JP7434794B2 - 半導体装置の製造方法及び封止用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本開示は、半導体装置の製造方法及び封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
近年、半導体パッケージ等の半導体装置においては、電子機器の小型化及び高機能化に伴う多ピン化と、パッケージサイズの小型化、軽量化、及び高密度化と、が求められ、従来の接続端子を利用したピン挿入型のDIP(Dual In-line Package)及び周辺端子型のQFP(Quad Flat Package)での対応が困難となり、ワイヤボンド技術を利用した表面実装パッケージであるBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCM(Multi Chip Module)等へと移行している。
これら半導体パッケージの小型化及び薄型化に伴い、部品実装時、パッケージ組立時等の反りが問題となっている。
一般的に、はんだ実装時の加熱によって、半導体パッケージを構成するチップ、基板、封止材等の部材の物性差から、半導体パッケージに反りが発生する。近年の半導体パッケージの薄型化に伴う反りの増加が電子機器の電気的接続の不安定化を引き起こすことがあるため、半導体パッケージにはマザーボード等の接続部と同様の反り挙動であることが求められ、特に半導体パッケージを構成する各種部材には反りの制御が求められている。
特許文献1には、反り抑制のため、半導体パッケージの封止材の表面に反り矯正基板を仮固定し、半導体パッケージをリフロー実装してから反り矯正基板を除去する方法が開示されている。また、特許文献2には、フィラーを含む第一の樹脂フィルム層と、フィラー含有率が第一の樹脂フィルム層より低い第二の樹脂フィルム層と、を積層して反り変形量を小さくする方法が開示されている。
特開2016-072254号公報 特開2016-012713号公報
上記の特許文献1及び2に開示された技術は、半導体パッケージの反り低減には有効であるものの、反りバラツキの低減については改善の余地がある。
半導体パッケージの反りバラツキが大きいと、生産性の低減に繋がる。更に、封止樹脂層の厚みが薄い半導体パッケージは、反りバラツキが大きくなる傾向があるため、特に反りバラツキの低減が求められている。
本開示は、25℃における反りのバラツキの少ない半導体装置が得られる半導体装置の製造方法及びエポキシ樹脂組成物を提供するものである。
本開示の実施形態には以下の態様が含まれる。
<1>
半導体チップを基板に配置した積層体を準備する工程と、
前記積層体を金型内に設置した後、JIS標準篩による篩分けで測定される粒度分布において粒径0.25mm以上2.0mm未満の粒子の割合が全樹脂組成物に対して95質量%以上であるエポキシ樹脂組成物により、前記積層体を樹脂封止する工程と、
を備えた、半導体装置の製造方法。
<2>
前記JIS標準篩による篩分けで測定される粒度分布において、粒径0.25mm以上0.50mm未満の粒子の割合、粒径0.50mm以上1.0mm未満の粒子の割合、粒径1.0mm以上1.4mm未満の粒子の割合、又は粒径1.4mm以上2.0mm未満の粒子の割合が、全樹脂組成物に対して60質量%以上である、<1>に記載の半導体装置の製造方法。
<3>
前記JIS標準篩による篩分けで測定される粒度分布において、粒径0.25mm以上0.50mm未満の粒子の割合又は粒径0.50mm以上1.0mm未満の粒子の割合が、全樹脂組成物に対して60質量%以上である、<1>に記載の半導体装置の製造方法。
<4>
前記JIS標準篩による篩分けで測定される粒度分布において、粒径0.25mm以上0.50mm未満の粒子の割合が、全樹脂組成物に対して60質量%以上である、<1>に記載の半導体装置の製造方法。
<5>
前記積層体を樹脂封止する工程における成形温度は、110~200℃である、<1>~<4>の何れか一つに記載の半導体装置の製造方法。
<6>
前記積層体における前記半導体チップの厚さの合計は、300μm以下である、<1>~<5>の何れか一つに記載の半導体装置の製造方法。
<7>
前記基板の厚さは、200μm以下である、<1>~<6>の何れか一つに記載の半導体装置の製造方法。
<8>
前記積層体を樹脂封止する工程により形成された封止樹脂層の厚さは、450μm以下である、<1>~<7>の何れか一つに記載の半導体装置の製造方法。
<9>
前記積層体を樹脂封止する工程により樹脂封止された積層体である樹脂封止積層体全体の厚さは、650μm以下である、<1>~<8>の何れか一つに記載の半導体装置の製造方法。
<10>
JIS標準篩による篩分けで測定される粒度分布において、粒径0.25mm以上2.0mm未満の粒子の割合が全樹脂組成物に対して95質量%以上である、封止用エポキシ樹脂組成物。
<11>
前記JIS標準篩による篩分けで測定される粒度分布において、粒径0.25mm以上0.50mm未満の粒子の割合、粒径0.50mm以上1.0mm未満の粒子の割合、粒径1.0mm以上1.4mm未満の粒子の割合、又は粒径1.4mm以上2.0mm未満の範囲の粒子の割合が、全樹脂組成物に対して60質量%以上である、<10>に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
本開示によれば、25℃における反りのバラツキの少ない半導体装置が得られる半導体装置の製造方法及びエポキシ樹脂組成物を提供することが出来る。
積層体準備工程において準備される積層体の一部を示す概略断面図である。 図1の積層体の製造に用いられる接着層付チップの概略断面図である。 接着層付チップを基板に搭載し積層体を準備する工程を示す概略断面図である。 図1の積層体を封止樹脂により封止して得られた封止樹脂積層体の一部を示す概略断面図である。 樹脂封止積層体を複数に切断し、個片化する工程を示す断面図である。
以下、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
<半導体装置の製造方法>
本開示の一実施形態における半導体装置の製造方法は、半導体チップを基板に配置した積層体を準備する工程(以下「積層体準備工程」ともいう)と、前記積層体を金型内に設置した後、JIS標準篩による篩分けで測定される粒度分布において粒径0.25mm以上2.0mm未満の粒子の割合が全樹脂組成物に対して95質量%以上であるエポキシ樹脂組成物により、前記積層体を樹脂封止する工程(以下「樹脂封止工程」ともいう)と、を備える。
上記半導体装置の製造方法は、必要に応じて、さらに他の工程を有してもよい。他の工程としては、例えば、樹脂封止工程により樹脂封止された積層体である樹脂封止積層体を熱処理によって硬化させる工程(以下「後硬化工程」ともいう)、樹脂封止積層体を個片化する工程(以下「個片化工程」ともいう)等が挙げられる。
また、前記積層体が接着層を含む場合(半導体チップとして後述する接着層付チップを用いる場合等)、上記半導体装置の製造方法は、他の工程として、熱処理によって前記接着層を硬化させる工程(以下「接着層熱処理工程」ともいう)をさらに有してもよい。
上記半導体装置の製造方法によれば、反りのバラツキの少ない半導体装置が得られる。その理由は定かではないが、粒度分布が前記条件を満たすエポキシ樹脂組成物を用いることで、フィラーの偏析が起こりにくくエポキシ樹脂組成物が積層体の面方向全体にわたって満遍なく供給されやすくなるため、得られた半導体装置における反りのバラツキが抑えられるものと推測される。
以下、場合により図面を参照して、本開示の一実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定するものではない。
以下に、上述した構成を有する半導体装置の製造方法における各工程について説明する。
<<積層体準備工程>>
積層体準備工程では、半導体チップを基板に配置した積層体を準備する。
まず、積層体準備工程において準備される積層体について説明する。
積層体は、少なくとも半導体チップと基板とを有するものであり、必要に応じて、他の層、他の部材等をさらに有していてもよい。また、半導体チップとして、半導体チップ本体の少なくとも一方の面に接着層を有する半導体チップ(以下「接着層付チップともいう)を用いてもよい。
以下、半導体チップとして接着層付チップを用いた積層体の一例について、図を用いて説明する。
図1は、積層体準備工程において準備される積層体10の一部を示す概略断面図であり、図2は、積層体10の製造に用いられる接着層付チップ3の概略断面図である。
図1に示す積層体10は、基板2と、基板2の一方の面に設けられた接着層付チップ3と、を有する。また、接着層付チップ3は、図2に示すように、半導体チップ本体5と、半導体チップ本体5の一方の面に設けられた接着層6と、を有する。
図1に示す積層体10では、接着層付チップ3が、基板2の厚み方向に複数積層され、かつ、基板2の面方向に複数配置されている。具体的には、複数の接着層付チップ3のうち、一部の接着層付チップ3の接着層6が基板2に接し、かつ、残りの接着層付チップ3の接着層6が前記一部の接着層付チップ3の半導体チップ本体5に接している。
図1に示す積層体10では、接着層付チップ3が基板2の厚み方向に2つ積層されているが、これに限られず、1つでもよく、3つ以上でもよい。基板2の厚み方向に積層された半導体チップ本体5の数としては、例えば1~4が挙げられ、1~2が好ましい。
また、図1に示す積層体10では、半導体チップ本体5の一方の面に接着層6が設けられた接着層付チップ3を用いているが、これに限られず、半導体チップ本体5の両方の面に接着層6が設けられた接着層付チップを用いてもよく、接着層6を有さない半導体チップ本体5をそのまま用いてもよい。
また、図1に示す積層体10は、基板2における一方の面に接着層付チップ3が設けられているが、これに限られず、基板2の両方の面に半導体チップが設けられていてもよい。
積層体は、半導体チップ以外の部材がさらに設けられていてもよい。半導体チップ以外の部材としては、例えば、はんだボール、配線用のワイヤ等が挙げられる。
また、積層体は、ワイヤによって基板と半導体チップとが接続された積層体(例えば、ワイヤボンディング型積層体)であってもよく、フリップチップ実装された積層体であってもよく、基板上にはんだボールを介して半導体チップが設けられた積層体(例えば、キャピラリーアンダーフィル(CUF)用、モールドアンダーフィル(MUF)用の積層体)であってもよい。
[半導体チップ]
半導体チップの半導体チップ本体(図2に示す半導体チップ本体5等)は、特に制限はされないが、例えば、シリコンチップ、実装用の電子部品等が挙げられる。
半導体チップ本体それぞれの厚さとしては、例えば250μm以下が挙げられ、20μm~250μmであることが好ましく、20μm~100μmであることがより好ましく、20μm~70μmであることがさらに好ましい。
半導体チップとして接着層付チップ(図2に示す接着層付チップ3等)を用いる場合、接着層(図2に示す接着層6等)としては、例えば、熱硬化成分を含む接着層が挙げられる。熱硬化成分を含む接着層は、熱により硬化する成分を有する層であれば特に限定されず、例えば構成成分として、エポキシ樹脂、硬化剤、及び硬化促進剤を含む混合物(すなわち、接着剤組成物)を含有する層が挙げられる。接着層の厚さは、例えば100μm以下が挙げられ、5μm~100μmであることが好ましく、5μm~80μmであることがより好ましく、5μm~60μmであることがさらに好ましい。
また接着層付チップそれぞれの厚さとしては、例えば255μm以下が挙げられ、25μm~255μmであることが好ましく、25μm~150μmであることがより好ましく、25μm~80μmであることがさらに好ましい。
また、積層体における半導体チップの厚さの合計としては、例えば300μm以下が挙げられ、25μm~300μmであることが好ましく、25μm~250μmであることがより好ましく、25μm~200μmであることがさらに好ましい。
ここで、「積層体における半導体チップの厚さの合計」とは、基板の厚み方向における半導体チップの厚さの合計を言う。つまり、基板の厚み方向に半導体チップが1層のみ設けられている場合は前記一層の半導体チップの厚さを意味し、基板の厚み方向に半導体チップが複数層積層されている場合は、厚み方向に積層された半導体チップの厚さの合計を意味する。
また、上記「半導体チップの厚さの合計」は、半導体チップとして接着層付チップを用いている場合、接着層も含めた厚さ(すなわち、半導体チップ本体の厚さ及び接着層の厚さの合計)を意味する。
[基板]
基板は、特に制限はされないが、例えば、コアレス基板、ガラスエポキシ基板等の有機基板、リードフレームなどが挙げられる。また、基板は、配線を有していてもよい。
基板の厚さは、例えば200μm以下が挙げられ、50μm~200μmであることが好ましく、50~150μmであることがより好ましく、50μm~100μmであることがさらに好ましい。
[積層体の製造]
図1に示す積層体10は、例えば、以下のようにして製造される。具体的には、まず、熱硬化成分を含む接着層6を半導体チップ本体5の一方の面に有する接着層付チップ3が、図3に示すように、基板2上にマウントされる。そして、半導体チップ本体5と基板2とを、接着層6を介して、加熱圧着して積層体10を得ることができる。
図1に示す積層体10のように、基板2の厚み方向に複数の接着層付チップ3が積層された積層体10を製造する場合、前記複数の接着層付チップ3を搭載してからまとめて加熱圧着を行ってもよく、接着層付チップ3を一層搭載して加熱圧着を行う工程を繰り返してもよい。
接着層付チップを基板に搭載することで積層体を得る場合、搭載時における加熱圧着の温度(以下「搭載温度」ともいう)としては、例えば60℃~150℃が挙げられる。搭載温度が60℃以上であれば、半導体チップ本体と基板との良好な密着性を確保することが出来、搭載温度が150℃以下であれば、圧着時の接着層のブリードアウト多過を抑制できる。このような観点から、搭載温度は70℃~140℃がより好ましく、80℃~130℃がさらに好ましい。
<<接着層熱処理工程>>
接着層熱処理工程は、接着層付チップを用いた場合に必要に応じて行われる工程である。接着層付チップを用いる場合、積層体中の接着層を加熱によって半硬化状態又は硬化状態とすることが好ましい。接着層熱処理工程における温度としては、例えば100℃~200℃が挙げられる。接着層熱処理工程における温度は、硬化性の観点から110℃~130℃が好ましい。接着層熱処理工程では、基板と接着層との間の気泡を除去する観点から、加熱時に加圧環境下に積層体を置いてもよい。接着層を半硬化状態とした場合、次の工程(樹脂封止工程、後硬化工程等)で更に接着層が硬化し、硬化状態とすることができる。
接着層熱処理工程は、例えば、積層体準備工程により得られた積層体を加熱することで行われ、それにより接着層付チップにおける接着層が硬化又は半硬化する。接着層熱処理工程における昇温及び保温には、例えば、一般的に市販されているクリーンオーブンのようなオーブンを用いることができる。接着層熱処理工程における昇温及び保温の温度及び時間は、接着層を硬化又は半硬化できれば特に制限されるものではない。接着層熱処理工程における昇温は、例えば、80℃~200℃の温度まで10分~1時間をかけて昇温させることが好ましく、100℃~150℃の温度まで20分~50分をかけて昇温させることがより好ましい。また、接着層熱処理工程における保温は、100℃~200℃で10分~120分の硬化が好ましく、100℃~150℃で50分~90分の硬化がより好ましい。
<<樹脂封止工程>>
少なくとも積層体準備工程の後(必要に応じて接着層熱処理工程が行われた場合は接着層熱処理工程の後)に、樹脂封止工程が行われる。
樹脂封止工程では、積層体を金型内に設置した後、エポキシ樹脂組成物を用いて積層体を樹脂封止する。具体的には、例えば、積層体が設置された金型内にエポキシ樹脂組成物を投入し、金型内を減圧下にしつつ、圧縮成形(つまり、コンプレッション成形)を行う。なお、圧縮成形の代わりに、トランスファー成形を行ってもよい。
上記樹脂封止工程を経ることにより、積層体に封止樹脂層が形成された樹脂封止積層体が得られる。
図4に、樹脂封止工程により得られた樹脂封止積層体の一例を示す。図4は、図1の積層体10を封止樹脂により封止して得られた樹脂封止積層体20の一部を示す概略断面図である。
図4に示す樹脂封止積層体20は、基板2と複数の接着層付チップ3とを有する積層体10と、基板2の接着層付チップ3が設けられた側に形成された封止樹脂層4と、を有する。樹脂封止積層体20では、封止樹脂層4によって、複数の接着層付チップ3が基板2に固定されている。
以下、樹脂封止工程において用いるエポキシ樹脂組成物を説明する。
[エポキシ樹脂組成物]
封止樹脂工程においては、エポキシ樹脂組成物として、JIS標準篩による篩分けで測定される粒度分布(以下、単に「粒度分布」ともいう)において粒径0.25mm以上2.0mm未満の粒子の割合が全樹脂組成物に対して95質量%以上であるエポキシ樹脂組成物を用いる。つまり、エポキシ樹脂組成物としては、例えば、グラニュール(円柱状の顆粒等)、パウダーなどの形状の粉体を準備する。
エポキシ樹脂組成物は、少なくともエポキシ樹脂を含んでいればよく、必要に応じて、硬化剤、カップリング剤、硬化促進剤、フィラー、着色剤、その他添加剤を含んでもよい。エポキシ樹脂組成物の組成は、製造する半導体装置に求められる特性に応じて適宜調製される。特に、用いるエポキシ樹脂組成物の組成によって、得られる半導体装置の反り量及び反り量のバラツキが異なる。そのため、所望の反り量となるエポキシ樹脂組成物の組成を選択しつつ、粒度分布の調整により反り量のバラツキを低減してもよい。なお、エポキシ樹脂組成物に含まれる各成分の詳細は後述する。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂組成物は、少なくともエポキシ樹脂を含む。
エポキシ樹脂は、2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。ここで用いられるエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているもので制限はなく、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。また、エポキシ樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール、ビスフェノール、ビフェノール、チオジフェノール、アミノフェノール、ナフトール等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物と、を縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、アルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂等も挙げられる。エポキシ樹脂としては、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、流動性と硬化性との両立の観点から、エポキシ樹脂は、アルキル置換、芳香環置換、又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂を含有していることが好ましい。エポキシ樹脂は、硬化性の観点からはノボラック型エポキシ樹脂を含有していることが好ましく、耐熱性及び低反り性の観点からはナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含有していることが好ましい。エポキシ樹脂は、難燃性の観点から、アラルキル型エポキシ樹脂を含有していることが好ましい。
(硬化剤)
エポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含んでいてもよい。ここで用いられる硬化剤は、エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているもので制限はなく、例えば、フェノール、クレゾール、ビスフェノール、ビフェノール、チオジフェノール、アミノフェノール、ナフトール等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物と、を縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;フェノール類と、ジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルと、から合成されるフェノールアラルキル樹脂;ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;フェノールノボラック構造とフェノールアラルキル構造とがランダム、ブロック、又は交互に繰り返された共重合型フェノールアラルキル樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;トリフェニルメタン型フェノール樹脂;などが挙げられる。硬化剤として、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
(カップリング剤)
エポキシ樹脂組成物は、カップリング剤を含有してもよい。カップリング剤としては、例えばシラン化合物(すなわち、シランカップリング剤)が挙げられる。シラン化合物とは、ケイ素原子を含んだ有機化合物であり、具体的には、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物が挙げられる。シラン化合物としては、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、カップリング剤として、上記シラン化合物に加えて又は上記シラン化合物の代わりに、チタネート類、アルミニウムキレート類等を用いてもよい。
カップリング剤としては、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(硬化促進剤)
エポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤は、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているもので特に制限はなく、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5、5,6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等のシクロアミジン化合物、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類及びこれらの誘導体、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類及びこれらの誘導体、並びにN-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体などが挙げられる。これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(フィラー)
エポキシ樹脂組成物は、フィラーを含有してもよい。フィラーは、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているもので特に制限はなく、無機フィラー(すなわち、無機充填材)であることが好ましい。フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ほう酸アルミニウムウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、及びアンチモン酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の無機材料を含む無機フィラーが好ましい。これらの中でも、熱伝導性向上のためには、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、及び非晶性シリカが好ましい。溶融粘度の調整及びチクソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、結晶性シリカ、及び非晶性シリカが好ましい。また、耐湿性を向上させるためには、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、及びアンチモン酸化物が好ましい。これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(着色剤)
エポキシ樹脂組成物は、添加剤として着色剤をさらに含有してもよい。着色剤としてはカーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を挙げることができる。着色剤の含有量は目的等に応じて適宜選択できる。着色剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(エポキシ樹脂組成物の調製方法)
エポキシ樹脂組成物は、各種成分を分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できる。
エポキシ樹脂組成物の中でも特に、パウダー形状の粉体であるエポキシ樹脂組成物を調製する方法としては、例えば、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し、冷却、粉砕した後に、必要に応じて篩分けをする方法を挙げることができる。具体的には、例えば、上述した成分の所定量を均一に攪拌、混合し、予め70℃~140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練、冷却、粉砕し、必要に応じて篩分けするなどの方法で得ることができる。篩分けの方法としては、例えば、JIS標準篩を用いることで、粒度分布における0.25mm以上2.0mm未満の粒子の割合を全樹脂組成物に対して95質量%以上とする。
一方、グラニュール形状の粉体であるエポキシ樹脂組成物を調製する方法としては、例えば、上記パウダー形状の粉体の調製と同様の混合及び溶融混練を行った後、溶融状態の組成物を小孔からストランド状に押し出しつつ切断する方法が挙げられる。グラニュール形状の粉体の調製においても、必要に応じて篩分けを行ってもよい。
以下、粒度分布の測定方法及びエポキシ樹脂組成物の粒度分布について説明する。
(粒度分布の測定方法)
上記粒度分布は、音波篩分け測定器に備え付けたJIS標準篩(5段)を用い、これらの篩を20分間に亘って振動(振動レベル6、篩時間3分/回、パルス間隔1秒/回)させながら200gの試料を篩に通し分級して測定する。
一番上の篩の目開きは2.0mm、次は1.4mm、1.0mm、0.50mm、0.25mmの順に、徐々に篩の目開きを細かくして配置する。例えば目開き1.4mmの篩上にある試料は1.4mm以上2.0mm未満の粒径である。
なお、この方法で粒度分布を測定した場合、アスペクト比の高い粒子(径が篩の目開きより小さく、長さが篩の目開きより大きい粒子)は、粒子の径より大きくかつ粒子の長さよりも小さい目開きを有する篩を通過する可能性があるが、本明細書では、上述の方法により分級される成分の質量割合を樹脂組成物の粒度分布と定義する。
(エポキシ樹脂組成物の粒度分布)
エポキシ樹脂組成物は、JIS標準篩による篩分けで測定される粒度分布において、粒径0.25mm以上かつ2.0mm未満の粒子の割合が全樹脂組成物に対して95質量%以上である。
エポキシ樹脂組成物は、上記粒度分布において、粒径0.25mm以上かつ2.0mm未満の粒子の中でも、粒径0.25mm以上かつ0.50mm未満の粒子の割合、粒径0.50mm以上かつ1.0mm未満の粒子の割合、粒径1.0mm以上かつ1.4mm未満の粒子の割合、又は粒径1.4mm以上かつ2.0mm未満の粒子の割合が、全樹脂組成物に対して60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上であり、極めて好ましくは95質量%以上である。
エポキシ樹脂組成物は、上記粒度分布において、全樹脂組成物に対し、粒径0.25mm以上かつ0.50mm未満の粒子の割合が上記範囲、粒径0.50mm以上かつ1.0mm未満の粒子の割合が上記範囲、粒径1.0mm以上かつ1.4mm未満の粒子の割合が上記範囲、又は粒径1.4mm以上かつ2.0mm未満の粒子の割合が上記範囲であることが好ましい。つまり、粒径0.25mm以上かつ0.50mm未満の粒子の割合、粒径0.50mm以上かつ1.0mm未満の粒子の割合、粒径1.0mm以上かつ1.4mm未満の粒子の割合、及び粒径1.4mm以上かつ2.0mm未満の粒子の割合のいずれかが、全樹脂組成物に対して60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、95質量%以上であることが極めて好ましい。
エポキシ樹脂組成物は、上記粒度分布において、粒径0.25mm以上かつ0.50mm未満の粒子の割合又は粒径0.50mm以上かつ1.0mm未満の粒子の割合が、全樹脂組成物に対して60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは85質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上であり、極めて好ましくは95質量%以上である。
エポキシ樹脂組成物は、上記粒度分布において、粒径0.25mm以上かつ0.50mm未満の粒子の割合が、全樹脂組成物に対して60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは85質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上であり、極めて好ましくは95質量%以上である。
エポキシ樹脂組成物は、上記粒度分布において、粒径0.50mm以上かつ1.0mm未満の粒子の割合が、60質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。
エポキシ樹脂組成物は、上記粒度分布において、粒径1.0mm以上かつ1.4mm未満の粒子の割合が、60質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。
エポキシ樹脂組成物は、上記粒度分布において、粒径1.4mm以上かつ2.0mm未満の粒子の割合が、60質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。
[樹脂封止]
次に、上記エポキシ樹脂組成物を用いて行う樹脂封止について説明する。
なお、以下、樹脂封止の一例として圧縮成形について説明するが、これに限定されるものではなく、前記の通りトランスファー成形を行ってもよい。
圧縮成形では、例えば、モールド装置を用いて、減圧及び加熱し溶融させたエポキシ樹脂組成物により、上述した積層体を封止し樹脂封止積層体(封止基板)を得る。
樹脂封止時の温度は、例えば110℃~200℃が挙げられ、硬化性、成形時間短縮の観点から150℃~180℃であることが好ましい。
前記樹脂封止工程により形成された封止樹脂層の厚さは、例えば450μm以下が挙げられ、150μm~450μmであることが好ましく、200μm~400μmであることがより好ましい。
前記樹脂封止工程により樹脂封止された樹脂封止積層体全体の厚さは、例えば650μm以下が挙げられ、200μm~650μmであることが好ましく、300μm~500μmであることがより好ましい。
なお、上記圧縮成形による樹脂封止では、例えば、金型内を減圧下にしつつ、圧縮成形をして樹脂封止する。
圧縮成形では、上記のように、例えば減圧中に成形する。減圧は、最初は減圧速度が大きく、減圧するにつれて減圧速度は小さくなる。減圧速度は、下記の(1)式に示すように、定義することができる。減圧を開始すると圧力は迅速に下がってくるが、ある程度減圧すると圧力の下がり方が少なくなる。この圧力の下がり方が、1秒間に5torr以下となったら減圧限界圧力に達したとみなし、減圧開始から減圧限界圧力に達するまでの時間を「減圧限界圧力到達時間」とする。
(減圧速度)=(初期圧力-減圧限界圧力)/(減圧限界圧力到達時間)……(1)式 初期圧力、減圧限界圧力の単位は、「torr」、減圧限界圧力到達時間の単位は「秒」である。なお、初期圧力は、減圧開始時における圧力をいう。
圧縮成形時の減圧速度は、10torr/秒~350torr/秒であることが好ましく50torr/秒~330torr/秒がより好ましく、150torr/秒~310torr/秒が更に好ましい。
<<後硬化工程>>
必要に応じて行われる後硬化工程では、前記樹脂封止工程によって得られた樹脂封止積層体(封止基板)をさらに加熱する。樹脂封止工程によって形成された封止樹脂層が完全に硬化されていない状態(例えば半硬化状態)である場合、後硬化工程において、樹脂封止層がさらに硬化する。
後硬化工程における昇温及び保温には、例えば、一般的に市販されているクリーンオーブンのようなオーブンを用いることができる。後硬化工程における温度及び時間は、110℃~200℃で30分~7時間が好ましく、150℃~180℃で1時間~6時間がより好ましい。
<<個片化工程>>
必要に応じて行われる個片化工程では、得られた樹脂封止積層体(封止基板)を切断することで個片化する。切断の方法は、特に限定されるものではなく、例えば、回転刃による切断方法、レーザによる切断方法等が挙げられる。例えば回転刃による切断方法を適用する場合、図5に示すように、樹脂封止積層体を、基板2の厚み方向に回転刃7によって切断し、個片化することで、複数の半導体装置1を得る。
切断する際に使用する切断装置(ダイサー等)、回転刃(ブレード)などは、一般に市販されているものを使用することが出来る。
回転刃を用いた切断装置であるダイサーとしては、例えば、株式会社ディスコ製のフルオートマチックダイシングソー6000シリーズ、セミオートマチックダイシングソー3000シリーズ等が使用できる。ブレードとしては、株式会社ディスコ製のダイシングブレードNBC-ZH05シリーズ、NBC-ZHシリーズ等が使用できる。
また、レーザを用いた切断装置としては、株式会社ディスコ製のフルオートマチックレーザソー7000シリーズ等が挙げられる。
以上、本開示に係る半導体装置の製造方法の実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
<エポキシ樹脂組成物>
本開示の一実施形態におけるエポキシ樹脂組成物は、前記粒度分布において0.25mm以上かつ2.0mm未満の粒子の割合が全樹脂組成物に対して95質量%以上であれば、特に限定されるものではない。
エポキシ樹脂組成物は、少なくともエポキシ樹脂を含み、必要に応じて、硬化剤、カップリング剤、硬化促進剤、フィラー、着色剤、その他添加剤を含んでもよい。
エポキシ樹脂組成物に含まれる各成分の詳細及び粒度分布は上述した通りである。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明は、これらに制限されるものではない。
[実施例A]
<コンプレッション成形用エポキシ樹脂組成物の作製>
半導体装置用のエポキシ樹脂組成物を作製するための各材料を以下の通り準備した。
(a)エポキシ樹脂
・E1:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、製品名:NC-3000、エポキシ当量:280g/eq)、
・E2:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、製品名:YX-4000、エポキシ当量:196g/eq、融点:106℃)
(b)硬化剤
・H1:ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、製品名:MEHC-7800、水酸基当量:106g/eq、軟化点:66℃)
・H2:トリスフェニルメタン型フェノール樹脂(エア・ウォーター株式会社製、製品名:HE910-10、水酸基当量:100g/eq、軟化点:83℃)
(c)硬化促進剤
・A1:トリフェニルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加物
(d)無機充填材(フィラー)
・F1:平均粒径19.4μmのシリカフィラー(デンカ株式会社製、製品名:FB-9454)
(e)シランカップリング剤
・C1:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名:KBM-573)
・C2:3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名:KBM-403)
・C3:3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名:KBM-803)
(f)顔料(着色剤)
・P1:カーボンブラック(三菱ケミカル株式会社製、製品名:MA600MJ)
(実施例1)
上記エポキシ樹脂のE1を5質量部、E2を95質量部、硬化剤のH1を50質量部、H2を30質量部、硬化促進剤のA1を2質量部、シランカップリング剤のC1を14質量部、C2を10質量部、C3を0.5質量部、顔料のP1を4質量部、無機充填材のF1を全体積に対して、78体積%となるように配合した。その後、ミキサーによって十分混合した後、あらかじめ110℃に加熱してあるニーダーで混練し、溶融状態の組成物を得た。得られた溶融状態の組成物を、複数の小孔を有する円筒状外周部に供給し、その樹脂組成物を溶融押出し、その後、冷却、粉砕工程を経てエポキシ樹脂組成物を作製した。なお、実施例1においては、篩分けを行わなかった。
得られたエポキシ樹脂組成物の粒度分布を前述の方法で測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にして溶融状態の組成物を得た。得られた溶融状態の組成物を、冷却し、粉砕することで、パウダー形状の粉体であるエポキシ樹脂組成物を作製した。なお、比較例1においては、篩分けを行わなかった。
得られたエポキシ樹脂組成物の粒度分布を前述の方法で測定した。結果を表1に示す。
<半導体パッケージ(半導体装置)の作製>
基板面積240×74mm、基板厚み90μmの三層コアレス基板に、チップ及びダイアタッチフィルムの面積:10×5mm、チップ厚み:70μm、ダイアタッチフィルム厚み:10μmのダイアタッチフィルム付きダミーチップ4つを、ダイボンダー(ファスフォードテクノロジ株式会社製、製品名:DB830plus+)を用いて、基板の厚み方向に2層、基板の面方向に2つとなるように搭載した。上記ダミーチップ4つの搭載を、合計60箇所について行い、チップ搭載基板(すなわち、積層体)を作製した(積層体準備工程)。
上記のように作製したチップ搭載基板(すなわち、積層体)に、コンプレッション装置(TOWA株式会社製、製品名:PMC1040-S)を用いてコンプレッション成形用エポキシ樹脂組成物を圧縮成形し、封止基板(すなわち、樹脂封止積層体)を得た。成形条件は、封止厚み290μm、成形温度175℃、成形時間120秒と統一して、減圧速度を90torr/秒とした(樹脂封止工程)。減圧速度の定義は前述の通りである。
その後、封止基板(すなわち、樹脂封止積層体)をフルオートダイサー(株式会社ディスコ製、DAD3350、回転刃)を用いて15×15mmサイズに切断し、個片化することで半導体パッケージ(半導体装置)を得た(個片化工程)。なお、1つの封止基板(樹脂封止積層体)から半導体パッケージ(半導体装置)は60個得ることが出来る。
<反りの評価>
個片化後の半導体パッケージ(半導体装置)を一基板から56個選択し、反り測定装置Thermoire(AKROMETRIX社製、製品名:TherMoire AXP)を用いて各パッケージの30℃の温度でのそり量をそれぞれ測定した。なお、各半導体装置の反り量については、クライそりを正(+)の値、スマイルそりを負(-)の値とした。ここで、「クライそり」は基板の端部が封止樹脂層と反対側に反ることを言い、「スマイルそり」は基板の端部が封止樹脂層側に反ることを言う。
また、反りバラツキは56個の次式に示す標準偏差の値で比較した。
上記測定で得られたそり量の平均及び標準偏差を表1に示す。
Figure 0007434794000001
<線膨張係数及び貯蔵弾性率測定用試料の作製>
各実施例及び各比較例のコンプレッション成形用エポキシ樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて成形して硬化させ、線膨張係数及び貯蔵弾性率測定用の試験片を作製した。成形及び硬化は、成形温度175℃、成形時間90秒の条件で行った。そして、175℃で5時間の条件で後硬化を行った。
<線膨張係数(α1,α2)の測定>
TMA高精度二試料熱分析(セイコーインスツルメンツ株式会社製、商品名:SS6100)を用い、荷重10g、昇温速度5℃/minの条件で、試験片の線膨張係数(α)を測定した。2つの測定温度の間における線膨張係数(α)は次の式によって算出される。台形の試験片(長辺20mm×下辺5mm上辺4mm×厚み3mm)で測定した。
α=l/(L・Δt)
L=室温(25℃)における試験片の長辺の長さ(mm)
l=伸び(mm)
Δt=測定温度差(℃)
測定温度が80℃と100℃の2点の測定温度間における線膨張係数αをα1、200℃と230℃の2点の測定温度間における線膨張係数αをα2とした。結果を表1(表1中の「熱膨張率」)に示す。
<貯蔵弾性率の測定>
レオメトリックス社製動的粘弾性測定装置RDSIIを用いて、周波数:1Hz、温度範囲:30~300℃、昇温速度:5℃/minの条件にて測定した。結果を表1に示す。
<成形収縮率の測定>
各実施例及び各比較例のコンプレッション成形用エポキシ樹脂組成物を用いて、下記の手順で成形収縮率(%)を測定した。
(1)室温(25℃)で測定したときの寸法が長さ127mm×高さ6.4mm×幅12.7mmである金型を用いて、トランスファー成形によりコンプレッション成形用エポキシ樹脂組成物から試験片を作製した。具体的には、所定の金型を用いて180℃、90秒、6.9MPaの条件で成形し、アズモールド試験片を作製した。このアズモールド試験片に対し、175℃、5時間の硬化を行って試験片を作製した。
(2)成形後の試験片を直ちに取り出し、室温(25℃)まで冷却した、その後、試験片の寸法をノギスで測定した。測定は、同じ成形条件で作製した2個の試験片(試験片1及び試験片2)について行った。
(3)室温で測定した試験片の寸法と、室温で測定した金型の寸法とから、下記式により成形収縮率(%)を計算した。下記式においてD1は試験片1の成形に用いた金型の長さ方向の寸法(mm)であり、d1は試験片1の長さ方向の寸法(mm)であり、D2は試験片2の成形に用いた金型の長さ方向の寸法(mm)であり、d2は試験片2の長さ方向の寸法(mm)である。これらの結果を表1に示した。
Figure 0007434794000002
Figure 0007434794000003

(半導体素子の上部側に封止樹脂層が形成されているパッケージ形態において、スマイルそりは、基板が封止材側に反ることで、クライそりは、その反対に基板が封止材側と反対側に反ること。)
表1に示す結果より、比較例1に対して実施例1は、反りバラツキが小さい結果となったことが分かる。
[実施例B]
<コンプレッション成形用エポキシ樹脂組成物の作製>
半導体装置用のエポキシ樹脂組成物を作製するための各材料を以下の通り準備した。
(a)エポキシ樹脂
・E1:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、製品名:NC-3000、エポキシ当量:280g/eq)、
・E2:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、製品名:YX-4000、エポキシ当量:196g/eq、融点:106℃)
(b)硬化剤
・H1:ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、製品名:MEHC-7800、水酸基当量:106g/eq、軟化点:66℃)
・H2:トリスフェニルメタン型フェノール樹脂(エア・ウォーター株式会社製、製品名:HE910-10、水酸基当量:100g/eq、軟化点:83℃)
(c)硬化促進剤
・A1:トリフェニルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加物
(d)無機充填材(フィラー)
・F1:平均粒径9.9μmのシリカフィラー(デンカ株式会社製、製品名:FB-302X)
・F2:平均粒径0.6μmのシリカフィラー(アドマテックス株式会社製、製品名:SO-25HV)
・F3:平均粒径1.4μmのシリカフィラー(アドマテックス株式会社製、製品名:SO-32HV)
(e)シランカップリング剤
・C1:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名:KBM-573)
・C2:3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社性、製品名:KBM-13
・C3:3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名:KBM-803)
(f)顔料(着色剤)
・P1:カーボンブラック(三菱ケミカル株式会社製、製品名:MA600MJ)
(実施例B-1)
上記エポキシ樹脂のE1を5質量部、E2を95質量部、硬化剤のH1を50質量部、H2を30質量部、硬化促進剤のA1を2質量部、シランカップリング剤のC1を6.8質量部、C2を4.5質量部、C3を0.15質量部、顔料のP1を4質量部、無機充填材(F1:F2:F3=3:6:1の割合)は全体積に対して、77.5体積%となるように配合した。その後、ミキサーによって十分混合した後、あらかじめ110℃に加熱してあるニーダーで混練し、冷却し、粉砕し、粉砕物を得た。
その後、音波篩分け測定器に備え付けたJIS標準篩(5段)を用い、これらの篩を20分間に亘って振動(振動レベル6、篩時間3分/回、パルス間隔1秒/回)させながら、得られた粉砕物を篩に通して分級した。なお、篩の目開きは、一番上から順に、2.0mm、1.4mm、1.0mm、0.50mm、及び0.25mmとした。目開き0.25mmの篩上にある試料(すなわち、0.25mm以上0.50mm未満の粒子)のみを回収し、実施例B-1のエポキシ樹脂組成物とした。
得られたエポキシ樹脂組成物の粒度分布を前述の方法で測定した。結果を表2に示す。
(実施例B-2)
実施例B-1と同様にして、粉砕物を得て、分級を行った。目開き0.50mmの篩上にある試料(すなわち、0.50mm以上1.0mm未満の粒子)のみを回収し、実施例B-2のエポキシ樹脂組成物とした。
得られたエポキシ樹脂組成物の粒度分布を前述の方法で測定した。結果を表2に示す。
(実施例B-3)
実施例B-1と同様にして、粉砕物を得て、分級を行った。目開き1.0mmの篩上にある試料(すなわち、1.0mm以上1.4mm未満の粒子)のみを回収し、実施例B-3のエポキシ樹脂組成物とした。
得られたエポキシ樹脂組成物の粒度分布を前述の方法で測定した。結果を表2に示す。
(実施例B-4)
実施例B-1と同様にして、粉砕物を得て、分級を行った。目開き1.4mmの篩上にある試料(すなわち、1.4mm以上2.0mm未満の粒子)のみを回収し、実施例B-4のエポキシ樹脂組成物とした。
得られたエポキシ樹脂組成物の粒度分布を前述の方法で測定した。結果を表2に示す。
(比較例B-1)
実施例B-1と同様にして、粉砕物を得た。得られた粉砕物を、分級せずにそのまま比較例B-1のエポキシ樹脂組成物とした。
得られたエポキシ樹脂組成物の粒度分布を前述の方法で測定した。結果を表2に示す。
<半導体パッケージ(半導体装置)の作製>
用いるコンプレッション成形用エポキシ樹脂組成物を変更した以外は、実施例Aと同様にして、実施例B-1~B-4及び比較例B-1の半導体パッケージ(半導体装置)を作製した。
<反りの評価>
個片化後の半導体パッケージ(半導体装置)を一基板から30個選択した以外は、実施例Aと同様にして、反りの評価を行った。結果を表2に示す。
<線膨張係数及び貯蔵弾性率の評価>
用いるコンプレッション成形用エポキシ樹脂組成物を変更した以外は、実施例Aと同様にして、線膨張係数及び貯蔵弾性率測定用の試験片を作製し、試験片の線膨張係数(α)及び貯蔵弾性率を測定した。結果を表2に示す。
<成形収縮率の測定>
用いるコンプレッション成形用エポキシ樹脂組成物を変更した以外は、実施例Aと同様にして、成形収縮率(%)を測定した。結果を表2に示す。

(半導体素子の上部側に封止樹脂層が形成されているパッケージ形態において、スマイルそりは、基板が封止材側に反ることで、クライそりは、その反対に基板が封止材側と反対側に反ること。)
表2に示す結果より、比較例B-1に対して実施例B-1~実施例B-4は、反りバラツキが小さい結果となったことが分かる。
つまり、実施例Aとは組成が異なる(具体的には、シランカップリング剤の添加量、フィラーの種類等が異なる)エポキシ樹脂組成物を用いた実施例Bにおいても、粒度分布が前記条件を満たす実施例B-1~実施例B-4では、粒度分布が前記条件を満たさない比較例B-1に比べ、反りバラツキが小さいことが分かった。
1・・・半導体装置、2・・・基板、3・・・接着層付チップ、4・・・封止樹脂層、5・・・半導体チップ本体、6・・・接着層、7・・・回転刃、10・・・積層体、20・・・樹脂封止積層体

Claims (9)

  1. 半導体チップを基板に配置した積層体を準備する工程と、
    前記積層体を金型内に設置した後、JIS標準篩による篩分けで測定される粒度分布において、粒径0.25mm以上0.50mm未満の粒子の割合、粒径0.50mm以上1.0mm未満の粒子の割合、粒径1.0mm以上1.4mm未満の粒子の割合、又は粒径1.4mm以上2.0mm未満の粒子の割合が、全樹脂組成物に対して90質量%以上であるエポキシ樹脂組成物により、前記積層体を樹脂封止する工程と、
    を備えた、半導体装置の製造方法。
  2. 前記JIS標準篩による篩分けで測定される粒度分布において、粒径0.25mm以上0.50mm未満の粒子の割合又は粒径0.50mm以上1.0mm未満の粒子の割合が、全樹脂組成物に対して90質量%以上である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記JIS標準篩による篩分けで測定される粒度分布において、粒径0.25mm以上0.50mm未満の粒子の割合が、全樹脂組成物に対して90質量%以上である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記積層体を樹脂封止する工程における成形温度は、110~200℃である、請求項1~の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記積層体における前記半導体チップの厚さの合計は、300μm以下である、請求項1~の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記基板の厚さは、200μm以下である、請求項1~の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記積層体を樹脂封止する工程により形成された封止樹脂層の厚さは、450μm以下である、請求項1~の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記積層体を樹脂封止する工程により樹脂封止された積層体である樹脂封止積層体全体の厚さは、650μm以下である、請求項1~の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  9. JIS標準篩による篩分けで測定される粒度分布において、粒径0.25mm以上0.50mm未満の粒子の割合、粒径0.50mm以上1.0mm未満の粒子の割合、粒径1.0mm以上1.4mm未満の粒子の割合、又は粒径1.4mm以上2.0mm未満の粒子の割合が、全樹脂組成物に対して90質量%以上である、封止用エポキシ樹脂組成物。
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