JP6390439B2 - 回転機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、巻線が巻回された固定子を有する回転機と、前記回転機に電気的に接続され、前記巻線に電圧を印加する電力変換回路とを備えるシステムに適用される制御装置に関する。
この種の制御装置としては、下記特許文献1に見られるように、分布巻きの3相同期モータに適用され、このモータを構成するステータに作用する径方向の電磁力変動を抑制するものが知られている。詳しくは、この制御装置では、各相巻線に流す基本波電流に、「6M−1」次、又は「6M+1」次(Mは自然数)の高調波電流を重畳する。これにより、ステータに作用する6M次の電磁力を抑制し、モータの騒音の低減を図っている。
特開2007−312520号公報
ここで、6M次の電磁力を低減させるために、基本波電流に「6M±1」次の高調波電流を重畳すると、「6M±2」次の電磁力が増大する。増大した電磁力の変動角速度がモータの共振モードに対応する角速度近傍となる場合、モータの騒音が増大し得る。
なお、こうした問題を解決すべく、例えば、モータにおける磁束を正弦波化したり、モータの振動が伝達される振動伝達部に防振部材を設けたりすることも考えられる。しかしながら、磁束を正弦波化する対策では、高精度な製造管理が要求されるといった不都合が生じる。また、防振部材を設ける対策では、部品数及び製造コストが増大するといった不都合が生じる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、回転機に作用する電磁力変動であって、騒音の発生要因となる電磁力変動を低減できる回転機の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成すべく、本発明は、巻線(12U〜12W)が巻回された固定子(12)を有する回転機(10)と、前記回転機に電気的に接続され、前記巻線に電圧を印加する電力変換回路(20)とを備えるシステムに適用され、前記巻線に流す基本波電流の変動角速度を基本角速度と定義し、2以上の整数Kと前記基本角速度との乗算値を変動角速度とする電流をK次の高調波電流と定義し、前記回転機に作用する電磁力であって、前記整数Kと前記基本角速度との乗算値を変動角速度とする電磁力をK次の電磁力と定義し、低減対象とする2次以上の電磁力である第1電磁力を、前記第1電磁力の次数とは異なる2次以上の電磁力である第2電磁力に変換するための前記高調波電流であって、前記第1電磁力の次数から前記第2電磁力の次数までに含まれる複数の次数の前記高調波電流を前記基本波電流に重畳する重畳手段(30fU〜30fW,30gU〜30gW)と、前記重畳手段によって前記高調波電流が重畳された基本波電流を前記巻線に流すべく、前記電力変換回路を操作する操作手段(30h)と、を備えることを特徴とする。
上記発明では、第1電磁力を低減させるために1つの高調波電流を基本波電流に重畳する構成と比較して、第1電磁力の変動角速度と第2電磁力の変動角速度とを大きく離間させることができる。このため、変換された第2電磁力を回転機の共振モードに対応する角速度から大きく離間させることができる。これにより、回転機の騒音を低減させることができる。
第1実施形態にかかるモータ制御システムの全体構成図。 モータの断面図。 ロータの共振モードを示す図。 10次から14次への電磁力の変換手法を示す図。 高調波電流が重畳された基本波電流の推移を示す図。 高調波電圧の重畳態様の一例を示すタイムチャート。 高調波電流を重畳した場合の音圧レベルの低減効果を示す図。 第2実施形態にかかる14次から10次への電磁力の変換手法を示す図。 第3実施形態にかかる制御装置30の処理の一部を示すブロック図。 電磁力の低減可能領域を示す図。 電磁力低減効果が得られない場合の一例を示す図。 電磁力低減態様の一例を示す図(θs=120°,240°)。 電磁力低減態様の一例を示す図(120°<θs<180°,180°<θs<240°)。 電磁力低減態様の一例を示す図(θs=180°)。 第3実施形態にかかる効果を示す図。 関連技術にかかる電磁力低減効果が得られないことを示す図。 第4実施形態にかかる制御装置30の処理の一部を示すブロック図。
(第1実施形態)
以下、本発明にかかる制御装置を、車載空調装置を構成するブロワ用モータに適用した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、車載モータ制御システムは、モータ10、「電力変換回路」としての3相インバータ20、及び制御装置30を備えている。モータ10は、インバータ20を介して「直流電源」としてのバッテリ40に電気的に接続されている。
インバータ20は、上アームスイッチS¥p(¥=U,V,W)及び下アームスイッチS¥nの直列接続体を3組備えている。各スイッチS¥p,S¥nの接続点は、モータ10のステータ12(固定子)を構成する¥相のステータ巻線12¥の第1端に接続されている。¥相のステータ巻線12¥の第2端同士は、中性点Nで接続されることによりスター結線されている。スイッチS¥#には、フリーホイールダイオードD¥#が逆並列に接続されている。ちなみに、上記スイッチS¥#(#=p,n)としては、例えば電圧制御形の半導体スイッチング素子(例えば、IGBT又はMOSFET)を用いることができる。
ここで、本実施形態では、モータ10として、集中巻の永久磁石同期機を用いている。特に本実施形態では、モータ10として、図2に示すように、アウタロータ型のモータを用いている。ここで、図2は、モータ10の軸方向(ロータ14の回転軸方向)と直交する面でモータ10を切断した横断面図を示している。なお、図2に示す中心点Oは、回転軸が通る点である。また、図2において、断面を表示するハッチングは省略している。
モータ10は、1つのステータ12と、ステータ12に対して回転可能に配置された円環状のロータ14を備えている。ロータ14は、ロータ14及びステータ12の径方向において、ステータ12の外側にステータ12に対してギャップを有して配置されている。ロータ14は、複数(10個)の永久磁石14aと、これら永久磁石14aを連結する軟磁性体からなるバックヨーク14bとを備えている。これら永久磁石14aのそれぞれは、互いに同一形状をなしており、1つの磁極を構成している。永久磁石14aは、ロータ14の径方向に着磁され、かつ、周方向に隣り合う永久磁石14aの極性は、互いに異なる、つまり、S極とN極とが交互に配置されている。なお、図2において、永久磁石14aに記載されている矢印の矢の部分はN極を示している。
ステータ12は、12個のティース12aを備えている。これにより、ステータ12には、12個のスロット12bが形成されている。12個のティース12aは、スロット12bを介してステータ12の周方向に等ピッチで配列されている。すなわち、本実施形態では、極対数Pが「5」で、スロット数Sが「12」のモータ10を採用している。
図1の説明に戻り、制御装置30は、マイコンを主体として構成され、モータ10の制御量(本実施形態では、回転角速度)をその指令値(以下、指令角速度ωtgt)に制御すべく、インバータ20を操作する。詳しくは、制御装置30は、インバータ20を構成する上,下アームスイッチS¥p,S¥nを操作すべく、上,下アーム操作信号g¥p,g¥nを生成して上,下アームスイッチS¥p,S¥nに対して出力する。ここで、上アーム操作信号g¥pと、対応する下アーム操作信号g¥nとは、互いに相補的な信号となっている。すなわち、上アームスイッチS¥pと、これに直列接続された下アームスイッチS¥nとは、交互にオン状態とされる。ちなみに、指令角速度ωtgtは、例えば、車両おいて制御装置30の外部に設けられ、制御装置30よりも上位の外部装置から出力される。
制御装置30には、ロータ14の磁極位置を検出するための回転角センサ42(例えばレゾルバ)の検出信号が入力される。
続いて、制御装置30によって実行されるモータ10の駆動制御について説明する。電気角演算器30aは、回転角センサ42の検出信号に基づき、モータ10の回転角(電気角θe)を算出する。角速度算出部30bは、電気角演算器30aによって算出された電気角θeに基づき、モータ10の回転角速度ωm(機械角速度)を算出する。偏差算出部30cは、角速度算出部30bによって算出された回転角速度ωmを指令角速度ωtgtから減算することで、速度偏差Δωを算出する。
基本波電圧算出部30d(「基本波算出手段」に相当)は、速度偏差Δω、電気角θe及び回転角速度ωmに基づき、回転角速度ωmを指令角速度ωtgtにフィードバック制御するための操作量として、下式(eq1)にて表される3相固定座標系におけるU,V,W相基本波電圧VUB,VVB,VWBを算出する。本実施形態において、基本波電圧算出部30dは、速度偏差Δωに基づく比例積分制御によってU,V,W相基本波電圧VUB,VVB,VWBを算出する。より具体的には、上記比例積分制御により、電気角θe1周期に渡る各基本波電圧VUB,VVB,VWBを算出する。ここでは、各基本波電圧VUB,VVB,VWBの変動角速度の算出に、電気角速度ωeが用いられる。電気角速度ωeは、入力された回転角速度ωmに極対数Pを乗算した値として算出すればよい。そして、算出された各基本波電圧VUB,VVB,VWBを、入力された電気角θeに対応させて出力する。各基本波電圧VUB,VVB,VWBは、波形形状が互いに同一であってかつ、電気角θeで位相が互いに「2π/3」ずれた波形となっている。
Figure 0006390439
ちなみに、基本波電圧算出部30dにおいて、相電流と相電圧の位相差を調整することで、モータ10の効率を向上させる進角制御を行ってもよい。
高調波電圧算出部30e(「高調波算出手段」に相当)は、電気角θeと指令角速度ωtgtとに基づき、3相固定座標系における第1U,V,W相高調波電圧VUH1,VVH1,VWH1と、第2U,V,W相高調波電圧VUH2,VVH2,VWH2とを算出する。本実施形態において、高調波電圧算出部30eは、記憶手段としてのメモリ(例えば、不揮発性メモリ)を備えている。各高調波電圧VUH1,VVH1,VWH1,VUH2,VVH2,VWH2は、指令角速度ωtgt及び電気角θeと関係付けられてメモリに記憶されている。高調波電圧算出部30eについては、後に詳述する。
第1U,V,W相重畳部30fU,30fV,30fWは、U,V,W相基本波電圧VUB,VVB,VWBに、第1U,V,W相高調波電圧VUH1,VVH1,VWH1を加算する。第2U,V,W相重畳部30gU,30gV,30gWは、第1U,V,W相重畳部30fU,30fV,30fWから出力された電圧「VUB+VUH1」,「VVB+VVH1」,「VWB+VWH1」に、第2U,V,W相高調波電圧VUH2,VVH2,VWH2を加算する。第2U,V,W相重畳部30gU,30gV,30gWの出力値が、U,V,W相の指令電圧VU,VV,VWとなる。なお、本実施形態において、各重畳部30fU〜30fW,30gU〜30gWが「重畳手段」に相当する。
変調器30h(「操作手段」に相当)は、インバータ20のU,V,W相の出力電圧を、U,V,W相指令電圧VU,VV,VWとするための操作信号gU#,gV#,gW#を生成する。本実施形態では、各指令電圧VU,VV,VWとキャリア信号(例えば、三角波信号)との大小比較に基づくPWM処理によって操作信号gU#,gV#,gW#を生成する。
ところで、モータ10において回転磁界が生成されると、ロータ14に径方向の電磁力変動が作用する。ロータ14に作用する吸引力及び反発力の電磁力分布がロータ14の円環モードと一致する場合、モータ10の騒音(磁気音)が増大し得る。ここで、円環モードとは、ロータ14の径方向に加わる加振力に起因して、弾性体としてのロータ14に生じる周期的な変動のモードのことである。以下、円環モードについて説明する。
図3に、1〜4次の円環モードを示す。図示されるように、1次の円環モードは、加振力が加わらない状態での図中破線にて示す形状(以下、原形状)を維持しつつ、節を基準として振れまわるようにロータ14が変位するモードである。ここで、節とは、図中2点鎖線にて示される部分であり、この部分は原形状からほとんど変化しない。
2次の円環モードは、原形状に対して、互いにπだけ離間した2箇所が径方向に伸張するとともに、それら伸張する箇所から「π/2」だけ離間した2箇所が径方向に収縮するモードである。径方向に伸縮する箇所は、「腹」である。また、3次の円環モードは、原形状に対して同時に伸張する箇所の数が3個のモードであり、4次の円環モードは、形状に対して同時に伸張する箇所の数が4個のモードである。ここで、各円環モードに応じた加振力とは、ステータ巻線12¥に回転磁束を生成する電流を流すことで、機械角の1周期において生じる吸引力及び反発力の分布の周期で機械角の1周期を除算した値が、円環モードの次数となる力のことである。すなわち、例えば、2次の円環モードを生じさせる加振力は、機械角の1周期において、吸引力が増加する箇所と減少する箇所との角度間隔が「π/2」となる力である。このため、吸引力が増加する一対の箇所によって区画される上記分布の周期は「π」となる。したがって、上記分布の周期「π」で機械角の1周期「2π」を除算した値は、円環モードの次数「2」となる。
これら各円環モードはそれぞれ固有の共振周波数(共振角速度)を有している。そして、各円環モードに応じた加振力の周波数が、各円環モードに応じた共振周波数近傍となることで、ロータ14の共振現象が生じる。加振力の実際の周波数が共振周波数近傍となる場合、モータ10の磁気音が増大し、可聴周波数帯域におけるノイズレベルが大きくなる等の問題が発生し得る。特に本実施形態では、加振力の周波数が2次の円環モードに応じた共振周波数(例えば、2300Hz)近傍となる場合、磁気音が増大する。
こうした問題に対処すべく、本実施形態では、制御装置30に高調波電圧算出部30eを備えている。高調波電圧算出部30eには、磁気音の発生要因となる径方向の電磁力変動を抑制するための第1¥相高調波電圧V¥H1と、第2¥相高調波電圧V¥H2とが記憶されている。以下、電磁力変動を抑制するための高調波電圧について説明する。
各相の基本波電流IUB,IVB,IWBは,下式(eq2)によって表される。これら基本波電流IUB,IVB,IWBは、電気角θeで位相が互いに「2π/3」ずれた波形となっている。
Figure 0006390439
以下、U相を例にして説明する。モータ10を基本波電流IUB,IVB,IWBによって運転した場合の結果から、上記特許文献1に記載されているように、騒音抑制のためには、電磁力の6次成分を低減させることが要求される。6次成分とは、ステータ巻線12¥に流れる基本波電流の6倍の変動角速度を有する電磁力のことである。ここで、モータ10の径方向の電磁力(節点力)をFで表す。基本波電流を流すことにより、電磁力Fが発生するのであるから、電磁力Fは下式(eq3)によって表すことができる。
Figure 0006390439
電磁力Fの主要成分は、2次,4次,6次等の偶数次数の電磁力であることが知られている。このため、上式(eq3)におけるGは、奇数次数の周期関数として下式(eq4)によって表すことができる。
Figure 0006390439
ここで、通常、基本波電流を流すことにより大きな平均トルクが得られるようにモータが設計される。このことから、Gについて、低次のものほど係数を大きな値に設定する。このため、本実施形態では、上式(eq4)において、「n=1」とする。ここで、高調波電流を下式(eq5)で表す。
Figure 0006390439
上式(eq5)において、βは2以上の整数である。上式(eq4),(eq5)を上式(eq3)に代入することにより、高調波電磁力FHを下式(eq6)によって表すことができる。
Figure 0006390439
ここで、「β=6M−1」(Mは0以上の整数)とする場合、上式(eq6)は下式(eq7)となる。
Figure 0006390439
上式(eq5),(eq7)は、「6M−1」次の高調波電流をステータ巻線12¥に流すと、「6M」次の電磁力と、「6M−2」次の電磁力とがモータ10(ロータ14)に作用することを表している。ここで、「6M」次の電磁力,高調波電流とは、「6M」と基本角速度との乗算値を変動角速度とする電磁力,高調波電流のことである。基本角速度とは、ステータ巻線12¥に流す基本波電流の変動角速度ωeのことである。上式(eq5),(eq7)は、「6M−1」次の高調波電流をステータ巻線12¥に流すことにより、「6M」次,「6M−2」次の電磁力を制御できることを表している。本実施形態では、「6M−2」次の電磁力を低減するように、上式(eq7)の係数e,fを調整する。ただし、この調整により、「6M」次の電磁力が増大する。
一方、「β=6M+1」とする場合、上式(eq6)は下式(eq8)となる。
Figure 0006390439
上式(eq5),(eq8)は、「6M+1」次の高調波電流をステータ巻線12¥に流すと、「6M」次の電磁力と、「6M+2」次の電磁力とがロータ14に作用することを表している。すなわち、上式(eq5),(eq8)は、「6M+1」次の高調波電流をステータ巻線12¥に流すことにより、「6M」次,「6M+2」次の電磁力を制御できることを表している。本実施形態では、「6M−1」次の高調波電流の重畳によって増大する「6M」次の電磁力を低減するように、上式(eq8)の係数e,fを調整する。ただし、この調整により、「6M+2」次の電磁力が増大する。
本実施形態では、10次の電磁力の変動角速度が2次の円環モードに応じた共振角速度近傍となる場合、騒音が増大する。このため、以上説明した事項に基づき、図4に示すように、「M=2」とし、騒音の発生要因となる10次の電磁力を、11次の高調波電流の重畳によって12次の電磁力に変換する。ここで、本実施形態では、12次の電磁力の変動角速度も共振角速度近傍となる。このため、さらに、12次の電磁力を、13次の高調波電流の重畳によって14次の電磁力に変換する。14次の電磁力の変動角速度は共振角速度から十分離間した値となる。このため、騒音の低減が可能となる。
したがって、本実施形態では、図5に示すように、ロータ14に作用する電磁力のうち、10次の電磁力を低減可能な11次の高調波電流(以下、第1高調波電流I¥H1)と、11次の高調波電流の重畳によって増大する12次の電磁力を低減可能な13次の高調波電流(以下、第2高調波電流I¥H2)とを、基本波電流I¥Bに重畳する。図5には、U相の各高調波電流IUH1,IUH2の重畳態様を例示した。下式(eq9)にU相の第1高調波電流IUH1を示し、下式(eq10)にU相の第2高調波電流IUH2を示す。
Figure 0006390439
Figure 0006390439
第1高調波電流I¥H1は、10次の電磁力を低減させるように、上式(eq9)に示した高調波電流の位相及び振幅(各係数e1,f1)が調整された波形となっている。U,V,W相の高調波電流I¥H1は、波形形状が互いに同一であってかつ、電気角θeで位相が互いに「2π/3」ずれた波形となっている。第2高調波電流I¥H2についても同様である。
第1高調波電流I¥H1をステータ巻線12¥に流すための第1高調波電圧V¥H1と、第2高調波電流I¥H2をステータ巻線12¥に流すための第2高調波電圧V¥H2とが高調波電圧算出部30eのメモリに記憶されている。詳しくは、高調波電圧算出部30eには、下式(eq11),(eq12)に示すように、11,13次の高調波電圧VUH1,VVH1,VVW1が記憶されている。ここで、高調波電流から高調波電圧への変換は、例えば、モータに印加される相電圧と相電流とを関係付ける周知の電圧方程式に基づき行うことができる。
Figure 0006390439
Figure 0006390439
上式(eq11),(eq12)におけるγ,δは、上式(eq1)の基本波電圧に対する位相差を示す。U,V,W相の第1高調波電圧V¥H1は、10次の電磁力を低減させるように設定されている。具体的には、第1高調波電圧V¥H1は、10次の電磁力を低減させるように、上式(eq11)に示した高調波電流の位相γ及び振幅V11が調整された波形となっている。また、本実施形態において、U,V,W相の第1高調波電圧I¥V1は、波形形状が互いに同一であってかつ、電気角θeで位相が互いに「2π/3」ずれた波形となっている。また、U,V,W相の第2高調波電圧V¥H2は、13次の電磁力を低減させるように設定されている。具体的には、第2高調波電圧V¥H2は、14次の電磁力を低減させるように、上式(eq12)に示した高調波電流の位相δ及び振幅V13が調整された波形となっている。また、本実施形態において、U,V,W相の第2高調波電圧I¥V2は、波形形状が互いに同一であってかつ、電気角θeで位相が互いに「2π/3」ずれた波形となっている。
本実施形態において、各高調波電圧V¥H1,V¥H2は、指令角速度ωtgt及び電気角θeと関係付けられて高調波電圧算出部30eにマップデータとして記憶されている。高調波電圧算出部30eは、都度(例えば、制御装置30の制御周期毎に)入力された指令角速度ωtgtと電気角θeとに基づき、該当する各高調波電圧V¥H1,V¥H2i¥を選択し、各重畳部30f¥、30g¥に出力する。これにより、先の図5に示すように、基本波電流に第1,第2高調波電流を重畳することができる。
こうした構成によれば、実際の回転角速度ωmが共振角速度に近づくことにより、基本波電圧に第1,第2高調波電圧が重畳されることとなる。そして、実際の回転角速度ωmが共振角速度から離れると、基本波電圧に重畳される第1,第2高調波電圧が小さくなる又は0となる。ここで、各高調波電圧の重畳態様の一例を図6に示した。詳しくは、図6(a)は回転角速度ωmの推移を示し、図6(b)は第1高調波電圧(例えば実効値)の推移を示し、図6(c)は第2高調波電圧(例えば実効値)の推移を示す。図6では、実際の回転角速度ωmが徐々に上昇する場合を例示した。実際の回転角速度ωmが第1共振角速度ωn1に近づくに連れて、基本波電圧に重畳される第1,第2高調波電圧が徐々に大きくなり、実際の回転角速度ωmが第1共振角速度ωn1となる時刻t1において、第1,第2高調波電圧がピーク値となる。その後、実際の回転角速度ωmが第1共振角速度ωn1から離れるに連れて、第1,第2高調波電圧が0に向かって低下することなる。その後、実際の回転角速度ωmが第2共振角速度ωn2(>ωn1)に近づくに連れて、第1,第2高調波電圧が徐々に大きくなり、実際の回転角速度ωmが第2共振角速度ωn2となる時刻t2において、第1,第2高調波電圧がピーク値となる。その後、実際の回転角速度ωmが第2共振角速度ωn2から離れるに連れて、第1,第2高調波電圧が0に向かって低下することなる。
図7を用いて、本実施形態の効果について説明する。ここで、図7(a)は、第1,第2高調波電圧V¥H1,V¥H2を重畳しない場合の騒音の計測結果である。図7(a)に示すように、本実施形態では、10次の電磁力の変動角速度が共振角速度近傍となることにより、10次の騒音が増大する。このため、10次の騒音を低減させるべく、基本波電圧に11次の高調波電圧を重畳すると、図7(b)に示す結果となる。図7(b)では、10次の騒音が抑制され、12次の騒音が増大する。このため、12次の騒音を低減させるべく、さらに、基本波電圧に13次の高調波電圧を重畳すると、図7(c)に示す結果となる。図7(c)では、12次の電磁力が低減されることで12次の騒音が低減されている。ここで、13次の電磁力の重畳により、14次の電磁力が増大するものの、14次の電磁力の変動角速度は、共振角速度から十分離間している。このため、14次の騒音は増大しない。このように、本実施形態によれば、モータ10の騒音を好適に抑制することができる。
また、本実施形態では、集中巻きのモータ10を用いた。集中巻きのモータは、分布巻きのモータと比較して騒音が増大しやすい。このため、本実施形態では、電磁力を変換できる構成を適用するメリットが大きい。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。上記第1実施形態では、10次の電磁力をこの電磁力よりも次数の高い14次の電磁力に変換した。ここで、モータ10の回転角速度等、モータ10の運転状態によっては、14次の電磁力をこの電磁力よりも次数の低い10次の電磁力に変換することが要求される。このため、本実施形態では、10次の電磁力を14次の電磁力に変換する第1変換機能に加えて、図8に示すように、14次の電磁力を10次の電磁力に変換する第2変換機能を制御装置30が備えている。
第2変換機能について説明すると、第1高調波電圧V¥H1は、14次の電磁力を低減すべく、13次の高調波電圧に設定されている。ただし、第1高調波電圧V¥H1をステータ巻線12¥に印加することにより、12次の電磁力が増大する。このため、第2高調波電圧V¥H2は、12次の電磁力を低減すべく、11次の高調波電圧に設定されている。第2高調波電圧V¥H2をステータ巻線12¥に印加することにより、10次の電磁力が増大するものの、10次の電磁力の変動角速度は共振角速度から十分離間した値とされる。
このように、本実施形態では、モータ10の運転状態に応じて、10次の電磁力を14次の電磁力に変換したり、14次の電磁力を10次の電磁力に変換したりすることができる。これにより、モータ10の騒音を好適に抑制することができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、第2高調波電圧V¥H2の設定手法を変更する。このため、制御装置30は、先の図1の高調波電圧算出部30eに代えて、図9に示すように、第1高調波設定部50a、第2高調波設定部50b、及び記憶手段としてのメモリ60(例えば、不揮発性メモリ)を備えている。
第1高調波設定部50aは、指令角速度ωtgt及び電気角θeを入力として、第1高調波マップ60aに基づいて第1高調波電圧V¥H1を設定する。第1高調波マップ60aは、メモリ60に予め記憶されているマップデータ(「第1高調波電流に係る情報」に相当)である。第1高調波マップ60aにおいて、第1高調波電圧V¥H1は、指令角速度ωtgt及び電気角θeと関係付けられている。第1高調波設定部50aは、都度入力された指令角速度ωtgtと電気角θeとに基づき、該当する第1高調波電圧VUH1,VVH1,VWH1を選択し、選択した第1高調波電圧VUH1,VVH1,VWH1を各重畳部30fU,30fV,30fWに出力すべき高調波電圧として設定する。
第2高調波設定部50bは、第1高調波設定部50aによって設定された第1高調波電圧V¥H1と、判定レベルとを入力として、第2高調波電圧V¥H2を算出する。判定レベルは、12次の電磁力(6M次の電磁力)の低減度合いを指示するためのパラメータであり、本実施形態では、メモリ60の判定レベル記憶部60bに予め記憶されている。本実施形態において、判定レベルは、一定値に設定されている。第2高調波設定部50bによって算出された第2高調波電圧VUH2,VVH2,VWH2は電気角θeと関係付けられているため、第2高調波設定部50bは、電気角θeを入力として、算出した第2高調波電圧VUH2,VVH2,VWH2を各重畳部30gU,30gV,30gWに出力する。
続いて、第2高調波設定部50bにおける第2高調波電圧V¥H2の算出手法について説明する。この算出手法は、第1高調波電圧V¥H1の重畳によって増大する12次の電磁力を的確に低減させ、12次の騒音を的確に低減させる点を特徴とする。以下、12次の電磁力の低減効果を得ることができる低減可能領域Rについて説明した後、第2高調波電圧V¥H2の算出手法について説明する。
まず、図10を用いて、低減可能領域Rについて説明する。図10に示すxy直交座標系において、「F6M−1」は、11次の第1高調波電圧V¥H1をステータ巻線12¥に重畳することにより生じる12次の電磁力ベクトル(以下、第1ベクトル)を示す。「F6M+1」は、13次の第2高調波電圧V¥H2をステータ巻線12¥に重畳することにより生じる12次の電磁力ベクトル(以下、第2ベクトル)を示す。
第1ベクトル「F6M−1」は、座標系の原点Oからx軸に沿って延びるベクトルであり、第2ベクトル「F6M+1」は、原点Oから延びるベクトルである。x軸を基準として反時計まわり方向に第2ベクトル「F6M+1」が回転する場合の第1,第2ベクトル「6M−1」,「6M+1」のなす角度θsを正の値で定義する。そして、座標系において、第1ベクトル「F6M−1」が延びる方向とは逆方向に原点Oから延びる軸線である基準軸線と、第1ベクトル「F6M−1」の大きさ(振幅)Frを半径としてかつ原点Oを中心とする円との交点を基準中心Aとして定義する。そして、座標系において、第1ベクトル「6M−1」の大きさFrを半径としてかつ基準中心Aを中心とする円のうちその円周よりも内側の領域(図中、ハッチングにて示す領域)を低減可能領域Rと定義する。
第2ベクトル「F6M+1」の先端を低減可能領域Rに位置させる第2高調波電圧V¥H2をステータ巻線12¥に印加することにより、第1,第2ベクトル「F6M−1」,「F6M+1」の合成ベクトルFtの大きさを第1ベクトル「6M−1」の大きさFrよりも小さくすることができる。すなわち、12次の電磁力を低減させることができる。
これに対し、図11に示すように、第2ベクトル「F6M+1」の先端を低減可能領域Rの外に位置させる第2高調波電圧V¥H2をステータ巻線12¥に印加する場合、合成ベクトルFtの大きさが第1ベクトル「F6M−1」の大きさFrよりも増大し、騒音の低減効果を得ることができない。
ここで、本実施形態では、低減可能領域Rのうち、角度θsが120°から240°までの範囲で第2ベクトル「F6M+1」の先端が位置可能な領域を用いることとする。この領域に第2ベクトル「F6M+1」の先端を位置させるためには、角度θsと、第2ベクトル「F6M+1」の大きさを第1ベクトル「F6M−1」の大きさFrで除算した値である振幅比率Ratioとの関係を所定の関係とする必要がある。これは、第2ベクトル「F6M+1」のx軸成分が第1ベクトル「6M−1」の大きさFrの低減に寄与するためである。以下、図12〜図14を用いて、角度θsと振幅比率Ratioとの関係について説明する。
図12に示すように、角度θsが120°又は240°である場合、振幅比率Ratioを0よりも大きくてかつ1未満にするとの第1条件を満たす必要がある。
図13に示すように、角度θsが120°よりも大きくてかつ180°未満である場合、又は角度θsが180°よりも大きくてかつ240°未満である場合、振幅比率Ratioを1よりも大きくてかつ2未満にするとの第2条件を満たす必要がある。
図14に示すように、角度θsが180°である場合、振幅比率Ratioを0よりも大きくてかつ2未満にするとの第3条件を満たす必要がある。
続いて、第2高調波設定部50bにおける第2高調波電圧V¥H2の算出手法について説明する。第2高調波設定部50bは、第1高調波設定部50aによって設定された第1高調波電圧V¥H1と、判定レベルとに基づいて、上記第1〜第3条件のうちいずれか1つの条件を満たすような第2高調波電圧V¥H2を算出する。ここで、第1高調波電圧V¥H1が用いられるのは、第2高調波電圧V¥H2を印加することによって生じる第2ベクトル「6M+1」と第1ベクトル「6M−1」とのなす角度θsと、第1ベクトル「6M−1」の大きさFrを把握するためである。
判定レベルは、合成ベクトルFtの大きさを第1ベクトル「6M−1」の大きさFrに対してどの程度小さくするかを把握するために用いられる。判定レベルは、その値が小さいほど、第1ベクトル「6M−1」の大きさFrに対して合成ベクトルFtの大きさを小さくすることを指示する。例えば、判定レベルが0〜100%の値を取り得る場合、判定レベルは、100%によって第1ベクトル「6M−1」の大きさFrと合成ベクトルFtの大きさとを一致させることを示し、0%によって合成ベクトルFtの大きさを0にすることを示す。
図15に、11次の第1高調波電圧V¥H1と、上記第3条件を満たすような13次の第2高調波電圧V¥H2とを印加する場合における12次の電磁力の低減効果を示す。図15(a)に示すように、振幅比率Ratioを1とする第2高調波電圧V¥H2をステータ巻線12¥に印加することにより、合成ベクトルFtの大きさを0にすることができる。また、図15(b)に示すように、振幅比率Ratioを2とする第2高調波電圧V¥H2を印加することにより、合成ベクトルFtの大きさを低減させることができる。さらに、図15(c)に示すように、振幅比率Ratioを0.5とする第2高調波電圧V¥H2を印加することにより、合成ベクトルFtの大きさを低減させることができる。
なお、図16に、角度θsが180°である場合の関連技術にかかる12次の電磁力について示す。関連技術とは、第2ベクトル「F6M+1」の先端を低減可能領域Rに位置させない構成のことである。図示されるように、関連技術においては、合成ベクトルFtの大きさを第1ベクトル「F6M−1」の大きさFrよりも低減することができない。すなわち、12次の電磁力の低減効果を得ることができない。
このように、本実施形態では、第1高調波電圧V¥H1と判定レベルとに基づいて、第2高調波電圧V¥H2を算出する構成とした。この構成は、12次の電磁力を低減させるための構成を簡易に実現するために採用される。つまり、モータ制御システムが搭載される車両の仕様や、モータ制御システム自体の仕様等に応じて、共振角速度や共振角速度における共振レベルが異なる。このため、騒音レベルを許容騒音レベル以下とするための第2高調波電圧V¥H2は、車両の仕様やモータ制御システム自体の仕様等に応じて異なる。したがって、第2高調波電圧V¥H2をマップデータとしてメモリ60に記憶させる構成では、仕様毎の騒音レベルを許容騒音レベル以下とするために、量産される製品の仕様毎にマップデータを書き換える必要がある。ただしこの場合、書き換えのための工数が増加する。
こうした問題に対処すべく、例えば、各仕様のうち合成ベクトルFtの大きさの低減度合いが最も大きい第2高調波電圧V¥H2のマップデータを作成し、このマップデータを各仕様の共通のマップデータとして用いることも考えられる。ただしこの場合、製品の仕様によっては、実際の騒音レベルが許容騒音レベルを大きく下回るオーバースペックの製品がでることとなる。オーバースペックの製品においては、騒音レベルを許容騒音レベルに対して過度に低下させるために、無駄な高調波電流がモータ10に流れることとなる。
そこで本実施形態では、第2高調波電圧V¥H2をマップデータ化することなく、第1高調波電圧V¥H1と判定レベルとに基づいて第2高調波設定部50bが第2高調波電圧V¥H2を算出する構成とした。ここでは、製品の仕様に応じて、メモリ60に記憶される判定レベルを変更すればよい。上記第1〜第3条件に関する情報を用いること、及び判定レベルによって合成ベクトルFtの大きさの低減度合いを指示できることにより、仕様が異なる場合であっても、第2高調波電圧V¥H2のマップデータを書き換えることなく、また、無駄な高調波電流をモータ10に流すことなく、12次の電磁力を低減させる構成を簡易に実現できる。さらに、本実施形態によれば、第2高調波電圧V¥H2を第1高調波電圧V¥H1のようにマップデータ化することを要しない。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について、上記第3実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、第2高調波設定部50bの処理手法を変更する。図17に、制御装置30の行う処理のうち、高調波電圧V¥H1,V¥H2の設定に関する部分を示す。なお、図17において、先の図9に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付している。
図示されるように、メモリ60には、第2高調波マップ60cが予め記憶されている。本実施形態において、第2高調波マップ60cは、第2高調波電流に係る情報に相当するマップデータである。詳しくは、第2高調波マップ60cは、第1高調波電圧V¥H1との関係において、上記第3実施形態で説明した第1〜第3条件を満たすような第2高調波電圧V¥H2を定めるマップデータである。
第2高調波設定部50bは、第1高調波設定部50aによって設定された第1高調波電圧V¥H1と、判定レベルとを入力として、第1〜第3条件のうちいずれか1つの条件を満たすような第2高調波電圧V¥H2を第2高調波マップ60cから探索する。第2高調波設定部50bによって探索された第2高調波電圧VUH2,VVH2,VWH2は電気角θeと関係付けられているため、第2高調波設定部50bは、電気角θeを入力として、探索した第2高調波電圧VUH2,VVH2,VWH2を各重畳部30gU,30gV,30gWに出力する。
以上説明した本実施形態によれば、車両の仕様等が異なる場合であっても、第2高調波電圧V¥H2のマップデータを書き換えることなく、また、無駄な高調波電流をモータ10に流すことなく、12次の電磁力を低減させる構成を簡易に実現できる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施形態では、10次の電磁力(第1電磁力)を14次の電磁力(第2電磁力)に変換すべく、11次,13次の2つの高調波電流を基本波電流に重畳したがこれに限らない。例えば、3つ以上の高調波電流を基本波電流に重畳してもよい。具体的には例えば、共振角速度近傍の電磁力が4次の電磁力である場合、4次の電磁力を共振角速度から大きく離れた12次の電磁力に変換すべく、4次から12次までに含まれるすべての奇数次の高調波電流である5次,7次,9次,11次の4つの高調波電流を基本波電流に重畳すればよい。
・上記第2実施形態において、例えば、共振角速度近傍の電磁力が10次の電磁力である場合、10次の電磁力を共振角速度から大きく離れた2次の電磁力に変換すべく、10次から2次までに含まれるすべての奇数次の高調波電流である9次,7次,5次,3次の高調波電流を基本波電流に重畳してもよい。
・騒音の発生要因となる第1電磁力の変動角速度、変換された第2電磁力の変動角速度、及び第1電磁力を第2電磁力に変換するための複数の高調波電流としては、上記各実施形態に例示したものに限らない。
・上記第3,第4実施形態では、車両の仕様やモータ制御システムの仕様に応じて、メモリ60に記憶される判定レベルを変更したがこれに限らない。例えば、同じ仕様であっても、製品の個体差に応じて共振角速度や共振角速度における共振レベルが多少異なることもある。この場合、製品の個体差に応じて、メモリ60に記憶される判定レベルを変更してもよい。
・上記第3,第4実施形態では、判定レベルを一定値としたがこれに限らず、判定レベルを可変設定してもよい。この場合、判定レベルに影響を及ぼすパラメータと関係付けられた判定レベルが判定レベル記憶部60bに予め記憶され、上記パラメータを入力として判定レベルを可変設定すればよい。なお、上記パラメータとしては、例えば、モータ10のトルクやモータ10の温度が挙げられる。
・上記第3実施形態において、メモリ60に記憶されるマップデータとしては、高調波電圧に限らず、高調波電流であってもよい。この場合、例えば、第1高調波設定部50aは、マップデータから選択した第1高調波電流をモータの電圧方程式に基づいて第1高調波電圧に変換し、変換した第1高調波電圧を各重畳部30fU,30fV,30fWに出力すればよい。なお、上記第4実施形態についても同様である。
・上記第3実施形態では、10次の電磁力を14次の電磁力に変換する構成としたがこれに限らない。例えば、14次の電磁力を10次の電磁力に変換する構成としたり、10次の電磁力を14次の電磁力に変換する機能及び14次の電磁力を10次の電磁力に変換する機能の双方を有する構成としたりしてもよい。なお、上記第4実施形態についても同様である。
・モータの制御量としては、回転角速度に限らず、例えばトルクであってもよい。
・モータとしては、集中巻きのものに限らず、分布巻きのものを用いてもよい。また、モータとしては、アウタロータ型のものに限らず、インナロータ型のものを用いてもよい。巻き方やロータ型が異なる場合であっても、ロータの共振現象によって騒音が生じるなら、本発明の適用が有効である。また、モータの騒音としては、ロータの共振現象によって生じるものに限らず、ステータ、又はステータとロータとの双方の共振現象によって生じることも考えられる。この場合であっても、本発明の適用が有効である。
さらに、モータとしては、3相モータに限らず、4相以上の多相モータであってもよい。加えて、モータとしては、ロータに永久磁石を備える永久磁石界磁型同期機に限らず、例えば、ロータに界磁巻線を備える巻線界磁型同期機であってもよい。加えて、モータとしては、ブロワ用に限らない。
10…モータ、20…インバータ、30…制御装置。

Claims (11)

  1. 巻線(12U〜12W)が巻回された固定子(12)を有する回転機(10)と、前記回転機に電気的に接続され、前記巻線に電圧を印加する電力変換回路(20)とを備えるシステムに適用され、
    前記巻線に流す基本波電流の変動角速度を基本角速度と定義し、
    2以上の整数Kと前記基本角速度との乗算値を変動角速度とする電流をK次の高調波電流と定義し、
    前記回転機に作用する電磁力であって、前記整数Kと前記基本角速度との乗算値を変動角速度とする電磁力をK次の電磁力と定義し、
    低減対象とする2次以上の「6M+2L」次(M,Lは整数)の電磁力である第1電磁力を、2次以上の「6M+2N」次(NはLとは異なる整数)の電磁力である第2電磁力に変換するための前記高調波電流であって、「6M+2L」次から「6M+2N」次までに含まれる全ての奇数次の前記高調波電流を前記基本波電流に重畳する重畳手段(30fU〜30fW,30gU〜30gW)と、
    前記重畳手段によって前記高調波電流が重畳された基本波電流を前記巻線に流すべく、前記電力変換回路を操作する操作手段(30h)と、を備えることを特徴とする回転機の制御装置。
  2. 前記重畳手段は、「6M−2」次の前記第1電磁力を「6M+2」次の前記第2電磁力に変換するための前記高調波電流であって、「6M−1」次及び「6M+1」次の前記高調波電流を前記基本波電流に重畳する請求項記載の回転機の制御装置。
  3. 前記重畳手段は、「6M−2」次の前記第1電磁力を「6M+2」次の前記第2電磁力に変換するための前記高調波電流を前記基本波電流に重畳する機能に加え、「6M+2」次の前記第1電磁力を「6M−2」次の前記第2電磁力に変換するための前記高調波電流であって、「6M+1」次及び「6M−1」次の前記高調波電流を前記基本波電流に重畳する機能をさらに備える請求項記載の回転機の制御装置。
  4. 前記「6M−1」次の高調波電流及び前記「6M+1」次の高調波電流のうち、いずれか一方を第1高調波電流とし、他方を第2高調波電流とし、
    2軸直交座標系において、前記第1高調波電流を前記巻線に流すことで生じる電磁力を示すベクトルであって、前記座標系の原点(O)から延びるベクトルを第1ベクトル(F6M−1)と定義し、
    前記座標系において、前記第2高調波電流を前記巻線に流すことで生じる電磁力を示すベクトルであって、前記原点から延びるベクトルを第2ベクトル(F6M+1)と定義し、
    前記座標系において、前記第1ベクトルが延びる方向とは逆方向に前記原点から延びる軸線である基準軸線と、前記第1ベクトルの大きさ(Fr)を半径としてかつ前記原点を中心とする円との交点を基準中心(A)と定義し、
    前記座標系において、前記第1ベクトルの大きさを半径としてかつ前記基準中心を中心とする円のうちその円周よりも内側の領域を低減可能領域(R)と定義し、
    前記回転機の回転速度と関係付けて前記第1高調波電流に係る情報を記憶する記憶手段(60)と、
    前記回転速度と、前記記憶手段に記憶されている前記第1高調波電流に係る情報とに基づいて、前記巻線に流す前記第1高調波電流を決定する第1決定手段(50a)と、
    前記第1決定手段によって決定された前記第1高調波電流に基づいて、前記第2ベクトルの先端を前記低減可能領域に位置させる前記第2高調波電流を決定する第2決定手段(50b)とをさらに備え、
    前記重畳手段は、前記第1決定手段によって決定された前記第1高調波電流と、前記第2決定手段によって決定された前記第2高調波電流とを前記基本波電流に重畳する請求項2又は3記載の回転機の制御装置。
  5. 前記記憶手段には、前記第1ベクトルの大きさの低減度合いを指示する情報である判定レベルが記憶されており、
    前記第2決定手段は、決定された前記第1高調波電流に加えて、前記判定レベルに基づいて、前記第2高調波電流を決定する請求項記載の回転機の制御装置。
  6. 前記座標系において、前記第1ベクトルが延びる方向を基準として、前記原点を中心に反時計まわり方向に前記第2ベクトルが回転する場合における前記第1ベクトルと前記第2ベクトルとのなす角度(θs)を正の値で定義し、
    前記第2決定手段は、前記角度が120°又は240°である場合、前記第2ベクトルの大きさを前記第1ベクトルの大きさで除算した値である振幅比率(Ratio)を0よりも大きくてかつ1未満にするとの第1条件、前記角度が120°よりも大きくてかつ180°未満である場合又は前記角度が180°よりも大きくてかつ240°未満である場合、前記振幅比率を1よりも大きくてかつ2未満にするとの第2条件、及び前記角度が180°である場合、前記振幅比率を0よりも大きくてかつ2未満にするとの第3条件のうち、いずれか1つの条件を満たすような前記第2高調波電流を、決定された前記第1高調波電流と前記判定レベルとに基づいて決定する請求項記載の回転機の制御装置。
  7. 前記第2決定手段は、決定された前記第1高調波電流と前記判定レベルとに基づいて、前記第1条件、第2条件及び前記第3条件のうちいずれか1つの条件を満たすような前記第2高調波電流を算出し、算出した前記第2高調波電流を前記巻線に流す高調波電流として決定する請求項記載の回転機の制御装置。
  8. 前記記憶手段には、前記回転機の回転速度と関係付けられた前記第2高調波電流に係る情報が記憶されており、
    前記第2決定手段は、決定された前記第1高調波電流と前記判定レベルとに基づいて、前記第1条件、第2条件及び前記第3条件のうちいずれか1つの条件を満たすような前記第2高調波電流に係る情報を前記記憶手段に記憶されている前記第2高調波電流に係る情報から探索し、探索した情報に基づいて前記巻線に流す前記第2高調波電流を決定する請求項記載の回転機の制御装置。
  9. 前記回転機の制御量をその指令値に制御するための前記回転機の相電圧の基本波成分であって、前記巻線に前記基本波電流を流すための前記基本波成分を算出する基本波算出手段(30d)と、
    前記巻線に前記高調波電流を流すための前記回転機の相電圧の高調波成分を算出する高調波算出手段(30e)と、をさらに備え、
    前記重畳手段は、前記基本波算出手段によって算出された前記基本波成分に、前記高調波算出手段によって算出された前記高調波成分を重畳し、
    前記操作手段は、前記高調波成分が重畳された前記基本波成分を前記巻線に印加すべく、前記電力変換回路を操作する請求項1〜のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  10. 前記重畳手段は、前記回転機の実際の回転角速度が共振角速度に近づくことにより、前記基本波電流に「6M+2L」次から「6M+2N」次までに含まれる全ての奇数次の前記高調波電流のそれぞれが重畳され、前記回転機の実際の回転角速度が前記共振角速度から離れると、前記基本波電流に重畳される「6M+2L」次から「6M+2N」次までに含まれる全ての奇数次の前記高調波電流のそれぞれを小さくする又は0とする請求項1〜のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  11. 前記回転機は、集中巻のものである請求項1〜10のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
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