JP7418475B2 - バイオフィルムが関与する細菌感染症を治療するための医薬及びその使用 - Google Patents

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Description

1. 技術分野
本発明は、細菌感染症の治療に関する。より具体的には、本発明は、細菌がバイオフィルム、好ましくは、ブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むか、又はブドウ球菌(staphylococcus)からなるバイオフィルムに組織化されている、細菌感染症を治療するための手段及び方法を提供する。所望の治療効果を達成するために、本発明は、アファビシンと、リポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミド、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる抗生剤との組み合わせに依拠する。
2. 発明の背景
細菌は、単離された形態で人体内で生存することがあり、これは、ときにプランクトン状態と呼ばれる。しかしながら、細菌はまた、バイオフィルム、すなわち、典型的には、歯科材料、医療用インプラント(例えば、人工関節など)などの固形の天然又は異物表面に付着した細胞クラスターの群集を形成し得る。バイオフィルム内には、ある程度の組織化が存在し、それには栄養素の送達及び代謝老廃物の除去のための循環系としての水チャネルの形成が含まれる。さらに、細菌は、典型的には、多糖類、タンパク質、タイコ酸、脂質及び細胞外DNAから構成される細胞外マトリックスに包埋される。
ヒトの免疫系は、典型的には、このようなバイオフィルムを介した感染症をうまく根絶することができず、バイオフィルムが関与する細菌感染症は、治療が困難であることが有名であり、プランクトン状態の細菌の治療に有効な抗生物質薬物のほとんどは、同じ細菌のバイオフィルムを介した感染症に対して有効性を示さない。これは、以下のようなバイオフィルム包埋細菌の異なる防御機構の組み合わせを原因とすると考えられる:
・ 細胞外マトリックスは、細菌への原薬の接近を防ぎ、又は妨げる;
・ バイオフィルムに組織化された細菌の少なくともいくつかは、細胞外物質が細胞中にほとんど又は全く組み込まれていない、遅い又は成長していない状態にあると考えられる;
・ バイオフィルムは、異なるレベルの耐性を有する異なる細菌亜集団を含むと考えられ、これは、バイオフィルムの少なくともいくつかの亜集団が抗生物質薬物の攻撃から生き残る機会を改善する;
・ バイオフィルム中の細胞はまた、特定の遺伝子の過剰発現及び敵対的環境条件に対するストレス応答のような他の防御機構に依存し得る。このような他の防御機構はまた、バイオフィルムの異なる亜集団内で変化する可能性がある。
したがって、現時点では、バイオフィルムを介した細菌感染症に利用できる治療選択肢は、非常に限られている。抗バイオフィルム療法の現在の標準治療は、コーナーストーンとしてリファンピシンに頼っている。しかしながら、リファンピシンの使用は、その毒性及び患者の不耐性によって妨げられている。さらに、リファンピシン単剤療法は、しばしば細菌耐性の誘発につながり、それにより治療は無効となり、患者を最適以下の治療選択肢又は治療選択肢がない状態のままとし得る。さらに、リファンピシン耐性ブドウ球菌(staphylococcus)による感染症の治療は、手術手技をより複雑でより長時間の戦略に変更することも含む。
ブドウ球菌(staphylococci)のリファンピシン耐性率は、患者集団と国によって異なる。European Committee on Antimicrobial Susceptibility Testingの2016年のデータによると、耐性率は、0.5~17%の範囲である。しかしながら、ベラルーシ、モンテネグロ、セルビア及びトルコを含む少なくとも一部の国では、侵襲性黄色ブドウ球菌(S.aureus)臨床分離株におけるリファンピシン耐性のレベルは、14~24%に達している。さらに、リファンピシン不耐性及び毒性は、耐性とともに、全ての急性ブドウ球菌(staphylococcal)人工関節感染症の最大25%を占めることができ、医療用インプラント感染症、より具体的には人工関節感染症から分離された表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)におけるリファンピシン耐性は、最大39%であり得る。
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(staphylococci)(CoNS)、特にヒト上皮表面の最も頻度の高い表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)は、重要な日和見病原体として浮上している。表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)は、現時点では、カテーテル関連血流感染症及び早期発症新生児敗血症における主な病原体である。表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)はまた、バイオメディカルデバイス関連感染症の原因として頻度が高い。院内表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)感染症の大部分は、多剤耐性(例えば、β-ラクタム、フルオロキノロン及びリファンピシンに対する耐性)を示す可能性があり、そのバイオフィルム形成により慢性的な性質を示す可能性があるため、これらの感染症の治療上の課題は、ますます認識されてきている。
リファンピシン耐性誘導のリスクを低下させるため、特に医療用インプラントに関連したバイオフィルム媒介感染症の状況では、標準治療は、リファンピシンと第2の抗生物質薬物を含む薬物組み合わせに依存している。第2の抗生物質薬物は、典型的には、ナフシリン、オキサシリン、セファゾリン、バンコマイシン、ダプトマイシン、リネゾリド、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、コ-トリモキサゾール、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、経口第1世代セファロスポリン、例えばセファレキシン又は抗ブドウ球菌(staphylococcal)ペニシリン、例えばジクロキサシリン、クリンダマイシン、テイコプラニン又はフシジン酸から選択される。しかしながら、リファンピシン及びこれらの第2の抗生物質は、特異的な毒性を伴うため、現在使用されているリファンピシンとの併用療法は、有害事象の累積につながる可能性がある。
さらに、創傷がまだ濡れているとき、又はドレーンがまだ除去されていないとき、及び別の手術が計画されているときには、リファンピシンを周術期(手術前、手術中又は手術後)に使用しないことが推奨される。これは、皮膚に常在するブドウ球菌(staphylococci)を含む共生細菌にリファンピシンに対する耐性を誘導するリスクがあるためである。開放創とドレナージが近接しているため、これらのリファンピシン耐性ブドウ球菌(staphylococci)は、医療用インプラントの重複感染症を引き起こす可能性がある。このリスクを最小限に抑えるためにリファンピシンの使用を遅らせることは、初期の最適以下の患者治療を意味する可能性がある。
上記に概説したリファンピシンの制限が増大していることを考えると、リファンピシンに依存しないバイオフィルム媒介感染症の代替治療を提供することが急務である。したがって、本発明の目的は、原薬としてリファンピシンに依存しない、バイオフィルム媒介細菌感染症、特にブドウ球菌(staphylococcus)細菌が関与するバイオフィルム媒介感染症を治療するためのそのような手段及び方法を提供することである。
バイオフィルム感染症、好ましくは、ブドウ球菌(staphylococcus)細菌が関与するバイオフィルム感染症を治療するための手段及び方法であって、若年(24時間)バイオフィルムを含む感染症について20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、又は40%以上の治癒率、及び老年(72時間)バイオフィルムについて5%以上、10%以上、又は15%以上の治癒率を示す、手段及び方法を提供することが本発明のさらなる目的である。任意の手段又は方法の治癒率を決定することは、十分に当業者の権限(remit)の範囲内である。特に、治癒率は、本明細書に含まれる実施例に記載されるモデル及び技術のうちの1つ以上を使用して決定され得る。
本発明の別の目的は、湿潤創傷、挿入されたドレナージ、又は計画された外科手術(例えば、周術期)を有する患者において使用され得る、バイオフィルム感染症、好ましくは、ブドウ球菌(staphylococcus)細菌が関与するバイオフィルム感染症を治療するための手段及び方法を提供することである。
本発明の別の目的は、リファンピシンに基づく治療が耐性又は患者不耐性を含むがこれらに限定されない理由のために実行可能でない場合に使用され得る、バイオフィルム感染症、好ましくは、ブドウ球菌(staphylococcus)細菌が関与するイオフィルム感染症を治療するための手段及び方法を提供することである。
本発明の基礎をなすさらなる目的は、以下に提供される詳細な説明において明らかになるであろう。
3. 発明の概要
本発明は、アファビシンと、必須活性医薬成分としてのリポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる抗生剤との組み合わせに依存する、バイオフィルム媒介細菌感染症、好ましくは、ブドウ球菌(staphylococcus)細菌が関与するバイオフィルム感染症の治療のための併用療法を提供することによって、上記の目的を達成する。少なくとも1つのさらなる薬剤は、好ましくは、ダプトマイシン、バンコマイシン、サーファクチン、A54145、アンホマイシン、フリウリマイシン、ラスパルトマイシン、WAP-8294A、カタノシン、プラスバシンA、オリタバンシン、テラバンシン、テイコプラニン、ダルババンシン、ラモプラニン、マンノペプチマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン及びピルリマイシン、より好ましくは、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンからなる群から選択される少なくとも1つの薬剤である。アファビシンとこれらの抗生剤の2つ以上との組み合わせを使用することも可能である。例えば、アファビシン、ダプトマイシン及びバンコマイシンの3つの抗菌剤の組み合わせ、又はアファビシン、ダプトマイシン及びクリンダマイシンの組み合わせ、又はアファビシン、バンコマイシン及びクリンダマイシンの組み合わせが使用され得る。簡単にするために、以下の説明では、本発明のこれらの実施形態を「アファビシンと少なくとも1つのさらなる薬剤との組み合わせ」などと併せて参照する。したがって、本発明は、特に、バイオフィルム媒介感染症、好ましくは、ブドウ球菌(staphylococcus)含有バイオフィルム媒介感染症の治療のための、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンと組み合わせて使用するためのアファビシン(及びその逆)に関する。より具体的には、本発明は、以下の実施形態に関する:
1. バイオフィルムが関与する細菌感染症の治療方法に使用するためのアファビシンであって、方法は、アファビシンをリポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて患者に投与することを含み、ここで、リポペプチドは、好ましくはダプトマイシンであり、糖ペプチドは、好ましくはバンコマイシンであり、リンコサミドは、好ましくはクリンダマイシンである、アファビシン。
2. バイオフィルムが、ブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むか、又はそれからなる、項目1に記載の使用のためのアファビシン。
3. ブドウ球菌(staphylococcus)細菌が、以下からなる群:
・ 市中感染黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び院内感染黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を含む黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
・ コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Staphylococci)(CoNS)、例えば表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(Staphylococcus haemolyticus)、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)、スタフィロコッカス・シムランス(Staphylococcus simulans)、スタフィロコッカス・ホミニス(Staphylococcus hominis)(ここでCoNSは、好ましくは表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)である)、
・ メチシリン感受性又はメチシリン耐性ブドウ球菌(Staphylococci)(ここでブドウ球菌(Staphylococcus)は、好ましくは黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)又は表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)である)、
・ 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)株、又はCoNS株(ここで、株は、1つ以上の抗生物質に耐性であり、抗生物質は、好ましくはβ-ラクタム、セファロスポリン、糖ペプチド、例えばバンコマイシン、リネゾリド、リンコサミド、例えばクリンダマイシン、リファンピシン、リポペプチド、例えばダプトマイシン、フルオロキノロン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、ホスホマイシン、フシジン酸、チゲサイクリン、テトラサイクリン、及びダルババンシンから選択され、CoNS株は、好ましくは表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)である)、
・ 多剤耐性ブドウ球菌(staphylococcus)株(ここで、多剤耐性ブドウ球菌(staphylococcus)株は、好ましくは多剤耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)株及び多剤耐性CoNS株からなる群から選択され、多剤耐性CoNS株は、好ましくは表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)である)、
から選択され、
好ましくは、ブドウ球菌(staphylococcus)細菌が黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び/又はCoNSであり、CoNsが、好ましくは表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)ある、項目1又は2に記載の使用のためのアファビシン。
4. 細菌感染症が開放創及び/又は湿潤創傷及び/又はドレナージが所定の位置にある創傷と関連し、好ましくは、細菌感染症が開放創と関連する、項目1~3のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
5. 少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせたアファビシンが周術期中に投与され、好ましくは、術前及び/又は術後に投与される、項目1~4のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
6. 細菌感染症が、リファンピシンに耐性のブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むバイオフィルムが関与する、項目1~5のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
7. 細菌感染症が、メチシリン耐性ブドウ球菌(staphylococci)を含むバイオフィルムが関与し、好ましくは、ブドウ球菌(staphylococci)が黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)又はCoNSであり、CoNSが好ましくは表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)である、項目1~6のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
8. 細菌感染症が、以下からなる群から選択される、項目1~7のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン:
○ 医療用インプラント関連感染症、
○ 骨髄炎、
○ 嚢胞性線維症患者における感染症、
○ 肺炎などの胸膜肺感染症、好ましくは、胸膜肺感染症は慢性であり、より好ましくは、胸膜肺感染症は閉塞性肺疾患である、
○ 心内膜炎、好ましくは、心内膜炎は天然弁心内膜炎である、
〇 創傷感染、好ましくは、創傷感染は慢性である、
〇 乳腺炎、
〇 副鼻腔炎、好ましくは、副鼻腔炎は慢性である、
〇 中耳炎、好ましくは、中耳炎は慢性である、
〇 尿路感染症、
〇 扁桃炎、好ましくは、扁桃炎は慢性である、
〇 喉頭炎、好ましくは、喉頭炎は慢性である、
〇 腎臓結石に関連した感染症
〇 胆道感染症、
〇 好気性腟炎、
〇 敗血症性血栓性静脈炎、
〇 例えばクッパー細胞又は扁桃細胞における細胞内バイオフィルムに関連した感染症、及び
〇 患者を感染症にかかりやすくする黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によるコロニー形成。
9. 細菌感染症が医療用インプラント関連感染症であり、医療用インプラントが永久的な留置デバイスであり、好ましくは人工関節である、項目1~8のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
10. 細菌感染症が医療用インプラント関連感染症であり、好ましくは、カテーテル関連感染症、気管内チューブに関連した感染症、音声プロテーゼに関連した感染症、軟組織充填剤に関連した感染症から選択され、軟組織充填剤は、永久的又は半永久的であり得る、項目1~9のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
11. 方法が、少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせたアファビシンの投与に加えて、デブリドマンの工程を含む、項目1~10のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
12. 方法が、少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせたアファビシンの投与に加えて、医療用インプラントを交換する工程を含む、項目8、9、10又は11に記載の使用のためのアファビシン。
13. 少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせてアファビシンを投与する工程が、医療用インプラントを交換する工程の前及び/又は後に実施され、投与が医療用インプラントを交換する工程の前及び後に実施されることが好ましい、項目12に記載の使用のためのアファビシン。
14. アファビシンが静脈内、経口、非経口及び/又は局所及び/又は経皮投与される、項目1~13のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
15. アファビシンが第1段階で静脈内投与され、第2段階で経口投与される、項目1~14のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
16. 少なくとも1つのさらなる薬剤が、経口、非経口、経皮、静脈内及び/又は局所投与される、項目1~15のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
17. 方法が、医療用インプラントを除去する第1の工程、少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせたアファビシンを静脈内投与する第2の工程、新たな医療用インプラントを導入する第3の工程、少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせたアファビシンを静脈内投与する第4の工程、及び少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせたアファビシンを経口投与する第5の工程を含む、項目12又は13に記載の使用のためのアファビシン。
18. 少なくとも1つのさらなる薬剤が、ダプトマイシン、バンコマイシン、サーファクチン、A54145、アンホマイシン、フリウリミシン、ラスパルトマイシン、WAP-8294A、カタノシン、プラスバシンA、オリタバンシン、テラバンシン、テイコプラニン、ダルババンシン、ラモプラニン、マンノペプチマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン及びピルリマイシンからなる群から選択される、項目1~17のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
19. 少なくとも1つのさらなる薬剤が、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンである、項目18に記載の使用のためのアファビシン。
20. 好ましくはブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むバイオフィルムが関与する細菌感染症の治療方法に使用するためのダプトマイシンであって、方法が、項目1~19項のいずれか1項に記載された通りである、ダプトマイシン。
21. 好ましくはブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むバイオフィルムが関与する細菌感染症の治療方法に使用するバンコマイシンであって、方法が、項目1~19項のいずれか1項に記載された通りである、バンコマイシン。
22. 好ましくはブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むバイオフィルムが関与する細菌感染症の治療方法に使用するためのクリンダマイシンであって、方法が、項目1~19項のいずれか1項に記載された通りである、クリンダマイシン。
23. 好ましくはブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むバイオフィルムが関与する細菌感染症を、治療を必要とする患者において治療する方法であって、方法が、項目1~19項のいずれか1項に記載された通りである、方法。
24. 好ましくはブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むバイオフィルムが関与する細菌感染症の治療方法に使用するための医薬組成物であって、医薬組成物が、アファビシンと、リポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる薬剤、好ましくは、ダプトマイシン、バンコマイシン、サーファクチン、A54145、アンホマイシン、フリウリミシン、ラスパルトマイシン、WAP-8294A、カタノシン、プラスバシンA、オリタバンシン、テラバンシン、テイコプラニン、ダルババンシン、ラモプラニン、マンノペプチマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン及びピルリマイシンからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる薬剤、より好ましくは、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンとを含み、方法が、項目1~19のいずれか1項に記載の通りである、医薬組成物。
25. 好ましくはブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むバイオフィルムが関与する細菌感染症の治療方法に使用するためのキットであって、キットが、アファビシンと、リポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる薬剤、好ましくは、ダプトマイシン、バンコマイシン、サーファクチン、A54145、アンホマイシン、フリウリミシン、ラスパルトマイシン、WAP-8294A、カタノシン、プラスバシンA3、オリタバンシン、テラバンシン、テイコプラニン、ダルババンシン、ラモプラニン、マンノペプチマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン及びピルリマイシンからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる薬剤、より好ましくは、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンとを含み、方法が、項目1~19のいずれか1項に記載の通りである、キット。
別のより具体的な態様では、本発明は下のものに関する:
1. ブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むバイオフィルムが関与する細菌感染症の治療方法に使用するためのアファビシンであって、方法が、患者にダプトマイシン及び/又はバンコマイシンと組み合わせてアファビシンを投与することを含む、アファビシン。
2. ブドウ球菌(staphylococcus)細菌が、以下からなる群:
・ 市中感染黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び院内感染黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を含む黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
・ コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Staphylococci)(CoNS)、例えば表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(Staphylococcus haemolyticus)、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)、スタフィロコッカス・シムランス(Staphylococcus simulans)、スタフィロコッカス・ホミニス(Staphylococcus hominis)(ここで、CoNSは、好ましくは表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)である)、
・ メチシリン感受性又はメチシリン耐性ブドウ球菌(Staphylococci)(ここでブドウ球菌(Staphylococcus)は、好ましくは黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)又は表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)である)、
・ 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)株、又はCoNS株(ここで株は、1つ以上の抗生物質に耐性であり、抗生物質は、好ましくはβ-ラクタム、セファロスポリン、バンコマイシン、リネゾリド、クリンダマイシン、リファンピシン、ダプトマイシン、フルオロキノロン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、ホスホマイシン、フシジン酸、チゲサイクリン、テトラサイクリン、及びダルババンシンから選択され、CoNS株は、好ましくは表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)である)、
・ 多剤耐性ブドウ球菌(staphylococcus)株(ここで、多剤耐性ブドウ球菌(staphylococcus)株は、好ましくは多剤耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)株及び多剤耐性CoNS株からなる群から選択され、多剤耐性CoNS株は、好ましくは表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)である)、
から選択され、
好ましくはブドウ球菌(staphylococcus)細菌は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び/又はCoNSであり、CoNsは、好ましくは表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)である、項目1に記載の使用のためのアファビシン。
3. 細菌感染症が開放創及び/又は湿潤創傷及び/又はドレナージが所定の位置にある創傷と関連し、好ましくは、細菌感染症が開放創と関連する、項目1又は2に記載の使用のためのアファビシン。
4. ダプトマイシン及び/又はバンコマイシンと組み合わせたアファビシンが、周術期に投与され、好ましくは、術前及び/又は術後に投与される、項目1、2又は3に記載の使用のためのアファビシン。
5. 細菌感染症が、リファンピシンに耐性のブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むバイオフィルムが関与する、項目1、2、3又は4に記載の使用のためのアファビシン。
6. 細菌感染症が、メチシリン耐性ブドウ球菌(staphylococci)を含むバイオフィルムが関与し、好ましくは、ブドウ球菌(staphylococci)が黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)又はCoNSであり、CoNSが好ましくは表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)である、項目1~5のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
7. 細菌感染が、以下からなる群から選択される、項目1~6のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン:
〇 医療用インプラント関連感染症、
〇 骨髄炎、
〇 嚢胞性線維症患者における感染症、
〇 肺炎などの胸膜肺感染、好ましくは、胸膜肺感染は慢性であり、より好ましくは、胸膜肺感染は閉塞性肺疾患である、
〇 心内膜炎、好ましくは、心内膜炎は天然弁心内膜炎である、
〇 創傷感染、好ましくは、創傷感染は慢性である、
〇 乳腺炎、
〇 副鼻腔炎、好ましくは、副鼻腔炎は慢性である、
〇 中耳炎、好ましくは、中耳炎は慢性である、
〇 尿路感染症、
〇 扁桃炎、好ましくは、扁桃炎は慢性である、
〇 喉頭炎、好ましくは、喉頭炎は慢性である、
〇 腎臓結石に関連した感染症
〇 胆道感染症、
〇 好気性腟炎、
〇 敗血症性血栓性静脈炎、
〇 例えばクッパー細胞又は扁桃細胞における細胞内バイオフィルムに関連した感染症、及び
〇 患者を感染症にかかりやすくする黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によるコロニー形成。
8. 細菌感染症が医療用インプラント関連感染症であり、医療用インプラントが永久的な留置デバイスであり、好ましくは人工関節である、項目1~7のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
9. 細菌感染症が医療用インプラント関連感染症であり、好ましくは、カテーテル関連感染症、気管内チューブに関連する感染症、音声プロテーゼに関連する感染症、軟組織充填剤に関連する感染症から選択され、軟組織充填剤は、永久的又は半永久的であり得る、項目1~8のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
10. 方法が、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシンと組み合わせたアファビシンの投与に加えて、デブリドマンの工程を含む、項目1~9のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
11. 方法が、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシンと組み合わせたアファビシンの投与に加えて、医療用インプラントを交換する工程を含む、項目7、8、9又は10に記載の使用のためのアファビシン。
12. ダプトマイシン及び/又はバンコマイシンと組み合わせてアファビシンを投与する工程が、医療用インプラントを交換する工程の前及び/又は後に実施され、投与が医療用インプラントを交換する工程の前及び後に実施されることが好ましい、項目11に記載の使用のためのアファビシン。
13. アファビシンが静脈内、経口、非経口及び/又は局所及び/又は経皮投与される、項目1~12のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
14. アファビシンが第1段階で静脈内投与され、第2段階で経口投与される、項目1~13のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
15. ダプトマイシン及び/又はバンコマイシンが、静脈内及び/又は局所投与される、項目1~14のいずれか1項に記載の使用のためのアファビシン。
16. 方法が、医療用インプラントを除去する第1の工程、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシンと組み合わせたアファビシンを静脈内投与する第2の工程、新たな医療用インプラントを導入する第3の工程、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシンと組み合わせたアファビシンを静脈内投与する第4の工程、並びにダプトマイシン及び/又はバンコマイシンと組み合わせたアファビシンを経口投与する第5の工程を含む、項目11又は12に記載の使用のためのアファビシン。
17. ブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むバイオフィルムが関与する細菌感染症の治療方法に使用するためのダプトマイシンであって、方法が、項目1~16のいずれか1項に記載された通りである、ダプトマイシン。
18. ブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むバイオフィルムが関与する細菌感染症の治療方法に使用するバンコマイシンであって、方法が、項目1~16のいずれか1項に記載された通りである、バンコマイシン。
19. ブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むバイオフィルムが関与する細菌感染症を、治療を必要とする患者において治療する方法であって、方法が、項目1~16のいずれか1項に記載された通りである、方法。
本発明のさらなる実施形態は、以下に提供される本発明の詳細な説明から明らかになる。
4. 図面の説明
異なるシナリオに基づく、医療用インプラント感染症、より具体的には人工関節感染症の治療選択肢の概略設定である。 異なるシナリオに基づく、医療用インプラント感染症、より具体的には人工関節感染症の治療選択肢の概略設定である。 マウス組織ケージモデルにおけるバイオフィルム包埋細菌に対する5.5日間の抗生物質治療の効果を示す。感染後24時間(ベースライン、治療前)に感染した未治療対照動物から、及び9日目に抗生物質治療動物及びビヒクル治療動物から、外植組織ケージを超音波処理した後に培地をプレーティングすることによって、接着細菌分率を決定した。治癒率が示される。ビヒクル群と治療群との比較の統計解析は、ノンパラメトリックKruskal-Wallis検定と、その後のDunnの多重比較検定により行った(**p<0.005);ns=有意ではない。 マウス組織ケージモデルにおけるバイオフィルム包埋細菌に対する11日間の抗生物質治療の効果を示す。感染後24時間(ベースライン、治療前)に感染した未治療対照動物から、及び14日目に抗生物質治療動物及びビヒクル治療動物から、外植組織ケージを超音波処理した後に培地をプレーティングすることによって、接着細菌分率を決定した。治癒率が示される。ビヒクル群と治療群との比較の統計解析は、ノンパラメトリックKruskal-Wallis検定と、その後のDunnの多重比較検定により行った(**p<0.005);ns=有意ではない。
5. 発明の詳細な説明
5.1 定義
以下の定義は、読者を助けるために提供される。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、表記、及び他の科学的又は医学的な用語又は学術用語は、化学及び医学分野の当業者によって一般に理解される意味を有することが意図される。場合によっては、一般に理解される意味を有する用語は、明確にするため及び/又は容易に参照するために本明細書で定義され、このような定義を本明細書に含めることは、当技術分野で一般に理解される用語の定義を超える実質的な差を表すと解釈されるべきではない。あいまいな場合には、国際公開第2013/190384 A号に含まれる定義及び情報が補助的に、且つそれらが本発明と一致する範囲で使用されるものとする。捕捉情報源として、化学、医薬及び医学辞書、特にRoempp “Lexikon Chemie”, Thieme Verlag 1999; Remington “The Science and Practice of Pharmacy”, Pharmaceutical Press, 2012; 及び“Stedman’s Medical Dictionary”, Wolters Kluwer, 2006は、それらが本明細書及び国際公開第2013/190384 A号に提供される情報と一致する限りにおいてのみ、さらなる補足情報源として使用されるべきである。特に断らない限り、インターネットページに対する参照は、2019年6月14日版の各ページに対する参照として理解されるべきである。
文脈が特に指示しない限り、用語「a」又は「an」は、物質又は成分を特徴付けるが、その数/量を限定するものではない。例えば、「バインダー」に対する参照は、単一のバインダー、又は代替的に、2つ以上のバインダーの組み合わせに対する参照として理解されるべきである。物品が使用されない場合も同様である。例えば、「バイオフィルムに関連した感染症」は、1つ、2つ、又はそれを超える別個のバイオフィルムコロニーと関連し得る。
いくつかの実施形態では、用語「約」は、引用された値からの±10%の偏差を指す。単語「約」が本明細書で数字を参照して使用される場合、本発明のさらに別の実施形態は、単語「約」の存在によって修飾されていない数字を含むことを理解するべきである。
患者へ薬物を「投与する」又は患者への薬物の「投与」(及びこのフレーズの文法的等価物)は、医療専門家による患者への投与であり得、若しくは自己投与であり得る直接投与、及び/又は薬物を処方する行為であり得る間接投与を指す。例えば、患者に薬物を自己投与するように指示し、又は患者に薬物の処方箋を提供する医師は、患者に薬物を投与している。
本発明の文脈において、用語「バイオフィルム」は、自己産生マトリックスに包まれ、生物又は非生物表面に接着する1つ以上の種の微生物細胞の構造化凝集体を指すために使用される。本発明の文脈において、用語「バイオフィルム」は、上記で定義されているが、デブリドマン及び/又は他の物理的及び/又は外科的方法によって生物又は非生物表面から分離されている、微生物細胞の構造化凝集体も指すために使用される。
用語「組み合わせ製品」は、(i’)物理的、化学的、又はその他の方法で組み合わされ、又は混合され、単一の実体として製造された2つ以上の規制された成分からなる製品、(ii’)単一のパッケージ又は単位として一緒に包装され、薬物及びデバイス製品、デバイス及び生物学的製品、又は生物学的及び薬物製品からなる2つ以上の別々の製品、(iii’)その治験計画又は提案された標識に従って、承認された個々に特定された薬物、デバイス、又は生物学的製品とともにのみ使用が意図される、別々に包装された薬物、デバイス、又は生物学的製品(意図される使用、適応症、又は効果を達成するために両方が必要であり、提案された製品の承認時に、承認された製品の標識を、例えば、意図された使用、剤形、強度、投与経路、又は用量の有意な変化を反映するために変更する必要がある)、又は(iv’)その提案された標識に従って、別の個々に特定された治験薬、デバイス、又は生物学的製品とともにのみ使用が意図される、別々に包装された任意の治験薬、デバイス、又は生物学的製品(両方が、意図された使用、適応症、又は効果を達成するために必要である)を指すことができる。
本明細書で使用される「併用療法」、「と組み合わせた」、又は「と組み合わせて」は、少なくとも2つの別個の治療様式(すなわち、化合物、成分、標的化薬剤又は治療剤)による同時発生、並行、同時、逐次又は間欠的な治療の任意の形態を意味する。したがって、この用語は、対象への一方の治療様式の投与前、投与中、又は投与後に、他方の治療様式を投与することを指す。組み合わせた様式は、任意の順序で投与することができる。治療的に活性な様式は、医療従事者によって、又は規制当局によって処方される様式及び投与レジメンで、一緒に(例えば、同じ又は別々の組成物、製剤又は単位剤形において同時に)又は別々に(例えば、同じ日に、又は異なる日に、別々の組成物、製剤又は単位剤形についての適切な投与プロトコルに従って任意の順序で)投与される。一般に、各治療様式は、その治療様式について決定された用量及び/又は時間スケジュールで投与されるであろう。任意選択で、3つ以上の様式を併用療法で使用することができる。さらに、本明細書に提供される併用療法は、他のタイプの治療と組み合わせて使用され得る。例えば、他の抗生剤をさらに投与してもよい。
動詞「含む(comprise)」及び「含む(contain)」は、そのリストに含まれていないさらなる成分の追加の存在を可能にするオープンリストを導入する。対照的に、動詞「からなる」は、言及されていないさらなる成分の追加の存在を可能にしないクローズドリストを導入する。本出願が動詞「含む(comprise)」又は「含む(contain)」を使用する場合は常に、好ましい実施形態としての選択肢「からなる」を含むことが意図される。
本出願は、最終製品中に存在する任意の材料としての本発明の医薬組成物の「成分」を参照し、成分には、賦形剤が含まれ、また医薬活性成分も含まれる。用語「成分」は、錠剤コーティング(存在する場合)又はカプセルシェル(存在する場合)も含む。「賦形剤」は、それ自体では医薬効果を及ぼさない医薬組成物の全ての成分、すなわち、医薬活性成分以外の全ての成分である。
治療が困難な微生物によって形成されたバイオフィルムが関与する場合、感染症は、「治療が困難」である。これらは、特に、抗生物質に耐性の微生物、特にリファンピシン耐性ブドウ球菌(staphylococci)、腸球菌(enterococci)、及びキノロン耐性グラム陰性桿菌及び真菌などの経口投与用抗生物質に耐性の微生物である。
「用量」及び「投与量」は、投与用の活性剤又は治療剤の特定の量を指す。そのような量は「剤形」に含まれ、剤形は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単位投与量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、担体などの1つ以上の適切な医薬賦形剤と関連して、所望の開始、忍容性及び治療効果を生じるように計算された所定量の活性剤を含む。
用語「個人」、「患者」又は「対象」は、本出願において互換的に使用され、如何様にも限定することを意味しない。「個人」、「患者」又は「対象」は、任意の年齢、性別及び身体状態であり得る。好ましくは、本発明の治療方法及び組み合わせ製品は、ヒト患者において使用するためのものである。換言すれば、個人、特許又は対象は、好ましくはヒトである。本明細書における「個人」、「患者」又は「対象」に対する全ての参照は、ヒト「ヒト個人」、「ヒト患者」又は「ヒト対象」に対する参照としても理解されるべきである。
「バイオフィルムが関与する感染症」、「バイオフィルム関連感染症」などの用語は、細菌がバイオフィルムを形成した細菌感染症を特徴付けるために本明細書で使用される。バイオフィルムが実際に形成されたかどうかは、例えば、この事実が患者の状態のために確立できないため、必ずしも明らかではない。このような状況では、本発明の併用療法を用いることが可能である。これは、バイオフィルムの形成を予防するための予防的治療とみなすことができる。同様に、バイオフィルムを伴って又は伴わずに存在し得る感染症に対する本明細書の任意の参照は、バイオフィルムが形成されているか又は形成されていてもよいそれぞれの感染症に対する参照として意図される。
「注入」又は「注入する」は、治療目的のために静脈を通して体内に薬物含有溶液を導入することを指す。一般に、これは、静脈内バッグを介して達成される。
「薬学的に許容され得る」は、本発明の文脈において、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、及び/又は他の問題若しくは合併症を伴わずにヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適している、妥当な利益/リスク比に見合った、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すために使用される。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る担体」又は「薬学的に許容され得る希釈剤」は、薬学的投与に適合する、任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤を意味する。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野で周知である。許容され得る担体、賦形剤、又は安定剤は、使用される投与量及び濃度でレシピエントに対して無毒であり、本発明の範囲を限定することなく、追加の緩衝剤;保存剤;共溶媒;アルコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;EDTAなどのキレート剤;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ポリエステルなどの生分解性ポリマー;ナトリウム、多価糖アルコールなどの塩形成対イオン;アラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、及びトレオニンなどのアミノ酸;ラクチトール、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース、ミオイニシトール、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール(例えば、イノシトール)、ポリエチレングリコールなどの有機糖又は糖アルコール;尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、[α]-モノチオグリセロール、及びチオ硫酸ナトリウムなどの硫黄含有還元剤;ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、又は他の免疫グロブリンなどの低分子量タンパク質;並びにポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマーを含む。他の薬学的に許容され得る担体、賦形剤、又は安定剤、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed.(1980)に記載されているものも、それらが医薬組成物の所望の特性に悪影響を及ぼさないという条件で、本明細書に記載されている医薬組成物に含めることができる。
「薬学的に許容され得る塩」は、本発明の文脈において、上記で定義されたように薬学的に許容され得る、薬物の任意の形態のイオン種(酸付加塩、塩基付加塩、双性イオン性/内部塩など)を特徴付けるために使用される。特に明記しない限り、本出願における薬学的に活性な化合物に対する全ての参照は、遊離形態のそれぞれの化合物に対する参照として、及びそれぞれの化合物の薬学的に許容され得る塩に対する参照としても理解されるべきである。
用語「治療有効量」は、治療効果を有し、特にバイオフィルム関連ブドウ球菌(staphylococcus)感染症を治療することができる、原薬、例えばアファビシン、及び/又はリポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる薬剤の量を指す。薬物の治療有効量は、細菌細胞の数を減少させ;バイオフィルムのサイズ若しくは負荷を減少させ;末梢器官への細菌細胞の浸潤を阻害し(すなわち、ある程度遅くし、特定の実施形態では、停止させ);バイオフィルムの増殖を阻害し(すなわち、ある程度遅くし、特定の実施形態では、停止させ);感染症に関連した症状の1つ以上をある程度軽減し;又はそれらの任意の組み合わせであり得る。「予防有効量」は、バイオフィルム関連ブドウ球菌(staphylococcus)感染症のリスクのある患者において所望の予防結果を達成するために必要な投与量及び期間で有効な量を指す。典型的には、予防用量は疾患の前又は早期段階で対象において使用されるので、予防有効量は、治療有効量より少なくなるが、必ずしもそうではない。それにもかかわらず、治療有効量はまた、予防有効量でもある。
用語「治療」及び「治療法」は、本出願で使用される場合、健康障害を改善することを目的として疾患及び/又は症状を治癒及び/又は軽減することを意図して使用される衛生的、薬理学的、外科的及び/又は物理的手段の組を指す。用語「治療」及び「治療法」は、両方とも個人又は動物の健康の維持及び/又は再確立を対象とするので、予防及び治癒方法を含む。症状、疾患及び身体障害(disability)の起源にかかわらず、健康障害を軽減及び/又は治癒するための適切な薬剤の投与は、本出願の文脈内の治療又は治療法の形態として解釈されるべきである。
本明細書で使用される「単位剤形」は、治療される対象に適切な治療製剤の物理的に別個の単位を指す。しかしながら、本発明の組成物の毎日の総使用量は、正しい医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されるであろう。任意の特定の対象又は生物に対する特定の有効用量レベルは、治療される障害及び障害の重症度;使用される特定の活性剤の活性;使用される特定の組成物;対象の年齢、体重、一般的な健康、性別及び食事;使用される特定の活性剤の投与時間及び排出速度;治療の期間;使用される特定の化合物と組み合わせて又は同時に使用される薬物及び/又は追加の治療法;並びに医療技術分野で周知の同様の因子を含む種々の因子に依存するであろう。
本明細書で使用される用語「医療用インプラント」は、生物学的構造を置換、支持、又は増強することを意図した(患者の体内に配置された)任意の留置医療デバイスを指す。医療用インプラントは、永久的に配置されてもよく(例えば、ステント又は人工関節)、或いは、それらは、一時的に配置されてもよく、例えば、化学療法ポート又は整形外科用スクリューなど、もはや必要とされない場合に除去されてもよい。
医療用インプラントの非限定的な例としては、ステント、シャント、例えば心室シャント、心室補助デバイス、血管グラフト、血管クリップ、人工関節(artificial joint)、電気除細動器(cardioverter defibrillator)(除細動器)、ペースメーカー、人工関節(prosthetic joint)、例えば人工股関節及び膝関節、人工心臓弁、医療用インプラント、整形外科用スクリュー、整形外科用ロッド、整形外科用プレート、人工椎間板、子宮内デバイス(IUD)、冠動脈ステント、耳管、眼内レンズ、コンタクトレンズ、カテーテル、例えば中心静脈カテーテル、末梢血管カテーテル、腹膜透析カテーテル、尿路カテーテル、気管内チューブ、音声プロテーゼ、軟組織充填材(永久的又は半永久的な組織充填材)が含まれる。
本明細書で使用される用語「抗生物質インプラント」は、任意の留置(患者の体内に配置される)医療デバイスを指し、医療デバイスは、抗生物質の送達による感染症、例えば細菌感染症を治療又は予防することを主な目的として患者に移植される。抗生物質インプラントは、永久的に配置されてもよく、或いは、それらは、一時的に配置されてもよく、それらは、もはや必要とされない場合、例えば感染症が根絶された場合に除去され得るか、又はそれらは体内で経時的に単に溶解し得る。
抗生物質インプラントの非限定的な例としては、抗生物質負荷ビーズ又はスペーサーが挙げられる。
本発明は、併用療法に使用するためのアファビシンとリポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる薬剤との組み合わせ、組み合わせ製品、薬物の組み合わせを含む医薬組成物、このような薬物の組み合わせを別々の容器に収容するキット、他のそれぞれの薬物と組み合わせて使用するためのこれらの薬物の1つを含む医薬組成物(及びその逆)、並びにこれらの製品の少なくとも1つの投与を含む治療方法に関する。文脈が特に指示しない限り、本発明の上述の態様のいずれか1つに対する全ての参照は、上記に列挙した本発明の他の態様に対する参照としても理解されるべきである。例えば、本発明の方法に対する参照は、これらの方法において使用される本発明の医薬組成物の開示としても理解されるべきである。同様に、本発明の医薬組成物に対する参照は、これらの医薬組成物を使用する本発明の方法の開示としても理解されるべきである。
特に明記しない限り、本出願における全ての絶対量表示は、mgで与えられる。特に明記しない限り、全ての相対量表示は、医薬組成物の総重量に基づく重量%(wt%)で提供される。医薬組成物がコーティングされた錠剤の形態である場合、コーティングの重量は、総重量に含まれない。医薬組成物がカプセルの形態である場合、カプセルシェルの重量も総重量から除外される。湿式造粒中に一時的に存在し得るが、その後の乾燥手順によって除去される任意の液体の重量は、総重量に含まれない。
特に明記しない限り、活性物質アファビシンの全ての絶対量表示、例えば1日投与量は、遊離酸形態の分子量に基づく。したがって、アファビシンの塩形態が使用される場合、特定の絶対量は、相対分子量を考慮して変換される必要がある。これは、以下の式(1)を用いて行うことができる:
m(塩)=m(遊離酸)*M(塩)/M(遊離酸) (1)
式中、mは、絶対量を特定し、Mは、それぞれの形態の分子量を特定する。
特に明記しない限り、活性物質アファビシンの全ての相対量表示、例えば組成範囲は、アファビシンのビス-エタノールアミン塩(アファビシンオラミン)の分子量に基づく。したがって、異なる塩形態又は遊離酸形態のアファビシンが使用される場合、特定の絶対量は、相対分子量を考慮して変換される必要がある。これは、以下の式(2)を用いて行うことができる:
w(s2)=100*w(s1)*M(s2)/(M(s1)*(100+w(s1)*(M(s2)-M(s1))/M(s1))) (2)
式中、w(s2)は、第2の塩形態又は遊離酸形態の相対量(この塩形態を含む組成物の総重量に基づいて重量%で)であり;w(s1)は、ビス-エタノールアミン塩形態の相対量(ビス-エタノールアミン塩形態を含む組成物の総重量に基づいて重量%で)であり;M(s2)は、第2の塩形態又は遊離酸形態の分子量であり;M(s1)は、ビス-エタノールアミン塩形態の分子量である。
本出願において、本発明の医薬組成物が特定の物質を「含まない」ことの表示、このタイプの物質が存在しないことの表示、及び物質が存在しない、省略されているなどの記載は、医薬組成物中の物質の相対量が0.1重量%未満、好ましくは、0.01重量%未満であるように理解されるべきである。特に好ましい実施形態によれば、物質は、完全に存在しないか、又は出願日に利用可能な分析技術に基づいて検出することができないほど少量でのみ存在する。別の実施形態によれば、医薬組成物は、活性成分アファビシンの溶解特性に測定可能な影響を及ぼさないような少量でそれぞれの物質を含む。
本発明は、主に、本発明の「特定の(specific)実施形態」を説明することによって(又は「特定の(certain)実施形態」などの同様の用語を使用して)以下に記載されるが、複数の実施形態のそのような開示は、文脈が特に指示しない限り、特徴のそれぞれの組み合わせの開示としても理解されるべきである。
5.2. 概要
バイオフィルムに関連した感染症は、治療するのが非常に困難であり、プランクトン状態の特定の細菌に対して治療的に活性である抗生物質薬物が、バイオフィルムの形態で存在する場合、同じ細菌に対して治療的に活性ではない多くの場合がある。このため、バイオフィルムに関連した感染症の有効な治療は、わずかしか存在しない。
アファビシンは、プランクトン状態のブドウ球菌(staphylococcus)感染症の治療に有効であることが知られているが、アファビシンがブドウ球菌(staphylococcus)細菌が関与するバイオフィルム関連感染症の治療にも有効であるかどうかは不明であった。予備実験は、アファビシンが単剤療法として使用された場合、中程度の抗バイオフィルム活性しか示さないことを明らかにした。ダプトマイシン及び/又はバンコマイシンを含む他の多くの抗生物質薬物についても同様である。
本発明は、アファビシンを、リポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる抗生剤と組み合わせる場合に、バイオフィルム感染症、より具体的には、ブドウ球菌(staphylococcus)細菌が関与するバイオフィルム感染症の有効な治療が提供され得るという驚くべき発見に基づく。好ましくは、少なくとも1つのさらなる薬剤は、ダプトマイシン、バンコマイシン、サーファクチン、A54145、アンホマイシン、フリウリマイシン、ラスパルトマイシン、WAP-8294A、カタノシン、プラスバシンA、オリタバンシン、テラバンシン、テイコプラニン、ダルババンシン、ラモプラニン、マンノペプチマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン及びピルリマイシンからなる群から選択され、より好ましくは、それは、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンである。本発明の全ての実施形態において、これらの薬剤は、遊離形態で、又は薬学的に許容され得る塩の形態で使用され得る。同様に、これらの薬剤のいずれかの水和物、溶媒和物及び/又は多形体の可能な使用に関しても特に制限はない。したがって、アファビシン及び/又は上記のさらなる薬剤のいずれかに対する参照は、それぞれの薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物及び多形体に対する参照も包含すると理解されるべきである。したがって、本発明は、バイオフィルム感染症、好ましくは、ブドウ球菌(staphylococcus)細菌が関与するバイオフィルム感染症の治療を提供し、この治療は、アファビシンと、リポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる抗生物質、例えば、好ましくは、上記に列挙した薬剤、より好ましくは、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンとの組み合わせの使用を含む。これは、バイオフィルム感染症、好ましくはブドウ球菌(staphylococcus)細菌が関与するバイオフィルム感染症の治療におけるリポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる抗生剤と組み合わせて使用するためのアファビシンの提供を含み;また、バイオフィルム感染症、好ましくはブドウ球菌(staphylococcus)細菌が関与するバイオフィルム感染症の治療におけるアファビシンと組み合わせて使用するためのダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンの提供を含み;さらに、バイオフィルム感染症、好ましくはブドウ球菌(staphylococcus)細菌が関与するバイオフィルム感染症の治療のための、リポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる抗生剤、例えば好ましくは上記に列挙される薬剤、より好ましくはダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンとアファビシンの組み合わせの提供を含む。それはまた、治療を必要とする患者におけるバイオフィルム感染症、好ましくはブドウ球菌(staphylococcus)細菌が関与するバイオフィルム感染症を治療する方法を含み、方法は、アファビシンの投与と、リポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる抗生剤、例えば好ましくは上記に列挙される薬剤、より好ましくはダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンの投与との組み合わせを含む。
アファビシン及び少なくとも1つのさらなる薬剤は、同じ組成物中に存在しても存在しなくてもよい。2つ以上の薬物は、異なる医薬組成物の形態で、異なる投与経路によって、異なる投与時間で、及び異なる投与間隔で、などで投与され得る。
5.3. アファビシン
アファビシンは、{6-[(1E)-3-{メチル[(3-メチル-1-ベンゾフラン-2-イル)メチル]アミノ}-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル]-2-オキソ-3,4-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-1(2H)-イル}メチル二水素ホスフェートのINN名である。この化合物の他の名称は、((E)-6-[(N-メチル-((3-メチルベンゾフラン-2-イル)メチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)-2-オキソ-3,4-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-1(2H)-イル]メチルホスフェート及び(2E)-2-プロペンアミド、N-メチル-N-[(3-メチル-2-ベンゾフラニル)メチル]-3-[5,6,7,8-テトラヒドロ-7-オキソ-8-[(ホスホノオキシ)メチル]-1,8-ナフチルリジン-3-イル]である。Debio 1450とも呼ばれることがある。ブドウ球菌(staphylococcus)選択的抗生物質薬物であり、FabI阻害薬として活性を示す。アファビシンは、β-ラムタム、バンコマイシン、ダプトマイシン及びリネゾリドを含む抗生物質に耐性のブドウ球菌(staphylococci)株に対しても活性を示すことは、注目に値する。アファビシンは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)に対しても活性を示す。アファビシンは、以下の構造を有する:
Figure 0007418475000001
アファビシンの遊離酸形態は、以下のCAS RN 1518800-35-5に帰する。
アファビシン(Debio 1450)は、とりわけ国際公開第2013/190384号に記載されている。糖尿病性足感染症の治療におけるアファビシンの特定の使用は、国際公開第2017/144717号に記載されている。これらの先の出願の開示は、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
本出願におけるアファビシンに対する全ての参照は、上記に示した遊離酸形態のアファビシンに対する参照として、又は代替的に、アファビシンの薬学的に許容され得る塩に対する参照として理解されるべきである。好ましい実施形態は、アファビシンのビス-エタノールアンモニウム塩又はBES(アファビシンオラミン又はアファビシン又はDebio 1450 BESのビス-エタノールアミン塩とも呼ばれることがある)の使用に関する。CAS RN 1518800-36-6は、このビス-エタノールアミン塩に帰する。アファビシンの遊離酸形態とビス-エタノールアミン塩との混合物も有利に使用される。本出願の特に好ましい実施形態によれば、アファビシンに対する全ての参照は、任意選択で遊離酸形態のアファビシンと組み合わせたアファビシンビス-エタノールアミン塩に対する参照として理解されるべきである。最も好ましい実施形態では、アファビシンビス-エタノールアミン塩と遊離酸形態のアファビシンとの組み合わせが使用され、ここで、ビス-エタノールアミン塩に対する遊離酸のモル比は、0.7~0.9、さらにより好ましくは、0.75~0.85の範囲である。
アファビシンは、プロドラッグである。薬学的に活性な代謝産物は、(E)-N-メチル-N-((3-メチルベンゾフラン-2-イル)メチル)-3-(7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1,8-ナフチルリジン-3-イル)アクリルアミドであり、Debio 1452とも呼ばれ(AFN-1252とも呼ばれる)、そのCAS RNは、620175-39-5である。これは、以下の構造を有する:
Figure 0007418475000002
本発明のさらに別の実施形態によれば、プロドラッグ化合物の代わりに親化合物Debio 1452又はその薬学的に許容され得る塩を使用することが可能である。したがって、この実施形態によれば、アファビシンの使用に対する参照は、Debio 1452が実行可能な投与形態に関してより制限されることを条件として、Debio 1452に対する参照として理解されるべきである。
5.4. ダプトマイシン
ダプトマイシンは、以下の構造の天然に存在するリポペプチドである:
Figure 0007418475000003
ダプトマイシンは、NovartisによってEUにおいて、及びCubist Pharmaceuticalsによって米国において市販されている。ダプトマイシンは、ダプトマイシンが細菌細胞膜中に組み込まれて、膜中に孔を生成し、その結果、細菌細胞の脱分極及び最終的な死を生じる作用様式を有する。ダプトマイシンは、典型的には、静脈内注射又は注入によって投与される。ダプトマイシンは、商標名Cubicin(登録商標)で市販されている。その実用的用途の詳細は、欧州医薬品庁(European Medicines Agency)がhttps://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/cubicin-epar-product-information_en.pdfで公表した製品特性の概要に見出すことができる。
5.5. バンコマイシン
バンコマイシンは、糖ペプチド系抗生物質薬物である。バンコマイシンは、以下の構造を有する:
Figure 0007418475000004
バンコマイシンは、Eli Lillyによって開発された。バンコマイシンは、とりわけ、Vancocin(登録商標)の商標名で入手可能である。バンコマイシンは、グラム陽性菌の細胞膜中に組み込まれることで働き、これは浸透圧による細胞膜の弱化及び最終的には破壊をもたらす。バンコマイシンは、典型的には、静脈内投与される。その使用に関する詳細は、それぞれのWikipediaエントリー「バンコマイシン」(2019年5月17日版)、その中で引用されている参考文献、及びとりわけ「https://www.medicines.org.uk/emc/product/6255/smpc#PRODUCTINFO」で見出すことができる、公表されている製品特性の概要(Summary of Product Characteristics)に見出すことができる。
5.6. クリンダマイシン
クリンダマイシンは、リボソーム移行を阻害することにより細菌のタンパク質合成阻害剤として作用する。クリンダマイシンは、以下の化学構造を有する:
Figure 0007418475000005
クリンダマイシンは、リンコサミド抗菌剤の群に属する。クリンダマイシンは、経口的に(カプセル又は錠剤の形態で)、局所的に(クリーム又はゲルとして)、又は非経口的に(IV注入又はIM若しくはSC注射によって)投与することができる。クリンダマイシンは、商標名Sobelin(登録商標)及びCleocin(登録商標)で市販されている。一般的なバージョンの薬物のジェネリック版が入手可能である。クリンダマイシンに関するさらなる情報は、それぞれのWikipediaエントリー「クリンダマイシン」(2020年6月5日版)及びそこに引用されている参考文献に見出すことができる。その使用に関する詳細は、https://www.drugs.com/clindamycin.htmlに見出すことができ、また、とりわけ、注入液体についてはhttps://www.medicines.org.uk/emc/medicine/29227及びカプセルについてはhttps://www.medicines.org.uk/emc/product/7337/smpcに見出すことができる、公表されている「製品特性の概要」にも見出すことができる。
5.7. 他の薬剤
少なくとも1つのさらなる薬剤はまた、リポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドの群に属する別の薬剤であってもよい。この群のメンバーは、特に、サーファクチン、A54145、アンホマイシン、フリウリミシン、ラスパルトマイシン、WAP-8294A、カタノシン、プラスバシンA、オリタバンシン、テラバンシン、テイコプラニン、ダルババンシン、ラモプラニン、マンノペプチマイシン、リンコマイシン及びピルリマイシンである。
リポペプチドに関する情報は、例えば、R.H. Baltz et al., Nat Prod Rep., 2005 Dec;22(6):717-41. doi: 10.1039/b416648p. Epub 2005 Nov 4(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16311632を介してアクセス可能)及びそこに引用されている文献に見出すことができる。
糖ペプチドに関する情報は、例えば、S. Li and E.S. Starkey Arch Dis Child Educ Pract Ed. 2016 Dec;101(6):323-326. doi: 10.1136/archdischild-2015-309270. Epub 2016 Jul 7(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27389546/を介してアクセス可能)及びそこに引用されている文献に見出すことができる。
リンコサミドに関する情報は、例えば、J. Spizek and T. Rezanka Biochem Pharmacol. 2017 Jun 1;133:20-28. doi: 10.1016/j.bcp.2016.12.001. Epub 2016 Dec 7(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27389546/を介してアクセス可能)及びそこに引用されている文献に見出すことができる。
サーファクチンに関する情報は、それぞれのWikipediaエントリー(2020年6月10日現在)並びにR. Sen, Adv Exp Med Biol. 2010;672:316-23. doi: 10.1007/978-1-4419-5979-9_24(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27940264/を介してアクセス可能)及びそこに引用されている参考文献に見出すことができる。
A54145に関する情報は、D.S. Fukuda et al., J Antibiot(Tokyo), 1990 Jun;43(6):601-6. doi: 10.7164/antibiotics.43.601(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2380108/を介してアクセス可能)及びそこに引用されている参考文献に見出すことができる。
アンホマイシンに関する情報は、M. Singh et al., Scientific Reports | 6:31757 | DOI: 10.1038/srep31757(https://www.nature.com/articles/srep31757.pdfを介してアクセス可能)及びそこに引用されている文献に見出すことができる。
フリウリミシンに関する情報は、それぞれのWikipediaエントリー(2020年6月10日現在)並びにT. Schneider et al., Antimicrob Agents Chemother. 2009 Apr;53(4):1610-8. doi: 10.1128/AAC.01040-08. Epub 2009 Jan 21(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19164139/を介してアクセス可能)及びそこに引用されている参考文献に見出すことができる。
ラスパルトマイシンに関する情報は、D.B. Borders et al., Nat. Prod. 2007, 70, 3, 443-446(https://pubs.acs.org/doi/10.1021/np068056fを介してアクセス可能)及びそこに引用されている参考文献に見出すことができる。
WAP-8294Aに関する情報は、A. Kato et al. in The Journal of Antibiotics, 64, 373-379, 2011(https://www.nature.com/articles/ja20119を介してアクセス可能) 及びそこに引用されている参考文献に見出すことができる。
カタノシンに関する情報は、それぞれのWikipediaエントリー(2020年6月10日現在)並びにH. Maki et al. Antimicrob Agents Chemother. 2001 Jun;45(6):1823-7. doi: 10.1128/AAC.45.6.1823-1827.2001(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11353632/を介してアクセス可能)及びそこに引用されている参考文献に見出すことができる。後者の記事は、プラスバシンAに関する情報も提供する。
オリタバンシンに関する情報は、それぞれのWikipediaエントリー(2020年6月10日現在)並びにJ. Mattox et al. Consult Pharm. 2016 Feb;31(2):86-95. doi: 10.4140/TCP.n.2016.86.(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26842686/を介してアクセス可能)及びそこに引用されている参考文献に見出すことができる。
テラバンシンに関する情報は、それぞれのWikipediaエントリー(2020年6月10日現在)並びにB. Das Ther Adv Infect Dis. 2017 Mar;4(2):49-73. doi: 10.1177/2049936117690501(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28634536/を介してアクセス可能)及びそこに引用される参考文献に見出すことができる。
テイコプラニンに関する情報は、それぞれのWikipediaエントリー(2020年6月10日現在)並びにK.W. Shea Med Clin North Am. 1995 Jul;79(4):833-44. doi: 10.1016/s0025-7125(16)30042-6(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7791426/を介してアクセス可能)及びそこに引用される参考文献に見出すことができる。
ダルババンシンに関する情報は、それぞれのWikipediaエントリー(2020年6月10日現在)並びにV.R. Anderson and G.M. Keating Drugs 2008;68(5):639-48; discussion 649-51. doi: 10.2165/00003495-200868050-00006.(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18370443/を介してアクセス可能)及びそこに引用される参考文献に見出すことができる。
ラモプラニンに関する情報は、それぞれのWikipediaエントリー(2020年6月10日現在)並びにD.K. Farver et al. Ann Pharmacother. 2005 May;39(5):863-8. doi: 10.1345/aph.1E397. Epub 2005 Mar 22(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15784805/を介してアクセス可能)及びそこに引用されている参考文献に見出すことができる。
マンノペプチマイシンに関する情報は、それぞれのWikipediaエントリー「マンノペプチマイシン糖ペプチド」(2020年6月10日現在)並びにH. He Appl Microbiol Biotechnol. 2005 Jun;67(4):444-52. doi: 10.1007/s00253-004-1884-z. Epub 2005 Feb 9(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15702316/を介してアクセス可能)及びそこに引用されている参考文献に見出すことができる。
リンコマイシン(及びクリンダマイシン)に関する情報は、それぞれのWikipediaエントリー(2020年6月10日現在)並びにJ. Spizek and T. Rezanka Appl Microbiol Biotechnol. 2004 May;64(4):455-64. doi: 10.1007/s00253-003-1545-7. Epub 2004 Feb 5. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14762701/を介してアクセス可能)及びそこに引用されている参考文献に見出すことができる。
ピルリマイシンに関する情報は、それぞれのWikipediaエントリー(2020年6月10日現在)並びにR.D. Birkenmeyer et al. J Med Chem. 1984 Feb;27(2):216-23. doi: 10.1021/jm00368a020.(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6363698/を介してアクセス可能)及びそこに引用されている参考文献に見出すことができる。
5.8. 医薬組成物
5.8.1. アファビシン組成物
アファビシンは、経口、局所、経皮又は非経口(特に静脈内投与を含む)で投与することができる。投与のタイプに応じて、製剤は、適切な様式で適合される。同時係属中の欧州特許出願第19157255.1号(2019年2月14日出願)及び関連する国際特許出願PCT/EP2020/053882号(2020年2月14日出願)は、経口投与用に設計された適切な製剤を記載している。この特許出願に記載されている製剤は、本発明を実施するためにも使用することができる。したがって、この出願の開示は、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
特に、経口投与用のアファビシン製剤は、好ましくは、錠剤及びカプセルから選択される固体製剤である。このような製剤がヒスチジン化合物を含むことも好ましい。これは、ヒスチジン自体、又はヒスチジンの薬学的に許容され得る塩であり得る。特に好ましい実施形態によれば、内部相(すなわち顆粒内相)及び外部相(すなわち顆粒外相)を含む錠剤が使用され、ここでアファビシンは、主に又は排他的に内部に含有される。ヒスチジン化合物も、好ましくは内部相のみに存在する。
経口投与用のアファビシン製剤は、好ましくは、バインダー、希釈剤、界面活性剤、崩壊剤などから選択される1つ以上を含むさらなる薬学的に許容され得る賦形剤を含む。
バインダー成分については、ポビドン(ポリビニルピロリドン)、コポビドン(ポリ(1-ビニルピロリドン-コ-ビニルアセテート))、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポロキサマー(第1のポリ(エチレンオキシド)ブロック、第2及び中央のポリ(エチレンオキシド)ブロック、並びに第3のポリ(エチレンオキシド)ブロックを有するブロックコポリマー)、ポリエチレングリコール、アルミノケイ酸マグネシウム、ゼラチン、アカシア、アルギン酸、カルボマー(例えばカルボポール)、カラギーナン、デキストリン、デキストレーツ(デンプンの制御された酵素加水分解から開発された糖類の精製混合物)、デキストロース、ポリデキストロース、グアーガム、水素化植物油、液体グルコース、マルトース、スクロース、ラクトース、ワックス、マルトデキストリン、デンプン(アルファ化及びプレーン)、ヒドロキシプロピルデンプン、ベヘン酸グリセリル、グリセリルパルミトステアレート、ポリエチレンオキシド、アルギン酸ナトリウム、エチセルロース、セルロースアセテートフタレート、ポリメタクリレート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリカルボフィル、キトサン並びにこれらの混合物からからなる群からバインダーを選択することが好ましい。
希釈剤成分については、マンニトール、イソマルト、ラクトース(無水又は一水和物形態を含む)、リン酸カルシウム(二塩基性及び三塩基性リン酸カルシウムを含む)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、スクロース、フルクトース、マルトース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、トレハロース、ケイ酸アルミニウム、デキストロース、シクロデキストリン(天然又は修飾)、デンプン(アルファ化又はプレーン)、マルトデキストリン、セルロース(微結晶、ケイ化微結晶)、グルコース、デキストリン、デキストレーツ(デンプンの制御された酵素加水分解から開発された糖類の精製混合物)、デキストロース、ポリデキストロース、アルギン酸アンモニウム、ベヘン酸グリセリル、グリセリルパルミトステアレート、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリメタクリレート、キトサン及びこれらの混合物からなる群から希釈剤を選択することが好ましい。
界面活性剤成分については、ラウリル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、ドキュセートナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ソルビタンエステル、ポリエチレンオキシド、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80(数がポリエチレングリコールの繰り返し単位の数を示す、脂肪酸でエステル化されたエトキシル化ソルビタン)、脂肪酸のスクロースエステル、チロキサポール、レシチン及びこれらの混合物からなる群から界面活性剤を選択することが好ましい。
崩壊剤成分については、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、アルミノケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルファ化デンプン、微結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、グアーガム、(メタ)アクリル酸のホモ及びコポリマー、並びにポラクリリンカリウムなどのそれらの塩、並びにこれらの混合物からなる群から崩壊剤を選択することが好ましい。
さらに、セルロース系賦形剤を含まない(すなわち、セルロース型主鎖を含み、セルロース主鎖のヒドロキシル基が、C1~6アルキル、ヒドロキシル-C1~6アルキル、カルボキシ-C1~6アルキル-(C=O)-C1~6アルキルなどの可変置換基によって修飾され得る)製剤に依存することが好ましい。また、上記のセルロース材料の記載と同様のデンプン材料を賦形剤として使用することを回避することが好ましく、デンプン材料は、アミロース又はアミロペクチン主鎖構造を有する材料として理解されるべきであり、ヒドロキシル基は、上記のように修飾され得る。
アファビシン製剤を経口投与する場合、内部相及び外部相を有する錠剤を投与することが特に好ましく、個々の相は、以下の組成を有する。
内部相:
アファビシンオラミン48~52重量%、
ヒスチジン17~21重量%
バインダー4.75~6.75重量%、
界面活性剤4.0~6.0重量%、
崩壊剤1.6~3.6重量%、
外部相:
希釈剤10.5~14.5重量%(この量は、上述のヒスチジン化合物を含まない)
崩壊剤0.75~2.75重量%、
流動化剤(glidant)0.1~0.7重量%、及び
滑沢剤2.0~4.0重量%。
アファビシンの他の投与形態に関する限り、特に制限はない。特に、アファビシンは、局所投与、経皮投与又は非経口投与(静脈内、筋肉内又は皮下)用に提供され得、ここで、それぞれの製剤は、特に限定されない。
局所アファビシン製剤は、クリーム、ローション、ゲル、軟膏、ペースト、懸濁液、ドロップ、フォーム、及び溶液の形態であってもよい。
経皮アファビシン製剤は、創傷包帯、経皮パッチであってもよい。
非経口アファビシン製剤は、注射前に再構成され得る形態若しくは溶液、懸濁液、ゲル、固体(粉末、凍結乾燥製品)、又は抗生物質インプラント、例えば、アファビシン、並びに任意選択で、リポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる薬剤、例えば、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンを含むビーズ及び/又はスペーサーであり得る。
クリームは、油中水型エマルジョン又は水中油型エマルジョン又は多層エマルジョンであってもよい。クリームは、ミセル、リポソーム、溶媒、油、界面活性剤、可溶化剤、保存剤、及び/又は浸透促進剤を含んでもよい。
ゲルは、ゲル化剤、可溶化剤、溶媒、保存剤、浸透促進剤、及び/又は界面活性剤を含んでもよい。
軟膏及びペーストは、溶媒、レオロジー調整剤、界面活性剤、浸透促進剤、保存剤、油、及び/又はワックスを含んでもよい。
溶液、懸濁液、フォーム及びドロップは、溶媒、可溶化剤、粘度調整剤、保存剤、浸透促進剤、界面活性剤を含んでもよい。
静脈内、筋肉内又は皮下投与を含む非経口投与用の製剤は、適切な溶媒(例えば、水、NaCl水溶液、例えば、0.9重量% NaCl溶液、グルコース水溶液、デキストロース溶液)中で希釈され得るように、バイアル中で固体形態で提供され得る。固体成分は、原薬に加えて、緩衝剤、可溶化剤、安定剤、増量剤、浸透剤、界面活性剤、及び/又は粘度調整剤を含んでもよい。非経口投与用の製剤はまた、液体形態で、例えば、注入バッグ又は予め充填された注射器中で提供され得る。この場合、上記に列挙したものと同じ成分が、液体製剤中に存在してもよい。
特に、医療用インプラント又は医療用インプラント上のコーティング中にアファビシン(及び、任意選択で、上記及び以下で言及される少なくとも1つのさらなる薬剤、例えば、最も好ましくはダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシン)を含む医療用インプラントを含む、さらなる非経口投与型も考えられる。
一実施形態では、親投与型は、抗生物質を放出するという唯一の目的で患者に提供される抗生物質インプラントである。抗生物質インプラントは、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)又は硫酸カルシウムなどの不活性材料のビーズを含むことができ、これは、その細孔内及び/又はその表面上にアファビシン(及び、任意選択で、上記及び以下で言及される少なくとも1つのさらなる薬剤、例えば、最も好ましくはダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシン)を担持する。或いは、抗生物質インプラントは、PLGAのような生分解性マトリックス材料と、アファビシン(及び、任意選択で、上記及び以下で言及される少なくとも1つのさらなる薬剤、例えば、最も好ましくはダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシン)との混合物を含み得る。混合マトリックスは、マトリックス材料が患者の体内で分解される間に、抗生物質を経時的に放出する。この実施形態は、バイオフィルム感染症の治療的処置に有用であり得る。
別の実施形態では、非経口投与型は、(他の)治療上の理由のために移植されるべき医療用インプラント(例えば、人工関節)である。この実施形態では、このような医療用インプラントの表面に、アファビシン(及び、任意選択で、上記及び以下で言及される少なくとも1つのさらなる薬剤、例えば、最も好ましくはダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシン)を含むコーティングを提供することが選択肢である。そのようなコーティングは、薬物含有層、及び任意選択で、薬物含有層の下の接着剤層及び/又は放出制御のための最上層などのさらなる層を含むことができる。これらの層は、それぞれの薬物に加えて、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサン、パリレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリイミド、及び/又はポリウレタンなどの機能性ポリマーを含む可能性がある。或いは、アファビシン(及び、任意選択で、上記及び以下で言及される少なくとも1つのさらなる薬剤、例えば、最も好ましくはダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシン)は、医療用インプラントの材料に直接又は適切なスペーサー部分を介して接着され得る。この実施形態は、バイオフィルム感染症の予防に有用であり得る。
アファビシンと、上記及び以下で言及される少なくとも1つのさらなる薬剤、例えば、最も好ましくはダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンとの組み合わせはまた、医療器具、例えば外科用器具又は縫合糸に適用され得る。これは、医療器具上での細菌増殖を防止することができる。医療器具はまた、アファビシンと、上記及び以下で言及される少なくとも1つのさらなる薬剤との組み合わせを、手術部位又は創傷部位(例えば、縫合糸の場合)に送達し得る。
本明細書で使用される医療器具という用語は、患者の診断又は治療のための医療現場で使用される任意の器具、例えば、メス及び鉗子、はさみ、及び縫合糸などの外科用器具を指す。
本明細書で使用される用語「医療器具」は、歯科用器具を包含する。
5.8.2. 少なくとも1つのさらなる薬剤の組成物
少なくとも1つのさらなる薬剤を投与するために使用される組成物に関して特に制限はない。一般に、少なくとも1つのさらなる抗生剤は、市販され、及び/又は市販の承認を受けており、及び/又は医師によって安全且つ有効であると一般に受け入れられている任意の形態で投与することができる。認可されており、市販されているそれぞれの薬剤の組成物及び投与形態に依存することが便利であり、それゆえ好ましい。例えば、ダプトマイシン及びバンコマイシンは、典型的には静脈内に投与される。注射又は注入に適した任意の製剤を使用することができる。
これらは、アファビシンに関連して上記に列挙したものと同じ成分を含んでもよい。市販のCubicin(登録商標)及びVancocin(登録商標)製剤をそれぞれ使用することが好ましい。
ダプトマイシン及び/又はバンコマイシンはまた、局所投与用の製剤として提供され得る。局所製剤のタイプに関して特に制限はない。再び、局所アファビシン製剤に関して上記で提供された情報は、局所ダプトマイシン及び/又はバンコマイシン製剤にも同様に適用される。さらに、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシンは、例えば国際公開第2015/118496号(その開示は、その全体が参照により組み込まれる)に記載されているようにゲル中に提供されてもよい。
クリンダマイシンは、様々な形態で、様々な投与型用に市販されている。これらの組成物の全てを使用することができる。市販の組成物の使用が好ましいが、本発明は、このような市販の組成物の使用に限定されない。
同様の考察は、本明細書の上記及び下記に記載されるさらなる薬剤の別の1つを使用する場合にも適用される。投与形態、組成物のタイプ、組成物中に存在する賦形剤などに関して制限はない。
5.8.3. 組み合わせ組成物
アファビシン及び少なくとも1つのさらなる抗生剤が同じ経路を介して投与される場合、抗生剤はまた、同じ医薬組成物に組み込まれ得る。例えば、アファビシンを静脈内投与する場合、アファビシンと、最も好ましくは、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンなどの少なくとも1つのさらなる薬剤とを一緒に含有する組成物の形態で提供することもできる。これは、例えば、市販のCubicin(登録商標)製剤に匹敵する組成物であり得る。市販のCubicin(登録商標)製剤は、賦形剤として水酸化ナトリウムとともに粉末形態のダプトマイシンを含む。この固体製剤は、塩化ナトリウム9mg/ml(0.9%)溶液で再構成するためのバイアルの形態で提供される。したがって、組み合わせ製剤は、ダプトマイシン、アファビシン及び水酸化ナトリウム、並びに任意のさらなる賦形剤(再構成からの固体形態)、又は0.9%塩化ナトリウム溶液中のこれらの成分の溶液からなり得る。
同様に、市販のVancocin(登録商標)製剤又は市販のクリンダマイシン製剤の1つに基づく、アファビシン及びバンコマイシン又はクリンダマイシンを含む、注射のための組み合わせ製剤を使用することが可能である。
別の実施形態では、アファビシンと、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンなどの少なくとも1つのさらなる薬剤との組み合わせを含む組成物は、局所投与用の組成物であり、特に、アファビシン組成物及びゲル組成物などのダプトマイシン組成物に関連して上述したのと同じタイプの局所組成物である。1つの特定の実施形態によれば、このような局所組成物は、アファビシン及び少なくとも1つのさらなる薬剤、最も好ましくは、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンを含むゲル組成物であり得る。このようなゲルは、バイオフィルムへの直接的なアクセスを理想的に提供するために、インプラントの周りの開放創に直接投与されることが有利である。
5.9. バイオフィルムが関与する感染症
5.9.1. ブドウ球菌(Staphylococcus)型
本発明の組み合わせ治療は、任意のバイオフィルム感染症、好ましくは、例えば、以下の種を含む任意の特定のブドウ球菌(staphylococcus)種を含むか、又はそれからなる任意のバイオフィルム感染症を治療するために使用することができる:
・ グラム陽性菌に起因する感染症の治療に一般的に使用される、β-ラクタム、例えばペニシリン(例えば、オキサシリン、アンピシリン)及びセファロスポリン(例えば、セファゾリン、セフタロリン)、バンコマイシン、リネゾリド、クリンダマイシン、リファンピシン、ダプトマイシン、フルオロキノロン、例えばレボフロキサシン及びシプロフロキサシン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、ホスホマイシン、フシジン酸、チゲサイクリン及びテトラサイクリン、例えばドキシサイクリン、並びにダルババンシンを含むがこれらに限定されない抗生物質に耐性のブドウ球菌(Staphylococcus)種
・ 多剤耐性ブドウ球菌(Staphylococcus)株
・ 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
・ 市中感染黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
・ 院内感染黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
・ メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MSSA)
・ メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)
・ グラム陽性菌に起因する感染症の治療に一般的に使用される、β-ラクタム、例えばペニシリン(例えば、オキサシリン、アンピシリン)及びセファロスポリン(例えば、セファゾリン、セフタロリン)、バンコマイシン、リネゾリド、クリンダマイシン、リファンピシン、ダプトマイシン、フルオロキノロン、例えばレボフロキサシン及びシプロフロキサシン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、ホスホマイシン、フシジン酸、チゲサイクリン及びテトラサイクリン、例えばドキシサイクリン、並びにダルババンシンを含むがこれらに限定されない抗生物質に耐性の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)株
・ 多剤耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)株
・ コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Staphylococci)(CoNS)
・ グラム陽性菌に起因する感染症の治療に一般的に使用される、以下のようなβ-ラクタムを含むがそれらに限定されない抗生物質に耐性のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Staphylococci)株
ペニシリン(例えば、オキサシリン、アンピシリン)及びセファロスポリン(例えば、セファゾリン、セフタロリン)、バンコマイシン、リネゾリド、クリンダマイシン、リファンピシン、ダプトマイシン、フルオロキノロン、例えばレボフロキサシン及びシプロフロキサシン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、ホスホマイシン、フシジン酸、チゲサイクリン、及びテトラサイクリン、例えばドキシサイクリン、並びにダルババンシン
・ 多剤耐性CoNS株
・ 表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)
・ メチシリン耐性表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)(MRSE)
・ メチシリン感受性表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)(MSSE)
・ グラム陽性菌に起因する感染症の治療に一般的に使用される、β-ラクタム、例えばペニシリン(例えば、オキサシリン、アンピシリン)及びセファロスポリン(例えば、セファゾリン、セフタロリン)、バンコマイシン、リネゾリド、クリンダマイシン、リファンピシン、ダプトマイシン、フルオロキノロン、例えばレボフロキサシン及びシプロフロキサシン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、ホスホマイシン、フシジン酸、チゲサイクリン及びテトラサイクリン、例えばドキシサイクリン、並びにダルババンシンを含むがこれらに限定されない抗生物質に耐性の表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)株
・ 多剤耐性表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)株
・ スタフィロコッカス・ヘモリチカス(Staphylococcus haemolyticus)
・ スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)
・ スタフィロコッカス・シムランス(Staphylococcus simulans)
・ スタフィロコッカス・ホミニス(Staphylococcus hominis)
・ スタフィロコッカス・アレッタエ(Staphylococcus arlettae)
・ スタフィロコッカス・アウリクラリス(Staphylococcus auricularis)
・ 頭部ブドウ球菌(Staphylococcus capitis)
・ スタフィロコッカス-カプレー(Staphylococcus caprae)
・ スタフィロコッカス・コーニイ(Staphylococcus cohnii)
・ スタフィロコッカス・エクオルム(Staphylococcus equorum)
・ スタフィロコッカス・ガリナルム(Staphylococcus gallinarum)
・ スタフィロコッカス・ジェテンシス(Staphylococcus jettensis)
・ スタフィロコッカス・クローシイ(Staphylococcus kloosii)
・ スタフィロコッカス・レンタス(Staphylococcus lentus)
・ スタフィロコッカス・マシリエンシス(Staphylococcus massiliensis)
・ スタフィロコッカス・パステウリ(Staphylococcus pasteuri)
・ スタフィロコッカス・パテンコフェリ(Staphylococcus pattenkoferi)
・ スタフィロコッカス・ペトラシイ(Staphylococcus petrasii)
・ スタフィロコッカス・サッカロリチカス(Staphylococcus saccharolyticus)
・ スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)
・ スタフィロコッカス・スクレイフェリ(Staphylococcus schleiferi)
・ スタフィロコッカス・スキウリ(Staphylococcus sciuri)
・ スタフィロコッカス・スクシヌス(Staphylococcus succinus)
・ スタフィロコッカス・ビツリヌス(Staphylococcus vitulinus)
・ スタフィロコッカス・ワルネリ(Staphylococcus warneri)
・ スタフィロコッカス・キシローサス(Staphylococcus xylosus)
特定の実施形態では、ブドウ球菌(staphylococcus)細菌は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)などのCoNSから選択される。これには、MRSA、MRSE、及びリファンピシンに耐性の菌株を含むがこれらに限定されない全ての抗生物質耐性菌株も含まれる。
もちろん、本発明の組み合わせ治療は、2つ以上のブドウ球菌(staphylococcus)種を含むバイオフィルム媒介細菌感染症を治療するためにも使用することができる。同様に、治療されるバイオフィルム媒介感染症は、ブドウ球菌(staphylococcus)種を他の微生物(例えば、細菌、真菌)とともに含み得る。そのような場合、追加的に存在する微生物の治療に適した1つ以上のさらなる抗生剤を追加的に使用することが有利であり得る。これは、特に、追加的に存在する微生物がアファビシンでの治療にもダプトマイシン及び/又はバンコマイシンでの治療にも感受性でない場合に重要である。
5.9.2. バイオフィルムによる感染症の部位及び型
バイオフィルムは、例えば、人体部分(歯科材料、骨など)の天然表面、又は異物表面(医療用インプラント、例えば、コンタクトレンズ、人工関節など)を含む、人体の様々な部位で形成され得る。その結果、バイオフィルム、特にブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むバイオフィルムが関与する可能性のある様々な感染症が知られている。これらには、以下のものが含まれる:
○ 医療用インプラント関連感染症、
○ 骨髄炎、
○ 嚢胞性線維症患者における感染症、
○ 肺炎などの胸膜肺感染症、好ましくは、胸膜肺感染症は慢性であり、より好ましくは、胸膜肺感染症は閉塞性肺疾患である、
○ 心内膜炎、好ましくは、心内膜炎は天然弁心内膜炎である、
○ 創傷感染症、好ましくは、創傷感染症は慢性である
○ 乳房炎、
○ 副鼻腔炎、好ましくは、副鼻腔炎は慢性である
○ 中耳炎、好ましくは、中耳炎は慢性である
○ 尿路感染症、
○ 扁桃炎、好ましくは、扁桃炎は慢性である、
○ 喉頭炎、好ましくは、喉頭炎は慢性である、
○ 腎臓結石による感染症
○ 胆道感染症、
○ 好気性腟炎、
○ 敗血症性血栓性静脈炎、
○ 例えばクッパー細胞又は扁桃細胞における細胞内バイオフィルムに関連した感染症
○ キャリアを感染症にかかりやすくする黄色ブドウ球菌(S. aureus)のコロニー形成。
医療用インプラント関連感染症は、任意の医療用インプラントに関連した感染症であり得、例えば、関節プロテーゼ、整形外科用インプラント、心臓弁、医療用インプラント、心室シャント、ペースメーカー、除細動器、心室補助デバイス、血管グラフト、気管内チューブ、音声プロテーゼ、軟組織充填材(永久的又は半永久的な組織充填材を含む)、中心静脈カテーテル、末梢血管カテーテル、腹膜透析カテーテル、尿路カテーテルの感染症などのカテーテル関連感染症、コンタクトレンズ上のバイオフィルムによる角膜炎である。特に、医療用インプラント関連感染症は、関節プロテーゼ、整形外科用インプラント、心臓弁、胸部インプラント、心室シャント、ペースメーカー、除細動器、心室補助デバイス、血管グラフトなどの永久留置デバイスである医療用インプラントに関連した感染症であろう。医療用インプラントに関連した感染症には、上記に列挙した感染症、例えば、医療用インプラントにちょうど発生し得る骨髄炎、又はその発生が医療用インプラントに関連し得る骨髄炎が含まれる。
本発明の手段及び方法による治療に感受性のバイオフィルム感染症の部位及びタイプに関しては特に制限されない。好ましい実施形態によれば、本発明の併用療法は、バイオフィルムに関連した人工関節感染症(PJI)を治療するために使用される。
上記のように、バイオフィルムの形成が関与し又は関与し得ない医学的適応症に対する全ての参照は、バイオフィルムが実際に形成され又は形成されていると推定されるそれぞれの医学的適応症の形態を特に参照することを意図しており、例えば、人工関節感染症は、バイオフィルムが実際に形成され又は形成されていると推定される人工関節感染症を参照することを意図している。
5.10. 治療方法
5.10.1. 投与量
上記のように、アファビシンは、遊離酸形態、オラミン塩の形態(又は任意の他の適切な塩の形態)で使用され得るか、又はこれらの異なる形態の組み合わせを使用することが可能である。アファビシンについて提供される量の指示は、遊離酸形態の量を指す。アファビシンの塩が使用される場合、その量は、アファビシン塩のより高い分子量を考慮して、対応して調節されなければならない。これは、mg単位での絶対量表示に対して最も容易に行われる。次いで、必要に応じて、調整された値を相対量に変換することができる。
典型的には、アファビシン製剤の単一単位用量を少なくとも1日1回投与し、1日2回投与することが好ましい。1日投与量は、医師が感染症の重症度、患者の性別、体重、年齢及び全身状態を考慮して決定する。典型的な1日投与量は、ヒトについて120~480mgの範囲である。典型的な1日用量は、1日2回120又は240mgであり、合計240~480mg/日である。したがって、本発明は、好ましくは、120mg又は240mgの活性医薬成分の単位用量強度(アファビシンとして計算される;例えば、アファビシンオラミンが使用される場合、アファビシンオラミンの総重量に関する好ましい単位用量強度は、それぞれ150mg又は300mgである)に依存する。
ダプトマイシンは、1日総用量0.1~10mg/kgで投与されてもよい。より好ましくは、ダプトマイシンは、特に以下の投与詳細を含む、Cubicin(登録商標)についてのSummary of Product Characteristicsのセクション4.2に示されるガイダンスに従って投与される:
- SAB(黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)性菌血症)を併発していないcSSTI(複雑性皮膚及び軟組織感染症):Cubicin 4mg/kgを24時間毎に1回、7~14日間又は感染症が消失するまで投与する(セクション5.1参照);
- cSSTIと同時SAB:Cubicin 6mg/kgを24時間毎に1回投与する。治療期間は、個々の患者における合併症の認識されたリスクに従って、14日よりも長くする必要があるかもしれない。
- 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によるRIE(右心系感染症性心内膜炎)の既知又は疑い:Cubicin 6mg/kgを24時間に1回投与する。
バンコマイシンは、以下の投与詳細に従って静脈内投与することができる:
- 12歳以上の患者:推奨用量は、15~20mg/kgを8~12時間毎(用量当たり2gを超えないこと)である。重病患者では、25~30mg/kgの負荷用量を用いて、標的トラフ血清バンコマイシン濃度の迅速な達成を促進することができる。
- 生後1ヵ月から12歳未満の乳幼児:推奨用量は、10~15mg体重を6時間毎である。
クリンダマイシンは、重症の感染症では600mg~1.2g、より重症の感染症では1.2~2.7gの一日投与量で成人に静脈内又は筋肉内投与することができ、これらは2、3又は4用量で投与されるべきである。小児では、投与される投与量は、重症の感染症では15~25mg/kg/日、より重症の感染症では25~40mg/kg/日であり得、これらは3又は4用量で投与されるべきである。
別の抗生剤、すなわちリポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドから選択される別の薬剤が少なくとも1つのさらなる薬剤として使用される場合、それぞれの薬剤を用いた確立された及び/又は認可された治療に基づいて、投与量、投与型、頻度、及び投与の他の任意の関連する詳細を選択することが推奨される。
患者の状態に応じて、投与量、投与頻度及び/又は投与期間を調整することが可能である。例えば、患者の状態が重篤であるか、又は治療が遅い応答のみを示す場合、4mg/kg又は6mg/kgの投与量で、24時間より短い頻度で、及び/又は7~14日より長い期間、ダプトマイシンを投与することが可能である。バンコマイシン又はリポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドの群に属する任意の他の薬剤、例えばダプトマイシン又はクリンダマイシンの投薬量及び投与頻度はまた、個々の患者の状態に依存して必要に応じて調整され得る。
5.10.2. 投与型
アファビシンは、経口、局所、経皮又は非経口(特に静脈内投与を含む)で投与することができる。活性代謝産物Debio 1452がアファビシン化合物として使用される場合、この薬物は、経口的又は局所的に投与され得る。
リポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドから選択される少なくとも1つの他の薬剤については、特に限定されない。目的の薬剤に適した任意の投与が用いられ得る。特に、対応する医薬組成物が市販されている場合、認可された投与形態が好ましい。例えば、ダプトマイシン及びバンコマイシンは、典型的には静脈内に投与される。しかしながら、ゲルのような局所投与形態が知られている。本発明によれば、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシンを静脈内に、局所的に、又は両方の組み合わせの手段によって投与することができる。ダプトマイシン及び/又はバンコマイシンのさらなる投与形態が将来開発される場合、本発明を実施するためにそのようなさらなる投与形態に頼ることも可能である。例えば、アファビシン及び/又はダプトマイシン及び/又はバンコマイシンを、医療用インプラントの表面上、又は抗生物質インプラント中若しくは上にコーティングの形態で投与することが考えられる。同様の考察は、リポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドの群に属する他の薬剤にも適用される。
異なる病期を含むアルゴリズムを用いて患者を治療すれば、第1段階にアファビシンを静脈内投与し、第2段階に経口投与する(又はその逆)ことが可能である。これらの段階は、同じ又は異なる順序で繰り返すこともできる。そのような多段階治療において、少なくとも1つの他の薬剤の投与は、それがこの薬物に利用可能な又は少なくとも適切な投与形態に限定されることを除いて、特に限定されない。
このような多段階治療では、静脈内又は経口投与が他の投与経路又はそれらの組み合わせ(例えば、アファビシンの局所投与及び/又はダプトマイシンの局所投与、及び/又はバンコマイシンの局所投与及び/又はクリンダマイシンの局所投与)によって置き換え又は補完することができる。
5.10.3. さらなる薬物の使用
添付の特許請求の範囲によって特定されるように、本発明の薬物組み合わせに加えて、追加の薬物もまた使用され得る。原則として、使用することができる追加の薬物は、特に限定されない。好ましい実施形態によれば、さらなる薬物(又は共薬物)は、抗生物質化合物から選択される。適切な共薬物は、例えば、国際公開第2013/190384 A号の段落[00131]~[00140]及び請求項32~34に列挙されている。国際公開第2013/190384 A号に言及されているものを含む特定の共薬物を以下に列挙する。
可能な共薬物には、以下に記載されるような他のFabl阻害剤、他の抗生剤又は抗菌剤が含まれる。
共薬物として使用され得る抗生剤の非限定的な例としては、セファロスポリン、キノロン及びフルオロキノロン、ペニシリン、ペニシリン及びβラクタマーゼ阻害剤、カルベペネム、モノバクタム、マクロライド及びリポ糖ペプチド、リファマイシン、オキサゾリドノン、テトラサイクリン、アミノグリコシド、ストレプトグラミン、スルホンアミド、並びにその他が挙げられる。各ファミリーは、多くのメンバーを含む。
セファロスポリンは、世代によってさらに分類できる。世代によるセファロスポリンの適切な非限定的な例としては、以下が挙げられる。セファロスポリンの例-第1世代化合物には、セファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファロチン、セファピリン及びセフラジンが含まれる。第2世代化合物には、セファクロル、セファマンドール、セフォニシド、セフォテタン、セフォキシチン、セフプロジル、セフメタゾール、セフロキシム、セフロキシムアキセチル、及びロラカルベフが含まれる。-第3世代には、セフジニル、セフチブテン、セフジトレン、セフェタメト、セフボドキシム、セフプロジル、セフロキシム(アクセチル)、セフロキシム(ナトリウム)、セフォペラゾン、セフィキシム、セフォタキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフタジジム、セフチゾキシム、セフカペン、セフダルオキシム、セフメノキシム、セフピラミド、及びセフトリアキソンが含まれる。第4世代化合物には、セフェピムが含まれる。第5世代化合物には、セフタロリンホサミル、セフトロザン及びセフトビプロールが含まれる。
適切なキノロン及びフルオロキノロンの非限定的な例としては、シノキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ベシフロキサシン、フィナフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン、オキソリニン酸、ゲミフロキサシン、ペルフロキサシン及びネモノキサシン及びノボビオシンが挙げられる。
適切なペニシリンの非限定的な例としては、アモキシシリン、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン・インダニル、メズロシリン、ピペラシリン、及びチカルシリンが挙げられる。
適切なペニシリン及びβラクタマーゼ阻害剤の非限定的な例としては、アモキシシリン-クラブラン酸、アンピシリン-スルバクタム、ベンジルペニシリン、クロキサシリンジクロキサシリン、メチシリン、オキサシリン、ペニシリンG(ベンザチン、カリウム、プロカイン)、ペニシリンV、ピペラシリン+タゾバクタム、チカルシリン+クラブラン酸、及びナフシリンが挙げられる。
適切なカルベペネムの非限定的な例としては、ドリペネム、エルタペネム、イミペネム-シラスタチン及びメロペネムが挙げられる。適切なモノバクタムの非限定的な例としては、アズトレオナムが挙げられる。適切なマクロライド及びリンコサミンの非限定的な例としては、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、フルリスロマイシン、ジョサマイシン、ミデカマイシン、ミオカマイシン、オレアンドマイシン、ロキタマイシン、ロキシスロマイシン、スピラマイシン、タイロシン、ケトリド及びトロレアンドマイシンが挙げられる。適切なリファンピンの非限定的な例としては、リファブチン、リファンピン、及びリファペンチンが挙げられる。適切なオキサゾリドノン(oxazolidonone)の非限定的な例としては、リネゾリド、エペレゾリド、ポシゾリド、ラデロジド(Radelozid)、ランベゾリド、ステゾリド、テジゾリドが挙げられる。適切なテトラサイクリンの非限定的な例としては、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、クロモサイクリン、リメサイクリン、メクロサイクリン、ペニメピサイクリン、ロリテトラサイクリン、チゲサイクリン及びクロルテトラサイクリンが挙げられる。
適切なアミノグリコシドの非限定的な例としては、アミカシン、アルバカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、シソマイシン、アルベカシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ベカナマイシン、リボスタマイシン、スペクチノマイシン、ヒグロマイシンB、ジヒドロストレプトマイシン、ベルダマイシン、アストロマイシン及びパロモマイシンが挙げられる。適切なストレプトグラミンの非限定的な例としては、キノプリスチン+ダルホプリスチン、プリスチナマイシン及びバージニアマイシンが挙げられる。
適切なスルホンアミドの非限定的な例としては、マフェニド、スルファジアジン銀、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、スルファメチゾール、スルファイソジミジン、スルファメチゾール、スルファジミジン、スルファピリジン、スルファフラゾール、スルファニルアミド、スルファチアゾール、スルファチオウレア、スルファモキソール、スルファジメトキシン、スルファドキシン、スルファレン、スルファメトミジン、スルファメトキシジアジン、スルファメトキシピラダジン、スルファペリン、スルファメラジン、スルファフェナゾール、スルファマゾンが挙げられる。
他の適切な抗生剤の非限定的な例としては、バシトラシン、クロラムフェニコール、アジダムフェニコール、チアンフェニコール、フロルフェニコール、レタパムリン、チアムリン、バルネムリン、フシジン酸、コリスチメタート、ホスホマイシン、イソニアジド、メテナミン、メトロニダゾール、チニダゾール、オミダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、ニトロフラゾン、ニフルトイノール、ノボビオシン、ポリミキシンB、スペクチノマイシン、トブラマイシン、チゲサイクリン、トリメトプリム、ブロジモプリム、テトロキソプリム、コリスチン、ポリミキシンB、グラミシジン、イソニアジド、テイキソバクチン、シクロセリン、カプレオマイシン、ピラジナミド、パラ-アミノサリチル酸、及びエリスロマイシンエチルスクシネート+スルフィソキサゾールが挙げられる。
1つ以上のこのようなさらなる薬物との組み合わせを使用することが決定される場合、投与形態、投与量などに関する本明細書の指示は、さらなる共薬物の特徴を考慮に入れて適切に適合される必要があり得る。上記に言及した1つ以上のさらなる共薬物は、本発明のアファビシン含有薬物組み合わせの投与の前に、同時に、及び/又は後に投与され得る。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、さらなる抗生剤は使用されず、すなわち、治療は、アファビシンと、リポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドから選択される少なくとも1つのさらなる抗生剤とからなる薬物組み合わせの投与を含む。本発明のさらに別の好ましい実施形態によれば、治療は、アファビシンと、リポペプチド、糖ペプチド及びリンコサミドから選択される少なくとも1つのさらなる抗生剤との薬物組み合わせ、並びに任意選択で、このセクションで指定される1つ以上のさらなる抗生剤の投与を含むが、さらなる抗生剤としてリファンピシンは除外する。
5.10.4. 投与時期
ほとんどの実施形態において、本発明のアファビシン含有薬物組み合わせの投与は、可能な限り早期に開始されるべきであり、治療成功を確実にするために十分に長い期間にわたって継続されるべきである。必要な治療期間は、特定の感染症のタイプ、患者の全身状態、年齢、併存疾患などに依存し、担当医が判断することができる。
本発明のいくつかの実施形態は、医療用インプラント(一時的又は永久的な留置医療デバイス)に関連したバイオフィルム媒介細菌感染症、好ましくはバイオフィルム媒介ブドウ球菌(staphylococcal)細菌感染症、例えば、カテーテル関連感染症、人工関節感染症、又は軟組織充填材に関連した感染症の治療に関する。好ましい実施形態は、PJIの治療に関する。これらの実施形態では、本発明を実施するために、以下のシナリオ及び関連する治療を考慮することができる:
(i)患者が3週間以下の症状の持続期間を有する場合、又は移植後4週間以内に感染症が発生し、医療用インプラントが安定しており、洞管がない場合は、治療方法は、医療用インプラント(人工関節)の保持を含む。この場合、デブリドマンを介して壊死組織を除去することが好ましい。この手術は、好ましくは、本発明の薬物組み合わせを静脈内に投与する第1の治療段階が続く。この第1の治療段階は、典型的には2~6週間の持続期間を有し得る。続いて、患者の状態に応じて、第1の治療段階は、有利には第2の治療段階が続き、そこでは、アファビシンが経口投与され、一方、ダプトマイシン及び/又はバンコマイシン及び/又はクリンダマイシンなどの少なくとも1つのさらなる薬剤が静脈内投与されるように、本発明の薬物組み合わせが投与される。第2の治療段階の持続期間は、患者の状態に依存し、典型的には6~10週間続くことがある。より短い又はより長い治療時間も考えられる。患者が不良な状態にある場合、第1の治療段階を、例えば10又は12週間に延長することも考えられ得る。典型的には、第2の治療段階は第1の治療段階と等しいか、又はそれより長い。
(ii)項目(i)で概説した上記の条件が全て同時に満たされない場合、すなわち、医療用インプラント(人工関節)が安定しておらず、及び/又は洞管の存在が観察される場合、医療用インプラント(人工関節)は、好ましくは交換される。
(ii-1)医療用インプラント(人工関節)を取り囲む組織が無傷であるか、又はほんのわずかしか損傷を受けていない場合、医療用インプラント(人工関節)の置換は、1段階の手順で行われ得る。続いて、項目(i)で上記に概説した2つの治療段階を続ける。
(ii-2)損傷した軟組織、膿瘍又は洞管がある場合は、除去と移植との間の間隔が短い2段階交換を行うことが好ましい。短い間隔は、典型的には2~4週間の範囲であり得る。本発明の薬物組み合わせによる上述の第1の治療段階は、少なくともこの短い間隔の間に行われる。新しい医療用インプラント(人工関節)は、第1の治療段階の別の期間が続き、続いて第2の治療段階が続くか、又は第2の治療段階のみが続くことができる。
バイオフィルムの治療が困難である場合、除去と移植との間の期間は、例えば、医療用インプラント(人工関節)の除去後に、第1の治療段階の6週間の期間があり、続いて、抗生物質を投与しない2週間があり、続いて、新しい医療用インプラント(人工関節)の移植があり、続いて、培養結果が決定されるまで、第1の治療段階に従ってさらなる静脈内投与があるように、延長されてもよい。
(iii)患者が手術不能、衰弱、又は寝たきりである場合、本発明の薬物組み合わせを用いて長期抑制抗菌治療を行うことが適切である。この場合、上述の第1の治療段階及び第2の治療段階の両方の治療/投与が利用可能であり、症例の特定の状況に応じて医師が選択することができる。
(iv)医療用インプラント(人工関節)を交換することによる機能の改善が期待されない場合、交換することなく医療用インプラント(人工関節)を除去することが最も適切であり得る。この手順に続いて、好ましくは、上記の項目(i)で概略したような2段階での治療を含む、本発明の薬物組み合わせでの治療を行ってもよい。
上に詳述した治療シナリオを、図1及び図2に概略的に示す。
人工関節以外の医療用インプラントに関連したバイオフィルム媒介感染症の場合にも、上記の一般的な規則を同様の方法で適用することができる。しかしながら、患者の状態、医療用インプラントのタイプ及びサイズに応じて、上述の期間及び一連の段階を適合させることが有利であり得る。代替的な治療戦略は、Bennett J et al.eds.in Mandell,Douglas,and Bennett’s Principles and Practice of Infectious Diseases,Vol 1.8th ed.Philadelphia,PA;Elsevier 2015:1328-35に含まれる推奨に従って実行されてもよく、又はそれによって導かれてもよい。
5.11. 略語
ACN アセトニトリル
AM 分析方法
BES ビス-エタノールアミン塩
bid 1日2回(bis in die)
BLOQ 定量化の下限未満
C 校正基準
CFU コロニー形成単位
cSSTI 複雑性皮膚及び軟組織感染症
CV(%)精度:変動係数=100×SD/平均
D又はd 日
DAP ダプトマイシン
DMSO ジメチルスルホキシド
ESI エレクトロスプレーイオン化
FA ギ酸
GLP 優良試験所基準
HED ヒト等価用量
IS 内部標準
i.p.又はIP 腹腔内
ISR 発生したサンプル再現性(Incurred Sample Reproducibility)
LC 液体クロマトグラフィー
LC-MS/MS液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析
LLOQ 定量化の下限
LOD 検出限界
MeOH メタノール
MIC 最小阻害濃度
MHA ミュラー・ヒントン寒天
MRM 多重反応モニタリング
MRSA メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus(S.)aureus)
MS/MSタンデム質量分析
NH 水酸化アンモニウム
Nt 未試験
OI 取扱説明書
o/n 一晩
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PJI 人工関節の感染症
PK 薬物動態
PO 経口(per os)
QC 品質管理
QD又はq.d. 1日1回(quaqua die)
qdam 朝に1日1回(quaque die ante meridiem)
RIE 右心系感染性心内膜炎
RIF リファンピシン
RT 室温
S ブドウ球菌(Staphylococcus)
SA 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
SAB 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)性菌血症
SC 皮下
SD 標準偏差
SOC 標準ケア
SOP 標準操作手順
TCF 組織ケージ液
ULOQ 定量化の上限
UPLC 超高性能液体クロマトグラフィー
6. 実施例
6.1. 実施例1:カテーテル関連感染症のin vivoマウスモデルにおける、MRSAの24時間及び72時間バイオフィルムに対する、単剤又は抗ブドウ球菌(antistaphylococcal)化合物と組み合わせたDebio 1450 BESの活性の評価
本研究では、初期(24時間)及び/又は成熟(72時間)のMRSAカテーテル形成バイオフィルムに対する治療効果を評価するために、2つの実験設定を用いた。簡単に述べると、約120μlのケタミン(50mg/kg)とキシラジン(10mg/kg)との混合物(4mLのケタミン+2mLのキシラジン+10mLの生理食塩水)のIP注射によってマウスを麻酔した。右側の側腹部を剃毛した後、ベタジンの3回の連続適用によって消毒した。0.2cmの皮膚及び次いで皮下(SC)切開を無菌条件下で行い、2つの縦断片に切断したポリウレタンカテーテル(Ref. No. ES-04730 Arrow international)の1cmセグメントをSCに挿入した(切開部に、次いで、切開部から約2cm離して皮膚の下にさらに押し込んだ)。接種は、50μlの細菌培養物をカテーテル上に置くことによって同時に行った(10CFUのATCC 43300 MRSA株)。切開を縫い合わせ、消毒した。感染当日を0日目(D0)とした。実験開始時から終了時まで研究が無菌状態で実施されたことを確実にするため、非感染マウス(センチネル群)を含めた。治療は、それぞれ初期(24h)又はより成熟した(72h)カテーテル成形バイオフィルムに対応する感染後D1又はD3に開始され、5.5日間(D1~D6)又は(D3~D8)続いた。24時間及び72時間の両方のバイオフィルム設定において、感染した非治療動物(ビヒクル対照)の2群について:ベースラインに(24時間又はD1[24時間バイオフィルムについて]及び感染後72時間又はD3[72時間バイオフィルムについて]、すなわち治療開始に対応する時点)及び治療期間終了時に(D6[24時間バイオフィルムについて]及び感染後D8[72時間バイオフィルムについて]に細菌数を評価した。治療後CFUをD6又はD8で計数し、結果をLog10CFU/gカテーテル(平均±SEM)として表した。検出限度は、1 Log10CFU/gカテーテルであると決定された。ベースラインからのCFU/gカテーテル(ΔLog10)の変化(それぞれ24時間及び72時間バイオフィルムについてのD1又はD3)及び治癒率(所与の治療群内のカテーテル関連細菌のないマウスの割合に対応する)も計算した。抗生物質耐性細菌のin vivo誘導を、試験した全ての抗生物質について分析した。
抗生物質の用量は、動物における有効用量に応じて選択し、これは、治療ヒト等価用量(HED)に近似したものであった(表1)。
Figure 0007418475000006
マウスは、D1、D2、D3、D4、D5及びD6(D6では、1回のみ投与)又はD3、D4、D5、D6、D7及びD8(D8では、1回のみ投与)に抗生物質を受けた。Debio 1450 BES及びバンコマイシンをそれぞれPO及びSC投与した以外は、全ての抗生物質をBID IP投与した。忍容性の問題を避けるため、ダプトマイシンを1日1回レジメンとして試験した。抗生物質の毎日の投与は、2回の投与の間に10~12時間の間隔を置いて実施した。併用療法では、抗生物質を10~12時間毎に同時に投与した(第1の抗生物質の注射と第2の抗生物質の注射との間に要した時間は、マウス当たり30秒未満であった)。
各サブ研究では、動物を抗生物質治療群又はビヒクル対照群に無作為に割り付けた。用量体積は、各動物の個々の体重に従って計算した。
採血後、麻酔後に頚椎脱臼により動物を屠殺した。マウス当たり2つのカテーテル断片を回収し、超音波処理後に細菌の数え上げに使用した。カテーテルの各断片は、エッペンドルフチューブ中で無菌条件下で個別に洗浄した(300μlの無菌生理食塩水での3回の連続洗浄工程)。最後の洗浄後、カテーテルを1mLの無菌生理食塩水中に懸垂し、超音波浴(Advantage Lab)に室温で3分間入れ、その後、カテーテルから全ての接着細菌を分離するために激しくボルテックスした。この懸濁液(未希釈、10-2、10-4)のいくつかの連続希釈物を、チャップマン寒天プレート上で37℃で48時間培養した。必要であれば、納得できないか又は不十分な結果の場合に希釈を繰り返し、4℃での細菌懸濁液の安定性は、以前に確認されている。細菌コロニーの計数を手動で行い、CFU/mLの数を決定し、カテーテルのgに調整した。
全体として、センチネルマウスから外植したカテーテルから細菌の増殖が観察されなかったため、本研究は無菌条件下で実施した。ビヒクル対照群(24時間及び72時間バイオフィルム)では、細菌負荷は、5.5日間安定したままであった。24時間及び72時間のMRSAバイオフィルムの5.5日間の単剤及び併用療法の結果を表2に要約する。ダプトマイシン/リファンピシンを標準ケア(SOC)の組み合わせとして使用し、試験全体を通じて対照薬とした。
単剤療法の設定では、リファンピシン(30mg/kg BID IP)が24時間及び72時間のMRSAバイオフィルムの両方に対して試験した全ての抗生物質の中で最良の活性を示し、それぞれ、最初のMRSA負荷の4.17±0.072 Log10CFU/g及び2.98±0.113 Log10CFU/gカテーテルの平均減少、並びに39%及び8%の治癒率をもたらした。ダプトマイシン(120mg/kg QD IP)+リファンピシン(30mg/kg BID IP)のSOC組み合わせは、24時間及び72時間のバイオフィルムに対して最も顕著な有効性を示し、それぞれ、58%及び25%の治癒率、並びに5.00±0.069 Log10CFU/g及び3.52±0.135 Log10CFU/gカテーテルの最初のMRSA負荷の平均減少をもたらした。
50mg/kg BID POでのDebio 1450 BES単独は、比較的弱い抗バイオフィルム作用を発揮したが、Debio 1450 BES(50mg/kg BID PO)+ダプトマイシン(120mg/kg QD IP)組み合わせは、リファンピシン/ダプトマイシンのSOCと同等の活性を示した。Debio 1450 BES/ダプトマイシンは、24時間及び72時間のバイオフィルム設定において、それぞれ42%、17%の治癒率を示し、最初のMRSA負荷を4.38±0.105 Log10CFU/g及び3.36±0.121 Log10CFU/gカテーテル減少させた。
24時間及び72時間のバイオフィルムに対する第2の有望な併用療法は、Debio 1450/バンコマイシン(それぞれ、24時間及び72時間のバイオフィルム設定において3.69±0.118及び2.99±0.162の平均Log10CFU/gカテーテルの減少、25%及び17%治癒率)からなるが、Debio 1450もバンコマイシンも、単一療法として使用した場合に良好な抗バイオフィルム活性を示すことができなかった。
単剤及び併用療法における耐性誘導研究(4XMICのDebio 1452、ダプトマイシン、リファンピシン、又はバンコマイシンへのex vivo細菌曝露後に決定)は、試験した抗生物質又はバイオフィルム設定モデル(24時間又は72時間バイオフィルム)にかかわらず、耐性変異体の出現を示さなかった。
Figure 0007418475000007
結論として、Debio 1450 BES/ダプトマイシン及びDebio 1450 BES/バンコマイシンの組み合わせは、SOCリファンピシン/ダプトマイシンと同様に、有意な抗バイオフィルム活性を示した。したがって、Debio 1450/ダプトマイシン及びDebio 1450/バンコマイシンの組み合わせは、バイオフィルム媒介MRSA感染症の限定された治療選択肢の有力な候補として役立つ可能性がある。
6.2. 実施例2:MRSA感染症のマウス組織ケージモデルにおけるDebio 1450 BESの有効性
この研究の目的は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus (S.)aureus)(MRSA)により生じたインプラント関連感染症のマウス組織ケージモデルにおけるDebio 1450 BES単独及びダプトマイシン(DAP)との組み合わせの有効性を評価することであった。黄色ブドウ球菌(S.aureus)ATCC 43300(MRSA)の24時間バイオフィルムに対する有効性を検討し、ヒト等価用量のリファンピシン(RIF)及びDAPの標準ケア組み合わせと比較した。24時間のバイオフィルムとともに少量の初期接種材料(約300CFU/ケージ)を使用することにより、急性インプラント感染症及び/又は外科的デブリドマンの臨床設定をシミュレートすることが可能になった。
人工関節感染症の組織ケージモデルは、非常によく確立されており、ヒトの人工関節感染症に酷似している。このモデルは、組織ケージの皮下挿入と、その後のケージへの細菌接種材料の注入による異物の実験的感染に基づいている。
簡単に述べると、直径1mmの130個の規則的に離間した孔を穿孔した1個の滅菌ポリテトラフルオロエチレン(Teflon)シリンダー(32×10mm)(組織ケージ;Angst-Pfister AG,Zuerich)を、C57BL/6マウス(最小体重20g)の背中に無菌的に皮下移植した。実験は、完全な創傷治癒後(手術後最低2週間)に開始した。本明細書に提示する有効性試験では、全動物のケージに、ケージ当たり約300コロニー形成単位(CFU)のMRSA株ATCC 43300を感染させ、バイオフィルムを治療開始前24時間発生させた。
動物は、1、2、3、4、5、及び6日目(6日目は朝の投与のみ)に、抗生物質治療をi.p(Debio 1450 BES及びDAP)又はsc(RIF)で受けた。1つの群は、5%のグルコースのみを受け、感染した、未治療の対照群(ビヒクル)としての役割を果たした。治療期間及び抗生物質用量は、本研究の結果を、24時間MRSAバイオフィルムに対するDebio 1450 BES(50mg/kg)/DAP(120mg/kg)の組み合わせが42%の治癒率を示した上記の実施例1の研究と比較することができるように選択された。Debio 1450及びビヒクルをbid投与し、6日目にqdam投与した。DAP及びRIFは、qdam投与した。50mg/kg用量のDebio 1450 BESをHEDとして選択した。100mg/mLのDAP用量は、1日1回の10mg/kgのヒト臨床用量と密接に相関するように選択した。25mg/kgのRIF用量は、実験的バイオフィルム感染症の治療に最も一般的に使用されている。
感染の5~6日前に、TCFを吸引して、血液寒天プレート上にTCFプレーティングすることによって、移植されたケージの無菌性を確認する。TCFを吸引し、1日目(治療前)にプレーティングして、感染の確立を確認した。さらに、TCF中の菌数を3日目(その日の第1の注射前)、6日目(最終治療前)、9日目(ケージの外植前)に測定して、プランクトン性細菌に対する治療効果を評価した。所与のケージについてのマウス数及び細菌数を報告して、試験した薬物の抗菌活性の時間経過を分析した。バイオフィルム包埋細菌に対する有効性は、治療終了3日後に組織ケージを無菌的に外植した後、定性的及び定量的に評価した。3日間の休止期間は、抗生物質の持ち越し効果を回避するのに役立つであろう。外植後、ケージをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(ロット#5060914)で2回洗浄し、直ちに5mLの0.9% NaCl(ロット#L161619又はL162658)に移した。30回のボルテックス、超音波処理(130Wで3分間)、及びさらなる30回のボルテックス工程の後、バイオフィルムから分散した細菌の数を、プレーティングによって決定した。超音波処理したケージをPBSで1回洗浄し、5mLのTSB(ロット番号0286463)に移し、37℃で48時間インキュベートし、24時間のインキュベーション後に追加のボルテックス工程を行った。インキュベーション後、チューブを再びボルテックスし、細菌の再増殖を視覚的に評価した。さらに、100μLの各培養物を血液寒天プレート上にプレーティングして、再増殖を確認した。陽性培養物を治療失敗と定義した。接着細菌に対する治療の有効性は、増殖のないケージの数を個々の治療群のケージの総数で除した数として定義される治癒率(%)で表される。さらに、再増殖プレートからの単一コロニーを使用して、0.5McFarlandを達成した。100μLの各0.5McFarland培養物を、使用した治療に対応する抗生物質を含むMHAプレート上にプレーティングした(注:Debio 1450で治療したマウス由来の細菌を、Debio 1452を含むプレート上にプレーティングした)。増殖条件を以下の表3に示す。
Figure 0007418475000008
Debio 1450 BES単独は、3.81±1.15 log10CFU/mL(平均±SD、n=3)のベースラインからの接着細菌減少及び50%治癒率(n=6)を有する中等度の抗バイオフィルム作用のみを示した(表4及び図3)。この抗生物質について、3.91±0.98 log10CFU/mL(n=3)の減少及び33%(n=6)の治癒率が観察された。既知の抗バイオフィルム作用から予想されるように、リファンピシンは、試験された単剤療法の中で最も活性であった(3.37±0 log10CFU/mL(n=3)及び100%の治癒率(n=5))。
Debio 1450 BES/ダプトマイシンの組み合わせは、いずれかの化合物単独よりも増強された活性を示し、バイオフィルムを4.48±0 log10CFU/mL(n=3)減少させ、動物の83%において感染症を根絶した(n=6、1匹の動物においてのみ治療失敗が観察された)。Debio 1450 BES/ダプトマイシンの組み合わせの抗バイオフィルム活性は、リファンピシン/ダプトマイシンの標準ケアに匹敵した(4.48±0 log10CFU/mL(n=3)のバイオフィルム減少及び100%治癒率(n=5))。9日目の接着細菌のレベルは、Debio 1450 BES/ダプトマイシン(p=0.0044、n=6、Kruskal-Wallis及びDunnの検定)、リファンピシン/ダプトマイシン(p=0.0014、n=5)及びリファンピシン(p=0.0014、n=5)で治療した動物では、ビヒクル群と比較して有意に低かった。
プランクトン性細菌の研究は、単剤療法としての及び組み合わせのリファンピシン及びダプトマイシンが3日目(すなわち、治療の2日後)に殺菌効果(すなわち、≧3Log10の細菌負荷の平均減少)を発揮し、一方、Debio 1450 BES及びDebio 1450 BES/ダプトマイシンが6日目(すなわち、治療の5日後)に発揮することを明らかにした。1日目と6日目との間の追加の時点は評価されなかったので、殺菌効果の正確な時間経過は推測できない。結果を以下の表4にまとめる。
Figure 0007418475000009
結果のグラフを図3に示す。in vivo治療誘導耐性のex vivo検討では、単剤療法として及び組み合わせで使用したそれぞれの抗生物質に対する感受性の低下は認められなかった。
要約すると、本研究で得られた、標準ケアのリファンピシン/ダプトマイシンと同様のDebio 1450 BES/ダプトマイシンの組み合わせの抗バイオフィルム活性は、マウスカテーテル関連バイオフィルム感染症モデルで観察されたデータを確認するものである(上記の実施例1参照)。
6.3. 実施例3:MRSA感染症のマウス組織ケージモデルにおけるDebio 1450 BESの有効性
この研究の目的は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus (S.)aureus)(MRSA)により生じたインプラント関連感染症のマウス組織ケージモデルにおける、先行研究(実施例2)で用いたものよりも低い投与量及び長い治療期間でのDebio 1450 BES単独及びダプトマイシン(DAP)との組み合わせの有効性を評価することであった。黄色ブドウ球菌(S.aureus)ATCC 43300(MRSA)の24時間バイオフィルムに対する有効性を検討した。24時間のバイオフィルムとともに少量の初期接種材料(約300CFU/ケージ)を使用することにより、急性インプラント感染症及び/又は外科的デブリドマンの臨床設定をシミュレートすることが可能になった。
20mg/kg BIDのDebio 1450 BESの用量は、最近のPK試験で得られた最も最新のHEDである240mg BIDを反映している(以前のPK解析に基づき実施例2では50mg/kg BIDを使用した)。ダプトマイシンの用量も100mg/kg qdam(実施例2)から、以前にこのモデルで使用され、より低い臨床推奨用量範囲を表す用量である50mg/kg qdamに減少した。11日間の治療期間は、Debio 1450 BESの用量の低下を補うために選択され(実施例2では5.5日間の治療が使用された)、人工関節感染症患者に適用される長期の抗生物質療法と一致している。
上記の実施例2に記載したものと同じマウス組織ケージモデルを使用した。感染後1日目から11日目まで、動物は抗生物質治療i.p.を受けた。1つの群は、5%のグルコースのみを受け、感染した、未治療の対照群(ビヒクル)としての役割を果たした。治療期間及び抗生物質用量は、本研究の結果を、24時間MRSAバイオフィルムに対するDebio 1450 BES(50mg/kg)/DAP(120mg/kg)の組み合わせが42%の治癒率を示した実施例1(マウスカテーテル関連バイオフィルム感染症モデル)の研究とよりよく比較できるように選択した。Debio 1450 BES及びビヒクルはbid投与され、DAPはqdam投与された。本研究では、本発明者らは、長期治療期間におけるより低い投与量の有効性を検討した。
感染の5~6日前に、TCFを吸引して、血液寒天プレート上にTCFプレーティングすることによって、移植されたケージの無菌性を確認した。TCFを吸引し、1日目(治療前)にプレーティングして、感染症の確立を確認した。さらに、TCF中の菌数を3日目(初回注入前日)、6日目、9日目及び11日目(最終治療前)、及び14日目(ケージの外植前)に測定して、プランクトン性細菌に対する治療効果を評価した。所与のケージについてのマウス数及び細菌数を報告して、試験した薬物の抗菌活性の時間経過を分析する。バイオフィルム包埋細菌に対する有効性を、治療の完了の3日後の組織ケージの無菌外植後に定性的及び定量的に評価する。3日間の休止期間は、抗生物質の持ち越し効果を回避するのに役立った。外植後、ケージをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(ロット#5060914)で2回洗浄し、直ちに5mLの0.9% NaCl(ロット#L171095)に移した。30秒のボルテックス、超音波処理(130Wで3分間)、及びさらなる30秒のボルテックス工程の後、バイオフィルムから分散した細菌の数を、プレーティングによって決定した。超音波処理したケージをPBSで1回洗浄し、5mLのTSB(ロット番号0286463)に移し、37℃で48時間インキュベートし、24時間のインキュベーション後に追加のボルテックス工程を行った。インキュベーション後、チューブを再びボルテックスし、細菌の再増殖を視覚的に評価した。さらに、100μLの各培養物を血液寒天プレート上にプレーティングして、再増殖を確認した。陽性培養は、治療失敗と定義される。接着細菌に対する治療の有効性は、増殖のないケージの数を個々の治療群のケージの総数で除した数として定義される治癒率(%)で表される。さらに、再増殖プレートからの単一コロニーを使用して、0.5McFarlandを達成した。100μLの各0.5McFarland培養物を、使用した治療に対応する抗生物質を含むMHAプレート上にプレーティングした(注:Debio 1450で治療したマウス由来の細菌を、Debio 1452を含むプレート上にプレーティングする)。増殖条件を以下の表5に示す。
Figure 0007418475000010
Debio 1450 BES単独は、4.35±2.5 log10CFU/mL(平均±標準偏差)のベースラインからの接着細菌減少及び83%治癒率(n=6)を有する良好な抗バイオフィルム作用を示した(表6及び図4)。このモデルにおけるダプトマイシンの活性に関する以前の報告と一致して、3.15±2.74 log10CFU/mLの減少及び50%の治癒率(n=6)がこの抗生物質について観察された。Debio 1450 BES/ダプトマイシンの組み合わせは、いずれかの化合物単独よりも増強された活性を示し、バイオフィルムを5.13±0.99 log10CFU/mL減少させ、動物の100%において感染症を根絶した(n=6)。これらの治癒率は、Debio 1450 BES及びダプトマイシン単剤療法、Debio 1450 BES/ダプトマイシン組み合わせが、それぞれ、50%、33%及び83%(n=6)の動物において感染症を根絶した実施例2の研究におけるよりもわずかに高かった。ビヒクル群と比較して、14日目の接着細菌のレベルは、Debio 1450 BES(p=0.0069、n=6、Kruskal-Wallis及びDunnの検定)及びDebio 1450 BES/ダプトマイシン(p=0.0011、n=6)で治療した動物において有意に低かったが、ダプトマイシンでは、有意ではなかった(p=0.00631、n=6)。
プランクトン性細菌の研究は、Debio 1450 BES及びダプトマイシンが単剤療法として及び組み合わせで、6日目(すなわち、治療の5日後)に殺菌作用(すなわち、≧3Log10の細菌量の平均減少)を発揮することを明らかにした。1日目と6日目との間の追加の時点は評価されなかったので、殺菌効果の正確な時間経過は推測できない。
Figure 0007418475000011
結果のグラフを図4に示す。in vivo治療誘導耐性のex vivo検討では、使用したそれぞれの抗生物質に対する感受性の低下は認められなかった。
要約すると、この研究で得られたDebio 1450 BES /ダプトマイシンの組み合わせの抗バイオフィルム活性は、上記の実施例2に記載されるようなこのモデル及び上記の実施例1に記載されるマウスカテーテル関連バイオフィルム感染症モデルを使用して以前の研究で観察されたデータを確認するものである。
6.1. 実施例4:ブドウ球菌(staphylococcal)バイオフィルム感染症のマウス組織ケージモデルにおけるDebio 1450 BESの有効性
この研究の目的は、インプラント関連感染症のマウス組織ケージモデルを用いて、Debio 1450 BESとクリンダマイシン又はバンコマイシンとの組み合わせの有効性を評価し、リファンピシンの対応する組み合わせと比較することであった。黄色ブドウ球菌(S.aureus)ATCC 29213(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(S.aureus)[MSSA])及び黄色ブドウ球菌(S.aureus)ATCC 43300(MRSA)の24時間バイオフィルムに対する有効性を、それぞれクリンダマイシン及びバンコマイシンとの組み合わせについて試験した。
上記の実施例3に記載したのと同じマウス組織ケージモデルを使用した。動物は、表7に示す投与レジメンで、感染後1日目から11日目まで(すなわち、11日間の治療)抗生物質治療を受けた。バイオフィルム包埋細菌に対する有効性は、治療終了から3日後に組織ケージを無菌的に外植した後、定量的に評価した。外植後、ケージをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、直ちに5mLの0.9% NaClに移した。30秒のボルテックス、超音波処理(130Wで3分間)、及び追加の30秒のボルテックス工程の後、超音波処理したケージをPBSで1回洗浄し、5mLのTSBに移し、37℃で48時間インキュベートし、24時間のインキュベーション後に追加のボルテックス工程を行った。インキュベーション後、チューブを再びボルテックスし、細菌の再増殖を視覚的に評価した。陽性培養は、治療失敗と定義される。接着細菌に対する治療の有効性は、増殖のないケージの数を個々の治療群のケージの総数で除した数として定義される治癒率(%)で表される。
結果を表7にまとめる。Debio 1450 BES/クリンダマイシン及びDebio 1450 BES/バンコマイシン組み合わせの抗バイオフィルム活性(治癒率(%)として表される)は、それぞれリファンピシン/クリンダマイシン及びリファンピシン/バンコマイシン組み合わせと同様であった。
Figure 0007418475000012

Claims (27)

  1. バイオフィルムが関与する細菌感染症の治療方法に使用するためのアファビシン又はその薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物若しくは多形体を含む医薬組成物であって、前記方法は、前記医薬組成物を、少なくとも1つのさらなる薬剤又はその薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物若しくは多形体と組み合わせて患者に投与することを含み、
    前記少なくとも1つのさらなる薬剤は、ダプトマイシン又はその薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物若しくは多形体、及び/又はバンコマイシン又はその薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物若しくは多形体、及び/又はクリンダマイシン又はその薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物若しくは多形体であり、
    前記バイオフィルムは、ブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むか、又はブドウ球菌(staphylococcus)細菌からなる、
    医薬組成物。
  2. 前記ブドウ球菌(staphylococcus)細菌が、以下からなる群:
    ・ 市中感染黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び院内感染黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を含む黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
    ・ コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Staphylococci)(CoNS)、
    ・ メチシリン感受性又はメチシリン耐性ブドウ球菌(Staphylococci)、
    ・ 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)株、又はCoNS株(ここで、前記株は、1つ以上の抗生物質に耐性である)、
    ・ 多剤耐性ブドウ球菌(staphylococcus)株、
    から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記細菌感染症が開放創及び/又は湿潤創傷及び/又はドレナージが所定の位置にある創傷と関連する、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. 前記細菌感染症が開放創と関連する、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  5. 前記少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせた前記医薬組成物が、周術期に投与される、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  6. 前記少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせた前記医薬組成物が、術前及び/又は術後に投与される、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  7. 前記細菌感染症が、リファンピシンに耐性のブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むバイオフィルムが関与する、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  8. 前記細菌感染症が、メチシリン耐性ブドウ球菌(staphylococci)を含むバイオフィルムが関与する、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  9. 前記細菌感染が、以下からなる群:
    〇 医療用インプラント関連感染症、
    〇 骨髄炎、
    〇 嚢胞性線維症患者における感染症、
    〇 胸膜肺感染、
    〇 心内膜炎、
    〇 創傷感染、
    〇 乳腺炎、
    〇 副鼻腔炎、
    〇 中耳炎、
    〇 尿路感染症、
    〇 扁桃炎、
    〇 喉頭炎、
    〇 腎臓結石に関連した感染症
    〇 胆道感染症、
    〇 好気性腟炎、
    〇 敗血症性血栓性静脈炎、
    〇 細胞内バイオフィルムに関連した感染症、及び
    〇 患者を感染症にかかりやすくする黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によるコロニー形成
    から選択される、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  10. 前記胸膜肺感染が慢性であり、前記心内膜炎が天然弁心内膜炎であり、前記創傷感染が慢性であり、前記副鼻腔炎が慢性であり、前記中耳炎が慢性であり、前記扁桃炎が慢性であり、前記喉頭炎が慢性である、請求項に記載の医薬組成物。
  11. 前記胸膜肺感染が閉塞性肺疾患である、請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 前記細菌感染症が医療用インプラント関連感染症であり、前記医療用インプラントが永久的な留置デバイスである、請求項1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  13. 前記医療用インプラントが人工関節である、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 前記細菌感染症が医療用インプラント関連感染症である、請求項1~13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  15. 前記細菌感染症が、カテーテル関連感染症、気管内チューブに関連する感染症、音声プロテーゼに関連する感染症、軟組織充填剤に関連する感染症から選択され、前記軟組織充填剤は、永久的又は半永久的であり得る、請求項1~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  16. 前記方法が、前記少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせた前記医薬組成物の投与に加えて、デブリドマンの工程を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  17. 前記方法が、前記少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせた前記医薬組成物の投与に加えて、医療用インプラントを交換する工程を含む、請求項16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  18. 前記少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて前記医薬組成物を投与する工程が、前記医療用インプラントを交換する工程の前及び/又は後に実施される、請求項17に記載の医薬組成物。
  19. 前記投与が前記医療用インプラントを交換する工程の前及び後に実施される、請求項18に記載の医薬組成物。
  20. 前記医薬組成物が静脈内、経口、非経口及び/又は局所及び/又は経皮投与される、請求項1~19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  21. 前記医薬組成物が第1段階で静脈内投与され、第2段階で経口投与される、請求項1~20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  22. 前記少なくとも1つのさらなる薬剤が、経口、非経口、経皮、静脈内及び/又は局所投与される、請求項1~21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  23. 前記方法が、前記医療用インプラントを除去する第1の工程、前記少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせた前記医薬組成物を静脈内投与する第2の工程、新たな医療用インプラントを導入する第3の工程、前記少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせた前記医薬組成物を静脈内投与する第4の工程、及び前記少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせた前記医薬組成物を経口投与する第5の工程を含む、請求項1719のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  24. ブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むか、又はブドウ球菌(staphylococcus)細菌からなるバイオフィルムが関与する細菌感染症の治療方法に使用するためのものであって、前記方法が請求項1~23のいずれか1項に記載された通りである、ダプトマイシン又はその薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物若しくは多形体を含む医薬組成物。
  25. ブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むか、又はブドウ球菌(staphylococcus)細菌からなるバイオフィルムが関与する細菌感染症の治療方法に使用するためのものであって、前記方法が請求項1~23のいずれか1項に記載された通りである、バンコマイシン又はその薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物若しくは多形体を含む医薬組成物。
  26. ブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むか、又はブドウ球菌(staphylococcus)細菌からなるバイオフィルムが関与する細菌感染症の治療方法に使用するためのものであって、前記方法が請求項1~23のいずれか1項に記載された通りである、クリンダマイシン又はその薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物若しくは多形体を含む医薬組成物。
  27. バイオフィルムが関与する細菌感染症を治療する方法において使用するためのキットであって、前記キットが、アファビシン又はその薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物若しくは多形体と、少なくとも1つのさらなる薬剤又はその薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物若しくは多形体とを含み、
    前記少なくとも1つのさらなる薬剤は、ダプトマイシン又はその薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物若しくは多形体、及び/又はバンコマイシン又はその薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物若しくは多形体、及び/又はクリンダマイシン又はその薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物若しくは多形体であり、
    前記バイオフィルムは、ブドウ球菌(staphylococcus)細菌を含むか、又はブドウ球菌(staphylococcus)細菌からなり、
    前記方法が、請求項1~23のいずれか1項に記載の通りである、キット。
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