JP7431346B2 - モータ制御装置、機電一体ユニット、ハイブリッドシステム、および電動パワーステアリングシステム - Google Patents

モータ制御装置、機電一体ユニット、ハイブリッドシステム、および電動パワーステアリングシステム Download PDF

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Description

本発明は、モータ制御装置、機電一体ユニット、ハイブリッドシステム、および電動パワーステアリングシステムに関する。
永久磁石同期モータは、ブラシや整流子といった機械的な電流の整流機構を必要とせず保守が容易な上、小型軽量で効率、力率ともに高いため、電気自動車の駆動・発電等の用途に広く普及している。一般的に永久磁石同期モータは、電機子コイル等で構成される固定子と、永久磁石や鉄心等で構成される回転子から成る。バッテリ等の直流電源から供給される直流電圧をインバータで交流電圧に変換し、この交流電圧を用いて永久磁石同期モータの電機子コイルに交流電流を流すことにより、電機子磁束が発生する。この電機子磁束と永久磁石の磁石磁束との間に生じる吸引力・反発力によって発生するマグネットトルクや、回転子を透過する電機子磁束の磁気抵抗を最小化するために発生するリラクタンストルクにより、永久磁石同期モータが駆動される。
永久磁石同期モータには、モータの回転方向(周方向)と、モータの回転軸に対して垂直な方向(径方向)とで、電機子磁束と磁石磁束による電磁力がそれぞれ発生する。上記のトルクは、周方向の電磁力を積分したものであり、これにはモータの磁気回路の構造に起因するトルクの揺らぎ(トルク脈動)が含まれている。一方、モータの径方向に生じる電磁力は、モータの固定子やケースを変形・振動させる加振力(電磁加振力)として作用する。
モータの低回転時には、他の振動・騒音要因が少ないため、トルク脈動に起因する振動・騒音が顕在化する。特に、電気自動車やハイブリッド自動車のような永久磁石同期モータを使用する環境対応自動車では、低回転時にモータの回転子とタイヤとの2慣性系によって車体共振が発生し、振動・騒音が顕著となる場合がある。一方、低回転時を除いたモータの回転数領域では、径方向の電磁力(電磁加振力)は周方向の電磁力(トルク脈動)と比較して、5~10倍程度の大きさとなる。そのため、電磁加振力による振動・騒音が支配的となる。
加えてモータに流れる交流電流には、モータの駆動制御に用いられ、モータの回転数に応じて周波数が変換する正弦波等の基本波電流成分と、インバータのスイッチング動作による高調波電流成分とが含まれる。高調波電流の周波数は、基本波電流の周波数と、PWM変調に用いられる搬送波の周波数とによって定まる。そのため、モータの回転数によっては、基本波電流によってモータに生じる電磁加振力またはトルク脈動と、高調波電流によってモータに生じる電磁加振力またはトルク脈動とが重なり合い、大きな振動や騒音が発生してしまうことがある。
本願発明の関連技術として、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、永久磁石モータの回転数に応じた基本波電流と、スイッチング動作による高調波電流とを含み、所定のモータ回転数において、基本波電流によってモータに周期的に生じる加振力の位相である第1位相と、高調波電流によってモータに周期的に生じる加振力の位相である第2位相とが互いに重ならないように、第2位相を制御する方法が開示されている。
国際公開第2018/139295号
前述の通り、モータの低回転時には、他の振動・騒音要因が少ないため、トルク脈動に起因する振動・騒音が顕在化する。一方、低回転時を除いたモータの回転数領域では、電磁加振力による振動・騒音が支配的となる。このように、電気自動車やハイブリッド自動車のような永久磁石同期モータを使用する環境対応自動車では、広い範囲の回転数において振動・騒音が課題となる。しかしながら、特許文献1に開示された方法では、広い範囲の回転数において、こうした点を効果的に改善することができない。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、永久磁石同期モータで発生する振動や騒音を効果的に抑制することを目的とする。
本発明によるモータ制御装置は、直流電力から交流電力への電力変換を行う電力変換器と接続され、前記交流電力を用いて駆動する交流モータの駆動を制御するものであって、搬送波を生成する搬送波生成部と、前記搬送波を用いてトルク指令に応じた電圧指令をパルス幅変調し、前記電力変換器の動作を制御するためのゲート信号を生成するゲート信号生成部と、前記電圧指令と前記搬送波の位相差をランダムに変化させるための拡散値を演算し、前記位相差が前記拡散値となるように前記搬送波の周波数を調整する搬送波周波数調整部と、を備え、前記搬送波周波数調整部は、前記搬送波を前記電圧指令に同期させるための同期PWM制御の収束状態に基づき、前記拡散値を更新する
本発明による機電一体ユニットは、前記モータ制御装置と、前記モータ制御装置に接続された前記電力変換器と、前記電力変換器により駆動される前記交流モータと、前記交流モータの回転駆動力を伝達するギアと、を備え、前記交流モータ、前記電力変換器および前記ギアが一体構造となっている。
本発明によるハイブリッドシステムは、前記モータ制御装置と、前記モータ制御装置に接続された前記電力変換器と、前記電力変換器により駆動される前記交流モータと、前記交流モータに接続されたエンジンシステムと、を備える。
本発明による電動パワーステアリングシステムは、前記モータ制御装置と、前記モータ制御装置に接続された前記電力変換器と、前記電力変換器により駆動される前記交流モータと、を備え、前記交流モータの回転駆動力を用いて運転者のステアリング操作をアシストする。
本発明によれば、永久磁石同期モータで発生する振動や騒音を効果的に抑制できる。
本発明の一実施形態に係るモータ制御装置を備えたモータ駆動システムの全体構成図。 本発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置の機能構成を示すブロック図。 モータの駆動時における振動や騒音の発生とその伝達経路を説明する図。 1正弦波あたりのスイッチングパルス数と時間高調波電圧の関係を説明する図。 変調波と搬送波の位相差を変化させた場合の電圧波形の関係を示す図。 変調波と搬送波の位相差を変化させた場合のU相交流電圧の高調波成分を示す図。 本発明の第1の実施形態に係る搬送波周波数調整部のブロック図。 本発明の第1の実施形態に係る電圧位相誤差演算部のブロック図。 本発明の第1の実施形態に係るキャリア位相シフト量拡散値演算部のブロック図。 キャリア位相シフト量拡散値演算部による拡散値の演算結果の例を示す図。 本発明の基準電圧位相演算の概念図。 本発明の第1の実施形態に係る電圧位相誤差演算部の演算処理を示すフローチャート。 本実施形態のモータ制御方法の適用の有無によるU相電流の各高調波と拡散値の変化の様子の例を示す図。 本実施形態のモータ制御方法の適用の有無によるU相電流の各高調波と拡散値の変化の様子の例を示す図。 本発明の第2の実施形態における機電一体ユニットの外観斜視図。 本発明の第3の実施形態におけるハイブリッドシステムの構成図。 本発明の第4の実施形態における電動パワーステアリングシステムの構成図。 本発明の第4の実施形態に係る電動パワーステアリングシステムにおける駆動制御システムの構成図。
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置を備えたモータ駆動システムの全体構成図である。図1において、モータ駆動システム100は、モータ制御装置1、モータ2、インバータ3、高圧バッテリ5、電流検出部7、回転位置検出器8を有している。
モータ制御装置1には、回転位置検出器8からモータ2の回転位置θが入力される。また、電流検出部7から、モータ2に流れる三相の交流電流をそれぞれ表すIu、Iv、Iwが入力され、図示省略した上位制御装置よりトルク指令T*が入力される。モータ制御装置1は、これらの入力情報を基に、モータ2の駆動を制御するためのゲート信号を生成し、インバータ3に出力する。これにより、インバータ3の動作を制御し、モータ2の駆動を制御する。なお、モータ制御装置1の詳細については後で説明する。
インバータ3は、インバータ回路31、PWM信号駆動回路32および平滑キャパシタ33を有する。PWM信号駆動回路32は、モータ制御装置1から入力されるゲート信号に基づいて、インバータ回路31が有する各スイッチング素子を制御するためのPWM信号を生成し、インバータ回路31に出力する。インバータ回路31は、U相、V相、W相の上アームおよび下アームにそれぞれ対応するスイッチング素子を有している。PWM信号駆動回路32から入力されたPWM信号に従ってこれらのスイッチング素子がそれぞれ制御されることで、高圧バッテリ5から供給される直流電力が交流電力に変換され、モータ2に出力される。平滑キャパシタ33は、高圧バッテリ5からインバータ回路31に供給される直流電力を平滑化する。
高圧バッテリ5は、モータ駆動システム100の直流電圧源であり、インバータ3へ電源電圧Hvdcを出力する。高圧バッテリ5の電源電圧Hvdcは、インバータ3のインバータ回路31とPWM信号駆動回路32によって可変電圧、可変周波数のパルス状の三相交流電圧に変換され、線間電圧としてモータ2に印加される。これにより、高圧バッテリ5の直流電力を基に、インバータ3からモータ2へ交流電力が供給される。なお、高圧バッテリ5の電源電圧Hvdcは、その充電状態に応じて変動する。
モータ2は、インバータ3から供給される交流電力により回転駆動される三相電動機であり、固定子(ステータ)および回転子(ロータ)を有する。本実施形態では、モータ2として永久磁石同期モータを用いる例を説明するが、例えば誘導モータやシンクロナスリラクタンスモータなど、他の方式のモータ2を用いても構わない。インバータ3から入力された交流電力が固定子に設けられた三相のコイルLu、Lv、Lwに印加されると、モータ2において三相交流電流Iu、Iv、Iwが導通し、各コイルに磁束が発生する。この各コイルの磁束と、回転子に配置された永久磁石の磁石磁束との間で吸引力・反発力が発生することで、回転子にトルクが発生し、モータ2が回転駆動される。
モータ2には、回転子の回転位置θを検出するための回転位置センサ4が取り付けられている。回転位置検出器8は、回転位置センサ4の入力信号から回転位置θを演算する。回転位置検出器8による回転位置θの演算結果はモータ制御装置1に入力され、モータ制御装置1がモータ2の誘起電圧の位相に合わせてパルス状のゲート信号を生成することで行われる交流電力の位相制御において利用される。
ここで、回転位置センサ4には、鉄心と巻線とから構成されるレゾルバがより好適であるが、GMRセンサなどの磁気抵抗素子や、ホール素子を用いたセンサであっても問題ない。回転子の磁極位置を測定することができれば、任意のセンサを回転位置センサ4として用いることができる。また、回転位置検出器8は、回転位置センサ4からの入力信号を用いず、モータ2に流れる三相交流電流Iu、Iv、Iwや、インバータ3からモータ2に印加される三相交流電圧Vu、Vv、Vwを用いて回転位置θを推定してもよい。
インバータ3とモータ2の間の電流経路には、電流検出部7が配置されている。電流検出部7は、モータ2を通電する三相交流電流Iu、Iv、Iw(U相交流電流Iu、V相交流電流IvおよびW相交流電流Iw)を検出する。電流検出部7は、例えばホール電流センサ等を用いて構成される。電流検出部7による三相交流電流Iu、Iv、Iwの検出結果はモータ制御装置1に入力され、モータ制御装置1が行うゲート信号の生成に利用される。なお、図1では電流検出部7が3つの電流検出器により構成される例を示しているが、電流検出器を2つとし、残る1相の交流電流は、三相交流電流Iu、Iv、Iwの和が零であることから算出してもよい。また、高圧バッテリ5からインバータ3に流入するパルス状の直流電流を、平滑キャパシタ33とインバータ3の間に挿入されたシャント抵抗等により検出し、この直流電流とインバータ3からモータ2に印加される三相交流電圧Vu、Vv、Vwに基づいて三相交流電流Iu、Iv、Iwを求めてもよい。
次に、モータ制御装置1の詳細について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置1の機能構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、モータ制御装置1は、電流指令生成部11、速度算出部12、三相/dq変換部13、電流制御部14、dq/三相電圧変換部15、搬送波周波数調整部16、三角波生成部17、ゲート信号生成部18の各機能ブロックを有する。モータ制御装置1は、例えばマイクロコンピュータにより構成され、マイクロコンピュータにおいて所定のプログラムを実行することにより、これらの機能ブロックを実現することができる。あるいは、これらの機能ブロックの一部または全部をロジックICやFPGA等のハードウェア回路を用いて実現してもよい。
電流指令生成部11は、入力されたトルク指令T*と電源電圧Hvdcに基づき、d軸電流指令Id*およびq軸電流指令Iq*を演算する。ここでは、例えば予め設定された電流指令マップや、d軸電流Id,q軸電流Iqとモータトルクの関係を表す数式等を用いて、トルク指令T*に応じたd軸電流指令Id*、q軸電流指令Iq*を求める。
速度算出部12は、回転位置θの時間変化から、モータ2の回転速度(回転数)を表すモータ回転速度ωrを演算する。なお、モータ回転速度ωrは、角速度(rad/s)または回転数(rpm)のいずれで表される値であってもよい。また、これらの値を相互に変換して用いてもよい。
三相/dq変換部13は、電流検出部7が検出した三相交流電流Iu、Iv、Iwに対して、回転位置検出器8が求めた回転位置θに基づくdq変換を行い、d軸電流値Idおよびq軸電流値Iqを演算する。
電流制御部14は、電流指令生成部11から出力されるd軸電流指令Id*およびq軸電流指令Iq*と、三相/dq変換部13から出力されるd軸電流値Idおよびq軸電流値Iqとの偏差に基づき、これらの値がそれぞれ一致するように、トルク指令T*に応じたd軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*を演算する。ここでは、例えばPI制御等の制御方式により、d軸電流指令Id*とd軸電流値Idの偏差に応じたd軸電圧指令Vd*と、q軸電流指令Iq*とq軸電流値Iqの偏差に応じたq軸電圧指令Vq*とを求める。
dq/三相電圧変換部15は、電流制御部14が演算したd軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*に対して、回転位置検出器8が求めた回転位置θに基づく三相変換を行い、三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*(U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*およびW相電圧指令値Vw*)を演算する。これにより、トルク指令T*に応じた三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*を生成する。
搬送波周波数調整部16は、電流指令生成部11が生成したd軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*、回転位置検出器8が求めた回転位置θ、速度算出部12が求めた回転速度ωrに基づき、ゲート信号の生成に用いられる搬送波の周波数を表す搬送波周波数fcを演算する。なお、搬送波周波数調整部16による搬送波周波数fcの演算方法の詳細については後述する。
三角波生成部17は、搬送波周波数調整部16が演算した搬送波周波数fcに基づき、三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*のそれぞれについて三角波信号(搬送波信号)Trを生成する。
ゲート信号生成部18は、三角波生成部17から出力される三角波信号Trを用いて、dq/三相電圧変換部15から出力される三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*をそれぞれパルス幅変調し、インバータ3の動作を制御するためのゲート信号を生成する。具体的には、dq/三相電圧変換部15から出力される三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と、三角波生成部17から出力される三角波信号Trとの比較結果に基づき、U相、V相、W相の各相に対してパルス状の電圧を生成する。そして、生成したパルス状の電圧に基づき、インバータ3の各相のスイッチング素子に対するパルス状のゲート信号を生成する。このとき、各相の上アームのゲート信号Gup、Gvp、Gwpをそれぞれ論理反転させ、下アームのゲート信号Gun、Gvn、Gwnを生成する。ゲート信号生成部18が生成したゲート信号は、モータ制御装置1からインバータ3のPWM信号駆動回路32に出力され、PWM信号駆動回路32によってPWM信号に変換される。これにより、インバータ回路31の各スイッチング素子がオン/オフ制御され、インバータ3の出力電圧が調整される。
続いて、本実施形態の特徴である搬送波周波数調整部16の詳細について説明する。
まず、搬送波周波数調整部16の説明をする前に、従来のモータ制御の課題について説明する。図3は、モータ2の駆動時における振動や騒音の発生とその伝達経路を説明する図である。
図3(a)に示すように、モータ2は、モータ取付部によりたとえば車両ボディ等の構造物に設置される。モータ2の駆動時には、出力軸であるシャフトに接続された減速ギアの噛み合い力の変化やシャフトのねじれなどにより、シャフトに対して周方向(軸周り方向)に軸振動(トルク脈動)が発生する。また、モータ2の周方向および径方向には、それぞれの電磁力に応じた加振力(電磁加振力)により、電磁騒音となる振動がそれぞれ発生する。これらの振動の大きさは、モータ2を含む構造系の固有モードと固有周波数によって異なり、モータ2の動作点に応じて変化する。
このように、モータ2の駆動時における振動や騒音は複数の発生要因が考えられる。本発明では、このうちモータ2の周方向と径方向の電磁力による振動・騒音に着目し、これを抑制するようにしている。
モータ2の駆動時に発生した周方向と径方向の電磁力による振動・騒音は、図3(b)に示すように、モータ取付部等の構造伝達系を経由して車両側に入力され、振動や騒音を発生させる。
インバータ3は、モータ制御装置1から入力されるゲート信号に基づいてPWM信号を生成し、そのPWM信号に応じてインバータ回路31の各スイッチング素子をスイッチング動作させることにより、任意の周波数で交流電圧を発生してモータ2に印加する。この交流電圧により、モータ2において交流電流が流れることで、周方向と径方向に電磁力がそれぞれ発生する。
ここで、インバータ回路31が有する各スイッチング素子のスイッチング動作の周波数(スイッチング周波数)には、スイッチング損失等の制約による上限値が存在する。そのため、交流電圧の周波数が高くなってスイッチング周波数に近づくと、スイッチング周波数の上限値に応じて交流電圧の1正弦波あたりのスイッチングパルス数が制限される。一方、近年ではモータ2への小型化要求の高まりに応じてモータ2を高周波駆動させるため、モータ2に印加される交流電圧が高周波数化される傾向にある。そこで、本実施形態のモータ制御装置1では、三角波信号(搬送波信号)Trと三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*との位相を一定とする同期PWM制御を採用して、インバータ3の各スイッチング素子に対するゲート信号を生成するようにしている。
スイッチング周波数をfcとし、モータ2に印加される交流電圧の基本波周波数、すなわち正弦波である三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の周波数をf1とすると、これらの比fc/f1は、交流電圧の1正弦波あたりのスイッチングパルス数を表している。同期PWM制御では、このスイッチングパルス数fc/f1に起因した時間高調波が交流電圧において発生することが知られている。例えば、fc/f1=9の場合を代表例として説明すると、この場合には相電圧ベースで、時間5次(fc-4f1)、時間7次(fc-2f1)、時間11次(fc+2f1)、時間13次(fc+4f1)、時間17次(2fc-f1)、時間19次(2fc+f1)などの時間高調波電圧が発生する。また、これらを回転座標変換したdq軸電圧ベースでは、時間6次(fc-3f1)、時間12次(fc+3f1)、時間18次(2fc)などの時間高調波電圧が発生する。これらの時間高調波電圧がモータ2に印可されると、モータ2に流れる交流電流において、時間高調波電圧の各次数成分に応じた高調波が重畳される。こうした高調波電流は、モータ2においてトルク脈動や加振力の脈動を引き起こし、大きな振動や騒音が発生してしまうことがある。すなわち、インバータ3が行う同期PWM制御により、モータ2では、時間6次(fc-3f1)、時間12次(fc+3f1)、時間18次(2fc)などのトルク脈動が発生することになる。
図4は、1正弦波あたりのスイッチングパルス数と時間高調波電圧の関係を説明する図である。図4では上から順に、同期21パルス(fc/f1=21)、同期9パルス(fc/f1=9)、同期3パルス(fc/f1=3)のそれぞれについて、電圧指令Vu*と搬送波信号Trとの関係、および生成される交流電圧の周波数解析結果を示している。これらの図から、1正弦波あたりのスイッチングパルス数が減少すると、特に低次数側において、交流電圧に含まれる時間高調波成分が増大することが分かる。
以上説明したような交流電圧の時間高調波に起因したモータ2のトルク脈動や加振力脈動は、スイッチングパルス数の制約上、従来ではあまり対処されていなかった。そのため従来のモータ制御では、同期PWM制御によるモータ駆動中に、モータ回転数に比例した振動・騒音が発生するという課題があった。
そこで本発明では、以下の着眼点に注目し、モータ2において発生する高調波電流の各次数成分のピークを抑制し、同期PWM制御によるモータ駆動中の振動・騒音を低減するようにしている。
まず、本実施形態における高調波電流ピークの抑制方法の基本的な考え方について、図5、図6を参照して以下に説明する。図5は、変調波であるU相電圧指令Vu*と搬送波である三角波信号Trとの間の位相差(以下、「変調波/搬送波位相差」と称する)を変化させた場合の、これらの電圧波形の関係を示した図である。図5(a)は、変調波/搬送波位相差を-90degとした場合の搬送波と変調波の電圧波形を、図5(b)は、変調波/搬送波位相差を0degとした場合の搬送波と変調波の電圧波形を、図5(c)は、変調波/搬送波位相差を90degとした場合の搬送波と変調波の電圧波形をそれぞれ示している。図5(a)の場合、変調波のゼロクロス立ち上がり時に搬送波である三角波は谷となり、図5(b)の場合、変調波のゼロクロス立ち上がり時に三角波はゼロクロス立ち下がりとなり、図5(c)の場合、変調波のゼロクロス立ち上がり時に三角波は山となっている。このように、変調波/搬送波位相差を変化させることで、以下で説明するように、PWM制御によって得られるU相交流電圧Vuの振幅を一定としたままで、基本波成分以外の高調波成分の位相を自在に変化させることができる。
なお、図5(a)~図5(c)では、説明の都合上、変調波と搬送波の周波数比を15としているが、本発明はこれに限定されない。また、図5(a)~図5(c)では、変調波の例としてU相電圧指令Vu*を示しているが、他相の電圧指令、すなわちV相電圧指令Vv*やW相電圧指令Vw*についても、図5と同様に変調波/搬送波位相差を設定することで、基本波成分以外の高調波成分の位相を自在に変化させることが可能である。
図6は、変調波であるU相電圧指令Vu*と搬送波である三角波信号Trとの位相差を変化させた場合に、インバータ3からモータ2へ出力されるU相交流電圧Vuの高調波成分を示す図である。図6(a)では、図5(a)~図5(c)に示した変調波/搬送波位相差、すなわち-90deg、0deg、90degの各位相差でのU相交流電圧Vuの高調波成分ごとの振幅を示し、図6(b)では、これらの各位相差でのU相交流電圧Vuの高調波成分ごとの位相を示している。なお、図6(a)、図6(b)では、U相交流電圧Vuの1次成分として、基本波成分の振幅と位相をそれぞれ示している。また、図6(b)では、図6(a)において振幅が比較的大きい11次、13次、17次、19次、29次、31次の各高調波成分について、基本波成分の位相を-135degとしたときの位相をそれぞれ示している。
図6(a)より、変調波/搬送波位相差を変更しても、インバータ3から出力されるU相交流電圧Vuにおいて、1次(基本波)を含む各次数成分の振幅は変化しないことが確認される。つまり、変調波/搬送波位相差を変化させても、モータ2のトルク出力値は変わらないことが分かる。一方、図6(b)より、U相交流電圧Vuの1次(基本波)成分以外の各高調波成分の位相は、変調波/搬送波位相差に応じて変化することが分かる。つまり、変調波/搬送波位相差を変化させることは、U相交流電圧Vuの基本波成分以外の高調波成分の位相を変化させることと等価と言える。
なお、図6(a)、図6(b)では、インバータ3から出力される三相交流電圧のうち、U相交流電圧Vuの周波数解析結果を示しているが、他相の交流電圧、すなわちV相交流電圧VvやW相交流電圧Vwについても、図6(a)、図6(b)と同様の周波数解析結果が得られる。したがって、変調波/搬送波位相差を変化させることにより、インバータ3から出力される三相交流電圧の基本波成分以外の高調波成分の位相を任意に変化させることが可能となる。
以上説明したように、変調波/搬送波位相差を変更することで、モータ2のトルク出力値を維持しつつ、インバータ3から出力される三相交流電圧の各高調波成分の位相を変化させることが可能となる。したがって、変調波/搬送波位相差を所定のタイミングでランダムに切り替えて、これによりモータ2の交流電圧に含まれる時間高調波の位相を拡散させることで、モータ2における高調波電流のピークを抑制し、高調波電流に起因して発生する振動・騒音を低減できることが分かる。
本実施形態では、上記の考え方に基づき、搬送波周波数調整部16において、変調波/搬送波位相差を所定のタイミングでランダムに切り替えるように、搬送波周波数fcを決定する。この搬送波周波数fcに従って三角波生成部17が生成する三角波信号Trの周波数を逐次的に制御することで、トルク指令T*に応じた三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の電圧波形に対して、搬送波である三角波信号Trの周期と位相がそれぞれ所望の関係となるように調整する。なお、ここでの所望の関係とは、三角波信号Trを三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に同期させる同期PWM制御を維持しつつ、三角波信号Trと三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の位相差がランダムに変化するような関係のことを指す。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る搬送波周波数調整部16のブロック図である。搬送波周波数調整部16は、同期PWM搬送波数選択部161、電圧位相演算部162、電圧位相誤差演算部163、同期搬送波周波数演算部164、搬送波周波数設定部165を有する。
同期PWM搬送波数選択部161は、回転速度ωrに基づき、同期PWM制御における電圧波形の1周期に対する搬送波の数を表す同期PWM搬送波数Ncを選択する。同期PWM搬送波数選択部161は、例えば3の倍数のうちNc=3×(2×n-1)の条件式を満たす数を、同期PWM搬送波数Ncとして選択する。この条件式において、nは任意の自然数を表しており、例えばn=1(Nc=3)、n=2(Nc=9)、n=3(Nc=15)などが選ばれることが多い。また、特殊な搬送波を用いることで、例えばNc=6やNc=12など、3の倍数であっても上記の条件式を満たさない数を同期PWM搬送波数Ncとして選定することも可能である。なお、同期PWM搬送波数選択部161は、回転速度ωrだけでなく、トルク指令T*に基づいて、同期PWM搬送波数Ncの選択を行ってもよい。また、例えばヒステリシスを設定するなど、回転速度ωrが上昇するときと下降するときとで、同期PWM搬送波数Ncの選択基準を変化させてもよい。
電圧位相演算部162は、d軸電圧指令Vd*およびq軸電圧指令Vq*と、回転位置θと、回転速度ωrと、搬送波周波数fcに基づいて、以下の式(1)~(4)により電圧位相θvを演算する。電圧位相θvは、インバータ3に対する電圧指令である三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の位相を表している。
θv=θ+φv+φdqv+0.5π ・・・(1)
φv=ωr・1.5Tc ・・・(2)
Tc=1/fc ・・・(3)
φdqv=atan(Vq/Vd) ・・・(4)
ここで、φvは電圧位相の演算遅れ補償値を、Tcは搬送波周期を、φdqvはd軸からの電圧位相をそれぞれ表すものとする。演算遅れ補償値φvは、回転位置検出器8が回転位置θを取得してからモータ制御装置1がインバータ3にゲート信号を出力するまでの間に、1.5制御周期分の演算遅れが発生することを補償する値である。なお、本実施形態では、式(1)右辺の第4項で0.5πを加算している。これは、式(1)右辺の第1項~第3項で演算される電圧位相がcos波であるため、これをsin波に視点変換するための演算である。
電圧位相誤差演算部163は、同期PWM搬送波数選択部161により選択された同期PWM搬送波数Ncと、電圧位相演算部162により演算された電圧位相θvとに基づき、電圧位相誤差Δθvを演算する。電圧位相誤差Δθvは、インバータ3に対する電圧指令である三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と、パルス幅変調に用いる搬送波である三角波信号Trとの位相差を表している。電圧位相誤差演算部163が所定の演算周期ごとに電圧位相誤差Δθvを演算することで、搬送波周波数調整部16において、インバータ3に対する電圧指令とパルス幅変調に用いる搬送波との位相差をランダムに変化させるように、三角波信号Trの周波数調整を行うことができる。なお、電圧位相誤差演算部163による電圧位相誤差Δθvの演算方法の詳細は後述する。
同期搬送波周波数演算部164は、以下の式(5)に従い、電圧位相誤差演算部163により演算された電圧位相誤差Δθvと、回転速度ωrと、同期PWM搬送波数選択部161により選択された同期PWM搬送波数Ncに基づき、同期搬送波周波数fcsを演算する。
fcs=ωr・Nc・(1+Δθv・K)/(2π)・・・(5)
同期搬送波周波数演算部164は、例えばPLL(Phase Locked Loop)制御により、式(5)に基づく同期搬送波周波数fcsを演算することができる。なお、式(5)においてゲインKは一定値としてもよいし、条件により可変としてもよい。
搬送波周波数設定部165は、回転速度ωrに基づいて、同期搬送波周波数演算部164により演算された同期搬送波周波数fcsと、非同期搬送波周波数fcnsとのいずれかを選択し、搬送波周波数fcとして出力する。非同期搬送波周波数fcnsは、搬送波周波数設定部165において予め設定された一定値である。なお、予め非同期搬送波周波数fcnsを複数用意しておき、その中でいずれかを回転速度ωrに応じて選択してもよい。例えば、回転速度ωrの値が大きいほど非同期搬送波周波数fcnsの値が大きくなるように、搬送波周波数設定部165において非同期搬送波周波数fcnsを選択し、搬送波周波数fcとして出力することができる。
次に、搬送波周波数調整部16のうち、電圧位相誤差演算部163における電圧位相誤差Δθvの演算方法の詳細について説明する。
図8は、本発明の第1の実施形態に係る電圧位相誤差演算部163のブロック図である。電圧位相誤差演算部163は、拡散値更新判断部1631、キャリア位相シフト量拡散値演算部1632、基準電圧位相演算部1633、加算部1634、減算部1635を有する。
拡散値更新判断部1631は、電圧位相演算部162により演算された電圧位相θvに基づいて、以下で説明するような方法により、キャリア位相シフト量拡散値演算部1632が演算するキャリア位相シフト量拡散値Dc(以下、「拡散値Dc」と称する)を更新するか否かを判断する。その結果、拡散値Dcを更新すると判断した場合は、更新信号Duをキャリア位相シフト量拡散値演算部1632に出力することで、拡散値Dcを更新させるようにする。
搬送波周波数調整部16では、前述のように、三角波信号Trを三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に同期させるための制御である同期PWM制御が行われる。この同期PWM制御では、同期PWM搬送波数選択部161が選択した同期PWM搬送波数Ncに応じて、三角波信号Trの周波数が三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の周波数の整数倍となるように、三角波信号Trの周波数が制御される。拡散値更新判断部1631は、電圧位相θvに基づいて、同期PWM制御の収束を判断し、収束したと判断した場合に、拡散値Dcを更新すると判断して更新信号Duを出力する。
具体的には、拡散値更新判断部1631は、前回の更新信号Duの出力時点からの電圧位相θvの変化量が所定の指定位相、例えば三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の1周期分に相当する360degを超えたときに、同期PWM制御が収束したと判断する。あるいは、電圧位相θvに基づいて演算された電圧位相誤差Δθvが所定の範囲内、例えば1deg以下の範囲内に収束したときに、同期PWM制御が収束したと判断してもよい。ここで、図8に示すように電圧位相誤差Δθvは、拡散値更新判断部1631が含まれる電圧位相誤差演算部163の出力値である。そのため、前回の電圧位相誤差演算部163の出力をフィードバックして拡散値更新判断部1631に入力することで、電圧位相誤差Δθvが所定の範囲内に収束したか否かを判断することが可能である。これ以外にも、ゲート信号生成部18が生成するゲート信号において所望のパルス形状が得られるように、三角波信号Trの周波数が調整されたことを確認できれば、任意の方法で同期PWM制御の収束を判断することができる。
また、拡散値更新判断部1631による同期PWM制御の収束判断のタイミングをランダムに変化させてもよい。例えば、前述のように電圧位相θvの変化量に基づいて同期PWM制御の収束を判断する場合は、電圧位相θvの変化量と比較される指定位相をランダムに変化させる。あるいは、前述のように電圧位相誤差Δθvに基づいて同期PWM制御の収束を判断する場合は、電圧位相誤差Δθvが収束したと判断する範囲をランダムに変化させる。その際、同期PWM制御の収束までの期間を均一化するために、同期搬送波周波数演算部164が同期搬送波周波数fcsを演算するための前述の式(5)において、ゲインKの値を変化させるようにしてもよい。
キャリア位相シフト量拡散値演算部1632は、拡散値更新判断部1631から出力される更新信号Duに応じて、電圧位相誤差Δθvを所定の角度範囲内でランダムに変化させるための拡散値Dcを以下のようにして演算する。
図9は、本発明の第1の実施形態に係るキャリア位相シフト量拡散値演算部1632のブロック図である。キャリア位相シフト量拡散値演算部1632は、乱数発生器16321、前回値保持部16322、切替部16323を有する。
乱数発生器16321は、前述の変調波/搬送波位相差の変更範囲に相当する所定の拡散範囲内でランダムに変化する乱数を発生する。例えば、線形合同法などの周知の疑似乱数生成方法を用いて、0を中心に±180degの拡散範囲内で一様に分布する乱数を発生する。このとき、一様分布ではなく、特定の分布パターンに従って重み付けされた乱数を発生してもよいし、経時的に分布パターンを変化させてもよい。また、ランダムに変化する乱数ではなく、例えば正弦波状などの特定の変化パターンに従って変化する乱数を発生してもよい。さらに、乱数の拡散範囲は、変調波/搬送波位相差として設定可能な全範囲(±180deg)ではなく、例えば±45degのように限定された範囲としてもよいし、経時的に拡散範囲を変化させてもよい。これ以外にも、モータ2に流れる交流電流において低減しようとする高調波電流のピークの範囲や大きさに応じて、任意の拡散範囲を設定することが可能である。すなわち、モータ制御装置1では、乱数発生器16321において設定された拡散範囲に応じて、-180degから+180degまでの範囲を上限とする所定の範囲内で、電圧位相誤差演算部163によって演算される電圧位相誤差Δθvをランダムに変化させることができる。その結果、モータ2に流れる交流電流における高調波電流のピークを、任意の範囲や大きさで低減することができる。
前回値保持部16322は、キャリア位相シフト量拡散値演算部1632が前回出力した拡散値Dcを保持する。
切替部16323は、拡散値更新判断部1631から出力される更新信号Duを用いて乱数発生器16321または前回値保持部16322のいずれか一方を選択し、選択した方の出力値を拡散値Dcとして出力する。具体的には、拡散値更新判断部1631から更新信号Duが出力された場合は、乱数発生器16321が発生した乱数を拡散値Dcとして出力することで、拡散値Dcを更新する。一方、拡散値更新判断部1631から更新信号Duが出力されていない場合は、前回値保持部16322が保持している前回の拡散値Dcを出力することで、拡散値Dcを更新せずに前回の値をそのまま維持する。
キャリア位相シフト量拡散値演算部1632は、以上説明したようにして拡散値Dcを演算する。これにより、電圧位相誤差演算部163において、拡散値更新判断部1631により拡散値Dcを更新しないと判断された場合は、キャリア位相シフト量拡散値演算部1632による前回の拡散値Dcの演算結果を保持することができる。また、拡散値更新判断部1631により拡散値Dcを更新すると判断された場合は、キャリア位相シフト量拡散値演算部1632による今回の拡散値Dcの演算結果を用いて拡散値Dcを更新することができる。
図10は、キャリア位相シフト量拡散値演算部1632による拡散値Dcの演算結果の例を示す図である。図10では、乱数発生器16321が発生する乱数の拡散範囲、すなわち拡散値Dcの拡散範囲を±180degとし、この拡散範囲内で一様に分布する拡散値Dcを演算した例を示している。図10において、符号601に例示する各点は、所定時間ごとに演算された拡散値Dcを表している。
図8の説明に戻ると、基準電圧位相演算部1633は、同期PWM搬送波数選択部161により選択された同期PWM搬送波数Ncに基づいて、同期PWM制御における搬送波の位相を定めるための基準電圧位相θvbを演算する。
図11は、基準電圧位相演算部1633が実施する基準電圧位相演算の概念図である。基準電圧位相演算部1633は、例えば図11に示すように、0から2πの間で同期PWM搬送波数Ncに応じた段数で階段状に変化する基準電圧位相θvbを演算する。なお、図11では説明を分かりやすくするため、同期PWM搬送波数Ncが3であるときの例を示しているが、実際には同期PWM搬送波数Ncは、前述のようにNc=3、9または15とすることが好ましい。あるいは、Nc=6または12としてもよい。
本実施形態では処理負荷低減のため、例えば図11に示すように、三角搬送波が最小値(谷)から最大値(山)まで上昇する区間である谷割り区間でのみ、搬送波周波数調整部16が搬送波の周波数を調整可能とする。この場合、同期搬送波周波数演算部164では、搬送波の谷割り区間において、電圧位相誤差Δθvから同期搬送波周波数fcsを逐次的に演算することで、同期PWM制御を実施する。基準電圧位相演算部1633は、この電圧位相誤差Δθvの演算に用いられる基準電圧位相θvbを、図11に示すようにπ/3間隔で変化する離散値として算出する。なお、この基準電圧位相θvbの間隔は、同期PWM搬送波数Ncに応じて変化する。同期PWM搬送波数Ncが大きくなるほど、基準電圧位相θvbの間隔が小さくなる。
具体的には、基準電圧位相演算部1633は、以下の式(6)~(7)に従い、電圧位相θv、同期PWM搬送波数Ncに基づいて基準電圧位相θvbを演算する。
θvb=int(θv/θs)・θs+0.5θs ・・・(6)
θs=2π/Nc ・・・(7)
ここで、θsは搬送波1つあたりの電圧位相θvの変化幅を表し、intは小数点以下の切り捨て演算を表すものとする。
なお、本実施形態では、三角搬送波が最大値(山)から最小値(谷)まで下降する区間である山割り区間で基準電圧位相θvbが0radとなるように、基準電圧位相演算部1633において式(6)~(7)に従い基準電圧位相θvbを演算している。しかしながら、基準電圧位相θvbが0radとなる期間は山割り区間に限らない。電圧位相θvを用いて、0から2πの間で同期PWM搬送波数Ncに応じた段数で階段状に変化する基準電圧位相θvbを演算できれば、式(6)~(7)以外の演算方法により、基準電圧位相演算部1633が基準電圧位相θvbの演算を行ってもよい。
加算部1634は、基準電圧位相演算部1633にて演算した基準電圧位相θvbに、キャリア位相シフト量拡散値演算部1632にて演算した拡散値Dcを加算することで、補正基準電圧位相θvb2を演算する。これにより、変調波/搬送波位相差を所定のタイミングでランダムに切り替えて三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の各高調波成分の位相を拡散させるように、電圧位相誤差Δθvに対する補正基準電圧位相θvb2を演算することができる。
減算部1635は、電圧位相θvから補正基準電圧位相θvb2を減算し、電圧位相誤差Δθvを演算する。
図12は、本発明の第1の実施形態に係る電圧位相誤差演算部163の演算処理を示すフローチャートである。
ステップS101では、拡散値更新判断部1631により、拡散値Dcを更新するか否かを判断する。更新すると判断した場合は更新信号Duを出力してステップS102へ進み、更新しないと判断した場合はステップS103へ進む。
ステップS102では、キャリア位相シフト量拡散値演算部1632により、拡散値Dcの演算を行い、拡散値Dcを更新する。このときキャリア位相シフト量拡散値演算部1632は、更新信号Duに応じて、乱数発生器16321で発生した乱数を切替部16323により選択し、拡散値Dcとして出力する。その後、ステップS104へ進む。
ステップS103では、キャリア位相シフト量拡散値演算部1632により、前回の拡散値Dcを保持する。このときキャリア位相シフト量拡散値演算部1632は、前回値保持部16322で保持されている前回の拡散値Dcを切替部16323により選択し、拡散値Dcとして出力する。その後、ステップS104へ進む。
ステップS104では、基準電圧位相演算部1633により、基準電圧位相θvbを演算する。
ステップS105では、加算部1634および減算部1635により、ステップS102またはS103でキャリア位相シフト量拡散値演算部1632が求めた拡散値Dcと、ステップS104で基準電圧位相演算部1633が求めた基準電圧位相θvbとを用いて、電圧位相誤差Δθvを演算する。
電圧位相誤差演算部163では、以上説明したようにして、電圧位相誤差Δθvの演算を行う。これにより、三角波信号Trを三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に同期させる同期PWM制御を維持しつつ、三角波信号Trと三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の位相差をランダムに変化させるように、電圧位相誤差Δθvを決定することができる。その結果、モータ2において生じる高調波電流のピークを抑制し、それによってトルク脈動や電磁加振力を低減させるように、搬送波周波数fcを設定することができる。
本実施形態のモータ制御装置1によるモータ2の振動・騒音の低減効果について、以下に図13、図14を参照して説明する。図13は、Nc=9の場合における本実施形態のモータ制御方法の適用の有無によるU相電流の高調波と拡散値Dcの変化の様子の例を示している。図14は、Nc=15の場合における本実施形態のモータ制御方法の適用の有無によるU相電流の高調波と拡散値Dcの変化の様子の例を示している。なお、図13(a)および図14(a)では、U相電圧指令Vu*に対する三角波信号Trの拡散値Dcを0に固定した場合、すなわち、本実施形態のモータ制御方法を適用しない場合の、U相電流の各高調波の次数成分ごとの大きさの例を示している。一方、図13(b)および図14(b)では、本実施形態のモータ制御方法を適用し、U相電圧指令Vu*に対する三角波信号Trの拡散値Dcの拡散範囲を±180degに設定した場合の、U相電流の各高調波の次数成分ごとの大きさの例を示している。また、図13(c)および図14(c)では、拡散値Dcの拡散範囲を±180degに設定した場合の拡散値Dcの時間変化の様子を示している。
図13、図14いずれの場合でも、本実施形態のモータ制御方法を適用することで、U相電流に含まれる各高調波が拡散され、それによって高調波電流のピークが低減していることが確認できる。したがって、モータ2の振動・騒音の低減効果が得られることが分かる。
なお、図13、図14では、説明の都合上、Nc=9の場合とNc=15の場合のみを示しているが、本発明はこれに限定されず、任意の同期PWM搬送波数Ncについて適用可能である。また、図13、図14では、U相電圧指令Vu*に対する三角波信号Trについて、拡散値Dcを0に固定した場合と±180degの拡散範囲で拡散させた場合の例を示しているが、他相の電圧指令、すなわちV相電圧指令Vv*やW相電圧指令Vw*に対する三角波信号Trについても、同様に拡散値Dcを所定の拡散範囲で拡散させることにより、各相の高調波電流のピークを低減し、モータ2の振動・騒音の低減効果を得ることが可能である。さらに、拡散値Dcの拡散範囲は±180degに限らず、任意の拡散範囲を設定することで、高調波電流のピークを低減し、モータ2の振動・騒音の低減効果を得ることが可能である。
以上説明した実施形態によれば、スイッチングパルス数の減少に伴って顕在化する時間高調波に起因したモータ2の振動や騒音を、インバータ3のスイッチング損失の悪化を避けつつ実現できる。そのため、モータ駆動システムの低振動化・低騒音化に寄与できる。これにより、従来のモータ駆動システムでは必要であった制振材や吸音材などの振動・騒音対策用の部材を本実施形態では削減できるため、低コスト化や軽量化にも寄与できる。
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)モータ制御装置1は、直流電力から交流電力への電力変換を行うインバータ3と接続され、その交流電力を用いて駆動するモータ2の駆動を制御するものであって、搬送波である三角波信号Trを生成する三角波生成部17と、三角波信号Trの周波数を表す搬送波周波数fcを調整する搬送波周波数調整部16と、三角波信号Trを用いてトルク指令T*に応じた三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*をパルス幅変調し、インバータ3の動作を制御するためのゲート信号を生成するゲート信号生成部18とを備える。モータ制御装置1は、三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と三角波信号Trとの位相差をランダムに変化させる。このようにしたので、モータ2に流れる交流電流における高調波電流のピークを低減することができる。その結果、モータ2で発生する振動や騒音を効果的に抑制することができる。
(2)搬送波周波数調整部16は、三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と三角波信号Trの位相差をランダムに変化させるように、搬送波周波数fcを調整する。具体的には、電圧位相誤差演算部163において、所定の拡散範囲内でランダムに変化する拡散値Dcを演算し、この拡散値Dcに基づいて搬送波周波数fcを調整する。このようにしたので、同期PWM制御を維持しつつ、三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と三角波信号Trの位相差のランダムな変化を確実かつ容易に実現できる。
(3)搬送波周波数調整部16の電圧位相誤差演算部163は、三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の位相を表す電圧位相θvに基づいて拡散値Dcを更新するか否かを判断する拡散値更新判断部1631と、拡散値Dcを演算するキャリア位相シフト量拡散値演算部1632とを有する。そして、拡散値更新判断部1631により拡散値Dcを更新しないと判断された場合は、キャリア位相シフト量拡散値演算部1632による前回の拡散値Dcの演算結果を保持し、拡散値更新判断部1631により拡散値Dcを更新すると判断された場合は、キャリア位相シフト量拡散値演算部1632による今回の拡散値Dcの演算結果を用いて拡散値Dcを更新する。このようにしたので、適切なタイミングで拡散値Dcを更新し、三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と三角波信号Trの位相差をランダムに変化させることができる。
(4)拡散値更新判断部1631は、三角波信号Trを三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に同期させるための同期PWM制御が収束したか否かを電圧位相θvに基づいて判断し、同期PWM制御が収束したと判断した場合に、拡散値Dcを更新すると判断する。具体的には、拡散値更新判断部1631は、電圧位相θvの変化量が所定の指定位相を超えたとき、または、三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と三角波信号Trの位相差を表す電圧位相誤差Δθvが所定の範囲内に収束したときに、同期PWM制御が収束したと判断する。このようにしたので、拡散値Dcを適切なタイミングで更新することができる。
(5)モータ制御装置1は、三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と三角波信号Trとの位相差を、-180degから+180degまでの範囲を上限とする所定の範囲内でランダムに変化させる。このようにしたので、モータ2に流れる交流電流における高調波電流のピークを、任意の範囲や大きさで低減することができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について図面を用いて説明する。
図15は、第2の実施形態における機電一体ユニット71の外観斜視図である。
機電一体ユニット71は、第1の実施形態で説明したモータ駆動システム100(モータ制御装置1、モータ2およびインバータ3)を含んで構成される。モータ2とインバータ3はバスバー712を介して結合部713で接続される。モータ2の出力がギア711を介し、図示省略したディファレンシャルギアへと伝達され、車軸へと伝達される。なお、図15ではモータ制御装置1の図示を省略しているが、モータ制御装置1は任意の位置に配置することができる。
この機電一体ユニット71の特徴は、モータ2とインバータ3とギア711とが一体となった構造である。機電一体ユニット71では、このような一体構造により、モータ2で発生した時間高調波に起因した振動・騒音がインバータ3やギア711を揺らしたときに共振が生じる場合があり、その場合には振動・騒音が悪化する。しかしながら、第1の実施形態で説明したモータ制御装置1を用いてモータ2の駆動を制御することで、モータ2において発生する振動・騒音の発生周波数を拡散させ、そのピーク値を低減できるため、低振動・低騒音な機電一体ユニットを実現できる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について図面を用いて説明する。
図16は、第3の実施形態におけるハイブリッドシステム72の構成図である。
図16に示すように、ハイブリッドシステム72は、第1の実施形態で説明したモータ駆動システム100(モータ制御装置1、モータ2、インバータ3、高圧バッテリ5、電流検出部7、回転位置検出器8)と、これと同様のモータ駆動システム101(モータ制御装置1、モータ2a、インバータ3a、高圧バッテリ5、電流検出部7a、回転位置検出器8a)とを含んで構成される。モータ駆動システム100,101は、モータ制御装置1と高圧バッテリ5を共有している。
モータ2aには、回転子の回転位置θaを検出するための回転位置センサ4aが取り付けられている。回転位置検出器8aは、回転位置センサ4aの入力信号から回転位置θaを演算し、モータ制御装置1に出力する。インバータ3aとモータ2aの間には、電流検出部7aが配置されている。
インバータ3aは、インバータ回路31a、PWM信号駆動回路32aおよび平滑キャパシタ33aを有する。PWM信号駆動回路32aは、インバータ3のPWM信号駆動回路32と共通のモータ制御装置1に接続されており、モータ制御装置1から入力されるゲート信号に基づいて、インバータ回路31aが有する各スイッチング素子を制御するためのPWM信号を生成し、インバータ回路31aに出力する。インバータ回路31aおよび平滑キャパシタ33aは、インバータ回路31および平滑キャパシタ33と共通の高圧バッテリ5に接続されている。
モータ制御装置1には、モータ2に対するトルク指令T*と、モータ2aに対するトルク指令Ta*とが入力される。モータ制御装置1は、これらのトルク指令に基づき、第1の実施形態で説明したような方法でモータ2,2aの駆動を制御するためのゲート信号をそれぞれ生成し、インバータ3,3aにそれぞれ出力する。すなわち、モータ制御装置1が有する搬送波周波数調整部16の電圧位相誤差演算部163により、モータ2,2aで発生する振動や騒音をそれぞれ抑制できるように、電圧位相誤差Δθvを演算して搬送波である三角波信号Trの周波数を調整する。なお、電圧位相誤差演算部163において、キャリア位相シフト量拡散値演算部1632は、インバータ3、3aのそれぞれに別の拡散値Dcを設定してもよい。
モータ2には、エンジンシステム721とエンジン制御部722が接続されている。エンジンシステム721は、エンジン制御部722の制御により駆動し、モータ2を回転駆動させる。モータ2は、エンジンシステム721により回転駆動されることで発電機として動作し、交流電力を発生する。モータ2が発生した交流電力は、インバータ3により直流電力に変換され、高圧バッテリ5に充電される。これにより、ハイブリッドシステム72をシリーズハイブリッドシステムとして機能させることができる。なお、エンジンシステム721とエンジン制御部722は、モータ2aに接続可能としてもよい。
本実施形態によれば、第1の実施形態で説明したモータ制御装置1を用いて、図16のハイブリッドシステム72が実現されることで、時間高調波に起因したモータ2,2aの振動・騒音の低減という効果が得られる。そのため、従来のハイブリッドシステムでは振動・騒音対策のために必要であった制振材や吸音材などを削減できる。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態では、電動パワーステアリングシステムへの適用例を説明する。
図17は、本発明の第4の実施形態に係る電動パワーステアリングシステムの構成を示す図である。電動パワーステアリングシステム61は、第1の実施形態で説明したモータ制御装置1と、冗長化された駆動系統102A,102Bとを含む駆動制御システム75を有している。電動パワーステアリングシステム61は、ステアリングホイール62の回転トルクをトルクセンサ63により検知し、その回転トルクに基づいて駆動制御システム75を動作させる。これにより、駆動制御システム75が有するモータ2の回転駆動力を用いて、ステアリングホイール62の入力に応じたアシストトルクを発生し、ステアリングアシスト機構64を介してステアリング機構65へ出力することで、運転者のステアリング操作をアシストする。その結果、ステアリング機構65によってタイヤ66が転舵され、車両の進行方向が制御される。
一般的に車両の電動パワーステアリングシステムは、ステアリングホイールを介してドライバに直結しているため、振動や騒音がドライバに伝わりやすく、振動や騒音に対する要求仕様が高い。特に、ドライバがステアリングホイールを高速で回転している状態では、他の発生要因と比較して、モータの動作が振動や騒音の原因として支配的となる。これに対して、本実施形態の電動パワーステアリングシステム61は、ドライバがステアリングホイール62を高速で回転している状態での振動を効果的に低減できるため、低振動かつ低騒音な電動パワーステアリングシステムを実現できる。
図18は、本発明の第4の実施形態に係る電動パワーステアリングシステム61における駆動制御システム75の構成を示す図である。駆動制御システム75において、冗長化された駆動系統102A,102Bには、モータ制御装置1、モータ2および高圧バッテリ5が共通に接続されている。本実施形態では、モータ2が2つの巻線系統21,22を有しており、一方の巻線系統21が駆動系統102Aを構成し、もう一方の巻線系統22が駆動系統102Bを構成する。
駆動系統102Aは、インバータ3および回転位置検出器8を有しており、巻線系統21に対応する回転子の回転位置θを検出するための回転位置センサ4がモータ2に取り付けられている。インバータ3により生成された交流電力は、モータ2の巻線系統21に流れてモータ2を回転駆動させる。駆動系統102Aにおいて、インバータ3とモータ2の間には、電流検出部7が配置されている。
駆動系統102Bは、インバータ3aおよび回転位置検出器8aを有しており、巻線系統22に対応する回転子の回転位置θaを検出するための回転位置センサ4aがモータ2に取り付けられている。インバータ3aにより生成された交流電力は、モータ2の巻線系統22に流れてモータ2を回転駆動させる。駆動系統102Bにおいて、インバータ3aとモータ2の間には、電流検出部7aが配置されている。なお、インバータ3a、回転位置検出器8a、回転位置センサ4aおよび電流検出部7aは、第3の実施形態で説明した図16のものとそれぞれ同様である。
モータ制御装置1には、モータ2に対するトルク指令T*が入力される。モータ制御装置1は、入力されたトルク指令T*に基づき、第1の実施形態で説明したような方法でモータ2の駆動を制御するためのゲート信号を生成し、インバータ3,3aにそれぞれ出力する。すなわち、モータ制御装置1が有する搬送波周波数調整部16の電圧位相誤差演算部163により、駆動系統102A,102Bで発生する振動や騒音をそれぞれ抑制できるように、電圧位相誤差Δθvを演算して搬送波である三角波信号Trの周波数を調整する。なお、電圧位相誤差演算部163において、キャリア位相シフト量拡散値演算部1632は、インバータ3、3aのそれぞれに別の拡散値Dcを設定してもよい。
本実施形態によれば、第1の実施形態で説明したモータ制御装置1を用いて、図17の電動パワーステアリングシステム61が実現されることで、時間高調波に起因したモータ2の振動・騒音の低減という効果が得られる。そのため、低振動かつ低騒音な電動パワーステアリングシステムを実現できる。
なお、以上説明した各実施形態において、モータ制御装置1内の各構成(図2、図7、図8、図9など)は、ハードウェアによる構成によらず、CPUとプログラムによって各構成の機能を実現するようにしてもよい。モータ制御装置1内の各構成をCPUとプログラムによって実現する場合、ハードウェアの個数が減るため低コスト化できるという利点がある。また、このプログラムは、予めモータ制御装置の記憶媒体に格納して提供することができる。あるいは、独立した記憶媒体にプログラムを格納して提供したり、ネットワーク回線によりプログラムをモータ制御装置の記憶媒体に記録して格納することもできる。データ信号(搬送波)などの種々の形態のコンピュータ読み込み可能なコンピュータプログラム製品として供給してもよい。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限り、本発明の技術思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。また、上述の複数の実施形態を組み合わせた構成としてもよい。
1…モータ制御装置、2…モータ、3…インバータ、4…回転位置センサ、5…高圧バッテリ、7…電流検出部、8…回転位置検出器、11…電流指令生成部、12…速度算出部、13…三相/dq変換部、14…電流制御部、15…dq/三相電圧変換部、16…搬送波周波数調整部、17…三角波生成部、18…ゲート信号生成部、31…インバータ回路、32…PWM信号駆動回路、33…平滑キャパシタ、61…電動パワーステアリングシステム、71…機電一体ユニット、72…ハイブリッドシステム、75…駆動制御システム、100,101…モータ駆動システム、102A,102B…駆動系統、161…同期PWM搬送波数選択部、162…電圧位相演算部、163…電圧位相誤差演算部、164…同期搬送波周波数演算部、165…搬送波周波数設定部、1631…拡散値更新判断部、1632…キャリア位相シフト量拡散値演算部、1633…基準電圧位相演算部、1634…加算部、1635…減算部、16321…乱数発生器、16322…前回値保持部、16323…切替部

Claims (9)

  1. 直流電力から交流電力への電力変換を行う電力変換器と接続され、前記交流電力を用いて駆動する交流モータの駆動を制御するモータ制御装置であって、
    搬送波を生成する搬送波生成部と、
    記搬送波を用いてトルク指令に応じた電圧指令をパルス幅変調し、前記電力変換器の動作を制御するためのゲート信号を生成するゲート信号生成部と、
    前記電圧指令と前記搬送波の位相差をランダムに変化させるための拡散値を演算し、前記位相差が前記拡散値となるように前記搬送波の周波数を調整する搬送波周波数調整部と、を備え、
    前記搬送波周波数調整部は、前記搬送波を前記電圧指令に同期させるための同期PWM制御の収束状態に基づき、前記拡散値を更新するモータ制御装置。
  2. 請求項に記載のモータ制御装置において、
    前記搬送波周波数調整部は、所定の拡散範囲内でランダムに変化する前記拡散値を演算するモータ制御装置。
  3. 請求項に記載のモータ制御装置において、
    前記搬送波周波数調整部は、前記拡散値を更新するか否かを判断し、前記拡散値を更新しないと判断た場合は、前回の前記拡散値の演算結果を保持し、前記拡散値を更新すると判断た場合は、今回の前記拡散値の演算結果を用いて前記拡散値を更新するモータ制御装置。
  4. 請求項に記載のモータ制御装置において、
    前記搬送波周波数調整部は、前記同期PWM制御が収束したか否かを前記電圧指令の位相に基づいて判断するモータ制御装置。
  5. 請求項に記載のモータ制御装置において、
    前記搬送波周波数調整部は、前記電圧指令の位相の変化量が所定の指定位相を超えたとき、または、前記電圧指令と前記搬送波の位相差が所定の範囲内に収束したときに、前記同期PWM制御が収束したと判断するモータ制御装置。
  6. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記電圧指令と前記搬送波の位相差を、-180degから+180degまでの範囲を上限とする所定の範囲内でランダムに変化させるモータ制御装置。
  7. 請求項1乃至のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    前記モータ制御装置に接続された前記電力変換器と、
    前記電力変換器により駆動される前記交流モータと、
    前記交流モータの回転駆動力を伝達するギアと、を備え、
    前記交流モータ、前記電力変換器および前記ギアが一体構造となった機電一体ユニット。
  8. 請求項1乃至のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    前記モータ制御装置に接続された前記電力変換器と、
    前記電力変換器により駆動される前記交流モータと、
    前記交流モータに接続されたエンジンシステムと、を備えるハイブリッドシステム。
  9. 請求項1乃至のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    前記モータ制御装置に接続された前記電力変換器と、
    前記電力変換器により駆動される前記交流モータと、を備え、
    前記交流モータの回転駆動力を用いて運転者のステアリング操作をアシストする電動パワーステアリングシステム。
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