JP7417787B1 - 車両用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】シートパッドの硬度を上げること以外の手法により座り心地性能及び姿勢安定性を向上させることができるようにする。【解決手段】シートパッド21内に設けられた前方インサートワイヤ40および後方インサートワイヤ50を含む座20と、背もたれ30と、シートパッド20の前吊り込み溝71および後吊り込み溝72にシートカバー22を係止させる吊り込み構造70と、を備える車両用シート10である。前方インサートワイヤ40は、周辺部分よりも後方に突出した前方主荷重受け部41を有し、後方インサートワイヤ50は、周辺部分よりも前方に突出した後方主荷重受け部51を有する。後方インサートワイヤ50は、少なくとも後方主荷重受け部51が後吊り込み溝72よりも前方となる位置に配置され、前方インサートワイヤ40は、少なくとも前方主荷重受け部41が前吊り込み溝71よりも後方となる位置に配置されている。【選択図】図3

Description

本発明は、車両用シートに関する。
車両用シートの座を構成するシートクッションとして、発泡体からなるシートパッドが備え付けられたものや、該シートパッドの内部に弾性変形するインサートワイヤが差し込まれたもの等が利用されている(たとえば特許文献1参照)。これらシートパッドやインサートワイヤ等による乗員の支持態様は座り心地性能及び姿勢安定に影響を及ぼすものであり、たとえば、乗員の下半身に対する前後方向の圧力バランスが適正であり、乗員の骨盤を起立した状態に保ちうるものであれば座り心地性能及び姿勢安定が良好となる一方で、そうでない場合には座り心地性能及び姿勢安定が悪くならざるを得なくなる。
具体的には以下のような場合、座り心地性能及び姿勢安定に悪影響が及びうる。たとえば、シートパッドが柔らかいと尻の嵌まり込みと骨盤の落ち込み(本明細書では総称して「尻落ち」という)が大きくなり、骨盤が後転ないし後傾して姿勢が悪い状態(Badな状態)となる(図19参照)。また、姿勢の悪化等によよって尻が前方にずれると(本明細書では尻の「前ズレ」という)、尻の肉と骨が引きはがされるように感じ、時には痺れ感を伴うような感覚(本明細書では「せん断感」という)が生じてしまう。ちなみに、せん断現象は、尻落ちを伴う場合により顕著となる傾向がある。
上記のごとき「尻落ち」、「前ズレ」、「せん断感」といった現象や感覚に伴う低い評価を向上させる従来の手段のひとつは、ウレタン製のシートパッドの硬度を上げて硬くすることでこれらを改善することであった。
特開2012-091544号公報
しかし、シートパッドの硬度を上げることのみをもってして座り心地性能及び姿勢安定性を上げることには限度がある。
そこで、本発明は、シートパッドの硬度を上げること以外の手法により座り心地性能及び姿勢安定性を向上させることができるようにした車両用シートを提供することを目的とする。
かかる課題を解決するべく、本発明者らは、シートクッション20’の構成部品であるインサートワイヤ40’,50’に着目し、種々の検討を重ねた(図16等参照)。従来であれば、座り心地を重視した構造とする場合、乗員の尻や骨盤の真下付近にインサートワイヤ40’,50’が線当たりするようなレイアウトとすることは回避することが一般的であった(図16、図17参照)。また、シートパッド21’に形成された前吊り込み溝71’および後吊り込み溝72’にシートカバーの被吊り込み部を係止させて当該シートカバーを吊り込み支持するための吊り込み構造を備えた車両用シートであれば、前方インサートワイヤ40’は前吊り込み溝71’よりも前方に、後方インサートワイヤ50’は後吊り込み溝72’よりも後方にそれぞれ配置することが一般的であった(図18参照)。本発明者らは、こういった従来の一般的な考え方や技術常識を根本的に見直し、常識にとらわれることのない検討を重ねた結果、課題の解決に結びつく新たな知見を得るに至った。
かかる知見に基づき想到するに至った本発明の一態様は、車両用シートであって、
シートパッド、および該シートパッド内に設けられた前方インサートワイヤおよびシートパッド内であって前方インサートワイヤよりも当該車両用シートの前後方向後方に設けられた後方インサートワイヤを含む座と、
回動支点を中心としたリクライニング動作が可能な背もたれと、
シートパッドに形成された前吊り込み溝および後吊り込み溝にシートカバーの被吊り込み部を係止させて当該シートカバーを吊り込み支持するための吊り込み構造と、
を備え、
複数の屈曲部にて屈曲した形状である前方インサートワイヤは、周辺部分よりも後方に突出した形状の前方主荷重受け部を有し、
複数の屈曲部にて屈曲した形状である後方インサートワイヤは、周辺部分よりも前方に突出した形状の後方主荷重受け部を有し、
後方インサートワイヤは、少なくとも後方主荷重受け部が後吊り込み溝よりも前方となる位置に配置され、
前方インサートワイヤは、少なくとも前方主荷重受け部が前吊り込み溝よりも後方となる位置に配置されている、
車両用シートである。
かかる車両用シートにおいては、後方インサートワイヤの後方主荷重受け部が所定の範囲内に位置し、また、後方主荷重受け部と前方インサートワイヤの前方主荷重受け部との離間距離が所定の範囲内となることで、これら前方主荷重受け部と後方主荷重受け部によって乗員の骨盤とくに座骨まわりを効果的に支持することが可能である。これによれば、シートパッドを硬くせずとも、乗員の尻落ち、前ズレ、せん断感といった現象や感覚を抑えることができるようになる。せん断を防ぎ座り心地を向上させたことに加えて、シートパッドを柔らかくすることで、フィーリングという座り心地の向上も達成することが可能である。
上記のごとき車両用シートにおいて、前方主荷重受け部と後方主荷重受け部の少なくとも一方が、当該車両用シートの左右方向に延びるストレート部で構成されていてもよい。
上記のごとき車両用シートにおいて、前方主荷重受け部と後方主荷重受け部の少なくとも一方が、当該車両用シートの左右方向の中心線を中心にして左右対称に形成されていてもよい。
上記のごとき車両用シートにおいて、前方インサートワイヤは、当該車両用シートの側面視において、後方に向かうにつれて下がるように傾斜していてもよい。
上記のごとき車両用シートにおける後方インサートワイヤは、当該車両用シートの側面視において、後方主荷重受け部の周辺部分から該後方主荷重受け部へ向け前方に向かうにつれて下がるように傾斜して設けられていてもよい。
上記のごとき車両用シートにおいて、後方主荷重受け部は、後方インサートワイヤの中で最下点に位置していてもよい。
上記のごとき車両用シートにおいて、前方主荷重受け部の左右方向の長さは、後方主荷重受け部の左右方向の長さより長くてもよい。
上記のごとき車両用シートにおいて、後方主荷重受け部の前方に前方主荷重受け部の少なくとも一部が位置するように後方インサートワイヤおよび前方インサートワイヤが配置されていてもよい。
上記のごとき車両用シートにおいて、前方インサートワイヤの屈曲部の数と後方インサートワイヤの屈曲部の数とが同数であってもよい。
上記のごとき車両用シートにおいて、後方インサートワイヤの屈曲部が鈍角であってもよい。
上記のごとき車両用シートにおいて、前方インサートワイヤは、前吊り込み溝よりも後方に配置され、後方インサートワイヤは、後吊り込み溝よりも前方に配置されていてもよい。
上記のごとき車両用シートにおいて、後方インサートワイヤは、回動支点から後方主荷重受け部までの距離が170mm以上となる位置に配置され、前方インサートワイヤは、後方主荷重受け部と前方主荷重受け部との離間距離が60mm以上70mm以下となる位置に配置されていてもよい。
本発明によれば、シートパッドの硬度を上げること以外の手法により座り心地性能及び姿勢安定性を向上させることができるようにした車両用シートを提供することが可能となる。
本発明の一実施形態における車両用シートのシートクッション(座)を、内部構造を透視した状態で示す平面図である。 車両用シートのシートクッションを、内部構造を透視した状態で示す斜視図である。 図1のIII-III線および図2のIII-III線における車両用シートの断面構造を示す図である。 図3に示す断面構造と、乗員の座骨位置との関係を示す図である。 図3、図4Aにおける吊り込み構造の部分を拡大して示す図である。 前方インサートワイヤの一例を示す斜視図である。 後方インサートワイヤの一例を示す斜視図である。 前方インサートワイヤ、後方インサートワイヤ、およびその他のワイヤ(右方外側ワイヤ、左方外側ワイヤ、右方内側ワイヤ、左方内側ワイヤ)の配置例を示す平面図である。 図7に示す前方インサートワイヤ、後方インサートワイヤと乗員の座骨位置との関係を示す図である。 前方インサートワイヤの前方ストレート部(前方主荷重受け部)と後方インサートワイヤの後方ストレート部(後方主荷重受け部)との位置関係について説明する図である。 前方インサートワイヤと後方インサートワイヤのそれぞれの屈曲部について説明する図である。 前方インサートワイヤと後方インサートワイヤのそれぞれの屈曲部について説明する別の図である。 前方インサートワイヤの前方ストレート部と後方インサートワイヤの後方ストレート部について説明する図である。 屈曲部が鈍角である後方インサートワイヤについて説明する図である。 端末部に曲げが追加された前方インサートワイヤと後方インサートワイヤを示す図である。 車両用シートにヒーター/空調マットを搭載する場合の断面構造の一例を示す図である。 前方インサートワイヤと後方インサートワイヤの他の例を示す図である。 空調マットを備えた車両用シートにおける通気孔と前方インサートワイヤおよび後方インサートワイヤの位置関係について説明する図である。 従前の車両用シートのシートクッションを参考として示す平面図である。 従前の車両用シートのシートクッションを、内部構造を透視した状態で参考として示す斜視図である。 従前の車両用シートのシートクッションの構造を参考として示す、図16のXVIII-XVIII線における断面の概略図である。 車両用シートのシートクッションにおける反力と骨盤の姿勢について説明する図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する(図1等参照)。
以下においては、車両用シート10の乗員が向く側(通常は、当該車両の進行方向とな時)を当該車両用シート10の前側と称し(一部の図中では符号Fで表している)、これを基準として、後側、左右方向(あるいは幅方向)を表すものとする。
本発明にかかる車両用シート10は、シートクッション(座)20と、シートバック(背もたれ)30とを備えている。シートバック30は、回動支点31を中心としたリクライニング動作が可能である(図3等参照)。なお、図3等においては、内部構造、とくに後述する前方インサートワイヤ40や後方インサートワイヤ50をわかりやすく示すためハッチングを省略している。
シートクッション20には、発泡体からなるシートパッド21が備え付けられている。本実施形態の車両用シート10は、シートパッド21に形成された前吊り込み溝71および後吊り込み溝72にシートカバー22の被吊り込み部22a,22bを係止させて当該シートカバー22を吊り込み支持するための吊り込み構造70が備え付けられている(図3等参照)。左右方向に延びるこれら前吊り込み溝71および後吊り込み溝72によって分割されるシートクッション20の3つのエリアのうち、前方のものをエリア1、中間のものをエリア2、後方のものをエリア3と本明細書では便宜的に呼ぶこととする(図16参照)。
シートパッド21の内部には、乗員の荷重を支持するための、弾性変形するインサートワイヤが設けられている。本実施形態の車両用シート10においては、インサートワイヤとして、前方インサートワイヤ40、後方インサートワイヤ50、さらに、右方外側ワイヤ61、左方外側ワイヤ62、右方内側ワイヤ63、左方内側ワイヤ64を設けている(図2等参照)。右方外側ワイヤ61はシートパッド21の右方外側、左方外側ワイヤ62はシートパッド21の左方外側に、車両用シート10の前後に延びる左右方向の中心線10Cを中心として対称的に配置されている(図1等参照)。右方内側ワイヤ63はシートパッド21のエリア1の右方外側ワイヤ61よりも内側に、左方内側ワイヤ64はシートパッド21のエリア1の左方外側ワイヤ62よりも内側に、中心線10Cを中心として対称的に配置されている(図1等参照)。
[前方インサートワイヤと後方インサートワイヤ]
前方インサートワイヤ40は、エリア1とエリア2の境目の近傍であって本実施形態の場合には大部分がエリア2に入る位置に、左右方向に延びる状態で配置されている(図1、図3等参照)。前方インサートワイヤ40は、複数の屈曲部42にて屈曲し、かつ、所定の屈曲部42と屈曲部42の間に、左右に延びる前方ストレート部41を左右1か所ずつ計2つ有する左右対称形状となっている(図5等参照)。前方ストレート部41は、当該前方ストレート部41の周辺の部分(図7において符号48で示す)よりも後方に突出した形状となっていて、さらに、本実施形態においては、前方ストレート部41の周辺の部分48が、吊り込み構造70にて吊り込み支持される部分よりも後方に向けて突出するように設けられていて、これら前方ストレート41を中心とした部分が、乗員の荷重の多くを受ける前方主荷重受け部として機能する(図7等参照)。なお、本実施形態にて前方ストレート部41と便宜的に呼んでいる部分は、前方主荷重受け部として機能する部分の好適な一例にすぎない。たとえば緩やかに湾曲しているといったようなストレートではない形状であっても、以下において説明するような前方主荷重受け部としての同等の機能を果たしうるものであればよく、この点で、ストレートであることは好適例ではあるがこれには限られないということができる。
後方インサートワイヤ50は、エリア2とエリア3の境目の近傍であって本実施形態の場合には大部分がエリア2に入る位置に、左右方向に延びる状態で配置されている(図1、図3等参照)。後方インサートワイヤ50は、複数の屈曲部52にて屈曲し、かつ、所定の屈曲部52と屈曲部52の間に、左右に延びる後方ストレート部51を左右1か所ずつ計2つ有する左右対称形状となっている(図6参照)。後方ストレート部51は、当該後方ストレート部51の周辺の部分(図7において符号58で示す)よりも前方に突出した形状となっていて、さらに、本実施形態においては、後方ストレート部51の周辺の部分58が、吊り込み構造70にて吊り込み支持される部分よりも前方に向けて突出するように設けられていて、これら後方ストレート51を中心とした部分が、乗員の荷重の多くを受ける後方主荷重受け部として機能する(図7等参照)。なお、本実施形態にて後方ストレート部51と便宜的に呼んでいる部分は、後方主荷重受け部として機能する部分の好適な一例にすぎない。たとえば緩やかに湾曲しているといったようなストレートではない形状であっても、以下において説明するような後方主荷重受け部としての同等の機能を果たしうるものであればよく、この点で、ストレートであることは好適例ではあるがこれには限られないということができる。
また、後方インサートワイヤ50は、シートバック30の回動支点31から後方ストレート部51までの距離L1が所定の長さとなる位置に配置されている(図3参照)。L1は、155mm以上、好ましくは170mm以上である。
前方インサートワイヤ40は、後方ストレート部51と前方ストレート部41との離間距離L2が所定の長さとなる位置に配置されている(図3参照)。L2は、好ましくは60mm以上70mm以下である。
かかる車両用シート10においては、前方インサートワイヤ40が前吊り込み溝71よりも後方に位置し、後方インサートワイヤ50が後吊り込み溝72よりも前方に位置した構造となる場合がある(図3、図4A等参照)。
上記のごとき車両用シート10においては、所定の位置ないしは範囲内に配置した後方インサートワイヤ50の後方ストレート部51および前方インサートワイヤ40の前方ストレート部41によって、乗員の尻部H1の骨盤H2あたり、とくに座骨H3まわりを効果的に支持することができるようになる(図4A、図8参照)。これによれば、シートパッド21を硬くせずとも、乗員の尻落ち、前ズレ、せん断感といった現象や感覚を抑えることができるようになる。この点、これまでの車両用シートにおいては、座り心地を重視するあまり、乗員の尻部H1や骨盤H2の真下付近にインサートワイヤが線当たりするようなレイアウトとすることは避けるべきもの(いわば禁忌のようなもの)と考えることが通常であり、エリア2を避けて(つまりはエリア1やエリア3に)インサートワイヤを配置するのが一般的であったといえる。本実施形態では、このような従来のレイアウトを別の観点、つまりはシートパッド21の硬度を上げること以外の手法により座り心地性能及び姿勢安定性を向上させるという観点から、主荷重受け部となりうる後方ストレート部51と前方ストレート部41との離間距離を適度に狭め、結果的に、インサートワイヤがエリア2の範囲内に位置する構成となろうとも、見方を変えれば、禁忌のようなものであったエリア2にインサートワイヤをあえて配置するという、これまでの常識からすれば採用されなかった手法を逆手にとった構成とすることで、従前の構造では実現し得なかった機能を実現可能としている。また、尻落ちした状態と尻落ちしていない状態とを比較してみると、前者のほうがせん断感が強くなる場合があるが、この点、この車両用シート10では尻落ちを後方インサートワイヤ50とくに後方ストレート部51で抑止し、乗員の下半身に対する前後方向の圧力バランスを適正化して乗員の骨盤を起立した状態(Goodな状態)にする(図19参照)。また、前方インサートワイヤ40と後方インサートワイヤ50とを上記のごとき構成とすることは、座り心地性能向上の観点からすれば、たわみを均一にすることにも役立つ(これによりパッドを柔らかくすることが可能となる)。
上記観点に基づき、本実施形態では、車両用シート10をさらに以下のように構成している。これらについて、順次説明する(図3等参照)。
[吊り込み構造]
吊り込み構造70の一例を示す。本実施形態の吊り込み構造70は、シートカバー22の被吊り込み部22a(22b)をインサートワイヤ(前方インサートワイヤ40、後方インサートワイヤ50)に吊り込むための吊り部材74とホグリング(Cリング)76を備えている(図4B参照)。吊り部材74は、その一端側をシートカバー22の被吊り込み部22a(22b)に縫合される等して固定されている。吊り部材74の他端側には樹脂部74rが設けられている。この吊り部材74の樹脂部74rとインサートワイヤとをホグリング76でリング止めすることによって、シートカバー22がシートクッション20の前吊り込み溝71(または後吊り込み溝72)に吊り込まれるようになっている(図4B参照)。なお、特に図示してはいないが、他のインサートワイヤ(本実施形態の場合、右方外側ワイヤ61、左方外側ワイヤ62、右方内側ワイヤ63、左方内側ワイヤ64)における吊り込み構造も同様に構成されている。これら吊り込み構造70の位置や個数は特に限定されるものではない。一例として、本実施形態の車両用シート10においては、図1において丸印(〇)で示す箇所にそれぞれ吊り込み構造70を設けている。
[前方インサートワイヤと後方インサートワイヤの側面視での形状]
本実施形態の車両用シート10において、前方インサートワイヤ40は、車両用シート10の側面視において、後方に向かうにつれて下がるように傾斜した状態で設けられている(図3等参照)。また、後方インサートワイヤ50は、車両用シート10の側面視において、後方ストレート部51の周辺部分58から、該後方ストレート部51へ向け前方に向かうにつれて下がるように傾斜して設けられている(図3参照)。このように、これら前方インサートワイヤ40と後方インサートワイヤ50を、側面視において下方ほど互いが近接するにように絞られた形状(いわば逆ハの字形状)に配置することで、乗員が着座する際、沈み込む尻部H1をより適切な着座ポイントへ誘導することができ、前ズレを抑え、座り心地を向上させるのに役立つ。また、このような前方インサートワイヤ40と後方インサートワイヤ50によれば、所定の着座位置にて着座した乗員を前後から挟み支え、安定した姿勢を保持できるようにするという面でも役立つ。後方ストレート部51は、後方インサートワイヤ50の中で最下点に位置していてもよい(図4A等参照)。
[前方ストレート部と後方ストレート部の左右方向の長さ]
本実施形態の車両用シート10においては、前方ストレート部41の左右方向の長さが、後方ストレート部51の左右方向の長さより長くなっている(図7、とくに図中の破線部分参照)。このような前方インサートワイヤ40を乗員の骨盤H2の前方~大腿部付け根付近となる位置に配置し、乗員の尻部H1の前ズレやせん断感が発生した際あるいは発生しようとする際、比較的に広い幅の前方ストレート部41でもって安定した支持ができるようにしている(図8等参照)。
[前方ストレート部と後方ストレート部の前後位置]
また、本実施形態の車両用シート10においては、後方ストレート部51の前方に、前方ストレート部41の少なくとも一部が位置するようにこれら前方インサートワイヤ40と後方インサートワイヤ50を配置している(図9等参照)。これは、別言すれば、前方インサートワイヤ40と後方インサートワイヤ50とが幅方向にて重なり合う(ラップしている)エリアが設けられているということであり(図9中の破線部分を参照)、このような重なり合うエリアをできだけ確保することにより、乗員支持の安定性を高めることが可能となっている。また、乗員の骨盤H2の体圧を多く受ける部位である前方ストレート部41、後方ストレート部51をこのように重なり合わせることで、座り心地をよりよくすることができる。
[屈曲部の数]
前方インサートワイヤ40の屈曲部42の数と後方インサートワイヤ50の屈曲部52の数はそれぞれとくに限定されることはないが、一例として本実施形態では、これらの数(別言すれば曲げ点数)を同数としている(図10A参照)。これにより、左右全体のバランス均一化を実現できる。なお、本明細書ではインサートワイヤの曲げ部分を「屈曲部」と表現し、図10Aの中では破線の丸印で当該部分を示しているが(図10A参照)、この他にも、図10Bの中で破線の楕円印で示す部分を「屈曲部」と解釈したり、図10Cの中で破線の楕円印で示す別の部分を「屈曲部」と解釈したりすることも考えられる(図10B、図10C参照)。ただ、いずれの解釈をしようとも、本実施形態では前方インサートワイヤ40の屈曲部42の数と後方インサートワイヤ50の屈曲部52の数が同数となっている。
[屈曲部の態様]
屈曲部42,52における曲げの角度は鈍角になっていてもよい。本実施形態では、後方インサートワイヤ50の屈曲部52の一部を鈍角とし、中央付近から側部付近に至る部分をS字状といったような緩やかに曲折ないしは湾曲する形状としている(図11等参照)。後方インサートワイヤ50をこのような形状とすることで、たわみ感の均一化、体圧バランス均一化に効果がある。
[インサートワイヤの端末部付近の形状]
前方インサートワイヤ40と後方インサートワイヤ50のそれぞれの端末部(右方外側ワイヤ61や左方外側ワイヤ62に近い部分)44,54の形状もまた特に限定されるものではなく、ここまで図示した形状の別の一例して、これら端末部44,54に曲げを追加した形状としてもよい(図12参照)。こうした場合には、たとえばパッドの発砲型(図示省略)において前方インサートワイヤ40や後方インサートワイヤ50をセットする際、発泡型内にて内側に向き突出した当て板(図示省略)等に当該端末部44,54を宛がうようにすることで、前方ストレート部41や後方ストレート部51が狙いどおりの位置、深さ、角度となるように姿勢を制御ないしは管理することが可能となる。
[ヒーター/空調マットを搭載する場合]
車両用シート10にヒーター(図示省略)と一体化されたまたは空調マット90を搭載する場合、以下のことに留意して前方インサートワイヤ40と後方インサートワイヤ50を配置するとよい(図13参照)。まず、シートカバー22に備えられた吊り部材74と、インサートワイヤ(前方インサートワイヤ40など)との間に空調マット90が挟まれると、ヒーターの断線に繋がりかねないので、これらの位置に前方インサートワイヤ40や後方インサートワイヤ50を配置することは控える。また、前吊り込み溝71よりも前方の位置P3や、後吊り込み溝72よりも後方の位置P4は、これまで説明した座り心地性能及び姿勢安定性の向上などの観点から、これらの位置に前方インサートワイヤ40や後方インサートワイヤ50を配置することも控える。また、シートパッド21の上面に空調マット90を設けるための凹部21sが形成されている場合には、シートパッド21の厚みが大きいほど人を支持する力(人を押し返す力)は強い。一方で、空調マット90があるとシートパッド21がその分薄くなるので、空調マット90の後端91よりも後方部分におけるシートパッド21の厚みがある部分ではなく、空調マット90の下(シートパッド21の厚みが薄い領域)にインサートワイヤを配置することで、空調マット90分のパッドの厚みの支持力をインサートワイヤで補うことができる。
[インサートワイヤの全幅]
車両用シート10のスタイリングデザインに合わせ、後方インサートワイヤ50の全幅(左右方向の長さ)W50が、前方インサートワイヤ40の全幅W40よりも狭くなるように設定することができる(図14参照)。
[空調マットとの関連]
空調マット90の通気孔92のうち、乗員の尻部H1の下方に位置するものは、図15中の破線矩形部の内側に配置されることがある(図15参照)。ただし、インサートワイヤが従前の位置にあると(図16~図18参照)、乗員の骨盤H2の落ち込み(尻落ち)が比較的大きく、前ズレやせん断感が生じ、狙いどおりの位置に配置された通気孔92と実際の着座位置との間にズレが生じる可能性があった。この点、ここまで説明したごとき車両用シート10によれば、座り心地を向上させつつ着座位置を安定させることによって、空調マット90の通気孔92に期待される空調機能が発揮される状態とすることができる。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
本発明は、車両用シートに適用して好適である。
10…車両用シート
10C…車両用シートの中心線
20…シートクッション(座)
21…シートパッド
21s…凹部
22…シートカバー
22a,22b…被吊り込み部
30…シートバック(背もたれ)
31…回動支点
40…前方インサートワイヤ
41…前方ストレート部(前方主荷重受け部)
42…屈曲部
44…端末部
48…周辺部分
50…後方インサートワイヤ
51…後方ストレート部(後方主荷重受け部)
52…屈曲部
54…端末部
58…周辺部分
61…右方外側ワイヤ
62…左方外側ワイヤ
63…右方内側ワイヤ
64…左方内側ワイヤ
70…吊り込み構造
71…前吊り込み溝
72…後吊り込み溝
74…吊り部材
74r…樹脂部
76…ホグリング
90…空調マット
91…後端
92…通気孔
L1…シートバック30の回動支点31から後方ストレート部(後方主荷重受け部)51までの距離
L2…後方ストレート部(後方主荷重受け部)51と前方ストレート部(前方主荷重受け部)41との離間距離
H1…乗員の尻部
H2…骨盤
H3…座骨
P1~P6…インサートワイヤのストレート部の仮想位置
W40…前方インサートワイヤの全幅
W50…後方インサートワイヤの全幅

Claims (12)

  1. 車両用シートであって、
    シートパッド、および該シートパッド内に設けられた前方インサートワイヤおよび前記シートパッド内であって前記前方インサートワイヤよりも当該車両用シートの前後方向後方に設けられた後方インサートワイヤを含む座と、
    回動支点を中心としたリクライニング動作が可能な背もたれと、
    前記シートパッドに形成された前吊り込み溝および後吊り込み溝にシートカバーの被吊り込み部を係止させて当該シートカバーを吊り込み支持するための吊り込み構造と、
    を備え、
    複数の屈曲部にて屈曲した形状である前記前方インサートワイヤは、周辺部分よりも後方に突出した形状の前方主荷重受け部を有し、
    複数の屈曲部にて屈曲した形状である前記後方インサートワイヤは、周辺部分よりも前方に突出した形状の後方主荷重受け部を有し、
    前記後方インサートワイヤは、少なくとも前記後方主荷重受け部が前記後吊り込み溝よりも前方となる位置に配置され、
    前記前方インサートワイヤは、少なくとも前記前方主荷重受け部が前記前吊り込み溝よりも後方となる位置に配置され
    前記前方主荷重受け部と前記後方主荷重受け部の少なくとも一方が、当該車両用シートの左右方向の中心線を中心にして左右対称に形成されている、
    車両用シート。
  2. 前記前方主荷重受け部と前記後方主荷重受け部の少なくとも一方が、当該車両用シートの左右方向に延びるストレート部で構成されている、請求項1に記載の車両用シート。
  3. 前記前方インサートワイヤは、当該車両用シートの側面視において、後方に向かうにつれて下がるように傾斜している、請求項1に記載の車両用シート。
  4. 前記後方インサートワイヤは、当該車両用シートの側面視において、前記後方主荷重受け部の周辺部分から該後方主荷重受け部へ向け前方に向かうにつれて下がるように傾斜して設けられている、請求項に記載の車両用シート。
  5. 前記後方主荷重受け部は、前記後方インサートワイヤの中で最下点に位置している、請求項に記載の車両用シート。
  6. 前記前方主荷重受け部の左右方向の長さは、前記後方主荷重受け部の左右方向の長さよりも長い、請求項1からのいずれか一項に記載の車両用シート。
  7. 前記後方主荷重受け部の前方に前記前方主荷重受け部の少なくとも一部が位置するように前記後方インサートワイヤおよび前記前方インサートワイヤが配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載の車両用シート。
  8. 前記前方インサートワイヤの前記屈曲部の数と前記後方インサートワイヤの前記屈曲部の数とが同数である、請求項1からのいずれか一項に記載の車両用シート。
  9. 前記後方インサートワイヤの前記屈曲部が鈍角である、請求項1からのいずれか一項に記載の車両用シート。
  10. 前記前方インサートワイヤは、前記前吊り込み溝よりも後方に配置され、
    前記後方インサートワイヤは、前記後吊り込み溝よりも前方に配置されている、
    請求項1からのいずれか一項に記載の車両用シート。
  11. 前記後方インサートワイヤは、前記回動支点から前記後方主荷重受け部までの距離が170mm以上となる位置に配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載の車両用シート。
  12. 前記前方インサートワイヤは、前記後方主荷重受け部と前記前方主荷重受け部との離間距離が60mm以上70mm以下となる位置に配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用シート。
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