通常、エンジンを駆動力源とする車両(エンジン車両)では、エンジンの回転数を変速して出力トルクを駆動輪へ伝達する変速機が併せて用いられる。近年、エンジン車両の変速機は、運転者によるクラッチペダル操作が不要な自動変速機(AT)が主流になっている。一方、運転者がクラッチペダルおよびシフトレバーを操作してシフトチェンジを行う手動変速機(MT)は減少している。しかしながら、MTは、ATと比較して構造がシンプルであり、そのため、信頼性や耐久性に優れている。そして、MTを搭載したいわゆる3ペダルの車両(MT車)では、運転者が、自ら変速操作を行い、意図する通りに車両を運転操作することによる、快適なドライビングフィールを得ることができる。そのため、依然として3ペダルのMT車を支持する一定数のユーザーが存在する。そのような3ペダルのMT車を好む運転者、あるいは、3ペダルのMT車の運転操作に慣れた運転者は、ATを搭載した車両、もしくは、ハイブリッド車両や変速機を必要としない電気自動車などの電動車両を運転する際に、車両の挙動および運転感覚が従来のMT車と異なっていることに起因する違和感や不足感を抱く場合がある。そこで、上記の特許文献1および特許文献2に記載された電気自動車では、上記のようなトルク変動制御や周波数変動制御を実行することにより、擬似的なシフトチェンジを演出して、従来のMT車の挙動を模擬するようにしている。
実際に3ペダルのMT車を運転する場面では、車両を発進させる場合やシフトチェンジの際に、運転者は、クラッチペダル操作に加えて、シフトレバー操作によるギヤ段の変更やアクセルペダル操作によるエンジン回転数の調整などを行っている。エンジン回転数は、アクセルペダルの操作量(踏み込み量)や車速に応じて変化する。特に、クラッチペダルが踏み込まれている状態や、MTでニュートラルを設定している状態、すなわち、エンジンがほぼ無負荷の状態では、エンジン回転数は、アクセルペダルの操作量に応じてほぼリニアに増減する。また、エンジン本来の特性が現れやすくなる(エンジンの性能曲線に準じた挙動を呈しやすくなる)。MTと組み合わされるエンジンには、エンジンをスムーズに回転させるためのフライホイールが用いられているため、アクセルペダル操作に対応して増減するエンジン回転数の変化量または変化速度は、フライホイールの慣性モーメントに依存して変化する。フライホイールが重いほど、すなわち、フライホイールの慣性モーメントが大きいほど、エンジンの回転は安定する。また、エンジンの慣性が大きくなることに起因してエンジンの燃費が向上する。その反面、フライホイールの慣性モーメントが大きいほど、エンジン回転数は上昇しづらく、かつ、減少しづらくなる。言い換えると、アクセルペダル操作に対するエンジンのレスポンスが低下する。そのため、レースやモータスポーツで使用される競技用の車両、あるいは、スポーツ走行を志向するチューニングを施した車両では、エンジンのレスポンスを向上させるために、慣性モーメントを低下させた軽量のフライホイールが採用される場合もある。
上記のように、実際のエンジンを駆動力源とする3ペダルのMT車では、運転者は、例えば、クラッチペダルを踏み込んでクラッチを解放した状態で、アクセルペダルを踏み込んでエンジン回転数を上昇させること、すなわち、エンジンをいわゆる空吹かしすることにより、そのエンジンのレスポンスや特性を体感して把握することができる。それに対して、特許文献1および特許文献2に記載された電気自動車では、駆動モータのトルクやインバータのキャリア周波数を変動させることによる擬似的なシフトチェンジを演出しているものの、上記のようなエンジンのレスポンスや特性までも再現して運転者に体感させることはできない。結局、特許文献1および特許文献2に記載されたトルク変動制御や周波数変動制御等の制御技術だけでは、3ペダルのMT車を好む運転者、あるいは、3ペダルのMT車の運転操作に慣れた運転者が抱く違和感や不足感を完全に払拭することはできない。
このように、3ペダルのMT車を好む運転者、あるいは、3ペダルのMT車の運転操作に慣れた運転者に対して、違和感や不足感を持たせずに、3ペダルのMT車の挙動や運転感覚をリアルに体感することが可能な電動車両を構成するには、未だ改良の余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、フライホイールの慣性モーメントを加味したエンジンのレスポンスや特性を模擬的にリアルに再現し、運転者が従来の3ペダルのMT車と同様の運転操作を体感することが可能な電動車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、少なくともモータを有する駆動力源と、運転者によって操作されるアクセルペダルと、前記駆動力源を制御するコントローラと、を備え、前記アクセルペダルの操作量に基づいて駆動輪で発生させる駆動力を制御する電動車両の制御装置において、前記運転者によって操作される(模擬的な)クラッチペダルを更に備え、前記コントローラは、前記駆動力源として、前記アクセルペダルの操作量に対応してトルクを出力する仮想エンジン(仮想の内燃機関)を用いることを仮定し、前記クラッチペダルの操作量に対応して係合または解放の状態になり、前記仮想エンジンと前記駆動輪との間のトルク伝達を選択的に遮断する仮想クラッチを用いることを仮定し、前記アクセルペダルの操作量および前記クラッチペダルの操作量に基づいて前記仮想エンジンが出力するエンジントルクを算出し、前記仮想エンジンの慣性モーメントを決める因子として、互いに値が異なる複数のホイール慣性モーメント(仮想フライホイールの慣性モーメント)を設定するとともに、いずれか一つの前記ホイール慣性モーメントを選択し、選択したいずれか一つの前記ホイール慣性モーメントおよび前記エンジントルクに基づいて前記仮想エンジンの角加速度を算出し、前記角加速度から前記仮想エンジンのエンジン回転数を算出するとともに、前記アクセルペダルの操作量に応じて変化する前記エンジン回転数を前記運転者に認識させることを特徴とするものである。
なお、この発明は、複数の前記ホイール慣性モーメントの中から、前記運転者が、(自らの意図で)いずれか一つの前記ホイール慣性モーメントを選択する選択手段を備えることができ、その場合には、前記コントローラは、前記運転者が選択した前記ホイール慣性モーメントに基づいて前記エンジン回転数を算出するように構成してもよい。
また、この発明は、前記運転者によって操作される(模擬的な)シフトレバーを更に備えることができ、その場合には、前記コントローラは、前記シフトレバーの操作位置(シフトポジション)に対応した変速比(または、変速段、もしくは、ギヤ比)に応じて前記仮想エンジンの回転数を変速するとともに、前記エンジントルクの前記駆動輪側への伝達を遮断するニュートラルポジションを設定可能な仮想手動変速機を用いることを仮定し、前記仮想クラッチで前記トルク伝達を遮断した場合、または、前記仮想手動変速機で前記ニュートラルポジションを設定した場合の少なくともいずれかの場合に、前記仮想エンジンの無負荷運転を想定した特性トルクを前記エンジントルクとして、前記エンジン回転数を算出するように構成してもよい。
そして、この発明は、前記仮想エンジンの運転状態を模した運転音(または、振動)を発生する模擬エンジン音生成部を備えることができ、その場合には、前記コントローラは、前記エンジン回転数に応じて前記運転音を変化させるように構成してもよい。
この発明で制御の対象とする電動車両は、アクセルペダルおよびブレーキペダルに加えて、クラッチペダルを備えている。そのクラッチペダルは、いわゆる3ペダルのMT車に設けられているクラッチペダルを想定した模擬的なものである。また、模擬的なシフトレバーを備えていてもよい。そのようなクラッチペダルやシフトレバー等が設けられることにより、運転者は、3ペダルのMT車と同様の運転操作を疑似的に体感できる。そして、この発明の電動車両の制御装置は、“仮想エンジン”、および、“仮想クラッチ”を用いることを仮定して、“仮想エンジン”の運転状態を模擬的に再現する。例えば、“仮想エンジン”のエンジントルク、慣性モーメント、および、角加速度が求められる。“仮想エンジン”においても、実際のエンジンと同様に、「エンジントルク=慣性モーメント×角加速度」の関係が成立する(あるいは、成立すると仮定できる)。エンジントルクは、運転者によるアクセルペダルの操作量およびクラッチペダルの操作量に基づいて求められる。慣性モーメントは、慣性モーメントを決める因子として、複数のホイール慣性モーメントの中からいずれか一つが選択される。ホイール慣性モーメントは,例えば、“仮想エンジン”に組み合わされる“仮想フライホイール”の慣性モーメントを想定したものであり、互いに値が異なる複数のホイール慣性モーメントが、予め設定されている。したがって、選択されたホイール慣性モーメントから“仮想エンジン”の慣性モーメントが求まり、それらエンジントルクおよび慣性モーメントに基づいて、“仮想エンジン”の角加速度が求められる。角加速度からは、“仮想エンジン”のエンジン回転数が求められる。そのエンジン回転数は、運転者によるアクセルペダルの操作量に応じて変化する。
そして、この発明の電動車両の制御装置では、上記のようにして求まるエンジン回転数を運転者に認識させる。例えば、“仮想エンジン”のエンジン回転数を表示する模擬的なタコメータ(または、レブカウンタ)を設け、アクセルペダルの操作量に応じて変化するエンジン回転数を視覚的に運転者に認識させる。あるいは、“仮想エンジン”の運転状態を模擬的に再現する運転音または振動が、エンジン回転数の大きさに対応して変化させられる。すなわち、アクセルペダルの操作量に応じて変化するエンジン回転数を、音や振動で運転者に体感させる。したがって、この発明の電動車両の制御装置によれば、実際には搭載していない“仮想エンジン”の挙動や特性を、例えば、仮想したフライホイールの慣性も加味して、模擬的に、リアルに再現することができる。そのため、運転者は、あたかも、実際にエンジンを駆動力源とする3ペダルのMT車を運転しているのと同様の運転感覚を体感できる。
なお、この発明の電動車両の制御装置では、上記のように、“仮想エンジン”のエンジン回転数を求めるために用いられるホイール慣性モーメントが複数設定されており、それら複数のホイール慣性モーメントから、運転者が自らいずれか一つのホイール慣性モーメントを選択できる。例えば、タッチパネルに表示される選択ボタンを運転者が触れることにより、運転者の志向や目的に合致したホイール慣性モーメントを選択できる。運転者は、値が大きいホイール慣性モーメントを選択することにより、回転数変動やトルク変動を安定させたスムーズな“仮想エンジン”の運転を体感できる。あるいは、運転者は、値が小さいホイール慣性モーメントを選択することにより、アクセルペダル操作に対するレスポンスを向上させた“仮想エンジン”の運転を体感できる。したがって、この発明の電動車両の制御装置によれば、実際にエンジンやフライホイールを交換するようなことなく、“仮想エンジン”の挙動や特性を、運転者の志向や用途などに応じて、容易に変更することができる。
また、この発明の電動車両の制御装置は、上記のような“仮想エンジン”、および、“仮想クラッチ”と共に、運転者によるシフトレバーの操作によって“仮想エンジン”の回転数を模擬的に変速する“仮想手動変速機”を用いることも仮定できる。その場合の“仮想手動変速機”は、既存の手動変速機と同様に、ニュートラルポジションを設定することも想定される。そして、この発明の電動車両の制御装置では、“仮想クラッチ”でエンジントルクのトルク伝達を遮断した場合、または、“仮想手動変速機”でニュートラルポジションを設定した場合、もしくは、それら両方の場合に、“仮想エンジン”の無負荷運転時に出力される特性トルク(すなわち、“仮想エンジン”の性能曲線上のトルク特性に準じた仮想のエンジントルク)を用いて“仮想エンジン”のエンジン回転数が算出される。したがって、この発明の電動車両の制御装置によれば、運転者は、例えば、クラッチペダルを踏み込んで“仮想クラッチ”を解放した状態で、アクセルペダルを踏み込んで“仮想エンジン”のエンジン回転数を上昇させること、すなわち、“仮想エンジン”のいわゆる空吹かしの状態を再現できる。そして、選択されたホイール慣性モーメントに応じた“仮想エンジン”のレスポンスや特性を、模擬的に、リアルに再現し、その際の運転感覚を運転者に体感させることができる。
したがって、この発明の電動車両の制御装置によれば、上記のようなアクセルペダル操作に対応する“仮想エンジン”の運転状態を、模擬的に、リアルに再現することができる。そして、3ペダルのMT車を好む運転者、あるいは、3ペダルのMT車の運転操作に慣れた運転者に対して、違和感や不足感を抱かせることなく、快適なドライビングフィールを与えることが可能な電動車両を提供することができる。
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
この発明の実施形態で制御の対象にする車両は、少なくとも一基のモータを駆動力源として備える電動車両である。駆動力源として一基または複数のモータを搭載した電気自動車であってもよい。あるいは、駆動力源としてエンジンおよびモータを搭載したいわゆるハイブリッド車両でもよい。それら電気自動車またはハイブリッド車両のいずれであっても、駆動力源のモータが出力するトルクを駆動輪に伝達して駆動力を発生する。駆動力は、運転者によるアクセルペダルの操作量に基づいて制御される。
更に、この発明の実施形態で制御の対象にする電動車両は、いわゆる3ペダルのMT車(クラッチペダルを備える手動変速機を搭載したエンジン車両)を模するように構成されている。すなわち、この発明の実施形態で制御の対象にする電動車両は、電動車両であっても、運転者が従来の3ペダルのMT車と同様の運転操作を体感できるように構成されている。なお、本出願人は、特願2020-008926号の出願において、そのような従来の3ペダルのMT車と同様の運転操作を体感できるように構成した電動車両に関する発明を提案している。この発明の実施形態における電動車両の制御装置は、基本的に、特願2020-008926号の出願の明細書で詳細に説明されている電動車両を制御の対象にすることができる。
図1に、この発明の実施形態で制御対象にする電動車両の構成(駆動系統および制御系統)の一例を概略的に示してある。図1に示す電動車両(以下、車両)Veは、駆動力源(POWER)1としてモータ2を搭載した電気自動車である。車両Veは、主要な構成要素として、駆動輪3、アクセルペダル4、ブレーキペダル5、模擬エンジン音生成部6、検出部7、および、コントローラ(ECU)8を備えている。なお、この発明の実施形態における駆動力源1は、モータ2の他に、一基または複数のモータを備えていてもよい。また、モータ2およびエンジン(図示せず)を備えていてもよい。あるいは、モータ2およびエンジン(図示せず)、ならびに、動力分割機構や変速機構など(図示せず)を備えたいわゆるハイブリッド駆動ユニットであってもよい。
モータ2は、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。モータ2は、少なくとも、電力が供給されることにより駆動されてトルクを出力する原動機としての機能を有している。また、モータ2は、外部からトルクを受けて駆動されることによって電力を発生する発電機として機能させてもよい。すなわち、モータ2は、原動機としての機能と発電機としての機能とを兼ね備えたいわゆるモータ・ジェネレータであってもよい。モータ2には、インバータ(図示せず)を介して、バッテリ(図示せず)が接続されている。したがって、バッテリに蓄えられている電力をモータ2に供給し、モータ2を原動機として機能させて、駆動トルクを出力することができる。また、駆動輪3から伝達されるトルクによってモータ2を発電機として機能させて、その際に発生する回生電力をバッテリに蓄えることもできる。モータ2は、後述するコントローラ8によって出力回転数や出力トルクが電気的に制御される。また、モータ・ジェネレータであれば、上記のような原動機としての機能と発電機としての機能との切り替えなどが電気的に制御される。
駆動輪3は、駆動力源1(モータ2)が出力する駆動トルクが伝達されることにより、車両Veの駆動力を発生する。図1に示す実施形態では、駆動輪3は、減速ギヤ9、デファレンシャルギヤ10、および、ドライブシャフト11を介して、駆動力源1、すなわち、モータ2に連結されている。なお、この発明の実施形態における車両Veは、図1に示す実施形態のように、駆動トルク(モータ2の出力トルク)を前輪に伝達し、前輪で駆動力を発生させる前輪駆動車であってもよい。あるいは、車両Veは、駆動トルクを、例えばプロペラシャフト(図示せず)等を介して後輪に伝達し、後輪で駆動力を発生させる後輪駆動車であってもよい。あるいは、車両Veは、トランスファ機構(図示せず)を設けて、駆動トルクを前輪および後輪の両方に伝達し、前輪および後輪の両方で駆動力を発生させる四輪駆動車であってもよい。
アクセルペダル4は、運転者の加速意図に応じて車両Veの駆動力を発生させるアクセル装置(図示せず)の操作部として設けられており、従来一般的な構成が用いられる。アクセル装置は、例えば、運転者によるアクセルペダル4やアクセルレバー(図示せず)などの操作部を操作することによって作動し、車両Veの駆動力あるいは加速度を発生させる。図1に示す実施形態では、アクセル装置は、運転者によるアクセルペダル4の踏み込み操作に応じて駆動力あるいは加速度を発生させるように構成されている。具体的には、アクセル装置は、アクセルペダル4の踏み込み量(操作量)に応じた駆動力あるいは加速度を発生する。
ブレーキペダル5は、車両Veの制動力を発生するブレーキ装置(図示せず)の操作部として設けられており、従来一般的な構成が用いられる。ブレーキ装置は、例えば、運転者によるブレーキペダル5やブレーキレバー(図示せず)などの操作部の操作によって作動し、車両Veの制動力(制動トルク)を発生する。図1に示す実施形態では、ブレーキ装置は、運転者によるブレーキペダル5の踏み込み操作に応じて制動力を発生するように構成されている。例えば、ブレーキ装置は、ブレーキペダル5の踏み込み量あるいは踏力に応じたブレーキ油圧が作用し、そのブレーキ油圧に応じた制動力を発生する。
この発明の実施形態における車両Veは、従来のいわゆる3ペダルのMT車を好む運転者、あるいは、3ペダルのMT車の運転操作に慣れた運転者のニーズに応えるために、3ペダルのMT車を模するように構成されている。そのために、車両Veは、クラッチペダル12、および、シフトレバー13を備えている。
クラッチペダル12は、運転者によって操作される模擬的な操作部である。この発明の実施形態における車両Veは電動車両であり、実際には、従来のエンジン車両に設けられているような手動変速機を搭載していない。したがって、車両Veは、エンジンと手動変速機との間の動力伝達を遮断するクラッチも有していない。このクラッチペダル12は、実際にクラッチを動作させるためのものではなく、電動車両であっても3ペダルのMT車の運転操作を疑似的に体感できるようにするために、模擬的に設けられている。クラッチペダル12は、従来の3ペダルのMT車で採用されているクラッチペダルと同様の構成のものが設けられている。後述するように、クラッチペダル12とシフトレバー13とが互いに連携して動作するように構成してもよい。また、クラッチペダル12は、既存の3ペダルのMT車で採用されているシステムを倣って、運転者がクラッチペダル12を所定の操作量以上に踏み込んで動作させた場合に、車両Veのパワースイッチが起動可能な状態になるように構成してもよい。
シフトレバー13は、運転者によって操作される模擬的な操作部である。上記のように、この発明の実施形態における車両Veは、実際には、従来のエンジン車両に設けられているような手動変速機を搭載していない。したがって、車両Veは、本来は手動変速機を動作させるためのシフト装置を必要としない。このシフトレバー13は、実際に手動変速機を動作させるためのものではなく、電動車両であっても3ペダルのMT車の運転操作を疑似的に体感できるようにするために、模擬的に設けられている。シフトレバー13は、従来の3ペダルのMT車で採用されているシフトレバーと同様の構成のものが設けられている。例えば、シフトレバー13は、いわゆるHパターンと呼ばれるシフトパターン(あるいは、シフトゲート)をトレースして動作するように構成されている。また、シフトレバー13は、クラッチペダル12の動作と連携して動作するように構成してもよい。例えば、クラッチペダル12が所定の操作量以上に踏み込まれた場合に、シフトレバー13の動作が可能になるように構成してもよい。あるいは、クラッチペダル12が所定の操作量未満の状態でシフトレバー13が操作された場合は、疑似的にギヤが干渉する状態を演出するように構成してもよい。
模擬エンジン音生成部6は、“仮想エンジン”の運転状態を模した運転音、または、振動を発生する。なお、“仮想エンジン”は、この車両Veの駆動力源1として用いられることを仮定した仮想の内燃機関(例えば、仮想のガソリンエンジン、あるいは、仮想のディーゼルエンジン)であり、コントローラ8の演算処理上で仮定的に設定される。模擬エンジン音生成部6は、アクセルペダル4の操作量(踏み込み量)に応じて“仮想エンジン”の回転数が変動する(変動すると想定される)場合に、その“仮想エンジン”の回転数に対応する運転音または振動を発生する。例えば、車両Veのオーディオ装置(図示せず)を利用し、オーディオ装置のスピーカ(図示せず)から“仮想エンジン”の運転音を発生させる。あるいは、専用のスピーカ(図示せず)や振動発生装置(図示せず)を設け、“仮想エンジン”の運転音や振動を発生させてもよい。また、“仮想エンジン”の運転音と共に振動を同時に互いに連動して発生させてもよい。
検出部7は、車両Veを制御する際に必要な各種のデータや情報を取得するための機器あるいは装置であり、例えば、電源部、マイクロコンピュータ、センサ、および、入出力インターフェース等を含む。特に、この発明の実施形態における検出部7は、アクセルペダル4の操作量、クラッチペダル12の操作量、および、シフトレバー13の操作位置等に関連する各種データを検出する。具体的には、検出部7は、運転者によるアクセルペダル4の操作量(踏み込み量、アクセル開度など)を検出するアクセルペダルセンサ7a、運転者によるブレーキペダル5の操作量(踏み込み量、踏力など)を検出するブレーキペダルセンサ7b、運転者によるクラッチペダル12の操作量(踏み込み量、踏み込み角度など)を検出するクラッチペダルセンサ7c、運転者によるシフトレバー13の操作位置(例えば、第1速段から第6速段、後進段、ニュートラル)を検出するシフトポジションセンサ7d、モータ2の回転数を検出するモータ回転数センサ(または、レゾルバ)7e、および、モータ2のトルクを検出もしくは算出するモータトルクセンサ7fなどを有している。その他に、検出部7は、例えば、車両Veの車速を検出するための車速センサ(または、車輪速センサ)7g、および、車両Veの加速度を検出するための加速度センサ7hなどの各種センサを有している。そして、検出部7は、後述するコントローラ8と電気的に接続されており、上記のような各種センサや機器・装置等の検出値または算出値に応じた電気信号を検出データとしてコントローラ8に出力する。
更に、この発明の実施形態における車両Veは、コントローラ8と車両Veの乗員との間で情報および信号をやり取りする選択手段14を備えている。選択手段14は、後述するように、運転者が複数のホイール慣性モーメントの中からいずれか一つのホイール慣性モーメントを選択する際に操作される。例えば、選択手段14は、いわゆるタッチスクリーンあるいはタッチパネルの操作機能を備えたディスプレイ部14aから構成される。あるいは、運転者によって操作される物理的な操作スイッチ(図示せず)や操作ボタン(図示せず)などから構成されてもよい。なお、ディスプレイ部14aは、例えば、ナビゲーションシステム等(図示せず)の表示装置と兼用されてもよい。
コントローラ8は、例えば、マイクロコンピュータを主体にして構成される電子制御装置であり、特に、この発明の実施形態におけるコントローラ8は、主に、モータ2の動作を制御する。また、模擬エンジン音生成部6の動作を制御する。コントローラ8には、上記の検出部7で検出または算出した各種データが入力される。また、選択手段14で操作された情報信号(具体的には、運転者によって選択されたホイール慣性モーメントに関する信号)が入力される。コントローラ8は、入力された各種データ・情報信号および予め記憶させられているデータや計算式等を使用して演算を行う。そして、コントローラ8は、その演算結果を制御指令信号として出力し、モータ2、および、模擬エンジン音生成部6などを制御するように構成されている。なお、この発明の実施形態におけるコントローラ8は、前述したように、車両Veの駆動力源1として用いることを想定した“仮想エンジン”を演算処理上で仮定的に設定する。同様に、“仮想エンジン”の出力トルクを選択的に伝達または遮断し、かつ、“仮想エンジン”の出力トルクの伝達状態(クラッチ伝達トルク)を連続的に変化させるクラッチを想定した“仮想クラッチ”を演算処理上で仮定的に設定する。また、シフトレバー13の操作位置に対応して設定される変速比(または、変速段、もしくは、ギヤ比)に応じて、“仮想エンジン”の回転数を変速する手動変速機を想定した“仮想MT”(すなわち、“仮想手動変速機”)を演算処理上で仮定的に設定する。そして、図1では一つのコントローラ8が設けられた例を示しているが、コントローラ8は、制御する装置や機器毎に、あるいは制御内容毎に、複数設けられていてもよい。
前述したように、この発明の実施形態における車両Veは、従来の3ペダルのMT車を好む運転者、あるいは、従来の3ペダルのMT車の運転操作に慣れた運転者に対して、快適なドライビングフィールを与えることを目的として、3ペダルのMT車の運転操作を模擬的に体感できるように構成されている。特に、この車両Veのコントローラ8は、運転者のアクセルペダル操作に対応する“仮想エンジン”の運転状態を模擬的に再現し、運転者が従来の3ペダルのMT車の運転操作をリアルに体感できるように構成されている。そのためにコントローラ8で実行される制御の一例を、図2のフローチャートに示してある。
この図2のフローチャートで示す制御は、車両Veが走行する際に実行される。なお、この発明の実施形態における車両Veは、上記のように3ペダルのMT車の運転操作を模擬的に体感することが可能な構成であり、例えば、上記のような3ペダルのMT車の運転操作を模したMTモードと、一般的な電動車両として運転操作する通常モード(または、ATモード)とを選択的に設定できるように構成してもよい。その場合、この図2のフローチャートで示す制御は、MTモードが選択された状態で車両Veが走行する際に実行される。
図2のフローチャートにおいて、先ず、ステップS1では、各種センサ値が検出され、検出された各種データがコントローラ8に送信される。後述するように、“仮想エンジン”のエンジントルクTe、および、エンジン回転数Ne等を算出するために、アクセルペダル4の操作量(踏み込み量、または、アクセル開度などで代替してもよい)、シフトレバー13の操作位置(すなわち、“仮想MT”で設定されている変速比)、および、車両Veの車速等が検出もしくは算出される。また、“仮想クラッチ”のクラッチ伝達トルク(または、伝達トルク容量)を算出するため、クラッチペダル12の操作量(踏み込み量、または、踏み込み角度などで代替してもよい)が検出される。また、アクセルペダル4の操作量、“仮想MT”の変速比、および、“仮想クラッチ”のクラッチ伝達トルクに応じた駆動トルクをモータで発生させる制御のために、モータ2の回転数および出力トルク等が適宜検出される。
ステップS2では、“仮想エンジン”のエンジントルクTeが算出される。エンジントルクTeは、アクセルペダル4の操作量およびクラッチペダル12の操作量に基づいて“仮想エンジン”が出力するトルク、あるいは、“仮想エンジン”が出力すると想定されるトルクである。例えば、“仮想エンジン”に相当する実際のエンジンを搭載した車両による走行実験の結果や、“仮想エンジン”の搭載を想定した車両に対するシミュレーションの解析結果から求めた演算式を用いて、アクセルペダル4の操作量、および、クラッチペダル12の操作量に対応するエンジントルクTeを算出することができる。あるいは、走行実験の結果やシミュレーションの解析結果に基づいて設定したマップを用いてエンジントルクTeを求めてもよい。
また、クラッチペダル12が踏み込まれて“仮想クラッチ”が解放している場合、または、シフトレバー13が操作されて“仮想MT”でニュートラルポジションが設定されている場合、もしくは、それら両方の場合、すなわち、“仮想エンジン”がほぼ無負荷で運転される場合は、“仮想エンジン”の無負荷運転を想定した場合に出力される特性トルクから、エンジントルクTeが求められる。特性トルクは、“仮想エンジン”の性能曲線上のトルク特性に準じた仮想のエンジントルクである。
ステップS3では、ホイール慣性モーメントIfnが選択されるとともに、“仮想エンジン”の慣性モーメントIが算出される。ホイール慣性モーメントIfnは、“仮想エンジン”の慣性モーメントIを決める因子となるものであり、実際のエンジンでは、エンジンに組み付けられるフライホイールの慣性モーメントに相当する。言い換えると、ホイール慣性モーメントIfnは、“仮想エンジン”に組み付けることが想定される仮想のフライホイールの慣性モーメントである。この発明の実施形態においては、ホイール慣性モーメントIfnは、互いに値が異なる複数のホイール慣性モーメントIfn(例えば、ホイール慣性モーメントIf1、ホイール慣性モーメントIf2、ホイール慣性モーメントIf3)が設定され、コントローラ8に記憶されている。このステップS3では、複数のホイール慣性モーメントIfnの中から、いずれか一つのホイール慣性モーメントIfn(例えば、ホイール慣性モーメントIf1)が選択される。そして、選択されたホイール慣性モーメントIfnに基づいて、“仮想エンジン”の慣性モーメントIが求められる。
上記のホイール慣性モーメントIfnの選択は、運転者が自らの意図で、選択手段14を用いて行われる。例えば、選択手段14のディスプレイ部14aに表示した選択ボタンを運転者が触れることにより、いずれか一つのホイール慣性モーメントIfnが選択される。そのため、運転者は、自らの志向や目的に合致したホイール慣性モーメントIfnを選択できる。運転者は、値が大きいホイール慣性モーメントIfnを選択することにより、エンジン回転数の変動やエンジントルクの変動を安定させたスムーズな“仮想エンジン”の運転を体感できる。あるいは、運転者は、値が小さいホイール慣性モーメントIfnを選択することにより、アクセルペダル4の操作に対するレスポンスを向上させた“仮想エンジン”の運転を体感できる。
なお、上記のような選択手段14を用いずに、ホイール慣性モーメントIfnの選択を行ってもよい。例えば、車両Veの過去の走行記録(例えば、車速の変化状態、アクセルペダル4の操作状態、クラッチペダル12およびシフトレバー13の操作状態など)から、運転者の運転志向を推定して学習し、その推定結果に基づいて、ホイール慣性モーメントIfnの選択を行ってもよい。現在の運転者が、エンジン回転数の変動やエンジントルクの変動を抑えたスムーズな“仮想エンジン”の運転を望んでいると推定した場合は、値が大きいホイール慣性モーメントIfnが選択される。現在の運転者が、アクセルペダル4の操作に対するレスポンスが良好なアクティブな“仮想エンジン”の運転を望んでいると推定した場合は、値が小さいホイール慣性モーメントIfnが選択される。
ステップS4では、“仮想エンジン”の角加速度αが算出される。既存の実際のエンジンと同様に、“仮想エンジン”においても、
エンジントルクTe=慣性モーメントI×角加速度α
の関係が成立する(または、成立するように“仮想エンジン”が想定されている)。“仮想エンジン”のエンジントルクTeは、アクセルペダル4の操作量およびクラッチペダル12の操作量に基づいて算出されている。あるいは、“仮想エンジン”の無負荷運転を想定した特性トルクから求められている。“仮想エンジン”の慣性モーメントIは、選択されたホイール慣性モーメントIfnに基づいて求められている。したがって、エンジントルクTe、および、慣性モーメントIに基づいて、角加速度αを求めることができる。
ステップS5では、上記のようにして求めた角加速度αから、“仮想エンジン”のエンジン回転数Neが算出される。角加速度αから“仮想エンジン”の角速度が求められ、その角速度から、エンジン回転数Neを求めることができる。エンジン回転数Neは、運転者によるアクセルペダル4の操作量に応じて変化する。
そして、ステップS6では、上記のようにして求めた“仮想エンジン”のエンジン回転数Neを運転者に認識させる。上記のようにして求まるエンジン回転数を運転者に認識させる。例えば、エンジン回転数Neを表示する模擬的なタコメータ(または、レブカウンタ)を設け、アクセルペダル4の操作量に応じて変化するエンジン回転数Neを視覚的に運転者に認識させる。それとともに、模擬エンジン音生成部6で“仮想エンジン”の運転音または振動を模擬的に発生させる。例えば、エンジン回転数Neに応じた“仮想エンジン”の運転音(模擬エンジン音)または振動を発生させる。“仮想エンジン”の運転音および振動の両方を連動させて発生させてもよい。このステップS6で、“仮想エンジン”のエンジン回転数Neを運転者に認識させる制御が実行されると、この図2のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
このように、この発明の実施形態における電動車両の制御装置では、“仮想エンジン”、“仮想クラッチ”、および、“仮想MT”を用いることを仮定して、“仮想エンジン”の運転状態を模擬的に再現する。その場合に、“仮想エンジン”のエンジントルクTe、慣性モーメントI、および、角加速度αが求められる。“仮想エンジン”においても、既存の実際のエンジンと同様に、「エンジントルクTe=慣性モーメントI×角加速度α」の関係が成立する(あるいは、成立すると仮定できる)。エンジントルクTeは、運転者によるアクセルペダル4の操作量およびクラッチペダル12の操作量に基づいて求められる。慣性モーメントIは、慣性モーメントIを決める因子として、複数のホイール慣性モーメントIfnの中からいずれか一つが選択される。ホイール慣性モーメントIfnは,例えば、“仮想エンジン”に組み合わされる“仮想フライホイール”の慣性モーメントを想定したものであり、互いに値が異なる複数のホイール慣性モーメントIfnが、予め設定されている。したがって、選択されたホイール慣性モーメントIfnから“仮想エンジン”の慣性モーメントIが求まり、それらエンジントルクTeおよび慣性モーメントIに基づいて、“仮想エンジン”の角加速度αが求められる。角加速度αからは、“仮想エンジン”のエンジン回転数Neが求められる。そのエンジン回転数Neは、運転者によるアクセルペダル4の操作量に応じて変化する。
そして、上記のようにして求まるエンジン回転数Neを運転者に認識させる。例えば、模擬的なタコメータ(または、レブカウンタ)にエンジン回転数Neを表示することにより、アクセルペダル4の操作量に応じて変化するエンジン回転数Neを視覚的に運転者に認識させる。あるいは、エンジン回転数Neに対応させて運転音または振動を発生させることにより、アクセルペダル4の操作量に応じて変化するエンジン回転数Neを運転者に体感させる。そのため、この発明の実施形態における電動車両の制御装置によれば、実際には搭載していない“仮想エンジン”の挙動や特性を、例えば、仮想したフライホイールの慣性も加味して、模擬的に、リアルに再現することができる。そのため、運転者は、あたかも、実際にエンジンを駆動力源とする3ペダルのMT車を運転しているのと同様の運転感覚を体感できる。
また、この発明の実施形態における電動車両の制御装置では、上記のように、“仮想エンジン”のエンジン回転数Neを求めるために用いられるホイール慣性モーメントIfnが複数設定されており、それら複数のホイール慣性モーメントIfnから、運転者の志向や目的に合致したホイール慣性モーメントIfnを選択できる。運転者は、値が大きいホイール慣性モーメントIfnを選択することにより、回転数変動やトルク変動を安定させたスムーズな“仮想エンジン”の運転を体感できる。あるいは、値が小さいホイール慣性モーメントIfnを選択することにより、アクセルペダル操作に対するレスポンスを向上させたスポーティーな“仮想エンジン”の運転を体感できる。そのため、この発明の実施形態における電動車両の制御装置によれば、実際にエンジンやフライホイールを交換するようなことなく、“仮想エンジン”の挙動や特性を、運転者の志向や用途などに応じて、容易に変更することができる。
また、この発明の実施形態における電動車両の制御装置では、“仮想クラッチ”でエンジントルクTeのトルク伝達を遮断した場合、または、“仮想MT”でニュートラルポジションを設定した場合、もしくは、それら両方の場合に、“仮想エンジン”の無負荷運転時に出力される特性トルク(すなわち、“仮想エンジン”の性能曲線上のトルク特性に準じた仮想のエンジントルク)を用いて“仮想エンジン”のエンジン回転数Neが算出される。そのため、運転者は、例えば、クラッチペダル12を踏み込んで“仮想クラッチ”を解放した状態で、アクセルペダル4を踏み込んで“仮想エンジン”のエンジン回転数を上昇させること、すなわち、“仮想エンジン”のいわゆる空吹かしの状態を再現できる。そして、選択されたホイール慣性モーメントIfnに応じた“仮想エンジン”のレスポンスや特性を、模擬的に、リアルに再現し、その際の運転感覚を運転者に体感させることができる。
したがって、この発明の電動車両の制御装置によれば、上記のようなアクセルペダル操作に対応する“仮想エンジン”の挙動や特性を、模擬的に、リアルに再現することができる。そして、3ペダルのMT車を好む運転者、あるいは、3ペダルのMT車の運転操作に慣れた運転者に対して、違和感や不足感を抱かせることなく、快適なドライビングフィールを与えることが可能な電動車両を提供することができる。
なお、上述したような“仮想エンジン”の挙動や特性を再現する制御に関する一連の制御技術は、例えば、運転教習用のドライブシミュレーターや、娯楽用のシミュレーションゲームなどに適用することもできる。