JP2020099912A - レーザマーカ - Google Patents

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Abstract

【課題】加工用レーザ光による印字精度の向上を図ることが可能なレーザマーカを提供すること。
【解決手段】レーザマーカは、マーキング(印字)加工されるべき像の印字パターンに基づいて、加工対象物7の加工面8上に複数の測定点MP1,MP2,MP3を設定し、測距用レーザ光を複数の測定点MP1,MP2,MP3で反射させることによって取得される測定点MP1,MP2,MP3とTOFセンサとの間の距離を、測定距離V1,V2,V3として、測定点MP1,MP2,MP3に対応付けてRAMに記憶し、加工用レーザ光を像の印字パターンに基づいて加工対象物7の加工面8上で走査させる際に、像の印字パターン、測定点MP1,MP2,MP3、及び測定距離V1,V2,V3に基づいて、加工用レーザ光の焦点位置を補正する。
【選択図】図4

Description

本開示は、レーザマーカに関するものである。
従来より、加工対象物までの距離を測定するレーザマーカに関し、種々の技術が提案されている。例えば、下記特許文献1に記載の技術は、距離測定装置であって、被測定物の表面にスポット光を投光する投光手段、前記被測定物からの反射光を受光して被測定物までの距離に対応する距離信号を出力する第1の受光手段、前記被測定物からの反射光を受光して前記スポット光の反射率のバラツキを補正するための補正信号を出力する第2の受光手段、前記第2の受光手段からの補正信号を前記第1の受光手段からの距離信号に印加して前記距離信号を補正する補正手段、を具備することを特徴とする。
そのような特徴を具備する距離測定装置は、下記特許文献1の記載によれば、レーザー加工機に利用された場合、被測定物の金属表面までの距離を測定する際に生じる、投光された光の反射ムラ等による測定精度の劣化の問題を解決できるとされる。
特開昭62−62208号公報
しかしながら、被測定物の表面上にある加工領域は、平面とは限らない。そのため、上記特許文献1に記載の距離測定装置によって測定された被測定物までの距離に基づき、レーザー加工機の焦点位置が決定されても、加工領域内の位置によっては、被測定物の表面が、焦点位置の許容範囲から外れる虞があった。
そこで、本開示は、上述した点を鑑みてなされたものであり、加工用レーザ光による印字精度の向上を図ることが可能なレーザマーカを提供する。
本明細書は、加工対象物の加工面上にオブジェクトを印字するための加工用レーザ光を出射するレーザ光源と、測距用レーザ光を出射し、測距対象物で反射した測距用レーザ光を受光することによって、測距対象物までの間の距離を測定する測距部と、加工用レーザ光及び測距用レーザ光を加工対象物の加工面上に向けて照射し、走査する走査部と、加工用レーザ光の焦点位置を移動させて補正する可変焦点光学系と、オブジェクトの印字パターンが記憶された記憶部と、制御部とを備え、制御部は、オブジェクトの印字パターンに基づいて加工対象物の加工面上に複数の測定点を設定し、測距用レーザ光を複数の測定点で反射させることによって取得される測定点と測距部との間の距離を、測定距離として、測定点に対応付けて記憶部に記憶し、加工用レーザ光をオブジェクトの印字パターンに基づいて加工対象物の加工面上で走査させる際に、オブジェクトの印字パターン、測定点、及び測定距離に基づいて、加工用レーザ光の焦点位置を補正することを特徴とするレーザマーカを開示する。
本開示によれば、レーザマーカは、加工対象物の加工面上にオブジェクトを印字するに際し、オブジェクトの印字パターンに基づいて測定された距離を使用して、加工用レーザ光の焦点位置を補正することによって、加工用レーザ光による印字精度の向上を図ることが可能である。
本実施形態のレーザマーカの概略構成が表された図である。 同レーザマーカの電気的構成が表されたブロック図である。 同レーザマーカの概略構成が表された図である。 fθレンズと加工対象物の加工面との間が表された図である。 第1データテーブルが表された図である。 第2データテーブルが表された図である。 fθレンズと加工対象物の加工面との間が表された図である。 加工対象物の加工面上における測定点の設定例が表された図である。 加工対象物の加工面上における測定点の設定例が表された図である。 同レーザマーカが実行する各処理が表されたフローチャートである。
以下、本開示のレーザマーカについて、具体化した実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。以下の説明に用いる図1乃至図3では、基本的構成の一部が省略されて描かれており、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。尚、以下の説明において、上下方向は、図1、図3、図4、及び図7に示された通りである。
[1.レーザマーカの概略構成]
先ず、図1及び図2に基づいて、本実施形態のレーザマーカ1の概略構成について説明する。本実施形態のレーザマーカ1は、印字情報作成部2及びレーザ加工部3で構成されている。印字情報作成部2は、パーソナルコンピュータ等で構成されている。
レーザ加工部3は、レーザ光Pを加工対象物7の加工面8上で2次元走査してマーキング(印字)加工を行うものである。レーザ加工部3は、レーザコントローラ6を備えている。
レーザコントローラ6は、コンピュータで構成され、印字情報作成部2と双方向通信可能に接続されている。レーザコントローラ6は、印字情報作成部2から送信された印字情報、制御パラメータ、各種指示情報等に基づいてレーザ加工部3を駆動制御する。
レーザ加工部3の概略構成について説明する。レーザ加工部3は、レーザ発振ユニット12、ガイド光部15、第1ダイクロイックミラー101、光学系70、TOF(Time of Flight)センサ103、第2ダイクロイックミラー105、ガルバノスキャナ18、及びfθレンズ19等を備えており、不図示の略直方体形状の筐体カバーで覆われている。
レーザ発振ユニット12は、レーザ発振器21等で構成されている。レーザ発振器21は、CO2レーザ、YAGレーザ等で構成されており、レーザ光Pを出射する。尚、レーザ光Pの光径は、不図示のビームエキスパンダで調整(例えば、拡大)される。
ガイド光部15は、可視半導体レーザ28等で構成されている。可視半導体レーザ28は、可視可干渉光である可視レーザ光Q、例えば、赤色レーザ光を出射する。尚、可視レーザ光Qは、不図示のレンズ群で平行光にされ、例えば、レーザ光Pでマーキング(印字)加工すべき印字パターンの像又はその像を取り囲んだ矩形の像を加工対象物7の加工面8に対して投影するものである。
可視レーザ光Qの波長は、レーザ光Pの波長とは異なる。本実施形態では、例えば、レーザ光Pの波長は1064nmであり、可視レーザ光Qの波長は、650nmである。
第1ダイクロイックミラー101では、入射されたレーザ光Pのほぼ全部が透過する。また、第1ダイクロイックミラー101では、レーザ光Pが透過する略中央位置にて、可視レーザ光Qが45度の入射角で入射され、45度の反射角でレーザ光Pの光路上に反射される。第1ダイクロイックミラー101の反射率は、波長依存性を持っている。具体的には、第1ダイクロイックミラー101は、誘電体層と金属層との多層膜構造の表面処理がなされており、可視レーザ光Qの波長に対して高い反射率を有し、それ以外の波長の光をほとんど(99%)透過するように構成されている。
尚、図1の一点鎖線は、レーザ光Pと可視レーザ光Qの光軸10を示している。また、光軸10の方向は、レーザ光Pと可視レーザ光Qの経路方向を示している。
光学系70は、第1レンズ72、第2レンズ74、及び移動機構76を備えている。光学系70では、第1ダイクロイックミラー101を経たレーザ光Pと可視レーザ光Qが、第1レンズ72に入射し通過する。その際、第1レンズ72によって、レーザ光Pと可視レーザ光Qの各光径が縮小される。また、第1レンズ72を通過したレーザ光Pと可視レーザ光Qは、第2レンズ74に入射し通過する。その際、第2レンズ74によって、レーザ光Pと可視レーザ光Qが平行光にされる。移動機構76は、光学系モータ80と、光学系モータ80の回転運動を直線運動に変換するラック・アンド・ピニオン(不図示)等を備えており、光学系モータ80の回転制御によって、第2レンズ74をレーザ光Pと可視レーザ光Qの経路方向に移動させる。
尚、移動機構76は、第2レンズ74に代えて第1レンズ72を移動させる構成であってもよいし、第1レンズ72と第2レンズ74との間の距離が変わるように第1レンズ72と第2レンズ74の双方を移動させる構成であってもよい。
TOFセンサ103は、出射した測距用レーザ光が戻ってくるまでの時間を計測し、その計測時間を距離に換算するTOF方式のセンサである。第2ダイクロイックミラー105では、入射されたレーザ光P及び可視レーザ光Qのほぼ全部が透過する。尚、TOFセンサ103及び第2ダイクロイックミラー105の詳細な説明については、後述する。
ガルバノスキャナ18は、第2ダイクロイックミラー105を経たレーザ光Pと可視レーザ光Qとを2次元走査するものである。ガルバノスキャナ18では、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32とが、それぞれのモータ軸が互いに直交するように取り付けられ、各モータ軸の先端部に取り付けられた走査ミラー18X、18Yが内側で互いに対向している。そして、各モータ31、32の回転制御で、各走査ミラー18X、18Yを回転させることによって、レーザ光Pと可視レーザ光Qとを2次元走査する。この2次元走査方向は、X方向とY方向である。
fθレンズ19は、ガルバノスキャナ18によって2次元走査されたレーザ光Pと可視レーザ光Qとを加工対象物7の加工面8上に集光するものである。従って、レーザ光Pと可視レーザ光Qは、各モータ31、32の回転制御によって、加工対象物7の加工面8上でX方向とY方向に2次元走査される。
次に、レーザマーカ1を構成する印字情報作成部2とレーザ加工部3の回路構成について図2に基づいて説明する。先ず、レーザ加工部3の回路構成について説明する。
図2に表されたように、レーザ加工部3は、レーザコントローラ6、ガルバノコントローラ35、ガルバノドライバ36、レーザドライバ37、半導体レーザドライバ38、光学系ドライバ78、及びTOFセンサ103等から構成されている。レーザコントローラ6は、レーザ加工部3の全体を制御する。レーザコントローラ6には、ガルバノコントローラ35、レーザドライバ37、半導体レーザドライバ38、光学系ドライバ78、及びTOFセンサ103等が電気的に接続されている。また、レーザコントローラ6には、外部の印字情報作成部2が双方向通信可能に接続されており、印字情報作成部2から送信された各情報(例えば、印字情報、レーザ加工部3に対する制御パラメータ、ユーザからの各種指示情報等)を受信可能に構成されている。
レーザコントローラ6は、CPU41、RAM42、及びROM43等を備えている。CPU41は、レーザ加工部3の全体の制御を行う演算装置及び制御装置である。CPU41、RAM42、及びROM43は、不図示のバス線により相互に接続されて、相互にデータのやり取りが行われる。
RAM42は、CPU41により演算された各種の演算結果や印字パターンの(XY座標)データ等を一時的に記憶させておくためのものである。
ROM43は、各種のプログラムを記憶させておくものであり、例えば、印字情報作成部2から送信された印字情報に基づいて印字パターンのXY座標データを算出してRAM42に記憶するプログラムが記憶されている。尚、各種プログラムには、上述したプログラムに加えて、例えば、印字情報作成部2から入力された印字情報に対応する印字パターンの太さ、深さ及び本数、レーザ発振器21のレーザ出力、レーザ光Pのレーザパルス幅、ガルバノスキャナ18によるレーザ光Pを走査する速度等を示す各種制御パラメータをRAM42に記憶するプログラム等がある。更に、ROM43には、フォントの種類別に、直線と楕円弧とで構成された各文字のフォントの始点、終点、焦点、曲率等のデータが記憶されている。
CPU41は、ROM43に記憶されている各種のプログラムに基づいて各種の演算及び制御を行う。
CPU41は、印字情報作成部2から入力された印字情報に基づいて算出した印字パターンのXY座標データ、及びガルバノスキャナ18によるレーザ光Pを走査する速度等を示すガルバノ走査速度情報等を、ガルバノコントローラ35に出力する。また、CPU41は、印字情報作成部2から入力された印字情報に基づいて設定したレーザ発振器21のレーザ出力、及びレーザ光Pのレーザパルス幅等を示すレーザ駆動情報を、レーザドライバ37に出力する。
CPU41は、可視半導体レーザ28の点灯開始を指示するオン信号又は消灯を指示するオフ信号を半導体レーザドライバ38に出力する。
ガルバノコントローラ35は、レーザコントローラ6から入力された各情報(例えば、印字パターンのXY座標データ、ガルバノ走査速度情報等)に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32の駆動角度、回転速度等を算出して、駆動角度及び回転速度を示すモータ駆動情報をガルバノドライバ36に出力する。ガルバノドライバ36は、ガルバノコントローラ35から入力されたモータ駆動情報に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32を駆動制御して、レーザ光Pと可視レーザ光Qを2次元走査する。
レーザドライバ37は、レーザコントローラ6から入力されたレーザ発振器21のレーザ出力、及びレーザ光Pのレーザパルス幅等を示すレーザ駆動情報等に基づいて、レーザ発振器21を駆動させる。半導体レーザドライバ38は、レーザコントローラ6から入力されたオン信号又はオフ信号に基づいて、可視半導体レーザ28を点灯駆動又は、消灯させる。
光学系ドライバ78は、レーザコントローラ6から入力された情報(例えば、後述する指令値等)に基づいて、光学系モータ80を駆動制御して、第2レンズ74を移動させる。
次に、印字情報作成部2の回路構成について説明する。印字情報作成部2は、制御部51、入力操作部55、液晶ディスプレイ(LCD)56、及びCD−ROMドライブ58等を備えている。制御部51には、不図示の入出力インターフェースを介して、入力操作部55、液晶ディスプレイ56、及びCD−ROMドライブ58等が接続されている。
入力操作部55は、不図示のマウス及びキーボード等から構成されており、例えば、各種指示情報をユーザが入力する際に使用される。
CD−ROMドライブ58は、各種データ、及び各種アプリケーションソフトウェア等をCD−ROM57から読み込むものである。
制御部51は、印字情報作成部2の全体を制御するものであって、CPU61、RAM62、ROM63、及びハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)66等を備えている。CPU61は、印字情報作成部2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置である。CPU61、RAM62、及びROM63は、不図示のバス線により相互に接続されており、相互にデータのやり取りが行われる。更に、CPU61とHDD66とは、不図示の入出力インターフェースを介して接続されており、相互にデータのやり取りが行われる。
RAM62は、CPU61により演算された各種の演算結果等を一時的に記憶させておくためのものである。ROM63は、各種のプログラム等を記憶させておくものである。
HDD66には、各種アプリケーションソフトウェアのプログラム、及び各種データファイル等が記憶される。
[2.レーザ光の焦点位置及びその補正]
次に、レーザ光Pの焦点位置及びその補正について説明する。
図1に表されたように、レーザ光Pは、レーザ発振ユニット12から出射される。その出射されたレーザ光Pは、第1ダイクロイックミラー101を透過する。その透過したレーザ光Pは、光学系70内の第1レンズ72及び第2レンズ74を通過する。その通過したレーザ光Pは、第2ダイクロイックミラー105を透過する。その透過したレーザ光Pは、ガルバノスキャナ18の走査ミラー18X、18Yで2次元走査される。その2次元走査されたレーザ光Pは、fθレンズ19に入射する。その入射したレーザ光Pは、fθレンズ19で集光され、fθレンズ19から出射する。その出射されたレーザ光Pは、加工対象物7の加工面8を照射する。
以下、加工対象物7の加工面8上においてレーザ光Pが照射されるべき位置を、「照射予定点」と表記する。
加工対象物7の加工面8が平面であれば、レーザ光Pは、加工対象物7の加工面8上のどの位置にガルバノスキャナ18で2次元走査されても、fθレンズ19によって、加工対象物7の加工面8上に集光される。しかしながら、図1に表されたように、加工対象物7の加工面8が平面であっても傾斜していると、fθレンズ19の位置に関連した基準位置から照射予定点までの距離が、加工対象物7の加工面8上の位置によって異なる。そのため、加工対象物7の加工面8上の位置によっては、その位置から上下方向へずれた位置でレーザ光Pが集光される。そこで、本実施形態のレーザマーカ1は、レーザ光Pの焦点位置を、光学系70で上下方向へ移動させることによって、加工対象物7の加工面8上にあるように補正する。この点は、加工対象物7の加工面8が段差状であっても、同様である。
図1では、レーザ光Pがfθレンズ19に対して垂直に入射する場合(以下、「垂直入射の場合」という。)には、光学系70において、第1レンズ72から第2レンズ74までの距離が第2距離A2に調整される。これにより、レーザ光Pの第2焦点位置F2が、加工対象物7の加工面8上に置かれる。
一方、fθレンズ19の位置に関連した基準位置から照射予定点までの距離が垂直入射の場合と比べて長いときは、光学系70において、第1レンズ72から第2レンズ74までの距離が、第2距離A2よりも長くなるように調整される。これにより、レーザ光Pの焦点位置が、下方向へ移動して、加工対象物7の加工面8上に置かれるように補正される。図1では、光学系70において、第1レンズ72から第2レンズ74までの距離が、第2距離A2から、その第2距離A2よりも長い第1距離A1に調整される。これにより、レーザ光Pの焦点位置が、第2焦点位置F2から、その第2焦点位置F2よりも下方向にある第1焦点位置F1に移動して、加工対象物7の加工面8上に置かれるように補正される。
これに対して、fθレンズ19の位置に関連した基準位置から照射予定点までの距離が垂直入射の場合と比べて短いときは、光学系70において、第1レンズ72から第2レンズ74までの距離が、第2距離A2よりも短くなるように調整される。これにより、レーザ光Pの焦点位置が、上方向へ移動して、加工対象物7の加工面8上に置かれるように補正される。図1では、光学系70において、第1レンズ72から第2レンズ74までの距離が、第2距離A2から、その第2距離A2よりも短い第3距離A3に調整される。これにより、レーザ光Pの焦点位置が、第2焦点位置F2から、その第2焦点位置F2よりも上方向にある第3焦点位置F3に移動して、加工対象物7の加工面8上に置かれるように補正される。
以下、第1焦点位置F1、第2焦点位置F2、及び第3焦点位置F3を区別せず、レーザ光Pの焦点位置を総称して説明する場合には、「焦点位置F」と表記する。
更に、本実施形態のレーザマーカ1は、そのような補正を行うために、TOFセンサ103と照射予定点との間の距離を、TOFセンサ103で測定する。
図3に表されたように、TOFセンサ103では、測距用レーザ光Rが第2ダイクロイックミラー105へ向けて出射される。第2ダイクロイックミラー105では、測距用レーザ光Rが45度の入射角で入射され、45度の反射角でレーザ光Pの光路上に反射される。その際、測距用レーザ光Rの光軸は、レーザ光Pの光軸10と一致するが、平行であってもよい。第2ダイクロイックミラー105の反射率は、第1ダイクロイックミラー101と同様にして、波長依存性を持っている。具体的には、第2ダイクロイックミラー105は、誘電体層と金属層との多層膜構造の表面処理がなされており、測距用レーザ光Rの波長に対して高い反射率を有し、それ以外の波長の光をほとんど(99%)透過するように構成されている。
第2ダイクロイックミラー105で反射された測距用レーザ光Rは、ガルバノスキャナ18の走査ミラー18X、18Yに入射される。その入射された測距用レーザ光Rは、ガルバノスキャナ18の走査ミラー18X、18Yで反射され、fθレンズ19に入射する。その入射した測距用レーザ光Rは、fθレンズ19で集光され、fθレンズ19から出射する。その出射された測距用レーザ光Rは、加工対象物7の加工面8に入射する。その入射された測距用レーザ光Rは、加工対象物7の加工面8で反射し、上述した経路を反対方向へ辿って、TOFセンサ103で受光される。
以下、加工対象物7の加工面8上において測距用レーザ光Rが反射した位置を、「反射点」と表記する。
TOFセンサ103では、測距用レーザ光Rが出射されてから受光されるまでの時間が計測され、その計測時間が距離に換算される。その換算距離は、TOFセンサ103と反射点との間を往復する距離である。従って、その換算距離が半分にされることによって、TOFセンサ103と反射点との間の距離が、TOFセンサ103によって測定される。更に、TOFセンサ103から測距用レーザ光Rを出射させる際に、その反射点をガルバノスキャナ18の2次元走査で照射予定点に一致させれば、TOFセンサ103と照射予定点との間の距離が、TOFセンサ103によって測定される。
図3では、図1の各焦点位置F1,F2,F3に対応する反射点(照射予定点)を、第1測定点MP1、第2測定点MP2、及び第3測定点MP3で表している。
以下、第1測定点MP1、第2測定点MP2、及び第3測定点MP3を区別せず、TOFセンサ103によって距離が測定される位置を総称して説明する場合には、「測定点MP」又は「複数の測定点MP」と表記する。
従って、図3において、TOFセンサ103によって測定される、TOFセンサ103と照射予定点との間の距離とは、TOFセンサ103と測定点MPとの間の距離を意味する。
更に、本実施形態のレーザマーカ1では、TOFセンサ103と測定点MPとの間の距離から、fθレンズ19の位置に関連した基準位置と測定点MPとの間の距離が算出される。図4に表された具体例では、fθレンズ19の位置に関連した基準位置と測定点MPとの間の距離として、fθレンズ19の下面から測定点MPまでの距離(所謂ワーキングディスタンスであり、以下、「fθレンズ19から測定点MPまでの距離」という。)が示されている。尚、fθレンズ19の位置に関連した基準位置には、上記のfθレンズ19の下面の他に、例えば、fθレンズ19の上面、又はfθレンズ19の上下方向の中央等がある。以下では、fθレンズ19から測定点MPまでの距離の算出について、図4を参照しながら説明する。
図4に表されたように、fθレンズ19と第2測定点MP2との間では、測距用レーザ光Rの通過方向がfθレンズ19の垂直方向と一致する。そのため、TOFセンサ103で測定された、TOFセンサ103と第2測定点MP2との間の距離(以下、「第2測定距離V2」という。)のうち、fθレンズ19と第2測定点MP2との間に相当する部分は、fθレンズ19から第2測定点MP2までの距離と同じである。そこで、fθレンズ19から第2測定点MP2までの距離は、TOFセンサ103からfθレンズ19までの距離等に基づいて、第2測定距離V2から求められる。尚、TOFセンサ103からfθレンズ19までの距離は、設計上求められる既知の値である。以下、そのように求められた距離(fθレンズ19から第2測定点MP2までの距離)を、「第2算出距離L2」と表記する。
尚、図4では、第2測定距離V2のうち、fθレンズ19と第2測定点MP2との間に相当する部分が示されている。この点は、後述する第1測定距離V1及び第3測定距離V3についても、同様である。
これに対して、fθレンズ19と第1測定点MP1との間では、測距用レーザ光Rの通過方向がfθレンズ19の垂直方向と一致しない。そのため、TOFセンサ103で測定された、TOFセンサ103と第1測定点MP1との間の距離(以下、「第1測定距離V1」という。)のうち、fθレンズ19と第1測定点MP1との間に相当する部分は、fθレンズ19から第1測定点MP1までの(最短)距離よりも長い。そこで、fθレンズ19から第1測定点MP1までの距離は、上述したTOFセンサ103からfθレンズ19までの距離に加えて、測距用レーザ光Rの通過方向とfθレンズ19の垂直方向とが交わる角度等に基づいて、第1測定距離V1から求められる。以下、そのように求められた距離(fθレンズ19から第1測定点MP1までの距離)を、「第1算出距離L1」と表記する。尚、測距用レーザ光Rの通過方向とfθレンズ19の垂直方向とが交わる角度は、第1測定点MP1のXY座標データ等から求められる。
この点は、fθレンズ19と第3測定点MP3との間でも、同様である。つまり、fθレンズ19から第3測定点MP3までの距離は、TOFセンサ103で測定された、TOFセンサ103と第3測定点MP3との間の距離(以下、「第3測定距離V3」という。)から求められる。以下、そのように求められた距離(fθレンズ19から第3測定点MP3までの距離)を、「第3算出距離L3」と表記する。
図5に表されたように、各測定距離V1,V2,V3及び各算出距離L1,L2,L3は、第1データテーブル210において、各測定点MP1,MP2,MP3(のXY座標データ)に対応付けられた状態で格納される。第1データテーブル210は、レーザコントローラ6のRAM42に確保されている。
以上より、本実施形態のレーザマーカ1において、レーザ光Pの焦点位置Fが、例えば、第1焦点位置F1、第2焦点位置F2、及び第3焦点位置F3に、それらの記載順で移動して補正されるようにするには、先ず、各測定点MP1,MP2,MP3が、加工対象物7の加工面8上に設定される。その設定は、マーキング(印字)加工すべき像の印字パターンに基づいて行われる。これにより、各測定点MP1,MP2,MP3が、加工対象物7の加工面8上の照射予定点と一致するように設定される。その後、各測定点MP1,MP2,MP3について、TOFセンサ103で各測定距離V1,V2,V3が測定され、各測定距離V1,V2,V3から各算出距離L1,L2,L3が算出される。
次に、マーキング(印字)加工すべき像の印字パターンに基づいてレーザ光Pが加工対象物7の加工面8上で2次元走査される際に、光学系70における第1レンズ72と第2レンズ74との間の距離が、印字パターンのXY座標データ、各測定点MP1,MP2,MP3のXY座標データ、及び各算出距離L1,L2,L3等に基づいて、第1距離A1、第2距離A2、及び第3距離A3に、それらの記載順で調整される。そのため、レーザ光Pの焦点位置Fが、第1焦点位置F1、第2焦点位置F2、及び第3焦点位置F3に、それらの記載順で移動する。これにより、レーザ光Pの焦点位置Fは、上方向へ順次移動して、加工対象物7の加工面8上にあるように補正される。
以下、マーキング(印字)加工中において、レーザ光Pの焦点位置Fが加工対象物7の加工面8上にあるように補正されることを、「レーザ光Pの焦点位置Fの補正」と表記する。また、第1測定距離V1、第2測定距離V2、及び第3測定距離V3を区別せず、TOFセンサ103で測定された距離(つまり、TOFセンサ103と測定点MPとの間の距離)を総称して説明する場合には、「測定距離V」と表記する。また、第1算出距離L1、第2算出距離L2、及び第3算出距離L3を区別せず、fθレンズ19から測定点MPまでの距離(つまり、測定距離Vから求められた距離)を総称して説明する場合には、「算出距離L」と表記する。
[3.レーザ光の焦点位置の移動範囲]
本実施形態のレーザマーカ1では、光学系70において、第1レンズ72から第2レンズ74までの距離が調整されることにより、レーザ光Pの焦点位置Fの補正が行われる。第1レンズ72から第2レンズ74までの距離の調整は、移動機構76により、第2レンズ74が移動することによって行われる。従って、第2レンズ74の移動範囲に応じて、レーザ光Pの焦点位置Fの移動範囲が存在する。
以下、そのような移動範囲を、「光学系70の補正範囲」と表記し、具体的に説明する。
光学系70において、第1レンズ72から第2レンズ74までの距離が最短になるように調整されると、レーザ光Pの焦点位置Fが最も上方へ移動する。図4では、第2測定点MP2から上方へ距離H1隔てた位置が、レーザ光Pの焦点位置Fが最も上方へ移動した位置である。これに対して、第1レンズ72から第2レンズ74までの距離が最大になるように調整されると、レーザ光Pの焦点位置Fが最も下方へ移動する。図4では、第2測定点MP2から下方へ距離H2隔てた位置が、レーザ光Pの焦点位置Fが最も下方へ移動した位置である。
従って、第2測定点MP2から上方へ距離H1隔てた位置と、第2測定点MP2から下方へ距離H2隔てた位置との間が、光学系70の補正範囲Hである。
更に、本実施形態のレーザマーカ1では、レーザ光Pの焦点位置Fが光学系70の補正範囲Hを超えて移動しなければ、レーザ光Pの焦点位置Fの補正が行えない場合には、マーキング(印字)加工及びレーザ光Pの焦点位置Fの移動は行われず、その旨の警告が液晶ディスプレイ56で行われる。そのような場合には、液晶ディスプレイ56に警告を行わせるための情報が、レーザコントローラ6から印字情報作成部2に送信される。
[4.測定点の追加]
本実施形態のレーザマーカ1では、加工対象物7の加工面8上で隣り合う2つの測定点MPにおける算出距離Lの差が、第1基準値SB1(後述する図6参照)を超える場合には、それらの2つ測定点MPに挟まれた間において、測定点MPが追加される。以下、具体的に説明する。
図4に表されたように、加工対象物7の加工面8上で隣り合う第1測定点MP1と第2測定点MP2とにおいては、第1算出距離L1と第2算出距離L2との差が距離D12である。また、加工対象物7の加工面8上で隣り合う第2測定点MP2と第3測定点MP3とにおいては、第2算出距離L2と第3算出距離L3との差が距離D23である。
ここで、第2算出距離L2と第3算出距離L3との差である距離D23が、第1基準値SB1を超える場合には、図7に表されたようにして、それらの2つ測定点MP2,MP3に挟まれた間(例えば、その間の中央付近)において、第4測定点MP4が追加される。第4測定点MP4についても、各測定点MP1,MP2,MP3と同様にして、測定距離V(TOFセンサ103と第4測定点MP4との間の距離)が測定され、算出距離L(fθレンズ19から第4測定点MP4までの距離)が求められる。
更に、第4測定点MP4に関して、加工対象物7の加工面8上で隣り合う第2測定点MP2との算出距離Lの差である距離D24や、加工対象物7の加工面8上で隣り合う第3測定点MP3との算出距離Lの差である距離D43が、上述した距離D12や距離D23と同様にして、第1基準値SB1と比較される。
第1基準値SB1は、図6に表されたように、第2データテーブル212に格納されている。尚、第2データテーブル212は、レーザコントローラ6のROM43に確保されている。
[5.レーザ光の焦点位置の移動可否]
本実施形態のレーザマーカ1では、レーザ光Pの焦点位置Fが加工対象物7の加工面8上からずれていても、マーキング(印字)加工の品質が保持されるのであれば、レーザ光Pの焦点位置Fの移動が行われない場合がある。例えば、レーザ光Pの焦点位置Fの補正距離(移動距離)が第2基準値SB2(図6参照)以下となる場合には、レーザ光Pの焦点位置Fが維持される。
第2基準値SB2は、図6に表されたように、第2データテーブル212に格納されている。第2基準値SB2には、マーキング(印字)加工の品質保持の観点から、例えば、レーザマーカ1の焦点深度の値、又はその焦点深度の半分の値が使用される。
[6.測定点の位置と、レーザ光の入射角度]
本実施形態のレーザマーカ1において、測定点MPが照射予定点と一致するように設定される場合には、例えば、図8に表されたようにして、測定点MPの設定が行われる。図8では、加工対象物7の加工面8上において、マーキング(印字)加工すべき印字パターンの像200が「αβγ」の各文字であり、各測定点MP1,MP2,MP3が略等間隔で「αβγ」の各文字と重なるようにして設定されている。
更に、図8において、上記の第4測定点MP4が追加されるとした場合、第4測定点MP4は、2つの測定点MP2,MP3に挟まれた間において、例えば、2つの測定点MP2,MP3を結ぶ直線と「β」の文字とが重なる位置に設定される。
尚、測定点MPが照射予定点と一致するように設定される場合において、測距用レーザ光Rがガルバノスキャナ18の各走査ミラー18X、18Yに対して入射する角度は、レーザ光Pの入射角度と同じとなる。
[7.レーザマーカの制御フロー]
図10のフローチャートで表されたプログラムは、レーザコントローラ6のROM43に記憶されており、レーザ光Pの焦点位置Fの補正が行われる際に、レーザコントローラ6のCPU41により実行される。
図10のフローチャートで表されたプログラムでは、先ず、ステップ(以下、単に「S」と表記する。)10において、印字パターンの取得処理が行われる。この処理では、印字情報作成部2からレーザコントローラ6に入力された情報に基づいて、マーキング(印字)加工すべき像200の印字パターンが、RAM42に記憶される。
続いて、測定座標の決定処理が行われる(S12)。この処理では、RAM42に記憶された印字パターンに基づいて、複数の測定点MP(のXY座標データ)が設定される。その際、複数の測定点MP(のXY座標データ)は、例えば、図8に表されたようにして、印字パターンの像200と重なるような態様で設定される。
複数の測定点MP(のXY座標データ)が設定されると、測定処理が行われる(S14)。この処理では、測定点MP(のXY座標データ)に基づいて、ガルバノスキャナ18の各走査ミラー18X、18Yが回転させられることによって、TOFセンサ103から出射した測距用レーザ光Rが、測定点MPで反射させられ、TOFセンサ103に入射する。これにより、測定点MP毎に測定距離Vが測定される。
測定点MP毎に測定距離Vが測定されると、測定距離の記憶処理が行われる(S16)。この処理では、例えば、図5に表されたようにして、測定点MP毎の測定距離Vが、測定点MP(のXY座標データ)に対応付けられた状態で、第1データテーブル210に記憶される。
測定点MP毎に測定距離Vが記憶されると、算出処理が行われる(S18)。この処理では、測定距離V毎に算出距離Lが算出される。この算出は、上述したようして、測定距離Vに基づいて行われる。
測定点MP毎に算出距離Lが算出されると、算出距離の記憶処理が行われる(S20)。この処理では、例えば、図5に表されたようにして、測定点MP毎の算出距離Lが、測定点MP(のXY座標データ)に対応付けられた状態で、第1データテーブル210に記憶される。
測定点MP毎に算出距離Lが記憶されると、レーザ光Pの焦点位置Fの補正が、光学系70の補正範囲H外で行われるか否かが判定される(S22)。つまり、レーザ光Pの焦点位置Fの移動先が光学系70の補正範囲H外になるか否かについて、測定点MP毎に判定される。この判定は、測定点MP(のXY座標データ)及び算出距離L等に基づいて行われる。
ここで、レーザ光Pの焦点位置Fの移動先の少なくとも1つが光学系70の補正範囲H外になる場合には(S22:YES)、警告処理が行われる(S24)。この処理では、上述したようにして、レーザ光Pの焦点位置Fの補正が行えない旨の警告が、液晶ディスプレイ56上に表示される。尚、このような警告は、図示しないスピーカからの警告音の出力によって行われてもよい。その後、図10のフローチャートで表されたプログラムは、終了する。
これに対して、レーザ光Pの焦点位置Fの移動先の全てが光学系70の補正範囲H内である場合には(S22:NO)、加工対象物7の加工面8上で隣り合う2つの測定点MPにおける算出距離Lの差の全てが、第1基準値SB1以下であるか否かが判定される(S26)。この判定は、測定点MP(のXY座標データ)及び算出距離L等に基づいて行われる。
ここで、加工対象物7の加工面8上で隣り合う2つの測定点MPにおける算出距離Lの差の全てが、第1基準値SB1以下である場合には(S26:YES)、指令値の決定処理が行われる(S28)。この処理では、光学系ドライバ78に対する指令値であって、光学系70における第1レンズ72から第2レンズ74までの距離に関する制御パラメータが、測定点MP毎に決定される。この決定は、測定点MP(のXY座標データ)及び算出距離L等に基づいて行われる。
但し、加工対象物7の加工面8上で隣り合う2つの測定点MPの間において、光学系70における第1レンズ72から第2レンズ74までの距離の差が僅かであり、そのため、上述したように、レーザ光Pの焦点位置Fの補正距離(移動距離)が第2基準値SB2以下となる場合には、光学系70における第1レンズ72から第2レンズ74までの距離を維持させる旨の指令値が決定される。
続いて、印字処理が行われる(S30)。この処理では、上記S28の指令値に基づいた光学系70の第2レンズ74の移動によって、光学系70における第1レンズ72から第2レンズ74までの距離が測定点MP毎に調整される一方で、レーザ光Pが印字パターンに基づいてガルバノスキャナ18で2次元走査されることによって、加工対象物7の加工面8上に像200がマーキング(印字)加工される。
これにより、レーザ光Pの焦点位置Fの補正が行われる。その後、図10のフローチャートで表されたプログラムは、終了する。
これに対して、加工対象物7の加工面8上で隣り合う2つの測定点MPにおける算出距離Lの差の少なくとも1つが、第1基準値SB1よりも大きい場合には(S26:NO)、測定座標の追加処理が行われる(S32)。この処理では、算出距離Lの差が第1基準値SB1よりも大きい2つの測定点MPの間において、新たな測定点MP(のXY座標データ)が設定される。その際、新たな測定点MP(のXY座標データ)は、既に設定されている測定点MP(のXY座標データ)と同様にして、印字パターンの像200と重なるような態様で設定される。
その後は、上述したS14以降の処理が繰り返される。
[8.まとめ]
以上詳細に説明したように、本実施の形態のレーザマーカ1では、マーキング(印字)加工すべき像200の印字パターンに基づいて測定された測定距離Vを使用して(S14,S16)、レーザ光Pの焦点位置Fの補正を行うことにより(S18乃至S22、S26乃至S30)、レーザ光Pによる印字精度の向上が図られている。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、レーザ光P及び測距用レーザ光Rが、ガルバノスキャナ18の各走査ミラー18X、18Yに対して同角度で入射される。そのため、指令値の決定処理(S28)において、測定座標の決定処理(S12)で決定された複数の測定点MP(のXY座標データ)の使用が可能となるため、指令値の決定処理(S28)及び印字処理(S30)におけるデータの取り扱いが容易である。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、測距用レーザ光Rの光軸が、レーザ光Pの光軸10と一致している。そのため、本実施の形態のレーザマーカ1は、ガルバノスキャナ18の各走査ミラー18X、18Yを小さくすることが可能である。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、複数の測定点MPが、マーキング(印字)加工すべき印字パターンの像200と重なるような態様で設定される(S10,S12)。そのため、本実施の形態のレーザマーカ1は、レーザ光Pの焦点位置Fの補正の精度及び効率に優れる。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、加工対象物7の加工面8上で隣り合う2つの測定点MPにおける算出距離Lの差が第1基準値SB1を超える場合には(S26:NO)、その隣り合う2つの測定点MPに挟まれた間において、新たな測定点MPが追加される(S32)。そのため、レーザ光Pの焦点位置Fの補正の精度が向上する。
また、本実施の形態のレーザマーカ1において、光学系70の第2レンズ74を移動させるには、ある程度の時間を要する。この点、指令値の決定処理(S28)では、レーザ光Pの焦点位置Fの補正距離(移動距離)が第2基準値SB2を超える場合に限って、光学系70の第2レンズ74を移動させる旨の指令値が決定される。そのため、マーキング(印字)加工に要する時間が短縮される。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、第2基準値SB2として、例えば、レーザマーカ1の焦点深度の値、又はその焦点深度の半分の値が使用されているので、マーキング(印字)加工の品質が保持される。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、TOFセンサ103によって測定距離Vが測定される。そのため、本実施の形態のレーザマーカ1は、測定距離Vの精度に優れる。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、測定距離Vから求められた算出距離Lを使用して(S18,S20)、レーザ光Pの焦点位置Fの補正を行っているので(S22、S26乃至S30)、レーザ光Pによる印字精度の一層の向上が図られている。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、レーザ光Pの焦点位置Fの移動先の少なくとも1つが光学系70の補正範囲H外になる場合には(S22:YES)、レーザ光Pの焦点位置Fの補正が行えない旨の警告が、液晶ディスプレイ56で行われる(S24)。そのため、マーキング(印字)加工の失敗が抑制される。
ちなみに、本実施形態において、照射予定点は、「照射位置」の一例である。加工対象物7は、「測距対象物」の一例である。レーザ発振ユニット12は、「レーザ光源」の一例である。ガルバノスキャナ18は、「走査部」の一例である。各走査ミラー18X、18Yは、「ミラー」の一例である。レーザコントローラ6のCPU41は、「制御部」の一例である。レーザコントローラ6のRAM42は、「記憶部」の一例である。液晶ディスプレイ56は、「警告部」の一例である。光学系70は、「可変焦点光学系」の一例である。TOFセンサ103は、「測距部」及び「TOF方式のセンサ」の一例である。マーキング(印字)加工すべき像200は、「オブジェクト」の一例である。レーザ光Pは、「加工用レーザ光」の一例である。
測定距離V(TOFセンサ103と測定点MPとの間の距離)は、「測距対象物までの間の距離」及び「測定点と測距部との間の距離」の一例である。算出距離Lは、「fθレンズの位置に関連した基準位置と測定点との間の距離」の一例である。光学系70の補正範囲Hは、「可変焦点光学系の補正範囲」の一例である。
[9.その他]
尚、本開示は、本実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、測定座標の追加処理(S32)に代えて、測定座標の決定処理(S12)が、測定点MPの総数を増加させた状態で再び行われてもよい。
また、測定点MPは、照射予定点と一致しないように設定されてもよい。そのような場合には、例えば、図9に表されたようにして、測定点MPの設定が行われる。図9では、加工対象物7の加工面8上において、マーキング(印字)加工すべき印字パターンの像200が「αβγ」の各文字であり、「αβγ」の各文字が内接する矩形202と重なるようにして、各測定点MP1,MP2,MP3が設定されている。
第1測定点MP1及び第3測定点MP3は、矩形202の上辺両端に設定されている。第2測定点MP2は、矩形202の上辺中央に設定されている。尚、矩形202は、マーキング(印字)加工すべき印字パターンの像200の範囲を示すものとして、加工対象物7の加工面8上に可視レーザ光Qで投影されるものと同じである。
更に、図9において、上記の第4測定点MP4が追加されるとした場合、第4測定点MP4は、2つの測定点MP2,MP3に挟まれた間において、例えば、矩形202の上辺のうち、2つの測定点MP2,MP3の間の中央位置に設定される。
また、測定点MPは、矩形202内で格子状に設定されてもよい。さらに、矩形202内で格子状に設定される測定点MPの間隔は、矩形202の四隅の間隔、又は矩形202の四隅における測定距離Vの差に応じて決定されてもよい。
尚、測定点MPが照射予定点と一致しないように設定される場合には、測距用レーザ光R及びレーザ光Pは、ガルバノスキャナ18の各走査ミラー18X、18Yに対して異なる角度で入射される。
このようにして、測定点MPが照射予定点と一致しないように設定される場合には、測定点MPの総数が抑えられるので、レーザ光Pの焦点位置Fの補正に要する時間が短くなる。
また、複数の測定点MPについて、一部の測定点MPが照射予定点と一致し、残りの測定点MPが照射予定点と一致しないように設定されてもよい。尚、測定点MP(のXY座標データ)の設定態様は、予め決定されていてもよいし、ユーザによる入力操作部55の操作によって決定されてもよい。
また、TOFセンサ103に代えて、位相差検出方式のセンサが使用されてもよいし、三角測距方式のセンサが使用されてもよい。
また、レーザ光Pの焦点位置Fの補正は、算出距離Lが求められることなく行われてもよい。そのような場合には、算出距離Lに代えて、測定距離Vが使用される。
また、ガルバノスキャナ18やfθレンズ19が使用されなくてもよい。そのような場合には、例えば、走査機能を有しない反射ミラーや、集光レンズが使用され、加工対象物7を載せたXYステージが走査部として使用されてもよい。更に、反射ミラーが省略されるように、集光レンズやXYステージが配設されてもよい。
1:レーザマーカ、7:加工対象物、8:加工対象物の加工面、10:光軸、12:レーザ発振ユニット、18:ガルバノスキャナ、18X:走査ミラー、18Y:走査ミラー、19:fθレンズ、41:CPU、42:RAM、56:液晶ディスプレイ、70:光学系、103:TOFセンサ、200:像、202:矩形、F:焦点位置、H:光学系の補正範囲、L:算出距離、MP:測定点、P:レーザ光、R:測距用レーザ光、SB1:第1基準値、SB2:第2基準値、V:測定距離

Claims (12)

  1. 加工対象物の加工面上にオブジェクトを印字するための加工用レーザ光を出射するレーザ光源と、
    測距用レーザ光を出射し、測距対象物で反射した前記測距用レーザ光を受光することによって、前記測距対象物までの間の距離を測定する測距部と、
    前記加工用レーザ光及び前記測距用レーザ光を前記加工対象物の加工面上に向けて照射し、走査する走査部と、
    前記加工用レーザ光の焦点位置を移動させて補正する可変焦点光学系と、
    前記オブジェクトの印字パターンが記憶された記憶部と、
    制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記オブジェクトの印字パターンに基づいて前記加工対象物の加工面上に複数の測定点を設定し、
    前記測距用レーザ光を前記複数の測定点で反射させることによって取得される前記測定点と前記測距部との間の距離を、測定距離として、前記測定点に対応付けて前記記憶部に記憶し、
    前記加工用レーザ光を前記オブジェクトの印字パターンに基づいて前記加工対象物の加工面上で走査させる際に、前記オブジェクトの印字パターン、前記測定点、及び前記測定距離に基づいて、前記加工用レーザ光の焦点位置を補正することを特徴とするレーザマーカ。
  2. 前記走査部は、ミラーであり、
    前記加工用レーザ光及び前記測距用レーザ光の少なくとも一部が、前記ミラーに対して同角度で入射することを特徴とする請求項1に記載のレーザマーカ。
  3. 前記ミラーに対して同角度で入射する前記加工用レーザ光及び前記測距用レーザ光について、光軸が同軸であることを特徴とする請求項2に記載のレーザマーカ。
  4. 前記複数の測定点は、前記加工用レーザ光が前記オブジェクトの印字パターンに基づいて前記加工対象物の加工面上に照射される照射位置にあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のレーザマーカ。
  5. 前記複数の測定点は、前記加工用レーザ光が前記オブジェクトの印字パターンに基づいて照射されることによって前記加工対象物の加工面上に印字される前記オブジェクトを取り囲む、矩形上にあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のレーザマーカ。
  6. 前記制御部は、前記複数の測定点のうち、前記加工対象物の加工面上で隣り合う2つの前記測定点における前記測定距離の差が第1基準値を超える場合には、前記隣り合う2つの前記測定点に挟まれた間において、前記測定点を追加することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載のレーザマーカ。
  7. 前記制御部は、前記加工用レーザ光の焦点位置の補正距離が第2基準値を超える場合に限り、前記加工用レーザ光の焦点位置を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載のレーザマーカ。
  8. 前記第2基準値は、前記レーザマーカの焦点深度以下であることを特徴とする請求項7に記載のレーザマーカ。
  9. 前記第2基準値は、前記レーザマーカの焦点深度の半分以下であることを特徴とする請求項7に記載のレーザマーカ。
  10. 前記測距部は、TOF方式のセンサであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一つに記載のレーザマーカ。
  11. 前記走査部を経て入射した前記加工用レーザ光及び前記測距用レーザ光を前記加工対象物に集光させるfθレンズを備え、
    前記制御部は、前記複数の測定点の全てについて、前記測定距離に基づいて算出した前記fθレンズの位置に関連した基準位置と前記測定点との間の距離を、前記測定距離として、前記測定点に対応付けて前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一つに記載のレーザマーカ。
  12. ユーザに向けて警告を行う警告部を備え、
    前記制御部は、前記加工用レーザ光の焦点位置の移動先が前記可変焦点光学系の補正範囲外になる場合には、前記警告部を作動させることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一つに記載のレーザマーカ。
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