JP7419822B2 - 極細繊維着色用マスターバッチ、及び極細繊維 - Google Patents

極細繊維着色用マスターバッチ、及び極細繊維 Download PDF

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本発明は、極細繊維着色用マスターバッチ、及び当該マスターバッチで着色された極細繊維に関する。
マイクロファイバーは、化学的に組成された繊維径が8μm以下の極細繊維のことを指し、吸水性や通気性、細かいチリを繊維表面に取り込むといった特徴から、衣料や靴、自動車関連部材や拭き取り用クロス等に広く使用されている。マイクロファイバーに対する着色は、装飾効果、色分け効果、成形品の耐光性向上、内容物の保護や隠蔽等の目的で行われ、産業界において最も重要なのが黒色着色である。マイクロファイバーの黒色着色は、従来から染色法により行われてきたが、環境負荷や生産コストの観点からカーボンブラックによる原液着色法が検討されている。しかしながら、カーボンブラックはすぐれた物性を有するにもかかわらず特有の赤味黒色の色相は製品に対し廉価なイメージを与えることもあり、この赤味黒色の色相を改良することが望まれている。
このようなカーボンブラックにおける赤味黒色の色相を改良する方法としては、下記特許文献1-3に記載の方法が知られている。これらの特許文献の方法では、カーボンブラックにおける赤味を消し、青味の黒色を表現するために銅フタロシアニン顔料を併用している。
特開昭49-087792号公報 特開昭59-21903号公報 特開平6-35540号公報
しかしながら、上記特許文献1-3に記載の方法では、繊維径が小さいため色相において透過光の影響を強く受けるマイクロファイバーに対してはカーボンブラックにおける赤味黒色の色相を十分に改良することができないことが分かった。マイクロファイバーでは、その材質としてポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられているが、特許文献1-3に記載の方法で、熱可塑性樹脂に対してカーボンブラックと銅フタロシアニン顔料で原着しても、銅フタロシアニンが熱可塑性樹脂に対して難分散性であること、また透過光の影響により分散度合いで色相が変化しやすいことから、色相が均一にならず黒度が低下するといった問題が発生することが分かった。
よって、本発明が解決しようとする課題は、カーボンブラック特有の赤味黒色を青味黒色に改良して黒度の低下を抑制でき、さらに熱可塑性樹脂に対する分散性に優れた極細繊維着色用マスターバッチ、及び当該マスターバッチで着色された極細繊維を提供することにある。
本発明者らは、従来の顔料の使用では得られなかった黒色から青味黒色の色相を呈する黒色マイクロファイバーを得るよう鋭意研究した結果、銅フタロシアニン顔料とともに特定の銅フタロシアニンスルホン酸誘導体を併用することで上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
本発明におけるメカニズムは、以下のとおりであると推測される。
一般的な極細ではない繊維の着色では、カーボンブラックと銅フタロシアニンを併用することで目的とする黒色を得ることができる。しかし、マイクロファイバーにおいて樹脂着色用マスターバッチを経由する場合、ポリアミド樹脂に高濃度のカーボンブラック及び銅フタロシアニンを配合して樹脂着色用マスターバッチを製造してから、希釈樹脂で希釈してマイクロファイバーを製造する。この時、カーボンブラックと銅フタロシアニンの相互作用によって該樹脂着色用マスターバッチの溶融粘度が上昇してしまい、希釈時に、希釈樹脂との溶融粘度の差が大きくなる結果、カーボンブラックと銅フタロシアニンの分散性が低下し、本来の黒色色相が得られなかったと考えられる。本発明では、その相互作用を断ち切るために銅フタロシアニンの表面状態を変更することを試みた結果、銅フタロシアニン粒子表面に酸性官能基(スルホ基)を導入することでカーボンブラックとの相互作用が低減され、疑似ネットワーク構造が崩されて、マイクロファイバーにした時の黒度が向上すると考えられる。
即ち本発明は、
『項1.熱可塑性樹脂(A)と、カーボンブラック(B)と、銅フタロシアニン顔料(C-1)と、下記一般式(I)で表される銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)と、
Figure 0007419822000001
(I)
[式中、nは1.0~3.0で平均置換基数を示す。]
を含有する、繊維径が8μm以下の極細繊維着色用マスターバッチ。
項2.熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂である項1に記載の極細繊維着色用マスターバッチ。
項3.カーボンブラック(B)100質量部に対し、銅フタロシアニン顔料(C-1)と平均置換基数が1.0~3.0である銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)との合計含有量が、3~20質量部である項1又は2に記載の極細繊維着色用マスターバッチ。
項4.熱可塑性樹脂(A)100質量部に対し、カーボンブラック(B)と銅フタロシアニン顔料(C-1)と平均置換基数が1.0~3.0である銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)との合計含有量が、20~60質量部である項1~3のいずれか1項に記載の極細繊維着色用マスターバッチ。
項5.銅フタロシアニン全量に対し、スルホ基の平均置換基数が1.0~3.0である銅フタロシアニンの割合が1~50質量%である項1~4のいずれか1項に記載の極細繊維着色用マスターバッチ。
項6.項1~5のいずれか1項に記載の極細繊維着色用マスターバッチで着色された極細繊維。』に関する。
本発明によれば、カーボンブラック特有の赤味黒色を青味黒味の色相に改良することができ、さらに熱可塑性樹脂に対する分散性に優れ、また樹脂の流動性低下を抑制でき、繊維としたときの糸切れが生じにくい、極細繊維着色用マスターバッチ、及び当該マスターバッチで着色された極細繊維を提供することができる。
<極細繊維着色用マスターバッチ>
本発明の極細繊維着色用マスターバッチは、熱可塑性樹脂(A)と、カーボンブラック(B)と、銅フタロシアニン顔料(C-1)と、下記一般式(I)で表される銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)と、
Figure 0007419822000002
(I)
[式中、nは1.0~3.0で平均置換基数を示す。]
を含有する。
一般的にマスターバッチとは、顔料などの色材と樹脂とを含むペレット(粒子)状の着色材のことであり、分散性に優れ、均一で美しい発色を実現できるほか、飛散や機材汚染の心配がなく、取り扱いも容易であることから、合成繊維などの樹脂の着色材として広く用いられる。本発明の極細繊維着色用マスターバッチは、熱可塑性樹脂(A)中に高濃度のカーボンブラック(B)などの上記本発明の成分が練り込まれており、本発明の極細繊維着色用マスターバッチを通常の熱可塑性樹脂に混ぜて紡糸することで、黒色の極細繊維を得ることができる。また、本発明の極細繊維着色用マスターバッチにおけるカーボンブラックなどの量を調整したり、紡糸する際のマスターバッチ量を調整したりすることで、容易に黒色の濃淡を調整することができる。
本発明におけるマスターバッチは、極細繊維を着色する用途に好適である。極細繊維における平均繊維径は8μm以下(例えば0.1~8μm)であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。
[熱可塑性樹脂(A)]
本発明における熱可塑性樹脂(A)としては、マイクロファイバーを形成できる樹脂であれば特に制限されないが、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタラート、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂が挙げられる。なかでも熱可塑性樹脂(A)としては、マイクロファイバー用に広く用いられるポリアミド樹脂(ナイロン類)が好ましい。
このようなポリアミド樹脂としては、ナイロン6(「ポリ(カプロラクタム)」ともいう)、ナイロン11(「ポリ(11-アミノウンデカン酸)」ともいう)、ナイロン12(「ポリ(ラウリルラクタム)」または「ポリ(12-7ミノドデカン酸)」ともいう)、ナイロン66(「ポリ(ヘキサメチレン・アジパミド)」ともいう)、ナイロン69(「ポリ(ヘキサメチレン・アゼラミド)あるいはポリ(ヘキサメチレン・ノナンジアミド)」ともいう)、ナイロン610(「ポリ(ヘキサメチレン・セバカミド)」あるいは「ポリ(ヘキサンメチレン・デカンジアミド)」ともいう)、ナイロン612(「ポリ(ヘキサメチレン・ドデカノジアミド)」ともいう)、ナイロン4(「ポリ(δ-ブチロラクタム)」ともいう)、ナイロン7(「ポリ(7-アミノへブタン酸)」あるいは「ポリ(7-アミノカプリル酸)」ともいう)、ナイロン8(「ポリ(8-アミノカプリル酸)」あるいは「ポリ(8-アミノオクタン酸)」ともいう)、ナイロン106(「ポリ(デカメチレン・アジパミド)」ともいう)、部分芳香族ナイロン(PARNS)等が挙げられる。
[カーボンブラック(B)]
カーボンブラック(B)は、特に限定なく公知のコンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の方法によって製造された、顔料として使用されているカーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックの市販品としては、例えば三菱化学社製の#2600シリーズ、#2300シリーズ、#1000シリーズ、#900シリーズ、MAシリーズ、オリオンエンジニアドカーボンズ社製のCOLOR-BLACKシリーズ、SPESIAL-BLACKシリーズ、PRINTEXシリーズ、HIBLACKシリーズ、NEROXシリーズ、NIPexシリーズ、旭カーボン社製のSUNBLACKシリーズ、#70シリーズ、#80シリーズ、東海カーボン社製のトーカブラック#7000シリーズ、#8000シリーズ等が挙げられる。
マスターバッチ中に含まれるカーボンブラック(B)の平均粒径は特に限定されないが、赤味色相が改善された黒色色相を呈することができることから、好ましくは10~500nm、より好ましくは15~100nmの範囲である。
カーボンブラック(B)は、表面を物理的、または化学的に処理されたものであってもよい。なお、前記カーボンブラック(B)の表面積は特に限定されないが、BET比表面積〔m/g〕において好ましくは30~500、より好ましくは50~400、さらに好ましくは80~350の範囲である。
[銅フタロシアニン顔料(C-1)]
本発明に用いる銅フタロシアニン顔料(C-1)は、フタロジニトリルと塩化第一銅とを触媒下、加熱して反応させる(フタロジニトリル法)などの公知の方法により得られた銅フタロシアニンクルード(β型)を乾式磨砕により微細化し、その後、溶剤顔料化にてβ型に結晶変換されたもの、或いは銅フタロシアニンクルード(β型)を溶剤と共に無機塩の結晶を用いて加熱磨砕処理(ニーダー磨砕)して得られたβ型の銅フタロシアニンなどが挙げられる。本発明に用いる銅フタロシアニン顔料は、市販品(例えば、DIC社製FASTOGEN BLUE 5362KやFASTOGEN BLUE TGRなどが挙げられる)を用いても良いし、公知慣用の方法で製造して用いても良い。色相調整など必要に応じて性能に悪影響を及ぼさない範囲で、α型銅フタロシアニン顔料や他構造顔料を含んでいても構わない。また、銅フタロシアニン顔料に適宜公知の処理を加えて本発明に用いても良い。
銅フタロシアニン顔料(C-1)の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは800nm以下であり、より好ましくは500nm以下、更に好ましくは200nm以下である。その下限値は特に限定されないが、好ましくは10nm以上であり、より好ましくは30nm以上である。
本発明では銅フタロシアニン顔料(C-1)が、顔料結晶制御や用途適性向上を目的に樹脂による表面処理、顔料誘導体や分散剤による表面改質が施されたβ型銅フタロシアニンであっても、性能に悪影響を及ぼさない限り使用しても構わない。
[銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)]
本発明における銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)は、上記一般式(I)で表されるとおりであり、式中のnはスルホ基の平均置換基数であり、1.0~3.0の値を示す。本発明における銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)は、スルホ基の置換基数が異なる銅フタロシアニン化合物の混合物であり、その割合は特に限定されない。
銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)は、銅フタロシアニン顔料を濃硫酸または発煙硫酸によりスルホン化することによって、または銅フタロシアニン顔料をクロロスルホン酸でスルホクロロ化し、次いで水で加水分解することによって得られる。通常このような製造法では、一般式(I)中のスルホ基の数が例えば1~4であるスルホン酸誘導体とともに、スルホ基を有さない(つまり無置換の)銅フタロシアニンも得られる。このスルホ基を有さない銅フタロシアニンは、実質的に銅フタロシアニン顔料(C-1)と同じである。このようにして、スルホ基を有する銅フタロシアニンスルホン酸誘導体が得られる。なお、スルホン酸誘導体を有する銅フタロシアニンとしては、DIC株式会社製など市販の銅フタロシアニンスルホン酸誘導体を用いてもよい。
上記のスルホ基の平均置換基数は、1.0~3.0であるが、好ましくは1.1~2.5である。平均置換基数が少なすぎると、繊維としたときの黒色低下を十分に抑制することができず、また平均置換基数が多過ぎると、それ以上の黒色低下の抑制効果が得られず、熱可塑性樹脂との馴染みが不十分となるおそれがある。
上記製造方法において、使用する濃硫酸または発煙硫酸の濃度や反応温度、反応時間を調整することで、導入するスルホ基の平均置換基数を調整することができる。上記一般式(I)で表される銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)では、n=1の場合、1分子中に1つの銅原子(Cu)とスルホ基に1つの硫黄原子(S)を有する。よって、上記スルホ基の平均置換基数は、蛍光X線分析装置(XRF)などを用いて得られた硫黄原子と銅原子の検出比率(S/Cu比)から算出することができる。
[本発明の成分の含有量]
本発明における熱可塑性樹脂(A)の含有量は、マスターバッチ全量に対して、例えば30~90質量%、好ましくは40~80質量%、より好ましくは50~70質量%である。熱可塑性樹脂(A)の含有量は、マスターバッチをペレット化するのために必要な量以上であればよく、カーボンブラック(B)などの他の成分の含有量を考慮して適宜調整すればよい。
本発明におけるカーボンブラック(B)の含有量は、マスターバッチ全量に対して、例えば5~50質量%、好ましくは10~45質量%、より好ましくは20~40質量%である。また、カーボンブラック(B)の含有量は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、例えば10~80質量部、好ましくは20~70質量部、より好ましくは30~60質量部である。カーボンブラック(B)の含有量は、マスターバッチとして求められる黒色の程度に応じて適宜調整すればよい。
本発明における銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)の割合は、銅フタロシアニン全量に対し、例えば1~50質量%、好ましくは2~40質量%、より好ましくは3~30質量%である。また、銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)の割合は、銅フタロシアニン顔料(C-1)100質量部に対して、1~50質量部、好ましくは2~40質量部、より好ましくは2~30質量部である。上記銅フタロシアニンスルホン酸誘導体の割合が少なすぎると、繊維としたときの黒色低下を十分に抑制することができず、また多過ぎると、それ以上の黒色低下の抑制効果が得られず、熱可塑性樹脂との馴染みが不十分となるおそれがある。
本発明における銅フタロシアニン全量は、カーボンブラック(B)100質量部に対して、例えば3~20質量部であり、好ましくは4~18質量部、より好ましくは5~16質量部である。上記の割合が少なすぎると、繊維としたときの黒色低下を十分に抑制することができず、また多過ぎると、それ以上の黒色低下の抑制効果が得られず、熱可塑性樹脂との馴染みが不十分となるおそれがある。
本発明におけるカーボンブラック(B)と銅フタロシアニン全量との合計含有量(色材の含有量)は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、例えば20~80質量部、好ましくは30~70質量部、より好ましくは40~60質量部である。また、カーボンブラック(B)と銅フタロシアニン全量との合計含有量(色材の含有量)は、マスターバッチ全量に対して、例えば15~60質量部、好ましくは20~50質量部、より好ましくは25~40質量部である。上記色材の割合が少なすぎると、繊維としたときの黒味不十分となる場合があり、また多過ぎると、熱可塑性樹脂との馴染みが不十分となるおそれがある。なお、本発明において銅フタロシアニン全量とは、銅フタロシアニン顔料(C-1)と銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)との合計含有量のことである。
本発明の極細繊維着色用マスターバッチは、熱可塑性樹脂(A)、カーボンブラック(B)、銅フタロシアニン顔料(C-1)、一般式(I)で表される平均置換基数が1.0~3.0である銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)以外の成分(その他の成分)を有していてもよい。その他の成分としては、例えば、カーボンブラックや銅フタロシアニン以外の顔料、平均置換基数が1.0~3.0である銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)以外の顔料誘導体、顔料表面を被覆する樹脂(ロジン系樹脂)、界面活性剤、添加剤が挙げられる。上記その他の成分の割合は、マスターバッチ全量に対して、例えば20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
<極細繊維着色用マスターバッチの製造方法>
本発明の極細繊維着色用マスターバッチを得る方法の一例を以下に述べるが、本発明はこれらに限定して解釈されるべきものではない。当該マスターバッチは、例えば、銅フタロシアニン顔料(C-1)に一般式(I)で表される銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)を添加し、染付処理をすることにより、銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)を含む銅フタロシアニンを得る工程(銅フタロシアニン製造工程)、及び熱可塑性樹脂(A)と、カーボンブラック(B)と、上記工程で得られた銅フタロシアニンを溶融混錬し、ペレット化する工程(ペレット化工程)を経て得られる。
(銅フタロシアニン製造工程)
銅フタロシアニン製造工程では、まず、原料となる銅フタロシアニン顔料に水を加え、50~80℃まで加熱・攪拌し、懸濁液とした。この懸濁液に水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ溶液を加え、pH7から9に調整して銅フタロシアニン顔料懸濁液を得る。一方、銅フタロシアニンスルホン酸誘導体も同様に水を加え、50~80℃まで加熱・攪拌して懸濁液とし、この懸濁液に水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ溶液を用いてpH7から9に調整して攪拌し、銅フタロシアニンスルホン酸誘導体の懸濁液を得る。次に、この銅フタロシアニンスルホン酸誘導体の懸濁液を、銅フタロシアニン顔料懸濁液に投入し、攪拌後、塩酸などの酸水溶液を加えてpH5以下に調整して顔料スラリーを得る。その後、この顔料スラリーを、ヌッチェなどを用いて濾過し、水洗をする。この濾過と水洗をpH6以上になるまで繰り返し、濾過後、顔料スラリーを濾過して乾燥後、粉砕してパウダー状の銅フタロシアニンを得る。なお、この銅フタロシアニンには、銅フタロシアニン顔料(C-1)及び銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)が含まれる。
銅フタロシアニン製造工程としては、上記方法以外に、銅フタロシアニン顔料のニーダー磨砕による顔料化中に銅フタロシアニンスルホン酸誘導体を投入する方法でもよい。
銅フタロシアニン製造工程において、原料の銅フタロシアニン顔料としては、粉体ではないウェット固形物(ウェットケーキ)や水分散体を用いてもよい。銅フタロシアニン顔料は、上記銅フタロシアニン顔料(C-1)で述べた方法で得たものや市販(例えば、DIC社製FASTOGEN BLUE 5362K)を用いてもよい。また、銅フタロシアニンスルホン酸誘導体としては、ウェット固形物(ウェットケーキ)や水分散体を用いてもよい。銅フタロシアニンスルホン酸誘導体は、上記の方法で得られた銅フタロシアニン顔料を、公知の方法で処理することにより得られる。原料の銅フタロシアニンスルホン酸誘導体としては、市販のものを用いてもよい。銅フタロシアニン顔料100質量部に対する銅フタロシアニンスルホン酸誘導体の使用割合(固形分換算)は、特に制限されないが、例えば1~50質量部、好ましくは2~40質量部である。
銅フタロシアニン製造工程における染付の処理率は、例えば1~40%、好ましくは2~30%である。当該処理率は、加える銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)の量やスルホ基平均置換基数を変更することにより適宜調整することができる。銅フタロシアニン製造工程における染付の処理率は、スルホ基の平均置換基数と同様に蛍光X線分析装置(XRF)などを用いて得られた硫黄原子と銅原子の検出比率(S/Cu比)から算出することができる。
(ペレット化工程)
ペレット化工程では、ナイロンなどの熱可塑性樹脂(A)と、カーボンブラック(B)と上記銅フタロシアニン染付工程で得られた銅フタロシアニンを加え、ミキサーなどで予備混合した後、これを押出し成形機などを用いて溶融混錬し、押出して成形及びカットすることにより、ペレット状のマスターバッチを得る。溶融混錬における加熱温度は、熱可塑性樹脂を溶融させて混錬可能な温度であれば特に制限されないが、200~400℃である。
ペレット化工程における熱可塑性樹脂(A)の使用量は、マスターバッチ全量に対して、例えば30~90質量%である。カーボンブラック(B)の使用量は、マスターバッチ全量に対して、例えば5~50質量%である。求められる黒色の濃度によって、カーボンブラック(B)の使用量を適宜調整することができる。また、加える銅フタロシアニンの量は、加えたカーボンブラック(B)の使用量に応じて適宜調整することができるが、銅フタロシアニンの使用量は、カーボンブラック(B)100質量部に対して、例えば3~20質量部である。
<極細繊維>
本発明の極細繊維は、上記本発明の極細繊維着色用マスターバッチで着色されたものである。極細繊維は、繊維径が8μm以下であり、その素材として、熱可塑性樹脂、本発明の極細繊維着色用マスターバッチ、その他繊維における添加剤を含む。熱可塑性樹脂は、本発明の極細繊維着色用マスターバッチで述べたものであり、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステルが特に好ましい。本発明の極細繊維における上記極細繊維着色用マスターバッチの割合は、特に制限されないが、5~30質量%程度である。また、本発明の極細繊維に含まれる、カーボンブラック(B)、銅フタロシアニン顔料(C-1)、及び一般式(I)で表される平均置換基数が1.0~3.0である銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)などの色材の割合は、例えば0.5~10質量%、好ましくは1~5質量%である。
本発明の極細繊維は、公知慣用の紡糸方法で製造することができ、例えば原料となる熱可塑性樹脂に本発明の極細繊維着色用マスターバッチを加え、溶融状態で、口金から押し出して繊維状にした後冷やして固め(溶融紡糸)、溶剤で抽出することにより製造することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例及び比較例において特に断りの無い限り、「%」は「質量%」を表すものとする。
(合成例1)銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(α)の製造
500mlセパラブルフラスコに98%硫酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)331部と25%発煙硫酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)119部を投入・混合し、100%硫酸450部を得る。公知の方法により得られた銅フタロシアニンクルード(β型)50部を準備し、100%硫酸中に徐々に加え溶解させる。その後、100度まで昇温し12時間保持したのち、5Lビーカーに準備した3000mlの氷水中に取り出す。取り出した懸濁液を60℃に昇温後、同温度にて1時間撹拌保持したのち、濾過・洗浄を行う。得られたウェット固形物を乾燥/粉砕し、蛍光X線分析装置を用い元素分析を行った結果、スルホン酸置換基数1.2個の銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(α)を得た。
上記の銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(α)におけるスルホン酸置換基数は、蛍光X線分析装置を用い硫黄と銅の検出量比率(S/Cu比)を求めることにより行った。蛍光X線分析装置における硫黄と銅の検出量比率(S/Cu比)は、4.4/7.2であり、これを硫黄と銅の原子量比(32.1/63.5)で割ることにより、1.2個と算出した。
(合成例2)銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(β)の製造
500mlセパラブルフラスコに98%硫酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)65部と25%発煙硫酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)385部を投入・混合し、20%発煙硫酸450部を得る。公知の方法により得られた銅フタロシアニンクルード(β型)50部を準備し、100%硫酸中に徐々に加え溶解させる。その後、95度まで昇温し8時間保持したのち、5Lビーカーに準備した3000mlの氷水中に取り出す。取り出した懸濁液を60℃に昇温後、同温度にて1時間撹拌保持したのち、濾過・洗浄を行う。得られたウェット固形物を乾燥/粉砕し、蛍光X線分析装置を用い元素分析を行った結果、スルホン酸置換基数2.3個の銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(β)を得た。
上記の銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(β)におけるスルホン酸置換基数は、蛍光X線分析装置を用い硫黄と銅の検出量比率(S/Cu比)を求めることにより行った。蛍光X線分析装置における硫黄と銅の検出量比率(S/Cu比)は、7.7/6.7であり、これを硫黄と銅の原子量比(32.1/63.5)で割ることにより、2.3個と算出した。
(製造例1)銅フタロシアニンの製造
5Lのガラスビーカーに、銅フタロシアニン顔料のウェット固形物(固形分:48.1%)を415.8gと水3500gを加え、70℃まで昇温し、一時間攪拌した。その後、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=8.5に調整した。一方、2Lのガラスビーカーに上記合成例1で得た銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(α)のウェット固形物(平均置換基数:n=1.2、固形分:23.2%)を17.2gと水800gを加え、70℃まで昇温し、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=8.5に調整した後、一時間攪拌した。このスルホン酸誘導体スラリー全量を銅フタロシアニンスラリーに投入し、70℃で一時間攪拌した後、35%塩化水素水溶液を用いてpH=3.5以下に調整した。得られた顔料スラリーをヌッチェで濾過し、濾液のpHが6以上になるまで濾過、水洗を繰り返し、濾過終了後、90℃で乾燥させ、粉砕をしてスルホン酸誘導体で染付処理した銅フタロシアニン(a)を得た。
(製造例2)銅フタロシアニンの製造
前記製造例1で銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(α)を17.2gから43.1gに変更した以外は、製造例1と同様に行い、スルホン酸誘導体で染付処理した銅フタロシアニン(b)を得た。
(製造例3)銅フタロシアニンの製造
前記製造例1で銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(α)を17.2gから86.2gに変更した以外は、製造例1と同様に行い、スルホン酸誘導体で染付処理した銅フタロシアニン(c)を得た。
(製造例4)銅フタロシアニンの製造
前記製造例1で銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(α)を17.2gから172.4gに変更した以外は、製造例1と同様に行い、スルホン酸誘導体で染付処理した銅フタロシアニン(d)を得た。
(製造例5)銅フタロシアニンの製造
前記製造例1で銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(α)を17.2gから258.6gに変更した以外は、製造例1と同様に行い、スルホン酸誘導体で染付処理した銅フタロシアニン(e)を得た。
(製造例6)銅フタロシアニンの製造
前記製造例1で銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(α)17.2gから上記合成例2で得た銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(β)86.2gに変更した以外は、製造例1と同様に行い、スルホン酸誘導体で染付処理した銅フタロシアニン(f)を得た。
(比較製造例1)銅フタロシアニンの製造
銅フタロシアニン顔料粉末111.7gと銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(α)粉末11.7gを1Lのポリ袋に計りこみ、両手で1分間振ってドライブレンドすることで、スルホン酸誘導体を含む銅フタロシアニン(g)を得た。
上記製造例1~6及び比較製造例1にて銅フタロシアニンスルホン酸誘導体で染付処理した銅フタロシアニンについて蛍光X線分析装置を用いて硫黄と銅の検出量を求めると下記表1のとおりであった。また、これより算出した染付の処理率(%)は、下記表1のとおりであった。
Figure 0007419822000003
(製造例7)樹脂着色用マスターバッチ(MB)の製造
6-ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」、MFR200〔g/10分〕)67質量部、カーボンブラック(旭カーボン社製「SUNBLACK700」)30質量部、製造例1で作製した銅フタロシアニン(a)3質量部をタンブラーミキサーで予備混合後、30mmφの二軸ベント式押出機(設定温度280℃、補足粒子径45μmのメッシュフィルター)内で溶融混練し、その後、ペレット化して樹脂着色用マスターバッチ(1)を製造した。
(製造例8)樹脂着色用マスターバッチ(MB)の製造
6-ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」、MFR200〔g/10分〕)67質量部、カーボンブラック(旭カーボン社製「SUNBLACK700」)30質量部、製造例2で作製した銅フタロシアニン(b)3質量部をタンブラーミキサーで予備混合後、30mmφの二軸ベント式押出機(設定温度280℃、補足粒子径45μmのメッシュフィルター)内で溶融混練し、その後、ペレット化して樹脂着色用マスターバッチ(2)を製造した。
(製造例9)樹脂着色用マスターバッチ(MB)の製造
6-ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」、MFR200〔g/10分〕)67質量部、カーボンブラック(旭カーボン社製「SUNBLACK700」)30質量部、製造例3で作製した銅フタロシアニン(c)3質量部をタンブラーミキサーで予備混合後、30mmφの二軸ベント式押出機(設定温度280℃、補足粒子径45μmのメッシュフィルター)内で溶融混練し、その後、ペレット化して樹脂着色用マスターバッチ(3)を製造した。
(製造例10)樹脂着色用マスターバッチ(MB)の製造
6-ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」、MFR200〔g/10分〕)67質量部、カーボンブラック(旭カーボン社製「SUNBLACK700」)30質量部、製造例4で作製した銅フタロシアニン(d)3質量部をタンブラーミキサーで予備混合後、30mmφの二軸ベント式押出機(設定温度280℃、補足粒子径45μmのメッシュフィルター)内で溶融混練し、その後、ペレット化して樹脂着色用マスターバッチ(4)を製造した。
(製造例11)樹脂着色用マスターバッチ(MB)の製造
6-ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」、MFR200〔g/10分〕)67質量部、カーボンブラック(旭カーボン社製「SUNBLACK700」)30質量部、製造例5で作製した銅フタロシアニン(e)3質量部をタンブラーミキサーで予備混合後、30mmφの二軸ベント式押出機(設定温度280℃、補足粒子径45μmのメッシュフィルター)内で溶融混練し、その後、ペレット化して樹脂着色用マスターバッチ(5)を製造した。
(製造例12)樹脂着色用マスターバッチ(MB)の製造
6-ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」、MFR200〔g/10分〕)67質量部、カーボンブラック(旭カーボン社製「SUNBLACK700」)30質量部、製造例6で作製した銅フタロシアニン(f)3質量部をタンブラーミキサーで予備混合後、30mmφの二軸ベント式押出機(設定温度280℃、補足粒子径45μmのメッシュフィルター)内で溶融混練し、その後、ペレット化して樹脂着色用マスターバッチ(6)を製造した。
(比較製造例2)樹脂着色用マスターバッチ(MB)の製造 (スルホン酸未処理)
6-ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」、MFR200〔g/10分〕)67質量部、カーボンブラック(旭カーボン社製「SUNBLACK700」)30質量部、銅フタロシアニン顔料(DIC株式会社製「FASTOGEN BLUE PDB19」)3質量部をタンブラーミキサーで予備混合後、30mmφの二軸ベント式押出機(設定温度280℃、補足粒子径45μmのメッシュフィルター)内で溶融混練し、その後、ペレット化して樹脂着色用マスターバッチ(7)を製造した。
(比較製造例3)樹脂着色用マスターバッチ(MB)の製造 (スルホン酸20%、ドライブレンド)
6-ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」、MFR200〔g/10分〕)67質量部、カーボンブラック(旭カーボン社製「SUNBLACK700」)30質量部、比較製造例1で作製した銅フタロシアニン(g)3質量部をタンブラーミキサーで予備混合後、30mmφの二軸ベント式押出機(設定温度280℃、補足粒子径45μmのメッシュフィルター)内で溶融混練し、その後、ペレット化して樹脂着色用マスターバッチ(8)を製造した。
(実施例1~6、比較例1~2)着色樹脂組成物及び成形品(繊維)の製造
上記製造例7-12、及び比較製造例2,3で得られた各樹脂着色用マスターバッチ(1)~(8)16質量部を、それぞれ6-ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」、MFR200〔g/10分〕)42質量部と、低密度ポリエチレン(東ソー社製「ペトロセン203」)42質量部を、105℃で12時間、真空乾燥し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度280℃、紡糸速度1250m/min、金口径0.24mm-24H(ホール)の条件で溶融紡糸を行い、3倍延伸により5dtexのフィラメントを得た。得られたフィラメントサンプルをトルエンを使いポリエチレンを溶出させマイクロファイバー(平均繊維径1μm)を製造した。得られた各マイクロファイバーについて、下記評価方法にて評価を行った。評価結果を表2に記載した。
(評価方法)
・MFR:メルトインデクサー(シリンダー温度280℃、オリフィス径2mm)に投入し、2.16kgの荷重を掛け、5分間の予熱後にメルトフローレートを測定した。
・色相(L*,a*,b*):コニカミノルタ製CM-5を使いL*、a*、b*を測定した。なお、L*値が低く、b*値が小さいほど黒く見える
・分散性(ΔP):単軸押出機の先端に10μmの金網フィルターを装着し、MBを1kg放流した開始と終了時の差圧(ΔP)を測定した。なお、ΔPが低いほど分散性がよく、糸切れ等を起こしにくい。
・糸切れ性:紡糸機により1時間紡糸している中で 断糸しなかった:〇、断糸3回以下:△、断糸3回以上:×として評価した。
上記表2の色相において、比較例1-2に比べて実施例1-6はL*値が小さく、実施例1-6では黒色が強いことが分かる。また、MFR、ΔP、及び糸切れにおいて、比較例1-2に比べて実施例1-6では良い結果であることが分かる。よって、本発明の極細繊維着色用マスターバッチは、銅フタロシアニン顔料に対して、一般式(I)で表される銅フタロシアニンスルホン酸誘導体を用いることで、マイクロファイバーとしたきの色相における赤味を抑制し、黒度が向上した。さらに溶融状態における流動性と分散性に優れ、またマイクロファイバーにおける糸切れ性も優れることが分かる。

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂(A)と、カーボンブラック(B)と、下記一般式(I)で表される銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)で染付処理された銅フタロシアニン顔料(C-1)と、を含有する、繊維径が8μm以下の極細繊維着色用マスターバッチ。
    Figure 0007419822000005
    (I)
    [式中、nは1.0~3.0で平均置換基数を示す。]
  2. 前記染付の処理率が、1~40%である請求項1に記載の極細繊維着色用マスターバッチ。
  3. 熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂である請求項1又は2に記載の極細繊維着色用マスターバッチ。
  4. カーボンブラック(B)100質量部に対し、銅フタロシアニン顔料(C-1)と平均置換基数が1.0~3.0である銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)との合計含有量が、3~20質量部である請求項1~3のいずれか1項に記載の極細繊維着色用マスターバッチ。
  5. 熱可塑性樹脂(A)100質量部に対し、カーボンブラック(B)と銅フタロシアニン顔料(C-1)と平均置換基数が1.0~3.0である銅フタロシアニンスルホン酸誘導体(C-2)との合計含有量が、20~60質量部である請求項1~のいずれか1項に記載の極細繊維着色用マスターバッチ。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の極細繊維着色用マスターバッチで着色された極細繊維。
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