JP7417434B2 - 充放電制御装置、充放電制御システムおよび充放電制御方法 - Google Patents
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Description
経済性モードは、系統電力料金の単価が安い夜間時間帯に蓄電池をできるだけ充電し、料金単価が高い他の時間帯の買電中に蓄電池に蓄えられたエネルギーを放電する。
クリーンモードは太陽光発電の余剰電力で蓄電池の充電を行い買電中に放電することで、系統電力から供給を受ける電力量をなるべく抑制する。
充電モードに関して、停電の予兆を示す情報を取得し、その予兆に基づいてどの程度緊急に蓄電池を充電する必要があるかを示す緊急度を計算し、計算された緊急度に応じて蓄電池に対する充電制御および放電許可制御の何れかを制御する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
上述の停電の予兆は、気象災害、地震災害が生じる予兆を含み、さらに気象災害の予兆を示す情報は台風情報、雷雨情報を含み、地震災害の予兆を示す情報は地震情報を含むとされている。
また、気象情報と連携するものではないが、蓄電装置(蓄電池)の充放電制御に関連して、予め記憶された最低保持残量の電力を蓄電装置に確保し、最低保持残量の値が蓄電装置の電力の実測残量より多い値に変更されたときに蓄電装置を放電停止状態にする電力供給システムが知られている。
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、気象情報の種類または警戒を考慮して適切に蓄電池の充放電制御を行う手法を提供するものである。
この発明による充放電制御システムおよび充放電制御方法も同様の作用効果を奏する。
(実施の形態1)
≪充放電制御装置および充放電制御システムの構成≫
この実施の形態による充放電制御装置を含む充放電制御システムの構成について、図1に基づいて説明する。図1は、この実施の形態による充放電制御装置16を含む充放電制御システム10の構成を示すブロック図である。なお、図1は、充放電制御システム10を戸建て住宅に設置した例を示しているが、充放電制御システムの設置場所はこれに限らない。また、図1では、充放電制御システム10と共に、系統電力網21およびHEMS(Home Energy Management System)サーバー22も図示している。
太陽電池モジュール11は、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換するモジュールである。
パワーコンディショナー12は、発電された電力を負荷で消費できるように変換する装置である。具体的には、パワーコンディショナー12は、太陽電池モジュール11が出力する直流電流の交流電流への変換等を行う。
図1に図示していないが、充放電制御システム10が他の発電装置(例えば燃料ガスを利用して発電する燃料電池等)を含んでもよい。充放電制御装置16が他の発電装置を含む場合、他の発電装置の発電量を例えばセンサで検出して取得することにより他の発電装置の発電量を加味した充放電制御を行うことが可能になる。
スマートメーター15は、需要家(需給契約者)の使用電力量を計測し、発電事業者や系統運用者に送信するデジタルの積算電力計である。
商用電力の買電の有無および買電量は、スマートメーター15と系統電力網21とをつなぐ電力線にセンサを接続することで、そのセンサの出力値から特定できる。また、太陽電池モジュール11の発電電力および蓄電池13の充放電電力を示す情報は、パワーコンディショナー12を介して取得可能である。
さらに、蓄電池13がパワーコンディショナー12に接続されていることから、充放電制御装置16は、パワーコンディショナー12を介して蓄電池13の充放電の切り替え等の制御を行うことができる。
また、機能的構成の観点から気象情報取得部16W、最低保持時間決定部16T、最低保持残量導出部16Rおよび充放電制御部16Cを含んで構成される。
充放電制御部16Cは、上述の特別警報、警報、および注意報などが発令されるような激しい気象条件の場合、系統電力網21からの電力供給が遮断されること、即ち、停電を最悪の事態として想定する。従って、停電が発生しても少なくともN時間(保持時間決定部16Tが決定した時間)は蓄電池13に蓄えたエネルギーから負荷に電力を供給し続けることができるように蓄電池13の充放電を制御し、必要な電力を蓄電池13に貯めておくようにする。ただし、予測される気象条件下において太陽電池モジュール11などの自然エネルギーを利用した発電装置による発電量が見込める場合は、その発電量を差し引いてもよい。一方、特別警報、警報、および注意報が何れも発令されていない穏やかな気象条件であれば、充放電制御部16Cは気象条件に起因する停電が発生する確率は低いものとして節電を優先し、蓄電池13に蓄えられた電力を負荷に供給するように制御する。なお、蓄電池13が負荷に電力を供給できる期間は、その期間における負荷の大きさに依存する。
充放電制御部16Cは、最低保持残量導出部16Rが導き出した目標の電力量を蓄電池13に溜めておくように蓄電池13の充放電を制御する。図1の充放電制御システム10において、蓄電池13の充電は、太陽電池モジュール11および系統電力網21の少なくとも何れかから供給される電力による。
操作ユニット18は、より具体的にはスマートフォンやタブレット端末等からなっていることが好ましいが、それら携帯通信端末に限らず、パーソナルコンピュータ等の据え置き型の端末装置であってもよい。操作ユニット18は、ローカルエリアネットワークや宅外のネットワークNWを介して通信する。携帯通信端末の場合、通信は無線で行われることを前提としているが、据え置き型の端末装置の場合は有線通信であってもよい。
図2の例では、気象情報連携および雷注意報連携の機能を有効にする選択がされている旨が設定表示域19aに表示されている。気象情報連携および雷注意報連携の各機能は、気象連携設定画面19内の後述する設定項目でユーザーが選択および解除できる。また、設定表示域19aの右端部にはホームアイコンが配置されている。ホームアイコンがタッチされると、図2に示す気象連携設定画面から図示しないホーム画面へ遷移する。
地域設定19bの下に気象情報連携設定19cが配置されている。気象情報連携設定19cは、警報および特別警報が発令される気象情報の個別の選択を受け付ける。図2の例では、暴風、暴風雪、大雨、洪水、高潮、大雪、波浪の各種気象情報について個別に選択を受け付ける。また、選択された気象情報の警戒度について、特別警報のみを対象とするか、あるいは特別警報と警報を対象とするかといった警戒度の選択を受け付ける。さらに、個別の気象情報の選択と別に、気象情報連携機能を有効にするか無効にするかの選択を受け付ける。
雷注意報連携設定19dは、上述の気象情報連携機能と別に雷注意報連携機能を有効にするか無効にするかの選択を受け付ける。なお、図2に示す例では気象情報連携設定19cに係る暴風、暴風雪、大雨、洪水、高潮、大雪、波浪の各気象情報については注意報より警戒度の高い警報、特別警報のみを設定対象としている。変形例として、注意報も選択の対象としてもよい。
また、図2に示す例で目安保持時間の設定の単位は時間であるが、それに限るものでない。例えば半時間単位、15分単位あるいは10分単位であってもよい。
一方、「キャンセル」ボタンの操作を受け付けた場合、前記設定内容を確定せずに気象連携設定画面19を現在の設定内容に戻す。
以上が、図2の気象連携設定画面19についての説明である。
系統電力網21は、電力消費設備に電力を供給する電力網であって、発電事業者や系統運用者等によって提供される。この電力の供給は通常有償(買電)である。逆に、充放電制御システム10で発電した電力を系統電力網21に供給(逆潮流)し、その電力を発電事業者や系統運用者等に買い取ってもらうこと(売電)もできる。
HEMSサーバー22は、充放電制御システム10の電力情報を取得し、管理するサーバーである。需要家は、操作ユニット18でHEMSサーバー22にアクセスして発電状況等を確認することができる。
続いて、図1に示す充放電制御装置16による充放電制御の一例を述べる。図3は、充放電制御装置16による充放電制御の一例を示す説明図である。なお、図3の充放電制御は、雷注意報連携が機能しており、気象情報連携機能は機能していない場合を例示している。
図3において、X軸は時間の経過を示している。具体的には朝7時から夜22時までの時間を示している。同日の10時から22時の期間は、雷注意報が発令されている。図3の曲線は、履歴に基づき予測される7時から22時までの消費電力量の推移を示している。Y軸方向が消費電力量の大きさ(予測値)を示している。また、7時、10時および19時における蓄電池13の残量をイラストで示している。
過去の実績は、充放電制御装置16が保持・管理していてもよいが、通信可能な外部の機器が保持・管理しており、最低保持残量導出部16Rが外部の機器から取得してもよい。この実施形態では、HEMSサーバー22が過去の実績を保持・管理しており、最低保持残量導出部16Rからの要求に応じてHEMSサーバー22が取得消費電力の予測値を提供するものとする。
HEMSサーバー22から消費電力量の予測値を取得すると、最低保持残量導出部16Rは、3時間後までの消費電力量をまかなえるだけの蓄電量を最低保持残量として導出する。
蓄電池13の残量が最低保持残量の20%を上回っている限り、充放電制御部16Cは、蓄電池13に蓄えられた電力を負荷へ供給する。即ち、充放電制御部16Cは、蓄電池13の残容量が最低保持残量を上回っている限り、経済性モードあるいはクリーンモードと同様に買電中に蓄電池13の放電を行うように制御する。なお、経済性モード、クリーンモードの何れのモードと同様に充放電を行うかについては、図示しない設定画面(図2の気象連携設定画面19と別の設定画面)で操作ユニット18がユーザーの設定を受け付けるものとする。
13時および16時の時点における最低保持残量の導出および更新についても、10時の時点と同様の処理を最低保持残量導出部16Rが行うものとする。
19時の時点における蓄電池13の残量は、前回の16時の時点で導出された最低保持残量を下回らないように制御された結果、30%である。蓄電池13の残量は、19時の時点で更新された最低保持残量の50%を下回っている。よって充放電制御部16Cは、蓄電池13への充電を優先する充電モードに充放電制御を切替えて蓄電池13を充電する。
図3で述べたように、雷注意報連携機能は、蓄電池13の充放電制御を充電モードに切り換える。しかし、雷注意報連携機能が有効に設定されても、即座に蓄電池13を充電する訳ではない。条件が揃えば充放電制御部16Cは蓄電池13を充電するが、条件が揃わなければ経済性モードあるいはクリーンモードと同様に放電を行う。気象情報連携機能についても同様である。
雷注意報連携状態において、気象情報連携が有効かつ選択された気象情報に係る選択された警報あるいは特別警報が発令された場合、充放電制御部16Cは、気象情報連携状態へ状態を遷移させる。また、雷注意報連携状態において、雷注意報が解除されあるいは雷注意報連携が無効にされた場合、非連携状態へ状態を遷移させる。
以上が、蓄電池13の充放電制御に係る状態遷移である。
図4に示すように、この実施形態において充放電制御の遷移にともない、最低保持残量も遷移する。
非連携状態の最低保持残量は、予め定められた最低保持残量である。この最低保持残量は、ユーザーが定義した値であり、例えば、蓄電池容量の20%である。非連携状態において、充放電制御部16Cは、蓄電池の残量が最低保持残量を下回らないように、蓄電池13の充放電を制御する。
雷注意報連携状態において、気象情報連携が有効かつ選択された気象情報に係る選択された警報あるいは特別警報が発令された場合、充放電制御部16Cは、最低保持残量を気象情報連携状態の最低保持残量変更する。また、雷注意報連携状態において、雷注意報が解除されあるいは雷注意報連携が無効にされた場合、非連携状態の最低保持残量に変更する。
ここで、気象情報連携状態の最低保持残量は、雷注意報連携状態の最低保持残量よりも大きい。充放電制御部16Cは、最低保持残量が気象情報連携状態の最低保持残量より小さく、蓄電池13の残量が、最低保持時間に対応する最低保持残量を上回っていれば蓄電池13の充電を行わない。したがって、雷注意報連携状態は、気象情報連携状態と比較して、充電する頻度や、充電量を抑制することができる。
以下、フローチャートを参照しながら、充放電制御装置16が実行する処理の一例を述べる。
図5A~図5Dは、図1に示す充放電制御装置が実行する充放電制御の一例を示すフローチャートである。ここでは、雷注意報連携状態における充放電制御を代表例として述べる。非連携状態および気象情報連携状態における処理は、当業者であれば雷注意報連携状態の処理から容易に類推できるであろう。
図5A~図5Dの処理は、逐次実行される。
雷注意報連携設定が有効であれば(ステップS11のYes)、気象情報連携が無効または有効であっても選択された気象情報に係る選択された警報等の発令がされていない状態か否かを確認する(ステップS13)。気象情報連携が有効かつ選択された気象情報に係る選択された警報等が発令されていれば(ステップS13のNo)、より優先度の高い気象情報連携状態をとるので、雷注意報連携状態として実行すべき処理がないと判断して処理を終了する。
そして、系統電力が稼働しているか、即ち停電が発生していないかを調べる(ステップS23)。
停電が発生していなければ(ステップS23のYes)最低保持時間決定部16Tとして充放電制御装置16は、図2の最低保持時間設定19eで設定された内容に基づいて最低保持時間を取得する(ステップS25)。
履歴は、例えばAI(Artificial Intelligence)の技術を応用して提供されてもよく、また、一つの需要家だけでなく多数の需要家の履歴に基づいて提供されてもよい。
雷注意報が解除されている場合(ステップS39のNo)、雷注意報連携状態を解除し、他の状態に遷移させるようにする(ステップS35)。上述のように、雷注意報連携が解除された旨をユーザーに通知してもよい。
停電が発生していなければ(ステップS41のYes)、続いて充放電制御装置16は、先のステップS29で最低保持残量を求めてから予め定められた期間(この実施形態では3時間としている)が経過し、最低保持残量を更新すべき時期が来ているか否かを調べる(ステップS43)。
一方、最低保持残量を更新すべき時期がきたと判断した場合(ステップS43のYes)、充放電制御装置16は前述のステップS25(図5A参照)へ処理を戻して、最低保持時間および消費電力の予測値に基づいて更新された最低保持残量を求める処理を上述した手順で繰り返す。
状況に応じて自立運転の開始をユーザーに通知してもよい(ステップS53)。通知は操作ユニット18の画面に表示してもよいが、例えば音声の通知であってもよい。通知の一例は、画面表示、音声通知ともに次のようなものである。「蓄電池システムが自立運転に切り替わりました。停電の可能性があります。ご自宅の状況を確認してください。」
一方、停電が復旧した場合(ステップS57のYes)、充放電制御装置16はシステムの自立運転を解除する(ステップS61)。状況に応じて自立運転の解除をユーザーに通知してもよい。通知は操作ユニット18の画面に表示してもよいが、例えば音声の通知であってもよい。通知の一例は、画面表示、音声通知ともに次のようなものである。「停電から復旧しました。蓄電池システムの自立運転を解除しました。」
充放電制御装置16は、処理をステップ図5AのS11に戻し、以降の処理を実行する。
ステップS31で、充放電制御部16Cとして充放電制御装置16は、蓄電池13の現時点の残量を取得する(図5DのステップS71)。そして、取得した残量を目標とする最低保持残量と比較する(ステップS73)。
蓄電池13の残量が目標の最低保持残量未満の場合(ステップS73のYes)、充放電制御部16Cとして充放電制御装置16は、蓄電池13を充電する運転を行い(ステップS75)、ステップS31の処理を終了する。
一方、蓄電池13の残量が目標の最低保持残量以上の場合(ステップS73のNo)、充放電制御装置16は、非連携状態の運転モード(経済性モードまたはクリーンモード)と同様に、蓄電池の充放電制御を行い(ステップS77)、ステップS31の処理を終了する。
以上が、雷注意報連携状態において充放電制御装置16が実行する処理である。
実施の形態1では、警戒度が注意報レベルの雷注意報連携状態と、警戒度がより高い警報および特別警報レベルの気象情報連携状態と、警戒度がゼロの非連携状態との間の状態遷移について述べた。
異なる警戒度を有する複数の状態がある場合、高い警戒度の状態を優先するように状態を遷移させる処理は実施の形態1に限るものでない。
例えば、警戒度が高くなるほど長い最低保持時間を適用して充放電制御を行うようにしてもよい。また、異なる警戒度に対してユーザーが個別の最低保持時間を設定できるようにしてもよい。
異なる種類の気象情報に係る注意報、警報あるいは特別警報が並行して発令される事態が起こりえる。例えば、暴風について特別警報が発令されると同時に大雨について警報が発令されることがあり得る。さらに並行して、洪水について注意報が発令されることがあり得る。
さらに、異なる気象条件で消費電力の予測値が異なる場合が考えられる。その場合、充放電制御装置16は、それぞれに対応した最低保持残量を求めたうえで、最も大きな最低保持残量を採用して蓄電池13の充放電制御を行うようにすればよい。
実施の形態1において、最低保持残量導出部16Rは、履歴に基づいて消費電力の予測値を取得する。
しかし、履歴を取得するにあたって、近似した条件における過去のデータが十分に蓄積されていない場合も考えられる。あるいは、通信障害等によって外部から予測値が取得できないことも考えられる。
そのような場合、最低保持残量導出部16Rは、消費電力の予測値を取得する通常の処理に代えて、予め定められた最低保持残量を適用してもよい。そして、充放電制御部16Cは、その最低保持残量を用いて充放電制御を行うようにしてもよい。
この場合、異なる種類の気象情報に係る異なる警戒度を有する情報が発令された場合、充放電制御装置16はそれぞれに対応した最低保持残量を決定したうえで、最も多い最低保持残量を採用して蓄電池13の充放電制御を行うようにすればよい。
実施の形態1において、気象情報連携状態の最低保持残量は、目安保持時間に対応する最低保持残量である。
しかし、気象情報連携状態の最低保持残量を導出する処理に代えて、予め定められた最低保持残量を適用してもよい。この場合、例えば気象情報の種類や、警報と特別警報の違いに対応して警戒度別に最低保持残量の設定を受け付けるようにしてもよい。また、気象情報の種類別に最低保持残量の設定を受け付けるようにしてもよく、それらが組み合わされてもよい。
雷注意報連携状態において、充放電制御部16Cは、最低保持残量が気象情報連携状態の最低保持残量より小さく、雷蓄電池13の残量が、最低保持時間に対応する最低保持残量を上回っていれば蓄電池13の充電を行わない。したがって、雷注意報連携状態は、気象情報連携状態と比較して、充電する頻度や、充電量を抑制することができる。
実施の形態1において、気象情報取得部16Wは、逐次外部から提供される気象情報を取得する。しかし、通信障害等のために外部から気象情報を取得できない状況に陥ることも考えられる。
そこで、予め定められた期間継続して外部から気象情報が取得できない場合、充放電制御部16Cは気象情報がなくても運転できる非連携状態に充放電制御を遷移させるようにしてもよい。
この実施形態では、蓄電池13が、独立して充放電可能な2台以上の蓄電池(例えば、蓄電池13Aおよび13Bで構成される場合について述べる。その場合、蓄電池の最低保持残量を蓄電池毎に設定すればよい。最低保持残量は、すべての蓄電池の最低保持残量を同じ値に設定してもよく、それぞれに異なる値を設定してもよい。
雷注意報連携状態において、充放電制御部16Cは、残量が最低保持残量より少ない蓄電池があれば、充電する。(以下、この充電制御を補充電と呼ぶ。)また、補充電中は、残量が最低保持残量より多い蓄電池があれば、放電せず、待機とする。したがって、蓄電池毎に、充電または待機のいずれかの制御を行う。すべての蓄電池の残量が最低保持残量より多くなれば、補充電を終了する。
充放電制御部16Cは、蓄電池13Bの残量が最低保持残量の40%を上回る55%の状態であっても、蓄電池13Aの補充電が終わるまで蓄電池13Bの放電を行わずに待機させる。その後、蓄電池13Aが最低保持残量の50%まで充電されて補充電処理が完了すると、充放電制御部16Cは、蓄電池13Bを最低保持残量の40%まで放電させる。
警戒度が高い状態ないしは低い状態(雷注意報連携モードや気象警報連携モード)から、雷注意報や気象警報が解除されて警戒度ゼロの状態(雷注意報連携モードや気象警報連携モードになる前の自動運転モード)に戻る場合において、最低保持残量導出部16Rは設定された最低保持残量(雷注意報連携モードや気象警報連携モードでの最低保持残量)から警報や注意報が発令される前に設定されていた最低保持残量(雷注意報連携モードや気象警報連携モードになる前の自動運転モードでの最低保持残量)に戻す処理をしてもよい。前に設定されていた最低保持残量に戻す処理を行うために、最低保持残量導出部16Rは、警報や注意報が発令された段階において設定されていた最低保持残量を充放電制御装置16の図示しないメモリーに記憶しておけばよい。なお、停電などが発生した場合においても消去されないように不揮発性の記憶領域に最低保持残量を記憶しておくことが好ましい。
蓄電池13が、バーチャルパワープラント(VPP)の制御機器として、外部の電力事業者によって制御される場合などにおいて、気象警報や雷注意報が発令された場合は、雷注意報連携状態や気象情報連携状態が優先される。気象警報や雷注意報が発令されたときの状態遷移を図7に示す。
図7を図4と比較すると、図4における気象情報・雷注意報非連携状態と図7のVPP制御可能状態とが対応している。即ち、VPP制御可能状態において雷注意報または気象警報が発令された場合の状態遷移は図4と同様である。また、発令されていた雷注意報または気象警報が解除された場合の状態遷移も図4と同様である。
図7において、VPP制御可能状態において外部の電力事業者からデマンドレスポンス(DR)の要請を受けた場合等において、充放電制御部16Cは、VPP制御可能状態をVPP制御状態へ移行させて、要請に応じた蓄電池13の充放電制御を行う。
なお、VPP制御状態から雷注意報連携状態または気象情報連携状態へ遷移した場合であっても、雷注意報および気象警報が解除された場合の遷移先はVPP制御状態でなくVPP制御可能状態である。
(i)この発明による充放電制御装置は、蓄電装置の充放電を制御する充放電制御部と、1以上の防災気象情報を外部から取得する気象情報取得部と、前記蓄電装置から負荷へ継続して電力を供給できるようにする保持時間を決定する保持時間決定部と、決定された保持時間中に予測される電力負荷に基づいて、前記蓄電装置が保持すべき最低保持残量を導出する最低保持残量導出部とを備え、前記保持時間決定部は、前記防災気象情報の種類または警戒度の少なくとも何れかに応じて前記保持時間を決定し、前記充放電制御部は、前記防災気象情報が取得された場合、導出された最低保持残量を参照して前記蓄電装置の充放電を制御することを特徴とする。
さらにまた、電力負荷の予測は、例えば履歴に基づいて行われてもよく、履歴は一つの需要家に限らず多数の需要家の履歴であってもよい。それらの履歴は、充放電制御装置が保持していてもよいが、通信を介して接続された外部の機器から取得してもよい。
また、充放電制御部は、蓄電池の充放電の制御を行うものである。その具体的な態様は、例えば、CPUおよびメモリーを中心としたハードウェア構成を有し、前記メモリーに格納された制御プログラムをCPUが実行することによって充放電制御の機能が実現されるものが挙げられる。
(ii)前記最低保持時間のユーザーによる設定を受付ける操作ユニットをさらに備え、前記最低保持時間決定部は、前記操作ユニットが受付けた設定に基づいて最低保持時間を決定してもよい。
このようにすれば、ユーザーが操作ユニットを用いて最低保持時間を設定し更新できる。また、最低保持時間はその名の通り時間を尺度とするので、ユーザーが日常で意識せず馴染みのない電力量あるいは蓄電池容量に比べるとユーザーが直感的に把握し易い。
このようにすれば、予測される気象の種類や激しさの度合い、即ち警戒度の高さに応じて適切な最低保持時間を決定できる。
ここで警戒度は、警戒を要する度合いをいう。危険の度合いともいえる。
このようにすれば、異なる種類の複数の気象情報が同時に得られた場合に、最も安全な側に最低保持時間が決定される。
このようにすれば、例えば、履歴のデータが十分に蓄積されていない場合や、激しい気象に起因する通信障害によって外部から履歴データが取得できない場合などにおいても予め定められた値を用いて最低保持残量を導出できる。
(vii)また、この発明の好ましい態様はコンピュータが実行するステップとして、1種類以上の気象情報を外部から取得するステップと、蓄電装置が負荷に電力を供給できるようにする最低保持時間を決定するステップと、決定された最低保持時間中に予測される電力負荷に基づいて、前記蓄電装置が保持しておくべき最低保持残量を導出するステップと、導出された最低保持残量を参照して前記蓄電装置の充放電を制御するステップと、を備える充放電制御方法を含む。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
NW:ネットワーク
Claims (10)
- 蓄電装置の充放電を制御する充放電制御部と、
1以上の防災気象情報を外部から取得する気象情報取得部と、
前記蓄電装置から負荷へ継続して電力を供給できるようにする保持時間を決定する保持時間決定部と、
決定された保持時間中に予測される電力負荷に基づいて、前記蓄電装置が保持すべき最低保持残量を導出する最低保持残量導出部とを備え、
前記保持時間決定部は、前記防災気象情報の種類または警戒度の少なくとも何れかに応じた設定に基づいて前記保持時間を決定し、
前記充放電制御部は、前記防災気象情報が取得された場合、導出された最低保持残量を参照して前記蓄電装置の充放電を制御する充放電制御装置。 - 前記保持時間のユーザーによる設定を受付ける操作ユニットをさらに備え、
前記保持時間決定部は、前記操作ユニットが受付けた設定に基づいて保持時間を決定する請求項1に記載の充放電制御装置。 - 前記最低保持残量導出部は、前記防災気象情報が取得され、取得された防災気象情報が継続している間、前記保持時間に対応する最低保持残量を導出して更新する、請求項1または2に記載の充放電制御装置。
- 前記保持時間決定部は、異なる種類の複数の気象情報を前記気象情報取得部が取得している場合、それぞれの気象情報に応じた保持時間のうち最も長い時間をその場合の保持時間として決定する請求項3に記載の充放電制御装置。
- 前記気象情報取得部は、前記防災気象情報よりもさらに警戒度の高い第2防災気象情報をさらに取得し、
前記充放電制御部は、前記第2防災気象情報が取得された場合、前記防災気象情報に基づく充放電制御が行われているか否かにかかわらず、前記蓄電装置を満充電にするように制御する請求項1に記載の充放電制御装置。 - 前記気象情報取得部は、保持時間と対応付けられる前記防災気象情報に加えて、所定の最低保持残量と対応付けられる第2防災気象情報をさらに取得し、
前記充放電制御部は、前記第2防災気象情報が取得された場合、前記防災気象情報に基づく充放電制御が行われているか否かにかかわらず、前記第2防災気象情報に対応付けられた最低保持残量に基づいて前記蓄電装置の充放電を制御する請求項1に記載の充放電制御装置。 - 前記気象情報取得部は、保持時間と対応付けられる前記防災気象情報に加えて、所定の最低保持残量と対応付けられる第2防災気象情報をさらに取得し、
前記充放電制御部は、前記防災気象情報および前記第2防災気象情報が何れも取得された場合、取得された防災気象情報に基づく最低保持残量および取得された第2防災気象情報に対応付けられた最低保持残量のうち最も大きい最低保持残量に基づいて前記蓄電装置の充放電を制御する請求項1に記載の充放電制御装置。 - 外部の機器と通信する通信インターフェース回路をさらに備え、
前記最低保持残量導出部は、履歴を格納した外部の機器と通信して保持時間中の前記電力負荷に係る予測値を取得するようにし、その予測値が取得できない場合は予め定められた最低保持残量を適用する請求項1~7の何れか一つに記載の充放電制御装置。 - 請求項1~8の何れか一つに記載の充放電制御装置と、
前記充放電制御装置が制御の対象とする蓄電装置と、
を備える充放電制御システム。 - コンピュータが実行するステップとして、
1種類以上の防災気象情報を外部から取得するステップと、
前記防災気象情報の種類または警戒度の少なくとも何れかに応じた設定に基づく保持時間であって、蓄電装置が負荷へ継続して電力を供給できるようにする保持時間を決定するステップと、
決定された保持時間中に予測される電力負荷に基づいて、前記蓄電装置が保持しておくべき最低保持残量を導出するステップと、
導出された最低保持残量を参照して前記蓄電装置の充放電を制御するステップと、
を備える充放電制御方法。
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