以下に、本開示の実施の形態にかかるガルバノスキャナ及びレーザ加工機を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本開示が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本開示の実施形態1におけるレーザ加工機1の構成を示す図である。図1において、X軸、Y軸およびZ軸は、互いに垂直な3軸である。X軸とY軸とは、水平方向の軸である。Z軸は、鉛直方向の軸である。尚、図1では、一例としてX軸及びY軸を水平方向の軸とし、Z軸を鉛直方向の軸として説明しているが、X軸、Y軸およびZ軸は、互いに垂直な3軸であれば良く、必ずしもX軸及びY軸が水平方向の軸でなくても良く、また、Z軸が鉛直方向の軸でなくても良い。例えば、Y軸及びZ軸が水平方向の軸で、X軸が鉛直方向の軸となっていても良い。また、α軸及びβ軸は、ガルバノミラー21を載置する平面23と平行な方向の軸であり、互いに垂直な2軸である。図1においては、α軸がX軸方向と平行で、β軸がYZ平面と平行である場合を示している。
レーザ加工機1は、レーザ光の照射によって、被加工物90の加工を行う。レーザ加工機1は、例えば、マイクロレーザ加工機である。被加工物90は、例えば、電子機器等に搭載されるプリント配線基板である。レーザ加工機1は、発振器10と、ガルバノスキャナ20と、集光レンズ30と、XYテーブル40と、制御装置50とを備えている。
発振器10は、レーザ光60aをガルバノスキャナ20に向けて出力する。
ガルバノスキャナ20は、ガルバノミラー21と、駆動部22を備えている。ガルバノミラー21は、ドーム状の曲面形状の鏡面を有し、当該鏡面にて発振器10から出力されたレーザ光60aを反射させる。尚、ドーム状の曲面形状の鏡面は、局所的にはそれぞれの位置に応じて特定の面の向きを有する平面状の鏡面と見做すことができる。従って、レーザ光のビーム径は非常に小さいため、ドーム状の曲面形状の鏡面のうち、発振器10から出力されたレーザ光60aが入射する反射面も、特定の面の向きを有する平面状の鏡面と見做すことができる。ここで言う「反射面」とは、ガルバノミラー21上の鏡面のうち、レーザ光60aが入射しているビーム径と同じ範囲の鏡面のことである。
駆動部22は、ガルバノミラー21を載置する平面23を有し、位置指令に従った制御により、当該平面23と平行な方向にガルバノミラー21を並進移動させる。ガルバノスキャナ20は、図1に示すように、発振器10から出力されるレーザ光60aの出力方向に対して、ガルバノミラー21を載置する平面23が平行ではなく、適度に傾くように配置されていることが望ましい。例えば、レーザ加工機1が図1に示すような構成である場合、発振器10から出力されるレーザ光60aの出力方向に対する平面23の傾きは、β軸の方向で定義することが出来る。この場合、適度な傾きの一例としては、レーザ光60aの出力方向(すなわち、+Y軸方向)に対して反時計回りに135度傾いた方向がβ軸となるように平面23が配置されている場合である。
このような配置が望ましい理由について説明する。例えば、ガルバノスキャナ20が、ガルバノミラー21を載置する平面23のβ軸方向がレーザ光60aの出力方向と平行になるように配置されている場合、ガルバノミラー21をβ軸方向に並進移動させても、発振器10から出力されたレーザ光60aが入射する反射面の位置が変わらないので、反射面の向きを変えることが出来ない。このため、反射面の向きを変えずに被加工物90上をY軸方向にレーザ光走査させるためには、被加工物90上のレーザ光の照射位置をY軸方向に移動させたい距離と同じ距離だけ、ガルバノミラー21をβ軸方向に並進移動させることが必要になる。
これに対して、図1に示すように、発振器10から出力されるレーザ光60aの出力方向に対して、ガルバノミラー21を載置する平面23が適度に傾くようにガルバノスキャナ20が配置されていると、反射面の向きの変化を制御してレーザ光走査させることができるため、被加工物90上のレーザ光の照射位置をY軸方向に移動させたい距離よりも、ガルバノミラー21をβ軸方向に並進移動させる距離の方が短い。従って、ガルバノミラー21を並進移動させる速度が同じ速度で、被加工物90上に同じ距離のレーザ光走査を行わせる場合、平面23がレーザ光の出力方向と平行になるようにガルバノスキャナ20が配置されているよりも、平面23がレーザ光の出力方向に対して傾くようにガルバノスキャナ20が配置されている方が、ガルバノミラー21を並進移動させる距離が短くて済むので、レーザ光走査に必要な時間が短くなって、駆動の高速化に対応できる。
また、平面23がレーザ光の出力方向と平行になるようにガルバノスキャナ20が配置されている場合は、被加工物90上のレーザ光走査させる加工領域と同等の広さを、周囲と干渉することなくガルバノミラー21を並進移動させることが出来る可動範囲として確保しておくことが必要になるのに対して、平面23がレーザ光の出力方向に対して傾くようにガルバノスキャナ20が配置されている場合は、被加工物90上のレーザ光走査させる加工領域よりも狭い可動範囲が確保されていれば良い。従って、平面23がレーザ光の出力方向と平行になるようにガルバノスキャナ20が配置されているよりも、平面23がレーザ光の出力方向に対して傾くようにガルバノスキャナ20が配置されている方が、レーザ加工機を制約なく機構設計することが可能となる。
図2は、ガルバノスキャナ20の斜視図である。図2に示すように、駆動部22はガルバノミラー21を載置する平面23と平行なα軸方向にガルバノミラー21を移動させるα軸方向駆動部22αと、ガルバノミラー21を載置する平面23と平行な方向であって、α軸方向と直交するβ軸方向にガルバノミラー21を移動させるβ軸方向駆動部22βと、を有する。
図2では、α軸方向駆動部22α上の平面23にガルバノミラー21を載置しているが、α軸方向駆動部22αとβ軸方向駆動部22βの順番を逆にして、β軸方向駆動部22β上の平面にガルバノミラー21を載置しても良い。また、α軸方向駆動部22α上、又はβ軸方向駆動部22β上の平面に直接ガルバノミラー21を載置しなくても、α軸方向及びβ軸方向を含む平面を有するトップテーブルにガルバノミラー21を載置しておいて、当該トップテーブルをα軸方向駆動部22α及びβ軸方向駆動部22βで駆動することによって、ガルバノミラー21を並進移動させるようにしても良い。
このようなα軸方向駆動部22α、及びβ軸方向駆動部22βを連動させることによって、α軸方向及びβ軸方向を含む二次元方向の任意の位置にガルバノミラー21を並進移動させることが出来る。尚、α軸及びβ軸は、ガルバノミラー21を並進移動させる二次元方向の位置を特定することが出来る座標系であればよく、必ずしも直交してなくても良い。すなわち、α軸方向及びβ軸方向は、ガルバノミラー21を載置する平面23と平行な方向であって、お互いに異なる方向であればよい。
駆動部22は、例えば、モータ駆動式の2軸の直動アクチュエータで構成することが出来る。被加工物90の加工面上にレーザ光60cを一次元方向にしか走査しない場合は、駆動部22は、必ずしも2軸方向の駆動部を備える必要はなく、1軸方向の駆動部のみで構成されても良い。なお、以下では、α軸方向駆動部22α、及びβ軸方向駆動部22βは、個々に区別しない場合には、駆動部22と称される。
図1に戻り、集光レンズ30は、ガルバノミラー21が有するドーム状の曲面形状の鏡面にて反射されたレーザ光60bを集光し、XYテーブル40に載置されている被加工物90に対して、レーザ光60cを垂直に照射するfθレンズ(エフシータレンズ)である。レーザ光60bが集光レンズ30に入射した位置に応じて、レーザ光60cが被加工物90に照射される位置が決まる。すなわち、レーザ光60bが集光レンズ30に入射する位置と、レーザ光60cが被加工物90に照射される位置とは、一対一に対応している。
XYテーブル40は、載置面41に被加工物90が載置され、位置指令に従った制御により、X軸方向及びY軸方向を含む二次元方向へ被加工物90を移動させる。被加工物90に対する加工領域が狭く、ガルバノスキャナ20の駆動のみで加工領域にレーザ光60cを走査させることが出来る場合には、必ずしもXYテーブル40を用いて被加工物90を移動させる必要はなく、被加工物90はXYテーブル40の代わりに載置面が固定された固定台(不図示)に載置されてもよい。XYテーブル40、及び固定台は、どちらも被加工物90を載置する平面状の載置面を有している点は同じで、当該載置面が移動可能か否かの点で異なっている。すなわち、XYテーブル40、及び固定台は、載置面に被加工物90を載置する搭載台である。
尚、レーザ光の走査位置決め精度の面から、図1に示すように、ガルバノスキャナ20は、被加工物90を載置する載置面41に垂直な方向(図1では、Z軸方向)に対してガルバノミラー21を載置する平面23が平行ではなく、適度に傾くように配置されているのが望ましい。例えば、レーザ加工機1が図1に示すような構成である場合、被加工物90を載置する載置面41に垂直な方向に対する平面23の傾きは、β軸の方向で定義することが出来る。この場合、適度な傾きの一例としては、被加工物90を載置する載置面41に垂直な方向(すなわち、+Z軸方向)に対して反時計回りに45度傾いた方向がβ軸となるように平面23が配置されている場合である。
このような配置が望ましい理由について説明する。例えば、図1において、ガルバノスキャナ20が、ガルバノミラー21を載置する平面23のβ軸方向がZ軸方向と平行になるように配置されている場合は、平面23のβ軸方向がZ軸方向に対して傾くように配置されている場合に比べて、ガルバノミラーをβ軸方向に並進移動させる移動距離に対して反射面の向きの変化率が大きいため、ガルバノミラーをβ軸方向(すなわち、Z軸方向)に少し並進移動させただけでも、反射面の向きが大きく変化してしまい、それに伴ってレーザ光の走査位置も大きく変化してしまう。従って、レーザ光の走査位置決め精度は、ガルバノミラーの位置決め誤差の影響を受けやすくなる。
これに対してガルバノスキャナ20が、ガルバノミラー21を載置する平面23のβ軸方向がZ軸方向に対して適度に傾くように配置されている場合、平面23のβ軸方向がZ軸方向と平行になるように配置されている場合に比べて、ガルバノミラーをβ軸方向に並進移動させる移動距離に対して反射面の向きの変化率が小さいため、レーザ光の走査位置決め精度は、ガルバノミラーの位置決め誤差の影響を受けにくい。このため、ガルバノスキャナ20は、被加工物90を載置する載置面41に垂直な方向に対してガルバノミラー21を載置する平面23が適度に傾くように配置されている方が、高精度なレーザ光走査を実現しやすい。
制御装置50は、レーザ加工機1の全体を制御する。すなわち、制御装置50は、発振器10、ガルバノスキャナ20、及びXYテーブル40の動作を制御する。具体的には、制御装置50は、被加工物90上の加工領域がレーザ光60cの走査可能範囲に入るように、XYテーブル40によって被加工物90を移動させた後、レーザ光60cを照射させる被加工物90上の目標位置である目標走査位置の設定に従って、当該目標走査位置にレーザ光60cが入射するように、ガルバノスキャナ20を制御する。すなわち、制御装置50は、目標走査位置に対応する集光レンズ30上の照射位置である目標照射位置にレーザ光60bが入射するように、ガルバノスキャナ20を制御する。図3は、制御装置50の構成を示す図である。制御装置50は、各種指令を生成する指令生成部51と、レーザ制御部55と、ガルバノ制御部56と、XYテーブル制御部57とを有する。
指令生成部51は、XYテーブル40に対する位置指令を生成するXYテーブル位置指令生成部52と、ガルバノスキャナ20に対する位置指令を生成するガルバノ位置指令生成部53と、レーザ出力指令を生成するレーザ出力指令生成部54とを有する。レーザ制御部55は、レーザ出力指令生成部54で生成されたレーザ出力指令に従って、発振器10を制御する。ガルバノ制御部56は、ガルバノ位置指令生成部53で生成された位置指令に従って、ガルバノスキャナ20を制御する。ガルバノ制御部56は、駆動部22によるガルバノミラー21の並進移動を制御し、ガルバノミラー21の位置決めを行う。XYテーブル制御部57は、XYテーブル位置指令生成部52で生成された位置指令に従って、XYテーブル40の移動を制御し、XYテーブル40に載置された被加工物90の位置決めを行う。
次にレーザ加工機1の動作について説明する。
ガルバノミラー21は、鏡面がドーム状の曲面形状のため、ガルバノミラー21を並進移動させて発振器10から出力されたレーザ光60aが入射する反射面の位置を制御することによって、入射方向に対して反射面の向き(反射面が向いている方向)が変化し、レーザ光60aを任意の方向に反射させることが出来る。一例として、被加工物90上の照射位置をY軸方向に移動させる場合の動作について説明する。
図4は、レーザ光のY軸方向走査を説明するための図である。図4は、図1に示すレーザ加工機1において、ガルバノミラー21をβ軸方向に並進移動させる位置に応じて、レーザ光の反射方向が変化し、被加工物90上の照射位置がY軸方向に移動する様子を模式的に示している。尚、XYテーブル40は駆動せず、被加工物90の位置を固定した場合を示している。
図4の(a)は、発振器10から水平方向(+Y軸方向)に出力されたレーザ光61aを、ガルバノミラー21上の反射面M1で鉛直方向(-Z軸方向)に反射させたときのレーザ光の照射位置を示している。図4の(b)は、図4の(a)の状態から、ガルバノミラー21を+β軸方向に並進移動させて、発振器10から水平方向(+Y軸方向)に出力されたレーザ光62aを、ガルバノミラー21上の反射面M2で反射させたときのレーザ光の反射方向及び照射位置を示している。図4の(c)は、図4の(a)の状態から、ガルバノミラー21を-β軸方向に並進移動させて、発振器10から水平方向(+Y軸方向)に出力されたレーザ光63aを、ガルバノミラー21上の反射面M3で反射させたときのレーザ光の反射方向及び照射位置を示している。
ガルバノミラー21を、図4の(a)に示す位置から、図4の(b)に示す位置まで+β軸方向に並進移動させると、ガルバノミラー21上のレーザ光が入射する反射面の位置も、相対的に反射面M1から反射面M2へと移動し、反射面の向きは、反射面M2の方が反射面M1よりも、+Y軸方向に傾く。このため、反射光の方向は、レーザ光61bよりもレーザ光62bの方が+Y軸方向に傾くので、集光レンズ30上に照射される位置がL1からL2へと+Y軸方向に移動する。その結果、被加工物90上に照射されるレーザ光62cの照射位置もW1からW2へと+Y軸方向に移動する。
ガルバノミラー21を-β軸方向に並進移動させたときは、上記と逆の動作になる。すなわち、ガルバノミラー21を、図4の(a)に示す位置から、図4の(c)に示す位置まで-β軸方向に並進移動させると、ガルバノミラー21上のレーザ光が入射する反射面の位置も、相対的に反射面M1から反射面M3へと移動し、反射面の向きは、反射面M3の方が反射面M1よりも、-Y軸方向に傾く。このため、反射光の方向は、レーザ光61bよりもレーザ光63bの方が-Y軸方向に傾くので、集光レンズ30上に照射される位置がL1からL3へと-Y軸方向に移動する。その結果、被加工物90上に照射されるレーザ光63cの照射位置もW1からW3へと-Y軸方向に移動する。
また、同様な一例として、被加工物90上の照射位置をX軸方向に移動させる場合の動作について説明する。図5は、レーザ光のX軸方向走査を説明するための図である。図5は、図1に示すレーザ加工機1において、ガルバノミラー21をα軸方向に並進移動させる位置に応じて、レーザ光の反射方向が変化し、被加工物90上の照射位置がX軸方向に移動する様子を模式的に示している。尚、XYテーブル40は駆動せず、被加工物90の位置を固定した場合を示している。
図5の(a)は、図4の(a)と同じ状態を示している。図5の(b)は、図5の(a)の状態から、ガルバノミラー21を+α軸方向(すなわち、+X軸方向)に並進移動させて、発振器10から水平方向(+Y軸方向)に出力されたレーザ光64aを、ガルバノミラー21上の反射面M4で反射させたときのレーザ光の反射方向及び照射位置を示している。図5の(c)は、図5の(a)の状態から、ガルバノミラー21を-α軸方向(すなわち、-X軸方向)に並進移動させて、発振器10から水平方向(+Y軸方向)に出力されたレーザ光65aを、ガルバノミラー21上の反射面M5で反射させたときのレーザ光の反射方向及び照射位置を示している。
ガルバノミラー21を、図5の(a)に示す位置から、図5の(b)に示す位置まで+α軸方向に並進移動させると、ガルバノミラー21上のレーザ光が入射する反射面の位置も、相対的に反射面M1から反射面M4へと移動し、反射面の向きは、反射面M4の方が反射面M1よりも、-X軸方向に傾く。このため、反射光の方向は、レーザ光61bよりもレーザ光64bの方が-X軸方向に傾くので、集光レンズ30上に照射される位置がL1からL4へと-X軸方向に移動する。その結果、被加工物90上に照射されるレーザ光64cの照射位置もW1からW4へと-X軸方向に移動する。
ガルバノミラー21を-α軸方向に並進移動させたときは、上記と逆の動作になる。すなわち、ガルバノミラー21を、図5の(a)に示す位置から、図5の(c)に示す位置まで-α軸方向に並進移動させると、ガルバノミラー21上のレーザ光が入射する反射面の位置も、相対的に反射面M1から反射面M5へと移動し、反射面の向きは、反射面M5の方が反射面M1よりも、+X軸方向に傾く。このため、反射光の方向は、レーザ光61bよりもレーザ光65bの方が+X軸方向に傾くので、集光レンズ30上に照射される位置がL1からL5へと+X軸方向に移動する。その結果、被加工物90上に照射されるレーザ光65cの照射位置もW1からW5へと+X軸方向に移動する。
また、α軸方向駆動部22α及びβ軸方向駆動部22βを連動させてα軸方向及びβ軸方向を含む二次元方向の任意の位置にガルバノミラー21を並進移動させて、ドーム状の曲面形状の鏡面のうち、特定の面の向きを有する反射面に発振器10から出力されるレーザ光を入射させることにより、レーザ光を任意の方向へ反射させることが出来、その結果、集光レンズ30上の任意の位置にレーザ光を照射させることが出来る。その結果、被加工物90上の任意の位置にレーザ光を照射させることが出来る。
このように、制御装置50は、ガルバノミラー21を並進移動させる位置を制御し、特定方向の面の向きを有する反射面で、発振器10から出力されるレーザ光を反射させることによって、集光レンズ30にレーザ光が入射する位置を調整することが出来る。そして、集光レンズ30から被加工物90に対して垂直にレーザ光が照射されるため、集光レンズ30にレーザ光が入射する位置を調整出来れば、被加工物90にレーザ光が入射する位置を調整することが出来る。
次に、ガルバノミラーを並進移動させる位置の制御方法について説明する。一例として、図4のようにY軸方向にレーザ光を走査させる場合について図6を用いて説明する。図6の(a)は、図4の(a)の状態を+X軸方向から見た模式図である。図6の(b)は、図4の(b)の状態を+X軸方向から見た模式図である。説明を簡略化するため、一例として、図6に記載のガルバノミラー21aは半球面状の鏡面を有している場合について記載している。尚、図6に記載のガルバノミラー21aは、レーザ光が入射している近辺のみを図示している。また、ガルバノミラー21aが半球面状の鏡面を有している場合、ガルバノミラー21aの位置は、一例としてガルバノミラー21aが有する半球面状の鏡面の中心点の位置で表すことができ、図6の(a)の状態のときは、ガルバノミラー21aが有する半球面状の鏡面の中心点の位置はP1にあり、図6の(b)の状態のときは、ガルバノミラー21aが有する半球面状の鏡面の中心点の位置はP2にあることを示している。
図6の(a)は、発振器10から水平方向(+Y軸方向)に出力されたレーザ光61aを、反射面M1で鉛直方向(-Z軸方向)に反射させている状態を示している。図6の(a)の場合、光の反射の法則から、入射角θ1と反射角θ1’は等しいので、入射角θ1=反射角θ1’=45度となる。反射面の向きは、反射面の法線の方向と等しいので、反射面の法線の方向で表すことができる。図6の(a)の場合、反射面M1の向き、すなわち、反射面M1の法線h1の方向を図示している方向θh1で表すと、θh1は、入射角θ1と等しく、45度になる。従って、反射面M1の向きは、θh1=45度である。
換言すると、法線方向がθh1=45度の法線h1を有する反射面M1に、発振器10から水平方向(+Y軸方向)に出力されたレーザ光61aを入射させることによって、入射角θ1=法線方向θh1=45度、反射角θ1’=入射角θ1=45度となるので、鉛直方向(-Z軸方向)にレーザ光61bを反射させることが出来る。
図6の(b)は、図6の(a)に示すガルバノミラー21aの位置から+β軸方向にガルバノミラー21aを並進移動させたとき、ガルバノミラー21aが有する半球面状の鏡面の中心点の位置がP1からP2へ移動し、発振器10から水平方向(+Y軸方向)に出力されたレーザ光62aの入射する反射面の位置が、θh1の方向の法線h1を有する反射面M1から、θh2の方向の法線h2を有する反射面M2へ移動したことによって、レーザ光の反射方向がレーザ光61bからレーザ光62bへ変化し、その結果、集光レンズ30上に照射される位置がL1からL2へと+Y軸方向に移動し、被加工物90上の照射位置もW1からW2へと+Y軸方向に移動していることを示している。このとき、入射角θ2=法線方向θh2、反射角θ2’=入射角θ2の関係になっている。
換言すると、ガルバノミラー21aが有する半球面状の鏡面の中心点の位置がP2となるように、ガルバノミラー21aを並進移動させて、発振器10から水平方向(+Y軸方向)に出力されたレーザ光62aがθh2の方向の法線h2を有する反射面M2に入射させることによって、入射光であるレーザ光62aに対して、入射角θ2=法線方向θh2、反射角θ2’=入射角θ2の関係を満足するような反射光であるレーザ光62bの方向へ反射させることが出来、その結果、集光レンズ30上の目標照射位置であるL2の位置へレーザ光62bを照射させ、被加工物90上の目標走査位置であるW2の位置へレーザ光62cを照射させることが出来る。
従って、被加工物90上のW2の位置を目標走査位置として設定し、この目標走査位置W2へレーザ光を照射させるためには、ガルバノミラー21aが有する半球面状の鏡面の中心点の位置がP2となるように、ガルバノミラー21aを並進移動させれば良い。尚、図6では、一例として、ガルバノミラー21aが半球面状の鏡面を有している場合について説明したが、ガルバノミラー21aが球面の一部を切り取った形状の鏡面を有している場合についても同様な説明になる。
このように、被加工物90上の目標走査位置に対応する、集光レンズ30上の目標照射位置へ向けて反射させることが出来る面の向きを有する反射面のガルバノミラー上の位置を算出し、発振器から出力されたレーザ光を当該反射面に入射させることが出来る、ガルバノミラーの位置を算出することによって、ガルバノミラーの位置を制御し、集光レンズ30上の目標照射位置へレーザ光を照射させることが出来る。その結果、被加工物90上の目標走査位置へレーザ光を走査させることが出来る。
図7は、ガルバノ位置指令生成部53の構成を示す図である。ガルバノ位置指令生成部53は、反射面位置算出部58と、ガルバノミラー位置算出部59とを有する。反射面位置算出部58は、図示しない入力部から設定された目標走査位置を取得し、当該目標走査位置に対応する集光レンズ30上の目標照射位置を算出し、当該目標照射位置へ向けて反射させることが出来る面の向きを有する反射面のガルバノミラー21a上の位置を算出する。ガルバノミラー位置算出部59は、反射面位置算出部58で算出されたガルバノミラー21a上の反射面の位置に基づいて、発振器10から出力されるレーザ光を当該反射面に入射させることが出来る、ガルバノミラー21aの位置を算出し、当該位置に基づいて対応する位置指令を生成する。ガルバノ位置指令生成部53は、このような構成により、ガルバノスキャナ20に対する位置指令を生成する。
一例として、現在のガルバノミラー21aが、図6の(a)に示すガルバノミラー21aの中心点P1の位置にいるときに、次のガルバノミラー21aの目標位置である、図6の(b)に示すガルバノミラー21aの中心点P2の位置を求める場合について、図8を用いて説明する。
図8の入射光に対するガルバノミラー21aの位置は、図6の(a)と同じ状態を示している。すなわち、現在のガルバノミラー21aの中心点の位置はP1にあり、この状態で発振器10から水平方向(+Y軸方向)にレーザ光61aを出力すると反射面M1に入射し、反射面M1で反射したレーザ光61bが集光レンズ30上のL1の位置に照射されることを示している。
このようなケースにおいて、反射面位置算出部58は、まず、設定された次の目標走査位置W2に基づいて次の集光レンズ30上の目標照射位置L2の座標位置情報を算出する。反射面M1の座標位置情報と、目標照射位置L2の座標位置情報とから、図8に示すような次の目標反射光であるレーザ光62bの反射方向を求める。すなわち、次の集光レンズ30上の目標照射位置L2に向けて反射させる方向である目標反射方向を求める。
次に、反射面位置算出部58は、レーザ光61aの入射方向と、レーザ光62bの反射方向とから、レーザ光61aがガルバノミラー21aに入射したときに、レーザ光62bの方向(すなわち、目標反射方向)へ反射させるために必要な面の向きを求める。これは、光の反射の法則から、レーザ光61aとレーザ光62bが成す角度の中間方向を求めることに等しく、図8では直線h2’の方向がレーザ光61aとレーザ光62bが成す角度の中間方向であることを示している。すなわち、直線h2’の方向が、レーザ光61aがガルバノミラー21aに入射したときに、レーザ光62bの方向へ反射させるために必要な面の向きである。
次に、反射面位置算出部58は、ガルバノミラー21a上の表面で、レーザ光62bの方向へ反射させるために必要な面の向きを有する反射面M2の位置を求める。これは、図8に示すように、ガルバノミラー21aの中心点P1を通るように直線h2’を平行移動させた直線を法線h2”とし、この法線h2”がガルバノミラー21aの表面と交差する点を反射面M2の位置とすることで求めることが出来る。
次に、ガルバノミラー位置算出部59は、ガルバノミラー21aを並進移動させる目標位置である中心点P2の位置を求める。これは次のようにして求めることが出来る。図8に示すように、反射面M2の中心点の位置から+β軸方向に延ばした直線がレーザ光61aの延長線と交わる位置をP3とする。反射面M2の中心点を始点、P3を終点とするベクトルをV1としたとき、ベクトルV1の始点をガルバノミラー21aの中心点P1に移動させたベクトルV2の終点の位置が、ガルバノミラー21aを並進移動させる目標位置である中心点P2の位置である。
ガルバノミラー21aの中心点の位置が、上記のように求めたガルバノミラー21aの中心点P2の位置となるように、ガルバノミラー21aを並進移動させることによって、図8に示す反射面M2が、P3の位置へ移動し、移動後の反射面M2へレーザ光61aが入射するようになる。反射面M2はレーザ光62bの方向へ反射することが出来る面の向きを有しているので、反射面M2に入射したレーザ光61aはレーザ光62bの方向へ反射し、集光レンズ30上の目標照射位置L2へレーザ光62bが照射される。この結果、被加工物90上のW2の位置にレーザ光62cを走査させることが出来る。
このようにガルバノミラー21aのβ軸方向の位置を制御することによって、集光レンズ30上のY軸方向の任意の位置にレーザ光を照射させることが出来、その結果被加工物90上のY軸方向の任意の位置にレーザ光を走査させることが出来る。また、X軸方向にレーザ光を走査する場合も、同様にガルバノミラー21aのα軸方向の位置を制御することによって、集光レンズ30上のX軸方向の任意の位置にレーザ光を照射させることが出来、その結果被加工物90上のX軸方向の任意の位置にレーザ光を走査させることが出来る。また、このような制御を組み合わせて、ガルバノミラー21aのα軸方向とβ軸方向の位置を制御することによって、集光レンズ30上の任意の位置にレーザ光を照射させることが出来、その結果被加工物90上の任意の位置にレーザ光を走査させることが出来る。
尚、図8では、ガルバノミラー21aが半球面状の鏡面を有している場合について、反射面M2の位置、及びガルバノミラーを並進移動させる目標位置を幾何学的に算出した一例を説明したが、この方法に限定されない。例えば、ガルバノミラー21aが半球面状の鏡面を有している場合だけでなく、球面の一部を切り取った形状の鏡面を有している場合や、ドーム状の曲面形状の鏡面を有している場合も含め、使用しているガルバノミラーの3次元形状、及びガルバノミラーと発振器との位置関係をモデル化して予め図示しない記憶部に登録しておき、このモデルを利用して、反射面位置算出部58がガルバノミラー21a上の反射面M2の位置を算出し、ガルバノミラー位置算出部59がガルバノミラー21aを並進移動させる目標位置を算出できるようにしても良い。
次に、レーザ光の走査位置決め処理の流れを説明する。図9は、レーザ光の走査位置決め処理を説明するフローチャートである。まず、反射面位置算出部58は、被加工物90に対するレーザ光の目標走査位置を取得する(step1)。具体的には、反射面位置算出部58は、図示しない入力部から設定された目標走査位置を取得する。尚、図示しない記憶部に、被加工物90に対して目標の加工形状のレーザ加工を施すために必要な複数の目標走査位置を予め記憶させておいて、反射面位置算出部58は記憶部から都度必要な目標走査位置を取得するようにしても良い。
次に、反射面位置算出部58は、取得した目標走査位置から集光レンズ30上の次の目標照射位置を算出し、次にレーザ光を入射させる、ガルバノミラー21上の反射面の位置を算出する(step2)。具体的には、図8で説明した方法等によって、集光レンズ30上の次の目標照射位置へ反射させることが出来る面の向きを有する反射面の位置を算出する。
次に、ガルバノミラー位置算出部59は、次に並進移動させるガルバノミラー21の目標位置を算出する(step3)。具体的には、ガルバノミラー位置算出部59は、図8で説明した方法等によって、step2で算出した反射面の位置へレーザ光を入射させることが出来るガルバノミラー21の位置を算出する。すなわち、ガルバノミラー21のα軸方向とβ軸方向の位置を制御して、step2で算出した反射面の位置が、発振器10から出力されるレーザ光の軌道上に来るような、ガルバノミラー21の位置を算出する。
次に、ガルバノミラー位置算出部59は、step3で算出したガルバノミラー21の目標位置に基づいて、ガルバノスキャナ20に対する位置指令を生成し出力する(step4)。次に、ガルバノ制御部56は、ガルバノスキャナ20に対する位置指令に従って、ガルバノスキャナ20を制御し、ガルバノミラー21の目標位置へガルバノミラー21を並進移動させる(step5)。そして、発振器10から出力されたレーザ光が、step2で算出した位置にある反射面で反射し、集光レンズ30上の目標照射位置を通過したレーザ光が、被加工物90上の目標走査位置へ照射される(step6)。
具体的には、step5の結果、ガルバノミラー21の並進移動に伴って、発振器10から出力されたレーザ光が入射する反射面の位置がstep2で算出した反射面の位置まで移動し、反射面の向きが変化することによって、レーザ光の反射方向が調整され、集光レンズ30上のレーザ光の照射位置が目標照射位置へ移動する。集光レンズ30上の目標照射位置へレーザ光が照射されると、レーザ光が集光レンズ30によって集光され、被加工物90上の目標走査位置へレーザ光が照射される。
このようなstep1からstep6の処理を、被加工物90に対するレーザ光の目標走査位置を変えながら繰り返し行うことによって、被加工物90に対して所望するレーザ加工を行うことが出来る。
以上説明したように、本実施の形態におけるガルバノスキャナは、ドーム状の曲面形状の鏡面を有するガルバノミラーを並進移動させることによって、レーザ光を任意の方向へ反射させるので、従来のガルバノスキャナのように、平面状のガルバノミラーを回動させることがないため、面倒れ振動、及びねじり振動が発生することがなくなり、駆動の高速化と走査位置決め精度の向上とを両立させることが出来る。
また、従来のガルバノスキャナを使用するレーザ加工機では、任意の位置へレーザ光走査を行うためには、複数の平面状のガルバノミラーが必要であり、それぞれのガルバノミラーに由来する製造誤差、熱変形などによる影響が加算されて、走査位置決め精度にも影響するため、加工精度が悪化する問題があるのに対して、本実施の形態におけるレーザ加工機は、一つのガルバノミラーしか必要とせず、従来よりも少ないガルバノミラーで実現可能なため、ガルバノミラーの製造誤差、及び熱変形などによる加工精度への影響も抑制することが出来る。
実施の形態2.
従来のガルバノスキャナのように、平面状の鏡面でレーザ光を反射させる場合は、反射後のレーザ光は入射光と同様に広がることなく光路上の空間内に伝搬していくのに対して、実施の形態1のようなドーム状の曲面形状の鏡面でレーザ光を反射させる場合は、反射後のレーザ光は反射面の曲率に応じた広がり角を持って光路上の空間内に伝搬していくことになる。このため、この広がり角の大きさ、及びガルバノミラーと集光レンズとの距離に比例して、集光レンズに到達時のレーザ光のビーム径は、発振器から出力されたレーザ光のビーム径よりも大きくなる。
また、ガルバノミラーが半球面状の鏡面を有する場合は、鏡面上の方向によらず曲率は同じであるため、反射後のレーザ光のビーム形状は入射光と同じビーム形状になるが、ガルバノミラーが鏡面上の方向によって曲率が異なる曲面形状の鏡面を有する場合、反射後のレーザ光のビーム形状は反射前のレーザ光のビーム形状とは異なる形状に変形してしまう。そのため、発振器からビーム形状が円形のレーザ光を出力しても、鏡面上の方向によって曲率が異なる曲面形状の鏡面を有するガルバノミラーで反射させると、反射後のレーザ光のビーム形状は楕円形に変形してしまう。
このようにガルバノミラーでの反射前後で、レーザ光のビーム径、及びビーム形状が変化してしまうことにより、集光レンズ30を通過するレーザ光の集光性が低下して加工精度が低下する恐れがある。そのため、実施の形態2では、反射後のレーザ光のビーム径、及びビーム形状を補正して、集光レンズ30を通過するレーザ光の集光性の低下を抑制することが出来るレーザ加工機について説明する。実施の形態1と同じ部分については説明を省略し、実施の形態1と異なる部分について説明する。
図10は、実施の形態2にかかるレーザ加工機1Aの構成を示す図である。実施の形態2にかかるガルバノスキャナ及び制御装置の構成については、実施の形態1のガルバノスキャナ及び制御装置の構成と同様のため、説明を省略する。図10は、ガルバノミラー21が有する鏡面と集光レンズ30の光路間に、光学部品70を設けた点が実施の形態1と異なる。光学部品70は、ガルバノミラー21が有する鏡面にて反射されたレーザ光60dを補正し、集光レンズ30に対して、補正されたレーザ光60eを照射する。
図11は、一例として、半球面状の鏡面を有するガルバノミラー21aを使用している場合の、光学部品70によるレーザ光のビーム径の補正について説明するための図である。図11のように、半球面状の鏡面を有するガルバノミラー21aで反射したレーザ光60dは、光学部品70に向かって広がりながら伝搬していく。従って、光学部品70に到達時点のレーザ光60dのビーム径は、発振器10から出力されたレーザ光60aのビーム径よりも大きくなる。
光学部品70は、光学部品70を通過して集光レンズ30に入射するレーザ光60eのビーム径が、発振器10から出力されるレーザ光60aのビーム径と同じサイズになるように、ガルバノミラー21aによって反射されたレーザ光60dを補正する。この結果、集光レンズ30には、発振器10から出力されるレーザ光60aのビーム径と同じサイズのレーザ光60eが入射するようになり、集光レンズ30を通過するレーザ光60eの集光性の低下を抑制することが出来る。その結果、レーザ光の集光性の低下による加工不良を低減させることが出来る。尚、このような光学部品70を使用しない場合は、ガルバノミラー21aで反射したレーザ光60dのビーム径の拡大率を考慮して集光レンズ30の屈折率を予め調整しておくことによって、レーザ光の集光性を補正しても良い。
図11では、一例として、半球面状の鏡面を有するガルバノミラー21aを使用した場合について説明したが、ガルバノミラー21が鏡面上の方向によって曲率が異なる曲面形状の鏡面を有するガルバノミラーを使用している場合は、ガルバノミラー21での反射前後において、レーザ光のビーム径だけでなく、レーザ光のビーム形状も変化してしまう。このため、発振器10からビーム形状が円形のレーザ光を出力しても、鏡面上の方向によって曲率が異なる曲面形状の鏡面を有するガルバノミラー21で反射させると、反射後のレーザ光のビーム形状は楕円形に変形してしまう。
このような場合、光学部品70は、レーザ光のビーム径の補正だけでなく、レーザ光のビーム形状も補正するようにしても良い。この場合、光学部品70は、レーザ光のビーム径の補正に加え、集光レンズ30に入射するレーザ光60eのビーム形状が、円形になるように、ガルバノミラー21によって反射されたレーザ光60dを補正する。この結果、集光レンズ30には、適切なビーム径とビーム形状に補正されたレーザ光が入射されるようになるので、集光レンズ30を通過するレーザ光の集光性の低下を更に抑制することが出来る。
以上説明したように、本実施の形態におけるレーザ加工機1Aは、光学部品70でレーザ光のビーム径、及びビーム形状を補正して集光レンズ30に適切なレーザ光を入射させることによって、集光レンズ30を通過するレーザ光の集光性の低下を抑制することが出来、その結果、レーザ光の集光性の低下による加工不良を低減させることが出来る。
次に、実施の形態1から2にかかる制御装置50が有するハードウェア構成について説明する。図12は、実施の形態1から2にかかるレーザ加工機1,1Aが有する制御装置50のハードウェア構成例を示す図である。図12には、プログラムを実行するハードウェアを用いることによって制御装置50の機能が実現される場合におけるハードウェア構成を示している。
プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ101は、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はDSP(Digital Signal Processor)であっても良い。メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read OnlyMemory)またはEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。
記憶装置103は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)である。コンピュータを制御装置50として機能させるプログラムは、記憶装置103に格納される。プロセッサ101は、記憶装置103に格納されているプログラムをメモリ102に読み出して実行する。
プログラムは、コンピュータシステムによる読み取りが可能とされた記憶媒体に記憶されたものであっても良い。制御装置50は、記憶媒体に記録されたプログラムをメモリ102へ格納しても良い。記憶媒体は、フレキシブルディスクである可搬型記憶媒体、あるいは半導体メモリであるフラッシュメモリであっても良い。プログラムは、他のコンピュータあるいはサーバ装置から通信ネットワークを介してコンピュータシステムへインストールされても良い。
指令生成部51、レーザ制御部55、ガルバノ制御部56およびXYテーブル制御部57の各機能は、プロセッサ101とソフトウェアの組み合わせによって実現される。当該各機能は、プロセッサ101およびファームウェアの組み合わせによって実現されても良く、プロセッサ101、ソフトウェアおよびファームウェアの組み合わせによって実現されても良い。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、記憶装置103に格納される。
インタフェース回路104は、ハードウェアに接続される機器である、発振器10、ガルバノスキャナ20およびXYテーブル40へ、信号を送信する。
以上の各実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。各実施の形態の構成は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。各実施の形態の構成同士が適宜組み合わせられても良い。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、各実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。