JP7431118B2 - 圧力調整弁 - Google Patents

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Description

本発明は、感圧用ベローズを備える圧力調整弁に関する。
圧力調整弁において、二次側圧力の影響を受けることを回避するために、感圧用ベローズが採用されており、この感圧用ベローズが弁体に対する二次側圧力の変動を打ち消すことにより、一次側圧力の変動のみにより弁開度を制御することが行われてきた。
このような感圧用ベローズを採用した圧力調整弁(以下、「従来の圧力調整弁」という)は、例えば、図3に示される。従来の圧力調整弁200は、弁ハウジング210に流入管201及び流出管202を接続し、この間を連通する弁室211にボール弁240を設けている。また、従来の圧力調整弁200は、ボール弁240を閉弁する方向に付勢する感圧用ベローズユニット250及び調整ばねユニット260と、ボール弁240を開弁する方向に付勢する整流素子ユニット290と、を備えるものである(特許文献1参照)。ここで、感圧用ベローズユニット250は、感圧用ベローズ251と、ベローズ下蓋252と、ベローズ上蓋253と、連結棒254と、から構成される。また、調整ばねユニット260は、ばね受け部材261と、調整ねじ部材262と、ばね受け部材261及び調整ねじ部材262の間に挟持される圧縮コイルばね263と、から構成される。
特開平6-229481号公報
まず、感圧用ベローズユニット250及び調整ばねユニット260は、互いに連結棒254を介して係合されている。この連結棒254の一端部及び他端部は、それぞれ、弾性部材からなる第1の案内羽根255及び第2の案内羽根265を介して、半径方向に移動可能なベローズ下蓋252及びばね受け部材261へと固定されている。また、連結棒254の中央部は、ベローズ上蓋253に設けられる挿通孔253a内を挿通しているが、連結棒254と挿通孔253aとの間は、摺動抵抗を減らすために、半径方向への移動を許容する所定の間隙が設定されている。この所定の間隙を介して、感圧用ベローズ251の内部空間には、大気圧が導入される一方、感圧用ベローズ251の外部空間には、二次側圧力P2が導入されている。さらに、整流素子ユニット290は、整流素子291を介して、コイルばね292による付勢力をボール弁240に伝達している。
したがって、従来の圧力調整弁200は、開弁状態において、ボール弁240が、弁ハウジング210に直接支持されていない状態となるため、主に、以下の2つの要因により、ボール弁240が中心軸線C上から半径方向にずれるおそれがあった。第1に、感圧用ベローズ251は、例えば、バルジ成形により生じる僅かな偏肉によって、非対称性を有するものである(以下、「感圧用ベローズの非対称性」という)。この感圧用ベローズ251の非対称性に起因して、中心軸線Cに沿わない付勢力が、ボール弁240に伝達されてしまう。第2に、圧縮コイルばね263が、中心軸線Cに対して、僅かながら曲がりや傾きを有した状態で非対称に配置され得るものである(以下、「圧縮コイルばねの非対称な配置」という)。この圧縮コイルばね263の非対称な配置に起因した、中心軸線Cに沿わない付勢力が、連結棒254を介して、ボール弁240に伝達されてしまう。
これらの要因により、従来の圧力調整弁200では、開弁状態において、ボール弁240に半径方向への不安定な動作が生じるため、流量を安定させることが非常に困難となるという問題を有していた(以下、「流量不安定」という)。さらに、この開弁状態から閉弁状態へと移行すると、このボール弁240が、中心軸線C上に位置しないことにより、弁座212の環状弁座面に対して全周に亘って同時に着座しないため、弁漏れ性が低下するという問題を有していた(以下、「弁漏れ性低下」という)。
本発明の目的は、流量を安定させるとともに、弁漏れ性を向上させることができる感圧用ベローズを備える圧力調整弁を提供することである。
上記課題を解決するために、圧力調整弁は、軸方向に沿って連通する、入口ポート、ニードル案内孔、ニードル収容室、弁室及びベローズ収容室と、前記弁室と連通する出口ポートと、を有する弁ハウジングと、一端側に延在するガイド部と、他端側に設けられ、前記ニードル収容室と前記弁室との接続部に形成される弁座に対して近接または離間可能な弁部と、を有するニードルと、前記ベローズ収容室に配置され、前記弁部を閉弁方向に付勢する感圧用ベローズを有する感圧用ベローズユニットと、前記入口ポートと前記ニードル収容室とを連通させる内部流路と、を備え、前記ニードルの前記ガイド部は、前記ニードル案内孔内を軸方向に案内可能に配置されるものである。
また、上記圧力調整弁であって、前記ニードル及び前記感圧用ベローズユニットにおける軸方向対向面の軸心部には、一対の第1の窪み部が設けられ、前記一対の第1の窪み部の間には、第1のボールが挟持されるものとしてもよい。
また、上記圧力調整弁であって、前記第1のボールが前記一対の第1の窪み部に入り込む軸方向長さは、前記感圧用ベローズの可動領域長さより大きいものとしてもよい。
また、上記圧力調整弁であって、前記弁部を閉弁方向に付勢する圧縮コイルばねを有する調整ばねユニットをさらに備え、前記感圧用ベローズユニットは、軸方向に沿って延在する前記感圧用ベローズと、前記感圧用ベローズの一端部及び他端部にそれぞれ密着されるベローズ下蓋及びベローズ上蓋と、一端部が前記ベローズ下蓋に遊嵌されるとともに、他端部が前記ベローズ上蓋に設けられる挿通孔内を挿通可能に配置される連結棒と、を有し、前記連結棒の他端部が、前記調整ばねユニットと係合されるものとしてもよい。
また、上記圧力調整弁であって、前記連結棒及び前記調整ばねユニットにおける軸方向対向面の軸心部には、一対の第2の窪み部が設けられ、前記一対の第2の窪み部の間には、第2のボールが挟持されるものとしてもよい。
また、上記圧力調整弁であって、前記ニードル案内孔及び前記弁座が、同一部材からなる前記弁ハウジングに同一軸心上に形成されるものとしてもよい。
また、上記圧力調整弁であって、前記感圧用ベローズの有効受圧面積は、前記弁座に囲まれる前記弁部の受圧面積と一致するように設定されるものとしてもよい。
また、上記圧力調整弁であって、前記内部流路は、前記ニードルの前記ガイド部に設けられるものとしてもよい。
本発明によれば、流量を安定させるとともに、弁漏れ性を向上させることができる感圧用ベローズを備える圧力調整弁を提供することができる。
本発明の実施形態に係る圧力調整弁の閉弁状態を示す断面図である。 図1の部分拡大図である。 従来技術における感圧用ベローズを備える圧力調整弁の開弁状態を示す断面図である。
本発明の実施形態について、図1から図2を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は本実施形態の態様に限定されるものではない。
<用語について>
本明細書および特許請求の範囲の記載において、「一端」及び「他端」とは、図面における「下端」及び「上端」を示す。また、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「感圧用ベローズの有効受圧面積」とは、蛇腹形状の最小内径(感圧用ベローズの中心軸側に突出する蛇腹形状における「谷」部の内径)及び最大内径(感圧用ベローズの中心軸側の中心軸から離れる方向に突出する蛇腹形状の「山」部の内径)の平均内径に基づいて算出した近似値としての受圧面積を示す。さらに、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「案内可能」とは、「摺動可能」を含むものを示す。
<圧力調整弁の構成について>
図1及び図2を用いて、本発明の実施形態に係る圧力調整弁100について説明する。圧力調整弁100は、バルブ本体5、ニードル40、感圧用ベローズユニット50、調整ばねユニット60から主に構成される。以下、圧力調整弁100のそれぞれの構成について順に説明する。なお、圧力調整弁100において、ニードル40、感圧用ベローズユニット50、調整ばねユニット60の順に、一端側から他端側へと間接的に係合した状態で、バルブ本体5へと組付けられる。ここで、詳細は後述するが、本実施形態において、ニードル40を、弁ハウジング10のニードル案内孔13内に、中心軸線Cに沿って案内可能に配置することにより、従来の圧力調整弁200が有する問題点(流量不安定及び弁漏れ性低下)を解消することができる。
バルブ本体5は、流入管1及び流出管2に接続される弁ハウジング10と、この弁ハウジング10の他端部に圧入された後にろう付けされることにより結合された接続部材20と、この接続部材20の他端部にかしめ等により結合されたばねケース30と、から構成される。このバルブ本体5は、真鍮、鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属等で構成される。
弁ハウジング10は、中空円筒状の部材で、中心軸線Cに沿って貫通する貫通孔を有し、この貫通孔には、流入管1と接続する入口ポート11、ニードル案内孔13、ニードル収容室14、弁室15及びベローズ収容室16が、互いに連通するように設けられる。このニードル案内孔13は、ニードル収容室14より内径が小さく設定されており、ニードル案内孔13とニードル収容室14との接続部には、環状の段部17が設けられる。また、弁室15は、ニードル収容室14より内径が大きく設定されており、弁室15とニードル収容室14との接続部には、環状の弁座18が設けられる。本実施形態において、ニードル案内孔13及び弁座18が、同一部材からなる弁ハウジング10に同一軸心上に形成されているため、弁漏れ性を向上させることができる。
また、弁ハウジング10は、弁室15から半径方向へと貫通する貫通孔をさらに有し、この貫通孔には、流出管2と接続する出口ポート12が設けられる。これにより、閉弁状態において、弁室15及びベローズ収容室16には、出口ポート12を介して二次側圧力P2が導入できるように構成される。
接続部材20は、中心軸線Cに沿って貫通する貫通孔を有する中空円筒状の部材で、ベローズ収容室16と略同一内径を有して、ベローズ収容室16に連続的に接続される開口部21が設けられる。
ばねケース30は、中心軸線Cに沿って貫通する貫通孔を有する中空円筒状の部材で、ばね収容室31が設けられる。また、ばねケース30の他端部の内周側には、雌ねじ部32が設けられ、調整ねじ部材62の外周側に設けられる雄ねじ部62aと、軸方向に移動可能に螺合される。
次に、ニードル40について説明する。図2に示されるように、ニードル40は、軸方向の一端側へ延在する円筒形状のガイド部41と、他端側に設けられる略円錐台形状の弁部42と、ガイド部41と弁部42との間に設けられる環状のばね支持部43と、を備える。また、ニードル40は、ガイド部41を中心軸線Cに沿って延在するとともに、弁部42を半径方向へと貫通する内部流路44を有する。このニードル40は、ステンレス等の金属等で構成される。なお、本実施形態においては、ニードル40のガイド部41に内部通路44を設けることにより、入口ポート11とニードル収容室14とを連通させるものであるが、これに限らず、例えば、弁ハウジング10に、入口ポート11とニードル収容室14とを連通させる内部通路を設けてもよい。
ニードル40のガイド部41が、弁ハウジング10のニードル案内孔13内を軸方向に案内可能に配置される。ここで、ガイド部41の外径とニードル案内孔13の内径との間に形成される第1の間隙G1は、比較的小さくなるように設定されており、厳密な公差管理が行われている。また、ニードル40は、ニードル40のばね支持部43と弁ハウジング10の段部17との間に挟持された弁ばね6により、常時、開弁方向へと付勢される。このように、ニードル40は、軸方向に安定した状態でガイドされており、中心軸線C方向からみた、ニードル40と弁座18との中心位置は常に一致するため、従来の圧力調整弁200が有する問題点(流量不安定及び弁漏れ性低下)を解消することができる。なお、弁ばね6のニードル40側の端部(他端側の端部)は、内部流路44のニードル収容室14側の開口を避けた位置、即ち、内部流路44のニードル収容室側の開口よりも一端側となっている。内部流路44のニードル収容室14側の開口から流出した流体はニードル40と弁座18との間の間隙を介して弁室15に流出するので、弁ばね6は流体の流れに晒されにくくなっており、弁ばね6が流体の流れの影響を受けにくい。これにより、より流量が安定化される。
ニードル40の軸方向への移動については、詳細は後述するが、一次側圧力P1と二次側圧力P2との圧力差や、弁部42の他端部に作用する感圧用ベローズ51及び圧縮コイルばね63の付勢力や、ばね支持部43に作用する弁ばね6の付勢力などにより生じる。これらの外力により、弁部42が弁座18に対して近接または離間可能に移動し、弁開度が決まる。なお、詳細は後述するが、連結棒54の段差部54cがベローズ上蓋53のベローズ上蓋接合部53bと当接することにより、ニードル40の最大のリフト量となる最大リフト状態が規定される。本実施形態におけるニードル40は、着座状態から最大リフト状態までの全域に亘って、ガイド部41がニードル案内孔13の軸方向全長により案内、つまり、ガイド部41の一端部がニードル案内孔13の一端部より常に下方となるように案内される。
続いて、感圧用ベローズユニット50について説明する。感圧用ベローズユニット50は、感圧用ベローズ51と、ベローズ下蓋52と、ベローズ上蓋53と、連結棒54と、から構成される。この感圧用ベローズ51は、中心軸線Cに沿って延在する一端部及び他端部を、ベローズ下蓋52及びベローズ上蓋53にそれぞれ密着させるとともに、弁部42を閉弁方向に付勢する。また、連結棒54は、中心軸線Cに沿って延在する一端部及び他端部を、ベローズ下蓋52及びベローズ上蓋53にそれぞれ係合させる。この感圧用ベローズユニット50は、ステンレス等の金属等で構成されており、弁ハウジング10のベローズ収容室16及び接続部材20の開口部21内に収容される。
感圧用ベローズ51は、ベローズ下蓋52及びベローズ上蓋53のそれぞれと密着されることにより、感圧用ベローズ51の外部空間には、弁室15及びベローズ収容室16を介して、常時、二次側圧力P2が導入される。一方、感圧用ベローズ51の内部空間には、詳細は後述するが、連結棒54の小径部54bとベローズ上蓋53の挿通孔53aとの間に形成された第2の間隙G2を介して、常時大気が導入される。この感圧用ベローズ51は、弁ハウジング10及び連結棒54のそれぞれと、常時、非接触状態となるように設定される。
連結棒54は、軸方向の一端側へ延在する略円柱形状の大径部54aと、大径部54aから軸方向の他端側へ延在する略円柱形状の小径部54bと、を備える。大径部54aの一端部には、凹部54arが形成される。また、大径部54aと小径部54bとの接合部には、環状の段差部54cが形成される。
ベローズ上蓋53は、中心軸線Cに沿って同心上に延在する挿通孔53a、感圧用ベローズ51の他端部が挿入及び密着されるベローズ上蓋接合部53bを備える。この挿通孔53a内には、連結棒54の小径部54bが、軸方向に挿通可能に配置される。ここで、感圧用ベローズユニット50は、バルブ本体5に対して、溶接部Wを介して固定される。この溶接部Wは、ベローズ上蓋53及び接続部材20の他端部同士を、互いに溶接した領域を示す。この溶接部Wの軸方向の位置を調整することにより、感圧用ベローズユニット50の長さの個体差や、バルブ本体5への組付け誤差などを吸収することができる。また、連結棒54の小径部54bは、ベローズ上蓋53の挿通孔53aとの間に第2の間隙G2を形成する。この第2の間隙G2により、連結棒54の摺動抵抗を減少させ、ヒステリシスを低減させることができるとともに、感圧用ベローズ51の内部空間への流体の移動をスムーズにし、感圧用ベローズ51の圧力変動の応答性を高めることができる。一方で、この第2の間隙G2により、連結棒54は、中心軸線Cに対して傾きを生じるおそれがある。
ベローズ下蓋52は、他端側に延在する凸部52aと、感圧用ベローズ51の一端部が挿入及び密着されるベローズ下蓋接合部52bを備える。この凸部52aは、連結棒54の凹部54ar内に挿入されるが、凸部52aの外径が、連結棒54の凹部54arの内径より小さく設定されているため、凸部52aは、凹部54arに対して、半径方向に移動可能に遊嵌される。このように、本実施形態において、ベローズ下蓋52と連結棒54とが、互いに固定されずに、半径方向に移動可能に遊嵌されるため、前述した連結棒54の中心軸線Cに対する傾きや、感圧用ベローズ51の非対称性などを吸収することができる。
さらに、調整ばねユニット60について説明する。調整ばねユニット60は、ばね受け部材61と、調整ねじ部材62と、ばね受け部材61及び調整ねじ部材62の間に挟持され、弁部42を閉弁方向に付勢する圧縮コイルばね63と、から構成される。調整ばねユニット60は、真鍮、鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属等で構成されており、ばねケース30のばね収容室31内に収容される。この調整ねじ部材62の外周側に設けられる雄ねじ部62aと、ばねケース30の他端部の内周側に設けられる雌ねじ部32とを螺合させ、調整ねじ部材62を軸方向に移動させることにより、圧縮コイルばね63の付勢力を調整することができる。
このように、本実施形態の圧力調整弁100において、ガイド部41の外径とニードル案内孔13の内径との間に形成される第1の間隙G1を比較的狭く設定して、ニードル40を軸方向に安定した状態でガイドしているため、従来の圧力調整弁200が有する問題点(流量不安定及び弁漏れ性低下)を解消することができる。この第1の間隙G1は、第2の間隙G2より小さくなるように設定されており、より厳密な公差管理が行われている。また、第1の間隙G1が形成される領域の軸方向長さは、第2の間隙G2が形成される領域の軸方向長さより大きくなるように設定されてもよい。これにより、ニードル40を、より一層、軸方向に安定した状態でガイドすることができる。
ここで、本実施形態における圧力調整弁100は、従来の圧力調整弁200と同様に、感圧用ベローズ51及び圧縮コイルばね63を具備している。よって、感圧用ベローズ51の非対称性及び圧縮コイルばね63の非対称な配置に起因した、中心軸線Cに沿わない付勢力が、ニードル40へと伝達される可能性があり、これにより、ニードル40の摺動抵抗が増加し、ヒステリシスが大きくなるおそれがあった。
そこで、本実施形態の圧力調整弁100では、ニードル40及び感圧用ベローズユニット50における軸方向対向面との間、連結棒54及び調整ばねユニット60における軸方向対向面との間に、第1及び第2の求心手段70,80をそれぞれ配置している。この第1及び第2の求心手段70,80により、中心軸線Cに沿わない付勢力が、ニードル40へと伝達されることを抑制でき、その結果、ニードル40の摺動抵抗が減少し、ヒステリシスを低減させることができる。
第1の求心手段70は、ニードル40及び感圧用ベローズユニット50における軸方向対向面に形成される一対の第1の窪み部71,72と、この一対の第1の窪み部71,72の間に挟持される第1のボール73と、から構成される。この一対の第1の窪み部71,72は、弁部42の上端面及びベローズ下蓋52の下端面における軸心部に形成されており、円錐形状の第1の上端窪み部(第1の窪み部)71及び第1の下端窪み部(第1の窪み部)72から構成される。この円錐形状は、中心軸線Cと同心円に形成された底面と、中心軸線C上に位置する頂点とを有している。ここで、本実施形態において、第1のボール73が、第1の上端窪み部71及び第1の下端窪み部72に入り込む中心軸線C方向長さ(l1+l2)は、感圧用ベローズ51の可動領域長さLより大きく設定される。これにより、外部の衝撃などで感圧用ベローズ51が収縮しても、第1のボール73は第1の上端窪み部71及び第1の下端窪み部72より外れることなく保持することができる。この第1のボール73は、ステンレス等の金属等で構成される。
ここで、ニードル40は、弁ハウジング10のニードル案内孔13内に、中心軸線Cに沿って案内可能に配置されるため、第1の上端窪み部71の中心位置は、常時中心軸線C上に位置している。一方、連結棒54の中心軸線Cに対する傾きや、感圧用ベローズ51の非対称性などにより、第1の下端窪み部72の中心位置は、一時的に、中心軸線C上から半径方向にずれるおそれがあった。しかしながら、第1の下端窪み部72の中心位置が、半径方向にずれたとしても、第1の上端窪み部71及び第1のボール73を介して、第1の下端窪み部72に求心作用が働くため、第1の下端窪み部72の中心位置は、中心軸線C上に自立的に配置される。これにより、連結棒54の中心軸線Cに対する傾きや感圧用ベローズ51の非対称性などに起因した、中心軸線Cに沿わない付勢力が、ニードル40に伝達されることを抑制し、その結果、ニードル40の摺動抵抗が減少し、ヒステリシスを低減させることができる。
同様に、第2の求心手段80は、連結棒54及び調整ばねユニット60における軸方向対向面に形成される一対の第2の窪み部81,82と、この一対の第2の窪み部81,82の間に挟持される第2のボール83と、から構成される。この一対の第2の窪み部81,82は、連結棒54の上端面及びばね受け部材61の下端面における軸心部に形成されており、円錐形状の第2の上端窪み部(第2の窪み部)81及び第2の下端窪み部(第2の窪み部)82から構成される。この円錐形状は、中心軸線Cと同心円に形成された底面と、中心軸線C上に位置する頂点とを有している。この第2のボール83は、ステンレス等の金属等で構成される。
ここで、連結棒54は、中心軸線Cに対して傾きを生じるおそれがあるが、連結棒54の他端部は、挿通孔53aにより、軸方向に直接ガイドされているため、連結棒54の一端部と比べ、半径方向へのずれの影響は小さくなっている。よって、第2の上端窪み部81の中心位置は、常時中心軸線C上近傍に位置している。一方、圧縮コイルばね63の非対称な配置などにより、第2の下端窪み部82の中心位置は、一時的に、中心軸線C上から半径方向にずれるおそれがあった。しかしながら、第2の下端窪み部82の中心位置が、半径方向にずれたとしても、第2の上端窪み部81及び第2のボール83を介して、第2の下端窪み部82に求心作用が働くため、第2の下端窪み部82の中心位置は、中心軸線C上近傍に自立的に配置される。これにより、圧縮コイルばね63の非対称な配置などに起因した、中心軸線Cに沿わない付勢力が、連結棒54を介して、ニードル40へと伝達されることを抑制し、その結果、ニードル40の摺動抵抗が減少し、ヒステリシスを低減させることができる。
このように、本実施形態において、第1の求心手段70及び第2の求心手段80を採用することにより、感圧用ベローズ51及び圧縮コイルばね63により生じる中心軸線Cに沿わない付勢力が、ニードル40へと伝達されることを抑制できる。これにより、ニードル40の摺動抵抗が減少し、ヒステリシスを低減させることができるため、弁開き始め圧力(詳細は後述するが、一次側圧力P1が設定値((F1+F2)/S2))より僅かに小さい場合においても、低弁漏れ性を担保することができる。なお、本実施形態において、第1の上端窪み部71、第1の下端窪み部72、第2の上端窪み部81及び第2の下端窪み部82は、それぞれ円錐形状を有するものであるが、これに限らず、例えば、半球面形状を有するものであってもよい。
<圧力調整弁の動作について>
以上説明した構成を有する圧力調整弁100の動作について説明する。ここで、圧力調整弁100が用いられる対象を冷媒回路として説明するが、これに限らない。圧力調整弁100において、入口ポート11は、高圧(一次側圧力P1)側の流入管1と接続され、出口ポート12は、低圧(二次側圧力P2)側の流出管2と接続される。
(一次側圧力P1が設定値よりも低い場合)
一次側圧力P1が設定値よりも低い場合(例えば、圧縮機の吐出圧力が低下した状態など)には、図2に示すように、弁部42が弁座18に着座しており、閉弁状態となっている。その際、二次側圧力P2は、弁室15を介して、ベローズ収容室16である感圧用ベローズ51の外部空間に導入される。
まず、感圧用ベローズ51には、弁部42が開弁する方向に作用する圧力として、二次側圧力P2×有効受圧面積S1が生じている。ここで、感圧用ベローズ51の有効受圧面積S1とは、蛇腹形状の最小内径及び最大内径の平均内径に基づいて算出した受圧面積である。
次に、ニードル40には、弁部42が開弁する方向に作用する圧力として、一次側圧力P1×受圧面積S2が生じている一方、弁部42が閉弁する方向に作用する圧力として、二次側圧力P2×受圧面積S2が生じている。さらに、ニードル40には、弁部42が閉弁する方向に作用する力として、感圧用ベローズ51による付勢力F1及び圧縮コイルばね63の付勢力F2が負荷される。その他に、ニードル40には、弁部42が開弁する方向に作用する力として、弁ばね6の付勢力が負荷される。この弁ばね6による付勢力は、ニードル40の自重を打ち消す程度のものであるため、下記の(式1)には導入しない。
したがって、圧力調整弁100のニードル40に作用する外力の釣り合いは以下のように表すことができる。
P2×S1+P1×S2=P2×S2+F1+F2 (式1)
ここで、P1:一次側圧力[N/mm2
P2:二次側圧力[N/mm2
S1:感圧用ベローズ51の有効受圧面積[mm2
S2:弁座18に囲まれる弁部42の受圧面積[mm2
F1:感圧用ベローズ51による付勢力[N]
F2:圧縮コイルばね63の付勢力[N]
(式1)は、P2×S1+P1×S2-P2×S2=F1+F2へと整理することができる。ここで、感圧用ベローズ51の有効受圧面積S1は、弁座18に囲まれる弁部42の受圧面積S2と一致するように設定される。
したがって、(式1)において、二次側圧力P2によりニードル40に作用する外力は、全て打ち消されることとなり、上式はさらに、P1×S2=F1+F2へと整理することができる。本実施形態の圧力調整弁100は、感圧用ベローズ51の有効受圧面積S1と弁座18に囲まれる弁部42の受圧面積S2とが一致するように設定されるため、二次側圧力P2の影響を打ち消すことができる。つまり、圧力調整弁100は、調整ねじ部材62を軸方向に移動させ、圧縮コイルばね63の付勢力F2を適切に設定することにより、一次側圧力に変動に応じて、開度を可変に制御することができる。なお、蛇腹形状の最小内径及び最大内径の平均内径に基づいて算出した近似値としての受圧面積(有効受圧面積)に限らず、実験を通じて得た実際の受圧面積を用いて圧力調整弁100の各部の寸法を設定することもできる。
(一次側圧力P1が設定値よりも高い場合)
一次側圧力P1が設定値((F1+F2)/S2)よりも高い場合(例えば、圧縮機の吐出圧力が上昇した状態など)には、不図示であるが、弁部42が弁座18に離間しており、開弁状態となっている。この際、一次側圧力P1の上昇にともない弁開度が大きくなるが、最大の弁開度は、連結棒54の段差部54cとベローズ上蓋53のベローズ上蓋接合部53bとが当接することにより規定される。
このように、本実施形態の圧力調整弁100は、弁ハウジング10のニードル案内孔13内に、ニードル40を中心軸線Cに沿って案内可能に配置することにより、従来の圧力調整弁200が有する問題点(流量不安定及び弁漏れ性低下)を解消することができる。さらに、本実施形態における圧力調整弁100は、第1及び第2の求心手段70,80を採用することにより、中心軸線Cに沿わない付勢力が、ニードル40へと伝達されることを抑制できる。その結果、ニードル40の摺動抵抗が減少し、ヒステリシスを低減させることができるため、弁開き始め圧力(一次側圧力P1が設定値((F1+F2)/S2))より僅かに小さい場合においても、低弁漏れ性を担保することができる。
本実施形態におけるガイド部41及びニードル案内孔13は、一端(一次側圧力P1)側に設けられているので、感圧用ベローズユニット50等を具備する他端(二次側圧力P2)側に設けられる場合と比較して、ガイド部及びニードル案内孔の長さや直径の自由度を高くして設定することができる。
<その他>
本実施形態の圧力調整弁100は、例示する冷媒回路だけでなく、あらゆる流体装置及び流体回路に適用可能であることは言うまでもない。また、本発明は、上述した各形態や、各実施形態、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
100 圧力調整弁
5 バルブ本体
10 弁ハウジング
11 入口ポート
12 出口ポート
13 ニードル案内孔
14 ニードル収容室
15 弁室
16 ベローズ収容室
18 弁座
20 接続部材
30 ばねケース
40 ニードル
41 ガイド部
42 弁部
44 内部流路
50 感圧用ベローズユニット
51 感圧用ベローズ
52 ベローズ下蓋
53 ベローズ上蓋
54 連結棒
60 調整ばねユニット
61 ばね受け部材
62 調整ねじ部材
63 圧縮コイルばね
70 第1の求心手段
71 第1の上端窪み部(第1の窪み部)
72 第1の下端窪み部(第1の窪み部)
73 第1のボール
80 第2の求心手段
81 第2の上端窪み部(第2の窪み部)
82 第2の下端窪み部(第2の窪み部)
83 第2のボール

C 中心軸線
F1 感圧用ベローズによる付勢力
F2 圧縮コイルばねの付勢力
G1 第1の間隙
G2 第2の間隙
L 感圧用ベローズの可動領域長さ
l1 第1のボールが第1の上端窪み部に入り込む中心軸線方向長さ
l2 第1のボールが第1の下端窪み部に入り込む中心軸線方向長さ
P1 一次側圧力
P2 二次側圧力
S1 感圧用ベローズの有効受圧面積
S2 弁座に囲まれる弁部の受圧面積
W 溶接部

Claims (7)

  1. 軸方向に沿って連通する、入口ポート、ニードル案内孔、ニードル収容室、弁室及びベローズ収容室と、前記弁室と連通する出口ポートと、を有する弁ハウジングと、
    一端側に延在するガイド部と、他端側に設けられ、前記ニードル収容室と前記弁室との接続部に形成される弁座に対して近接または離間可能な弁部と、を有するニードルと、
    前記ベローズ収容室に配置され、前記弁部を閉弁方向に付勢する感圧用ベローズを有する感圧用ベローズユニットと、
    前記入口ポートと前記ニードル収容室とを連通させる内部流路と、
    前記弁部を閉弁方向に付勢する圧縮コイルばねを有する調整ばねユニットと、
    を備え、
    前記ニードルの前記ガイド部は、前記ニードル案内孔内を軸方向に案内可能に配置され
    前記感圧用ベローズユニットは、軸方向に沿って延在する前記感圧用ベローズと、前記感圧用ベローズの一端部及び他端部にそれぞれ密着されるベローズ下蓋及びベローズ上蓋と、一端部が前記ベローズ下蓋に遊嵌されるとともに、他端部が前記ベローズ上蓋に設けられる挿通孔内を挿通可能に配置される連結棒と、を有し、
    前記連結棒の他端部が、前記調整ばねユニットと係合されることを特徴とする圧力調整弁。
  2. 前記ニードル及び前記感圧用ベローズユニットにおける軸方向対向面の軸心部には、一対の第1の窪み部が設けられ、前記一対の第1の窪み部の間には、第1のボールが挟持されることを特徴とする請求項1に記載の圧力調整弁。
  3. 前記第1のボールが前記一対の第1の窪み部に入り込む軸方向長さは、前記感圧用ベローズの可動領域長さより大きいことを特徴とする請求項2に記載の圧力調整弁
  4. 前記連結棒及び前記調整ばねユニットにおける軸方向対向面の軸心部には、一対の第2の窪み部が設けられ、前記一対の第2の窪み部の間には、第2のボールが挟持されることを特徴とする請求項に記載の圧力調整弁。
  5. 前記ニードル案内孔及び前記弁座が、同一部材からなる前記弁ハウジングに同一軸心上に形成されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の圧力調整弁。
  6. 前記感圧用ベローズの有効受圧面積は、前記弁座に囲まれる前記弁部の受圧面積と一致するように設定されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の圧力調整弁。
  7. 前記内部流路は、前記ニードルの前記ガイド部に設けられることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の圧力調整弁。
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