JP7422006B2 - 現像ローラ及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、現像ローラ及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる現像ローラは、トナーに均一な摩擦電荷を付与し、かつ、所定量のトナーを現像領域に安定して搬送する機能を有する。近年の電子写真装置の高速化、長寿命化、高画質化の対応の過程でトナーの特性向上が図られており、それに伴い、現像ローラを構成する各種材料の電気的特性を調整して現像ローラの現像剤搬送性を向上させることも検討されている。
電子写真方式を採用する画像形成装置において、現像ローラの表面層(被覆層ともいう)には、感光ドラムに対する汚染が少ないことからポリウレタンが用いられている。しかしながら、特に、初期から大量に画像出力を行うと、高温高湿環境となり、現像ローラ表面での帯電不足が生じ、画像の白地部に現像剤が現像されてしまう画像不良(以下、「かぶり」とも称する)が発生する場合がある。
そこで、残像の発生を防止又はかぶりを改善することを目的として、例えば、特許文献1には、少なくとも表面を構成する材料に第4級アンモニウム塩基含有共重合体を含有する現像ローラが開示されている。この現像ローラによれば、トナーに優れた負帯電性を付与でき、現像ローラの表面抵抗を低下させることができる。
特開2001-312136号公報
しかしながら、電子写真装置の高速化、高画質化等に対応するためには、高温高湿条件下のかぶり防止について、いまだ改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高温高湿条件下におけるかぶりを抑制し、高品質な画像を提供することが可能な現像ローラ及びその現像ローラを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリウレタンに起因する上記の課題を解決すべく更なる検討を重ねた。その結果、本発明に係るシリコーン変性ポリウレタンをベース樹脂として含む被覆層中に酸化亜鉛粒子を分散させることで、現像ローラのキャパシタンスを小さくすることにより、トナー電荷の減衰を抑制する効果に加え、酸化亜鉛粒子によるトナーへの電荷付与性能が向上できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、軸体と、軸体の外表面に設けられる弾性層と、弾性層より外側に設けられる被覆層とを備える現像ローラであって、被覆層が、ベース樹脂と導電性付与剤とを含み、ベース樹脂が、シリコーン変性ウレタン樹脂であり、導電性付与剤が、酸化亜鉛粒子である現像ローラである。
被覆層は、さらに粗さ剤を含んでもよい。
現像ローラの表面の抵抗値は、1×10Ω以上9×10Ω以下であることが好ましい。
現像ローラの表面のヘキサデカン接触角は、30°以上であることが好ましい。
本発明の画像形成装置は、本発明の現像ローラを備えたものである。
本発明の現像ローラ及び画像形成装置によれば、高温高湿条件下におけるかぶりの発生を抑制し、高品質な画像を提供することができる。
本発明の現像ローラの一実施形態を示す斜視図である。 本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略断面図である。 現像ローラの表面の抵抗を測定する装置を示す概略正面図である。 現像ローラのC-F特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[現像ローラ]
図1に示すように、本発明の現像ローラ1は、軸体2と、軸体2の外表面に設けられる弾性層3と、弾性層3より外側に設けられる被覆層4とを備える。
被覆層4は、ベース樹脂と導電性付与剤とを含んでなる。ベース樹脂は、シリコーン変性ウレタン樹脂であり、導電性付与剤は、酸化亜鉛粒子である。
以下に、各構成の詳細を説明する。
<軸体>
軸体2は、好ましくは、導電特性を有する、従来公知の現像ローラに用いられる軸体を用いることができる。軸体2は、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、及び真鍮からなる群より選択される少なくとも1種の金属で構成されていることが好ましい。なお、このような軸体2は、一般に、「芯金」の名称でも知られている。
軸体2は、絶縁性樹脂を含むものであってもよい。絶縁性樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。軸体2は、例えば、絶縁性樹脂からなる芯体と、この芯体上に設けられたメッキ層と、を備えるものであってよい。このような軸体2は、例えば、絶縁性樹脂からなる芯体にメッキを施して導電化することにより得ることができる。
軸体2は、良好な導電特性を得るために、芯金であることが好ましい。
軸体2の形状は、例えば、棒状、管状等であることが好ましい。軸体2の断面形状は、例えば、円形、楕円形であってもよく、多角形等の非円形であってもよい。軸体2の外周面には、洗浄処理、脱脂処理、プライマー処理等の処理が施されていてもよい。
軸体2の軸方向の長さは特に限定されず、設置される画像形成装置の形態に応じて適宜調整してもよい。また、軸体2の直径(外接円の直径)も特に限定されず、設置される画像形成装置の形態に応じて適宜調整すればよい。
<弾性層>
弾性層3は、感光体の表面に形成された静電潜像にトナーを過不足なく供給することができるように、適切なニップ幅とニップ圧をもって感光体に押圧可能な硬度や弾性を現像ローラ1に付与するために設けられる。弾性層3は種々のゴム材を用いることができる。ゴム材に使用するゴムとしては、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、ウレタンゴム以下が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。この中でも、押圧による圧縮応力歪みの小さいシリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、これらのシロキサンの共重合体が挙げられる。
弾性層3の中には、電子導電性物質やイオン導電性物質のような導電性付与剤を配合することで、その導電性を適宜調整することができる。電子導電性物質としては、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、銅、銀、ゲルマニウム等の金属及びその金属酸化物が挙げられる。この中でも、少量で導電性を制御しやすいことからカーボンブラック(導電性カーボン、ゴム用カーボン、カラー(インク)用カーボン)が好ましい。また、イオン導電性物質としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム、リチウムビスイミド、カリウムビスイミド等の無機イオン導電性物質、変性脂肪族ジメチルアンモニウムエトサルフェート、ステアリルアンモニウムアセテート等の有機イオン導電性物質が挙げられる。弾性層3には、反応性のエーテル変性シリコーンオイルを添加してもよい。
<被覆層>
被覆層4は、ベース樹脂と導電性付与剤とを含んでなる。ベース樹脂は、(A)シリコーン変性ウレタン樹脂であり、導電性付与剤は、(B)酸化亜鉛粒子である。
本発明の被覆層4は、(a)シリコーン変性ポリオール、(b)イソシアネート化合物、及び(c)酸化亜鉛粒子を含有する被覆層用組成物を加熱及び硬化させることにより形成することができる。以下に、被覆層用組成物の詳細について説明する。
(a)シリコーン変性ポリオール
シリコーン変性ポリオールは、変性シリコーンオイル及びイソシアネート化合物からなる組成物を重合させてプレポリマー化したものである。
変性シリコーンオイル、イソシアネート化合物の詳細を以下に説明する。変性シリコーンオイルには、両末端変性シリコーンオイル及び片末端変性シリコーンオイルが挙げられる。
-両末端変性シリコーンオイル-
両末端変性シリコーンオイルは、いわゆる、反応性シリコーンオイルの1種であり、イソシアネート化合物と重合する特性を有する。よって、両末端変性シリコーンオイルは、エーテル基、アミノ基(1級又は2級アミノ基)、メルカプト基、又はヒドロキシル基により、シリコーン鎖の両末端が変性されていることが好ましい。これらの両末端変性シリコーンオイルは、両末端エーテル変性シリコーンオイル、両末端アミノ変性シリコーンオイル、両末端メルカプト変性シリコーンオイル、両末端カルボキシル変性シリコーンオイル、両末端フェノール変性シリコーンオイル、両末端カルビノール変性シリコーンオイルとして市販されている。
ここで、本発明で用いられる好ましい両末端変性シリコーンオイルとしては、以下の一般式(1)で示される両末端変性シリコーンオイルを挙げることができる。
一般式(1)において、Rは、-COCOH、又は-COCH-C(CHOH)を示し、nは、20以下の整数を表す。
一般式(1)で示される両末端変性シリコーンオイルの中でも、特に、両末端のRが、-COCOHであり、nが約10であるシリコーンオイルを用いることが好ましい。このようなシリコーンオイルについては、市販のものを適宜入手することができる。
なお、一般式(1)においては、ケイ素原子に結合する官能基は、メチル基となっているが、このメチル基が水素原子で置換された両末端変性シリコーンオイルであってもよい。
被覆層4を形成するための組成物に両末端変性シリコーンオイルを含有することにより、被覆層4に適度な弾性を付与することができるとともに、被覆層4の電気的特性を調整することができ、フィルミングの発生を有効に抑制することができる。
-片末端ジオール変性シリコーンオイル-
片末端ジオール変性シリコーンオイルは、両末端変性シリコーンオイルと同様に、反応性シリコーンオイルであるが、シリコーン鎖の一方の末端に、2つのヒドロキシル基が結合しているものである。通常、両末端変性シリコーンオイルとイソシアネート化合物とを重合させた場合、直鎖状のポリウレタンが生成するが、片末端ジオール変性シリコーンオイルを併用することにより、ポリウレタンに分岐鎖が導入され、現像ローラ1のナノレベルの微細な粗さを向上させることができる。
片末端ジオール変性シリコーンオイルとしては、以下の一般式(2)で示される片末端変性シリコーンオイルを挙げることができる。
一般式(2)において、R’は、-COCH-C(CHOH)を示し、nは、20以下の整数を表す。
一般式(2)で示される片末端ジオール変性シリコーンオイルの中でも、特に、nが約10であるシリコーンオイルを用いることが好ましい。なお、一般式(2)においては、ケイ素原子に結合する官能基は、メチル基となっているが、このメチル基が水素原子で置換されたシリコーンオイルであってもよい。
本発明において、シリコーン変性ポリオールの調製のために使用する片末端ジオール変性シリコーンオイルは、両末端変性シリコーンオイル100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、2質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。両末端変性シリコーンオイルに対する片末端ジオール変性シリコーンオイルの使用量を上記の範囲内のものとすることにより、被覆層4の表面粗さを調整することにより、現像性能を良好に維持ししつつ、フィルミングを効果的に防止することができる。
-イソシアネート化合物-
本発明において、シリコーン変性ポリオールのプレポリマー化のために使用するイソシアネート化合物としては、シリコーンオイルに導入された反応性基との反応性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等のジイソシアネート、及びこれらのイソシアネートの変性体である、アダクト型、ビュレット型、イソシアヌレート型、アロファネート型等を挙げることができる。これらのイソシアネート化合物の中でも、2官能型イソシアネート化合物、イソシアヌレート型イソシアネート化合物とアダクト型イソシアネート化合物であることが好ましく、これらを単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。イソシアネート化合物は、その分子鎖が長いほど、より高い柔軟性を有するポリウレタンを生成することができる。
(b)イソシアネート化合物
シリコーン変性ポリオールを硬化するためのイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの調製に通常使用される各種イソシアネート化合物、例えば、芳香族イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物、脂環式イソシアネート化合物を用いることができる。
芳香族イソシアネート化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート等を挙げることができる。
また、脂肪族イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアナートメチル(NBDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等を挙げることができる。
さらに、脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H6XDI(水添XDI)、H12MDI(水添MDI)、4,4’-ジシクロへキシルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。
本発明において、被覆層4を形成するために使用する混合液におけるイソシアネート化合物の使用量は、イソシアネート化合物の反応率が80%以上126%以下、好ましくは95%以上112%以下となるように使用されることが好ましい。
(c)酸化亜鉛粒子
酸化亜鉛粒子は、被覆層用樹脂組成物中での分散性及び導電性を考慮して、平均粒子径が20nm以上750nm以下であることが好ましい。
(その他の成分)
-粗さ剤-
粗さ剤としては、シリカ(表面処理シリカを含む)等の無機粒子、アクリル、ウレタン、ナイロン、アクリルニトリル、シリコーン、シリコーンゴム、ベンゾグアナミン等の樹脂粒子が挙げられる。粗さ剤は、被覆層4に、1種のみ含有してもよく、2種以上含んでもよい。
粗さ剤の大きさは平均粒子径2μm以上であり、3μm以上15μm以下が好ましい。粗さ剤の平均粒子径を上記範囲とすることにより、現像ローラ1の表面粗さが適切に維持され、現像剤搬送性が良好に保たれる一方で、解像度を高い水準に維持して、画質の悪化を防止することができる。平均粒子が2μmの場合、凝集しやすく、完全分散しない状態を確認した後コーティングする。
粗さ剤の平均粒子径(二次粒子)は、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製)で測定することができる。
本発明において使用する粗さ剤は、100℃以上の温度でも変形又は溶融等しない耐熱性を有することが好ましく、130℃から180℃での耐熱性を有することがより好ましい。これにより、被覆層4の架橋温度においても、粗さ剤が、変形することを防止することができる。粗さ剤の耐熱性は、メルトフローインデクサーにおいて、圧力と熱を与えて粗さ剤が溶けて流れ出すことがないことを確認することにより、評価することができる。
粗さ剤は、被覆層4中に存在(埋没)していてもよく、また、被覆層4において不均一に分散していてもよく、被覆層4の表面側に偏在していてもよい。
粗さ剤は、ベース樹脂と材料成分が類似し柔軟性のある、シリコーンゴム粒子が好ましい。シリコーンゴム粒子としては、ジメチルポリシロキサン等、オルガノポリシロキサン、ポリオルガノシルセスオキサンを架橋した構造が好ましい。
なお、シリコーンゴム粒子については、有機基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;β-フェニルエチル基、β-フェニルプロピル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等の1価ハロゲン化炭化水素基;エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等の反応性基含有有機基から選択される1種又は2種以上の炭素数1以上20以下の1価の有機基から選択される基を有するオルガノポリシロキサン又はオルガノポリシルセスキオキサンから調製することが好ましく、これら、オルガノポリシロキサン又はオルガノポリシルセスキオキサンから調製される粒子を、オルガノアルコキシシランで表面処理した粒子であってもよい。このようなシリコーンゴム粒子としては、例えば、信越化学工業株式会社製の「KMP-597」や、東レ・ダウコーニング株式会社製の「EP-5500」、「EP-2600」、「EP-2601」、「E-2720」、「DY 33-430M」、「EP-2720」、「EP-9215Cosmetic Powder」、「9701Cosmetic Powder」等を使用することができる。
粗さ剤の含有量は、シリコーン変性ポリオール100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下であることが好ましく、3質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。粗さ剤の使用量を、上記使用量の範囲内のものとすることにより、現像ローラ1の表面粗さが適切に維持され、現像剤搬送性が良好に保たれる一方で、解像度を高い水準に維持して、画質の悪化を防止することができる。
被覆層4の厚さは、5μm以上13μm以下があることが好ましく、6μm以上11μm以下であることがより好ましい。
(その他の構成)
本発明の現像ローラ1は、軸体2と弾性層3との間、及び弾性層3と被覆層4との間に、接着層を備えてもよい。弾性層3と被覆層4の間には、弾性層3の表面改質を、UV光等を照射し、プライマー処理することで接着剤層を設けてもよく、プラズマコートによって表面改質と接着剤層を同時に設けてもよい。
本発明の現像ローラ1において、電気的特性を調整することができ、特に被覆層を調整することで現像性能を良好に調整することができる。イソシアネート化合物のイソシアヌレートタイプとアダクトタイプの組み合わせにより、抵抗値やキャパシタンスを調整したりすることができる。
(現像ローラの表面の抵抗値)
本発明の現像ローラ1の表面の抵抗値は、1×10Ω以上9×10Ω以下であることが好ましく、1×10Ω以上1×10Ω以下であることがより好ましい。現像ローラ1の表面の抵抗値は、被覆層4のシリコーン変性ポリオールとイソシアネート化合物の種類の組み合わせで、調整することが可能である。必要であれば、反応性エーテル変性シリコーンオイルや酸化亜鉛粒子添加によって抵抗値をコントロールすることが可能である。
ただし、基本的にカーボンによる電子導電性は、抵抗値がばらついて、コントロールしにくい領域のため、使用しない。また、イオン導電材は環境変動に影響されるため使用しない。
現像ローラの表面の抵抗値は、後述の実施例で説明した方法により測定する値とする。
(ヘキサデカン接触角)
現像ローラ1の表面のヘキサデカン接触角は、30°以上であることが好ましく、45°以上であることがより好ましく、50°以上であることが更に好ましい。30°以上であることにより、フィルミング発生を良好に抑制することができる。フィルミングを抑えることにより、現像ローラ1の寿命が延び画像品質の安定化に繋がる。また、フィルミングによるかぶり発生も抑制することができる。
ヘキサデカン接触角は、ポータブル接触角計PCA-1(協和界面科学社製)を用いて測定することができる。
本発明の現像ローラは、被覆層がシリコーン変性ウレタン樹脂をベース樹脂とし、導電性付与剤として酸化亜鉛粒子を含有することにより、高温高湿条件下のかぶりを抑制することができる。ウレタン樹脂をシリコーン変性ウレタン樹脂にすることで被覆層のキャパシタンスを小さくすることができ、トナー電荷の減衰を抑制する効果に加え、酸化亜鉛粒子によるトナーへの電荷付与性能が向上する。その結果、効果的に著しくカブリを抑制することができる。
[現像装置及び画像形成装置]
本発明の現像ローラ1は、現像装置及び画像形成装置における現像剤担持体として、好適に用いることができる。本実施形態において、画像形成装置における現像ローラ1以外の構成は特に限定されない。本発明の現像ローラ1を備えた現像装置及び画像形成装置10の一例を、図2を参照して説明する。
画像形成装置10は、各色(黒色、シアン、マゼンタ、黄色)の現像ユニットB、C、M及びYに装備された複数の像担持体11B、11C、11M及び11Yを転写搬送ベルト6上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置であり、現像ユニットB、C、M及びYが転写搬送ベルト6上に直列に配置されている。現像ユニットBは、像担持体11B例えば感光体(感光ドラムとも称される。)と、帯電手段12B例えば帯電ローラと、露光手段13Bと、現像装置20Bと、転写搬送ベルト6を介して像担持体11Bに当接する転写手段14B例えば転写ローラと、クリーニング手段15Bとを備えている。
現像装置20Bは、本発明の現像装置の一例であり、図2に示されるように、本発明の現像ローラ1と現像剤22Bとを備えている。したがって、この画像形成装置10において、現像ローラ1は、現像剤担持体23B、23C、23M及び23Yとして装着されている。現像装置20Bは、具体的には、一成分非磁性の現像剤22Bを収容する筐体21Bと、現像剤22Bを像担持体11Bに供給する現像剤担持体23Bと、現像剤担持体23Bに現像剤22Bを供給するトナー供給ローラ25Bと、現像剤22Bの厚みを調整する現像剤量調節手段24B例えばブレードとを備えてなる。現像装置20Bにおいて、現像剤量調節手段24Bは、図2に示されるように、現像剤担持体23Bの外周面に接触又は圧接している。すなわち、現像装置20Bは「接触式現像装置」である。現像ユニットC、M及びYは現像ユニットBと基本的に同様に構成されており、同じ要素には、同じ符号と各ユニットを示す記号C、M又はYとを付して、説明を省略する。
画像形成装置10において、現像装置20Bの現像剤担持体23Bは、その表面が像担持体11Bの表面に接触又は圧接するように配置されている。現像装置20C、20M及び20Yも、現像装置20Bと同様に、その表面が現像剤担持体23C、23M及び23Yが像担持体11C、11M及び11Yの表面に接触又は圧接するように配置されている。すなわち、この画像形成装置10は「接触式画像形成装置」である。
定着手段30は、現像ユニットYの下流側に配置されている。この定着手段30は、記録体16を通過させる開口部35を有する筐体34内に、定着ローラ31と、定着ローラ31の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ33と、定着ローラ31及び無端ベルト支持ローラ33に巻き掛けられた無端ベルト36と、定着ローラ31と対向配置された加圧ローラ32とを備え、無端ベルト36を介して定着ローラ31と加圧ローラ32とが互いに当接又は圧接するように回転自在に支持されてなる圧力熱定着装置である。画像形成装置10の底部には、記録体16を収容するカセット41が設置されている。転写搬送ベルト6は複数の支持ローラ42に巻回されている。
画像形成装置10に使用される現像剤22B、22C、22M及び22Yはそれぞれ、摩擦により帯電可能な現像剤であれば、乾式現像剤でも湿式現像剤でもよく、また、非磁性現像剤でも磁性現像剤でもよい。各現像ユニットB、C、M及びYの筐体21B、21C、21M及び21Y内には、一成分非磁性の、黒色現像剤22B、シアン現像剤22C、マゼンタ現像剤22M及び黄色現像剤22Yがそれぞれ収納されている。
画像形成装置10は、以下のようにして記録体16にカラー画像を形成する。まず、現像ユニットBにおいて、帯電手段12Bで帯電した像担持体11Bの表面に露光手段13Bにより静電潜像が形成され、現像剤担持体23Bにより供給された現像剤22Bで黒色の静電潜像が現像される。そして、記録体16が転写手段14Bと像担持体11Bとの間を通過する際に黒色の静電潜像が記録体16表面に転写される。次いで、現像ユニットBと同様にして、現像ユニットC、M及びYによって、静電潜像が黒像に顕像化された記録体16に、それぞれシアン像、マゼンタ像及び黄色像が重畳され、カラー像が顕像化される。次いで、カラー像が顕像化された記録体16は、定着手段30によりカラー像が永久画像として記録体16に定着される。このようにして、記録体16にカラー画像を形成することができる。
現像装置20Bは、現像ローラ1を備えており、現像剤搬送性に優れるとともにトナーフィルミングの発生を抑えて、高濃度で高画質の画像を長期にわたって形成することに貢献できる。また、この現像装置20Bを備えた画像形成装置は高濃度で高画質の画像を長期にわたって形成できる。
本発明の現像装置及び画像形成装置は、上記したものに限定されることはなく、本発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
この発明において、画像形成装置10は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、本発明の現像ローラ1が配設される画像形成装置10は、各色の現像ユニットを備えた複数の像担持体を転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置に限られず、例えば、単一の現像ユニットを備えたモノクロ画像形成装置、像担持体上に担持された現像剤像を無端ベルトに順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置等であってもよい。また、画像形成装置に用いられる現像剤は、一成分非磁性現像剤とされているが、この発明においては、一成分磁性現像剤であってもよく、二成分非磁性現像剤であっても、また、二成分磁性現像剤であってもよい。
上記画像形成装置は、現像ローラの表面が像担持体の表面に接触又は圧接して配置される接触式画像形成装置であるが、本発明の画像形成装置は、非接触式画像形成装置であってもよい。
本発明の画像形成装置10は、本発明の現像ローラ1を備えるため、高温高湿の条件下でのかぶりの発生が抑制され、高品質な画像を提供することができる。
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の発明の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた発明も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
以下の手順により、実施例1の現像ローラを作製した。
(プライマー層の形成)
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体(SUM23製、直径10mm、長さ274.2mm)をエタノールで洗浄し、その表面にシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業株式会社製)を塗布した。プライマー処理した軸体を、ギヤオーブンを用いて、150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、軸体の外周面にプライマー層を形成した。
(弾性層の形成)
シリコーンゴムから形成されたミラブル型ゴム組成物を用いた押出成形により、軸体の外周面上にゴム材料からなる弾性体を成形した。なお、押出成形では、シリコーンゴムから形成されたゴム組成物を、正外線加熱炉(IR炉)を用いて270℃で5分間加熱し、更に、ギヤオーブンを用いて200℃で4時間加熱して硬化させた。これにより、プライマー処理された軸体の外周面上にゴム組成物の硬化物からなる弾性層を形成した。弾性層は中実な層であり、弾性層の厚さは、3mmであった。
(被覆層の形成)
まず、以下に示す化合物を、表1に示す質量部数の配合で、100℃から120℃に4時間から6時間保持して、シリコーン変性ポリオールA、Bの2種類を合成した。
a1 両末端ヒドロキシル基変性ジメチルシリコーンオイル
a2 片末端ジオール変性シリコーンオイル
a3 イソシアネート化合物 イソシアヌレートタイプ
a4 イソシアネート化合物 アダクトタイプ
次に、以下の材料を用いて、表2に示す質量部数の配合で被覆層用組成物を調製した。なお、ベース樹脂は、下記のシリコーン変性ポリオールとイソシアネートとで形成されるシリコーン変性ウレタン樹脂であった。
・上記シリコーン変性ポリオールA、B
・イソシアネート(商品名「TPA-100」、旭化成株式会社製)
・粗さ剤(商品名「EP-2601」、東レ・ダウコーニング株式会社製)
・粗さ剤(商品名「ACEMAT OK412、エボニックジャパン製)
・触媒(商品名「ネオスタン U-100」、日東化成株式会社製)
・酸化亜鉛粒子(堺化学工業株式会社製 ゴム用I種 平均粒子径0.75μm)
次に、弾性層の外周面をUV処理した。その後、UV処理された弾性層上に被覆層用組成物をスプレー法によって塗布した。塗布された組成物を150℃から160℃で30分間加熱し現像ローラを得た。
乾燥後の被覆層の厚さは9μmであった。
[実施例2、3及び比較例1]
表2に示す配合で、被覆層を形成した以外は実施例1と同様に現像ローラを作製した。
[評価]
上記実施例及び比較例について、以下の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(現像ローラの表面の抵抗値)
上記実施例及び比較例の現像ローラの表面の抵抗値を測定した。図3に測定装置の正面概略図を示す。
図3に示すように、金メッキ板51上に、現像ローラ1を乗せ、両端部に重さ500gのおもり52を掛け、印加電圧100Vでシャフト53と金メッキ板51との抵抗値を、超高抵抗/微少電流計「5450」(株式会社エーディーシー製)54を用いて測定した。
(ヘキサデカン接触角)
ヘキサデカンを装置にセットし、現像ローラ上にヘキサデカンの液滴をたらし、ポータブル接触角計PCA-1(協和界面科学社製)を用い、ヘキサデカン接触角を測定した。
(高温高湿条件下のかぶり評価)
カラー画像形成装置(商品名「C610dn2」、株式会社沖データ製)で上記実施例及び比較例の現像ローラをマゼンダ色カートリッジに装着し、高温高湿条件下のかぶりと4000枚印刷後のフィルミング状況を評価した。
0.3%dutyの印字10枚行い、白ベタ印字を瞬断で止めて、感光ドラムにテープ貼り付け白い紙上に転写する。基準の紙にテープを貼り、基準値と転写した部分の色差ΔEを測定した。同じ条件の下、4000枚印字後の色差Δをも測定した。色差ΔEは、色差計(商品名「CR-241」、コニカミノルタ株式会社製)で測定した。
4000枚印字後の色差Δを、以下の評価基準で評価した。
A:ΔEが1未満
B:ΔEが1以上1.5未満
C:1.5以上
(フィルミング評価)
フィルミングは、現像剤の付着量により評価した。具体的には、4000枚印字した後の現像ローラの表面に付着している現像剤を吸引後、フィルミング重量測定ジグに転写した質量を測定した。フィルミング評価については、転写した現像剤の質量を以下の評価基準で評価した。フィルミング評価は、Aであると合格である。
A:0mg以上0.003mg以下
B:0.003mgより多く0.006mg以下
C:0.006mgより多い
(C-F特性)
また、現像ローラのキャパシタンス測定を、下記のように測定した。
LCRメーター(株式会社NF回路設計ブロック製)を用い、測定環境温度23℃、湿度55%RHで、被覆層形成現像ローラ表面に導電ペーストで電極を作製し、導電ペーストと芯金との間の静電容量をLCRメーターで測定した。C-F特性を図4に示す。図4中、E1、E2及びE3はそれぞれ、実施例1、2及び3を示し、CE1は比較例1を示す。
表2から、本発明の現像ローラは、被覆層のベース樹脂としてシリコーン変性ポリウレタン用い、被覆層に導電性付与剤として酸化亜鉛粒子を分散させることで、高温高湿条件下のかぶり評価及びフィルミング特性に優れることがわかった。
また、図4に示すように、本発明の現像ローラのキャパシタンスは比較例よりも小さくなっていることが分かる。本発明の現像ローラは、キャパシタンスを小さくできたことにより、トナー電荷の減衰を抑制することができ、また、酸化亜鉛粒子によるトナーへの電荷付与性能が向上したため、上記特性に優れる。
1 現像ローラ
2 軸体
3 弾性層
4 被覆層
6 転写搬送ベルト
7 第2の表面粗さ剤
8 第1の表面粗さ剤
10 画像形成装置
11B、11C、11M、11Y 像担持体
12B、12C、12M、12Y 帯電手段
13B、13C、13M、13Y 露光手段
14B、14C、14M、14Y 転写手段
15B、15C、15M、15Y クリーニング手段
16 記録体
20B、20C、20M、20Y 現像装置
21B、21C、21M、21Y、
22B、22C、22M、22Y 現像剤
23B、23C、23M、23Y 現像剤担持体
24B、24C、24M、24Y 現像剤量調節手段
25B、25C、25M、25Y トナー供給ローラ
30 定着手段
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
33 無端ベルト支持ローラ
34 筐体
35 開口部
36 無端ベルト
41 カセット
42 支持ローラ
B、C、M、Y 現像ユニット
51 金メッキ板
52 おもり
53 シャフト
54 超高抵抗/微少電流計

Claims (4)

  1. 軸体と、前記軸体の外表面に設けられる弾性層と、前記弾性層より外側に設けられる被覆層とを備える現像ローラであって、
    前記被覆層が、ベース樹脂と導電性付与剤とを含み、
    前記ベース樹脂が、シリコーン変性ウレタン樹脂であり、前記シリコーン変性ウレタン樹脂が、シリコーン変性ポリオールとイソシアネートから形成され、
    前記導電性付与剤が、酸化亜鉛粒子であり、
    前記被覆層が、さらに粗さ剤としてシリコーンゴム粒子を含有し、前記粗さ剤の含有量が、前記シリコーン変性ポリオール100質量部に対し、1質量部以上40質量部以下である現像ローラ。
  2. 前記現像ローラの表面の抵抗値が、1×10Ω以上9×10Ω以下である請求項記載の現像ローラ。
  3. 前記現像ローラの表面のヘキサデカン接触角が、30°以上である請求項1又は2記載の現像ローラ。
  4. 請求項1からいずれか1項記載の現像ローラを備えた画像形成装置。
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