JP7432415B2 - エッチング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ネガ型ドライフィルムレジスト及び該ネガ型ドライフィルムレジストを利用するエッチング方法に関する。
ガラス、シリコン、チタン等の基材にエッチング処理によってパターンを形成する際には、フッ酸又はフッ化アンモニウムを含有するエッチング液を使用する場合がある。以下、「フッ酸又はフッ化アンモニウムを含有するエッチング液」を「フッ酸エッチング液」と略記する場合がある。このようなフッ酸エッチング液によるエッチング処理に使用する感光性樹脂組成物としては、従来からネガ型の感光性樹脂組成物が使用されている。また、ネガ型の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層と支持体フィルムとを積層したネガ型ドライフィルムレジストが使用されている。
フッ酸エッチング液を使用したエッチング方法では、例えば、基材上に形成した感光性樹脂層に、所望のパターンのフォトマスクを介して活性光線の露光を実施し、感光性樹脂層の硬化膜を形成する。次いで、非露光部(非硬化部)を現像によって除去し、基材上に、硬化した感光性樹脂層からなるレジストパターンを形成する。続いて、露出した基材に、フッ酸エッチング液を吹き付けて基材を溶解するエッチング処理を行い、基材にパターンを形成することができる。
例えば、ガラス基材から剥離にくい光硬化性レジスト材料として、エチレン性不飽和二重結合を側鎖に有するアクリル樹脂とポリシランと光増感剤とを含有するレジスト材料が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、ガラス基材との密着性に優れた感光性樹脂組成物として、特定のカルボキシル基含有バインダー樹脂と、光重合性モノマーと開始剤と特定のオルガノシラン化合物を含有してなる感光性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、ガラスエッチング用の紫外線硬化型レジスト組成物として、酸基含有樹脂、不飽和化合物、光開始剤、アルコキシシラン化合物、無機微粉末を含有するレジスト組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、これらの成分だけでは、フッ酸エッチング液に対する耐久性が充分ではなく、フッ酸エッチング液に浸すと、レジストパターンが基材上から剥離する場合があった。
また、アルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、ブロック化イソシアネート化合物、フィラーを含有する感光性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、フィラーによって、レジストパターンの直線性が失われ、ぎざのあるレジストパターンとなる問題が発生した。そのため、基材にエッチングによって形成された画像の直線性も失われる場合があった。
特開2005-164877号公報 特開2007-316247号公報 特開2007-128052号公報 特開2013-117682号公報
本発明の課題は、フッ酸又はフッ化アンモニウムを含有するエッチング液への耐性に優れ、画像の直線性に優れた、ネガ型ドライフィルムレジストと該ネガ型ドライフィルムレジストを使用するエッチング方法を提供することである。
上記課題は、以下の手段によって解決できた。
(1)支持体フィルムと第1感光性樹脂層と第2感光性樹脂層とがこの順に積層してなり、第1感光性樹脂層が、少なくとも(A)酸変性エポキシ(メタ)アクリレート、(B)光重合開始剤、(C)ブロック化イソシアネート化合物及び(D)フィラーを含有し、且つ、第2感光性樹脂層が、少なくとも(A)酸変性エポキシ(メタ)アクリレート、(B)光重合開始剤及び(C)ブロック化イソシアネート化合物を含有し、(D)フィラーを含まないネガ型ドライフィルムレジストを、第2感光性樹脂層が接触するように基材に貼り付け、次に、第1感光性樹脂層及び第2感光性樹脂層を露光し、次に、現像し、次に、第1感光性樹脂層及び第2感光性樹脂層を加熱した後、フッ酸又はフッ化アンモニウムを含有するエッチング液によって基材をエッチング処理するエッチング方法。
本発明のネガ型ドライフィルムレジストは、支持体フィルムと第1感光性樹脂層と第2感光性樹脂層とがこの順に積層してなる。第1感光性樹脂層及び第2感光性樹脂層は、(A)酸変性エポキシ(メタ)アクリレート(以下、「成分(A)」と表記する場合がある)及び(B)光重合開始剤(以下、「成分(B)」と表記する場合がある)を含有しているため、露光によって、パターン状に硬化膜が形成される。そして、現像を実施し、レジストパターンを形成した後に加熱することによって、(C)ブロック化イソシアネート化合物(以下、「成分(C)」と表記する場合がある)中のブロック化イソシアネート基から発生したイソシアネート基と成分(A)中のカルボキシル基及び/又は水酸基との間で、熱架橋による強固な結合が形成され、フッ酸エッチング液に対する耐性が大幅に向上する。第1感光性樹脂層が含有している(D)フィラー(以下、「成分(D)」と表記する場合がある)は、硬化膜を強固にし、フッ酸エッチング液の浸透を抑制する。
また、基材と接触する第2感光性樹脂層中は成分(D)を含まないため、第2感光性樹脂層のレジストパターンには、成分(D)由来のぎざが発生しない。よって、エッチング処理によって形成された画像の直線性に優れる。
さらに、第2感光性樹脂層が成分(D)を含まないため、第2感光性樹脂層と基材との密着性にも優れるという効果も得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のネガ型ドライフィルムレジストは、支持体フィルムと第1感光性樹脂層と第2感光性樹脂層がこの順に積層してなる。
支持体フィルムとしては、紫外線を透過させる透明フィルムが好ましい。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等のフィルムが使用できる。その中でも、特に、ポリエステルの一種であるポリエチレンテレフタレートのフィルムを使用すると、ラミネート適性、剥離適性、光透過性、屈折率に対して有利であり、また、安価で、脆化せず、耐溶剤性に優れ、高い引っ張り強度を持つ等の利点から、非常に利用しやすい。キャリアーフィルムの厚みは、1~100μmであることが好ましく、12~50μmであることがより好ましい。
必要に応じて、第2感光性樹脂層上に保護フィルムが積層されてもよい。保護フィルムとは、第1及び第2感光性樹脂層の酸素阻害、ブロッキング等を防止するために設けられ、支持体フィルムとは反対側の第2感光性樹脂層上に設けられる。第1感光性樹脂層と支持体フィルムとの接着力よりも、第2感光性樹脂層と保護フィルムとの接着力の方が小さいことが好ましい。また、フィッシュアイの小さい保護フィルムが好ましい。保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
第1感光性樹脂層は、少なくとも(A)酸変性エポキシ(メタ)アクリレート、(B)光重合開始剤、(C)ブロック化イソシアネート化合物及び(D)フィラーを含有する。
(A)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートとしては、エポキシ樹脂にアクリル酸やメタクリル酸などを付与し、さらにカルボン酸やその無水物を付与したものを使用できる。該エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、トリスフェノール型、テトラフェノール型、フェノール-キシリレン型、グリシジルエーテル型あるいはそれらのハロゲン化エポキシ樹脂が挙げられる。使用する酸無水物としては無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などが使用できる。
成分(A)の酸価は、アルカリ現像速度、(B)第1感光性樹脂層の柔らかさなどに影響する。成分(A)の酸価(JIS K2501:2003)は、40~120mgKOH/gであることが好ましい。酸価が40mgKOH/g未満では、現像時間が長くなる場合があり、酸価が120mgKOH/gを超えると、皮膜性が悪くなる場合がある。
また、成分(A)の質量平均分子量は、3,000~15,000であることが好ましい。質量平均分子量が3,000未満では、硬化前の第1感光性樹脂層を皮膜状態に形成することが困難になる場合がある。一方、15,000を超えると、現像液に対する溶解性が悪化する場合がある。
(B)光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、N,N′-テトラメチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′-テトラエチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパノン-1等の芳香族ケトン;2-エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9′-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N-フェニルグリシン、N-フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等が挙げられる。上記2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体における2つの2,4,5-トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は、同一であって対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。
(C)ブロック化イソシアネート化合物としては、イソシアネート基がブロック剤で保護されている化合物であり、イソシアネート化合物のイソシアネート基にブロック剤を反応させることで得られる。ブロック化イソシアネート化合物は、常温では安定であるが、ある一定条件下で加熱すると、ブロック剤が開裂してイソシアネート基が発生する化合物である。
ブロック剤としては、フェノール、クレゾール、p-エチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール等のフェノール系;エタノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、ベンジルアルコール等のアルコール系;マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル等の活性メチレン系;アセトアニリド、アセトアミド等の酸アミド系;その他イミド系;アミン系;イミダゾール系;ピラゾール系;尿素系;カルバミン酸系;イミン系;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系、メルカプタン系、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩系;ラクタム系等がある。常温保存性、架橋性から、ブロック剤としては、メチルエチルケトキシム(Methyl Ethyl Ketoxime)が好ましい。
イソシアネート化合物としては、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサンメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,6-ジイソシアネート、1,3-(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ダイマー酸ジイソシアネート、及びこれらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体等のプレポリマーが挙げられる。第2感光性樹脂層と基材との密着性及び現像性の点から、イソシアネート化合物としては、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
(D)フィラーとしては、シリカ、タルク、石英、アルミナ、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、雲母等が挙げられる。これらのレーザー回折法によるメジアン径D50は、0.01μm~20μmが好ましく、0.1μm~10μmがより好ましい。0.01μm未満の粒子径では、フィラーの粉砕が難しい場合があり、価格が高くなる。また、20μmを超える粒子径では、塗工面にムラが発生する場合がある。フッ酸エッチング液への耐性の点から、タルクが好ましい。
第1感光性樹脂層には、必要に応じて、上記成分(A)~(D)以外の成分を含有させてもよい。このような成分としては、成分(A)以外のモノマー、増感剤、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(染料、顔料)、光発色剤、熱発色防止剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱硬化剤、撥水剤及び撥油剤等が挙げられ、各々0.01~20質量%程度含有することができる。これらの成分は1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
第1感光性樹脂層は、必要に応じて、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-ブタノール、n-ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、2-ブタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸-n-アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル等のエステル類、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール等のエーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶剤又はこれらの混合溶剤を含有させてもよい。
第1感光性樹脂層において、成分(A)の含有率は、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の総量に対して35~55質量%であることが好ましく、40~50質量%であることがより好ましい。成分(A)の含有率が35質量%未満では、皮膜性が悪くなる場合がある。成分(A)の含有率が55質量%を超えると、フッ酸エッチング液に対する耐性が低下する場合がある。
第1感光性樹脂層において、成分(B)の含有率は、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の総量に対して0.1~10質量%であることが好ましく、0.2~5質量%であることがより好ましい。成分(B)の含有率が0.1質量%未満では、光重合性が不十分となる場合がある。一方、10質量%を超えると、露光の際に第1感光性樹脂層の表面で吸収が増大して、第1感光性樹脂層及び第2感光性樹脂層内部の光硬化が不十分となる場合がある。
第1感光性樹脂層において、成分(C)の含有率は、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の総量に対して5~25質量%であることが好ましく、10~20質量%であることがより好ましい。成分(C)の含有率が5質量%未満では、加熱後のフッ酸エッチング液に対する耐性が不十分となる場合がある。一方、25質量%を超えると、光硬化が不十分となり、解像性が不十分となる場合がある。
第1感光性樹脂層において、成分(D)の含有率は、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の総量に対して20~45質量%であることが好ましく、25~40質量%であることがより好ましい。成分(D)の含有率が20質量%未満では、第1感光性樹脂層をドライフィルムにした際に、エッジフュージョンが発生しやすくなる場合がある。一方、45質量%を超えると、光硬化が不十分となり、解像性が不十分となる場合がある。
第2感光性樹脂層は、第1感光性樹脂層の成分のうち、(D)フィラーを含まない。つまり、少なくとも(A)酸変性エポキシ(メタ)アクリレート、(B)光重合開始剤、(C)ブロック化イソシアネート化合物を含有し、(D)フィラーを含まない。
第1感光性樹脂層の成分(A)、成分(B)及び成分(C)と第2感光性樹脂層の(A)、成分(B)及び成分(C)は、同一であっても良いし、異なっていても良い。塗工性、第1感光性樹脂層と第2感光性樹脂層成分が融合した場合に問題が発生しにくいこと、及び現像液の管理等の点から、同一であることが好ましい。
第2感光性樹脂層には、必要に応じて、上記成分(A)~(C)以外の成分を含有させてもよい。このような成分としては、成分(A)以外のモノマー、増感剤、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(染料、顔料)、光発色剤、熱発色防止剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱硬化剤、撥水剤及び撥油剤等が挙げられ、各々0.01~20質量%程度含有することができる。これらの成分は1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
第2感光性樹脂層は、必要に応じて、溶剤又は混合溶剤を含有させてもよい。溶剤としては、第1感光性樹脂層で例示した溶剤を挙げることができる。
第2感光性樹脂層において、成分(A)の含有率は、成分(A)、(B)及び(C)の総量に対して35~80質量%であることが好ましく、40~70質量%であることがより好ましい。成分(A)の含有率が35質量%未満では、皮膜性が悪くなることがある。成分(A)の含有率が80質量%を超えると、フッ酸エッチング液に対する耐性が低下することがある。
第2感光性樹脂層において、成分(B)の含有率は、成分(A)、(B)及び(C)の総量に対して0.1~15質量%であることが好ましく、0.2~5質量%であることがより好ましい。成分(B)の含有率が0.1質量%未満では、光重合性が不十分となる傾向がある。一方、15質量%を超えると、露光の際に第1感光性樹脂層と第2感光性樹脂層の界面で吸収が増大して、第2感光性樹脂層内部の光硬化が不十分となる場合がある。
第2感光性樹脂層において、成分(C)の含有率は、成分(A)、(B)及び(C)の総量に対して10~50質量%であることが好ましく、20~40質量%であることがより好ましい。成分(C)の含有率が10質量%未満では、加熱後のフッ酸エッチング液に対する耐性が不十分となる場合がある。一方、50質量%を超えると、光硬化が不十分となり、解像性が不十分となる場合がある。
本発明のネガ型ドライフィルムレジストを形成する方法は、支持体フィルム上に第1感光性樹脂層用の塗工液を塗工し、乾燥して第1感光性樹脂層を形成し、次に、第2感光性樹脂層用の塗工液を塗工し、乾燥して第1感光性樹脂層上に第2感光性樹脂層を形成して、3層構造のネガ型ドライフィルムレジストを作製することができる。また、第1感光性樹脂層塗工液と第2感構成樹脂層用塗工液を同時に塗工しても良い。塗工する方法としては、ロールコータ、コンマコータ(登録商標)、グラビアコータ、エアーナイフ、ダイコータ、バーコータ等の装置を用いた方法で行うことができる。
第1感光性樹脂層の厚みは、3~150μmが好ましい。3μm未満であると、第1感光性樹脂層の支持体フィルムへの塗工が困難になる場合や、支持体フィルムから基材への転写がしにくくなる場合がある。150μmを超えると、レジストパターンの解像性が悪くなる場合がある。第2感光性樹脂層の厚みは、3~150μmが好ましい。3μm未満になると、第2感光性樹脂層の第1感光性樹脂層への塗工が困難になる場合がある。150μmを超えると、レジストパターンの解像性が悪くなる場合がある。
次に、本発明のネガ型ドライフィルムレジストを用いたエッチング方法について詳説する。まず、本発明のネガ型ドライフィルムレジストを、第2感光性樹脂層が、基材に接触するように貼り付ける。基材とは、エッチング処理を実施する基材であり、製造物によって決定される。基材としては、例えば、ガラス、セラミック、酸化銀、シリコン、ゲルマニウム、タンタル、半導体基板、石英、チタン等の基材が挙げられる。
基材にネガ型ドライフィルムレジストを貼り付ける方法は、熱圧着法(ラミネート法)が使用される。一般的な、プリント基板用熱ラミネーター、真空ラミネーターなどが使用できる。ニップ圧力、搬送速度、ロール温度は、使用する基材によって異なるが、気泡やムラなく、熱圧着によって貼り付けることができれば、条件は問わない。
ネガ型ドライフィルムレジストを基材に貼り付けた後、所望のパターンを紫外線により露光する。露光方法は、レーザー直接描画、フォトマスクを介した密着露光、投影露光等によって行われる。超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
次に、現像を実施する。現像によって、第1感光性樹脂層及び第2感光性樹脂層の非露光部を除去する。現像液としては、例えば、無機アルカリ性化合物を含有するアルカリ水溶液を用いることができる。無機アルカリ性化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等の炭酸塩や水酸化物が挙げられる。現像液の無機アルカリ性化合物の濃度は、0.1~3質量%であることが好ましく、0.1~3質量%の炭酸ナトリウム水溶液が現像液として好ましく使用できる。現像液には、界面活性剤、消泡剤、溶剤等を適宜少量混入することもできる。現像処理方法としては、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スクレーピング等があり、スプレー方式が除去速度のためには最も適している。現像の液温は15~35℃が好ましく、また、スプレー圧は0.02~0.3MPaが好ましい。
次に、第1感光性樹脂層及び第2感光性樹脂層の加熱(ベーク)処理を行う。第2感光性樹脂層と基材の密着を向上させること、第1感光性樹脂層及び第2感光性樹脂層のフッ酸エッチング液に対する耐性を向上させること等の目的で、加熱処理を実施する。加熱温度は、成分(C)のブロック剤が開裂する温度以上が好ましく、90~250℃がより好ましく、110~200℃がさらに好ましい。90℃未満であると、架橋反応の進みが遅く、250℃を超えると、他の成分の分解が発生する可能性がある。加熱時間は10~90分間であるのが好ましい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示す各成分を混合し、塗工液1を得た。なお、表1における各成分配合量の単位は、質量部を表す。得られた塗工液1を、ワイヤーバーを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:R310、25μm厚、三菱ケミカル社製)上に塗工し、100℃で8分間乾燥し、溶剤をとばし、PETフィルムの片面上に第1感光性樹脂層を乾燥膜厚60μmにて得た。
次に、第1感光性樹脂層上に塗工液2を、ワイヤーバーを用いて、100℃で4分間乾燥し、溶剤をとばし、乾燥膜厚15μmの第2感光性樹脂層を形成し、実施例1のネガ型ドライフィルムレジストとした。
Figure 0007432415000001
表1において、各成分は以下の通りである。
<成分(A)>
(A-1)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートKAYARAD(登録商標)UXE-3024(商品名、日本化薬社製、濃度65質量%、エポキシ樹脂(a):複合型)
(A-2)酸変性エポキシ(メタ)アクリレートKAYARAD(登録商標)ZAR-1035(商品名、日本化薬社製、濃度65質量%、エポキシ樹脂(a):ビスフェノールA型)
<成分(B)>
(B-1)2-(2′-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体
(B-2)4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
<成分(C)>
(C-1)スミジュール(SUMIDUR、登録商標)BL3175(商品名、住化コベストロウレタン社製、ベース:1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ブロック剤:メチルエチルケトキシム、濃度75質量%)
<成分(D)>
(D-1)タルク(商品名:SG95、日本タルク社製、メジアン径D50 2.5μm)
次に、厚さ2mmのガラス基材に、実施例1のネガ型ドライフィルムレジストを、第2感光性樹脂層がガラス基材に接触するようにして、100℃の熱圧着により貼り付けた。次に、フォトマスク(ライン/スペース=500μm/500μm)を介して、超高圧水銀灯にて露光した。露光後、室温で10分間放置し、次いでPETフィルムを剥がし取り、ネガ型ドライフィルムレジストの表面に、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(現像液、液温30℃)を、スプレー圧0.1MPaでスプレーし、非露光部を除去して、現像を行った。その後、20℃の純水を用いて、スプレー圧0.1MPaにて水洗を行い、乾かした。その後、150℃、30分のベーク処理を実施し、レジストパターンを形成した。
次に、レジストパターン形成後のガラス基材を、10質量%フッ酸水溶液(25℃)に20分間浸漬した。実施例1では、第1感光性樹脂層及び第2感光性樹脂層の剥離が発生せず、深さ50μm以上をエッチングすることできた。また、エッチング後の画像を顕微鏡で観察した結果、直線性がよいことが確認できた。
(比較例1)
表1に示す塗工液1を、ワイヤーバーを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:R310、25μm厚、三菱ケミカル社製)上に塗工し、100℃で8分間乾燥し、溶剤をとばし、PETフィルムの片面上に感光性樹脂層を乾燥膜厚60μmにて形成し、1層構造の比較例1のネガ型ドライフィルムレジストとした。塗工液2による第2感光性樹脂層は形成しなかった。
厚さ2mmのガラス基材に、比較例1のネガ型ドライフィルムレジストを、100℃の熱圧着により貼り付けた。次に、フォトマスク(ライン/スペース=500μm/500μm)を介して、超高圧水銀灯にて露光した。露光後、室温で10分間放置し、次いでPETフィルムを剥がし取り、ネガ型ドライフィルムレジストの表面に、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(現像液、液温30℃)を、スプレー圧0.1MPaでスプレーし、非露光部を除去して、現像を行った。その後、20℃の純水を用いて、スプレー圧0.1MPaにて水洗を行い、乾かした。その後、150℃、30分のベーク処理を実施し、レジストパターンを形成した。
次に、レジストパターン形成後のガラス基材を、10質量%フッ酸水溶液(25℃)に20分間浸漬した。比較例1では、感光性樹脂層の剥離が発生せず、深さ50μm以上をエッチングすることができたが、画像を顕微鏡で観察した結果、ぎざが大きく、直線性が悪い画像となった。
(比較例2)
表1に示す塗工液2を、ワイヤーバーを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:R310、25μm厚、三菱ケミカル社製)上に塗工し、100℃で8分間乾燥し、溶剤をとばし、PETフィルムの片面上に感光性樹脂層を乾燥膜厚60μmにて形成し、1層構造の比較例2のネガ型ドライフィルムレジストとした。塗工液1による第1感光性樹脂層は形成しなかった。
厚さ2mmのガラス基材に、比較例2のネガ型ドライフィルムレジストを、100℃の熱圧着により貼り付けた。次に、フォトマスク(ライン/スペース=500μm/500μm)を介して、超高圧水銀灯にて露光した。露光後、室温で10分間放置し、次いでPETフィルムを剥がし取り、ネガ型ドライフィルムレジストの表面に、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(現像液、液温30℃)を、スプレー圧0.1MPaでスプレーし、非露光部を除去して、現像を行った。その後、20℃の純水を用いて、スプレー圧0.1MPaにて水洗を行い、乾かした。その後、150℃、30分のベーク処理を実施し、レジストパターンを形成した。
次に、レジストパターン形成後のガラス基材を、10質量%フッ酸水溶液(25℃)に20分間浸漬した。比較例2では、レジストパターンの一部が基材から剥離し、エッチング液が剥離した部分に浸透し、良好なエッチングができなかった。
本発明の感光性樹脂組成物は、フッ酸又はフッ化アンモニウムを含有するエッチング液によるエッチング方法に利用可能である。

Claims (1)

  1. 支持体フィルムと第1感光性樹脂層と第2感光性樹脂層とがこの順に積層してなり、第1感光性樹脂層が、少なくとも(A)酸変性エポキシ(メタ)アクリレート、(B)光重合開始剤、(C)ブロック化イソシアネート化合物及び(D)フィラーを含有し、且つ、第2感光性樹脂層が、少なくとも(A)酸変性エポキシ(メタ)アクリレート、(B)光重合開始剤及び(C)ブロック化イソシアネート化合物を含有し、(D)フィラーを含まないネガ型ドライフィルムレジストを、第2感光性樹脂層が接触するように基材に貼り付け、次に、第1感光性樹脂層及び第2感光性樹脂層を露光し、次に、現像し、次に、第1感光性樹脂層及び第2感光性樹脂層を加熱した後、フッ酸又はフッ化アンモニウムを含有するエッチング液によって基材をエッチング処理するエッチング方法。
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