以下、本開示のレーザマーカについて、具体化した実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。以下の説明に用いる図1乃至図3、及び図5では、基本的構成の一部が省略されて描かれており、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。尚、以下の説明において、上下方向は、図1、図3、及び図5に示された通りである。
[1.レーザマーカの概略構成]
先ず、図1及び図2に基づいて、本実施形態のレーザマーカ1の概略構成について説明する。本実施形態のレーザマーカ1は、印字情報作成部2及びレーザ加工部3で構成されている。印字情報作成部2は、パーソナルコンピュータ等で構成されている。
レーザ加工部3は、加工レーザ光Rを加工対象物7の加工面8上で2次元走査してマーキング(印字)加工を行うものである。レーザ加工部3は、レーザコントローラ6を備えている。
レーザコントローラ6は、コンピュータで構成され、印字情報作成部2と双方向通信可能に接続されている。レーザコントローラ6は、印字情報作成部2から送信された印字情報、制御パラメータ、各種指示情報等に基づいてレーザ加工部3を駆動制御する。
レーザ加工部3の概略構成について説明する。レーザ加工部3は、レーザ発振ユニット12、ガイド光部15、ダイクロイックミラー101、光学系70、ポインタ光出射器105、カメラ103、ガルバノスキャナ18、及びfθレンズ19等を備えており、不図示の略直方体形状の筐体カバーで覆われている。
レーザ発振ユニット12は、レーザ発振器21等で構成されている。レーザ発振器21は、CO2レーザ、YAGレーザ等で構成されており、加工レーザ光Rを出射する。尚、加工レーザ光Rの光径は、不図示のビームエキスパンダで調整(例えば、拡大)される。
ガイド光部15は、可視半導体レーザ28等で構成されている。可視半導体レーザ28は、可視可干渉光である可視レーザ光Q、例えば、赤色レーザ光を出射する。可視レーザ光Qは、不図示のレンズ群で平行光にされ、更に、2次元走査されることによって、例えば、加工レーザ光Rでマーキング(印字)加工すべき印字パターンの像、その像を取り囲んだ矩形の像、又は所定形状の像等を、加工対象物7の加工面8上に軌跡(時間残像)で映し出すものである。つまり、可視レーザ光Qには、マーキング(印字)加工能力がない。尚、本実施形態において、所定形状は正方形状であるが、それに関する詳細な説明については、後述する。
可視レーザ光Qの波長は、加工レーザ光Rの波長とは異なる。本実施形態では、例えば、加工レーザ光Rの波長は1064nmであり、可視レーザ光Qの波長は、650nmである。
ダイクロイックミラー101では、入射された加工レーザ光Rのほぼ全部が透過する。また、ダイクロイックミラー101では、加工レーザ光Rが透過する略中央位置にて、可視レーザ光Qが45度の入射角で入射され、45度の反射角で加工レーザ光Rの光路上に反射される。ダイクロイックミラー101の反射率は、波長依存性を持っている。具体的には、ダイクロイックミラー101は、誘電体層と金属層との多層膜構造の表面処理がなされており、可視レーザ光Qの波長に対して高い反射率を有し、それ以外の波長の光をほとんど(99%)透過するように構成されている。
尚、図1の一点鎖線は、加工レーザ光Rと可視レーザ光Qの光軸10を示している。また、光軸10の方向は、加工レーザ光Rと可視レーザ光Qの経路方向を示している。
光学系70は、第1レンズ72、第2レンズ74、及び移動機構76を備えている。光学系70では、ダイクロイックミラー101を経た加工レーザ光Rと可視レーザ光Qが、第1レンズ72に入射し通過する。その際、第1レンズ72によって、加工レーザ光Rと可視レーザ光Qの各光径が縮小される。また、第1レンズ72を通過した加工レーザ光Rと可視レーザ光Qは、第2レンズ74に入射し通過する。その際、第2レンズ74によって、加工レーザ光Rと可視レーザ光Qが平行光にされる。移動機構76は、光学系モータ80と、光学系モータ80の回転運動を直線運動に変換するラック・アンド・ピニオン(不図示)等を備えており、光学系モータ80の回転制御によって、第2レンズ74を加工レーザ光Rと可視レーザ光Qの経路方向に移動させる。
尚、移動機構76は、第2レンズ74に代えて第1レンズ72を移動させる構成であってもよいし、第1レンズ72と第2レンズ74との間の距離が変わるように第1レンズ72と第2レンズ74の双方を移動させる構成であってもよい。
ガルバノスキャナ18は、光学系70を経た加工レーザ光Rと可視レーザ光Qとを2次元走査するものである。ガルバノスキャナ18では、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32とが、それぞれのモータ軸が互いに直交するように取り付けられ、各モータ軸の先端部に取り付けられた走査ミラー18X、18Yが内側で互いに対向している。そして、各モータ31、32の回転制御で、各走査ミラー18X、18Yを回転させることによって、加工レーザ光Rと可視レーザ光Qとを2次元走査する。この2次元走査方向は、X方向とY方向である。
fθレンズ19は、ガルバノスキャナ18によって2次元走査された加工レーザ光Rと可視レーザ光Qとを加工対象物7の加工面8上に集光するものである。従って、加工レーザ光Rと可視レーザ光Qは、各モータ31、32の回転制御によって、加工対象物7の加工面8上でX方向とY方向に2次元走査される。
加工レーザ光Rと可視レーザ光Qとでは、波長が異なる。そのため、光学系70における第1レンズ72と第2レンズ74との間の距離が一定の場合、加工レーザ光Rと可視レーザ光Qが集光する位置(以下、「焦点位置F」という。)は、上下方向で異なってしまう。そこで、加工レーザ光Rと可視レーザ光Qの焦点位置Fは、光学系70における第1レンズ72と第2レンズ74との間の距離が調整されることによって、加工対象物7の加工面8上に合わせられる。
ここで、fθレンズ19の位置に関連した基準位置と加工対象物7の加工面8との間の距離を、「ワーキングディスタンス」と表記する。本実施形態では、fθレンズ19の下面を、fθレンズ19の位置に関連した基準位置とする。つまり、本実施形態のワーキングディスタンスLは、fθレンズ19の下面と加工対象物7の加工面8との間の距離である。尚、fθレンズ19の位置に関連した基準位置には、上記のfθレンズ19の下面の他に、例えば、fθレンズ19の上面、又はfθレンズ19の上下方向の中央等がある。
従って、ワーキングディスタンスLが変わる場合は、fθレンズ19の下面と加工対象物7の加工面8との間の距離が変わる場合であるので、そのような場合においても、光学系70における第1レンズ72と第2レンズ74との間の距離が調整されることによって、加工レーザ光Rと可視レーザ光Qの焦点位置Fが、加工対象物7の加工面8上に合わせられる。
ポインタ光出射器105は、可視光であるポインタ光Pを加工対象物7の加工面8に照射するものであり、fθレンズ19付近に設けられている。これにより、加工対象物7の加工面8上には、ポインタ光Pが点状に映し出される。尚、ポインタ光Pは、可視光であれば、マーキング(印字)加工能力がないレーザ光であってもよい。
カメラ103は、加工対象物7の加工面8に向けられた状態で、fθレンズ19付近に設けられている。これにより、カメラ103は、例えば、加工対象物7の加工面8上において、映し出されている点状のポインタ光P、又はガルバノスキャナ18の2次元走査が繰り返されることによって映し出されている正方形状の可視レーザ光Qの軌跡を撮像する。これにより、加工対象物7の加工面8が映し出された画像であって、点状のポインタ光P、又は正方形状の可視レーザ光Qの軌跡を含む画像が撮影される。
尚、以下の説明では、加工対象物7の加工面8上において、ガルバノスキャナ18の2次元走査が繰り返されることによって可視レーザ光Qで映し出されている正方形状の軌跡を、「可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡」と表記することがある。
次に、レーザマーカ1を構成する印字情報作成部2とレーザ加工部3の回路構成について図2に基づいて説明する。先ず、レーザ加工部3の回路構成について説明する。
図2に表されたように、レーザ加工部3は、レーザコントローラ6、ガルバノコントローラ35、ガルバノドライバ36、レーザドライバ37、半導体レーザドライバ38、光学系ドライバ78、ポインタ光出射器105、及びカメラ103等から構成されている。レーザコントローラ6は、レーザ加工部3の全体を制御する。レーザコントローラ6には、ガルバノコントローラ35、レーザドライバ37、半導体レーザドライバ38、及び光学系ドライバ78等が電気的に接続されている。また、レーザコントローラ6及びカメラ103には、外部の印字情報作成部2が双方向通信可能に接続されている。また、ポインタ光出射器105は、外部の印字情報作成部2に電気的に接続されている。レーザコントローラ6は、印字情報作成部2から送信された各情報(例えば、印字情報、レーザ加工部3に対する制御パラメータ、ユーザからの各種指示情報等)を受信可能に構成されている。ポインタ光出射器105は、印字情報作成部2から送信された各情報(例えば、点灯消灯指示情報等)を受信可能に構成されている。カメラ103は、印字情報作成部2から送信された各情報(例えば、撮像指示情報等)を受信可能に構成され、また、撮像した画像を印字情報作成部2に送信可能に構成されている。
レーザコントローラ6は、CPU41、RAM42、及びROM43等を備えている。CPU41は、レーザ加工部3の全体の制御を行う演算装置及び制御装置である。CPU41、RAM42、及びROM43は、不図示のバス線により相互に接続されて、相互にデータのやり取りが行われる。
RAM42は、CPU41により演算された各種の演算結果や印字パターンの(XY座標)データ等を一時的に記憶させておくためのものである。
ROM43は、各種のプログラムを記憶させておくものであり、例えば、印字情報作成部2から送信された印字情報に基づいて印字パターンのXY座標データを算出してRAM42に記憶するプログラムや、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡のXY座標データを算出してRAM42に記憶するプログラム等が記憶されている。尚、各種プログラムには、上述したプログラムに加えて、例えば、各種のディレイ値、印字情報作成部2から入力された印字情報に対応する印字パターンの太さ、深さ及び本数、レーザ発振器21のレーザ出力、加工レーザ光Rのレーザパルス幅、ガルバノスキャナ18による加工レーザ光Rを走査する速度、及びガルバノスキャナ18による可視レーザ光Qを走査する速度等を示す各種制御パラメータをRAM42に記憶するプログラム等がある。更に、ROM43には、フォントの種類別に、直線と楕円弧とで構成された各文字のフォントの始点、終点、焦点、曲率等のデータが記憶されている。
CPU41は、ROM43に記憶されている各種のプログラムに基づいて各種の演算及び制御を行う。
CPU41は、印字情報作成部2から入力された印字情報に基づいて算出した印字パターンのXY座標データ、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡のXY座標データ、ガルバノスキャナ18による可視レーザ光Qを走査する速度、及びガルバノスキャナ18による加工レーザ光Rを走査する速度等を示すガルバノ走査速度情報等を、ガルバノコントローラ35に出力する。また、CPU41は、印字情報作成部2から入力された印字情報に基づいて設定したレーザ発振器21のレーザ出力、及び加工レーザ光Rのレーザパルス幅等を示すレーザ駆動情報を、レーザドライバ37に出力する。
CPU41は、可視半導体レーザ28の点灯開始を指示するオン信号又は消灯を指示するオフ信号を半導体レーザドライバ38に出力する。
ガルバノコントローラ35は、レーザコントローラ6から入力された各情報(例えば、印字パターンのXY座標データ、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡のXY座標データ、ガルバノ走査速度情報等)に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32の駆動角度、回転速度等を算出して、駆動角度及び回転速度を示すモータ駆動情報をガルバノドライバ36に出力する。ガルバノドライバ36は、ガルバノコントローラ35から入力されたモータ駆動情報に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32を駆動制御して、加工レーザ光Rと可視レーザ光Qを2次元走査する。
レーザドライバ37は、レーザコントローラ6から入力されたレーザ発振器21のレーザ出力、及び加工レーザ光Rのレーザパルス幅等を示すレーザ駆動情報等に基づいて、レーザ発振器21を駆動させる。半導体レーザドライバ38は、レーザコントローラ6から入力されたオン信号又はオフ信号に基づいて、可視半導体レーザ28を点灯駆動又は、消灯させる。
光学系ドライバ78は、レーザコントローラ6から入力された情報(例えば、後述する指令値等)に基づいて、光学系モータ80を駆動制御して、第2レンズ74を移動させる。
次に、印字情報作成部2の回路構成について説明する。印字情報作成部2は、制御部51、入力操作部55、液晶ディスプレイ(LCD)56、及びCD−ROMドライブ58等を備えている。制御部51には、不図示の入出力インターフェースを介して、入力操作部55、液晶ディスプレイ56、及びCD−ROMドライブ58等が接続されている。
入力操作部55は、不図示のマウス及びキーボード等から構成されており、例えば、各種指示情報をユーザが入力する際に使用される。
CD−ROMドライブ58は、各種データ、及び各種アプリケーションソフトウェア等をCD−ROM57から読み込むものである。
制御部51は、印字情報作成部2の全体を制御するものであって、CPU61、RAM62、ROM63、及びハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)66等を備えている。CPU61は、印字情報作成部2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置である。CPU61、RAM62、及びROM63は、不図示のバス線により相互に接続されており、相互にデータのやり取りが行われる。更に、CPU61とHDD66とは、不図示の入出力インターフェースを介して接続されており、相互にデータのやり取りが行われる。
RAM62は、CPU61により演算された各種の演算結果等を一時的に記憶させておくためのものである。ROM63は、各種のプログラム等を記憶させておくものである。
HDD66には、各種アプリケーションソフトウェアのプログラム、及び各種データファイル等が記憶される。
[2.ワーキングディスタンスと可視レーザ光とポインタ光]
本実施形態では、可視レーザ光Qが2次元走査されることによって、正方形状の軌跡が加工対象物7の加工面8上に映し出される。また、点状のポインタ光Pが加工対象物7の加工面8上に映し出される。更に、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡の重心と点状のポインタ光Pの重心とを結ぶ線分の長さは、ワーキングディスタンスLによって変化する。
尚、以下では、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡の重心位置(XY座標)には「QC」を付し、点状のポインタ光Pの重心位置(XY座標)には「PC」を付する。また、重心位置QCと重心位置PCとを結ぶ線分の長さは、距離Dと表記する。
具体的には、例えば、ガルバノスキャナ18の振角(つまり、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32の駆動角度)が所定角度である場合において、図3に表された3つのケースを想定する。図3では、第1ケースに関する符号には、「1」の数字を添付する。第2ケースに関する符号には、「2」の数字を添付する。第3ケースに関する符号には、「3」の数字を添付する。
第1ケースでは、ワーキングディスタンスL1の下で、可視レーザ光Q1による正方形状の軌跡の重心位置QC1と点状のポインタ光P1の重心位置PC1とを結ぶ線分の長さが、距離D1となる。第2のケースでは、ワーキングディスタンスL1よりも長いワーキングディスタンスL2の下で、可視レーザ光Q2による正方形状の軌跡の重心位置QC2と点状のポインタ光P2の重心位置PC2とを結ぶ線分の長さが、距離D1よりも短い距離D2となる。第3のケースでは、ワーキングディスタンスL2よりも長いワーキングディスタンスL3の下で、可視レーザ光Q3による正方形状の軌跡の重心位置QC3と点状のポインタ光P3の重心位置PC3とを結ぶ線分の長さが、距離D2よりも短い距離D3となる。
このような関係性が、ワーキングディスタンスLと距離Dとの間に存在する。そのため、カメラ103で撮影した、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡又は点状のポインタ光Pを含む画像等に基づいて、双方の重心位置QC,PCが特定され、距離Dが算出されると、ワーキングディスタンスLの算出が可能となる。
そこで、ガルバノスキャナ18の振角が所定角度である場合において、複数のケースを想定し、各ケース毎にワーキングディスタンスLと距離Dとを予め求めておく。更に、図4に表されたように、その求められた各ワーキングディスタンスL1,L2,L3,…と、各距離D1,D2,D3,…とは、組み合わせによって関連付けられた状態で、データテーブル111に格納される。尚、データテーブル111は、制御部51のROM63に記憶されている。
さて、可視レーザ光Qの焦点位置Fは、加工対象物7の加工面8上に合わせられていても、ワーキングディスタンスLが変わると、加工対象物7の加工面8上からズレてしまう。そのような場合、カメラ103で撮像した画像において、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡は、所謂ピンボケの状態となるので、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡の重心位置QCの特定に支障を来すことがある。
具体的に説明すると、例えば、図5に表されたように、光学系70において、第1レンズ72から第2レンズ74までの距離が、第1距離A、第2距離B、及び第3距離Cの場合を想定する。図5では、第1距離Aの場合に関する符号には、「A」の文字を添付する。第2距離Bの場合に関する符号には、「B」の文字を添付する。第3距離Cの場合に関する符号には、「C」の文字を添付する。
光学系70において、第1レンズ72から第2レンズ74までの距離が、第1距離A、第2距離B、及び第3距離Cの記載順で短くなっていくと、可視レーザ光Qの集光位置は、焦点位置FA、焦点位置FB、及び焦点位置FCの記載順で下方向へ移動する。
図5では、焦点位置FAが、加工対象物7の加工面8よりも上方向にある。そのような場合、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡は、その線幅が広く、ぼやけた状態となる。また、焦点位置FCが、加工対象物7の加工面8よりも下方向にある。そのような場合も、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡は、その線幅が広く、ぼやけた状態となる。これらに対して、焦点位置FBは、加工対象物7の加工面8上にある。そのような場合、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡は、その線幅が最も細く、鮮明な状態である。
そこで、カメラ103で可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡が撮像される際は、光学系70において、第1レンズ72と第2レンズ74との間の距離が調整されることによって、可視レーザ光Qの焦点位置Fが加工対象物7の加工面8上に合わされ、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡が鮮明にされる。
[3.レーザマーカの制御フロー]
図6のフローチャートで表されたプログラムは、制御部51のROM63に記憶されており、加工レーザ光Rによるマーキング(印字)加工が行われる際に、制御部51のCPU61により実行される。従って、後述する処理において、制御対象がレーザ加工部3の構成要素である場合、カメラ103及びポインタ光出射器105を除き、レーザコントローラ6を介した制御が行われる。
図6のフローチャートで表されたプログラムでは、先ず、ステップ(以下、単に「S」と表記する。)10において、可視レーザ光処理が行われる。この処理では、図7のフローチャートで表されたプログラムが、制御部51のCPU61により実行される。尚、図7のフローチャートで表されたプログラムは、制御部51のROM63に記憶されている。
図7のフローチャートで表されたプログラムでは、先ず、S30において、可視レーザ光の照射処理が行われる。この処理では、ガイド光部15から可視レーザ光Qが出射されると共に、ガルバノスキャナ18の振角が所定角度となるように、ガルバノスキャナ18の各走査ミラー18X、18Yが回転させられる。このような回転(走査)が繰り返されると、加工対象物7の加工面8上では、2次元走査中の可視レーザ光Qによって、正方形状の軌跡が映し出される。
可視レーザ光の焦点変更処理(S32)では、光学系ドライバ78に対する指令値であって、光学系70における第1レンズ72から第2レンズ74までの距離に関する制御パラメータが、光学系ドライバ78に送信されることによって、第2レンズ74が加工レーザ光Rと可視レーザ光Qの経路方向に僅かに移動させられる。
第1パラメータ設定処理(S34)では、可視レーザ光Qに関するパラメータが設定される。その設定には、GUI(Graphical User Interface)が使用される。具体的には、印字情報作成部2において、図9に示す第1設定画面200が液晶ディスプレイ56に表示され、ユーザが入力操作部55を操作することによって、可視レーザ光Qに関するパラメータが変更される。
第1設定画面200には、複数のインプットボックス210乃至218、OKボタン220、及びキャンセルボタン222等が設けられている。
インプットボックス210には、ガルバノスキャナ18による可視レーザ光Qを走査する速度(走査速度)の数値がmm/sの単位で入力される。インプットボックス212には、ガルバノスキャナ18による可視レーザ光Qの走査が繰り返される毎に入れられる、待ち時間(走査ディレイ)の数値がμsの単位で入力される。インプットボックス214には、カメラ103の絞り値がF値で入力される。インプットボックス216には、カメラ103のシャッタースピードの値がsの単位で入力される。インプットボックス218には、カメラ103のISO感度が、100,200,400,800,1600、3200等の値で入力される。
尚、インプットボックス210乃至218に入力される値は、リストボックス又はコンボボックスのように、選択的に入力されてもよい。
第1設定画面200において、キャンセルボタン222がユーザによって押されると、可視レーザ光Qに関するパラメータが変更されることなく、第1設定画面200が液晶ディスプレイ56から消去される。これに対して、OKボタン220がユーザによって押されると、ガルバノスキャナ18の走査速度及び走査ディレイは、各インプットボックス210,212に入力されている数値に設定される。また、カメラ103の絞り値、シャッタースピード、及びISO感度は、各インプットボックス214乃至218に入力されている数値に設定される。
そのようにして設定された、カメラ103の絞り値、シャッタースピード、及びISO感度の各数値は、制御部51のRAM62に記憶された状態が保持される。これに対して、そのようにして設定された、ガルバノスキャナ18の走査速度及び走査ディレイの各数値は、印字情報作成部2(制御部51のRAM62)からレーザコントローラ6に出力され、レーザコントローラ6のRAM42に記憶される。これにより、可視レーザ光Qは、RAM42に記憶されたガルバノスキャナ18の走査速度及び走査ディレイの各数値をもって、加工対象物7の加工面8上をガルバノスキャナ18によって2次元走査される。
第1撮影処理(S36)では、加工対象物7の加工面8上において、ガルバノスキャナ18の2次元走査が繰り返されることによって可視レーザ光Qで映し出されている正方形状の軌跡が、RAM62に記憶されたカメラ103の絞り値、シャッタースピード、及びISO感度の各数値をもって、カメラ103によって撮像される。これにより、例えば、図11に表されたように、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡を含む画像300が撮影される。尚、画像300は、RAM62に記憶される。
続いて、上記S36で撮影された画像の可視レーザ光Qが最適条件を満たすか否かが判定される(S38)。この判定で最適条件を満たす場合には、例えば、上記S36で撮影された画像内の可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡の線幅が所定の幅(例えば、1mm)以下である場合、あるいは、上記S36で撮影された画像において可視レーザ光Qが照射された部分(画素)と照射されていない部分(画素)との明暗差が所定値以上である場合等がある。尚、この判定は、ユーザの目視によって行われてもよい。
ここで、上記S36で撮影された画像の可視レーザ光Qが最適条件を満たさない場合には(S38:NO)、上記S36で撮影された画像の可視レーザ光Qが不鮮明であるとされる。そこで、上述したS32乃至S36の処理が再び行われる。
これに対して、上記S36で撮影された画像の可視レーザ光Qが最適条件を満たす場合には(S38:YES)、上記S36で撮影された画像の可視レーザ光Qが鮮明であるとされる。そこで、可視レーザ光Qが消灯されると共に、図6のポインタ光処理(S12)が行われる。
この処理では、図8のフローチャートで表されたプログラムが、制御部51のCPU61により実行される。尚、図8のフローチャートで表されたプログラムは、制御部51のROM63に記憶されている。
図8のフローチャートで表されたプログラムでは、先ず、S50において、ポインタ光の照射処理が行われる。この処理では、ポインタ光出射器105からポインタ光Pが出射される。これにより、加工対象物7の加工面8上では、点状のポインタ光Pが映し出される。
第2パラメータ設定処理(S52)では、ポインタ光Pに関するパラメータが設定される。その設定には、上述した第1パラメータ設定処理(S34)と同様にして、GUIが使用される。具体的には、印字情報作成部2において、図10に示す第2設定画面202が液晶ディスプレイ56に表示され、ユーザが入力操作部55を操作することによって、ポインタ光Pに関するパラメータが変更される。
第2設定画面202には、複数のインプットボックス230乃至234、OKボタン236、及びキャンセルボタン238等が設けられている。
インプットボックス230には、カメラ103の絞り値がF値で入力される。インプットボックス232には、カメラ103のシャッタースピードの値がsの単位で入力される。インプットボックス234には、カメラ103のISO感度が、100,200,400,800,1600、3200等の値で入力される。
尚、インプットボックス230乃至234に入力される値は、リストボックス又はコンボボックスのように、選択的に入力されてもよい。
第2設定画面202において、キャンセルボタン238がユーザによって押されると、ポインタ光Pに関するパラメータが変更されることなく、第2設定画面202が液晶ディスプレイ56から消去される。これに対して、OKボタン236がユーザによって押されると、カメラ103の絞り値、シャッタースピード、及びISO感度は、各インプットボックス230乃至234に入力されている数値に設定される。
そのようにして設定された、カメラ103の絞り値、シャッタースピード、及びISO感度の各数値については、制御部51のRAM62に記憶された状態が保持される。
第2撮影処理(S54)では、加工対象物7の加工面8上に映し出されている点状のポインタ光Pが、RAM62に記憶されたカメラ103の絞り値、シャッタースピード、及びISO感度の各数値をもって、カメラ103によって撮像される。これにより、例えば、図12に表されたように、点状のポインタ光Pを含む画像302が撮影される。尚、画像302は、RAM62に記憶される。その後は、ポインタ光Pが消灯されると共に、図6の規定位置特定処理(S14)が行われる。
尚、第2撮影処理(S54)の後は、上記S38と同様にして、上記S54で撮影された画像のポインタ光Pが最適条件を満たすか否かが判定されてもよい。その判定で最適条件を満たす場合には、例えば、上記S54で撮影された画像においてポインタ光Pが照射された部分(画素)と照射されていない部分(画素)との明暗差が所定値以上である場合等がある。もっとも、ユーザの目視によって、上記S54で撮影された画像のポインタ光Pが最適条件を満たすか否かが判定されてもよい。尚、上記S38と同様にして判定が行われる場合には、上記S54で撮影された画像のポインタ光Pが最適条件を満たすまで、上述したS52及びS54の処理が再び行われる。
また、上述した図6の可視レーザ光処理(S10)とポインタ光処理(S12)とについては、それらの実行順序が入れ替わってもよい。
図6の規定位置特定処理(S14)では、公知の画像処理技術によって、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡の重心位置QCが上記S36で撮影された画像に基づいて特定され、点状のポインタ光Pの重心位置PCが上記S54で撮影された画像に基づいて特定される。
具体的には、例えば、先ず、上記S36で撮影された図11の画像300と上記S54で撮影された図12の画像302とが重ね合わされることによって、図13に表された画像304が取得される。更に、図14に表されたように、その取得された画像304において、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡の重心位置QCと、点状のポインタ光Pの重心位置PCとがXY座標で特定される。もっとも、図13及び図14に表された画像304が取得されることなく、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡の重心位置QCが上記S36で撮影された図11の画像300において特定され、点状のポインタ光Pの重心位置PCが上記S54で撮影された図12の画像302において特定されてもよい。
距離算出処理(S16)では、距離Dが算出される。具体的には、例えば、図14に表されたように、距離Dとして、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡の重心位置QCと点状のポインタ光Pの重心位置PCとを結ぶ線分の長さが、上記S14で特定された双方の重心位置QC,PCを使用して算出される。
ワーキングディスタンスの決定処理(S18)では、データテーブル111に格納されているワーキングディスタンスLと距離Dとの各組み合わせから、ワーキングディスタンスLが決定される。
データテーブル111によれば、例えば、上記S16で距離D1が算出されたときは、本S18でワーキングディスタンスL1が決定される。上記S16で距離D2が算出されたときは、本S18でワーキングディスタンスL2が決定される。上記S16で距離D3が算出されたときは、本S18でワーキングディスタンスL3が決定される。
但し、データテーブル111に格納されているワーキングディスタンスLと距離Dとの各組み合わせにおいて、上記S16で算出された距離Dが含まれていない場合には、データテーブル111に格納されているワーキングディスタンスLと距離Dとの各組み合わせに対し、公知の補完技術(例えば、多項式補間等)が適用されることによって、ワーキングディスタンスLと距離Dとの関係が補間される。更に、そのように補間されたワーキングディスタンスLと距離Dとの関係(例えば、線形多項式等)から、ワーキングディスタンスLが決定される。
加工レーザ光の焦点変更処理(S20)では、加工レーザ光Rの焦点位置Fが加工対象物7の加工面8上に合うようにするため、光学系70における第2レンズ74が、加工レーザ光Rと可視レーザ光Qの経路方向に移動させられる。その際、光学系ドライバ78に対する指令値であって、光学系70における第1レンズ72から第2レンズ74までの距離に関する制御パラメータが、上記S18で決定されたワーキングディスタンスLに基づいて設定され、光学系ドライバ78に送信される。
印字処理(S22)では、加工対象物7の加工面8上において、加工レーザ光Rが2次元走査されることによって、マーキング(印字)加工が行われる。これにより、RAM42に記憶されているXY座標データで示された印字パターンが、加工対象物7の加工面8上にマーキング(印字)加工される。その後、図6のフローチャートで表されたプログラムは、終了する。
[4.まとめ]
以上詳細に説明したように、本実施の形態のレーザマーカ1では、ワーキングディスタンスLの決定(S18)が、上記S16で算出された距離Dと、ROM63に記憶されたデータテーブル111におけるワーキングディスタンスLと距離Dとの各組み合わせとに基づいて行われる。この点、距離Dは、上記S36でカメラ103によって撮影された画像から特定された可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡の重心位置QCと、上記S54でカメラ103によって撮影された画像から特定された点状のポインタ光Pの重心位置PCとから算出される。
このようにして、本実施の形態のレーザマーカ1は、可視レーザ光Qとポインタ光Pの双方を用いてワーキングディスタンスLを決定しているので、ワーキングディスタンスLを決定するための距離Dを算出する際に必要なカメラ103の撮影領域(つまり、加工対象物7の加工面8の撮影領域)が僅かにズレても、従来のレーザマーカ(距離測定用ポインタ光出射器から出射するポインタ光をワークの表面に対して斜めに向けて出射し、ワーク表面に生成された楕円形の輝点に基づき、レーザビーム制御の座標系と一致させたワーキングディスタンスの測定でワーキングディスタンスを求めるもの)と比べ、ワーキングディスタンスLを精度良く決定することが可能である。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、可視レーザ光Qのみが加工対象物7の加工面8に照射されて(S30)、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡がカメラ103で撮影され(S36)、その後、ポインタ光Pのみが加工対象物7の加工面8に照射されて(S50)、点状のポインタ光Pがカメラ103で撮影される(S54)。つまり、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡と点状のポインタ光Pとがカメラ103で個別に撮影される(S36,S54)。これにより、本実施の形態のレーザマーカ1は、規定位置特定処理(S14)において、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡と点状のポインタ光Pとを、それぞれ個別に撮影された各画像300,302から正確に認識することが可能である。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、加工対象物7の加工面8上に映し出された可視レーザ光Qによる軌跡が正方形状である。そのため、本実施の形態のレーザマーカ1は、距離Dを算出するために必要な、可視レーザ光Qによる軌跡の重心位置QCを特定し易い(S14,S16)。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡の重心位置QCと点状のポインタ光Pの重心位置PCとを結ぶ線分の長さが、距離Dとして算出される(S16)。これにより、本実施の形態のレーザマーカ1は、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡と点状のポインタ光Pとが撮影された各画像300,302から、ワーキングディスタンスLを決定するために必要な距離Dを算出し易い。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、可視レーザ光Qによって正方形状の軌跡が加工対象物7の加工面8上に映し出されることから、距離Dを算出するために必要な、上記S36でカメラ103によって撮影される正方形状の軌跡を目視することが可能である。もっとも、カメラ103で撮影されることが可能であれば、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡に代えて、不可視光線によって正方形状の軌跡が加工対象物7の加工面8上に映し出されてもよい。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、上記S36でカメラ103によって撮影された画像300の可視レーザ光Qが最適条件を満たすまで(S38)、上述したS32乃至S36の処理が再び行われる。これにより、可視レーザ光Qの焦点位置Fが、加工対象物7の加工面8上に合うようにされる(S32)。そのため、規定位置特定処理(S14)で使用される画像(上記S36でカメラ103によって撮影された画像300)には、加工対象物7の加工面8上に映し出されている可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡が、鮮明に表示されている。このようにして、本実施の形態のレーザマーカ1は、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡の重心位置QCを正確に特定することによって(S14)、上記S18で決定するワーキングディスタンスLの精度向上を図っている。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、上述したように、上記S36でカメラ103によって撮影された画像300の可視レーザ光Qが最適条件を満たすまで(S38)、上述したS32乃至S36の処理が再び行われる。これにより、上記S36でカメラ103によって撮影された画像300の可視レーザ光Qに基づいて、ガルバノスキャナ18の走査速度の数値が変更されること(S34)と、その変更された走査速度で可視レーザ光Qがガルバノスキャナ18で2次元走査されることによって加工対象物7の加工面8上に映し出されている正方形状の軌跡がカメラ103で撮像されること(S36)が、繰り返される。
このようにして、本実施の形態のレーザマーカ1は、可視レーザ光Qの輝度調整を行うことなく、更に、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡が映し出される加工対象物7の加工面8の表面粗さ等に左右されることなく、規定位置特定処理(S14)において、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡を、上記S36でカメラ103によって撮影された画像300から正確に認識することが可能である。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、上述したように、上記S36でカメラ103によって撮影された画像300の可視レーザ光Qが最適条件を満たすまで(S38)、上述したS32乃至S36の処理が再び行われる。これにより、上記S36でカメラ103によって撮影された画像300の可視レーザ光Qに基づいて、カメラ103の絞り値、シャッタースピード、又はISO感度の数値が変更されること(S34)と、その変更された数値に絞り値、シャッタースピード、又はISO感度が設定されたカメラ103で、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡が撮像されること(S36)が、繰り返される。
このようにしても、本実施の形態のレーザマーカ1は、可視レーザ光Qの輝度調整を行うことなく、更に、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡が映し出される加工対象物7の加工面8の表面粗さ等に左右されることなく、規定位置特定処理(S14)において、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡を、上記S36でカメラ103によって撮影された画像300から正確に認識することが可能である。
また、本実施の形態のレーザマーカ1は、上述したように、上記S34において、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡を撮影する際における、カメラ103の絞り値、シャッタースピード、及びISO感度の各数値を変更することが可能である。更に、それに加えて、上記S52では、点状のポインタ光Pを撮影する際における、カメラ103の絞り値、シャッタースピード、及びISO感度の各数値を変更することが可能である。このようにして、カメラ103の絞り値、シャッタースピード、及びISO感度の各数値については、カメラ103が可視レーザ光Qを撮影する際(S36)と、カメラ103がポインタ光Pを撮影する際(S54)とにおいて、異なる数値に設定することが可能である。これにより、本実施の形態のレーザマーカ1は、可視レーザ光Qの輝度とポインタ光Pの輝度とが異なっていても、可視レーザ光Qとポインタ光Pとをカメラ103で鮮明に撮影することが可能である。
また、本実施の形態のレーザマーカ1では、ワーキングディスタンスLと距離Dとが関連付けられた状態でデータテーブル111に格納されている複数の組み合わせによって、ワーキングディスタンスLの決定(S18)が行われている。これにより、本実施の形態のレーザマーカ1は、ワーキングディスタンスの決定(S18)における処理速度の向上を図っている。
ちなみに、本実施形態において、加工対象物7の加工面8は、「領域」の一例である。レーザ発振ユニット12は、「加工レーザ光出射部」の一例である。ガイド光部15は、「レーザ光出射部」の一例である。ガルバノスキャナ18は、「走査部」の一例である。CPU61は、「制御部」の一例である。ROM63は、「記憶部」の一例である。光学系70は、「可変焦点光学系」の一例である。カメラ103は、「撮影部」の一例である。ポインタ光出射器105は、「ポインタ光出射部」の一例である。
ポインタ光Pの重心(位置PC)は、「第2規定位置」の一例である。可視レーザ光Qは、「レーザ光」及び「ガイド光」の一例である。可視レーザ光Qの焦点位置Fは、「ガイド光の焦点位置」の一例である。可視レーザ光Qの重心(位置QC)は、「第1規定位置」の一例である。加工レーザ光Rは、「レーザ光」の一例である。
正方形状は、「所定形状」の一例である。データテーブル111に格納されているワーキングディスタンスLと距離Dとの各組み合わせは、「情報」及び「複数の組み合わせ」の一例である。RAM42に記憶されたガルバノスキャナ18の走査速度の数値は、「走査部の走査速度」の一例である。RAM62に記憶されたカメラ103の絞り値、シャッタースピード、及びISO感度の各数値は、「撮影パラメータ」の一例である。上記S38の最適条件は、「所定の条件」の一例である。
[5.その他]
尚、本開示は、本実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第2パラメータ設定処理(S52)は、省略されてもよい。そのような場合、第2撮影処理(S54)では、第1パラメータ処理(S34)で設定された、カメラ103の絞り値、シャッタースピード、及びISO感度の各数値が使用される。
また、規定位置特定処理(S14)では、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡と点状のポインタ光Pとが一緒にカメラ103で撮影された画像から、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡の重心位置QCが特定され、点状のポインタ光Pの重心位置PCが特定されてもよい。
また、規定位置特定処理(S14)では、双方の重心位置QC,PCに代えて、双方の中心位置が特定されてもよい。そのような場合、距離Dは、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡の中心位置と点状のポインタ光Pの中心位置とを結ぶ線分の長さである。
また、ワーキングディスタンスLと距離Dとの各組み合わせは、データテーブル111に代えて、ワーキングディスタンスLと距離Dとの関係が表された近似式によって備えられてもよい。
また、ワーキングディスタンスLと距離Dとの各組み合わせは、ガルバノスキャナ18の振角が上記の所定角度と異なる様々な場合を想定して求めておき、それぞれの場合の距離Dであることを示す識別データに対応付けられた状態で、データテーブル111に格納されてもよい。そのようなデータテーブル111であれば、距離Dが算出される際に必要な、可視レーザ光Qによる正方形状の軌跡が、印字パターン(加工レーザ光Rの走査領域)の大きさ又は加工対象物7の大きさに適したサイズに変更されても、ワーキングディスタンスLの算出が可能である。
また、可視レーザ光Qに代えて、加工レーザ光Rがガルバノスキャナ18で2次元走査されることによって、加工レーザ光Rによる正方形状の軌跡がカメラ103で撮像されてもよい。そのような場合、加工対象物7の加工面8が加工レーザ光Rでマーキング(印字)加工される際に発する光によって、加工レーザ光Rによる正方形状の軌跡がカメラ103で撮像される。あるいは、加工レーザ光Rのレーザ出力が抑えられることによって、マーキング(印字)加工能力を失った状態の加工レーザ光Rが、ガルバノスキャナ18で2次元走査されることが繰り返されるによって、加工レーザ光Rによる正方形状の軌跡がカメラ103で撮像される。
また、ガルバノスキャナ18の2次元走査が繰り返されることによって加工対象物7の加工面8上に可視レーザ光Qで映し出される軌跡の形状は、上述した正方形状の他に、例えば、円形状、楕円形状、正方形状を除く多角形状、又は線分(直線、曲線)等がある。特に、円形状、楕円形状、又は線分(直線、曲線)の場合、ポリゴンディレイが一定値でよく、ガルバノスキャナ18の走査速度を一定にさせることが可能であるため、鮮明な可視レーザ光Qの画像が、カメラ103で撮像され易い。