JP7415502B2 - ロータの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ロータの製造方法に関する。
従来、永久磁石を備えたロータの製造方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、パイプ構造を有した中空形状の回転軸と、回転軸が挿入される挿入孔を有し、複数の積層鋼板が積層されることにより構成された積層鉄心とを備えるモータ用ロータが開示されている。また、回転軸には、ハイドロフォーミングにより形成された抜止部が設けられている。抜止部は、ハイドロフォーミングにより、回転軸が外径側に膨張することによって形成されている。また、抜止部は、積層鉄心の軸方向の一方側と他方側とに、積層鉄心を軸方向に挟み込むように2つ設けられている。すなわち、2つの抜止部は、積層鉄心の軸方向の端面よりも外側に設けられている。これにより、積層鉄心と回転軸とは、2つの抜止部により軸方向に固定(位置決め)されている。
また、上記特許文献1には明記されていないが、ロータは、挿入孔に配置された永久磁石と、挿入孔において永久磁石を固定する固定部材を備えている場合がある。固定部材は、たとえば樹脂等により構成されており、固定部材(樹脂等)が固まることによって永久磁石が挿入孔において固定される。上記特許文献1に記載されているような従来のロータの製造方法において永久磁石を固定部材により固定させる場合、永久磁石が挿入孔において固定部材により固定された状態で、ハイドロフォーミングによりロータコアと回転軸との固定が行われると考えられる。
特開2001-268858号公報
ここで、ハイドロフォーミング等の締り嵌めを行うことによって、ロータコアの内径が拡大(変形)する。このため、ロータコアの内径側部の拡大(変形)が、ロータコアの外径側(永久磁石の周辺)に影響を及ぼし、ロータコアの外径側部が変形しようとする。この場合、ロータコアの外径側部が変形しようとする力が、永久磁石を固定する固定部材にかかるという不都合がある。これに対し、固定部材にかかる力を低減(ロータコアの外径側部の変形を抑制)するために、締り嵌めの締め代を縮小することが考えられているが、この場合、ロータのトルク伝達力が小さくなる場合がある。したがって、永久磁石が挿入孔において固定部材により固定された状態でハイドロフォーミング等の締り嵌めを行う従来のロータの製造方法では、ロータのトルク伝達力が小さくなるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ロータコアとシャフトとが締り嵌めにより固定されるロータにおいて、ロータのトルク伝達力が小さくなるのを防止することが可能なロータの製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるロータの製造方法は、シャフト挿入孔と磁石配置孔とを有するとともに複数の電磁鋼板が積層されることにより構成された環状のロータコアと、永久磁石と、シャフトと、を準備する準備工程と、シャフトをロータコアのシャフト挿入孔に挿入する挿入工程と、挿入工程の後に、シャフトをロータコアに締り嵌めにより固定するロータコア固定工程と、ロータコア固定工程の後に、一の押圧治具によりロータコアの軸方向の端面を押圧した状態で、一の押圧治具に設けられる貫通孔を介して、ロータコアの磁石配置孔に、永久磁石を挿入する磁石配置工程と、ロータコア固定工程の後で、かつ、磁石配置工程の後に、ロータコアの磁石配置孔に、永久磁石を固定する固定部材を配置するとともに固定部材により永久磁石を固定する磁石固定工程と、を備える。
なお、締り嵌めとは、ハイドロフォーミングおよび焼き嵌めを含む。また、締り嵌めとは、ロータコアが収縮しようとする力を利用してロータコアの内周面とシャフトの外周面とを圧接することを意味する。また、焼き嵌めとは、ロータコアを加熱して膨張させることによってロータコアの内径を拡大し、その状態でロータコアにシャフトを挿入した後にロータコアを常温に戻すことによって、ロータコアが収縮しようとする力を利用してロータコアの内周面とシャフトの外周面とを圧接する手法である。
この発明の一の局面によるロータの製造方法では、上記のように、ロータコア固定工程の後で、かつ、磁石配置工程の後に磁石固定工程が行われる。これにより、締り嵌めを行う際には磁石配置孔に固定部材が設けられていないことによって、締り嵌めによりロータコアが変形することに起因して固定部材に応力がかかるのを防止することができる。これにより、固定部材にかかる応力を低減するために締り嵌めの締め代を小さくする必要がないので、ロータのトルク伝達力が小さくなるのを防止することができる。なお、締め代とは、ロータコアおよびシャフトの双方が常温の状態における、ロータコアの内周の直径(内径)とシャフトの外周の直径(外径)との差を意味する。
本発明によれば、ロータコアとシャフトとが締り嵌めにより固定されるロータにおいて、ロータのトルク伝達力が小さくなるのを防止することができる。
第1および第2実施形態によるロータを備える回転電機の平面図である。 図1の500-500線に沿った断面図である。 図2の600-600線に沿った断面図である。 第1および第2実施形態によるロータの回転時における冷却用オイルの流れを説明するための図である。 第1実施形態によるロータの製造工程を示すフロー図である。 第1および第2実施形態によるロータコアおよびシャフトを準備する工程を説明するための図である。 第1および第2実施形態によるシャフトをシャフト挿入孔に挿入する工程を説明するための図である。 第1実施形態によるシャフトをロータコアに固定する工程におけるハイドロフォーミングを説明するための図である。 第1実施形態によるシャフトをロータコアに固定する工程におけるシャフトへの圧力を説明するための図である。 第1および第2実施形態によるロータコアに永久磁石を配置する工程を説明するための図である。 第1および第2実施形態によるロータコアの磁石配置孔に熱硬化性樹脂を注入する工程を説明するための図である。 第2実施形態によるロータの製造工程を示すフロー図である。 第2実施形態によるシャフトをロータコアに固定する工程におけるハイドロフォーミングを説明するための図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
(ロータの構造)
図1~図4を参照して、第1実施形態によるロータ100の構造について説明する。なお、以下の説明では、ロータ100が備えるロータコア10(図1参照)の軸方向、径方向および周方向を、それぞれ、Z方向、R方向およびC方向とする。また、軸方向(Z方向)の一方側および他方側を、それぞれ、Z1側およびZ2側とする。また、径方向(R方向)の内側および外側を、それぞれ、R1側およびR2側とする。
図1に示すように、ロータ100は、ステータ110と共に、回転電機120の一部を構成する。回転電機120は、たとえば、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータである。ステータ110は、ロータ100の径方向(R方向)の外側(R2側)に、ステータ110の内周面110aとロータ100の外周面100aとが径方向(R方向)に対向するように配置されている。すなわち、ロータ100は、インナーロータ型の回転電機120の一部を構成する。
ステータ110は、ステータコア111と、コイル112と、を備えている。ステータコア111は、円環状のバックヨーク113と、バックヨーク113から径方向(R方向)の内側(R1側)に突出する複数のティース114と、周方向(C方向)に隣り合うティース114同士の間に形成される複数のスロット115と、を含む。コイル112は、ステータコア111に巻回されるように、複数のスロット115内に配置されている。また、図2に示すように、コイル112は、複数のスロット115から軸方向(Z方向)の一方側(Z1側)および他方側(Z2側)に突出したコイルエンド部112a(図2参照)を含む。
図1に示すように、ロータ100は、ロータコア10と、シャフト20と、軸受け部材30と、を備えている。ロータコア10および軸受け部材30の各々は、中心軸がシャフト20の回転軸線Aと一致する円環形状を有する。
図2に示すように、ロータコア10は、ロータコア本体部11と、永久磁石12と、を備えている。ロータコア本体部11は、複数の電磁鋼板11aがロータコア10の軸方向(Z方向)に積層されることにより形成されている。電磁鋼板11aは、たとえば、珪素鋼により構成されている。ロータコア本体部11の中央部(R1側)には、ロータコア本体部11を軸方向(Z方向)に貫通するように、シャフト挿入孔13が形成されている。シャフト挿入孔13は、直径D3を有する。また、ロータコア本体部11の外縁部(R2側)には、軸方向(Z方向)に延びるように、磁石配置孔14が形成されている。永久磁石12は、磁石配置孔14の内部において、熱硬化性樹脂15によりロータコア本体部11に固定されている。図3に示すように、磁石配置孔14は、環状に並ぶように複数形成されている。また、周方向に互いに隣り合う磁石配置孔14は、軸方向から見てV字状に配置されている。なお、熱硬化性樹脂15は、特許請求の範囲の「固定部材」および「樹脂材」の一例である。
図2に示すように、シャフト20は、円筒形状(中空形状)を有しており、軸方向(Z方向)に延びるように形成されている。シャフト20は、たとえば、炭素鋼により構成されている。シャフト20は、シャフト20の外周面20aとシャフト挿入孔13の内周面13aとが対向するように、ロータコア10のシャフト挿入孔13に挿通(挿入)されている。そして、シャフト20は、シャフト挿入孔13の内周面13aに固定されている。すなわち、シャフト20は、ロータコア10の回転軸として機能する。
第1実施形態では、シャフト20は、第1筒状部分21と、第2筒状部分22と、を含む。第1筒状部分21は、外径D1を有する。外径D1は、シャフト挿入孔13の直径D3と略等しい。第1筒状部分21の少なくとも一部(部分21a)は、ハイドロフォーミングによって、シャフト挿入孔13の内周面13aに圧接されている。すなわち、第1筒状部分21は、シャフト挿入孔13の内周面13aに圧接されている部分21aと、シャフト挿入孔13の内周面13aに圧接されていない部分21bと、を含む。なお、第1筒状部分21および第2筒状部分22は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1シャフト部分」および「第2シャフト部分」の一例である。
第2筒状部分22は、第1筒状部分21よりもロータコア10の軸方向(Z方向)の一方側(Z1側)および他方側(Z2側)に設けられている。第2筒状部分22の外径D2は、第1筒状部分21の外径D1よりも小さい。これにより、第1筒状部分21の外周面と第2筒状部分22の外周面との間には、段差部23が形成されている。すなわち、第2筒状部分22は、第1筒状部分21よりもロータコア10の軸方向(Z方向)の一方側(Z1側)および他方側(Z2側)の各々に段差部23を介して設けられている。また、第2筒状部分22には、軸受け部材30が配置されている。すなわち、第2筒状部分22は、シャフト20の回転時に軸受け部材30により支持される。
軸受け部材30は、第2筒状部分22の外周面22aに接触するとともに、第2筒状部分22の外周面22aを径方向(R方向)の外側(R2側)から周方向(C方向)に取り囲むように、第2筒状部分22に配置されている。そして、軸受け部材30は、シャフト20およびロータコア10を、回転軸線Aを中心軸として回転可能に支持している。なお、ロータ100では、軸受け部材30は、段差部23の面23aと接触している。段差部23の面23aは、面23a(に沿った平面)がシャフト20の回転軸線Aと直交するように設けられている。
第1筒状部分21には、シャフト20の内部20bを流通する冷却用オイル41(図4参照)をシャフト20の外部に排出することによってコイル112のコイルエンド部112aを冷却するためのオイル排出孔20cが形成されている。詳細には、第1筒状部分21には、第1筒状部分21の内周面21cを伝って流れながらロータコア10を冷却した冷却用オイル41をシャフト20の外部に排出することによってコイル112のコイルエンド部112aを冷却するためのオイル排出孔20cが形成されている。なお、冷却用オイル41は、シャフト20の内部20bに配置されたオイル供給部42(図4参照)により供給される。また、冷却用オイル41は、たとえば、ATF(Automatic Transmission Fluid)である。
具体的には、オイル排出孔20cは、第1筒状部分21の(ハイドロフォーミングによってシャフト挿入孔13の内周面13aに圧接されていない)部分21bに形成されている。すなわち、オイル排出孔20cは、ロータコア10の径方向(R方向)の外側(R2側)から見て、第1筒状部分21のロータコア10の軸方向(Z方向)の端面10aから突出して露出する部分に形成されている。
(ロータの製造方法)
次に、図5~図11を参照して、第1実施形態によるロータ100の製造方法について説明する。なお、図5には、ロータ100の製造工程に関するフロー図を示している。
まず、ステップS1(準備工程)において、シャフト挿入孔13を有する環状のロータコア10と、第1筒状部分21および第2筒状部分22を有するシャフト20と、が準備される。具体的には、図6に示すように、内径D31を有するとともに周方向(C方向)に並ぶように磁石配置孔14が形成された円環状の電磁鋼板11aが軸方向(Z方向)に沿って積層されることによって、内径D31を有するシャフト挿入孔13と、複数の磁石配置孔14と、を含む環状(円筒形状)のロータコア10が準備される。また、外径D11を有する円筒形状のパイプ部材(図示しない)の軸方向(Z方向)の一方側(Z1側)および他方側(Z2側)が絞り加工されるによって、外径D11を有する第1筒状部分21と、外径D21を有する第2筒状部分22、とを含むシャフト20が準備される。
次に、ステップS2(挿入工程)において、シャフト20がシャフト挿入孔13に挿入される。具体的には、図7に示すように、ロータコア10の中心軸とシャフト20の中心軸とが一致した状態で、成型機(図示しない)に固定されたロータコア10に対してシャフト20が軸方向(Z方向)に移動されることによって、ロータコア10のシャフト挿入孔13にシャフト20が挿入される。
次に、ステップS3(ロータコア固定工程)において、ハイドロフォーミングによって、シャフト20がロータコア10に固定される。詳細には、図8および図9に示すように、シャフト20の内部20bが密閉された状態で、シャフト20の内部20bに液体51を充填させるとともに液体51を加圧することによってシャフト20を膨張させることにより、シャフト挿入孔13の内周面13aにシャフト20の外周面20aを圧接させるハイドロフォーミングによって、シャフト20がロータコア10に固定される。具体的には、シャフト挿入孔13の内周面13aに第1筒状部分21の少なくとも一部(部分21a(図2参照))が圧接される。なお、ハイドロフォーミングは、特許請求の範囲の「締り嵌め」の一例である。
具体的には、図8に示すように、シール部材52aと液体供給部52bと押圧部52cとを備えたハイドロフォーミング成型機52が、ロータ100に対して配置される。シール部材52aは、シャフト20の開口部20dを塞ぐように、シャフト20に対して配置される。また、押圧部52cは、ロータコア10の端面10aおよび第2筒状部分22の段差部23の面23aと接触するように配置される。そして、シャフト20の内部20bがシール部材52aにより密閉された状態で、液体供給部52bにより、シャフト20の内部20bに液体51が注入される。そして、図9に示すように、押圧部52cにより、ロータコア10の端面10aが軸方向(Z方向)に押圧された状態で、シャフト20の内部20bに注入された液体51が加圧されることによって、液体51の内圧(たとえば約200MPa)によりシャフト20が膨張する。これにより、膨張した第1筒状部分21が、シャフト挿入孔13の内周面13aに圧接される。なお、シャフト20を固定するロータコア固定工程(S3)が行われた後、ハイドロフォーミング成型機52は、ロータ100から取り除かれる。
ここで、第1実施形態では、図8に示すように、シャフト20をロータコア10に固定するロータコア固定工程(S3)は、磁石配置孔14に永久磁石12を配置する磁石配置工程(後述するステップS5)の前に、磁石配置孔14が中空の状態でハイドロフォーミングを行うことにより、シャフト20をロータコア10に固定する工程である。言い換えると、磁石配置孔14が空気により満たされた状態で、ハイドロフォーミングが行われる。この場合、ハイドロフォーミングによりロータコア10に生じた応力が磁石配置孔14内の空隙により吸収されながら、ハイドロフォーミングが行われる。
次に、ステップS4において、オイル排出孔20cが第1筒状部分21に形成される。
次に、ステップS5(磁石配置工程)において、ロータコア10に永久磁石12が配置される。すなわち、第1実施形態では、ロータコア10に永久磁石12を配置する磁石配置工程(S5)は、ハイドロフォーミングによりシャフト20をロータコア10に固定するロータコア固定工程(S3)の後で、かつ、後述する永久磁石12を磁石配置孔14に固定する磁石固定工程(S6)の前に行われる。すなわち、ハイドロフォーミングによってシャフト20がロータコア10に固定(圧接)された状態で、磁石配置孔14に永久磁石12が挿入される。なお、永久磁石12の挿入が行われる時点において、ハイドロフォーミングによるロータコア10およびシャフト20の変形は完了しており、その後の収縮および膨張は生じない。
また、ロータコア10に永久磁石12を配置する磁石配置工程(S5)は、ロータコア10の端面10aを押圧した状態で行われる。ここで、ロータコア10は、ハイドロフォーミングに起因する応力によって、軸方向(Z方向)に垂直な方向に対して傾斜するように変形する場合がある。具体的には、ハイドロフォーミングの締め代が大きい場合、ハイドロフォーミングによるロータコア10の内径側の変形量が大きくなる。この場合、ロータコア10の外径側において内径側と同じ量の変形量を生じさせるには変形抵抗が過度に大きくなる。したがって、ロータコア10の外径側は、径方向に変形するよりは、軸方向に垂直な方向に対して傾斜するように変形しようとする。
そこで、この磁石配置工程(S5)では、ロータコア10の端面10aを押圧することにより上記傾斜を矯正した状態で、永久磁石12の配置(挿入)が行われる。なお、ロータコア10の端面10aが押圧された状態で永久磁石12が磁石配置孔14に配置されるので、端面10aにシート等が配置されている場合に上記シート等がめくれるのを防止することが可能である。なお、この効果は、後述するステップS6においても同様である。また、傾斜を矯正するとは、ロータコア10の各電磁鋼板11aが、軸方向に垂直な方向に対して傾斜しないように(軸方向に垂直な方向に沿うように)、ロータコア10に対して軸方向に力を加えて変形させる(元の状態に戻す)ことを意味する。
また、図10に示すように、ロータコア10の磁石配置孔14に永久磁石12を配置する磁石配置工程(S5)は、シャフト20およびロータコア10を軸方向(Z方向)の一方側(Z1側)から支持する支持台70を用いて行われる。まず、支持台70の支持面70aにシャフト20の軸方向の一方側(Z1側)の段差部23を配置するとともに、支持台70の支持面70bにロータコア10の軸方向の一方側の端面10aを配置する。この状態で、ロータコア10の軸方向の他方側の端面10aを押圧する。具体的には、ロータコア10の軸方向の他方側(Z2側)の端面10aに配置されるロータコア押圧部材71により、ロータコア10の軸方向の他方側の端面10aが押圧される。同時に、ロータコア10の軸方向の一方側の端面10aが、支持台70により押圧される。すなわち、ロータコア10は、支持台70とロータコア押圧部材71とにより軸方向に挟まれるように押圧される。なお、ロータコア押圧部材71は、特許請求の範囲の「第2押圧治具」の一例である。また、支持面70aおよび支持面70bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第3支持面」および「第4支持面」の一例である。
ここで、支持台70の支持面70aおよび支持面70bとは、互いに平行に配置されている。これにより、(支持面70aに配置される)シャフト20の段差部23がシャフト20の回転軸線Aと直交するように延びているので、(支持面70bに配置される)ロータコア10の端面10aに沿った平面とシャフト20の回転軸線Aとを直交させた状態で、ロータコア10の磁石配置孔14に永久磁石12が配置(挿入)される。なお、支持面70aおよび支持面70bは、単一の支持台70に設けられている。
また、第1実施形態では、図10に示すように、ロータコア10の磁石配置孔14に永久磁石12を配置する磁石配置工程(S5)は、シャフト20をロータコア10に固定するロータコア固定工程(S3)の後に、ロータコア押圧部材71(および支持台70)によりロータコア10の端面10aを押圧した状態で、ロータコア押圧部材71に設けられる磁石挿入孔71aを介して磁石配置孔14に永久磁石12を挿入する工程である。ロータコア押圧部材71には、軸方向(Z方向)から見て、ロータコア10の複数の磁石配置孔14の各々に対応する位置に、磁石挿入孔71aが形成されている。そして、ロータコア押圧部材71により、ロータコア10の端面10aが軸方向(Z方向)に押圧された状態で、磁石挿入孔71aを介して、ロータコア10の磁石配置孔14に軸方向(Z方向)から永久磁石12が挿入される。なお、上記の磁石配置工程は、図示しない磁石挿入用装置において行われる。また、支持台70およびロータコア押圧部材71の各々は、磁石挿入用装置に備えられている治具である。なお、支持台70およびロータコア押圧部材71の各々が、磁石挿入用装置とは独立した治具であってもよい。そして、永久磁石12が配置(挿入)された後、ロータコア押圧部材71および支持台70は、ロータコア10から取り除かれる。なお、磁石挿入孔71aは、特許請求の範囲の「貫通孔」の一例である。
次に、ステップS6(磁石固定工程)において、ロータコア10の磁石配置孔14に熱硬化性樹脂15を注入するとともに熱硬化性樹脂15により永久磁石12を固定する工程が行われる。なお、磁石固定工程(S6)は、上記の磁石挿入用装置とは異なる図示しない樹脂注入装置において行われる。なお、後述する支持台80およびロータコア押圧部材81の各々は、樹脂注入装置に備えられている治具である。また、支持台80およびロータコア押圧部材81の各々が、樹脂注入装置とは独立した治具であってもよい。
ここで、第1実施形態では、ロータコア10の磁石配置孔14に永久磁石12を固定する磁石固定工程(S6)は、シャフト20をロータコア10に固定するロータコア固定工程(S3)の後で、かつ、ロータコア10の磁石配置孔14に永久磁石12を配置する磁石配置工程(S5)の後に、ロータコア10の端面10aを押圧した状態で行われる。すなわち、この磁石固定工程(S6)でも、永久磁石12を配置する磁石配置工程(S5)と同様、ロータコア10の端面10aを押圧することによりロータコア10の傾斜を矯正した状態で、熱硬化性樹脂15の注入が行われる。
また、図11に示すように、ロータコア10の磁石配置孔14に永久磁石12を固定する磁石固定工程(S6)は、シャフト20およびロータコア10を軸方向(Z方向)の一方側(Z1側)から支持する支持台80を用いて行われる。支持台80の使用方法は、図10の支持台70と同様である。すなわち、支持台80の支持面80aに軸方向の一方側(Z1側)の段差部23を配置するとともに、支持台80の支持面80bにロータコア10の軸方向の一方側の端面10aを配置する。この状態で、ロータコア10の軸方向の他方側(Z2側)の端面10aに配置されるロータコア押圧部材81により、ロータコア10の軸方向の他方側の端面10aが押圧される。同時に、ロータコア10の軸方向の一方側の端面10aが、支持台80により押圧される。すなわち、ロータコア10は、支持台80とロータコア押圧部材81とにより軸方向に挟まれるように押圧される。なお、ロータコア押圧部材81は、特許請求の範囲の「第1押圧治具」の一例である。また、支持面80aおよび支持面80bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1支持面」および「第2支持面」の一例である。
また、支持台70と同様に、支持台80の支持面80aおよび支持面80bは、互いに平行に配置されている。これにより、ロータコア10の端面10aに沿った平面とシャフト20の回転軸線Aとを直交させた状態で、ロータコア10の磁石配置孔14に熱硬化性樹脂15の注入が行われる。なお、支持面80aおよび支持面80bは、単一の支持台80に設けられている。
また、第1実施形態では、ロータコア10の磁石配置孔14に永久磁石12を固定する磁石固定工程(S6)は、シャフト20をロータコア10に固定するロータコア固定工程(S3)の後に、ロータコア押圧部材81(および支持台80)によりロータコア10の端面10aを押圧した状態で、ロータコア押圧部材81に設けられる樹脂注入孔81aを介して磁石配置孔14に熱硬化性樹脂15を注入する工程である。
ロータコア押圧部材81には、軸方向(Z方向)から見て、ロータコア10の複数の磁石配置孔14の各々に対応する位置に、樹脂注入孔81aが形成されている。そして、ロータコア押圧部材81により、ロータコア10の端面10aが軸方向(Z方向)に押圧された状態で、樹脂注入孔81aを介して、ロータコア10の磁石配置孔14に軸方向(Z方向)から熱硬化性樹脂15が注入される。具体的には、樹脂注入孔81aにノズル101を挿入した状態で、ノズル101から熱硬化性樹脂15が射出されることにより、磁石配置孔14に熱硬化性樹脂15が注入される。
詳細には、ロータコア10の端面10aが軸方向(Z方向)に押圧された状態、かつ、磁石配置孔14に永久磁石12が挿入された状態で、図示しない樹脂注入装置により、磁石配置孔14の内周面と永久磁石12との間(隙間)に接着剤としての熱硬化性樹脂15が溶融された状態で注入(圧送)される。そして、ロータコア10の端面10aが軸方向に押圧された状態で、熱硬化性樹脂15が所定の温度(硬化温度)まで加熱され硬化することによって、ロータコア10に対して永久磁石12が固定される。なお、熱硬化性樹脂15が注入された後、ロータコア押圧部材81および支持台80は、ロータコア10から取り除かれる。
そして、ステップS7において、第2筒状部分22に軸受け部材30が配置される。具体的には、図2に示すように、第2筒状部分22の外周面22aが径方向(R方向)の外側(R2側)に接触するとともに、回転軸線Aと直交する段差部23の面23aと接触するように、軸受け部材30が第2筒状部分22に配置される。
[第2実施形態]
次に、図12および図13を参照して、第2実施形態によるロータ100の製造方法について説明する。第2実施形態のロータ100の製造方法では、磁石配置孔14が中空の状態でハイドロフォーミングを行う上記第1実施形態と異なり、磁石配置孔14に治具102が配置された状態でハイドロフォーミングが行われる。なお、上記第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態と同じ符号を付して図示するとともに説明を省略する。
(ロータの製造方法)
図12および図13を参照して、第2実施形態によるロータ100の製造方法について説明する。なお、図12のステップS11、S12、S15、S16、S17、およびS18は、それぞれ、上記第1実施形態におけるステップS1、S2、S4、S5、S6、およびS7(図5参照)と同じ工程であるので、説明は省略する。
図12に示すように、第2実施形態では、ロータ100の製造方法は、磁石配置孔14に永久磁石12を配置する磁石配置工程(S16)の前で、かつ、シャフト20をロータコア10に固定するロータコア固定工程(後述するS14)の前に、磁石配置孔14の変形低減用の治具102(図13参照)を磁石配置孔14に配置する工程を備える。具体的には、複数の磁石配置孔14の各々に、弾性変形可能な樹脂製の治具102が配置される。なお、樹脂製の治具102は、ロータコア10の電磁鋼板11aよりも柔軟性のある素材により形成されている。
そして、ステップS14では、シャフト20をロータコア10に固定するロータコア固定工程が行われる。具体的には、シャフト20をロータコア10に固定するロータコア固定工程は、治具102を磁石配置孔14に配置した状態でハイドロフォーミングを行うことにより、シャフト20をロータコア10に固定する工程である。治具102は、たとえば磁石配置孔14と同程度の大きさを有している。これにより、治具102が磁石配置孔14に配置された状態で、治具102と磁石配置孔14の内壁面との間に隙間が生じるのを極力防止することが可能である。そして、ハイドロフォーミングが完了した後、治具102は磁石配置孔14から取り外される。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
[第1および第2実施形態の効果]
第1および第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1および第2実施形態では、上記のように、ロータ(100)の製造方法は、ロータコア固定工程(S3、S14)の後で、かつ、磁石配置工程(S5、S16)の後に、ロータコア(10)の磁石配置孔(14)に、永久磁石(12)を固定する固定部材(15)を配置するとともに固定部材(15)により永久磁石(12)を固定する磁石固定工程(S6、S17)を備える。これにより、締り嵌めを行う際には磁石配置孔(14)に固定部材(15)が設けられていないことによって、締り嵌めによりロータコア(10)が変形することに起因して固定部材(15)に応力がかかるのを防止することができる。これにより、固定部材(15)にかかる応力を低減するために締り嵌めの締め代を小さくする必要がないので、ロータ(100)のトルク伝達力が小さくなるのを防止することができる。
また、第1および第2実施形態では、上記のように、ロータコア固定工程(S3、S14)は、円筒形状を有するシャフト(20)の内部が密閉された状態でシャフト(20)の内部に液体(51)を充填させるとともに液体(51)を加圧することによってシャフト(20)を膨張させることにより、シャフト挿入孔(13)の内周面(13a)にシャフト(20)の外周面(20a)を圧接させて、シャフト(20)をロータコア(10)に締り嵌めにより固定する工程である。ここで、シャフト(20)の内部の液体(51)を加圧してシャフト(20)を膨張させること(ハイドロフォーミング)は、焼き嵌めに比べて一般的にロータコアにかかる応力は大きい。したがって、ハイドロフォーミングによってロータコア(10)をシャフト(20)に固定する場合に、シャフト(20)をロータコア(10)に固定するロータコア固定工程の後で、ロータコア(10)の磁石配置孔(14)に永久磁石(12)を固定する磁石固定工程(S6、S17)が行われることは、ロータ(100)のトルク伝達力が小さくなるのを防止するのに特に有効である。
また、第1および第2実施形態では、磁石固定工程(S6、S17)は、ロータコア(10)の軸方向の端面(10a)を押圧した状態で、磁石配置孔(14)に、固定部材(15)を配置するとともに固定部材(15)により永久磁石(12)を固定する工程である。ここで、締り嵌めを行うことによって、軸方向においてロータコア(10)に応力がかかり、ロータコア(10)を構成する電磁鋼板(11a)が軸方向に垂直な方向に対して傾斜するように変形する場合がある。具体的には、締り嵌めの締め代が大きい場合、締り嵌めによるロータコア(10)の内径側の変形量が大きくなる。この場合、ロータコア(10)の外径側において内径側と同じ量の変形量を生じさせるには変形抵抗が過度に大きくなる。したがって、ロータコア(10)の外径側は、径方向に変形するよりは、軸方向に垂直な方向に対して傾斜するように変形しようとする。そこで、ロータコア(10)の軸方向の端面(10a)を押圧した状態で、ロータコア(10)の磁石配置孔(14)に固定部材(15)が配置されるとともに固定部材(15)により永久磁石(12)が固定されることによって、締り嵌めに起因するロータコア(10)の軸方向に垂直な方向に対する傾斜を矯正した状態で固定部材(15)による永久磁石(12)の固定を行うことができる。これにより、ロータコア(10)が矯正された状態で固定部材(15)が固まるので、上記押圧を解除してもロータコア(10)の傾斜が矯正された状態を維持することができる。その結果、固定部材(15)が磁石配置孔(14)に配置された状態でロータコア(10)の変形を矯正する必要がないので、永久磁石(12)の固定部材(15)が破損するのを防止することができる。
また、第1および第2実施形態では、上記のように、磁石固定工程(S6、S17)は、ロータコア固定工程(S3、S14)の後に、ロータコア(10)の端面(10a)を押圧した状態で、磁石配置孔(14)に樹脂材(15)を注入するとともに樹脂材(15)を硬化させる工程である。ここで、樹脂材(15)は、永久磁石(12)が配置された磁石配置孔(14)の隙間を埋めるように設けられるので、ロータコア(10)に生じる応力の影響を比較的受けやすい。したがって、シャフト(20)をロータコア(10)に固定するロータコア固定工程の後に、ロータコア(10)の端面(10a)を押圧した状態で、磁石配置孔(14)に樹脂材(15)を注入するとともに樹脂材(15)を硬化させることは、ロータ(100)のトルク伝達力が小さくなるのを防止するのに特に有効である。また、締り嵌めによってロータコア(10)が変形するとともに電磁鋼板(11a)同士の間に隙間が生じた場合でも、樹脂材(15)が注入されている際にロータコア(10)の端面(10a)が押圧されることにより上記変形が矯正されているので、樹脂材(15)が電磁鋼板(11a)同士の間から漏れるのを防止することができる。
また、第1および第2実施形態では、上記のように、磁石固定工程(S6、S17)は、ロータコア固定工程(S3、S14)の後に、第1押圧治具(102)によりロータコア(10)の端面(10a)を押圧した状態で、第1押圧治具(102)に設けられる樹脂注入孔(81a)を介して磁石配置孔(14)に樹脂材(15)を注入する工程である。このように構成すれば、第1押圧治具(102)によりロータコア(10)の端面(10a)を押圧しながら、樹脂注入孔(81a)を介して磁石配置孔(14)に容易に樹脂材(15)を注入することができる。
また、第1および第2実施形態では、上記のように、磁石固定工程(S6、S17)は、シャフト(20)を支持する第1支持面(80a)に軸方向の一方側の段差部(23)を配置するとともに、ロータコア(10)を支持するとともに第1支持面(80a)と平行に配置される第2支持面(80b)にロータコア(10)の軸方向の一方側の端面(10a)を配置した状態で、ロータコア(10)の軸方向の他方側の端面(10a)を押圧することにより、ロータコア(10)の端面(10a)に沿った平面とシャフト(20)の回転軸線(A)とを直交させた状態で、ロータコア(10)の磁石配置孔(14)に固定部材(15)を配置するとともに永久磁石(12)を固定する工程である。このように構成すれば、締り嵌めによってロータコア(10)が傾斜するように変形した場合でも、上記傾斜をより確実に矯正した状態で固定部材(15)の配置を行うことができる。その結果、固定部材(15)の配置(挿入または注入)をより容易化することができる。
また、第1および第2実施形態では、上記のように、磁石配置工程(S5、S16)は、ロータコア固定工程(S3、S14)の後で、かつ、磁石固定工程(S6、S17)の前に、ロータコア(10)の磁石配置孔(14)に永久磁石(12)を配置する工程である。このように構成すれば、締り嵌めを行う際には磁石配置孔(14)に永久磁石(12)が設けられていないので、永久磁石(12)にかかる応力を低減するために締り嵌めの締め代を小さくする必要がない。その結果、ロータ(100)のトルク伝達力が小さくなるのをより確実に防止することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、ロータコア固定工程(S3)は、磁石配置工程(S5)の前に、磁石配置孔(14)が中空の状態で締り嵌めを行うことにより、シャフト(20)をロータコア(10)に固定する工程である。このように構成すれば、締り嵌めに起因して発生した応力を、磁石配置孔(14)の空隙によって吸収することができる。その結果、ロータコア(10)に生じる歪を小さくすることができる。
また、第2実施形態では、上記のように、ロータ(100)の製造方法は、磁石配置工程(S16)の前で、かつ、ロータコア固定工程(S14)の前に、磁石配置孔(14)の変形低減用の治具(102)を磁石配置孔(14)に配置する工程(S13)を備える。また、ロータコア固定工程は、治具(102)を磁石配置孔(14)に配置した状態で締り嵌めを行うことにより、シャフト(20)をロータコア(10)に固定する工程である。このように構成すれば、締り嵌めを行った際における磁石配置孔(14)の変形量を治具(102)により低減することができる。
また、第1および第2実施形態では、上記のように、磁石配置工程(S5、S16)は、ロータコア固定工程(S3、S14)の後に、ロータコア(10)の軸方向の端面(10a)を押圧した状態で、ロータコア(10)の磁石配置孔(14)に永久磁石(12)を配置する工程である。このように構成すれば、締り嵌めによってロータコア(10)が軸方向(Z方向)に垂直な方向に対して傾斜するように変形した場合に、ロータコア(10)の端面(10a)を押圧することにより上記傾斜を矯正した状態で永久磁石(12)を挿入することができるので、磁石配置孔(14)に永久磁石(12)を挿入する作業を容易に行うことができる。
また、第1および第2実施形態では、上記のように、磁石配置工程(S5、S16)は、ロータコア固定工程(S3、S14)の後に、第2押圧治具(71)によりロータコア(10)の端面(10a)を押圧した状態で、第2押圧治具(71)に設けられる貫通孔(71a)を介して磁石配置孔(14)に永久磁石(12)を挿入する工程である。このように構成すれば、第2押圧治具(71)によりロータコア(10)の端面(10a)を押圧しながら、貫通孔(71a)を介して磁石配置孔(14)に容易に永久磁石(12)を挿入することができる。
また、第1および第2実施形態では、上記のように、シャフト(20)は、第1シャフト部分(21)と、第1シャフト部分(21)よりも軸方向の一方側および他方側の各々に段差部(23)を介して設けられ、第1シャフト部分(21)よりも外径(D2)が小さい第2シャフト部分(22)と、を含む。また、磁石配置工程(S5、S16)は、シャフト(20)を支持する第3支持面(70a)に軸方向の一方側の段差部(23)を配置するとともに、ロータコア(10)を支持するとともに第3支持面(70a)と平行に配置される第4支持面(70b)にロータコア(10)の軸方向の一方側の端面(10a)を配置した状態で、ロータコア(10)の軸方向の他方側の端面(10a)を押圧することにより、ロータコア(10)の端面(10a)に沿った平面とシャフト(20)の回転軸線(A)とを直交させた状態で、ロータコア(10)の磁石配置孔(14)に永久磁石(12)を配置する工程である。このように構成すれば、締り嵌めによってロータコア(10)が軸方向(Z方向)に垂直な方向に対して傾斜するように変形した場合に、ロータコア(10)の端面(10a)を押圧することにより上記傾斜をより確実に矯正した状態で永久磁石(12)を挿入することができる。その結果、磁石配置孔(14)に永久磁石(12)を挿入する作業を容易に行うことができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、ハイドロフォーミングによりシャフト20をロータコア10に固定する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、焼き嵌めによりシャフト20をロータコア10に固定してもよい。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、ロータコア10の端面10aを押圧した状態で、磁石固定工程が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。ロータコア10の端面10aを押圧せずに、磁石固定工程が行われてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、ハイドロフォーミングを行う工程の後に、永久磁石12を磁石配置孔14に配置する磁石配置工程、および、熱硬化性樹脂15(固定部材、樹脂材)を磁石配置孔14に配置して永久磁石12を固定する磁石固定工程が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、磁石配置工程がハイドロフォーミングの工程より前に行われ、磁石固定工程だけがハイドロフォーミングの工程より後に行われてもよい。
また、上記第2実施形態では、樹脂製の治具102を磁石配置孔14に配置した状態でハイドロフォーミングが行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、金属製の治具を磁石配置孔14に配置した状態でハイドロフォーミングを行ってもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、互いに平行に配置された支持面(70a、70b、80a、80b)によりシャフト20の段差部23とロータコア10の端面10aとを支持した状態で、永久磁石12の配置(挿入)および熱硬化性樹脂15(固定部材、樹脂材)の配置が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ロータコア10の端面10aだけを支持しながら上記工程が行われてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、熱硬化性樹脂15(樹脂材、固定部材)が磁石配置孔14に配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、熱可塑性樹脂が磁石配置孔14に配置されてもよい。また、接着剤または発泡性接着シートが磁石配置孔14に配置されてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、ロータコア10の端面10aを押圧した状態で、永久磁石12を磁石配置孔14に配置(挿入)する例を示したが、本発明はこれに限られない。ロータコア10の端面10aを押圧せずに、永久磁石12を磁石配置孔14に配置(挿入)してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、永久磁石12を配置(挿入)するための磁石挿入用装置と、熱硬化性樹脂15が注入される樹脂注入装置とが、互いに異なる装置である例を示したが、本発明はこれに限られない。磁石挿入用装置と樹脂注入装置とが共通の装置であってもよい。この場合、永久磁石12を挿入する工程、および、熱硬化性樹脂15を注入する工程の各々において、共通の押圧治具によりロータコア10の端面10aが押圧される。これにより、永久磁石12を挿入する工程、および、熱硬化性樹脂15を注入する工程の間において、ロータコア10の端面10aの押圧状態が解除されるのを防止することが可能である。
10 ロータコア
10a 端面
11a 電磁鋼板
12 永久磁石
13 シャフト挿入孔
13a 内周面
14 磁石配置孔
15 熱硬化性樹脂(固定部材)(樹脂材)
20 シャフト
20a 外周面
21 第1筒状部分(第1シャフト部分)
22 第2筒状部分(第2シャフト部分)
23 段差部
51 液体
70a 支持面(第3支持面)
70b 支持面(第4支持面)
71 ロータコア押圧治具(第2押圧治具)
71a 磁石挿入孔(貫通孔)
80a 支持面(第1支持面)
80b 支持面(第2支持面)
81 ロータコア押圧治具(第1押圧治具)
81a 樹脂注入孔
100 ロータ
102 治具
A 回転軸線
D2 外径(第2シャフト部分の外径)

Claims (9)

  1. シャフト挿入孔と磁石配置孔とを有するとともに複数の電磁鋼板が積層されることにより構成された環状のロータコアと、永久磁石と、シャフトと、を準備する準備工程と、
    前記シャフトを前記ロータコアの前記シャフト挿入孔に挿入する挿入工程と、
    前記挿入工程の後に、前記シャフトを前記ロータコアに締り嵌めにより固定するロータコア固定工程と、
    前記ロータコア固定工程の後に、一の押圧治具により前記ロータコアの軸方向の端面を押圧した状態で、前記一の押圧治具に設けられる貫通孔を介して、前記ロータコアの前記磁石配置孔に、前記永久磁石を挿入する磁石配置工程と、
    前記ロータコア固定工程の後で、かつ、前記磁石配置工程の後に、前記ロータコアの前記磁石配置孔に、前記永久磁石を固定する固定部材を配置するとともに前記固定部材により前記永久磁石を固定する磁石固定工程と、を備える、ロータの製造方法。
  2. 前記ロータコア固定工程は、円筒形状を有する前記シャフトの内部が密閉された状態で前記シャフトの内部に液体を充填させるとともに前記液体を加圧することによって前記シャフトを膨張させることにより、前記シャフト挿入孔の内周面に前記シャフトの外周面を圧接させて、前記シャフトを前記ロータコアに前記締り嵌めにより固定する工程である、請求項1に記載のロータの製造方法。
  3. 前記磁石固定工程は、前記ロータコアの軸方向の端面を押圧した状態で、前記磁石配置孔に、前記固定部材を配置するとともに前記固定部材により前記永久磁石を固定する工程である、請求項1または2に記載のロータの製造方法。
  4. 前記磁石固定工程は、前記ロータコア固定工程の後に、前記ロータコアの前記端面を押圧した状態で、前記磁石配置孔に樹脂材を注入するとともに前記樹脂材を硬化させる工程である、請求項3に記載のロータの製造方法。
  5. 前記磁石固定工程は、前記ロータコア固定工程の後に、前記一の押圧治具とは異なる他の押圧治具により前記ロータコアの前記端面を押圧した状態で、前記他の押圧治具に設けられる樹脂注入孔を介して前記磁石配置孔に前記樹脂材を注入する工程である、請求項4に記載のロータの製造方法。
  6. 前記シャフトは、第1シャフト部分と、前記第1シャフト部分よりも前記軸方向の一方側および他方側の各々に段差部を介して設けられ、前記第1シャフト部分よりも外径が小さい第2シャフト部分と、を含み、
    前記磁石固定工程は、前記シャフトを支持する第1支持面に前記軸方向の一方側の前記段差部を配置するとともに、前記ロータコアを支持するとともに前記第1支持面と平行に配置される第2支持面に前記ロータコアの前記軸方向の一方側の前記端面を配置した状態で、前記ロータコアの前記軸方向の他方側の前記端面を押圧することにより、前記ロータコアの前記端面に沿った平面と前記シャフトの回転軸線とを直交させた状態で、前記ロータコアの前記磁石配置孔に前記固定部材を配置するとともに前記永久磁石を固定する工程である、請求項3~5のいずれか1項に記載のロータの製造方法。
  7. 前記ロータコア固定工程は、前記磁石配置工程の前に、前記磁石配置孔が中空の状態で前記締り嵌めを行うことにより、前記シャフトを前記ロータコアに固定する工程である、請求項に記載のロータの製造方法。
  8. 前記磁石配置工程の前で、かつ、前記ロータコア固定工程の前に、前記磁石配置孔の変形低減用の治具を前記磁石配置孔に配置する工程をさらに備え、
    前記ロータコア固定工程は、前記治具を前記磁石配置孔に配置した状態で前記締り嵌めを行うことにより、前記シャフトを前記ロータコアに固定する工程である、請求項に記載のロータの製造方法。
  9. 前記シャフトは、第1シャフト部分と、前記第1シャフト部分よりも前記軸方向の一方側および他方側の各々に段差部を介して設けられ、前記第1シャフト部分よりも外径が小さい第2シャフト部分と、を含み、
    前記磁石配置工程は、前記シャフトを支持する第3支持面に前記軸方向の一方側の前記段差部を配置するとともに、前記ロータコアを支持するとともに前記第3支持面と平行に配置される第4支持面に前記ロータコアの前記軸方向の一方側の前記端面を配置した状態で、前記ロータコアの前記軸方向の他方側の前記端面を押圧することにより、前記ロータコアの前記端面に沿った平面と前記シャフトの回転軸線とを直交させた状態で、前記ロータコアの前記磁石配置孔に前記永久磁石を配置する工程である、請求項に記載のロータの製造方法。
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