以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これら複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る印刷システムの全体像を示す全体概要図である。尚、各装置の役割と印刷システムの動作詳細は図2以降で詳述する。
図1において、長方形でない平行四辺形で囲まれた項目はデータを示す。受注システムサーバ110が生成するPRXデータ(品質要求データ)を、ワークフロー管理サーバ100のPRX解析部521が解析し、その解析結果に基づく印刷データ、ジョブチケット、動作設定情報、制御指示が生産システム120に対して送信される。
図2は、実施形態1に係る商業印刷システムの構成を説明する図である。
ワークフロー管理サーバ100は、本発明に係る情報処理装置の一例を示し、商業印刷の商品に関して、ワークフロー全体を管理する。ワークフロー管理サーバ100は、受注システムサーバ110から、印刷データや品質条件情報であるPRXデータを受信する。そして、受注システムサーバ110から受信したPRXデータを解釈して、受注したジョブ毎に、生産システム120の決定や、印刷データのプリプレス処理などを実行する。またワークフロー管理サーバ100は、生産システム120での処理対象となるデータ(図1に記載の印刷データ、ジョブチケット、動作設定情報、制御指示)を生成し、生産システム120を構成する各デバイスに送信する。生産システム120を構成するデバイスについては、後述する。さらにワークフロー管理サーバ100は、各デバイスから取得した情報(図1に記載の制御結果)をもとに、PQXデータを生成し、受注システムサーバ110に送信する。
尚、実施形態1において、ワークフロー管理サーバ100は、ワークフロー管理を行う拠点に設置されるオンプレミスサーバであるものとして説明するが、その限りではない。別の実施形態として、ワークフロー管理サーバ100をクラウドサーバとして構築し、後述のワークフロー管理端末101からは、インターネットを介して接続する構成としてもよい。後述の、受注システムサーバ110も同様である。
ワークフロー管理端末101は、ワークフロー管理者が操作する端末であって、ワークフロー管理サーバ100にネットワークを介して接続し、各種機能を実行する。具体的には、ワークフロー管理機能の設定変更や、生産システム120のデバイスの状態確認などである。
受注システムサーバ110は、商業印刷の商品に関して、エンドユーザから注文を受けるためのシステムを管理する。受注した商品、また、エンドユーザからの注文内容に応じて、印刷用データ、及び、PRXデータを生成し、ワークフロー管理サーバ100へ送信する。
受注システム管理端末111は、受注システム管理者が操作する端末であって、ネットワークを介して受注システムサーバ110に接続し、各種機能を実行する。具体的には、商品別の要求品質設定、受注ジョブごとのステータス確認、受注ジョブごとの成果物の品位情報の閲覧などの機能である。
エンドユーザ端末112は、エンドユーザが操作する端末であって、ネットワークを介して受注システムサーバ110に接続する。そして、ウェブブラウザなどのUIから商品の選択、原稿データの送信、発注などの指示をエンドユーザから受け付け、受注システムサーバ110に送信する。
生産システム120は、エンドユーザから受注した商業印刷における商品(成果物)を、生産するためのシステムである。詳細には、印刷装置121、印刷装置121を制御するプリントサーバ122、後処理加工装置123、検品装置124などの装置を含んでいる。印刷装置121とプリントサーバ122は、ネットワーク、または、専用のインターフェースにより接続される。
実施形態1では、後処理加工装置123、検品装置124は、他のデバイスとネットワークで接続されるニアライン構成であるものとして説明する。但し、本発明はその限りではなく、単独で稼働するオフライン構成でもよい。オフライン構成の場合は、ネットワークと接続可能な不図示の操作端末と接続し、操作端末を介してネットワークと接続する。いずれの場合も、ネットワーク経由で、ワークフロー管理サーバ100と接続し、各種情報の送受信を行う。また生産システム120は、プリントサーバ122、後処理加工装置123、検品装置124のいずれか、または全てを含まない構成の場合もある。
印刷装置121は、ワークフロー管理サーバ100からのデータと指示に基づき、印刷処理を実行する。印刷方式は特に限定されることはなく、電子写真方式、インクジェット方式、その他の方式のいずれでもよい。生産システム120の管理者、或いは、オペレータは、印刷装置121のUI(ユーザインタフェース)を介して、印刷に関する制御を指示することが可能である。
プリントサーバ122は、印刷装置121を制御するサーバである。一般的な印刷システムと同様に、生産システム120の管理者、或いは、オペレータは、プリントサーバ122のUIを介して、印刷に関する制御を指示することが可能である。
尚、実施形態1では、図5を参照して後述する色管理部545は、プリントサーバ122が有するものとして説明するが、その限りではない。例えば、プリントサーバ122、印刷装置121とネットワークを介して接続可能な、色管理サーバ(不図示)を別途設置し、色管理に関する処理を色管理サーバが実施する形態でもよい。
後処理加工装置123は、印刷済みの用紙、用紙束に対して、後処理加工を施す。例えば、用紙への筋付け(クリース)や折り、或いは、用紙束に対する断裁、製本処理などである。
検品装置124は、最終成果物、或いは、中間成果物に対して、不具合を検知し、ユーザへの通知や、生産ラインからの除外などの処理を実行する。
生産オペレータ端末125は、上述の生産システム120の各種デバイスを操作するオペレータが使用する端末である。生産オペレータ端末125は、デバイスの稼働状況の確認、異常発生時のエラー情報の確認などの機能を有する。別の形態として、外部の端末ではなく、生産システム120の各デバイスが具備するUI操作部が、これらの機能を担う構成でもよい。
次に、実施形態1に係る各種装置のハードウェア構成を説明する。
図3は、実施形態1に係るワークフロー管理サーバ100とワークフロー管理端末101とを含む、ワークフロー管理システムのハードウェア構成を説明するブロック図である。
まず、ワークフロー管理サーバ100のハードウェア構成を説明する。
CPU201は、ROM202又はハードディスク(HDD)204に記憶された制御プログラムをRAM203に展開し、その展開したプログラムを実行してシステムバス206に接続される各種のデバイスとのアクセスを総括的に制御する。ROM202は、CPU201が実行可能な制御プログラム等を記憶している。RAM203は、主としてCPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAM203によりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。ハードディスク(HDD)204は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル等を記憶する。尚、実施形態1では、HDD204を用いたが、HDDの他にSDカードや、フラッシュメモリなどを外部記憶装置として利用してもよい。これは、以降に説明するHDDを有する装置も同様である。ネットワークI/F205は、ネットワークを経由して、各種装置とデータ通信を行う。尚、受注システムサーバ110の場合も、そのハードウェア構成はワークフロー管理サーバ100と同様であるため、その説明は省略する。
次に、ワークフロー管理端末101のハードウェア構成を説明する。
CPU221は、ROM222又はハードディスク(HDD)224に記憶された制御プログラムをRAM223に展開し、その展開したプログラムを実行してシステムバス226に接続される各種のデバイスとのアクセスを総括的に制御する。ROM222は、CPU221が実行可能な制御プログラム等を記憶している。RAM223は、主としてCPU221の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAM223によりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。ハードディスク(HDD)224は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル等を記憶する。ネットワークI/F225は、ネットワークを経由して、その他の装置とデータ通信を行う。尚、受注システム管理端末111、エンドユーザ端末112、そして、生産オペレータ端末125などの、その他の端末装置も、そのハードウェア構成はワークフロー管理端末101と同様であるため、それらの説明を省略する。
図4は、実施形態1に係る生産システム120のハードウェア構成を説明するブロック図である。
プリントサーバ122のCPU301は、ROM302又はハードディスク(HDD)304に記憶された制御プログラムをRAM303に展開する。そして、CPU301は、その展開したプログラムを実行してシステムバス306に接続される各種のデバイスとのアクセスを総括的に制御する。ROM302は、CPU301が実行可能な制御プログラム等を記憶している。RAM303は、主としてCPU301の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。ハードディスク(HDD)304は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル等を記憶する。ネットワークI/F305は、ネットワークを経由して、その他の装置とデータ通信を行う。プリンタI/F307は、印刷装置121の画像形成部321への画像出力を制御する。またプリンタI/F307は、印刷装置121内部に備わる測定部322を制御し、その測定結果を受信する。
印刷装置121は、少なくとも印刷動作を担う画像形成部321と、後述する測定部322を有している。他にも、不図示の給紙装置や、インラインの後処理装置が接続された構成でも構わない。画像形成部321は、印刷用データを用紙に出力する。そのハードウェア構成は、一般的な印刷装置121と同じである。
測定部322は、プリントサーバ122、或いは、印刷装置121自体の指示に従い、画像形成部321が生成する印刷物を測定する。その測定形式は、分光測色、濃度測定、CCSスキャン、CISスキャンなどの既知の測定形式である。尚、実施形態1では、測定部322は、印刷装置121内に設けられるものとして説明するが、その限りではない。例えば印刷装置121とは独立して、測定部322単体でネットワークに接続する構成でもよい。或いは、ネットワークに接続可能な不図示の操作端末と接続し、その操作端末を介してネットワークに接続してもよい。いずれの場合も、ネットワーク経由で、ワークフロー管理サーバ100と接続し、各種情報の送受信を行う。
次に、実施形態1に係る各種装置のソフトウェア構成を説明する。
図5(A)は、実施形態1に係る受注システムサーバ110のソフトウェア構成を説明するブロック図である。これらのソフトウェアモジュールは、受注システムサーバ110のHDD(不図示)にプログラムとして格納され、受注システムサーバ110のCPU(不図示)が、そのプログラムをRAM(不図示)に展開して実行することにより実現される。
受注部501は、ネットワークを介して、エンドユーザ端末112から商品の注文情報を受信する。注文情報とは、商品種別の情報、入稿された画像データ、品質に係る要求情報などが含まれる。尚、実施形態1では、入稿データとして、PDF形式データを例に説明するがその限りではない。生産システム120が解釈可能な、その他の一般的な形式の画像データを扱う形態でもよい。
PQX制御部502は、ワークフロー管理サーバ100からPQXデータを受け取り、所定の制御を行う。例えば、データベースへの記録、エンドユーザへ提示する情報への変換処理、などである。PRX生成部503は、受注部501から受信した注文情報を解析してPRXデータを生成する。また、生成したPRXデータを、ワークフロー管理サーバ100へ送信する。
データ管理部504は、注文情報、PRXデータ、PQXデータなどの情報を記録する。また、データ管理部504は、入稿された画像データ、商品種別情報、及び、PRXデータをワークフロー管理サーバ100へ送信する。更にデータ管理部504は、各種装置との間の、その他のデータ送受信を実行する。
図5(B)は、実施形態1に係るワークフロー管理サーバ100のソフトウェア構成を説明するブロック図である。これらのソフトウェアモジュールは、ワークフロー管理サーバ100のHDD204にプログラムとして格納され、CPU201が、そのプログラムをRAM203に展開して実行することにより実現される。
PRX解析部521は、受注システムサーバ110から受信したPRXデータを解析し、印刷品質要件や必要とされるプリプレス処理の一部を特定する。例えば、印刷品質要件とは、所定の色パッチの測定結果から得られる平均色差が、特定の基準内に収まっていることである。またプリプレス処理とは、例えば、画像データの余白部に、色品位確認処理で測色対象となる、前記色パッチ画像を追加する、などの処理である。
工程管理部522は、受注システムサーバ110から受信した商品種別情報、及び、PRX解析部521の解析結果を示す情報を用いて、生産システム120の決定や、プリプレス制御部524への命令を実行する。商品種別によっては、商品が複数種のパーツから構成される場合がある。この場合、工程管理部522は、1つの注文から、パーツ単位でジョブを生成する必要がある。また工程管理部522は、生産システム120での各デバイスが参照するジョブチケットデータを生成する。実施形態1では、ジョブチケットデータとして、既知のJDFデータを用いて説明するが、その限りではない。生産システム120が解釈可能な、その他の既知のジョブチケットデータ形式を用いる構成でもよい。また、工程管理部522は、印刷品質要件の情報を参照し、後処理加工装置123や検品装置124の動作設定情報を生成する。更に、工程管理部522は、後述のプリプレス処理後のPDFデータ、JDFデータ、及び、各デバイスの動作設定情報を、生産システム120へ送信する。
PQX生成部523は、生産システム120から受信した各種情報を参照し、PQXデータを生成し、これを受注システムサーバ110へ送信する。詳細は後述する。
プリプレス制御部524は、工程管理部522からの指示に基づき、入稿画像データに対してプリプレス処理を実行し、処理後のPDFデータを工程管理部522へ送信する。
データ管理部525は、受注システムサーバ110へPQXデータを送信する。また、データ管理部525は生産システム120へPDFデータ、JDFデータ、そして、生産システム120を構成する各種装置に対する指示情報を送信する。更に、データ管理部525は、各種装置との間で、その他のデータ送受信を実行する。
調整テーブル管理部526と調整処理登録部527、及び後述する生産システム120が備える調整制御部546は、生産システム120が実行可能な、印刷品質要件に関連した品質確認処理とその調整処理を取り扱う。印刷品質要件に関する調整処理の例として、用紙の表裏における印刷画像位置を適切な位置に合わせるための表裏レジ調整処理がある。その他に、印刷結果の色の正確性、多数のページを印刷する間の印刷色の変動を小さくし、安定性を確保するためのキャリブレーション処理がある。実施形態に係る調整機能は、エンドユーザが実行指示、或いは事前の実行スケジュールや実行条件設定を行えるものであっても良いし、内部的な機器のクリーニング処理のようにエンドユーザによる実施判定が不要なものであっても良い。このような調整処理は、印刷成果物の品質を高める目的で行われる。
調整テーブル管理部526は、調整テーブルを管理する役割を担う。この調整テーブルは、識別情報と品質確認処理、品質確認処理後に達成すべき条件(実施形態では閾値と記載)、閾値が達成できていない場合に実行するべき調整処理が他にあれば、その調整処理名称(実施形態ではNG時の調整処理と記載)を記録する。
調整処理登録部527は、PRX解析部521により解析されたPRXデータを基にして、生産システム120で行うべき一連の品質確認処理を決定する処理を担う。調整処理登録部527はまた、決定した一連の品質確認処理内容を識別情報とともに生産システム120に対して登録する。
図5(C)は、実施形態1に係る生産システム120のソフトウェア構成を説明するブロック図である。これらのソフトウェアモジュールは、生産システム120を構成する各種デバイスにおいて、プリントサーバ122のHDD304にプログラムとして格納され、CPU301が、そのプログラムをRAM303に展開して実行することにより実現される。尚、生産システム120は印刷装置121、プリントサーバ122、後処理加工装置123、検品装置124を含むが、実施形態1では、これら4つのハードウェアを、生産システム120という一つのハードウェアとみなして説明する。
印刷制御部541は、ワークフロー管理サーバ100から受信した情報(PDF,JDF)を用いて、印刷制御を実行する。また印刷制御部541は、印刷品位を調整する調整機能も有しており、ワークフロー管理サーバ100、プリントサーバ122、或いは、生産オペレータ端末125のいずれかから受信した制御指示に応じて、調整機能を実行する。また印刷制御部541は、測定制御部5411を有する。測定制御部5411は、ワークフロー管理サーバ100、プリントサーバ122、或いは、オペレータ端末のいずれかから受信した制御指示に応じて、測定部322による測定制御を実行する。
後処理加工制御部542は、ワークフロー管理サーバ100から受信した制御指示に応じて、後処理加工制御を実行する。
検品制御部543は、ワークフロー管理サーバ100から受信した制御指示に応じて、検品装置124による検品制御を実行する。検品制御部543は、検品装置124内のセンサで読み取った画像データと、基準となる画像データとを比較する。その比較の結果、所定の許容範囲を超える差分が検知された場合は、検品対象物を欠陥として特定し、例えば、ユーザへの通知などの、所定の制御を行う。
データ管理部544は、ワークフロー管理サーバ100へ、生産システム120の各種デバイスの制御結果などの情報を送信する。更にデータ管理部544は、各種装置との間の、その他のデータ送受信を実行する。尚、データ管理部544は、各デバイスに個別に備わる形態でもよい。
色管理部545は、印刷装置121とプリントサーバ122による出力物の色品質を管理する。具体的には、既知の色調整処理や色品位確認処理の制御を行う。
調整制御部546は、ワークフロー管理サーバ100が備える調整処理登録部527から識別情報とともに通知された、印刷品質要件に関する生産システムの品質確認処理内容を生産システムに120登録する。調整制御部546はまた、ワークフロー管理サーバ100から印刷ジョブとともに前記識別情報を受信した場合には、予め登録された、その識別情報に対応する一連の品質確認処理を呼び出して実行する制御を担う。
図6は、実施形態1に係る印刷システムにおける処理の流れを説明するシーケンス図である。
601で、受注システムサーバ110の受注部501は、エンドユーザからの注文を受注する。この注文の内容としては、印刷データとしてのPDFと、成果物に関する商品種別が含まれる。商品種別とは、受注システムサーバ110が予め定義している成果物の種類を表す情報である。例えば、「フォトブック」と「名刺」という2つの商品種別を受注システムサーバ110が定義しているとする。「フォトブック」という商品種別は、仕上がりサイズ「A5」、製本種類「無線綴じ」、本文の用紙種類「光沢紙」、本文仕上げ「ラミネート加工」という成果物の種類を表す。「名刺」という商品種別は、仕上がりサイズ「名刺」、製本種類「なし」、用紙種類「上質紙」という成果物の種類を表す。このような商品種別を設けることで、受注システム、ワークフロー管理サーバ100、生産システム120で生産する商品の種類を定義する。尚、実施形態1では、エンドユーザが「フォトブック」を選択したとして説明する。また実施形態1では、受注システムサーバ110が商品種別を定義している構成として説明するが、その限りではなく、エンドユーザからの注文を営業が手動で入力するような構成にしてもよい。
次に602で、受注システムサーバ110のPRX生成部503は、601で受注部501から受信した商品種別からPRXを生成する。まず、本処理で生成するPRXについて概要を説明する。
図9は、実施形態1に係るPRXデータの一例を示す図である。
図9に例示されるように、PRXは「QualitySpecification」などの品質に対する要求を含んでいる。「QualityGoals」は、色、レジ、バーコードなどの品質仕様及び評価基準を含むフィールドを有している。「Color」は色のスコア計算方法やスコア基準等を表す。「Registrarion」は、レジのスコア計算方法やスコア基準等を表す。「ScoringInfo」は、印刷品質のスコアやグレードを特定するためのバイヤーが指定した計算式の情報を表す。「MinimumAcceptableRank」は、許容可能な最低品質ランクを表す。実施形態1では「QualityGoals」の一部分を使用する構成として説明するが、その限りでなく、PRXの他のフィールドを使用するような構成にしてもよい。第一の「QualityGoals」の例として、印刷制御部541による色変動検査がある。図5で説明したように、印刷制御部541は測定制御部5411を有しており、生産しながら生産システム120の色変動を監視することができる。印刷色基準の一例としてJapanColorがある。この基準を満たしている生産システム120は、印刷物の品質が一定以上であることが証明できる。
実施形態1では、ジョブ毎にJapanColorの基準相当を満たしていることを確認することで、色変動の検査を行う。生産システム120が生産した印刷物の測色値と、JapanColor規定値との色差ΔE00(CIE DE2000)の平均値によって色変動を検査する。この場合の「Color」のパラメータ記載例を述べる。「ComplianceGoal」に、スコア計算式である「JapanColor dE(CIE DE2000)」を記載する。「ScoringInfo」に、許容可能な最低品質ランクと目標品質ランクを記載する。「MinimumAcceptableRank」に、許容可能な最低品質ランクを記載する。図示の例では、最低品質ランクとして「5」を定義している。「DesiredRank」に、目標品質ランクを記載する。図示の例では、目標品質ランクとして「6」を定義している。「ColorScoringScale」に、スコア計算式によって求めたスコアの、PRXにおける品質ランクを記載する。PRXにおける品質ランクは、数値が高いほど品質が高いことを表す。図示の例では、dE(CIE DE2000)の計算結果が「2以下」の場合をランク「7」と定義している。また、その計算結果が「2を超える、かつ、3以下」の場合をランク「6」と定義している。また計算結果が「3を超える、かつ、5以下」の場合をランク「5」と定義している。
第二の「QualityGoals」の例として、印刷制御部541による表裏レジずれ検査がある。印刷制御部541は測定制御部5411を有しており、生産しながら生産システム120の表裏レジずれ変動を監視することができる。この場合の「Registration」のパラメータ記載例を述べる。「ScoringInfo」と「MinimumAcceptableRank」と「DesiredRank」は、「Color」の説明と同様の意味である。図示の例では、最低品質ランクレベルとして「6」を、目標品質ランクとして「7」を定義している。「ColorScoringScale」に、スコア計算式によって求めたスコアの、PRXにおける品質ランクを記載する。PRXにおける品質ランクは、数値が高いほど品質が高いことを表す。図示の例では、表裏レジのずれ量が「1mm以下」の場合をランク「8」と定義している。また、ずれ量が「1mmを超え、かつ、2mm以下」の場合をランク「7」と定義している。また、ずれ量が「2mmを超え、かつ、4mm以下」の場合をランク「6」と定義している。
ここまでで説明した品質基準を表すようなPRXは、PRX生成部503が固定的な基準値として保持していることとして説明する。PRX生成部503は、601で受信した商品種別からPRXを生成する。実施形態1では、PRX生成部503は、商品種別によってMinimumAcceptableRankを決定する。例えば、「フォトブック」という商品種別の場合は、「Color」の「MinimumAcceptableRank」を「5」に、「Registration」の「MinimumAcceptableRank」を「6」に設定する。そうすることで、PRXを受けた各モジュールは、印刷の品質要求を解釈できるようになり、品質要求に応じた処理が可能となる。
次に603で、受注システムサーバ110のデータ管理部504は、エンドユーザから受注したPDF及び商品種別と、PRX生成部503が生成したPRXを、ワークフロー管理サーバ100のデータ管理部504へ送信する。
これにより604で、ワークフロー管理サーバ100のPRX解析部521は、データ管理部525が受信したPRXを基に、印刷品質要件とプリプレス処理の内容を決定する。「Color」の情報から、「印刷制御部541で、ΔE00の検査を行う。最低品質ランクはΔE00が5以下」という印刷品質要件が解析される。また「Registration」の情報から、「印刷制御部541で、表裏レジずれの検査を行う。最低品質ランクはずれ量が4mm以下」という印刷品質要件が解析される。更に、PRX解析部521は、印刷品質要件に応じて、プリプレス処理の有無を判定する。前述の「印刷制御部541で、ΔE00の検査を行う。最低品質ランクはΔE00が5以下」という印刷品質要件を実施するためには、生産システム120による指定チャートの印刷と、そのチャートの測色が必要となる。
実施形態1では、用紙の端にパッチを差し込み、生産システム120に内蔵されている測定制御部5411によって、そのパッチを測色することで色変動検査を行う。具体的には、PDFに対してJapanColor認証用のチャート(例えば54個のパッチ)を埋め込む処理が必要となる。そのため、PRX解析部521は、このパッチ埋め込み処理を、プリプレス処理の実行時に必要な追加処理として、処理の内容を保持する。また、実施形態1では、パッチを差し込む処理が必要な場合を例に説明したが、その限りでなく、パッチのみを配置したパッチチャートを生成して測色するような形態であっても良い。この場合、プリプレス処理実行時に追加で実行させるよう構成する必要はなく、生産システムが備える色管理部においてパッチチャートを生成してパッチの読み取りを実行する形態であっても良い。この時、PRX解析部521は、工程管理部522に対し、生産システム側でパッチチャートを生成して読み取りを行わせるような指示が出せるよう、工程管理部522に対する指示の内容を保存する。
次に605で、ワークフロー管理サーバ100の工程管理部522は、ワークフロー管理サーバ100に接続されている複数の生産システム120の中から、実際に生産を行う生産システム120を決定する。ここで、ワークフロー管理サーバ100の工程管理部522は、603で受信した商品種別と、604で決定した印刷品質要件とを基に決定を行う。例えば、フォトブックの場合、生産システム120による印刷、製本後に綴じ辺以外の断裁が行われる。また無線綴じが行われるフォトブックの場合、表紙の用紙の大きさは、本文の用紙の2倍の大きさが必要となる。従って、仕上がりサイズにA5、本文の用紙種類に光沢紙が指定されているようなフォトブックの場合、印刷後の断裁と、表紙用のA4サイズ用紙への印刷を考慮する必要がある。このときは、A4サイズ以上の光沢紙への印刷に対応できる生産システム120が工程管理部522によって選択される。また、フォトブックの表紙としてハードカバーが設定されており、前述で選択された生産システム120で印刷できない場合がある。その場合は、PDFを表紙と本文に分割し、表紙用のジョブと本文用のジョブを複数の生産システム120で印刷するようにしてもよい。
尚、ワークフロー管理サーバ100の管理下にある生産システム120の印刷能力は、データ管理部525が保持しており、工程管理部522は必要に応じてデータ管理部525から印刷能力を取得できるものとする。また実施形態1では、使用可能な用紙と品質要求を満たすことが可能かどうか、という観点で生産システムを決定しているが、本発明はこの限りではない。例えば、印刷ジョブの出力枚数(部数)と、生産システムの生産性から決定するように構成してもよい。
以降の607~610については、図6においてワークフロー管理サーバ100と生産システム120のシーケンスを説明した後、図7においてワークフロー管理サーバ100のフローチャートを用いて説明する。
606で、ワークフロー管理サーバ100の調整テーブル管理部526は、PRXから品質確認処理と識別情報を決定する。品質確認処理と識別情報の決定方法詳細は図7を参照して後述する。品質確認処理と識別情報は、図10に示す調整テーブル1000で管理される。
図10は、実施形態に係る調整テーブルのデータ構成を説明する図である。実施形態1では図10(A)に示す調整テーブルのみを用いる。図10(B)は他の実施形態で用いる。
図10(A)において識別情報1001は、ジョブ毎に区別できるように、調整テーブル内で一意となるように生成される情報である。識別情報の例として、後述する調整処理セットの調整名称(調整セットA)や、調整処理セットを行うジョブ名称(ジョブ2)を用いる。品質確認処理1002は、生産システム120で実行する品質確認処理の名称を表す。図10(A)の例では、「調整セットA」にて「JapanColorVerification」と「表裏レジVerification」を実行することを示している。閾値1003は、品質確認処理1002に応じて実行した品質確認処理結果の許容量(閾値)を表す。図10(A)の「調整セットA」の例では、「JapanColorVerification」は「dE 5以下」が許容量であることを表わしている。また「表裏レジVerification」は、「ずれ量4mm以下」が許容量であることを表す。NG時の調整処理1004は、品質確認処理1002に記載された品質確認処理による結果が、閾値1003を満たさなかった場合に、生産システム120が実行する調整処理の名称を表す。図10(A)の「調整セットA」の例では、「JapanColorVerification」で「dE 5以下」を満たさなかった場合、「JapanColorCalibration」を実行する。「表裏レジVerification」で「ずれ量4mm以下」を満たさなかった場合、「表裏レジフルオート調整」を実行する。
次に607で、ワークフロー管理サーバ100の調整処理登録部527は、606で調整テーブル管理部526が作成した識別情報と品質確認処理を、生産システム120に登録する。
そして608で、生産システム120の調整制御部546は、ワークフロー管理サーバ100から受け取った識別情報と品質確認処理を、調整実行テーブル1100に登録する。この調整実行テーブルは、生産システム120が保持しており、ワークフロー管理サーバ100によって登録された品質確認情報と、生産システム120が付加する実行デバイス1101が含まれている。調整実行テーブルについて、図11(A)を参照して説明する。
図11(A)は、実施形態1に係る調整実行テーブル1100のデータ構成例を示す図である。
608で、ワークフロー管理サーバから受け取った識別情報と品質確認処理が管理されている。図中の識別情報1001、品質確認処理1002、閾値1003、NG時の調整処理1004は、図10(A)と同一の情報なので、その説明を省略する。実行デバイス1101は、品質確認処理1002をどの装置が実行するかを示すデータである。ここでは、「JapanColorVerification」をプリントサーバ122が、「表裏レジVerifiation」を印刷装置121が実行することが示されている。調整制御部546は、図13に示す能力値テーブル1300を参照して実行デバイス1101を決定する。そのため先に図13の説明を行う。
図13は、実施形態1に係る能力値テーブル1300の一例を説明する図である。
この能力値テーブル1300は、生産システム120が備える各装置が、どのような品質確認処理1002、NG時の調整処理1004を備えるかを示すテーブルである。装置名称1301は、各処理を実行できる装置名称を指す。自動実行フラグ1302は、装置名称1301で示された装置が、品質確認処理1002及びNG時の調整処理1004を共に自動実行可能か否かを示すフラグである。ここで自動実行とは、品質確認処理1002やNG時の調整処理1004の実行開始から完了までの間、エンドユーザが作業を行う必要がないことを示す。例えば、表裏レジ調整において、印刷装置121がずれ量の確認のためのテストチャートを印刷し、装置に備え付けられた画像読取センサが印刷されたテストチャートを読み取る形式の場合、自動実行であり自動実行フラグは「Yes」となる。一方、同種の目的を持つ調整処理であっても、エンドユーザが印刷されたテストチャートを画像読取センサ、例えば図示しないスキャナに設置する手順である場合がある。このような場合は調整処理の実施にエンドユーザの作業が必要になるため、自動実行ではなく自動実行フラグは「No」となる。
また、図13に示すように品質確認処理が同一であっても、NG時の調整処理が複数存在する場合もある。例えば、図13は「JapanColorVefirication」に対するNG時の調整処理を2つ示している。「JapanColorCalibration」はプリントサーバが備えるJapanColor用の出力プロファイルに関する装置内部の色調整である。これに対して「JapanColor出力プロファイル再作成」は、出力プロファイル自体を作成し直すことを指す。プリントサーバ又は印刷装置の状態が大きく変わった場合には、このような手段が調整処理として必要になることがある。出力プロファイルの作成には、エンドユーザによる測色作業が発生することがあり、その場合は図13に記載のように自動実行フラグは「No」となる。一般的に、自動実行可能な調整処理は、短時間または小規模な調整で、不可能な調整処理は長時間を要する高精度な調整であることが多い。以上で図13の説明を終え、図11(A)に戻る。
調整制御部546は、図13を参照して、品質確認処理1002及びNG時の調整処理1004に対応する装置名称1301を抽出し、調整実行テーブル1100の実行デバイス1101に記載する。
次に609に進み、ワークフロー管理サーバ100の工程管理部522は、604で決定した印刷品質要件とプリプレス処理を利用して、印刷データやJDFから構成される印刷ジョブを生成する。
そして610で、ワークフロー管理サーバ100の工程管理部522は、印刷ジョブと識別情報を、生産システム120へ投入する。ここで印刷ジョブとは、604で決定した印刷品質要件とプリプレス処理から作成した印刷データを表す。また識別情報は、606で、調整テーブル管理部526が作成し、調整テーブル1000に保存した識別情報を表す。
次に611で、生産システム120の調整制御部546は、調整実行テーブル1100を参照し、610でワークフロー管理サーバ100から受け取った識別情報を基に、実行する品質確認処理を決定する。その後、調整制御部546は、決定した品質確認処理を実行する。調整制御部546は、調整実行テーブル1100上の実行デバイス1101を参照し、記載された装置に対して品質確認処理の実行命令を行う。
そして612で、生産システム120の印刷制御部541は、610でワークフロー管理サーバ100から受け取った印刷ジョブを実行する。ここでは受け取った印刷データやJDFに従って、用紙への印刷や後処理加工を実行する。次の613,614は、この実施形態1では説明せず、他の実施形態で使用する。
図7は、本発明の実施形態1に係るワークフロー管理サーバ100による制御処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、ワークフロー管理サーバ100が生産システムを決定(605)した後に呼び出される。尚、この処理を実行するプログラムは、ROM202から読み出されRAM203に展開されており、CPU201がこの制御プログラムを実行することにより、このフローチャートで示す処理が実行される。尚、図中の参照番号606,607,609,610は、図6のシーケンス図に該当する処理を示す。
先ずS701でCPU201は調整テーブル管理部526として機能し、PRXに品質確認処理が記載されているか否かを判定する。確認用のテーブルとして、データ管理部525は、例えば図11(B)に示すPRX-調整処理対応テーブル1110を保持している。
図11(B)は、実施形態1に係るPRX-調整処理対応テーブルを説明する図である。
PRXパラメータ1111は、図6の604で解析するPRXに含まれるパラメータ(要素)を表す。パラメータ値1112は、PRXパラメータ1111に記載されている値を表す。PRXパラメータ1111では「ComplianceGoal」のみが記載されているが、PRXに準拠するパラメータであれば、その限りでない。
品質確認処理1113は、PRXパラメータ1111の値が、パラメータ値1112であった場合に、生産システム120が実行する品質確認処理の名称を表す。NG時の調整処理1114は、生産システム120が品質確認処理1113を実行し、その実行した結果が閾値(最低品質ランク)を上回らなかった場合に実行する調整の名称を表す。例えば、PRX-調整処理対応テーブル1110の1行目(1115)が示している対応を説明する。PRX内の「ComplianceGoal」が「JapanColor dE(CIE DE2000)」だった場合は、「JapanColorVerification」を行う。そして「JapanColorVerification」の品質が、閾値(最低品質ランク)を上回らなかった場合は、「JapanColorCalibration」を行うことを示している。説明をS701の処理に戻す。
S701で、調整テーブル管理部526が図9に示したPRXの解析結果と、図11(B)のPRX-調整処理対応テーブル1110とを照合する。「ComplianceGoal」には「JapanColor dE(CIE DE2000)」と「FrontAndBackRegistration」が存在することが分かる。この場合は、PRXに品質確認処理が記載されていると判定してS702へ進む。一方、不図示のPRXの解析結果と、PRX-調整処理対応テーブルを照合した際に、一致するパラメータがなかった場合はS706へ進む。
S702でCPU201は調整テーブル管理部526として機能し、S701での照合結果をもとに、生産システム120で実行する品質確認処理と、その閾値を決定する。図9に示したPRXでは、「ComplianceGoal」に「JapanColor dE(CIE DE2000)」と「FrontAndBackRegistration」が存在する。このパラメータ値とPRX-調整処理対応テーブル1110を照合すると、行1115と行1116が一致している。従って、生産システム120で「JapanColorVerification」を実行し、閾値を満たさなかった場合は「JapanColorCalibration」を実行する。また「表裏レジVerification」も実行し、閾値を満たさなかった場合は「表裏レジフルオート補正」を実行する。
尚、図9に示したPRXでは、「JapanColor dE(CIE DE2000)」の「MinimumAcceptableRank」は「5」である。このランク「5」は「ParameterScore Rank=“5”」のパラメータ値より、dEが「3を超える、かつ、5以下」の品質ランクである。従って、閾値は「dE 5以下」と判定できる。同様にして、「FrontAndBackRegistration」の閾値は「ずれ量4mm以下」と判定できる。こうして判定した情報をまとめると、生産システム120では、「JapanColorVerification」を実行し、閾値「dE5以下」を満たさなかった場合は「JapanColorCalibration」を実行する。また「表裏レジVerification」も実行し、閾値「ずれ量4mm以下」を満たさなかった場合は「表裏レジフルオート補正」を実行する。
次にS703に進みCPU201は調整テーブル管理部526として機能し、S702で決定した品質確認処理に対して識別情報を生成して、図10(A)の調整テーブル1000に追加する。前述の「JapanColorVerification」と「FrontAndBackRegistration」には「調整セットA」という識別情報を生成し、行1005で示すように調整テーブル1000に追加する。
次にS704に進みCPU201は調整処理登録部527として機能し、S703で調整テーブル管理部526が作成した識別情報と品質確認処理を、605で決定した生産システム120に登録する。登録時の生産システム120の処理は、図8を参照して後述する。
次にS705に進みCPU201は調整テーブル管理部526として機能し、印刷ジョブと、S703で生成した識別情報とを対応付けて保存する。ここでは図11(C)に示すような印刷ジョブ-識別情報対応テーブル1120を用意する。
図11(C)は、実施形態1に係る印刷ジョブ-識別情報対応テーブル1120の一例を示す図である。
このテーブル1120では、印刷ジョブ名1121と識別情報1122とを対応付けて保存する。「ジョブ1」という印刷ジョブに対して前述の「調整セットA」を対応付ける際は、行1123に示すように追加する。
次にS706に進みCPU201は、604でPRX解析部521が解析したプリプレス処理の内容等を利用して、印刷データやJDFから構成される印刷ジョブを生成する。この印刷ジョブは、ワークフロー管理サーバ100が生産システム120に対して送信する生産システム向けの印刷ジョブである。生産システム向け印刷ジョブにおける印刷データやJDFは、図6のシーケンス図の603において、受注システムサーバ110からワークフロー管理サーバ100に対して送信された印刷ジョブに含まれる印刷データやJDFが基となっている。
次にS707に進みCPU201は調整テーブル管理部526として機能し、印刷ジョブ-識別情報対応テーブル1120を参照し、S706で生成した印刷ジョブに対応付けられた識別情報があるか否かを判定する。図11(C)の例では、「ジョブ1」に関しては行1123が該当するため、識別情報があると判定できる。印刷ジョブに対応付けられた識別情報がある場合はS708へ進む。一方、印刷ジョブに対応付けられた識別情報がない場合はS709へ進み、印刷ジョブだけを生産システム120へ送信する。
S708でCPU201は調整テーブル管理部526として機能し、生産システム向け印刷ジョブに識別情報を付与する。図11(C)の印刷ジョブ-識別情報対応テーブル1120の行1123では、印刷ジョブ「ジョブ1」に対して、識別情報「調整セットA」が対応付けられている。従って、調整テーブル管理部526は、生産システム向け印刷ジョブ名を「ジョブ1」とし、識別情報「調整セットA」を付与する。この識別情報が生産システム向けの印刷ジョブに含まれて生産システム120に伝達される。
最後にS709でCPU201は工程管理部522として機能し、605で決定した生産システム120に印刷ジョブを送信する。この際、S708で印刷ジョブに識別情報が付与されている場合は、その識別情報も同時に送信する。
図8は、実施形態1に係る生産システム120による制御処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、ワークフロー管理サーバ100が印刷ジョブを生産システム120へ送信(610,S709)した後に呼び出される。尚、この処理を実行するプログラムはRAM303に展開されており、CPU301がこの制御プログラムを実行することにより、このフローチャートで示す処理が実行される。尚、図中の参照番号611,612は、図6のシーケンス図に該当する処理を示す。
図8(A)は、生産システム120の調整制御部546が行う統括処理を説明するフローチャートで、図8(B)は、図8(A)の処理を受けて生産システム120における各装置が実行する処理を説明するフローチャートである。
S801でCPU301は調整制御部546として機能し、ワークフロー管理サーバ100から受信(610,S709)した印刷ジョブに識別情報が付与されているか否かを判定する。ここで識別情報が付与されていると判定したときはS802へ進む。一方、識別情報が付与されていないと判定したときはS808へ進む。
S802でCPU301は調整制御部546として機能し、その印刷ジョブに付与された識別情報と調整実行テーブル1100とを照合し、実行する品質確認処理を決定する。ここで例えば、ワークフロー管理サーバ100から印刷ジョブ「ジョブ1」と識別情報「調整セットA」を受信した場合、調整実行テーブル1100の行1005(図11(A))を参照し、「ジョブ1」の実行前に「調整セットA」を実行することを決定する。前述したように、調整制御部546は図6の608で調整実行テーブル1100の作成を行っている。従って、このS802の実行時には、各品質確認処理に対して実行デバイスが対応づけられている。
次にS803に進みCPU301は調整制御部546として機能し、S802で決定した品質確認処理の実行を各装置に対して指示する。各装置とは、調整実行テーブル1100に記載された実行デバイス1101に記載された装置である。
次に図8(B)に進む。図8(B)の部分は生産システム120が備える各装置で並列に実施される場合がある部分である。そのためフローチャートも図8(A)と分けて記載する。
S804で、各装置が備える調整制御部546は、S802で決定した品質確認処理を実行する。この品質確認処理は、単数であっても複数であってもよい。図11(A)の調整実行テーブル1100の「調整セットA」の例では、「JapanColorVerification」と「表裏レジVerification」が登録されているので、この2つの品質確認を実行する。各品質確認処理は、調整実行テーブルに記載の実行デバイスが行う。ここでは図11(A)に記載のように、「JapanColorVerification」をプリントサーバ122が、「表裏レジVerification」を印刷装置121が実行するものとする。
次にS805に進み各装置のCPUは調整制御部546として機能し、S803で実行した品質確認処理の結果が、最低品質ランク(閾値)を満たしているか否かを判定する。調整実行テーブル1100の「調整セットA」の例では、「JapanColorVerification」の結果が、最低品質ランク「dE 5以下」を満たしているか否かを判定する。同様に、「表裏レジVerification」の結果が最低品質ランク「ずれ量4mm以下」を満たしているか否かを判定する。ここで最低品質ランクを満たしていないと判定したときはS806へ進む。最低品質ランクを満たしていると判定したときはS807へ進み、調整処理の完了通知を行う。
S806で各装置のCPUは調整制御部546として機能し、S804にて最低品質ランクを満たしていない品質項目に関して、調整実行テーブル1100のNG時の調整処理1004を参照して、調整処理を実行する。図11(A)の調整実行テーブル1100の例では、S804にて「JapanColorVerification」の結果が「dE 6」であった場合、NG時の調整処理1004を参照し、「JapanColorCalibration」を実行する。この「JapanColorCalibration」を実行することで、色変動が補正され、生産システム120の品質ランクを最低品質ランク以上に補正することができる。その後、S807に進み、調整処理の完了通知を行う。
このように品質確認処理及びNG時の調整処理は、生産システムにおける複数の装置のそれぞれで行われる。また、それぞれの処理に要する時間も様々である。そのため、1つの印刷ジョブに紐づく品質確認処理及び調整処理のうち、一部が未完了である状態が存在する。例えば、「JapanColorVerification」の実行結果が既に最低品質ランクを満たしているが、「表裏レジVerification」の実行結果は最低品質ランクを満たしていない状態(タイミング)である。このような状態では、印刷装置121だけで調整処理が未完了である。このときプリントサーバ122で印刷ジョブを開始してしまうと表裏レジに関する品質要件が満たせない。
そこでS808でCPU301は調整制御部546として機能し、調整実行テーブル1100に記載の全ての装置での品質確認処理及びNG時の調整処理が完了したか判定し、完了するまで印刷ジョブの実行を待つ処理を行う。こうして全ての装置における品質確認処理及びNG時の調整処理が完了するとS809に進んで印刷ジョブの実行を行う。
以上説明したように実施形態1によれば、印刷ジョブ毎に要求される品質条件を解釈し、印刷ジョブの実行と連動した適切なタイミングで品質確認処理と調整処理を実行することができる。これにより、印刷ジョブ毎に要求される品質条件を満たすことができる。品質条件を達成するための品質確認処理及びNG時の調整処理が複数の装置で行われる場合に、適切な装置でこれらの処理を実施することができる。
実施形態1では、調整処理の実行デバイスは図11(A)に示す調整実行テーブルだけに記載されており、図10(A)に示す調整テーブルには含まれていなかった。このような処理のメリットは、ワークフロー管理サーバと印刷システムを独立させ、ワークフロー管理サーバが複数の個々の装置と通信を行うことを省略できる点にある。印刷システムが備える装置は多種多様であり、それらの装置と通信する際の通信方式と仕様も異なりうるため、印刷システムとの独立性があったほうがワークフロー管理サーバのソフトウェア処理としては簡潔にできる。
これと異なり、調整制御部546が実行デバイスを決定して調整実行テーブルに記載したら、当該の実行デバイス名をワークフロー管理サーバの調整テーブル管理部526に通知する。そして調整テーブル管理部526は、当該の実行デバイスを図10(A)に示す調整テーブルに追加するようにしても良い。このようにした場合、ワークフロー管理サーバ100でも調整処理の実行デバイスを把握可能になる。
更に、調整処理の実行指示を行う際、ワークフロー管理サーバ100が印刷システムの各装置に対して直接実行指示を行う形態をとっても良い。この場合はワークフロー管理サーバ100が個々の装置と通信することになるが、個々の装置の調整処理の有無とその内容をワークフロー管理サーバ100が把握できる点にメリットがある。この構成では例えば、印刷装置121だけに調整処理が必要な印刷ジョブを実行する場合に、ワークフロー管理サーバ100は、印刷装置121に調整処理の実行を指示する。そして、その完了を待つ間にプリントサーバ122には画像データのRIP処理だけを命令するといった処理が実施しやすい。その後、印刷装置121で調整処理が完了したら、既にRIP処理を開始ずみのプリントサーバ122に印刷ジョブの印刷を指示することで、全体のジョブ処理時間を短縮できる。この構成ではこのように、生産システム120における各装置に備わっている調整処理の有無や内容を踏まえた調整処理の選択と実行を行える。
[実施形態2]
上述の実施形態1では、調整テーブル管理部526が、生産システム120で実行する品質確認処理とその閾値を決定する度に、S704で、毎回新しく識別情報を生成し、識別情報と品質確認処理の登録を行った。一方で、PRXパラメータと生産システムでの品質確認処理との対応付けは、初回時に対応付けが決まれば次回以降は流用できるため、PRX-調整処理対応テーブル1110の更新頻度は低いと考えられる。しかしながら、品質確認処理1002、閾値1003、NG時の調整処理1004が同一である場合でも、識別情報1001だけが異なる品質確認処理が複数個生成されてしまう。この場合、ワークフロー管理サーバ100や生産システム120の資源が圧迫される恐れがある。また、ワークフロー管理サーバ100や生産システム120にて、管理者やオペレータが、調整テーブル1000や調整実行テーブル1100を閲覧する場合、同一処理に対して複数の項目が存在するため、視認性が悪くなる。
そこで実施形態2では、同一の品質確認処理が既に登録されている場合には、品質確認処理の登録を省くようにする。尚、実施形態2に係るシステム構成、及び各装置のハードウェア構成等は前述の実施形態1と同じであるため、その説明を省略する。
図12は、本発明の実施形態2に係るワークフロー管理サーバ100による制御処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、図6の605で、ワークフロー管理サーバ100が生産システムを決定した後に呼び出される。尚、この処理を実行するプログラムはRAM203に展開されており、CPU201がこの展開されたプログラムを実行することにより、このフローチャートで示す処理が実行される。尚、図中の参照番号606,607,609,610は、図6のシーケンス図に該当する処理を示す。また図12において、前述の図7で説明した処理と同じ処理には同じ参照番号を付して、それらの説明を省略する。
S1201でCPU201は調整処理登録部527として機能し、S702で決定した品質確認処理と同一の品質確認処理が調整テーブル1000にあるか否かを判定する。ここで品質確認処理1002、閾値1003、NG時の調整処理1004が既に調整テーブル1000に存在していると判定したときはS705に進み、印刷ジョブと発見した識別情報を対応付けて保存する。一方、品質確認処理1002、閾値1003、NG時の調整処理1004が調整テーブル1000に存在しないと判定したときはS703に進み、S702で決定した品質確認処理に対して新しく識別情報を生成する。
この実施形態2によれば、同一の品質確認処理が既に登録されている場合には、品質確認処理の登録を省くようにして、ワークフロー管理サーバ100や生産システム120の資源を圧迫しないようにできる。
[実施形態3]
上述の実施形態1では、図13に示す能力値テーブル1300は、生産システム120の調整制御部546だけが使用しており、ワークフロー管理サーバ100は参照していなかった。即ち、どの装置がどのような調整処理を備えるかは調整制御部546だけで管理していた。従って、図11(B)に示すPRX-調整処理対応テーブル1110をワークフロー管理サーバ100が決定する際には、能力値テーブル1300は参照されていなかった。
実施形態3ではこれと異なり、ワークフロー管理サーバ100がPRX-調整処理対応テーブル1110を決定する際に各装置の調整能力を示す能力値テーブル1300を用いる例を説明する。ここでは、印刷システムにより入稿されたジョブが一度印刷されたが、その後、品質要件が未達であることが判明して再印刷が必要になる場合を例にとり説明する。このような再印刷は商業印刷サービスにおいては発生しうる。例えば、印刷ジョブを実行開始した後に、大量ページの印刷に伴い機器の調整状態が変化してしまい、表裏レジ合わせの精度や出力印刷色が変化したことによる品質要件未達が発生しうる。このような場合には、まず同じ生産システムを用いて各装置の調整処理内容の決定及び実施をやり直し、再度、印刷ジョブの実行を行うことが一般的である。
実施形態3ではこの作業をリカバリ印刷と呼ぶ。リカバリ印刷は印刷会社の損失につながるため、印刷システムはリカバリ印刷を考慮し、可能な限り回避できるようなソフトウェア処理を備えることが望ましい。
このようなリカバリ印刷を避けるための一つの方法として、より効果が大きく精度の高い調整方法を用いることが挙げられる。しかし、効果や精度が良い調整方法はエンドユーザの作業が必要だったり、調整処理に時間がかかったりすることが多い。つまり、同じ品質要件を満たすことができるならば、自動実行不可能な調整処理よりも自動実行可能な調整処理を選択したほうが印刷会社の人的・時間的リソースは節約できる。
実施形態3ではこのような場合に鑑み、リカバリ印刷が発生していない間は自動実行可能な調整処理を実施し、リカバリ処理が発生した場合には自動実行不可能な調整処理も選択肢に含めて調整処理を決定する。その際に、実施形態3の冒頭で述べたように、ワークフロー管理サーバ100がPRX-調整処理対応テーブル1110を決定する際に各装置の調整能力を示す能力値テーブル1300を用いる。尚、実施形態3に係るシステム構成、及び各装置のハードウェア構成等は前述の実施形態1と同じであるため、その説明を省略する。
図6の606で品質確認処理を決定する際に、ワークフロー管理サーバ100は、生産システム120が備える能力値テーブルを参照する。能力値テーブル1300の説明は実施形態1の図13と全く同様である。ここで、リカバリ印刷が発生していない場合、即ち、印刷成果物の受注を初めて処理している場合には、ワークフロー管理サーバ100は能力値テーブル1300の自動実行フラグ1302がYesである調整処理を選択する。その結果、調整テーブル1000は、例えば図10(A)のように決定される。リカバリ印刷が発生しなければ、この後の処理は実施形態1と同様である。
次に、リカバリ印刷の流れを図6のシーケンス図で説明する。601~612は、実施形態1と全く同様であるため説明を省略する。612で印刷ジョブを実行した後、613に進み生産システム120は、印刷成果物を検品する。生産システム120において、検品装置124がこれを担当し、検品基準値は実施形態1で説明したジョブチケットに含まれる。例えば、ジョブチケットには「ずれ量4mm以下」のように、実施形態1でワークフロー管理サーバ100が決定した閾値が記載されている。検品装置124は、この閾値が印刷成果物において達成されているかを、装置が備える各種センサで検査する。次に614に進み、生産システム120は、検品装置124によってなされた検品結果をワークフロー管理サーバ100に通知する。例えば、「ずれ量検査結果3mm」のように検品結果が合格であった場合は、この受注ジョブは完了となる。
一方、「ずれ量検査結果5mm」のように検品結果が不合格であった場合は、ワークフロー管理サーバ100は606の処理に戻る。この場合は、先に決定した品質確認処理では品質要件を満たすことができなかったため、品質確認処理の再決定を行う。ここで、ワークフロー管理サーバ100は、能力値テーブル1300の自動実行フラグ1302がNoである調整処理も候補に含めて調整テーブル1000を決定する。上述の例では、表裏レジの検品結果が不合格であったため、表裏レジに関する調整処理の再決定が必要となっている。そこでワークフロー管理サーバ100は、生産システム120が備える能力値テーブル1300のうち、表裏レジに関する調整処理を再選択する。
ここでは図10(A)に示すように、図13で自動実行フラグ1302がYesである表裏レジフルオート調整を選択して検品結果が不合格であったため、表裏レジに関して自動実行フラグNoである表裏レジマニュアル調整を選択する。その結果、調整テーブル1000は図10(B)のように更新される。図10(B)では、行1005のNG時の調整処理が図10(A)の「表裏レジフルオート調整」から「表裏レジマニュアル調整」に変更されている。この後の処理は実施形態1と同様である。
即ち、識別情報が「調整セットA」である調整処理が調整テーブル1000と調整実行テーブル1100でそれぞれ更新される。そして生産システム120は、S806においては表裏レジマニュアル調整を実行する。この調整処理は自動実行フラグがNoであるためエンドユーザによる作業が発生するが、精度の高い調整処理であるため、リカバリ印刷後の検品結果は改善することが見込める。
実施形態3では、図13に示すように、同種の品質確認処理に対して自動実行フラグ1302がYesである処理とNoである処理が1つずつ存在していたが、自動実行フラグ1302が同一である処理が2つ以上存在しても良い。その場合は、ワークフロー管理サーバ100が調整処理の選択時に参照できるよう、各調整処理の精度や所要時間に基づく優先順位が能力値テーブル1300に記載されていることがより望ましい。この優先順位は、装置名称1301を示す各装置のデフォルト設定値として備わっていたり、エンドユーザが編集できる機器設定に含まれることが一般的である。以上で実施形態3の説明を終える。
実施形態3によれば、ワークフロー管理サーバがPRX-調整処理対応テーブルを決定する際に、生産システム120が備える各装置の調整能力を示す能力値テーブルを用いることが可能である。実施形態3では、自動実行フラグを参照してリカバリ印刷時の調整処理を再決定する処理を説明した。実施形態3によれば、リカバリ印刷が発生していない間は、生産システム120で自動実行可能な調整処理を用いることでエンドユーザの作業負荷を低減することができる。また、リカバリ印刷が発生した場合はエンドユーザによる調整処理実行により検品結果を改善することを見込むことができる。
[実施形態4]
実施形態4では、色調整作業の実行時に、後続の印刷ジョブに対して必要とされる作業か否かを判定する、即ち、各印刷ジョブに対して本当に必要な調整を選択的に実施できるようにする例で説明する。尚、実施形態4に係るシステム構成、及び各装置のハードウェア構成等は前述の実施形態1と同じであるため、その説明を省略する。
図14は、実施形態4に係る生産システムのソフトウェア構成を説明する図である。尚、受注システムサーバ110のソフトウェア構成、及びワークフロー管理サーバ100のソフトウェア構成は前述の実施形態と同じであるため、ここではそれらのを省略して示している。また図14において、前述の図5(C)と共通する部分は同じ参照番号で示している。
印刷制御部541は、ワークフロー管理サーバ100から受信した情報(PDF,JDF)を用いて印刷制御を実行する。また印刷制御部541は、印刷品位を調整する調整機能も有しており、ワークフロー管理サーバ100、プリントサーバ122、或いは、生産オペレータ端末125のいずれかから受信した制御指示に応じて、調整機能を実行する。また印刷制御部541は、測定制御部5411、PRX解釈部5412、画像形成制御部5413を有する。測定制御部5411は、ワークフロー管理サーバ100、プリントサーバ122、或いは、オペレータ端末のいずれかから受信した制御指示に応じて、測定部322による測定制御を実行する。PRX解釈部5412は、受注システムサーバ110から受信したPRXを解析し、印刷品質要件や必要とされるプリプレス処理の一部を特定する。画像形成制御部5413は、受信した情報を画像データに変換し、用紙を給送して、変換した画像データを用紙に転写・定着させる。
図15は、実施形態4に係る印刷システムにおける処理の流れを説明するシーケンス図である。図15において、601~603は、前述の実施形態1の図6と同じである。但し、図15では、図18に示すようなPRXとする。ここでPRXは「QualitySpecification」などの品質に対する要求から構成されている。「QualityGoals」は、色、レジ、バーコードなどの品質仕様及び評価基準を含むフィールドから構成されている。「Color」は、色のスコア計算方法やスコア基準等を表す「ColorScore」や、色の詳細情報を示す「ColorParameter」などで構成されている。「Registrarion」はレジのスコア計算方法やスコア基準等を表す。「ScoringInfo」は、印刷品質のスコアやグレードを特定するためのバイヤーが指定した計算式の情報を表す。「MinimumAcceptableRank」は、許容可能な最低品質ランクを表す。実施形態4では「QualityGoals」の一部分を使用する構成として説明するが、その限りでなく、PRXの他のフィールドを使用するような構成にしてもよい。
第一の「QualityGoals」の例として、印刷制御部541による色変動検査がある。印刷制御部541は測定制御部5411を有しており、生産しながら生産システム120の色変動を監視することができる。印刷色基準の一例としてJapanColorがある。この基準を満たしている生産システム120は、印刷物の品質が一定以上であることが証明できる。実施形態4では、ジョブ毎にJapanColorの基準相当を満たしていることを確認することで、色変動検査を行う。生産システム120が生産した印刷物の測色値と、JapanColor規定値との色差ΔE00(CIE DE2000)の平均値によって色変動を検査する。この場合の「Color」のパラメータ記載例を述べる。「ComplianceGoal」に、スコア計算式である「JapanColor dE(CIE DE2000)」を記載する。「ScoringInfo」に、許容可能な最低品質ランクと目標品質ランクを記載する。「MinimumAcceptableRank」に、許容可能な最低品質ランクを記載する。図示の例では、最低品質ランクとして「5」を定義している。「DesiredRank」に、目標品質ランクを記載する。図示の例では、目標品質ランクとして「6」を定義している。「ColorScoringScale」に、スコア計算式によって求めたスコアの、PRXにおける品質ランクを記載する。PRXにおける品質ランクは、数値が高いほど品質が高いことを表す。図示の例では、dE(CIE DE2000)の計算結果が「2以下」の場合をランク「7」と定義している。また計算結果が「2を超え、かつ、3以下」の場合を、ランク「6」と定義している。また計算結果が「3を超え、かつ、5以下」の場合をランク「5」と定義している。「ColorParameter」には測色結果との色差を求めるためのターゲットとなる色値等の詳細が分かるCxF(Color eXchange Format)の識別子等を記載する。
第二の「QualityGoals」の例として、印刷制御部541による表裏レジずれ検査がある。印刷制御部541は測定制御部5411を有しており、生産しながら生産システム120の表裏レジずれ変動を監視することができる。この場合の「Registration」のパラメータ記載例を述べる。「ScoringInfo」と「MinimumAcceptableRank」と「DesiredRank」は、「Color」の説明と同様の意味である。図示の例では、最低品質ランクレベルとして「6」を、目標品質ランクとして「7」を定義している。「ColorScoringScale」に、スコア計算式によって求めたスコアの、PRXにおける品質ランクを記載する。PRXにおける品質ランクは、数値が高いほど品質が高いことを表す。図示の例では、表裏レジのずれ量が「1mm以下」の場合をランク「8」と定義している。またずれ量が「1mmを超え、かつ、2mm以下」の場合をランク「7」と定義している。またずれ量が「2mmを超え、かつ、4mm以下」の場合をランク「6」と定義している。ここまでで説明した品質基準を表すようなPRXは、PRX生成部503が固定的な基準値として保持していることとして説明する。
受注システムサーバ110のPRX生成部503は、図15の602で受信した商品種別からPRXを生成する。実施形態4では、PRX生成部503は、商品種別によってMinimumAcceptableRankを決定する。例えば、「フォトブック」という商品種別の場合は、「Color」の「MinimumAcceptableRank」を「5」に、「Registration」の「MinimumAcceptableRank」を「6」に、設定する。そうすることで、PRXを受けた各モジュールは、印刷の品質要求を解釈できるようになり、品質要求に応じた処理が可能となる。603で受注システムサーバ110のデータ管理部504は、エンドユーザから受注したPDF及び商品種別と、PRX生成部503が生成したPRXを、ワークフロー管理サーバ100のデータ管理部504へ送信する。
1501でワークフロー管理サーバ100の工程管理部522は、603で受信した商品種別を基に、ワークフロー管理サーバ100に接続されている複数の生産システム120の中から、実際に生産を行う生産システム120を決定する。例えば、フォトブックの場合、生産システム120による印刷、製本後に綴じ辺以外の断裁が行われる。また無線綴じが行われるフォトブックの場合、表紙の用紙の大きさは、本文の用紙の2倍の大きさが必要となる。従って、仕上がりサイズにA5、本文の用紙種類に光沢紙が指定されているようなフォトブックの場合、印刷後の断裁と、表紙用のA4サイズ用紙への印刷を考慮する必要がある。このときは、A4サイズ以上の光沢紙への印刷に対応できる生産システム120が工程管理部522によって選択される。またフォトブックの表紙としてハードカバーが設定されており、前述で選択された生産システム120で印刷できない場合がある。その場合は、PDFを表紙と本文に分割し、表紙用のジョブと本文用のジョブを複数の生産システム120で印刷するようにしてもよい。尚、ワークフロー管理サーバ100の管理下にある生産システム120の印刷能力は、データ管理部525が保持しており、工程管理部522は必要に応じてデータ管理部525から印刷能力を取得できるものとする。
実施形態4では、使用可能な用紙と品質要求を満たすことが可能かどうか、という観点で生産システムを決定しているがこの限りではない。例えば、印刷ジョブの出力枚数(部数)と、生産システムの生産性から決定するように構成してもよい。
1502で、ワークフロー管理サーバ100の工程管理部522は、603で受信した各種データをもとにして、印刷データやJDFから構成される印刷ジョブを生成する。この印刷ジョブはPDFのような印刷データ、JDFのようなジョブチケットと、PRXとを含む、生産システムに送信するための印刷ジョブである。
次に1503で、ワークフロー管理サーバ100の工程管理部522は、この印刷ジョブを生産システム120へ送信する。PRXを含むこの印刷ジョブはプリントサーバ122で受信される。
次に1504で、生産システム120のPRX解釈部5412は、データ管理部544が受信したPRXを基に、印刷品質要件とプリプレス処理の内容を決定する。「Color」の情報から、「印刷制御部541にて、ΔE00の検査を行う。最低品質ランクはΔE00が5以下」という印刷品質要件が解析される。また「Registration」の情報から、「印刷制御部541にて、表裏レジずれの検査を行う。最低品質ランクはずれ量が4mm以下」という印刷品質要件が解析される。更に、PRX解釈部5412は、印刷品質要件に応じて、プリプレス処理の有無を判定する。前述の「印刷制御部541にて、ΔE00の検査を行う。最低品質ランクはΔE00が5以下」という印刷品質要件を実施するためには、生産システム120による指定チャートの印刷と、チャートの測色が必要となる。
実施形態4では、用紙の端にパッチを差し込み、生産システム120に内蔵されている測定制御部5411によってパッチを測色することで色変動検査を行う。具体的には、PDFに対してJapanColor認証用のチャート(例えば54個のパッチ)を埋め込む処理が必要となる。そのため、PRX解釈部5412は、このパッチ埋め込み処理を、プリプレス処理実行時に必要な追加処理として、処理の内容を保持する。実施形態4では、パッチを差し込む処理が必要な場合を例に説明したが、その限りでなく、パッチのみを配置したパッチチャートを生成して測色するような形態であっても良い。この場合、プリプレス処理実行時に追加で実行させるよう構成する必要はなく、生産システムが備える色管理部においてパッチチャートを生成してパッチ読み取りを実行する形態であっても良い。この時、PRX解釈部5412は、印刷制御部541に対し、生産システム側でパッチチャートを生成して読み取りを行わせるような指示が出せるよう、印刷制御部541に対する指示の内容を保存する。
1505で、生産システム120のPRX解釈部5412は、PRXから品質確認処理と識別情報を決定する。品質確認処理と識別情報の決定方法詳細は図16のフローチャートを参照して後述する。品質確認処理と識別情報は、図19(A)に示す品質確認処理テーブルで管理する。
図19(A)は、実施形態4に係る品質確認処理テーブルを説明する図である。
識別情報1901は、ジョブ毎に区別できるように、品質確認処理テーブル内で一意となるように生成する情報である。識別情報の例として、調整処理セットを行うジョブ名称(ジョブ1用調整セット)を用いる。品質確認処理1002~NG時の調整処理1004の意味するところは前述の実施形態と同様である。
図19(A)の「ジョブ1用調整セット」の例では、「JapanColorVerification」で「dE5以下」を満たさなかった場合、「自動階調補正」を実行する。また「表裏レジVerification」で「ずれ量4mm以下」を満たさなかった場合は「表裏レジフルオート調整」を実行する。
1506で印刷制御部541は、データ管理部544がワークフロー管理サーバ100から受信した各種データと、1505で決定した品質確認処理の内容をもとにして、印刷装置121に送るための印刷ジョブを生成する。印刷制御部541が行う処理の例としては、印刷データの編集処理がある。印刷データはデータ管理部544が受信したデータが基となるが、決定された品質確認処理の内容によっては、印刷データの編集を行うべき場合がある。例えば用紙の余白に測定用のパッチを配置し、印刷データの印刷と同時に測色することが必要な場合である。印刷制御部541はこのように、品質確認処理の内容をもとにして印刷装置121に送るための印刷ジョブを生成する。この処理は後続の図および説明で詳述する。
1507で印刷制御部541は、1506で生成した印刷ジョブを印刷装置121に対して送信する。以降の1508,1509の処理については、図17の印刷装置121のフローチャートを参照して説明する。
1509で生産システム120の印刷制御部541の画像形成処理部5413は、受信した印刷ジョブをもとに印刷を実行する。ここでは受け取った印刷データやJDFに従って、用紙への印刷や後処理加工を実行する。1509の説明で例示したように、印刷実施と品質確認処理とが同時並行で行われる場合もあるため、1508と1509の実行順序は必ずしも一通りには決まらない。以上で図15の説明を終える。
図16は、実施形態4に係るプリントサーバ122による制御処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、ワークフロー管理サーバ100が生産システムを決定した後に呼び出される。尚、この処理を実行するプログラムは、RAM302に展開されており、CPU301がこの制御プログラムを実行することにより、このフローチャートで示す処理が実行される。尚、図中の1504~1507は、図15のシーケンス図に該当する処理を示す。
先ずS1601でCPU301は印刷制御部541として機能し、印刷ジョブを受信したか否かを判定する。ここで印刷ジョブを受信したと判定するとS1602に進む。S1602でCPU301は印刷制御部541として機能し、受信した印刷ジョブにPRXが付与されているか否かを判定する。PRX付きと判定するとS1603に進み、PRXが無いジョブと判定するとS1611に進んで、通常の印刷処理を行う。
S1603でCPU301は印刷制御部541のPRX解釈部5412として機能し、PRXを解釈してS1604に進む。S1604でCPU301は印刷制御部541として機能し、PRXに記載されている品質確認処理を取得して品質確認処理と、その閾値を決定する。取得用のテーブルとして、データ管理部544は、図19(B)に示すPRX-調整処理対応テーブル1110を保持している。図19(B)において、前述の図11(B)と共通する部分は同じ参照番号で示し、それらの説明を省略する。
図19(B)では、「JapanColorVerification」の品質が、閾値(最低品質ランク)を上回らなかった場合は、「自動階調補正」を行う点が、前述の図11(B)と異なっている。
説明をS1604の処理に戻す。印刷制御部541が図18に示したPRXの解析結果と、図19(B)に示したPRX-調整処理対応テーブルを照合する。「ComplianceGoal」には「JapanColor dE(CIE DE2000)」と「FrontAndBackRegistration」が存在することが分かる。従って、生産システム120で「JapanColorVerification」を実行し、閾値を満たさなかった場合は「自動階調補正」を実行する。また「表裏レジVerification」も実行し、閾値を満たさなかった場合は「表裏レジフルオート補正」を実行する。
また図18に示したPRXでは、「JapanColor dE(CIE DE2000)」の「MinimumAcceptableRank」は「5」である。ランク「5」は「ParameterScore Rank=“5”」のパラメータ値より、dEが「3を超える、かつ、5以下」の品質ランクである。従って、閾値は「dE 5以下」と判定できる。同様にして、「FrontAndBackRegistration」の閾値は「ずれ量4mm以下」と判定できる。判定した情報をまとめると、生産システム120では、「JapanColorVerification」を実行し、閾値「dE5以下」を満たさなかった場合は「自動階調補正」を実行する。また、「表裏レジVerification」も実行し、閾値「ずれ量4mm以下」を満たさなかった場合は「表裏レジフルオート補正」を実行する。この情報を図19(A)に示した品質確認処理テーブルとして、ジョブ情報と対応付けて保持する。
次にS1605に進みCPU301は印刷制御部541として機能し、S1604で決定した品質確認処理テーブルの複数の品質確認処理のうちの一つのPRXを取得してS1606に進む。S1606でCPU301は印刷制御部541として機能し、S1605で取得したPRXの中に、色値情報があるか否かを判定する。ここで色値情報があればパッチを配置する必要があると判定してS1607に進み、色値情報が無ければパッチの配置が不要と判定してS1609に進む。例えば、図18に示したPRXでは、「ComplianceGoal」として「JapanColor dE(CIE DE2000)」と「FrontAndBackRegistration」存在している。この内、「JapanColor dE(CIE DE2000)」では、「ColorParameter」が2つ存在し、「ParameterName」として「PatchA」と「PatchB」が存在していることが分かる。そして、それぞれの「ColorParameter」内には、「CxFReferenceObjectIdLink」にCxFObjectの識別子が設定されている。このCxFObjectは「CxfReferenceData」に記述されており、各CxFObjectに対しての色値が特定の形式で記述されている。この例の場合は、「ColorValues」としてLab色空間で表現した「ColorCIELab」の「L」「a」「b」のそれぞれの値が記載されている。これらの情報がPRXに記載されていれば、パッチの配置が必要と判定する。一方、「FrontAndBackRegistration」に関しては、パッチ情報に繋がる記載はないため、パッチの配置が不要と判定する。
S1607でCPU301は印刷制御部541として機能し、S1603で解析されたPRXの情報から色値情報を取得する。そして、CPU301は、必要に応じてデバイス出力の色空間に変換を行ってパッチデータを生成し、印刷ジョブに読取指示とパッチデータを合成してS1608に進む。例えば、上述の図18のPRXにおいて、「ComplianceGoal」が「JapanColor dE(CIE DE2000)」の場合だと、PatchAとしては「L」が17.64167、「a」が1.076669、「b」が0.3338588となる。このLab空間の色値からデバイスの色空間であるCMYK色空間に変換してパッチデータを生成し、図20に例示されるような形式でパッチデータを印刷ジョブに合成したチャートを生成する。
図20は、パッチデータを印刷ジョブに合成したチャートの一例を示す図である。
用紙2001には、PDF/JDFの形式で受信した印刷データを変換した画像2003が配置されている。その用紙2001の余白部分に、パッチデータ2202を配置している。この実施形態4では、印刷データの余白部分にパッチデータ2002を配置しているがこの限りでなく、パッチデータのみを配置したチャートページを生成し、印刷データの先頭ページにパッチを配置したチャートページを挿入する形式でも良い。
S1608でCPU301は印刷制御部541として機能し、ジョブに合成された品質確認処理のターゲットとその許容範囲を印刷ジョブに付与する。具体的には、図18のPRXにおける「JapanColor dE(CIE DE2000)」を例にとると、「L」、「a」、「b」の値がターゲット値となる。また、閾値としては、「MinimumAcceptableRank」は「5」であるため、「ParameterScore Rank=“5”」のパラメータ値である、dEが「3を超える、かつ、5以下」の品質ランクを満たすこと、が閾値となる。よって、色差の許容範囲を5以下という情報を印刷ジョブに付与してS1610に進む。
一方、PRXに色情報がないときはS1609に進みCPU301は、S1605で取得した品質確認処理の情報に従って品質確認処理の実行指示を印刷ジョブに付与する。具体的には、図18のPRXにおいて「FrontAndBackRegistration」を例にとると、「表裏レジVerification」の実行指示をジョブに付与してS1608に進む。
S1610でCPU301は印刷制御部541として機能し、S1604で決定した品質確認処理テーブルの各品質確認処理において、印刷ジョブに品質確認処理の実行指示を付与したか否かを判定する。全ての品質確認処理の実行指示を付与したと判定したらS1611に進み、ジョブに付与していない品質確認処理がある場合にはS1605に戻る。S1611でCPU301は印刷制御部541として機能し、生成された印刷ジョブを印刷装置121に送信して処理を終了する。
図17は、実施形態4に係る生産システム120の印刷装置121による制御処理を説明するフローチャートである。尚、この処理を実行するプログラムは、印刷装置121のRAMに展開されており、印刷装置121のCPUがこの制御プログラムを実行することにより、このフローチャートで示す処理が実行される。尚、図中の1508,1509は、図15のシーケンス図に該当する処理を示す。
S1701にて印刷装置121のCPUは、印刷制御部541内の画像形成制御部5413として機能し、プリントサーバ122から受信した印刷ジョブに、品質確認処理の実行指示(パッチ)が付与されているか否かを判定する。品質確認処理の実行指示(パッチ)が付与されているときはS1702に進む。一方、品質確認処理の実行指示が付与されていないときはS1706へ進んで印刷ジョブを実行する。S1702でCPUは、印刷制御部541内の画像形成制御部5413として機能し、印刷ジョブに付与された品質確認処理の実行指示に基づいて、図20に例示されるようなパッチ付きページの画像を形成してS1703に進む。
S1703でCPUは、印刷制御部541の測定制御部5411として機能し、S1702で印刷されたパッチ付きページに配置されているパッチを読み取る。そして、その印刷ジョブに付与されていた品質確認処理の情報から、品質確認を行うためのパラメータを算出してS1704に進む。S1704でCPUは測定制御部5411として機能し、印刷ジョブに付与されていた品質確認処理の情報から、そのジョブで求められていた品質ランクを取得する。そしてS1703で算出した品質確認を行うためのパラメータ値と比較を行う。そして、そのジョブで求められていた品質ランクを満たしていると判定したときはS1706に進み、品質ランクを満たしていないと判定したときはS1705に進む。例えば、図19(A)のジョブ1用調整セットにおいて、品質確認処理として「表裏レジVerification」を行った場合を想定すると、このジョブで求められている品質ランクとしては「ずれ量が4mm以下」となる。この時、S1702にて生成される品質確認を行うためのパッチとしては、表面と裏面の既定の位置に特定の形状のパッチを配置することになる。更に、S1703にて、読み取った特定の形状のパッチの位置から表裏のずれを算出し、そのずれ量を品質ランクの判定閾値である「4mm」と比較する。ここで4mm以下の場合はS1706に進み、4mmより大きい場合はS1705に進む。
S1705でCPUは測定制御部5411として機能し、ジョブに付与されていた品質確認処理の情報から、品質確認がNGだった場合の必要な調整処理を参照し、その調整処理を調整制御部546に通知して実行させてS1702に戻る。上述の例で考えると、図19(A)の品質確認処理が「表裏レジVerification」で、NGだった場合の必要な調整処理としては「表裏レジフルオート調整」となっているため、表裏レジフルオート調整を実行する。
S1706でCPUは画像形成部5413として機能し、印刷ジョブ中のパッチ付きページ以外のページの印刷処理を開始する。実施形態4では、パッチ付きページと本印刷を行うページが分かれている前提で説明したが、この限りでなく、本印刷を行うページの余白等にパッチが配置されるよう構成しても良い。この場合、品質ランクを満たしていない場合には、印刷ジョブの途中で調整処理を割り込んで実行するような制御とするのが好ましい。
また実施形態4では、品質ランクを満たさない限り本印刷を実行できないように制御しているが、この限りでなく、特定の調整処理を実行しても品質ランクを満たさなかった場合には、印刷処理を停止するよう構成しても良い。その場合、オペレータに調整処理を行ってもそのジョブで求められている品質を満たせない旨の警告を通知するよう制御しても良いし、当該印刷ジョブをキャンセルするよう制御しても良い。このように構成する事で、生産システム120の品質ランクを、エンドユーザが求めている最低品質ランク以上に補正することが可能となる。
以上説明したように実施形態4によれば、印刷ジョブ毎に要求される品質条件を解釈し、印刷ジョブの実行と連動した適切なタイミングで品質確認処理と調整処理を実行することができるため、印刷ジョブ毎に要求される品質条件を満たすことができる。
[実施形態5]
次に実施形態5を説明する。尚、実施形態5に係るシステム構成、及び各装置のハードウェア構成等は前述の実施形態1と同じであるため、その説明を省略する。
図21は、実施形態5に係る印刷システムにおける処理の流れを説明するシーケンス図である。図21において、601~603は、前述の実施形態1の図6と同じである。
また図24は、実施形態5に係る印刷色変動の補正を実施するPRXの記載の一例を示す図である。
この補正機能を持っている生産システム120は、印刷物の品質を一定以上に保持することができる。実施形態5では、ジョブ毎にAutoAdjustGradiationを実施することで、色変動検査を行う。生産システム120が生産した印刷物の測色値と、印刷装置121が持つAutoAdjustGradiationの規定値との色差ΔE00(CIE DE2000)の平均値によって色変動を検査する。この場合の「Color」のパラメータ記載例を述べる。「ComplianceGoal」に、「AutoAdjustGradiation」を記載する。「ScoringInfo」に、許容可能な最低品質ランクと目標品質ランクを記載する。「MinimumAcceptableRank」に、許容可能な最低品質ランクを記載する。図示の例では、最低品質ランクとして「5」を定義している。「DesiredRank」に、目標品質ランクを記載する。図示の例では、目標品質ランクとして「6」を定義している。「ColorScoringScale」に、非図示のスコア計算式によって求めたスコアの、PRXにおける品質ランクを記載する。PRXにおける品質ランクは、数値が高いほど品質が高いことを表す。図示の例では、AutoAdjustGradiationの計算結果が「2以下」の場合をランク「7」と定義している。また計算結果が「2を超える、かつ、3以下」の場合をランク「6」と定義している。また計算結果が「3を超える、かつ、5以下」の場合をランク「5」と定義している。ここまでで説明した印刷色変動の補正の実施を表すようなPRXは、PRX生成部503が固定的な規定値を保持していることとして説明する。PRX生成部503は、601で受信した商品種別から、PRXを生成する。この実施形態5では、PRX生成部503は、商品種別によってMinimumAcceptableRankを決定する。例えば、「フォトブック」という商品種別の場合は、「Color」の「MinimumAcceptableRank」を「5」に、「Registration」の「MinimumAcceptableRank」を「6」に、設定する。そうすることで、PRXを受けた各モジュールは、印刷の品質要求を解釈できるようになり、品質要求に応じた処理が可能となる。603にて、受注システムサーバ110のデータ管理部504は、エンドユーザから受注したPDF及び商品種別と、PRX生成部503が生成したPRXを、ワークフロー管理サーバ100のデータ管理部504へ送信する。
1501で、ワークフロー管理サーバ100の工程管理部522は、603で受信した商品種別をもとに、ワークフロー管理サーバ100に接続されている複数の生産システム120の中から、実際に生産を行う生産システム120を決定する。ここで例えば、フォトブックの表紙としてハードカバーが設定されており、前述で選択された生産システム120で印刷できない場合がある。その場合は、PDFを表紙と本文に分割し、表紙用のジョブと本文用のジョブを複数の生産システム120で印刷するようにしてもよい。尚、ワークフロー管理サーバ100の管理下にある生産システム120の印刷能力は、データ管理部525が保持しており、工程管理部522は必要に応じてデータ管理部525から印刷能力を取得できるものとする。また実施形態5では、使用可能な用紙と品質要求を満たすことが可能かどうか、という観点で生産システムを決定しているが、本発明はこの限りではない。例えば、印刷ジョブの出力枚数(部数)と、生産システムの生産性から決定するように構成してもよい。
1502で、ワークフロー管理サーバ100の工程管理部522は、603で受信した各種データをもとにして、印刷データやJDFを含む印刷ジョブを生成する。この印刷ジョブはPDFのような印刷データ、JDFのようなジョブチケットと、PRXとを含む、生産システムに送信するための印刷ジョブである。次に1503で、ワークフロー管理サーバ100の工程管理部522は、この印刷ジョブを生産システム120へ送信する。PRXを含むこの印刷ジョブはデータ管理部544によって受信される。
2101で、生産システム120のPRX解釈部5412は、データ管理部544が受信したPRXをもとに、印刷品質要件とプリプレス処理の内容を決定する。図24の「Color」の情報から、「印刷制御部541にて、AutoAdjustGradiationのΔE00の検査を行う。最低品質ランクはΔE00が3から5以下」という印刷品質要件が解釈される。更に、PRX解釈部5412は、印刷品質要件に応じて、プリプレス処理の有無を判定する。前述の「印刷制御部541にて、ΔE00の検査を行う。最低品質ランクはΔE00が3から5以下」という印刷品質要件を実施するためには、生産システム120による指定チャートの印刷と、チャートの測色が必要となる。図24のPRXが持つ品質条件では、印刷装置121が内蔵している諧調補正用の規定値をパッチとして配置するパッチチャートを生成し、生産システム120に内蔵されている測定制御部5411によってパッチを測色することで色変動検査を行う。具体的には、PDFとは別に、プリントサーバ122からの諧調補正の指示を受けて、諧調補正用のパッチチャートを印刷する処理が必要となる。そのため、PRX解釈部5412は、このパッチ生成処理を、プリプレス処理実行時に必要な追加処理として、図26(A)にて後述する品質確認処理調整テーブルに処理の内容を保持する。図24の品質確認条件は、印刷装置121に保持されている規定値を使った色変動検査に基づく。
図25は、実施形態5に係る、特色の印刷色変動の補正を実施するPRXの記載の一例を示す図である。
この例では、ジョブ毎に「SpotColorVerification」を実施することで、色変動検査を行う。生産システム120が生産した印刷物の測色値と、生産システム120の色管理部545が持つSpotColorVerificationの規定値との色差ΔE00(CIE DE2000)によって色変動を検査する。実施形態5では、特色の規定値は、生産システム120の色管理部545で予め管理されているものとする。この時、PRX解釈部5412は、印刷制御部541に対し、プリントサーバ122側でパッチチャートを生成して読み取りを行わせるような指示が出せるよう、印刷制御部541に対する指示の内容を保存する。
また実施形態5では、印刷ジョブとは別にパッチのみを配置したパッチチャートを生成して測色するような形態を説明した。しかしながら、その限りでなく、用紙端にパッチを差し込み、生産システム120に内蔵の測定制御部によってパッチを測色するような形態であっても良い。
2102で、生産システム120のPRX解釈部5412は、PRXから品質確認処理と識別情報を決定する。品質確認処理と識別情報の決定方法の詳細は図22を参照して後述する。また品質確認処理と識別情報は、図26(A)に示すPRX解釈結果で管理する。このPRX解釈結果について、図26(A)を用いて説明する。識別情報2601は、ジョブ毎に区別できるように、PRX解釈結果内で一意となるように生成する情報である。識別情報の例として、品質確認処理を行うジョブ名称(ジョブ1、ジョブ2)を用いる。図示していないが複数の品質確認処理を実行する際に、調整処理のセットの調整名称を付けるようにしてもよい。
パラメータ値2602は、生産システム120で実行するPRXのパラメータ値の名称を表す。品質確認処理2603は、生産システム120で実行する品質確認処理の名称を表す。図26(A)の例では、「ジョブ1」にてPRXに「AutoAdjustGradiation」と書かれていることから図26(D)の説明で後述するPRX-調整処理対応テーブルを使い、「ToneVerification」を実行することを示している。閾値2604は、品質確認処理2603に応じて実行した品質確認処理結果の許容量(閾値)を表す。図26(A)の「ジョブ1」の例では、「ToneVerification」は「dE5以下」が許容量であることを表す。NG時の調整処理2605は、品質確認処理2603に記載された品質確認処理による結果が、閾値2604を満たさなかった場合に、生産システム120が実行する調整処理の名称を表す。図26(A)の「ジョブ1」の例では、「ToneVerification」で「dE5以下」を満たさなかった場合、「ToneVerification」処理を保留して「ToneCalibration」を実行する。ここでは例として図24のPRXの品質確認条件の解釈結果を「ジョブ1」として説明したが、同様に図25のPRXの品質確認条件の解釈結果を「ジョブ2」として図26(B)に記述している。
2103で、印刷制御部541は、データ管理部544がワークフロー管理サーバ100から受信した各種データと、2102で決定した品質確認処理の内容をもとにして、印刷装置121に送るための品質確認処理をジョブとして生成する。このジョブは、ワークフロー管理サーバ100から受け付けた印刷成果物を印刷する印刷ジョブとは異なる品質確認ジョブである。このように別個のジョブを作成すべき場合として、印刷装置121において測色パッチの印刷と測定を伴う品質確認処理であって、プリントサーバ122が測色パッチ画像を準備して印刷装置121に送信する場合が挙げられる。作成するジョブや処理の詳細については後続の図面及び説明で詳述する。
次に2104で、印刷制御部541は、2103で生成した品質確認ジョブを印刷装置121に対して送信する。
2106で印刷制御部541は、データ管理部544がワークフロー管理サーバ100から受信した各種データと、2102で決定した品質確認処理の内容をもとに、実際に印刷を行うための印刷ジョブを生成する。この印刷ジョブが受注した印刷成果物を得るために印刷装置121で印刷されるジョブである。2104,2107のように、品質確認処理を行うための品質確認ジョブと、印刷成果物を得るための印刷ジョブとを異なるジョブとして印刷装置121に送信する点が実施形態5の特徴である。このとき印刷装置121は、2105で品質確認ジョブに従って品質確認ジョブを実行し、その結果、要求されている品質確認処理の閾値を満足しないときは調整処理を実行している。従って、その後に送信される印刷ジョブに対しては、印刷装置121は、その印刷ジョブに従った印刷物を生成できるようになる。
2107で、印刷制御部541は、2106で生成した印刷ジョブを印刷装置121に対して送信する。以降の2105,2108については、図21のワークフロー管理サーバ100と生産システム120のシーケンスを説明した後、図23において印刷装置121のフローチャートを用いて説明する。
2105で、生産システム120の調整制御部546は、受信した品質確認ジョブをもとに、実行する品質確認処理を決定する。その後、調整制御部546は、決定した品質確認処理を実行し、その品質確認処理に結果をプリントサーバ122に送信する。これによりプリントサーバ122は、210で印刷ジョブを生成する。2108で、生産システム120の画像形成制御部5413は、受信した印刷ジョブをもとに、印刷を実行する。受け取った印刷データやJDFに従って、用紙への印刷や後処理加工を実行する。2105の品質確認ジョブの実行は、印刷装置121で、2106及び2107の印刷ジョブ生成と送信はプリントサーバ122で行われる。異なる装置で行われる処理であるため、2105と、2106及び2107の実行順序は必ずしも一通りには決まらない。以上で図21の説明を終える。
図22は、実施形態5に係るプリントサーバ122による制御処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、プリントサーバ122が印刷ジョブを受注しPRXを解釈するときに呼び出される。尚、この処理を実行するプログラムは、RAM303に展開されており、CPU301がこの制御プログラムを実行することにより、このフローチャートで示す処理が実行される。尚、図中の2101~2104,2106,2107は、図21のシーケンス図に該当する処理を示す。
S2201でCPU301はデータ管理部544として機能し、印刷ジョブを受信したかを判定する。データ受信部544は印刷ジョブを受信していなければジョブ受信の判定を繰り返し行う。ここでジョブを受信したときはS2202に進む。S2202でCPU301はPRX解釈部5412として機能し、そのジョブにPRXがあるかを判定する。ここでPRXがあると判定したときはS2203に進む。S2203でPRX解釈部5412は、品質確認処理と閾値、NG時の調整処理を決定する。ここでPRX解釈部5412は、品質確認処理を決定するために図26(D)に示すPRX-調整処理対応テーブルを保持している。
図26(D)のPRX-調整処理対応テーブルにおいて、PRXパラメータは、2101で解釈するPRXに含まれるパラメータ(要素)を表す。パラメータ値は、PRXパラメータに記載されている値を表す。図26(D)では「ComplianceGoal」のみ記載されているが、PRXに準拠するパラメータであれば、その限りでない。品質確認処理は、PRXパラメータの値がパラメータ値だった場合に、生産システム120が実行する品質確認の名称を表す。NG時の調整処理は、生産システム120が品質確認処理を実行し、その実行した結果が閾値(最低品質ランク)を上回らなかった場合に実行する調整の名称を表す。ここでは、図24で示されるPRXの品質条件を、このPRX-調整処理対応テーブルを用いて決定する(5行目(2620)が示している)対応を説明する。
PRX内の「ComplianceGoal」が「AutoAdjustGradiation」だった場合は、生産システム120は品質確認処理として「ToneVerification」を行う。「ToneVerification」の品質が、閾値(最低品質ランク)を上回らなかった場合は、「ToneCalibration」を行うことを示している。このPRX-調整処理対応テーブルは生産システム120内で参照されるテーブルであり、「ToneVerification」と「ColorVerification」の品質確認処理については図23の印刷装置121の処理の説明にて後述する。
説明を図22の処理に戻す。データ管理部544は、図26(A)に示したPRXの解釈結果と、図26(D)に示したPRX-調整処理対応テーブルを照合する。データ管理部544は、印刷ジョブのPRX解釈結果のパラメータ値と、PRX-調整処理対応テーブルとを照らし合わせることでNGの時の調整処理を決定する。更にデータ管理部544は、PRX解釈結果にPRX-調整処理対応テーブルの内容(品質確認処理とNG時の調整処理)を記述する。データ管理部544が品質確認処理とNG時の調整処理を記載するとS2204へ進む。一方、PRXがなかった場合はS2208へ進む。
S2204でCPU301はデータ管理部544として機能し、PRXの解釈結果をもとに、生産システム120の印刷装置121で実行するパッチ情報がPRXに付与されているかを判定する。図25に示したPRXでは「ColorParameter」の「CxFReferenceObjectIdLink」にパッチの情報を参照するために使うID名称が記述されている。この値はPRXの後ろに記述された「CxFReferenceData」の「ObjectCollection」に記述されたパッチのデータ値(LabやRGBなど)を参照するために使う。図25の場合、PRXは「CxF001」のID名称を有しており,データ管理部544は、PRXの解釈結果の「パッチの有無」2606に「CxF001」を記述する。
こうしてS2204で、「CxFReferenceObjectIdLink」が存在してID名称が存在するつまり、PRXの解釈結果の「パッチの有無」2606に値があるときはS2205に進む。S2205でCPU301はデータ管理部544として機能し、そのパッチ情報をもとに品質確認用パッチデータを作成する。
実施形態5では、図25のPRXの場合、プリントサーバ122の色管理部545がパッチ情報をもとに生産システム120で印刷するパッチデータを作成する。また実施形態5では、パッチは印刷ジョブとは別の紙に印刷するように別の品質確認ジョブとして印刷するが、印刷ジョブの印刷データの外周部、つまり断裁個所に印刷するようにしてもよい。もし「パッチの有無」2606に値が無い場合は、つまり図24のような場合、印刷装置121がもつ品質調整手段とパッチデータ(規定値)を使うと判定してS2206へ進む。S2206でCPU301は印刷制御部541として機能し、印刷ジョブに含まれたPRXを解釈した結果を基に、品質確認ジョブを作る。
図26(B)(C)は、実施形態5に係る生産システム120のデータ管理部544が持つジョブを管理するジョブ管理テーブルの一例を示す図である。
図26(B)は、ワークフロー管理サーバ100から印刷ジョブが投入されたときのテーブルを示し、図26(C)は、品質確認ジョブを印刷制御部541が追加したときのテーブルを示す。
データ管理部544は、ワークフロー管理サーバ100から生産システム120に投入された印刷ジョブを、このジョブ管理テーブルに保存する。S2206において、印刷制御部541は、PRX解釈部5412が解釈したPRX解釈結果をもとに品質確認ジョブを作成し、印刷ジョブの識別子を付与してこのジョブ管理テーブルのそれぞれの関連する印刷ジョブの前に保存する。
実施形態5において、生産システム120はプリントサーバ122と印刷装置121とを有しており、品質確認ジョブは、独自のプロトコルを使って印刷装置に投入される。品質確認ジョブは、図26(D)のPRX-調整処理対応テーブルに記載の品質確認処理の名称からなっている。またパラメータとして、品質確認ジョブは、NG時の調整処理と閾値、用紙サイズ、用紙タイプ、ページ数などの情報を持ち、プリントサーバ122から印刷装置121にジョブとして投入される。
図24に示したPRXを持つ印刷ジョブ「ジョブ1」の場合、PRXの「ComplianceGoal」にパラメータ値2602として「AutoAdjustGradiation」が設定されている。「ToneVerification」ジョブを投入し、閾値2604は「dE5以下」であったとき「ToneCalibration」を実行することとなる。印刷制御部541は、印刷ジョブ「ジョブ1」の用紙サイズA4の普通紙を品質管理ジョブに設定して印刷装置121が持つ諧調補正処理を実行するジョブを作成する。また印刷装置121は、印刷装置の色の諧調ずれ、印刷面の濃度ムラなどをプリントサーバ122から補正する機能を独自に有している。プリントサーバ122は「色の諧調ずれを確認し、閾値が「dE5以下」であった場合は、補正処理を行う」設定を持つ品質確認ジョブを作成する。
「ToneVerification」は用紙サイズ、用紙タイプ、ページ数をもとに、印刷装置121の画像形成制御部5413が印刷用紙サイズ全面に一定濃度のパッチを印刷するジョブである。この品質確認ジョブを受け付けた画像形成制御部5413は、パラメータの印刷用紙サイズ、用紙タイプを使い、一定濃度のパッチを印刷する。そして、測定制御部5411は、予め決められた印刷面の測定個所のdEを測定し、閾値以内であるかを測定する。投入された品質確認ジョブにNG時の調整処理が付与されている場合は、調整制御部546が諧調補正を行う。印刷装置121の動作は後述の図23のフローチャートを参照して説明する。
印刷制御部541は、品質確認ジョブを「印刷ジョブ名」+「の確認ジョブ」というジョブ名を付けて図26(C)のジョブ管理テーブルに保存する。図25のPRXを持つ印刷ジョブの場合は、品質確認用パッチデータ(CxF001)を印刷し、色の確認を実行する。閾値が「dE3以下」であった場合は、色補正処理を行う」設定を持つ品質確認ジョブを生成し、図26(C)のジョブ管理テーブルに保存する。
次にS2207に進みCPU301はデータ管理部544として機能し、図26(B)(C)のジョブ管理テーブルをもとに、プリントサーバ122から印刷装置121へ品質確認ジョブを送信する。そしてS2208でCPU301は印刷制御部541として機能し、図21の1502で作成された、印刷データやJDFから構成される印刷装置121で印刷する印刷ジョブを生成する。そしてS2209でCPU301はデータ管理部544として機能し、1501で決定した印刷装置121に印刷ジョブを送信する。
図23は、実施形態5に係る生産システム120の印刷装置121の制御処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、プリントサーバ122が印刷ジョブを印刷装置121へ送信した後に呼び出される。尚、この処理を実行するプログラムは印刷装置121のRAM(不図示)に展開されており、印刷装置121のCPU(不図示)がこの制御プログラムを実行することにより、このフローチャートで示す処理が実行される。尚、図中の2105,2108は、図21のシーケンス図に該当する処理を示す。
S2301でCPUはデータ管理部544として機能し、ジョブを受信したかを判定する。ここでジョブを受信していなければジョブの受信の判定を繰り返し行い、ジョブを受信するとS2302に進む。S2302でCPUは調整制御部546として機能し、プリントサーバ122から受信したジョブが品質確認ジョブか否かを判定する。ここで品質確認ジョブであると判定するとS2303へ進む。一方、品質確認ジョブではなく印刷ジョブと判定するとS2306へ進んで印刷ジョブを実行する。
S2303でCPUは調整制御部546として機能し、品質確認ジョブに付与された品質確認処理と閾値とNG時の調整処理から図26(E)の調整実行テーブルを照合し、実行する品質確認処理を決定する。
図26(E)は、実施形態5に係る調整実行テーブルの一例を示す図である。
調整実行テーブルはデータ管理部544が管理している。ジョブ名は、図21の2105、2108にて実行するジョブの名称を表す。品質確認処理は、それぞれのジョブで実施する品質確認処理やNG時の調整処理を表す。閾値は品質確認ジョブが持つ色変動測定時に使う閾値(最低値)を示す。ジョブ設定は、それぞれのジョブが使う用紙のサイズ、用紙のタイプ、ページ数などジョブの設定を示している。印刷ジョブの識別子はジョブが関連する印刷ジョブの名称を示している。
いまプリントサーバ122から印刷ジョブ「ジョブ1」と品質確認ジョブ「ジョブ1の確認ジョブ」を受信した場合、調整制御部546は調整実行テーブルの行2630を参照し、「ジョブ1」の実行前に「ジョブ1の確認ジョブ」を実行する。
次にS2303に進みCPUは調整制御部546として機能し、決定した品質確認処理を実行する。品質確認処理は、図26(E)の調整実行テーブルの順番に実行し、1つであっても複数であってもよい。調整実行テーブルの「ジョブ1の確認ジョブ」の例では「ToneVerification」が書かれているので、この調整制御部546は印刷装置121が持つ規定値を用いた諧調補正を実行する。
次にS2304に進みCPUは調整制御部546として機能し、S2303で実行した品質確認処理の結果が、最低品質ランク(閾値)を満たしているか否かを判定する。図26(E)の調整実行テーブルの「ジョブ1の確認ジョブ」の例では、「ToneVerification」の結果が最低品質ランク「dE 5以下」を満たしているか否かを判定する。最低品質ランクを満たしていない場合はS2305へ進み、最低品質ランクを満たしている場合は、この処理を終了する。
S2305でCPUは調整制御部546として機能し、S2304で最低品質ランクを満たしていないと判定された品質項目に関して、図26(E)の調整実行テーブルのNG時の調整処理を参照して調整処理を実行する。この調整実行テーブルの例では、S2304にて「ToneVerification」の結果が「dE=6」であった場合、NG時の調整処理を参照して「ToneCalibration」を実行する。この「ToneCalibration」を実行することで、色の諧調が補正され、生産システム120の品質ランクを最低品質ランク以上に補正することができる。
以上説明したように実施形態5によれば、印刷ジョブ毎に要求される品質条件を解釈し、印刷ジョブの実行と連動した適切なタイミングで品質確認処理と調整処理を実行することができるため、印刷ジョブ毎に要求される品質条件を満たすことができる。
[実施形態6]
実施形態5では、生産システム120がワークフロー管理サーバ100から投入された印刷ジョブを解釈したときにPRXが付与されている。そして品質確認ジョブ(パッチを印刷するジョブ)を生成する必要がある場合、品質確認ジョブを印刷ジョブとは別途に生成し、品質確認ジョブを投入してから印刷ジョブを印刷していた。このとき、品質確認ジョブはパラメータとして閾値とNG時の調整処理を含んでいた。このため生産システム120で品質確認ジョブの調整処理を実施しても閾値を超えてしまい、NGだった時、印刷ジョブを印刷することになっていた。
これに対して実施形態6では、品質確認ジョブとNG時の調整処理を実行する調整用ジョブとを分けて印刷装置122に投入する。品質確認ジョブに印刷ジョブの識別子をつけることで、生産システム120は、品質確認ジョブでNGの時に印刷ジョブを印刷せず、品質確認ジョブと印刷ジョブを保留状態にする。更にプリントサーバ122にエラーを通知する。このようにすることで、調整のためにプリントサーバ122から割り込み処理を必要とするような場合に、適切なタイミングで品質確認処理と調整処理を実行することができるため、印刷ジョブ毎に要求される品質条件を満たすことができる。尚、実施形態6に係るシステム構成、及び各装置のハードウェア構成等は前述の実施形態1と実施形態5と同じであるため、その説明を省略する。
図27は、実施形態6に係るプリントサーバ122による制御処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、プリントサーバ122が印刷ジョブを受け取り、PRXを解釈するときに呼び出される。尚、この処理を実行するプログラムは、RAM303に展開されており、CPU301がこの制御プログラムを実行することにより、このフローチャートで示す処理が実行される。尚、図中の2101,2102,2104,2106,2107は、図21のシーケンス図に該当する処理を示す。S2201~S2205は図22と同じであるため、その説明を省略する。
S2701でCPU301は印刷制御部541として機能し、印刷ジョブに含まれるPRXを解釈した結果を基に、品質確認ジョブを作る。
図29(A)は、実施形態6に係る生産システム120のデータ管理部544が有する、ジョブを管理するジョブ管理テーブルの一例を示す図である。
データ管理部544はワークフロー管理サーバ100から生産システム120に投入された印刷ジョブを、このジョブ管理テーブルに保存する。S2701において、印刷制御部541はPRX解釈部5412が解釈したPRX解釈結果をもとに品質確認ジョブを作成し、ジョブ管理テーブルのそれぞれの関連する印刷ジョブの前に保存する。実施形態6において、生産システム120はプリントサーバ122と印刷装置121からなっており、品質確認ジョブは独自のプロトコルを使って印刷装置に投入する。
品質確認ジョブは、図26(D)のPRX-調整処理対応テーブルに記載の品質確認処理の名称からなっている。また品質確認ジョブはパラメータとして、閾値、用紙サイズ、用紙タイプ、ページ数などの情報を持つ。続いてS2702に進みCPU301は印刷制御部541として機能し、S2701で作成した品質確認ジョブに印刷ジョブの識別子を付与する。S2703でCPU301はデータ管理部544として機能し、図29(A)のジョブ管理テーブルをもとに、プリントサーバ122から印刷装置121へ品質確認ジョブを送信する。
実施形態6では、S2704において印刷制御部541は、品質確認ジョブとは別にNG時の調整処理の内容をもとに調整用ジョブを作る。例えば、図24に示したPRXを持つ印刷ジョブ「ジョブ1」の場合、PRXの「ComplianceGoal」にパラメータ値として「AutoAdjustGradiation」が設定されている。そのことから、図26(D)のPRX-調整処理対応テーブルから「ToneVerification」を持つ「ジョブ1の確認ジョブ」を作成し品質確認ジョブとして印刷制御部541は印刷装置121へ投入する。
これと同時に印刷制御部541は、閾値が「dE5以下」であったときに備えて、次の処理「ToneCalibration」を持つ「ジョブ1の調整ジョブ」を準備する。このとき印刷制御部541は、印刷ジョブ「ジョブ1」の用紙サイズA4と普通紙の設定を持つ調整用ジョブを作成する。この調整用ジョブは、印刷装置121が持つ諧調補正処理(ToneCalibration)を持つ。この調整用ジョブは印刷ジョブの識別子をパラメータとして持つ。NG時の調整処理が付与されている調整用ジョブが投入されたときは、調整制御部546が諧調補正を行う。印刷装置121の動作は後述の図28のフローを参照して説明する。
印刷制御部541は、品質確認ジョブを「印刷ジョブ名」+「の確認ジョブ」というジョブ名を付けて、図29(A)のジョブ管理テーブルに保存する。このとき調整用ジョブは「印刷ジョブ名」+「の調整用ジョブ」というジョブ名を付けてジョブ管理テーブルに保存する。図9のPRXを持つ印刷ジョブの場合については実施形態5と同じため省略する。
次にS2705に進みCPU301は印刷制御部541として機能し、調整用ジョブに印刷ジョブの識別子をつける。そしてS2706に進みCPU301はデータ管理部544として機能し、図29(A)のジョブ管理テーブルをもとに、プリントサーバ122から印刷装置121へ調整用ジョブを送信する。そしてS2707に進みCPU301は印刷制御部541として機能し、図15の1502で作成された、印刷データやJDFから構成される印刷ジョブ「ジョブ1」から、印刷装置121で印刷する印刷ジョブを生成する。そしてS2708に進みCPU301はデータ管理部544として機能し、図15の1501で決定した印刷装置121に印刷ジョブを送信する。
後述の図28のS2806で説明するが、印刷装置121が調整用ジョブを処理するときにプリントサーバ122からの割り込みが必要なときは、印刷装置121からエラーが通知される。こうして通知されるエラーはS2709でデータ管理部544が受信する。こうしてエラーを受信するとS2710に進む。S2710でCPU301は印刷制御部541として機能し、そのエラーに含まれる印刷ジョブの識別子を取得する。そしてS2711に進み印刷制御部541は、エラーと一緒に伝えられた印刷ジョブの識別子をもとに、前述した図29(A)のジョブ管理テーブルを参照する。そして、印刷制御部541は、印刷ジョブの識別子にあわせた品質確認ジョブ、調整用ジョブ、印刷ジョブを送信して、この処理を終了する。
図28は、実施形態6に係る生産システム120の印刷装置121の制御処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、プリントサーバ122が印刷ジョブを印刷装置121へ送信した後に呼び出される。尚、この処理を実行するプログラムは、印刷装置121のRAM(不図示)に展開されており、印刷装置121のCPU(不図示)がこの制御プログラムを実行することにより、このフローチャートで示す処理が実行される。尚、図中の2107,2105は、図21のシーケンス図に該当する処理を示す。
S2801でCPUはデータ管理部544として機能し、ジョブを受信したかを判定する。ここでジョブを受信していなければジョブ受信の判定を繰り返し行い、ジョブを受信するとS2802へ進む。S2802でCPUは調整制御部546として機能し、プリントサーバ122から受信したジョブが品質確認ジョブか否(調整用ジョブまたは印刷ジョブ)かを判定する。品質確認ジョブの場合はS2803に進み、そうでないときはS2809に進む。
S2803でCPUは調整制御部546として機能し、品質確認処理を実行する。この品質確認処理は、データ管理部544が受け付けた調整実行テーブル(図29(B)の順番に実行される。
図29(B)は、実施形態6に係る調整実行テーブルの一例を示す図である。この調整実行テーブルは、印刷装置121が持つジョブをまとめたテーブルであり、データ管理部544が管理している。実行される品質確認処理は1つであっても複数であってもよい。この調整実行テーブルには、図24のPRXを持つ印刷ジョブの場合が例として示されている。次にS2803に進みCPUは調整制御部546として機能し、調整実行テーブルを照合し、1行目の品質確認ジョブに付与された品質確認処理と閾値から、実行する品質確認処理を決定する。
ここでデータ管理部544が、プリントサーバ122から印刷ジョブ「ジョブ1」と品質確認ジョブ「ジョブ1の確認ジョブ」、調整用ジョブ「ジョブ1の調整用ジョブ」を受信した場合を想定する。その場合、調整制御部546は、この調整実行テーブルの1行目の品質確認ジョブを参照し、印刷ジョブ「ジョブ1」の実行前に「ジョブ1の確認ジョブ」を実行する。この調整実行テーブルの「ジョブ1の確認ジョブ」の例では、「ToneVerification」が書かれているので、調整制御部546は印刷装置121が持つ諧調補正を実行する。
次にS2804に進みCPUは調整制御部546として機能し、S2803で実行した品質確認処理の結果が、最低品質ランク(閾値)を満たしているか否かを判定する。図29(B)の調整実行テーブルの「ジョブ1の確認ジョブ」の例では、調整制御部546は「ToneVerification」の結果が最低品質ランク「dE 5以下」を満たしているか否かを判定する。ここで最低品質ランクを満たしていないと判定したときはS2805に進む。S2805で調整制御部546は、関係する印刷ジョブの識別子を取得する。ここでは、調整実行テーブルの印刷ジョブの識別子を参照して、調整制御部546は関係する印刷ジョブの識別子を求める。続いてS2806に進み、CPUは調整制御部546として機能し、印刷ジョブの識別子を用いて品質確認ジョブと後続の印刷ジョブを不図示の保留テーブルにそれぞれのジョブを保留する。
プリントサーバ122が測色パッチを準備して印刷装置121に送信する場合には、プリントサーバ122、又はワークフロー管理サーバ100にエラーを通知する。このとき調整処理にプリントサーバ122からの割り込みが必要な場合は、印刷ジョブを含む印刷ジョブに関係する全てのジョブをキャンセルするとしてもよい。この場合とは、例えば生産システム120の印刷装置121が調整用ジョブを実行するために測色パッチのデータを持っておらずプリントサーバ122から測色パッチのデータを投入するような場合である。保留した品質確認ジョブは後程S2812にて説明するが、調整用ジョブ実行時に読み込まれ、調整用ジョブの直後に挿入される。
一方、S2804で最低品質ランクを満たしていると判定したときはS2807へ進む。S2807でCPUは画像形成制御部5413として機能し、品質確認ジョブに関係する印刷ジョブの識別子を取得する。続いてS2808に進み画像形成制御部5413は、ジョブ管理テーブルの後続にある同じ印刷ジョブの識別子を持つ調整用ジョブをキャンセルする。これにより実施形態6では、品質確認ジョブが品質条件を満たした場合は、以降の調整用ジョブの実行を行わない。
一方、S2802で調整制御部546が処理しているジョブが品質確認ジョブでないと判定したときはS2809に進む。S2809でCPUは調整制御部546として機能し、処理しているジョブが調整用ジョブかを判定する。ここで調整用ジョブであると判定するとS2810に進み、そうでないときはS2813に進む。S2810でCPUは調整制御部546として機能し、処理している調整用ジョブの印刷ジョブの識別子を取得する。続いてS2811に進みCPUは調整制御部546として機能し、S2804で最低品質ランクを満たしていない品質項目に関して調整処理を実行する。このとき調整制御部546は、印刷ジョブの識別子に基づいて、図29(B)の調整実行テーブルの2行目の調整用ジョブを照合する。続けて、このジョブ1の調整用ジョブの品質確認処理を参照して調整処理を実行する。図29(B)の調整実行テーブルの例では、S2804にて「ToneVerification」の結果が「dE=6」であった場合、品質確認処理を参照し、「ToneCalibration」を実行する。この「ToneCalibration」を実行することで、色の諧調が補正され、生産システム120の品質ランクを最低品質ランク以上に補正することができる。次にS2812に進みCPUは調整制御部546として機能し、処理している調整用ジョブの印刷ジョブの識別子を使い、不図示の保留テーブルにそれぞれ保留している品質確認ジョブと印刷ジョブを調整用ジョブの後に挿入、印刷ジョブの保留を解除する。
一方、S2809で、処理するジョブが調整用ジョブでないと判定したときはS2813に進む。S2813でCPUは画像形成部5413として機能し、処理する印刷ジョブが保留されているかを確認する。印刷ジョブが保留されていない場合(閾値を満たしており)はS2814に進む。S2814にて、画像形成部5413はジョブ調整実行テーブルに指定されているジョブ設定をもとに印刷を行う。一方、印刷ジョブが保留されている場合(閾値をみたしていない)は、この処理を終了する。
以上説明したように実施形態6によれば、印刷ジョブ毎に要求される品質条件を解釈し、印刷ジョブの実行と連動した適切なタイミングで品質確認処理と調整処理を実行することができるため、印刷ジョブ毎に要求される品質条件を満たすことができる。
[実施形態7]
前述の実施形態6では、生産システム120がワークフロー管理サーバ100から投入された印刷ジョブを解釈し、PRXに品質条件が付与されていて品質確認ジョブ(パッチを印刷するジョブ)を生成する必要があると判定する。その場合に、品質確認ジョブと調整用ジョブを、印刷ジョブとは別途に生成し、品質確認ジョブ、調整用ジョブを投入してから印刷ジョブを実行していた。このとき、印刷ジョブを開始する条件は考慮していない。このため、品質条件が複数存在するとき、ネットワークの状態によっては複数の品質確認ジョブの順番が前後し、データ管理部が受け付けたときに印刷ジョブの後ろに品質管理ジョブが投入される可能性が考えられる。全ての品質確認ジョブを実行せずに印刷ジョブを印刷してしまった場合は、印刷ジョブが品質条件を満たすことができなくなってしまう。そこで実施形態7では、印刷開始条件にあたる識別子を印刷ジョブに付与することにより、全ての品質確認ジョブを実行してから印刷を行うようにする。尚、実施形態7に係るシステム構成、及び各装置のハードウェア構成等は前述の実施形態1と同じであるため、その説明を省略する。
図30は、実施形態7に係るプリントサーバ122による制御処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、プリントサーバ122が印刷ジョブを受け取り、PRXを解釈するときに呼び出される。尚、この処理を実行するプログラムはRAM203に展開されており、CPU301がこの制御プログラムを実行することにより、このフローチャートで示す処理が実行される。尚、図中の2101,2103,2104,2106,2107は、図21のシーケンス図に該当する処理を示す。また、S2201~S2205は、図22にて説明した処理と同じ処理のため、説明を省略する。S2701~S2707、S2709~S2711は、図27で説明した処理と同じ処理のため、それらの説明を省略する。
S3001でCPU301は印刷制御部541として機能し、S2707で作成した印品質確認ジョブの識別子と、S2704で作成した調整用ジョブの識別子を図32(A)のジョブ管理テーブルの「品質確認ジョブの識別子」に登録する。複数の品質確認ジョブが存在する場合は、印刷制御部541はすべての品質確認ジョブの識別子(実施形態7では名称)を付与する。続いてS3002に進みCPU301はデータ管理部544として機能し、印刷ジョブを送信する。
図31は、実施形態7に係る生産システム120の印刷装置121の制御処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、プリントサーバ122が印刷ジョブを印刷装置121へ送信した後に呼び出される。尚、この処理を実行するプログラムは印刷装置121のRAMに展開されており、印刷装置121のCPU(不図示)がこの制御プログラムを実行することにより、このフローチャートで示す処理が実行される。尚、S2801~S2813は、図28のフローチャートと同じ処理であるため、それらの説明を省略する。
S3101でCPUは画像形成部5413として機能し、S2813で判定した保留されていない印刷ジョブに関係する品質確認ジョブが全て終了したかを照合する。実施形態7では、ジョブ調整実行テーブルは図32(A)と同等のためジョブ管理テーブルを用いて説明する。S3101で画像形成部5413は、印刷ジョブのパラメータの一つである品質確認ジョブの識別子を取得する。続いて、その印刷ジョブを印刷するにあたり、画像形成部5413はその識別子を用いて、印刷ジョブに関係する品質確認ジョブと調整用ジョブが全て終了しているかをジョブ調整実行テーブルを用いて照合する。ここで全ての品質確認ジョブが終了していると判定したときはS3102に進んで印刷ジョブを実行する。一方、品質確認ジョブが全て終了していないと判定したときは、この処理を終了する。
以上説明したように実施形態7によれば、印刷ジョブ毎に要求される品質条件を解釈し、印刷ジョブの実行と連動した適切なタイミングですべての品質確認処理と調整処理を実行してから印刷ジョブを印刷することができる。そのため、印刷ジョブ毎に要求される品質条件を満たすことができる。
[実施形態8]
次に実施形態8について説明する。尚、実施形態8に係るシステム構成、及びワークフロー管理サーバ100、ワークフロー管理端末101及び生産システム120のハードウェア構成は前述の実施形態1と同じである。また実施形態8に係る印刷システムにおける処理の流れを説明するシーケンス図も前述の実施形態1に係る図6と同じである。更に、実施形態8に係る各種装置のソフトウェア構成も前述の図5(実施形態1)と同じである。但し、図6の613,614は除く。更に実施形態8に係るワークフロー管理サーバ100の処理は前述の図7と同じであり、またPRXは、前述の実施形態1に係る図9と同じである。
図33は、本発明の実施形態8に係る生産システム120による制御処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、ワークフロー管理サーバ100が印刷ジョブを生産システム120へ送信した後に呼び出される。尚、この処理を実行するプログラムはRAM303に展開されており、CPU301がこの制御プログラムを実行することにより、このフローチャートで示す処理が実行される。尚、図中の611、612は、図6のシーケンス図に該当する処理を示す。この処理は、実施形態1の図8(A)(B)を一つにまとめたフローチャートに相当している。
S3301でCPU301は調整制御部546として機能し、ワークフロー管理サーバ100から受信した印刷ジョブに識別情報が付与されているか否かを判定する。ここで識別情報が付与されていると判定したときはS3302へ進む。一方、識別情報が付与されていないと判定したときはS3306へ進んで印刷ジョブを実行する。S3302でCPU301は調整制御部546として機能し、印刷ジョブに付与された識別情報と図32(B)の調整実行テーブルとを照合し、実行する品質確認処理を決定する。いま、ワークフロー管理サーバ100から印刷ジョブ「ジョブ1」と識別情報「調整セットA」を受信した場合、図32(B)の調整実行テーブルの行3301を参照し、「ジョブ1」の実行前に「調整セットA」を実行することを決定する。
次にS3303に進みCPU301は調整制御部546として機能し、S3302で決定した品質確認処理を実行する。この品質確認処理は、単数であっても複数であってもよい。図32(B)の調整実行テーブルの「調整セットA」の例では「JapanColor Verification」と「表裏レジVerification」が登録されているので、これら2つの品質確認を実行する。そしてS3304に進みCPU301は調整制御部546として機能し、S3303で実行した品質確認処理の結果が、最低品質ランク(閾値)を満たしているか否かを判定する。
図32(B)の調整実行テーブルの「調整セットA」の例では、「JapanColor Verification」の結果が最低品質ランク「dE5以下」を満たしているか否かを判定する。同様に、「表裏レジVerification」の結果が最低品質ランク「ずれ量4mm以下」を満たしているか否かを判定する。ここで最低品質ランクを満たしていない場合はS3305へ進むが、最低品質ランクを満たしている場合はS3306に進んで印刷ジョブを実行する。
S3305でCPU301は調整制御部546として機能し、S3304にて最低品質ランクを満たしていない品質項目に関して、調整実行テーブル1100のNG時の調整処理1004を参照して、調整処理を実行する。図32(B)の調整実行テーブルの例では、S3304で「JapanColor Verification」の結果が「dE6」であった場合、NG時の調整処理を参照し、「JapanColor Calibration」を実行する。この「JapanColor Calibration」を実行することで、色変動が補正され、生産システム120の品質ランクを最低品質ランク以上に補正することができる。
以上説明したように実施形態8によれば、印刷ジョブ毎に要求される品質条件を解釈し、印刷ジョブの実行と連動した適切なタイミングで品質確認処理と調整処理を実行することができる。特に実施形態8では、調整情報を(ジョブではなく)コマンドとして生産システムに送信する。これにより、印刷ジョブ毎に要求される品質条件を満たした印刷成果物を生成することができる。
また実施形態8に係るワークフロー管理サーバ100の処理(図7)において、前述の実施形態2の図12と同様に、同一の品質確認処理が既に登録されている場合には、品質確認処理の登録を省くようにすると良い。これにより、ワークフロー管理サーバ100や生産システム120の資源を圧迫しないようにできる。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。