JP7416798B2 - フィルターおよび撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の波長帯域の画像を取得するためのフィルターおよび複数の波長帯域の画像を取得する撮像装置に関し、特に、少なくとも2つ以上の異なる反射波長を有する反射層と、反射層の反射中心波長に対応した方向の遅相軸を有する位相差層とを有するフィルターおよびフィルターを有する撮像装置に関する。
複数の波長帯域の画像、いわゆる、マルチスペクトル画像を取得する撮像装置として、特許文献1には、光学系の瞳部分を分割し、分割された瞳部分のそれぞれに分光透過率の異なる光学フィルターを配置し、かつ、イメージセンサーの前方にマイクロレンズアレイを配置した構成の撮像装置が記載されている。この撮像装置は、マイクロレンズアレイによる光線分離効果によって、瞳部分の異なる光学領域からの光をそれぞれ別の画素へと導くことにより、1つのイメージセンサーでマルチスペクトル画像を取得する。
しかし、マイクロレンズアレイによる光線の分離は必ずしも完全ではない。このため、特許文献1の撮像装置では、隣接する画素に光が漏れ、混信(クロストーク)が発生するという問題がある。
特許文献2には、この問題を解決するために、各画素から得られる信号(画素信号)に所定の信号処理を施して、混信の影響を除去することが提案されている。
国際公開第2012/143983号 国際公開第2015/004886号
しかしながら、マイクロレンズアレイを用いて光線を分離した場合に各画素で生じる混信の量は、画素の位置によって異なる。したがって、特許文献2の撮像装置において、画像の色味が均一で、より高品質な画像を得るには、画素毎に混信の発生量を求める必要がある。しかし、画素毎に混信の発生量を求めるには多大な労力を要する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、画像の色味が均一で、より高品質なマルチスペクトル画像を取得するためのフィルターおよび撮像装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明は、光学フィルター層と、光学フィルター層と積層される、パターン位相差層とを有するフィルターであって、光学フィルター層は、コレステリック液晶層で構成された反射層を少なくとも3つ有し、各反射層は、互いに反射中心波長が異なり、パターン位相差層は、反射層の反射中心波長に対応した方向の遅相軸を有する、フィルターを提供するものである。
また、本発明は、光学フィルター層と、光学フィルター層と積層される、パターン位相差層とを有するフィルターであって、光学フィルター層は、少なくとも2つ以上の異なる反射中心波長を有するコレステリック液晶層で構成された、反射層を有し、パターン位相差層は、反射層の反射中心波長に対応した方向の遅相軸を有する、フィルターを提供するものである。
コレステリック液晶層は、螺旋ピッチが連続的に変化して反射中心波長が連続的に変化していることが好ましい。
光学フィルター層は少なくとも1つの区画を有し、区画に反射層が設けられていることが好ましい。
光学フィルター層は少なくとも3つの区画を有し、各区画に反射層が設けられ、各区画の反射層は、互いに反射中心波長が異なることが好ましい。
光学フィルター層は少なくとも3つの区画を有し、各区画に、反射中心波長が異なる複数の反射層が設けられていることが好ましい。
光学フィルター層の区画は、三角形状であり、三角形状の区画は、それぞれの1つの頂点を合わせて配置されていることが好ましい。
光学フィルター層の区画は、円形状であることが好ましい。
光学フィルター層の区画は、円形状であり、円形状の区画の中心を起点にして放射状に、反射中心波長が異なる複数の反射層が設けられていることが好ましい。
また、本発明は、フィルターと、フィルターを通過した光を結像する結像素子と、結像素子により結像された光が入力される偏光イメージセンサーとを有する撮像装置を提供するものである。
本発明によれば、画像の色味が均一で、より高品質なマルチスペクトル画像を取得することができる。
本発明の実施形態のフィルターを有する撮像装置の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターの光学フィルター層の第1の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターのパターン位相差層の第1の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターのパターン位相差層の遅相軸を説明するための模式図である。 本発明の実施形態の撮像装置の偏光イメージセンサーの一例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態の撮像装置の偏光イメージセンサーの1つの画素を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の撮像装置の処理部の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターの光学フィルター層の第2の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターのパターン位相差層の第2の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターの光学フィルター層の第3の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターの光学フィルター層の第4の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターの光学フィルター層の第4の例を示す模式的拡大図である。 本発明の実施形態の光学フィルター層の反射中心波長の一例を示すグラフである。 本発明の実施形態の光学フィルター層の色の変化とパターン位相差層の遅相軸の変化とを示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターの光学フィルター層の第5の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターのパターン位相差層の第5の例を示す模式的拡大図である。 本発明の実施形態のフィルターを有する撮像装置の他の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターの製造方法の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターの製造方法の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターの製造方法の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターの製造方法の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターの製造方法の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターの反射層の形成に用いるマスクを示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターの反射層の形成に用いるマスクを示す模式図である。 本発明の実施形態のフィルターの反射層の形成に用いるマスクを示す模式図である。 本発明の実施例4のフィルターの作製に用いたマスクを示す模式図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のフィルターおよび撮像装置を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α1~数値β1とは、εの範囲は数値α1と数値β1を含む範囲であり、数学記号で示せばα1≦ε≦β1である。
「具体的な数値で表された角度」、「垂直」および「直交」等の角度は、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
本発明において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
本発明において、可視光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、400~700nmの波長領域の光を示す。非可視光は、400nm未満の波長領域または700nmを超える波長領域の光である。
また、これに制限されるものではないが、可視光のうち、420~490nmの波長領域の光は青色(B)光であり、495~570nmの波長領域の光は緑色(G)光であり、620~700nmの波長領域の光は赤色(R)光である。
さらに、本発明において、紫外線(紫外光)とは、380nm未満で200nm以上の波長領域の光であり、赤外線(赤外光)とは780nmを超え、1mm以下の波長領域の光であり、中でも、近赤外領域とは、780nmを超え、2000nm以下の波長領域の光である。
[撮像装置]
図1は本発明の実施形態のフィルターを有する撮像装置の一例を示す模式図である。
図1に示す撮像装置10は、フィルター12と、偏光イメージセンサー14と、処理部16と、光学系18とを有する。光学系18により、被写体Ojの情報を担持した光が、フィルター12を経て、結像され、結像された光が偏光イメージセンサー14に入力される。偏光イメージセンサー14で結像された光に基づく信号が得られ、処理部16で被写体Ojの画像データが得られる。この被写体Ojの画像データが、被写体Ojのマルチスペクトル画像を表す画像データである。
また、撮像装置10は、被写体Ojの色情報を偏光情報に変換して被写体Ojの偏光情報を得ることができる。
フィルター12は、光学フィルター層20と、光学フィルター層20と積層される、パターン位相差層22とを有する。フィルター12は、例えば、光学系18の瞳位置に配置される。この場合、光学フィルター層20が被写体Oj側に配置され、パターン位相差層22が偏光イメージセンサー14側に配置される。
光学フィルター層20およびパターン位相差層22については、後に詳細に説明する。
<光学系>
光学系18は、例えば、第1のレンズ群30と、第2のレンズ群32とを有し、光軸Lに沿って第1のレンズ群30と第2のレンズ群34とが配置されている。第1のレンズ群30が被写体Oj側に配置され、第2のレンズ群32が偏光イメージセンサー14側に配置されており、第1のレンズ群30と第2のレンズ群32との間に、フィルター12が配置されている。なお、撮像装置10において、直交するx、y、z方向が設定されているが、光軸Lはz方向と平行な方向に伸びる軸である。
第1のレンズ群30は、例えば、3つのレンズ30a、30b、30cを有し、偏光イメージセンサー14側から3つのレンズ30a、30b、30cが光軸Lに沿って配置されている。3つのレンズ30a、30b、30cは、いずれも凸面を被写体Oj側に向けて配置されている。例えば、レンズ30aは平凹レンズであり、レンズ30bは凸メニスカスレンズであり、レンズ30cは平凸レンズである。第1のレンズ群30が、フィルター12に被写体Ojの情報を担持した光を集光する光学素子として機能する。第1のレンズ群30は前玉とも呼ばれる。
第2のレンズ群32は、例えば、4つのレンズ32a、32b、32c、32dを有し、偏光イメージセンサー14側から4つのレンズ32a、32b、32c、32dが光軸Lに沿って配置されている。4つのレンズ32a、32b、32c、32dのうち、3つのレンズ32b、32c、32dが凸面を偏光イメージセンサー14側に向けて配置されている。レンズ32aは凸面を被写体Oj側に向けて配置されている。例えば、レンズ32aは平凸レンズであり、レンズ32bは平凸レンズであり、レンズ32cは両凸レンズであり、レンズ32dは平凹レンズである。第2のレンズ群32が、フィルター12を通過した光を結像する結像素子として機能する。第2のレンズ群32は後玉とも呼ばれる。
[フィルターの第1の例]
図2は本発明の実施形態のフィルターの光学フィルター層の第1の例を示す模式図であり、図3は本発明の実施形態のフィルターのパターン位相差層の第1の例を示す模式図である。
光学フィルター層20は、支持基板21に、コレステリック液晶層で構成された反射層を少なくとも3つ有し、各反射層は、互いに反射中心波長が異なる。反射層は、反射中心波長の光を反射するものであり、反射中心波長の光の透過率が低い。
図2に示す光学フィルター層20では、例えば、反射層24R、24G、24Bの3つが設けられており、3つの反射層24R、24G、24Bは、それぞれ反射中心波長が異なる。例えば、反射層24Rは赤色光を選択的に反射し、反射層24Gは緑色光を選択的に反射し、反射層24Bは青色光を選択的に反射する。3つの反射層24R、24G、24Bにおいて、それぞれ反射中心波長が異なるとは、反射中心波長のピーク波長の差が100nmを超えることをいう。
3つの反射層24R、24G、24Bは、全て大きさおよび形状が同じである。3つの反射層24R、24G、24Bは、三角形状であり、それぞれの1つの頂点を合わせて、等間隔に配置されている。
3つの反射層において、反射中心波長を連続的に変えることにより、反射光を連続的に変化させることもできる。
図2に示す光学フィルター層20では、反射層が3つ設けられているが、反射層の数は3つに特に限定されるものではなく、4つ以上でもよいことはもちろんである。
支持基板21において、反射層が設けられていない領域25における光学特性は特に限定されるものではなく、領域25は、赤外光領域の光を反射するものでもよく、紫外光領域の光を反射するものでもよく、赤外光領域~紫外光領域の光を透過するものでもよい。
なお、後述のように、光学フィルター層20は、支持基板21に、少なくとも2つ以上の異なる反射中心波長を有するコレステリック液晶層で構成された、反射層を有する構成でもよい。反射中心波長が連続的に変化する反射層の場合、反射層の数が1つでもよいが、複数あってもよい。
図3に示すパターン位相差層22は、反射層の反射中心波長に対応した方向の遅相軸を有するものである。このため、パターン位相差層22では、反射層の反射中心波長毎に遅相軸の方向を変えている。例えば、反射層の反射中心波長が500nm、600nm、700nmであれば、反射中心波長が500nmの反射層に対応する位相差層の遅相軸の方向と、反射中心波長が600nmの反射層に対応する位相差層の遅相軸の方向と、反射中心波長が700nmの反射層に対応する位相差層の遅相軸の方向とは、一致するものではなく互いに異なる。
また、パターン位相差層22は、光学フィルター層20を透過した光(円偏光)に対して、例えば、λ/4の位相差を与える機能を有する。
パターン位相差層22は、支持基板23に、光学フィルター層20の反射層24R、24G、24Bに対応する位置に位相差層26a、26b、26cが設けられている。なお、位相差層26a、26b、26c内の線の向きは、遅相軸の方向を示している。
図2に示す光学フィルター層20では、反射層24R、反射層24Gおよび反射層24Bの3つが設けられており、図3に示すパターン位相差層22も、3つの位相差層26a、26b、26cを有する。反射層24Rと位相差層26aとが対応し、反射層24Gと位相差層26bとが対応し、反射層24Bと位相差層26cとが対応している。3つの位相差層26a、26b、26cは、三角形状であり、それぞれの1つの頂点を合わせて、等間隔に配置されている。
反射層24R、24G、24Bと位相差層26a、26b、26cとは、大きさ、および形状が同じである。このため、光学フィルター層20とパターン位相差層22とが積層されると、反射層と位相差とが重なる。
3つの位相差層26a、26b、26cは、遅相軸の向きが異なるが、λ/4位相差領域である。λ/4位相差領域とは、制御波長域内の波長、好ましくは制御波長域の中心波長の1/4の長さ、または、「中心波長×n±中心波長の1/4(nは0または1以上の整数)」の面内レタデーションを有する領域を意図する。例えば、制御波長域の中心波長が1000nmであれば、250nm、750nm、1250nm、1750nm等の位相差の位相差層をλ/4位相差層として用いることができる。
なお、パターン位相差層22は、λ/4の位相差を与えるものに限定されるものではない。パターン位相差層22において、例えば、位相差を示す面内レタデーションの値Reは、138nmである。面内レタデーションの値Reは、測定波長550nmにおける値である。
パターン位相差層22では、支持基板23において、位相差層26a、26b、26cが設けられていない領域27における光学特性は特に限定されるものではなく、領域27は、上述の領域25と同様に赤外光領域の光を反射するものでもよく、紫外光領域の光を反射するものでもよく、赤外光領域~紫外光領域の光を透過するものでもよい。
図2に示す光学フィルター層20では、3つの反射層24R、24G、24Bは反射中心波長が異なるため、3つの位相差層において、遅相軸の方向が異なる。例えば、位相差層26aは遅相軸の方向が45°、位相差層26bは遅相軸の方向が90°、位相差層26cは遅相軸の方向が0°である。遅相軸の方向については後に説明する。
なお、遅相軸の方向を角度で表す場合、角度の差が10°であれば、遅相軸の方向が異なるという。
光学フィルター層20において、反射層の反射中心波長が異なるもの種類が少ない場合、遅相軸の方向の差が大きいことが好ましい。反射層の遅相軸の方向の差が大きいと、反射層を特定しやすくなり、反射層の検出精度が高くなるため、高品質のマルチスペクトル画像が容易に得られる。
図1に示すフィルター12では、図2に示す光学フィルター層20の反射層24R、24G、24Bを透過した光(円偏光)は、図3に示すパターン位相差層22の位相差層26a、26b、26cを通過して、遅相軸の方向に応じた偏光にされる。光学フィルター層20の反射層24R、24G、24Bを透過した光は、円偏光であるため、パターン位相差層22がλ/4の位相差を与える場合、直線偏光にされる。これにより、例えば、被写体Ojの反射光等の被写体Ojの情報を担持した光に、反射層の反射中心波長に基づく色の情報と、パターン位相差層22の位相差層に基づく偏光の情報とを付与することができる。
次に、遅相軸の方向について説明する。
図4は本発明の実施形態のフィルターのパターン位相差層の遅相軸を説明するための模式図である。なお、「遅相軸」とは、屈折率が最大となる方向を示す軸である。
遅相軸の方向は、光軸L(図1参照)、すなわち、z方向と直交するxy平面において、遅相軸がy軸と成す角度(方位角)によって表わされる。遅相軸の方向はy軸を基準とする角度であり、時計回りに角度をとる。図4において、符号Aa、Ab、Acは、パターン位相差層22の遅相軸を示す。角αbが45°であり、角αcが90°である。なお、遅相軸Aaの角度は0°であり、遅相軸Abの角度は45°であり、遅相軸Acの角度は90°である。遅相軸の方向の角度の光を透過する。
<偏光イメージセンサー>
図5は本発明の実施形態の撮像装置の偏光イメージセンサーの一例を示す模式的斜視図であり、図6は本発明の実施形態の撮像装置の偏光イメージセンサーの1つの画素を示す模式的断面図である。
偏光イメージセンサー14は、上述のようにフィルター12(図1参照)を通過して結像された光を検出するセンサーである。偏光イメージセンサー14と、フィルター12とにより、被写体Ojの色情報に偏光情報を関連付け、色情報に関連付けられた偏光情報を得ることができる。
偏光イメージセンサー14は、受光面に複数の画素Piを有し、各画素Piで、結像された光を受光する。画素Piは、x方向およびy方向に沿って、一定ピッチで規則的に配列される。ここで、画素Piのiは1以上の整数を表す。
本実施の形態の偏光イメージセンサー14では、例えば、隣接する9個の画素Piで1つの画素ブロックPBが構成される。画素ブロックPBが、x方向およびy方向に沿って規則的に配列される。画素ブロックPBを構成する画素数は、9個に限定されるものではない。
偏光イメージセンサー14は、ピクセルアレイ層40、偏光フィルター素子アレイ層42、およびマイクロレンズアレイ層44を有する。各層は、像面側から物体側に向かって、ピクセルアレイ層40、偏光フィルター素子アレイ層42、およびマイクロレンズアレイ層44の順に配置されている。
ピクセルアレイ層40は、多数のフォトダイオード41が二次元的に配列して構成される。1つのフォトダイオード41は、1つの画素を構成する。各フォトダイオード41は、x方向およびy方向に沿って規則的に配置される。
偏光フィルター素子アレイ層42は、互いに偏光方向(透過偏光方位)が異なる偏光フィルター素子43が二次元的に配列して構成される。
偏光フィルター素子43は、フォトダイオード41と同じ間隔で配置され、画素毎に備えられる。各画素ブロックPBにおいて、偏光フィルター素子43は、規則的に配列される。
偏光フィルター素子43は、透過させる光の偏光方向(透過偏光方位)が互いに異なる、複数種のものがある。画素ブロックPBにおいて、全ての種類の偏光フィルター素子43が配置されていることが好ましいが、配置される偏光フィルター素子43の偏光方向は、上述のパターン位相差層22の位相差層26a、26b、26c(図3参照)の遅相軸の方向と一致していてもよいが、一致していなくてもよい。
上述のパターン位相差層22の位相差層26a、26b、26c(図3参照)の遅相軸の方向と一致している場合、位相差層26a、26b、26cを透過した光を、偏光イメージセンサー14の偏光フィルター素子43の透過の有無により、位相差層26a、26b、26cを特定することができる。
上述のパターン位相差層22の位相差層26a、26b、26c(図3参照)の遅相軸の方向と一致していない場合、位相差層26a、26b、26cの遅相軸の方向と、偏光フィルター素子43の偏光方向との関係を予め求めておく必要がある。例えば、図1に示す被写体Ojの位置で白色光を点灯し、フィルター12の光学フィルター層20およびパターン位相差層22の位相差層26a、26b、26cを透過した光について、図5に示す1つの画素ブロックPBの複数の偏光フィルター素子43におけるそれぞれの透過光量を求める。
図5に示すマイクロレンズアレイ層44は、多数のマイクロレンズ45を二次元的に配列して構成される。各マイクロレンズ45は、フォトダイオード41と同じ間隔で配置され、1画素毎に備えられる。マイクロレンズ45は、フィルター12を透過し、結像された光をフォトダイオード41に効率よく集光させる目的で備えられる。
<処理部>
図7は本発明の実施形態の撮像装置の処理部の一例を示す模式図である。
処理部16は、偏光イメージセンサー14から出力される信号を処理して、被写体Ojの画像データを生成する。処理部16は、信号処理部50、画像生成部52および記憶部54を有する。
信号処理部50は、偏光イメージセンサー14の各画素から出力されるアナログの画素信号を取り込み、所定の信号処理、例えば、相関二重サンプリング処理、および増幅処理等を施した後、デジタル信号に変換して出力する。
画像生成部52は、デジタル信号に変換された後の画素信号に所定の信号処理を施して、被写体Ojの画像データを生成する。
記憶部54は、画像生成部52で生成された画像データを記憶するものであり、例えば、パーソナルコンピューター等で利用される半導体メモリで構成される。なお、記憶部54は、画像データを記憶することに限定されるものではなく、画像生成部52の信号処理に必要なプログラム、信号処理条件等を記憶してもよい。さらには、上述の位相差層26a、26b、26c(図3参照)を透過した光と、1つの画素ブロックPB(図5参照)の複数の偏光フィルター素子43(図5参照)の透過光量との関係を記憶してもよい。なお、上述の位相差層26a、26b、26cを透過した光と、複数の偏光フィルター素子43の透過光量との関係は、撮像装置10(図1参照)の使用頻度、偏光イメージセンサー14の交換等により、適宜更新されることが好ましく、更新毎に、記憶部54に記憶される。
図1に示す撮像装置10では、フィルター12により、被写体Ojの色情報に偏光情報を関連付け、色情報に関連付けられた偏光情報を偏光イメージセンサー14で得ることにより、混色等がなく、各色情報を得ることができる。これにより、撮像装置10では、被写体Ojについて、画像の色味が均一で、より高品質なマルチスペクトル画像を取得することができる。
[フィルターの第2の例]
図8は本発明の実施形態のフィルターの光学フィルター層の第2の例を示す模式図であり、図9は本発明の実施形態のフィルターのパターン位相差層の第2の例を示す模式図である。
図8において図2に示す第1の例の光学フィルター層20と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、図9において図3に示す第1の例のパターン位相差層22と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図8に示す第2の例の光学フィルター層20は、3つの反射層24R、反射層24Gおよび反射層24Bが、1つにまとめて配置されている。3つの反射層24R、反射層24Gおよび反射層24Bが、1つにまとめて配置される領域のことを区画28という。光学フィルター層20では、3つの区画28があり、合計9の反射層を有する。反射層24R、反射層24Gおよび反射層24Bは大きさおよび形状が同じである。
図9に示す第2の例のパターン位相差層22は、図8に示す光学フィルター層20の反射層に対応して位相差層26a、26b、26cが配置されている。反射層24Rに対して位相差層26aが配置され、反射層24Gに対して位相差層26bが配置され、反射層24Bに対して位相差層26cが配置されている。パターン位相差層22は、合計9の位相差層を有する。
上述の区画28は、扇型であり、3つの区画28は、それぞれの頂点を合わせて、等間隔に配置されている。しかしながら、区画の形状は扇型に限定されるものではなく、三角形でもよく、後述するように円形状でもよい。
[フィルターの第3の例]
図10は本発明の実施形態のフィルターの光学フィルター層の第3の例を示す模式図である。
図10において図8に示す第2の例の光学フィルター層20と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図10に示す第3の例の光学フィルター層20は、図8に示す第2の例の光学フィルター層20に比して、区画28の数が異なり、それ以外の構成は、図8に示す第2の例の光学フィルター層20と同じ構成である。図10に示す第3の例の光学フィルター層20は、5つの区画28を有する。反射層24R、反射層24Gおよび反射層24Bは大きさおよび形状が同じである。
図示はしないが、図10に示す第3の例の光学フィルター層20に対応するパターン位相差層22は、図9に示すパターン位相差層22に比して、位相差層26の数が異なる以外は、同じ構成であるため、その詳細な説明は省略する。
[フィルターの第4の例]
光学フィルター層20において、光学フィルター層20は、支持基板21に、少なくとも2つ以上の異なる反射中心波長を有するコレステリック液晶層で構成された、反射層を有する構成でもよい。
図11は本発明の実施形態のフィルターの光学フィルター層の第4の例を示す模式図であり、図12は本発明の実施形態のフィルターの光学フィルター層の第4の例を示す模式的拡大図である。
図11および図12において図2に示す第1の例の光学フィルター層20と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図11および図12に示す第4の例の光学フィルター層20は、円形状の反射層24を有する点と、反射層24では反射中心波長が連続的に変化している点とが異なり、それ以外の構成は図2に示す光学フィルター層20と同じ構成である。
円形状の反射層24を設ける数は、特に限定されるものではなく、1つでも、複数でもよいが、例えば、反射層24の数は1000である。また、反射層24で生じる回折の影響を抑制するために反射層24を小さくし、光学フィルター層20の支持基板21全域を覆うように配置することが好ましい。
反射層24を1つ設ける場合、光学フィルター層20の支持基板21全域を覆う大きさとすることが好ましい。円形状の反射層24が形成されている領域のことを区画28ともいう。
円形状の反射層24は、例えば、反射層24の中心を起点にして放射状に反射中心波長が連続的に変化する。反射中心波長が連続的に変化するとは、例えば、図13に示すように、反射中心波長が、反射層24の表面の二次元面内で連続的に変化することである。反射層24の反射中心波長の連続的な変化は、例えば、コレステリック液晶相の場合、螺旋ピッチの連続的な変化を実現できる。なお、図13において、矢印は位相差層の遅相軸の方向を示す。コレステリック液晶相では、紫外光の照射量を変えることにより螺旋ピッチが変わることを利用して、螺旋ピッチを連続的に変化させる。
円形状の反射層24に対して、図示はしないが、パターン位相差層22では円形状の反射層24に対応する位置に、位相差層26が配置される。位相差層26では、反射中心波長に対応して遅相軸が連続的に変化する。例えば、図14に模式的に示すように、光学フィルター層20が方向Dに対して色が連続的に変化する場合、すなわち、反射中心波長が連続的に変化する場合、パターン位相差層22において遅相軸29の方向を変化させる。
なお、上述の反射中心波長の連続的な変化の「連続」とは、反射中心波長のピーク波長の差が100nm以下であることをいう。
[フィルターの第5の例]
図15は本発明の実施形態のフィルターの光学フィルター層の第5の例を示す模式図であり、図16は本発明の実施形態のフィルターのパターン位相差層の第5の例を示す模式的拡大図である。図15では1つ区画28だけを示しており、図16では図15の区画28に対応する位相差層を示している。
図15において図11および図12に示す第4の例の光学フィルター層20と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図16において図3に示す第1の例のパターン位相差層22と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図15に示す第5の例の光学フィルター層20は、図11および図12に示す第4の例の光学フィルター層20に比して、反射中心波長が連続的に変化していない点が異なり、それ以外の構成は11および図12に示す光学フィルター層20と同じ構成である。
第5の例の光学フィルター層20では、1つの区画28の中心を起点にして放射状に、反射中心波長が異なる複数の反射層が設けられている、図15に示すように区画28に、同心円状に3つの反射層24R、24G、24Bが設けられている。
区画28の中心に反射層24Bが配置され、反射層24Bの外側に反射層24Gが配置され、反射層24Gの外側に反射層24Rが配置されている。この場合、パターン位相差層22では、3つの反射層24R、24G、24Bに対応して、図16に示すように中心に位相差層26cが配置され、位相差層26cの外側に位相差層26bが配置され、位相差層26bの外側に位相差層26aが配置されている。
このように、光学フィルター層20の反射層24を円形状とした場合、反射中心波長が連続的に変化することに限定されるものではなく、中心波長が不連続な反射層の組み合わせでもよい。
なお、上述のいずれの光学フィルター層20とパターン位相差層22とは、支持基板21と支持基板23とを有する構成としたが、これに限定されるものではなく、光学フィルター層20の支持基板21を設けることなく、位相差層上に反射層を設ける構成でもよい。
上述の図2に示す光学フィルター層20では反射層の数が3であり、図8に示す光学フィルター層20では反射層の数が9であり、図10に示す光学フィルター層20では反射層の数が15である。1つの反射層において反射中心波長が1つだけの場合、反射層の数は、少なくとも3つあればよく、6以上がより好ましく、12以上がさらに好ましい。反射層の数の上限は特に制限されないが、反射領域の最小サイズは300μm程度が現実的であり、レンズ径を15mmと想定した場合、レンズ面内ほぼ全面に反射層を設置すると、反射層の数が2000となる。このため、反射層の数の上限値としては、2000程度であるが、1500以下でもよい。
図11に示す光学フィルター層20では反射層の数が、例えば、1000である。1つの反射層において反射中心波長が複数の場合、反射層の数は、少なくとも1つあればよく、反射層の数としては、100以上がさらに好ましく、500以上が特に好ましい。反射層の数の上限は特に制限されないが、上述のように反射領域の最小サイズが300μm程度であることが現実的であることから、レンズ径を15mmと想定した場合の上限値としては2000以下程度であり、1500以下でもよい。
[撮像装置の他の例]
図17は本発明の実施形態のフィルターを有する撮像装置の他の例を示す模式図である。
図17に示す撮像装置10aにおいて、図1に示す撮像装置10と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図17に示す撮像装置10aは。図1に示す撮像装置10に比して、フィルター12の配置位置が異なり、それ以外の構成は、図1に示す撮像装置10と同じである。
図17に示す撮像装置10aは。フィルター12が光学系18の瞳位置ではなく、第1のレンズ群30のレンズ30cの凸面の、被写体Oj側に配置されている。フィルター12をこの位置に配置しても、図1に示す撮像装置10と同様に、被写体Ojの反射光等の被写体Ojの情報を担持した光に、フィルター12により、反射層の反射中心波長に基づく色の情報と、パターン位相差層22の位相差層に基づく偏光の情報とを付与することができ、被写体Ojの画像データ、すなわち、被写体Ojのマルチスペクトル画像の画像データを得ることができる。
フィルター12を配置する光学系は、図1および図17に示すものに限定されるものではなく、フィルター12を通過した、被写体Ojの情報を担持した光を偏光イメージセンサー14に結像する機能を有する構成であればよい。
上述の撮像装置10および撮像装置10aは、いずれも被写体Ojの色情報を偏光情報に変換して被写体Ojの偏光情報を得ることができる。しかしながら、上述の撮像装置10および撮像装置10aは、いずれも偏光状態を色情報に変換することもできる。この場合、被写体Ojの位置にイメージセンサー(図示せず)を配置し、イメージセンサーの位置に被写体Ojを配置する構成とする。イメージセンサーは、CCD(charge coupled device)、またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮影素子を備え、イメージセンサーには被写体Ojの画像を得るための処理部が接続される。光学フィルター層20がイメージセンサー側に配置され、パターン位相差層22が被写体Oj側に配置される。
上述の構成では、被写体Ojの反射光等の被写体Ojの情報を担持した光がパターン位相差層22を透過し、この際、パターン位相差層22の位相差層に基づく偏光の情報が付与される、偏光の情報が付与された、被写体Ojの情報を担持した光が光学フィルター層20を透過する際に、光学フィルター層20により反射層の反射中心波長に基づく色の情報が付与され、イメージセンサーにて、被写体Ojの偏光情報に色情報を関連付け、偏光情報に関連付けられた色情報が得られる。
以下、反射層の構成、位相差層の構成、フィルターの製造方法等について説明する。
[反射層]
反射層は、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層である。
コレステリック液晶相の選択反射の中心波長λ(選択反射中心波長λ)は、コレステリック液晶相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶相の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、この螺旋構造の螺旋ピッチを調節することによって、選択反射中心波長を調節することができる。螺旋ピッチを連続的に変化させることにより、コレステリック液晶層の反射中心波長を連続的に変化させることができる。
コレステリック液晶相のピッチは、重合性液晶化合物と共に用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調節することによって所望のピッチを得ることができる。
また、選択反射を示す選択反射帯域(円偏光反射帯域)の半値幅Δλ(nm)は、コレステリック液晶相の屈折率異方性Δnと螺旋のピッチPとに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯域の幅の制御は、コレステリック液晶相の屈折率異方性Δnを調節して行うことができる。屈折率異方性Δnは、反射層24を形成する液晶化合物の種類およびその混合比率、ならびに、配向固定時の温度により調節できる。
螺旋のセンスおよびピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
コレステリック液晶層の選択反射の中心波長、すなわち、反射中心波長と半値幅とは、以下のようにして求めることができる。
分光光度計(日本分光株式会社製、V-670)を用いてコレステリック液晶層の反射スペクトル(コレステリック液晶層の法線方向から測定したもの)を測定すると、選択反射帯域に透過率の低下ピークがみられる。このピークの極小透過率と低下前の透過率との中間(平均)の透過率となる2つの波長のうち、短波長側の波長の値をλl(nm)、長波長側の波長の値をλh(nm)とすると、選択反射の中心波長λ(nm)と半値幅Δλ(nm)は下記式で表すことができる。
λ=(λl+λh)/2Δλ=(λh-λl
上述のように求められる選択反射の中心波長はコレステリック液晶層の法線方向から測定した円偏光反射スペクトルの反射ピークの重心位置にある波長と略一致する。
コレステリック液晶相の反射光は円偏光である。反射する円偏光が右円偏光であるか左円偏光であるかは、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向による。コレステリック液晶相による円偏光の選択反射は、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向が右の場合は右円偏光を反射し、螺旋の捩れ方向が左の場合は左円偏光を反射する。
反射層は、右円偏光を反射するコレステリック液晶層でも、左円偏光を反射するコレステリック液晶層でもよい。あるいは、反射層が、右円偏光を反射するコレステリック液晶層と、左円偏光を反射するコレステリック液晶層とを積層したものでもよい。
コレステリック液晶相の旋回の方向は、反射層を形成する液晶化合物の種類、および添加されるキラル剤の種類の少なくとも一方によって調節できる。
なお、反射層24は、1層からなるものでも、多層構成でもよい。
反射する光の波長領域すなわち遮断する光の波長領域を広くするには、選択反射中心波長λをずらした層を順次積層することで実現できる。また、ピッチグラジエント法と呼ばれる層内の螺旋ピッチを段階的に変化させる方法で、波長範囲を広げる技術も知られており、具体的には、Nature 378、467-469(1995)、特開平6-281814号公報、および、特許4990426号公報等に記載の方法などが挙げられる。
前述のように、反射層24は、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層である。
コレステリック液晶相を固定した構造は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、外場または外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した構造であればよい。
なお、コレステリック液晶相を固定した構造においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、液晶化合物は、液晶性を示さなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、液晶性を失っていてもよい。
コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、一例として、液晶化合物を含む液晶組成物が挙げられる。液晶化合物は重合性液晶化合物であるのが好ましい。
コレステリック液晶層の形成に用いる液晶化合物を含む液晶組成物は、さらに界面活性剤を含むのが好ましい。また、コレステリック液晶層の形成に用いる液晶組成物は、さらにキラル剤、重合開始剤および配向剤等を含んでいてもよい。
特に、右円偏光を反射する反射層24を形成する液晶組成物は、重合性液晶化合物、右捩れを誘起するキラル剤、および、重合開始剤を含む重合性コレステリック液晶組成物であるのが好ましい。また、左円偏光を反射する反射層24を形成する液晶組成物は、重合性液晶化合物、左捩れを誘起するキラル剤、および、重合開始剤を含む重合性コレステリック液晶組成物であるのが好ましい。
--重合性液晶化合物--
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であるのが好ましい。
コレステリック液晶相を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基がより好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1~6個、より好ましくは1~3個である。重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.、190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、米国特許第5622648号明細書、米国特許第5770107号明細書、国際公開第1995/22586号、国際公開第1995/24455号、国際公開第1997/00600号、国際公開第1998/23580号、国際公開第1998/52905号、特開平1-272551号公報、特開平6-16616号公報、特開平7-110469号公報、特開平11-80081号公報、および、特開2001-328973号公報等に記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、75~99.9質量%が好ましく、80~99質量%がより好ましく、85~90質量%がさらに好ましい。
--キラル剤(光学活性化合物)--
キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル剤は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
すなわち、右円偏光を反射する反射層24を形成する際には、右捩れを誘起するキラル剤を用い、左円偏光を反射する反射層24を形成する際には、左捩れを誘起するキラル剤を用いればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4-3項、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、イソマンニド誘導体を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であるのが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であるのが好ましく、不飽和重合性基であるのがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基であるのがさらに好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2000-147236、特開2002-80478号公報、特開2002-80851号公報、特開2002-179633号公報、特開2002-179668号公報、特開2002-179669号公報、特開2002-179670号公報、特開2002-179681号公報、特開2002-179682号公報、特開2002-302487号公報、特開2002-338575号公報、特開2002-338668号公報、特開2003-306490号公報、特開2003-306491号公報、特開2003-313187号公報、特開2003-313188号公報、特開2003-313189号公報、および、特開2003-313292号公報等に記載の化合物を用いることができる。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶化合物量の0.01~200モル%が好ましく、1~30モル%がより好ましい。液晶組成物は、2種以上のキラル剤を含有していてもよく、上述した光異性化基を有するキラル剤と、光異性化基を有さないキラル剤を混合することで、捩り強度(HTP(Helical Twisting Power))および光異性化能を調節することができる。
--重合開始剤--
液晶組成物が重合性化合物を含む場合は、液晶組成物は重合開始剤を含有しているのが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。光重合開始剤の例には、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、米国特許第2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号および米国特許第2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報および米国特許第4239850号明細書記載)、ならびに、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1~20質量%であるのが好ましく、0.5~12質量%であるのがさらに好ましい。
--架橋剤--
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、4,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いるのができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、液晶組成物の固形分質量に対して、3~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が上述の範囲内であれば、架橋密度向上の効果が得られやすく、コレステリック液晶相の安定性がより向上する。
--重合禁止剤--
液晶組成物は、保存性の向上を目的として、重合禁止剤を含有してもよい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ベンゾキノン、ヒンダードアミン(HALS)、および、これらの誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合禁止剤の含有量は、液晶組成物の固形分質量に対して、0~10質量%が好ましく、0~5質量%がより好ましい。
液晶組成物は、コレステリック液晶層を形成する際には、液体として用いられるのが好ましい。
液晶組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびシクロペンタノン等のケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、ならびに、エーテル類などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が好ましい。上述の単官能重合性モノマーなどの上述の成分が溶媒として機能していてもよい。
ここで、前述のように、キラル剤としては、シンナモイル基などの光で異性化する部分(光異性化基)を有するキラル剤が利用可能である。液晶組成物のキラル剤として、光異性化基を有するキラル剤を用いた場合には、液晶組成物を塗布して加熱を行った後、マスク等を用いて、弱い紫外線をパターニングして照射することを1回以上行って、光異性化基を異性化し、その後、コレステリック液晶相を固定化するための紫外線の照射を行ってもよい。
あるいは、マスク等を用いてコレステリック液晶相を固定化するための強い紫外線をパターニングして照射することで部分的に硬化させた後に、未露光部または全面に弱い紫外線を照射することで光異性化基を異性化し、その後、コレステリック液晶相を固定化するための紫外線の照射を行ってもよい。
これにより、1つの反射層中で、螺旋ピッチを連続的に変化させて、反射中心波長を連続的に異ならせることができる。この点に関しては、後に詳述する。
また、紫外線照射時の温度を調節することで、反射波長領域を調節することも可能である。温度を調節しながら、紫外線をパターニングして照射することで、反射層が、面内に、異なる波長領域の光を反射する反射領域を、複数、有する構成にできる。1つの反射層中で、螺旋ピッチを連続的に変化させて、反射中心波長を連続的に異ならせることができる。特に、液晶組成物の等方相温度以上に加熱した状態で、紫外線照射をすることで、いずれの波長領域にも反射特性を持たない透過領域を面内に形成することができる。
反射層は、一例として、光異性化基を有するキラル剤(感光性のキラル剤)を含有する前述の液晶組成物を用いて形成できる。
反射層の作製に際して、まず、目的とする円偏光方向に対応する捩れを誘起する感光性のキラル剤、重合性液晶化合物、重合開始剤および配向剤等を含有する液晶組成物を調製する。
次いで、調製した液晶組成物を、λ/4の位相差層における反射層の形成面に塗布する。λ/4の位相差層は、形成する反射層に応じた遅相軸の方向を有する。なお、液晶組成物の塗布は、ワイヤーバー塗布等の公知の方法で行えばよい。
ここで、液晶組成物は、一例として、緑色光を選択的に反射するコレステリック液晶層、すなわち、緑色光の波長領域に選択反射中心波長を有するコレステリック液晶層を形成するように、調製する。
また、感光性のキラル剤は、一例として、紫外線を照射すると、照射量に応じて、誘起するコレステリック液晶相の螺旋構造のピッチが長くなるものを用いる。すなわち、この液晶組成物は、紫外線を照射すると、照射量に応じて、形成するコレステリック液晶層の選択的な反射波長が長くなる(選択反射中心波長が長くなる)。
次いで、塗布した液晶組成物に、反射層の形成領域に応じた、例えば、黒インクで形成した黒色の遮光部を有するマスクを介して、紫外線を照射する。
前述のように、液晶組成物は、緑色光を選択的に反射するコレステリック液晶層を形成するものである。また、液晶組成物(感光性のキラル剤)は、紫外線を照射すると、照射量に応じて、形成するコレステリック液晶層の選択的な反射波長が長くなるものである。
従って、液晶組成物が形成するコレステリック液晶層の選択的な反射波長が、赤外線を反射するコレステリック液晶層となる量の紫外線を照射することにより、液晶組成物は、紫外線を照射された領域は、赤外線を選択的に反射するコレステリック液晶層となる。マスクの遮光部によって遮光された領域は、緑色光を選択的に反射するコレステリック液晶層となる。
次いで、液晶組成物を加熱することにより、液晶組成物をコレステリック液晶相の状態とし、かつ、硬化することにより反射層を形成する。
あるいは、液晶組成物を加熱することにより、液晶組成物をコレステリック液晶相の状態とし、さらに、必要に応じて液晶組成物に紫外線を照射して硬化することにより反射層を形成する。このようにして形成した反射層は、一様に塗布した液晶組成物を塗膜に紫外線を照射することによって形成している。
なお、反射層の厚さには、制限は無く、選択的に反射する可視光の波長、および、目的とする可視光の反射率等に応じて、適宜、設定すればよい。
以上の例では、紫外線を照射すると、照射量に応じて、形成するコレステリック液晶層の選択的な反射波長が長くなる液晶組成物(感光性のキラル剤)を用いて反射層を形成したが、反射層の形成方法は、逆の方法でも形成可能である。
この場合には、紫外線を照射すると励起する螺旋構造のピッチが短くなる感光性のキラル剤を利用する。このようなキラル剤を含有する、紫外線の照射量に応じて、形成するコレステリック液晶層の選択的な反射波長が短くなり、かつ、赤外線を選択的に反射するコレステリック液晶層を形成する液晶組成物を調製する。この液晶組成物を反射層の形成面に塗布して、塗膜を形成する。
その上で、上述の例とは逆に、紫外線の透過量を調整して液晶組成物に紫外線を照射する。これにより、反射層を形成してもよい。
反射層以外に可視光を反射しない非反射領域として、赤外線を選択的に反射する赤外線反射領域を有してもよいが、これに制限はされない。
例えば、可視光を反射しない非反射領域として、紫外線を選択的に反射する紫外線反射領域を有する反射層も、利用可能である。
あるいは、可視光を反射しない非反射領域は、可視光のみならず、赤外線および紫外線も反射しない領域(無反射領域)であってもよい。このような非反射領域は、例えば、反射層となるコレステリック液晶層において、非反射領域におけるコレステリック液晶相の螺旋のピッチを、反射層(コレステリック液晶層)の膜厚よりも大きくすることで、形成できる。
以上の例は、緑色光の1色のみを選択的に反射する反射層であるが、例えば、赤色光または青色光を選択的に反射する反射層も、緑色光の反射層と同様にして作製することができる。また、1つの反射層において、赤色光、緑色光および青色光を反射させることができる。
上述の光学フィルター層20の反射層は、マスクパターンが異なる以外、上述の反射層と同様にして作製することができる。また、反射層の形状も、マスクパターンの形状を変えることにより、三角形以外のものも形成することができる。
赤色光、緑色光および青色光を反射させることができる反射層は、前述の反射層に準ずる方法で作製できる。
まず、前述の反射層と同様に、例えば、青色光を選択的に反射するコレステリック液晶層となる液晶組成物を、反射層の形成面、例えば、λ/4の位相差層の表面に塗布する。
次いで、液晶組成物に、例えば、黒インクで形成した同心円形状のパターンを有するマスクパターンを有するマスクを用いて、紫外線を照射する。この場合、同心円状のパターンは、紫外線の透過量が連続的に変化するように黒色度が調整されている。
例えば、円形状のパターンでは、中心部の紫外線の透過量を最も多くし、外側に向かって連続的に紫外線の透過量を少なくする。
前述のように、液晶組成物は、紫外線の照射量に応じて、選択的に反射する波長領域が長くなるコレステリック液晶層を形成するものである。
従って、上述の同心円状のマスクパターンを有するマスクを介して紫外線の透過量を変えて紫外線を照射することにより、反射する波長領域を変えることができる。
これ以降は、前述の反射層と同様に、加熱処理によって、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向して、さらに、必要に応じて、紫外線を照射することで、液晶組成物を硬化する。これにより、例えば、図12に示すように、反射中心波長が連続的に変化する反射層を得ることができる。
図12に示す反射層は、円形であるが、これ以外にも正方形、長方形、および、六角形等の多角形状の反射層に利用可能である。図11に示すように反射層を二次元的に配置することにより、反射層同士の隙間を少なくして、光学フィルター層20の全面で選択的に反射することができる。
[パターン位相差層]
パターン位相差層は、例えば、正面位相差としてλ/4与える。
パターン位相差層の正面位相差は、可視光波長域の1/4の長さ、中心波長×n±中心波長の1/4(nは整数)、反射層の反射波長、または光源の発光波長の中心波長の1/4の長さ等でもよい。
パターン位相差層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、延伸されたポリカーボネートフィルム、延伸されたノルボルネン系ポリマーフィルム、炭酸ストロンチウムのような複屈折を有する無機粒子を含有して配向させた透明フィルム、支持体上に無機誘電体を斜め蒸着した薄膜、液晶化合物を一軸配向させて配向固定したフィルム等が挙げられる。
パターン位相差層としては、重合性液晶化合物を一軸配向させて配向固定したフィルムが好ましい。例えば、パターン位相差層は、仮支持体、または配向層表面に重合性液晶化合物を含む液晶組成物を塗布し、そこで液晶組成物中の重合性液晶化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、硬化によって固定化して、形成することができる。この場合の位相差層の形成は液晶組成物中にキラル剤を添加しない以外は、上述のコレステリック液晶層の形成と同様に行うことができる。ただし、液晶組成物の塗布後のネマチック配向の際、加熱温度は50~120℃が好ましく、60~100℃がより好ましい。
パターン位相差層は、高分子液晶化合物を含む組成物を、仮支持体、または配向層等の表面に塗布して液晶状態においてネマチック配向に形成後、冷却することによって当該配向を固定化して得られる層であってもよい。
パターン位相差層の厚みは、0.2~300μmが好ましく、0.5~150μmがより好ましく、1.0~80μmがさらに好ましい。液晶組成物から形成されるパターン位相差層の厚みは、特に限定はされないが、0.2~10μmが好ましく、0.5~5.0μmがより好ましく、1.0~2.0μmがさらに好ましい。
位相差の遅相軸の方向が設定されるが、遅相軸の方向は、例えば、ラビング処理により設定することができる。
パターン位相差層を構成する材料は、上述のものに特に制限されず、例えば、液晶性化合物が挙げられる。より具体的には、低分子液晶性化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、光架橋または熱架橋によって固定化して得られる光学異方性層、高分子液晶性化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、冷却することによって配向を固定化して得られる光学異方性層を用いることもできる。パターン位相差層は、ディスコティック液晶性化合物を含む組成物で形成されていることが好ましい。
一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプ(棒状液晶性化合物)と円盤状タイプ(ディスコティック液晶性化合物)に分類できる。さらにそれぞれ低分子タイプと高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶性化合物を用いることもできる。2種以上の棒状液晶性化合物、2種以上のディスコティック液晶性化合物、または棒状液晶性化合物とディスコティック液晶性化合物との混合物を用いてもよい。
なお、棒状液晶性化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報の請求項1および特開2005-289980号公報の段落[0026]~[0098]に記載のものを好ましく用いることができ、ディスコティック液晶性化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報の段落[0020]~[0067]および特開2010-244038号公報の段落[0013]~[0108]に記載のものを好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
パターン位相差層は、温度変化または湿度変化を小さくできることから、重合性基を有する棒状液晶性化合物またはディスコティック液晶性化合物を用いて形成することがより好ましい。液晶性化合物は2種類以上の混合物でもよく、その場合少なくとも1つが2以上の重合性基を有していることが好ましい。
つまり、パターン位相差層は、重合性基を有する棒状液晶性化合物またはディスコティック液晶性化合物が重合等によって固定されて形成された層であることが好ましく、この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
ディスコティック液晶性化合物および棒状液晶性化合物に含まれる重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基または環重合性基が好ましい。より具体的には、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等が好ましく挙げられ、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
上述のパターン位相差層の形成方法としては、以下の好適な態様が例示されるが、これらに限定されることなく、公知の方法を採用でき、例えば、特開2014-89431号公報に記載の方法が挙げられる。また、光配向膜を使用する形態も好適に挙げられる。
光配向膜とは、偏光または無偏光の照射により膜に異方性を生じ、液晶に配向規制力を生ずる性質を有する膜のことである。例えば、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーと、溶剤とを含む組成物(以下、場合により「光配向膜形成用組成物」という)を基材に塗布し、偏光(好ましくは、偏光UV(Ultra Violet))を照射することによって配向規制力を付与した光配向膜を得ることができる。
光反応性基とは、光を照射すること(光照射)により液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光を照射することで生じる分子の配向誘起又は異性化反応、二量化反応、光架橋反応、あるいは光分解反応のような、液晶配向能の起源となる光反応を生じるものである。光反応性基としては、具体的には、アゾベンゼン構造(骨格)を有する基、ヒドラゾノ-β-ケトエステル構造(骨格)を有する基、スチルベン構造(骨格)を有する基、スピロピラン構造(骨格)を有する基等が挙げられる。
この場合、光配向膜を用いた位相差層では、偏光の方位を変えることにより、遅相軸の方向を変えることができる。
[フィルターの製造方法]
図18~図22は本発明の実施形態のフィルターの製造方法を工程順に示す模式図である。図23~図25は本発明の実施形態のフィルターの反射層の形成に用いるマスクを示す模式図である。
フィルターは、上述のように、光学フィルター層20とパターン位相差層22とが積層されたものである。
フィルターを製造する場合、例えば、図18に示すように支持基板21として、ガラス基板を用意する。
次に、支持基板21全面に、光配向膜となる光配向膜用塗布液を、スピンコートを用いて塗布し乾燥させて、図19に示すように塗布膜60を得る。塗布膜60に、例えば、位相差層の遅相軸の方向に対応した、偏光した紫外線を照射する。
次に、塗布膜60に、1/4波長板形成用塗布液を、例えば、ワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥させる。これにより、図20に示すように位相差膜61を得る。
反射層が3つの場合、各反射層に対応する位相差層の遅相軸の方向を変えるため、位相差膜61に対して、偏光方位を、例えば、0°、45°、90°と変化させて、3回露光を行う。この場合、図23~25に示すように、マスク64の開口部65の位置を変えて紫外光を照射するか、または開口部65の位置が異なるマスク64を3つ用意して紫外光を照射する。
上述の露光後、位相差膜61上に、コレステリック液晶用塗布液を塗布して塗膜を形成し、塗膜に対して、例えば、酸素雰囲気下、室温にて、反射層の形状の開口部と、黒色の遮光部を有するマスクを介して、紫外光を照射し、反射層の形状にパターニングする。図21に示すようにパターニングされた塗膜62を得る。
次に、パターニングされた塗膜62に対して、塗膜に熱処理を施し、コレステリック液晶相の状態とする。
次に、熱処理後の塗膜に対し、窒素雰囲気下、室温にて、紫外光を照射し、塗膜を硬化させてコレステリック液晶層を形成する。これにより、図22に示すように、反射層24R、24G、24Bを有するフィルター12が得られる。
なお、反射層において、反射中心波長が連続的に変化する場合には、上述のように、紫外線の透過量が連続的に変化するように黒色度が調整された同心円状のパターン67を有するマスク66(図26参照)を用いる。マスク66では、例えば、同心円状のパターン67の外側の領域68を、照射量が0mJ/cmとなるようにしてもよい。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明のフィルターおよび撮像装置について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、および、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、実施例1~5、および比較例1のフィルターを図1に示す光学系18に配置して、偏光イメージセンサーおよび処理部を用いてマルチスペクトル画像の取得を試みた。マルチスペクトル画像の有無、および画像面内色分布を評価した。
[マルチスペクトル画像の取得]
偏光イメージセンサーおよび処理部を用いて得られた画像を官能評価し、マルチスペクトル画像を取得できた、またはできないのいずれかで評価した。
[画像面内色分布]
画像面内色分布は、図1に示すように光学系の瞳位置にフィルターを配置して得られた画像を、以下の評価基準で官能評価した。なお、被写体Ojには、色見本画像を用いた。
画像面内色分布の評価基準は、画像の色味が均一なものを、E~Aの5段階で評価した。画像面内色分布の高い評価順にE、D、C、B、Aとした。
以下、実施例に用いた塗布液等を説明する。
<液処方>
(塗布液A:光配向膜)
光配向材料E-1 の1%水溶液を使用。
(塗布液B:1/4波長板形成用塗布液)
下記の成分を混合し、下記組成の1/4波長板形成用塗布液を調製した。
・液晶化合物1(下記構造): 80質量部
・液晶化合物2(下記構造): 20質量部
・水平配向剤2 0.1質量部
・水平配向剤1 0.007質量部
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製)
1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が30質量%となる量
(塗布液Cの調製:コレステリック液晶用塗布液の調製)
以下に示す各成分を混合し、塗布液Cを調製した。
・液晶化合物1(下記構造): 100質量部
・キラル剤1(下記構造): 10質量部
・水平配向剤1(下記構造): 0.02質量部
・水平配向剤2(下記構造): 0.05質量部
・光ラジカル開始剤1(下記構造): 4質量部
・重合禁止剤1(下記構造): 1質量部
・メチルエチルケトン(MEK): 160質量部
光ラジカル開始剤1(BASF社製 IRGACURE907(下記構造))
重合禁止剤1(BASF社製 IRGANOX1010(下記構造))
<プロセス条件>
[実施例1]
(光配向膜)
ガラス板に光配向膜用塗布液をスピンコート塗布し、100℃で1分間乾燥した。得られた塗布膜に、空気下にて、空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を160W/cmで照射した。このとき、ワイヤーグリッド偏光子(Moxtek社製, ProFlux PPL02)をセットして、さらにコレステリック液晶用マスクに合わせ、偏光方位を0°、45°および90°に変化させて3回露光を行った。これにより、図3に示す位相差層と同じパターンを露光した。
なお、コレステリック液晶用マスクの露光マスク面と光配向膜の間の距離を200μmに設定した。この際に用いる紫外線の照度はUV-A領域(波長380nm~320nmの積算)において100mW/cm、照射量はUV-A領域において1000mJ/cmとした。
(1/4波長板)
パターン処理された上述の光配向膜上に1/4波長板形成用塗布液をワイヤーバーを用いて塗布した。塗布後、乾燥させて、光配向膜を温度30℃のホットプレート上に置き、フュージョンUVシステムズ株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」(60mW/cm)にて6秒間、紫外光を照射し、液晶相を固定して、膜厚約1.0μmの位相差層を得た。位相差層は、1/4波長の位相差を与える。
(コレステリック液晶層)
上述の位相差層上に塗布液Cを塗布し、塗膜に対して、酸素雰囲気下、室温にて、開口部を有する黒色のマスクを介して一定時間、紫外光を照射した。
マスクは、青色反射領域では4mJ/cm、緑色反射領域では10mJ/cm、赤色反射領域では20mJ/cmで紫外光が照射されるように黒色度を設定した。
次いで、上述の塗膜が形成された位相差層を100℃のホットプレート上に1分間静置することにより、塗膜に熱処理を施し、コレステリック液晶相の状態とした。
次いで、熱処理後の塗膜に対し、窒素雰囲気下(酸素濃度500ppm以下)、室温にて一定時間紫外光を照射して、塗膜を硬化することにより、膜厚2μmのコレステリック液晶層を形成した。これにより、図2に示す反射層と同じパターンの反射層を得た。なお、上述の工程を経て得られたコレステリック液晶層は、右円偏光反射性の反射領域を有する。
硬化工程では、紫外光の光源に「EXECURE3000-W」(HOYA CANDEO OPTRONICS(株)社製)を用いた。
実施例1では、反射層の数を3とし、反射層の反射中心波長を連続的に変化させておらず、グラデーションパターンとしなかった。なお、グラデーションパターンとしなかったものを、下記表1では「グラデーションパターン」を「なし」と記載した。
[実施例2]
実施例2は、実施例1に対して、位相差層および反射層のパターンが異なる以外は、実施例1と同じとした。なお、実施例2の反射層のパターンは、図8に示す反射層のパターンと同じであり、実施例2の位相差層のパターンは、図9に示す位相差層のパターンと同じである。実施例2では、反射層の数を9とし、反射層の反射中心波長を連続的に変化させておらず、グラデーションパターンとしなかった。
[実施例3]
実施例3は、実施例1に対して、位相差層および反射層のパターンが異なる以外は、実施例1と同じとした。なお、実施例3の反射層のパターンは、図10に示す反射層のパターンと同じである。実施例3では、反射層の数を15とし、反射層の反射中心波長を連続的に変化させておらず、グラデーションパターンとしなかった。
[実施例4]
実施例4は、実施例1に対して、以下を変更した以外は、実施例1と同じとした。なお、実施例4の反射層のパターンは、図11に示す反射層のパターンと同じである。実施例4では、反射層を1000個設けた。
光配向膜に、下記コレステリック液晶の円形グラデーションパターンに合わせてλ/4位相差の遅相軸が0°~90°に変化するように、100~200μmの半径間隔を15°おきに偏光軸を回転させながら露光した。具体的には、半径位置100μm、115μm、130μm、145μm、160μm、175μmおよび190μmの各位置を中心として、それぞれ10μm幅で0°、15°、30°、45°、60°、75°および90°の偏光軸として露光した。
また、コレステリック液晶のマスクパターンを照射量が40~0mJ/cmに連続的に変化するように黒色度を変化させたマスクを用いた。
上述のマスクにおいて、照射量15mJ/cm、4mJ/cm、および0mJ/cmのそれぞれのマスクパターンは、図26に示すような同心円状のパターンとし、円の直径をそれぞれ175μm、130μm、100μmの円形とした。また、マスクにおいて、直径が200μm以上の外側の領域では照射量が0mJ/cmとなるように調整した。実施例4では、反射層の数を1000とし、反射層の反射中心波長を連続的に変化させてグラデーションパターンとした。なお、グラデーションパターンとしたものを、下記表1では「グラデーションパターン」を「あり」と記載した。
[実施例5]
実施例5は、実施例1に対して、以下を変更した以外は、実施例1と同じとした。なお、実施例5の反射層のパターンは、図15に示す反射層のパターンと同じである。実施例5のパターン位相差層のパターンは、図16に示すパターンと同じである。実施例5では、反射層を1000個設けた。
光配向膜に、反射層のコレステリック液晶の同心円状のパターンに合わせて、λ/4位相差の遅相軸が0°、45°および90°に変化させて3回露光を行った。これにより、図16に示す位相差層と同じパターンを露光した。具体的には、円の半径位置100μm、130μm、175μmの各位置を中心として、それぞれ0°、45°および90°の偏光軸として露光した。
また、コレステリック液晶のマスクには、照射量が15mJ/cm、4mJ/cm、および0mJ/cmとなる黒色度を変化させた同心円状のパターンのマスクを用いた。同心円状のパターンのマスクは、光配向膜への露光パターンと同様に、円の直径をそれぞれ175μm、130μm、100μmの円形とした。また、同心円状のパターンのマスクは、直径が200μm以上の外側の領域では照射量が0mJ/cmとなるように調整した。実施例5では、反射層の数を1000とし、反射層の反射中心波長を連続的に変化させておらず、グラデーションパターンとしなかった。
[比較例1]
比較例1は、実施例1に対して、位相差層の遅相軸の方向を0°だけにした以外は、実施例1と同じとした。比較例1では、位相差層の遅相軸の方向を反射層の反射中心波長に対応させなかった。また、比較例1ではグラデーションパターンはない。
表1に示すように、実施例1~5は、マルチスペクトル画像を取得することができ、かつ画像面内色分布も良好であった。
比較例1は、反射層の構成は実施例1と同じであるが、位相差層の遅相軸の方向が異なるため、マルチスペクトル画像を取得できず、かつ画像面内色分布も悪かった。
反射層の形態が同じであり、かつグラデーションパターンがない実施例1~3では、反射層の数が多い方が画像面内分布の結果が良好であった。
また、実施例1~3および5と、実施例4とから、グラデーションパターンの方、すなわち、反射層の反射中心波長が連続的に変化する方が画像面内色分布が良好であった。
10、10a 撮像装置
12 フィルター
14 偏光イメージセンサー
16 処理部
18 光学系
20 光学フィルター層
21、23 支持基板
22 パターン位相差層
24、24B、24G、24R 反射層
25、27、68 領域
26 位相差層
26a、26b、26c 位相差層
28 区画
29 遅相軸
30 第1のレンズ群
30a、30b、30c レンズ
32 第2のレンズ群
32a、32b、32c、32d レンズ
34 第2のレンズ群
40 ピクセルアレイ層
41 フォトダイオード
42 偏光フィルター素子アレイ層
43 偏光フィルター素子
44 マイクロレンズアレイ層
45 マイクロレンズ
50 信号処理部
52 画像生成部
54 記憶部
60 塗布膜
61 位相差膜
62 塗膜
64、66 マスク
65 開口部
67 同心円状のパターン
遅相軸 Aa、Ab、Ac
D 方向
L 光軸
Oj 被写体
PB 画素ブロック
Pi 画素
αb、αc 角

Claims (7)

  1. 光学フィルター層と、前記光学フィルター層と積層される、パターン位相差層とを有するフィルターであって、
    前記光学フィルター層は、コレステリック液晶層で構成された反射層を少なくとも3つ有し、前記各反射層は、互いに反射中心波長が異なり、
    前記パターン位相差層は、前記光学フィルター層を透過した光に対して、λ/4の位相差を与える機能を有し、前記各反射層の前記反射中心波長に対応した互いに異なる方向の遅相軸を有し、
    前記光学フィルター層は少なくとも3つの区画を有し、前記各区画に前記反射層が設けられ、前記各区画の前記反射層は、互いに前記反射中心波長が異なり、
    前記λ/4の位相差は、制御波長域の中心波長の1/4の長さ、前記制御波長域の中心波長×n±前記制御波長域の中心波長の1/4(nは0または1以上の整数)、または反射層の反射波長の1/4の長さである、フィルター。
  2. 光学フィルター層と、前記光学フィルター層と積層される、パターン位相差層とを有するフィルターであって、
    前記光学フィルター層は、コレステリック液晶層で構成された反射層を少なくとも3つ有し、前記各反射層は、互いに反射中心波長が異なり、
    前記パターン位相差層は、前記光学フィルター層を透過した光に対して、λ/4の位相差を与える機能を有し、前記各反射層の前記反射中心波長に対応した互いに異なる方向の遅相軸を有し、
    前記光学フィルター層は少なくとも3つの区画を有し、前記各区画に、前記反射中心波長が異なる複数の反射層が並べて設けられており、
    前記λ/4の位相差は、制御波長域の中心波長の1/4の長さ、前記制御波長域の中心波長×n±前記制御波長域の中心波長の1/4(nは0または1以上の整数)、または反射層の反射波長の1/4の長さである、フィルター。
  3. 光学フィルター層と、前記光学フィルター層と積層される、パターン位相差層とを有するフィルターであって、
    前記光学フィルター層は、少なくとも2つ以上の異なる反射中心波長を有するコレステリック液晶層で構成された、反射層を有し、
    前記パターン位相差層は、前記光学フィルター層を透過した光に対して、λ/4の位相差を与える機能を有し、前記各反射層の前記反射中心波長に対応した互いに異なる方向の遅相軸を有し、
    前記光学フィルター層は少なくとも1つの区画を有し、前記区画に前記反射層が設けられており、
    前記コレステリック液晶層は、螺旋ピッチが連続的に変化して前記反射中心波長が前記反射層の表面の二次元面内で連続的に変化しており、
    前記λ/4の位相差は、制御波長域の中心波長の1/4の長さ、前記制御波長域の中心波長×n±前記制御波長域の中心波長の1/4(nは0または1以上の整数)、または反射層の反射波長の1/4の長さである、フィルター。
  4. 前記光学フィルター層の前記区画は、三角形状であり、前記三角形状の前記区画は、それぞれの1つの頂点を合わせて配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルター。
  5. 前記光学フィルター層の前記区画は、円形状である、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルター。
  6. 前記光学フィルター層の前記区画は、円形状であり、前記円形状の前記区画の中心を起点にして放射状に、前記反射中心波長が異なる複数の前記反射層が設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルター。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルターと、前記フィルターを通過した光を結像する結像素子と、前記結像素子により結像された光が入力される偏光イメージセンサーとを有する撮像装置。
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