JP7434214B2 - 信号処理装置、レーダ装置及び信号処理方法 - Google Patents

信号処理装置、レーダ装置及び信号処理方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、信号処理装置、レーダ装置及び信号処理方法に関する。
甚大な被害をもたらす局所的な豪雨または竜巻等の気象災害による被害を軽減するためには当該気象災害の発生を事前に予測することが有用であり、当該予測には気象レーダと称されるレーダ装置が用いられる。レーダ装置は、当該レーダ装置から観測対象に向けて放射されたビーム状の電波の観測対象からの反射波(当該観測対象により反射された電波)を受信し、当該反射波に基づく受信信号を用いて当該観測対象を探知する装置である。
ここで、レーダ装置の空間分解能は、当該レーダ装置に備えられるアンテナの開口長によって定められるビーム幅と、当該レーダ装置及び観測対象の間の距離とにより決定される。
気象災害の要因となる局所気象現象は例えば数百mスケールという狭い範囲で発生することが知られており、レーダ装置の高分解能化が求められている。
W. Ma, T. Hsieh and C. Chi, "DOA estimation of quasi-stationary signals via Khatri-Rao subspace," 2009 IEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing, Taipei, Taiwan, 2009, pp. 2165-2168, doi: 10.1109/ICASSP.2009.4960046.
そこで、本発明が解決しようとする課題は、空間分解能を向上させることが可能な信号処理装置、レーダ装置及び信号処理方法を提供することにある。
実施形態に係る信号処理装置は、複数のアンテナ素子によって受信された観測対象からの反射波に基づく第1信号を示す行列の第1自己相関行列を生成し、前記第1信号に基づいて、前記複数のアンテナ素子によって受信された観測対象からの反射波及び当該複数のアンテナ素子とは異なる仮想素子によって受信されたと見做される反射波に基づく第2信号を生成し、前記第2信号を示す行列の第2自己相関行列を生成し、前記第1及び第2自己相関行列を合成して合成自己相関行列を生成する処理部を具備する。
受信信号の疑定常性を説明するための図。 第1実施形態に係る信号処理装置が適用されるレーダ装置の構成の一例を示すブロック図。 レーダ装置において用いられるアレイアンテナの一例を示す図。 信号処理装置の処理手順の一例を示すフローチャート。 方式1のビームパタンと方式2のビームパタンとを比較するための図。 方式1のビームパタンと方式3のビームパタンとを比較するための図。 方式2のビームパタンと方式3のビームパタンとを比較するための図。 第2実施形態に係る信号処理装置が適用されるレーダ装置の構成の一例を示すブロック図。 信号処理装置の処理手順の一例を示すフローチャート。 第3実施形態に係る信号処理装置が適用されるレーダ装置の構成の一例を示すブロック図。 信号処理装置の処理手順の一例を示すフローチャート。 第4実施形態に係る信号処理装置が適用されるレーダ装置の構成の一例を示すブロック図。 信号処理装置の処理手順の一例を示すフローチャート。
以下、図面を参照して、各実施形態について説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。本実施形態に係る信号処理装置は、観測対象に向けて放射されたビーム状の電波の当該観測対象からの反射波に基づく受信信号を用いて当該観測対象を探知するレーダ装置に適用される。なお、本実施形態におけるレーダ装置としては例えば雨雲(雨粒集合)等を観測対象とする気象レーダ等を想定しているが、当該レーダ装置は、他の観測対象を探知するものであってもよい。
ところで、レーダ装置は上記した観測対象からの反射波を受信するための複数の受信アンテナ素子から構成される受信アレイアンテナを備えるが、当該レーダ装置の空間分解能を向上させるためには、当該受信アンテナ素子の数(及び受信アレイアンテナの開口長)を増加させることが有用である。しかしながら、受信アンテナ素子の数を増加させることはレーダ装置のコストが増大する要因となる。
そこで、例えば受信信号が疑定常(状態)であることを利用して、受信アレイアンテナを構成する受信アンテナ素子の数及び当該アレイアンテナの開口長を仮想的に増加させることが考えられる。
なお、「受信信号が疑定常である」とは、当該受信信号(時系列信号)を一定の区間(時間)毎に分割した場合に、当該各区間の平均電力が変化している(または当該変化が大きい)ことをいう。一方、「受信信号が定常である」とは、当該受信信号の各区間の平均電力が変化していない(または当該変化が小さい)ことをいう。
例えば図1においては受信信号1~6の各々が区間1~5を含む複数の区間に分割された例を示しているが、当該受信信号1~6は、各区間の平均電力が変化しているため、全て疑定常である。一方、例えば受信信号1の区間1と同様の電力(パターン)が区間2以降も継続するような場合には、当該受信信号1は定常であるということができる。
上記したように受信信号が疑定常である場合、区間毎に分割された受信信号を示す行列の各々から自己相関行列を計算し、当該自己相関行列をベクトル化して並べることによって、複数の受信アンテナ素子によって受信される観測対象からの反射波及び仮想素子(仮想アンテナ素子)によって受信されたと見做される反射波に基づく信号(以下、仮想受信信号と表記)を生成することができる。このような仮想受信信号を利用することによって、単にアレイアンテナを構成する複数のアンテナ素子によって受信された反射波に基づく受信信号を用いる場合と比較して、レーダ装置の空間分解能を向上させることができる。
ところで、上記したレーダ装置(信号処理装置)は観測対象を探知するために、受信信号を示す行列から計算される自己相関行列を用いた所定の処理を実行するが、当該受信信号が疑定常である場合、仮想受信信号を示す行列から計算される自己相関行列の各要素には波源間の相関項が残らないため、当該仮想受信信号を利用して通常の処理(アレイ信号処理)を実行することができる。
一方、受信信号の疑定常性が不足しており、当該受信信号が定常であるという程度の要素(性質)を持ち合わせている場合、仮想受信信号を示す行列から計算される自己相関行列の各要素に相関項が残ってしまい、当該仮想受信信号を利用して適切な処理を実行することができない。この場合、単に受信信号を用いる(つまり、仮想受信信号を生成しない)場合よりも性能(例えば、探知性能)が低下する。
本実施形態におけるレーダ装置が例えば気象レーダである(つまり、観測対象が雨粒集合である)場合、受信信号が完全に疑定常である場合は少なく、仮想受信信号を利用したとしてもレーダ装置の空間分解能を向上させることができない場合がある。
本実施形態に係る信号処理装置は、上記した事情を鑑みて、当該信号処理装置が適用されるレーダ装置の空間分解能を向上させることができる構成を有する。
図2は、本実施形態に係る信号処理装置が適用されるレーダ装置の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、レーダ装置1は、送信信号生成装置2、送信器3及び信号処理装置4を備える。
上記したようにレーダ装置1は観測対象を探知するために当該観測対象に対して電波(パルス信号)を送信するが、送信信号生成装置2は、当該観測対象に対して送信されるパルス信号(送信信号)を生成する。
送信器3は、電波を送信するための複数の送信アンテナ素子から構成される送信アレイアンテナを備え、当該送信アレイアンテナを介して送信信号生成装置2によって生成されたパルス信号に基づく電波を送信する。
信号処理装置4は、受信器4a、AD変換装置4b及び処理部4cを含む。
なお、本実施形態において、処理部4cは、デジタル信号を処理する少なくとも1つのプロセッサを備え、第1計算部41、仮想受信信号生成部42、第2計算部43、重み係数設定部44、自己相関行列合成部45及び事後処理部46を含む。第1計算部41、仮想受信信号生成部42、第2計算部43、重み係数設定部44、自己相関行列合成部45及び事後処理部46の一部または全ては、当該プロセッサが所定のプログラムを実行する(つまり、ソフトウェア)によって実現される。プロセッサは、制御装置と演算装置を含み、アナログまたはデジタル回路等で実現される。例えば、汎用目的プロセッサ、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、FPGA、及びその組合せが可能である。
なお、信号処理装置4(または処理部4c)は、例えば単一の装置として実現されていてもよいし、複数の装置で構成されていてもよい。また、信号処理装置4(または処理部4c)は、専用のハードウェア等によって実現されていてもよい。
また、本実施形態においては受信器4aが信号処理装置4内に設けられているものとして説明するが、当該受信器4aは、信号処理装置4の外部に設けられていてもよい。
受信器4aは、電波(反射波)を受信するための複数の受信アンテナ素子から構成される受信アレイアンテナを備え、当該受信アレイアンテナを介して観測対象からの反射波を受信し、当該反射波に基づく受信信号をAD変換装置4bに出力する。なお、受信アレイアンテナは、例えば略半波長の間隔で線形にN個の受信アンテナ素子が配置された構成を有する。このような受信アレイアンテナは、N素子等間隔半波長線形アレイアンテナと称される。
AD変換装置4bは、受信器4aから出力された受信信号をアナログ/デジタル変換する。AD変換装置4bによってアナログ/デジタル変換された受信信号は、処理部4c(第1計算部41及び仮想受信信号生成部42)に出力される。
第1計算部41は、AD変換装置4bから出力された受信信号を示す行列の自己相関行列(以下、第1自己相関行列と表記)を計算(生成)する。
仮想受信信号生成部42は、AD変換装置4bから出力された受信信号に基づいて、仮想受信信号を生成する。仮想受信信号は、上記したように複数のアンテナ素子によって受信される観測対象からの反射波及び仮想素子(仮想アンテナ素子)によって受信されたと見做される反射波に基づく信号である。換言すれば、仮想受信信号は、アンテナ素子を仮想的に増加させた場合の受信信号に相当する。
第2計算部43は、仮想受信信号生成部42によって生成された仮想受信信号を示す行列の自己相関行列(以下、第2自己相関行列と表記)を計算(生成)する。
重み係数設定部44は、上記した第1及び第2自己相関行列のうちの少なくとも一方を重みづけするための重み係数を設定する。
自己相関行列合成部45は、重み係数設定部44によって設定された重み係数を用いて第1及び第2自己相関行列を合成した自己相関行列(以下、合成自己相関行列と表記)を生成する。
事後処理部46は、自己相関行列合成部45によって生成された合成自己相関行列を用いた所定の処理を実行する。なお、事後処理部46によって実行される所定の処理は、観測対象の探知に関する処理を含み、例えば当該観測対象が存在する方位(方向)を推定する処理等が含まれる。
なお、図3は、本実施形態におけるレーダ装置1において用いられるアレイアンテナの一例を示す。アレイアンテナは、上記した送信器3に備えられる送信アレイアンテナ100及び受信器4aに備えられる受信アレイアンテナ200を有する。
送信アレイアンテナ100は、複数本の送信アンテナ素子が配列された等間隔線形アレイ(ULA:Uniform Linear Array)である。送信アレイアンテナ100は、例えば仰角方向に20本の送信アンテナ素子が配列されている。
受信アレイアンテナ200は、複数本の受信アンテナ素子が配列された等間隔線形アレイ(ULA)である。受信アレイアンテナ200は、例えば仰角方向に100本の受信アンテナ素子が配列されている。
このようなアレイアンテナによれば、仰角方向に太いビーム(ファンビーム)を送信するとともに、細い受信ビームを仰角方向に制御することでレーダ装置1を運用することができる。
レーダ装置1は、このようなアレイアンテナを方位角方向に回転させることで当該レーダ装置1の周囲に存在する観測対象を探知(観測)することができる。
次に、図4のフローチャートを参照して、信号処理装置4の処理手順の一例について説明する。
まず、受信器4aは、受信アレイアンテナを介して観測対象からの反射波を受信する(ステップS1)。なお、観測対象は複数であってもよい。ステップS1の処理が実行されると、受信器4aは、当該ステップS1において受信された反射波に基づく受信信号は、AD変換装置4bを介して処理部4cに入力される。なお、処理部4cに入力される受信信号は、受信器4aによって受信される観測対象からの反射波をサンプリングすることによって得られる受信信号である。上記した受信アレイアンテナに含まれる受信アンテナ素子の数がNであり、サンプリング数(サンプリング信号の数)をL×Mとすると、受信信号を示す行列のサイズは、N行L×M列である。
次に、第1計算部41は、上記した受信信号を入力し、当該受信信号を示す行列(以降、受信信号行列とも称する)の自己相関行列(第1自己相関行列)を計算する(ステップS2)。第1計算部41に入力された受信信号を示す行列(受信信号行列)をX、第1自己相関行列をRとすると、第1自己相関行列Rは、以下の式(1)により表される。
Figure 0007434214000001
すなわち、第1自己相関行列Rは、受信信号行列Xと当該受信信号行列Xの複素共役転置とを乗算した結果を受信信号行列Xの列数(つまり、サンプリング数)であるL×Mで除算することによって計算される。なお、式(1)中のHは、行列の複素共役転置を意味している。また、式(1)によって表される第1自己相関行列Rのサイズは、N行N列である。
一方、仮想受信信号生成部42は、受信信号を入力し、当該受信信号に基づいて仮想受信信号を生成する(ステップS3)。
以下、ステップS3において生成される仮想受信信号について具体的に説明する。上記したように仮想受信信号生成部42に入力された受信信号を示す行列(受信信号行列)をXとすると、仮想受信信号生成部42は、当該受信信号行列XをM個に分割する。上記したように受信信号行列XがN行L×M列の行列である場合、当該受信信号行列Xは、M個のN行L列の行列(以下、分割信号行列とも称する)に分割される。分割信号行列によって表される信号は、分割信号とも称される。以下の説明においては、受信信号行列Xを分割することによって得られる分割信号行列をX_mとする。mは分割番号であり、m∈{1,2,…,M}である。
次に、仮想受信信号生成部42は、分割信号行列X_mの自己相関行列を計算する。分割信号行列X_mの自己相関行列をR_mとすると、当該自己相関行列R_mは、以下の式(2)により表される。
Figure 0007434214000002
すなわち、自己相関行列R_mは、分割信号行列X_mと当該分割信号行列X_mの複素共役転置とを乗算した結果を分割信号行列X_mの列数であるLで除算することによって計算される。
仮想受信信号生成部42は、上記したように計算された自己相関行列R_mをベクトル化して並べることにより、仮想受信信号を生成する。仮想受信信号を示す行列(以降、仮想受信信号行列とも称する)をX_vとすると、当該仮想受信信号行列X_vは、以下の式(3)により表される。
Figure 0007434214000003
上記した式(3)の右辺に示される要素vec{R_1}は、自己相関行列R_1を縦ベクトルに並べ替えた結果を意味している。他の要素についても同様である。
なお、上記した受信信号行列XのサイズはN行L×M行であるが、仮想受信信号行列のサイズは、2N-1行M列である。すなわち、仮想受信信号行列X_vは、N個の受信アンテナ素子に対してN-1個の仮想素子が増加した場合の受信信号行列に相当するといえる。なお、仮想受信信号行列のサイズは2N-1行M列に限定されるものではない。例えば受信アレイアンテナ200のアンテナ配置が不等間隔の場合、仮想受信信号のサイズはN-N+1行M列まで大きくなりうる。
ステップS3の処理が実行されると、第2計算部43は、当該ステップS3において生成された仮想受信信号行列X_vの自己相関行列(第2自己相関行列)を計算する(ステップS4)。第2自己相関行列をR_vとすると、第2自己相関行列R_vは、以下の式(4)により表される。
Figure 0007434214000004
すなわち、第2自己相関行列R_vは、仮想受信信号行列X_vと当該仮想受信信号行列X_vの複素共役転置とを乗算した結果を仮想受信信号行列X_vの列数であるMで除算することによって計算される。なお、第2自己相関行列R_vのサイズは、2N-1行2N-1列である。
次に、自己相関行列合成部45は、ステップS2において計算された第1自己相関行列R及びステップS4において計算された第2自己相関行列R_vを合成することにより、第1自己相関行列R及び第2自己相関行列R_vが対角に配置された合成自己相関行列を生成する(ステップS5)。なお、合成自己相関行列をR_plusとすると、合成自己相関行列R_plusは、以下の式(5)のように表される。
Figure 0007434214000005
なお、式(5)中のblkdiag{・}は、ブロック対角行列を表し、対角上に入力行列を配置する関数である。すなわち、合成自己相関行列R_plusは、対角に配置された第1自己相関行列R及び第2自己相関行列R_v以外の要素(成分)が0で埋められた行列として生成される。なお、上記したように第1自己相関行列RのサイズはN行N列であり、第2自己相関行列R_vのサイズは2N-1行2N-1列であるため、合成自己相関行列R_plusのサイズは、3N-1行3N-1列である。
また、合成自己相関行列R_plusにおいて、第1自己相関行列Rは重み係数αで重みづけされており、第2自己相関行列R_vは重み係数(1-α)で重みづけされている。この重み係数α(及び1-α)は、例えば規定値として重み係数設定部44によって予め設定されていればよい。
なお、ここでは受信信号行列XをN行L列のサイズのM個の分割信号行列に分割し、当該分割信号行列に基づいて生成された仮想受信信号行列の自己相関行列(第2自己相関行列)を計算するものとして説明したが、サイズ及び数が異なる分割信号に基づいて複数の仮想受信信号を生成し、当該生成された複数の仮想受信信号を示す行列の各々から計算された複数の第2自己相関行列を合成する構成であってもよい。この場合、例えばk個の第2自己相関行列をR_v1~R_vkとすると、合成自己相関行列R_plusは、以下の式(6)のように表される。
Figure 0007434214000006
すなわち、k個の第2自己相関行列R_v1~R_vkが並列に計算されている場合には、全ての第2自己相関行列R_v1~R_vkと第1自己相関行列Rとを対角に並べ、それ以外を0埋めしたものをR_plusとすることができる。
ステップS5において生成される合成自己相関行列R_plusは、観測対象の探知に関する所定の処理(以下、事後処理と表記)を実行する際に事後処理部46によって用いられる(ステップS6)。
事後処理としては様々な処理が想定されるが、ここでは事後処理の一例として、ビームフォーミングに基づく観測対象の方位推定処理が実行される場合について説明する。
この場合、合成自己相関行列R_plusは、事後処理部46(ビームフォーミング部)に入力され、ビームフォーミングされる。ビームフォーミングによって得られるビームパタンP_outは、以下の式(7)のように表される。
Figure 0007434214000007
上記した式(7)において、A_plusは、実素子(受信アレイアンテナを構成する複数の受信アンテナ素子)のステアリング行列と、実素子及び仮想素子のステアリング行列とを連結させたものであり、以下の式(8)のように表される。
Figure 0007434214000008
なお、式(8)において、Aは実素子のステアリング行列であり、A_vは実素子及び仮想素子のステアリング行列である。また、ステアリング行列Aは、以下の式(9)のように表される。
Figure 0007434214000009
上記した式(9)によれば、ステアリング行列Aは、実素子の位置を表す縦ベクトルdと反射波の到来角度を表す横ベクトルθで決定される。なお、式(9)におけるjは虚数単位であり、λは搬送波の波長である。
ここではステアリング行列Aについて説明したが、実素子及び仮想素子のステアリング行列A_vは、上記したベクトルdを実素子及び仮想素子の位置を表すベクトルd_vとした式(9)により得られる。
再び式(7)に戻ると、当該式(7)におけるdiag[・]は行列の対角要素を抽出してベクトル化する処理を意味している。すなわち、式(7)によれば、ビームパタンP_outは、上記した式(8)によって得られる行列A_plusの複素共役転置と合成自己相関関数R_plusと当該行列A_plusとを乗算した結果(行列)の対角要素を抽出してベクトル化することによって計算される。
本実施形態に係る信号処理装置4(が適用されるレーダ装置1)においては、上記したように計算されるビームパタンP_outに基づいて観測対象の方位を推定することができる。
上記したように本実施形態においては、複数のアンテナ素子(受信アンテナ素子)によって受信された観測対象からの反射波に基づく受信信号(第1信号)を示す行列の第1自己相関行列を生成し、当該受信信号に基づいて複数のアンテナ素子及び当該複数のアンテナ素子とは異なる仮想素子によって受信されたと見做される反射波に基づく仮想受信信号(第2信号)を生成し、当該仮想受信信号を示す行列の第2自己相関行列を生成し、第1及び第2自己相関行列を合成して合成自己相関行列を生成する。なお、合成自己相関行列は、第1及び第2自己相関行列が対角に配置された行列である。
本実施形態においては、このような構成により、受信信号の疑定常性が小さいために第2自己相関行列の各要素に相関項が残る場合であっても、各要素に相関項が残らない第1自己相関行列を第2自己相関行列とともに利用することによって、アンテナ素子が少ないことによる空間分解能の不足を仮想素子(仮想受信信号)により解消するとともに、疑定常性が不足している状況下において仮想受信信号(仮想素子)を生成することによる性能劣化(探知性能の低下)を抑制することができる。
ここで、本実施形態においては合成自己相関行列が生成された後の事後処理において当該合成自己相関行列を用いてビームパタンが計算されるものとして説明したが、以下、図5~図7を参照して、第1自己相関行列のみを用いて計算されたビームパタン(以下、方式1のビームパタンと表記)、第2自己相関行列のみを用いて計算されたビームパタン(以下、方式2のビームパタンと表記)及び本実施形態において説明した合成自己相関行列を用いて計算されたビームパタン(以下、方式3のビームパタンと表記)を比較して、本実施形態の効果について説明する。
なお、図5~図7において、縦軸は電力レベル(電力スペクトル)を表しており、横軸は反射波の到来方向を表している。ここでは、受信アレイアンテナが10素子等間隔半波長線形アレイアンテナであり、当該受信アレイアンテナにおいて疑定常性と定常性の両方を持ち合わせた4つの反射波が受信された場合を想定している。なお、4つの反射波の到来方向は、-20°、-10°、20°及び40°であるものとする。
また、ここでは合成自己相関行列において、第1自己相関行列を重みづけするための重み係数は0.3、第2自己相関行列を重みづけするための重み係数は0.7に設定されているものとする。
まず、図5は、方式1のビームパタンと方式2のビームパタンとを比較するための図である。図5によれば、方式1のビームパタンでは、空間分解能が不足しており、到来方向が-20°の反射波と到来方向が-10°の反射波とを分解することができていない。一方、方式2のビームパタンでは到来方向が-20°の反射波と到来方向が-10°の反射波とを分解することができていているため、空間分解能は方式1よりも方式2の方が高いということができる。
また、図6は、方式1のビームパタンと方式3のビームパタンとを比較するための図である。図6によれば、方式3のビームパタンでは到来方向が-20°の反射波と到来方向が-10°の反射波とを分解することができていているため、空間分解能は方式1よりも方式3の方が高いということができる。
次に、図7は、方式2のビームパタンと方式3のビームパタンとを比較するための図である。
方式2のビームパタンと方式3のビームパタンとを比較すると、方式2と方式3との両方で到来方向が-20°の反射波と到来方向が-10°の反射波とを分解することができていているが、方式2のビームパタンでは、反射波の到来方向以外でもピークが生じている(立っている)ため、観測対象を正しく探知(検知)することが困難であるといえる。
これに対して、方式3のビームパタンでは、反射波の到来方向以外のピークを小さく抑えることができているため、観測対象に対する探知精度は方式2よりも方式3の方が高いといえる。
上記したように本実施形態においては、受信信号(観測対象からの反射波)が定常であることによる影響を受けることなく、少ないアンテナ素子数で空間分解能を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態においては、重み係数を用いて第1及び第2自己相関行列のうちの少なくとも一方を重みづけすることによって当該第1及び第2自己相関行列を適切な割合で合成することが可能であるが、例えば重み係数αを0.5の固定値とし、第1及び第2自己相関行列に対して実質的に重みづけをしないような構成であってもよい。この場合、信号処理装置4は、重み係数設定部44を含まない構成であってもよい。
また、本実施形態においては第1計算部41及び仮想受信信号生成部42に受信信号が入力される(つまり、第1計算部41及び仮想受信信号生成部42に同一の信号が入力される)ものとして説明したが、第1計算部41及び仮想受信信号生成部42に入力される信号は異なっていてもよい。具体的には、例えば第1計算部41に受信信号(N個の受信アンテナ素子によって受信された反射波に基づく信号)が入力され、仮想受信信号生成部42に当該受信信号の一部(N個よりも少ない数の受信アンテナ素子によって受信された反射波に基づく信号)が入力されるような構成であってもよい。
この場合、仮想受信信号生成部42は、例えば入力された受信信号の一部を示す行列であって、当該受信信号の一部以外の要素が0で埋められた受信信号行列と同一のサイズの行列に基づいて仮想受信信号行列を生成すればよい。
一方、例えば入力された受信信号の一部(つまり、行列として表した場合受信信号の他部が切り取られた受信信号よりもサイズが小さい信号)に基づいて仮想受信信号を生成する構成であってもよいが、この場合は、上記したステアリング行列Aも当該受信信号の一部を示す行列と同一のサイズに合わせる必要がある。
上記したように第1計算部41及び仮想受信信号生成部42に異なる信号が入力される構成であっても、本実施形態と同様に、受信信号の定常性の影響を受けることなく、空間分解能を向上させることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図8は、本実施形態に係る信号処理装置が適用されるレーダ装置の構成の一例を示すブロック図である。なお、図8においては、前述した図2と同一の部分に同一参照符号を付して、その詳しい説明を省略する。ここでは、図2と異なる部分について主に述べる。
本実施形態に係る信号処理装置4は、前述した第1実施形態における重み係数設定部44に代えて、重み係数変更部47を含む点で、当該第1実施形態とは異なる。
なお、重み係数変更部47の一部または全ては、例えばプロセッサが所定のプログラムを実行する(つまり、ソフトウェア)によって実現される。
前述した第1実施形態においては自己相関行列合成部45によって生成された合成自己相関行列を用いた所定の処理を事後処理部46が実行するものとして説明したが、本実施形態において重み係数変更部47は、当該処理の結果に基づいて重み係数を変更する。
次に、図9のフローチャートを参照して、信号処理装置4の処理手順の一例について説明する。
まず、前述した図4に示すステップS1~S6の処理に相当するステップS11~S16の処理が実行される。
ステップS16の処理が実行されると、重み係数変更部47は、当該ステップS16において実行された事後処理の結果に基づいて重み係数を変更するか否かを判定する(ステップS17)。
なお、ステップS17において、重み係数変更部47は、例えば事後処理の結果が適切でないような場合に重み係数を変更すると判定するものとする。
具体的には、事後処理部46が事後処理としてビームフォーミングに基づく観測対象の方位推定処理を実行した場合には、前述した第1実施形態において説明したように合成自己相関関数を用いて計算されたビームパタンが得られるが、重み係数変更部47は、例えば当該ビームパタンに生じているピークの数が過去のビームパタンと比較して予め定められた値を超えて増減しているような場合(つまり、ビームパタンが急激に変化した場合)に重み係数を変更すると判定する。
また、重み係数変更部47は、合成自己相関関数を用いて計算されたビームパタンに生じるピークが重なり、観測対象を適切に区別できないような場合に重み係数を変更すると判定する構成であってもよい。
ここでは、事後処理部46が事後処理としてビームフォーミングに基づく観測対象の方位推定処理を実行した場合について説明したが、事後処理部46が他の処理を実行した場合であっても、当該処理の結果に基づいて重み係数を変更するか否かが判定されればよい。
重み係数を変更すると判定された場合(ステップS17のYES)、重み係数変更部47は、合成自己相関関数を生成する際に用いられる重み係数を変更する(ステップS18)。
なお、ステップS18において重み係数は適切な事後処理の結果を得ることができるように変更されればよいが、当該重み係数の変更手法は、例えば観測対象の種別またはレーダ装置1(信号処理装置4)が使用される環境等によって異なる。
ステップS18において変更された重み係数は、例えば後に受信器4a(受信アレイアンテナ)によって受信された反射波に基づく受信信号に基づいて合成自己相関行列が生成される際に用いられる。
ここで、本実施形態に係る信号処理装置4の具体的な動作の一例を説明する。まずは、例えば任意の重み係数α(例えば、0.5)を用いてサンプリング番号が1~L×Mの受信信号(以下、第1受信信号と表記)に対して処理を実行した結果であるビームパタンPoutを既知情報と照らし合わせながら重み係数αを0.5→0.6→0.7のように変化させる。なお、既知情報とは、特定の方向に常に反射物があるまたはない等の情報である。α=0.7とした場合にビームパタンPoutと既知の状態とに齟齬がなくなったものとすると、上記した第1受信信号に対して、α=0.7とした場合の処理結果(ビームパタンPout)を出力する。
一方、上記した第1受信信号の次のサンプリング番号がL×M+1~2×L×Mの受信信号(以下、第2受信信号と表記)に対しては、α=0.7を用いて、上記した第1受信信号と同様の処理を開始する。この場合、第2受信信号に対して処理を実行した結果であるビームパタンPoutを既知の状態(既知情報)と照らし合わせながら重み係数αを0.7→0.5→0.4のように変化させる。α=0.5とした場合にビームパタンPoutと既知の状態とに齟齬がなくなったものとすると、上記した第2受信信号に対して、α=0.5とした場合の処理結果(ビームパタンPout)を出力する。
第2受信信号の次の受信信号(サンプリング番号が2×L×M+1~3×L×Mの受信信号)に対しても同様の処理が実行される。
本実施形態においては、上記したように各受信信号対する処理が実行される際に初期値として用いられる重み係数αを変更するように動作してもよい。
前述した第1実施形態に係る信号処理装置4によれば、受信信号が疑定常と定常との間の性質を有していても性能劣化を抑制することが可能である。しかしながら、前述した第1実施形態においては、受信信号の疑定常度合いが時間的に変化しているような環境であっても重み係数が固定であるため、時間の経過とともに当該疑定常度合いが変化することによって性能劣化が生じる可能性がある。
これに対して、本実施形態においては、合成自己相関行列を用いた処理の結果に基づいて重み係数を変更する構成により、最適な重み係数を保ちながら合成自己相関行列を生成することができる。
すなわち、本実施形態においては、受信信号の疑定常度合いが時間的に変化している場合に、事後処理が実行されることによって得られる情報を基に重み係数を逐次的に更新することで、仮想受信信号における素子間の相関(相関項)が低減され、事後処理の性能を向上させることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。図10は、本実施形態に係る信号処理装置が適用されるレーダ装置の構成の一例を示すブロック図である。なお、図10においては、前述した図2と同一の部分に同一参照符号を付して、その詳しい説明を省略する。ここでは、図2と異なる部分について主に述べる。
本実施形態に係る信号処理装置4は、重み係数選択部48を含む点で、前述した第1実施形態とは異なる。
なお、重み係数選択部48の一部または全ては、例えばプロセッサが所定のプログラムを実行する(つまり、ソフトウェア)によって実現される。
また、本実施形態においては、前述した第1実施形態等における事後処理部46が第1事後処理部46a及び当該第1事後処理部46aとは異なる処理を実行する第2事後処理部46bを含む場合を想定している。
ここで、本実施形態においては、重み係数設定部44が複数の重み係数を設定し、自己相関行列合成部45が当該複数の重み係数に基づいて複数の合成自己相関行列を生成するものとする。
この場合、例えば第1事後処理部46aは、複数の合成自己相関行列の各々を用いた処理を実行し、当該合成自己相関行列毎の処理の結果を出力する。
重み係数選択部48は、第1事後処理部46aから出力された合成自己相関行列毎の処理の結果に基づいて、重み係数設定部44によって設定された複数の重み係数の中から1つの重み係数を選択する。
このように重み係数選択部48によって選択された重み係数(を用いて生成された合成自己相関行列)は、第2事後処理部46bによって実行される処理において用いられる。
次に、図11のフローチャートを参照して、信号処理装置4の処理手順の一例について説明する。
まず、前述した図4に示すステップS1~S6の処理に相当するステップS21~S26の処理が実行される。
ただし、ステップS25においては、重み係数設定部44によって設定された複数の重み係数の各々を用いて複数の合成自己相関行列が生成される。具体的には、例えば重み係数設定部44によってP個の重み係数α1~αPが設定されている場合、自己相関行列合成部45は、以下の式(10)に基づいてP個の合成自己相関関数R_plus,p(p∈{1,2,…,P})を生成する。
Figure 0007434214000010
また、ステップS26においては、第1事後処理部46aがステップS25において生成されたP個の合成自己相関行列R_plus,pを用いた事後処理(以下、第1事後処理と表記)を実行する。ここでは、第1事後処理部46aは、例えば第1事後処理としてビームフォーミングに基づく観測対象の方位推定処理を実行するものとする。この場合、第1事後処理部46aは、以下の式(11)に基づいて、P個のビームパタンP_out,pを第1事後処理の結果として出力する。
Figure 0007434214000011
なお、上記した式(10)及び式(11)については、前述した式(5)及び式(7)と同様であるため、ここではその詳しい説明を省略する。
ステップS26の処理が実行されると、重み係数選択部48は、第1事後処理部46aから出力されたP個のビームパタンP_out,p(第1事後処理の結果)に基づいて、上記したP個の重み係数α1~αPの中から1つの重み係数を選択する(ステップS27)。
ステップS27においては、例えば第1事後処理部46aから出力されたP個のビームパタンP_out,pの中から適切なビームパタンが特定され、当該特定されたビームパタンを計算するために用いられた合成自己相関行列R_plus,pの生成に用いられた重み係数が選択される。
具体的には、例えば合成自己相関行列R_plus,1から計算されたビームパタンP_out,1が適切なビームパタンである場合には、重み係数α1が選択される。一方、例えば合成自己相関行列R_plus,Pから計算されたビームパタンP_out,Pが適切なビームパタンである場合には、重み係数αPが選択される。
なお、上記したようにステップS27において重み係数を選択するためには第1事後処理部46aから出力されるP個のビームパタンP_out,pの中から適切なビームパタンを選択する必要があるが、当該適切なビームパタンは、例えば観測対象に関する既知の状態に基づいて選択されるものとする。なお、観測対象に関する既知の状態には、例えば観測対象または当該観測対象を探知するレーダ装置1の周囲の状態(環境)等が含まれる。具体的には、レーダ装置1からの所定の観測対象(例えばビルまたは山等)が存在する方位等が既知である場合、重み係数選択部48は、当該観測対象に応じたピークが生じているビームパタン(つまり、既知の状態を示すビームパタン)を適切なビームパタンとして選択することができる。
ステップS27の処理が実行されると、第2事後処理部46bは、当該ステップS27において選択された重み係数を用いて生成された合成自己相関行列を用いた処理(以下、第2事後処理と表記)を実行する。なお、第2事後処理は、第1事後処理とは異なる処理であればよく、例えば受信信号における偏波間の電力差によって観測対象の概形を推定する処理などが含まれる。
前述した第1実施形態に係る信号処理装置4によれば、受信信号が疑定常と定常との間の性質を有していても性能劣化を抑制することが可能である。しかしながら、前述した第1実施形態においては、最適な合成重み係数が不明である場合、第1及び第2事後処理の性能が劣化する可能性がある。
これに対して、本実施形態においては、複数の重み係数(例えば、第1及び第2重み係数)に基づいて複数の合成自己相関行列を生成し、当該複数の合成自己相関行列の各々を用いた第1事後処理を実行し、当該複数の合成自己相関行列の各々を用いた第1事後処理の結果に基づいて、複数の重み係数の中から1つの重み係数を選択する。この場合、第1事後処理とは異なる第2事後処理は、選択された重み係数を用いて生成された合成自己相関行列を用いて実行される。
すなわち、本実施形態においては、最適な重み係数の候補(つまり、複数の重み係数)を基に第1事後処理を行い、当該第1事後処理の結果に基づいて1つの重み係数を選択し、当該重み係数を用いて生成された合成自己相関行列を用いて第2事後処理を実行する構成であるため、第1及び第2事後処理の性能劣化を抑制することができる。
なお、前述した第2実施形態は第1受信信号を用いて変更された重み係数を第1受信信号の後の第2受信信号に対する事後処理に用いる(つまり、第2受信信号に対する事後処理の性能劣化を抑制する)構成であるが、本実施形態においては、第1受信信号に対する事後処理(第1及び第2事後処理)の性能劣化を抑制することができる点で利点がある。
本実施形態においては、複数の合成自己相関行列のうちの1つの合成自己相関行列を用いた第1事後処理の結果が観測対象等に関する既知の状態を示す場合に、当該合成自己相関行列の生成に用いられた重み係数を選択するものとして説明したが、重み係数は、例えば第1事後処理の結果に対して所定の解析を実施する等の他の手法により選択されても構わない。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。図12は、本実施形態に係る信号処理装置が適用されるレーダ装置の構成の一例を示すブロック図である。なお、図12においては、前述した図2と同一の部分に同一参照符号を付して、その詳しい説明を省略する。ここでは、図2と異なる部分について主に述べる。
本実施形態に係る信号処理装置4は、事後処理部46によって実行された処理の結果が仮想受信信号生成部42にフィードバックされる点で、前述した第1実施形態とは異なる。
前述した第1実施形態においては、例えば仮想受信信号を生成するために、例えばサンプリング数がL×Mである受信信号行列XをN行L列のサイズのM個の分割信号行列に分割するものとして説明したが、本実施形態における仮想受信信号生成部42は、事後処理部46によって実行された処理の結果に基づいて、上記した分割信号行列のサイズ及び数を決定(変更)する。後に受信器4a(受信アレイアンテナ)によって受信された反射波に基づく受信信号から仮想受信信号を生成する場合には、上記したように決定された分割信号行列のサイズ及び数に基づいて当該受信信号を分割する。
次に、図13のフローチャートを参照して、信号処理装置4の処理手順の一例について説明する。
まず、前述した図4に示すステップS1~S6の処理に相当するステップS31~S36の処理が実行される。
ステップS36の処理が実行されると、仮想受信信号生成部42は、当該ステップS36において実行された事後処理の結果に基づいて、上記した仮想受信信号を生成するための分割信号行列のサイズ及び数を決定する(ステップS37)。
この場合、例えば受信信号行列のサイズがN行100列である場合、当該受信信号行列を、N行L1(=8)列、N行L2(=12)列、N行L3(=10)列、N行L4(=20)列、N行L5(=30)列、N行L6(=20)列の6個の分割信号行列に分割するようなことが可能となる。すなわち、本実施形態においては、1つの受信信号においてサイズの異なる分割信号行列に分割するようにしてもよい。
ここで、仮想受信信号を生成する場合、疑定常である受信信号中の比較的定常な部分を区切るように受信信号行列を分割することが好ましい。この点を考慮すると、例えば事後処理部46が事後処理としてレーダ装置1に近づくまたは遠ざかる観測対象を検出するためにドップラー速度を計算する処理(ドップラー信号処理)を実行する場合、上記したステップS37においては、当該ドップラー速度に基づいて分割信号行列のサイズ及び数を決定することができる。
なお、本実施形態においては、例えばドップラー速度が大きく変化した場合には、観測対象の状態が大きく変化した、または新たな観測対象が観測領域に入ってきたことにより状態が変化したと推定することができるため、受信信号行列を分割する際の分割信号行列のサイズ及び数を変更するものとする。
また、上記したドップラー信号処理は仮想受信信号を用いない通常のアレイ信号処理である(つまり、仮想受信信号ではドップラー速度を計算することができない)ため、当該ドップラー信号処理が実行される際の重み係数αは0とする。
ここではドップラー速度に基づいて分割信号行列のサイズ及び数を決定(変更)するものとして説明したが、当該分割信号行列のサイズ及び数は、例えばサンプリング信号間の位相の変化に基づいて決定されればよい。
なお、決定される分割信号行列のサイズ及び数は例えば受信信号行列のサイズ等に基づいて予め用意された関数を用いて決定され得るが、本実施形態は、分割信号行列のサイズ及び数を時間的に可変とするように構成されていればよい。
前述した第1実施形態に係る信号処理装置4によれば、受信信号が疑定常と定常との間の性質を有していても性能劣化を抑制することが可能である。しかしながら、前述した第1実施形態においては、受信信号の疑定常度合いが時間的に変化しているような環境であっても仮想受信信号を生成するための分割信号行列のサイズ及び数が固定であるため、時間の経過とともに当該疑定常度合いが変化することによって性能劣化が生じる可能性がある。
これに対して、本実施形態においては、受信信号の疑定常度合いが時間的に変化している場合に、当該受信信号(サンプリング信号)の位相の変化に基づいて分割信号(第3信号)を示す行列のサイズ及び数を決定する(つまり、受信信号の分割長を時変とする)構成であるため、仮想受信信号における素子間の相関(相関項)が低減され、事後処理の性能を向上させることができる。
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、空間分解能を向上させることが可能な信号処理装置、レーダ装置及び信号処理方法を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…レーダ装置、2…送信信号生成装置、3…送信器、4…信号処理装置、4a…受信器、4b…AD変換装置、4c…処理部、41…第1計算部、42…仮想受信信号生成部、43…第2計算部、44…重み係数設定部、45…自己相関行列合成部、46…事後処理部、46a…第1事後処理部、46b…第2事後処理部、47…重み係数変更部、48…重み係数選択部。

Claims (13)

  1. 複数のアンテナ素子によって受信された観測対象からの反射波に基づく第1信号を示す行列の第1自己相関行列を生成し、
    前記第1信号に基づいて、前記複数のアンテナ素子によって受信された観測対象からの反射波及び当該複数のアンテナ素子とは異なる仮想素子によって受信されたと見做される反射波に基づく第2信号を生成し、
    前記第2信号を示す行列の第2自己相関行列を生成し、
    前記第1及び第2自己相関行列を合成して合成自己相関行列を生成する処理部を具備する
    信号処理装置。
  2. 前記処理部は、前記第1及び第2自己相関行列を対角に配置して前記合成自己相関行列を生成する
    請求項1記載の信号処理装置。
  3. 前記処理部は、重み係数を用いて前記第1及び第2自己相関行列のうちの少なくとも一方を重みづけして前記合成自己相関行列を生成する
    請求項1または2記載の信号処理装置。
  4. 前記処理部は、
    前記合成自己相関行列を用いた処理を実行し、
    前記処理の結果に基づいて前記重み係数を変更する
    請求項3記載の信号処理装置。
  5. 前記合成自己相関行列を用いた処理は、前記合成自己相関行列に基づいてビームパタンを生成するビームフォーミングを含み、
    前記処理の結果は、前記ビームフォーミングによって生成されたビームパタンを含む
    請求項4記載の信号処理装置。
  6. 前記処理部は、
    第1重み係数に基づいて第1合成自己相関行列を生成し、
    前記第1重み係数とは異なる第2重み係数に基づいて第2合成自己相関行列を生成し、
    前記第1及び第2合成自己相関行列の各々を用いた第1処理をし、
    前記第1処理の結果に基づいて、前記第1及び第2重み係数から1つの重み係数を選択し、
    前記選択された重み係数に基づいて生成された合成自己相関行列を用いて、前記第1処理とは異なる第2処理をする
    請求項3記載の信号処理装置。
  7. 前記処理部は、前記第1及び第2合成自己相関行列の各々を用いた第1処理の結果のうち、前記観測対象に関する既知の状態を示す結果を選択し、選択された結果に用いられた合成自己相関行列の生成に用いられた重み係数を選択する請求項6記載の信号処理装置。
  8. 前記第1処理は、前記第1及び第2合成自己相関行列の各々に基づいてビームパタンを生成するビームフォーミングを含み、
    前記第1処理の結果は、前記ビームフォーミングによって生成されたビームパタンを含み、
    前記第2処理は、前記第1信号における偏波間の電力差によって観測対象の概形を推定する処理を含む
    請求項6または7記載の信号処理装置。
  9. 前記処理部は、
    前記第1信号を示す行列を複数の第3信号を示す行列に分割し、当該複数の第3信号を示す行列に基づいて前記第2信号を生成し、
    前記第1信号の位相の変化に基づいて前記第3信号を示す行列のサイズ及び数を、決定する
    請求項1~8のいずれか一項記載の信号処理装置。
  10. 前記処理部は、
    前記第1信号を示す行列を複数の第3信号を示す行列に分割し、当該複数の第3信号を示す行列に基づいて前記第2信号を生成し、
    前記信号処理装置を備えるレーダ装置に近づくまたは遠ざかる観測対象を検出するために計算されるドップラー速度に基づいて前記第3信号を示す行列のサイズ及び数を決定する
    請求項1~8いずれか一項記載の信号処理装置。
  11. 前記観測対象からの反射波を受信する受信器を更に具備する請求項1~10のいずれか一項に記載の信号処理装置。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の信号処理装置と、
    前記観測対象に対して電波を送信する送信器と
    を具備するレーダ装置。
  13. 複数のアンテナ素子によって受信された観測対象からの反射波に基づく第1信号を示す行列の第1自己相関行列を生成し、
    前記第1信号に基づいて、前記複数のアンテナ素子によって受信された観測対象からの反射波及び当該複数のアンテナ素子とは異なる仮想素子によって受信されたと見做される反射波に基づく第2信号を生成し、
    前記第2信号を示す行列の第2自己相関行列を生成し、
    前記第1及び第2自己相関行列を合成して合成自己相関行列を生成する、
    信号処理方法。
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