JP7419775B2 - 溶接方法および構造物 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に記載された液冷式冷却装置は、冷却液流通体の流入部の一端面にアルミニウム製入口ヘッダをろう付し、同じく流出部の一端面にアルミニウム製出口ヘッダをろう付し、冷却液流通体の他端面にアルミニウム製中間ヘッダをろう付することにより構成されている。
また、アルミニウム材料を用いて成形された部材を接合するための方法として、特許献2には、レーザー溶接を行うことが提案されている。
本発明は、互いに交差する第1の面と第2の面とを有する一の部材に対し他の部材をレーザ溶接により接合する場合に、レーザ溶接に要する作業工数の増加を抑制することを目的とする。
ここで、前記第1の部位と前記第2の部位に対し、続けてレーザ光を照射してレーザ溶接することを特徴とすることができる。
また、前記第1の部位に対する前記レーザ光の入射角度が前記第1の面の垂線に対して傾斜し、および/または、前記第2の部位に対する当該レーザ光の入射角度が前記第2の面の垂線に対し傾斜するように、レーザ溶接することを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される溶接方法は、冷却液が流通する流路に連通する第1の開口が形成された第1の面と、当該流路に連通する第2の開口が形成され当該第1の面に交差する第2の面とを有する本体部と、当該本体部の当該第1の面に重なる第1の領域と当該第2の面に重なる第2の領域とを含むカバー部とをレーザ溶接する溶接方法であって、前記第1の面に形成された前記第1の開口を前記第1の領域で塞ぎ、前記第2の面に形成された前記第2の開口を前記第2の領域で塞ぐように、前記カバー部を前記本体部に重ね合わせた状態で、当該本体部の当該第1の面と当該カバー部の当該第1の領域とが重なる第1の部位と、当該本体部の当該第2の面と当該カバー部の当該第2の領域とが重なる第2の部位とに対し、レーザヘッドを連続して移動させながらレーザ光を照射する溶接方法である。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される構造物は、冷却液が流通する流路に連通する第1の開口が形成された第1の面と、当該流路に連通する第2の開口が形成され当該第1の面に交差する第2の面とを有する本体部と、前記本体部の前記第1の面に形成された前記第1の開口を塞ぐように当該第1の面に重なる第1の領域と、前記第2の面に形成された前記第2の開口を塞ぐように当該第2の面に重なる第2の領域とを含むカバー部と、前記本体部の前記第1の面と前記カバー部の前記第1の領域とが重なる第1の部位を接合する第1の溶接部と、前記本体部の前記第2の面と前記カバー部の前記第2の領域とが重なる第2の部位を接合する第2の溶接部とを有し、前記第1の溶接部が前記カバー部側から前記本体部側に向かって深さ方向に延びる第1の方向と、前記第2の溶接部が当該カバー部側から当該本体部側に向かって深さ方向に延びる第2の方向とが互いに等しいことを特徴とする構造物である。
図1は、本実施の形態が適用される液冷式冷却装置1の斜視図である。図2は、液冷式冷却装置1を構成する部品を分解した図である。図3は、液冷式冷却装置1の後述する装置本体10を図2におけるIII方向から見た図である。図4は、図1におけるIV-IV部の断面図である。ここで、本実施の形態の液冷式冷却装置1は、長尺形状を有しており、図1~図4には、液冷式冷却装置1の長手方向の一方の端部を示している。
装置本体10は、概形が直方体の部材である。装置本体10は、押出加工にて成形された、JIS A6063合金の押出材を用いて成形されており、押出方向が長手方向となるように成形されている。また、図1に示すように、装置本体10の長手方向及び短手方向の長さは、上下方向の長さよりも大きい。なお、JIS A6063合金の質別は、T1、T5、T6であることを例示することができる。また、その他の質別であっても良いが、装置本体10の硬さが、42(HV(ビッカース硬さ))以上であることが望ましい。
4つの貫通孔11のうち手前側の2つの貫通孔11は、入口ジョイントを介して流入した冷却液が他方の端部から一方の端部に流通する流入側流路111として機能する。また、4つの貫通孔11のうち奥側の2つの貫通孔11は、出口ジョイントに向けて冷却液が一方の端部から他方の端部に流通する流出側流路112として機能する。
凹部12は、装置本体10の上壁部13および内壁11aが例えば切削加工にて除去されることで形成されている。なお、図2に示した例では、内壁11aは上側から下側にかけて全て除去されているが、上側の一部が除去され、下側の部分が残っていてもよい。
本実施の形態の液冷式冷却装置1では、凹部12の上側がカバー部20の後述する上面部21によって塞がれることで、カバー部20と凹部12との内側に冷却液が進行方向を変えるための空間120が形成されている。
ここで、本実施の形態の液冷式冷却装置1では、装置本体10の上壁部13が第1の面に対応し、側壁部14が第1の面に交差する第2の面に対応する。また、この例では、装置本体10の上壁部13と側壁部14とが垂直となっている。
カバー部20は、板状の部材を直角に折り曲げた概形を有しており、装置本体10の一方の端部に配置される。カバー部20は、装置本体10の上壁部13に重ね合わせられる上面部21と、上面部21の一方の端部から垂直方向に延び、装置本体10の側壁部14に重ね合わせられる側面部22とを有している。上述したように、カバー部20の上面部21が装置本体10の上壁部13に重ね合わせられることで、装置本体10に形成された凹部12の上側が塞がれている。また、カバー部20の側面部22が装置本体10の側壁部14に重ね合わせられることで、装置本体10に形成された貫通孔11の長手方向の一方の端部が塞がれている。
カバー部20は、JIS A3003合金の板材を用いて成形されている。なお、JIS A3003合金の質別は、質別H12又は質別H18であることを例示することができる。また、その他の質別であっても良いが、カバー部20の硬さが、35(HV)以上であることが望ましい。
以上のように構成された液冷式冷却装置1には、装置本体10の上壁部13のうちカバー部20よりも長手方向の他方の端部側に、この液冷式冷却装置1により冷却される被冷却物が載せられる。被冷却物は、特に限定されないが、例えば、複数の直方体状の単電池からなる組電池が例示される。
そして、図3に示すように、液冷式冷却装置1では、不図示の入口ジョイントから装置本体10の内部に流入した冷却液が、流入側流路111を通って、凹部12に至る。凹部12に至った冷却液は、凹部12内にて進行方向を変更し、その後、流出側流路112を通って、不図示の出口ジョイントから装置本体10の外部へ流出する。このようにして、液冷式冷却装置1は、冷却液が装置本体10の流入側流路111および流出側流路112を流通する間に、装置本体10の上壁部13の上に乗せられた被冷却物を冷却する。
以上のように構成された液冷式冷却装置1は、以下のようにして製造される。
装置本体10の一方の端部にカバー部20を重ね合わせた状態で、装置本体10とカバー部20とが重なる部位に対して、レーザ光を連続的に照射する。より具体的には、装置本体10の上壁部13とカバー部20の上面部21とが重なる第1の部位S1(後述する図6等参照)と、装置本体10の側壁部14とカバー部20の側面部22とが重なる第2の部位S2(後述する図6等参照)とのそれぞれに対し、レーザ光を連続的に照射する。なお、この例では、第1の部位S1および第2の部位S2において、カバー部20の周縁に沿ってレーザ光を連続的に照射する。これにより、装置本体10の一方の端部にカバー部20が接合される。
また、装置本体10の上壁部13とカバー部20の上面部21とが重なる第1の部位S1にレーザ光が照射されることで、レーザ光が照射された位置に第1の溶接部31(図1、図4参照)が形成される。同様に、装置本体10の側壁部14とカバー部20の側面部22とが重なる第2の部位S2にレーザ光が照射されることで、レーザ光が照射された位置に第2の溶接部32(図1参照)が形成される。なお、以下の説明において、第1の溶接部31と第2の溶接部32とを互いに区別しない場合には、まとめて溶接部30と表記する場合がある。
ところで、第1の部位S1と第2の部位S2とにレーザ光を照射して装置本体10に対しカバー部20をレーザ溶接する場合、第1の部位S1と第2の部位S2とで、装置本体10およびカバー部20に対する照射角度を変えてレーザ光を照射することが考えられる。例えば、第1の部位S1に対するレーザ光の入射角と、第2の部位S2に対するレーザ光の入射角とが等しくなるように、第1の部位S1と第2の部位S2とで装置本体10およびカバー部20に対する照射角度を変えてレーザ光を照射する場合がある。
図5は、従来の液冷式冷却装置1の製造方法の一例を示した図であって、第1の部位S1および第2の部位S2に対しレーザ光Lを照射している状態を示した図である。図5は、液冷式冷却装置1を装置本体10の短手方向の手前側から見た図に対応する。
また、例えば、第1の部位S1に対してレーザ光Lを照射した後、再びレーザヘッドLHに対して装置本体10およびカバー部20を位置決めし第2の部位S2にレーザ光Lを照射すると、第1の部位S1に対するレーザ光Lの照射位置と、第2の部位S2に対するレーザ光Lの照射位置とにずれが生じる場合がある。この場合、例えば第1の部位S1に形成された第1の溶接部31と、第2の部位S2に形成された第2の溶接部32との間に、溶接部30が形成されていない領域が生じ、液冷式冷却装置1において冷却液の液漏れ等が生じるおそれがある。
これに対し、本実施の形態の液冷式冷却装置1の製造方法(溶接方法)においては、第1の部位S1と第2の部位S2とで、装置本体10およびカバー部20に対する照射角度を変えずにレーザ光Lを照射することで、レーザ溶接を行う。以下、本実施の形態の液冷式冷却装置1の製造方法におけるレーザ溶接工程についてより詳細に説明する。
図6および図7は、本実施の形態の液冷式冷却装置1の製造方法の一例を示した図であって、第1の部位S1および第2の部位S2に対しレーザ光Lを照射している状態を示した図である。図6は、液冷式冷却装置1の斜視図に対応し、図7は、液冷式冷却装置1を装置本体10の短手方向の手前側から見た図に対応する。
まず、レーザヘッドLHに対して装置本体10およびカバー部20を位置決めする。具体的には、図6に示すように、レーザヘッドLHにより照射されるレーザ光Lの焦点が、第1の部位S1における予め定めた始点位置41(この例では、第1の部位S1における長手方向の一方の端部側、且つ短手方向の奥側の隅)となるように、レーザヘッドLHに対して装置本体10およびカバー部20を位置決めする。付言すると、本実施の形態では、第1の部位S1に対するレーザ光Lの照射方向が、上壁部13または上面部21の垂線に対して傾斜し、且つ、側壁部14または側面部22の垂線に対して傾斜するように、レーザヘッドLHに対して装置本体10およびカバー部20を位置決めする。この例では、レーザ光Lの照射方向が、液冷式冷却装置1の上下方向に対し長手方向に傾斜するようにしている。
これにより、第1の部位S1および第2の部位S2の双方において、カバー部20の周縁がレーザ溶接され、第1の溶接部31および第2の溶接部32が形成される。上述したように、本実施の形態では、第1の部位S1と第2の部位S2とで、装置本体10およびカバー部20に対するレーザヘッドLHの向きが等しい。これにより、第1の溶接部31がカバー部20側から装置本体10側に向かって深さ方向に延びる第1の方向と、第2の溶接部32がカバー部20側から装置本体10側に向かって深さ方向に延びる第2の方向とが互いに等しくなっている。
なお、ここでは、装置本体10およびカバー部20に対してレーザヘッドLHを移動させながらレーザ光Lを照射する場合を例示したが、例えば、固定されたレーザヘッドLHに対し、装置本体10およびカバー部20に対するレーザヘッドLHの向きを変えずに、装置本体10およびカバー部20を移動させながらレーザ光Lを照射してもよい。
装置本体10とカバー部20とが重なる部位にレーザ光Lが照射されると、レーザ光Lのエネルギーが熱に変換されることによって、装置本体10およびカバー部20を構成する材料が溶融し、その後急速に冷却される。これにより、レーザ光Lが照射された位置に、溶接部30が形成される。
溶接部30の幅Wは、例えば、カバー部20を構成するアルミニウム材の板厚の45%以上であることが好ましい。
また、図8(a)~(b)に示すように、レーザ光Lの入射角θ1、θ2を90°未満とすることで、レーザ光Lの入射角θ1、θ2を90°とした場合と比較して、溶接部30の深さDを小さくすることができる。これにより、溶接部30が装置本体10を貫通することを抑制することができる。
なお、装置本体10とカバー部20との十分な接合強度が得られ、且つ、装置本体10を貫通しない溶接部30を形成することができる強度であれば、第1の部位S1に対するレーザ光Lの入射角θ1または第2の部位S2に対するレーザ光Lの入射角θ2の一方が90°となるように、レーザ光Lを照射してもよい。
続いて、本実施の形態の溶接方法が適用可能な液冷式冷却装置1の他の形態について説明する。図1~図8に示した例では、装置本体10の第1の面の一例である上壁部13と第2の面の一例である側壁部14とが垂直となっており、また、カバー部20の上面部21と側面部22とが垂直となっているが、装置本体10およびカバー部20の形状はこれに限定されるものではない。
図9(a)~(b)は、本発明の他の形態が適用される液冷式冷却装置1を示した図である。
そして、図9(a)に示す装置本体10に対しカバー部20をレーザ溶接により溶接する場合には、上述した例と同様に、第1の部位S1と第2の部位S2との双方に対し交差する方向からレーザ光Lを照射する。これにより、第1の部位S1にレーザ光Lを照射する場合と、第2の部位S2にレーザ光Lを照射する場合とで、装置本体10およびカバー部20に対するレーザヘッドLHの向きを変更することが不要となる。
そして、図9(b)に示す装置本体10に対しカバー部20をレーザ溶接により溶接する場合には、第1の部位S1および第2の部位S2に加えて、装置本体10の延伸部15とカバー部20の平面部23とが重なる第3の部位S3に対し交差する方向からレーザ光Lを照射し、第1の部位S1、第2の部位S2および第3の部位S3に対して連続してレーザ溶接を行う。これにより、第1の部位S1にレーザ光Lを照射する場合と、第2の部位S2にレーザ光Lを照射する場合と、第3の部位S3にレーザ光Lを照射する場合とで、装置本体10およびカバー部20に対するレーザヘッドLHの向きを変更することが不要となる。
例えば、上述した実施の形態では、レーザ光Lの照射方向が液冷式冷却装置1の上下方向に対し長手方向に傾斜するようにして、第1の部位S1および第2の部位S2に対しレーザ光Lを照射したが、これに限定されるものではない。レーザ光Lの照射方向が液冷式冷却装置1の上下方向に対し短手方向に傾斜するようにして、第1の部位S1および第2の部位S2に対しレーザ光Lを照射してもよいし、レーザ光Lの照射方向が液冷式冷却装置1の上下方向に対し短手方向および長手方向の双方に傾斜するようにして、第1の部位S1および第2の部位S2に対しレーザ光Lを照射してもよい。
Claims (5)
- 冷却液が流通する流路に連通する第1の開口が形成された第1の面と、当該流路に連通する第2の開口が形成され当該第1の面に交差する第2の面とを有する本体部と、当該本体部の当該第1の面に重なる第1の領域と当該第2の面に重なる第2の領域とを含むカバー部とをレーザ溶接する溶接方法であって、
前記第1の面に形成された前記第1の開口を前記第1の領域で塞ぎ、前記第2の面に形成された前記第2の開口を前記第2の領域で塞ぐように、前記カバー部を前記本体部に重ね合わせた状態で、当該本体部の当該第1の面と当該カバー部の当該第1の領域とが重なる第1の部位と、当該本体部の当該第2の面と当該カバー部の当該第2の領域とが重なる第2の部位とを、当該本体部に対するレーザ光の照射角度を変えずにレーザ溶接する溶接方法。 - 前記第1の部位と前記第2の部位に対し、続けてレーザ光を照射してレーザ溶接することを特徴とする請求項1に記載の溶接方法。
- 前記第1の部位に対する前記レーザ光の入射角度が前記第1の面の垂線に対して傾斜し、および/または、前記第2の部位に対する当該レーザ光の入射角度が前記第2の面の垂線に対し傾斜するように、レーザ溶接することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接方法。
- 冷却液が流通する流路に連通する第1の開口が形成された第1の面と、当該流路に連通する第2の開口が形成され当該第1の面に交差する第2の面とを有する本体部と、当該本体部の当該第1の面に重なる第1の領域と当該第2の面に重なる第2の領域とを含むカバー部とをレーザ溶接する溶接方法であって、
前記第1の面に形成された前記第1の開口を前記第1の領域で塞ぎ、前記第2の面に形成された前記第2の開口を前記第2の領域で塞ぐように、前記カバー部を前記本体部に重ね合わせた状態で、当該本体部の当該第1の面と当該カバー部の当該第1の領域とが重なる第1の部位と、当該本体部の当該第2の面と当該カバー部の当該第2の領域とが重なる第2の部位とに対し、レーザヘッドを連続して移動させながらレーザ光を照射する溶接方法。 - 冷却液が流通する流路に連通する第1の開口が形成された第1の面と、当該流路に連通する第2の開口が形成され当該第1の面に交差する第2の面とを有する本体部と、
前記本体部の前記第1の面に形成された前記第1の開口を塞ぐように当該第1の面に重なる第1の領域と、前記第2の面に形成された前記第2の開口を塞ぐように当該第2の面に重なる第2の領域とを含むカバー部と、
前記本体部の前記第1の面と前記カバー部の前記第1の領域とが重なる第1の部位を接合する第1の溶接部と、
前記本体部の前記第2の面と前記カバー部の前記第2の領域とが重なる第2の部位を接合する第2の溶接部とを有し、
前記第1の溶接部が前記カバー部側から前記本体部側に向かって深さ方向に延びる第1の方向と、前記第2の溶接部が当該カバー部側から当該本体部側に向かって深さ方向に延びる第2の方向とが互いに等しいことを特徴とする構造物。
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