説明する。以下に説明されている図面がただ本発明の実施例の一部であることは、自明である。当業者にとって、創造性に値する労働を必要とせずに、依然として、これらの図面に例示されている構造に基づいて他の実施例の図面を得ることができる。
図1は本発明の一部の実施例の電気化学装置の電極アセンブリの構造模式図である。 図2はリチウム補充プロセスで処理されていない負極表面の50倍走査型電子顕微鏡の画像である。 図3はリチウム補充プロセスで処理されていない負極表面の400倍走査型電子顕微鏡の画像である。 図4はリチウム補充プロセスで処理された後の負極表面の50倍走査型電子顕微鏡の画像である。 図4はリチウム補充プロセスで処理された後の負極表面の400倍走査型電子顕微鏡の画像である。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。本発明の明細書では、同じまたは類似的な部件、並びに、同じまたは類似的な機能を備える部件は、類似的な符号で示される。ここに述べた図面に関連する実施例は、例示的なものであり、図式的なものであり、本発明の基本的な理解を提供するために使用されるものである。本発明の実施例は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
本明細書において、別に断らない限り、「中央の」、「縦の」、「側面の」、「前方の」、「後方の」、「右方の」、「左方の」、「内部の」、「外部の」、「比較的低い方の」、「比較的高い方の」、「水平の」、「垂直の」、「より高い」、「より低い」、「上方の」、「下方の」、「頂部の」、「底部の」、および派生される用語(例えば「水平に」、「下方に」、「上方に」等)などの相対的な用語は、議論に記載の方向または図面に記載の方向を引用するように解釈すべきである。これらの相対的な用語は、説明上の便利を図るだけのものであり、本発明を特定の方向で構成または操作することを要求するものではない。
なお、本明細書では、量、比及び他の数値は、範囲形式で示される。このような範囲形式は、便宜上及び簡潔にするために使用され、この範囲は柔軟に理解する必要があり、このような範囲は、範囲の制限として明示的に指定された値だけでなく、各値とサブ範囲が明示的に指定されているように、該範囲内に含まれた全ての各値とサブ範囲が含まれる。
具体的な実施形態及び請求の範囲において、「うちの少なくとも一つ」、「うちの少なくとも一個」、「うちの少なくとも一種」という用語又は他の類似的な用語で接続された項のリストとは、リストされた項の任意的な組み合わせを意味する。例えば、項A及びBを挙げると、「A及びBのうちの少なくとも一つ」とは、Aのみ、Bのみ、又は、A及びBを意味する。別の実例では、項A、B及びCを挙げると、「A、B及びCのうちの少なくとも一つ」とは、Aのみ、又はBのみ、Cのみ、A及びB(Cを除く)、A及びC(Bを除く)、B及びC(Aを除く)、又はA、B及びCのすべてを意味する。項Aは、単一の要素または複数の要素を含んでいてもよい。項Bは、単一の要素または複数の要素を含んでいてもよい。項Cは、単一の要素または複数の要素を含んでいてもよい。
本明細書で使用されている下記した用語は、別に断らない限り、以下に示される意味を持つ。
「C」という用語は、x個の炭素原子を含むことを意味する。例えば、C~C10アルキル基は、1~10個の炭素原子を有するアルキル基である。
「炭化水素基」という用語は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基を含む。例えば、炭化水素基は、1~20個の炭素原子を有する直鎖炭化水素構造であると予期される。「炭化水素基」は、3~20個の炭素原子を有する分岐鎖又は環状の炭化水素構造とも予期される。特定の炭素数を有する炭化水素基が指定される場合、その炭素数を有する全ての幾何異性体が包含されることが予期される。本明細書における炭化水素基はまた、C~C15炭化水素基、C~C10炭化水素基、C~C炭化水素基、C~C20炭化水素基、C~C15炭化水素基又はC~C10炭化水素基であり得る。なお、炭化水素基は、任意に置換されたものであってもよい。例えば、炭化水素基は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含むハロゲン、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基で置換されていてもよい。
「ヒドロキシ基」という用語は、-OH基を指す。
「アミノ基」という用語は、1個の窒素原子及び2個の水素原子からなる塩基、即ち-NH基を指す。
「カルボキシル基」という用語は、カルボン酸の官能基、即ち-C(O)-OH基を指す。
「ヒドロカルビルオキシ」という用語は、L-O-基を指し、ここで、Lはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基である。例えば、L基がアルキル基である場合、「ヒドロカルビルオキシ」は「アルコキシ」と呼ばれることがあり、L基がメチル基である場合、「ヒドロカルビルオキシ」は「メトキシ基」と呼ばれることがある。本明細書におけるヒドロカルビルオキシは、C~C20ヒドロカルビルオキシであってもよく、C~C15ヒドロカルビルオキシ、C~C10ヒドロカルビルオキシ、C~Cヒドロカルビルオキシ、C~C20ヒドロカルビルオキシ、C~C15ヒドロカルビルオキシ又はC~C10ヒドロカルビルオキシであってもよい。
「エステル基」という用語は、カルボン酸誘導体中のエステルの官能基であり、即ち、-C(O)-O-R基を指し、ここで、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基を包含する。例えば、エステル基は、1~200個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖又は環状構造であると予期される。「エステル基」は、C~C10を有するエステル基とも予期される。特定の炭素数を有するエステル基が指定される場合、その炭素数を有する全ての幾何異性体が包含されることが予期される。本明細書におけるエステル基はまた、C~C15エステル基、C~C10エステル基、C~Cエステル基、C~C20エステル基、C~C15エステル基又はC~C10エステル基であり得る。
「アルキル基」という用語は、1~20個の炭素原子を有する直鎖飽和炭化水素構造と予期される。「アルキル基」は、3~20個の炭素原子を有する分岐鎖又は環状の炭化水素構造とも予期される。例えば、アルキル基はまた、C~C20アルキル基、C~C10アルキル基、C~Cアルキル基、C~C20アルキル基、C~C15アルキル基又はC~C10アルキル基であり得る。特定の炭素数を有するアルキル基が指定された場合、その炭素数を有する全ての幾何異性体が包含されることが予期される。従って、例えば、「ブチル基」は、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基及びシクロブチル基を含むことを意味する。「プロピル基」は、n-プロピル基、イソプロピル基、およびシクロプロピル基を含む。アルキル基の実例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、ノルボルニル基などを含むが、これらに限定されない。なお、アルキル基は、任意に置換されたものであってもよい。
「アルケニル基」という用語は、少なくとも1個、典型的には1、2または3個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の一価不飽和炭化水素基を指す。別段の定義がない限り、アルケニル基は、典型的には2~20個の炭素原子を含有し、例えば、C~C20アルケニル基、C~C20アルケニル基、C~C12アルケニル基又はC~Cアルケニル基であり得る。代表的なアルケニル基は、(例えば)ビニル基、n-プロペニル基、イソプロペニル基、n-ブト-2-エニル基、ブト-3-エニル基、n-ヘキサ-3-エニル基等を含む。なお、アルケニル基は、任意に置換されたものであってもよい。
「アルキニル基」という用語は、少なくとも1個、典型的には1、2または3個の炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分岐鎖の一価不飽和炭化水素基を指す。別段の定義がない限り、アルキニル基は、典型的2個~20個の炭素原子を含有し、例えば、C~C20アルキニル基、C~C20アルキニル基、C~C10アルキニル基又はC~Cアルキニル基であり得る。代表的なアルキニル基は、(例えば)エチニル基、プロプ-2-イニル基(n-プロピニル基)、n-ブト-2-イニル基、n-ヘキサ-3-イニル基等を含む。なお、アルキニル基は、任意に置換されたものであってもよい。
「アシル基」という用語は、有機又は無機オキソ酸からヒドロキシ基(-OH基)を除去した後に残る原子団、即ち、R-M(O)-基を指し、ここで、Mは炭素原子であり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基又は他の一般的な置換基である。例えば、Rがアミノ基である場合、「アシル基」は「アミド基」である。
「アリール基」という用語は、単環式系及び多環式系を包含する。多環は、その中の2個の炭素が2個の隣接する環(環は「縮合している」)に共有されている炭素である2個以上の環を有してもよく、ここで、環の少なくとも一つは芳香族であり、例えば、他の環は、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環及び/又はヘテロアリール基であってもよい。例えば、アリール基は、C~C50アリール基、C~C40アリール基、C~C30アリール基、C~C20アリール基又はC~C10アリール基であり得る。代表的なアリール基は、(例えば)フェニル基、メチルフェニル基、プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ベンジル基及びナフタレン-1-イル基、ナフタレン-2-イル基等を含む。なお、アリール基は、任意に置換されたものであってもよい。
「ヘテロシクリル基」という用語は、芳香族及び非芳香族環状基を包含する。ヘテロ芳香族環状基はまた、ヘテロアリール基を意味する。いくつかの実施例において、ヘテロ芳香族環状基及びヘテロ非芳香族環状基は、少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C50ヘテロシクリル基、C~C40ヘテロシクリル基、C~C30ヘテロシクリル基、C~C20ヘテロシクリル基、C~C10ヘテロシクリル基、C~Cヘテロシクリル基である。代表的なヘテロシクリル基は、(例えば)モルホリニル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基等、ならびに例えばテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテルを含む。なお、ヘテロシクリル基は、任意に置換されたものであってもよい。
本明細書で使用されているように、「ヘテロアリール基」という用語は、1~3個のヘテロ原子を含み得る単環式ヘテロ芳香族基、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン及びピリミジン等を包含する。ヘテロアリール基という用語はまた、その中の2個の原子が2個の隣接する環(環は「縮合している」)に共有されている原子である2個以上の環を有する多環ヘテロ芳香族系を含み、ここで、環の少なくとも一つはヘテロアリール基であり、他の環は、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環及び/又はヘテロアリール基であってもよい。例えば、ヘテロアリール基は、C~C50ヘテロアリール基、C~C40ヘテロアリール基、C~C30ヘテロアリール基、C~C20ヘテロアリール基又はC~C10ヘテロアリール基であり得る。なお、ヘテロアリール基は、任意に置換されたものであってもよい。
本明細書で使用されているように、「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br又はIであり得る。
本明細書で使用されているように、「シアノ基」という用語は、-CNを含有する有機官能基を包含する。
本明細書において、「被覆率」という用語は、塗工層による被塗物表面の被覆の程度を表し、例えば、被覆率が100%である場合には、塗工層が被塗物表面の全面積を完全に被覆していることを意味する。被覆率が40%であることは、塗工層が被塗物表面の40%の面積のみを被覆し、被塗物表面の他の60%の面積が露出した状態であることを示す。
本明細書において、「置換度」という用語は、高分子重合体の主鎖上の単一の単量体中の置換基によって置換された基の平均数を指す。例えば、置換度が0.5であることは、高分子重合体の単量体上に平均0.5個の置換基の官能基が存在することを表す。
本明細書において、「粒度」という用語は、サンプルをレーザー粒度測定して得られた粒子特性を示すDv50を意味し、ここで、Dv50は、体積基準の粒度分布において、小粒径側からの累積体積が50%となる材料の粒径を示す。
電気化学装置の分野では、より高いエネルギー密度を追求するために、従来の負極活物質中の黒鉛をより高いエネルギー密度を有する負極活物質に置き換えることが試みられているが、このようなより高いエネルギー密度を有する負極活物質を適用する場合、材料特性が異なるため、さらなるプロセス処理が必要となる。例を挙げると、シリコン系材料は、理論グラム容量が4200m Ah/gと大きいことから、将来のより高い体積エネルギー密度を有する電気化学装置(例えば、リチウムイオン電池)の開発ための主流の負極活物質である。しかし、シリコン系材料の初回クーロン効率が低く、リチウムイオン電池の体積エネルギー密度のさらなる向上を制限する。したがって、リチウムイオン電池の体積エネルギー密度を効果的に向上させるために、リチウム補充プロセスによってシリコン系材料の初回クーロン効率を向上させる必要がある。リチウム補充プロセスは、負極活物質にリチウムを補充してエネルギー密度を向上させる方法であり、例えば、成熟したリチウム補充プロセスは負極活物質層の表面に一定量のリチウム金属を複合し、圧延する。リチウムイオン電池に電解液を注入した後、これらのリチウム金属は迅速に負極活物質と反応することができ、負極活物質に埋め込まれ、負極活物質の初回クーロン効率を向上させる。
このようなより高いエネルギー密度を有する負極活物質はリチウムを放出する過程において大きな体積変化効果(例えば、300%超である)が存在し、負極が激しく膨張すると、負極とセパレータとの界面の変形ひいては分離を引き起こし、さらにリチウムイオン電池のサイクル特性の低下を引き起こす。また、リチウム補充プロセス処理された負極は、調製プロセス上の制限により、リチウム金属は空気中の水分及び酸素ガスと副反応を発生して負極活物質層の表面上にリチウム化合物層を形成する。リチウム化合物層とセパレータ表面の従来のコーティング層との粘着力は非常に弱い(例えば、1N/m未満)ので、負極とセパレータとの間は弱い粘着、又は無粘着を示す可能性がある。したがって、セパレータのコーティング層とシリコン負極表面が弱い粘着又は無粘着を示す場合、充放電サイクル過程中に、大きすぎる体積膨張は電極アセンブリの変形を引き起こしてサイクル特性を低下させるだけでなく、リチウムイオン電池の構造が破壊されやすく、リチウムイオン電池の安全性能に大きな影響を与える。
本発明は、負極の膨張を改善するという観点から、セパレータの負極に対する界面粘着力を増加させることにより、負極の充電中の膨張を抑制することを検討した。本発明は、負極とセパレータとの間に粘着層を設置し、且つリチウム補充プロセスで生成されたリチウム化合物層を制御することにより、粘着層のリチウム化合物層に対する粘着力を増加させ、セパレータの負極に対する粘着力を効果的に向上させ、充放電サイクル過程における負極の体積膨張率を改善して、電極アセンブリの変形の程度を減らすことに有利である。本発明の粘着層は、より高いエネルギー密度を有する負極活物質を使用する電気化学装置に用いることができ、それによって、電気化学装置のサイクル安定性及び安全性を向上させることができる。同時に、膨張及び変形が抑制されることにより、負極とセパレータとの間の界面安定性が向上することができるので、サイクル容量維持率が向上することができる。
本発明の一態様によれば、本発明の実施例は、負極とセパレータとの間に配置された粘着層を提供し、粘着層がリチウム補充した負極中のリチウム化合物層に対して十分な粘着力を生成することができる。したがって、電気化学装置は、リチウム化合物層とセパレータとの間に配置された粘着層を添加することにより、そのサイクル特性および安全性能を確保することができる。
図1は本発明の一部の実施例の電気化学装置の電極アセンブリの構造模式図である。
図1に示すように、本発明は、正極40、負極30、セパレータ10及び粘着層20を含む電気化学装置を提供し、ここで、負極30が負極活物質層302を含む。セパレータ10が正極40と負極30との間に配置されており、粘着層20が負極活物質層302とセパレータ10との間に配置されている。電気化学装置の負極は、リチウム補充プロセス処理を行い、負極活物質層302上にリチウム化合物層303が形成され、且つリチウム化合物層303は、粘着層20と負極活物質層302との間に配置されている。いくつかの実施例において、リチウム化合物層303は、炭酸リチウム及び酸化リチウムのうちの少なくとも一種を含む。
いくつかの実施例において、リチウム化合物層303が負極活物質層302と接触しており、且つリチウム化合物層303が粘着層20と接触している。
本明細書において、「層」という用語は、例えば、粘着層、負極活物質層、正極活物質層、リチウム化合物層などの、電気化学装置における個々の機能性材料の層状構造を説明するために使用される。具体的な実施例において、該層状構造は、連続的、非連続的、貫通孔を有する、または複数の粒子からなる層状構造であり得るが、これらに限定されない。例を挙げると、連続的な層状構造は、層に隙間が存在しない完全な層であり、非連続的な層状構造は、複数の散在した部分又は分断する部分を含む層であり、その層中の個々の部分同士の間には断面又は隙間が存在している。
図2及び図3は、リチウム補充プロセスで処理されていない負極表面の50及び400倍の走査型電子顕微鏡画像である。図4及び図5は、リチウム補充プロセスで処理された後の負極表面の50及び400倍の走査型電子顕微鏡画像である。
図2~図5に示すように、リチウム化合物層は、リチウムを補充していない負極と比較して、凹凸のある縦縞状の形態を示す。負極活物質層上にリチウム化合物層の被覆分布により、露出した負極活物質層部分とリチウム化合物層が被覆した部分で構成される表面の垂直方向の偏差値が大きくなり、セパレータ方向に対向する負極の表面の粗さが大きくなる。また、リチウム化合物層は高い孔隙率を有するため、リチウム補充プロセスで処理された後の負極の孔隙率を増加させ、負極の表面粗さをさらに向上させる。
理解すべきことは、リチウム化合物層の負極活物質層上の分布、形状及び被覆率は、リチウム補充プロセス処理時のリチウム金属の設置により制御することができ、例を挙げると、図4及び図5に示すように、リチウム補充プロセス処理時に、一定の長さと幅のリチウム金属ストリップを採用し、且つ一定の距離で設置することで、形成されたリチウム化合物層を負極活物質層に縞状に分布させることができる。いくつかの実施例において、リチウム化合物層は平面状、縞状、斑点状、不規則状を含む。いくつかの実施例において、リチウム化合物層は縞状である。
いくつかの実施例において、リチウム化合物層の負極活物質層に対する被覆率は30%以上である。他のいくつかの実施例において、リチウム化合物層の負極活物質層に対する被覆率は、おおよそ、例えば、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%である。
いくつかの実施例において、負極活物質層及びリチウム化合物層の孔隙率は、10%~60%である。他のいくつかの実施例において、負極活物質層及びリチウム化合物層の孔隙率は、おおよそ、例えば、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、又はこれらの値のいずれか2つからなる範囲にある。
いくつかの実施例において、負極の表面粗さが0.5μm~4.0μmである。他のいくつかの実施例において、負極の表面粗さは、おおよそ、例えば、0.5μm、1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、3.5μm、4.0μm、又はこれらの値のいずれか2つからなる範囲にある。
負極活物質層及びリチウム化合物層の孔隙率及び負極の表面粗さを調整することにより、粘着層と負極との接触面積をさらに制御することができ、粘着層中の高分子重合体の粒子を負極の表面に嵌め込むことができ、「かしめ」状態とし、相互作用力を向上させることができる。
いくつかの実施例において、リチウム化合物層の厚さが0.01μm~3μmである。
いくつかの実施例において、前記高分子重合体は、変性されたポリプロピレン系構造の重合体であり、高分子重合体は主鎖及び置換基を含む。
いくつかの実施例において、高分子重合体の主鎖は、メチルプロペン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、イミド、ビニルアルコール及びエチレングリコールのうちの少なくとも一種の単量体から形成される。いくつかの実施例において、高分子重合体の主鎖は、メチルプロペン、イミド、ビニルアルコール及びエチレングリコールのうちの少なくとも一種の単量体から形成される。
いくつかの実施例において、高分子重合体の置換基は、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、メトキシ基、シアノ基及びエステル基のうちの少なくとも一種を含む。いくつかの実施例において、高分子重合体の置換基は、カルボキシル基、ヒドロキシ基及びアミノ基のうちの少なくとも一種を含む。
いくつかの実施例において、高分子重合体の置換基の置換度は、0.2~0.8である。
本発明の実施例は一方で電気陰性度の大きな置換基を有する高分子重合体を選択することにより、電気陰性度が大きいほど、粘着層中の高分子重合体と粘着された界面物質との分子間力が強くなり、粘着層の粘着力を向上させることができる。本発明のいくつかの実施例において、高分子重合体は、粘着界面物質に対して強い分子間力を達成するために、5F/m~50F/mの誘電率を有する。
本発明の実施例は他方で特定の主鎖構造及び特定の置換基で構成される高分子重合体を選択することにより、粘着層が電解液に対して比較的良好な浸潤能力を有し、それにより強い粘着を実現することができる。エチレンカーボネートは、電気化学的安定性に優れ、例えばフルオロエチレンカーボネート(FEC)などの一般的なリチウム電池添加剤に対して良好な溶解性を有し、電解液の最も一般的な溶媒系である。したがって、粘着層中の高分子重合体のエチレンカーボネートに対する接触角は、粘着層の電解液に対する浸潤性を示すことができる。本発明のいくつかの実施例において、粘着層中の高分子重合体のエチレンカーボネートに対する接触角は0°~90°である。本発明のいくつかの実施例において、電解液に対する高い浸潤能力を実現するために、高分子重合体のエチレンカーボネートに対する接触角は10°~50°である。
本発明の実施例は他方で特定の置換基を有する高分子重合体を選択することにより、高分子重合体のアルカリ液中の構造安定性を効果的に向上させることができ、この粘着層は複数回の充放電サイクル過程の後に依然として負極及びセパレータに対する粘着力を維持し、電気化学装置のサイクル寿命を向上させる。粘着層中の高分子重合体は耐アルカリ性測定による重量減少率でその構造安定性を示すことができ、重量減少率が高いほど粘着層中の高分子重合体の置換基が剥離する状況が深刻となり、即ち粘着層の粘着力及び構造安定性が低いことを意味する。いくつかの実施例において、高分子重合体を1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液中に0.5時間浸漬した後の重量減少率が20%未満である。他のいくつかの実施例において、高分子重合体を1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液中に0.5時間浸漬した後の重量減少率が10%以下である。
いくつかの実施例において、粘着層が負極のリチウム化合物層又はセパレータに対する粘着力は、10N/m以上であり得る。他のいくつかの実施例において、粘着層が負極のリチウム化合物層又はセパレータの粘着力は15N/mである。他のいくつかの実施例において、粘着層が負極のリチウム化合物層又はセパレータの粘着力は20N/mである。
いくつかの実施例において、高分子重合体は粒子であり、且つ高分子重合体の粒度が0.01μm~20μmである。他のいくつかの実施例において、高分子重合体の粒度は、おおよそ、例えば、0.01μm、0.05μm、0.1μm、0.5μm、1.0μm、5.0μm、10.0μm、20.0μm、又はこれらの値のいずれか2つからなる範囲にある。
いくつかの実施例において、高分子重合体の数平均分子量は、1kDa~1000kDaである。他のいくつかの実施例において、高分子重合体の数平均分子量は、おおよそ、例えば、1kDa、10kDa、100kDa、200kDa、400kDa、600kDa、800kDa、1000kDa、又はこれらの値のいずれか2つからなる範囲にある。
いくつかの実施例において、粘着層は、無機粒子をさらに含み、ここで、無機粒子がSrTiO、SnO、CeO、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO、Y、Al、TiO、Al(OH)、Mg(OH)、SiC及びベーマイトのうちの少なくとも一種を含む。粘着層中に無機粒子を添加することにより、粘着層の機械的強度を向上させることができる。高い機械的強度を有する粘着層は、充放電サイクル時に電極アセンブリの温度が高すぎたり、暴走したりした場合に、熱収縮によるセパレータの安全事故(例えば、短絡、破裂等)を抑制することができる。
いくつかの実施例において、無機粒子の重量百分率は、粘着層の総重量に基づいて、50wt%以下である。他のいくつかの実施例において、無機粒子の重量百分率は、粘着層の総重量に基づいて、30wt%以下である。
いくつかの実施例において、粘着層の厚さが0.1μm~10μmである。他のいくつかの実施例において、粘着層の厚さは、おおよそ、例えば、0.1μm、0.5μm、1μm、1.5μm、2μm、3μm、4μm、5μm、10μm、又はこれらの値のいずれか2つからなる範囲にある。
いくつかの実施例において、粘着層の孔隙率は20%~80%である。他のいくつかの実施例において、粘着層の孔隙率は、おおよそ、例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又はこれらの値のいずれか2つからなる範囲にある。
本発明の実施例における粘着層の厚さ及び孔隙率の範囲は、粘着された界面の接触面積を確保して一定の接着力を確保することができ、且つ粘着層がセパレータ又は負極のイオンチャネルを塞ぐことを招くことなく、さらに一定のイオン導電率を維持することができる。
いくつかの実施例において、電気化学装置はリチウムイオン電池である。
図1を参照すると、いくつかの実施例において、正極40は正極集電体401を含み、且つ負極30は負極集電体301を含む。正極集電体401はアルミニウム箔又はニッケル箔であってもよく、負極集電体301は銅箔又はニッケル箔であってもよいが、当技術分野で一般的に使用される他の正極集電体及び負極集電体を使用することができ、それらに限定されない。
いくつかの実施例において、負極30は負極活物質層302を含む。負極活物質層302は、負極活物質を含み、負極活物質が人造黒鉛、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン、チタン酸リチウム、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、珪素酸素複合体及び珪素炭素複合体のうちの少なくとも一種を含む。
他のいくつかの実施例において、負極活物質層は、高エネルギー密度を有する負極活物質をさらに含み、その例としては、珪素、スズ、ゲルマニウム、アンチモン、ビスマス、アルミニウム、の単体、合金又はそれらの化合物のうちの一種または多種が挙げられるが、これらに限定されない。他のいくつかの実施例において、負極活物質は、珪素、珪素酸素複合体及び珪素炭素複合体のうちの少なくとも一種を含む。
いくつかの実施例において、正極40は、正極活物質層402を含む。正極活物質層402は、リチウム(Li)を吸蔵及び放出することが可能な正極活物質(以下、「リチウムLiの吸蔵/放出が可能な正極活物質」と称する場合がある)を含む。リチウム(Li)の吸蔵/放出が可能な正極活物質の例は、コバルト酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミン酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸バナジウムリチウム、リン酸バナジウムオキシドリチウム、リン酸鉄リチウム、チタン酸リチウム及びリチウムリッチマンガン系材料のうちの一種または多種を含んでもよい。
前記正極活物質において、コバルト酸リチウムの化学式は、LiCoM12-cであってもよく、ここで、M1元素は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ジルコニウム(Zr)及び珪素(Si)からなる群から選択される少なくとも一種であり、y、a、b及びcの値は、それぞれ、0.8≦y≦1.2、0.8≦a≦1、0≦b≦0.2、-0.1≦c≦0.2の範囲内にある。
前記正極活物質において、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム又はニッケルコバルトアルミン酸リチウムの化学式は、LiNiM22-fであってもよく、ここで、M2元素は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ジルコニウム(Zr)及び珪素(Si)からなる群から選択される少なくとも一種であり、z、d、e及びfの値は、それぞれ、0.8≦z≦1.2、0.3≦d≦0.98、0.02≦e≦0.7、-0.1≦f≦0.2の範囲内にある。
前記正極活物質において、マンガン酸リチウムの化学式は、LiMn2-g3g4-hであり、ここで、M3元素は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、及びタングステン(W)からなる群から選択される少なくとも一種であり、z、g及びhの値は、それぞれ、0.8≦u≦1.2、0≦g<1.0及び-0.2≦h≦0.2の範囲内にある。
いくつかの実施例において、正極活物質層及び負極活物質層は、それぞれ独立して、バインダー及び導電剤のうち少なくとも一種をさらに含むことができる。
いくつかの実施例において、バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン及びスチレンブタジエンゴムのうちの少なくとも一種を含む。いくつかの実施例において、導電剤は、カーボンナノチューブ、炭素繊維、導電性カーボンブラック、アセチレンブラック、グラフェン及びケッチェンブラックのうちの少なくとも一種を含む。理解すべきことは、当業者は実際の必要に応じて本分野の通常のバインダー及び導電剤を選択することができ、それに限定されるものではない。
いくつかの実施例において、リチウム化合物層は、バインダー及導電剤を含まない。
いくつかの実施例において、セパレータは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド及びアラミドのうちの少なくとも一種を含むが、これらに限定されない。例を挙げると、ポリエチレンは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び超高分子量ポリエチレンのうちの少なくとも一種の成分を含む。中でも、ポリエチレン及びポリプロピレンは、短絡の防止に優れた効果があり、そしてシャットダウン効果で電池の安定性を改善することができる。いくつかの実施例において、セパレータはポリプロピレンであり、ポリプロピレンは前記実施例中の高分子重合体と良好な親和性を有し、粘着層とセパレータとの粘着力を向上させることに有利である。
本発明のリチウムイオン電池はさらに電解質を含み、電解質はゲル電解質、固体電解質及び電解液のうちの一種または多種であってもよく、電解液はリチウム塩及び非水溶媒を含む。
いくつかの実施例において、リチウム塩はLiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiB(C、LiCHSO、LiCFSO、LiN(SOCF、LiC(SOCF、LiSiF、LiBOB及びジフルオロホウ酸リチウムからなる群から選択される一種または多種である。例を挙げると、LiPFは、高いイオン導電率を与え、サイクル特性を改善することができるから、リチウム塩として用いられることができる。
非水溶媒は、カーボネート化合物、カルボン酸エステル化合物、エーテル化合物、他の有機溶媒又はそれらの組み合わせであってもよい。
前記カーボネート化合物は、鎖状カーボネート化合物、環状カーボネート化合物、フッ素化カーボネート化合物又はそれらの組み合わせであってもよい。
前記他の有機溶媒の実例は、ジメチルスルホキシド、1,2-ジオキソラン、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチル-2-ピロリドン、ホルムアミド、ジメチルメチルアミド、アセトニトリル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル、及びリン酸エステル及びそれらの組み合わせである。
いくつかの実施例において、非水溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、フルオロエチレンカーボネート及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
理解すべきことは、本発明の実施例中の正極、負極、セパレータ及び電解質の調製方法は、本発明の技術思想に反しない限り、具体的な必要に応じて本分野の任意の適切な従来方法を選択することができ、それに限定されるものではない。
いくつかの実施例において、本発明のリチウムイオン電池の調製方法は以下のステップを含む。
(1)粘着層の調製:多軸高速分散反応釜を採用し、高分子重合体、酸化防止剤(412S,Rianlon Corporation)、乳化剤(N-ドデシルジメチルアミン)を99%、0.5%及び0.5%の重量比で反応釜に加え、反応温度を80℃~160℃に制御し、-0.8~-0.5MPaまで真空引き、4時間反応し、濾過により、高分子重合体スラリーを得る。高分子重合体スラリーと無機粒子を混合して粘着層スラリーを形成し、粘着層スラリーをセパレータの表面に塗工し、乾燥処理を経て表面に粘着層を有するセパレータを得る。
(2)負極のリチウム補充プロセス処理:乾燥室で、負極を85℃で24時間乾燥処理し、水分含有量<300ppmに制御する。リチウム金属箔をミクロンオーダーの厚さまで圧延し、続いて前記負極活物質層の表面と複合し、圧延処理してリチウム補充後の負極を形成する。
(3)リチウムイオン電池の組み立て:続いて前記正極、セパレータ(粘着層が塗工された面が負極に対向する)及びリチウム補充後の負極を順に配列した後、捲回、折り畳み又は積み重ねて電極アセンブリを形成し、電極アセンブリを包装袋に入れ、且つ電解液を注入し、続いて真空封止、静置、フォーメーション、シェーピング(shaping)等の工程を行い、リチウムイオン電池を得る。
以上、リチウムイオン電池を例に挙げて説明したが、当業者は本発明の趣旨に反しない限り、本発明の電気化学装置の具体例は、あらゆる種類の一次電池又は二次電池を含むことができることは明らかである。特に、該電気化学装置は、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウム重合体二次電池又はリチウムイオン重合体二次電池を含むリチウム二次電池である。
本発明のいくつかの実施例はさらに電子装置を提供し、電子装置は本発明の実施例中の電気化学装置を含む。
本発明の実施例の電子装置は特に限定されなく、先行技術で既知の任意の電子装置に使用してもよい。いくつかの実施例において、電子装置は、ノートコンピューター、ペン入力型コンピューター、モバイルコンピューター、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯型ファクシミリ、携帯型コピー機、携帯型プリンター、ステレオヘッドセット、ビデオレコーダー、液晶テレビ、ポータブルクリーナー、携帯型CDプレーヤー、ミニディスク、トランシーバー、電子ノートブック、電卓、メモリーカード、ポータブルテープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、オートバイ、補助自転車、自転車、照明器具、おもちゃ、ゲーム機、時計、電動工具、閃光灯、カメラ、大型家庭用ストレージバッテリー、及びリチウムイオンコンデンサーなどを含むが、これらに限定されていない。
具体的な実施例
以下では、本発明の技術案をよりよく説明するために、いくつかの具体的な実施例及び比較例を挙げ、且つそれぞれ、負極の表面粗さ及び厚さ、負極とセパレータとの粘着力、電気化学装置(リチウムイオン電池)の容量及びサイクル厚さ膨張率を測定しました。
一、測定方法
1.1表面粗さ及び厚さ測定:
共焦点レーザー走査型顕微鏡(Olympus、LEXT 0LS3100)を用いて、リチウムイオン電池のリチウム化合物層の部分表面領域の三次元トポグラフィ画像を取得し、画像解析により該領域の表面粗さ及び厚さを取得した。同じ測定対象物の異なる領域を繰り返しサンプリングして表面粗さ及び厚さの平均値を得た。
1.2容量測定:
フォーメーション後のリチウムイオン電池を25±3℃の環境で30分間静置し、0.5Cレートの定電流で電圧が4.45Vになるまで充電し、続いて4.45Vの定電圧で充電し、電流が0.05Cになるまで充電を停止し、測定対象であるリチウムイオン電池を30分間放置した。その後、0.2Cレートでリチウムイオン電池を3.0Vまで放電し、測定対象であるリチウムイオン電池を30分間放置した。最後に放電容量をリチウムイオン電池の実際の電池容量とした。リチウムイオン電池の体積エネルギー密度=実際の電池容量/(リチウムイオン電池の長さ×幅×厚さ)。
1.3粘着力測定:
乾燥室環境で、フォーメーション後のリチウムイオン電池及び400回のサイクル後のリチウムイオン電池を正極とセパレータの界面から分解し、電解液が揮発して乾燥するまで5分間静置して、150mm×20mmの大きさの負極、粘着層及びセパレータの積層構造を裁断し、高速引張試験機(AL-3000)を用い、且つ剥離角度を180°、引張速度を50mm/min、引張変位を50mmに設定し、界面剥離粘着力の測定を行った。各組に4枚のリチウムイオン電池を取り、リチウムイオン電池の負極とセパレータとの間の粘着力の平均値を算出した。
1.4サイクル厚さ膨張率測定:
600gの板厚さ計(ELASTOCON,EV 01)を用いてリチウムイオン電池の厚さを測定した。リチウムイオン電池を25℃±2℃の恒温ボックスに入れて2時間静置し、0.7Cの定電流で4.45Vまで充電し、次に4.45Vの定電圧で0.05Cまで充電し且つ15分間静置し、さらに0.7Cの定電流で3.0Vまで放電し、これは一回の充放電サイクル過程であり、リチウムイオン電池が初回のサイクル時に満充電状態での厚さを記録し、続いて前記方法で800回の充放電サイクル過程を繰り返し、且つリチウムイオン電池のサイクルごとに満充電状態での厚さを記録した。
各組に4枚のリチウムイオン電池を測定し、リチウムイオン電池のサイクル厚さ膨張率の平均値を算出した。リチウムイオン電池のサイクル厚さ膨張率=(800回のサイクル後のリチウムイオン電池の厚さ/フォーメーション後のリチウムイオン電池の厚さ-1)×100%。
1.5サイクル特性測定:
25℃±2℃の恒温ボックス中で、リチウムイオン電池を0.5Cの定電流で4.45Vまで充電した後、4.45Vの定電圧で0.05Cまで充電し且つ15分間静置し、さらに0.5Cの定電流で3.0Vまで放電し、5分間静置し、これは一回の充放電サイクル過程であった。初回放電容量を100%とし、充放電サイクル過程を繰り返し、放電容量が80%まで減衰した時点で測定を停止し、リチウムイオン電池のサイクル特性を評価する指標としてのサイクル回数を記録した。
二、調製方法
2.1正極の調製
コバルト酸リチウムと、導電性カーボンブラックと、ポリフッ化ビニリデンとを重量比97:1.4:1.6の割合でN-メチルピロリドン溶液に溶解し、正極スラリーを形成した。アルミニウム箔を正極集電体として使用し、正極スラリーを正極集電体上に塗工し、乾燥し、コールドプレスし、カッティング工程を経た後に正極を得た。
2.2負極の調製
珪素炭素複合体と、スチレンブタジエンゴムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムとを重量比97.7:1.0:1.3の割合で脱イオン水に溶解し、負極スラリーを形成し、ここで、珪素の重量百分率は10%であった。銅箔を負極集電体として使用し、負極スラリーを負極集電体上に塗工し、乾燥し、コールドプレスし、カッティング工程を経た後に負極を得た。
2.3電解液の調製
含水量が10ppm未満の環境で、ヘキサフルオロリン酸リチウムと非水有機溶媒(エチレンカーボネート(EC):ジエチルカーボネート(DEC):プロピレンカーボネート(PC):プロピオン酸プロピル(PP):ビニレンカーボネート(VC)=20:30:20:28:2、重量比)とを重量比8:92で調製し、電解液を調製した。
比較例1
ポリフッ化ビニリデン粉末と、ドデシルジメチルアミン(乳化剤)と、水とを重量比9.5:0.5:90の割合で常温で1時間混合し、3時間静置してポリフッ化ビニリデン水性エマルジョンを得た。ポリフッ化ビニリデン水性エマルジョンと、ジメチルアセトアミドとを重量比2:1の割合で混合して粘着層塗料を形成した。ポリエチレンをセパレータとして使用し、粘着層塗料をセパレータの両側面に塗工し、乾燥した後に、粘着層とセパレータを得、ここで、粘着層の片側の厚さが2.0μmであり且つセパレータの厚さが5.0μmであった。
次に、セパレータを正極と負極との間に介在して隔離の役割を果たし、且つ粘着層をセパレータと負極との間に介在して粘着の役割を果たすように、前記正極、セパレータ、粘着層及び前記負極を順に配列した後、捲回して電極アセンブリが得られた。次いで、該電極アセンブリをアルミニウムプラスチックフィルム包装袋に置き、前記電解液をドライ電極アセンブリに注入し、真空封止、静置、フォーメーション、シェーピング等の工程を経て、リチウムイオン電池の調製を完成した。
比較例2
比較例2の調製方法は、ポリエチレン製のベアセパレータ(粘着層なし)を使用したこと以外は、比較例1の調製方法と同様であった。
実施例1
実施例1の調製方法は、さらに負極に対して下記リチウム補充プロセス処理を行った後に、前記正極、セパレータ、粘着層及び負極を順に配列して組み立て、リチウムイオン電池を得たこと以外は、比較例1の調製方法と同様であった。
リチウム補充プロセス処理:厚さが0.04μmのリチウム化合物層を形成するように、負極の負極活物質層の表面に一層のリチウム金属箔を設置し、ここで、リチウム化合物層の負極活物質層に対する被覆率が80%であった。
実施例2~6
実施例2~6の調製方法は、表1を具体的に参照して、ポリフッ化ビニリデン水性エマルジョンに代えて、主鎖の単量体がプロピレンであり、置換基がカルボキシル基であり、置換度が0.65であり、分子量が30000であり、粒度が1.1μmである球状粒子の高分子重合体(変性ポリプロピレン重合体)で形成された高分子重合体水性エマルジョンを用いて、且つ粘着層の厚さを変更したこと以外は、実施例1の調製方法と同様であった。
実施例7~12
実施例7~12の調製方法は、表1を具体的に参照して、リチウム化合物層の厚さを変更したこと以外は、実施例4の調製方法と同様であった。
実施例13~18
実施例13~18の調製方法は、表1を具体的に参照して、負極の表面粗さを変更したこと以外は、実施例4の調製方法と同様であった。
実施例19~21
実施例19~21の調製方法は、表1を具体的に参照して、リチウム化合物層の被覆率を変更したこと以外は、実施例4の調製方法と同様であった。
実施例22~26
実施例22~26の調製方法は、表1を具体的に参照して、負極活物質層及びリチウム化合物層の孔隙率を変更したこと以外は、実施例4の調製方法と同様であった。
上記実施例及び比較例で調製された新鮮なリチウムイオン電池について、その厚さ、幅、長さ及び重量を測定した。次いで、一部の新鮮なリチウムイオン電池を分解し、リチウム化合物層の表面粗さ及び厚さを測定した。他の一部のリチウムイオン電池に対して容量測定、粘着力測定、サイクル厚さ膨張率測定及びサイクル特性測定を行い、それらの測定結果を記録した。
実施例1~26及び比較例1、2の負極及びその機能層の統計値を下記表1に示す。
Figure 0007437516000001
実施例1~21及び比較例1、2のリチウムイオン電池の粘着力測定、容量測定及びサイクル厚さ膨張率測定の結果を下記表2に示す。
Figure 0007437516000002
実施例22~26及び比較例1、2のリチウムイオン電池の粘着力測定、容量測定、サイクル厚さ膨張率測定及びサイクル特性測定の結果を下記表3に示す。
Figure 0007437516000003
表1~3に示すように、本発明の実施例におけるリチウム補充プロセス後のリチウムイオン電池は、本発明の高分子重合体を有する粘着層を設けることにより、粘着層のリチウム化合物層に対する粘着力を効果的に向上させることができ、さらに一定の体積エネルギー密度を維持する状態でリチウムイオン電池のサイクル厚さ膨張率を低下させることができる。実施例1、4と比較例1、2との比較から分かるように、粘着層がないこと又は従来のポリフッ化ビニリデンを粘着層として使用することに比べ、本発明の実施例4の粘着層における高分子重合体に用いられる変性ポリプロピレン重合体は、リチウム補充処理後の負極とセパレータとの間の粘着力を効果的に向上させることができ、且つリチウム補充プロセス処理後のリチウムイオン電池はより高い体積エネルギー密度を有し、本発明の実施例2~26の電気化学装置のサイクル特性、電気化学性能及び安全性能を向上させることができる。
実施例2~6を比較すると、リチウムイオン電池の粘着層の厚さが大きいほど、粘着層とリチウム金属層及びセパレータとの間の粘着力が高くなることがわかる。しかしながら、粘着層の厚さが厚いほど、リチウムイオン電池の体積エネルギー密度がさらに低下する。実施例4と実施例7~12とを比較すると、リチウムイオン電池のリチウム化合物層の厚さが厚いほど、体積エネルギー密度が高くなることがわかる。しかしながら、リチウム化合物層の厚さが大きいほど、粘着層のリチウム化合物層に対する粘着力がさらに低下する。本発明の実施例の範囲内のリチウムイオン電池は、比較的高い体積エネルギー密度を維持する状態で比較的低いサイクル厚さ膨張率を同時に維持することができる。
実施例4と実施例13~18とを比較すると、リチウムイオン電池の負極の表面粗さが大きいほど、粘着層の粘着力が向上し、サイクル厚さ膨張率を小さくなることがわかる。しかしながら、表2に示すように、負極の表面粗さが3μmを超えると、リチウムイオン電池のサイクル厚さ膨張率の低下が顕著ではない。また、粗さが大きすぎると、負極とセパレータとの間の結合にさらに影響を及ぼす可能性があり、リチウムイオン電池の安全性能に影響を及ぼすリスクを増加させる。
実施例4と実施例19~21とを比較すると、リチウム化合物層の負極活物質層に対する被覆率が高いほど、リチウムイオン電池の粘着層の粘着力が高いことがわかる。
実施例4と実施例22~26とを比較すると、表3に示すように、負極活物質層及びリチウム化合物層の孔隙率を高めることにより、リチウムイオン電池のサイクル特性を向上させることができることがわかる。しかしながら、負極活物質層及びリチウム化合物層の孔隙率が60%を超えると、リチウムイオン電池の循サイクル特性の向上が顕著ではなく、且つ孔隙率が高すぎると、リチウムイオン電池の構造安定性が低下するおそれがある。
前記実施例の比較により、本発明の電気化学装置は、リチウム補充プロセス処理を経た後に、そのエネルギー密度を効果的に向上させ且つ負極上にリリチウム化合物層を形成することができ、リチウム化合物層とセパレータとの間に粘着層を設けることにより、負極とセパレータとの間の粘着力を向上させ、高エネルギー密度の状態で電気化学装置のサイクル厚さ膨張率及び変形を低減させることができることが明らかに理解される。同時に、本発明は粘着層における高分子重合体を限定することにより、負極とセパレータとの間の粘着層の粘着力をさらに確保することができ、さらに電気化学装置の安全性能及びサイクル特性を顕著に向上させることができる。
明細書全体では、「いくつかの実施例」、「一部の実施例」、「一つの実施例」、「他の例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」の引用については、本発明の少なくとも一つの実施例又は例は、当該実施例又は例に記載の特定の特徴、構造、材料又は特性を含むことを意味する。したがって、明細書全体の各場所に記載された、例えば「いくつかの実施例において」、「実施例において」、「一つの実施例において」、「他の例において」、「一つの例において」、「特定の例において」又は「例」は、必ずしも本発明における同じ実施例又は例を引用するわけではない。また、本明細書の特定の特徴、構造、材料、または特性は、一つまたは複数の実施例または例において、あらゆる好適な形態で組み合わせることができる。
例示的な実施例が開示および説明されているが、当業者は、上述実施例が本発明を限定するものとして解釈されることができなく、且つ、本発明の技術思想、原理、および範囲から逸脱しない場合に実施例を改変、置換および変更することができること、を理解すべきである。

Claims (11)

  1. 正極と、負極と、セパレータと、粘着層と、リチウム化合物層とを含み、
    前記負極は、負極活物質層を含み、
    前記セパレータは、前記正極と前記負極との間に配置されており、
    前記粘着層は、前記負極活物質層と前記セパレータとの間に配置されており、
    前記リチウム化合物層は、前記粘着層と前記負極活物質層との間に配置されており、前記リチウム化合物層は炭酸リチウム及び酸化リチウムのうちの少なくとも一種を含
    前記粘着層は高分子重合体を含み、前記高分子重合体は主鎖及び置換基を含み、前記高分子重合体は変性されたポリプロピレン系構造の重合体である、電気化学装置。
  2. 前記主鎖は、メチルプロペン、メタクリル酸、メタクリル酸メチルからなる群から選択される少なくとも一種の単量体から形成され、
    前記置換基は、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、メトキシ基、シアノ基及びエステル基からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載の電気化学装置。
  3. 前記高分子重合体は粒子であり、かつ前記高分子重合体の粒度は0.01μm~20μmである、請求項2に記載の電気化学装置。
  4. 前記リチウム化合物層の厚さは0.01μm~3μmであり、前記粘着層の厚さは0.1μm~10μmであり、前記負極の表面粗さは0.5μm~4.0μmである、請求項1に記載の電気化学装置。
  5. 前記リチウム化合物層は前記負極活物質層と接触しており、且つ前記リチウム化合物層は前記粘着層と接触している、請求項1に記載の電気化学装置。
  6. 前記リチウム化合物層の前記負極活物質層に対する被覆率は30%を超えている、請求項1に記載の電気化学装置。
  7. 前記負極活物質層及び前記リチウム化合物層の孔隙率は10%~60%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電気化学装置。
  8. 前記負極活物質層は、負極活物質を含み、
    前記負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン、チタン酸リチウム、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、珪素酸素複合体及び珪素炭素複合体からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載の電気化学装置。
  9. 前記負極活物質層は、バインダー及び導電剤のうちの少なくとも一種をさらに含み、
    前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン及びスチレンブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも一種を含み、且つ、
    前記導電剤は、カーボンナノチューブ、炭素繊維、導電性カーボンブラック、アセチレンブラック、グラフェン及びケッチェンブラックからなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項8に記載の電気化学装置。
  10. 前記リチウム化合物層は、前記バインダー及び前記導電剤を含まない、請求項9に記載の電気化学装置。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載の電気化学装置を含む電子装置。
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