以下、図面を参照しながら、加工装置、加工部材、ロボットシステム及び測定装置の実施形態について説明する。以下では、加工光ELを用いてワークWを加工する加工システムSYSを用いて、加工装置、加工部材、ロボットシステム及び測定装置の実施形態を説明する。但し、本発明が以下に説明する実施形態に限定されることはない。
また、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、加工システムSYSを構成する各種構成要素の位置関係について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向(つまり、水平面内の所定方向)であり、Z軸方向が鉛直方向(つまり、水平面に直交する方向であり、実質的には上下方向)であるものとする。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向(言い換えれば、傾斜方向)を、それぞれ、θX方向、θY方向及びθZ方向と称する。ここで、Z軸方向を重力方向としてもよい。また、XY平面を水平方向としてもよい。
(1)第1実施形態の加工システムSYSa
初めに、第1実施形態の加工システムSYS(以降、第1実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSa”と称する)について説明する。
(1-1)加工システムSYSaの構造
初めに、図1及び図2を参照しながら、第1実施形態の加工システムSYSaの構造について説明する。図1は、第1実施形態の加工システムSYSaの構造を模式的に示す断面図である。図2は、第1実施形態の加工システムSYSaのシステム構成を示すシステム構成図である。
図1及び図2に示すように、加工システムSYSaは、加工装置1と、ステージ装置3と、制御装置5とを備えている。加工装置1及びステージ装置3は、筐体4に収容されている。但し、加工装置1及びステージ装置3は、筐体4に収容されていなくてもよい。つまり加工システムSYSaは、加工装置1及びステージ装置3を収容する筐体4を備えていなくてもよい。
加工装置1は、制御装置5の制御下で、ワークWを加工可能である。ワークWは、例えば、金属であってもよいし、合金(例えば、ジュラルミン等)であってもよいし、半導体(例えば、シリコン)であってもよいし、樹脂(例えば、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)や塗料(一例として基材に塗布された塗料層)等)であってもよいし、ガラスであってもよいし、それ以外の任意の材料から構成される物体であってもよい。
加工装置1は、ワークWを加工するために、ワークWに対して加工光ELを照射する。加工光ELは、ワークWに照射されることでワークWを加工可能である限りは、どのような種類の光であってもよい。第1実施形態では、加工光ELがレーザ光である例を用いて説明を進めるが、加工光ELは、レーザ光とは異なる種類の光であってもよい。更に、加工光ELの波長は、ワークWに照射されることでワークWを加工可能である限りは、どのような波長であってもよい。例えば、加工光ELは、可視光であってもよいし、不可視光(例えば、赤外光及び紫外光の少なくとも一方等)であってもよい。加工光ELは、パルス光を含むが、パルス光を含んでいなくてもよい。言い換えると、加工光ELは、連続光であってもよい。
加工装置1は、ワークWに加工光ELを照射して、ワークWの一部を除去する除去加工(典型的には、切削加工又は研削加工)を行ってもよい。除去加工を行う場合には、加工装置1は、リブレット構造をワークW上に形成してもよい。リブレット構造は、ワークWの表面の流体に対する抵抗(特に、摩擦抵抗、乱流摩擦抵抗)を低減可能な構造である。リブレット構造は、例えば、ワークWの表面に沿った第1の方向(例えば、Y軸方向)に沿って延びる溝が、ワークWの表面に沿っており且つ第1の方向に交差する第2方向(例えば、X軸方向)に沿って複数配列された構造を含んでいてもよい。
加工装置1は、除去加工に加えて又は代えて、ワークWに加工光ELを照射して、ワークWに新たな構造物を付加する付加加工を行ってもよい。この場合、加工装置1は、付加加工を行うことで、上述したリブレット構造をワークWの表面に形成してもよい。加工装置1は、除去加工及び付加加工の少なくとも一方に加えて又は代えて、ワークWに加工光ELを照射して、ワークWの表面に所望のマークを形成するマーキング加工を行ってもよい。
加工装置1は更に、制御装置5の制御下で、ワークWを計測可能である。加工装置1は、ワークWを計測するために、ワークWに対して計測光MLを照射する。計測光MLは、ワークWに照射されることでワークWを計測可能である限りは、どのような種類の光であってもよい。第1実施形態では、計測光MLがレーザ光である例を用いて説明を進めるが、計測光MLは、レーザ光とは異なる種類の光であってもよい。更に、計測光MLの波長は、ワークWに照射されることでワークWを計測可能である限りは、どのような波長であってもよい。例えば、計測光MLは、可視光であってもよいし、不可視光(例えば、赤外光及び紫外光の少なくとも一方等)であってもよい。計測光MLは、パルス光を含む。
計測光MLの波長は、加工光ELの波長と異なっていてもよい。例えば、計測光MLの波長は、加工光ELの波長よりも短くてもよい。一例として、計測光MLとして266nm又は355nmの波長帯の光が用いられ、加工光ELとして532nm、1μm又は10μmの波長帯の光が用いられてもよい。この場合、ワークW上での計測光MLのスポット径が、ワークW上での加工光ELのスポット径よりも小さくなる。その結果、加工光ELによる加工分解能よりも、計測光MLによる計測分解能が高くなる。但し、計測光MLの波長は、加工光ELの波長よりも短くなくてもよい。計測光MLの波長は、加工光ELの波長と同じであってもよい。
加工装置1は、ワークWの状態を計測可能であってもよい。ワークWの状態は、ワークWの位置を含んでいてもよい。ワークWの位置は、ワークWの表面の位置を含んでいてもよい。ワークWの表面の位置は、ワークWの表面を細分化した各面部分のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の少なくとも一つにおける位置を含んでいてもよい。ワークWの状態は、ワークWの形状(例えば、3次元形状)を含んでいてもよい。ワークWの形状は、ワークWの表面の形状を含んでいてもよい。ワークWの表面の形状は、上述したワークWの表面の位置に加えて又は代えて、ワークWの表面を細分化した各面部分の向き(例えば、各面部分の法線の向きであり、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに対する各面部分の傾斜量と実質的に等価)を含んでいてもよい。ワークWの状態は、ワークWのサイズ(例えば、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の少なくとも一つにおけるサイズ)を含んでいてもよい。
ワークWを加工及び計測するために、加工装置1は、ワークWに対して加工光EL及び計測光MLのそれぞれを射出する加工ヘッド11と、加工ヘッド11を移動させるヘッド駆動系12とを備える。加工ヘッド11は、ワークWに対して加工光EL及び計測光MLのそれぞれを射出することが可能な任意の部材を意味する。このため、加工ヘッド11は、ヘッドという文言を含んでいるものの、必ずしも何かの部材の先端に取り付けられる部材を意味していなくてもよい。このため、加工ヘッド11は、加工部材と称されてもよい。更に、加工ヘッド11は、加工光源111と、加工光学系112と、計測光源113と、計測光学系114と、合成光学系115と、共通光学系116とを備える。尚、加工ヘッド11及びヘッド駆動系12の構造については、後に詳述する。
ヘッド駆動系12は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って加工ヘッド11を移動させる。加工ヘッド11が移動すると、ステージ32(更には、ステージ32に載置されたワークW)と加工ヘッド11との位置関係が変わる。つまり、ステージ32が移動すると、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11との相対位置が変わる。従って、ステージ32を移動させることは、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11との位置関係を変更することと等価である。更には、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11との位置関係が変わると、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11が備える各光学系(つまり、加工光学系112、計測光学系114、合成光学系115及び共通光学系116の少なくとも一つ)との位置関係が変わる。従って、加工ヘッド11を移動させることは、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11が備える各光学系との位置関係を変更することと等価である。更には、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11との位置関係が変わると、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11の筐体117との位置関係が変わる。従って、加工ヘッド11を移動させることは、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11の筐体117との位置関係を変更することと等価である。更には、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11との位置関係が変わると、ワークW上での加工光EL及び計測光MLのそれぞれの照射位置が変わる。従って、加工ヘッド11を移動させることは、ワークW上での加工光EL及び計測光MLのそれぞれの照射位置を変更することと等価である。
ステージ装置3は、定盤31と、ステージ32とを備える。定盤31は、筐体4の底面上(或いは、筐体4が載置される床面等の支持面上)に配置される。定盤31上には、ステージ32が配置される。筐体4の底面或いは筐体4が載置される床面等の支持面と定盤31との間には、定盤31の振動のステージ32への伝達を低減するための不図示の防振装置が設置されていてもよい。更に、定盤31上には、加工装置1を支持する不図示の支持フレームが配置されていてもよい。
ステージ32上には、ワークWが載置される。ステージ32は、載置されたワークWを保持してもよい。例えば、ステージ32は、ワークWを真空吸着及び/又は静電吸着することで、ワークWを保持してもよい。或いは、ステージ32は、載置されたワークWを保持しなくてもよい。
ステージ32は、制御装置5の制御下で、ワークWが載置されたまま定盤31上を移動可能である。ステージ32は、定盤31及び加工装置1の少なくとも一方に対して移動可能である。ステージ32は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに沿って移動可能である。この場合、ステージ32は、XY平面に平行なステージ走り面(移動面)に沿って移動可能である。ステージ32は更に、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って移動可能であってもよい。ステージ32を移動させるために、ステージ装置3は、ステージ駆動系33を備えている。ステージ駆動系33は、例えば、任意のモータ(例えば、リニアモータ等)を用いて、ステージ32を移動させる。更に、ステージ装置3は、ステージ32の位置を計測するためステージ位置計測器を備えていてもよい。ステージ位置計測器は、例えば、エンコーダ及びレーザ干渉計のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
ステージ32が移動すると、ステージ32(更には、ステージ32に載置されたワークW)と加工ヘッド11との位置関係が変わる。つまり、ステージ32が移動すると、加工ヘッド11とステージ32及びワークWとの相対位置が変わる。従って、ステージ32を移動させることは、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11との位置関係を変更することと等価である。更には、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11との位置関係が変わると、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11の筐体117との位置関係が変わる。従って、ステージ32を移動させることは、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11の筐体117との位置関係を変更することと等価である。更には、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11との位置関係が変わると、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11が備える各光学系との位置関係が変わる。従って、ステージ32を移動させることは、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11が備える各光学系との位置関係を変更することと等価である。更には、ステージ32及びワークWと加工ヘッド11との位置関係が変わると、ワークW上での加工光EL及び計測光MLのそれぞれの照射位置が変わる。従って、ステージ32を移動させることは、ワークW上での加工光EL及び計測光MLのそれぞれの照射位置を変更することと等価である。
制御装置5は、加工システムSYSaの動作を制御する。例えば、制御装置5は、ワークWの加工条件を設定すると共に、設定した加工条件に従ってワークWが加工されるように加工装置1及びステージ装置3を制御する。例えば、制御装置5は、ワークWの計測条件を設定すると共に、設定した計測条件に従ってワークWが計測されるように加工装置1及びステージ装置3を制御する。
制御装置5は、例えば、CPU(Central Processing Unit)(或いは、CPUに加えて又は代えてGPU(Graphics Processing Unit))と、メモリとを含んでいてもよい。制御装置5は、CPUがコンピュータプログラムを実行することで、加工システムSYSaの動作を制御する装置として機能する。このコンピュータプログラムは、制御装置5が行うべき後述する動作を制御装置5(例えば、CPU)に行わせる(つまり、実行させる)ためのコンピュータプログラムである。つまり、このコンピュータプログラムは、加工システムSYSaに後述する動作を行わせるように制御装置5を機能させるためのコンピュータプログラムである。CPUが実行するコンピュータプログラムは、制御装置5が備えるメモリ(つまり、記録媒体)に記録されていてもよいし、制御装置5に内蔵された又は制御装置5に外付け可能な任意の記憶媒体(例えば、ハードディスクや半導体メモリ)に記録されていてもよい。或いは、CPUは、実行するべきコンピュータプログラムを、ネットワークインタフェースを介して、制御装置5の外部の装置からダウンロードしてもよい。
制御装置5は、加工システムSYSaの内部に設けられていなくてもよく、例えば、加工システムSYSa外にサーバ等として設けられていてもよい。この場合、制御装置5と加工システムSYSaとは、有線及び/又は無線のネットワーク(或いは、データバス及び/又は通信回線)で接続されていてもよい。有線のネットワークとして、例えばIEEE1394、RS-232x、RS-422、RS-423、RS-485及びUSBの少なくとも一つに代表されるシリアルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、パラレルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、10BASE-T、100BASE-TX及び1000BASE-Tの少なくとも一つに代表されるイーサネット(登録商標)に準拠したインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、電波を用いたネットワークが用いられてもよい。電波を用いたネットワークの一例として、IEEE802.1xに準拠したネットワーク(例えば、無線LAN及びBluetooth(登録商標)の少なくとも一方)があげられる。無線のネットワークとして、赤外線を用いたネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、光通信を用いたネットワークが用いられてもよい。この場合、制御装置5と加工システムSYSaとはネットワークを介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されていてもよい。また、制御装置5は、ネットワークを介して加工システムSYSaにコマンドや制御パラメータ等の情報を送信可能であってもよい。加工システムSYSaは、制御装置5からのコマンドや制御パラメータ等の情報を、上記ネットワークを介して受信する受信装置を備えていてもよい。或いは、制御装置5が行う処理のうちの一部を行う第1制御装置が加工システムSYSaの内部に設けられている一方で、制御装置5が行う処理のうちの他の一部を行う第2制御装置が加工システムSYSaの外部に設けられていてもよい。
尚、CPUが実行するコンピュータプログラムを記録する記録媒体としては、CD-ROM、CD-R、CD-RWやフレキシブルディスク、MO、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW及びBlu-ray(登録商標)等の光ディスク、磁気テープ等の磁気媒体、光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ、及び、その他プログラムを格納可能な任意の媒体の少なくとも一つが用いられてもよい。記録媒体には、コンピュータプログラムを記録可能な機器(例えば、コンピュータプログラムがソフトウェア及びファームウェア等の少なくとも一方の形態で実行可能な状態に実装された汎用機器又は専用機器)が含まれていてもよい。更に、コンピュータプログラムに含まれる各処理や機能は、制御装置5(つまり、コンピュータ)がコンピュータプログラムを実行することで制御装置5内に実現される論理的な処理ブロックによって実現されてもよいし、制御装置5が備える所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウェアによって実現されてもよいし、論理的な処理ブロックとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウェアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
(1-2)加工ヘッド11の構造
続いて、図3を参照しながら、加工ヘッド11の構造の一例について説明する。図3は、加工ヘッド11の構造の一例を示す断面図である。
図3に示すように、加工ヘッド11は、加工光源111と、加工光学系112と、計測光源113と、計測光学系114と、合成光学系115と、共通光学系116とを備える。加工光源111、加工光学系112、計測光源113、計測光学系114、合成光学系115及び共通光学系116は、筐体117内に収容されている。但し、加工光源111、加工光学系112、計測光源113、計測光学系114、合成光学系115及び共通光学系116の少なくとも一つが、筐体117内に収容されていなくてもよい。
加工光源111は、加工光ELを生成可能である。加工光ELがレーザ光である場合には、加工光源111は、例えば、レーザダイオードを含んでいてもよい。更に、加工光源111は、パルス発振可能な光源であってもよい。この場合、加工光源111は、パルス光(例えば、発光時間がピコ秒以下のパルス光)を加工光ELとして生成可能である。加工光源111は、生成した加工光ELを、加工光学系112に向けて射出する。
加工光学系112は、加工光源111から射出された加工光ELが入射する光学系である。加工光学系112は、加工光学系112に入射した加工光ELを、合成光学系115に向けて射出する光学系である。つまり、加工光学系112は、加工光源111から射出された加工光ELを、合成光学系115に導く光学系である。加工光学系112が射出した加工光ELは、合成光学系115及び共通光学系116を介してワークWに照射される。このため、加工光学系112は、合成光学系115及び共通光学系116を介して加工光ELをワークWに向けて射出する光学系であるとも言える。
加工光学系112は、位置調整光学系1121と、角度調整光学系1122とを含む。位置調整光学系1121は、加工光学系112からの加工光ELの射出位置を調整可能である。位置調整光学系1121は、例えば加工光ELの進行方向に対して傾斜可能な平行平面板を備え、平行平面板の傾斜角を変えることで加工光の位置を変更する。図3の例では、互いに傾斜方向が異なる複数の平行平面板によって、加工光ELの射出位置をYZ平面内の任意の位置とすることができる。加工光学系112からの加工光ELの射出位置が変わると、加工光ELの入射角度(例えば、ワークWに対する入射角度)が変わる。角度調整光学系1122は、加工光学系112からの加工光ELの射出角度を調整可能である。角度調整光学系1122は、例えば加工光ELの進行方向に対して傾斜可能なミラーを備え、このミラーの傾斜角を変えることで加工光の射出角度を変更する。図3の例では、互いに傾斜方向が異なる複数のミラーによって、加工光ELの射出角度をθX軸回り及びθY軸回りの任意の方向とすることができる。加工光学系112からの加工光ELの射出角度が変わると、加工光ELの照射位置(例えば、ワークW上での照射位置)が変わる。但し、加工光学系112は、位置調整光学系1121及び角度調整光学系1122の少なくとも一方を含んでいなくてもよい。加工光学系112は、位置調整光学系1121及び角度調整光学系1122の少なくとも一方に加えて又は代えて、その他の光学素子や光学部材(これらを光学系と称してもよい、以下同じ)を含んでいてもよい。
加工光学系112から射出された加工光ELは、合成光学系115に入射する。合成光学系115は、ビームスプリッタ(例えば、偏光ビームスプリッタ)1151を含む。ビームスプリッタ1151は、ビームスプリッタ1151に入射した加工光ELを、共通光学系116に向けて射出する。図3に示す例では、ビームスプリッタ1151に入射した加工光ELは、偏光分離面を透過することで共通光学系116に向けて射出される。このため、図3に示す例では、加工光ELは、偏光分離面を透過可能な偏光方向(偏光分離面に対してp偏光となる偏光方向)を有する状態で偏光ビームスプリッタ1151の偏光分離面に入射する。
合成光学系115から射出された加工光ELは、共通光学系116に入射する。共通光学系116は、共通光学系116に入射した加工光ELを、ワークWに向けて射出する。共通光学系116は、ガルバノミラー1161と、fθレンズ1162とを備える。
ガルバノミラー1161には、合成光学系115から射出された加工光ELが入射する。ガルバノミラー1161は、加工光ELを偏向する(つまり、加工光ELの射出角度を変更する)ことで、ワークW上での加工光ELの照射位置を変更する。つまり、ガルバノミラー1161は、加工光ELを偏向することで、加工光ELが照射される領域としてワークW上に又は加工光ELの光路上に設定される被照射領域EAの位置を変更する。尚、ガルバノミラー1161がfθレンズ1162の入射瞳位置又はその近傍に配置されているため、ガルバノミラー1161による加工光ELの射出角度の変化は、fθレンズ1162によって、加工光ELの照射位置(つまり、被照射領域EAの位置)の変化に変換される。例えば、ガルバノミラー1161は、X走査ミラー1161Xと、Y走査ミラー1162Yとを含む。X走査ミラー1161X及びY走査ミラー1162Yのそれぞれは、ガルバノミラー1161に入射する加工光ELの光路に対する角度が変更される傾斜角可変ミラーである。X走査ミラー1161Xは、ワークW上での加工光ELのX軸方向に沿った照射位置を変更するように揺動又は回転する(つまり、加工光ELの光路に対するX走査ミラー1161Xの角度を変更する)ことで加工光ELを偏向する。Y走査ミラー1161Yは、ワークW上での加工光ELのY軸方向に沿った照射位置を変更するように揺動又は回転する(つまり、加工光ELの光路に対するY走査ミラー1161Yの角度を変更する)ことで加工光ELを偏向する。
fθレンズ1162には、ガルバノミラー1161からの加工光ELが入射する。このため、ガルバノミラー1161は、合成光学系115とfθレンズ1162との間における加工光ELの光路上に配置される。fθレンズ1162は、ガルバノミラー1161とワークWとの間における加工光ELの光路上に配置される。fθレンズ1162は、ガルバノミラー1161と被照射領域EAとの間における加工光ELの光路上に配置される。fθレンズ1162は、ガルバノミラー1161からの加工光ELをワークWに照射するための光学系である。fθレンズ1162は、ガルバノミラー1161からの加工光ELを被照射領域EAに照射するための光学系である。特に、fθレンズ1162は、ガルバノミラー1161からの加工光ELをワークW上に集光するための光学系である。このため、fθレンズ1162は、収斂状態の加工光ELをワークWに照射する。その結果、加工光ELによってワークWが加工される。尚、fθレンズ1162は、加工光ELをワークWに照射するがゆえに、照射光学系と称されてもよい。尚、ガルバノミラー1161によってワークW上で移動する被照射領域EAの移動範囲を被加工領域と称してもよい。言い換えると、被加工領域内で被照射領域EAが移動するとしてもよい。
続いて、計測光源113は、計測光MLを生成可能である。計測光MLがレーザ光である場合には、計測光源113は、例えば、レーザダイオードを含んでいてもよい。特に、上述したように計測光MLがパルス光を含むため、計測光源113は、パルス発振可能な光源である。この場合、計測光源113は、パルス光(例えば、発光時間がピコ秒以下のパルス光)を計測光MLとして生成可能である。計測光源113は、生成した計測光MLを、計測光学系114に向けて射出する。
第1実施形態では、計測光源113は、光コム光源を含む。光コム光源は、周波数軸上で等間隔に並んだ周波数成分を含む光(以降、“光周波数コム”と称する)をパルス光として生成可能な光源である。この場合、計測光源113は、周波数軸上で等間隔に並んだ周波数成分を含むパルス光を、計測光MLとして射出する。
図1に示す例では、加工ヘッド11は、複数の計測光源113を備えている。例えば、加工ヘッド11は、計測光源113#1と、計測光源113#2とを備えている。複数の計測光源113は、互いに位相同期され且つ干渉性のある複数の計測光MLをそれぞれ射出する。例えば、複数の計測光源113は、発振周波数が異なっていてもよい。このため、複数の計測光源113がそれぞれ射出する複数の計測光MLは、パルス周波数(例えば、単位時間当たりのパルス光の数であり、パルス光の発光周期の逆数)が異なる複数の計測光MLとなる。一例として、計測光源113#1は、パルス周波数が25GHzとなる計測光ML#1を射出し、計測光源113#2は、パルス周波数が25GHz+α(例えば、+100kHz)となる計測光ML#2を射出してもよい。
計測光学系114は、計測光源113から射出された計測光MLが入射する光学系である。計測光学系114は、計測光学系114に入射した計測光MLを、合成光学系115に向けて射出する光学系である。つまり、計測光学系114は、計測光源113から射出された計測光MLを、合成光学系115に導く光学系である。計測光学系114が射出した計測光MLは、合成光学系115及び共通光学系116を介してワークWに照射される。このため、計測光学系114は、合成光学系115及び共通光学系116を介して計測光MLをワークWに向けて射出する光学系であるとも言える。
計測光学系114は、加工光学系112とは光学的に分離されている。このため、加工光源111と合成光学系115との間における加工光ELの光路と、計測光源113と合成光学系115との間における計測光MLの光路とは、光学的に分離されている。尚、ある光学系と別の光学系とが光学的に分離されているとは、ある光学系の光路と、別の光学系の光路とが互いに重畳しないことを指してもよい。
計測光学系114は、例えば、ビームスプリッタ1141と、ビームスプリッタ1142と、検出器1143と、ビームスプリッタ1144と、ミラー1145と、検出器1146と、ミラー1147とを備える。
計測光源113から射出された計測光MLは、ビームスプリッタ1141に入射する。具体的には、計測光源113#1から射出された計測光ML(以降、“計測光ML#1”と称する)及び計測光源113#2から射出された計測光ML(以降、“計測光ML#2”と称する)は、ビームスプリッタ1141に入射する。ビームスプリッタ1141は、ビームスプリッタ1141に入射した計測光ML#1及びML#2を、ビームスプリッタ1142に向けて射出する。
ビームスプリッタ1142は、ビームスプリッタ1142に入射した計測光ML#1の一部である計測光ML#1-1を検出器1143に向けて反射する。ビームスプリッタ1142は、ビームスプリッタ1142に入射した計測光ML#1の他の一部である計測光ML#1-2をビームスプリッタ1144に向けて射出する。ビームスプリッタ1142は、ビームスプリッタ1142に入射した計測光ML#2の一部である計測光ML#2-1を検出器1143に向けて反射する。ビームスプリッタ1142は、ビームスプリッタ1142に入射した計測光ML#2の他の一部である計測光ML#2-2をビームスプリッタ1144に向けて射出する。
ビームスプリッタ1142から射出された計測光ML#1-1及びML#2-1は、検出器1143に入射する。検出器1143は、計測光ML#1-1と計測光ML#2-1とが干渉することで生成される干渉光を検出する。具体的には、検出器1143は、干渉光を受光することで、干渉光を検出する。このため、検出器1143は、光を受光可能な受光素子(受光部であり、典型的には、光電変換素子)を備えていてもよい。検出器1143の検出結果は、制御装置5に出力される。
ビームスプリッタ1142から射出された計測光ML#1-2及びML#2-2は、ビームスプリッタ1144に入射する。ビームスプリッタ1144は、ビームスプリッタ1144に入射した計測光ML#1-2の少なくとも一部をミラー1145に向けて射出する。ビームスプリッタ1144は、ビームスプリッタ1144に入射した計測光ML#2-2の少なくとも一部をミラー1147に向けて射出する。
ビームスプリッタ1144から射出された計測光ML#1-2は、ミラー1145に入射する。ミラー1145に入射した計測光ML#1-2は、ミラー1145の反射面(反射面は、参照面と称されてもよい)によって反射される。具体的には、ミラー1145は、ミラー1145に入射した計測光ML#1-2をビームスプリッタ1144に向けて反射する。つまり、ミラー1145は、ミラー1145に入射した計測光ML#1-2を、その反射光である計測光ML#1-3としてビームスプリッタ1144に向けて射出する。ミラー1145から射出された計測光ML#1-3は、ビームスプリッタ1144に入射する。ビームスプリッタ1144は、ビームスプリッタ1144に入射した計測光ML#1-3をビームスプリッタ1142に向けて射出する。ビームスプリッタ1144から射出された計測光ML#1-3は、ビームスプリッタ1142に入射する。ビームスプリッタ1142は、ビームスプリッタ1142に入射した計測光ML#1-3を検出器1146に向けて射出する。
一方で、ビームスプリッタ1144から射出された計測光ML#2-2は、ミラー1147に入射する。ミラー1147は、ミラー1147に入射した計測光ML#2-2を合成光学系115に向けて反射する。つまり、ミラー1147は、ミラー1147に入射した計測光ML#2-2を合成光学系115に向けて射出する。
ミラー1147から射出された計測光ML#2-2は、合成光学系115に入射する。合成光学系115のビームスプリッタ1151は、ビームスプリッタ1151に入射した計測光ML#2-2を、共通光学系116に向けて射出する。図3に示す例では、ビームスプリッタ1151に入射した計測光ML#2-2は、偏光分離面において反射されることで共通光学系116に向けて射出される。このため、図3に示す例では、計測光ML#2-2は、偏光分離面で反射可能な偏光方向(偏光分離面に対してs偏光となる偏光方向)を有する状態で偏光ビームスプリッタ1151の偏光分離面に入射する。
ここで、上述したように、ビームスプリッタ1151には、計測光ML#2-2に加えて加工光ELが入射する。つまり、計測光ML#2-2及び加工光ELの双方がビームスプリッタ1151を通過する。ビームスプリッタ1151は、ビームスプリッタ1151に異なる方向からそれぞれ入射してきた加工光EL及び計測光ML#2-2を、同じ方向に向けて(つまり、同じ共通光学系116に向けて)射出する。従って、ビームスプリッタ1151は、実質的には、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成する光学系として機能する。尚、上述の同じ方向は、合成光学系115の射出側に位置する光学系である共通光学系116に加工光EL及び計測光ML#2-2が入射するような加工光EL及び計測光ML#2-2の向きとしてもよく、共通光学系116に加工光EL及び計測光ML#2-2が入射する限りは加工光EL及び計測光ML#2-2の向きが若干異なっていてもよい。
尚、合成光学系115は、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成することができる限りは、どのような構造を有していてもよい。例えば、合成光学系115は、ビームスプリッタ1151を用いることに加えて又は代えて、ある波長帯域の光を反射し且つ別の波長帯域の光を透過するダイクロイックミラーを用いて加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。
合成光学系115から射出された計測光ML#2-2は、共通光学系116に入射する。共通光学系116は、共通光学系116に入射した計測光ML#2-2を、ワークWに向けて射出する。
具体的には、ガルバノミラー1161には、合成光学系115から射出された計測光ML#2-2が入射する。ガルバノミラー1161は、計測光ML#2-2を偏向することで、ワークW上での計測光ML#2-2の照射位置を変更する。つまり、ガルバノミラー1161は、計測光ML#2-2を偏向することで、計測光ML#2-2が照射される領域としてワークW上に又は計測光ML#2-2の光路上に設定される被照射領域MAの位置を変更する。尚、ガルバノミラー1161がfθレンズ1162の入射瞳位置又はその近傍に配置されているため、ガルバノミラー1161による計測光ML#2-2の射出角度の変化は、fθレンズ1162によって、計測光ML#2-2の照射位置(つまり、被照射領域MAの位置)の変化に変換される。例えば、X走査ミラー1161Xは、ワークW上での計測光ML#2-2のX軸方向に沿った照射位置を変更するように揺動又は回転する(つまり、計測光ML#2-2の光路に対するX走査ミラー1161Xの角度を変更する)ことで計測光ML#2-2を偏向する。Y走査ミラー1161Yは、ワークW上での計測光ML#2-2のY軸方向に沿った照射位置を変更するように揺動又は回転する(つまり、計測光ML#2-2の光路に対するY走査ミラー1161Yの角度を変更する)ことで計測光ML#2-2を偏向する。尚、ガルバノミラー1161は、照射位置変更光学系と称されてもよい。
fθレンズ1162には、ガルバノミラー1161からの計測光ML#2-2が入射する。fθレンズ1162は、ガルバノミラー1161からの計測光ML#2-2をワークW上に集光するための光学系である。fθレンズ1162は、ガルバノミラー1161からの計測光ML#2-2をワークWに照射するための光学系である。fθレンズ1162は、ガルバノミラー1161からの計測光ML#2-2を被照射領域MAに照射するための光学系である。このため、fθレンズ1162は、ガルバノミラー1161と被照射領域MAとの間における計測光ML#2-2の光路上に配置される。特に、fθレンズ1162は、収斂状態の計測光ML#2-2をワークWに照射する。その結果、計測光ML(具体的には、計測光ML#2-2)によってワークWが加工される。尚、fθレンズ1162は、計測光ML#2-2をワークWに照射するがゆえに、照射光学系と称されてもよい。
尚、ガルバノミラー1161によってワークW上で移動する被照射領域MAの移動範囲を被計測領域と称してもよい。言い換えると、被計測領域内で被照射領域MAが移動するとしてもよい。
ここで、上述したように、共通光学系116には、計測光ML#2-2に加えて加工光ELが入射する。つまり、共通光学系116には、合成光学系115が合成した加工光EL及び計測光ML#2-2が入射する。従って、計測光ML#2-2及び加工光ELの双方が同じ共通光学系116(具体的には、同じガルバノミラー1161及び同じfθレンズ1162)を通過する。このため、ガルバノミラー1161は、ワークW上での加工光ELの照射位置とワークW上での計測光ML#2-2の照射位置とを同期して変更可能である。ガルバノミラー1161は、ワークW上での加工光ELの照射位置とワークW上での計測光ML#2-2の照射位置とを連動して変更可能である。つまり、ガルバノミラー1161は、ワークWに対する被照射領域EAの相対位置とワークWに対する被照射領域MAの相対位置とを同期して及び/又は連動して変更可能である。
共通光学系116からワークWへと向かう計測光ML#2-2の開き角は、共通光学系116からワークWへと向かう加工光ELの開き角よりも大きくてもよい。この場合、ワークW上での計測光MLのスポット径が、ワークW上での加工光ELのスポット径よりも小さくなる。その結果、加工光ELによる加工分解能よりも、計測光MLによる計測分解能が高くなる。
共通光学系116からワークWへと向かう計測光ML#2-2の開き角は、共通光学系116に入射する計測光ML#2-2の光束のサイズに依存する。具体的には、共通光学系116に入射する計測光ML#2-2の光束のサイズが大きくなるほど、共通光学系116からワークWへと向かう計測光ML#2-2の開き角が大きくなる。同様に、共通光学系116からワークWへと向かう加工光ELの開き角は、共通光学系116に入射する加工光ELの光束のサイズに依存する。具体的には、共通光学系116に入射する加工光ELの光束のサイズが大きくなるほど、共通光学系116からワークWへと向かう加工光ELの開き角が大きくなる。このため、共通光学系116に入射する計測光ML#2-2の光束のサイズは、共通光学系116に入射する加工光ELの光束のサイズよりも大きくてもよい。この場合、ワークW上での計測光MLのスポット径が、ワークW上での加工光ELのスポット径よりも小さくなる。その結果、加工光ELによる加工分解能よりも、計測光MLによる計測分解能が高くなる。尚、ここで言う「光束のサイズ」は、光の進行方向に交差する光束の断面のサイズを意味していてもよい。光の進行方向に交差する光束の断面が円形でない場合には、「光束のサイズ」は、光の進行方向に交差する光束の断面の最大のサイズを意味していてもよい。例えば、光の進行方向に交差する光束の断面が楕円である場合には、楕円の長径を最大のサイズとしてもよい。
共通光学系116からワークWへと向かう計測光ML#2-2の開き角は、fθレンズ1162の瞳位置(典型的には入射瞳位置、ワークWからfθレンズ1161へ向かう光を基準に考えると射出瞳位置)での計測光ML#2-2の光束のサイズに依存する。具体的には、fθレンズ1162の瞳位置での計測光ML#2-2の光束のサイズが大きくなるほど、共通光学系116からワークWへと向かう計測光ML#2-2の開き角が大きくなる。同様に、共通光学系116からワークWへと向かう加工光ELの開き角は、fθレンズ1162の瞳位置での加工光ELの光束のサイズに依存する。具体的には、fθレンズ1162の瞳位置での加工光ELの光束のサイズが大きくなるほど、共通光学系116からワークWへと向かう加工光ELの開き角が大きくなる。このため、fθレンズ1162の瞳位置での計測光ML#2-2の光束のサイズは、fθレンズ1162の瞳位置での加工光ELの光束のサイズよりも大きくてもよい。この場合、ワークW上での計測光MLのスポット径が、ワークW上での加工光ELのスポット径よりも小さくなる。その結果、加工光ELによる加工分解能よりも、計測光MLによる計測分解能が高くなる。
合成光学系115は、合成光学系115とワークWとの間において加工光ELの光路と計測光ML#2-2の光路とが少なくとも部分的に重複する(言い換えると、重畳する)ように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。つまり、合成光学系115は、合成光学系115からワークWに至る加工光ELの光路と、合成光学系115からワークWに至る計測光ML#2-2の光路とが少なくとも部分的に重複するように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。尚、光路の重複を考慮する際の「光の光路」は、光が伝搬する経路(或いは光線の経路)の集合体を意味していてもよい。例えば、合成光学系115とワークWとの間における加工光ELの光路は、合成光学系115からワークWの第1位置に達する加工光ELが占有する空間的な領域である第1経路と、合成光学系115からワークWの第2位置に達する加工光ELが占有する空間的な領域である第2経路と、・・・、合成光学系115からワークWの第N位置に達する加工光ELが占有する空間的な領域である第N経路とを合わせた空間的な領域を含んでいてもよい。例えば、合成光学系115とワークWとの間における加工光ELの光路は、ガルバノミラー1161によって加工光ELが通過し得る空間的な領域を含んでいてもよい(後述する図4及び図7参照)。例えば、合成光学系115とワークWとの間における計測光MLの光路は、ガルバノミラー1161によって計測光MLが通過し得る空間的な領域を含んでいてもよい(後述する図4及び図7参照)。
合成光学系115とワークWとの間に共通光学系116が存在するため、合成光学系115は、共通光学系116内において加工光ELの光路と計測光ML#2-2の光路とが少なくとも部分的に重複するように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。合成光学系115は、共通光学系116内での加工光ELの光路と共通光学系116内での計測光ML#2-2の光路とが少なくとも部分的に重複するように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。合成光学系115は、共通光学系116とワークWとの間において加工光ELの光路と計測光ML#2-2の光路とが少なくとも部分的に重複するように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。合成光学系115は、共通光学系116からワークWに至る加工光ELの光路と、共通光学系116からワークWに至る計測光ML#2-2の光路とが少なくとも部分的に重複するように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。
一例として、合成光学系115とワークWとの間における加工光ELの光路と計測光ML#2-2の光路とを部分的に示す断面図である図4に示すように、合成光学系115は、合成光学系115からワークWに至る加工光ELの光路と、合成光学系115からワークWに至る計測光ML#2-2の光路とが同軸となるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。この場合、加工光ELが照射される被照射領域EAと計測光MLが照射される被照射領域MAとを示す平面図である図5に示すように、合成光学系115は、被照射領域EAと被照射領域MAとが少なくとも部分的に重複するように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。合成光学系115は、ワークW上での加工光ELの照射位置とワークW上での計測光ML#2-2の照射位置とが少なくとも部分的に一致するように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。被照射領域EAと被照射領域MAとが少なくとも部分的に重複する場合には、加工光ELが照射される被照射領域EAの少なくとも一部に計測光ML#2-2が照射され、且つ、計測光ML#2-2が照射される被照射領域MAの少なくとも一部に加工光ELが照射される。つまり、加工光EL及び計測光ML#2-2が同じ領域に照射される。尚、合成光学系115からワークWに至る加工光ELの光路と、合成光学系115からワークWに至る計測光ML#2-2の光路とが同軸となるとは、合成光学系115からワークWに至る加工光ELの主光線と合成光学系115からワークWに至る計測光ML#2-2の主光線とが一致することを含んでいてもよい。ここで加工光EL及び計測光ML#2-2の主光線は、加工光EL及び計測光ML#2-2の光束断面(加工光EL及び計測光ML#2-2の進行方向と交差する断面)における光量重心の位置を通過する光線とすることができる。
被照射領域EAと被照射領域MAとが少なくとも部分的に重複する場合には、加工装置1は、被照射領域EAへの加工光ELの照射と被照射領域MAへの計測光ML#2-2の照射とを同時に行ってもよい。具体的には、加工光ELの照射タイミングと計測光ML#2-2の照射タイミングとを示すタイミングチャートである図6(a)に示すように、上述したように加工光EL及び計測光ML#2-2のそれぞれがパルス光を含む場合には、加工装置1は、加工光ELを構成する複数のパルス光のうちの少なくとも一つが被照射領域EAに照射されるタイミング(言い換えると、時期、期間)と、計測光ML#2-2を構成する複数のパルス光のうちの少なくとも一つが被照射領域MAに照射されるタイミング(つまり、時期、期間)とが一致するように、加工光EL及び計測光ML#2-2を照射してもよい。
或いは、被照射領域EAと被照射領域MAとが少なくとも部分的に重複する場合には、加工装置1は、被照射領域EAへの加工光ELの照射と被照射領域MAへの計測光ML#2-2の照射とをそれぞれ異なるタイミングで行ってもよい。具体的には、加工光ELの照射タイミングと計測光ML#2-2の照射タイミングとを示すタイミングチャートである図6(b)及び図6(c)に示すように、加工装置1は、加工光ELを構成する複数のパルス光のうちの少なくとも一つが被照射領域EAに照射されるタイミング(つまり、時期、期間)と、計測光ML#2-2を構成する複数のパルス光のうちの少なくとも一つが被照射領域MAに照射されるタイミング(つまり、時期、期間)とが異なるものとなるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を照射してもよい。加工装置1は、加工光ELを構成する複数のパルス光のうちの少なくとも一つが被照射領域EAに照射されるタイミング(つまり、時期、期間)と、計測光ML#2-2を構成する複数のパルス光のうちの少なくとも一つが被照射領域MAに照射されるタイミング(つまり、時期、期間)とが重ならないように、加工光EL及び計測光ML#2-2を照射してもよい。典型的には、加工装置1は、加工光ELを構成する一のパルス光PL#13が被照射領域EAに照射されるタイミングが、計測光ML#2-2を構成する一のパルス光PL#12が被照射領域MAに照射されるタイミングと計測光ML#2-2を構成する他のパルス光PL#14が被照射領域MAに照射されるタイミングとの間に設定されるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を照射してもよい。加工装置1は、計測光ML#2-2を構成する一のパルス光PL#12が被照射領域MAに照射されるタイミングが、加工光ELを構成する一のパルス光PL#11が被照射領域EAに照射されるタイミングと加工光ELを構成する他のパルス光PL#13が被照射領域EAに照射されるタイミングとの間に設定されるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を照射してもよい。この場合、計測光ML#2-2のワークWに対する照射が、ワークWに対する加工光ELの照射に起因して発生する物質(例えば、ヒューム等)によって妨げられる可能性が低くなる。その結果、計測光ML#2-2を用いたより適切な計測が可能となる。
或いは、合成光学系115は、合成光学系115とワークWとの間において加工光ELの光路と計測光ML#2-2の光路とが少なくとも部分的に離れるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。つまり、合成光学系115は、合成光学系115からワークWに至る加工光ELの光路と、合成光学系115からワークWに至る計測光ML#2-2の光路とが少なくとも部分的に離れるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。合成光学系115とワークWとの間に共通光学系116が存在するため、合成光学系115は、共通光学系116内において加工光ELの光路と計測光ML#2-2の光路とが少なくとも部分的に離れるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。合成光学系115は、共通光学系116内での加工光ELの光路と共通光学系116内での計測光ML#2-2の光路とが少なくとも部分的に離れるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。合成光学系115は、共通光学系116とワークWとの間において加工光ELの光路と計測光ML#2-2の光路とが少なくとも部分的に離れるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。合成光学系115は、共通光学系116からワークWに至る加工光ELの光路と、共通光学系116からワークWに至る計測光ML#2-2の光路とが少なくとも部分的に離れるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。
一例として、合成光学系115とワークWとの間における加工光ELの光路と計測光ML#2-2の光路とを部分的に示す断面図である図7に示すように、合成光学系115は、合成光学系115からワークWに至る加工光ELの光路と、合成光学系115からワークWに至る計測光ML#2-2の光路とが、合成光学系115及び/又は共通光学系116の光軸AXに交差する方向に沿って少なくとも部分的に離れるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。つまり、合成光学系115は、合成光学系115からワークWに至る加工光ELの光路と、合成光学系115からワークWに至る計測光ML#2-2の光路とが、オフアクシスな関係となるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。この場合、加工光ELが照射される被照射領域EAと計測光MLが照射される被照射領域MAとを示す平面図である図8に示すように、合成光学系115は、被照射領域EAと被照射領域MAとが少なくとも部分的に離れるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。合成光学系115は、ワークW上での加工光ELの照射位置とワークW上での計測光ML#2-2の照射位置とが少なくとも部分的に異なるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。
図7は、fθレンズ1162からワークWに至る加工光ELと、fθレンズ1162からワークWに至る計測光ML#2-2とが平行になる例を示している。つまり、図7は、fθレンズ1162からワークWに至る加工光ELの主光線と、fθレンズ1162からワークWに至る計測光ML#2-2の主光線とが平行になる例を示している。しかしながら、fθレンズ1162からワークWに至る加工光ELと、fθレンズ1162からワークWに至る計測光ML#2-2とが非平行になっていてもよい。つまり、fθレンズ1162からワークWに至る加工光ELの主光線と、fθレンズ1162からワークWに至る計測光ML#2-2の主光線とが非平行になっていてもよい。言い換えると、加工光ELに関してfθレンズ1162のワーク側のテレセントリック性が非テレセントリックであってもよく、計測光MLに関してfθレンズ1162のワーク側のテレセントリック性が非テレセントリックであってもよい。
被照射領域EAと被照射領域MAとを少なくとも部分的に離すために、合成光学系115は、典型的には、fθレンズ1162の瞳面において加工光ELと計測光ML#2-2とが角度差を有するように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。つまり、合成光学系115は、fθレンズ1162の瞳面に対する加工光ELの入射角度とfθレンズ1162の瞳面に対する計測光ML#2-2の入射角度とが異なるように、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。その結果、瞳面での加工光ELと計測光ML#2-2との角度差が、fθレンズ1162によって、像面(典型的には、ワークWの表面)での加工光ELと計測光ML#2-2との照射位置の差に変換される。つまり、瞳面での加工光ELと計測光ML#2-2との角度差が、fθレンズ1162によって、ワークW上での被照射領域EAと被照射領域MAとの間の位置の差に変換される。
ワークW上で被照射領域EAと被照射領域MAとを少なくとも部分的に離すために、図9に示すように、共通光学系116は、ガルバノミラー1161とfθレンズ1162との間に、リレーレンズ1163を備えていてもよい。リレーレンズ1163は、ワークWの表面と光学的に共役な面において加工光ELの光路と計測光ML#2-2の光路とを少なくとも部分的に離すための光学部材(光学系)である。
被照射領域EAと被照射領域MAとが少なくとも部分的に離れる場合には、加工装置1は、被照射領域EAへの加工光ELの照射と被照射領域MAへの計測光ML#2-2の照射とをそれぞれ同じタイミングで行ってもよい(図6(a)参照)。或いは、被照射領域EAと被照射領域MAとが少なくとも部分的に離れる場合には、加工装置1は、被照射領域EAへの加工光ELの照射と被照射領域MAへの計測光ML#2-2の照射とをそれぞれ異なるタイミングで行ってもよい(図6(b)及び図6(c)参照)。
尚、合成光学系115は、合成光学系115とワークWとの間において加工光ELの光路と計測光ML#2-2の光路とが離れるように(部分的にも重複しないように)、加工光EL及び計測光ML#2-2を合成してもよい。
或いは、被照射領域EAと被照射領域MAとが少なくとも部分的に重複する場合、被照射領域EAと被照射領域MAとが少なくとも部分的に離れる場合及び被照射領域EAと被照射領域MAとが完全に離れる場合のそれぞれにおいて、加工装置1は、加工装置1がワークWの加工を開始する前に(例えば、ステージ32にワークWが載置されたタイミングやワークWに計測光MLが照射可能となったタイミングで)、ワークWに計測光MLを照射してもよい。つまり、加工装置1は、加工装置1がワークWの加工を開始する前に(例えば、ステージ32にワークWが載置されたタイミングやワークWに計測光MLが照射可能となったタイミングで)、被照射領域MAへの計測光ML#2-2の照射を行ってもよい。加工装置1は、加工装置1がワークWの加工を完了した後に、ワークWに計測光MLを照射してもよい。加工装置1は、加工装置1がワークWの加工を完了した後に、被照射領域MAへの計測光ML#2-2の照射を行ってもよい。
再び図3において、ワークWに計測光ML#2-2が照射されると、計測光ML#2-2の照射に起因した光がワークWから発生する。つまり、ワークWに計測光ML#2-2が照射されると、計測光ML#2-2の照射に起因した光がワークWから射出される。例えば、ワークWに計測光ML#2-2が照射されると、計測光ML#2-2の反射光がワークWから射出する。例えば、ワークWに計測光ML#2-2が照射されると、計測光ML#2-2の散乱光がワークWから射出する。ここで、計測光ML#2-2の照射に起因した光、別の言い方をすると計測光ML#2-2の照射に起因してワークWから射出される光は、ワークWで反射された計測光ML#2-2(つまり、反射光)、計測光ML#2-2のワークWへの照射によって生じる散乱光、ワークWで回折された計測光ML#2-2(つまり、回折光)、及びワークWを透過した計測光ML#2-2(つまり、透過光)のうち、少なくとも一つを含んでいてもよい。
計測光ML#2-2の照射に起因してワークWから射出される光の少なくとも一部(以下、この光を“計測光ML#2-3”と称する)は、共通光学系116に入射する。共通光学系116に入射した計測光ML#2-3は、fθレンズ1162及びガルバノミラー1161を介して、合成光学系115に入射する。合成光学系115のビームスプリッタ1151は、ビームスプリッタ1151に入射した計測光ML#2-3を、計測光学系114に向けて射出する。図3に示す例では、ビームスプリッタ1151に入射した計測光ML#2-3は、偏光分離面において反射されることで計測光学系114に向けて射出される。このため、図3に示す例では、計測光ML#2-3は、偏光分離面で反射可能な偏光方向を有する状態で偏光ビームスプリッタ1151の偏光分離面に入射する。
合成光学系115から射出された計測光ML#2-3は、計測光学系114のミラー1147に入射する。ミラー1147は、ミラー1147に入射した計測光ML#2-3をビームスプリッタ1144に向けて反射する。ビームスプリッタ1144は、ビームスプリッタ1144に入射した計測光ML#2-3の少なくとも一部をビームスプリッタ1142に向けて射出する。ビームスプリッタ1142は、ビームスプリッタ1142に入射した計測光ML#2-3の少なくとも一部を検出器1146に向けて射出する。
ここで、上述したように、検出器1146には、計測光ML#2-3に加えて、計測光ML#1-3が入射する。つまり、検出器1146には、ワークWを介して検出器1146に向かう計測光ML#2-3と、ワークWを介することなく検出器1146に向かう計測光ML#1-3とが入射する。尚、計測光ML#1-3は、参照光と称されてもよい。検出器1146は、計測光ML#1-3と計測光ML#2-3とが干渉することで生成される干渉光を検出する。具体的には、検出器1146は、干渉光を受光することで、干渉光を検出する。このため、検出器1146は、光を受光可能な受光素子(受光部)を備えていてもよい。検出器1146の検出結果は、制御装置5に出力される。
制御装置5は、検出器1143の検出結果及び検出器1146の検出結果に基づいて、ワークWの状態を算出する。ここで、図10を参照しながら、検出器1143の検出結果及び検出器1146の検出結果に基づいてワークWの状態を算出する原理について説明する。
図10は、検出器1143に入射する計測光ML#1-1、検出器1143に入射する計測光ML#2-1、検出器1143が検出した干渉光、検出器1146に入射する計測光ML#1-3、検出器1146に入射する計測光ML#2-3及び検出器1146が検出した干渉光を示すタイミングチャートである。計測光#1のパルス周波数と計測光ML#2のパルス周波数とが異なるため、計測光#1-1のパルス周波数と計測光ML#2-1のパルス周波数とが異なる。従って、計測光#1-1と計測光ML#2-1との干渉光は、計測光#1-1を構成するパルス光と計測光ML#2-1を構成するパルス光とが同時に検出器1143に入射したタイミングに同期してパルス光が現れる干渉光となる。同様に、計測光#1-3のパルス周波数と計測光ML#2-3のパルス周波数とが異なる。従って、計測光#1-3と計測光ML#2-3との干渉光は、計測光#1-3を構成するパルス光と計測光ML#2-3を構成するパルス光とが同時に検出器1146に入射したタイミングに同期してパルス光が現れる干渉光となる。
ここで、検出器1146が検出する干渉光を作るパルス光の位置(時間軸上の位置)は、加工ヘッド11とワークWとの位置関係に応じて変動する。なぜならば、検出器1146が検出する干渉光は、ワークWを介して検出器1146に向かう計測光ML#2-3と、ワークWを介することなく検出器1146に向かう計測光ML#1-3との干渉光であるからである。一方で、検出器1143が検出する干渉光を作るパルス光の位置(時間軸上の位置)は、加工ヘッド11とワークWとの位置関係に応じて変動することはない。このため、検出器1146が検出する干渉光を作るパルス光と検出器1143が検出する干渉光を作るパルス光との時間差は、加工ヘッド11とワークWとの位置関係(典型的には、加工ヘッド11とワークWとの間の距離)を間接的に示していると言える。このため、制御装置5は、検出器1146が検出する干渉光を作るパルス光と検出器1143が検出する干渉光を作るパルス光との時間差に基づいて、ワークWの状態を算出することができる。具体的には、制御装置5は、検出器1146が検出する干渉光を作るパルス光と検出器1143が検出する干渉光を作るパルス光との時間差に基づいて、ワークWのうち計測光ML#2-2が照射された部分の位置を算出することができる。つまり、制御装置5は、ワークWのうち計測光ML#2-2が照射された部分の位置に関する情報を求めることができる。更には、ワークWの複数個所に計測光ML#2-2が照射されれば及び/又はワークWの表面を走査するように計測光ML#2-2が照射されれば、制御装置5は、ワークWの形状も算出することができる。
算出されたワークWの状態は、加工システムSYSaを制御するために用いられてもよい。具体的には、算出されたワークWの状態は、加工装置1を制御するために用いられてもよい。算出されたワークWの状態は、加工ヘッド11を制御するために用いられてもよい。算出されたワークWの状態は、ヘッド駆動系12を制御するために用いられてもよい。算出されたワークWの状態は、ステージ装置3を制御するために用いられてもよい。算出されたワークWの状態は、ステージ駆動系33を制御するために用いられてもよい。
例えば、制御装置5は、算出されたワークWの状態に基づいて、ワークWと加工ヘッド11との相対的な位置関係が所望の位置関係となるように、ワークWと加工ヘッド11との相対的な位置関係を変更してもよい。つまり、制御装置5は、算出されたワークWの状態に基づいて、ワークWと加工ヘッド11との相対的な位置関係が所望の位置関係となるように、ワークWと加工ヘッド11との相対的な位置関係を変更可能な装置を制御してもよい。ワークWと加工ヘッド11との相対的な位置関係を変更可能な装置の一例として、ヘッド駆動系12及びステージ駆動系33の少なくとも一方があげられる。尚、「所望の位置関係」の一例として、ワークW上の所望位置に加工光EL及び/又は計測光MLが照射される位置関係があげられる。
例えば、制御装置5は、算出されたワークWの状態に基づいて、ワークWと加工ヘッド11が備える各光学系(例えば、加工光学系112、計測光学系114、合成光学系115及び共通光学系116の少なくとも一つ)との相対的な位置関係が所望の関係となるように、ワークWと加工ヘッド11が備える各光学系との相対的な位置関係を変更してもよい。つまり、制御装置5は、算出されたワークWの状態に基づいて、ワークWと加工ヘッド11が備える各光学系との相対的な位置関係が所望の関係となるように、ワークWと加工ヘッド11が備える各光学系との相対的な位置関係を変更可能な装置を制御してもよい。ワークWと加工ヘッド11が備える各光学系との相対的な位置関係を変更可能な装置の一例として、ヘッド駆動系12及びステージ駆動系33の少なくとも一方があげられる。
例えば、制御装置5は、算出されたワークWの状態に基づいて、ワークW上の所望位置に被照射領域EAが設定される(つまり、加工光ELが照射される)ように、ワークWに対する被照射領域EAの相対位置を変更してもよい。つまり、制御装置5は、算出されたワークWの状態に基づいて、ワークW上の所望位置に被照射領域EAが設定されるように、ワークWに対する被照射領域EAの相対位置を変更可能な装置を制御してもよい。ワークWに対する被照射領域EAの相対位置を変更可能な装置の一例として、加工光学系112の角度調整光学素子1122、共通光学系116のガルバノミラー1161、ヘッド駆動系12及びステージ駆動系33があげられる。
例えば、制御装置5は、算出されたワークWの状態に基づいて、ワークW上の所望位置に被照射領域MAが設定される(つまり、計測光ML#2-2が照射される)ように、ワークWに対する被照射領域MAの相対位置を変更してもよい。つまり、制御装置5は、算出されたワークWの状態に基づいて、ワークW上の所望位置に被照射領域MAが設定されるように、ワークWに対する被照射領域MAの相対位置を変更可能な装置を制御してもよい。ワークWに対する被照射領域MAの相対位置を変更可能な装置の一例として、加工光学系112の角度調整光学素子1122、共通光学系116のガルバノミラー1161、ヘッド駆動系12及びステージ駆動系33があげられる。
但し、上述したように、第1実施形態では、ガルバノミラー1161は、ワークWに対する被照射領域MAの相対位置とワークW上での計測光ML#2-2の照射位置とを連動して変更可能である。このため、ガルバノミラー1161を用いてワークWに対する被照射領域MAの相対位置が変更されると、ワークWに対する被照射領域EAの相対位置もまた同時に変更される。つまり、ガルバノミラー1161を用いてワークWに対する被照射領域EAの相対位置が変更されると、ワークWに対する被照射領域MAの相対位置もまた同時に変更される。
ヘッド駆動系12もまた、加工ヘッド11を移動させるがゆえに、ワークWに対する被照射領域MAの相対位置とワークW上での計測光ML#2-2の照射位置とを連動して変更可能である。このため、ヘッド駆動系12を用いてワークWに対する被照射領域MAの相対位置が変更されると、ワークWに対する被照射領域EAの相対位置もまた同時に変更される。つまり、ヘッド駆動系12を用いてワークWに対する被照射領域EAの相対位置が変更されると、ワークWに対する被照射領域MAの相対位置もまた同時に変更される。
ステージ駆動系33もまた、ステージ32を移動させる(つまり、ステージ32に載置されたワークWを移動させる)がゆえに、ワークWに対する被照射領域MAの相対位置とワークW上での計測光ML#2-2の照射位置とを連動して変更可能である。ステージ駆動系33を用いてワークWに対する被照射領域MAの相対位置が変更されると、ワークWに対する被照射領域EAの相対位置もまた同時に変更される。つまり、ステージ駆動系33を用いてワークWに対する被照射領域EAの相対位置が変更されると、ワークWに対する被照射領域MAの相対位置もまた同時に変更される。
例えば、制御装置5は、算出されたワークWの状態に基づいて、加工光ELによってワークWが適切に加工されたか否かを判定してもよい。つまり、制御装置5は、算出されたワークWの状態に基づいて、加工光ELによってワークWが加工された後のワークWの事後検査を行ってもよい。具体的には、制御装置5は、算出されたワークWの状態と加工後のワークWの理想的な状態とを比較することで、加工光ELによってワークWが適切に加工されたか否かを判定してもよい。加工光ELによってワークWが適切に加工されていないと判定された場合には、制御装置5は、加工光ELによってワークWが適切に加工されるように、加工装置1を制御してもよい。
尚、ワークWの事後検査が行われる場合には、ワークW上において、計測光ML#2-2が照射される被照射領域MAは、加工光ELが照射される被照射領域EAの後方に設定されていてもよい。ここで言う「後方」は、ワークW上での加工光ELの移動方向(つまり、被照射領域EAの移動方向)に沿った後方を意味する。この場合、加工光ELがワークW上のある領域に照射された後に、当該領域に計測光ML#2-2が照射される。従って、加工光EL及び計測光ML#2-2の照射順が、ワークWの事後検査に適した順番となる。
例えば、制御装置5は、算出されたワークWの状態に基づいて、加工光ELによってワークWが加工される前のワークWの事前検査を行ってもよい。例えば、制御装置5は、加工光ELによる適切な加工を妨げかねない欠陥がワークWに生じているか否かを判定する事前検査を行ってもよい。例えば、制御装置5は、加工光ELによる加工内容を決定するために、ワークWの状態を特定する事前検査を行ってもよい。
尚、ワークWの事前検査が行われる場合には、ワークW上において、計測光ML#2-2が照射される被照射領域MAは、加工光ELが照射される被照射領域EAの前方に設定されていてもよい。ここで言う「前方」は、ワークW上での加工光ELの移動方向に沿った前方を意味する。この場合、計測光ML#2-2がワークW上のある領域に照射された後に、当該領域に加工光ELが照射される。従って、加工光EL及び計測光ML#2-2の照射順が、ワークWの事前検査に適した順番となる。
(1-3)ヘッド駆動系12の構造
(1-3-1)ヘッド駆動系12の全体構造
続いて、図11を参照しながら、ヘッド駆動系12の構造の一例について説明する。図11は、ヘッド駆動系12の構造の一例を示す断面図である。
図11に示すように、ヘッド駆動系12は、第1駆動系121と、第2駆動系122とを備える。第1駆動系121には、第2駆動系121が取り付けられている。第1駆動系121は、第2駆動系122を支持する。第2駆動系122には、加工ヘッド11が取り付けられている。第2駆動系122は、加工ヘッド11を支持する。このため、第2駆動系122は、実質的には、第1駆動系121と加工ヘッド11とを接続する接続装置として機能してもよい。
第1駆動系121は、制御装置5の制御下で、第2駆動系122をワークWに対して移動させる。つまり、第1駆動系121は、第2駆動系122をワークWに対して移動させる移動装置として機能する。第2駆動系122に加工ヘッド11が取り付けられているため、第1駆動系121は、第2駆動系122を移動させることで、加工ヘッド11をワークWに対して移動させていると言える。つまり、第1駆動系121は、第2駆動系122と共に加工ヘッド11を移動させる。第1駆動系121は、第2駆動系122を介して加工ヘッド11を移動させる。第1駆動系121は、第2駆動系122を介して加工ヘッド11が備える各光学系を移動させる(言い換えれば、駆動する)駆動部として機能する。
第2駆動系122は、制御装置5の制御下で、加工ヘッド11をワークWに対して移動させる。つまり、第2駆動系122は、加工ヘッド11をワークWに対して移動させる移動装置として機能する。第2駆動系122は、加工ヘッド11をワークWに対して移動させる移動装置として機能する。上述したように第2駆動系122が加工ヘッド11を支持しているため、第2駆動系122は、加工ヘッド11がワークWに対して変位可能な状態で加工ヘッド11を支持すると言える。この場合、第2駆動系122は、加工ヘッド11が備える各光学系がワークWに対して変位可能な状態で加工ヘッド11が備える各光学系を支持する支持部として機能する。
以下、このような第1駆動系121及び第2駆動系122について順に説明する。
(1-3-1-1)第1駆動系121の構造
図11に示すように、第1駆動系121は、基台1211と、アーム駆動系1212とを備えている。
基台1211は、筐体4(例えば、筐体4の天井部材)又は不図示の支持フレーム(支持構造体)に取り付けられている。基台1211には、アーム駆動系1212が取り付けられている。基台1211は、アーム駆動系1211を支持する。基台1211は、アーム駆動系1211を支持するためのベース部材として用いられる。
アーム駆動系1212は、複数のアーム部材12121を備えている。複数のアーム部材12121は、少なくとも一つのジョイント部材12122を介して揺動自在に連結されている。従って、アーム駆動系1212は、いわゆる垂直多関節構造を有するロボットである。尚、アーム駆動系1212は、垂直多関節構造を有するロボットには限定されず、例えば、水平多関節構造を有するロボット極座標型ロボット、円筒座標型ロボット、直角座標型ロボット、又はパラレルリンク型ロボットであってもよい。アーム駆動系1212は、単一の関節(つまり、ジョイント部材12122によって規定される駆動軸)を備えていてもよい。或いは、アーム駆動系1212は、複数の関節を備えていてもよい。図11は、アーム駆動系1212が三つの関節を備えている例を示している。各関節を介して連結されている二つのアーム部材12121は、各関節に対応するアクチュエータ12123によって揺動する。図11は、三つの関節に対応してアーム駆動系1212が三つのアクチュエータ12123を備えている例を示している。その結果、少なくとも一つのアーム部材12121が移動する。このため、少なくとも一つのアーム部材12121は、ワークWに対して移動可能である。つまり、少なくとも一つのアーム部材12121は、少なくとも一つのアーム部材12121とワークWとの相対的な位置関係が変更されるように移動可能である。
アーム駆動系1212には、第2駆動系122が取り付けられている。具体的には、複数のアーム部材12121のうちの基台1211から最も遠い位置に位置する一のアーム部材12121に、第2駆動系122が取り付けられている。以下、説明の便宜上、第2駆動系122が取り付けられる一のアーム部材12121を、先端アーム部材12124と称する。第2駆動系122は、先端アーム部材12124に直接取り付けられていてもよいし、他の部材を介して先端アーム部材12124に間接的に取り付けられていてもよい。
上述したアクチュエータ12123によって先端アーム部材12124が移動すると、先端アーム部材12124に取り付けられている第2駆動系122もまた移動する。このため、アーム駆動系1212(つまり、第1駆動系121)は、第2駆動系122を移動させることができる。具体的には、アーム駆動系1212は、ワークWに対して第2駆動系122を移動させることができる。アーム駆動系1212は、第2駆動系122とワークWとの相対的な位置関係が変更されるように、第2駆動系122を移動させることができる。また、第2駆動系122が移動すると、第2駆動系122に取り付けられている加工ヘッド11もまた移動する。このため、アーム駆動系1212(つまり、第1駆動系121)は、加工ヘッド11を移動させることができる。
尚、第1駆動系121は、多関節ロボットには限定されず、第2駆動系122をワークWに対して移動させることが可能である限りは、どのような構造を有していてもよい。
(1-3-1-2)第2駆動系122の構造
続いて、図12を参照しながら、第2駆動系122の構造について説明する。図12は、第2駆動系122の構造を示す断面図である。
図12に示すように、第2駆動系122は、支持部材1221と、支持部材1222と、エアスプリング1223と、ダンパ部材1224と、駆動部材1225とを備える。
支持部材1221は、第1駆動系121に取り付けられている。具体的には、支持部材1221は、第1駆動系121の先端アーム部材12124に取り付けられている。支持部材1222は、加工ヘッド11に取り付けられている。
支持部材1221と支持部材1222とは、エアスプリング1223、ダンパ部材1224及び駆動部材1225を介して結合されている(言い換えれば、連結されている、或いは、接続されている)。つまり、エアスプリング1223、ダンパ部材1224及び駆動部材1225のそれぞれは、支持部材1221と支持部材1222とを結合するように、支持部材1221及び1222に取り付けられている。支持部材1221に第1駆動系121が取り付けられ且つ支持部材1222に加工ヘッド11が取り付けられているため、エアスプリング1223、ダンパ部材1224及び駆動部材1225のそれぞれは、実質的には、第1駆動系121と加工ヘッド11とを結合するように、支持部材1221及び1222に取り付けられているとも言える。
エアスプリング1223は、制御装置5の制御下で、気体(一例として空気)の圧力に起因した弾性力を、支持部材1221及び1222の少なくとも一方に付与する。エアスプリング1223は、制御装置5の制御下で、気体の圧力に起因した弾性力を、支持部材1221及び1222の少なくとも一方を介して第1駆動系121及び加工ヘッド11の少なくとも一方に付与する。特に、エアスプリング1223は、支持部材1221と支持部材1222とが並ぶ方向(図12に示す例では、Z軸方向であり、重力方向)に沿って、気体の圧力に起因した弾性力を、支持部材1221及び1222の少なくとも一方に付与してもよい。つまり、エアスプリング1223は、第1駆動系121(特に、先端アーム部材12124)と加工ヘッド11とが並ぶ方向(図12に示す例では、Z軸方向であり、重力方向)に沿って、気体の圧力に起因した弾性力を、支持部材1221及び1222の少なくとも一方を介して第1駆動系121及び加工ヘッド11の少なくとも一方に付与してもよい。尚、エアスプリング1223は、弾性部材と称されてもよい。
気体の圧力に起因した弾性力を付与するために、エアスプリング1223には、気体供給装置12261から配管12262及びバルブ12263を介して気体が供給される。制御装置5は、エアスプリング1223内の機体の圧力を計測する圧力計1226の計測結果に基づいて、気体供給装置12261及びバルブ12263の少なくとも一方を制御する。尚、気体供給装置12261、配管12262及びバルブ12263はなくてもよい。この場合、エアスプリング1223は、制御装置5の制御とは無関係に、内部の気体の圧力に起因した弾性力を、支持部材1221及び1222の少なくとも一方に付与してもよい。
エアスプリング1223は、制御装置5の制御下で、弾性力を利用して、支持部材1222の重量を支持してもよい。具体的には、エアスプリング1223は、弾性力を利用して、支持部材1221と支持部材1222とが並ぶ方向に沿って支持部材1222の重量を支持してもよい。支持部材1222に加工ヘッド11が取り付けられているため、エアスプリング1223は、弾性力を利用して、支持部材1222に取り付けられた加工ヘッド11の重量を支持してもよい。具体的には、エアスプリング1223は、弾性力を利用して、第1駆動系121(特に、先端アーム部材12124)と加工ヘッド11とが並ぶ方向に沿って加工ヘッド11の重量を支持してもよい。この場合、エアスプリング1223は、加工ヘッド11の自重をキャンセルする自重キャンセラとして機能してもよい。尚、エアスプリング1223は、制御装置5の制御とは無関係に、弾性力を利用して、支持部材1222の重量を支持してもよい。
エアスプリング1223は、制御装置5の制御下で、弾性力を利用して、第1駆動系121と加工ヘッド11との間で第2駆動系122を介して伝達される振動を低減してもよい。つまり、エアスプリング1223は、弾性力を利用して、第1駆動系121と加工ヘッド11との間で第2駆動系122を介して伝達される振動を減衰してもよい。具体的には、エアスプリング1223は、弾性力を利用して、第1駆動系121から第2駆動系122を介して加工ヘッド11へと向かう(つまり、伝達される)振動を低減(減衰)してもよい。つまり、エアスプリング1223は、弾性力を利用して、第1駆動系121のうち第2駆動系122が取り付けられている部分(つまり、先端アーム部分12124)から、加工ヘッド11のうち第2駆動系122が取り付けられている部分へと向かう振動を低減(減衰)してもよい。この場合、制御装置5は、圧力計1226の計測結果に基づいて、第1駆動系121と加工ヘッド11との間で第2駆動系122を介して伝達される振動が低減される(つまり、減衰される)ように、気体供給装置12261及びバルブ12263の少なくとも一方を制御してもよい。尚、エアスプリング1223(或いは、エアスプリング1223を含む第2駆動系122)は、振動低減装置又は振動減衰装置と称されてもよい。尚、エアスプリング1223は、制御装置5の制御とは無関係に、弾性力を利用して、第1駆動系121と加工ヘッド11との間で第2駆動系122を介して伝達される振動を低減してもよい。
ダンパ部材1224は、空気の圧力とは異なる要因に起因した弾性力を、支持部材1221及び1222の少なくとも一方に付与する。ダンパ部材1224は、空気の圧力とは異なる要因に起因した弾性力を、支持部材1221及び1222の少なくとも一方を介して第1駆動系121及び加工ヘッド11の少なくとも一方に付与する。特に、ダンパ部材1224は、支持部材1221と支持部材1222とが並ぶ方向(図12に示す例では、Z軸方向であり、重力方向)に沿って、弾性力を、支持部材1221及び1222の少なくとも一方に付与してもよい。つまり、ダンパ部材1224は、第1駆動系121(特に、先端アーム部材12124)と加工ヘッド11とが並ぶ方向(図12に示す例では、Z軸方向であり、重力方向)に沿って、弾性力を、支持部材1221及び1222の少なくとも一方を介して第1駆動系121及び加工ヘッド11の少なくとも一方に付与してもよい。尚、ダンパ部材1224は、弾性部材と称されてもよい。
ダンパ部材1224は、弾性力を付与可能である限りはどのような部材であってもよい。例えば、ダンパ部材1224は、圧縮バネコイルを含んでいてもよい。例えば、ダンパ部材1224は、板バネを含んでいてもよい。
ダンパ部材1224は、弾性力を利用して、支持部材1222の重量を支持してもよい。具体的には、ダンパ部材1224は、弾性力を利用して、支持部材1221と支持部材1222とが並ぶ方向に沿って支持部材1222の重量を支持してもよい。支持部材1222に加工ヘッド11が取り付けられているため、ダンパ部材1224は、弾性力を利用して、支持部材1222に取り付けられた加工ヘッド11の重量を支持してもよい。具体的には、ダンパ部材1224は、弾性力を利用して、第1駆動系121(特に、先端アーム部材12124)と加工ヘッド11とが並ぶ方向に沿って加工ヘッド11の重量を支持してもよい。この場合、ダンパ部材1224は、加工ヘッド11の自重をキャンセルする自重キャンセラとして機能してもよい。
ダンパ部材1224は、弾性力を利用して、第1駆動系121と加工ヘッド11との間で第2駆動系122を介して伝達される振動を低減してもよい。つまり、ダンパ部材1224は、弾性力を利用して、第1駆動系121と加工ヘッド11との間で第2駆動系122を介して伝達される振動を減衰してもよい。具体的には、ダンパ部材1224は、弾性力を利用して、第1駆動系121から第2駆動系122を介して加工ヘッド11へと向かう(つまり、伝達される)振動を低減(減衰)してもよい。このため、ダンパ部材1224(或いは、ダンパ部材1224を含む第2駆動系122)は、振動低減装置又は振動減衰装置と称されてもよい。
ダンパ部材1224は、弾性力を利用して、エアスプリング1223の振動を減衰振動に変換してもよい。つまり、ダンパ部材1224は、弾性力を利用して、第1駆動系121と加工ヘッド11との間で第2駆動系122を介して伝達される振動を減衰振動に変換してもよい。
駆動部材1225は、制御装置5の制御下で、駆動力を発生可能である。駆動部材1225は、発生させた駆動力を支持部材1221及び1222の少なくとも一方に付与可能である。駆動部材1225は、発生させた駆動力を、支持部材1221及び1222の少なくとも一方を介して、第1駆動系121及び加工ヘッド11の少なくとも一方に付与可能である。駆動部材1225は、駆動力を発生可能である限りは、どのような構造を有していてもよい。例えば、駆動部材1225は、電気的に駆動力を発生可能な構造を有していてもよい。例えば、駆動部材1225は、磁気的に駆動力を発生可能な構造を有していてもよい。一例として、図12は、駆動部材1225が、電気的に駆動力を発生可能なボイスコイルモータ(VCM:Voice Coil Motor)である例を示している。尚、ボイスコイルモータがリニアモータの一種であるところ、駆動部材1225はボイスコイルモータと異なるリニアモータであってもよい。駆動部材1225は、直線状の軸に沿った駆動力を発生させるものであってもよい。
尚、駆動部材1225は、駆動部材1225のうちの支持部材1221に取り付けられる部材と、駆動部材1225のうちの支持部材1222に取り付けられる部材とが物理的に接触しない構造を有していてもよい。例えば、駆動部材1225がボイスコイルモータである場合には、駆動部材1225のうちの支持部材1221に取り付けられる部材(例えば、コイル及び磁極のいずれか一方を含む部材)と、駆動部材1225のうちの支持部材1222に取り付けられる部材(例えば、コイル及び磁極のいずれか他方を含む部材)とが物理的に接触することはない。
駆動部材1225は、制御装置5の制御下で、駆動力を利用して、支持部材1221及び1222の少なくとも一方を移動させてもよい。駆動部材1225は、制御装置5の制御下で、駆動力を利用して支持部材1221及び1222の少なくとも一方を移動させることで、第1駆動系121及び加工ヘッド11の少なくとも一方を移動させてもよい。この場合、駆動部材1225は、駆動力を利用して第1駆動系121及び加工ヘッド11の少なくとも一方を移動させることで、第1駆動系121と加工ヘッド11との相対位置を変更してもよい。この場合、駆動部材1225を含む第2駆動系122は、第1駆動系121と加工ヘッド11との相対位置が変更可能になるように第1駆動系121と加工ヘッド11とを結合していると言える。つまり、上述したエアスプリング1223及びダンパ部材1224(更には、駆動部材1225)は、第1駆動系121と加工ヘッド11との相対位置が駆動部材1225によって変更可能となるように、第1駆動系121と加工ヘッド11とを結合していると言える。尚、駆動部材1225は、位置変更装置と称されてもよい。
駆動部材1225は、制御装置5の制御下で、第2駆動系122が備える位置計測装置1227の計測結果に基づいて、第1駆動系121と加工ヘッド11との相対位置を変更してもよい。位置計測装置1226は、第1駆動系121と加工ヘッド11との相対位置を計測する。例えば、位置計測装置1226は、支持部材1221に取り付けられた検出部12261と、支持部材1222に取り付けられたスケール部12262とを含むエンコーダであってもよい。位置計測装置1226の計測結果は、支持部材1221と支持部材1222との相対位置に関する情報を含む。支持部材1221に第1駆動系121が取り付けられ且つ支持部材1222に加工ヘッド11が取り付けられているため、支持部材1221と支持部材1222との相対位置に関する情報は、第1駆動系121と加工ヘッド11との相対位置に関する情報を含む。従って、制御装置5は、第1駆動系121と加工ヘッド11との相対位置を適切に特定することができる。その結果、制御装置5は、位置計測装置1227の計測結果に基づいて、第1駆動系121と加工ヘッド11との相対位置を適切に変更することができる。
駆動部材1225は、制御装置5の制御下で、第1駆動系121と加工ヘッド11との相対位置を変更する(典型的には、第1駆動系121に対して加工ヘッド11を移動させる)ことで、ワークWに対して加工ヘッド11を移動させてもよい。駆動部材1225は、加工ヘッド11とワークWとの相対的な位置関係が変更されるように、加工ヘッド11を移動させてもよい。
駆動部材1225は、制御装置5の制御下で、駆動力を利用して第1駆動系121と加工ヘッド11との相対位置を変更することで、第1駆動系121と加工ヘッド11との間で第2駆動系122を介して伝達される振動を低減してもよい。つまり、駆動部材1225は、駆動力を利用して、第1駆動系121と加工ヘッド11との間で第2駆動系122を介して伝達される振動を減衰してもよい。具体的には、駆動部材1225は、駆動力を利用して、第1駆動系121から第2駆動系122を介して加工ヘッド11へと向かう(つまり、伝達される)振動を低減(減衰)してもよい。このため、駆動部材1225(或いは、駆動部材部材1225を含む第2駆動系122)は、振動低減装置又は振動減衰装置と称されてもよい。
駆動部材1225は、駆動力を利用して第1駆動系121と加工ヘッド11との相対位置を変更することで、エアスプリング1223の振動を減衰振動に変換してもよい。つまり、駆動部材1225は、駆動力を利用して、第1駆動系121と加工ヘッド11との間で第2駆動系122を介して伝達される振動を減衰振動に変換してもよい。この場合、駆動部材1225は、駆動力を利用して、第1駆動系121から加工ヘッド11に向かう振動に起因した第1駆動系121と加工ヘッド11との相対的な変位量を低減していると言える。具体的には、駆動部材1225は、駆動力を利用して、第1駆動系121から加工ヘッド11に向かう振動に起因した、第1駆動系121のうち第2駆動系122が接続されている部分(つまり、先端アーム部分12124)と加工ヘッド11のうち第2駆動系122が接続されている部分との相対的な変位量を低減していると言える。尚、駆動部材1225がエアスプリング1223の振動を減衰振動に変換可能である場合には、第2駆動系122は、ダンパ部材1224を備えていなくてもよい。但し、駆動部材1225がエアスプリング1223の振動を減衰振動に変換可能でない場合であっても、第2駆動系122は、ダンパ部材1224を備えていなくてもよい。また、エアスプリング1223の数と、ダンパ部材1224の数と、駆動部材1225の数とは、互いに等しくなくてもよい。
駆動部材1225は、エアスプリング1223及び/又はダンパ部材1224が弾性力を付与する方向の成分を含む方向に沿って作用する駆動力を付与してもよい。図12に示す例で言えば、エアスプリング1223及び/又はダンパ部材1224がZ軸方向に沿った弾性力を付与しているため、駆動部材1225は、Z軸方向の成分を含む方向に沿って作用する駆動力を付与してもよい。エアスプリング1223及び/又はダンパ部材1224が弾性力を付与する方向の成分を含む方向に沿って作用する駆動力を駆動部材1225が発生する場合には、駆動部材1225は、この駆動力を利用して、エアスプリング1223の振動を減衰振動に変換することができる。エアスプリング1223の振動を減衰振動にする際には、駆動部材1225は、駆動力を利用して、エアスプリング1223の共振周波数を変更してもよい。典型的には、駆動部材1225は、駆動力を利用して、エアスプリング1223の共振周波数を高くしてもよい。
エアスプリング1223等の弾性部材と駆動部材1225とを用いて能動的に振動を低減する装置は、能動型防振装置と称されてもよい。このため、第2駆動系122は、能動型防振装置と称されてもよい。能動型防振装置は、能動型振動分離システム(AVIS:Active Vibration Isolation System)と称されてもよい。
(1-4)加工システムSYSaの技術的効果
以上説明した加工システムSYSaは、加工光ELを用いてワークWを適切に加工することができる。更に、加工システムSYSaは、計測光MLを用いてワークWを適切に計測することができる。特に、第1実施形態では、計測光MLとして光コムが用いられるがゆえに、ワークWの計測精度が向上する。
更に、加工システムSYSaは、同じ光学系(具体的には、共通光学系116)を介して加工光EL及び計測光MLをワークWに照射することができる。特に、加工システムSYSaは、同じガルバノミラー1161を介して加工光EL及び計測光MLをワークWに照射することができる。このため、加工システムSYSaは、ワークW上での加工光ELの照射位置とワークW上での計測光ML#2-2の照射位置とを同期して及び/又は連動して変更することができる。つまり、加工システムSYSaは、ワークW上での加工光ELの照射位置とワークW上での計測光ML#2-2の照射位置との相対的な位置関係が固定された状態で、ワークW上での加工光ELの照射位置とワークW上での計測光ML#2-2の照射位置とを変更することができる。このため、加工システムSYSaによる加工光EL及び計測光MLの位置合わせの精度が向上する。例えば、ワークW上での加工光ELの照射位置とワークW上での計測光ML#2-2の照射位置とが大きくずれる可能性が小さくなる。
(2)第2実施形態の加工システムSYSb
続いて、第2実施形態の加工システムSYS(以降、第2実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSb”と称する)について説明する。第2実施形態の加工システムSYSbは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、加工装置1に代えて、加工装置1bを備えているという点で異なる。加工システムSYSbのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。加工装置1bは、加工装置1と比較して、加工ヘッド11に代えて、加工ヘッド11bを備えているという点で異なる。加工装置1bのその他の特徴は、加工装置1のその他の特徴と同一であってもよい。従って、以下では、図13を参照しながら、第2実施形態の加工ヘッド11bについて説明する。図13は、第2実施形態の加工ヘッド11bの構造の一例を示す断面図である。尚、既に説明済みの構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
図13に示すように、加工ヘッド11bは、加工光源111及び計測光源113の少なくとも一方が筐体117の外部に配置されているという点で、加工光源111及び計測光源113の双方が筐体117の内部に配置されている上述した加工ヘッド11とは異なる。図13は、加工光源111及び計測光源113の双方が筐体117の外部に配置されている例を示している。加工ヘッド11bのその他の特徴は、加工ヘッド11のその他の特徴と同一であってもよい。
この場合、加工ヘッド11bは、加工ヘッド11bの外部に配置されている加工光源111から射出された加工光EL及び/又は加工ヘッド11bの外部に配置されている計測光源113から射出された計測光MLをワークWに対して射出する。具体的には、加工光源111から射出された加工光ELは、光ファイバ等の光伝送部材1111bを介して筐体117の外部から筐体117の内部の加工光学系112に入射する。同様に、計測光源113から射出された計測光MLは、光ファイバ等の光伝送部材1131bを介して筐体117の外部から筐体117の内部の計測光学系114に入射する。図13に示す例では、計測光源113#1から射出された計測光ML#1は、光伝送部材1131b#1を介して筐体117の外部から筐体117の内部の計測光学系114に入射し、計測光源113#2から射出された計測光ML#2は、光伝送部材1131b#2を介して筐体117の外部から筐体117の内部の計測光学系114に入射する。
尚、加工光源111及び計測光源113のうち一方が筐体117の内部に配置され、他方が筐体117の外部に配置されていてもよい。また、計測光源113#1、113#2のうち筐体117の内部に配置され、他方が筐体117の外部に配置されていてもよい。
このような第2実施形態の加工システムSYSbは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。更に、第2実施形態では、加工ヘッド11bの筐体117の内部に加工光源111及び計測光源113の少なくとも一方が配置されなくてもよくなる。つまり、加工ヘッド11bは、加工光源111及び計測光源113の少なくとも一方を備えていなくてもよくなる。このため、加工ヘッド11bの小型化及び/又は軽量化が可能となる。
(3)第3実施形態の加工システムSYSc
続いて、第3実施形態の加工システムSYS(以降、第3実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSc”と称する)について説明する。第3実施形態の加工システムSYScは、上述した第2実施形態の加工システムSYSbと比較して、加工装置1bに代えて、加工装置1cを備えているという点で異なる。加工システムSYScのその他の特徴は、加工システムSYSbのその他の特徴と同一であってもよい。加工装置1cは、加工装置1bと比較して、加工ヘッド11bに代えて、加工ヘッド11cを備えているという点で異なる。加工装置1cのその他の特徴は、加工装置1bのその他の特徴と同一であってもよい。従って、以下では、図14を参照しながら、第3実施形態の加工ヘッド11cについて説明する。図14は、第3実施形態の加工ヘッド11cの構造の一例を示す断面図である。
図14に示すように、加工ヘッド11cは、加工光学系112及び/又は計測光学系114の少なくとも一部が筐体117の外部に配置されているという点で、加工光学系112及び計測光学系114の双方が筐体117の内部に配置されている上述した加工ヘッド11bとは異なる。図14は、加工光学系112及び計測光学系114の双方が筐体117の外部に配置されている例を示している。更に、加工ヘッド11cは、加工ヘッド11bと比較して、合成光学系115に代えて合成光学系115cを備えているという点で異なる。加工ヘッド11cのその他の特徴は、加工ヘッド11bのその他の特徴と同一であってもよい。
この場合、加工ヘッド11cは、加工ヘッド11cの外部に配置されている加工光学系112から射出された加工光EL及び/又は加工ヘッド11cの外部に配置されている計測光学系114から射出された計測光MLをワークWに対して射出する。具体的には、加工光学系112から射出された加工光ELは、光ファイバ等の光伝送部材1111cを介して筐体117の外部から筐体117の内部の合成光学系115cに入射する。同様に、計測光学系114から射出された計測光ML(具体的には、計測光ML#2-2)は、光ファイバ等の光伝送部材1131cを介して筐体117の外部から筐体117の内部の合成光学系115cに入射する。
合成光学系115cは、合成光学系115と比較して、集光レンズ1152c及び1153cを備えているという点で異なる。合成光学系115cのその他の特徴は、合成光学系115のその他の特徴と同一であってもよい。光伝送部材1111cを介して合成光学系115cに入射した加工光ELは、集光レンズ1152cを介してビームスプリッタ1151に入射する。集光レンズ1152cは、集光レンズ1152cの前側焦点が光伝送部材1111cの端面(具体的には、合成光学系115側の端面)に位置するように配置されている。その結果、集光レンズ1152cは、発散光である加工光ELを、平行光に変換する。このため、ビームスプリッタ1151には、平行光に変換された加工光ELが入射する。光伝送部材1131cを介して合成光学系115cに入射した計測光ML#2-2は、集光レンズ1153cを介してビームスプリッタ1151に入射する。集光レンズ1153cは、集光レンズ1153cの前側焦点が光伝送部材1131cの端面(具体的には、合成光学系115側の端面)に位置するように配置されている。その結果、集光レンズ1153cは、発散光である計測光ML#2-2を、平行光に変換する。このため、ビームスプリッタ1151には、平行光に変換された計測光ML#2-2が入射する。
尚、加工光学系112の少なくとも一部が筐体117の外部に配置され、計測光学系114が筐体117の内部に配置されていてもよく、加工光学系112が筐体117の内部に配置され、計測光学系114の少なくとも一部が筐体117の外部に配置されていてもよい。また、加工光学系112の少なくとも一部が筐体117の外部に配置され、計測光学系114の少なくとも一部が筐体117の外部に配置されていてもよい。
このような第3実施形態の加工システムSYScは、上述した第2実施形態の加工システムSYSbが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。更に、第3実施形態では、加工ヘッド11cの筐体117の内部に加工光学系112及び/又は計測光学系114の少なくとも一部が配置されなくてもよくなる。つまり、加工ヘッド11cは、加工光学系112及び/又は計測光学系114の少なくとも一部を備えていなくてもよくなる。このため、加工ヘッド11cの更なる小型化及び/又は軽量化が可能となる。
尚、第3実施形態の加工ヘッド11cの構造の他の例を示す断面図である図15に示すように、加工ヘッド11cは、空間フィルタ1181cを備えていてもよい。空間フィルタ1181cは、例えば、開口1182cが形成された遮光板であってもよい。空間フィルタ1181cは、光伝送部材1131cからの計測光ML#2-2が開口1182cを介して集光レンズ1153cに入射し、且つ、集光レンズ1153cからの計測光ML#2-3が開口1182cを介して光伝送部材1131cに入射するように配置される。空間フィルタ1181cの開口1182cのサイズ(例えば、直径)は、光伝送部材1131cを構成する光ファイバのコアのサイズ(例えば、直径)よりも小さくてもよい。空間フィルタ1181cのうち合成光学系115側の面は、ナイフエッジ状の形状を有していてもよいし、任意の形状を有していてもよい。尚、空間フィルタ1181cのうち光伝送部材1131c側の面は、ナイフエッジ状の形状を有していてもよい。空間フィルタ1181cは、光伝送部材1131cの端面(具体的には、合成光学系115側の端面)に配置されていてもよい。この場合、集光レンズ1153cの前側焦点が光伝送部材1131cの端面に位置するがゆえに、空間フィルタ1181cは、集光レンズ1153cの前側焦点位置に配置されていてもよい。この場合、集光レンズ1153cの後側焦点位置は、fθレンズ1162の前側焦点位置と一致していてもよい。空間フィルタ1181cは、ワークWの表面と光学的に共役な位置に配置されていてもよい。このように空間フィルタ1181cが配置されると、fθレンズ1162、ビームスプリッタ1151及び集光レンズ1153cのうち少なくとも一つの光学面で発生した後に計測光学系114へと向かう迷光(ノイズ光)が低減可能となる。尚、光伝送部材1131cの端面とワークWとの間に、ワークWの表面と光学的に共役な位置(つまり、中間結像点)が存在する場合には、空間フィルタ1181cは、光伝送部材1131cの端面とワークWとの間におけるワークWの表面と光学的に共役な位置に配置されてもよい。空間フィルタ1181cは、ワークWに対して光学的なフーリエ変換となる位置(典型的には、fθレンズ1162の入射瞳位置及び/又は射出瞳位置)に配置されていてもよい。但し、空間フィルタ1181cは、ワークWの表面と光学的に共役な位置及び瞳位置とは異なる位置に配置されていてもよい。或いは、光伝送部材1131cを構成する光ファイバのコアそのものを、空間フィルタ1181cとして用いてもよい。つまり、光伝送部材1131cを構成する光ファイバのコアそのものが、空間フィルタ1181cとして機能してもよい。
第3実施形態の加工ヘッド11cの構造の他の例を示す断面図である図16に示すように、加工光ELの波長と計測光MLの波長とが異なる場合には、加工ヘッド11cは、ダイクロイックフィルタ1183cを備えていてもよい。ダイクロイックフィルタ1183cは、加工光ELの波長の光を反射し、且つ、計測光MLの波長の光を透過するフィルタである。ダイクロイックフィルタ1183cは、透過型のフィルタであってもよいし、反射型のフィルタであってもよい。ダイクロイックフィルタ1183cは、光伝送部材1131cの端面(具体的には、合成光学系115側の端面)とビームスプリッタ1151との間における計測光ML#2-2の光路上に配置されていてもよい。ダイクロイックフィルタ1183cは、光伝送部材1131cの端面とビームスプリッタ1151との間において計測光ML#2-2が平行光束となる位置(具体的には、集光レンズ1153cとビームスプリッタ1151の偏光分離面との間における計測光ML#2-2の光路上)に配置されていてもよい。この場合も、fθレンズ1162及びビームスプリッタ1151の少なくとも一方の光学面で発生した後に計測光学系114へと向かう迷光(ノイズ光)が低減可能となる。
或いは、合成光学系115がビームスプリッタ1151に代えてダイクロイックミラーを備えていてもよいことは上述したとおりである。合成光学系115がダイクロイックミラーを備える状況下で加工光ELの偏光方向がダイクロイックミラーのダイクロイック面に対してp偏光となり且つ計測光ML#2-2の偏光方向がダイクロイックミラーのダイクロイック面に対してs偏光となる場合には、加工ヘッド11cは、ダイクロイックフィルタ1183cに代えて、偏光フィルタを備えていてもよい。偏光フィルタは、加工光ELの偏光方向の光を遮光又は反射し、且つ、計測光ML#2-2の偏光方向の光を透過するフィルタである。偏光フィルタは、透過型のフィルタであってもよいし、反射型のフィルタであってもよい。偏光フィルタは、ダイクロイックフィルタ1183cが配置される位置と同じ位置に配置されてもよい。この場合も、fθレンズ1162及びビームスプリッタ1151の少なくとも一方の光学面で発生した後に計測光学系114へと向かう迷光(ノイズ光)が低減可能となる。
或いは、加工ヘッド11cは、ダイクロイックフィルタ1183c及び偏光フィルタに代えて、光アイソレータを備えていてもよい。光アイソレータは、偏光依存型の光アイソレータであってもよいし、偏光無依存型の光アイソレータであってもよい。光アイソレータは、ダイクロイックフィルタ1183cが配置される位置と同じ位置又はその近傍の位置に配置されてもよい。この場合も、fθレンズ1162及びビームスプリッタ1151の少なくとも一方の光学面で発生した後に計測光学系114へと向かう迷光(ノイズ光)が低減可能となる。
第3実施形態の加工ヘッド11cの構造の他の例を示す断面図である図17に示すように、加工ヘッド11cは、波長板1184cを備えていてもよい。波長板1184cは、その光軸周りに又はその光軸と平行な軸周りに回転可能である。波長板1184cは、集光レンズ1153cとビームスプリッタ1151の偏光分離面との間における計測光ML#2-2の光路上に配置されていてもよい。加工ヘッド11cは、単一の波長板1184cを備えていてもよいし、複数の波長板1184cを備えていてもよい。加工ヘッド11cが複数の波長板1184cを備えている場合には、複数の波長板1184cは、少なくとも一つの1/2波長板1184cと、少なくとも一つの1/4波長板1184cとを含んでいてもよい。この場合、1/4波長板1184cの軸周りの回転によって、計測光ML#2-2の偏光状態の一つである楕円度が調整されてもよい。1/2波長板1184cの軸周りの回転によって、計測光ML#2-2の偏光状態の一つである偏光方向が調整されてもよい。
第3実施形態の加工ヘッド11cの構造の他の例を示す断面図である図18に示すように、光伝送部材1131cは、それぞれを計測光ML#2-2及び/又は計測光ML#2-3の少なくとも一部が伝搬可能な複数のコアを備えてもよい。複数のコアは、計測光ML#2-2及び/又は計測光ML#2-3の進行方向を横切る面に配列される。複数のコアを備えるために、光伝送部材1131cは、複数の光ファイバが束ねられた光ファイバ束を含んでいてもよい。ここで、複数の光ファイバが束ねられた光ファイバ束は複数本の光ファイバをその両端で同じ位置関係を保つように束ねたバンドルファイバ(いわゆるイメージファイバ)であってもよい。複数のコアを備えるために、光伝送部材1131cは、複数のコアとクラッドとが一体化されたイメージファイバ(つまり、複数のコアと当該複数のコアの間のクラッドとを有するイメージファイバ)を備えていてもよい。イメージファイバは、入射端のコアの配列と射出端のコアの配列とが同一(入射端のコアと射出端のコアとの位置関係が同じ)になっており、入射端の光量分布を射出端に伝送可能な光伝送部材であってもよい。光伝送部材1131cが複数のコアを備えている場合には、検出器1146は、少なくとも一つの方向に沿って複数の光電変換素子11461が配列された検出器であってもよい。例えば、図18に示すように、検出器1146は、一方向に複数の光電変換素子11461が配列された(つまり、複数の光電変換素子11461が一次元的に配列された)検出器であってもよい。検出器1146は、二方向に複数の光電変換素子11461が配列された(つまり、複数の光電変換素子11461が二次元的に配列された)検出器であってもよい。更に、加工ヘッド11cは、光伝送部材1131cの端面(具体的には、検出器1146側の端面)と検出器1146の検出面(つまり、複数の光電変換素子11461が配列された面)とを光学的に共役な面とするための光学系1184cを備えていてもよい。図18に示す例では、光学系1184cは、光伝送部材1131cとビームスプリッタ1144との間に配置されているが、光学系1184cの配置位置がこの例に限定されることはない。このような図18に示す構造を加工ヘッド11cが有する場合には、ワークWの表面の面計測が可能になり、その結果、ワークWの計測に関するスループットが向上する。
尚、図18に示す加工ヘッド11cを備える加工システムSYScは、計測光MLを用いてワークWを計測する計測装置(言い換えれば、測定装置)を備えているとも言える。具体的には、加工ヘッド11cは、計測光源112と、計測光学系114(特に、ミラー1145及び検出器1146)と、光伝送部材1131cと、共通光学系116(特に、fθレンズ1162)と、制御装置5とを備える計測装置(言い換えれば、測定装置)を備えているとも言える。
図14から図18に示す加工ヘッド11cにおいて、計測光ML#2-2及び/又はML#2-3の光路上に位置する光学部材の屈折面は、光軸と直交する面に対して傾斜するように配置されてもよい。例えば、計測光ML#2-2及び/又はML#2-3の光路において、偏光ビームスプリッタ1151の屈折面は、偏光ビームスプリッタ1151を含む光学系(この場合、合成光学系115c)の光軸と直交する面に対して傾斜するように配置されてもよい。偏光ビームスプリッタ1151の屈折面は、例えば、偏光ビームスプリッタ1151の光学面のうち計測光ML#2-2が入射し且つ計測光ML#2-3が射出される光学面(図14における+X側の光学面)と、偏光ビームスプリッタ1151の光学面のうち計測光ML#2-2が射出され且つ計測光ML#2-3が入射する光学面(図14における-Z側の光学面)とのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。また、図16に示す加工ヘッド11cにおいて、計測光ML#2-2及び/又はML#2-3の光路において、ダイクロイックミラー1183c(或いは、偏光フィルタ又は光アイソレータ、以下この段落において同じ)の屈折面は、ダイクロイックミラー1183cを含む光学系(例えば、合成光学系115c)の光軸と直交する面に対して傾斜するように配置されてもよい。ダイクロイックミラー1183cの屈折面は、例えば、ダイクロイックミラー1183cの光学面のうち計測光ML#2-2が入射し且つ計測光ML#2-3が射出される光学面(図16における+X側の光学面)と、ダイクロイックミラー1183cの光学面のうち計測光ML#2-2が射出され且つ計測光ML#2-3が入射する光学面(図16における-X側の光学面)とのうちの少なくとも一つを含む。この場合も、fθレンズ1162及びビームスプリッタ1151の少なくとも一方の光学面で発生した後に計測光学系114へと向かう迷光(ノイズ光)が低減可能となる。尚、説明の重複を避けるために図示しないものの、図14から図18に示す加工ヘッド11cにおいて、加工光ELの光路上に位置する光学部材の屈折面は、光軸と直交する面に対して傾斜するように配置されてもよい。
図14から図18に示す加工ヘッド11cにおいて、fθレンズ1162を構成する複数のレンズのうちの少なくとも一つは、当該少なくとも一つのレンズの光軸がfθレンズ1162の光軸に対して傾斜するように配置されてもよい。fθレンズ1162を構成する複数のレンズのうちの少なくとも一つは、当該少なくとも一つのレンズの光軸がfθレンズ1162の光軸から離れる(つまり、偏心する)ように配置されてもよい。この場合も、fθレンズ1162の光学面で発生した後に計測光学系114へと向かう迷光(ノイズ光)が低減可能となる。
図14から図18に示す加工ヘッド11cにおいて、共通光学系116は、計測光MLの波長及び加工光ELの波長に関して色収差補正がなされた色消しレンズをfθレンズ1162として含んでいてもよい。図14から図18に示す加工ヘッド11cにおいて、集光レンズ1152cの焦点距離と集光レンズ1153cの焦点距離とは異なっていてもよい。一例として、計測光MLの波長が加工光ELの波長よりも短い場合には、集光レンズ1153cの焦点距離は、集光レンズ1152cの焦点距離よりも長くてもよい。但し、集光レンズ1152cの焦点距離と集光レンズ1153cの焦点距離とは同じであってもよい。図14から図18に示す加工ヘッド11cにおいて、計測光MLの波長に関して、fθレンズ1162と集光レンズ1153cとを含む光学系によって、ワークWの表面と光伝送部材1131cの端面(具体的には、合成光学系115側の端面)とが光学的に共役な位置関係となるように構成されていてもよい。図14から図18に示す加工ヘッド11cにおいて、加工光ELの波長に関して、fθレンズ1162と集光レンズ1152cとを含む光学系によって、ワークWの表面と光伝送部材1111cの端面(具体的には、合成光学系115側の端面)とが光学的に共役な位置関係となるように構成されていてもよい。図14から図18に示す加工ヘッド11cにおいて、集光レンズ1152c及び1153cの少なくとも一方は、ズーム光学系であってもよい。集光レンズ1152cがズーム光学系である場合には、集光レンズ1152cによって加工光ELのフォーカス位置が計測光MLのフォーカス位置とは独立して調整可能となる。集光レンズ1153cがズーム光学系である場合には、集光レンズ1153cによって計測光MLのフォーカス位置が加工光ELのフォーカス位置とは独立して調整可能となる。
(4)第4実施形態の加工システムSYSd
続いて、第4実施形態の加工システムSYS(以降、第4実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSd”と称する)について説明する。第4実施形態の加工システムSYSdは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、加工装置1に代えて、加工装置1dを備えているという点で異なる。加工システムSYSdのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。加工装置1dは、加工装置1と比較して、加工ヘッド11に代えて、加工ヘッド11dを備えているという点で異なる。加工装置1dのその他の特徴は、加工装置1のその他の特徴と同一であってもよい。従って、以下では、図19を参照しながら、第4実施形態の加工ヘッド11dについて説明する。図19は、第4実施形態の加工ヘッド11dの構造の一例を示す断面図である。
図19に示すように、加工ヘッド11dは、加工ヘッド11と比較して、計測光学系114に代えて計測光学系114dを備えているという点で異なる。加工ヘッド11dのその他の特徴は、加工ヘッド11のその他の特徴と同一であってもよい。
計測光学系114dは、計測光学系114と比較して、複数の計測光MLを射出するという点で異なる。複数の計測光MLを射出するために、計測光学系114dは、計測光学系114と比較して、ミラー1147に代えて、ビームスプリッタ1147dと、X走査ミラー1148dXとを備えているという点で異なる。計測光学系114dのその他の特徴は、計測光学系114のその他の特徴と同一であってもよい。
第4実施形態では、ビームスプリッタ1144から射出された計測光ML#2-2は、ビームスプリッタ1147dに入射する。ビームスプリッタ1147dは、ビームスプリッタ1147dに入射した計測光ML#2-2のうちの一部である計測光ML#2-21を、合成光学系115に向けて射出する。計測光ML#2-21は、合成光学系115及び共通光学系116を介して、ワークWに照射される。このため、第4実施形態の計測光ML#2-21は、第1実施形態の計測光#2-2と同様の光路を介してワークWに照射される。
計測光ML#2-21の照射に起因してワークWから射出される光の少なくとも一部(例えば、上述した反射光、散乱光、回折光及び/又は透過光の少なくとも一部であり、以下、この光を“計測光ML#2-31”と称する)は、共通光学系116に入射する。共通光学系116に入射した計測光ML#2-31は、fθレンズ1162及びガルバノミラー1161を介して、合成光学系115に入射する。合成光学系115のビームスプリッタ1151は、ビームスプリッタ1151に入射した計測光ML#2-31を、計測光学系114に向けて射出する。合成光学系115から計測光学系114に入射した計測光ML#2-31は、ビームスプリッタ1147d、ビームスプリッタ1144及びビームスプリッタ1142を介して検出器1146に入射する。このため、第4実施形態の計測光ML#2-31は、第1実施形態の計測光#2-3と同様の光路を介して検出器1146に入射する。このため、検出器1146は、計測光ML#1-3と計測光ML#2-31との干渉光を検出する。
一方で、ビームスプリッタ1147dは、ビームスプリッタ1147dに入射した計測光ML#2-2のうちの他の一部である計測光ML#2-22を、X走査ミラー1148dXに向けて射出する。X走査ミラー1148dXは、計測光ML#2-22を偏向することで、ワークW上での計測光ML#2-22の照射位置を変更する。具体的には、X走査ミラー1148dXは、ワークW上での計測光ML#2-22のX軸方向に沿った照射位置を変更するように揺動又は回転する(つまり、計測光ML#2-22の光路に対するX走査ミラー1148dXの角度を変更する)ことで計測光ML#2-22を偏向する。
X走査ミラー1148dXから射出された計測光ML#2-22は、共通光学系116のY走査ミラー1161Yに入射する。Y走査ミラー1161Yは、ワークW上での計測光ML#2-22のY軸方向に沿った照射位置を変更するように揺動又は回転する(つまり、計測光ML#2-22の光路に対するY走査ミラー1161Yの角度を変更する)ことで計測光ML#2-22を偏向する。Y走査ミラー1161Yから射出された計測光ML#2-22は、fθレンズ1162を介してワークWに照射される。その結果、共通光学系116は、複数の計測光ML(図19に示す例では、2つの計測光ML#2-21及びML#2-22)をワークWに向けて射出する。
共通光学系116は、ワークW上の異なる位置に向けて複数の計測光MLをそれぞれ射出してもよい。つまり、共通光学系116は、ワークW上での計測光ML#2-21の照射位置と、ワークW上での計測光ML#2-22の照射位置とが異なるように、複数の計測光MLを射出してもよい。共通光学系116は、計測光ML#2-21が照射される被照射領域MA#1の位置と、計測光ML#2-22が照射される被照射領域MA#2の位置とが異なるように、複数の計測光MLを射出してもよい。典型的には、計測光ML#2-22の照射位置とは独立して計測光ML#2-21の照射位置を変更可能なX走査ミラー1161Xと、計測光ML#2-21の照射位置とは独立して計測光ML#2-22の照射位置を変更可能なX走査ミラー1148dXとは、共通光学系116がワークW上の異なる位置に向けて計測光ML#2-21及びML#2-22をそれぞれ射出するように、計測光ML#2-21及びML#2-22をそれぞれ偏向してもよい。
計測光ML#2-22の照射に起因してワークWから射出される光の少なくとも一部(例えば、上述した反射光、散乱光、回折光及び/又は透過光の少なくとも一部であり、以下、この光を“計測光ML#2-32”と称する)は、共通光学系116に入射する。共通光学系116に入射した計測光ML#2-32は、fθレンズ1162及びY走査ミラー1161Yを介して、X走査ミラー1148dXに入射する。X走査ミラー1148dXに入射した計測光ML#2-32は、X走査ミラー1148dX、ビームスプリッタ1147d、ビームスプリッタ1144及びビームスプリッタ1142を介して検出器1146に入射する。このため、検出器1146は、計測光ML#1-3と計測光ML#2-32との干渉光を検出する。
尚、計測光ML#2-22は、共通光学系116のY走査ミラー1161Yに入射しなくてもよい。この場合、Y走査ミラー1161Yの近傍の計測光ML#2-22の光路に配置され、ワークW上での計測光ML#2-22のY軸方向に沿った照射位置を変更するように揺動又は回転する別のY走査ミラー(図示せず)を備えていてもよい。この別のY走査ミラーは、計測光ML#2-22の光路に対する別のY走査ミラーの角度を変更してもよい。このとき、計測光ML#2-21はなくてもよい。つまり、第4実施形態では、共通光学系116は必須ではない。
制御装置5は、検出器1143の検出結果及び検出器1146の検出結果に基づいて、ワークWの状態を算出する。ここで、上述したように、第4実施形態では、検出器1146は、複数の干渉光を検出する。制御装置5は、複数の干渉光の検出結果を、それぞれ異なる用途で用いてもよい。例えば、制御装置5は、第1の干渉光(例えば、計測光ML#1-3と計測光ML#2-31との干渉光)の検出結果を、第1の用途で用いてもよい。つまり、制御装置5は、第1の干渉光の検出結果に基づいて、第1の用途で用いるワークWの状態を算出してもよい。この場合、計測光ML#2-21は、第1の用途で用いられる計測光MLに相当する。更に、例えば、制御装置5は、第2の干渉光(例えば、計測光ML#1-3と計測光ML#2-32との干渉光)の検出結果の検出結果を、第2の用途で用いてもよい。つまり、制御装置5は、第2の干渉光の検出結果に基づいて、第1の用途とは異なる第2の用途で用いるワークWの状態を算出してもよい。
第1の用途の一例として、ワークWの形状を特定するという用途があげられる。第2の用途の一例として、ワークWの位置(特に、加工ヘッド11に対するワークWの相対位置)を特定するという用途があげられる。ワークWの位置に関する情報は、主として、ワークWに対する加工ヘッド11の位置、ワークW上での加工光ELの照射位置及び/又はワークW上での計測光MLの照射位置を制御するために用いられる。このため、第2の用途の一例として、ワークWの位置(特に、加工ヘッド11に対するワークWの相対位置)に基づいて、ワークWに対する加工ヘッド11の位置、ワークW上での加工光ELの照射位置及び/又はワークW上での計測光MLの照射位置を制御するという用途があげられる。この場合、制御装置5は、第1の干渉光(例えば、計測光ML#1-3と計測光ML#2-31との干渉光)の検出結果に基づいて、ワークWの形状を特定してもよい。更に、制御装置5は、第2の干渉光(例えば、計測光ML#1-3と計測光ML#2-32との干渉光)の検出結果に基づいて、形状が特定されたワークWの所望位置に加工光EL及び/又は計測光MLが照射されるように、ワークWに対する加工ヘッド11の位置、ワークW上での加工光ELの照射位置及び/又はワークW上での計測光MLの照射位置を制御してもよい。
このような第4実施形態の加工システムSYSdは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。更に、第4実施形態の加工システムSYSdは、用途が異なる複数の計測光MLをワークWに照射することができる。このため、加工システムSYSdは、複数の計測光MLの検出結果(つまり、複数の干渉光の検出結果)に基づいて、ワークWを適切に加工することができる。
尚、計測光学系114dは、ビームスプリッタ1147dに代えて、計測光ML#2-2の光路に挿脱可能なミラーを備えていてもよい。このミラーは、計測光ML#2-2の光路に挿入された(つまり、配置された)状態で、計測光ML#2-2を合成光学系115に向けて反射してもよい。一方で、このミラーは、計測光ML#2-2の光路から外れた状態では、計測光ML#2-2の光路に影響を与えない。この場合、ビームスプリッタ1144からの計測光ML#2-2がX走査ミラー1148dXに入射するように、X走査ミラー1148dXが配置されていてもよい。
また、上述した説明では、計測光学系114dは、X走査ミラー1148dXを備えている。これは、ガルバノミラー1161においてY走査ミラー1161YがX走査ミラー1161XよりもワークWに近い側に配置され且つX走査ミラー1148dXから射出された計測光ML#2-22がガルバノミラー1161のY走査ミラー1161Yに入射するからである。しかしながら、ガルバノミラー1161においてX走査ミラー1161XがY走査ミラー1161YよりもワークWに近い側に配置されている場合には、計測光学系114dは、X走査ミラー1148dXに加えて又は代えて、Y走査ミラーを備えていてもよい。計測光学系114dのY走査ミラーは、ワークW上での計測光ML#2-22のY軸方向に沿った照射位置を変更するように揺動又は回転する(つまり、計測光ML#2-22の光路に対するY走査ミラーの角度を変更する)ことで計測光ML#2-22を偏向する。更に、計測光学系114dのY走査ミラーから射出される計測光ML#2-22は、ガルバノミラー1161のX走査ミラー1161Xに入射してもよい。
また、第4実施形態においても、上述した第2実施形態から第3実施形態の少なくとも一つで説明された構成要件が採用されてもよい。第2実施形態で説明された構成要件は、加工光源111及び計測光源113の少なくとも一方の筐体117の外部への配置に関する構成要件を含む。第3実施形態で説明された構成要件は、加工光学系112及び計測光学系114の少なくとも一方の筐体117の外部への配置に関する構成要件を含む。
(5)第5実施形態の加工システムSYSe
続いて、第5実施形態の加工システムSYS(以降、第5実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSe”と称する)について説明する。第5実施形態の加工システムSYSeは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、加工装置1に代えて、加工装置1eを備えているという点で異なる。加工システムSYSeのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。加工装置1eは、加工装置1と比較して、加工ヘッド11に代えて、加工ヘッド11eを備えているという点で異なる。加工装置1eのその他の特徴は、加工装置1のその他の特徴と同一であってもよい。従って、以下では、図20を参照しながら、第5実施形態の加工ヘッド11eについて説明する。図20は、第5実施形態の加工ヘッド11eの構造の一例を示す断面図である。
図20に示すように、加工ヘッド11eは、加工ヘッド11と比較して、計測光学系114に代えて計測光学系114eを備えているという点で異なる。加工ヘッド11eのその他の特徴は、加工ヘッド11のその他の特徴と同一であってもよい。
計測光学系114eは、計測光学系114と比較して、ガルバノミラー1148eを備えているという点で異なる。計測光学系114eのその他の特徴は、計測光学系114のその他の特徴と同一であってもよい。
第4実施形態では、ビームスプリッタ1144から射出された計測光ML#2-2(つまり、ミラー1147を介して射出された計測光ML#2-2は、ガルバノミラー1148eに入射する。ガルバノミラー1148eは、計測光ML#2-2を偏向する(つまり、射出角度を変更する)ことで、ワークW上での計測光ML#2-2の照射位置を変更する。例えば、ガルバノミラー1148eは、X走査ミラー1148eXと、Y走査ミラー1148eYとを含む。X走査ミラー1148eX及びY走査ミラー1148eYのそれぞれは、ガルバノミラー1148eに入射する計測光ML#2-2の光路に対する角度が変更される傾斜角可変ミラーである。X走査ミラー1148eXは、ワークW上での計測光ML#2-2のX軸方向に沿った照射位置を変更するように揺動又は回転する(つまり、計測光ML#2-2の光路に対するX走査ミラー1148eXの角度を変更する)ことで計測光ML#2-2を偏向する。Y走査ミラー1148eYは、ワークW上での計測光ML#2-2のY軸方向に沿った照射位置を変更するように揺動又は回転する(つまり、計測光ML#2-2の光路に対するY走査ミラー1148eYの角度を変更する)ことで計測光ML#2-2を偏向する。
ガルバノミラー1148eは、偏向した計測光ML#2-2を、合成光学系115に向けて射出する。計測光ML#2-2は、合成光学系115及び共通光学系116を介して、ワークWに照射される。更に、計測光ML#2-2の照射に起因してワークWから射出される光の少なくとも一部である計測光ML#2-3は、共通光学系116及び合成光学系115を介して計測光学系114eのガルバノミラー1148eに入射する。ガルバノミラー1148eに入射した計測光ML#2-3は、ガルバノミラー1148e、ミラー1147、ビームスプリッタ1144及びビームスプリッタ1142を介して検出器1146に入射する。
尚、計測光学系114eは、ガルバノミラー1148eに代えて/加えて、位置調整光学系(図示せず)を備えていてもよい。この位置調整光学系は、計測光学系114eからの計測光ML2-2の、計測光ML2-2の光路と直交する面における位置を任意の位置とするために、計測光ML2-2の進行方向に対して傾斜可能な平行平面板を有していてもよい。
このような第5実施形態の加工システムSYSeは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。更に、第5実施形態の加工システムSYSeは、加工光ELを偏向することなく計測光ML#2-2を偏向可能なガルバノミラー1148eを備えている。このため、加工システムSYSeは、ワークW上での加工光ELの照射位置に対して、ワークW上での計測光ML#2-2の照射位置を移動させることができる。加工システムSYSeは、加工光ELが照射される被照射領域EAに対して、計測光ML#2-2が照射される被照射領域MAを移動させることができる。このように、加工システムSYSeは、ワークW上での加工光ELの照射位置と、ワークW上での計測光ML#2-2の照射位置とを独立して変更することができる。加工システムSYSeは、被照射領域EAの位置と被照射領域MAの位置とを独立して偏光することができる。
尚、第5実施形態においても、上述した第2実施形態から第4実施形態の少なくとも一つで説明された構成要件が採用されてもよい。第4実施形態で説明された構成要件は、複数の計測光MLの射出に関する構成要件を含む。
(6)第6実施形態の加工システムSYSf
続いて、第6実施形態の加工システムSYS(以降、第6実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSf”と称する)について説明する。第6実施形態の加工システムSYSfは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、加工装置1に代えて、加工装置1fを備えているという点で異なる。加工システムSYSfのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。加工装置1fは、加工装置1と比較して、加工ヘッド11に代えて、加工ヘッド11fを備えているという点で異なる。加工装置1fのその他の特徴は、加工装置1のその他の特徴と同一であってもよい。加工ヘッド11fは、加工ヘッド11と比較して、共通光学系116が加工ヘッド11fに対して脱着可能であるという点で異なる。加工ヘッド11fは、加工ヘッド11と比較して、共通光学系116が交換可能であるという点で異なる。加工ヘッド11fのその他の特徴は、加工ヘッド11のその他の特徴と同一であってもよい。
加工ヘッド11fには、それぞれが共通光学系116として利用可能な複数の異なる光学系候補118fの中から選択される一の光学系候補118fが取り付けられていてもよい。例えば、加工ヘッド11fには、複数の異なる光学系候補118fの中から、加工システムSYSfの加工内容に応じて選択される一の光学系118fが取り付けられていてもよい。
例えば、複数の光学系候補118fは、光学系候補118fの光軸(特に、加工光EL及び/又は計測光MLの入射側の光軸)に対する加工光EL及び/又は計測光MLの射出方向が異なる少なくとも二つの光学系候補118fを含んでいてもよい。この場合、加工ヘッド11fには、複数の光学系候補118fの中から、加工システムSYSfの加工内容に適した射出方向に向けて加工光EL及び/又は計測光MLを射出可能な一の光学系118fが取り付けられていてもよい。
例えば、複数の光学系候補118fは、合成光学系115が加工光EL及び/又は計測光MLを射出する位置から光学系候補118が加工光EL及び/又は計測光MLを射出する位置までの距離が異なる少なくとも二つの光学系候補118fを含んでいてもよい。この場合、加工ヘッド11fには、複数の光学系候補118fの中から、合成光学系115が加工光EL及び/又は計測光MLを射出する位置から光学系候補118が加工光EL及び/又は計測光MLを射出する位置までの距離が加工システムSYSfの加工内容に適した距離となる一の光学系118fが取り付けられていてもよい。
例えば、複数の光学系候補118fは、加工光学系112が加工光ELを射出する位置から光学系候補118が加工光ELを射出する位置までの距離(つまり、加工光学系112から光学系候補118が加工光ELを射出する位置までの距離)が異なる少なくとも二つの光学系候補118fを含んでいてもよい。この場合、加工ヘッド11fには、複数の光学系候補118fの中から、加工光学系112が加工光ELを射出する位置から光学系候補118が加工光ELを射出する位置までの距離が加工システムSYSfの加工内容に適した距離となる一の光学系118fが取り付けられていてもよい。
例えば、複数の光学系候補118fは、計測光学系114が計測光MLを射出する位置から光学系候補118が計測光MLを射出する位置までの距離(つまり、計測光学系114から光学系候補118が加工光ELを射出する位置までの距離)が異なる少なくとも二つの光学系候補118fを含んでいてもよい。この場合、加工ヘッド11fには、複数の光学系候補118fの中から、計測光学系114が計測光MLを射出する位置から光学系候補118が計測光MLを射出する位置までの距離が加工システムSYSfの加工内容に適した距離となる一の光学系118fが取り付けられていてもよい。
例えば、複数の光学系候補118fは、加工光EL及び/又は計測光MLが光学系候補118fに入射する位置から加工光EL及び/又は計測光MLが光学系候補118fから射出される位置までの距離(つまり、光学系候補118fの入射面から光学系候補118fの射出面までの距離)が異なる少なくとも二つの光学系候補118fを含んでいてもよい。この場合、加工ヘッド11fには、加工光EL及び/又は計測光MLが光学系候補118fに入射する位置から加工光EL及び/又は計測光MLが光学系候補118fから射出される位置までの距離が加工システムSYSfの加工内容に適した距離となる一の光学系118fが取り付けられていてもよい。
以下、図21から図23を参照しながら、光学系候補118fの一例について説明する。
図21は、第1の光学系候補118f#1が共通光学系116として取り付けられた加工ヘッド11fを示す断面図である。図21に示すように、第1の光学系候補118f#1は、ガルバノミラー1161とfθレンズ1162とを備える光学系である。つまり、第1の光学系候補118f#1は、図3等を参照しながら説明した第1実施形態の共通光学系116と同一である。第1の光学系候補118f#1は、第1の光学系候補118f#1の入射側の光軸に沿って加工光EL及び/又は計測光MLを射出可能な共通光学系116として機能可能である。第1の光学系候補118f#1の入射側の光軸がZ軸に平行であるがゆえに、第1の光学系候補118f#1は、Z軸方向に沿って加工光EL及び/又は計測光MLを射出可能な共通光学系116として機能可能である。このような第1の光学系候補118f#1は、例えば、ワークWの表面のうちZ軸に交差する表面を加工システムSYSfが加工する場合に加工ヘッド11fに取り付けるべき共通光学系116として選択されてもよい。
図22は、第2の光学系候補118f#2が共通光学系116として取り付けられた加工ヘッド11fを示す断面図である。図22に示すように、第2の光学系候補118f#2は、筐体1161f#2と、アクチュエータ1162f#2と、集光レンズ1163f#2と、スキャニングミラー1164f#2とを備えている。筐体1161f#2は、Z軸方向に沿って延びる空間1165f#2が内部に形成された円筒状の筐体である。アクチュエータ1162f#2は、筐体1161f#2をZ軸周りに回転させるように動作する。筐体1161f#2の空間1165f#2には、集光レンズ1163f#2と、スキャニングミラー1164f#2とが配置されている。合成光学系115から射出された加工光EL及び/又は計測光MLは、筐体1161f#2の上部に形成された開口1166f#2から空間1165f#2に入射する。空間1165f#2に入射した加工光EL及び/又は計測光MLは、集光レンズ1163f#2を介してスキャニングミラー1164f#2に入射する。スキャニングミラー1164f#2は、Z軸方向に伝搬してきた加工光EL及び/又は計測光MLを、Z軸に交差する方向に向けて反射する。第2の光学系候補118f#2の入射側の光軸がZ軸に平行であるがゆえに、第2の光学系候補118f#2は、第2の光学系候補118f#2の入射側の光軸に交差する方向に沿って加工光EL及び/又は計測光MLを射出可能な共通光学系116として機能可能である。この際、スキャニングミラー1164f#2は、第2の光学系候補118f#2からの加工光EL及び/又は計測光MLの射出方向をX軸周りに又はY軸周りに沿って変更するように揺動又は回転する。スキャニングミラー1164f#2から射出された加工光EL及び/又は計測光MLは、筐体1161f#2の側面に形成された開口1167f#2を介して第2の光学系候補118f#2の外部に射出される。ここで、アクチュエータ1162f#2による筐体1161f#2のZ軸周りの回転により、第2の光学系候補118f#2からの加工光EL及び/又は計測光MLの射出方向がZ軸周りに変更される。このような第2の光学系候補118f#2は、例えば、ワークWの表面のうちZ軸に沿った表面を加工システムSYSfが加工する場合に加工ヘッド11fに取り付けるべき共通光学系116として選択されてもよい。第2の光学系候補118f#2は、例えば、ワークWに円筒形の窪みを形成するように加工システムSYSfがワークWを加工する場合に加工ヘッド11fに取り付けるべき共通光学系116として選択されてもよい。第2の光学系候補118f#2は、例えば、共通光学系116を取り囲む構造を形成するようにワークWを加工する場合に加工ヘッド11fに取り付けるべき共通光学系116として選択されてもよい。
図23は、第3の光学系候補118f#3が共通光学系116として取り付けられた加工ヘッド11fを示す断面図である。図23に示すように、第3の光学系候補118f#3は、筐体1161f#3と、集光レンズ1162f#3と、ガルバノミラー1163f#3とを備えている。筐体1161f#3は、Z軸方向に沿って延びる空間1164f#3が内部に形成された円筒状の筐体である。筐体1161f#3の空間1164f#3には、集光レンズ1162f#3と、ガルバノミラー1163f#3とが配置されている。合成光学系115から射出された加工光EL及び/又は計測光MLは、筐体1161f#3の上部に形成された開口1165f#3から空間1164f#3に入射する。空間1164f#3に入射した加工光EL及び/又は計測光MLは、集光レンズ1162f#3を介してガルバノミラー1163f#3に入射する。ガルバノミラー1163f#3は、Z軸方向に伝搬してきた加工光EL及び/又は計測光MLを、Z軸に交差する方向に向けて反射する。第3の光学系候補118f#3の入射側の光軸がZ軸に平行であるがゆえに、第3の光学系候補118f#3は、第3の光学系候補118f#3の入射側の光軸に交差する方向に沿って加工光EL及び/又は計測光MLを射出可能な共通光学系116として機能可能である。この際、ガルバノミラー1163f#3は、第2の光学系候補118f#2からの加工光EL及び/又は計測光MLの射出方向をX軸周り及びY軸周りのそれぞれに沿って変更するように揺動又は回転する。具体的には、ガルバノミラー1163f#3は、第2の光学系候補118f#2からの加工光EL及び/又は計測光MLの射出方向をX軸周りに沿って変更するように揺動又は回転するXスキャニングミラー1163fX#3と、第2の光学系候補118f#2からの加工光EL及び/又は計測光MLの射出方向をY軸周りに沿って変更するように揺動又は回転するYスキャニングミラー1163fY#3とを含む。ガルバノミラー1163f#3から射出された加工光EL及び/又は計測光MLは、筐体1161f#3の側面に形成された開口1166f#3を介して第3の光学系候補118f#3の外部に射出される。このような第3の光学系候補118f#3は、例えば、ワークWの表面のうちZ軸に沿った表面を加工システムSYSfが加工する場合に加工ヘッド11fに取り付けるべき共通光学系116として選択されてもよい。第3の光学系候補118f#2は、例えば、ワークWにX軸方向又はY軸方向に沿って延びるスリット(つまり、スリット状の窪みないしは溝)を形成するように加工システムSYSfがワークWを加工する場合に加工ヘッド11fに取り付けるべき共通光学系116として選択されてもよい。
尚、第6実施形態では、共通光学系116を交換可能としたが、fθレンズ1162のみを交換可能としてもよい。例えば、ビームスプリッタ1151と集光レンズ1163f#2との間に共通光学系116の少なくとも一部が配置されていてもよく、ビームスプリッタ1151と集光レンズ1162f#3との間に共通光学系116の少なくとも一部が配置されていてもよい。このとき、共通光学系116は、ガルバノミラー1164f#2及びガルバノミラー1163f#3による走査方向とは異なる方向に走査方向を有する走査ミラーを備えていてもよい。ここで、走査方向は、ワークW上で加工光及び/又は計測光が移動する方向としてもよい。
このような第6実施形態の加工システムSYSfは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。更に、第6実施形態の加工システムSYSfは、加工システムSYSfの加工内容に適した共通光学系116を用いて、ワークWを加工することができる。このため、より多様な加工内容でワークWを加工することができる。
尚、上述した説明では、共通光学系116の全体が交換可能である。しかしながら、共通光学系116の全体が交換可能であることに代えて、共通光学系116の一部が交換可能であってもよい。つまり、共通光学系116を構成する複数の光学部材のうちの一部が交換可能であってもよい。
また、第6実施形態においても、上述した第2実施形態から第5実施形態の少なくとも一つで説明された構成要件が採用されてもよい。第5実施形態で説明された構成要件は、ワークW上での計測光MLの照射位置の独立制御に関する構成要件を含む。
(7)第7実施形態の加工システムSYSg
続いて、図24を参照しながら、第7実施形態の加工システムSYS(以降、第7実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSg”と称する)について説明する。図24は、第7実施形態の加工システムSYSgの全体構造を模式的に示す断面図である。
図24に示すように、第7実施形態の加工システムSYSgは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、位置計測装置6gを更に備えているという点で異なる。加工システムSYSgのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。
位置計測装置6gは、ワークWと加工ヘッド11との相対的な位置関係を計測する。第7実施形態では、位置計測装置6gは、加工ヘッド11に対するワークWの位置を計測する。加工ヘッド11に対するワークWの位置を計測するために、位置計測装置6gは、ワークWを計測してもよい。尚、加工ヘッド11が各光学系を備えているため、ワークWと加工ヘッド11との相対的な位置関係を計測する動作は、実質的には、ワークWと加工ヘッド11が備える各光学系との相対的な位置関係を計測する動作と等価である。つまり、加工ヘッド11に対するワークWの位置を計測する動作は、実質的には、加工ヘッド11が備える各光学系に対するワークWの位置を計測する。
位置計測装置6gは、加工ヘッド11(特に、加工ヘッド11が備える各光学系)に対して固定された位置に配置されてもよい。位置計測装置6gは、加工ヘッド11に対する相対位置が固定された位置に配置されてもよい。位置計測装置6gは、ヘッド駆動系12が加工ヘッド11を移動させたとしても加工ヘッド11と位置計測装置6gとの相対位置が変わらない位置に配置されてもよい。例えば、図24は、位置計測装置6gが、加工ヘッド11の外面(例えば、筐体117の外面)に取り付けられている例を示している。
加工ヘッド11に対して固定された位置に位置計測装置6gが配置される場合には、位置計測装置6gからの出力(つまり、位置計測装置6gの計測結果)は、加工ヘッド11に対するワークWの位置に関する情報を含むことになる。具体的には、位置計測装置6gの計測結果は、位置計測装置6gに対するワークWの位置に関する情報を含む。つまり、位置計測装置6gの計測結果は、位置計測装置6gの計測座標系におけるワークWの位置に関する情報を含む。ここで、加工ヘッド11に対して固定された位置に位置計測装置6gが配置されている場合には、位置計測装置6gに対するワークWの位置に関する情報は、実質的には、位置計測装置6gに対して固定された位置に配置されている加工ヘッド11に対するワークWの位置に関する情報を含むことになる。従って、制御装置5は、加工ヘッド11に対するワークWの位置を適切に特定することができる。
位置計測装置6gは、ワークWを計測可能である限りは、どのような種類の計測装置であってもよい。例えば、位置計測装置6gは、ワークW等の物体の表面を撮像可能な撮像装置(つまり、カメラ)を含んでいてもよい。位置計測装置6gは、ワークW上で所定のパターンを描く計測光をワークWに照射する照射装置と、計測光によってワークWに描かれたパターンを撮像する撮像装置とを含んでいてもよい。このように、位置計測装置6gは、非接触方式(一例として、光検出方式、音波検出方式及び電波検出方式等の少なくとも一つ)でワークWを計測する計測装置であってもよい。
位置計測装置6gの計測結果(つまり、加工ヘッド11に対するワークWの位置に関する情報)は、加工システムSYSaを制御するために用いられてもよい。具体的には、位置計測装置6gの計測結果は、加工装置1を制御するために用いられてもよい。位置計測装置6gの計測結果は、加工ヘッド11を制御するために用いられてもよい。位置計測装置6gの計測結果は、ヘッド駆動系12を制御するために用いられてもよい。位置計測装置6gの計測結果は、ステージ装置3を制御するために用いられてもよい。位置計測装置6gの計測結果は、ステージ駆動系33を制御するために用いられてもよい。
例えば、制御装置5は、位置計測装置6gの計測結果に基づいて、ワークWと加工ヘッド11との相対的な位置関係が所望の位置関係となるように、ワークWと加工ヘッド11との相対的な位置関係を変更してもよい。つまり、制御装置5は、位置計測装置6gの計測結果に基づいて、ワークWと加工ヘッド11との相対的な位置関係が所望の位置関係となるように、ワークWと加工ヘッド11との相対的な位置関係を変更可能な装置を制御してもよい。ワークWと加工ヘッド11との相対的な位置関係を変更可能な装置の一例については、既に上述したとおりである。また、「所望の位置関係」についても、既に上述したとおりである。
例えば、制御装置5は、位置計測装置6gの計測結果に基づいて、ワークWと加工ヘッド11が備える各光学系(例えば、加工光学系112、計測光学系114、合成光学系115及び共通光学系116の少なくとも一つ)との相対的な位置関係が所望の関係となるように、ワークWと加工ヘッド11が備える各光学系との相対的な位置関係を変更してもよい。つまり、制御装置5は、位置計測装置6gの計測結果に基づいて、ワークWと加工ヘッド11が備える各光学系との相対的な位置関係が所望の関係となるように、ワークWと加工ヘッド11が備える各光学系との相対的な位置関係を変更可能な装置を制御してもよい。ワークWと加工ヘッド11が備える各光学系との相対的な位置関係を変更可能な装置の一例については、既に上述したとおりである。
例えば、制御装置5は、位置計測装置6gの計測結果に基づいて、ワークW上の所望位置に被照射領域EAが設定される(つまり、加工光ELが照射される)ように、ワークWに対する被照射領域EAの相対位置を変更してもよい。つまり、制御装置5は、位置計測装置6gの計測結果に基づいて、ワークW上の所望位置に被照射領域EAが設定されるように、ワークWに対する被照射領域EAの相対位置を変更可能な装置を制御してもよい。ワークWに対する被照射領域EAの相対位置を変更可能な装置の一例については、既に上述したとおりである。
例えば、制御装置5は、位置計測装置6gの計測結果に基づいて、ワークW上の所望位置に被照射領域MAが設定される(つまり、計測光ML#2-2が照射される)ように、ワークWに対する被照射領域MAの相対位置を変更してもよい。つまり、制御装置5は、位置計測装置6gの計測結果に基づいて、ワークW上の所望位置に被照射領域MAが設定されるように、ワークWに対する被照射領域MAの相対位置を変更可能な装置を制御してもよい。ワークWに対する被照射領域MAの相対位置を変更可能な装置の一例については、既に上述したとおりである。
例えば、制御装置5は、検出器1143及び1146の検出結果から算出されるワークWの状態に基づいて第1の動作を行い、位置計測装置6gの計測結果に基づいて第2の動作を行ってもよい。例えば、制御装置5は、検出器1143及び1146の検出結果から算出されるワークWの状態に基づいてヘッド駆動系12の第1駆動系121を制御し、位置計測装置6gの計測結果に基づいてヘッド駆動系12の第2駆動系122を制御してもよい。より具体的には、制御装置5は、検出器1143及び1146の検出結果から算出されるワークWの状態に基づいて第1駆動系121を制御することで、ワークWに対して被照射領域EA及び/又は被照射領域MAを相対的に大まかに位置合わせしてもよい。その上で、制御装置5は、位置計測装置6gの計測結果に基づいて第2駆動系122を制御することで、ワークWに対して被照射領域EA及び/又は被照射領域MAをより高精度に位置合わせしてもよい。制御装置5は、位置計測装置6gの計測結果に基づいて第2駆動系122を制御することで、第1駆動系121の振動が第2駆動系122を介して加工ヘッド11に伝達されないように、第1駆動系121の振動を相殺してもよい。
尚、第7実施形態において、位置計測装置6gは、加工ヘッド11の外面に取り付けられているが、位置計測装置6gの一部が加工ヘッド11の内部(筐体117の内部)に取り付けられていてもよく、位置計測装置6g全体が加工ヘッド11の内部(筐体117の内部)に取り付けられていてもよい。
このような第7実施形態の加工システムSYSgは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。更に、第7実施形態の加工システムSYSgは、検出器1143及び1146の検出結果に加えて、位置計測装置6gの検出結果を用いてワークWを加工することができる。このため、加工システムSYSgは、より適切にワークWを加工することができる。例えば、加工システムSYSgは、より高精度にワークWを加工することができる。
尚、第7実施形態においても、上述した第2実施形態から第6実施形態の少なくとも一つで説明された構成要件が採用されてもよい。第6実施形態で説明された構成要件は、共通光学系116の交換に関する構成要件を含む。
(8)第8実施形態の加工システムSYSh
続いて、第8実施形態の加工システムSYS(以降、第8実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSh”と称する)について説明する。第8実施形態の加工システムSYShは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、加工装置1に代えて、加工装置1hを備えているという点で異なる。加工システムSYShのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。加工装置1hは、加工装置1と比較して、加工ヘッド11に代えて、加工ヘッド11hを備えているという点で異なる。加工装置1hのその他の特徴は、加工装置1のその他の特徴と同一であってもよい。従って、以下では、図25を参照しながら、第8実施形態の加工ヘッド11hについて説明する。図25は、第8実施形態の加工ヘッド11hの構造の一例を示す断面図である。
図25に示すように、加工ヘッド11hは、加工ヘッド11と比較して、合成光学系115を備えていなくてもよいという点で異なる。更に、加工ヘッド11hは、加工ヘッド11と比較して、共通光学系116に代えて、加工照射光学系118hと、計測照射光学系119hとを備えているという点で異なる。加工ヘッド11hのその他の特徴は、加工ヘッド11のその他の特徴と同一であってもよい。
加工照射光学系118hには、加工光学系112から射出された加工光ELが入射する。加工照射光学系118hは、加工照射光学系118hに入射した加工光ELをワークWに照射する。一方で、加工照射光学系118hには、計測光学系114から射出された計測光ML#2-2が入射することはない。加工照射光学系118hは、計測光学系114から射出された計測光ML#2-2をワークWに照射することはない。
加工光ELをワークWに照射するために、加工照射光学系118hは、ガルバノミラー1181hと、fθレンズ1182hとを備える。
ガルバノミラー1181hには、加工光学系112から射出された加工光ELが入射する。ガルバノミラー1181hは、加工光ELを偏向することで、ワークW上での加工光ELの照射位置を変更する。例えば、ガルバノミラー1181hは、X走査ミラー1181hXと、Y走査ミラー1181hYとを含む。X走査ミラー1181hX及びY走査ミラー1181hYのそれぞれは、ガルバノミラー1181hに入射する加工光ELの光路に対する角度が変更される傾斜角可変ミラーである。X走査ミラー1181hXは、ワークW上での加工光ELのX軸方向に沿った照射位置を変更するように揺動又は回転する(つまり、加工光ELの光路に対するX走査ミラー1181hXの角度を変更する)ことで加工光ELを偏向する。Y走査ミラー1181hYは、ワークW上での加工光ELのY軸方向に沿った照射位置を変更するように揺動又は回転する(つまり、加工光ELの光路に対するY走査ミラー1181hYの角度を変更する)ことで加工光ELを偏向する。このようなガルバノミラー1181hの特性を考慮すれば、ガルバノミラー1181hは、共通光学系116のガルバノミラー1161と比較して、ワークW上での加工光ELの照射位置を変更する一方で、ワークW上での計測光MLの照射位置を変更しないという点で異なる。ガルバノミラー1181hは、ガルバノミラー1161と比較して、加工光ELが通過する一方で計測光MLが通過しないという点で異なる。ガルバノミラー1181hのその他の特徴は、ガルバノミラー1161のその他の特徴と同一であってもよい。
fθレンズ1182hには、ガルバノミラー1181hからの加工光ELが入射する。fθレンズ1182hは、ガルバノミラー1181hからの加工光ELをワークWに照射するための光学系である。特に、fθレンズ1182hは、ガルバノミラー1181hからの加工光ELをワークW上に集光するための光学系である。このようなfθレンズ1182hの特性を考慮すれば、fθレンズ1182hは、共通光学系116のfθレンズ1162と比較して、ワークWに加工光ELを照射する一方で、ワークW上に計測光MLの照射位置を変更しないという点で異なる。fθレンズ1182hは、fθレンズ1162と比較して、加工光ELが通過する一方で計測光MLが通過しないという点で異なる。fθレンズ1182hのその他の特徴は、fθレンズ1162のその他の特徴と同一であってもよい。
計測照射光学系119hには、計測光学系114から射出された計測光ML#2-2が入射する。計測照射光学系119hは、計測照射光学系119hに入射した計測光ML#2-2をワークWに照射する。一方で、計測照射光学系119hには、加工光学系112から射出された加工光ELが入射することはない。計測照射光学系119hは、加工光学系112から射出された加工光ELをワークWに照射することはない。
計測光ML#2-2をワークWに照射するために、計測照射光学系119hは、ガルバノミラー1191hと、fθレンズ1192hとを備える。
ガルバノミラー1191hには、計測光学系114から射出された計測光ML#2-2が入射する。ガルバノミラー1191hは、計測光ML#2-2を偏向することで、ワークW上での計測光ML#2-2の照射位置を変更する。例えば、ガルバノミラー1191hは、X走査ミラー1191hXと、Y走査ミラー1191hYとを含む。X走査ミラー1191hX及びY走査ミラー1191hYのそれぞれは、ガルバノミラー1191hに入射する計測光ML#2-2の光路に対する角度が変更される傾斜角可変ミラーである。X走査ミラー1191hXは、ワークW上での計測光ML#2-2のX軸方向に沿った照射位置を変更するように揺動又は回転する(つまり、計測光ML#2-2の光路に対するX走査ミラー1191hXの角度を変更する)ことで計測光ML#2-2を偏向する。Y走査ミラー1191hYは、ワークW上での計測光ML#2-2のY軸方向に沿った照射位置を変更するように揺動又は回転する(つまり、計測光ML#2-2の光路に対するY走査ミラー1191hYの角度を変更する)ことで計測光ML#2-2を偏向する。このようなガルバノミラー1191hの特性を考慮すれば、ガルバノミラー1191hは、共通光学系116のガルバノミラー1161と比較して、ワークW上での計測光ML#2-2の照射位置を変更する一方で、ワークW上での加工光ELの照射位置を変更しないという点で異なる。ガルバノミラー1191hは、ガルバノミラー1161と比較して、計測光MLが通過する一方で加工光ELが通過しないという点で異なる。ガルバノミラー1191hのその他の特徴は、ガルバノミラー1161のその他の特徴と同一であってもよい。
fθレンズ1192hには、ガルバノミラー1191hからの計測光ML#2-2が入射する。fθレンズ1192hは、ガルバノミラー1191hからの計測光ML#2-2をワークWに照射するための光学系である。特に、fθレンズ1192hは、ガルバノミラー1191hからの計測光ML#2-2をワークW上に集光するための光学系である。このようなfθレンズ1192hの特性を考慮すれば、fθレンズ1192hは、共通光学系116のfθレンズ1162と比較して、ワークWに計測光ML#2-2を照射する一方で、ワークW上に計測光MLの照射位置を変更しないという点で異なる。fθレンズ1192hは、fθレンズ1162と比較して、計測光MLが通過する一方で加工光ELが通過しないという点で異なる。fθレンズ1192hのその他の特徴は、fθレンズ1162のその他の特徴と同一であってもよい。
第8実施形態では、加工光ELをワークWに照射するfθレンズ1182hの光軸と計測光MLをワークWに照射するfθレンズ1192hの光軸とが互いにほぼ平行であった。しかしながら、fθレンズ1182hの光軸とfθレンズ1192hの光軸とは互いに平行でなくてもよい。例えば、ワークWの表面が位置する面又はその近傍においてfθレンズ1182hの光軸とfθレンズ1192hの光軸とが互いに交差するようにしてもよく、fθレンズ1182の視野とfθレンズ1192hの視野との少なくとも一部同士が重複するようにfθレンズ1182の光軸とfθレンズ1192hの光軸とを設定してもよい。これらの場合、fθレンズ1182hの光軸がfθレンズ1192h側に傾くと言ってもよく、fθレンズ1192hの光軸がfθレンズ1182h側に傾くと言ってもよい。また、fθレンズ1182hの光軸とfθレンズ1192hの光軸とは、fθレンズ1182h、1192hが並ぶ面と交差する方向から両光軸をみたとき、両光軸が鋭角をなすように設定されていてもよい。
このように、第8実施形態では、加工ヘッド11内において、加工光ELに関する光学系(具体的には、加工光学系112及び加工照射光学系118h)と計測光MLに関する光学系(具体的には、計測光学系114及び計測照射光学系119h)とが光学的に分離されている。つまり、加工ヘッド11hは、加工光EL及び計測光MLの双方が通過する光学素子又は光学部材を備えていなくてもよい。このような第8実施形態の加工システムSYShもまた、第1実施形態の加工システムSYSaと同様に、加工光ELを用いてワークWを適切に加工し、且つ、計測光MLを用いてワークWを適切に計測することができる。
尚、第8実施形態において、ガルバノミラー1181hからの加工光ELとガルバノミラー1191hからの計測光MLとを1つのfθレンズに入射させる構成であってもよい。
尚、第8実施形態においても、上述した第2実施形態から第7実施形態の少なくとも一つで説明された構成要件が採用されてもよい。第7実施形態で説明された構成要件は、位置計測装置6gに関する構成要件を含む。また、第8実施形態では、加工ヘッド11hが共通光学系116に代えて加工照射光学系118h及び計測光学系119hを備えているため、共通光学系116に採用可能な構成要件が、加工照射光学系118h及び計測光学系119hの少なくとも一方に採用されてもよい。例えば、加工照射光学系118h及び計測光学系119hの少なくとも一方は、第6実施形態の共通光学系116と同様に交換可能であってもよい。
(9)第9実施形態の加工システムSYSi
続いて、図26から図27を参照しながら、第9実施形態の加工システムSYS(以降、第9実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSi”と称する)について説明する。図26は、第9実施形態の加工システムSYSiの全体構造を模式的に示す断面図である。図27は、第9実施形態の加工システムSYSiのシステム構成を示すシステム構成図である。
図26及び図27に示すように、第9実施形態の加工システムSYSiは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、加工装置1に代えて加工装置1iを備えているという点で異なる。更に、第9実施形態の加工システムSYSiは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、計測装置2iを更に備えているという点で異なる。加工システムSYSiのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。
加工装置1iは、加工装置1と比較して、加工ヘッド11に代えて加工ヘッド11iを備えているという点で異なる。加工装置1iのその他の特徴は、加工装置1のその他の特徴と同一であってもよい。加工ヘッド11iは、ワークWに対して加工光ELを射出する一方で計測光MLを射出しないという点で、ワークWに対して加工光EL及び計測光MLのそれぞれを射出する上述した加工ヘッド11とは異なる。このような加工ヘッド11iの構造の一例が図28に示されている。図27及び図28に示すように、加工ヘッド11iは、加工光源111と、加工光学系112と、加工照射光学系118hとを備えている。加工光源111と、加工光学系112と、加工照射光学系118hとは、加工ヘッド11iの筐体117内に収容されていてもよい。加工ヘッド11iは、図25に示す第8実施形態の加工ヘッド11hが備える複数の光学部材のうち加工光ELの射出に寄与する光学部材を選択的に備えている光学部材であると言える。このため、加工ヘッド11iの詳細な説明は省略する。
計測装置2iは、ワークWに対して計測光MLを射出する計測ヘッド21iと、計測ヘッド21iを移動させるヘッド駆動系22iとを備える。計測ヘッド21iは、ワークWに対して計測光MLを射出することが可能な任意の部材を意味する。このため、計測ヘッド21iは、ヘッドという文言を含んでいるものの、必ずしも何かの部材の先端に取り付けられる部材を意味していなくてもよい。このため、計測ヘッド21iは、計測部材と称されてもよい。
計測ヘッド21iは、ワークWに対して計測光MLを射出する一方で加工光ELを射出しないという点で、ワークWに対して加工光EL及び計測光MLのそれぞれを射出する上述した加工ヘッド11とは異なる。このような計測ヘッド21iの構造の一例が図29に示されている。図27及び図29に示すように、計測ヘッド21iは、計測光源113と、計測光学系114と、計測照射光学系119hとを備えている。計測光源113と、計測光学系114と、計測照射光学系119hとは、計測ヘッド21iの筐体217i内に収容されていてもよい。計測ヘッド21iは、図25に示す第8実施形態の加工ヘッド11hが備える複数の光学部材のうち計測光MLの射出に寄与する光学部材を選択的に備えている光学部材であると言える。このため、計測ヘッド21iの詳細な説明は省略する。
ヘッド駆動系22iは、上述したヘッド駆動系12と同一の構造を有していてもよい。つまり、ヘッド駆動系22iは、第1駆動系121と第2駆動系122とを備えていてもよい。ヘッド駆動系22iと計測ヘッド21iとは、ヘッド駆動系12と加工ヘッド11とが接続される接続態様と同様の接続態様で接続されていてもよい。このため、ヘッド駆動系22iの詳細な説明は省略する。
第9実施形態では、加工ヘッド11iが移動すると、ワークW上での加工光ELの照射位置が変わる一方で、ワークW上での計測光MLの照射位置が変わらない。従って、第9実施形態において加工ヘッド11iを移動させることは、ワークW上での加工光ELの照射位置(或いは、被照射領域EAの位置)を変更することと等価である。一方で、計測ヘッド21iが移動すると、ワークW上での計測光MLの照射位置が変わる一方で、ワークW上での加工光ELの照射位置が変わらない。従って、第9実施形態において計測ヘッド21iを移動させることは、ワークW上での計測光MLの照射位置(或いは、被照射領域MAの位置)を変更することと等価である。このように、第9実施形態では、加工システムSYSiは、ワークW上での加工光ELの照射位置と、ワークW上での計測光ML#2-2の照射位置とを独立して変更することができる。
第9実施形態では、ステージ32は、加工装置1iがワークWに対して加工光ELを射出するべき加工期間の少なくとも一部において、加工光ELが照射される被照射領域EAがワークW上に設定されるように、移動してもよい。ステージ32は、加工期間の少なくとも一部において、加工装置1iが加工光ELを照射可能な位置にワークWが位置するように、移動してもよい。一方で、ステージ32は、計測装置2iがワークWに対して計測光MLを射出するべき計測期間の少なくとも一部において、計測光MLが照射される被照射領域MAがワークW上に設定されるように、移動してもよい。ステージ32は、計測期間の少なくとも一部において、計測装置2iが計測光MLを照射可能な位置にワークWが位置するように、移動してもよい。つまり、ステージ32は、加工装置1iが加工光ELを照射可能な位置と計測装置2iが計測光MLを照射可能な位置との間で移動してもよい。
このように、第9実施形態では、第8実施形態と同様に、加工光ELに関する光学系(具体的には、加工光学系112及び加工照射光学系118h)と計測光MLに関する光学系(具体的には、計測光学系114及び計測照射光学系119h)とが光学的に分離されている。更には、第9実施形態では、ワークWに対して加工光ELを射出する装置(つまり、加工装置1i)と、ワークWに対して計測光MLを射出する装置(つまり、計測装置2i)とが別々の装置となっている。このような第9実施形態の加工システムSYSiもまた、第1実施形態の加工システムSYSaと同様に、加工光ELを用いてワークWを適切に加工し、且つ、計測光MLを用いてワークWを適切に計測することができる。
尚、第9実施形態においても、上述した第2実施形態から第8実施形態の少なくとも一つで説明された構成要件が採用されてもよい。第8実施形態で説明された構成要件は、加工光ELに関する光学系と計測光MLに関する光学系との光学的な分離に関する構成要件を含む。また、第9実施形態では、加工システムSYSiが共通光学系116に代えて加工照射光学系118h及び計測光学系119hを備えているため、共通光学系116に採用可能な構成要件が、加工照射光学系118h及び計測光学系119hの少なくとも一方に採用されてもよい。例えば、加工照射光学系118h及び計測光学系119hの少なくとも一方は、第6実施形態の共通光学系116と同様に交換可能であってもよい。
(10)第10実施形態の加工システムSYSj
続いて、図30を参照しながら、第10実施形態の加工システムSYS(以降、第10実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSj”と称する)について説明する。図30は、第10実施形態の加工システムSYSjの全体構造を模式的に示す断面図である。
図30に示すように、第10実施形態の加工システムSYSjは、上述した第9実施形態の加工システムSYSiと比較して、ワークWに対して計測光MLが斜入射するように計測装置2iがワークWに対して計測光MLを射出するという点で異なる。加工システムSYSjのその他の特徴は、加工システムSYSiのその他の特徴と同一であってもよい。このような第10実施形態の加工システムSYSjもまた、第9実施形態の加工システムSYSiが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。更に、第10実施形態の加工システムSYSjは、ワークW上の同じ位置に向けて加工光ELと計測光MLとを射出することができる。つまり、加工システムSYSjは、加工装置1iと計測装置2iとが別々の装置となる場合であっても、加工光ELの光路と計測光MLの光路とが少なくとも部分的に重複するように、加工光ELと計測光MLとを射出することができる。その結果、ステージ32は、必ずしも、加工装置1iが加工光ELを照射可能な位置と計測装置2iが計測光MLを照射可能な位置との間で移動しなくてもよくなる。
尚、第10実施形態においても、上述した第2実施形態から第9実施形態の少なくとも一つで説明された構成要件が採用されてもよい。第9実施形態で説明された構成要件は、ワークWに対して加工光ELを射出する装置とワークWに対して計測光MLを射出する装置とが別々の装置になるという構成要件を含む。
(11)第11実施形態の加工システムSYSk
続いて、図31を参照しながら、第11実施形態の加工システムSYS(以降、第11実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSk”と称する)について説明する。図31は、第11実施形態の加工システムSYSkの全体構造を模式的に示す断面図である。
図31に示すように、第11実施形態の加工システムSYSkは、上述した第10実施形態の加工システムSYSjと比較して、計測装置2iに代えて複数の計測装置2を備えているという点で異なる。図31に示す例では、加工システムSYSkは、2つの計測y装置2k(具体的には、計測装置2k#1と計測装置2k#2)を備えている。加工システムSYSkのその他の特徴は、加工システムSYSjのその他の特徴と同一であってもよい。
計測装置2k#1は、計測装置2iが備える光学部材のうちの一部を少なくとも備える装置である。計測装置2k#2は、計測装置2iが備える光学部材のうちの残りの一部(つまり、計測装置2k#1が備えていない光学部材)を少なくとも備える装置である。つまり、第11実施形態の加工システムSYSkは、計測装置2iが更に複数の計測装置2kに分割されているという点で、上述した第10実施形態の加工システムSYSjとは異なると言える。尚、計測装置2k#1及び2k#2は、同じ光学部材を備えていてもよい。つまり、計測装置2k#1及び2k#2は、同じ機能を有する又は同じ働きをする光学部材を備えていてもよい。
図31に示す例では、計測装置2k#1は、計測光源113と、計測光学系114のうちの一部に相当する計測光学系114#1と、計測照射光学系119hとを少なくとも備える。一方で、計測装置2k#2は、計測光学系114のうちの残りの一部に相当する(つまり、計測光学系114が備える複数の光学部材のうち計測光学系114#1が備えていない光学部材を少なくとも含む)計測光学系114#2を少なくとも備えている。特に、計測光学系114#2は、少なくとも検出器1146を備えている。このため、図31に示す例では、計測光学系114#1からワークWに対して計測光ML(具体的には、計測光ML#2-2)が射出され、ワークWからの計測光ML(具体的には、計測光#2-3)が計測光学系114#2に入射する。
このような第11実施形態の加工システムSYSkは、第10実施形態の加工システムSYSjが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。
尚、第11実施形態においても、上述した第2実施形態から第10実施形態の少なくとも一つで説明された構成要件が採用されてもよい。第10実施形態で説明された構成要件は、ワークWに対して計測光MLが斜入射するという構成要件を含む。
(12)第12実施形態の加工システムSYSl
続いて、図32を参照しながら、第12実施形態の加工システムSYS(以降、第12実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSl”と称する)について説明する。図32は、第12実施形態の加工システムSYSlの全体構造を模式的に示す断面図である。
図32に示すように、第12実施形態の加工システムSYSlは、上述した第10実施形態の加工システムSYSjと比較して、計測装置2iが計測可能な指標13lが加工装置1iに取り付けられているという点で異なる。例えば、指標13lは、加工装置1iの筐体117(例えば、筐体117の外面)に取り付けられていてもよい。加工システムSYSlのその他の特徴は、加工システムSYSjのその他の特徴と同一であってもよい。
計測装置2iは、ワークWに対して計測光MLを射出することに加えて、指標13lに対して計測光ML(具体的には、計測光ML#2-2)を射出する。例えば、計測装置2iは、ガルバノミラー1191hで計測光MLを偏向することで、指標13lに対して計測光MLを射出してもよい。例えば、計測装置2iは、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つにおける計測装置2iの位置がヘッド駆動系22iによって変更されることで、指標13lに対して計測光MLを射出してもよい。
計測装置2iは、加工装置1iがワークWの加工を開始する前に(例えば、ステージ32にワークWが載置されたタイミングで)、指標13lに対して計測光MLを射出してもよい。計測装置2iは、加工装置1iがワークWに加工光ELを照射する前に、指標13lに対して計測光MLを射出してもよい。計測装置2iは、加工装置1iがワークWに加工光ELを照射している期間の少なくとも一部において、指標13lに対して計測光MLを射出してもよい。計測装置2iは、加工装置1iがワークWに加工光ELを照射した後に、指標13lに対して計測光MLを射出してもよい。計測装置2iは、加工装置1iがワークWの加工を完了した後に、指標13lに対して計測光MLを射出してもよい。
指標13lに計測光ML(具体的には、計測光ML#2-2)が照射されると、計測光ML#2-2の照射に起因した光(例えば、上述した反射光、散乱光、回折光、及び透過光の少なくとも一つが指標13lから発生する。このため、第12実施形態では、検出器1146には、計測光ML#2-2の照射に起因して指標13lから射出される光の少なくとも一部を含む計測光ML#2-3が入射する。このため、制御装置5は、検出器1143及び1146の検出結果に基づいて、指標13lの状態(具体的には、計測ヘッド21iに対する指標13lの位置)を算出することができる。更に、指標13lが加工ヘッド11iに取り付けられているがゆえに、制御装置5は、算出した指標13lの位置に基づいて、計測ヘッド21iに対する加工ヘッド11iの位置を算出することができる。つまり、制御装置5は、計測ヘッド21iの基準点と加工ヘッド11iの基準点との相対的な位置関係(典型的には、計測ヘッド21iの基準点と加工ヘッド11iの基準点との間の距離)を算出することができる。
制御装置5は、算出した計測ヘッド21iの基準点と加工ヘッド11iの基準点との相対的な位置関係に関する情報(以降、“ベースライン量”と称する)に基づいて、加工ヘッド11i及び/又は計測ヘッド21iの位置を制御してもよい。制御装置5は、ベースライン量に基づいて、ステージ32の位置を制御してもよい。制御装置5は、ベースライン量に基づいて、加工光ELの照射位置及び/又は計測光MLの照射位置を制御してもよい。例えば、制御装置5は、ベースライン量に基づいて、ワークWの所望位置に加工光ELが照射されるように、加工ヘッド11iの位置、計測ヘッド21iの位置、ステージ32の位置、加工光ELの照射位置及び/又は計測光MLの照射位置を制御してもよい。例えば、制御装置5は、ベースライン量に基づいて、ワークWの所望位置に計測光MLが照射されるように、加工ヘッド11iの位置、計測ヘッド21iの位置、ステージ32の位置、加工光ELの照射位置及び/又は計測光MLの照射位置を制御してもよい。
このような第12実施形態の加工システムSYSlは、第10実施形態の加工システムSYSjが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。更に、加工システムSYSlは、ベースライン量に基づいてワークWを加工することができる。このため、仮に加工装置1iと計測装置2iとの位置関係が理想的な位置関係(典型的には、設計上の言位置関係)からずれてしまった場合であっても、加工システムSYSlは、当該位置関係のずれが反映されたベースライン量に基づいてワークWを加工することができる。このため、加工システムSYSlは、ワークWをより適切に加工することができる。
尚、第12実施形態においても、上述した第2実施形態から第11実施形態の少なくとも一つで説明された構成要件が採用されてもよい。第11実施形態で説明された構成要件は、計測ヘッド21iの分割に関する構成要件を含む。
(13)その他の変形例
上述した説明では、加工システムSYSは、ワークWの表面にリブレット構造を形成している。しかしながら、加工システムSYSは、ワークWの表面上に、任意の形状を有する任意の構造を形成してもよい。この場合であっても、形成するべき構造に応じた走査軌跡に沿ってワークWの表面を加工光ELが走査するように制御装置5が加工ヘッド11等を制御すれば、任意の形状を有する任意の構造が形成可能である。任意の構造の一例としては、規則的又は不規則的に形成されたマイクロ・ナノメートルオーダの微細テクスチャ構造(典型的には凹凸構造)があげられる。このような微細テクスチャ構造は、流体(気体及び/又は液体)による抵抗を低減させる機能を有するサメ肌構造及びディンプル構造の少なくとも一方を含んでいてもよい。微細なテクスチャ構造は、撥液機能及びセルフクリーニング機能の少なくとも一方を有する(例えば、ロータス効果を有する)ハスの葉表面構造を含んでいてもよい。微細なテクスチャ構造は、液体輸送機能を有する微細突起構造(米国特許公開第2017/0044002号公報参照)、親液性機能を有する凹凸構造、防汚機能を有する凹凸構造、反射率低減機能及び撥液機能の少なくとも一方を有するモスアイ構造、特定波長の光のみを干渉で強めて構造色を呈する凹凸構造、ファンデルワールス力を利用した接着機能を有するピラーアレイ構造、空力騒音低減機能を有する凹凸構造、及び、液滴捕集機能を有するハニカム構造等の少なくとも一つを含んでいてもよい。
上述した説明では、加工システムSYSは、ワークWの表面の流体に対する抵抗を低減させるためのリブレット構造をワークWに形成している。しかしながら、加工システムSYSは、表面の流体に対する抵抗を低減させるためのリブレット構造とは異なるその他の構造をワークWに形成してもよい。例えば、加工システムSYSは、流体とワークWの表面とが相対的に移動するときに発生する騒音を低減するためのリブレット構造をワークWに形成してもよい。例えば、加工システムSYSは、ワークWの表面上の流体の流れに対して渦を発生する構造をワークWに形成してもよい。例えば、加工システムSYSは、ワークWの表面に疎水性を与えるための構造をワークWに形成してもよい。
上述した説明では、加工光ELで物体を加工する加工システムSYSについて説明されている。つまり、上述した説明では、第2駆動系122が加工ヘッド11と第1駆動系121とを接続する例について説明されている。しかしながら、加工システムSYSにおける加工ヘッド11に加えて又は代えて、物体に対して作用するエンドエフェクタを用いてもよい。例えば、エンドエフェクタを備える加工装置1mの構造の一例を示す図33に示すように、第2駆動系122は、エンドエフェクタ13mと第1駆動系121とを接続してもよい。図33に示す例では、エンドエフェクタ13mが加工ヘッド11に取り付けられており、第2駆動系122は、加工ヘッド11を介してエンドエフェクタ13mと第1駆動系121とを接続している。但し、エンドエフェクタ13mが加工ヘッド11を介することなく第2駆動系122に取り付けられていてもよい。このようなエンドエフェクタを備える加工システムSYSは、ロボットシステムと称されてもよい。尚、図33は、第1実施形態の加工装置1がエンドエフェクタ13mを備える例を示しているが、第2実施形態の加工装置1から第12実施形態の加工装置1iの少なくとも一つがエンドエフェクタ13mを備えていてもよい。
尚、エンドエフェクタは、作業対象(例えば、物体)に直接働きかける機能を持つ部分であってもよい。また、エンドエフェクタは、作業対象(例えば、物体)のプロパティを得る部分であってもよい。ここで、物体(例えば、作業対象)のプロパティは、物体の形状、物体の位置、物体の特徴点の位置、物体の姿勢、物体の表面性状(例えば、反射率、分光反射率、表面粗さ及び色等の少なくとも一つ)、及び、物体の硬さ等の少なくとも一つを含んでいてもよい。尚、上述の説明における加工ヘッド11、計測ヘッド21i及び位置計測装置6gは、エンドエフェクタの一種であるとみなすことができる。
上述した説明では、加工光源と計測光源とを別の光源としたが、これらを1つの光源としてもよい。
上述した説明では、照射位置変更光学系としてガルバノミラーを用いたが、ポリゴンミラーやMEMSミラーを用いてもよい。
上述した説明では、加工光EL及び/又は計測光MLをワークWに照射する照射光学系として、射影特性がfθであるfθレンズを用いたが、他の射影特性を有する光学系を用いてもよい。また、照射光学系は、上述した説明のように、全屈折型の光学系(ディオプトリック光学系)には限定されず、反射屈折型の光学系(カタディオプトリック光学系)であっても全反射型の光学系(カタプトリック光学系)であってもよい。
上述した説明では、加工ヘッド11をヘッド駆動系12で移動可能にしていた。ここで、ヘッド駆動系12は、ロボットには限定されず、例えばワークWから離れた位置を飛行可能な飛行体であってもよい。飛行体の一例として、航空機、ドローン、ヘリコプター、気球及び飛行船の少なくとも一つがあげられる。
(9)付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
加工光源からの加工光を物体に照射することで前記物体を加工する加工部材であって、
パルス光を含む計測光を射出する計測光学系と、
前記計測光学系からの前記計測光を前記物体に照射する照射光学系と
を備え、
前記加工光の光路と前記計測光の光路とは、少なくとも一部が重畳する
加工部材。
[付記2]
前記照射光学系と前記物体との間における前記計測光の光路の少なくとも一部に前記加工光の前記光路が重なる
付記1に記載の加工部材。
[付記3]
前記物体上での前記計測光の照射位置を変更する照射位置変更光学系を備える
付記1又は2に記載の加工部材。
[付記4]
前記計測光の光路は、前記照射位置変更光学系によって前記計測光が通過し得る領域である
付記3に記載の加工部材。
[付記5]
前記照射光学系は、照射位置変更光学系からの前記計測光を集光する
付記3又は4に記載の加工部材。
[付記6]
前記照射位置変更光学系は、前記計測光の射出角度を変更する
付記3から5のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記7]
前記照射位置変更光学系によって前記計測光の射出角度が変更されたとき前記物体上での前記照射位置が変更される
付記6に記載の加工部材。
[付記8]
前記照射光学系は、前記計測光及び前記加工光のそれぞれを前記物体に向けて射出する
付記1から7のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記9]
前記物体上での前記加工光の照射位置と前記物体上での前記計測光の照射位置とを変更する照射位置変更光学系を備える
付記8に記載の加工部材。
[付記10]
前記加工光の光路は、前記照射位置変更光学系によって前記加工光が通過し得る領域であり、
前記計測光の光路は、前記照射位置変更光学系によって前記計測光が通過し得る領域である
付記9に記載の加工部材。
[付記11]
前記照射位置変更光学系は、前記物体上での前記加工光の前記照射位置と前記物体上での前記計測光の前記照射位置とを連動して変更する
付記9又は10に記載の加工部材。
[付記12]
前記照射光学系は、照射位置変更光学系からの前記加工光及び前記計測光を集光する
付記8から11のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記13]
前記照射位置変更光学系は、前記加工光の射出角度と前記計測光の射出角度とを変更する
付記8から12のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記14]
前記照射位置変更光学系は、入射する前記加工光の光路及び入射する前記計測光の光路に対する角度が変更される傾斜角可変ミラーを含む
付記8から13のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記15]
前記照射光学系内において、前記加工光の経路と前記計測光の経路とが少なくとも部分的に重複する
付記1から14のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記16]
前記照射光学系内において、前記加工光の経路と前記計測光の経路とが、前記照射光学系の光軸に交差する方向に沿って少なくとも部分的に離れている
付記1から15のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記17]
前記加工光源から入射した前記加工光を前記照射光学系に射出する加工光学系を更に備える
付記1から16のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記18]
前記加工光学系からの前記加工光と、前記計測光学系からの前記計測光とを合成して前記照射光学系に射出する合成光学系を備える
付記17に記載の加工部材。
[付記19]
前記合成光学系は、前記合成光学系に対して異なる方向からそれぞれ入射する前記計測光と前記加工光とを、同じ方向に射出する
付記18に記載の加工部材。
[付記20]
前記加工光学系は、前記計測光学系と光学的に分離されている
付記17から19のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記21]
前記計測光を供給する計測光源を備え、
前記計測光学系は、前記計測光源からの前記計測光を前記照射光学系に向けて射出する
付記1から20のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記22]
前記計測光源は、前記計測光学系が収容されている筐体内に設けられる
付記21に記載の加工部材。
[付記23]
前記計測光学系は、前記物体に照射された前記計測光によって発生する光を検出する検出器を備える
付記1から22のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記24]
前記検出器は、前記物体に照射された前記計測光によって発生する前記光と前記計測光の一部から生成される参照光とが干渉した干渉光を検出する
付記23に記載の加工部材。
[付記25]
前記参照光は、前記物体を経由しない
付記24に記載の加工部材。
[付記26]
前記検出器は、前記物体に照射された前記計測光によって発生する前記光を、前記照射光学系を介して検出する
付記23から25のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記27]
前記加工部材は、前記検出器の検出結果に基づいて制御される
付記23から26のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記28]
前記加工光の前記物体上での照射位置と前記物体との相対位置が、前記検出器の検出結果に基づいて制御される
付記23から27のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記29]
前記照射光学系と前記物体との相対位置が、前記検出器の検出結果に基づいて制御される
付記23から28のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記30]
前記物体の表面上での前記加工光の照射位置を変更する照射位置変更光学系を更に備え、
前記照射位置変更光学系は、前記検出器の検出結果に基づいて制御される
付記23から29のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記31]
前記加工光源を更に備える
付記1から30のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記32]
前記加工光源からの前記加工光を前記物体に向けて射出する加工光照射光学系を更に備える
付記1から31のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記33]
前記加工光源からの前記加工光は、前記照射光学系を経由しない
付記32に記載の加工部材。
[付記34]
前記加工光の波長と前記計測光の波長とは異なる
付記1から33のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記35]
前記加工光は、パルス光を含む
付記1から34のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記36]
前記計測光は、光コム光源からの光を前記パルス光として含む
付記1から35のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記37]
前記計測光は、周波数軸上で等間隔に並んだ周波数成分を含む光を前記パルス光として含む
付記1から36のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記38]
前記照射光学系を構成する光学部材のうち少なくとも一部の光学部材は、交換可能である
付記1から37のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記39]
交換可能な前記一部の光学部材は、前記加工部材に対する前記計測光の射出方向が異なる複数の計測候補光学系のうちの一つの計測候補光学系である
付記38に記載の加工部材。
[付記40]
交換可能な前記一部の光学部材は、前記照射光学系への前記計測光の入射位置と前記照射光学系からの前記計測光の射出位置との前記計測光の光路に沿った距離が異なる複数の計測候補光学系のうちの一つの計測候補光学系である
付記38又は39に記載の加工部材。
[付記41]
前記加工光源から入射する前記加工光を前記物体に向けて射出する加工光照射光学系を備え、
前記加工光照射光学系を構成する光学部材のうち少なくとも一部の光学部材は、交換可能である
付記1から40のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記42]
交換可能な前記一部の光学部材は、前記加工部材に対する前記加工光の射出方向が異なる複数の加工候補光学系のうちの一つの加工候補光学系である
付記41に記載の加工部材。
[付記43]
交換可能な前記一部の光学部材は、前記加工光照射光学系への前記加工光の入射位置と前記加工光照射光学系からの前記加工光の射出位置との前記加工光の光路に沿った距離が異なる複数の加工候補光学系のうちの一つの加工候補光学系である
付記41又は42に記載の加工部材。
[付記44]
前記照射光学系は、複数の前記計測光を前記物体に向けて射出する
付記1から43のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記45]
前記照射光学系は、前記複数の計測光を前記物体の異なる位置に向けてそれぞれ射出する
付記44に記載の加工部材。
[付記46]
前記複数の計測光のうちの第1の計測光は、第1の用途で用いられ、
前記複数の計測光のうちの前記第1の計測光とは異なる第2の計測光は、前記第1の用途とは異なる第2の用途で用いられる
付記44又は45に記載の加工部材。
[付記47]
前記第1の用途は、前記物体の形状を特定するための用途を含み、
前記第2の用途は、前記物体と前記計測光学系及び前記加工光を前記物体に向けて射出する加工光学系の少なくとも一方との相対位置を特定するための用途を含む
付記46に記載の加工部材。
[付記48]
前記物体と前記加工部材が収容されている筐体との相対位置を変更する位置変更装置を更に備える
付記1から47のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記49]
前記位置変更装置は、
前記物体の一部との相対的な位置関係が変更可能な可動部材と、
前記可動部材と前記筐体の相対的な位置関係が変更可能になるように、前記可動部材と前記筐体とを接続する接続装置と
を備え、
前記接続装置は、前記可動部材と前記筐体とのうち少なくとも一方を移動させる駆動部材と、前記可動部材と前記筐体とを結合する弾性部材とを備える
付記48に記載の加工部材。
[付記50]
前記位置変更装置は、前記物体に照射される前記計測光によって発生する光の検出結果に基づいて、前記筐体と前記物体との相対位置を変更する
付記49に記載の加工部材。
[付記51]
前記照射光学系及び前記加工光を前記物体に向けて射出する加工光照射光学系の少なくとも一方と前記物体との相対位置を計測する位置計測装置を備える
付記1から50のいずれか一項に記載の加工部材。
[付記52]
前記位置計測装置は、前記物体の表面を撮像する撮像装置を含む
付記51に記載の加工部材。
[付記53]
パルス光を含む計測光を物体に向けて射出する第1光学系と、
前記物体に加工光を照射することで前記物体を加工する第2光学系と、
前記第1光学系の少なくとも一部が前記物体に対して変位可能な状態で前記第1光学系の少なくとも一部を支持し、前記第2光学系の少なくとも一部が前記物体に対して変位可能な状態で前記第2光学系の少なくとも一部を支持する支持部と、
前記支持部を介して前記第1光学系の少なくとも一部と前記第2光学系の少なくとも一部とを駆動する駆動部と
を備えるロボットシステム。
[付記54]
互いに位相同期され干渉性のある参照光としての光周波数コムと、測定光としての光周波数コムとを射出する光源と、
前記光源から射出された測定光を、物体に照射する照射光学系と、
前記光源から射出された参照光が入射する参照面と、
前記物体に照射された前記測定光によって前記物体から生じる光と、前記参照面から戻された参照光との干渉光に基づく干渉信号を検出する検出部と、
前記光源から前記照射光学系へ向かう前記測定光と、前記物体に照射された前記測定光によって前記物体から生じる前記光とのうち少なくとも一方の光を伝達する光ファイバと、
上記検出部により検出した干渉信号を用いて前記物体の位置に関する情報を求める信号処理部と
を備え、
前記光ファイバは、前記少なくとも一方の光の進行方向を横切る面に配列された複数のコアを有するイメージファイバを含む
測定装置。
[付記55]
前記検出部は、少なくとも一方向に沿って配列された複数の光電変換素子を有する
付記54に記載の測定装置。
[付記56]
前記光ファイバの前記検出器側の端面と、前記複数の光電変換素子が配列される面とを共役にする光学系をさらに備える
付記55に記載の測定装置。
[付記57]
前記イメージファイバは、前記横切る面に配列された複数のファイバの束を有する
付記54から56のいずれか一項に記載の測定装置。
[付記58]
前記イメージファイバは、前記横切る面に配列された複数のコアと前記複数のコアの間のクラッドとを有するマルチコア光ファイバを有する
付記54から57のいずれか一項に記載の測定装置。
上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態の要件のうちの一部が用いられなくてもよい。上述の各実施形態の要件は、適宜他の実施形態の要件と置き換えることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した装置等に関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う加工装置、加工部材、ロボットシステム及び測定装置もまた本発明の技術思想に含まれる。