JP2010534199A - 抗菌複合治療 - Google Patents
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Abstract
多剤耐性菌種が誘因または原因となる感染症を処置するための、治療活性を有するイミダゾールまたはその誘導体とジスルフィラムまたはその誘導体とを含む組成物が記載されている。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
本発明は、多剤耐性菌種が原因または誘因となる感染症を処置するための複合製剤として、ジスルフィラムまたはその誘導体もしくは代謝産物および治療活性を有するイミダゾールとの相乗的な組み合わせを含む製品を提供する。
抗生物質の阻止作用を克服する手段を発現あるいは獲得した微生物は、ヒト医療および畜産業の双方におけるこれらの薬物の多用、見境のない処方慣習、また治療計画を遵守しない患者によって選択されてきた。このような薬剤耐性微生物、とくに細菌を処置するための治療上の選択肢は、ますます限定されつつある。抗生物質耐性の問題は、薬剤耐性生物の拡大、および細菌間での耐性遺伝子の普及によって悪化する。抗生物質耐性の発現と拡大によってもたらされる、細菌感染の管理の成功に対する脅威は、医療および獣医学における最も重要な課題の一つである。
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、深刻な医療関連感染(HAI)の主要な原因である。米国では、50%を上回る黄色ブドウ球菌臨床分離株が、β−ラクタムメチシリンに対して耐性を有する(NNIS、2004年)。同様に、動物におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の報告は、近年さらに頻繁となっている(O’Mahony等、2005年)。MRSAは、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、トリ、ウサギ、およびウマから分離されている(DevrieseおよびHommez、1975年;Hartmann等、1997年;Pak等、1999年;Tomlin等、1999年;Lee、2003年;Goni等、2004年;およびWeese、2004年)。
ヒト医学および獣医学の双方において、細菌性バイオフィルム(自己産生ポリマーマトリックスに包まれ、不活性表面または生体表面に付着した、細菌細胞の構造化された集合体(Costerton等、1999年))は、重大な問題である。畜産業において、細菌性バイオフィルムが家禽加工用器具類上に発現することがあり(ArnoldおよびSilvers、2000年)、黄色ブドウ球菌に感染したウシの乳房炎の処置の失敗を引き起こしうる(Melchior等、2006年)。ヒト医療においては、細菌のバイオフィルムは、整形外科用インプラントを含む多数の医療装置にコロニーを形成することが示されている(Bahna等、2007年)。英国では、人工股関節感染症の35%は黄色ブドウ球菌に起因し、結果として敗血症による抜去、骨折偽関節、および骨髄炎を生じている(Sanderson、1991年)。MRSAと整形外科用装置の使用との関連は、バイオフィルム増殖期によってもたらされる免疫系からの保護に加え、この生物の耐性範囲の増加によって極めて問題が多く、しばしば汚染された装置の除去を余儀なくされ、患者にさらなる外傷をもたらし、また医療費を増加させる。MRSAによるコロニー形成は、MRSA感染症の発現の一般的な前兆であるため、ヒトでのコロニー形成または医療装置などの表面でのコロニー形成のレベルを低下させる介入は、医療施設における感染の拡大を減少させるであろう。
黄色ブドウ球菌におけるメチシリン耐性は、薬物の標的の変質によって発現する。β−ラクタム抗生物質、例えばメチシリンは、「ペニシリン結合タンパク質」と称されるタンパク質に結合し、そのタンパク質を阻害することによって感受性株に作用する。黄色ブドウ球菌におけるメチシリンに対する耐性は、これらのタンパク質の変質物であるPBP2’によって生じ、それによってβ−ラクタムはそのタンパク質に不完全に結合する。この結果、細菌は、現在使用できる全てのβ−ラクタム薬に対して耐性になる。MRSA感染症は、グリコペプチド薬、例えばバンコマイシンを用いて処置することができる。MRSA有病率の上昇、および腸球菌におけるアミノグリコシドおよびアンピシリンに対する新たな高い耐性レベルは、バンコマイシンへの依存を進める結果をもたらした。これはその後のバンコマイシン耐性病原体の出現を促進した。特に注目すべきことは、バンコマイシン中等度感受性黄色ブドウ球菌(VISA)およびバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)として一般に知られている菌株であり、これら全ては多剤耐性である。VISAおよびVRSAの出現は、現在の抗生物質が、ヒトの感染症、例えば心内膜炎、菌血症、および骨髄炎などの処置に効果がなくなりうることを意味する。
再発MRSA感染症患者へのバンコマイシンの投与により、VISA株またはVRSA株の出現の危険性が増加する。米国におけるVISA感染症の大部分は、バンコマイシンによる処置を受ける再発MRSA患者に発生している(Appelbaum、2006年)。グリコペプチド、例えばバンコマイシンなどの使用を劇的に減少させれば、VISAおよびVRSAの出現および拡大は減少するであろうが、これは多剤耐性の出現を促進しない代替化合物を使用しなければ現実的ではない。
VISAおよびVRSA感染症は、MRSA感染症のバンコマイシン処置に関連するが、これらのおよびその他のバンコマイシン感受性グラム陽性菌と遺伝子型および表現型で異なり、別個のクローン系列を形成する傾向がある。耐性遺伝子およびしばしば毒性決定因子を持つ可動遺伝要素の獲得は、しばしば複数の薬物に対して耐性を有する菌株をもたらす。耐性は、特異的、すなわち一部の薬物または薬物群に特異的であることも、あるいはその耐性が必ずしも関連しない一連の薬物に適用するという点において、非特異的であることもある。VISAの場合、細胞壁厚の増加は、認められる薬物耐性の主な誘因である。
VISAおよびVRSAは、バンコマイシンMICが4〜8mg/L(VISA)、または8mg/L以上(VRSA)のあらゆるブドウ球菌株と定義することができる。これらの耐性レベルは、細胞壁厚の増加に起因することも、バンコマイシンを結合できない細胞壁前駆体の産生によることも、あるいは別の機序によることもある。感受性を有するグラム陽性生物は、末端がD−ala−D−alaの細胞壁前駆体を合成するが、バンコマイシン耐性グラム陽性生物は、例えば、D−ala−D−lac前駆体を合成する。ブドウ球菌株におけるバンコマイシン耐性の存在は、液体希釈もしくは寒天希釈による、またはEtest(登録商標)によるバンコマイシンに対するMICの測定によって、あるいはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による、vanA、vanB、vanC、vanD、vanE、vanG遺伝子などの同定によって特定することができる。本発明は、ヘテロVISA(hVISA)であるVISA株の亜綱も包含する。これらは従来の試験によるバンコマイシン感受性を有するメチシリン耐性黄色ブドウ球菌であるが、中等度耐性細胞の亜集団を有する。hVISA株は、VISAの前駆体と考えられている。
VISAおよびVRSAが原因となるヒト感染症の管理は、これらの遺伝子型および表現型の相違を反映し、ブドウ球菌の別の菌株に対するよりも多大な投資が、病院の設備、患者の隔離用施設、および感染制御対策に必要とされる。
VISAまたはVRSAが誘因または原因となる感染症の処置の選択肢は、現在は大幅に制限されている。かかる生物を阻止または殺傷する新しい化合物を発見し、またこれらの多剤耐性病原体の発生と拡大を制限することが、緊急に必要とされている。
一部のイミダゾールおよび/またはそれらの誘導体は、MRSA(LeeおよびKim、1999年)、および/またはVISAおよびVRSA(英国特許出願(GB)第14994号および第148124号)の増殖を阻止することが可能であることがわかっている。同様に、ジスルフィラムおよびその主要なin vivo代謝産物であるジエチルジチオカルバミン酸(DDTC)およびジメチルジチオカルバミン酸(DMTC)が、MRSAに対していくらかの抗菌作用を有し、DMTCは、一部のグラム陽性菌に対し、アミノグリコシド抗生物質のゲンタマイシンとin vitro相乗効果を表わすことが示されている(Taylor等、1987年)。
抗生物質間の相乗効果は、2種の抗生物質が、同じ代謝経路内で細菌タンパク質を標的とするときに生じうる。トリメトプリムとスルファメトキサゾールとは、細菌の葉酸合成経路において2種類の異なる酵素を標的とするため、一般に、コトリモキサゾールとして一緒に投与される。相乗効果は、耐性機序、例えば排出ポンプなどが阻害されるときにも生じることがあり、単独で投与された場合に排出ポンプによって除去されるかもしれない抗生物質の貯留を可能にする。2種類の化合物が相乗的に作用して、個々の薬剤の効果の合計を上回る抗菌効果を生じるであろうことを予測することは、それぞれの薬剤の作用機序が知られていない限り不可能である。同様に、化合物が特定の抗生物質と相乗的に作用する場合、異なる細菌の標的または異なる細菌の菌株に作用する抗生物質との組み合わせも相乗効果を示すであろうことは予測できない。
本発明は、一部のイミダゾールとDDTCまたはDMTCのいずれかのジスルフィラムとの組み合わせは、MRSAの増殖を阻止するだけでなく、さらにVISA株/VRSA株(MRSA株ではない)に対する特異的な相乗作用によって、MRSAからのVISAおよびVRSAの発現を制限し、それによりこれらのより危険な病原体の発現および拡大を制限するという知識を開示する。
本発明の目的は、VISAおよびVRSAの発現および/または拡大の可能性を低下させることが可能な、MRSA、VISA、またはVRSAが誘因または原因となる感染症の新規かつ効果的な処置を提供することである。
第1の態様において、本発明は、治療活性を有するイミダゾールおよび/またはその誘導体とジスルフィラムまたはその誘導体とを含む組成物を提供する。
具体的には、本発明は、多剤耐性菌種が誘因または原因となる感染症の処置のための、上記に記載のとおりの組成物を提供する。
かかる多剤耐性菌種には、MRSA、VISA、および/またはVRSAが含まれるが、これらに限定されるものではない。
さらに、また第2の態様において、本発明は、多剤耐性菌種が誘因または原因となる感染症に罹患した対象を処置する方法であって、有効量の治療活性を有するイミダゾールおよび/またはその誘導体をジスルフィラムまたはその誘導体もしくは代謝産物と、別個に、同時に、または連続的に投与するステップを含む方法を提供する。
本発明の方法は、特に、MRSA、VISA、およびVRSAのうちの1つ以上が誘因または原因となる感染症に罹患した対象を処置する方法を提供する。
具体的には、本発明は、薬の調製のための、あるいはMRSA、VISA、またはVRSAが誘因または原因となる感染の処置に有効な方法に用いるための、ジスルフィラムまたはその誘導体/代謝産物と組み合わせた、イミダゾールおよび/またはその誘導体を含む化合物の使用に関する。
本発明に関連して使用するための治療効果のあるイミダゾールを含む例となる化合物は、以下の一般式(式I):
[式中、
R1およびR2は、独立して、水素、低級アルキル、フェニル、または置換フェニルから選択され、前記置換フェニルは、ハロ、低級アルキル、および低級アルコキシからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
Rは、独立して、水素、低級アルキル、フェニル、または置換フェニルから選択され、前記置換フェニルは、ハロ、低級アルキル、および低級アルコキシからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
n1は、ゼロもしくは1であり、
Xは、オキシ、S、NH、または
[式中、
R1およびR2は、独立して、水素、低級アルキル、フェニル、または置換フェニルから選択され、前記置換フェニルは、ハロ、低級アルキル、および低級アルコキシからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
Rは、独立して、水素、低級アルキル、フェニル、または置換フェニルから選択され、前記置換フェニルは、ハロ、低級アルキル、および低級アルコキシからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
n1は、ゼロもしくは1であり、
Xは、オキシ、S、NH、または
であり、
n2は、ゼロもしくはlであり、
n3は、ゼロ、1、もしくは2であり、
X’は、S、オキシ、または不在であり、
Arは、独立して、フェニル、置換フェニル、チエニル、およびハロチエニルからなる群から選択され、前記置換フェニルは、ハロ、低級アルキル、および低級アルコキシからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
n4は、ゼロもしくは1であり、
Ar’は、フェニル、置換フェニル、およびα−テトラリルからなる群から選択された要素であり、前記置換フェニルは、フェニル、チエニル、フェニルチオ、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、およびアミノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
R’は、水素、メチル、およびエチルからなる群から選択された要素であり、
R’’は、水素およびメチルからなる群から選択された要素であり、
ただし、
(i)XがNHである場合、前記Rは水素であり、
(ii)前記Ar’が、ニトロおよびアミノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有する置換フェニルである場合、前記Xはオキシであり、かつ前記n3はゼロであり、
(iii)前記Ar’がα−テトラリルである場合、前記XはNHであり、かつ前記n3はゼロであり、
(iv)Xがオキシであり、かつ前記Ar’がフェニル、およびハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、およびシアノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有する置換フェニルからなる群から選択された要素である場合、前記n3はゼロ以外である]
によって提供される。
n2は、ゼロもしくはlであり、
n3は、ゼロ、1、もしくは2であり、
X’は、S、オキシ、または不在であり、
Arは、独立して、フェニル、置換フェニル、チエニル、およびハロチエニルからなる群から選択され、前記置換フェニルは、ハロ、低級アルキル、および低級アルコキシからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
n4は、ゼロもしくは1であり、
Ar’は、フェニル、置換フェニル、およびα−テトラリルからなる群から選択された要素であり、前記置換フェニルは、フェニル、チエニル、フェニルチオ、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、およびアミノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
R’は、水素、メチル、およびエチルからなる群から選択された要素であり、
R’’は、水素およびメチルからなる群から選択された要素であり、
ただし、
(i)XがNHである場合、前記Rは水素であり、
(ii)前記Ar’が、ニトロおよびアミノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有する置換フェニルである場合、前記Xはオキシであり、かつ前記n3はゼロであり、
(iii)前記Ar’がα−テトラリルである場合、前記XはNHであり、かつ前記n3はゼロであり、
(iv)Xがオキシであり、かつ前記Ar’がフェニル、およびハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、およびシアノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有する置換フェニルからなる群から選択された要素である場合、前記n3はゼロ以外である]
によって提供される。
「低級アルキル」および「低級アルコキシ」という用語は、約1〜約6個の炭素を有する直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、および類似のアルキル、ならびにそれぞれ対応するアルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどを包含するものと理解されるべきである。
好適な低級アルキルおよび低級アルコキシは、それぞれメチルおよびメトキシである。さらに、「ハロ」という用語は、原子量127未満のハロゲン、すなわちフルオロ、ヨード、ブロモ、およびクロロを指す。好適な置換フェニルは、記号Arに対しては、モノ−、ジ−、およびトリハロ−フェニル、チオール−ジハロ−フェニル、低級アルキルフェニル、および低級アルコキシフェニルであり、記号Ar’に対しては、モノ−、ジ−、およびトリ−ハロフェニル、ジ−フェニル、チオール−フェニル、低級アルコキシフェニル、シアノフェニル、モノ−、ジ−ニトロフェニル、およびアミノフェニルである。
特に興味深いものは、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、硝酸オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、およびチオコナゾール、ならびにそれらの誘導体からなる群から選択された治療活性を有するイミダゾールである。
とりわけ興味深いものは、それぞれクロトリマゾール、エコナゾール、およびミコナゾールの別名で知られている、1−[(2−クロロフェニル)ジフェニルメチル]−1H−イミダゾール(C22H17ClN2)、1−[2−[(4−クロルフェニル)メトキシ]−2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−1H−イミダゾール(C18H15Cl3N2O)、および1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−[(2,4−ジクロロフェニル)メトキシ]エチル]−1H−イミダゾール(C18H14Cl4N2O)の群から選択された治療活性を有するイミダゾールである。これらの化合物のそれぞれの式は、以下の通りである。
その他の興味深い化合物には、(±)−1−[4−(4−クロロフェニル)−2[(2,6−ジクロロフェニル)チオ]ブチル]−1H−イミダゾール(C19H17Cl3N2S:ブトコナゾール)、1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−[[4−フェニルチオ)フェニル]メトキシ]エチル]−1H−イミダゾール(C24H20Cl2N2OS:フェンチコナゾール)、(Z)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(1H−イミダゾール−1−イル)エタノンO−[2,4−ジクロロフェニル)−メチル]オキシム硝酸塩(C18H14Cl4N4O4:硝酸オキシコナゾール)、1−[2−[(7−クロロベンゾチオフェン−3−イル)メトキシ]−2−(2,4−ジクロロフェニル)−エチル]イミダゾール(C20H15Cl3N2OS:セルタコナゾール)、1−[2−[[(4−クロロフェニル)メチル]−チオ]−2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−1H−イミダゾール(C18H15Cl3N2S:スルコナゾール)、および1−[2−[(2−クロロ−3−チエニル)メトキシ]−2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−1H−イミダゾール(C16H13Cl3N2OS:チオコナゾール)を含みうる。
さらに、本発明は、式(I)に相当し、上述のイミダゾールを含む化合物に由来する化合物の種々の塩および治療活性を有する付加塩、具体的には、例えば硝酸ミコナゾール(C18H14Cl4N2O・HNO3)および硝酸エコナゾール(C18H15Cl3N2O・HNO3)の使用も包含する。
上記に記載されているようなジスルフィラムの誘導体には、ジスルフィラムの代謝産物も含むべきであるが、これらに限定されるものではない。したがって、本発明と関連して上記のイミダゾールと組み合わせて使用するためのジスルフィラムおよび/またはその代謝産物もしくは誘導体を含む化合物は、以下の式によって提供される。
本明細書に記載されている化合物の相当する溶媒和物を調製、精製、および/または処理することが便利または望ましいこともあり、これは記載されている使用/方法のうちのいずれか1つに用いることができる。「溶媒和物」という用語は、本明細書において、溶質、例えば化合物または化合物の塩と溶媒との複合体を指す。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物、例えば、基質分子1個当たり存在する水分子の数により、一水和物、二水和物、三水和物などと称することができる。
したがって、また一実施形態においては、本発明は、MRSA、VISA、またはVRSAが誘因または原因となる感染症の処置のための薬の製造において、ジスルフィラム、および/またはジエチルジチオカルバミン酸、および/またはジメチルジチオカルバミン酸と組み合わせて、クロトリマゾール、硝酸クロトリマゾール、エコナゾール、硝酸エコナゾール、ミコナゾール、硝酸ミコナゾールのうちの1つ以上を含む組成物を提供する。
さらに、我々は、感染症、例えばMRSA、VISA、またはVRSAが誘因または原因となる感染症を処置して、その結果VISAまたはVRSAの出現を減少させるための複合薬の製造において、治療活性を有するイミダゾールの使用を提供する。
我々はさらに、感染症、例えばMRSA、VISA、またはVRSAが誘因または原因となる感染症を処置して、その結果VISAまたはVRSAの出現を減少させるための治療活性を有するイミダゾールとの複合薬の製造において、ジスルフィラムの使用を提供する。
また我々は、感染症、例えばMRSA、VISA、またはVRSAが誘因または原因となる感染症を処置して、その結果VISAまたはVRSAの出現を減少させるために、例えばジスルフィラムとの複合薬として、治療活性を有するイミダゾールを提供する。
また我々は、感染症、例えばMRSA、VISA、またはVRSAが誘因または原因となる感染症を処置して、その結果VISAまたはVRSAの出現を減少させるために、例えば治療活性を有するイミダゾールとの複合薬として、ジスルフィラムを提供する。
有利には、イミダゾールまたはその誘導体とジスルフィラムおよび/またはその誘導体もしくは代謝産物とを含む相乗的な組み合わせは、経口投与、感染部位への局所投与、経粘膜投与、経皮投与、または静脈内投与することができる。したがって、イミダゾールまたはその誘導体とジスルフィラムおよび/またはその誘導体もしくは代謝産物とを含む相乗的な組み合わせは、ポリマーナノ粒子、例えばアルギン酸もしくはポリ乳酸−コ−グリコリドナノ粒子として、あるいは薬学的に許容される担体または賦形剤を含む滅菌医薬組成物として処方することができる。かかる担体または賦形剤は、当業者には周知であり、これには例えば、水、食塩液、リン酸緩衝食塩液、ブドウ糖、グリセロール、エタノール、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、乳酸、水性塩(water salts)または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、シクロデキストリン、例えばαシクロデキストリン、βシクロデキストリン、スルホブチルエーテル7−βシクロデキストリン、およびヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂など、またはそれらの組み合わせが含まれる。
イミダゾールまたはその誘導体とジスルフィラムおよび/またはその誘導体もしくは代謝産物とを含む相乗的な組み合わせは、別の処置と組み合わせて投与してもよい。例えば、イミダゾールまたはその誘導体とジスルフィラムおよび/またはその誘導体もしくは代謝産物とを含む相乗的な組み合わせは、化学療法薬、浸透を促進する洗浄剤、免疫賦活性の化合物もしくは薬物、オリゴヌクレオチド、サイトカイ、ホルモンなどと組み合わせて投与してもよい。
イミダゾールまたはその誘導体とジスルフィラムおよび/またはその誘導体もしくは代謝産物とを含む相乗的な組み合わせ、または上記に記載されているようなあらゆる複合投薬法は、例えばある形態の経皮送達装置によって、経皮的に投与することが可能であろう。かかる装置は、例えば経口薬または静注薬と比較して長時間の処置を可能としうるため、特に抗生物質の化合物を投与する場合に有利である。
経皮送達装置の例には、例えば、患者の皮膚を通して化合物または物質を放出するように適合されたパッチ、包帯材、絆創膏、または硬膏剤を含みうる。当業者は、化合物または物質を経皮的に送達するために使用することができる材料および技法を熟知しているであろう。例となる経皮送達装置は、英国特許(GB)第2185187号、米国特許(US)第3,249,109号、第3,598,122号、第4,144,317号、第4,262,003号、および第4,307,717号により提供されている。
一例として、イミダゾールまたはその誘導体とジスルフィラムおよび/またはその誘導体もしくは代謝産物とを含む相乗的な組み合わせを、ある形態のマトリックスまたは基質、例えば非水ポリマー担体と組み合わせて、経皮送達システムでの使用に適したものにしてもよい。この混合物は、織布もしくは編布、不織布、比較的目の粗いメッシュ生地を使用して、患者の身体の特定の範囲に一時的に付着させることができるパッチ、絆創膏、硬膏剤などを製造することによって、さらに強化することができる。このようにして経皮送達装置は、患者の皮膚と接触している間に、必要に応じて直接感染部位にあるいは皮膚を通して化合物または物質を放出する。
本明細書において提供される化合物は、例えば表面上に用いて、MRSA、VISA、またはVRSAによる汚染を軽減および/または排除するための殺菌もしくは清浄助剤としても使用できる。一例として、イミダゾールまたはその誘導体とジスルフィラムおよび/またはその誘導体もしくは代謝産物とを含む相乗的な組み合わせ、例えばミコナゾールまたは硝酸ミコナゾールとジスルフィラムとの組み合わせは、MRSA、VISA、またはVRSAによる汚染の疑いがある任意の表面に適用するために調製することができる。例えば、本発明の化合物は、殺菌もしくは清浄助剤として使用する前に、適当な賦形剤または溶液に添加または希釈してもよい。例となる賦形剤は、上記に記載している。かかる殺菌もしくは清浄溶液は、例えば、家具、床、例えば特殊な病院用機器および/または手術用機器を含む機器の汚染を除去するために使用することができる。
有利には、イミダゾールまたはその誘導体とジスルフィラムおよび/またはその誘導体もしくは代謝産物とを含む相乗的な組み合わせを医学的または獣医学的表面に塗布し、MRSA、VISA、およびVRSAの増殖を阻止し、その環境におけるバンコマイシン耐性の出現および拡大の可能性を低下させることができる。「表面」という用語は、本明細書において、医学的なものであっても工業的なものであっても、流体と固体との間に界面を提供するあらゆる表面を指す。流体と固体との間の界面は断続的であってもよく、また流動している流体もしくは流動していない流体、エアロゾル、または空気伝達による流体曝露のその他の手段によって生じることもある。本明細書に記載する表面は、より具体的には、その機械的構造が細菌、例えば黄色ブドウ球菌の付着に適合する面を指す。本発明に関連して、用語「医学的または獣医学的表面」は、使い捨ておよび使い捨てでない種々の器具および装置の内面および外面を包含する。例には、医療装置全般が含まれる。
本明細書において、用語「医学的環境において認められる表面」には、使い捨てであっても、繰り返しの使用を目的とするものであっても、種々の器具および装置の内面および外面が含まれる。例には、メス、針、鋏、およびその他の侵襲的な外科的、治療的、もしくは診断的手技に使用する装置を含む、医学的用途に適合された物品全般;人工血管、カテーテル、および患者への流体の除去または送達のためのその他の装置、人工心臓、人工腎臓、整形外科用ピン、プレート、およびインプラントを含む、植え込み式医療装置;カテーテルおよびその他のチューブ(尿道チューブおよび胆汁チューブ、気管内チューブ、末梢挿入中心静脈カテーテル、透析カテーテル、長期留置トンネル型中心静脈カテーテル、末梢静脈カテーテル、短期中心静脈カテーテル、動脈カテーテル、肺カテーテル、Swan−Ganzカテーテル、導尿カテーテル、腹膜カテーテルを含む)、導尿装置(長期導尿装置、組織結合型導尿装置、人工尿道括約筋、尿道拡張器を含む)、シャント(脳室シャントまたは動静脈シャントを含む);人工器官(乳房インプラント、人工陰茎、血管移植プロテーゼ、心臓弁、人工関節、人工喉頭、耳鼻科用インプラントを含む)、血管カテーテルポート、創傷排液管、水頭症シャント、ペースメーカー、および植え込み型除細動器などがある。その他の例は、当業者には容易に明らかになるであろう。医学的環境において認められる表面には、医療機器の部品、医療環境において職員が着用または携行する医療用装具の内面および外面も含まれる。かかる表面には、医学的手技または医療器具の準備に使用する範囲にあるカウンター上面および備品、酸素、ネブライザー内の可溶化した薬物、および麻酔剤の投与を含む呼吸器の処置に使用する管およびキャニスターを含みうる。また、医療環境において感染性生物に対する生物学的障壁として意図された表面、例えば手袋、エプロン、およびフェイスシールドも含まれる。生物学的障壁に一般に使用されている材料は、ラテックスベースでも、または非ラテックスベース、例えばビニールであってもよい。その他のかかる表面には、無菌であることを目的としない医療用または歯科用機器のハンドルおよびケーブルを含みうる。さらに、かかる表面には、血液もしくは体液、またはその他の危険な生体材料が一般に見られる範囲にある管およびその他の器具の殺菌されていない外面も含みうる。
さらなる実施形態において、本明細書に記載されている化合物は、身体部分、特に例えば手のMRSA、VISA、またはVRSAによる汚染を軽減および/または排除するために使用することができる。イミダゾールまたはその誘導体とジスルフィラムおよび/またはその誘導体もしくは代謝産物とを含む相乗的な組み合わせは、水性または非水性溶液として希釈してもよく(水性、非水性、または有機溶媒に溶解する)、これを身体部分、例えば手に塗布することができる。かかる溶液は、例えば、MRSA、VISA、またはVRSAの有病率および感染率が高い場合が多い、病院、介護施設、および/または保育園において特に有用であろう。
さらなる実施形態において、本明細書に記載されている方法および薬は、MRSA、VISA、またはVRSAが原因または誘因となる感染症の発現を防止するため、あるいはMRSA感染症からVISAまたはVRSAが発現する可能性を低下させるための手段として、予防的に使用することができる。予防的使用のための薬および/または方法は、MRSA、VISA、またはVRSAが原因または誘因となる感染症を発現する危険性のあるいかなる人物に投与または適用してもよい。例えば介護施設、養護施設、スポーツセンター、コミュニティーセンター、小売店、飲食店、喫茶店、保育園、および/または学校で働く人々は、予防的処置を必要とするであろう。
有利には、本明細書に記載されている薬および/または方法は、MRSA、VISA、またはVRSAに感染しやすい、あるいはそれらの発現または接触の「危険性がある」人々または患者を収容、保護、介護、あるいは拘束する施設において特に有用であろう。この薬および方法は、病院、養護施設、保育園、および/または学校において特に有用であろう。より一般的には、高齢、若年、または免疫不全の人物もしくは患者は、本明細書に記載されている薬および方法から特に利益を受けることができる。さらに、本発明の方法および薬は、病院、例えば集中治療施設に長期滞在中の患者にとって特に有用であろう。
追加的に、または代替的に、本明細書に記載されている薬および方法は、コミュニティーセンター、スポーツ施設、小売店、飲食店、喫茶店、あるいは細菌、特にMRSA、VISA、またはVRSAの感染が起こりうるその他の場所において有用であろう。
方法:
実験例では、硝酸ミコナゾール、硝酸エコナゾール、クロトリマゾール、およびジスルフィラムまたはDDSをDMSOに溶解させた。エタノールに溶解させたジスルフィラムまたはDDSを用いて、実験を繰り返した。使用できるその他の溶媒には、ヒマシ油、ピリジン、および0.9%食塩液が含まれる。静脈内投与の場合、薬剤は、ポリエトキシル化ヒマシ油、またはシクロデキストリン、例えばスルホブチルエーテル7−βシクロデキストリンもしくはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、および乳酸中で可溶化させてもよい。一連の臨床および対照の細菌性生物の最小阻止濃度(MIC)は、BSAC(British Society for Antimicrobial Chemotherapy)のガイドライン(Andrews 2001年)に従って、単独の薬剤および薬剤の組み合わせについて測定し、以下に簡単に記載した。MICは、寒天希釈によって(実験A)、また微量液体希釈によって(実験B)測定した。
実験例では、硝酸ミコナゾール、硝酸エコナゾール、クロトリマゾール、およびジスルフィラムまたはDDSをDMSOに溶解させた。エタノールに溶解させたジスルフィラムまたはDDSを用いて、実験を繰り返した。使用できるその他の溶媒には、ヒマシ油、ピリジン、および0.9%食塩液が含まれる。静脈内投与の場合、薬剤は、ポリエトキシル化ヒマシ油、またはシクロデキストリン、例えばスルホブチルエーテル7−βシクロデキストリンもしくはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、および乳酸中で可溶化させてもよい。一連の臨床および対照の細菌性生物の最小阻止濃度(MIC)は、BSAC(British Society for Antimicrobial Chemotherapy)のガイドライン(Andrews 2001年)に従って、単独の薬剤および薬剤の組み合わせについて測定し、以下に簡単に記載した。MICは、寒天希釈によって(実験A)、また微量液体希釈によって(実験B)測定した。
寒天プレートおよびブロスの調製
各薬剤の原液を以下の式:
1000/P×V×C=W
[式中、
P=1mg当たりの活性を有する化合物μg(μg/mg)
V=必要な体積(mL)
C=溶液の最終濃度(mg/L)
W=体積V(mL)中に溶解する薬剤の重量(mg)]
を用いて調製した。
各薬剤の原液を以下の式:
1000/P×V×C=W
[式中、
P=1mg当たりの活性を有する化合物μg(μg/mg)
V=必要な体積(mL)
C=溶液の最終濃度(mg/L)
W=体積V(mL)中に溶解する薬剤の重量(mg)]
を用いて調製した。
原液を1000mg/Lおよびl00mg/Lの濃度に調製した。適当な量の各原液を別々のペトリ皿に加えて、最終濃度(溶解寒天20mLの添加後)の範囲を0.12〜32mg/Lとした。実験Aでは、比率1:1の各薬剤を適当なペトリ皿に加えて、2mg/Lプレートに2mg/Lの各薬剤を含むようにした。体積20mLの冷却した溶解IST寒天(Oxoid社)を各ペトリ皿に加え、回転させて混合した。乾燥後、プレートを4℃で保管し、遮光した。プレートは調製した日に使用した。実験Bでは、薬物の比率1:1をまず作成し、次に例えば、2mg/Lのこの混合溶液を得るために適当な体積をマイクロタイタープレートの2mg/Lウェルに加えた。その後、適当な体積のブロスを加えて、ウェル中の全薬物の最終濃度を2mg/Lとした。
接種材料の調製
5mLのISTブロス中で、試験生物を一晩増殖させた。グラム陰性生物では1:500、グラム陽性生物では1:100の0.9%食塩液中の希釈物を用いて、適当な寒天プレート(実験A)にマルチポイントイノキュレーターを使用して接種した。微量液体希釈では、マイクロタイタープレートの各ウェルに希釈した一晩培養物を接種して、最終接種材料を5×105cfu/mLとした。
5mLのISTブロス中で、試験生物を一晩増殖させた。グラム陰性生物では1:500、グラム陽性生物では1:100の0.9%食塩液中の希釈物を用いて、適当な寒天プレート(実験A)にマルチポイントイノキュレーターを使用して接種した。微量液体希釈では、マイクロタイタープレートの各ウェルに希釈した一晩培養物を接種して、最終接種材料を5×105cfu/mLとした。
インキュベーション
寒天プレートおよびマイクロタイタープレートを空気中、37℃で18〜20時間インキュベートした。
寒天プレートおよびマイクロタイタープレートを空気中、37℃で18〜20時間インキュベートした。
結果の解釈
MICは、細菌の目に見える増殖が存在しない、抗生物質の最少量である。微細な単一コロニーまたはかすかな濁りは増殖とみなさない。組み合わせた薬物の阻止作用が各薬物単独での阻止作用の合計を上回った場合に、相乗効果が報告された。
MICは、細菌の目に見える増殖が存在しない、抗生物質の最少量である。微細な単一コロニーまたはかすかな濁りは増殖とみなさない。組み合わせた薬物の阻止作用が各薬物単独での阻止作用の合計を上回った場合に、相乗効果が報告された。
結果:
表1は、ジスルフィラム(エタノール中に溶解)とミコナゾールとの組み合わせが、単独で使用したミコナゾールおよびジスルフィラムの比較MICよりも実質的に低いMICをもたらすことを示している。この組み合わせでは、テストした全てのMRSA株およびVISA株に対してより低いMICが認められるが、その相乗作用は、バンコマイシンに対する感受性が低下した細菌の菌株の場合に特に強いと思われる。エタノール対照は、この溶質がMICの測定値に影響を与えなかったことを示している。溶媒DMSOを使用してジスルフィラムを可溶化したとき、同様の結果が得られた。
表1は、ジスルフィラム(エタノール中に溶解)とミコナゾールとの組み合わせが、単独で使用したミコナゾールおよびジスルフィラムの比較MICよりも実質的に低いMICをもたらすことを示している。この組み合わせでは、テストした全てのMRSA株およびVISA株に対してより低いMICが認められるが、その相乗作用は、バンコマイシンに対する感受性が低下した細菌の菌株の場合に特に強いと思われる。エタノール対照は、この溶質がMICの測定値に影響を与えなかったことを示している。溶媒DMSOを使用してジスルフィラムを可溶化したとき、同様の結果が得られた。
微量液体希釈実験(B)の結果は、VISA株に対する明らかな相乗作用示すことによって、これらの発見を裏付けている。相乗効果は、ジスルフィラムのミコナゾール、エコナゾール、およびクロトリマゾールとの組み合わせについて認められた(クロトリマゾールとジスルフィラムとが相乗作用を示さなかった菌株VISA 3900 UKを除く)。
注)グレーのハイライトは、相乗作用を示している。増殖対照がいかなる薬剤も添加せずに細菌の良好な増殖を示した場合、および汚染対照(細菌を含有しない)が増殖を示さない、つまりは汚染がない場合に、対照の欄にOKを記録する。
表3
下記の表3は、25種の異なるMRSA分離株と5種のVRE分離株のMIC試験から蓄積した結果を示している。MIC50は、テストした菌株のうち50%の増殖を阻止するのに必要な最小阻止濃度であり、MIC90は、テストした菌株のうち90%の増殖を阻止するのに必要な濃度である。単独で使用したミコナゾールのMIC50および90は、それぞれ2mg/Lと2mg/Lであり、これはジスルフィラムをミコナゾールに添加したときに0.5mg/Lと1mg/Lに低下した。
下記の表3は、25種の異なるMRSA分離株と5種のVRE分離株のMIC試験から蓄積した結果を示している。MIC50は、テストした菌株のうち50%の増殖を阻止するのに必要な最小阻止濃度であり、MIC90は、テストした菌株のうち90%の増殖を阻止するのに必要な濃度である。単独で使用したミコナゾールのMIC50および90は、それぞれ2mg/Lと2mg/Lであり、これはジスルフィラムをミコナゾールに添加したときに0.5mg/Lと1mg/Lに低下した。
表3は、25種のMRSA株と5種のVRE株に対してミコナゾールを用いて得られたMIC50、MIC90、およびMICの範囲は、ジスルフィラムの添加によって低下させうることを示している。一定量の1mg/Lあるいは2.5mg/Lのジスルフィラムを添加したときに最も低下が見られたが、ミコナゾール対ジスルフィラムを1:1の比率で使用したときにも著しい低下が認められた。
Claims (69)
- 治療活性を有するイミダゾールまたはその誘導体と、ジスルフィラムまたはその誘導とを含む組成物。
- 前記イミダゾールまたはその誘導体は、
一般式(式I):
[式中、
R、R1、およびR2は、同じであっても異なってもよく、それぞれ水素、低級アルキル、フェニル、または置換フェニルからなる群から選択され、前記置換フェニルは、ハロ、低級アルキル、および低級アルコキシからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
R’は、水素、メチル、およびエチルからなる群から選択された要素であり、
R’’は、水素およびメチルからなる群から選択された要素であり、
n1は、0もしくは1であり、
Xは、オキシ、S、NH、または
であり、
n2は、0もしくは1であり、
n3は、0、1、もしくは2であり、
n4は、0もしくは1であり、
X’は、S、オキシ、または不在であり、
Arは、独立して、フェニル、置換フェニル、チエニル、およびハロチエニルからなる群から選択され、前記置換フェニルは、ハロ、低級アルキル、および低級アルコキシからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
Ar’は、フェニル、置換フェニル、およびα−テトラリルからなる群から選択された要素であり、前記置換フェニルは、フェニル、チエニル、フェニルチオ、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、およびアミノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
ただし、
(v)XがNHである場合、前記Rは水素であり、
(vi)前記Ar’が、ニトロおよびアミノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有する置換フェニルである場合、前記Xはオキシであり、かつ前記n3はゼロであり、
(vii)前記Ar’がα−テトラリルである場合、前記XはNHであり、かつ前記n3はゼロであり、
(viii)Xがオキシであり、かつ前記Ar’がフェニル、およびハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、およびシアノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有する置換フェニルからなる群から選択された要素である場合、前記n3はゼロ以外である]
のものである、請求項1に記載の組成物。 - 前記低級アルキルは、1〜約6個の炭素を有する直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素である、請求項2に記載の組成物。
- 前記低級アルキルはメチルである、請求項3に記載の組成物。
- 前記低級アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびイソプロポキシからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
- 前記低級アルコキシはメトキシである、請求項5に記載の組成物。
- 前記「ハロ」基は、フルオロ、ヨード、ブロモ、およびクロロから選択される、請求項2に記載の組成物。
- 前記置換フェニル基Arは、モノ−、ジ−、およびトリハロ−フェニル、チオール−ジハロ−フェニル、低級アルキルフェニル、および低級アルコキシフェニルから選択される、請求項2に記載の組成物。
- 前記置換フェニル基Ar’は、モノ−、ジ−、およびトリ−ハロフェニル、ジ−フェニル、チオール−フェニル、低級アルコキシフェニル、シアノフェニル、モノ−、ジ−ニトロフェニル、およびアミノフェニルから選択される、請求項2に記載の組成物。
- 前記イミダゾールは、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、およびチオコナゾール、ならびにそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
- 前記イミダゾールは、クロトリマゾール、エコナゾール、およびミコナゾール、ならびにそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
- 前記イミダゾールは、クロトリマゾールまたはその誘導体である、請求項11に記載の組成物。
- 前記イミダゾールは、エコナゾールまたはその誘導体である、請求項11に記載の組成物。
- 前記イミダゾールは、ミコナゾールまたはその誘導体である、請求項11に記載の組成物。
- 前記誘導体は硝酸イミダゾールである、請求項1に記載の組成物。
- 前記硝酸イミダゾールは、硝酸ミコナゾールおよび硝酸エコナゾールからなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
- 前記ジスルフィラム誘導体は、ジスルフィラムの代謝産物である、請求項1に記載の組成物。
- 前記ジスルフィラムの代謝産物は、ジエチルジチオカルバミン酸およびジメチルジチオカルバミン酸からなる群から選択される、請求項17に記載の組成物。
- 予防的使用のための、請求項1に記載の組成物。
- 多剤耐性菌種が誘因または原因となる感染症の処置のための、ジスルフィラムまたはその誘導体と、別個に、同時に、または連続的に組み合わせた、治療活性を有するイミダゾールまたはその誘導体。
- 前記イミダゾールまたはその誘導体は、一般式(式I):
[式中、
R、R1、およびR2は、同じであっても異なってもよく、それぞれ水素、低級アルキル、フェニル、または置換フェニルからなる群から選択され、前記置換フェニルは、ハロ、低級アルキル、および低級アルコキシからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
R’は、水素、メチル、およびエチルからなる群から選択された要素であり、
R’’は、水素およびメチルからなる群から選択された要素であり、
n1は、0もしくは1であり、
Xは、オキシ、S、NH、または
であり、
n2は、0もしくは1であり、
n3は、0、1、もしくは2であり、
n4は、0もしくは1であり、
X’は、S、オキシ、または不在であり、
Arは、独立して、フェニル、置換フェニル、チエニル、およびハロチエニルからなる群から選択され、前記置換フェニルは、ハロ、低級アルキル、および低級アルコキシからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
Ar’は、フェニル、置換フェニル、およびα−テトラリルからなる群から選択された要素であり、前記置換フェニルは、フェニル、チエニル、フェニルチオ、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、およびアミノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
ただし、
(ix)XがNHである場合、前記Rは水素であり、
(x)前記Ar’が、ニトロおよびアミノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有する置換フェニルである場合、前記Xはオキシであり、かつ前記n3はゼロであり、
(xi)前記Ar’がα−テトラリルである場合、前記XはNHであり、かつ前記n3はゼロであり、
(xii)Xがオキシであり、かつ前記Ar’がフェニル、およびハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、およびシアノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有する置換フェニルからなる群から選択された要素である場合、前記n3はゼロ以外である]
のものである、請求項19に記載の治療活性を有するイミダゾール。 - 前記低級アルキルは、1〜約6個の炭素を有する直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素である、請求項21に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 前記低級アルキルはメチルである、請求項22に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 前記低級アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびイソプロポキシからなる群から選択される、請求項21に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 前記低級アルコキシはメトキシである、請求項24に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 前記「ハロ」基は、フルオロ、ヨード、ブロモ、およびクロロから選択される、請求項21に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 前記置換フェニル基Arは、モノ−、ジ−、およびトリハロ−フェニル、チオール−ジハロ−フェニル、低級アルキルフェニル、および低級アルコキシフェニルから選択される、請求項21に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 前記置換フェニル基Ar’は、モノ−、ジ−、およびトリ−ハロフェニル、ジ−フェニル、チオール−フェニル、低級アルコキシフェニル、シアノフェニル、モノ−、ジ−ニトロフェニル、およびアミノフェニルから選択される、請求項21に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 前記イミダゾールは、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、硝酸オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、およびチオコナゾール、ならびにそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項20に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 前記イミダゾールは、クロトリマゾール、エコナゾール、およびミコナゾール、ならびにそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項29に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 前記イミダゾールは、クロトリマゾールまたはその誘導体である、請求項30に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 前記イミダゾールは、エコナゾールまたはその誘導体である、請求項30に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 前記イミダゾールは、ミコナゾールまたはその誘導体である、請求項30に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 前記誘導体は硝酸イミダゾールである、請求項20に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 前記硝酸イミダゾールは、硝酸ミコナゾールおよび硝酸エコナゾールからなる群から選択される、請求項34に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 前記多剤耐性菌種は、MRSA、VISA、およびVRSAから構成される群から選択される、請求項20に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 予防的使用のための、請求項20に記載の治療活性を有するイミダゾール。
- 多剤耐性菌種が誘因または原因となる感染症の処置のための、治療活性を有するイミダゾールまたはその誘導体と、別個に、同時に、または連続的に組み合わせた、ジスルフィラムまたはその誘導体。
- 前記ジスルフィラムは、ジスルフィラムの代謝産物である、請求項38に記載のジスルフィラム。
- 前記ジスルフィラムの代謝産物は、ジエチルジチオカルバミン酸およびジメチルジチオカルバミン酸からなる群から選択される、請求項39に記載のジスルフィラム。
- 前記多剤耐性菌種は、MRSA、VISA、およびVRSAから構成される群から選択される、請求項38に記載のジスルフィラム。
- 予防的使用のための、請求項38に記載のジスルフィラム。
- 治療活性を有するイミダゾールまたはその誘導体とジスルフィラムまたはその誘導体との別個の、同時の、または連続的な投与を含む、多剤耐性菌種が誘因または原因となる感染症の処置方法。
- 前記多剤耐性菌種は、MRSA、VISA、およびVRSAから構成される群から選択される、請求項43に記載の処置方法。
- 前記イミダゾールまたはその誘導体は、一般式(式I):
[式中、
R、R1、およびR2は、同じであっても異なってもよく、それぞれ水素、低級アルキル、フェニル、または置換フェニルからなる群から選択され、前記置換フェニルは、ハロ、低級アルキル、および低級アルコキシからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
R’は、水素、メチル、およびエチルからなる群から選択された要素であり、
R’’は、水素およびメチルからなる群から選択された要素であり、
n1は、0もしくは1であり、
Xは、オキシ、S、NH、または
であり、
n2は、0もしくは1であり、
n3は、0、1、もしくは2であり、
n4は、0もしくは1であり、
X’は、S、オキシ、または不在であり、
Arは、独立して、フェニル、置換フェニル、チエニル、およびハロチエニルからなる群から選択され、前記置換フェニルは、ハロ、低級アルキル、および低級アルコキシからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
Ar’は、フェニル、置換フェニル、およびα−テトラリルからなる群から選択された要素であり、前記置換フェニルは、フェニル、チエニル、フェニルチオ、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、およびアミノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有し、
ただし、
(xiii)XがNHである場合、前記Rは水素であり、
(xiv)前記Ar’が、ニトロおよびアミノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有する置換フェニルである場合、前記Xはオキシであり、かつ前記n3はゼロであり、
(xv)前記Ar’がα−テトラリルである場合、前記XはNHであり、かつ前記n3はゼロであり、
(xvi)Xがオキシであり、かつ前記Ar’がフェニル、およびハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、およびシアノからなる群から選択された少なくとも1つのフェニル置換基を含有する置換フェニルからなる群から選択された要素である場合、前記n3はゼロ以外である]
のものである、請求項43に記載の方法。 - 前記低級アルキルは、1〜約6個の炭素を有する直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素である、請求項45に記載の方法。
- 前記低級アルキルはメチルである、請求項46に記載の方法。
- 前記低級アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびイソプロポキシからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
- 前記低級アルコキシはメトキシである、請求項48に記載の方法。
- 前記「ハロ」基は、フルオロ、ヨード、ブロモ、およびクロロから選択される、請求項45に記載の方法。
- 前記置換フェニル基Arは、モノ−、ジ−、およびトリハロ−フェニル、チオール−ジハロ−フェニル、低級アルキルフェニル、および低級アルコキシフェニルから選択される、請求項45に記載の方法。
- 前記置換フェニル基Ar’は、モノ−、ジ−、およびトリ−ハロフェニル、ジ−フェニル、チオール−フェニル、低級アルコキシフェニル、シアノフェニル、モノ−、ジ−ニトロフェニル、およびアミノフェニルから選択される、請求項45に記載の方法。
- 前記イミダゾールは、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、硝酸オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、およびチオコナゾール、ならびにそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
- 前記イミダゾールは、クロトリマゾール、エコナゾール、およびミコナゾール、ならびにそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項53に記載の方法。
- 前記イミダゾールは、クロトリマゾールまたはその誘導体である、請求項54に記載の方法。
- 前記イミダゾールは、エコナゾールまたはその誘導体である、請求項54に記載の方法。
- 前記イミダゾールは、ミコナゾールまたはその誘導体である、請求項54に記載の方法。
- 前記誘導体は硝酸イミダゾールである、請求項43に記載の方法。
- 前記硝酸イミダゾールは、硝酸ミコナゾールおよび硝酸エコナゾールからなる群から選択される、請求項58に記載の方法。
- 前記ジスルフィラム誘導体は、ジスルフィラムの代謝産物である、請求項43に記載の方法。
- 前記ジスルフィラムの代謝産物は、ジエチルジチオカルバミン酸およびジメチルジチオカルバミン酸からなる群から選択される、請求項60に記載の方法。
- 前記方法は予防的使用を含む、請求項43に記載の方法。
- 前記方法は表面の処置を含む、請求項43に記載の方法。
- 感染症を処置するための複合薬の製造における、治療的なイミダゾールの使用。
- MRSA、VISA、またはVRSAが誘因または原因となる前記感染症が、その結果VISAまたはVRSAの出現を減少させる、請求項64に記載の使用。
- 前記薬は、ジスルフィラムまたはその誘導体との組み合わせである、請求項65に記載の使用。
- 感染症を処置するための治療活性を有するイミダゾールとの複合薬の製造における、ジスルフィラムの使用。
- MRSA、VISA、またはVRSAが誘因または原因となる前記感染症が、その結果VISAまたはVRSAの出現を減少させる、請求項67に記載の使用。
- 添付の実施例に関連して実質的に上記請求項に記載されるとおりの、前記組成物、イミダゾール、ジスルフィラム、方法、または使用。
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