以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。まず、いくつかの比較例について説明する。
(第1の比較例)
図1は、第1の比較例の半導体記憶装置の一例を示す図である。
半導体記憶装置10は、たとえば、強誘電体メモリ(FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory))である。半導体記憶装置10は、メモリセル11を含む複数のメモリセルと、リファレンスセル12,13を含む複数のリファレンスセルと、読み出し回路(以下プリセンスアンプという)14,15,16と、判定回路17を有する。なお、半導体記憶装置10のその他の構成(コラムデコーダやロウデコーダなど)については図示が省略されている。
また、以下の説明では、リファレンスセル12が論理値“1”のデータを記憶し、リファレンスセル13が論理値“0”のデータを記憶するものとしているが、記憶されるデータが入れ替わってもよい。すなわち、リファレンスセル12が論理値“0”のデータを記憶し、リファレンスセル13が論理値“1”のデータを記憶してもよい。
メモリセル11は、nチャネル型MOSFET(以下nMOSトランジスタと略す)11a、キャパシタ11bを有する。nMOSトランジスタ11aのゲートは、ワード線WLに接続され、ドレイン及びソースの一方は、ビット線BLに接続され、ドレイン及びソースの他方は、キャパシタ11bの一端に接続されている。キャパシタ11bの他端は、プレート線PLに接続されている。
リファレンスセル12は、nMOSトランジスタ12a、キャパシタ12bを有する。nMOSトランジスタ12aのゲートは、ワード線WLに接続され、ドレイン及びソースの一方は、ビット線BLR1に接続され、ドレイン及びソースの他方は、キャパシタ12bの一端に接続されている。キャパシタ12bの他端は、プレート線PLに接続されている。
リファレンスセル13は、nMOSトランジスタ13a、キャパシタ13bを有する。nMOSトランジスタ13aのゲートは、ワード線WLに接続され、ドレイン及びソースの一方は、ビット線BLR0に接続され、ドレイン及びソースの他方は、キャパシタ13bの一端に接続されている。キャパシタ13bの他端は、プレート線PLに接続されている。
リファレンスセル12,13は、メモリセル11に対する読み出し時に、メモリセル11と共に読み出し対象になる。
図1では図示が省略されているが、ビット線BLには、メモリセル11の他にも、それぞれ異なるワード線及びプレート線に接続された複数のメモリセルが接続されている。また、他のビット線にもそれぞれ異なるワード線及びプレート線に接続された複数のメモリセルが接続されている。それらのメモリセルも、メモリセル11と同様の回路構成である。また、ビット線BLR1,BLR0には、リファレンスセル12,13の他にも、それぞれ異なるワード線及びプレート線に接続された複数のリファレンスセルが接続されている。それらのメモリセルも、リファレンスセル12,13と同様の回路構成である。
以下、キャパシタ11b,12b,13bは、強誘電体キャパシタであるものとして説明するが、強誘電体キャパシタに限定されるものではない。
上記のメモリセル11のキャパシタ11bには、論理値“0”または論理値“1”のデータに対応した電荷量の電荷が蓄積される。一方、リファレンスセル12のキャパシタ12bには、論理値“1”のデータに対応した電荷量の電荷が蓄積される。また、リファレンスセル13のキャパシタ13bには、論理値“0”のデータに対応した電荷量の電荷が蓄積される。論理値“1”のデータは論理値“0”のデータよりも読み出し時のビット線の電圧の変化速度が速い。
プリセンスアンプ14は、メモリセル11とビット線BLを介して接続され、メモリセル11の読み出し時に、ビット線BLの電圧を増幅した増幅信号を生成する。また、プリセンスアンプ14は、プリセンスアンプ15が出力する後述の信号STOPの電圧が所定の閾値以上になった場合、ビット線BLの電圧をGNDに引き下げる。
プリセンスアンプ14は、初期化回路14a、増幅回路14b、リセット回路14cを有する。
初期化回路14aは、ビット線BLに接続されており、制御信号BUSGNDに基づいて、ビット線BLの電圧をGNDに引き下げる。初期化回路14aは、たとえば、nMOSトランジスタ14a1を有する。nMOSトランジスタ14a1のゲートには、制御信号BUSGNDが供給される。nMOSトランジスタ14a1のソースは接地され、ドレインはビット線BLに接続されている。制御信号BUSGNDはタイミング生成回路(図示が省略されている)から供給される。
増幅回路14bは、ビット線BLの電圧を増幅する。増幅回路14bは、たとえば、キャパシタ14b1,14b3、インバータ14b2,14b4を有する。キャパシタ14b1の一端はビット線BLに接続され、キャパシタ14b1の他端はインバータ14b2の入力端子に接続されている。インバータ14b2の出力端子はキャパシタ14b3の一端に接続され、キャパシタ14b3の他端はインバータ14b4の入力端子に接続されている。インバータ14b4の出力端子は、リセット回路14cに接続されている。また、図1のプリセンスアンプ14の例では、インバータ14b4の出力信号が、プリセンスアンプ14の出力信号である増幅信号Poutである。
リセット回路14cは、信号STOPの電圧が所定の閾値以上になった場合、ビット線BLの電圧をGNDに引き下げる。リセット回路14cは、nMOSトランジスタ14c1と、検出回路14c2を有する。nMOSトランジスタ14c1のゲートには、信号STOPが供給される。nMOSトランジスタ14c1のソースは接地され、ドレインはビット線BLに接続されている。上記閾値は、nMOSトランジスタ14c1の閾値電圧である。
なお、プリセンスアンプ14において、検出回路14c2は機能していない。検出回路14c2は、同様の検出回路15c2を有するプリセンスアンプ15と負荷を揃えるために設けられているが、なくてもよい。
複数のメモリセルが接続される他のビット線にも、プリセンスアンプ14と同様の回路構成のプリセンスアンプが接続されている。
一方、プリセンスアンプ15は、リファレンスセル12に対してビット線BLR1を介して接続され、メモリセル11に対する読み出し時に、ビット線BLR1の電圧を増幅した増幅信号Pout1を生成する。また、プリセンスアンプ15は、その増幅信号Pout1を遅延させた信号STOPを出力する。
プリセンスアンプ15は、プリセンスアンプ14と同様に、初期化回路15a、増幅回路15b、リセット回路15cを有する。たとえば、初期化回路15aは、nMOSトランジスタ15a1を有し、増幅回路15bは、キャパシタ15b1,15b3、インバータ15b2,15b4を有し、リセット回路15cは、nMOSトランジスタ15c1と、検出回路15c2を有する。
これら各回路要素の接続関係は、リセット回路15cを除いてプリセンスアンプ14の各回路要素の接続関係と同じである。
プリセンスアンプ15のリセット回路15cにおいて、検出回路15c2は、増幅回路15bの出力信号(増幅信号Pout1)を遅延させた信号STOPを出力する。検出回路15c2は、たとえば、偶数段のインバータや遅延回路を用いて構成可能である。
プリセンスアンプ16は、リファレンスセル13に対してビット線BLR0を介して接続され、メモリセル11に対する読み出し時に、ビット線BLR0の電圧を増幅した増幅信号を生成する。プリセンスアンプ16の回路構成は、プリセンスアンプ15の回路構成と同じであるが、図1の半導体記憶装置10の例では、信号STOPは出力されていない。
判定回路17は、増幅信号Pout,Pout1の電位差、及び増幅信号Pout,Pout0の電位差に基づいて、メモリセル11のデータの論理値を判定した判定結果を出力する。
たとえば、判定回路17は、増幅信号Pout,Pout1の電位差を増幅するセンスアンプと、増幅信号Pout,Pout0の電位差を増幅するセンスアンプとを有し、両センスアンプの出力端子を短絡したものである。両センスアンプのうち、入力される2つの増幅信号の電位差が大きい方が先に強力に増幅を行い、他方のセンスアンプを従属させることで、判定結果が確定される。
以下、第1の比較例の半導体記憶装置10の読み出し時の動作例を説明する。なお、制御信号BUSGNDの論理レベルはL(Low)レベルであるものとする。図1には、ワード線WL、プレート線PL、ビット線BLの電圧と、増幅信号Poutと、信号STOPの時間変化の様子が示されている。
タイミングt1において、ワード線WLに所定の電圧(nMOSトランジスタ11a,12a,13aの閾値電圧以上の電圧)が印加されると、nMOSトランジスタ11a,12a,13aがオンする。
さらに、タイミングt2において、プレート線PLに所定の電圧(読み出し用の電圧)が印加されると、キャパシタ11bに蓄積された電荷量に応じた電荷がビット線BLに読み出される。その結果、ビット線BLの電圧が上昇する。図1の例では、メモリセル11に論理値“0”のデータが記憶されている場合よりも、メモリセル11に論理値“1”のデータが記憶されている場合の方が、ビット線BLの電圧の変化速度が速い。また、ビット線BLの電圧が上昇すると、増幅信号Poutの電圧も上昇する。
図1では図示が省略されているが、増幅信号Pout1の電圧は、メモリセル11に論理値“1”のデータが記憶されている場合の、増幅信号Poutの電圧の変化と同様に変化する。また、増幅信号Pout0の電圧は、メモリセル11に論理値“0”のデータが記憶されている場合の、増幅信号Poutの電圧の変化と同様に変化する。
プリセンスアンプ14に供給される信号STOPがnMOSトランジスタ14c1の閾値電圧Vthに達すると(タイミングt3)、nMOSトランジスタ14c1がオンし、ビット線BLの電圧はGNDに引き下げられる。
nMOSトランジスタ14c1がオフのままであると、ビット線BLの電圧の上昇が続き、タイミングt3以降も、論理値“0”のデータの読み出し時にも、点線で示されているように、増幅信号Poutが上昇する。論理値“1”のデータの読み出し時には、増幅信号Poutの上昇は電源電圧VDDで飽和するため、両論理値の間の増幅信号Poutの差が小さくなり、読み出しマージンが低下してしまう。半導体記憶装置10の微細化に伴ってビット線BLの抵抗が大きくなると、ビット線BLの電圧の上昇が小さくなるため、両論理値の間の増幅信号Poutの差がより小さくなる。このため、判定回路17において正しい判定結果が得られない可能性がある。
これに対して、第1の比較例の半導体記憶装置10では、タイミングt3において、ビット線BLの電圧がGNDに引き下げられるため、論理値“0”のデータの読み出し時にも、増幅信号Poutの上昇が止まる。そのため、両論理値のデータの読み出し時の増幅信号Poutの差が小さくなることが抑制され、読み出しマージンの低下を抑制できる。したがって、半導体記憶装置10の信頼性を向上できる。
また、図1の例では、信号STOPが、論理値“1”のデータが読み出される場合の増幅信号Poutが飽和するタイミングで、閾値電圧Vthに達するように、検出回路15c2における増幅信号Pout1に対する信号STOPの遅延時間が設定されている。これにより、読み出しマージンをより大きくすることができる。
なお、上記の説明では、プリセンスアンプ16は、信号STOPを出力しないものとしたが、プリセンスアンプ16もプリセンスアンプ15と同様に信号STOPを出力してもよい。その場合、たとえば、プリセンスアンプ15,16の各々から出力される信号STOPの論理和を出力するOR回路が設けられる。これにより、リファレンスセル12に論理値“0”のデータ、リファレンスセル13に論理値“1”のデータが記憶される場合にも対応できる。
(第2の比較例)
図2は、第2の比較例の半導体記憶装置の一例を示す図である。
第2の比較例の半導体記憶装置20は、アドレスバッファ21、コマンドバッファ22、ロウデコーダ23、タイミング生成回路24、コラムデコーダ25、プレート線ドライバ26、ワード線ドライバ27を有する。さらに半導体記憶装置20は、メモリセルアレイ28、コラムスイッチ29、センスアンプ部30、ライトバッファ31、リードバッファ32を有する。
アドレスバッファ21は、半導体記憶装置20の外部からアドレス端子21aを介して供給されるアドレス信号ADSを受信し、受信したアドレス信号ADSを、ロウデコーダ23及びコラムデコーダ25に供給する。
コマンドバッファ22は、半導体記憶装置20の外部からコマンド端子22a,22b,22cを介して供給されるチップセレクト信号/CS、ライトイネーブル信号/WE、及び出力イネーブル信号/OEを受信する。そして、コマンドバッファ22は、受信したチップセレクト信号/CS、ライトイネーブル信号/WE、及び出力イネーブル信号/OEを、タイミング生成回路24に供給する。
ロウデコーダ23は、アドレス信号ADSに含まれるロウアドレス(たとえば、アドレス信号ADSの上位側のビット)をデコードすることでロウデコード信号を生成し、生成したロウデコード信号をプレート線ドライバ26及びワード線ドライバ27に供給する。
タイミング生成回路24は、チップセレクト信号/CS、ライトイネーブル信号/WE、及び出力イネーブル信号/OEが示す動作モードをデコードする。そして、タイミング生成回路24は、そのデコード結果に基づいて、プレート線ドライバ26、ワード線ドライバ27、センスアンプ部30などを動作させる各種のタイミング信号を生成し、各部に供給する。
コラムデコーダ25は、アドレス信号ADSに含まれるコラムアドレス(たとえば、アドレス信号ADSの下位側のビット)をデコードすることでコラムデコード信号を生成し、生成したコラムデコード信号をコラムスイッチ29に供給する。
プレート線ドライバ26は、複数のプレート線(図2では図示が省略されている)のうち、ロウデコード信号により指定されるプレート線に、タイミング信号に基づいたタイミングで、所定期間、所定の電圧を印加する。
ワード線ドライバ27は、複数のワード線(図2では図示が省略されている)のうち、ロウデコード信号により指定されるワード線に、タイミング信号に基づいたタイミングで、所定期間、所定の電圧を印加する。
メモリセルアレイ28は、マトリクス状に配置された複数のメモリセルと、複数のビット線、複数のワード線及び複数のプレート線を有する(後述の図3参照)。
コラムスイッチ29は、コラムデコード信号に基づいて、メモリセルアレイ28の複数のビット線のうち、センスアンプ部30とライトバッファ31に接続するビット線を選択する。
センスアンプ部30は、タイミング生成回路24から供給される複数のタイミング信号に基づいたタイミングで、メモリセルアレイ28からのデータの読み出しを行う。
ライトバッファ31は、入出力端子31aを介して供給されるライトデータを保持する。また、ライトバッファ31は、書き戻しのため、センスアンプ部30が読み出したデータを保持する機能を有する。
リードバッファ32は、センスアンプ部30によりメモリセルアレイ28から読み出されたリードデータを保持する。リードデータは入出力端子31aを介して、半導体記憶装置20の外部に出力される。
図3は、メモリセルアレイの一例を示す図である。
メモリセルアレイ28は、ビット線BLR0,BLR1,BL[0],…,BL[L-1],BL[L]、ワード線WL1~WLm、プレート線PL1~PLmを有する。ビット線BLR0,BLR1,BL[0]~BL[L]の各々には、m個のメモリセルが接続されている。たとえば、ビット線BLR0には、メモリセル28a1~28amが接続されており、ビット線BLR1には、メモリセル28b1~28bmが接続されている。また、ビット線BL[0]には、メモリセル28c1~28cmが接続されており、ビット線BL[L-1]には、メモリセル28d1~28dmが接続されており、ビット線BL[L]には、メモリセル28e1~28emが接続されている。
各メモリセルは、ワード線WL1~WLmの何れかと、プレート線PL1~PLmの何れかに接続されている。たとえば、メモリセル28am,28bm,28cm,28dm,28emは、ワード線WLmとプレート線PLmに接続され、メモリセル28a1,28b1,28c1,28d1,28e1は、ワード線WL1とプレート線PL1に接続されている。
各メモリセルは、nMOSトランジスタ(アクセストランジスタ、またはアクセスゲートと呼ばれる場合もある)と、キャパシタを有する。たとえば、メモリセル28amは、nMOSトランジスタ28am1と、キャパシタ28am2を有する。nMOSトランジスタ28am1のゲートは、ワード線WLmに接続され、ドレイン及びソースの一方は、ビット線BLR0に接続され、ドレイン及びソースの他方は、キャパシタ28am2の一端に接続される。キャパシタ28am2の他端は、プレート線PLmに接続されている。他のメモリセルも同様の回路構成となっている。
なお、以下の説明では、各メモリセルに含まれるキャパシタは、強誘電体キャパシタであるものとして説明するが、強誘電体キャパシタに限定されるものではない。
このようなメモリセルアレイ28において、たとえば、ビット線BLR0に接続されるメモリセル28a1~28amの各々は、論理値“0”のデータを記憶するリファレンスセルとして機能する。また、ビット線BLR1に接続されるメモリセル28b1~28bmの各々は、論理値“1”のデータを記憶するリファレンスセルとして機能する。その他のビット線BL[0]~BL[L]に接続されるメモリセルには、論理値“0”または論理値“1”のデータが記憶される。
データ読み出し時には、ワード線WL1~WLm(またはプレート線PL1~PLm)の何れか1つに接続され、ビット線BLR0,BLR1,BL[0]~BL[L]に接続されたL+3個のメモリセルが同時に選択される。なお、ワード線WL1~WLm、及びプレート線PL1~PLmの各々には、上記のように同時に選択されるL+3個のメモリセルによるメモリセル群が、N(N≧2)群、接続されていてもよい。
図4は、センスアンプ部の一例を示す図である。
センスアンプ部30は、複数のプリセンスアンプ(プリセンスアンプ30a,30b,30c,30dなど)と、複数のセンスアンプ(センスアンプ30e,30f,30g,30hなど)を有する。図4では、プリセンスアンプは“PA”と表記されており、センスアンプは“S/A”と表記されている。
プリセンスアンプ30aは、ビット線BLR0の電圧を増幅し、プリセンスアンプ30bは、ビット線BLR1の電圧を増幅する。プリセンスアンプ30cは、ビット線BL[L-1]の電圧を増幅し、プリセンスアンプ30dは、ビット線BL[L]の電圧を増幅する。また、プリセンスアンプ30bは、信号STOPをプリセンスアンプ30a,30c,30dに供給する。
センスアンプ30e,30fでは、各々の第1の入力端子が互いに接続されていると共に、第1の入力端子に、プリセンスアンプ30cの出力信号が供給される。また、センスアンプ30eの第2の入力端子には、プリセンスアンプ30bの出力信号が供給され、センスアンプ30fの第2の入力端子には、プリセンスアンプ30aの出力信号が供給される。
センスアンプ30e,30fのうち、第1の入力端子と第2の入力端子に入力される2つの出力信号の電位差が大きい方が先に強力に増幅を行い、他方のセンスアンプを従属させることで、読み出しデータの論理値の判定結果が確定される。
センスアンプ30g,30hでは、各々の第1の入力端子が互いに接続されていると共に、第1の入力端子に、プリセンスアンプ30dの出力信号が供給される。また、センスアンプ30gの第2の入力端子には、プリセンスアンプ30bの出力信号が供給され、センスアンプ30hの第2の入力端子には、プリセンスアンプ30aの出力信号が供給される。
センスアンプ30g,30hのうち、第1の入力端子と第2の入力端子に入力される2つの出力信号の電位差が大きい方が先に強力に増幅を行い、他方のセンスアンプを従属させることで、読み出しデータの論理値の判定結果が確定される。
また、センスアンプ30e,30f,30g,30hには、タイミング生成回路24が出力するタイミング信号の1つである信号SAONと、その反転信号SAONBが供給される。
図4には、センスアンプの回路構成の一例が示されている。
センスアンプ30gは、pMOSトランジスタ30g1,30g2,30g3、nMOSトランジスタ30g4,30g5,30g6を有する。センスアンプ30gは、さらに、nMOSトランジスタとpMOSトランジスタにより構成されたスイッチ30g7,30g8を有する。
pMOSトランジスタ30g1のソースには電源電圧VDDが供給され、pMOSトランジスタ30g1のゲートには反転信号SAONBが供給される。pMOSトランジスタ30g1のドレインは、pMOSトランジスタ30g2,30g3のソースに接続されている。pMOSトランジスタ30g3のドレインとnMOSトランジスタ30g5のドレインは、スイッチ30g7を介してセンスアンプ30gの第2の入力端子に接続されている。pMOSトランジスタ30g3のドレインとnMOSトランジスタ30g5のドレインは、pMOSトランジスタ30g2のゲート及びnMOSトランジスタ30g4のゲートに接続されている。pMOSトランジスタ30g2のドレインとnMOSトランジスタ30g4のドレインは、スイッチ30g8を介してセンスアンプ30gの第1の入力端子に接続されている。pMOSトランジスタ30g2のドレインとnMOSトランジスタ30g4のドレインは、pMOSトランジスタ30g3のゲート及びnMOSトランジスタ30g5のゲートに接続されている。nMOSトランジスタ30g4,30g5のソースはnMOSトランジスタ30g6のドレインに接続されている。nMOSトランジスタ30g6のソースは接地されており、nMOSトランジスタ30g6のゲートには、信号SAONが供給される。
スイッチ30g7,30g8のpMOSトランジスタのゲートには信号SAONが供給され、スイッチ30g7,30g8のnMOSトランジスタのゲートには、反転信号SAONBが供給される。信号SAON、反転信号SAONBにより、スイッチ30g7,30g8は、センス動作前には導通状態になり、センス動作開始時には切断状態となる。
他のセンスアンプもセンスアンプ30gと同様の回路構成となっている。センスアンプ30g,30hに各々において、第1の入力端子に一端が接続されるスイッチ(センスアンプ30gではスイッチ30g8)の他端のノードは、互いに接続されている。センスアンプ30e,30fについても同様に、第1の入力端子に一端が接続されるスイッチの他端のノードは、互いに接続されている。
また、図示が省略されているが、センスアンプ部30は、他のビット線の電圧を増幅するプリセンスアンプや、データの論理値を判定するセンスアンプ対を有している。
以下、プリセンスアンプの例を説明する。
図5は、論理値“1”のデータを記憶するリファレンスセルとして機能するメモリセルに接続するプリセンスアンプの一例を示す図である。
プリセンスアンプ30bは、論理値“1”のデータを記憶するリファレンスセルとして機能するメモリセル28bm(nMOSトランジスタ28bm1と、キャパシタ28bm2を有する)にビット線BLR1を介して接続される。
プリセンスアンプ30bは、初期化回路41、増幅回路42、閾値電圧生成回路43、リセット回路44、波形整形回路45、出力リセット回路46を有する。
初期化回路41は、ビット線BLR1に接続されており、制御信号BUSGNDに基づいて、ビット線BLR1の電圧をGNDに引き下げる。初期化回路41は、nMOSトランジスタ41aを有する。nMOSトランジスタ41aのゲートには、制御信号BUSGNDが供給される。nMOSトランジスタ41aのソースは接地され、ドレインはビット線BLR1に接続される。制御信号BUSGNDはタイミング生成回路24から供給される。
増幅回路42は、ビット線BLR1の電圧を増幅する。増幅回路42は、キャパシタ42a,42f、インバータ42b、pMOSトランジスタ42c,42g、nMOSトランジスタ42d,42h、スイッチ42eを有する。
キャパシタ42aの一端はビット線BLR1に接続され、キャパシタ42aの他端はインバータ42bの入力端子と、スイッチ42eの一端に接続されている。インバータ42bの出力端子はキャパシタ42fの一端と、スイッチ42eの他端に接続されている。また、インバータ42bの電源端子には、pMOSトランジスタ42cのドレインが接続され、インバータ42bの接地端子には、nMOSトランジスタ42dのドレインが接続されている。スイッチ42eの制御信号は、タイミング生成回路24から供給される。
pMOSトランジスタ42cのソースには電源電圧VDDが印加され、ゲートにはパワー制御信号POWXが供給される。nMOSトランジスタ42dのソースは接地され、ゲートにはパワー制御信号POWが供給される。パワー制御信号POWX,POWは互いに相補の信号であり、タイミング生成回路24から供給される。
キャパシタ42fの他端はpMOSトランジスタ42gのゲート及び閾値電圧生成回路43に接続されている。pMOSトランジスタ42gのソースには電源電圧VDDが印加され、ドレインはnMOSトランジスタ42hのドレイン、リセット回路44及び波形整形回路45に接続されている。pMOSトランジスタ42g及びnMOSトランジスタ42hのドレインの電圧が、増幅回路42の出力信号REPLICAとなる。nMOSトランジスタ42hのソースは接地され、ゲートには信号INITが供給される。pMOSトランジスタ42g及びnMOSトランジスタ42hによる回路は、インバータとして機能する。信号INITは、タイミング生成回路24から供給される。
閾値電圧生成回路43は、pMOSトランジスタ42gの閾値電圧と等しい、pMOSトランジスタ42gのゲート電圧VTHGTを生成する。閾値電圧生成回路43は、pMOSトランジスタ43a,43d、nMOSトランジスタ43b、スイッチ43c、キャパシタ43eを有する。
pMOSトランジスタ43aのソースには電源電圧VDDが印加され、ゲートには電圧制御信号VGENPが供給される。また、pMOSトランジスタ43aのドレインは、nMOSトランジスタ43bのドレイン及び、キャパシタ43eの一端に接続されている。nMOSトランジスタ43bのゲートには電圧制御信号VGENNが供給され、ソースは接地されている。スイッチ43cの一端には電源電圧VDDが印加され、スイッチ43cの他端は、pMOSトランジスタ43dのソースに接続されている。pMOSトランジスタ43dのゲート及びドレイン、キャパシタ43eの他端は、増幅回路42のpMOSトランジスタ42gのゲートに接続されている。電圧制御信号VGENP,VGENNや、スイッチ43cの制御信号は、タイミング生成回路24から供給される。
リセット回路44は、信号STOPを出力すると共に、信号STOPの電圧が所定の閾値以上になった場合、ビット線BLR1の電圧をGNDに引き下げる。リセット回路44は、検出回路44aと、nMOSトランジスタ44bを有する。検出回路44aは、増幅回路42の出力信号REPLICAを遅延させた信号STOPを出力する。検出回路44aは、たとえば、偶数段のインバータや遅延回路を用いて構成可能である。nMOSトランジスタ44bのゲートには、信号STOPが供給される。nMOSトランジスタ44bのソースは接地され、ドレインはビット線BLR1に接続されている。
波形整形回路45は、増幅回路42の出力信号REPLICAの波形を整形する。波形整形回路45は、nMOSトランジスタ45aと、pMOSトランジスタ45bを有する。nMOSトランジスタ45aのドレインには電源電圧VDDが印加され、pMOSトランジスタ45bのドレインは接地されている。nMOSトランジスタ45aとpMOSトランジスタ45bのゲートには、出力信号REPLICAが供給される。また、互いに接続されたnMOSトランジスタ45aのドレインとpMOSトランジスタ45bのソースの電圧が、波形整形回路45の出力信号となる。
出力リセット回路46は、リセット信号RESETに基づいて、プリセンスアンプ30bの出力信号の電圧をGNDに引き下げる。出力リセット回路46は、nMOSトランジスタ46aを有する。nMOSトランジスタ46aのゲートには、リセット信号RESETが供給される。nMOSトランジスタ46aのソースは接地され、ドレインは波形整形回路45の出力端子に接続されている。リセット信号RESETはタイミング生成回路24から供給される。
図4に示したプリセンスアンプ30aも、図5に示したプリセンスアンプ30bと同様の回路構成により実現される。ただ、第2の比較例の半導体記憶装置20のプリセンスアンプ30aは、信号STOPを出力しない回路構成であってもよいし、プリセンスアンプ30bと同様に信号STOPを出力する回路構成であってもよい。後者の場合、プリセンスアンプ30a,30bが出力する信号STOPは、図示しない論理回路によって論理合成され、他のプリセンスアンプに分配される。
図6は、論理値“0”または“1”のデータを記憶するメモリセルに接続するプリセンスアンプの一例を示す図である。
図6の例では、メモリセル28em(nMOSトランジスタ28em1と、キャパシタ28em2を有する)にビット線BL[L]を介して接続されるプリセンスアンプ30dの例が示されている。
プリセンスアンプ30dも、図5に示したプリセンスアンプ30bと同様に、初期化回路51、増幅回路52、閾値電圧生成回路53、リセット回路54、波形整形回路55、出力リセット回路56を有する。
初期化回路51は、nMOSトランジスタ51aを有し、増幅回路52は、キャパシタ52a,52f、インバータ52b、pMOSトランジスタ52c,52g、nMOSトランジスタ52d,52h、スイッチ52eを有する。閾値電圧生成回路53は、pMOSトランジスタ53a,53d、nMOSトランジスタ53b、スイッチ53c、キャパシタ53eを有し、リセット回路54は、検出回路54a、nMOSトランジスタ54bを有する。波形整形回路55は、nMOSトランジスタ55aと、pMOSトランジスタ55bを有し、出力リセット回路56は、nMOSトランジスタ56aを有する。
これら各回路要素の接続関係は、リセット回路54を除いてプリセンスアンプ30bの各回路要素の接続関係と同じである。
プリセンスアンプ30dのリセット回路54において、nMOSトランジスタ54bのゲートには、プリセンスアンプ30bから信号STOPが供給される。また、プリセンスアンプ30dのリセット回路54において、検出回路54aは機能していない。検出回路54aは、プリセンスアンプ30bと負荷を揃えるために設けられているが、なくてもよい。
以下、第2の比較例の半導体記憶装置20の読み出し時の動作例を説明する。
図7は、第2の比較例の半導体記憶装置の読み出し時の動作例を示すタイミングチャートである。
図7には、ワード線WLm及びプレート線PLmの電圧、パワー制御信号POW,POWX、制御信号BUSGND、スイッチ52e,53cの制御信号SW1,SW2、電圧制御信号VGENP,VGENNの時間変化の様子が示されている。さらに図7には、信号INIT、リセット信号RESET、ビット線BL[L]の電圧、インバータ52bの入力電圧IIN、インバータ52bの出力電圧IOUT、ゲート電圧VTHGT、出力信号REPLICA、信号STOPの時間変化の様子が示されている。なお、以下の説明では、接地電位は、0Vであるものとする。
まず、初期状態において、ワード線WLm及びプレート線PLmの電圧は、Lレベル(たとえば、0V)となっている。パワー制御信号POWの論理レベルはLレベル、パワー制御信号POWXの論理レベルはHレベル(たとえば、電源電圧VDD)となっており、pMOSトランジスタ52c及びnMOSトランジスタ52dはオフ状態となり、インバータ52bは機能していない。制御信号BUSGNDの論理レベルはHレベルとなっており、nMOSトランジスタ51aはオン状態であり、ビット線BL[L]の電圧は、0Vとなっている。
また、制御信号SW1,SW2により、スイッチ52e,53cはオン状態となっている。さらに、電圧制御信号VGENP,VGENNの論理レベルはLレベルとなっており、pMOSトランジスタ53aがオン状態、nMOSトランジスタ53bがオフ状態になっている。信号INITとリセット信号RESETの論理レベルはHレベルに設定されており、nMOSトランジスタ52h,56aがオン状態であるため、出力信号REPLICAと、プリセンスアンプ30dの出力信号(図示せず)は、0Vとなる。
インバータ52bの入力端子と出力端子はショートしているため、入力電圧IIN及び出力電圧IOUTは、1/2VDD近傍となっている。また、ゲート電圧VTHGTは、電源電圧VDDになっている。また、プリセンスアンプ30bからプリセンスアンプ30dに供給される信号STOPは0Vとなっている。
タイミングT1において、パワー制御信号POWの論理レベルがHレベル、パワー制御信号POWXの論理レベルがLレベルに変化すると、インバータ52bが活性化される。スイッチ52eがオン状態のままであるため、インバータ52bの入力電圧IINと出力電圧IOUTは、共にVDD/2近傍になる。また、タイミングT1において、信号INITとリセット信号RESETの論理レベルはLレベルに変化し、nMOSトランジスタ52h,56aがオフ状態となる。
タイミングT2において、電圧制御信号VGENP,VGENNの論理レベルがHレベルに変化すると、pMOSトランジスタ53aとnMOSトランジスタ53bのドレインの電圧が低下する。この電圧の変化に応じて、キャパシタ53eによる容量結合により、ゲート電圧VTHGTも下がる。たとえば、電源電圧VDDが1.8Vの場合、pMOSトランジスタ53aとnMOSトランジスタ53bのドレインの電圧が1.8V下がると、ゲート電圧VTHGTも1.8V下がろうとする。
しかし、スイッチ53cがオン状態であるため、pMOSトランジスタ53dがクランプ回路として機能し、ゲート電圧VTHGTをpMOSトランジスタ52gの閾値電圧(たとえば、VDD-0.6V)にクランプする。このため、ゲート電圧VTHGTは、一旦、低下した後、微分波形を描いて閾値電圧に落ち着く。このように、閾値電圧生成回路53は、ゲート電圧VTHGTを所定の電圧に設定する初期化回路として機能する。
タイミングT3において、ワード線WLmに所定の電圧(たとえば、電源電圧VDD)が印加されると、ワード線WLmに接続されたメモリセル28emのnMOSトランジスタ28em1がオン状態となり、データの読み出しが可能な状態になる。
タイミングT4において、電圧制御信号VGENNの論理レベルがLレベルに変化すると、閾値電圧生成回路53のnMOSトランジスタ53bはオフ状態となる。pMOSトランジスタ53aは既にオフ状態となっているため、pMOSトランジスタ53aとnMOSトランジスタ53bのドレインは、フローティング状態になる。
タイミングT4ではさらに、スイッチ52e,53cがオフされる。スイッチ52eがオフされることにより、インバータ52bの入力端子と出力端子との短絡が解除される。インバータ52bの入力電圧IINは、ほぼVDD/2であるため、インバータ52bは、高いゲインを有する反転アンプとして動作する。また、スイッチ53cのオフにより、pMOSトランジスタ53dによるゲート電圧VTHGTのクランプが解除される。
また、タイミングT4ではさらに、制御信号BUSGNDの論理レベルがLレベルに変化し、ビット線BL[L]は、フローティング状態になる。これによって、タイミングT4以降、ビット線BL[L]の電圧が変化されると、キャパシタ52aの容量結合により、インバータ52bの入力電圧IINが変化する。インバータ52bは、入力電圧IINの変化を増幅し、出力電圧IOUTを入力電圧IINの変化とは反対方向に変化させる。また、キャパシタ52fの容量結合により、ゲート電圧VTHGTは、出力電圧IOUTの変化に伴って変化する。
タイミングT5において、プレート線PLmに所定の電圧(たとえば、電源電圧VDD)が印加される。ワード線WLmには、既にタイミングT3において所定の電圧が印加され、メモリセル28emのnMOSトランジスタ28em1がオン状態となっているため、プレート線PLmに所定の電圧が印加されると、キャパシタ28em2に正の電圧が印加される。
メモリセル28emに論理値“1”のデータが記憶されている場合、強誘電体キャパシタであるキャパシタ28em2に印加される電圧の極性は、書き込み時とは反対であるため、分極反転が生じ、大きな反転電荷がビット線BL[L]に読み出される。一方、メモリセル28emに論理値“0”のデータが記憶されている場合、キャパシタ28em2に印加される電圧の極性は、書き込み時と同じであるため、分極反転は生じず、比較的小さな電荷がビット線BL[L]に読み出される。このとき、ビット線BL[L]の電圧は上昇しようとする。ビット線BL[L]の電圧がわずかに上昇すると、キャパシタ52aの容量結合により、インバータ52bの入力電圧IINが上昇する。インバータ52bの反転増幅作用及び、キャパシタ52fによる容量結合により、ゲート電圧VTHGTは下がり、pMOSトランジスタ52gはオン状態となり、出力信号REPLICAの電圧は上昇を開始する。このようにpMOSトランジスタ52gは、メモリセル28emの蓄積電荷に応じて読み出し電圧を生成する読み出し回路として機能する。
ところで、メモリセル28emのデータの読み出しの際、ワード線WLmに接続された他のメモリセルについても同時にデータの読み出しが行われる。それらのメモリセルのうち、メモリセル28bmに接続されるプリセンスアンプ30bでは、出力信号REPLICAの電圧が、論理値“0”のデータを記憶したメモリセルに接続されるプリセンスアンプにおける出力信号REPLICAの電圧よりも速く上昇する。また、プリセンスアンプ30bは、出力信号REPLICAを遅延した信号STOPを出力する。
図7の例では、論理値“1”の読み出し時に、出力信号REPLICAが飽和するタイミングT6において、信号STOPの電圧が、nMOSトランジスタ54bの閾値電圧VTHに達している。これにより、nMOSトランジスタ54bはオン状態となり、ビット線BL[L]の電圧が0Vに下がっていき、出力信号REPLICAの上昇が停止する。
その後、タイミングT7において、信号INITとリセット信号RESETの論理レベルはHレベルに変化するため、出力信号REPLICAと、プリセンスアンプ30dの出力信号(図示せず)は、0Vにリセットされる。これにより、信号STOPも所定時間後に、論理レベルがLレベルに変化する(タイミングT8)。
たとえば、タイミング生成回路24は、信号STOPを受け、信号STOPの論理レベルがHレベルのときに、センスアンプ30g,30hなどを有効にする信号SAONと、その反転信号SAONBをセンスアンプ部30に供給する。これにより、タイミングT6~T7の期間に、センスアンプ30g,30hなどによる読み出しデータの判定が行われる。
上記のタイミングT6以降においても、nMOSトランジスタ54bがオフのままであると、ビット線BL[L]の電圧の上昇が続き、点線で示されているように、論理値“0”のデータの読み出し時にも、出力信号REPLICAが上昇する。論理値“1”のデータの読み出し時には、出力信号REPLICAの上昇は電源電圧VDDで飽和するため、両論理値の間の出力信号REPLICAの差が小さくなり、読み出しマージンが低下してしまう。このため、センスアンプ30g,30hを用いたデータの判定処理において正しい判定結果が得られない可能性がある。
これに対して、第2の比較例の半導体記憶装置20では、タイミングT6において、ビット線BL[L]の電圧が0Vに引き下げられるため、論理値“0”のデータの読み出し時にも、出力信号REPLICAの上昇が止まる。そのため、両論理値のデータの読み出し時の出力信号REPLICAの差が小さくなることが抑制され、読み出しマージンの低下を抑制できる。したがって、半導体記憶装置20の信頼性を向上できる。
(第3の比較例)
次に、第3の比較例の半導体記憶装置を説明する。第3の比較例の半導体記憶装置は、第2の比較例の半導体記憶装置20とは異なるプリセンスアンプを有している。
図8は、第3の比較例の半導体記憶装置において、論理値“1”のデータを記憶するリファレンスセルとして機能するメモリセルに接続するプリセンスアンプの一例を示す図である。
また、図9は、第3の比較例の半導体記憶装置において、論理値“0”または“1”のデータを記憶するメモリセルに接続するプリセンスアンプの一例を示す図である。図8及び図9において、図5及び図6に示した要素と同様の要素については同一符号が付されている。
図8及び図9に示されているプリセンスアンプ60,70では、増幅回路61,71が、第2の比較例の半導体記憶装置20のプリセンスアンプ30b,30dの増幅回路42,52とは異なっている。図8の増幅回路61は、増幅回路42に含まれる各要素のほかに、nMOSトランジスタ61aとインバータ61bを有する。図9の増幅回路71も同様に、増幅回路52に含まれる各要素のほかに、nMOSトランジスタ71aとインバータ71bを有する。
図8の増幅回路61において、nMOSトランジスタ61aのドレインは、インバータ42bの出力端子とインバータ61bの入力端子に接続され、ソースは接地されている。また、nMOSトランジスタ61aのゲートはインバータ61bの出力端子に接続されている。
図9の増幅回路71において、nMOSトランジスタ71aのドレインは、インバータ52bの出力端子とインバータ71bの入力端子に接続され、ソースは接地されている。また、nMOSトランジスタ71aのゲートはインバータ71bの出力端子に接続されている。
増幅回路61,71は、上記のようなnMOSトランジスタ61a,71a及びインバータ61b,71bを有することで、インバータ42b,52bの出力電圧IOUTが下降する速度が加速される。
図10は、第3の比較例の半導体記憶装置の読み出し時の動作例を示すタイミングチャートである。
タイミングT10,T11,T12,T13における動作は、図7に示した半導体記憶装置20のタイミングT1~T4における動作と同じである。
タイミングT14では、図8の増幅回路61において、インバータ42bの入力電圧IINの上昇に応じて出力電圧IOUTが低下する速度が、第2の比較例の半導体記憶装置20よりも速い。
これにより、出力信号REPLICAの上昇も第2の比較例の半導体記憶装置20よりも速くなる。このため、信号STOPも、第2の比較例の半導体記憶装置20より早いタイミングT15において、閾値電圧VTHに達する。これにより、論理値“0”のデータの読み出し時にも、出力信号REPLICAの上昇が、より早く停止する。そのため、両論理値のデータの読み出し時の出力信号REPLICAの差が、より大きくなり、読み出しマージンを、より大きくすることができる。
タイミングT16,T17の動作は、図7に示した半導体記憶装置20のタイミングT7,T8における動作と同じである。
(書き戻し方法)
ところで、FeRAMやDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体記憶装置は、読み出し動作によって、メモリセルに記憶されていたデータが失われるため、読み出し動作後に、書き戻し動作が行われる。
たとえば、図3に示したメモリセル28emに、論理値“0”のデータを書き戻す場合、プレート線PLmに、論理値“0”のデータの書き込み用の電圧(たとえば、電源電圧VDD)が印加され、ビット線BL[L]の電圧が0Vにされる。図7(または図10)に示したように、第2の比較例の半導体記憶装置20(または第3の比較例の半導体記憶装置)では、読み出し動作時に、ビット線BL[L]の電圧は、信号STOPの電圧が閾値電圧VTHに達すると、0Vに下がる。このタイミング後も、プレート線ドライバ26が、プレート線PLmに、論理値“0”のデータの書き込み用の電圧と同じ電源電圧VDDの印加を継続することにより、読み出し期間と、論理値“0”のデータの書き戻し期間と重ねることができ、書き戻しにかかる時間を短縮できる。
なお、論理値“1”のデータを記憶していたメモリセルには、一旦、論理値“0”のデータが書き込まれた後、読み出しデータの判定処理後に、論理値“1”のデータが書き戻される。
センスアンプ30g,30hが判定したデータの判定結果は、図2に示したライトバッファ31に記憶され、ライトバッファ31に記憶された判定結果に基づいて、論理値“1”のデータの書き戻しが行われる。このため、ライトバッファ31は、書き込み回路として機能する。
図11は、書き戻し動作時のワード線、プレート線及びビット線の電圧の変化の例を示すタイミングチャートである。
図11には、図3に示したメモリセルアレイ28において、メモリセル28emに論理値“0”のデータが記憶されており、メモリセル28cmに論理値“1”のデータが記憶されている場合の、データの読み出しと書き戻しの例が示されている。
ワード線WLmに、電源電圧VDDが印加され(タイミングT20)、その後、プレート線PLmにも電源電圧VDDが印加される(タイミングT21)。これにより、ビット線BL[L],BL[0]の電圧は、メモリセル28em,28cmに記憶されているデータに応じて上昇する。しかし、ビット線BL[L],BL[0]の電圧は、図7や図10に示したように、信号STOPが閾値電圧VTHに達すると0Vに下がる(タイミングT22)。
このとき、プレート線PLmには電源電圧VDDが印加され続けているため、メモリセル28em,28cmには、論理値“0”のデータが書き込まれる。また、論理値“1”のデータを記憶していたメモリセル28cmに対して同じデータを書き戻すために、タイミングT23において、ワード線WLmに電源電圧VDDより高い電圧が印加されると共に、ビット線BL[0]に電源電圧VDDが印加される。プレート線PLmの電圧は0Vに引き下げられる。これにより、メモリセル28cmに論理値“1”のデータが書き戻される。
このような処理では、タイミングT22~T23の間に、センスアンプを用いたデータの判定処理が行われていても、タイミングT22~T23の期間を、論理値“0”のデータの書き戻し期間とすることができる。これにより、書き戻しにかかる時間を短縮できる。
次に、上記各種比較例に対する第1の実施の形態の半導体記憶装置を説明する。
(第1の実施の形態)
図12は、第1の実施の形態の半導体記憶装置の一例を示す図である。図12において、図1に示した第1の比較例の半導体記憶装置10と同じ要素については同一符号が付されている。
第1の実施の形態の半導体記憶装置80には、第1の比較例の半導体記憶装置10に設けられていた判定回路17が設けられていない。また、半導体記憶装置80のプリセンスアンプ81,82,83は、半導体記憶装置10のプリセンスアンプ14,15,16と異なっている。
メモリセル11とビット線BLを介して接続されているプリセンスアンプ81のリセット回路81aにおいて、検出回路81a1は、たとえば、インバータである。増幅信号Poutの電圧が上昇して所定の閾値に達した場合、検出回路81a1が出力する検出信号DETの論理レベルは、HレベルからLレベルに変化する。
さらに、プリセンスアンプ81は、検出回路81a1が出力する検出信号DETと、検出信号PDETとが入力端子に供給される判定回路81bを有する。検出信号PDETは、プリセンスアンプ82,83が出力する検出信号DET0,DET1から論理合成された信号である。検出信号PDETを生成する回路例については後述する。
判定回路81bは、検出信号DETと検出信号PDETの変化タイミングの違いに基づいて、メモリセル11に記憶されているデータの論理値を判定した判定結果(信号DATA)を出力する。たとえば、判定回路81bは、検出信号DETが検出信号PDETよりも早く変化した場合、論理値“1”のデータを示す信号DATAを出力し、検出信号DETが検出信号PDETより遅く変化した場合、論理値“0”のデータを示す信号DATAを出力する。
複数のメモリセルが接続される他のビット線にも、プリセンスアンプ81と同様の回路構成のプリセンスアンプが接続されている。
リファレンスセル12とビット線BLR1を介して接続されているプリセンスアンプ82のリセット回路82aにおいて、検出回路82a1は、たとえば、インバータである。増幅信号Pout1が上昇して所定の大きさ(インバータの反転閾値)に達した場合、検出回路82a1が出力する検出信号DET1の論理レベルは、HレベルからLレベルに変化する。さらに、リセット回路82aは、検出回路82a1が出力する検出信号DET1の論理レベルを反転させた信号STOP1を出力するインバータ82a2を有する。信号STOP1は、増幅信号Pout1を遅延させた信号となっている。
また、プリセンスアンプ82は、検出回路82a1が出力する検出信号DET1と、検出信号PDETとが入力端子に供給される判定回路82bを有する。
判定回路82bは、検出信号DET1と検出信号PDETの変化タイミングの違いに基づいて、リファレンスセル12に記憶されているデータの論理値を判定した判定結果(信号DATAR1)を出力する。
リファレンスセル13とビット線BLR0を介して接続されているプリセンスアンプ83の回路構成は、プリセンスアンプ82の回路構成と同じである。プリセンスアンプ83は、プリセンスアンプ82が出力する信号STOP1、検出信号DET1、信号DATAに対応した、信号STOP0、検出信号DET0、信号DATAR0を出力する。
なお、判定回路81b,82bは、プリセンスアンプ81,82の外に設けられていてもよい。
図13は、信号STOPを生成する回路例を示す図である。
信号STOPを生成する回路は、図13に示すように、たとえば、OR回路84である。OR回路84は、プリセンスアンプ82,83が出力する信号STOP1,STOP0の論理和を信号STOPとして出力する。信号STOP1,STOP0の少なくとも一方の論理レベルが上昇するときに信号STOPの論理レベルも上昇する。信号STOPは、プリセンスアンプ81-0~81-Lに供給されると共に、プリセンスアンプ82,83にも供給される。プリセンスアンプ81-0~81-Lは、ビット線BL[0]~BL[L]に接続されている図示しないメモリセルのデータを読み出すプリセンスアンプであり、信号DATA[0]~DATA[L]を出力する。プリセンスアンプ81-0~81-Lの回路構成は、図12に示したプリセンスアンプ81の回路構成と同じである。
図14は、検出信号PDETを生成する回路例を示す図である。
検出信号PDETを生成する回路は、図14に示すように、たとえば、NAND回路85aと遅延回路85bにより実現可能である。NAND回路85aは、プリセンスアンプ82,83が出力する検出信号DET1,DET0の否定論理積を出力し、遅延回路85bは、NAND回路85aの出力信号を遅延させて検出信号PDETとして出力する。検出信号PDETは、プリセンスアンプ81-0~81-Lに供給されると共に、プリセンスアンプ82,83にも供給される。遅延回路85bの遅延時間は、検出信号PDETの変化タイミングが、メモリセル11に論理値“1”のデータが書き込まれている場合と、論理値“0”のデータが書き込まれている場合の検出信号DETの両変化タイミングの間になるように調整されている。
図13、図14に示したように信号STOPや検出信号PDETは、プリセンスアンプ82,83の両方の出力に基づいて生成される。これにより、プリセンスアンプ82が、論理値“0”のデータについての処理を行い、プリセンスアンプ83が論理値“1”のデータの処理を行うように、互いの機能を交換可能となる。このため、リファレンスセル12に論理値“0”のデータが記憶され、リファレンスセル13に論理値“1”のデータが記憶されていてもよい。
また、図12~図14に示したように、プリセンスアンプ81(81-0~81-L),82,83が出力する信号DATA(DATA[0]~DATA[L]),DATAR1,DATAR0は、読み出しデータとして使用できる。このため、別の判定回路を用いなくてもよい。
図15は、判定回路の一例を示す図である。
図15では、判定回路81bの例を示すが、判定回路82bも同様の回路構成にて実現される。
判定回路81bは、AND回路81b1、NOR回路81b2,81b3、インバータ81b4を有する。
AND回路81b1は、検出信号DET,PDETの論理積を信号SRINとして出力する。
NOR回路81b2,81b3は、SRラッチを構成するように互いに接続されており、NOR回路81b2の一方の入力端子には、リセット信号RESが、たとえば、タイミング生成回路24から供給される。NOR回路81b3の一方の入力端子には、信号SRINが供給される。SRラッチの出力端子であるNOR回路81b2の出力端子はインバータ81b4の入力端子に接続され、インバータ81b4の出力信号が信号DATAである。
図16は、判定回路の動作例を示すタイミングチャートである。
図16では図示が省略されているが、タイミングt10よりも前のタイミングにおいて、リセット信号RESの論理レベルはHレベルからLレベルに変化したものする。このため、タイミングt10において信号DATAの論理レベルはHレベルである。また、タイミングt10において、検出信号DETの論理レベルがHレベル、検出信号PDETの論理レベルがLになっている。
メモリセル11から論理値“1”のデータが読み出される場合(メモリセル11が“1”セルの場合)、増幅信号Poutが上昇し所定の大きさに達するタイミングt11において、検出信号DETの論理レベルがHレベルからLレベルに立ち下がる。その後、タイミングt12において、検出信号PDETの論理レベルがLレベルからHレベルに立ち上がる。タイミングt11,t12において、信号SRINの論理レベルはLレベルのままとなるので、信号DATAの論理レベルもHレベルのままである。
一方、メモリセル11から論理値“0”のデータが読み出される場合(メモリセル11が“0”セルの場合)、検出信号DETの論理レベルは、タイミングt12よりも後のタイミングt13において、HレベルからLレベルに立ち下がる。このため、タイミングt12において、信号SRINの論理レベルは、LレベルからHレベルに立ち上がり、信号DATAの論理レベルは、HレベルからLレベルに立ち下がる。タイミングt13では、信号SRINの論理レベルは、Lレベルに立ち下がるが、SRラッチにより、信号DATAの状態は維持される。
前述の第1の比較例の半導体記憶装置10では、判定回路17が、増幅信号Pout,Pout1の電位差、及び増幅信号Pout,Pout0の電位差に基づいて、メモリセル11のデータの論理値を判定した判定結果を出力する。この場合、メモリセル11のデータが書き換わらずに強誘電体のインプリントが進行し、リファレンスセル12,13のデータが頻繁に書き換えられる状況が発生すると、増幅信号Poutが、増幅信号Pout0,Pout1の中間程度の電圧となる可能性がある。これにより、誤判定が生じる可能性がある。
一方、第1の実施の形態の半導体記憶装置80は、上記のように、論理値“0”または論理値“1”のデータがメモリセル11から読み出される際の検出信号DETの変化タイミングの違いを利用し、データ判定をしている。つまりデータ判定のために、増幅信号Poutの電圧の大きさ自体は利用されないため、インプリントのような強誘電体キャパシタの電荷量の揺らぎの影響を受けずに安定してデータ判定が行えるようになる。
なお、第1の実施の形態の半導体記憶装置80において、信号STOPは、データ判定には寄与しないが、信号STOPを用いてビット線BLの電圧を接地電位に引き下げることで、メモリセル11の特性悪化を防げる。
このような効果を考慮しなくてもよい場合は、図12の半導体記憶装置80において、信号STOPに関する回路構成を省略してもよい。たとえば、nMOSトランジスタ14c1,15c1、インバータ82a2などを省略することができる。
ところで、図4に示したプリセンスアンプ30a,30b,30c,30dの代りに、上記のようなプリセンスアンプ81,82,83を採用することができる。その場合、図4に示したセンスアンプ30e,30f,30g,30hは不要となる。
図5や図6に示したプリセンスアンプ30b,30dの回路構成を以下のように変形すれば、プリセンスアンプ81~83と同様の機能を実現できる。
図17は、論理値“1”のデータを記憶するリファレンスセルとして機能するメモリセルに接続するプリセンスアンプの一例を示す図である。図17において、図5に示したプリセンスアンプ30bと同じ要素については同一符号が付されている。
プリセンスアンプ91のリセット回路91aにおいて、検出回路91a1は、たとえば、インバータである。増幅回路42の出力信号REPLICA(増幅信号Pout1に相当する)の電圧が上昇して所定の大きさに達した場合、検出回路91a1が出力する検出信号DET1の論理レベルは、HレベルからLレベルに変化する。さらに、リセット回路91aは、検出回路91a1が出力する検出信号DET1の論理レベルを反転させた信号STOP1を出力するインバータ91a2を有する。
また、プリセンスアンプ91は、検出回路91a1が出力する検出信号DET1と、検出信号PDETとが入力端子に供給される判定回路91bを有する。
判定回路91bは、検出信号DET1と検出信号PDETの変化タイミングの違いに基づいて、メモリセル28bmに記憶されるデータの論理値を判定した判定結果(信号DATAR1)を出力する。判定回路91bは、たとえば、図15に示した判定回路81bと同様の回路構成により実現される。
論理値“0”のデータを記憶するリファレンスセルとして機能するメモリセルに接続するプリセンスアンプについても、図17に示したプリセンスアンプ91と同様の回路構成により実現される。
図18は、論理値“0”または“1”のデータを記憶するメモリセルに接続するプリセンスアンプの一例を示す図である。図18において、図6に示したプリセンスアンプ30dと同じ要素については同一符号が付されている。
プリセンスアンプ92のリセット回路92aにおいて、検出回路92a1は、たとえば、インバータである。増幅回路52の出力信号REPLICA(増幅信号Poutに相当する)の電圧が上昇して所定の大きさに達した場合、検出回路92a1が出力する検出信号DETの論理レベルは、HレベルからLレベルに変化する。
さらに、プリセンスアンプ92は、検出回路92a1が出力する検出信号DETと、検出信号PDETとが入力端子に供給される判定回路92bを有する。
判定回路92bは、検出信号DETと検出信号PDETの変化タイミングの違いに基づいて、メモリセル28emに記憶されるデータの論理値を判定した判定結果(信号DATA[L])を出力する。
信号STOPや検出信号PDETは、たとえば、図13や図14に示した論理回路によって生成される。
図19は、第1の実施の形態の半導体記憶装置の読み出し時の動作例を示すタイミングチャートである。図19には、図17、図18に示したような回路構成のプリセンスアンプ91,92を用いた場合の動作例が示されている。図19には、図7に示した各種の信号の時間変化のほかに、信号DATA[L]の時間変化が示されている。信号DATA[L]以外の信号の時間変化は、図7と同じである(信号STOPについては簡略化して示されている)。
信号DATA[L]の論理レベルは、判定回路92bに供給されるリセット信号によって、予めHレベルに設定されている。
データ読み出し時、プリセンスアンプ91の信号REPLICA(図19のプリセンスアンプ92において論理値“1”のデータが読み出されるときの信号REPLICAと同じ時間変化をする)が上昇する。そして、図19には示されていないが、その信号REPLICAが所定の閾値に達した場合、検出信号DET1の論理レベルはHレベルからLレベルに立ち下がり、所定の遅延時間後に、検出信号PDETの論理レベルがLレベルからHレベルに立ち上がる。このときプリセンスアンプ92において論理値“0”のデータが読み出される場合、信号REPLICAの電圧の変化速度は、論理値“1”のデータが読み出される場合よりも遅いため、検出信号DETの論理レベルはHレベルのままである。これにより、検出信号DETの論理レベルがHレベルの状態で、検出信号PDETの論理レベルがHレベルになると、判定回路92bは信号DATA[L]の論理レベルをLレベルとする。
一方、プリセンスアンプ92において論理値“1”のデータが読み出される場合、検出信号DETの論理レベルは、検出信号PDETの変化タイミングよりも早く、Lレベルに変化する。これにより、判定回路92bが出力する信号DATA[L]の論理レベルはHレベルのままとなる。
図19の例では、信号DATA[L]の論理レベルが確定するタイミングT6aが、信号STOPの論理レベルがLレベルかHレベルに立ち上がるタイミングT6よりも早くなっている。
(第2の実施の形態)
図20は、第2の実施の形態の半導体記憶装置の一例を示す図である。図20において、図12に示した第1の実施の形態の半導体記憶装置80と同じ要素については同一符号が付されている。
第2の実施の形態の半導体記憶装置100において、プリセンスアンプ101の判定回路101aは、インバータ101a1、pMOSトランジスタ101a2、判定部101a3、nMOSトランジスタ101a4を有する。
インバータ101a1の入力端子は、インバータ14b2の出力端子に接続されており、インバータ101a1の出力信号が信号DATAである。
pMOSトランジスタ101a2のゲートには、判定部101a3が出力する信号JRが供給され、信号JRの論理レベルがLレベルのときにオンし、インバータ101a1に電源電圧VDDを供給し、インバータ101a1を動作させる。
判定部101a3は、検出信号DETと検出信号PDETの変化タイミングの違いを示す信号JRを出力する。判定部101a3は、検出信号DETが検出信号PDETよりも早く変化した場合、Lレベルの信号JRを出力し、検出信号DETが検出信号PDETより遅く変化した場合、Hレベルの信号JRを出力する。信号JRは、pMOSトランジスタ101a2及びnMOSトランジスタ101a4のゲートに供給され、pMOSトランジスタ101a2及びnMOSトランジスタ101a4のオンオフを制御する制御信号として機能する。判定部101a3は、たとえば、図15に示した判定回路81bにおいて、インバータ81b4をなくした回路構成により実現される。
nMOSトランジスタ101a4のゲートには、信号JRが供給され、信号JRによりオンオフが制御される。nMOSトランジスタ101a4のソース電圧は接地電位であり、ドレイン電圧が、読み出しデータの判定結果(信号DATA)を示す。
このような判定回路101aにおいて、データの読み出し開始時には、判定部101a3に供給される図示しないリセット信号により信号JRの論理レベルはLレベルであり、pMOSトランジスタ101a2がオンし、インバータ101a1が動作する。また、nMOSトランジスタ101a4はオフ状態となる。
データ読み出しが開始されると、インバータ14b2の出力信号の論理レベルがLレベルに推移することにより、インバータ101a1は、nMOSトランジスタ101a4のドレイン電圧である信号DATAの論理レベルをHレベルにする。
このように、インバータ101a1とpMOSトランジスタ101a2を含む回路部は、判定部101a3が検出信号DETと検出信号PDETの変化タイミングの違いを反映した信号JRを出力する前に、上記ドレイン電圧を予め上昇させておく。
そして、判定部101a3は、検出信号DETが検出信号PDETよりも早く変化した場合、Lレベルの信号JRを出力し続けるため、信号DATAの論理レベルはHレベルのままである。一方、判定部101a3は、検出信号DETが検出信号PDETよりも遅く変化した場合、Hレベルの信号JRを出力するため、pMOSトランジスタ101a2がオフし、インバータ101a1は動作しない。そして、nMOSトランジスタ101a4がオンするため、信号DATAの論理レベルはLレベルに立ち下がる。
このような判定回路101aを用いることで、図15に示した判定回路81bにおいて、インバータ81b4をなくせるため、より早い時間でデータの判定結果が得られる。
複数のメモリセルが接続される他のビット線にも、プリセンスアンプ101と同様の回路構成のプリセンスアンプが接続されている。
プリセンスアンプ102の判定回路102aは、インバータ102a1、pMOSトランジスタ102a2、判定部102a3、nMOSトランジスタ102a4を有し、プリセンスアンプ101の判定回路101aの回路構成と同じである。
リファレンスセル13とビット線BLR0を介して接続されているプリセンスアンプ103の回路構成は、プリセンスアンプ102の回路構成と同じである。
なお、判定回路101a,102aは、プリセンスアンプ101,102の外に設けられていてもよい。
図17及び図18に示したプリセンスアンプ91,92の回路構成における判定回路91b,92bの代りに、上記のような判定回路101a,102aを適用してもよい。その場合、出力電圧IOUTがインバータ101a1,102a1の入力端子に印加されることになる。
図21は、第2の実施の形態の半導体記憶装置の読み出し時の動作例を示すタイミングチャートである。図21には、図17、図18に示したような回路構成のプリセンスアンプ91,92の判定回路91b,92bの代りに、上記のような判定回路101a,102aを用いた場合の動作例が示されている。図21には、図7に示した各種の信号の時間変化のほかに、信号DATA[L]の時間変化が示されている。信号DATA[L]以外の信号の時間変化は、図7と同じである(信号STOPについては簡略化して示されている)。
信号DATA[L]の論理レベルは、出力電圧IOUTがVDD/2から低下し始めるまでは、Lレベルである。出力電圧IOUTがVDD/2から低下し始めると(タイミングT5)、信号DATA[L]の電圧も上昇していく。
検出信号DETが検出信号PDETよりも遅く変化した場合(論理値“0”のデータの読み出し時)、判定部101a3は、Hレベルの信号JRを出力する。これにより、nMOSトランジスタ101a4がオンするため、信号DATA[L]の論理レベルがLレベルに変化する(タイミングT6b)。検出信号DETが検出信号PDETよりも早く変化した場合(論理値“1”のデータの読み出し時)、判定部101a3は、Lレベルの信号JRを出力する。この場合、nMOSトランジスタ101a4はオフ状態のままであるため、信号DATA[L]の倫理レベルはHレベルのままである。
論理値“0”のデータの読み出し時には、信号DATA[L]の論理レベルが確定するタイミングT6aが、図19に示したタイミングT6aよりもさらに早くなる。
(第3の実施の形態)
図22は、第3の実施の形態の半導体記憶装置の一例を示す図である。図22において、図20に示した第2の実施の形態の半導体記憶装置100と同じ要素については同一符号が付されている。
第3の実施の形態の半導体記憶装置110において、プリセンスアンプ111の増幅回路111aは、nMOSトランジスタ111a1とインバータ111a2を有する。
nMOSトランジスタ111a1のドレイン及びインバータ111a2の入力端子は、インバータ14b2の出力端子に接続され、nMOSトランジスタ111a1のソースは接地されている。nMOSトランジスタ111a1のゲート及びインバータ111a2の出力端子は、判定回路111bに接続されている。
このようなnMOSトランジスタ111a1とインバータ111a2を設けることで、第3の比較例の半導体記憶装置のプリセンスアンプ60,70と同様に、インバータ14b2の出力電圧が低下する速度が加速される。これにより、増幅信号Poutの上昇速度も加速される。
なお、nMOSトランジスタ111a1とインバータ111a2は、増幅回路111aの外に設けられていてもよい。
判定回路111bは、インバータ111b1を有している。インバータ111b1の入力端子は、nMOSトランジスタ111a1のゲート及びインバータ111a2の出力端子に接続されている。インバータ111b1の出力端子は、インバータ101a1の入力端子に接続されている。
複数のメモリセルが接続される他のビット線にも、プリセンスアンプ111と同様の回路構成のプリセンスアンプが接続されている。
プリセンスアンプ112の増幅回路112aは、nMOSトランジスタ112a1とインバータ112a2を有し、プリセンスアンプ111の増幅回路111aの回路構成と同じである。また、プリセンスアンプ112の判定回路112bは、インバータ112b1を有し、プリセンスアンプ111の判定回路111bの回路構成と同じである。
リファレンスセル13とビット線BLR0を介して接続されているプリセンスアンプ113の回路構成は、プリセンスアンプ112の回路構成と同じである。
なお、判定回路111b,112bは、プリセンスアンプ111,112の外に設けられていてもよい。
図17及び図18に示したプリセンスアンプ91,92の回路構成における判定回路91b,92bの代りに、上記のような判定回路111b,112bを適用してもよい。その場合、プリセンスアンプ92のインバータ52bの出力端子に、nMOSトランジスタ111a1のドレイン及びインバータ111a2の入力端子が接続される。また、プリセンスアンプ91のインバータ42bの出力端子に、nMOSトランジスタ112a1のドレイン及びインバータ112a2の入力端子が接続される。
図23は、第3の実施の形態の半導体記憶装置の読み出し時の動作例を示すタイミングチャートである。図23に示す動作例では、図17、図18に示したような回路構成のプリセンスアンプ91,92の判定回路91b,92bの代りに、判定回路111b,112bが用いられている。さらに、上記のようなnMOSトランジスタ111a1,112a1、インバータ111a2,112a2が用いられている。図23には、図10に示した各種の信号の時間変化のほかに、信号DATA[L]の時間変化が示されている。信号DATA[L]以外の信号の時間変化は、図10と同じである(信号STOPについては簡略化して示されている)。
信号DATA[L]の論理レベルは、出力電圧IOUTがVDD/2から低下し始めるまでは、Lレベルである。出力電圧IOUTがVDD/2から低下し始めると(タイミングT14)、信号DATA[L]の電圧も上昇していく。このとき、nMOSトランジスタ111a1とインバータ111a2が設けていることで、第3の比較例の半導体記憶装置のプリセンスアンプ60,70と同様に、出力電圧IOUTが低下する速度が、加速される。これにより、出力信号REPLICAの上昇速度も加速される。
そのため、論理値“0”のデータの読み出し時、判定部101a3が、Hレベルの信号JRを出力するタイミング(信号DATA[L]が変化するタイミングT15a)が、第2の実施の形態の半導体記憶装置100よりも早まる。
(第4の実施の形態)
図24は、第4の実施の形態の半導体記憶装置の一例を示す図である。
図24では、プリセンスアンプと、検出信号PDETを生成する回路部以外の要素については図示が省略されているが、他の要素については、第1乃至第3の実施の形態の半導体記憶装置80,100,110と同じである。
第4の実施の形態の半導体記憶装置120は、複数のプリセンスアンプ(プリセンスアンプ121a,121b1,121b2,121c1,121c2,121dなど)、AND回路122a,122b、NAND回路123、遅延回路124を有する。
複数のプリセンスアンプのうち、プリセンスアンプ121b1,121b2は、論理値“0”のデータを記憶するリファレンスセルに接続するプリセンスアンプである。また、プリセンスアンプ121c1,121c2は、論理値“1”のデータを記憶するリファレンスセルに接続するプリセンスアンプである。
プリセンスアンプ121b1,121b2,121c1,121c2の回路構成は、図12、図17、図20、図22に示したプリセンスアンプ82,91,102,112の何れかの回路構成と同じである。その他のプリセンスアンプの回路構成は、図12、図18、図20、図22に示したプリセンスアンプ81,92,101,111の何れかの回路構成と同じである。
プリセンスアンプ121b1,121b2が出力する検出信号DET00,DET01は、前述の検出信号DET0に相当し、プリセンスアンプ121c1,121c2が出力する検出信号DET10,DET11は、前述の検出信号DET1に相当する。
AND回路122aは、検出信号DET00,DET01の論理積である検出信号PDET0を出力し、AND回路122bは、検出信号DET10,DET11の論理積である検出信号PDET1を出力する。NAND回路123は、検出信号PDET0,PDET1の否定論理積である検出信号PDETを出力する。遅延回路124は、NAND回路123の出力信号を遅延させて検出信号PDETとして出力する。検出信号PDETは、複数のプリセンスアンプのそれぞれに供給される。
このような構成とすることで、プリセンスアンプ121b1,121b2の何れか一方、またはプリセンスアンプ121c1,121c2の何れか一方に接続されるリファレンスセルに欠陥が発生した場合でも、正常に検出信号PDETを発生できる。
図25は、比較例の半導体記憶装置を示す図である。
比較例の半導体記憶装置は、複数のプリセンスアンプ(プリセンスアンプ130a,130b,130c,130d,130e,130f,130g,130hなど)と複数のセンスアンプ(センスアンプ131a,131b,131c,131dなど)を有する。
複数のプリセンスアンプのうち、プリセンスアンプ130b,130fは、論理値“0”のデータを記憶するリファレンスセルに接続するプリセンスアンプである。また、プリセンスアンプ130c,130gは、論理値“1”のデータを記憶するリファレンスセルに接続するプリセンスアンプである。
プリセンスアンプ130b,130fは、前述の増幅信号Pout0に相当する信号SFR0[0],SFR0[1]を出力し、プリセンスアンプ130c,130gは、前述の増幅信号Pout1に相当する信号SFR1[0],SFR1[1]を出力する。
センスアンプ131a,131bは、ツインセンスアンプとして機能し、プリセンスアンプ130aが出力する信号SF[0](前述の増幅信号Poutに相当する)と、信号SFR0[0],SFR1[0]に基づいて、データ判定を行う。センスアンプ131c,131dも、ツインセンスアンプとして機能し、プリセンスアンプ130eが出力する信号SF[1](前述の増幅信号Poutに相当する)と、信号SFR0[1],SFR1[1]に基づいて、データ判定を行う。
図25には、信号SF(信号SF[0]または信号SF[1]など)と、信号SFR0(信号SFR0[0]または信号SFR0[1])と、信号SFR1(信号SFR1[0]または信号SFR1[1])の電圧の時間変化の例が示されている。
信号SFR0,SFR1が両方ともUレベル(論理値“0”のデータに対応した信号レベル)の場合や、Pレベル(論理値“1”のデータに対応した信号レベル)の場合、信号SFとのマージンが小さくなり、正しくデータ判定できなくなる可能性がある。
上記のような比較例の場合、論理値“0”,“1”のデータを記憶するリファレンスセルをそれぞれ2つずつ設けても、電位差によるデータ判定を行っているため、セル欠陥に対応する構成(冗長構成)とすることは難しい。
これに対して、半導体記憶装置120は、半導体記憶装置80,100,110と同様に、論理値“0”または論理値“1”のデータがメモリセルから読み出される際の検出信号DETの変化タイミングの違いを利用し、データ判定をしている。このため、図24に示したように、冗長構成を実現することは容易である。
(第5の実施の形態)
ところで、上記の半導体記憶装置80,100,110,120では、図16に示したように、検出信号PDETの論理レベルの立ち上がりタイミングに対し、検出信号DETの論理レベルの立ち下がりタイミングが早いか否かに基づいて信号DATAが決まる。両タイミングが近いか否か(マージンが小さいか否か)については、半導体記憶装置80,100,110,120では判定されない。
図26は、小さいマージンが発生する例を示すタイミングチャートである。
図26では、図16と同様に、判定回路81bの動作例が示されている。たとえば、図12のメモリセル11が“1”セルの場合、検出信号DETの論理レベルがタイミングt11において立ち下がっても、それより遅いタイミングt11aにおいて立ち下がっても出力される信号DATAは変わらない。同様に、メモリセル11が“0”セルの場合、検出信号DETの論理レベルがタイミングt13において立ち下がっても、それより早いタイミングt13aにおいて立ち下がっても出力される信号DATAは変わらない。つまり、マージンが小さいか否かにかかわらず、信号DATAは同じである。
製品出荷前に行われるデバイス試験では寿命評価が行われることがある。上記のようなマージンが小さいメモリセルは、不良セルになる可能性が他のメモリセルよりも高まり、デバイスの短寿命化につながる。そこで、デバイス試験時に、上記のようなマージンの大きさを評価可能とすることが好ましい。
以下に示す第5の実施の形態の半導体記憶装置は、マージンの大きさを評価可能とするものである。
図27は、第5の実施の形態の半導体記憶装置におけるプリセンスアンプの一例を示す図である。図27において、図18に示したプリセンスアンプ92と同じ要素については同一符号が付されている。
第5の実施の形態の半導体記憶装置のプリセンスアンプ140は、入力される選択信号(以下モード選択信号SELという)に基づいて、検出信号PDETと検出信号PDETtの何れか一方を選択し、判定回路92bに供給する選択回路141を有する。
モード選択信号SELは、通常動作時には選択回路141に検出信号PDETを選択させて出力させ、試験時(テストモード時)には選択回路141に検出信号PDETtを選択させる信号である。モード選択信号SELは、半導体記憶装置内に設けられた回路から供給されるようにしてもよいし、半導体記憶装置に接続された試験装置(テスタ)から供給されるようにしてもよい。
検出信号PDETtは、半導体記憶装置に接続された試験装置から入力される。検出信号PDETtの論理レベルの立ち上がりタイミングは、試験装置によって制御される。そのため、変化タイミングの異なる複数の検出信号PDETtが入力可能である。
試験時には、判定回路92bは、検出信号DETと、検出信号PDETtとの変化タイミングの違いに基づいて、信号DATA[L]を出力する。
図28は、選択回路の一例を示す図である。なお、以下に示す例では、図27に示したモード選択信号SELは、信号M1,M2からなるものとしている。また、図28では、信号M1,M2は、たとえば、半導体記憶装置内に設けられたテストモード発生回路142から供給されるものとしている。
選択回路141は、pMOSトランジスタ141a,141b、nMOSトランジスタ141c,141dを有する。pMOSトランジスタ141aのドレイン及びソースの一方と、nMOSトランジスタ141cのドレイン及びソースの一方には検出信号PDETが供給される。pMOSトランジスタ141aのドレイン及びソースの他方と、nMOSトランジスタ141cのドレイン及びソースの他方には、判定回路92bが接続されている。pMOSトランジスタ141bのドレイン及びソースの一方と、nMOSトランジスタ141dのドレイン及びソースの一方には検出信号PDETtが供給される。pMOSトランジスタ141bのドレイン及びソースの他方と、nMOSトランジスタ141dのドレイン及びソースの他方には、判定回路92bが接続されている。また、pMOSトランジスタ141aとnMOSトランジスタ141dのゲートには、信号M1が供給され、pMOSトランジスタ141bとnMOSトランジスタ141cのゲートには、信号M2が供給される。
このような、選択回路141は、信号M1の論理レベルがLレベル、信号M2の論理レベルがHレベルの場合、検出信号PDETを出力し、信号M1の論理レベルがHレベル、信号M2の論理レベルがLレベルの場合、検出信号PDETtを出力する。
なお、メモリセル28em以外のメモリセルやリファレンスセルに接続されるプリセンスアンプについても図27と同様の回路構成により実現できる。また、上記のような選択回路141は、半導体記憶装置80,100,110,120の各プリセンスアンプに適用されるようにしてもよい。
半導体記憶装置の試験は、たとえば、以下のような試験システムにより行われる。
図29は、試験システムの一例を示す図である。
試験システム150は、半導体記憶装置151、試験装置152を有する。
半導体記憶装置151は、第5の実施の形態の半導体記憶装置であり、たとえば、図27に示したプリセンスアンプ140を含む。また、半導体記憶装置151は、入出力端子151p1,151p2,…,151pnを有する。
試験装置152は、半導体記憶装置151の入出力端子151p1~151pnの何れかに接続されており、半導体記憶装置151との間で各種信号の入出力を行い、半導体記憶装置151の試験を実施する。
たとえば、図29のように、試験装置152が出力した検出信号PDETtは、入出力端子151p1に入力され、試験装置152が出力したチップイネーブル信号/CEは、入出力端子151p2に入力される。また、半導体記憶装置151が、入出力端子151p1~151pnの何れか1つまたは複数から出力した信号DATA[0]~DATA[L]は、試験装置152に入力される。
試験装置152は、たとえば、1または複数のプロセッサ(CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)など)、メモリ、ディスプレイなどを有する。
図30、図31及び図32は、各メモリセルについてのマージンに応じたデータの判定結果の例を示すタイミングチャートである。
図30~図32では、半導体記憶装置151の全メモリセルのうち、マージンが異なる3つのメモリセル(以下メモリセルa,b,cという)についてのデータの判定結果の例が示されている。また、図30~図32では、試験装置152から入力される検出信号PDETtの例として、論理レベルがLレベルからHレベルに立ち上がるタイミングが異なる3つの検出信号PDETt(t20),PDETt(t21),PDETt(t22)が示されている。
図30には、メモリセルaが“1”を記憶している場合と“0”を記憶している場合についてのデータの判定結果(信号DATA)の例が示されている。
メモリセルaが“1”を記憶している場合、メモリセルaに接続されるプリセンスアンプ内の検出信号DETの論理レベルは、検出信号PDETt(t20)の論理レベルの立ち上がりタイミングt20よりも早く立ち下がる。このため、タイミングt20において、メモリセルaに接続されるプリセンスアンプが出力する信号DATAの論理レベルは、メモリセルaに“1”が記憶されていることを示すHレベルである。検出信号PDETt(t21),PDETt(t22)が入力されているときにも、タイミングt21,t22において、信号DATAの論理レベルはHレベルである。
メモリセルaが“0”を記憶している場合、メモリセルaに接続されるプリセンスアンプ内の検出信号DETの論理レベルは、検出信号PDETt(t22)の論理レベルの立ち上がりタイミングt22よりも遅く立ち下がる。このため、タイミングt20において、メモリセルaに接続されるプリセンスアンプが出力する信号DATAの論理レベルは、メモリセルaに“0”が記憶されていることを示すLレベル(図30の例では0V)に立ち下がる。検出信号PDETt(t21),PDETt(t22)が入力されているときには、タイミングt21,t22において、信号DATAの論理レベルがLレベルに立ち下がる。
上記のようなメモリセルaについては、検出信号PDETt(t20),PDETt(t21),PDETt(t22)に対して、同じ信号DATAが得られる。このように各検出信号PDETについて正しい判定結果が得られた場合、試験装置152は、そのメモリセルaを、たとえば、判定回路92bにおいて論理値を判定する際に要求されるマージンの大きさを満たす、良いメモリセルとして判定する。
図31には、メモリセルbが“1”を記憶している場合と“0”を記憶している場合についてのデータの判定結果(信号DATA)の例が示されている。
メモリセルbが“1”を記憶している場合、メモリセルbに接続されるプリセンスアンプ内の検出信号DETの論理レベルの立ち下がりタイミングは、検出信号PDETt(t20)の論理レベルの立ち上がりタイミングt20より遅い。また、検出信号DETの論理レベルの立ち下がりタイミングは、検出信号PDETt(t21)の論理レベルの立ち上がりタイミングt21より早い。このため、タイミングt20において、メモリセルbに接続されるプリセンスアンプが出力する信号DATAの論理レベルは、メモリセルaに“0”が記憶されていることを示すLレベルになる。検出信号PDETt(t21),PDETt(t22)が入力されているときには、タイミングt21,t22において、信号DATAの論理レベルはHレベルである。
メモリセルbが“0”を記憶している場合、メモリセルbに接続されるプリセンスアンプ内の検出信号DETの論理レベルは、検出信号PDETt(t22)の論理レベルの立ち上がりタイミングt22よりも遅く立ち下がる。このため、タイミングt20において、メモリセルbに接続されるプリセンスアンプが出力する信号DATAの論理レベルは、メモリセルbに“0”が記憶されていることを示すLレベル(図31の例では0V)に立ち下がる。検出信号PDETt(t21),PDETt(t22)が入力されているときには、タイミングt21,t22において、信号DATAの論理レベルがLレベルに立ち下がる。
上記のようなメモリセルbについては、“1”を記憶している場合、タイミングt20では、信号DATAの論理レベルは、メモリセルbに“0”が記憶されていることを示すLレベルに立ち下がる。このように何れかの検出信号PDETtについて誤った判定結果が得られた場合、試験装置152は、そのメモリセルbを、たとえば、上記マージンの大きさを満たさない悪いメモリセルとして判定する。そのメモリセルは、不良セルになる可能性が良いメモリセルと判定されたものよりも高い。
図32には、メモリセルcが“1”を記憶している場合と“0”を記憶している場合についてのデータの判定結果(信号DATA)の例が示されている。
メモリセルcが“1”を記憶している場合、メモリセルcに接続されるプリセンスアンプ内の検出信号DETの論理レベルは、検出信号PDETt(t20)の論理レベルの立ち上がりタイミングt20よりも早く立ち下がる。このため、タイミングt20において、メモリセルcに接続されるプリセンスアンプが出力する信号DATAの論理レベルは、メモリセルcに“1”が記憶されていることを示すHレベルである。検出信号PDETt(t21),PDETt(t22)が入力されているときにも、タイミングt21,t22において、信号DATAの論理レベルはHレベルである。
メモリセルcが“0”を記憶している場合、メモリセルcに接続されるプリセンスアンプ内の検出信号DETの論理レベルの立ち下がりタイミングは、検出信号PDETt(t22)の論理レベルの立ち上がりタイミングt22より早い。また、検出信号DETの論理レベルの立ち下がりタイミングは、検出信号PDETt(t21)の論理レベルの立ち上がりタイミングt21より遅い。このため、タイミングt22において、メモリセルcに接続されるプリセンスアンプが出力する信号DATAの論理レベルは、メモリセルcに“1”が記憶されていることを示すHレベルになる。検出信号PDETt(t20),PDETt(t21)が入力されているときには、タイミングt21,t22において、信号DATAの論理レベルはLレベルに立ち下がる。
上記のようなメモリセルcについては、“0”を記憶している場合、タイミングt22では、信号DATAの論理レベルは、メモリセルcに“1”が記憶されていることを示すHレベルである。このように何れかの検出信号PDETtについて誤った判定結果が得られた場合、試験装置152は、そのメモリセルcを、たとえば、上記マージンの大きさを満たさない悪いメモリセルとして判定する。
なお、検出信号PDETtの論理レベルの立ち上がりタイミングを変える範囲(変化タイミングの幅(図30~図32の例では、t20~t22))は、判定回路92bにおいて論理値を判定する際に要求されるマージンの大きさに基づいて設定される。要求されるマージンが大きいほど広く、要求されるマージンが小さいほど狭く設定される。
以下、試験装置152による半導体記憶装置151の試験方法の一例の流れを説明する。
図33は、半導体記憶装置の試験方法の一例の流れを示すフローチャートである。
試験装置152は、たとえば、ユーザから入力される情報に基づいて、要求されるマージンに基づいた検出信号PDETtの変化タイミングの幅(図33では変化幅と表記されている)を設定する(ステップS1)。このとき、半導体記憶装置151に入力する検出信号PDETtの数も設定されるようにしてもよい。以下の説明では、図30~図32と同様に、変化幅がt20~t22の3つの検出信号PDETt(t20),PDETt(t21),PDETt(t22)が用いられるものとする。
試験装置152は、半導体記憶装置151の電源をオンし(ステップS2)、半導体記憶装置151に対してテストモードへの移行を指示する(ステップS3)。ステップS3の処理では、試験装置152は、たとえば、図28に示したテストモード発生回路142に、論理レベルがHレベルの信号M1、論理レベルがLレベルの信号M2を発生させるための指示信号を、半導体記憶装置151に入力する。
試験装置152は、検出信号PDETtとして、まず、図30~図32に示した検出信号PDETt(t20)を、半導体記憶装置151に入力する(ステップS4)。そして、試験装置152は、半導体記憶装置151の各メモリセルのデータを読み出す(ステップS5)。なお、試験装置152は、予め半導体記憶装置151のすべてのメモリセルに“0”(または“1”)を書き込んでおいてもよい。
ステップS5の処理では、試験装置152は、読み出し動作を行わせるための各種信号(チップイネーブル信号/CE、チップセレクト信号/CS、ライトイネーブル信号/WE、出力イネーブル信号/OEなど)を、半導体記憶装置151に供給する。その結果、半導体記憶装置151では読み出し動作が行われ、各メモリセルのデータの判定結果(信号DATA)が出力される。
試験装置152は、半導体記憶装置151に含まれる複数のメモリセルの何れかにおいてフェイルビット(正しくない判定結果)が発生したか否かを判定する(ステップS6)。たとえば、試験装置152は、半導体記憶装置151の各メモリセルに書き込んだデータを保持しておき、検出信号PDETt(t20)を入力した場合に得られた各メモリセルのデータの判定結果と比較することでフェイルビットの発生の有無を判定する。
試験装置152は、たとえば、図31に示したように、メモリセルbに“1”が記憶されているにもかかわらず、“0”が記憶されていることを示す信号DATAを検出した場合、フェイルビットが発生したと判定する。
試験装置152は、フェイルビットが発生したと判定した場合、ステップS14の処理に進む。フェイルビットが発生していないと判定した場合、試験装置152は、検出信号PDETtとして、図30~図32に示した検出信号PDETt(t21)を、半導体記憶装置151に入力する(ステップS7)。そして、試験装置152は、再び半導体記憶装置151の各メモリセルのデータを読み出す(ステップS8)。
そして試験装置152は、半導体記憶装置151に含まれる複数のメモリセルの何れかにおいてフェイルビットが発生したか否かを判定する(ステップS9)。試験装置152は、フェイルビットが発生したと判定した場合、ステップS14の処理に進む。
フェイルビットが発生していないと判定した場合、試験装置152は、検出信号PDETtとして、図30~図32に示した検出信号PDETt(t22)を、半導体記憶装置151に入力する(ステップS10)。そして、試験装置152は、再び半導体記憶装置151の各メモリセルのデータを読み出す(ステップS11)。
その後、試験装置152は、フェイルビットの発生の有無を判定する(ステップS12)。
試験装置152は、たとえば、図32に示したように、メモリセルcに“0”が記憶されているにもかかわらず、“1”が記憶されていることを示す信号DATAを検出した場合、フェイルビットが発生したと判定する。
試験装置152は、フェイルビットが発生したと判定した場合、ステップS14の処理に進む。
フェイルビットが発生していないと判定した場合、試験装置152は、半導体記憶装置151の各種機能を試験する製品テストを行い(ステップS13)、その後、試験結果を出力し(ステップS14)、半導体記憶装置151の試験を終える。なお、ステップS13の製品テストは、試験装置152とは別の装置で行われるようにしてもよい。
ステップS6,S9,S12の処理においてフェイルビットが発生したと判定した場合、試験装置152は、ステップS14の処理では、その旨を出力する。たとえば、試験装置152は、フェイルビットが発生したため半導体記憶装置151が出荷対象外の製品であること示す試験結果を出力してもよい。ステップS12の処理においてフェイルビットが発生していないと判定し、さらに製品テストにおいて問題が検出されなかった場合、試験装置152は、ステップS14の処理では、たとえば、半導体記憶装置151が出荷対象の製品であることを示す試験結果を出力する。試験装置152は、このような試験結果を、たとえば、ディスプレイに出力して表示してもよいし、コンピュータや外部メモリなどの他の装置に出力(送信)してもよい。
なお、上記のような試験は複数の半導体記憶装置に対して、同時に行われるようにしてもよい。また、上記の例では、立ち上がりタイミングが異なる3つの検出信号PDETtを示したが、3つに限定されるものではなく、2つ、あるいは、4つ以上としてもよい。また、図33の各ステップの処理の順序は、適宜入れ替えられていてもよい。たとえば、ステップS7,S10の処理の順序は、入れ替え可能である。
以上のような、半導体記憶装置151の試験方法によれば、半導体記憶装置151に含まれる各メモリセルについての上記マージンを評価できる。検出信号PDETtの変化タイミングの幅を変えることによって様々なマージンをもつメモリセルが検出可能になるためである。
これにより、半導体記憶装置151がマージンの小さいメモリセルを含むか否かを検出できる。そのため、たとえば、マージンが小さいことにより、潜在的に不良セルとなる可能性があるメモリセルを含むデバイスが市場に出ることを抑制でき、デバイスの信頼性を向上させることができる。
また、マージンの量と不良セルが生じる使用期間(または使用回数(たとえばデータ書き込み回数など))との関係が予めわかっていれば、検出信号PDETtを用いて、所定期間(または所定使用回数)で不良セルが発生するような半導体記憶装置を抽出できる。たとえば、検出信号PDETtの変化タイミングの幅を、所定期間で不良セルが発生するマージンの大きさに対応して決めることで、たとえば、1年などの短期間で不良セルが発生するような短寿命な半導体記憶装置を抽出できる。
なお、半導体記憶装置151の試験方法は、上記のような試験方法に限定されない。試験装置152は、検出信号PDETtの変化タイミングを変えていき、“1”が記憶されていると判定されるメモリセルの個数と、“0”が記憶されていると判定されるメモリセルの個数の変化を示す分布を求めることもできる。
図34及び図35は、検出信号PDETtの変化タイミングを変えていったときのフェイルビットカウント数の差分の変化例を示す図である。横軸は、検出信号PDETtの変化タイミングを表し、縦軸は、フェイルビットカウント数の差分を表す。なお、チップイネーブル信号/CEの論理レベルがLレベルになるタイミングが40[ns]である。フェイルビットカウント数の差分は、検出信号PDETtの、ある変化タイミングと次の変化タイミングにおいてフェイルビットと判定されたメモリセルの個数の差である。
また、図34及び図35では、半導体記憶装置151のすべてのメモリセルに“1”が記憶されているときのフェイルビットカウント数の差分と、すべてのメモリセルに“0”が記憶されているときのフェイルビットカウント数の差分が重ね合わされて示されている。
図34の例では、比較的幅が狭いシャープなピークが得られているが、図35の例では、すべてのメモリセルに“0”が記憶されているときの上記差分についてのピークは、図34の場合に比べてブロードになっている。これは、すべてのメモリセルに“0”が記憶されているときの、メモリセルごとの検出信号DETの論理レベルの立ち下がりタイミングのばらつきが大きいことを表す。
図34、図35のような分布は、“1”が記憶されていると判定されるメモリセルの個数と、“0”が記憶されていると判定されるメモリセルの個数の変化を示す分布に相当する。
試験装置152は、図34、図35のような分布に基づいて、半導体記憶装置151を不良品か否かを判定してもよい。たとえば、試験装置152は、ピークの幅が所定値以上である場合には、半導体記憶装置151を不良品として判定し、出荷対象から外すようにしてもよい。
(第6の実施の形態)
ところで、上記の半導体記憶装置80,100,110,120では、フェイルビットがメモリセルアレイ上の位置に依存して発生する場合がある。
図36は、フェイルビットの位置依存性の例を示す図である。
図36では、メモリセルアレイ28におけるフェイルビットマップの例が示されている。“x”は、フェイルビットが発生した箇所を示している。図36の例では、メモリセルアレイ28において、プレート線ドライバ26からの距離が近い側では、フェイルビットが多く発しており、プレート線ドライバ26からの距離が遠い側では、フェイルビットが発生していない。
その理由を以下に説明する。
プレート線の電圧波形(図36のPL波形)の立ち上がりは、プレート線の寄生容量の影響により、プレート線ドライバ26からの距離が近いほど急峻であり、プレート線ドライバ26からの距離が遠いほど緩やかになる。これにより、ビット線の電圧波形の立ち上がりの鈍り具合が影響を受け(図36のBL波形)、プレート線ドライバ26からの距離が近いビット線ほど急峻となり、プレート線ドライバ26からの距離が遠いビット線ほど緩やかになる。
このようなビット線の電圧波形の違いは、図16に示した検出信号DETの論理レベルの立ち下がりタイミングを決める増幅信号Pout(または出力信号REPLICA)にも同様の影響を与える。
図37は、増幅信号と判定マージンの位置依存性の一例を示す図である。
増幅信号Poutの立ち上がりは、プレート線ドライバ26からの距離が近い側では急峻であり、プレート線ドライバ26からの距離が遠い側では緩やかである。検出信号DETは、増幅信号Poutが上昇し所定の大きさに達するタイミングで論理レベルがHレベルからLレベルに立ち下がる。
図37に示すように、プレート線ドライバ26からの距離が近い側では、論理値“1”のデータと論理値“0”のデータに対応した検出信号DETの立ち下がりタイミングの差(判定マージン)が、プレート線ドライバ26からの距離が遠い側よりも小さい。論理値“1”と論理値“0”のデータの判定は、検出信号PDETの論理レベルの立ち上がりタイミングに対し、検出信号DETの論理レベルの立ち下がりタイミングが早いか否かによって決まる。プレート線ドライバ26からの距離が近い側のように、判定マージンが小さい場合、検出信号PDETのタイミング制御が厳しくなり、フェイルビットが発生する要因となる。
以上のような理由から、図36に示したようなフェイルビットの位置依存性が生じる。
以下に示す第6の実施の形態の半導体記憶装置は、上記のようなフェイルビットの位置依存性を解消可能とするものである。
図38は、第6の実施の形態の半導体記憶装置の一例を示す図である。図38において、図2に示した半導体記憶装置20と同じ要素については同一符号が付されている。
第6の実施の形態の半導体記憶装置160は、制御回路161を有し、センスアンプ部162も、図2や図4のセンスアンプ部30とは異なる。
制御回路161は、アドレス信号ADSに含まれるコラムアドレス(たとえば、アドレス信号ADSの下位側のビット)に基づいて、センスアンプ部162に含まれるプリセンスアンプ内の後述する複数のキャパシタのうち有効にする数を制御する。
センスアンプ部162は、センスアンプ部30とは異なり、たとえば、以下に示すようなプリセンスアンプを有する。
図39は、第6の実施の形態の半導体記憶装置におけるプリセンスアンプの一例を示す図である。図39において、図12に示したプリセンスアンプ81と同じ要素については同一符号が付されている。
プリセンスアンプ170は、キャパシタ171a1~171a4とスイッチとして機能するpMOSトランジスタ171b1~171b4を有する。
キャパシタ171a1~171a4の一端は、ビット線BLを介してメモリセル11に接続される。キャパシタ171a1~171a4として、たとえば、同じ容量値をもつものが用いられる。
pMOSトランジスタ171b1~171b4は、キャパシタ171a1~171a4のそれぞれに対応して複数(この例では4つ)設けられている。pMOSトランジスタ171b1~171b4の一端(ソース)は、キャパシタ171a1~171a4の何れかの他端に接続されている。たとえば、pMOSトランジスタ171b1のソースはキャパシタ171a1の他端に接続され、pMOSトランジスタ171b4のソースはキャパシタ171a4の他端に接続されている。pMOSトランジスタ171b1~171b4の他端は電源電位となっている。
また、pMOSトランジスタ171b1~171b4のそれぞれは、制御回路161が生成する制御信号LOC<0>~LOC<3>をゲートに受け、制御信号LOC<0>~LOC<3>に基づいて、オンまたはオフする。
なお、プリセンスアンプ170のキャパシタ171a1~171a4、pMOSトランジスタ171b1~171b4は、図18、図20、図22のプリセンスアンプ92,101,111にも同様に適用できる。
なお、リファレンスセルに接続されるプリセンスアンプは、キャパシタ171a1~171a4、pMOSトランジスタ171b1~171b4を設けず、図12に示したプリセンスアンプ83などと同様の回路構成としてもよい。
このような第6の実施の形態の半導体記憶装置160において、制御回路161は、メモリセル11に対する読み出し時、メモリセル11のアドレス(コラムアドレス)に基づいて、制御信号LOC<0>~LOC<3>を生成する。制御回路161は、メモリセルアレイ28上におけるメモリセル11の位置がプレート線ドライバ26から近いほど、多くのスイッチ(pMOSトランジスタ171b1~171b4)をオンすることで、有効にするキャパシタの数を増やす。
図40は、制御信号の生成例を示す図である。
図40にはメモリセルアレイ28をプレート線ドライバ26からの距離に応じて4つの領域に分け、各領域のメモリセルの読み出し時に生成される制御信号LOC<0>~LOC<3>の例が示されている。
メモリセル11が、上記4つの領域のうち、最もプレート線ドライバ26からの距離が近い領域に属する場合、制御回路161は、すべて論理レベルがLレベルの制御信号LOC<0>~LOC<3>を生成する。これにより、pMOSトランジスタ171b1~171b4がオン状態となり、キャパシタ171a1~171a4がすべて有効になる。
メモリセル11が、プレート線ドライバ26からの距離が2番目に近い領域に属する場合、制御回路161は、論理レベルがHレベルの制御信号LOC<0>と、論理レベルがLレベルの制御信号LOC<1>~LOC<3>を生成する。これにより、pMOSトランジスタ171b1~171b4のうち3つがオン状態となり、キャパシタ171a1~171a4のうち3つが有効になる。
メモリセル11が、プレート線ドライバ26からの距離が3番目に近い領域に属する場合、制御回路161は、論理レベルがHレベルの制御信号LOC<0>,LOC<1>と、論理レベルがLレベルの制御信号LOC<2>,LOC<3>を生成する。これによりpMOSトランジスタ171b1~171b4のうち2つがオン状態となり、キャパシタ171a1~171a4のうち2つが有効になる。
メモリセル11が、プレート線ドライバ26からの距離が最も遠い領域に属する場合、制御回路161は、論理レベルがHレベルの制御信号LOC<0>~LOC<2>と、論理レベルがLレベルの制御信号LOC<3>を生成する。これによりpMOSトランジスタ171b1~171b4のうち1つがオン状態となり、キャパシタ171a1~171a4のうち1つが有効になる。
上記のようにプレート線ドライバ26からの距離が近いほど有効にするキャパシタを増やすことで、プレート線ドライバ26からの距離によらずにメモリセルに接続されるビット線の電圧波形の立ち上がりを同様の立ち上がり速度にすることができる。すなわち、ビット線の電圧波形の立ち上がりの鈍り具合が、均一化する。検出信号DETの論理レベルの立ち下がりタイミングを決める増幅信号Pout(または出力信号REPLICA)についても同様である。
図41は、増幅信号と判定マージンの位置依存性の解消例を示す図である。
増幅信号Poutは、プレート線ドライバ26からの距離が近い側でも、プレート線ドライバ26からの距離が遠い側と同様の立ち上がり速度になる。このため、判定マージンは、プレート線ドライバ26からの距離が小さい側でも遠い側と同様の大きさになる。これにより、フェイルビットの発生の位置依存性を解消でき、プレート線ドライバ26からの距離が近い側でも、検出信号PDETのタイミング制御が容易になり、フェイルビットの発生を防げる。
なお、プレート線ドライバ26からの距離に応じた数のキャパシタを、メモリセルアレイ28のビット線に接続しておくことも考えられるが、その場合、メモリセルアレイ28の面積が増加する。図39のように、キャパシタ171a1~171a4を、メモリセルアレイ28内に設けて、読み出されるメモリセル11の位置に応じて有効とするキャパシタ数を変える構成としたことで、そのような面積の増加を抑えられる。
ところで、キャパシタ171a1~171a4の数は上記の数に限定されず、2つ以上であればよい。キャパシタ数は、数を増やすことによるフェイルビット発生の位置依存性解消の精度向上と、回路面積の増加とを比較考量して、適宜決定される。
(第7の実施の形態)
次に、第7の実施の形態の半導体記憶装置を説明する。第7の実施の形態の半導体記憶装置は、第6の実施の形態の半導体記憶装置160と同様に、フェイルビットの位置依存性を解消させるものである。
図42は、第7の実施の形態の半導体記憶装置の一例を示す図である。図42において、図2に示した半導体記憶装置20と同じ要素については同一符号が付されている。
第7の実施の形態の半導体記憶装置180は、制御回路181を有し、プレート線ドライバ182も、図2のプレート線ドライバ26とは異なる。なお、センスアンプ部183には、第1の実施の形態以降の半導体記憶装置に用いられるプリセンスアンプ(たとえば、図12のプリセンスアンプ81~83など)が含まれる。
制御回路181は、アドレス信号ADSに含まれるコラムアドレス(たとえば、アドレス信号ADSの下位側のビット)に基づいて、プレート線ドライバ182に含まれる後述する複数のドライバ回路のうち有効にする数を制御する。
図43は、プレート線ドライバの一例を示す図である。図43には、あるプレート線PLmを駆動する部分が示されているが、他のプレート線を駆動する部分についても同様である。
プレート線ドライバ182は、バッファ182a、NAND回路182b1,182b2,182b3,182b4、ドライバ回路182c1,182c2,182c3,182c4を有する。
バッファ182aには、プレート線PLmに接続されるメモリセルの読み出し時に、論理レベルがHレベルとなるロウデコード信号PLINmが、ロウデコーダ23より供給される。
NAND回路182b1~182b4の、一方の入力端子にはロウデコード信号PLINmが入力される。NAND回路182b1の他方の入力端子には、制御信号COL<0>が入力され、NAND回路182b2の他方の入力端子には、制御信号COL<1>が入力される。NAND回路182b3の他方の入力端子には、制御信号COL<2>が入力され、NAND回路182b4の他方の入力端子には、制御信号COL<3>が入力される。制御信号COL<0>~COL<3>は、制御回路181から供給される。
NAND回路182b1の出力信号SEL<0>は、ドライバ回路182c1に入力され、NAND回路182b2の出力信号SEL<1>は、ドライバ回路182c2に入力される。NAND回路182b3の出力信号SEL<2>は、ドライバ回路182c3に入力され、NAND回路182b4の出力信号SEL<3>は、ドライバ回路182c4に入力される。
ドライバ回路182c1~182c4は、制御信号COL<0>~COL<3>の論理レベルに応じて有効または無効となる。たとえば、制御信号COL<1>の論理レベルがLレベルの場合、ロウデコード信号PLINmの論理レベルにかかわらず、NAND回路182b2の出力信号SEL<1>はHレベルとなり、ドライバ回路182c2は無効となる。
ドライバ回路182c1~182c4のうち、有効となる数が増えるほど、プレート線ドライバ182の出力能力が高くなり、有効となる数が減るほど、出力能力が下がる。
なお、ドライバ回路182c1~182c4の少なくとも1つは、プレート線PLmに接続されるメモリセルの選択時に、読み出し用の電圧レベルの信号を出力し、非選択時にその電圧レベルよりも低い電圧レベル(たとえば、0V)の信号を出力する。以下の例では、ドライバ回路182c1が、プレート線PLmに接続されるメモリセルの選択時に、読み出し用の電圧レベルの信号を出力し、非選択時に0Vの信号を出力するものとする。
ドライバ回路182c2~182c4は、有効時には、上記読み出し用の電圧レベルの信号を出力し、無効時には、読み出し用の電圧レベルと0Vの間の電圧レベルであるハイインピーダンスレベルの信号を出力する。
ドライバ182c1~182c4の出力端子は、プレート線PLmに接続されている。
なお、ドライバ回路182c2~182c4のそれぞれは、図43に示されるように、たとえば、pMOSトランジスタ182dとnMOSトランジスタ182eを有する。pMOSトランジスタ182dのソースには読み出し用の電圧レベルとして電源電圧VDDが印加され、pMOSトランジスタ182dのドレインとnMOSトランジスタ182eのドレインはプレート線PLmに接続されている。pMOSトランジスタ182dのゲートには、出力信号SEL<1>~SEL<3>(SEL<1:3>)の何れかが入力され、nMOSトランジスタ182eのゲートとソースは接地されている。
第7の実施の形態の半導体記憶装置180において、制御回路181は、プレート線PLmに接続されているメモリセルに対する読み出し時、メモリセルのアドレス(コラムアドレス)に基づいて、制御信号COL<0>~COL<3>を生成する。制御回路181は、メモリセルアレイ28上における読み出し対象のメモリセルの位置がプレート線ドライバ182から遠いほど、多くのドライバ回路を有効にする。
図44は、制御信号の生成例を示す図である。
図44にはメモリセルアレイ28をプレート線ドライバ26からの距離に応じて4つの領域に分け、各領域のメモリセルの読み出し時に生成される制御信号COL<0>~COL<3>の例が示されている。
メモリセルが、上記4つの領域のうち、最もプレート線ドライバ182からの距離が近い領域に属する場合、制御回路181は、論理レベルがHレベルの制御信号COL<0>、論理レベルがLレベルの制御信号COL<1>~COL<3>を生成する。これにより、ドライバ回路182c1が有効になり、ドライバ回路182c2~182c4が無効になる。
メモリセルが、プレート線ドライバ182からの距離が2番目に近い領域に属する場合、制御回路181は、論理レベルがHレベルの制御信号COL<0>,COL<1>、論理レベルがLレベルの制御信号COL<2>,COL<3>を生成する。これにより、ドライバ回路182c1,182c2が有効になり、ドライバ回路182c3,182c4が無効になる。
メモリセルが、プレート線ドライバ182からの距離が3番目に近い領域に属する場合、制御回路181は、論理レベルがHレベルの制御信号COL<0>~COL<2>、論理レベルがLレベルの制御信号COL<3>を生成する。これにより、ドライバ回路182c1~182c3が有効になり、ドライバ回路182c4が無効になる。
メモリセルが、プレート線ドライバ182からの距離が最も遠い領域に属する場合、制御回路181は、すべて論理レベルがHレベルの制御信号COL<0>~COL<3>を生成する。これにより、ドライバ回路182c1~182c4がすべて有効になる。この場合、そのメモリセルに接続されるプレート線に対するプレート線ドライバ182の出力能力が最高となる。
上記のように読み出し対象のメモリセルの、プレート線ドライバ182からの距離が遠いほど有効にするドライバ回路の数を増やすことで、プレート線ドライバ182からの距離によらずにプレート線の電圧波形の立ち上がりを同様の立ち上がり速度にできる。
このため、プレート線ドライバ182からの距離によらず、メモリセルに接続されるビット線の電圧波形の立ち上がりを同様の立ち上がり速度にすることができる。すなわち、ビット線の電圧波形の立ち上がりの鈍り具合が、均一化する。検出信号DETの論理レベルの立ち下がりタイミングを決める増幅信号Pout(または出力信号REPLICA)についても同様である。
これによって、第6の実施の形態の半導体記憶装置160と同様に、フェイルビットの発生の位置依存性を解消できる。
ところで、ドライバ回路182c1~182c4の数は上記の数に限定されず、2つ以上であればよい。ドライバ回路数は、数を増やすことによるフェイルビット発生の位置依存性解消の精度向上と、回路面積の増加とを比較考量して、適宜決定される。
以上、実施の形態に基づき、本発明の半導体記憶装置及び半導体記憶装置の試験方法の一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。