JP7414150B2 - 地図サーバ、地図配信方法 - Google Patents

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関連出願の相互参照
この出願は、2020年9月9日に日本に出願された特許出願第2020-151419号を基礎としており、基礎の出願の内容を、全体的に、参照により援用している。
本開示は、地図データの通信にかかるコストを低減するための技術に関する。
特許文献1には、車両に搭載されたカメラにより撮像された画像を用いて検出されたランドマーク等の位置情報を含むプローブデータに基づいて、道路沿いに存在する地物であるランドマークについての情報を含む地図データを生成する技術が開示されている。当該図データは、車線に沿って自律的に走行する車両において、現在位置に応じた車両制御を実行するために使用される。
以降では、道路に対する自車両の位置を特定するための目印として機能する地物(つまりランドマーク)についての情報を含む地図データのことを詳細地図データとも記載する。なお、特許文献2-3には、交差点内の走行軌道を決定するための情報を含む地図データを配信する構成が開示されている。
特表2018-510373号公報 特開2020-101745号公報 特開2020-38365号公報
道路環境は多様であり、詳細地図データがなくとも車両に搭載された周辺監視センサだけでも自律的に走行可能な環境がある。例えば直線的な道路区間などである。一方、道路環境の中には、周辺監視センサだけでは自律的に走行困難なシーンがある。周辺監視センサだけでは自律的に走行困難なシーンとは、例えば一般道路における交差点内や、高速道路における分岐/合流地点などである。
そのような複雑な判断及び制御が要求されるシーンでは、周辺監視センサだけでは、自動運転機能や高度な運転支援機能(以降、自動運転等)の継続性が低下する。自動運転等の中断が頻繁に起きると、ユーザの利便性が低下する。また、自動運転等の中断が頻繁に生じると、システムに対するユーザの信頼感が醸成されにくくなることも懸念される。そこで、種々の地物の位置や形状を詳細に記述した詳細地図データを導入することによって、自動運転等が中止される可能性を低減したいという需要がある。
しかしながら、地図データの情報量を増やすと、地図を配信する際、サーバと車両との間の通信量が増大する。通信量が増大すると、通信料の面においてもユーザが負担するコストが増大しうる。また、地図データの情報量が増大すると、車両内の通信量も増大するため、対応できるよう通信設備を増強する必要も生じうる。そのため、最終的にユーザが負担するコストが増大しうる。
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、車両制御が中止される恐れを低減しつつ、地図データの通信にかかるコストを低減可能な地図サーバ、地図配信方法を提供することにある。
その目的を達成するための地図サーバは、地図データを車両に配信する地図サーバであって、地図上において、ユーザの運転操作を支援または車両を自律的に走行させるための所定の車両制御を、一定レベルの性能を維持しつつ実施することが困難な地点である難所を設定する難所設定部(G3)と、エリア毎の配信用の地図データを生成する配信用地図生成部(G4)と、配信用地図生成部が生成した地図データを車両に配信する処理を行う配信処理部(G5)と、を備え、配信用地図生成部は、難所に関連するエリアである難所関連エリアに対しては、難所関連エリアではない通常エリアよりも、配信用の地図データとして、単位面積当り又は単位道路長当りのデータ量が多いデータセットを生成するものであって、難所関連エリアについての配信用の地図データには、30m以内に少なくとも2つのランドマークについての情報を含め、通常エリアについての地図データには、30m以内に2つ以上のランドマークについての情報を含めないように構成されている
上記構成によれば、難所に関連するエリア(つまり難所関連エリア)については、その他のエリアよりも情報量が多い地図データが配信される。故に、車両制御が中止される恐れを低減できる。一方、通常エリアに関して配信される地図データは相対的に疎な地図となる。ここでの通常エリアとは、難所関連エリア以外のエリア、つまり相対的に車両制御の実行難度が低いエリアに相当する。このような車両制御の実行難度が相対的に低いエリアについては、詳細な地図データが必要となる可能性は小さい。故に情報量を減らしても、車両制御が中止される恐れは低い。このように全てのエリアについて詳細な地図データを配信するのではなく、車両制御が困難ではないエリアの地図を疎とすることで、車両制御が中止される恐れを低減しつつ、地図データの送受信にかかるコストを低減可能となる。
また、上記目的を達成するための地図配信方法は、少なくとも1つのプロセッサによって実行される、地図データを車両に配信するための地図配信方法であって、地図上において、ユーザの運転操作を支援または車両を自律的に走行させるための所定の車両制御を、一定レベルの性能を維持しつつ実施することが困難な地点である難所を設定する難所設定ステップ(S202)と、エリア毎の配信用の地図データを生成する配信用地図生成ステップ(S205)と、配信用地図生成ステップで生成された地図データを車両に配信する処理を行う配信処理ステップ(S209)と、を含み、配信用地図生成ステップは、難所に関連するエリアである難所関連エリアに関しては、配信用の地図データとして、難所関連エリアではない通常エリアよりも、単位面積当り又は単位道路長当りのデータ量が多いデータセットを生成するステップであって、難所関連エリアについての配信用の地図データには、30m以内に少なくとも2つのランドマークについての情報を含め、通常エリアについての地図データには、30m以内に2つ以上のランドマークについての情報を含めないように構成されている
上記の方法によれば、地図サーバと同様の作用効果を得られる。
なお、請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
地図連携システムの全体像を説明するための図である。 地図データの構成を説明するための図である。 地図データの各レイヤの対応関係を説明するための図である。 車両制御システムの構成を説明するための図である。 運転支援ECUの構成を示すブロック図である。 運転支援ECUが実施する難所報告処理のフローチャートである。 地図サーバの構成を示す図である。 地図サーバの機能を説明するためのブロック図である。 地図サーバが実施する配信用地図生成処理のフローチャートである。 走行可能範囲データの生成方法を説明するための図である。 右折時の走行可能範囲を概念的に示す図である。 右折時の走行軌道を決定するための仮想車線を示す図である。 地図サーバが生成する難所関連エリアデータの一例を示す図である。 難所関連エリアと原地図が備えるマップタイルとのサイズ比率の変形例を示す図である。 難所関連エリアデータを構成するマップタイルの設定例を示す図である。 配信用地図の作成方法の一例を示すフローチャートである。 難所関連エリアデータのデータ構成の一例を示す図である。 通常エリアデータのデータ構成の一例を示す図である。 配信用地図データの構成の一例を示す図である。 配信用地図データの構成の一例を示す図である。 地図データの利用状況を示すアイコン画像の一例を示す図である。 地図連携システムの他の構成例を示す図である。 地図連携システムの他の構成例を示す図である。
図面を参照しながら本開示にかかる車両制御システム1の実施形態について説明する。なお、以下では左側通行が法制化されている地域で車両制御システム1が使用される場合を例に挙げて説明を行う。以降における交差点における右折とは、対向車線をまたいで交差道路に進入する挙動を指す。また、進行方向を同一とするレーンの中で左端のレーンを第1レーンと称する。右側通行が法制化されている地域では、以下の説明における左右を適宜逆に変更することができる。本開示は、車両制御システム1が使用される地域の法規や慣習に適合するように適宜変更して実施することができる。例えば交差点での右左折にかかる車両制御の態様は、車両制御システム1が使用される地域の交通ルールに準拠するように変更可能である。
<全体構成の概要>
図1は、本開示に係る車両制御システム1を含む地図連携システム100の概略的な構成の一例を示す図である。図1に示すように、地図連携システム100は、車両Maに構築されている車両制御システム1と、地図サーバ3と、を備える。なお、図1では車両制御システム1を搭載した車両Maを1台しか図示していないが、車両制御システム1を搭載した車両Maは複数存在しうる。すなわち、地図連携システム100を構成する車両Maは複数存在しうる。
車両制御システム1は、道路上を走行可能な多様な車両Maに搭載可能である。車両Maは、四輪自動車のほか、二輪自動車、三輪自動車等であってもよい。原動機付き自転車も二輪自動車に含めることができる。車両Maは、個人によって所有されるオーナーカーであってもよいし、カーシェアリングサービスや車両貸し出しサービス(いわゆるレンタカー)に供される車両であってもよい。また、車両Maは、サービスカーであってもよい。サービスカーには、タクシーや路線バス、乗り合いバスなどが含まれる。タクシー/バスは、運転手が搭乗していない、ロボットタクシー/無人運行バスなどであってもよい。
本開示における自車両とは以降では車両制御システム1が搭載されている1つの車両Maを指す。また、ユーザとは、自車両の運転席に着座している乗員(つまり運転席乗員)を指す。運転席乗員の概念には、自車両を遠隔操作する権限を有する存在であるオペレータも含めることができる。なお、以下の説明における前後、左右、上下の各方向は、自車両を基準として規定される。具体的に、前後方向は、自車両の長手方向に相当する。左右方向は、自車両の幅方向に相当する。上下方向は、車両高さ方向に相当する。別の観点によれば、上下方向は、前後方向及び左右方向に平行な平面に対して垂直な方向に相当する。
車両制御システム1は、地図サーバ3と無線通信を実施することにより、地図サーバ3から局所的な高精度地図データである部分地図データをダウンロードして、運転支援や、自動運転、ナビゲーションに使用する。
<地図データについて>
ここではまず地図サーバ3が管理及び配信する地図データについて説明する。地図データは、道路構造、及び、道路沿いに配置されている地物についての位置座標等を、自動運転に利用可能な精度で示す地図データに相当する。地図データは、道路ネットワークデータ、レーンネットワークデータ、地物データ、静的POIデータ、及び動的POIデータを備える。各データは階層的に構成されている。
例えば地図データは、図2に示すように、ネットワークレイヤL1と、地物レイヤL2、静的POIレイヤL3、及び、動的POIデータを収容する動的POIレイヤL4を含む。ネットワークレイヤL1は道路ネットワークデータ及びレーンネットワークデータを収容するレイヤである。地物レイヤL2は、地物データを収容するレイヤである。静的POIレイヤL3は、静的POIデータを収容するレイヤである。動的POIレイヤL4は、動的POIデータを収容するレイヤである。
ネットワークレイヤL1に収容される道路ネットワークデータは、道路リンク毎のリンクデータと、ノード毎のノードデータとを含む。ノードは、道路が分岐/合流する地点や、道路の終端部など、道路の接続関係を表すために道路上に設定される地点である。道路リンクは、ノード間を接続する道路区間を指す。道路リンク毎のリンクデータは、リンクID、リンク長、レーン数、道路属性、及び接続ノード情報(例えばノードID)を含む。道路ノードごとのノードデータは、ノードID、位置座標、及び接続リンク情報(例えばリンクID)を含む。道路属性には、例えば、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数を表す車線数情報、及び、速度規制値等が含まれる。リンクデータには、自動車専用道路であるか、一般道路であるかといった、道路種別を示すデータも含まれていてもよい。ここでの自動車専用道路とは、歩行者や自転車の進入が禁止されている道路であって、例えば高速道路などの有料道路などを指す。リンクデータは、自動運転、換言すれば自律走行が許容される道路であるか否かを示す属性情報を含みうる。
レーンネットワークデータは、レーンリンク毎のレーンリンクデータと、レーンノード毎のレーンノードデータを含む。レーンリンクデータは、レーンID、レーンレベルでのリンクID、リンク長、及び接続ノード情報を含む。レーンノードデータは、レーンレベルでのノードID、位置座標、及び接続リンク情報を含む。レーンネットワークデータが備えるレーンレベルでのリンク情報は、道路ネットワークデータが備える道路リンクと対応付けられている。
地物レイヤL2に収容される地物データは、道路端データ、路面標示データ、及び立体物データを含む。各種地物データは、後述される周辺監視センサ11としてのカメラで検出可能な地物についてのデータとすることができる。道路端データは道路端の位置を示す座標点群を含む。
路面標示データは、路面標示の設置位置及びその種別を示すデータである。路面標示とは、道路の交通に関する規制または指示のための路面に描かれたペイントである。路面標示は、1つの側面において、路面ペイントと呼ぶことができる。例えば、レーンの境界を示す車線区画線や、横断歩道、停止線、導流帯、安全地帯、規制矢印などが路面標示に含まれる。道路名称を示す路面ペイントも路面標示に含めることができる。路面に付与された線、記号、及び文字が路面標示に相当する。また、路面標示には、ペイントだけなく、路面自体の色の違いや、道路鋲、石などによって形成された線、記号、文字を含めることができる。
路面標示データは、車線区画線についてのデータである区画線データと、その他の路面標示についてのデータである点在路面標示データを含む。区画線データが道路に沿って連続的に延設される線状の標示についてのデータであるのに対し、点在路面標示データは、例えば一時停止線や制限速度標示など、必要な個所に点在している路面標示についてのデータである。点在路面標示データは、区画線以外の所定の路面標示の設置位置及びその種別を示す。
区画線データは、車線区画線についてのデータである。車線区画線には、チャッターバーやボッツドッツなどの道路鋲によって実現されるものも含まれる。区画線データは、車線区画線ごとの区画線ID、及び、設置部分を表す座標点群を備える。区画線データは、破線や実線、道路鋲などといったパターン情報を含む。車線区画線は、レーンマークあるいはレーンマーカーとも称される。以降における区画線とは、レーンの境界線をさす。区画線には、車道外側線や、中央線(いわゆるセンターライン)などを含めることができる。道路端データ及び区画線データは、例えばレーンIDやレーンレベルでのリンクIDといったレーン情報と対応付けられている。道路端や区画線の位置及び形状情報は2次または3次スプライン曲線で表現されていてもよい。
立体物データは、道路沿いに設置された立体的な構造物の位置及び種別を表す。道路沿いに設置される立体構造物とは、例えば、交通標識、商業看板、ポール、ガードレール、縁石、樹木、電柱、信号機などである。交通標識とは、例えば規制標識や、案内標識、警戒標識、指示標識などとして作用する記号、文字列、及び図柄の少なくとも1つが付与された看板を指す。案内標識には、方面看板や、地域名称を示す地域名称看板、道路名を示す道路名称看板、高速道路の出入口やサービスエリア等を予告する予告看板などが含まれる。各立体構造物の形状および位置は、例えば座標点群によって表現されている。道路沿いに設置される上記の構造物の一部又は全部、及び、一時停止線などの所定の路面標示は、後述するランドマークとして使用される。つまり、地図データは、ランドマークの設置位置や種別についてのデータを含む。
静的POIレイヤL3に収容される静的POIデータは、上記以外の静的な地図要素についてのデータである。ここでの静的な地図要素とは、例えば1週間~1週間以内での更新が求められる地物を指す。換言すれば静的な地図要素とは、数分から数時間程度では位置や存続状態が変化しない地図要素を指す。静的POIデータは、料金所や、トンネル、高速道路の本線から退出するための分岐点や、合流地点などの位置情報が含まれる。また、カーブ区間が始まる位置であるカーブ開始位置や、本線から減速車線へ退出する場合の車線変更開始位置、加速車線から本線に合流する場合の車線変更開始位置なども静的POIとしての地図要素に含まれうる。各静的POIデータは、種別や位置情報を含む。静的POIデータは、例えば、後述する周辺監視センサ11の検出対象物に含まれていない静的な地図要素についてのデータとすることができる。
動的POIレイヤL4に収容される動的POIデータは、動的な地図要素の位置を示すデータである。動的な地図要素とは、数分~数時間の時間変化に伴って位置や存続状態が変化する地図要素を指す。動的な地図要素には、例えば渋滞区間や、工事区間、故障車、落下物、事故地点、車線規制区間などが含まれる。局所的な豪雨が生じている区域である豪雨エリアや、路面が凍結している区間である路面凍結区間、路面が雪で覆われている積雪地点、道路が砂で覆われている覆砂地点なども動的な地図要素に含めることができる。なお、覆砂地点は、区画線が付与された舗装道路において、砂嵐などによって一時的に区画線が砂で覆われている地点を指す。動的POIデータ及び静的POIデータは、車両の走行計画に影響を及ぼす地物や事象の位置及び種別を示すデータのうち、プローブデータに基づいて生成された地図データに対して、サーバやオペレータが特定の処理を行って後付けされうる。
上述した種々の各レイヤは位置座標等で互いに対応付けられている。図3は、各レイヤに収容される地図要素同士のつながりを概念的に示したものである。図3中に示すLn1~5は、地物データによって表現される区画線を表している。S_POI1は、静的POIとして、例えば減速車線へ退出するための車線変更開始位置を表している。D_POI1は、動的POIとして、例えば故障車の停車位置を表している。
上記の地図データは、道路形状及び構造物の特徴点の点群を含む3次元地図データであってもよい。3次元地図データは、道路端や車線区画線、交通標識などの地物の位置を3次元座標で表す地図データに相当する。なお、3次元地図は、REM(Road Experience Management)によって撮像画像をもとに生成されたものでもよい。地図データのレイヤ構成は一例であって、適宜変更可能である。例えば、静的POIレイヤL3と地物レイヤL2は統合されていても良い。また、以上で地図データは、以上で例示した地図要素、換言すれば地図項目の全てを収録している必要はない。地図データは、以上で例示した地図要素の一部のみを収録したものであってもよい。
さらに、地図データは、走行軌道モデルを含んでいてもよい。走行軌道モデルは、複数の車両の走行軌跡を統計的に統合することで生成された軌道データである。走行軌道モデルは、たとえば車線ごとの走行軌跡を平均化したものである。走行軌道モデルは、操舵支援実行時又は自動運転実行時の基準となる走行軌道を示すデータに相当する。なお、操舵支援機能は、LTA(Lane Tracing Assist)、又は、LTC(Lane Trace Control)と呼ばれることがある。LTA及びLTCは自車両を車線または先行車の軌跡に沿って走行させる、運転支援としての車両制御に相当する。以降における操舵支援機能は、LTA又はLTCと読み替えて実施可能である。地図データは、走行軌道モデルを収容する走行軌道レイヤを備えていても良い。
さらに地図データは、静的POIレイヤL3又はその他のレイヤとして、道路上において、実際に車両が自動運転機能や運転支援機能を用いて走行する際の走行可能範囲を示す走行可能範囲データを備えていても良い。走行可能範囲データは、例えばポリゴンデータの形式で生成される。走行可能範囲データは、例えば高速道路等での合流区間や分岐区間、交差点内、無車線地点などにおける、進行方向毎の走行可能範囲を示す。無車線地点は区画線を示すペイントや道路鋲などが設けられていない地点を指す。走行可能範囲は、車両が走行できる領域、又は、車両が走行すべき領域と解することもできる。走行可能範囲の設定方法については別途後述する。
地図サーバ3は、地図収録地域全体に対応する全地図データを備える。ただし全地図データは、複数のパッチに区分されて管理及び配信される。各パッチはそれぞれ異なる区域の地図データに相当する。例えば地図サーバ3は、地図収録領域全体を1辺の長さが100m~300m程度の矩形状に分割したマップタイルの単位で管理する。マップタイルは前述のパッチの下位概念に相当する。各マップタイルには、そのマップタイルが対応している現実世界の領域を示す情報が付与されている。現実世界の領域を示す情報は例えば緯度、経度および高度などで表現されている。また、各マップタイルには固有のIDであるタイルIDが付与されている。パッチごと、あるいは、マップタイルごとの地図データは、地図収録地域全体の一部、換言すれば局所的な地図データである。マップタイルは部分地図データに相当する。地図サーバ3は、車両制御システム1からの要求に基づき、車両制御システム1の位置に応じた部分地図データを配信しうる。
なお、マップタイルの形状は、数百m四方の矩形状に限定されない。500m四方や1km四方、2km四方の矩形状であってもよい。また、マップタイルは、六角形や円形などであってもよい。各マップタイルは、隣接するマップタイルと部分的に重なるように設定されていてもよい。つまり、各マップタイルは、境界付近で他のマップタイルとオーバーラップするように設定されていてもよい。加えて、地図データの分割態様は、データサイズによって規定されていてもよい。換言すれば、地図収録地域全体にかかる地図データは、データサイズによって規定される範囲で分割されて管理されてもよい。その場合、各パッチは、データ量が所定値未満となるように設定されている。そのような態様によれば、1回の配信におけるデータサイズを一定値以下とすることができる。地図収録領域は、車両が使用される国土全体であってもよいし、一部のエリアだけであってもよい。例えば地図収録領域は、一般車両の自動運転が許可されているエリアや、自動運転移動サービスが提供されるエリアだけであっても良い。
上述した地図データは、例えば複数の車両からアップロードされるプローブデータを統合処理することによって随時更新される。なお、本実施形態の地図サーバ3が取り扱う地図データは、複数の車両で観測されたプローブデータを統合することで生成及び更新されるプローブデータ地図(以降、PD地図)とするが、これに限らない。地図サーバ3が取り扱う地図データは、高解像LiDAR等を搭載した専用のプローブカーが測定したデータや、定点測量計の結果、高精度なGPS測量の結果などを元に生成された高精度地図(以降、HD地図)であってもよい。LiDARはLight Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Rangingの略である。
<車両制御システム1の構成について>
車両制御システム1は、図4に示すように、周辺監視センサ11、車両状態センサ12、ロケータ13、V2X車載器14、HMIシステム15、走行アクチュエータ16、及び運転支援ECU20を備える。なお、部材名称中のECUは、Electronic Control Unitの略であり、電子制御装置を意味する。また、HMIは、Human Machine Interfaceの略である。V2XはVehicle to X(Everything)の略で、車を様々なものをつなぐ通信技術を指す。なお、V2Xの「V」は自車両としての自動車を指し、「X」は、歩行者や、他車両、道路設備、ネットワーク、サーバなど、自車両以外の多様な存在を指しうる。
車両制御システム1を構成する上記の種々の装置またはセンサは、ノードとして、車両内に構築された通信ネットワークである車両内ネットワークNwに接続されている。車両内ネットワークNwに接続されたノード同士は相互に通信可能である。なお、特定の装置同士は、車両内ネットワークNwを介することなく直接的に通信可能に構成されていてもよい。図4において車両内ネットワークNwはバス型に構成されているが、これに限らない。ネットワークトポロジは、メッシュ型や、スター型、リング型などであってもよい。車両内ネットワークNwの規格としては、例えばController Area Network(CANは登録商標)や、イーサネット(登録商標)、FlexRay(登録商標)など、多様な規格を採用可能である。
周辺監視センサ11は、自車両の周辺を監視するセンサである。周辺監視センサ11は、所定の検出対象物の存在及びその位置を検出するように構成されている。周辺監視センサ11は、光や音などの物理情報を直接的に取得して、所定の検出範囲内の物体を検知するセンサ(いわゆる自律系センサ)に相当する。検出対象物には、例えば、歩行者や、他車両などの移動体が含まれる。他車両には自転車や原動機付き自転車、オートバイも含まれる。また、周辺監視センサ11は、所定の地物も検出可能に構成されている。周辺監視センサ11が検出対象とする地物には、道路端や、中央分離帯、路面標示、道路沿いに設置される立体構造物が含まれる。路面標示は前述の通り、区画線や、一時停止線などである。道路沿いに設置される立体構造物とは、例えば道路標識や信号機などである。周辺監視センサ11が検出対象とする地物の一部または全部は、運転支援ECU20においてランドマークとして利用される。
本開示におけるランドマークとは、地図上における自車両の位置を特定するための目印として利用可能な地物を指す。ランドマークとしては、例えば規制標識や案内標識などの交通標識に相当する看板、信号機、ポール、案内板、一時停止線、区画線などの少なくとも何れか1つを採用可能である。なお、ランドマークのうち、縦方向における位置推定(以降、縦位置推定)を行うための目印として利用可能な地物を縦位置推定用のランドマークとも称する。ここでの縦方向とは、車両の前後方向に相当する。また、縦方向とは、直線道路区間においては、自車両から見て道路が伸びる方向である道路延設方向に相当する。縦位置推定用のランドマークとしては、例えば方面看板などの交通標識や、一時停止線などの路面標示など、道路に沿って離散的に配置されている地図要素を採用可能である。また、車両の横方向における位置推定(以降、横位置推定)を行うための目印として利用可能な地物を横位置推定用のランドマークとも称する。ここでの横方向とは、道路の幅方向に対応する。横位置推定用のランドマークとは、道路端や区画線など、道路に沿って連続的に存在する地物を指す。
以降におけるランドマークとしては、主として車両の縦方向位置を推定するための目印として利用可能な地物を指す。もちろん、前述の通り、ランドマークの概念には区画線などを含めることができる。ランドマークとして用いる地物の種別は適宜変更可能である。ランドマークとしては、交通標識や路面標示など、経時変化が乏しい地図要素が好適である。周辺監視センサ11は、ランドマークに設定されている種別の地物を検出可能に構成されていればよい。
周辺監視センサ11は、他の車両からの落下物などの障害物も検出可能に構成されていてもよい。ここでの障害物とは、道路上に存在し、車両の通行を妨げる立体物を指す。障害物には、車体から離脱したタイヤ、事故車両、事故車両の破片、走行車両からの落下物としての箱や、はしご、袋、スキー板などが含まれる。また、車線規制のための規制資器材などや、工事現場、駐車車両なども障害物に含めることができる。規制資器材とは、例えば矢印板や、コーン、案内板などである。
周辺監視センサ11としては、例えば、周辺監視カメラ、ミリ波レーダ、LiDAR、ソナー等を採用することができる。周辺監視カメラは自車両の外側、所定方向を撮像するように配置されている車載カメラである。周辺監視カメラは、例えば、自車両の前方を撮影するようにフロントガラスの車室内側の上端部や、フロントグリル等に配置された、前方カメラである。もちろん、車両制御システム1は、周辺監視カメラとして、後方カメラ、右側方カメラ、左側方カメラなどを備えていても良い。周辺監視カメラやLiDARは例えばCNN(Convolutional Neural Network)やDNN(Deep Neural Network)などを用いた識別器を用いて上記の検出対象物を検出する。
なお、周辺監視センサ11が生成する観測データに基づく物体認識処理は、運転支援ECU20など、センサの外部に設けられたECUが実行しても良い。すなわち、前方カメラやミリ波レーダなどの周辺監視センサ11が備える物体認識機能の一部又は全部は、運転支援ECU20が備えていてもよい。その場合、各種周辺監視センサ11は、画像データや測距データといった観測データを検出結果データとして運転支援ECU20に提供する。
車両状態センサ12は、自車両の走行制御に関わる状態量を検出するセンサ群である。車両状態センサ12とは、例えば車速センサ、操舵センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ等を指す。車速センサは、自車の車速を検出する。操舵センサは、自車の操舵角を検出する。加速度センサは、自車の前後加速度、横加速度等の加速度を検出する。ヨーレートセンサは、自車の角速度を検出する。なお、車両状態センサ12として車両制御システム1が使用するセンサの種類は適宜設計されればよく、上述した全てのセンサを備えている必要はない。また、車両状態センサ12には、例えば、降雨を検出するレインセンサや、外の明るさを検出する照度センサを含めることができる。
ロケータ13は、複数の情報を組み合わせる複合測位により、自車両の高精度な位置情報等を生成する装置である。ロケータ13は、例えば、GNSS受信機を用いて構成されている。GNSS受信機は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を構成する測位衛星から送信される航法信号を受信することで、当該GNSS受信機の現在位置を逐次検出するデバイスである。例えばGNSS受信機は4機以上の測位衛星からの航法信号を受信できている場合には、100ミリ秒ごとに測位結果を出力する。GNSSとしては、GPS、GLONASS、Galileo、IRNSS、QZSS、Beidou等を採用可能である。
ロケータ13は、GNSS受信機の測位結果と、慣性センサの出力とを組み合わせることにより、自車両の位置を逐次測位する。例えば、ロケータ13は、トンネル内などGNSS受信機がGNSS信号を受信できない場合には、ヨーレートと車速を用いてデッドレコニング(Dead Reckoning:すなわち自律航法)を行う。ロケータ13は加速度センサやジャイロセンサの出力を用いてデッドレコニングしても良い。測位した車両位置情報は車両内ネットワークNwに出力され、運転支援ECU20等で利用される。なお、ロケータ13の機能の一部は運転支援ECU20が備えていても良い。
V2X車載器14は、自車両が他の装置と無線通信を実施するための装置である。V2X車載器14は、通信モジュールとして広域通信部と狭域通信部を備える。広域通信部は、所定の広域無線通信規格に準拠した無線通信を実施するための通信モジュールである。ここでの広域無線通信規格としては例えばLTE(Long Term Evolution)や4G、5Gなど多様なものを採用可能である。そのようなV2X車載器14は、DCM(Data Communication Module)やTCU(Telematics Control Unit)などと呼ぶこともできる。なお、広域通信部は、無線基地局を介した通信のほか、広域無線通信規格に準拠した方式によって、他の装置との直接的に、換言すれば基地局を介さずに、無線通信を実施可能に構成されていても良い。つまり、広域通信部はセルラーV2Xを実施するように構成されていても良い。自車両は、V2X車載器14の搭載により、インターネットに接続可能なコネクテッドカーとなる。例えば運転支援ECU20は、V2X車載器14との協働により、地図サーバから現在位置に応じた高精度地図データをダウンロードして利用可能となる。
V2X車載器14が備える狭域通信部は、通信距離が数百m以内に限定される通信規格である狭域通信規格によって、自車両周辺に存在する他の移動体や路側機と直接的に無線通信を実施するための通信モジュールである。他の移動体としては、車両のみに限定されず、歩行者や、自転車などを含めることができる。狭域通信規格としては、IEEE1609にて開示されているWAVE(Wireless Access in Vehicular Environment)や、DSRC(Dedicated Short Range Communications)など、任意のものを採用可能である。
HMIシステム15は、ユーザ操作を受け付ける入力インターフェース機能と、ユーザへ向けて情報を提示する出力インターフェース機能とを提供するシステムである。HMIシステム15は、ディスプレイ151とHCU(HMI Control Unit)152を備える。なお、ユーザへの情報提示の手段としては、ディスプレイ151の他、スピーカや、バイブレータ、照明装置(例えばLED)等を採用可能である。
ディスプレイ151は、画像を表示するデバイスである。ディスプレイ151は、例えば、インストゥルメントパネルの車幅方向中央部の最上部に設けられた、いわゆるセンターディスプレイである。ディスプレイ151は、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて実現できる。なお、ディスプレイ151は、フロントガラスの運転席前方の一部分に虚像を映し出すヘッドアップディスプレイであってもよい。また、ディスプレイ151は、メータディスプレイであってもよい。
HCU152は、ユーザへの情報提示を統合的に制御する構成である。HCU152は、例えばプロセッサと、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリ等を用いて実現されている。プロセッサとは、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などを指す。HCU152は、運転支援ECU20から提供される情報や、図示しない入力装置からの信号に基づき、ディスプレイ151の表示画面を制御する。例えばHCU152は、運転支援ECU20または運転支援ECU20からの要求に基づき、運転支援の実行状態を示すアイコン画像をディスプレイ151に表示する。なお、ユーザへの情報提示の媒体はディスプレイ151に限定されない。HCU152はスピーカなどを用いてユーザに情報を提示するように構成されていても良い。
走行アクチュエータ16は、走行用のアクチュエータ類である。走行アクチュエータ16には例えば制動装置としてのブレーキアクチュエータや、電子スロットル、操舵アクチュエータなどが含まれる。操舵アクチュエータには、EPS(Electric Power Steering)モータも含まれる。走行アクチュエータ16は運転支援ECU20によって制御される。なお、運転支援ECU20と走行アクチュエータ16との間には、操舵制御を行う操舵ECU、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU及びブレーキECU等、他のECUが介在していてもよい。
運転支援ECU20は、周辺監視センサ11の検出結果をもとに運転席乗員の運転操作を支援するECUである。例えば運転支援ECU20は周辺監視センサ11の検出結果をもとに、走行アクチュエータ16を制御することにより、運転操作の一部または全部を運転席乗員の代わりに実行する。運転支援ECU20は、ユーザによる自律走行指示が入力されたことに基づいて、自車両を自律的に走行させる自動運転装置であってもよい。運転支援ECU20は、運転タスクの一部又は全部を自動的に行う所定の自動制御機能を実行する装置に相当する。なお、ここでの運転タスクとは、例えば操舵操作及び加減速操作が含まれる。また、運転タスクには、例えば車両前方など、車両の周辺を監視することも含まれる。
運転支援ECU20は、処理部21、RAM22、ストレージ23、通信インターフェース24、及びこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として構成されている。処理部21は、RAM22と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部21は、CPU等の演算コアを少なくとも一つ含む構成である。処理部21は処理回路のモジュールと呼ぶこともできる。処理部21は、RAM22へのアクセスにより、種々の処理を実行する。ストレージ23は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体を含む構成である。ストレージ23には、処理部21によって実行されるプログラムとして、運転支援プログラムが格納されている。処理部21が上記プログラムを実行することは、運転支援プログラムに対応する方法として、運転支援方法が実行されることに相当する。通信インターフェース24は、車両内ネットワークNwを介して他の装置と通信するための回路である。通信インターフェース24は、アナログ回路素子やICなどを用いて実現されればよい。運転支援ECU20が車両用装置に相当する。
<運転支援ECU20について>
ここでは図5を用いて運転支援ECU20の機能及び作動について説明する。運転支援ECU20は、ストレージ23に保存されている運転支援プログラムを実行することにより、図5に示す種々の機能ブロックに対応する機能を提供する。すなわち、運転支援ECU20は機能部として、暫定位置取得部F1、地図取得部F2、センシング情報取得部F3、車両状態取得部F4、詳細位置算出部F5、環境認識部F6、制御計画部F7、制御実行部F8、及び報告処理部F9を備える。
暫定位置取得部F1は、ロケータ13から自車両の位置情報を取得する。また暫定位置取得部F1は、後述する詳細位置算出部F5が算出した位置を起点として、ヨーレートセンサ等の出力をもとにデッドレコニングを行いうる。なお、暫定位置取得部F1はロケータ13の機能を備えていても良い。
地図取得部F2は、V2X車載器14を介して地図サーバ3と無線通信することで、自車両の現在位置に対応する地図データを取得する。例えば、地図取得部F2は自車両が所定時間以内に通過予定の道路に関する部分地図データを地図サーバ3に要求して取得する。地図サーバ3から取得した部分地図データは例えば地図保持部M1に保存される。地図保持部M1は、例えばストレージ23またはRAM22が備える記憶領域の一部を用いて実現されている。地図保持部M1は、非遷移的な、実体を有する記憶媒体を用いて実現されている。
地図の取得時に利用される現在位置は、暫定位置取得部F1または詳細位置算出部F5で特定されたものを採用可能である。例えば、詳細位置算出部F5が現在位置を算出できている場合には、当該位置情報を用いて地図データを取得する。一方、詳細位置算出部F5が現在位置を算出できていない場合には、暫定位置取得部F1が取得した位置座標を用いて地図データを取得する。なお、車両制御システム1は、地図データが格納された車載記憶装置を備えていてもよい。その場合には、地図取得部F2は当該車載記憶装置から現在位置周辺の地図データを順次読み出すように構成可能である。つまり、地図取得部F2が取得する地図データは、自車両にローカル保存されたものでもよいし、クラウド上に保存されたものでもよい。ローカル保存された地図データの概念にはキャッシュ保存されている地図データを含めることができる。
センシング情報取得部F3は、周辺監視センサ11の検出結果(つまり、センシング情報)を取得する。センシング情報には、自車両周辺に存在する他の移動体や、地物、障害物などの位置や、移動速度が含まれる。例えば、自車両の前方を走行する車両である前方車両と自車両との距離や、前方車両の移動速度が含まれる。ここでの前方車両には、自車と同一のレーンを走行する、いわゆる先行車両のほか、隣接レーンを走行する車両を含めることができる。つまり、ここでの前方には自車両の真正面方向に限らず、斜め前方を含めることができる。
さらに、センシング情報取得部F3は、前方カメラ等の周辺監視センサ11から、ランドマークの相対位置や種別などを取得する。なお、センシング情報取得部F3は、周辺監視センサ11から取得したランドマークの相対位置座標を、グローバル座標系における位置座標(以降、観測座標とも記載)に変換する。ランドマークの観測座標は、例えば自車両の現在位置座標と、自車両に対する地物の相対位置情報とを組み合わせることで算出される。なお、自車両の現在位置座標を用いたランドマークの観測座標の算出はカメラECU41が実施しても良い。またセンシング情報取得部F3は、ランドマークと同様に、区画線等の相対位置情報をグローバル座標系における位置座標に変換してもよい。センシング情報取得部F3が取得したデータは、詳細位置算出部F5や環境認識部F6などに出力される。
車両状態取得部F4は、車両内ネットワークNwを介して車両状態センサ12などから、走行速度、加速度、ヨーレート、進行方向、時刻情報、天候、車室外の照度、ワイパーの動作速度などを取得する。また、車両状態取得部F4は、AEB(Automatic Emergency Braking)の作動情報や、衝突センサの出力信号なども取得する。つまり、車両状態取得部F4は、車両内ネットワークNwに流れる、自車両の挙動に関する多様な情報を取得しうる。
詳細位置算出部F5は、地図取得部F2が区画線やランドマークに関する情報を含む地図データを取得できている場合、当該地図データやセンシング情報取得部F3が取得したランドマーク情報などに基づいて、ローカライズ処理を実行する。ローカライズ処理は、例えば周辺監視センサ11としての車載カメラで撮像された画像に基づいて特定されたランドマーク等の位置と、地図データに登録されている地物の位置座標とを照合することによって自車両の詳細位置を特定する処理を指す。ローカライズ処理は、例えば、方面看板などのランドマークを用いて縦方向の位置を推定する縦位置推定処理と、車線区画線及び道路端などの観測座標を用いて、道路横方向の位置を推定する横位置推定処理の少なくとも何れか一方を含みうる。
詳細位置算出部F5は、縦位置推定処理として、ランドマークの観測座標に基づいて、地図に登録されているランドマークと周辺監視センサ11で観測されているランドマークとの対応付けを行う。例えば地図に登録されているランドマークのうち、ランドマークの観測座標から最も近いランドマークを同一のランドマークと推定する。なお、ランドマークの照合に際しては例えば形状,サイズ,色等の特徴量を用いて、特徴の一致度合いがより高いランドマークを採用することが好ましい。観測されているランドマークと、地図上のランドマークとの対応付けが完了すると、観測ランドマークに対応する地図上のランドマークの位置から、観測ランドマークと自車両の距離だけ縦方向にずらした位置を、地図上の自車の縦位置に設定する。
例えば、画像認識の結果として、自車両正面に存在する方面看板までの距離が40mと特定している状況においては、地図データに登録されている当該方面看板の位置座標から40mだけ進行方向逆側となる位置に自車両が存在すると判定する。縦位置推定は、道路延設方向における自車位置を特定する処理に相当する。縦位置推定は縦方向のローカライズ処理と呼ぶこともできる。このような縦位置推定を行うことにより、交差点や、カーブ入口/出口、トンネル入口/出口、渋滞の最後尾などといった、道路上の特徴点、換言すればPOIまでの詳細な残り距離が特定可能となる。
なお、詳細位置算出部F5は、自車両の前方に複数のランドマークを検出している場合には、それら複数のランドマークのうち自車両から最も近いものを用いて縦位置推定を行う。画像等に基づく物体の種別や距離の認識精度は、車両から近い物体ほど、その認識精度が高くなる。つまり、検出されている複数のランドマークのうち自車両から最も近いランドマークを用いて縦位置推定を行う構成によれば、位置推定精度を高めることができる。
また、本実施形態の詳細位置算出部F5はより好ましい態様として、位置推定精度を担保するために、例えば所定の参照距離以内に存在するランドマークを用いて縦位置推定処理を実行するように構成されている。参照距離は例えば40mとすることができる。参照距離は、30mや50mであってもよい。また、周辺監視センサ11が望遠カメラを備える場合には、参照距離は100mなどであってもよい。参照距離は、周辺監視センサ11の認識距離や画角などを元に設定されれば良い。
また、詳細位置算出部F5は、横位置推定処理として、周辺監視センサ11で認識されている左右の道路端/区画線からの距離に基づいて、道路に対する自車両の横方向位置を特定する。例えば、画像解析の結果として、左側道路端から車両中心までの距離が1.75mと特定されている場合には、左側道路端の座標から1.75m右側となる位置に自車両が存在すると判定する。横位置推定は横方向のローカライズ処理と呼ぶこともできる。なお、詳細位置算出部F5は、周辺監視センサ11で認識されている左右の道路端/区画線からの距離に基づいて、自車両が走行しているレーンの識別子である走行レーンIDを特定してもよい。走行レーンIDは、例えば左端または右端の道路端から何番目のレーンを自車両が走行しているかを示す。また、詳細位置算出部F5は、周辺監視センサ11で認識されている左右の区画線からの距離に基づいて、走行車線内での自車両の詳細位置、例えば車線中央から左右方向へのオフセット量を特定してもよい。
ローカライズ処理の結果としての自車位置は、地図データと同様の座標系、例えば緯度、経度、高度で表現されればよい。自車位置情報は、例えばWGS84(World Geodetic System 1984)など、任意の絶対座標系で表現することができる。
詳細位置算出部F5は、所定の位置推定周期でローカライズ処理を逐次行う。位置推定周期のデフォルト値は200ミリ秒や400ミリ秒であってもよい。例えば詳細位置算出部F5は、ランドマークを認識(換言すれば捕捉)できている限りは上記の位置推定周期で縦位置推定処理を逐次実施する。詳細位置算出部F5は、ランドマークを認識できていない場合であっても、区画線及び道路端の少なくとも何れか一方を認識できている限りは、位置推定周期で横位置推定処理を逐次行う。
なお、詳細位置算出部F5は、ローカライズ処理を実行するたびに、今回実施したローカライズ処理の結果として出力される現在位置と、暫定位置取得部F1がデッドレコニング等により算出している位置との差である車両位置誤差を算出する。例えば詳細位置算出部F5は、前回用いたランドマークとは異なるランドマークを用いてローカライズ処理を実行した際に、暫定位置取得部F1が算出している自車位置座標と、ローカライズ処理の結果との差を車両位置誤差として算出する。車両位置誤差は、ローカライズができない期間が長いほど大きくなる傾向がある。ローカライズ処理を実行できない期間においては、最後にローカライズ処理を実行できた時点からの経過時間又は走行距離に所定の誤差見積もり係数を乗じることによって、暫定的な車両位置誤差が算出される。このような車両位置誤差は、誤差評価値と呼ぶこともできる。詳細位置算出部F5が算出した車両位置誤差は、環境認識部F6や制御計画部F7に出力される。
環境認識部F6は、センシング情報取得部F3が取得した周辺監視センサ11での認識結果等に基づいて、自車両の周囲の環境である走行環境を認識する。例えば環境認識部F6は、種々の周辺監視センサ11の検出結果を、走行シーン等に応じた所定の重みで統合するセンサフュージョン処理により、自車両の走行環境を認識する。ここでの走行環境には、現在位置や走行レーン、道路種別、制限速度、信号機などの相対位置などの静的な環境要素だけでなく、他の移動体の位置や移動速度、周辺物体の形状及びサイズ等などを含めることができる。また、環境認識部F6は、V2X車載器14を介して、地図サーバ3やその他のセンタ、路側機などから、交通情報や気象情報を取得してもよい。交通情報には、渋滞区間の有無や、道路工事情報、交通規制情報、制限速度、路面状態についての情報が含まれる。気象情報には、気温や湿度、天気、降水量、風速、風向などが含まれる。
制御計画部F7は、環境認識部F6で認識された走行環境、及び、地図データを用いて、ユーザの運転操作を支援するための車両制御の計画を生成する。本開示における車両制御は、1つの局面においては走行制御と読み替えることができる。例えば制御計画部F7は、信号機通過支援のための制御計画を作成する。信号機通過支援は、信号機が設けられた道路を通過する際の運転操作を支援する車両制御である。信号機通過支援には、信号機の手前で停車するための自動的なブレーキ制御を含む。例えば制御計画部F7は、地図データまたは前方カメラでの画像認識の結果に基づき、自車両の前方に信号機が存在することが確認された場合には、信号機の点灯状態に応じた車両制御の計画を作成する。例えば信号機までの残り距離が70m未満となった時点での信号機が赤色である場合には、信号機の所定距離手前で停車するように減速する走行計画を作成する。なお、ここでの手前側とは、進行方向の逆方向に相当する。
車両前方の信号機に備えた制御計画の内容は、信号機から所定距離(例えば100mや50m)手前に自車両が到達した時点での信号機の点灯状態の予測結果などに基づいて生成される。なお、信号機通過支援は、HMIシステム15と連携して、信号機の存在や、信号機の点灯状態をユーザに通知する処理であってもよい。信号機通過支援の制御計画は、車両用の信号機の点灯状態だけでなく、歩行者用の信号機の点灯状態に基づいて生成及び修正されても良い。信号機通過支援の制御計画は、信号機の点灯状態の変化に基づいて随時更新されても良い。なお、信号機までの残り距離が所定の支援中止閾値未満となっても、地図データに示されている信号機に対応する灯火装置を画像認識によって特定できなかった場合には、信号機通過支援を中止することを決定し、その旨をユーザに通知する計画を作成する。
また、制御計画部F7は、操舵支援機能を実現するための制御計画を作成する。例えば、自車走行レーンに沿った走行予定軌道を生成し、当該走行予定軌道に沿って自車両が走行するための複数時点における操舵量や操舵速度を計画する。走行予定軌道は、走行レーンの中央であっても良いし、走行軌道モデルに沿ったものであっても良い。走行予定軌道は、車線変更を含むものであっても良い。また、走行予定軌道は、高速本線から減速車線へ退出するための軌道や、加速車線から高速本線に合流するための軌道を含んでいても良い。減速車線や加速車線は、本線に併設されている車線であるため、併設車線と呼ぶこともできる。
さらに、制御計画部F7は、右折支援のための制御計画を作成してもよい。右折支援は、交差点を右折する際の運転操作を支援するための車両制御である。右折支援では、前方カメラや側方カメラ、LiDAR等によって特定される対向車の位置に基づいて、所定の右折待ち位置で停車するように減速を行う車両制御とすることができる。その場合、制御計画部F7は、対向車線の位置に基づいて、右折待ち位置での停車に向けた減速スケジュールを計画する。右折待ち位置は対向車が通らないところであって、交差点の中心のすぐ内側とすることができる。より具体的には、交差点中央に配置されたひし形の路面標示の手前とすることができる。
なお、右折支援は、周辺監視カメラでの認識結果を元に交差点内の軌道を生成し、当該軌道に沿って自律的に右折する車両制御とすることができる。交差点内の軌道は周辺監視センサ11の検出結果のみに基づいて生成されても良い。また、地図サーバ3から地図データとして交差点内における進行方向毎の軌道決定用データを取得している場合には、当該地図データに基づいて制御計画を作成しても良い。右折支援には、右折先に横断歩道がある場合には、当該横断歩道における歩行者等の横断状況に基づいて右折可能なタイミングを特定し、ユーザ通知等を行う車両制御を含めることができる。
また、制御計画部F7は、左折支援のための制御計画を作成してもよい。左折支援は、交差点を左折する際の運転操作を支援するための車両制御である。左折支援では、前方カメラや側方カメラ、LiDAR等によって特定される歩行者の横断状況に基づいて横断歩道の手前で一時停車するように減速を行う車両制御とすることができる。その場合、制御計画部F7は、横断歩道の位置に基づいて減速スケジュールを計画する。
さらに制御計画部F7は、交差点以外の道路区間を走行中において、周辺監視センサ11の検出結果または地図データに基づき自車両の前方に障害物が存在することが確認された場合には、障害物の側方を通過する走行計画を生成してもよい。走行計画には、算出した経路における速度調整のための加減速のスケジュール情報を含みうる。制御計画部F7が計画する車両制御は、運転操作の支援に留まるものであっても良いし、自車両を自律的に走行させるものでもよい。制御計画部F7は複数の制御プランを作成し、その中から安全性の観点から最も合理的な制御プランを最終的な実行プランとして選択するように構成されていても良い。
以上で述べた信号機通過支援や、操舵支援、右左折のための運転支援又は自動運転、障害物の回避などが、自動制御機能に相当する。また、信号機通過支援や、操舵支援、右左折にかける運転支援又は自動運転、障害物の回避などが、ユーザの運転操作を支援または車両を自律的に走行させるための車両制御に相当する。自動制御機能は、車両制御を実行するアプリケーションである車両制御アプリと呼ぶことができる。制御計画部F7は、実行中又は実行予定であった自動制御機能を中止することを決定した場合には、その旨を理由とともに、報告処理部F9に通知する。
なお、操舵支援等の車両制御アプリが中止される条件は、車両制御アプリ毎あるいは車載装備ごとに規定されうる。例えば操舵支援は、雨天時や、走行路の路面摩擦係数が所定値以下である場合、水たまりや雨、雪、霧、砂塵などにより区画線の検出率または実効的な認識距離が所定の閾値未満である場合に中止されうる。また、工事等によって車線規制が行われている区間や、仮設/臨時的な車線が設けられている区間においても、操舵支援は中止されうる。その他、操舵支援は、曲率が所定の閾値以上である場合や、道路の勾配が急に変化する地点においてもシステム限界として中止されうる。自動制御機能を中止する場合の具体例については、報告イベントの具体例を援用可能である。
ところで、運転支援ECU20が自動運転機能を提供する場合、制御計画部F7は、1つの態様として、安全性評価部F71を含むことが好ましい。なお、安全性評価部F71は、任意の要素であって、省略可能である。
安全性評価部F71は、環境認識部F6での走行環境の認識結果及び地図データに基づいて、制御計画部F7が生成した制御プランに対する安全性を評価し、最終的な実行プランを決定する構成である。例えば安全性評価部F71は、自車周辺に存在する対象物と自車両との距離である対象間距離が、安全運転の概念を数式化した数学的公式モデルを用いて定まる安全距離以上か否かに基づいて安全性を評価する。具体的には、安全性評価部F71は、制御計画部F7が計画した各プラン候補を自車両が走行した場合について、そのプラン候補を走行して自車両に事故が生じた場合に、自車両の責任の程度を示す潜在事故責任値を決定する。潜在事故責任値は、プラン候補を自車両が走行した場合の自車両と周辺車両との間の車間距離と安全距離との比較結果を因子の1つとして用いて決定する。
潜在事故責任値は、責任が低いほど小さい値になるパラメータである。したがって、潜在事故責任値は、自車両が安全運転をしているほど小さい値になる。たとえば、車間距離が十分に確保されている場合には、潜在事故責任値は小さい値になる。また、潜在事故責任値は、自車両が急加速や急減速をする場合に大きい値になりうる。なお、地図データは、道路構造や交通ルールに基づく安全距離の算出や、潜在事故責任値の算出に使用される。
安全性評価部F71は、自車両が交通ルールに従って走行している場合に潜在事故責任値を低い値にすることができる。つまり、自車両の走行予定軌道が交通ルールを遵守した軌道になっているか否かも、潜在事故責任値の値に影響する因子として採用可能である。自車両が交通ルールに従って走行しているかどうかを判定するために、安全性評価部F71は、自車両が走行している地点の交通ルールを取得する構成を備えることができる。自車両が走行している地点の交通ルールは、所定のデータベースから取得しても良いし、自車両の周辺を撮像するカメラが撮像した画像を解析して、標識、信号機、路面標示などを検出することで、現在位置の交通ルールを取得してもよい。交通ルールは、地図データに含まれていても良い。
安全性評価部F71が使用する安全距離は、自車両と例えば先行車両などといった、対象間の安全性を評価するための基準となるパラメータであり、走行環境に応じて動的に定まる。安全距離は、少なくとも自車両の加速度などの挙動の情報に基づいて設定される。安全距離の算出方法としては多様なモデルを採用可能であるため、ここでの詳細な算出方法の説明は省略する。なお、安全距離を算出するための数学的公式モデルとしては、例えば、RSS(Responsibility Sensitive Safety)モデルを用いることができる。また、安全距離を算出するための数学的公式モデルとしては、SFF(Safety Force Field、登録商標)を採用することもできる。安全距離としては、先行車との間の安全距離、すなわち縦方向の安全距離と、左右方向すなわち横方向の安全距離とがある。上述した数学的公式モデルには、これら2種類の安全距離を決定するためのモデルが含まれている。
なお、上記の数学的公式モデルは、事故が完全に生じないことを担保するものではなく、安全距離未満となった場合に衝突回避のための適切な行動を取りさえすれば事故の責任を負う側にならないことを担保するためのものである。ここで言うところの衝突回避のための適切な行動の一例としては、合理的な力での制動が挙げられる。合理的な力での制動とは、例えば、自車両が発揮可能な最大減速度での制動等が挙げられる。数学的公式モデルによって算出される安全距離は、自車両と障害物との近接をさけるために自車が障害物との間に最低限空けるべき距離と言い換えることができる。
安全性評価部F71は、複数の制御プランのなかから制御プラン毎の潜在事故責任値に基づいて、最終的な実行プランを選択する。例えば安全性評価部F71は、制御計画部F7が生成した制御プランのうち、潜在事故責任値が最も小さいプラン、又は、潜在事故責任値が許容レベルとなっているプランを、最終的な実行プランとして採用する。
制御実行部F8は、制御計画部F7で決定された制御計画に対応する制御信号を、制御対象とする走行アクチュエータ16及び又はHCU151へ出力する構成である。例えば減速が予定されている場合には、ブレーキアクチュエータや、電子スロットルに対して計画された減速度を実現するための制御信号を出力する。例えば制御実行部F8は、自車走行レーンの中心に向かう方向への操舵力を発生させることにより、自車両を走行レーンの中心に沿って走行させる。さらに、種々の運転支援機能の実行状態を示す画像や音声を出力させるための制御信号をHCU151に出力する。
報告処理部F9は、所定の報告イベントが生じたことに基づいて、所定の中止地点報告を生成し、V2X車載器14に出力する構成である。V2X車載器14に出力された中止地点報告は通信パケットに加工されて地図サーバ3にアップロードされる。
報告イベントは、実行中または実行予定であった自動制御機能が中止されたことを示す事象である。報告イベントには、例えば操舵支援や自動運転等といった車両制御アプリが、システム判断によって中止されたことを含めることができる。具体的には、システム限界に由来するハンドオーバーの要求処理の実行がされた場合に報告イベントが生じたと判定することができる。ハンドオーバーの要求処理は、HMIシステム15と連動して、運転席乗員またはオペレータに対して運転操作の引き継ぎ要求を実施することに相当する。システム限界となる場合とは、例えば、車両位置誤差が所定の閾値を超過した場合や、周辺監視センサ11の一部に異常が検知された場合、潜在事故責任値が所定の閾値以下となる制御プランを算出不能となった場合などがある。
また、計画された車線変更が周辺の交通状況に起因して実行できなかった場合も、システム判断による自動運転は中断されうる。例えば、自車両が交差点の直進を予定している状況において、走行レーンが左折専用レーンであることを自律系センサで認識した場合には、直進可能なレーンに車線変更することを計画する。しかしながら、変更先のレーンに十分な空きスペースがない場合には、当該計画された車線変更を実行できない。そのような場合には、システム限界として自動運転が中止されうる。なお、加速車線から本線への合流に向けた車線変更時や、本線から減速車線または別の高速道路に進入するための車線変更時なども同様に、空きスペースが無いことに起因して、車線変更が失敗となりうる。
また、報告イベントには、ユーザの介入によって自動運転が中止されたことを含めることができる。具体的には、自動運転中にユーザが操舵またはブレーキ操作を行った場合、すなわちオーバーライドが実行された場合を報告イベントに含めることができる。報告イベントは、MRM(Minimum Risk Maneuver)が実行されたことであっても良い。MRMは、例えば、周囲に警報を発しつつ、徐々に減速しながら安全な場所または走行レーン内に自車両を停車させる車両制御を指す。AEBが作動したことを報告イベントに含めても良い。
また、操舵支援実行中にユーザが操舵介入したことを検出したことも報告イベントとして採用可能である。信号機通過支援に関しては、地図に登録されている信号機の設置位置までの残距離が所定値未満となっても当該信号機に対応する灯火装置を画像認識で特定する事ができなかった場合を報告イベントに含めても良い。衝突センサが所定のしきい値以上の衝撃を感知したこと、加速度センサ又はヨーレートセンサの出力値が所定の閾値以上となったことなども報告イベントとして採用可能である。
中止地点報告は、システム判断またはユーザ介入により、自動制御機能が中止された地点を地図サーバ3に報告するためのデータセットである。自動制御機能が中止された地点は、自動制御機能を実行または継続する上での難しさがある地点、換言すれば制御上の難所を示すデータということができる。
以降では、自動制御機能を一定レベルの性能を維持しつつ実施することが困難な地点のことを高難度地点又は難所とも記載する。ここでの一定レベルとは、所定の許容レベル、あるいは通常レベルと言い換えることができる。加えて、性能は、品質あるいは制御上の余裕度と言い換えることができる。一定レベルの性能が維持できない場合とは、例えば、所定の許容閾値以上の減速度や、横加速度、ヨーレートが発生する場合を指す。すなわち、急ブレーキや急ハンドルが行われる場合が、一定レベルの性能を維持できないケースの一例に相当する。また、一定レベルの性能を維持できない状態には、例えば、信号待ちや渋滞、交差点右左折、歩行者の横断待ちなどの合理的な理由がない状況において、走行速度を所定の標準速度よりも所定量以上低い値まで落とす状態が含まれる。標準速度は、制限速度であってもよいし、周辺車両の走行速度の平均値としてもよい。また、ここでの所定量とは15km/hなどとすることができる。一方、一定レベルの性能が維持されている状態とは、例えば、自動車専用道路において曲率及び勾配が所定の閾値未満となる区間を走行している時と同様の制御安定性が得られている状態が含まれる。すなわち、難所は、自動車専用道路において曲率及び勾配が所定の閾値未満となる直線区間に比べて、相対的に車両制御の難度が高い地点と解することができる。
上記の難所には、例えば、自動制御機能の実行を難化させる所定の地理的条件を有する地点が含まれる。ここでの地理的条件には、道路の勾配や曲率、道路種別、車線数、区画線の有無、道路端の明確性などといった、道路構造に関する条件も含まれる。また、上記の難所には、天候や落下物などの動的な環境条件によって、自動制御機能の実行を一定レベルの性能を維持して継続することが困難な地点も含まれる。
また、難所は、1つの側面において、所定の自動制御機能の実行または継続が困難である地点、換言すれば、自動制御機能が中止される可能性が高い地点と解することもできる。例えば、難所には、自動制御機能が一定以上の確率で中断される可能性がある地点を含める事ができる。さらに、難所は、例えば走行速度を所定量下げる、又は、走行速度を所定値まで落とすなどといった、安全性を高めるための一時的なシステム応答を実施すべき地点とすることもできる。難所との記載は、要注意地点と読み替えることができる。難所は、さらなる別の観点によれば、自動制御機能の実行または継続する上で、地図データによる補助が必要な地点に相当する。具体的には、自律系での自動運転は継続できるものの、地図データの補助により、より精密な自動運転をした方が良い地点と解釈することもできる。
難所となる理由としては、道路構造や、動的な地図要素、交通量、周辺監視センサ11自体の性能など、様々な要因がある。難所となる地点及びその理由の例に関しては別途後述する。
中止地点報告は、例えば送信元情報と、報告対象地点情報を含むデータセットとすることができる。報告対象地点情報は、どの地点についての報告であるかを示す情報である。例えば報告対象地点情報には、自動制御機能が中止された地点の位置座標が設定される。送信元情報は、自車両に割り当てられた固有の識別番号とすることができる。中止地点報告は、自動制御機能が中止された理由を含んでいても良い。自動制御機能が中止された理由は、システム判断であるのか、ユーザ判断であったかを示すものでもよい。システム判断によって自動制御機能を中止した場合には、例えば区画線または道路端の認識失敗や、信号機の認識失敗、車両位置誤差の閾値超過など、その具体的な判断理由を含んでいることが好ましい。判断理由は、信号機前における一時停止線の認識失敗や、交差点内における右折待ち位置の特定失敗、計画された車線変更の失敗などであっても良い。
その他、中止地点報告は、中止された自動制御機能の情報として、中止されたアプリケーションの種別、及び、使用されていたソフトウェアのバージョン情報を含むことが好ましい。当該構成によれば、地図サーバ3は車両からの報告に基づき、アプリケーション毎及びバージョン毎の難所を特定可能となる。さらに、中止地点報告は、自車両に搭載されている周辺監視センサ11の種類やモデル等についての情報を含んでも良い。当該構成によれば地図サーバ3は車両からの報告に基づき、車載装備毎の難所を特定可能となる。また、中止地点報告は、車両モデルを示す情報を含んでいても良い。車両モデルの概念には、例えば車種や、年式、グレードなどの概念も含まれる。当該構成によれば、地図サーバ3は車両からの報告に基づき、車両モデル毎の難所を特定可能となる。また、中止地点報告は、車両に搭載されている予防安全パッケージのバージョン情報などを含んでも良い。当該構成によれば地図サーバ3は、予防安全パッケージのバージョン毎の難所を特定可能となる。
<運転支援ECU20の作動フローについて>
次に図6に示すフローチャートを用いて運転支援ECU20が実行する、難所報告処理について説明する。図6に示すフローチャートは例えば車両の走行用電源がオンとなっている間、所定の周期(例えば200ミリ秒毎)に実行される。走行用電源は、例えばエンジン車両においてはイグニッション電源である。電気自動車においてはシステムメインリレーが走行用電源に相当する。本実施形態では一例として難所報告処理はステップS101~S106を備える。なお、本フローは、ユーザ操作に基づき、所定の自動制御機能を実行可能な状態に設定されていることを条件として実行されても良い。また、ユーザ操作に基づき、中止地点報告の送信を実行可能な状態に設定されていることを条件として実行されてもよい。なお、難所報告処理が備えるステップ数や処理手順は適宜変更可能である。
なお、詳細位置算出部F5は、図6に示すフローチャートとは独立して、換言すれば並列的に、運転支援ECU20はローカライズ処理を逐次実施する。縦位置推定用のランドマークを認識できていない場合、詳細位置算出部F5は、例えば車速または車輪速などに基づいて縦方向位置を推定しうる。ローカライズ処理を実行することにより、地図上における自車両の詳細位置が決定される。
まずステップS101ではセンシング情報取得部F3が種々の周辺監視センサ11からセンシング情報を取得してステップS102に移る。ステップS102では、制御計画部F7が、ステップS101で取得されたセンシング情報に基づき、自動制御機能にかかる制御計画を生成または修正し、ステップS103に移る。なお、制御計画の作成又は修正にあたっては、前述の通り、車々間通信で取得した他車両情報なども併用可能である。また、ステップS101で取得されたセンシング情報は、環境認識部F6によってセンサフュージョン等により加工された状態で制御計画に反映されても良い。ステップS103では制御実行部F8が、計画されている制御内容に応じた制御信号を走行アクチュエータ16等に出力してステップS104に移る。
ステップS104では報告処理部F9が、車両状態取得部F4が取得した加速度等の車両状態や、制御計画部F7からの通知に基づき、上述した報告イベントが生じたか否かを判定する。報告イベントが生じている場合には、ステップS104を肯定判定してステップS105に移る。一方、報告が生じていない場合にはステップS104を否定判定して本フローを終了する。
ステップS105では報告処理部F9が、上述の中止地点報告を生成してステップS106に移る。ステップS106では報告処理部F9がV2X車載器14と連携し、ステップS105で生成された中止地点報告を地図サーバ3に送信して本フローを終了する。
<報告処理部F9の補足>
報告処理部F9は、環境認識部F6が特定した地物の観測位置を示すデータセットをプローブデータとして地図サーバ3に逐次送信するように構成されていても良い。プローブデータは、区画線やランドマーク等に対する一定時間(例えば400ミリ秒)以内の認識結果をパッケージ化したデータに相当する。
プローブデータは、例えば、送信元情報や、走行軌道情報、走路情報、および地物情報を含む。走行軌道情報は、自車両が走行した軌道を示す情報である。例えば走行軌道情報は、自車位置の点列として表現される。走路情報は、走行路の端部や中心線の軌道を示す情報である。走行路の端部等もまた座標点群によって表現されればよい。なお、走行軌道情報や走路情報は、3次スプライン曲線で表現されていてもよい。また、走行軌道情報や走路情報は、検出点の回帰式を示す係数パラメータで表現されていても良い。回帰式は複数の検出点の分布を近似的に表す直線または曲線に相当する関数であって、例えば最小二乗法等によって算出される。
地物情報は、区画線等やランドマーク等の地物の観測座標を示す。プローブデータに含まれる地物情報や走路軌道情報は、1つの側面においては、地図サーバ3が静的地図を生成及び更新するための情報に相当する。
報告処理部F9は上述したようなプローブデータをV2X車載器14と連携して地図サーバ3に送信する。報告処理部F9によるプローブデータの生成及び送信は、自発的に又は地図サーバ3からの指示に基づき実行される。
なお、プローブデータには、車速や、舵角、ヨーレート、ウインカー作動情報、ワイパー作動情報などといった、車両挙動情報が含まれていてもよい。また、報告処理部F9は、落下物や駐車車両などの障害物を検出している場合には、当該障害物の観測位置を含むプローブデータをアップロードしてもよい。当該構成によれば地図サーバ3は、動的POIレイヤL4に含まれる動的地図要素の発生や消失といった存続状態を、車両からの報告に基づき更新可能となる。
<地図サーバ3の構成について>
地図サーバ3は、図7に示すように、サーバプロセッサ31、RAM32、ストレージ33、通信装置34、及び地図DB35を備える。部材名称中のDBはデータベース(Database)を指す。サーバプロセッサ31は、RAM32と結合された演算処理のためのハードウェアである。サーバプロセッサ31は、CPU等の演算コアを少なくとも一つ含む構成である。サーバプロセッサ31は、RAM32へのアクセスにより、例えば地図データの更新など、種々の処理を実行する。ストレージ33は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体を含む構成である。ストレージ33には、サーバプロセッサ31によって実行される地図配信プログラムが格納されている。サーバプロセッサ31が地図配信プログラムを実行することは、地図配信プログラムに対応する方法である地図配信方法が実行されることに相当する。通信装置34は、広域通信網を介して車両制御システム1が搭載された複数の車両のそれぞれと通信するための装置である。以降における車両とは、主として車両制御システム1が搭載された車両を指す。
地図DB35は、冒頭で述べた地図データが格納されているデータベースである。地図DB35は、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体を用いて実現されている。地図DB35は、サーバプロセッサ31によるデータの書き込み、読出、削除等が実施可能に構成されている。地図DB35は図8に示すように、原地図記憶部351、難所記憶部352、及び配信用地図記憶部353を備える。原地図記憶部351、難所記憶部352、及び配信用地図記憶部353は、パーティション等の技術を用いて論理的に仕切られていても良いし、物理的に独立していても良い。原地図記憶部351は、全階層及び全マップタイルについての地図データである原地図データが格納されている記憶領域である。原地図データは、後述する配信用地図データの元(換言すれば原本)に相当する。
難所記憶部352は、車両制御上の難所の位置等を示すデータが、地点ごとに区別されて保存されている。難所毎のデータは、難所毎の位置座標や、継続困難なアプリ(換言すれば自動制御機能)の種別、影響を受ける範囲などを示す。或る難所についてのデータは、当該地点に対する車両からの中止地点報告に基づき、定期的に更新されうる。難所毎のデータは、リスト形式など、任意のデータ構造によって保持されていれば良い。
配信用地図記憶部353は、配信用の地図データを格納する記憶領域である。配信用地図データは、別途後述するように、原地図データに登録されている地図要素のうち、車両に配信すべき地図要素のみを抽出した地図データに相当する。あるいは、配信用地図データは、原地図データに含まれる地図要素に、所定の走行軌道モデルなどの情報を付与したデータセットとすることもできる。配信用地図データも、所定の大きさを有するマップタイルの単位で管理及び配信される。
地図サーバ3は、サーバプロセッサ31がストレージ33に保存されている地図配信プログラムを実行することにより、図8に示す種々の機能ブロックに対応する機能を提供する。すなわち、地図サーバ3は機能ブロックとして、報告受信部G1、地図更新部G2、難所設定部G3、配信用地図生成部G4、及び配信処理部G5を備える。
報告受信部G1は、車両制御システム1からアップロードされてきたプローブデータ、及び、中止地点報告を、通信装置34を介して取得する。報告受信部G1は、通信装置34から取得したプローブデータを地図更新部G2に提供する。また、報告受信部G1は通信装置34から取得した中止地点報告を難所設定部G3に提供する。
地図更新部G2は、複数の車両から送信されたプローブデータに基づいて、原地図データを更新する処理を実施する。例えば、同一の地物に対して、複数の車両から報告された観測座標を統合処理することにより、当該地物の位置を決定し、地図データを更新する。より具体的には、地図更新部G2は、同一の地物に対して複数の車両で観測された位置座標の分散を算出し、分散が所定の閾値未満である場合には、その中央値/平均値を当該地物の統計的な観測位置座標である統合済み観測位置として採用する。
地図更新部G2は、観測されている地物ごとに、例えば上記の方法によって統計的に定まった統合済み観測位置と、原地図データ中の位置座標のずれ量を算出する。そして、位置座標のずれ量が所定の誤差範囲を超えている場合には、原地図データにおける当該地物の位置座標を統合済み観測位置に更新する。観測位置の分散が所定の閾値以上である地物については、例えば検証フラグを立て、更新を保留としても良い。なお、ここでは一例として位置座標のずれ量が所定の誤差範囲(例えば10cm未満)である場合には、観測誤差とみなし、地図の変化点としては検出しない。そのような構成によれば観測誤差に起因して地図データの更新が頻繁に実行される恐れを低減できる。許容する誤差の大きさは適宜変更可能である。地図データに登録されていない地物については、新たに設けられた地物として原地図データに登録してもよい。加えて、原地図データに登録されてあって、且つ複数の車両で観測されていない地物については現実世界において撤去されたものと見なし、原地図データから削除しても良い。なお、統合処理における分散の評価は必須ではなく、省略されてもよい。
地図更新部G2は、例えば所定の周期で原地図データの更新を行う。更新周期は1日毎であってもよいし、1週間毎又は1ヶ月毎であってもよい。また、所定数のプローブデータが蓄積された地物から順に更新してもよい。1つの地物の位置座標の更新に必要なプローブデータの数である更新所要報告数は例えば10個とすることができる。更新所要報告数は8や、12などであってもよい。更新所要報告数が多いほど精度が高まることが期待できる。更新所要報告数を少なくすることでリアルタイム性を高めることができる。地図更新部G2は、更新を行ったマップタイルについての情報を配信用地図生成部G4に通知する。
難所設定部G3は、所定の難所設定条件を充足する地点を難所に設定する。難所設定条件は、前述の難所に相当する地点を抽出するための条件である。難所設定条件の構成要素としては、自動制御機能の中断実績や、車載装備、道路構造、交通量、天気、時間帯など、多様な項目を採用可能である。ここでの地点という表現には所定の長さを有する区間の概念が含まれる。すなわち、地点という表現は区間と置き換えて実施することができる。
例えば難所設定部G3は、各車両から送信されてくる中止地点報告に基づいて、難所の設定を実施する。より具体的な例としては、難所設定部G3は、所定の収集時間以内における中止地点報告の受信回数が所定の難所認定回数以上となっている地点を、難所に設定する。収集時間は、1時間や、4時間、1日などとすることができる。難所認定回数は、周辺監視センサ11だけでは自動制御機能の実行または継続が困難である地点(つまり制御上の難所)と、そうではない地点とを区別するための閾値である。難所認定回数は例えば3回や5回などとすることができる。難所認定回数は、収集時間が長いほど大きい値に設定されれば良い。なお、難所設定部G3は、一定時間以内における中止地点報告の受信回数が所定の候補閾値以上となっている地点を、難所候補に設定し、当該難所候補の道路構造や、その後の中止地点報告の受信頻度に基づいて、当該難所候補を難所に正式に登録しても良い。候補閾値は例えば2回などとすることができる。上記の例においては、中止地点報告の受信回数が所定の難所認定回数以上であることが難所設定条件に相当する。
また、難所設定部G3は、複数の車両からの報告に基づき、自動制御機能が中止される確率が所定の難所認定確率値以上となっている地点を難所に設定してもよい。難所認定確率は、例えば10%や20%、30%などとすることができる。或る地点についての自動制御機能が中止される確率である制御中止確率は、当該地点を通過した、自動制御機能が有効化されていた車両の数に対する、中止地点報告の受信回数の比率とすることができる。母集団としての自動制御機能が有効化されていた車両の通行量は各車両と通信することにより特定されれば良い。例えば地図サーバ3は、難所候補に設定した地点を通過する車両に対し、自動制御機能の実行状態を報告するように指示することで、当該地点を通過する車両の数及び自動制御機能の継続状態を収集してもよい。上記の例においては、自動制御機能の中断確率が所定の閾値以上であることが難所設定条件に相当する。
なお、難所は予防安全パッケージごとに区別して設定されても良い。旧バージョンの予防安全パッケージを搭載している車両にとっては難所である一方、最新バージョンの予防安全パッケージを搭載している車両にとっては難所でない可能性がある。予防安全パッケージごとに区別して難所を設定する構成によれば、新バージョンの予防安全パッケージが搭載されている車両モデルに対して、過剰に難所が設定される恐れを低減できる。同様の技術思想に基づき、難所は、車両モデルごとや、自動制御機能ごとに区別して設定されても良い。
以上のように複数の車両からの中止地点報告に基づいて設定する構成によれば、実際には自動制御機能を継続できる地点であるにも関わらず、難所であると誤設定するおそれを低減できる。また、道路構造上は制御が継続できそうな地点が実際には予期せぬ理由によって難所である事もありえる。複数の車両からの中止地点報告に基づいて設定する構成によれば、道路構造だけに因われずに現実に即して、地図サーバ3は難所を適正に設定可能となる。
また、難所設定部G3は、道路構造や過去の事故発生履歴などをもとに難所に設定してもよい。例えば難所設定部G3は、中止地点報告の受信状況に関わらず、5本以上の道路が集まる交差点である多叉路(多差路とも記載)を難所に設定しても良い。多叉路には、5叉路や6叉路、7叉路などが含まれる。また、車線数または道路幅が所定値以上の道路である幹線道路同士が交差する交差点を難所に設定しても良い。そのような交差点においては、交差点自体が大規模であり、退出側の区画線位置等が認識しにくく、自律系センサだけでは退出側道路までの交差点内の走行軌道を算出することが難しいためである。また、大規模交差点では右左折時に、退出側の道路の交通状況が認識しにくいといった難しさもある。大規模交差点が、難所、具体的には、車両制御の実行を難化させる地理的条件を有する地点に該当しうる。他の実施形態として、交差点の規模に関わらず、全ての交差点を難所としても良い。
また、1つ前の交差点までは直進可能であったレーンが次の交差点では左折専用レーンや右折専用レーンとなることもある。そのような道路においては、当該右左折専用レーンであることを示す看板又は路面標示を車載カメラ等で認識してからでは、車線変更が困難となるケースが想定される。そのような事情を踏まえ、1つ前の交差点では直進可能であったレーンが次の交差点では左折専用レーン又は右折専用レーンとなる地点もまた、難所に設定されても良い。上記のように左折用レーン又は右折専用レーンが接続する交差点が、難所、具体的には、車両制御の実行を難化させる地理的条件を有する地点に該当しうる。
例えば高速道路の料金所の前後などの無車線地点も、自車両の走行位置の特定や走行予定軌跡の算出が困難となるため、難所となりうる。また、高速道路における分岐地点及び合流地点などでは、周辺監視センサ11の観測結果だけでは、合流または退出のための走行予定軌道を決定することが難しいケースも想定される。故に、高速道路における分岐地点及び合流地点も難所に設定されうる。なお、高速道路における分岐地点及び合流地点には、ジャンクションやインターチェンジなども含めることができる。
さらに、縦断勾配の変化量が急に変わる場所や急カーブでは、遠方に存在する物体の認識が難しくなる。加えて、勾配自体はカメラでは検出しにくいため、検出物の位置を誤推定しやすい。また、トンネル出入り口では、カメラのゲインや絞りの調整が間に合わず、黒飛びまたは白飛びが生じ、画像認識精度が低下することがある。故に、道路の縦断勾配の変化度合いが所定の閾値以上の地点である勾配急変地点や、曲率が所定値以上の地点である急カーブの入り口、トンネル出口なども難所に設定されうる。
踏切もまた、例えば逆光時や降雨時、夜間など、シーンによってはその存在を認識しにくいことがある。加えて、踏切通過時は電車の接近等に注意する必要がある。故に、踏切もまた、警戒すべき難所となりうる。
さらに、道路の補修痕が、画像認識処理において区画線または道路端と誤認識されるケースもある。区画線または道路端を誤認識すると、道路内における車両の横位置の推定結果が誤りうる。故に、道路の補修痕など、区画線や道路端と誤認識される可能性がある地物が存在する地点である誤認要素付加地点も難所に設定されてもよい。区画線がかすれている地点である区画線不明瞭地点もまた、難所に設定可能である。区画線不明瞭地点では、区画線の認識率が低下し、自車両の走行位置の特定や走行予定軌跡の算出が困難であるためである。
以上で述べたように、難所となりうる道路構造を有する地点としては、大規模な交差点や、右左折専用レーンの出現地点、無車線地点、高速道路における分岐地点及び合流地点、勾配急変地点、急カーブ、踏切、誤認要素付加地点、区画線不明瞭地点などがある。
もちろん、難所設定部G3は、車両からの中止地点報告の受信数と、道路構造データとを組み合わせて、難所かどうかを判定するように構成されていても良い。道路構造上は難所と思われる個所も実際には自動制御機能を継続できる場合もあり得るためである。すなわち、難所は、中止地点報告の受信状況などを考慮して設定されることが好ましい。当該構成によれば、過剰に難所が設定される恐れを低減できる。例えば、難所設定部G3は、所定の地理的条件を有する地点を難所候補に設定し、当該難所候補における車両からの中止地点報告の受信回数/頻度が所定値以上であることに基づいて、当該難所候補を難所に設定しても良い。
加えて、積雪地点や、覆砂地点などもまた、難所に動的に設定されうる。積雪地点や覆砂地点などでは区画線の認識率が低下し、自車両の走行位置の特定や走行予定軌跡の算出が困難であるためである。また、水たまりによって区画線が認識しづらい地点もまた、難所に該当しうる。なお、積雪地点や覆砂地点などが、天候などの動的条件によって車両制御を一定レベルの性能を維持しつつ継続することが困難な地点に該当しうる。また、落下物や路上駐車車両といった一時的な障害物が存在する地点を難所に設定しても良い。障害物を回避するための制御計画は、周辺の移動体との位置関係に注意する必要があり、道なりに走行する場合よりも制御上の難度が高いためである。
その他、特定の時間帯だけ難所扱いされる地点があってもよい。例えば夜間や雨天時は、信号機が認識されにくい。故に、昼間は難所に設定されない交差点であっても、夜間や雨天時は難所に設定されても良い。難所の設定は季節や天候に応じて動的に変更されても良い。難所は、過去の交通事故の発生頻度などをもとに設定されてもよい。その場合、例えば直近所定期間(例えば1年)における交通事故の発生回数が所定の閾値以上となる地点が難所に設定されうる。
なお、以上で例示した地点及びシーンはあくまでも一例であって、必ずしも以上で例示した地点を全て難所に設定する必要はない。難所設定部G3が設定した難所の位置情報等のデータは、難所記憶部352に登録される。なお、難所記憶部352において、各難所には固有の識別番号である難所IDが割り当てられて管理される。
配信用地図生成部G4は、難所記憶部352に保存されている難所情報と、原地図記憶部351に保存されている原地図データとに基づいて配信用地図データを生成する構成である。配信用地図生成部G4は、配信用地図データを生成するための準備処理として、難所から所定の関連距離Rd以内となる範囲を難所関連エリアAdに設定する。関連距離Rdは、自動制御機能が中止されることなく難所を通過するために有用な地図要素を、原地図データから抽出する範囲を定義するパラメータである。関連距離Rdは、別の観点によれば、難所の影響を受ける範囲を定義するパラメータでもある。また、関連距離Rdは、地図データに基づき、難所に備えた車両制御を行うための準備区間を定義するパラメータと解することもできる。加えて、関連距離Rdは、配信用地図を密な地図データとするエリアと、疎な地図データとするエリアとを切り分けるパラメータに相当する。このような関連距離Rdは、例えば100mとすることができる。なお、関連距離Rdは50mや、150m、200mなどであってもよい。また、関連距離Rdは、難所の種別(換言すれば要因)や、中断されやすい自動制御機能の種別に応じて異なる値が適用されても良い。
そして、配信用地図生成部G4は、難所で自動制御機能が中断される恐れを低減するための地図要素を、当該難所関連エリアに対応する原地図データから抽出し、それらを含むデータセットを配信用地図データとする。配信用地図データの詳細については、別途後述する。なお、配信用地図生成部G4は、関連距離Rdを用いずに、原地図データにおけるマップタイルの枠組みにおいて、難所を含むマップタイル全域を難所関連エリアAdに設定しても良い。また、難所がマップタイルの境界から距離以内である場合には当該境界を介して隣接するマップタイルを難所関連エリアに含めても良い。
配信処理部G5は、車両からの要求に基づき、配信用地図データを配信する構成である。例えば車両の地図取得部F2は、現在位置、及び、所定時間以内に通行予定のエリアに関する地図データを地図サーバ3に要求する。配信処理部G5は当該要求に基づいて、地図データを配信する。
なお、配信処理部G5は、自発的に地図データを配信するように構成されていても良い。また、地図サーバ3の配信処理部G5は、サブスクリプション方式の地図サービスなどに対応するため、ユーザ設定または地図配信サービスの利用状況に応じて、特定の車両Maに向けては地図を配信しないように構成されていてもよい。車両Maの地図取得部F2もまた、同様の理由により、ユーザ設定または地図配信サービスの利用状況に応じて、地図データを取得しないように設定変更可能に構成されていてもよい。ここでのサービス利用状況には、サービスの利用登録の有無、サービス利用料金の支払状況、契約プランなどが含まれる。
<サーバ側処理について>
地図サーバ3が実施する配信用地図生成処理について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。図9に示すフローチャートは例えば所定の更新周期で実行されればよい。更新周期は例えば5分や10分など、相対的に短い時間とすることが好ましい。配信用地図生成処理は一例としてステップS201~S209を含む。なお、配信用地図生成処理が備えるステップ数や処理手順は適宜変更可能である。更新周期は前述の収集時間と同じでも良いし、短くともよい。例えば更新周期は例えば10分や30分などであってもよい。
ステップS201は、車両から送信される中止地点報告を受信することにより、複数の車両からの中心地点報告を収集するステップである。ステップS201は報告受信部G1によって実行される。各車両から送信された中止地点報告を受信する処理は、随時実施される。サーバプロセッサ31は、中止地点報告を受信すると、その受信した中止地点報告が報告対象とする地点を特定し、受信した中止地点報告を地点毎に区分して保存する。なお、中止地点報告で報告される位置情報には、個々の車両での測位精度に由来する誤差が含まれうる。そのような事情を考慮して、中止地点報告は、所定の長さを有する区間ごとに保存されても良い。
ステップS202では難所設定部G3が、収集した中止地点報告に基づき、難所を設定する。ステップS202が難所設定ステップに相当する。例えば難所設定部G3は前述の通り、一定時間以内における中止地点報告の受信回数が難所認定回数以上となっている地点を難所に設定する。また、制御中止確率が難所認定確率値以上となっている地点を難所に設定しても良い。
難所認定回数や難所認定確率値は、道路構造に応じて異なる値に設定されていても良い。例えば、五叉路などの多叉路では道路構造上、制御が継続することが困難であることが予見されるため、比較的に速やかに難所に設定されるように難所認定回数は小さく設定されても良い。逆に直線道路区間は、道路構造上、難所である可能性は低いため、難所認定回数は相対的に大きい値に設定されていても良い。つまり、道路構造から推定される制御継続の難度が高いほど、車両からの報告に対する難所に設定するための条件を緩和する。当該構成によれば、真に難所である可能性が高いところは速やかに難所として登録可能となる。また、難所である可能性が低いところの設定条件は厳しくなる。そのため、実際には難所ではないところが、ユーザの気分や落下物等の一時的な要因によって難所に設定される恐れを低減できる。難所の設定方法については前述の具体例を援用できる。
ステップS203では配信用地図生成部G4が、ステップS202で新たに難所に設定された地点の中から、それらのうちの任意の1つを処理対象に設定してステップS204に移る。ステップS204では配信用地図生成部G4が、対象地点についての難所関連エリアAdを設定する。例えば図13や図19に示すように、或る難所Pd1が対象地点である場合には、難所Pd1から関連距離Rd以内となる円状のエリアを難所関連エリアAd1に設定してステップS205に移る。
ステップS205では、難所関連エリアAdに対応する原地図データから、難所で自動制御機能が中断される恐れを低減するための地図要素を抽出してステップS206に移る。本ステップで抽出された地図要素が、当該難所に係る配信用地図データに含まれる要素となる。ステップS205が配信用地図生成ステップに相当する。
ステップS205で抽出対象とする地図要素の種別を、以降では難所用地図要素あるいは選択地図要素とも称する。難所用地図要素は、難所において制御が中止される理由や、難所の種別によらずに、一定としても良い。例えば難所用地図要素は、区画線を含む路面標示データ、道路端データ、ランドマークとして使用可能な立体物データとすることができる。また、難所用地図要素には、道路の縦断勾配や、曲率などを含めることができる。加えて、難所用地図要素には、道路及びレーンネットワークデータ、動的POI、静的POIを含めることができる。すなわち、車両の制御上、必要又は有用なもの全般とすることができる。
難所用の配信地図としての難所用地図要素は、原地図データにおいて難所関連エリアAd内に該当する全ての地図要素としてもよい。立体物データに関しては、或るランドマークから少なくとも30m以内に別のランドマークが存在するように抽出される。30m以内に複数のランドマークが存在するように配信用地図データに立体物データを含めることで、ローカライズの成功確率を高めることができる。またその結果、例えば信号機通過支援や交差点内の自動運転などの複雑な制御が中断される恐れを低減できる。配信用地図が含むランドマークの間隔の上限値は30mではなく25mや20mなどであってもよい。
また、難所用地図要素は、難所において制御が中止される理由や、難所の種別に応じて選定されてもよい。例えば、難所が交差点である場合には、難所関連エリアAd内の路面標示データ、及び、ランドマークとして使用可能な複数の立体物のデータを抽出する。路面標示データ及びランドマークデータを含めることにより、交差点付近において、ローカライズ処理が実施可能となり、自車位置の推定精度を高めることができる。その結果、車両が自車位置を推定不能となってシステム限界に至る恐れを低減できる。また、路面標示として、一時停止線や導流帯などの路面標示を含めることで、交差点付近における停車位置を特定しやすくなる。なお、ここでの交差点付近には、交差点の内部も含まれる。
また、難所が料金所の手前などの無車線地点である場合にも同様に、難所関連エリア内の道路端の位置、路面標示データ、及び、ランドマークのデータを抽出する。難所で制御が中止される理由が積雪や、覆砂、区画線のかすれである場合も難所関連エリア内の道路端の位置、路面標示データ、及び、ランドマークのデータを抽出する。
難所で制御が中止される理由が縦断勾配の急変化である場合には、道路勾配にかかる地図情報を抽出する。難所たる理由が、例えば補修痕等といった、区画線と誤認識されやすい地図要素の存在である場合には、補修痕の位置情報、区画線の情報、及び、複数のランドマークのデータを抽出する。補修痕及び区画線の位置情報を含めることにより、補修痕を区画線と誤認識する恐れを低減可能となる。その他、難所が急カーブである場合には、カーブ開始地点の位置情報や、カーブ開始地点での推奨速度、カーブの曲率などが、制御上有用な情報に相当する。
ステップS206では、原地図データには含まれておらず、且つ、制御上必要な又は有用な情報を生成する。例えば難所が交差点であって、原地図データに交差点内の走行可能範囲データが用意されていない場合には、複数の車両の走行軌跡に基づいて、当該交差点内の走行可能範囲データを生成する。走行可能範囲は、無車線地点や車線をまたぐ必要がある地点において、自車両の中心が通過すべき範囲に相当する。処理対象とする難所が、高速道路の料金所からランプウェイまでに存在しうる無車線地点である場合も同様とすることができる。難所が高速道路の本線と加速車線とが合流する地点や、本線から側道に移る地点などである場合も同様とすることができる。
走行可能範囲の算出方法として例えば特許文献2に開示の方法を採用可能である。具体的には図10に示すように、遷移元車線から遷移先車線に入る走行軌跡のうち、最も早いタイミングで遷移元車線から離れ始めた走行軌跡データを第1走行軌跡Tr1に設定する。また、遷移元車線から遷移先車線に入る走行軌跡のうち最も遅いタイミングで遷移元車線から離れ始めた走行軌跡データを第2走行軌跡Tr2に設定する。そして、第1走行軌跡データと第2走行軌跡データとにより挟まれる範囲を走行可能範囲に設定する。走行可能範囲は、運転機能や運転支援機能を用いて走行する際の走行可能な範囲を示すデータである。
なお、交差点右左折時における遷移元車線とは、交差点から見て進入側に位置する車線を指す。交差点右左折時における遷移先車線とは、交差点から見て退出側に位置する車線、換言すれば右左折先の車線を指す。走行軌跡が或る車線から離れ始めた地点とは、例えば当該車線の中心線に対して走行軌跡のなす角度が所定の閾値(例えば2度)以上となる地点とすることができる。図10中の符号C1で指し示す一点鎖線は退出側車線の中心線を表しており、符号C2で指し示す二点鎖線は、遷移先車線の中心線を表している。
図11は、上記の方法によって生成される走行可能範囲Adrを概念的に示している。図11においてハッチングを施している部分が走行可能範囲に相当する。走行可能範囲は、遷移元車線と遷移先車線の組み合わせごとに設定されうる。図10~図12では右折後に第1レーンに進入するパターンの走行可能範囲を例示しているが、地図サーバ3は、第2レーンに進入するための走行可能範囲を生成しても良い。
なお、走行可能範囲データは、図12に示すように仮想的な区画線を示すデータセットでもよい。図12に示すVL1は、遷移元車線の右側区画線と遷移先車線の右側区画線を接続する仮想的な右側区画線を表しており、VL2は遷移元車線と遷移先車線の左側区画線を接続する仮想的な左側区画線を表している。各仮想区画線は、例えば交差点中央のダイヤモンドマークや、図示しない導流帯などの路面標示を参考に、それぞれの区画線を線形補間することで生成されうる。
さらに、地図サーバ3は、交差点を右左折するための地図情報として、走行可能な範囲を示すデータの代わりに、車両が追従すべき1本の走行軌跡を示す走行軌道モデルを採用しても良い。交差点内の走行軌道モデルを生成する方法としては、たとえば特許文献3に開示の方法を援用可能である。例えば、交差点内の導流帯等の路面標示を基準として交差点内における仮の走行軌道に生成するとともに、当該仮の走行軌道を、交差点進入側及び退出側の車線中心線C1、C2のそれぞれと滑らかに接続するように、走行軌道モデルの形状や位置を補正する。
交差点内の仮想区画線や走行軌道モデルの生成に使用可能な路面標示としては、例えば、導流帯の縁部や、矢印マーク、交差点中心に配置されるダイヤモンド形状のマークなどがある。また、右左折を行う車両が通過すべき路面領域を示す、赤や青、緑などの特定の色を有する路面領域もまた、路面標示として利用可能である。本開示では、無車線地点や車線をまたぐ必要がある地点において、車両が走行軌道を決定するためのデータのことを、軌道決定用データと称する。起動決定用データとは、具体的には、走行可能範囲を示すデータや、仮想車線データ、走行軌道モデルである。軌道決定用データは、車両の走行すべき軌道を直接的又は間接的に示すデータに相当する。
高速道路の加速車線から本線へ合流にかかる軌道決定用データや、高速道路本線から減速車線や別の本線に移るための軌道決定用データも、交差点を通過するための軌道決定用データと同様の方法で生成可能である。無車線地点を走行するための軌道決定用データも同様である。なお、高速道路のゲートが複数並列配置されている場合には、料金所のゲートとランプウェイが備える車線の組み合わせごとに軌道決定用データは作成可能である。
なお、原地図データがもともと難所に対応する上記の軌道決定用データを備えている場合には、ステップS206として新たに軌道決定用データを生成する必要はない。原地図データが難所に対応する上記の軌道決定用データを備えている場合、サーバプロセッサ31はステップS205にて難所用地図要素として、原地図データから難所に対応する軌道決定用データを抽出すればよい。つまり、難所用の配信地図としてステップS205で必要十分な地図情報が揃っている場合、ステップS206は省略可能である。
ステップS207では、ステップS205及びステップS206で抽出した地図情報を含むデータセットを新たなマップタイルとして配信用地図記憶部353に登録する。当該マップタイルが処理対象とする難所に係る配信用地図データに相当する。ステップS207で設定される難所に係る配信用のマップタイルのことを難所マップタイルとも記載する。難所マップタイルは、難所にかかる配信用地図データである難所関連エリアデータの一例に相当する。難所マップタイルの大きさは、例えば難所関連エリアAdを包含する矩形状とすることができる。例えば1辺の長さが関連距離Rdの2倍~3倍の矩形状とすることができる。難所マップタイルは、例えば難所がその中心に位置するように設定される。処理対象とする難所に対する難所マップタイルの登録が完了するとステップS208に移る。
ステップS208では、ステップS202で登録された全ての難所について配信用地図データとしての難所マップタイルを作成したか否かを判定する。未処理の難所が残っている場合には、ステップS203に戻り、任意の未処理の難所を処理対象に設定してステップS203以降の処理を実行する。ステップS202で登録された全ての難所に対するマップタイルの設定が完了するとステップS209に移る。ステップS209では、配信用地図記憶部353に保存されている配信用地図データを、例えば車両からの要求に基づき配信し、本フローを終了する。ステップS209が配信処理ステップに相当する。なお、配信用地図データの配信は、図9に示す処理とは独立して順次車両からの要求に基づいて実行されても良い。
図13は以上の配信用地図生成処理によって生成される難所マップタイルを概念的に示した図である。図13に示すように、難所設定部G3は、複数の車両からの中止地点報告に基づき、難所Pd1、Pd2を設定する(ステップS202)。難所Pd1は例えば五叉路である。また、難所Pd2は幹線道路同士の接続点である。配信用地図生成部G4は、難所Pd1及びPd2を基準として、難所関連エリアAd1、Ad2を設定する(ステップS204)。難所関連エリアAd1は、例えば難所Pd1としての交差点の中心から関連距離Rd以内の範囲とすることができる。難所関連エリアAd2は、例えば難所Pd2としての交差点の中心から関連距離Rd以内の範囲とすることができる。難所関連エリアAd1、Ad2は、距離が25m以上離れることも有る。なお、難所Pd1、Pd2の距離が、例えば所定の連結距離未満である場合には、それらをまとめて1つの難所としても良い。連結距離は例えば20mや30mなどとすることができる。難所ごとに難度を設定する構成においては、連結数が多いほど、難度は高く設定しても良い。
そして、難所関連エリアAd1、Ad2のそれぞれにおいて、車両制御上有用な地図情報を原地図データから抽出し(ステップS205)、マップタイル化する。図中のDMT1は、難所Pd1に対応するマップタイルを表しており、DMT2は、難所Pd2に対応するマップタイルを表している。OMTは、原地図データにおけるマップタイルであるオリジナルタイルを表している。なお、オリジナルタイルOMTに対する難所マップタイルDMTの大きさの比率は適宜変更可能である。例えば図14に示すように、難所マップタイルDMTは、オリジナルタイルOMTよりも十分に小さくても良い。逆説的に、オリジナルタイルOMTは、難所マップタイルDMTよりも十分に大きくても良い。
難所マップタイルDMTは、矩形状に限らず、円形や六角形などであってもよい。例えば、難所関連エリアAdそのものを1つの円形のマップタイルとしてよい。また、1つの難所関連エリアAdに対応する難所マップタイルDMTは図15に示すように複数存在していても良い。換言すれば、1つの難所に係る配信用地図データは、複数の難所マップタイルに分割されていてもよい。図15におけるDMT1-11~13、DMT1-21~23、DMT1-31~33が個々の難所マップタイルを示している。配信処理部G5は、以上で生成された難所マップタイルDMTを車両からの要求に基づき配信する。なお、配信用地図データが、車両モデルごとに区別されて生成されている場合には、地図データを要求した車両のモデルに対応する配信用地図データを配信する。配信用地図が予防安全パッケージのバージョンや車載装備毎に区別して生成されている場合も同様に要求元の装備等に応じた配信用の地図データを配信する。
当該構成によれば、配信処理部G5は、難所に係る地図データだけを車両に配信する。換言すれば、配信処理部G5は、難所関連エリアAd以外の領域である通常エリアについては地図データを配信しない。そのため、車両が取得する地図のデータ量が抑制され、通信等に係るコストを抑制することができる。また、車両が利用する地図データのサイズが小さくなるため、車両内ネットワークNwに流れるデータ量も低減できる。例えばCANなどの既存の通信方式で伝送可能なほど、地図データサイズを小さくできる。その結果、地図データの伝送のために、イーサネットやFlexRayなどの新たな通信ネットワークを導入する必要が生じる恐れを低減できる。イーサネットやFlexRayは、CANなどに比べて新規かつ大容量通信可能な通信方式であるため、相対的に導入コストが高い。つまり、地図データを軽量化することにより、車両内ネットワークNwを高価なネットワークに置き換えなくとも良くなる。
また、車両制御上有用な地図データは配信されるため、車両において自動制御機能が中止されるおそれも低減できる。つまり、自動制御機能が中止される恐れを低減しつつ、地図データの利用にかかるコストも低減できる。なお、配信する情報量が少ないといった概念には、情報を配信しないという概念も含まれる。故に、上記構成は、難所関連エリアに関しては、通常エリアよりも、より多くの地図要素を含むデータセットを配信する構成に相当する。
なお、難所として設定された交差点についての難所関連エリアデータは、一時停止線の位置や、信号機の位置情報、及び、交差点の内部に存在する路面標示の種別及び位置情報を含むように構成されていることが好ましい。当該構成によればそれらの標示物を基準として交差点内における自車両の位置を精度よく特定可能となるとともに、一時停止すべき個所で一時停止可能となる。また、交差点に係る難所関連エリアデータは、交差点の内部における進行方向毎の軌道決定用データを含むことが好ましい。走行軌道を直接的又は間接的に示すデータとは、走行可能範囲や、仮想車線、走行軌道モデルなどといった軌道決定用データに相当する。当該構成によれば交差点内における合理的な軌道を生成可能となる。合理的な軌道とは、交通ルールに準拠した軌道であって、かつ、より好ましくは周辺車両の運転者に違和感を与えない軌道を指す。周辺車両の運転者に違和感を与えない軌道とは、当該システムが使用される地域の慣習や交通マナーに適合した軌道と解することもできる。また、合理的な軌道とは、急減速や急加速、急操舵を含まない軌道と解することもできる。
また、高速道路の本線と加速または減速車線との接続点に係る配信用の地図データは、接続点における軌道決定用データと、接続点の手前にある少なくとも2つのランドマークについての情報が対応付けられていることが好ましい。当該構成によれば、接続点に至る前にローカライズ処理が実行可能となり、接続点までの残距離を精度良く特定可能となる。また、配信地図データに軌道決定用データが含まれていることにより、接続点における走行軌道を、周辺監視センサ11だけで生成される軌道よりも合理的なものとすることが可能となる。
さらに、区画線が設置されていない地点である無車線地点についての難所関連エリアデータは、区画線及び道路端の設置位置を示すデータと、複数のランドマークについての情報を含むことが好ましい。当該構成によれば、ランドマーク及び道路端に基づいて道路に対する自車両の詳細位置を決定可能となる。また区画線情報が含まれていることにより、車線が見えない状況下でも実質的に何番目のレーンを走行しているかを特定可能となる。
動的な要因による難所についての難所関連エリアデータにも、難所の要因に応じた地図情報を含めてもよい。例えば、積雪地点、及び覆砂地点の難所関連エリアデータは、無車線地点と同様、区画線及び道路端の設置位置を示すデータと、複数のランドマークについての情報を含むデータセットすることができる。なお、道路端は立体物であるため、積雪等がある状況下においても、区画線よりかはその位置を検出しやすい。上記構成によれば道路端を基準として車両の横位置を推定可能となる。上記構成によれば、ランドマーク及び道路端に基づいて道路に対する自車両の詳細位置を決定可能となるとともに、車線が見えない状況下でも実質的に何番目のレーンを走行しているかを特定可能となる。その結果、実際の走行軌道を周辺監視センサ11だけで生成される軌道よりも合理的なものとすることが可能となる。
また、積雪地点、及び覆砂地点の難所関連エリアデータには、他の車両の走行軌跡に基づいて定まる軌道決定用データを含めてもよい。軌道決定用データとしては、例えば走行軌道モデルや仮想車線データなどを採用可能である。当該構成によれば、車両の運転支援ECU20は、軌道決定用データに基づいて、積雪等によって区画線が見えにくい区間においても、合理的な走行軌道を作成可能となることができる。
その他、落下物等の障害物に起因する難所の難所関連エリアデータにも、複数のランドマークデータと、他の車両の走行軌跡に基づいて定まる軌道決定用データとを含めてもよい。ただし、障害物に由来する難所関連エリアデータに含める軌道決定用データは、例えば障害物が出現した時点以降に収集された走行軌跡データに基づいて生成されたものとすることが好ましい。障害物が出現する前の走行軌跡データは、障害物を回避する走行軌道を計画する際のノイズとなりうるためである。
例えば配信用地図生成部G4は、障害物の出現に由来する難所が難所設定部G3によって登録された場合には、当該時点以降に受信した複数の走行軌跡データに基づき、当該難所付近の一時的な軌道決定用データを生成する(S206)。そして、配信処理部G5は当該軌道決定用データを含むデータセットを難所関連エリアデータとして配信する。上記構成によれば、運転支援ECU20は、軌道決定用データに基づいて、障害物を回避するための滑らかな走行軌道を事前に作成可能となり、ユーザの利便性を高めることができる。なお、障害物は経時的に消失することが予見される。そのような事情を鑑みると、障害物が存在する地点付近の軌道決定用データは、例えば10分~30分毎に随時更新されることが好ましい。もちろん、障害物自体が消失したことを検知すれば、難所設定自体も解除されるため、難所関連エリアデータとしての軌道決定用データの配信も停止されうる。
ところで、各車両は、地図サーバ3に問い合わせない限りは、自身が存在するエリアが通常エリアか難所関連エリアかを特定できない。故に、車両は、通常エリアに存在する場合も、難所関連エリアに存在する場合と同様に、地図サーバ3に対して地図データを要求しうる。仮に地図サーバ3が通常エリアに関しては何も送信しない場合、車両は地図要求に係る通信が失敗したのか地図が存在しないのかが判断できない。そのような事情を踏まえると、地図サーバ3は、車両から通常エリアに相当する地点の地図データを要求された場合には、例えばNull等、所定のビット列を含む応答データを返送する。このような構成によれば、車両は通常エリアの地図の要求に対して地図サーバ3から応答信号を取得するため、通信トラブル等で地図を取得できなかったのか、通常エリアだから地図がないのかを識別可能となる。なお、実態的に地図要素を含まないマップタイルデータも、通常エリア用の地図データの一種と解することができる。
また、地図サーバ3は、難所関連エリア以外の領域である通常エリアについても、所定の地図要素についての情報を含む配信用地図データである通常エリアデータを生成及び配信するように構成されていても良い。通常エリアは、例えば、オリジナルタイルで規定される範囲から、難所関連エリアを除外した部分とすることができる。また、通常エリアデータは、例えば現実世界における収録対象範囲の大きさが難所マップタイルと同様のマップタイル単位で区分されて配信されても良い。通常エリア用のマップタイルと難所マップタイルは、現実世界におけるそれぞれの収録対象範囲がオーバーラップするように設定されていても良い。通常エリアデータは、データサイズが所定値以下となるように区分されていてもよい。地図サーバ3は、車両からの要求に基づき、通常エリアデータ及び難所関連エリアデータの少なくとも何れか一方を配信してもよい。
配信用地図生成部G4は、通常エリアについての地図の単位面積当り又は単位道路長さ当りのデータサイズは、難所関連エリアについての地図の半分以下となるように、収録する地図情報を間引くように構成されていることが好ましい。例えば通常エリアデータは、基本項目として予め設定された種別の地図要素のみを含む地図データとすることができる。基本項目は、静的POIデータと動的POIデータとしてもよい。また、基本項目には、目的地までの経路計算に必要最低限のネットワークデータを含めてもよい。目的地までの経路計算に必要最低限のネットワークデータは、例えば道路ネットワークデータの一部または全部とすることができる。
さらに、基本項目は、安全性評価用の地図要素を含めることができる。安全性評価用の地図要素とは、安全性評価部F71が安全距離や潜在事故責任値を算出するために有用な地図要素である。安全性評価用の地図要素には、例えば、道路の曲率や勾配、道路幅、車線数などが含まれる。また、安全性評価用の地図要素には、制限速度や、優先道路か否かなど、交通ルールを示す項目も含めることができる。さらに、安全性評価用の地図要素には、一時停止線や、横断歩道、信号機の設置位置などを含めることができる。
通常エリアデータは、30m以内に2つ以上のランドマークについての情報を含まないように構成されていることが好ましい。当該構成によれば通常エリアの地図データのサイズをさらに低減可能となる。
図16は、エリアごとの配信用地図データの生成にかかるサーバプロセッサ31の作動の一例を示すフローチャートである。配信用地図生成部G4は、配信単位としての複数のエリア(マップタイル)のそれぞれに対して順番に/並列的に次の処理を実行しうる。まず、配信用地図生成部G4は、難所記憶部352の保存データをもとに、処理対象とするエリアが難所関連エリアに該当するか通常エリアに該当するかを判別する(ステップS301)。対象エリアが難所関連エリアに該当する場合には、配信用地図生成部G4は、原地図データの収録内容をそのまま配信用地図データとして採用する(ステップS302)。なお、難所関連エリア用の配信地図データは、原地図データそのままでなくともよい。ステップS302の処理は、S205~S206と同様の処理であっても良い。対象エリアが難所関連エリアに該当する場合には、対象エリアの一部が難所関連エリアに該当する場合を含めることができる。
一方、対象エリアが通常エリアである場合、配信用地図生成部G4は、原地図データから不要な地図要素を除去する間引き処理を実施する(ステップS303)。間引き処理は、データサイズが所定値以下となるように、または、基本項目だけを含むデータセットとなるように、収録対象を取捨選択する処理に相当する。そして、配信用地図生成部G4は、不要な情報を間引いてなる疎な地図データを通常エリアデータとして生成する(ステップS304)。このように通常エリア用の配信用地図は、難所用の配信用地図よりもデータサイズが小さくなるように、原地図をもとに生成されてもよい。
図17及び図18は、難所関連エリアデータと、通常エリアデータの構成の一例を概念的に示したものである。難所関連エリアデータは、例えば図17に示すように、タイルIDフィールドFd1、難所IDフィールドFd2、関連タイルフィールドFd3、エリア内番号フィールドFd4、基本項目フィールドFd5、オプションフィールドFd6を備える。
タイルIDフィールドFd1は、マップタイルの識別番号が格納されるデータフィールドである。図17中のID1は、マップタイルの番号を表している。難所IDフィールドFd2は、難所毎に割り当てられる識別番号及び位置座標が格納されるデータフィールドである。図17中のID2は、難所の識別番号である難所IDを表している。なお、例えば図15に示すように、1つの難所Pd1に対して複数のマップタイルが設定されている場合、それらのマップタイル、換言すれば同一の難所に対する複数のデータセットには、共通の難所IDが付与される。複数のデータセットに共通の難所IDが付与されることにより、データの受け手である運転支援ECU20はそれらが共通の難所についてのデータセットであることを特定可能となる。難所IDが難所の識別情報に相当する。また難所IDフィールドが第1のデータフィールドに相当する。
関連タイルフィールドFd3は、当該マップタイルと関連付けられている他のマップタイルの番号やその総数が格納されるデータフィールドである。例えば図15に示すように、1つの難所Pd1及び難所関連エリアAd1に対して複数のマップタイルが設定されている場合、関連タイルフィールドFd3には、難所に紐付けられているマップタイルの総数や、関連するマップタイルの番号が格納される。図17中のT.Numは、難所に紐付けられているマップタイルの総数を表している。エリア内番号フィールドFd4は、図15に例示するように、1つの難所Pd1及び難所関連エリアAd1に対して複数のマップタイルが設定されている場合には、それらのタイルグループの中での番号であるローカル番号が格納されるデータフィールドである。ローカル番号とは、図15に示す例においては「11」~「13」、「21」~「23」、「31」~「33」などを指す。図17中のNoは、ローカル番号を表す。
基本項目フィールドFd5は上述した基本項目に設定されている地図要素のデータが格納されるデータフィールドである。オプションフィールドFd6は、基本項目以外の地図要素が格納されるデータフィールドである。オプションフィールドFd6は、換言すれば、車両制御に有用な地図要素、つまり難所用地図要素が格納される領域に相当する。例えばオプションフィールドFd6には、難所の位置座標や、難所に向けた車線変更や減速等の準備制御を開始するべき地点を示すPOIなどが格納される。また、オプションフィールドFd6には区画線及びランドマークといった地物データや、軌道決定用データ、動的POIなどが格納されうる。基本項目フィールドFd5及びオプションフィールドFd6は、第2のデータフィールドに相当する。図17中のOBJは地物データを示し、TRJは軌道決定用データを指す。
これに対し、通常エリアデータは、図18に示すように、タイルIDフィールドFd1、難所IDフィールドFd2、関連タイルフィールドFd3、エリア内番号フィールドFd4、基本項目フィールドFd5のみを備える。換言すれば通常エリアデータは、オプションフィールドFd6は備えない。通常エリアデータにおける難所IDフィールドFd2、関連タイルフィールドFd3、エリア内番号フィールドFd4には、空白を意味するビット列(いわゆるヌル)が入力されればよい。
このように通常エリアデータは、難所関連エリアデータよりも情報量が少ない。換言すれば情報密度が疎な地図データとなっている。また、難所関連エリアデータは、通常エリアデータよりも情報密度が密な地図データとなっている。地図収録領域の中に、所定の判断基準によって、配信する地図情報の密度を疎とする地図領域を設定することにより、総合的に車両が利用する地図データのサイズを低減することができる。また、1回の通信でやり取りされるデータサイズを抑制可能となる。なお、図17及び図18に示す地図データ構造は一例であって、適宜変更可能である。例えば、関連タイルフィールドFd3、エリア内番号フィールドFd4などは省略されても良い。上記構成もまた、難所関連エリアに関しては、通常エリアよりも、より多くの地図要素を含むデータセットを配信する構成に相当する。
配信用地図生成部G4は、オリジナルタイルにおいて、不要な地図要素を除外したマップタイルを配信用マップタイルSMTとして配信用地図記憶部353に登録してもよい。不要な地図要素は、例えば、通常エリアの全ての地図要素とすることができる。難所関連エリア内において難所用地図要素に設定されていない地図要素は、不要な地図要素に該当しうる。
このような構成によれば、図19に示すように原地図データにおけるマップタイルの構成を流用しつつ、配信される地図データのサイズを低減することができる。当該構成によれば、例えば原地図データに更新があった場合に、その更新点を配信地図データに簡単に反映することが可能となる。図19におけるドットパターンのハッチングを施している部分は、地図要素が密に収録されているエリアを表している。また、ハッチングが施されていない部分は、通常エリアであって、地図情報がほとんど含まれていないことを概念的に表している。地図サーバ3は難所関連エリアと通常エリアとが混在するマップタイルを生成及び配信するように構成されていてもよい。
さらに、配信用地図生成部G4は、オリジナルタイルOMTの枠組みにおいて、難所関連エリアについては原地図と同様の情報を含む一方、通常エリアについては基本項目のみを含む配信用マップタイルSMTを配信用地図記憶部353に登録してもよい。図20は当該配信用マップタイルSMTを概念的に示したものである。図20におけるハッチングの密度は収録されている地図要素の密度、換言すれば情報量を概念的に示している。このような配信用地図は、難所関連エリアに相当する部分に対して通常エリアに相当する部分の情報量を少なくした地図データに相当する。
なお、有る地図に対して相対的に情報量が少ない地図とは、例えば実空間の単位面積当り又は単位道路長当りのデータサイズが小さい地図を指す。単位面積当り又は単位道路長当りのデータサイズが相対的に小さい地図データとは、例えば、収録している地図要素の種別が少ない地図や、収録している地物の数が少ない地図、地物の位置又は形状を示す点群の間隔が大きい地図などが含まれる。すなわち、情報の一部が間引かれている地図が、相対的に情報量の少ない地図に相当する。単位面積当りの情報量は、例えば100m四方の矩形領域の情報量とすることができる。また、単位道路長は例えば100mや200m、500m、1kmなどとすることができる。なお、データサイズは、バイト数やデータ量と読み替えることができる。
通常エリアに関しても、基本項目については配信することにより、静的POIや動的POIの位置を車両が特定可能となる。また、基本項目に長期的な経路を決定する上で必要最小限のネットワークデータを含めた構成によれば、目的地までの経路計算が実行可能となる。さらに、基本項目に制限速度や、追い越し禁止、はみ出し禁止などの交通ルールを含めた構成によれば、制御プランに対する安全性の評価などが実行可能となる。つまり、上記構成によれば、安全性評価等の代表的な機能は維持しつつ、地図データの利用に係る通信量は抑制可能となる。
なお、上述した難所設定部G3は、1つの側面において、車両制御の実行難度に応じて地図収録地域を、高難度エリアと、低難度エリアの少なくとも2種類のエリアに区分するエリア設定部に相当する。低難度エリアは通常エリアに相当する。また、上記の難所設定部G3は、車両からの報告に基づいて、所定の車両制御を実行するための地図情報が必要なエリアを特定する地図必要エリア特定部と呼ぶことができる。上記の配信用地図生成部G4は、1つの側面において対象エリアで必要な地図情報を選択する地図要素選択部と解することができる。また、上記の地図サーバ3は、原地図データから、1つの側面において、車両制御が中止される原因に応じた地図情報のみを取捨選択して配信する構成に相当しうる。
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、以降で述べる種々の構成も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。例えば下記の種々の構成は、技術的な矛盾が生じない範囲において適宜組み合わせて実施することができる。なお、前述の実施形態で述べた部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については先に説明した実施形態の構成を適用することができる。
積雪地点等、困難理由が動的な要因である難所については、車両からアップロードされるプローブデータや、他のセンタから取得する天気情報に基づいて、定期的にまだ困難理由が存続しているか否かを判定しても良い。困難理由が解消した地点については難所としての登録を解除してもよい。
また、道路構造などの、困難理由が静的な要因である難所についても、道路構造の改修によって、困難理由が解消することもありうる。故に、難所設定部G3は、車両からアップロードされるプローブデータや、他のセンタから取得する道路工事情報、地図作成ベンダから提供される情報に基づいて、定期的にまだ困難理由が存続しているか否かを判定しても良い。道路工事等により、困難理由が解消した地点については難所としての登録を解除してもよい。
動的POI等の動的情報を含む配信用地図データについては、当該動的情報の変化に応じて配信用のデータセットの内容を変更してもよい。また、1つの難所についての地図データは、難所ID等を用いて互いに関連付けられた状態で複数のデータセットに分割されて配信されても良い。例えば難所要因が故障車両である地点の地図データには、当該故障車両が存在する地点を含むマップタイルと、故障地点から例えば500mの前のランドマーク情報を含むマップタイルとを含めることができる。500m前のランドマーク情報を配信することにより、時間的及び距離的に余裕がある状態で、車線変更等が可能となる。
難所設定部G3は、難所を制御上の難度に応じて複数段階に区分しても良い。例えば難度は例えば1~3の3段階に区分できる。数字が大きいほど難度が高いことを示す。難度が1の地点とは、例えば勾配が急変する個所や、急カーブなどとすることができる。また相対的に小規模な交差点なども難度が1の難所とすることができる。小規模な交差点とは例えば片側1車線の道路同士が接続する交差点とすることができる。難度が1の難所は例えば制御の中止確率が3%以上10%未満となる地点とすることができる。
難度が2の地点とは、例えば高速道路の本線と併設車線との接続点や、中規模な交差点などとすることができる。中規模な交差点とは例えば片側2~3車線の道路同士が接続する交差点とすることができる。難度が2の難所は例えば制御の中止確率が10%以上25%以下となる地点とすることができる。難度が3の地点とは、例えば無車線地点や、積雪地点、大規模な交差点などとすることができる。大規模な交差点とは例えば片側3~4車線の道路同士が接続する交差点や多叉路とすることができる。難度が3の難所は例えば制御の中止確率が25%以上となる地点とすることができる。
このように難度を区分することにより、難度の観点から配信用の地図データに含めるべき地図要素の数やデータ量を規定することができる。難度が高い地点を特定可能となるため、難度が高い地点を避けるルートを提案可能となる。なお、地点毎の難度は0~4の4段階で表現されても良い。難度が0の地点は、難所ではない地点に相当する。
地図サーバ3と車両との通信手順としては、多様な方法を採用可能である。例えば、車両は、地図データ本体を取得する前に、自車両から所定距離(例えば1km)以内に存在する難所の位置情報を難所リストデータとして地図サーバ3から取得してもよい。難所リストは例えば地図取得部F2がV2X車載器14と連携して地図サーバ3から取得される。また、地図取得部F2は、地図サーバ3から取得した難所リストに、自車両が所定時間以内に通過予定の地点が含まれている場合に、当該通過予定の難所に係る難所関連エリアデータを地図サーバ3に要求するように構成されていてもよい。
上記構成によれば、難所を通過する場合にのみ、対応する地図データをダウンロードすることが可能となる。なお、地図取得部F2は、通過予定の難所までの残り距離が所定距離未満となったことを条件として、難所関連エリアデータを要求するように構成されていても良い。制御計画部F7は、地図取得部F2が高難度関連エリアデータを取得した場合には、当該データに基づいて所定の車両制御を実行するための計画を作成すればよい。例えば、難所に到達するまでの残り距離が所定値以下となった場合に、オプションフィールドFd6等に格納されている地図情報に基づいて、制御計画部F7が難所での制御計画を作成する。残り距離は残り時間に置き換えて実施することもできる。
また、地図サーバ3は、所定の配信対象車両に対して地図データをプッシュ配信しても良い。配信対象車両は、例えば車両の現在位置に基づいて選定可能である。さらに、地図サーバ3は、配信対象車両に対し、制御上利用可能な又は有用な地図情報が存在することを通知し、当該地図情報のダウンロードを要求する車両にだけ、地図データを配信しても良い。地図サーバ3からの通知に対して地図情報の配信要求を実行するかどうかに係る車両側の設定は、ユーザが変更可能に構成されていても良い。当該構成によればユーザの意図に反して通信量が増大する恐れを低減できる。例えば車両制御が中止されることを許容するユーザは、地図データのダウンロードをしないように設定することで通信量を低減可能となる。一方、車両制御が中止されることを望まないユーザは、地図データのダウンロードを積極的に実施するように設定することで、車両制御が中止される恐れを低減できる。
なお、地図データの配信サービスとしては、サポート対象とする難所のバリエーション及び料金が異なる複数のプランが用意されていても良い。例えば料金プランとしてはプランA~Cが用意されていても良い。プランAは最も料金が安いものの、地図データが配信される難所の種別が最も少ないプランに相当する。例えばプランAは、勾配変化点や、急カーブなどが配信対象となるプランとすることができる。プランAは難度が1の難所のみサポート対象とするプランとすることもできる。
プランBは、プランAとプランCの中間的なプランである。プランBは、直線区間における勾配変化点や、急カーブに係る難所関連エリアデータに加えて、小規模及び中規模の交差点が配信対象となるプランとすることができる。プランBは難度が2までの難所をサポート対象とするプランとすることができる。プランCは、プランA~Cの中で料金が最も高いものの、全ての種類の難所を配信対象とするプランに相当する。プランCは、難度が3までの難所をサポート対象とするプランとすることができる。
以上の構成によれば、ユーザは、自身の生活圏又は行動範囲に応じたプランを選択可能となる。なお、上記の構成は、相対的に高額なプランを契約しているユーザに対しては低額プランを契約しているユーザよりも、充実した地図データを配信する構成に相当する。また、ユーザごとに、契約内容に応じて配信対象とする難所の種別や地図要素の組み合わせを変更する構成に相当する。
なお、車両制御における地図データの有用性は、ユーザにとってはイメージしづらいことが予想される。そのような想定を踏まえると、地図配信サービスとしては、プランAやBを選択したユーザも、最初の1ヶ月間は無料でプランCを利用可能としてもよい。当該構成によれば、ユーザは地図データの有無による挙動の違いを体験することができる。また、地図データの有用性をユーザに実感させることが可能となり、サービス使用料金に対するユーザの納得感または満足感を高めることができる。なお、地図配信サービスとしては、広告を入れることユーザの利用料金を抑制するように構成されていてもよい。例えば、配信用の地図データは、広告情報が挿入されるデータフィールドである広告情報フィールドを含んでいてもよい。
運転支援ECU20は、地図サーバ3から取得した地図データを用いて走行した場合には、例えば図21に示すような、地図データの利用状況を示すアイコン画像をディスプレイ151に表示しても良い。また、トリップ終了時に、地図データを利用した回数を表示しても良い。ここでのトリップとは、車両の走行用電源がオンになって走行を開始してから走行用電源がオフになるまでの一連の走行を指す。当該構成によれば、どれくらい地図データが使われているかをユーザが認識可能となる。ひいては、地図データの有用性をユーザが認識しやすくなる。その結果、地図利用にかかるサービス使用料金に対するユーザの納得感または満足感を高めることができる。なお、運転支援ECU20は、一回のトリップにおける車両制御の中止回数が所定値以上であって、かつ、ユーザが契約しているプランよりも高グレードなプランがある場合には、相対的に高額のプランの利用を提案するように構成されていてもよい。
ユーザの課金対象は、地図配信サービスそのものではなく、地図サーバ3が提供する地図データを利用した車両制御を行うアプリケーションである地図連携アプリであってもよい。地図サーバ3は、所定の地図連携アプリを利用しているユーザ(車両)にのみ、地図データを配信するように構成されていてもよい。地図連携アプリとは、例えば、自動運転アプリや、交差点通過支援アプリ、AR(Augmented Reality)ナビアプリなどである。自動運転アプリは、高速道路内などの所定の運行設計領域(ODD:Operational Design Domain)内において、自動運転を行うアプリである。交差点通過支援アプリは前述の通り、信号機を伴う交差点の通過を支援する車両制御を実施するアプリである。ARナビアプリは、ヘッドアップディスプレイとの連携により、自車両の走行予定経路や区画線などを示す画像を実際の前景と重なるように表示するアプリである。なお、自動運転アプリは、交差点通過支援アプリ及びARナビアプリを含みうる。地図連携アプリは前述の車両制御アプリに対応する。
地図サーバ3は、上述したような地図連携アプリがインストールされてあって、契約内容に応じた料金が支払われているユーザの車両Maにのみ、契約内容/利用アプリに応じた地図データを配信するように構成されていても良い。例えば地図サーバ3は、図22に示すように、地図連携アプリに紐づくアプリサーバ4との通信により、地図連携アプリが使用されている車両の情報を取得する。換言すれば、地図サーバ3は、アプリサーバ4から複数の車両のそれぞれにおける、地図連携アプリの利用状況を取得する。そして、地図連携アプリが使用されている車両Maに対しては、その契約内容/課金状況、アプリ種別に応じた地図データを配信する。一方、地図連携アプリが使用されていない車両Mbに対しては、地図データを配信しない。つまり、車両ごとに、地図連携アプリの利用状況に応じて地図データを配信するか否かを切り替える。加えて、配信処理部G5は課金状況/契約プランに応じて難所について配信するデータの情報量を調整しうる。図22に示すAppは、地図連携アプリを示している。
このように地図サーバ3は、地図連携アプリが使用されていない車両に対しては地図データを配信しないことができる。また、地図サーバ3は、料金の支払いが滞留しているユーザに紐づく車両への地図配信を停止することも可能である。なお、アプリの実行に必要な地図要素は、アプリごとに相違しうる。そのため、地図サーバ3はアプリごとの配信用地図を生成及び配信しうる。また、同一のアプリにおいても、前述の通り契約プランに応じて配信すべき地図データの情報量(中身)は相違しうる。地図サーバ3は、地図連携アプリの使用状況/利用プランに応じて、配信内容を変更しうる。
以上では主として地図サーバ3側で地図配信を制御する態様について述べたが、当然、地図データの取得は、運転支援ECU20へのユーザ操作によっても変更可能である。地図取得部F2は、ユーザによって登録された地図連携アプリの動作設定に応じて、地図サーバ3からのデータ取得の実行/停止を切り替え可能に構成されている。
その他、上述した地図サーバ3は複数のサーバに分けて実装されていても良い。配信用地図を生成及び配信するサーバと、原地図を生成及び更新するサーバは別々であってもよい。地図連携システム100は、図23に示すように、原地図を生成及び更新する原地図サーバ3aと、配信用地図を生成及び配信する配信サーバ3bとを別々に備えていても良い。図23中のPDは、プローブデータを、OMは原地図データを、Mpは配信用の地図データをそれぞれ表している。さらに、配信用地図を生成するサーバと、当該配信用地図を配信するサーバもまた別々であってもよい。
<付言(1)>
本開示には以下の技術思想も含まれる。
[技術思想(1)]
地図データを車両に配信する地図サーバであって、
所定の自動的な走行制御を実行する上での難所を設定する難所設定部(G3)と、
エリア毎の配信用の地図データを生成する配信用地図生成部(G4)と、
配信用地図生成部が生成した地図データを車両に配信する処理を行う配信処理部(G5)と、を備え、
難所に関連するエリアである難所関連エリアについての地図データは、難所関連エリアではない通常エリアについての地図データよりも、単位面積当り又は単位道路長当りのデータ量が所定量多く設定されている、設定地図サーバ。
[技術思想(2)]
少なくとも1つのプロセッサを含む地図サーバであって、
所定の自動的な走行制御を実行する上での難所を設定することと、
車両からの要求に基づき、エリアごとの地図データを車両に配信する処理を行うことと、
車両より配信要求された地図データの対応エリアが難所に関連するエリアであるか否かに応じて応答を変更することと、を実行可能するように構成されている地図サーバ。
[技術思想(3)]
技術思想(2)に記載の地図サーバであって、
車両より配信要求された地図データの対応エリアが難所関連エリアに該当する場合には所定の地図要素についての情報を含む難所用データセットを配信する一方、
配信要求された地図データの対応エリアが通常エリアに該当する場合には、地図データを含まない応答を返送するか、または、情報量が難所用データセットの半分以下となるようにデータが間引かれたデータセットを返送するように構成されている地図サーバ。
<付言(2)>
本開示に記載の制御部及び処理部、並びにそれの手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路を用いて実現されてもよい。さらに、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。つまり、運転支援ECU20等が提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供できる。例えば運転支援ECU20が備える機能の一部又は全部はハードウェアとして実現されても良い。或る機能をハードウェアとして実現する態様には、1つ又は複数のICなどを用いて実現する態様が含まれる。運転支援ECU20は、CPUの代わりに、MPUやGPU、DFP(Data Flow Processor)を用いて実現されていてもよい。運転支援ECU20は、CPUや、MPU、GPUなど、複数種類の演算処理装置を組み合せて実現されていてもよい。運転支援ECU20は、システムオンチップ(SoC:System-on-Chip)として実現されていても良い。さらに、プロセッサが提供する機能は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を用いて実現されていても良い。各種プログラムは、非遷移的実体的記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に格納されていればよい。プログラムの保存媒体としては、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EPROM、フラッシュメモリ、SDカード等、多様な記憶媒体を採用可能である。

Claims (13)

  1. 地図データを車両に配信する地図サーバであって、
    地図上において、ユーザの運転操作を支援または前記車両を自律的に走行させるための所定の車両制御を、一定レベルの性能を維持しつつ実施することが困難な地点である難所を設定する難所設定部(G3)と、
    エリア毎の配信用の前記地図データを生成する配信用地図生成部(G4)と、
    前記配信用地図生成部が生成した前記地図データを車両に配信する処理を行う配信処理部(G5)と、を備え、
    前記配信用地図生成部は、
    前記難所に関連するエリアである難所関連エリアに対しては、前記難所関連エリアではない通常エリアよりも、配信用の前記地図データとして、単位面積当り又は単位道路長当りのデータ量が多いデータセットを生成するものであって、
    前記難所関連エリアについての配信用の前記地図データには、30m以内に少なくとも2つのランドマークについての情報を含め、
    前記通常エリアについての前記地図データには、30m以内に2つ以上のランドマークについての情報を含めないように構成されている、地図サーバ。
  2. 請求項1に記載の地図サーバであって、
    前記難所設定部は、前記車両制御の実行を難化させる所定の地理的条件を有する地点を前記難所に設定するように構成されている地図サーバ。
  3. 請求項1又は2に記載の地図サーバであって、
    前記難所関連エリアについての前記地図データが含む地図要素の種類又は数は、前記通常エリアについての前記地図データよりも多く設定されている地図サーバ。
  4. 請求項1からの何れか1項に記載の地図サーバであって、
    配信用の前記地図データの元となる地図である原地図データを記憶している原地図記憶部(351)を備え、
    前記配信用地図生成部は、前記原地図記憶部が記憶している前記原地図データに基づいて、前記難所関連エリア毎に、前記車両制御を実行するために必要な地図要素を含む配信用の前記データセットを生成するように構成されている地図サーバ。
  5. 請求項1からの何れか1項に記載の地図サーバであって、
    前記難所設定部は、交差点、踏切、勾配の変化点、カーブ、トンネル出口、高速道路における合流地点、前記高速道路における分岐地点、前記高速道路の料金所、過去の事故の発生回数が所定の閾値以上である地点、区画線が設置されていない地点である無車線地点、道路が雪で覆われている積雪地点、及び道路が砂で覆われている覆砂地点の少なくとも何れか1つを前記難所に設定する地図サーバ。
  6. 請求項1からの何れか1項に記載の地図サーバであって、
    前記難所設定部は、5本以上の道路が接続する交差点、及び、車線数が所定値以上の道路である幹線道路同士が接続する交差点を少なくとも何れか一方を前記難所に設定するように構成されており、
    前記難所として設定された前記交差点を含む前記難所関連エリアについての前記地図データは、前記交差点の前で一時停止すべき位置情報、前記交差点に設定されている信号機の位置情報、前記交差点の内部における進行方向に応じた走行軌道を直接的又は間接的に示すデータ、及び、前記交差点の内部に存在する路面標示の種別及び位置情報の少なくとも何れか1つを含む、地図サーバ。
  7. 請求項1からの何れか1項に記載の地図サーバであって、
    前記難所設定部は、高速道路において本線が加速車線または減速車線と接続する区間である接続点を前記難所に設定するように構成されており、
    前記難所として設定された前記接続点を含む前記難所関連エリアについての前記地図データは、前記加速車線から前記本線へ、又は、前記本線から前記減速車線へ車線変更するための走行軌道を直接的又は間接的に示すデータと、前記接続点の手前にある少なくとも2つのランドマークについての情報を含む、地図サーバ。
  8. 請求項1からの何れか1項に記載の地図サーバであって、
    前記難所設定部は、区画線が設置されていない地点である無車線地点、道路が雪で覆われている積雪地点、及び道路が砂で覆われている覆砂地点の少なくとも何れか1つを前記難所に設定するように構成されており、
    前記難所を含む前記難所関連エリアについての前記地図データは、区画線及び道路端の設置位置を示すデータと、複数のランドマークについての情報を含むように構成されている地図サーバ。
  9. 請求項1からの何れか1項に記載の地図サーバであって、
    同一の前記難所に関連する前記地図データには共通する識別情報が付与されて配信される地図サーバ。
  10. 請求項1からの何れか1項に記載の地図サーバであって、
    前記車両制御は、自律走行、走行車線を維持するための操舵支援、障害物又は先行車を避けるための車線変更、カーブへの進入に向けた速度調整、信号機の点灯状態に応じたブレーキ制御、及び、右左折の支援の少なくとも何れか1つである地図サーバ。
  11. 請求項1から1の何れか1項に記載の地図サーバであって、
    前記配信用地図生成部は、所定の項目を含む原地図データをもとに配信用の前記地図データを生成するものであって、
    前記通常エリアのための前記地図データは、前記原地図データが備えるデータの少なくとも一部が間引かれたデータセットである、地図サーバ。
  12. 請求項1から1の何れか1項に記載の地図サーバであって、
    前記配信処理部は、
    複数の車両のそれぞれにおける、前記車両制御を行うアプリケーションの利用状況を取得することと、
    前記アプリケーションの利用状況に応じて、前記地図データを配信するか否かを前記車両ごとに切り替えることと、を実行可能に構成されている地図サーバ。
  13. 少なくとも1つのプロセッサによって実行される、地図データを車両に配信するための地図配信方法であって、
    地図上において、ユーザの運転操作を支援または前記車両を自律的に走行させるための所定の車両制御を、一定レベルの性能を維持しつつ実施することが困難な地点である難所を設定する難所設定ステップ(S202)と、
    エリア毎の配信用の前記地図データを生成する配信用地図生成ステップ(S205)と、
    前記配信用地図生成ステップで生成された前記地図データを車両に配信する処理を行う配信処理ステップ(S209)と、を含み、
    前記配信用地図生成ステップは、
    前記難所に関連するエリアである難所関連エリアに関しては、配信用の前記地図データとして、前記難所関連エリアではない通常エリアよりも、単位面積当り又は単位道路長当りのデータ量が多いデータセットを生成するステップであって、
    前記難所関連エリアについての配信用の前記地図データには、30m以内に少なくとも2つのランドマークについての情報を含め、
    前記通常エリアについての前記地図データには、30m以内に2つ以上のランドマークについての情報を含めないように構成されている地図配信方法。
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