以下、本発明に係る遊技機の第一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。
図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は正面視略正方形の板状であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠10によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、遊技球発射装置37(図3参照)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上面には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。発射ハンドル7は、遊技者が回転操作できるように設けられており、遊技者が発射ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル7の回転角度に応じた強度で、遊技球発射装置37によって遊技球が発射される。前面枠10の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。ガイドレール3は、遊技領域4の左側に形成されている。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行するセンター飾り8が設けられている。遊技球発射装置37によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は、センター飾り8の左側を流下し、所定の強度以上で発射された遊技球は、センター飾り8の右側を流下する。以下、遊技球がセンター飾り8の左側を流下するように遊技球を発射することを「左打ち」と、遊技球がセンター飾り8の右側を流下するように遊技球を発射することを「右打ち」という。
センター飾り8は、表示画面28を主に備える。表示画面28は、センター飾り8の上部の略中央に配置される。表示画面28は、例えばLCD等によって構成されており、様々な数字・文字等を表示可能である。また、表示画面28は、報知演出を実行可能である。報知演出は、演出用の図柄である演出図柄(図示略)を変動させた後に、後述する大当たり判定の結果を示す演出図柄の組合せを確定表示させることで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する演出である。
センター飾り8の略中央下方には、第一始動口14が設けられている。第一始動口14の下方には、第二大入賞口17が設けられている。センター飾り8の右斜め下方には、遊技球が通過可能なゲート12が設けられている。ゲート12は、普通図柄の作動ゲートである。ゲート12の下方には、第二始動口15が設けられている。第二始動口15は、いわゆる普通電動役物(普通当たり判定の結果に基づき入賞口の大きさを変化する役物)に係る入賞口として構成されている。第二始動口15は、第二始動口ソレノイド69(図3参照)によって電気的に開閉される。
第二始動口15の左斜め下方には、第一大入賞口16が設けられている。第二始動口15、第一大入賞口16及び第二大入賞口17は、それぞれ開閉部材を備える。遊技球は、開閉部材が開放された場合にのみ、第二始動口15、第一大入賞口16及び第二大入賞口17のそれぞれに入賞することができる。なお、第二始動口15は、開閉部材が閉鎖された閉鎖状態にも遊技球の入賞が可能であって、開閉部材が開放されることで閉鎖状態よりも遊技球が入賞容易となる構成であってもよい。
第一大入賞口16及び第二大入賞口17は、それぞれ、いわゆる特別電動役物(後述する大当たり判定の結果に基づき入賞口の入口の大きさを変化する役物)に係る入賞口として構成されている。第一大入賞口16は、第一大入賞口ソレノイド70(図3参照)によって電気的に開閉される。第二大入賞口17は、第二大入賞口ソレノイド71(図3参照)によって電気的に開閉される。本実施形態では、第一大入賞口16は、小当たり遊技状態(後述する小当たり遊技の実行中)が生起されている場合に、大当たり遊技として開放状態と閉鎖状態とが切り替えられるように構成されている。第二大入賞口17は、後述する大当たり遊技状態が生起されている場合に、大当たり遊技として開放状態と閉鎖状態とが切り替えられるように構成されている。
遊技領域4には、上記以外に、アウト口18、各種の電飾部材、入賞口、風車及び遊技くぎ等が設けられている。遊技領域4を流下する遊技球のうち、第一始動口14、第二始動口15、第一大入賞口16、第二大入賞口17及びその他の入賞口のいずれにも入賞せず遊技領域4の下部まで流下した遊技球は、遊技盤2の下部に設けられたアウト口18を通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
なお、遊技領域4において、各遊技部材が上記のように配設されるため、左打ちされた遊技球は、右打ちされた遊技球よりも第一始動口14に入賞しやすい。右打ちされた遊技球が第一始動口14へ入賞することは困難である。また、右打ちされた遊技球は、左打ちされた遊技球よりもゲート12、第二始動口15及び第二大入賞口17を、通過又は入賞しやすい。また、第二大入賞口17には、左打ちされた遊技球及び右打ちされた遊技球のいずれも入賞可能であるが、左打ちされた遊技球よりも右打ちされた遊技球の方が第二大入賞口17に入賞しやすくなるように遊技くぎ等が配置されている。左打ちされた遊技球が、ゲート12、第二始動口15及び第二大入賞口17を、通過又は入賞することは困難である。したがって、遊技者は、後述する小当たり遊技中、大当たり遊技中及び時短状態中には右打ちによって遊技を進め、それ以外の場合に左打ちによって遊技を進める。
遊技盤2の右下部には、図柄表示部24が設けられている。図柄表示部24は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LED及び普通図柄記憶数表示LEDを備える。第一特別図柄表示部及び第二特別図柄表示部は、それぞれ1つの7セグメントLEDからなり、第一大当たり判定及び第二大当たり判定の結果を示す第一特別図柄及び第二特別図柄を表示する。以下、第一大当たり判定及び第二大当たり判定を総称する場合、又はいずれかを特定しない場合、大当たり判定ともいう。普通図柄表示部は、LEDの点灯及び消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。第一特別図柄記憶数表示LEDは、第一大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球である第一保留球の個数を示す第一保留球数を表示する。第二特別図柄記憶数表示LEDは、第二大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球である第二保留球数の個数を示す第二保留球数を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは、普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球である普通保留球の個数を示す普通保留球数を表示する。
パチンコ機1における遊技の概要について説明する。パチンコ機1の遊技には、大当たり遊技、小当たり遊技及び普通当たり遊技が設けられている。大当たり遊技は、条件装置の作動により役物連続作動装置が作動することにより実行される。条件装置とは、役物連続作動装置が作動するための条件となる装置である。本実施形態では、条件装置は、大当たりであることを示す特別図柄が確定表示された場合に作動する。また、役物連続作動装置とは、大入賞口が連続して作動する大当たり遊技状態を生起させるための装置である。以下、条件装置及び役物連続作動装置が作動している状態を、大当たり遊技状態という。
本実施形態では、第一始動口14へ遊技球が入賞すると、第一大当たり判定が行われ、判定の結果を示す第一特別図柄が、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される。第一大当たり判定では、大当たり、小当たり又ははずれのいずれかが、第一大当たり乱数に基づいて判定される。第一大当たり判定によって大当たりであると判定されると、判定結果が大当たりであることを示す第一特別図柄が図柄表示部24の第一特別図柄表示部に確定表示されて、条件装置が作動する。これに伴い、役物連続作動装置が作動して大当たり遊技状態が生起され、第二大入賞口17の開閉部材が所定時間開放状態にされることが所定回数繰り返される大当たり遊技が実行される。本実施形態において、第二大入賞口17は、条件装置の作動により役物連続作動装置が作動した場合に作動する大入賞口である。なお、通常状態において第一始動口14へ遊技球が入賞することを契機として行われた第一大当たり判定によって大当たりであると判定されたことに伴って実行される大当たり遊技を、「初当たり遊技」ともいう。
以下、大当たり遊技において第二大入賞口17の開閉部材が連続して開放状態にされる繰り返しの一単位を、「大当たりラウンド」という。1回の大当たりラウンド毎に、第二大入賞口17が所定時間で1回又は複数回開放する。以下では、ラウンド数を「R」と示すことがある。また、1回の大当たり遊技を構成する大当たりラウンドの合計数を、「ラウンド数」という。
また、第一大当たり判定によって小当たりであると判定されると、判定結果が小当たりであることを示す図柄表示部24の第一特別図柄表示部に確定表示される。その後、第一大入賞口16の開閉部材が1回だけ所定時間開放状態にされる小当たり遊技が実行される。本実施形態において、第一大入賞口16は、小当たりであることを示す特別図柄が確定表示された場合に作動する大入賞口である。小当たり遊技は、大当たり遊技よりも大入賞口の開放時間が短く制限されており、一般に、大当り遊技と比較して遊技者における有利度が小さい遊技である。大当たり判定によって小当たりであると判定された段階では、条件装置は作動しないので、役物連続作動装置も作動しない。本実施形態の小当たり遊技では、第一大入賞口16の開閉部材が所定回数繰り返して開放状態にされない。なお、小当たり遊技における第一大入賞口16の開閉部材の1回の開放が、複数回の開放動作によって構成されることは妨げられない。本実施形態では、第二大当たり判定において小当たりであると判定される確率(以下、「小当たり確率」という。)は、遊技状態に関わらず、約1/83(約3/250)である。
一方、第二始動口15へ遊技球が入賞すると、第二大当たり判定が行われ、判定の結果を示す第二特別図柄が図柄表示部24の第二特別図柄表示部に表示される。第二大当たり判定では、大当たり又ははずれのいずれであるかが、第二大当たり乱数に基づいて判定される。第二大当たり判定において大当たりであると判定されると、判定結果が大当たりであることを示す第二特別図柄が、図柄表示部24の第二特別図柄表示部に確定表示されて、条件装置が作動する。これに伴い、役物連続作動装置が作動して大当たり遊技状態が生起され、大当たり遊技が実行される。第一実施形態では、第一大当たり判定において大当たりであると判定される確率、及び第二大当たり判定において大当たりであると判定される確率(以下、「大当たり確率」という。)は、遊技状態に関わらず、約1/99である。なお、第一実施形態のパチンコ機1は、大当たり確率が高い方と低い方の間で変動するいわゆる確率変動機能を搭載していない。
以下では、大当たり遊技及び小当たり遊技を総称する場合、又はいずれかを特定しない場合に、単に当たり遊技という。本実施形態は、第二大当たり判定が第一大当り判定に優先して実行される、いわゆる優先変動タイプの遊技仕様を有する。
また、ゲート12を遊技球が通過すると、普通当たり判定が行われ、判定の結果を示す普通図柄が図柄表示部24の普通図柄表示部に表示される。普通当たり判定において普通当たりであると判定されると、第二始動口15の開閉部材が開閉される普通当たり遊技が実行される。本実施形態では、普通当たり判定において当たりであると判定される確率(以下、「普通当たり確率」という。)は、遊技状態に関わらず、約1/1.1(約90/100)である。
パチンコ機1は、非時短状態及び時短状態のいずれかを設定する。非時短状態は、第二始動口15の開閉部材が開放状態にされる割合が通常の割合である遊技状態である。時短状態は、非時短状態よりも第二始動口15の開閉部材が開放状態にされる頻度が高くなる遊技状態である。具体的には、1回の普通当たり遊技中における第二始動口15の開閉部材の開放時間の合計は、非時短状態よりも時短状態の方が長い。また、普通図柄の変動時間は、非時短状態における変動時間(本実施形態では約10秒)よりも時短状態における変動時間(本実施形態では約2秒)の方が短い。本実施形態では、非時短状態のことを、通常状態ともいう。
パチンコ機1は、大当たり判定によって判定結果が導出されたときの遊技状態に応じて、以降に時短状態を設定するか否かを決定する。本実施形態では、設定された時短状態は、大当たり遊技の終了後に行われた大当たり判定の回数(第一大当たり判定と第二大当たり判定との合計実施回数。以下、「判定回数」という。)があらかじめ定められた回数に達することで終了する。以下では、時短状態が終了するのに必要な判定回数を、時短回数ともいう。なお、本実施形態では、大当たり判定によって小当たり及びはずれと判定された場合にも、以降に時短状態が設定される場合がある点において、従来の遊技機と異なる。
図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、中継基板47及び電源基板42を主に備える。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、乱数発生回路56及び割込信号発生回路57が接続されている。乱数発生回路56は、所定範囲の乱数を発生させる。割込信号発生回路57は、一定周波数のクロック信号を出力するクロック回路(図示略)からクロック信号が入力される毎に割込信号を発生させる。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎に、後述する主制御プログラムのメイン処理を実行する。
主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、外部端子板55、第一始動口スイッチ61及び第二始動口スイッチ62に接続している。サブ制御基板58は、CPU581、RAM582及びROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、操作ボタン9及びスピーカ48に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46は、電飾基板34に接続している。電飾基板34は、例えばLEDを搭載しており、前述の各種の電飾部材の内部に設けられている。ランプドライバ基板46は、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って、電飾基板34の発光動作等を制御する。演出制御基板43は、CPU431等を備え、サブ制御基板58から送信されるコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。
払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を賞球として賞球払出装置49に払い出させる。
中継基板47は、第二始動口ソレノイド69、第一大入賞口ソレノイド70、第二大入賞口ソレノイド71、ゲートスイッチ74、第一大入賞口スイッチ76、第二大入賞口スイッチ77及び図柄表示部24に接続している。
第二始動口ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第二始動口15の開閉部材を開閉する。第一大入賞口ソレノイド70は、小当たり遊技中に第一大入賞口16の開閉部材を開閉する。第二大入賞口ソレノイド71は、大当たり遊技中に第二大入賞口17の開閉部材を開閉する。ゲートスイッチ74は、ゲート12に設けられており、ゲート12への遊技球の通過を検出する。第一大入賞口スイッチ76は、第一大入賞口16に設けられており、第一大入賞口16への遊技球の入賞を検出する。第二大入賞口スイッチ77は、第二大入賞口17に設けられており、第二大入賞口17への遊技球の入賞を検出する。
外部端子板55は、パチンコホールに設置されている遊技機を統括的に管理する遊技場管理用コンピュータ(いわゆるホールコンピュータ、図示略)にパチンコ機1の情報を接点出力する。第一始動口スイッチ61は、第一始動口14に設けられており、第一始動口14への遊技球の入賞を検出する。第二始動口スイッチ62は、第二始動口15に設けられており、第二始動口15への遊技球の入賞を検出する。
電源基板42は、主基板41及び遊技球発射装置37に接続されており、各基板及び遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
図4を参照して、RAM52の第一大当たり関係情報記憶エリアについて説明する。第一大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(図10から図12参照)において使用される。第一大当たり関係情報記憶エリアには、最大第一保留球数に対応する複数の記憶エリアが設けられている。本実施形態において、記憶可能な第一保留球数の上限である最大第一保留球数は「4」である。このため、第一大当たり関係情報記憶エリアには、No.1からNo.4の4つの記憶エリアが設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞した際に第一保留球数が4未満(0~3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。
第一保留球数は、第一始動口14へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、第一大当たり判定の実行、第一特別図柄の変動時間を示す第一変動パターンの決定等が保留された状態で記憶されている乱数(第一保留球)の個数である。CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数を、判定エリア(図示略)にシフトする。判定エリアは、大当たり判定を行う乱数を格納するために、RAM52に設けられている記憶エリアであり、第一大当たり判定と第二大当たり判定とで共通に用いられる。CPU51は、判定エリアにシフトされた乱数について第一大当たり判定等の各種処理を行う。最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数が、判定エリアにシフトされると、次の番号以下に記憶されている乱数が、1つ小さな番号の記憶エリアにシフトされる。以降は、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数が順次、判定エリアにシフトされて、第一大当たり判定等の処理が繰り返される。判定エリアに記憶されている乱数についての各種処理には、例えば、第一大当たり判定の結果を報知する報知演出の決定、及び判定結果に応じて実行される大当たり遊技に関する処理が含まれる。なお、判定エリアの乱数は、大当たり判定等の処理が終了した後に消去される。
各記憶エリアには、第一大当たり判定カウンタの値が記憶される第一大当たり乱数欄、第一特別図柄決定カウンタの当たりが記憶される第一図柄決定乱数欄、及び第一変動パターン決定カウンタの値が記憶される第一変動パターン決定乱数欄が設けられている。遊技球が第一始動口14へ入賞すると、その時点で乱数発生回路56によって乱数の種類毎に生成されている乱数がハード回路によってラッチされて、各欄に記憶される。第一大当たり乱数は、第一大当たり判定のために用いられる。第一図柄決定乱数は第一特別図柄を決定するために用いられる。第一変動パターン決定乱数は、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される第一特別図柄の変動時間を示す第一変動パターンを決定するために用いられる。第一大当たり乱数とともに取得されて第一大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して、第一乱数ともいう。また、第一特別図柄の変動時間を、第一変動時間ともいう。
図示しないが、RAM52には、第二大当たり関係情報記憶エリアが設けられている。第二大当たり関係情報記憶エリアも、メイン処理の特別図柄処理において使用される。本実施形態では、第二大当たり関係情報記憶エリアに、最大第二保留球数に対応する4つの記憶エリアが設けられている。第二保留球数は、第二始動口15へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、第二大当たり判定の実行、第二特別図柄の変動時間を示す第二変動パターンの決定等が保留された状態で記憶されている乱数(第二保留球)の個数である。第二始動口15に遊技球が入賞すると、その時点で乱数発生回路56によって乱数の種類毎に生成されている乱数がハード回路によってラッチされて、第二大当たり関係情報記憶エリアの各欄に記憶される。記憶エリアには、第二大当たり判定カウンタの値が記憶される第二大当たり乱数欄、第二特別図柄決定カウンタの値が記憶される第二特別図柄決定乱数欄、及び第二変動パターン決定カウンタの値が記憶される第二変動パターン決定乱数欄が設けられている。
CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数を、前述の判定エリアにシフトする。CPU51は、判定エリアにシフトされた乱数について第二大当たり判定等の各種処理を行う。第二大当たり乱数とともに取得されて第二大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して、第二乱数ともいう。また、第二特別図柄の変動時間を、第二変動時間ともいう。
以下の説明では、第一大当たり乱数及び第二大当たり乱数を総称する場合又はいずれかを特定しない場合、大当たり乱数ともいう。また、第一変動パターン決定乱数及び第二変動パターン決定乱数を総称する場合又はいずれかを特定しない場合、変動パターン決定乱数ともいう。また、第一特別図柄決定乱数数及び第二特別図柄決定乱数を総称する場合又はいずれかを特定しない場合、特別図柄決定乱数ともいう。
パチンコ機1において、第一変動時間及び第二変動時間は、第一大当たり判定及び第二大当たり判定の結果を遊技者に報知する報知演出の演出時間に等しい。サブ制御基板58は、主基板41で決定された変動パターンに従って報知演出を制御する。具体的には、主基板41は、第一変動パターン決定乱数に基づく第一変動パターンに従って、第一特別図柄の変動を開始する。また、主基板41は、第二変動パターン決定乱数に基づく第二変動パターンに従って、第二特別図柄の変動を開始する。サブ制御基板58は、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動開始に同期して、演出図柄の変動表示を開始する。主基板41は、第一変動時間が終了すると、変動させていた第一特別図柄を、所定の特別図柄停止表示時間(本実施形態では0.8秒)の間、確定表示させる。また、主基板41は、第二特別図柄の変動時間が終了すると、変動させていた第二特別図柄を、所定の特別図柄停止表示時間の間、確定表示させる。サブ制御基板58は、特別図柄停止表示時間に同期して、演出図柄を確定表示させる。また、サブ制御基板58は、演出図柄による他、表示画面28、電飾部材、スピーカ48等によっても、特別図柄の変動時間と同期した報知演出を実行する。
なお、RAM52には、ゲート12を遊技球が通過する時点に取得される普通当たり乱数を記憶するための普通当たり関係情報記憶エリアが設けられている。普通当たり関係情報記憶エリアも、第一大当たり関係情報記憶エリアと同様に構成されている。本実施形態では、普通当たり関係情報記憶エリアに4つの記憶エリアが設けられており、最大普通保留球数は「4」である。記憶エリアには、普通当たり判定カウンタの値が記憶される普通当たり乱数欄、普通図柄決定カウンタの値が記憶される普通図柄決定乱数欄が設けられている。普通当たり乱数は、普通当たり判定のために用いられる。普通図柄決定乱数は、普通当たり図柄を決定するために用いられる。
図5を参照して、ROM53に記憶されている特別図柄決定テーブルについて説明する。パチンコ機1は、第一大当たり判定の結果を示す第一特別図柄と、第二大当たり判定の結果を示す第二特別図柄とを、特別図柄決定テーブルを参照することで決定する。第一特別図柄及び第二特別図柄は、それぞれ複数の図柄種別のいずれかに分類される。複数の図柄種別は、大当たり判定の結果が大当たりであることを示す大当たり種別と、大当たり判定の結果が小当たりであることを示す小当たり種別と、大当たり判定の結果がはずれであることを示すはずれ種別を含む。本実施形態では、第一特別図柄が大当たり種別と小当たり種別とはずれ種別で構成されており、第二特別図柄が大当たり種別とはずれ種別とで構成されている。特別図柄決定テーブルでは、複数の図柄種別のそれぞれに、特別図柄決定乱数の値(0~99)が対応付けられている。
第一特別図柄の大当たり種別は、「5R大当たりA」、「5R大当たりB」及び「5R大当たりC」の3種類であり、「5R大当たりA」が88%、「5R大当たりB」が10%、「5R大当たりC」が2%である。「5R」は、それぞれの大当たり種別に対応付けられたラウンド数を示す。第一特別図柄の小当たり種別は、「小当たりA」及び「小当たりB」の2種類であり、「小当たりA」が66.7%、「小当たりB」が33.3%である。第一特別図柄のはずれ種別は、「特1はずれ」の1種類である。第二特別図柄の大当たり種別は、「10R大当たり」の1種類である。第二特別図柄のはずれ種別は、「特2はずれA」及び「特2はずれB」の2種類であり、「特2はずれA」が16%、「特2はずれB」が84%である。
図柄種別のそれぞれには、大当たり判定が行われた時点(その図柄種別が決定された時点)に設定されている遊技状態に応じて、その図柄種別が決定された以降に設定される遊技状態が関連付けられている。大当たり種別に関連付けられた遊技状態は、大当たり種別に対応する大当たり遊技の実行が終了した後に設定される。小当たり種別に関連付けられた遊技状態は、小当たり種別に対応する小当たり遊技の実行が終了した後に設定される。はずれ種別に関連付けられた遊技状態は、変動する特別図柄がはずれ種別に対応する特別図柄で確定表示された後に設定される。
第一特別図柄の大当たり種別として「5R大当たりA」が決定された場合、その決定された時点における遊技状態に関わらず、対応する大当たり遊技の終了後に通常状態が設定される。「5R大当たりB」及び「5R大当たりC」が決定された場合、その決定された時点における遊技状態に関わらず、対応する大当たり遊技の終了後に時短状態が設定される。「5R大当たりB」が決定されたことに応じて設定される時短状態の時短回数は、1回である。「5R大当たりC」が決定されたことに応じて設定される時短状態の時短回数は、150回である。
第一特別図柄の小当たり種別として「小当たりA」が決定された場合、その決定された時点における遊技状態に関わらず、対応する小当たり遊技の実行の前後において遊技状態が変化しない。第一特別図柄の小当たり種別として通常状態に「小当たりB」が決定された場合、対応する小当たり遊技の終了後に時短状態が設定される。「小当たりB」が決定されたことに応じて設定される時短状態の時短回数は、1回である。時短状態において「小当たりB」が決定された場合、対応する小当たり遊技の実行の前後において遊技状態が変化しない。第一特別図柄のはずれ種別として「特1はずれ」が決定された場合、その決定された時点における遊技状態に関わらず、対応するはずれ変動の前後において遊技状態が変化しない。なお、特別図柄の変動のうち、大当たりを示す図柄が確定表示される変動を大当たり変動、小当たりを示す図柄が確定表示される変動を小当たり変動、はずれを示す図柄が確定表示される変動をはずれ変動という。
第二特別図柄の大当たり種別として「10R大当たり」が決定された場合、その決定された時点における遊技状態に関わらず、対応する大当たり遊技の終了後に時短状態が設定される。「10R大当たり」が決定されたことに応じて設定される時短状態の時短回数は、150回である。第二特別図柄のはずれ種別として通常状態に「特2はずれA」が決定された場合、対応するはずれ変動においてはずれを示す図柄が確定表示された後に(はずれ変動の終了後に)、時短状態が設定される。「特2はずれA」が決定されたことに応じて決定される時短状態の時短回数は150回である。時短状態に「特2はずれA」が決定された場合、対応するはずれ変動の前後において遊技状態が変化しない。第二特別図柄のはずれ種別として「特2はずれB」が決定された場合、その決定された時点における遊技状態に関わらず、対応するはずれ変動の前後において遊技状態が変化しない。
図6を参照して、ROM53に記憶されている第一変動パターン決定テーブルについて説明する。第一変動パターン決定テーブルは、第一大当たり判定による判定結果、判定結果に応じて決定される第一特別図柄の図柄種別及び第一変動パターンが決定される時点における遊技状態(通常状態又は時短状態)に応じて、複数のテーブルを設けている。それぞれの区分には、1又は複数種類の第一変動パターンが割り当てられており、各変動パターンに第一変動パターン決定乱数の値(0~511)及び第一変動時間が対応付けられている。
第一大当たり判定が行われた場合、その時点の遊技状態と大当たり判定による判定結果とに応じたテーブル区分が参照され、第一大当たり乱数とともに取得されている第一変動パターン決定乱数の値に対応する第一変動パターンが1つ決定される。通常状態における第一大当たり判定の判定結果が大当たりの場合、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が高くなる。「リーチ演出」とは、例えば3つの演出図柄のうち2つが同じ図柄で停止するリーチ状態が構成された後に、大当たりの可能性があることを示す演出を実行する報知演出である。一方、判定結果がはずれの場合、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が低くなる。したがって、第一大当たり判定の結果が大当たりとなる期待値は、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に高くなる。なお、本実施形態において、「非リーチ演出A」等の「非リーチ」の変動パターンは、リーチ状態に至ることなく演出が終了する報知演出であり、本実施形態では、大当たり判定の結果がはずれの場合にのみ決定される。
通常状態における第一大当たり判定の判定結果が小当たりの場合、小当たり種別に応じた第一変動パターンが決定される。小当たり種別が小当たりAの場合、「小当たり変動A(失敗)」の第一変動パターンが、小当たり種別が小当たりBの場合、「小当たり変動A(成功)」又は「小当たり変動B」の第一変動パターンが、それぞれ決定される。「小当たり変動A(失敗)」は、小当たりの判定結果が導出されたことに伴ってその後に実行される小当たり遊技の終了後に時短状態が設定されないことを示す内容の報知演出に対応する。「小当たり変動A(成功)」は、途中までは「小当たり変動A(失敗)」に対応する報知演出と同様の演出が行われるが、最終的には小当たり遊技の終了後に時短状態が設定されることを示す報知演出に対応する。「小当たり変動B」は、小当たりの判定結果が導出されたことに伴い、小当たり遊技の終了後に時短状態が設定されることを最初から示す報知演出に対応する。
時短状態における第一大当たり判定の判定結果が大当たりの場合、「リーチ演出F」の第一変動パターンが決定される。時短状態における第一大当たり判定の判定結果が小当たりの場合、小当たり遊技の終了後に時短状態が設定されることがないため、小当たり種別に関わらず共通して「小当たり変動C」の第一変動パターンが決定される。時短状態における第一大当たり判定の判定結果がはずれの場合、「非リーチ演出B」の第一変動パターンが決定される。
図7を参照して、ROM53に記憶されている第二変動パターン決定テーブルについて説明する。第二変動パターン決定テーブルは、第二大当たり判定による判定結果、判定結果に応じて決定される第二特別図柄の図柄種別及び第二変動パターンが決定される時点における遊技状態(通常状態又は時短状態)に応じて、複数のテーブルを設けている。それぞれの区分には、1又は複数種類の第二変動パターンが割り当てられており、各変動パターンに第二変動パターン決定乱数の値(0~511)及び第二変動時間が対応付けられている。
通常状態における第二大当たり判定の結果が大当たりの場合には、第一大当たり判定の判定結果が大当たりの場合と同様に第二変動パターンが決定される。通常状態における第二大当たり判定の結果がはずれの場合、はずれ種別に応じた第二変動パターンが決定される。はずれ種別が特2はずれAの場合、「突入成功演出」の第二変動パターンが、はずれ種別が特2はずれBの場合、「非リーチ演出C」又は「突入失敗演出」の第二変動パターンが、それぞれ決定される。「突入成功演出」は、はずれの判定結果が導出されたとこに伴って、はずれ変動の終了後に時短状態が設定されることを示す報知演出に対応する。「突入失敗演出」は、途中までは「突入成功演出」と同様の演出が行われるが、最終的には、はずれ変動の終了後に時短状態が設定されないことを示す報知演出に対応する。
なお、通常状態において第二大当たり判定が行われるのは、主に、時短状態が終了した時点に第二保留球が記憶されている場合である。時短状態が終了した時点において記憶されている第二保留球を、以下では「残保留」という。
時短状態における第二大当たり判定の結果が大当たりの場合、「リーチ演出P」から「リーチ演出T」の順に、変動パターンが決定される割合が高くなる。一方、判定結果がはずれの場合、はずれ変動の終了後に時短状態が設定されることがないため、はずれ種別に関わらず共通して、「リーチ演出P」から「リーチ演出T」の順に、変動パターンが決定される割合が低くなる。
図8を参照して、ROM53に記憶されている特殊変動パターン決定テーブルについて説明する。特殊変動パターン決定テーブルは、時短状態において最後に実行される報知演出に対応する変動パターンが定義されている。なお、特殊変動パターン決定テーブルは、時短状態において最後に実行される報知演出に対応する変動パターンが決定される場合に、第一大当たり判定及び第二大当たり判定のいずれが行われた場合にも参照される。第一実施形態では、時短回数が1回の時短状態と、時短回数が150回の時短状態とがある。時短回数が1回の時短状態の場合には、特殊変動パターン決定テーブルが参照されて変動パターンが決定される。時短回数が150回の時短状態の場合には、その時短状態において150回目に行われた大当たり判定の結果を報知する報知演出を決定するために、特殊変動パターン決定テーブルが参照されて変動パターンが決定される。その他の時短状態中の変動パターンは、第一変動パターン決定テーブル又は第二変動パターン決定テーブルが参照されて決定される。
大当たり判定の判定結果が大当たりの場合、時短状態において最後に実行される報知演出に対応する変動パターンとして「大当たり変動A」が決定される。大当たり判定の判定結果が小当たりの場合、時短状態において最後に実行される報知演出に対応する変動パターンとして、小当たり種別に関わらず「小当たり変動D」が決定される。大当たり判定の判定結果がはずれの場合、時短状態において最後に実行される報知演出に対応する変動パターンとして、はずれ種別に関わらず「はずれ変動A」が決定される。
「大当たり変動A」、「小当たり変動D」及び「はずれ変動A」は、いずれも30秒の特別図柄の変動時間が対応付けられている。この変動時間は、報知演出の実行中に第二保留球を最大第二保留球数(本実施形態では4個)まで保留できるようにするため、少なくとも、時短状態中の普通図柄の変動時間よりも長くされている。時短状態の最後に実行される報知演出において確実に第二保留球を最大第二保留球数まで保留するためには、変動時間が、時短状態中の普通図柄の変動時間と、時短状態における第二始動口15の1回の開放にかかる時間とを足した時間の2倍以上の時間であることが望ましい。これにより、パチンコ機1は、時短状態において最後に実行される報知演出の実行中に第二始動口15を少なくとも1回開放させ、遊技者に報知演出の実行中に第二保留球を保留させることができる。つまり、パチンコ機1は、時短状態が終了した時点に残保留を確保し、時短状態が終了した後の通常状態において残保留に対して実行される第二大当たり判定ではずれと判定された場合に、時短状態が設定されるか否かに対して、遊技者の注目を集めることができる。なお、本実施形態では、時短状態において最後に実行される報知演出に対応する変動パターンの示す特別図柄の変動時間は、大当たり判定の判定結果によらず同じ時間であるが、異なる時間であってもよい。また、それぞれの大当たり判定の判定結果に応じて、変動時間が異なる複数通りの変動パターンが定義されていてもよい。変動時間が異なる複数通りの変動パターンのうち一部が、残保留を確保できないような短い時間(例えば、時短状態中の普通図柄の変動時間よりも短い時間)に対応していてもよい。
主基板41は、決定した変動パターンに応じて決められている変動時間だけ、第一特別図柄又は第二特別図柄を変動させる。また、主基板41は、変動パターンが決定されると、変動パターンを指定するコマンドである変動パターン指定コマンドを、サブ制御基板58へ送信する。サブ制御基板58は、コマンドによって指定された変動パターンに応じて表示画面28及びスピーカ48等を制御する。
図9から図16を参照して、パチンコ機1の主基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。制御プログラムのメイン処理(図11参照)は、割込信号発生回路57(図3参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が検知した際に、CPU51において実行される。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
パチンコ機1の電源がONにされると、CPU51は、メイン処理を開始する。図9に示すように、メイン処理が開始されると、まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。コマンド出力処理では、制御コマンドが、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47等に出力される。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。スイッチ読込処理では、ゲート12、第一始動口14、第二始動口15、第一大入賞口16、第二大入賞口17、その他の入賞口に設けられた各スイッチ(図3参照)の検出結果から、遊技球の通過又は入賞を検知するための処理が行われる。各スイッチが遊技球の通過を検出すると、RAM52に記憶されている各スイッチに対応するフラグが「ON」となる。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタの値が加算され、且つ、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである第一変動時間カウンタ及び第二変動時間カウンタの値が減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。詳細は後述するが、特別電動役物処理では、当たり遊技の動作を制御するための処理、遊技状態に関する処理等が行われる(図15及び図16参照)。当たり遊技の動作とは、主に、大当たり遊技及び小当たり遊技における第一大入賞口16及び第二大入賞口17の開閉部材の開閉動作である。
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。詳細は後述するが、特別図柄処理では、大当たり判定、変動パターンの決定、特別図柄の図柄種別の決定及び遊技状態の移行処理等が行われる(図10及び図12参照)。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S16)。普通電動役物処理では、普通当たり判定の結果が普通当たりとなった場合に、普通当たり遊技の動作(主に第二始動口15の開閉部材の開閉動作)を制御するための処理が行われる。CPU51は、時短状態が設定されていれば、非時短状態中よりも長く、第二始動口15の開閉部材を開放させる。
次いで、普通図柄処理が行われる(S17)。普通図柄処理では、ゲートスイッチ74が遊技球を検出することを契機として、普通当たり乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当たり判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。また、普通図柄の変動時間は、非時短中の変動時間(本実施形態では10秒)よりも時短状態中の変動時間(本実施形態では2秒)の方が短い。
次いで、払出処理(S18)、エラーチェック(S19)及び情報出力処理(S20)が行われる。払出処理では、スイッチ読込処理によって各スイッチに対応するフラグが「ON」とされた場合に、各スイッチに対応する入賞口へ遊技球が入賞したことを示すコマンドが、払出制御基板45に送信される。このコマンドを受信した払出制御基板45のCPU45aは、コマンドに対応する入賞口について予め定められている個数の賞球を、入賞口への入賞球数に応じて賞球払出装置49に払い出させる。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28及びスピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、遊技場管理用コンピュータ(図示略)に各種の情報が出力される。
図10から図12を参照して、特別図柄処理(S14、図9参照)の詳細について説明する。まず、特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。特別図柄処理では、大当たり遊技状態フラグ、小当たり遊技状態フラグ、特別図柄表示状態フラグ、時短フラグ、時短準備フラグ等が使用される。これらのフラグはRAM52に記憶される。
大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技状態であるかを示すフラグであり、大当たり遊技状態に「1」が記憶されて「ON」になり、大当たり遊技状態でない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。小当たり遊技状態フラグは、小当たり遊技状態であるかを示すフラグであり、小当たり遊技状態に「1」が記憶されて「ON」になり、小当たり遊技状態でない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。特別図柄表示状態フラグは、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれか一方が変動している場合(変動中)に「1」、いずれか一方が停止表示されている場合(停止表示中)に「2」、いずれも変動中でも停止表示中でもない場合に「0」が記憶される。時短フラグは、時短回数が150回の時短状態に「1」、時短回数が1回の時短状態に「2」、非時短状態に「0」が記憶される。時短準備フラグは、小当たりの判定結果に対応して小当たり遊技の終了後に時短状態を設定する場合に「1」が記憶されて「ON」になり、そうでない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。
図10に示すように、特別図柄処理が開始されると、第一始動口14に遊技球が入賞しているかが判断される(S41)。第一始動口スイッチ61(図3参照)が遊技球の入賞を検知すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図9参照)において第一始動口スイッチ61に対応するフラグが「ON」になる。このフラグが「OFF」の場合には、第一始動口14に遊技球が入賞していないと判断されて(S41:NO)、処理はS51の判断へ移行する。
このフラグが「ON」の場合には、第一始動口14に遊技球が入賞していると判断されて(S41:YES)、第一保留球数が「4」であるかが判断される(S43)。RAM52に記憶されている第一保留球数が「4」である場合(S43:YES)、第一保留球数が最大第一保留球数に達しているため、処理はS51の判断へ移行する。第一保留球数が「4」でない場合(S43:NO)、RAM52に記憶されている第一保留球数に「1」が加算される(S45)。次いで、第一乱数が取得され、第一大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)における空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S46)。具体的には、第一大当たり乱数欄には第一大当たり乱数の乱数値が、第一図柄決定乱数欄には第一図柄決定乱数の乱数値が、第一変動パターン決定乱数欄には第一変動パターン決定乱数の乱数値が、それぞれ記憶される。処理はS51の判断へ移行する。
次いで、第二始動口15に遊技球が入賞しているかが判断される(S51)。第二始動口スイッチ62(図3参照)が遊技球の入賞を検知すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図9参照)において第二始動口スイッチ62に対応するフラグが「ON」になる。このフラグが「OFF」の場合には、第二始動口15に遊技球が入賞していないと判断されて(S51:NO)、処理はS61(図11参照)の判断へ移行する。
このフラグが「ON」の場合には、第二始動口15に遊技球が入賞していると判断されて(S51:YES)、第二保留球数が「4」であるかが判断される(S52)。RAM52に記憶されている第二保留球数が「4」である場合(S52:YES)、第二保留球数が最大第二保留球数に達しているため、処理はS61の判断へ移行する。第二保留球数が「4」でない場合(S52:NO)、RAM52に記憶されている第二保留球数に「1」が加算される(S55)。次いで、第二乱数が取得され、第二大当たり関係情報記憶エリア(図示略)における空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S56)。具体的には、第二大当たり乱数欄には第二大当たり乱数の乱数値が、第二図柄決定乱数欄には第二図柄決定乱数の乱数値が、第二変動パターン決定乱数欄には第二変動パターン決定乱数の乱数値が、それぞれ記憶される。処理はS61の判断へ移行する。
次いで、図11に示すように、大当たり遊技状態又は小当たり遊技状態であるかが判断される(S61)。以下では、大当たり遊技状態又は小当たり遊技状態が発生している状態を、当たり遊技状態という。大当たり遊技状態フラグ又は小当たり遊技状態フラグが「ON」である場合、当たり遊技状態であると判断されて(S61:YES)、処理はメイン処理へ戻る。大当たり遊技状態フラグ及び小当たり遊技状態フラグがいずれも「OFF」である場合、当たり遊技状態中でないと判断されて(S61:NO)、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかが変動中であるか否かが判断される(S62)。特別図柄表示状態フラグが「1」でない場合、いずれも変動中でないと判断されて(S62:NO)、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかが停止状態中であるか否かが判断される(S63)。特別図柄表示状態フラグが「2」でない場合、いずれも停止表示中でないと判断されて(S63:NO)、処理はS71(図12参照)へ移行し、大当たり判定等の処理が行われる。
本実施形態では、大当たり判定において、第二大当り判定が第一大当たり判定よりも優先して行われる。図12に示すように、まず、第二保留球数が「1」以上であるか否かが判断される(S71)。RAM52に記憶されている第二保留球数が「1」以上である場合(S71:YES)、第二大当り判定が行われるが、詳細は後述する。第二保留球数が「0」である場合(S71:NO)、第一保留球数が「1」以上であるか否かが判断される(S72)。RAM52に記憶されている第一保留球数が「0」である場合(S72:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
第一保留球数が「1」以上である場合(S72:YES)、RAM52に記憶されている第一保留球数が「1」減算される(S73)。第一大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)において最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第一乱数が、判定エリアにシフトされる(S75)。
次いで、第一大当り判定処理が行われる(S76)。図示しないが、ROM53には、第一大当たり判定を行うための第一判定テーブルが記憶されている。第一判定テーブルには、「大当たり」、「小当たり」及び「はずれ」にそれぞれ対応する第一大当たり乱数の乱数値が定義されている。S76では第一判定テーブルが参照されて、S75で判定エリアにシフトされた第一大当たり乱数が「大当たり」、「小当たり」及び「はずれ」のいずれに対応するかが判定される。これにより、RAM52に記憶された未判定の第一大当たり乱数に基づく第一大当たり判定が、第一大当たり乱数の記憶された順に行われる。
次いで、S76で導出された第一大当たり判定の結果に応じた図柄種別が決定される(S78)。S78の処理では、特別図柄決定テーブル(図5参照)が参照されて、S75で判定エリアにシフトされた第一図柄決定乱数の値に応じて、図柄種別が決定される。決定された図柄種別は、RAM52に記憶される。処理はS101へ移行する。
一方、第二大当たり判定が行われる場合には、まず、第二保留球数が「1」減算される(S91)。第二大当たり関係情報記憶エリア(図示略)において最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第二乱数が、判定エリアにシフトされる(S92)。
次いで、第二大当り判定処理が行われる(S93)。図示しないが、ROM53には、第二大当たり判定を行うための第二判定テーブルが記憶されている。第二判定テーブルには、「大当たり」及び「はずれ」にそれぞれ対応する第二大当たり乱数の乱数値が定義されている。S93では第二判定テーブルが参照されて、S92で判定エリアにシフトされた第二大当たり乱数が「大当たり」又は「はずれ」のいずれに対応するかが判定される。これにより、RAM52に記憶された未判定の第二大当たり乱数に基づく第二大当たり判定が、第二大当たり乱数の記憶された順に行われる。
次いで、S93で導出された第二大当たり判定の結果に応じた図柄種別が決定される(S95)。S95の処理では、特別図柄決定テーブル(図5参照)が参照されて、S92で判定エリアにシフトされた第二図柄決定乱数の値に応じて、図柄種別が決定される。決定された図柄種別は、RAM52に記憶される。処理はS101へ移行する。
次いで、変動パターン決定処理が行われる(S101)。変動パターン決定処理では、時短フラグの状態が参照されて、現時点において通常状態又は時短状態のいずれの遊技状態が設定されているかが特定される。特定された遊技状態と、大当たり判定による判定結果にと応じて変動パターンが決定される。
図13を参照して、変動パターン決定処理(S101、図12参照)の詳細について説明する。変動パターン決定処理では、ROM53に記憶されている第一変動パターン決定テーブル(図6参照)、第二変動パターン決定テーブル(図7参照)又は特殊変動パターン決定テーブル(図8参照)が参照されて、一つの変動パターンが決定される。
変動パターン決定処理が開始されると、時短フラグに「1」が記憶されているか(時短回数が150回の時短状態中であるか)が判断される(S121)。時短フラグに「1」が記憶されている場合(S121:YES)、判定回数計数カウンタの値が「149」であるか(時短状態における150回目の変動パターンの決定か)が判断される(S122)。判定回数計数カウンタは、時短状態において実行された判定回数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。判定回数計数カウンタは、パチンコ機1の電源投入時には「0」を示す。判定回数計数カウンタは、大当たり遊技が行われる場合及び時短状態が新たに設定される場合に「0」にクリアされる。判定回数計数カウンタの値が「149」でない場合(S122:NO)、処理はS125へ移行する。
時短フラグに「1」が記憶されていない場合(S121:NO)、時短フラグに「2」が記憶されているか(時短回数が1回の時短状態中であるか)が判断される(S123)。時短フラグに「2」が記憶されていない場合(時短フラグが「0」の通常状態の場合)(S123:NO)、第一変動パターン決定テーブル又は第二変動パターン決定テーブルが参照されて、変動パターンが決定される(S125)。第一大当たり判定の判定結果に対応する変動パターンを決定する場合には第一変動パターン決定テーブルが参照される。第二大当たり判定の判定結果に対応する変動パターンを決定する場合には第二変動パターン決定テーブルが参照される。これにより、大当たり判定による判定結果に応じた第一変動パターン又は第二変動パターンが決定される。処理は特別図柄処理(図12参照)へ戻る。
一方、時短フラグに「2」が記憶されている場合(時短回数が1回の時短状態である場合)(S123:YES)、又は判定回数計数カウンタの値が「149」である場合(時短状態における150回目の変動パターンの決定である場合)(S122:YES)、特殊変動パターン決定テーブルが参照されて、大当たり判定による判定結果に応じた第一変動パターン又は第二変動パターンが決定される(S128)。処理は特別図柄処理へ戻る。
図12の説明に戻る。変動パターンが決定されると、決定された変動パターンを指定するための変動パターン指定コマンドが生成される(S102)。生成された変動パターン指定コマンドは、RAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、中継基板47及びサブ制御基板58に送信される。中継基板47を介して第一変動パターン指定コマンドを受信した図柄表示部24は、第一特別図柄表示部における第一特別図柄の変動を開始し、第二変動パターン指定コマンドを受信した図柄表示部24は、第二特別図柄の変動を開始する。第一変動パターン指定コマンドを受信したサブ制御基板58は、表示画面28の演出図柄の変動開始を指示する。
次いで、決定された変動パターンに対応する特別図柄の変動時間が、特別図柄変動時間カウンタに記憶される(S103)。特別図柄が変動中であることを示す「1」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S104)、処理はメイン処理へ戻る。
また、図11に示すS62の判断において、特別図柄表示フラグに「1」が記憶されている場合には、特別図柄が変動中であると判断されて(S62:YES)、第一変動時間又は第二変動時間が経過したかが判断される(S111)。この判断は、S103において記憶された特別図柄変動時間カウンタの値に応じて行われる。特別図柄変動時間カウンタの値が「0」でない場合には第一変動時間又は第二変動時間がまだ経過していないと判断されて(S111:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となっている場合には第一変動時間又は第二変動時間が経過したと判断されて(S111:YES)、特別図柄停止コマンドが生成される(S112)。生成された特別図柄停止コマンドは、RAM52に記憶される。特別図柄停止コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理によって中継基板47及びサブ制御基板58に送信され、図柄表示部24における第一特別図柄又は第二特別図柄の変動停止及び表示画面28の演出図柄の変動停止を指示する。
次いで、所定の特別図柄停止表示時間(本実施形態では0.8秒)が、RAM52の特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S113)。第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかが停止表示中であることを示す「2」が特別図柄表示状態フラグに記憶される(S114)。その後、処理はメイン処理へ戻る。
また、S63の判断において、特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されている場合(S63:YES)、S103においてセットされた特別図柄停止時間カウンタの値に応じて、特別図柄停止時間が経過したかが判断される(S116)。特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でない場合には特別図柄停止時間が経過していないと判断されて(S116:NO)、処理はメイン処理へ戻る。特別図柄停止時間カウンタの値が「0」の場合には特別図柄停止時間が停止したと判断されて(S116:YES)、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれも変動中でも停止表示中でもないことを示す「0」が、特別図柄表示状態フラグに記憶される(S117)。次いで、遊技状態移行処理が行われて(S118)、処理はメイン処理へ戻る。
図14を参照して、遊技状態移行処理(S118、図11参照)について詳細に説明する。遊技状態移行処理では、大当り判定によって大当たり又は小当たりであると判定された場合に、遊技を大当たり遊技状態又は小当たり遊技状態に移行させる処理が行われる。また、時短状態を設定する所定の条件が成立した場合に時短状態を設定し、時短状態を終了する所定の条件が成立した場合に時短状態を終了させるための処理が行われる。
遊技状態移行処理が開始されると、まず、大当たり判定の判定結果が大当たりであるかが判断される(S131)。判定結果が大当たりである場合(S131:YES)、判定回数計数カウンタの値が「0」にクリアされる(S133)。次いで、時短フラグが「0」でない場合には時短フラグに「0」が記憶される(S134)。つまり、大当たり遊技状態には、遊技状態が通常状態に設定される。次いで、大当たり遊技状態フラグが「ON」となる(S135)。次いで、大当たり種別に対応するラウンド数(本実施形態では「5」又は「10」)が、Rカウンタに記憶される(S136)。Rカウンタは、大当たり遊技において実行されたラウンド数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。処理は特別図柄処理へ戻る。
一方、大当たり判定の判定結果が大当たりでない場合(S131:NO)、大当たり判定の結果が小当たりであるかが判断される(S141)。判定結果が小当たりである場合(S141:YES)、小当たり遊技状態フラグが「ON」になる(S142)。次いで、現在の遊技状態が通常状態であるかが判断される(S143)。この判断は、時短フラグの状態に応じて行われる。時短フラグが「0」でない場合には通常状態でないと判断されて(S143:NO)、処理はS161へ移行する。
時短フラグが「0」である場合には通常状態であると判断されて(S143:YES)、小当たりの判定結果に対応して決定された図柄種別が、小当たりBであるかが判断される(S145)。この判断は、RAM52に記憶されている図柄種別を参照することによって行われる。図柄種別が小当たりBでない場合(S145:NO)、処理はS161へ移行する。図柄種別が小当たりBである場合(S145:YES)、時短準備フラグが「ON」になり(S146)、処理はS161へ移行する。
一方、大当たり判定の判定結果がはずれである場合(S141:NO)、現在の遊技状態が通常状態であるかが判断される(S151)。時短フラグが「0」でない場合には通常状態でないと判断されて(S151:NO)、処理はS161へ移行する。時短フラグが「0」である場合には通常状態であると判断されて(S151:YES)、はずれの判定結果に対応して決定された図柄種別が、特2はずれAであるかが判断される(S152)。図柄種別が特2はずれAでない場合(S152:NO)、処理はS161へ移行する。図柄種別が特2はずれAである場合(S152:YES)、判定回数計数カウンタの値が「0」にクリアされる(S153)。次いで、時短フラグに「1」が記憶されて(S155)、処理は特別図柄処理へ戻る。
次いで、判定回数計数カウンタに「1」が加算される(S161)。次いで、時短フラグに「1」が記憶されているか(時短回数が150回の時短状態中であるか)が判断される(S162)。時短フラグに「1」が記憶されている場合(S161:YES)、判定回数計数カウンタの値が「150」であるかが判断される(S163)。判定回数計数カウンタの値が「150」でない場合(S163:NO)、処理は特別図柄処理へ戻る。
時短フラグに「1」が記憶されていない場合(S162:NO)、時短フラグに「2」が記憶されているか(時短回数が1回の時短状態中であるか)が判断される(S165)。時短フラグに「0」が記憶されている場合(通常状態である場合)(S165:NO)、処理は特別図柄処理へ戻る。時短フラグに「2」が記憶されている場合(S165:YES)、又は判定回数計数カウンタの値が「150」である場合(S163:YES)、時短フラグに「0」が記憶される(S168)。すなわち、時短回数が150回の時短状態中に判定回数が150回に到達した場合、及び時短回数が1回の時短状態中に判定回数が1回に到達した場合には、時短状態が終了し、遊技状態が通常状態に移行する。処理は特別図柄処理へ戻る。
図15及び図16を参照して、特別電動役物処理(S13、図9参照)の詳細について説明する。まず、特別電動役物処理で使用されるフラグについて説明する。特別電動役物処理では、前述の各種フラグに加えて、開放中フラグ等が使用される。開放中フラグは、第一大入賞口16及び第二大入賞口17が開放状態であるか否かを示すフラグであり、RAM52に記憶される。開放中フラグには、第一大入賞口16の開閉部材が開放されている場合に「1」、第二大入賞口17の開閉部材が開放されている場合に「2」、いずれも開放されていない場合に「0」が記憶される。なお、本実施形態において、第一大入賞口16と第二大入賞口17とが同時に開放することはない。
図15に示すように、特別電動役物処理が開始されると、大当たり遊技状態であるかが判断される(S172)。この判断は、大当たり遊技状態フラグの状態に応じて行われる。大当たり遊技状態フラグが「ON」の場合(S171:YES)、Rカウンタの値が「0」であるかが判断される(S171)。後述するが、Rカウンタの値は、大当たりラウンドが1回終了するごとに「1」減算される。Rカウンタの値が「0」であることは、大当たりラウンドがすべて終了したことを意味する。
Rカウンタの値が「0」でない場合(S172:NO)、第二大入賞口17が開放状態であるかが判断される(S173)。開放フラグに「2」が記憶されている場合には第二大入賞口17が開放状態であると判断されて(S173:YES)、処理はS181の判断へ移行する。
開放フラグに「2」が記憶されていない場合には第二大入賞口17が開放状態でないと判断されて(S173:NO)、第二大入賞口17の開閉部材を開放させるための第二開放コマンドが生成され、RAM52に記憶される(S175)。第二開放コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において中継基板47に送信される。中継基板47を介して第二開放コマンドを受信した第二大入賞口ソレノイド71は、第二大入賞口17の開閉部材を開放させる。
次いで、大当たり開放時間が、大当たり開放時間カウンタに記憶される(S176)。大当たり開放時間カウンタは、大当たりラウンドにおける第二大入賞口17の最大開放時間である大当たり開放時間を計測するためのカウンタであり、RAM52に記憶される。本実施形態では、大当たり開放時間である28.0秒間を示す値がRAM52に記憶される。次いで、開放中フラグに「2」が記憶される(S178)。処理はS181の判断へ移行する。
次いで、第二大入賞口17へ遊技球が入賞したかが判断される(S181)。第二大入賞口スイッチ77が遊技球の入賞を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理において、第二大入賞口スイッチ77に対応するフラグが「ON」になる。このフラグが「ON」の場合には第二大入賞口17に遊技球が入賞したと判断されて(S181:YES)、第二大入賞口17へ入賞した遊技球の個数を計数するRAM52の第二入賞球数カウンタに「1」が加算される(S182)。処理はS183の判断へ移行する。このフラグが「OFF」の場合には第二大入賞口17に遊技球が入賞していないと判断されて(S181:NO)、処理はS183の判断へ移行する。
次いで、第二大入賞口17への入賞球数が「8」以上であるかが判断される(S183)。第二入賞球数カウンタの値が「8」未満の場合(S183:NO)、大当たり開放時間カウンタの値に基づいて大当たり開放時間が経過したかが判断される(S185)。大当たり開放時間が経過していない場合(S185:NO)、処理はメイン処理へ戻る。以降に行われる特別電動役物処理において、大当たり遊技状態であり(S171:YES)、Rカウンタの値が「0」でない場合(S172:NO)、第二大入賞口17に8個以上の遊技球が入賞するか、又は大当たり開放時間が経過するまで、これらの判断が繰り返し実行される(S183:NO、S185:NO)。
第二大入賞口17に8個以上の遊技球が入賞するか(S183:YES)、又は大当たり開放時間が経過した場合(S185:YES)、第二閉鎖コマンドが生成され、RAM52に記憶される(S186)。第二閉鎖コマンドは、開放している第二大入賞口17の開閉部材を閉鎖させるためのコマンドである。第二閉鎖コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において中継基板47に送信される。中継基板47を介して第二閉鎖コマンドを受信した第二大入賞口ソレノイド71は、第二大入賞口17の開閉部材を閉鎖させる。次いで、開放中フラグに「0」が記憶され(S188)、Rカウンタの値が「1」減算されて(S189)、処理はメイン処理へ戻る。
一方、Rカウンタの値が「0」の場合(S172:YES)、大当たり遊技状態フラグが「OFF」になる(S191)。次いで、実行した大当たり遊技に対応する大当たり種別が「5R大当たりC」又は「10R大当たり」であるかが判断される(S192)。この判断は、S78及びS95(図12参照)でRAM52に記憶された図柄種別が参照されることによって行われる。大当たり種別が「5R大当たりC」又は「10R大当たり」である場合(S192:YES)、時短フラグに「1」が記憶されて(S193)、処理はメイン処理へ戻る。大当たり種別が「5R大当たりC」又は「10R大当たり」でない場合(S192:NO)、大当たり種別が「5R大当たりB」であるかが判断される(S195)。大当たり種別が「5R大当たりB」でない場合(S195:NO)、処理はメイン処理へ戻る。大当たり種別が「5R大当たりB」である場合(S195:YES)、時短フラグに「2」が記憶されて(S196)、処理はメイン処理へ戻る。
また、大当たり遊技状態フラグが「OFF」の場合(S171:NO)、図16に示すように、小当たり遊技状態であるかが判断される(S201)。この判断は、小当たり遊技状態フラグの状態に応じて行われる。小当たり遊技状態フラグが「OFF」の場合には小当たり遊技状態でないと判断されて(S201:NO)、処理はメイン処理へ戻る。小当たり遊技状態フラグが「ON」の場合には小当たり遊技状態であると判断されて(S201:YES)、第一大入賞口16が開放状態であるかが判断される(S202)。開放フラグに「1」が記憶されている場合には第一大入賞口16が開放状態であると判断されて(S202:YES)、処理はS211の判断へ移行する。
開放フラグに「1」が記憶されていない場合には第一大入賞口16が開放状態でないと判断されて(S202:NO)、第一大入賞口16の開閉部材を開放させるための第一開放コマンドが生成され、RAM52に記憶される(S203)。第一開放コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において中継基板47に送信される。中継基板47を介して第一開放コマンドを受信した第一大入賞口ソレノイド70は、第一大入賞口16の開閉部材を開放させる。
次いで、小当たり開放時間が、小当たり開放時間カウンタに記憶される(S205)。小当たり開放時間カウンタは、小当たり遊技における第一大入賞口16の最大開放時間である小当たり開放時間を計測するためのカウンタであり、RAM52に記憶される。本実施形態では、小当たり開放時間である1.5秒間を示す値がRAM52に記憶される。次いで、開放中フラグに「1」が記憶される(S206)。処理はS211の判断へ移行する。
次いで、第一大入賞口16へ遊技球が入賞したかが判断される(S211)。第一大入賞口スイッチ76が遊技球の入賞を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理において、第一大入賞口スイッチ76に対応するフラグが「ON」になる。このフラグが「ON」の場合には第一大入賞口16に遊技球が入賞したと判断されて(S211:YES)、第一大入賞口16へ入賞した遊技球の個数を計数するRAM52の第一入賞球数カウンタに「1」が加算される(S212)。処理はS213の判断へ移行する。このフラグが「OFF」の場合には第一大入賞口16に遊技球が入賞していないと判断されて(S211:NO)、処理はS213の判断へ移行する。
次いで、第一大入賞口16への入賞球数が「9」以上であるかが判断される(S213)。第一入賞球数カウンタの値が「9」未満の場合(S213:NO)、小当たり開放時間カウンタの値に基づいて小当たり開放時間が経過したかが判断される(S215)。小当たり開放時間が経過していない場合(S215:NO)、処理はメイン処理へ戻る。以降に行われる特別電動役物処理において、小当たり遊技状態である場合(S201:YES)、第一大入賞口16に9個以上の遊技球が入賞するか、又は小当たり開放時間が経過するまで、これらの判断が繰り返し実行される(S213:NO、S215:NO)。
第一大入賞口16に9個以上の遊技球が入賞するか(S213:YES)、又は小当たり開放時間が経過した場合(S215:YES)、第一閉鎖コマンドが生成され、RAM52に記憶される(S217)。第一閉鎖コマンドは、開放している第一大入賞口16の開閉部材を閉鎖させるためのコマンドである。第一閉鎖コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において中継基板47に送信される。中継基板47を介して第一閉鎖コマンドを受信した第一大入賞口ソレノイド70は、第一大入賞口16の開閉部材を閉鎖させる。次いで、開放中フラグに「0」が記憶され(S218)、小当たり遊技状態フラグが「OFF」になり(S219)、処理はS221の判断へ移行する。
次いで、時短準備フラグが「ON」であるかが判断される(S221)。時短準備フラグが「OFF」の場合(S221:NO)、処理はメイン処理へ戻る。時短準備フラグが「ON」の場合(S221:YES)、時短フラグに「2」が記憶されて(S222)、処理はメイン処理へ戻る。
図17を参照して、第一実施形態のパチンコ機1における遊技全体の流れについて説明する。通常状態から遊技が開始された場合、左打ちで遊技が進行し、所定の大当たり確率(約1/99)で大当たりと判定されるか、小当たり確率(約3/250)で小当たりと判定されるまで、主に第一大当たり判定が繰り返して行われる。この、一般的に遊技が開始される通常状態を、以下では「通常ゾーン」ともいう。通常ゾーンにおいて第一大当たり判定によって大当たりの判定結果が導出されると、大当たり種別に関わらず大当たり遊技(初当たり遊技)が行われる。遊技者は右打ちで大当たり遊技を消化する。大当たり種別が5R大当たりAである場合には、大当たり遊技の終了後に通常ゾーンが設定される(矢印a参照)。この割合は初当たり遊技のうち88%である。
初当たり遊技に対応する大当たり種別が5R大当たりCである場合には、大当たり遊技の終了後に時短回数が150回の時短状態が設定される(矢印b参照)。この割合は初当たり遊技のうち2%である。以下では、時短回数が150回の時短状態を「最有利ゾーン」ともいう。最有利ゾーンは、パチンコ機1における遊技のうち遊技者にとって最も有利な状態である。最有利ゾーンが設定された場合、遊技者は右打ちを継続する。最有利ゾーンでは、第二大当たり判定が主に行われる。最有利ゾーンにおいて第二大当たり判定によって大当たりと判定された場合(10R大当たりの大当たり種別が決定された場合)、大当たり遊技の終了後に再び最有利ゾーンが設定される(矢印k参照)。最有利ゾーンにおいて実行された大当たり判定の回数が時短回数の150回に到達した場合、最有利ゾーンが終了し、後述する最終決戦ゾーンに突入する(矢印l参照)。なお、第一実施形態のパチンコ機1は、確率変動機能を搭載していないので、最有利ゾーンにおける大当たり確率は、通常状態における大当たり確率と同じである。
初当たり遊技に対応する大当たり種別が5R大当たりBである場合には、大当たり遊技の終了後に時短回数が1回の時短状態が設定される(矢印c参照)。この割合は、初当たり遊技のうち10%である。以下では、時短回数が1回の時短状態を「チャンスゾーン」ともいう。チャンスゾーンは、最有利ゾーンと同じく時短状態であるが、最有利ゾーンよりも時短回数が少ないため、最有利ゾーンの次に遊技者にとって有利な状態として位置づけられる。チャンスゾーンが設定された場合、遊技者は右打ちを継続する。第一実施形態のパチンコ機1において、チャンスゾーンにおける大当たり確率は、通常状態及び最有利ゾーンと同じである。
また、通常ゾーンにおいて第一大当たり判定によって小当たりの判定結果が導出されると、小当たり種別に関わらず小当たり遊技が行われる。小当たり遊技において開放する第一大入賞口16に遊技球を入賞させるため、遊技者は右打ちする。この小当たり遊技に対応する小当たり種別が小当たりAである場合には、小当たり遊技の前後において遊技状態は変化しない。すなわち、小当たり遊技の終了後にも通常ゾーンが継続する(矢印e参照)。この割合は、通常状態における小当たり遊技のうち66.7%である。
一方、通常状態において決定された小当たり種別が小当たりBである場合には、対応する小当たり遊技の終了後にチャンスゾーンが設定される(矢印d参照)。この割合は、通常状態における小当たり遊技のうち33.3%である。従来の遊技機は、大当たり判定によって大当たりの判定結果が導出された場合にのみ、大当たり遊技の終了後に時短状態を設定している。パチンコ機1は、通常状態において小当たりの判定結果が導出された場合にも、その後に時短状態が設定されるチャンスを設けている点で、従来の遊技機とは大きく異なる。パチンコ機1は、通常ゾーンにおいて小当たりと判定された場合にチャンスゾーンが設定される機会を従来の遊技機よりも増やし、通常ゾーンの遊技を多様化できる。
チャンスゾーンに行われる1回の大当たり判定は、第一大当たり判定又は第二大当たり判定による。チャンスゾーンの直前に行われた大当たり遊技又は小当たり遊技において右打ちされた遊技球がゲート12を通過することを契機として普通当たり遊技が行われた場合には、第二保留球が記憶され得る。第二保留球が記憶されている場合には、第二大当たり判定が第一大当たり判定に優先して行われる。チャンスゾーンの突入までに第二保留球が記憶されず、第一保留球が記憶されている場合には、第一大当たり判定が行われる。チャンスゾーンの突入時に第一保留球及び第二保留球が記憶されていない場合には、チャンスゾーンに突入した後に右打ちされた遊技球がゲート12を通過することを契機として普通当たり遊技が行われるので、第一保留球よりも第二保留球が記憶されやすい。したがって、この場合のチャンスゾーンでは、主に第二大当たり判定が行われる。
チャンスゾーンにおいて行われる1回の大当たり判定によって大当たりの判定結果が導出されると、大当たり種別に応じたラウンド数の大当たり遊技が行われる。大当たり種別が5R大当たりC(第一大当たり判定による)又は10R大当たり(第二大当たり判定による)である場合には、大当たり遊技の終了後に最有利ゾーンが設定される(矢印g参照)。大当たり種別が5R大当たりB(第一大当たり判定による)である場合には、大当たり遊技の終了後に再びチャンスゾーンが設定される(矢印f参照)。大当たり種別が5R大当たりA(第一大当たり判定による)である場合には、大当たり遊技の終了後に最終決戦ゾーンが設定される(矢印h参照)。また、チャンスゾーンにおいて小当たりの判定結果が導出された場合には、小当たり遊技の終了後に最終決戦ゾーンが設定される(矢印i参照)。はずれの判定結果が導出された場合にも、最終決戦ゾーンが設定される(矢印j参照)。
最終決戦ゾーンは、時短状態が終了した直後の通常状態であり、最終決戦ゾーンに突入する場合に記憶されている第二保留球数に対応する回数の報知演出が実行される状態である。最有利ゾーンにおける最終回(150回目)の報知演出の時間(特別図柄の変動時間)及びチャンスゾーンにおける最終回(1回目)の報知演出の時間(特別図柄の変動時間)は、特殊変動パターンに基づいて決定される変動パターンに応じたものとなる。よって、最有利ゾーン又はチャンスゾーンが終了するまでの間に第二保留球数が最大第二保留球数(本実施形態では「4」)まで保留された状態で最終決戦ゾーンに突入することが想定される。
最終決戦ゾーンにおいて行われる最大4回の第二大当たり判定によって大当たりと判定された場合には、10Rの大当たり遊技が行われ、大当たり遊技の終了後に最有利ゾーンが設定される(矢印m参照)。また、最終決戦ゾーンは通常状態であるので、最大4回行われる第二大当たり判定によってはずれと判定された場合において、特2はずれAのはずれ種別が決定されたときには、はずれ変動の終了後に最有利ゾーンが設定される(矢印n参照)。なお、最大4回行われる第二大当たり判定によってはずれと判定され、すべての回で特2はずれBのはずれ種別が決定されたときには、遊技は通常状態に戻る(矢印o参照)。
第二特別図柄のはずれ種別の割合は、特2はずれAが16%、特2はずれBが84%であるので、4回行われる第二大当たり判定に伴い4回とも特2はずれBが決定される確率は(0.84)4×100≒49.8[%]
であり、4回行われる第二大当たり判定に伴い1回でも特2はずれAが決定される確率は
100-49.8≒50.2[%]
である。すなわち、最終決戦ゾーンに突入した場合、その後に約50%の確率で最有利ゾーンが設定され、約50%の確率で遊技が通常ゾーンに戻る。すなわち、最終決戦ゾーンにおいて大当たりの判定結果が得られず、はずれの判定結果が導出される場合であっても、最終決戦ゾーンの終了後に約50%の確率で最有利ゾーンに突入できる。
従来の遊技機は、残保留を用いた大当たり判定によって大当たりの判定結果が導出された場合にのみ、その後に最有利ゾーンのような時短状態を設定している。パチンコ機1は、残保留を用いた大当たり判定によってはずれの判定結果が導出された場合にも、その後に最有利ゾーンが設定されるチャンスを設けている点で、従来の遊技機とは大きく異なる。また、従来の遊技機では、大当たり遊技の終了後にのみ時短状態が設定されている。つまり、大当たり変動の終了後、大当たり遊技が行われた後に、はじめて時短状態が設定されている。この点、パチンコ機1は、はずれの判定結果を導出した場合、はずれ変動の終了後、直ちに時短状態を設定できる。パチンコ機1は、大当たり変動や大当たり遊技のような前兆を設けることなく、はずれ変動の終了後に時短状態を突然開始できるので、遊技者を大いに驚かすことができる。このように、パチンコ機1は、最終決戦ゾーンを設けることで、最終決戦ゾーンから最有利ゾーンに突入できるチャンスを、遊技者に斬新な印象を与えるものとして従来の遊技機よりも増やし、遊技者の注目を大いに集めることができる。
なお、パチンコ機1は、通常状態である最終決戦ゾーンには、第二大当たり判定によってはずれと判定されたことに起因する最有利ゾーンへの移行ルートを設けるが、これ以外にはずれと判定されたことに起因する最有利ゾーンへの移行ルートを設けない。具体的には、パチンコ機1は、通常ゾーンにおいて第一大当たり判定によってはずれと判定されたことに起因する最有利ゾーンへの移行ルートを設けない。通常ゾーンの遊技では第一大当たり判定が繰り返し行われ、その大半においてはずれの判定結果が導出される。通常ゾーンにおける第一大当たり判定のはずれの判定結果に起因する最有利ゾーンへの移行ルートが設けられた場合には、通常ゾーンの射幸性が必要以上に高くなりすぎる可能性がある。また、パチンコ機1は、チャンスゾーン及び最有利ゾーンにおいても、はずれの判定結果に起因する最有利ゾーンへの移行ルートを設けない。これにより、パチンコ機1は、チャンスゾーン及び最有利ゾーンにおいては大当たりの判定結果に注目すればよいこととして遊技内容をシンプルにするとともに、射幸性が必要以上に高くなることを回避している。パチンコ機1は、最大4回の第二大当たり判定が行われる最終決戦ゾーンに限定して、第二大当たり判定のはずれの判定結果に起因する最有利ゾーンへの移行ルートを設ける。これにより、パチンコ機1は、遊技者にとって有利な時短状態が終了した直後における遊技者の期待感を維持するとともに、パチンコ機1の遊技全体の射幸性のバランスを維持している。
図18から図22を参照して、第二実施形態のパチンコ機1について説明する。第二実施形態のパチンコ機1は、第一実施形態のパチンコ機1が備えていない確率変動機能を備え、確変状態又は非確変状態を設定できる。確変状態とは、大当たり確率が高い方に変動している遊技状態である。非確変状態は、確変状態が設定されておらず、大当たり確率が低い方にされている遊技状態である。第二実施形態では、非確変状態における大当たり確率は約1/70であり、確変状態における大当たり確率は約1/69である。なお、第二実施形態において、小当たり確率は、遊技状態に関わらず、約1/48(約5/240)である。
第二実施形態では、大当たり判定によって大当たりと判定されると、大当たり遊技の終了後に必ず確変状態が設定される。設定された確変状態は、確変状態において実行された大当たり判定の回数が所定の回数(以下、確変回数という。)に達することにより終了する。第二実施形態は、確変回数が86回の、いわゆるSTタイプ(確変回数切り)の遊技仕様を有する。第二実施形態は、確変状態、非確変状態、時短状態及び非時短状態を組み合わせて、非確変非時短状態、非確変時短状態、確変非時短状態及び確変時短状態の4種類の遊技状態を設定できる。非確変非時短状態は、非確変状態と非時短状態との組合せによる。非確変非時短状態のことを、通常状態ともいう。非確変時短状態は、非確変状態と時短状態との組合せによる。確変非時短状態は、確変状態と非時短状態との組合せによる。確変時短状態は、確変状態と時短状態との組合せによる。第二実施形態のパチンコ機1については、確率変動機能を備えることにより生ずる作用効果を中心に説明し、第一実施形態のパチンコ機1と同一の構成については、説明を適宜省略する。
図18を参照して、第二実施形態のパチンコ機1のROM53に記憶されている特別図柄決定テーブルについて説明する。第一特別図柄の大当たり種別は、「4R大当たりA」、「4R大当たりB」、「4R大当たりC」の3種類であり、「4R大当たりA」が50%、「4R大当たりB」が48%、「4R大当たりC」が2%である。第一特別図柄の小当たり種別は、「小当たりC」及び「小当たりD」の2種類であり、「小当たりC」が80%、「小当たりD」が20%である。第一特別図柄のはずれ種別は、「特1はずれ」の1種類である。第二特別図柄の大当たり種別は、「8R大当たり」の1種類である。第二特別図柄のはずれ種別は、「特2はずれC」及び「特2はずれD」の2種類であり、「特2はずれC」が19%、「特2はずれD」が81%である。
第一特別図柄の大当たり種別として「4R大当たりA」が決定された場合、その決定された時点における遊技状態に関わらず、対応する大当たり遊技の終了後に確変非時短状態が設定される。第一特別図柄の大当たり種別として「4R大当たりB」が通常状態(非確変非時短状態)に決定された場合、対応する大当たり遊技の終了後に確変非時短状態が設定される。第一特別図柄の大当たり種別として「4R大当たりB」が通常状態以外(非確変時短状態、確変非時短状態、確変時短状態のいずれか)に決定された場合、対応する大当たり遊技の終了後に確変時短状態が設定される。この場合の時短回数は35回である。第一特別図柄の大当たり種別として「4R大当たりC」が決定された場合、その決定された時点における遊技状態に関わらず、対応する大当たり遊技の終了後に確変時短状態が設定される。この場合の時短回数は86回である。
第一特別図柄の小当たり種別として「小当たりC」が決定された場合、その決定された時点における遊技状態に関わらず、対応する小当たり遊技の実行の前後において遊技状態が変化しない。第一特別図柄の小当たり種別として通常状態に「小当たりD」が決定された場合、対応する小当たり遊技の終了後に非確変時短状態が設定される。この場合の時短回数は1回である。第一特別図柄の小当たり種別として通常状態以外に「小当たりD」が決定された場合、対応する小当たり遊技の実行の前後において遊技状態が変化しない。
第二特別図柄の大当たり種別として「8R大当たり」が決定された場合、その決定された時点における遊技状態に関わらず、対応する大当たり遊技の終了後に確変時短状態が設定される。この場合の時短回数は86回である。第二特別図柄のはずれ種別として通常状態に「特2はずれC」が決定された場合、対応するはずれ変動の終了後に非確変時短状態が設定される。この場合の時短回数は86回である。第二特別図柄のはずれ種別として通常状態以外に「特2はずれC」が決定された場合、対応するはずれ変動の前後において遊技状態が変化しない。第二特別図柄のはずれ種別として「特2はずれD」が決定された場合、対応するはずれ変動の前後において遊技状態が変化しない。
図19を参照して、第二実施形態の遊技状態移行処理について説明する。第一実施形態の遊技状態移行処理と同じステップについては、第一実施形態のものと同じ符号を付している。なお、第二実施形態の時短フラグは、時短回数が86回の時短状態に「1」、時短回数が1回の時短状態に「2」、時短回数が35回の時短状態に「3」、非時短状態に「0」が記憶される。また、第二実施形態では、確変フラグが使用される。確変フラグはRAM52に記憶される。確変フラグは、確変状態中であるかを示すフラグであり、確変状態中に「1」が記憶されて「ON」になり、非確変状態中に「0」が記憶されて「OFF」になる。
第二実施形態の遊技状態移行処理が開始され、大当たり判定の判定結果が大当たりでない場合(S131:NO)、判定結果が小当たりであるかが判断される(S141)。判定結果が小当たりである場合(S141:YES)、小当たり遊技状態フラグが「ON」になり(S142)、現在の遊技状態が通常状態であるかが判断される(S143)。遊技状態が通常状態でない場合(S143:NO)、処理はS161へ移行する。
遊技状態が通常状態である場合(S143:YES)、小当たりの判定結果に対応して決定された図柄種別が、小当たりDであるかが判断される(S301)。図柄種別が小当たりDでない場合(S301:NO)、処理はS161へ移行する。図柄種別が小当たりDである場合(S301:YES)、時短準備フラグが「ON」になり(S146)、処理はS161へ移行する。
一方、大当たり判定の判定結果がはずれである場合(S141:NO)、現在の遊技状態が通常状態であるかが判断される(S151)。遊技状態が通常状態でない場合(S151:NO)、処理はS161へ移行する。遊技状態が通常状態である場合(S151:YES)、大当たりの判定結果に対応して決定された図柄種別が、特2はずれCであるかが判断される(S302)。図柄種別が特2はずれCでない場合(S302:NO)、処理はS161へ移行する。図柄種別が特2はずれCである場合(S302:YES)、判定回数計数カウンタの値が「0」にクリアされ(S153)、時短フラグに「1」が記憶される(S155)。処理は特別図柄処理へ戻る。
次いで、判定回数計数カウンタに「1」が加算される(S161)。次いで、判定回数計数カウンタの値が「1」であるかが判断される(S311)。判定回数計数カウンタの値が「1」である場合(S311:YES)、時短フラグに「2」が記憶されているか(時短回数が1回の時短状態中であるか)が判断される(S312)。時短フラグに「2」が記憶されていない場合(S312:NO)、処理は特別図柄処理へ戻る。
一方、判定回数計数カウンタの値が「1」でない場合(S311:NO)、判定回数計数カウンタの値が「35」であるかが判断される(S315)。判定回数計数カウンタの値が「35」である場合(S315:YES)、時短フラグに「3」が記憶されているか(時短回数が35回の時短状態であるか)が判断される(S316)。時短フラグに「3」が記憶されていない場合(S316:NO)、処理は特別図柄処理へ戻る。
一方、判定回数計数カウンタの値が「35」でない場合(S315:NO)、判定回数計数カウンタの値が「86」であるかが判断される(S317)。判定回数計数カウンタの値が「86」でない場合(S317:NO)、処理は特別図柄処理へ戻る。判定回数計数カウンタの値が「86」である場合(S317:YES)、確変フラグが「OFF」になる(S318)。次いで、時短フラグに「1」が記憶されているかが判断される(S319)。時短フラグに「1」が記憶されていない場合(S319:NO)、処理は特別図柄処理へ戻る。
時短フラグに「2」が記憶されている場合(S312:YES)、又は時短フラグに「3」が記憶されている場合(S316:YES)、又は時短フラグに「1」が記憶されている場合(S319:YES)、時短フラグに「0」が記憶される(S313)。処理は特別図柄処理へ戻る。
図20を参照して、第二実施形態の特別電動役物処理について説明する。第一実施形態の特別電動役物処理と同じステップについては、第一実施形態のものと同じ符号を付している。特別電動役物処理において、大当たり遊技状態であり(S171:YES)、Rカウンタの値が「0」である場合(S172:YES)、大当たり遊技状態フラグが「OFF」になる(S191)。次いで、実行した大当たり遊技に対応する大当たり種別が「4R大当たりC」又は「8R大当たり」であるかが判断される(S321)。大当たり種別が「4R大当たりC」又は「8R大当たり」である場合(S321:YES)、時短フラグに「1」が記憶されて(S322)、処理はS328へ移行する。
大当たり種別が「4R大当たりC」又は「8R大当たり」でない場合(S321:NO)、大当たり種別が「4R大当たりB」であるかが判断される(S323)。大当たり種別が「4R大当たりB」でない場合(S323:NO)、処理はS328へ移行する。大当たり種別が「4R大当たりB」である場合(S323:YES)、現在の遊技状態が通常状態であるかが判断される(S325)。遊技状態が通常状態でない場合(S325:NO)、処理はS328へ移行する。遊技状態が通常状態である場合(S325:YES)、時短フラグに「3」が記憶されて(S326)、処理はS328へ移行する。次いで、確変フラグが「ON」になり(S328)、処理はメイン処理へ戻る。
図21及び図22を参照して、第二実施形態のパチンコ機1における遊技全体の流れについて説明する。なお、前述したように、第二実施形態において、確変状態の大当たり確率は1/69であり、非確変状態の大当たり確率は1/70であり、大当たり確率が高い方と低い方とでほぼ同じである。したがって、確変非時短状態と非確変非時短状態、確変時短状態と非確変時短状態における遊技者の大当たりのしやすさは、それぞれほぼ同じである。第二実施形態のパチンコ機1は、確変状態であるか否かを遊技者に報知しないで遊技を進行する、いわゆる確変非報知タイプの遊技機であってもよい。
第二実施形態では、一般的に遊技が開始され、初当たりを目指して遊技を進める第一実施形態における第一実施形態の通常ゾーンに類似する遊技状態として、非確変非時短状態と、確変非時短状態とを備える。第二実施形態において、非確変非時短状態を「モードA」、確変非時短状態を「モードB」ともいう。第二実施形態において、時短回数が35回又は86回の時短状態を伴う確変状態が、最有利ゾーンである。第二実施形態において、時短回数が1回の時短状態を伴う非確変状態(非確変時短状態)が、チャンスゾーンである。第二実施形態において、非確変時短状態が終了した直後の非確変非時短状態が、最終決戦ゾーンである。
第二実施形態では、通常ゾーンに類似するモードAから最有利ゾーンへの移行ルート、モードAからチャンスゾーンへの移行ルート、モードAにおける小当たり遊技の終了後にモードAが継続するルートを、第一実施形態と同様に、矢印b,d,eを付して説明する。第二実施形態において、チャンスゾーンから最有利ゾーンへの移行ルート、チャンスゾーンから最終決戦ゾーンへの移行ルートを、第一実施形態と同様に、矢印g,i,jを付して説明する。第二実施形態において、最有利ゾーンから最終決戦ゾーンへの移行ルート、最有利ゾーンにおいて大当たりと判定された場合に大当たり遊技の終了後に再び最有利ゾーンが設定されるルートを、第一実施形態と同様に、矢印l,kを付して説明する。第二実施形態において、最終決戦ゾーンから最有利ゾーンへの移行ルート、最終決戦ゾーンから通常ゾーンに類似するモードAへの移行ルートを、第一実施形態と同様に、矢印m,n,oを付して説明する。
第一実施形態における、通常ゾーンからチャンスゾーンに移行するルート(矢印c)、及びチャンスゾーンにおいて大当たりと判定された場合に大当たり遊技の終了後に再びチャンスゾーンが設定されるルート(矢印f)については、第二実施形態には設けられていない。この点、例えば、大当たり遊技の終了後に確変状態が設定される割合(いわゆる確変突入率)を100%未満にすること等によって、矢印c,fに相当する移行ルートが、第二実施形態に設けられてもよい。
図21は、モードAを起点とする遊技の流れを示す。モードAにおいて第一大当たり判定によって大当たりの判定結果が導出されると、大当たり遊技が行われる。この大当たり遊技の終了後には、わずかな割合(第二実施形態において2%)で最有利ゾーンが設定され(矢印b参照)、ほとんどの場合(第二実施形態において98%)、モードBに移行する(矢印p参照)。モードBの遊技については後述する。
モードAにおいて第一大当たり判定によって小当たりの判定結果が導出されると、小当たり種別に関わらず小当たり遊技が行われる。小当たり遊技に対応する小当たり種別が小当たりDである場合には、小当たり遊技の終了後にチャンスゾーンが設定される(矢印d参照)。この割合は、モードAにおける小当たり遊技のうち20%である。また、小当たり遊技に対応する小当たり種別が小当たりCである場合には、小当たり遊技の終了後にモードAが継続する(矢印e参照)。この割合は、モードAにおける小当たり遊技のうち80%である。
チャンスゾーンにおいて大当たりの判定結果が導出されると、大当たり種別に応じたラウンド数の大当たり遊技が行われる。大当たり種別が4R大当たりB、4R大当たりC(第一大当たり判定による)又は8R大当たり(第二大当たり判定による)である場合には、大当たり遊技の終了後に最有利ゾーンが設定される(矢印g参照)。大当たり種別が4R大当たりA(第一大当たり判定による)の場合には、モードBに移行する(矢印q参照)。また、チャンスゾーンにおいて小当たりの判定結果が導出された場合には、小当たり遊技の終了後に最終決戦ゾーンが設定される(矢印i参照)。はずれの判定結果が導出された場合にも、最終決戦ゾーンが設定される(矢印j参照)。このため、遊技者は、小当たり遊技の終了後にモードAからチャンスゾーンに移行するか否か、チャンスゾーンに移行した場合にはチャンスゾーンの後にいずれの遊技状態が設定されるかに対して注目する。
最終決戦ゾーンにおいて行われる最大4回の第二大当たり判定によって大当たりと判定された場合には、8Rの大当たり遊技が行われ、大当たり遊技の終了後に最有利ゾーンが設定される(矢印m参照)。また、最終決戦ゾーンは通常状態(非確変非時短状態)であるので、最大4回行われる第二大当たり判定によってはずれと判定された場合において、特2はずれCのはずれ種別が決定されたときには、はずれ変動の終了後に最有利ゾーンが設定される(矢印n参照)。なお、最大4回行われる第二大当たり判定によってはずれと判定され、すべての回で特2はずれDのはずれ種別が決定されたときには、遊技は通常状態に戻る(矢印o参照)。4回行われる第二大当たり判定に伴い4回とも特2はずれBが決定される確率は(0.81)4×100≒43[%]、4回行われる第二大当たり判定に伴い1回でも特2はずれCが決定される確率は100-43≒57[%]である。
最有利ゾーンにおいて第二大当たり判定によって大当たりと判定された場合(8R大当たりの大当たり種別が決定された場合)、大当たり遊技の終了後に再び最有利ゾーンが設定される(矢印k参照)。4R大当たりC又は8R大当たりの大当たり種別が決定されたことに起因して最有利ゾーンが設定された場合には、最有利ゾーンにおいて実行された大当たり判定の回数が86回に到達すると、最有利ゾーンが終了し、最終決戦ゾーンに突入する(矢印l参照)。4R大当たりBの大当たり種別が決定されたことに起因して最有利ゾーンが設定された場合には、最有利ゾーンにおいて実行された大当たり判定の回数が35回に到達すると、最有利ゾーンが終了し、モードBへ移行する(矢印r参照)。
図22は、モードBを起点とする遊技の流れを示す。モードBにおいて第一大当たり判定によって大当たりの判定結果が導出されると、大当たり遊技が行われ、大当たり遊技の終了後には、50%の割合で最有利ゾーンが設定され(矢印t参照)、50%の割合でモードBが再び設定される(矢印s参照)。第二実施形態は、モードBにおいて大当たりの判定結果が導出された場合に大当たり遊技の終了後に確変時短状態が設定される割合が、モードAにおいて大当たりの判定結果が導出された場合に大当たり遊技の終了後に確変時短状態が設定される割合よりも高いことが特徴である。
モードBにおいて第一大当たり判定によって小当たりの判定結果が導出されると、小当たり遊技が行われ、小当たり種別に関わらず、小当たり遊技の終了後にモードBが継続する(矢印v参照)。すなわち、モードBでは、小当たりの判定結果が得られても、チャンスゾーンが設定されることがないのが特徴である。確変状態は大当たり確率が非確変状態よりも高いので、仮に、モードB(確変非時短状態)に小当たりの判定結果が得られたことに起因してチャンスゾーンが設定されると、モードBの遊技がモードAの遊技に比べて射幸性が必要以上に高くなりすぎる可能性がある。第二実施形態のパチンコ機1は、モードAからチャンスゾーンに移行するルートを設ける一方、モードBからチャンスゾーンに移行するルートを設けないこととして、パチンコ機1の遊技全体における射幸性のバランスを維持している。
なお、モードBにおいて、前回の大当たり遊技の終了後に実行された大当たり判定の回数が86回に到達した場合、確変状態が終了し、遊技状態がモードAに移行する(矢印u参照)。また、モードBを起点として4R大当たりBの大当たり種別が決定されたことに起因して最有利ゾーンが設定された場合には、最有利ゾーンにおける判定回数が35回に到達すると最有利ゾーンが終了し、遊技状態はモードB(確変非時短状態)へ戻る(矢印r参照)。
このように、第二実施形態のパチンコ機1は、モードAに、小当たり遊技を契機としたチャンスゾーンへの移行ルートを備える。第二実施形態のパチンコ機1は、モードAを設けることによって、小当たり遊技が行われるか否かに対して、遊技者の注目を大いに集め、チャンスゾーンへ移行することに対する遊技者の期待感を高めることができる。一方、モードBは、モードBからチャンスゾーンへの移行ルートを有していない代わりに、大当たり遊技を契機としたモードBから最有利ゾーンへの突入率がモードAにおけるものよりも高い。よって、第二実施形態のパチンコ機1は、モードBにおいては、大当たりの判定結果が得られるか否かに対して、モードAよりも遊技者の注目を集めることができる。このように、第二実施形態のパチンコ機1は、第一実施形態における通常ゾーンをモードAとモードBとに拡張し、モードAでは小当たりに、モードBでは大当たりに対して遊技者の注目を集め、非時短状態の遊技を多様化できる。
また、第二実施形態のパチンコ機1は、はずれの判定結果に起因してはずれ変動の終了後に時短状態が設定される遊技状態を、非確変非時短状態である最終決戦ゾーンに限定している。これにより、第二実施形態のパチンコ機1は、最終決戦ゾーンを、大当たりの判定結果が導出される場合とはずれの判定結果が導出される場合との双方に遊技者の注目を集める特別な遊技が行われる状態として遊技者に提供できる。一方、第二実施形態のパチンコ機1は、確変状態及び時短状態の少なくともいずれかが設定されている場合には、はずれの判定結果に起因する時短状態の設定を行わないこととして、射幸性が必要以上に高くなることを回避している。
以上説明したように、従来の遊技機では、大当たり遊技の終了後にのみ、時短状態が設定可能である。パチンコ機1は、第二大当たり判定による判定結果がはずれであることに起因して、対応するはずれ変動の終了後に時短状態を設定できる最終決戦ゾーンを設けている。これにより、パチンコ機1は、最終決戦ゾーンにおいて、はずれの判定結果にも遊技者の注目を集めることが出乗る。パチンコ機1は、このような従来にない契機で時短状態を設定することで、斬新な遊技を遊技者に提供できる。最終決戦ゾーンは、チャンスゾーン又は最有利ゾーンにおいて第二保留球を保留していた場合には設定されるが、そうでない場合には設定されない。したがって、パチンコ機1は、時短状態中に第二保留球を保留することができるか否かに対しても、遊技者の注目を集めることができる。このように、パチンコ機1は、時短状態を用いて従来よりも遊技を多様化できる。
時短状態は、非時短状態に対して大当たり判定の実行頻度が高くなるので、非時短状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態である。パチンコ機1は、時短状態における第二大当たり判定による判定結果がはずれであることに起因しては、時短状態を設定しないので、時短状態における射幸性が必要非常に高くなることを回避できる。
パチンコ機1は、時短状態における最終回の特別図柄の変動時間(最有利ゾーンにおける最終回の変動、チャンスゾーンにおける1回の変動)を、第二保留球数が最大第二保留球数まで保留されるような時間にしている。第二保留球が保留される数が多いほど、最終決戦ゾーンにおける第二大当たり判定の実行回数が増える。第二大当たり判定の実行回数が増えるほど、最終決戦ゾーンにおいてはずれの判定結果に起因して時短状態が設定される機会が増える。したがって、パチンコ機1は、チャンスゾーンに第二保留球が保留されるか否か、及び最終決戦ゾーンにおける大当たり判定の結果に対して遊技者の注目を集め、遊技の興趣を向上できる。
確変状態は、非確変状態に対して大当たり確率が高くなるので、非時短状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態である。パチンコ機1は、確変状態における第二大当たり判定による判定結果がはずれであることに起因しては、時短状態を設定しないので、確変状態における射幸性が必要非常に高くなることを回避できる。
この他、遊技機は、遊技球が入賞可能な第一始動口と、遊技球が入賞困難又は入賞不能な第一状態と、前記第一状態よりも遊技球が入賞容易な第二状態とに変動可能な第二始動口と、遊技球が前記第一始動口へ入賞することを契機として、小当たりを少なくとも含む判定結果のうちからいずれかの判定結果を導出する第一判定を行う第一判定手段と、遊技球が前記第二始動口へ入賞することを契機として、大当たり又ははずれを少なくとも含む判定結果のうちからいずれかの判定結果を導出する第二判定を行う第二判定手段と、前記第二始動口が前記第二状態にある割合が低い非時短状態と、前記第二始動口が前記第二状態にある割合が前記非時短状態よりも高い時短状態とのいずれかを設定する時短設定手段と、所定の条件が満たされることに応じて、前記時短設定手段に前記時短状態を設定させるかを決定する決定手段とを備え、前記決定手段は、前記非時短状態における前記第一判定又は前記第二判定の結果が前記小当たりである場合、前記時短設定手段に前記時短状態を設定させるかを決定してもよい。
従来の遊技機では、大当たりの判定結果が導出されたことに伴う大当たり遊技が行われた場合に、大当たり遊技の終了後に時短状態が設定される可能性がある。本発明に係る遊技機は、非時短状態において小当たりの判定結果が導出された場合に時短状態を設定できるので、斬新な遊技性を提供できる。また、本発明に係る遊技機は、非時短状態において導出される判定結果に、これまで以上に遊技者の注目を集めることができる。したがって、本発明に係る遊技機は、時短状態を用いて従来よりも遊技を多様化できる。
前記遊技機は、前記第一判定及び前記第二判定によって前記大当たりと判定される確率が低い低確率状態と、前記低確率状態よりも前記確率が高い高確率状態とのいずれかを、前記第一判定又は前記第二判定によって前記大当たりの判定結果が導出されたことに応じて設定する確率設定手段を備え、前記決定手段は、前記低確率状態が設定されている場合において前記第一判定又は前記第二判定によって前記小当たりの判定結果が導出されたときに、前記時短設定手段に前記時短状態を設定させるかを決定し、前記高確率状態が設定されている場合において、前記第一判定又は前記第二判定によって前記小当たりの判定結果が導出されたときに、前記時短設定手段に前記時短状態を設定させる決定をしなくてもよい。
高確率状態は、第一判定又は第二判定によって大当たりの判定結果が導出される確率が低確率状態よりも高く、低確率状態よりも遊技者にとって有利である。このような状態において、小当たりの判定結果が導出された場合に時短状態が設定されるとすると、射幸性が必要以上に高くなる可能性がある。遊技機は、非時短状態かつ低確率状態の場合、小当たりの判定結果が導出されたときに時短状態を設定できる。一方、非時短状態かつ高確率状態の場合、小当たりの判定結果が導出されたときに時短状態を設定しないので、射幸性を適正に保つことができる。
前記決定手段は、前記第一判定又は前記第二判定の結果が前記大当たりである場合、前記時短設定手段に前記時短状態を設定させるかを決定し、前記高確率状態が設定されている場合において前記第一判定又は前記第二判定によって前記大当たりの判定結果が導出された場合に前記時短設定手段に前記時短状態を設定させると決定する割合は、前記低確率状態が設定されている場合において前記第一判定又は前記第二判定によって前記大当たりの判定結果が導出された場合に前記時短設定手段に前記時短状態を設定させると決定する割合よりも高くてもよい。
遊技機において、非時短状態かつ低確率状態の場合、小当たりの判定結果が導出されたときに時短状態が設定され得るが、大当たりの判定結果が導出されたときに時短状態が設定される割合が高確率状態よりも低い。一方、非時短状態かつ高確率状態の場合、小当たりの判定結果が導出されたときに時短状態が設定されないが、大当たりの判定結果が導出されたときに時短状態が設定される割合が低確率状態よりも高くなる。したがって、遊技機は、非時短状態かつ低確率状態の場合には小当たりの判定結果が導出されるか否かに、非時短状態かつ高確率状態の場合には大当たりの判定結果が導出されるか否かに、遊技者の注目をそれぞれ集めることができる。すなわち、遊技機は、時短設定手段及び確率設定手段によって設定される状態に応じて、遊技者が注目すべき判定結果を変化させることで、遊技性を多様化できる。
上記実施形態において、第一始動口14が、本発明の「第一始動口」に相当する。第二始動口15が、本発明の「第二始動口」に相当する。図12のS76で第一大当たり判定を行う主基板41のCPU51が、本発明の「第一判定手段」として機能する。図12のS93で第二大当たり判定を行う主基板41のCPU51が、本発明の「第二判定手段」として機能する。図14のS134、S155、S168、図15のS193、S196、図16のS222、図19のS313、図20のS322、S326で時短フラグを制御する主基板41のCPU51が、本発明の「時短設定手段」として機能する。図14のS151、S152、図15のS192、S195、図16のS221、図19のS302、図20のS321、S323、S326で時短状態を設定するかを判断する主基板41のCPU51が、本発明の「決定手段」として機能する。第二大当たり関係情報記憶エリアを備える主基板41のRAM52が、本発明の「権利保留手段」に相当する。図12のS102を行う主基板41のCPU51が、本発明の「報知手段」として機能する。第一変動パターン決定テーブル(図6参照)、第二変動パターン決定テーブル(図7参照)、特殊変動パターン決定テーブル(図8参照)を記憶する主基板41のROM53が、本発明の「変動パターン記憶手段」に相当する。図19のS318、図20のS328で確変フラグを制御する主基板41のCPU51が、本発明の「確率設定手段」として機能する。
本発明は、以上詳述した第一実施形態及び第二実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。チャンスゾーンに実行される大当たり判定の回数(チャンスゾーンの時短回数)は1回に限られず、複数回であってもよい。チャンスゾーンを、第二保留球を保留するための特別な遊技状態として位置づけるため、チャンスゾーンに行われる大当たり判定の回数は、多くても数回であることが好ましい。上記実施形態ではチャンスゾーンの時短回数が1回であるので、チャンスゾーンにおける特別図柄の変動時間は、第二保留球を最大第二保留球まで保留できる時間を確保している。チャンスゾーンの時短回数が複数回の場合には、少なくともチャンスゾーンの最終回の特別図柄の変動時間が、第二保留球を最大第二保留球まで保留できる時間であればよい。
第一実施形態において、図17に示す矢印cのルートで設定されるチャンスゾーンと、矢印dのルートで設定されるチャンスゾーンとで、時短回数が異なっていてもよい。また、5R小当たりBの大当たり種別がさらに細分化されて、第一実施形態では矢印cのルートで1通りに設定されるチャンスゾーンが、時短回数が異なる複数通りのチャンスゾーンとして設定されてもよい。また、第一実施形態の小当たりB(第二実施形態では小当たりD)の小当たり種別がさらに細分化されて、第一実施形態では矢印dのルートで1通りに設定されるチャンスゾーンが、時短回数が異なる複数通りのチャンスゾーンとして設定されてもよい。
第一実施形態及び第二実施形態において、特2はずれAのはずれ種別がさらに細分化されて、図17、図21、図22に示す矢印nのルートで1通りに設定される最有利ゾーンが、時短回数が異なる複数通りの最有利ゾーンとして設定されてもよい。
第二大当たり判定によって小当たりの判定結果が導出されてもよい。この場合において、最終決戦ゾーンにおいて小当たりの判定結果が導出されることに起因して、最有利ゾーンに突入するルートが設けられてもよい。
大当たり判定によって小当たりの判定結果が導出されたことに起因する時短状態の開始時点は、小当たり遊技の終了時点に限られず、小当たり変動の開始時点、小当たり変動の終了時点、小当たり遊技の開始時点等であってもよい。大当たり判定によってはずれの判定結果が導出されたことに起因する時短状態の開始時点は、はずれ変動の終了後に限られず、はずれ変動の開始時点等であってもよい。
大当たり確率、小当たり確率は、任意に変更してもよい。大当たり種別、小当たり種別、はずれ種別の割合は、任意に変更してもよい。
請求項、明細書及び図面に記載される全ての要素(例えば、始動口等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「始動口」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。