JP7411296B1 - 炭素繊維前駆体用処理剤および炭素繊維前駆体 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素繊維前駆体用処理剤の、ローラーにおけるスカム付着の防止、炭素繊維前駆体の集束性の向上、およびエマルション安定性の向上を果たす。【解決手段】本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、飽和モノアルコール(A)、非イオン性界面活性剤(B)、および平滑剤(C)を含有し、平滑剤(C)がシリコーン(C1)を含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維前駆体用処理剤および炭素繊維前駆体に関する。
炭素繊維の製造方法として、繊維状の材料を紡糸した後に当該材料を焼成する、という手法が汎用されており、この繊維状の材料を炭素繊維前駆体という。炭素繊維前駆体としては、高分子等の繊維材料の表面に炭素繊維前駆体用処理剤が付着したものが使用される場合がある。かかる処理剤は、炭素繊維を製造する際の諸工程における炭素繊維前駆体の取り扱い性を向上する等の目的で用いられる。
国際公開第2018/163739号(特許文献1)には、アミノ変性シリコーン、ブレンステッド酸化合物、およびアセチレン系界面活性剤を含むアクリル繊維用処理剤が開示されている。特許文献1に記載の処理剤を付与して製造された炭素繊維製造用アクリル繊維は、長時間保存された場合であっても劣化しにくい。
国際公開第2018/163739号
炭素繊維前駆体は、紡糸、延伸、乾燥、および処理剤付与等の工程を連続的に経たのちに、ワインダー等の巻取装置に巻き取られることが一般的である。この連続工程において炭素繊維前駆体は、ローラー等の案内具に案内されながら各工程を通過する。特許文献1に記載の処理剤を付与された炭素繊維前駆体は、ローラーにおけるスカム付着の防止、および、巻き取られた炭素繊維前駆体の集束性の向上の観点で改善の余地があった。また、特許文献1に記載の処理剤の分散液(エマルション)は、その機械的安定性の低さに起因して給油浴にゲルが生じる等して、炭素繊維前駆体の連続生産に差し支える場合があった。
そこで、ローラーにおけるスカム付着の防止、炭素繊維前駆体の集束性の向上、およびエマルション安定性の向上を果たした炭素繊維前駆体用処理剤、ならびに、当該処理剤が付与された炭素繊維前駆体の実現が求められる。
本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、炭素数が8以上26以下である飽和モノアルコール(A)、非イオン性界面活性剤(B)、および平滑剤(C)を含有し、前記平滑剤(C)がシリコーン(C1)を含むことを特徴とする。
本発明に係る炭素繊維前駆体は、炭素繊維前駆体用処理剤が付着していることを特徴とする。
これらの構成によれば、ローラーにおけるスカム付着の防止、炭素繊維前駆体の集束性の向上、およびエマルション安定性の向上を、いずれも実現できる。また、さらに、摩擦特性が良好な炭素繊維前駆体を得ることができる。
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、一態様として、前記飽和モノアルコール(A)がヒドロキシ基のβ位に分岐鎖を有することが好ましい。
この構成によれば、炭素繊維前駆体用処理剤のエマルション安定性が一層向上する。
本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、一態様として、不揮発分中において前記飽和モノアルコール(A)が占める割合が0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
この構成によれば、炭素繊維前駆体の集束性が一層向上する。
本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、一態様として、前記シリコーン(C1)がアミノ変性シリコーンを含むことが好ましい。
この構成によれば、炭素繊維前駆体用処理剤が付与された炭素繊維前駆体の摩擦特性が一層向上する。
本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、一態様として、前記非イオン性界面活性剤(B)が、ヒドロキシ基のβ位に分岐鎖を有するモノアルコールのアルキレンオキサイド付加物(B1)を含むことが好ましい。
この構成によれば、炭素繊維前駆体用処理剤のエマルション安定性が一層向上する。
本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、一態様として、不揮発分中において、前記飽和モノアルコール(A)が占める割合が0.1質量%以上20質量%以下であり、前記非イオン性界面活性剤(B)が占める割合が10質量%以上70質量%以下であり、かつ、前記平滑剤(C)が占める割合が29.9質量%以上89.9質量%以下であることが好ましい。
この構成によれば、ローラーにおけるスカム付着の防止、炭素繊維前駆体の集束性の向上、およびエマルション安定性の向上を、いずれも高い水準で実現できる。
本発明のさらなる特徴と利点は、以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤および炭素繊維前駆体の実施形態について説明する。以下では、本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤(以下、単に「処理剤」と称する場合がある。)を炭素繊維前駆体の処理に適用した例について説明する。
〔炭素繊維前駆体用処理剤の構成〕
本実施形態に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、不揮発分として飽和モノアルコール(A)、非イオン性界面活性剤(B)、および平滑剤(C)を含有する。なお、処理剤の不揮発分とは、処理剤を105℃で2時間熱風乾燥機にて加熱したときに揮発せずに残る成分をいう。
(飽和モノアルコール)
飽和モノアルコール(A)は、その名称が表す通りの飽和モノアルコール化合物である。すなわち飽和モノアルコール(A)は、飽和炭化水素の一つの水素原子がヒドロキシ基に置換された化合物である。なお、飽和モノアルコール(A)は、一種類の飽和モノアルコール化合物であってもよいし、複数種類の飽和モノアルコール化合物の混合物であってもよい。
飽和モノアルコール(A)は、炭素数が8以上26以下であることが好ましい。飽和モノアルコール(A)の炭素数が8以上であると、炭素繊維前駆体を紡糸する紡糸工程においてローラースカムが生じにくい点で好適である。飽和モノアルコール(A)の炭素数が26以下であることも、ローラースカムが生じにくい点で好適である。飽和モノアルコール(A)の炭素数は、12以上であることがより好ましい。飽和モノアルコール(A)の炭素数は、24以下であることがより好ましい。飽和モノアルコール(A)が複数種類の飽和モノアルコール化合物の混合物である場合は、当該混合物を構成する飽和モノアルコール化合物のうちの少なくとも一種類の炭素数が上記の範囲にあることが好ましく、全ての飽和モノアルコール化合物の炭素数が上記の範囲にあることがより好ましい。
飽和モノアルコール(A)は、ヒドロキシ基のβ位に分岐鎖を有することが好ましい。すなわち、好ましい態様の飽和モノアルコール(A)は以下の一般式(1)で表される。
Figure 0007411296000001
一般式(1)において、RおよびRは飽和アルキル基である。好ましい態様において、Rの炭素数nとRの炭素数mとの合計(n+m)は6以上24以下である。RおよびRは、少なくとも一方が飽和鎖状アルキル基であることが好ましく、双方が飽和鎖状アルキル基であることがより好ましい。飽和モノアルコール(A)が複数種類の飽和モノアルコール化合物の混合物である場合は、当該混合物を構成する飽和モノアルコール化合物のうちの少なくとも一種類が一般式(1)で表されることが好ましく、全ての飽和モノアルコール化合物の炭素数が一般式(1)で表されることがより好ましい。
飽和モノアルコール(A)の非限定的な例として、2-(1,3,3-トリメチルブチル)-5,7,7-トリメチル-1-オクタノール(炭素数18,n=9,m=7)、2-(4-メチルヘキシル)-8-メチル-1-デカノール(炭素数18,n=9,m=7)、2-ヘキシル-1-デカノール(炭素数16,n=8,m=6)、2-オクチル-1-デカノール(炭素数18,n=8,m=8)、2-ヘキシル-1-ドデカノール(炭素数18,n=10,m=6)、2-オクチル-1-ドデカノール(炭素数20,n=10,m=8)、2-エチル-1-ヘキサノール(炭素数8,n=4,m=2)、2-ブチル-1-オクタノール(炭素数12,n=6,m=4)、2-デシル-1-テトラデカノール(炭素数24,n=12,m=10)、2-(4-メチルノニル)-7-メチル-1-テトラデカノール(炭素数25,n=13,m=10)、2-ドデシル-1-ヘキサデカノール(炭素数28,n=14,m=12)、2-テトラデシル-1-オクタデカノール(炭素数32,n=16,m=14)、16-メチル-1-ヘプタデカノール(炭素数18)、1-ドデカノール(炭素数12)、1-ノナノール(炭素数9)、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール(炭素数9)、1-オクタデカノール(炭素数18)、1-ヘキサノール(炭素数6)、およびシクロヘキサノール(炭素数6)が挙げられる。なお、上記に例示した飽和モノアルコール化合物のうちnおよびmの値の記載があるものは、一般式(1)で表される飽和モノアルコール(A)の例である。なお、上記に例示した化合物群から選択される複数種類の飽和モノアルコール化合物の混合物も、飽和モノアルコール(A)の例である。
本実施形態に係る処理剤は、不揮発分中において飽和モノアルコール(A)が占める割合が0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。飽和モノアルコール(A)の割合が0.1質量%以上であると、ローラースカムが生じにくい点で好適である。飽和モノアルコール(A)の割合が20質量%以下であると、炭素繊維前駆体の集束性が高くなりやすい。
(非イオン性界面活性剤)
非イオン性界面活性剤(B)は、当技術分野において通常使用される任意の非イオン性界面活性剤でありうる。非イオン性界面活性剤(B)は、一種類の化合物であってもよいし、複数種類の化合物の混合物であってもよい。
非イオン性界面活性剤(B)は、たとえばヒドロキシ基を有する化合物のアルキレンオキサイド付加体、またはその誘導体(エステル化体などである。)でありうる。非イオン性界面活性剤(B)は、ヒドロキシ基のβ位に分岐鎖を有するモノアルコールのアルキレンオキサイド付加物(B1)(以下、非イオン性界面活性剤(B1)と称する場合がある。)を含むことが好ましい。
好ましい態様に係る非イオン性界面活性剤(B1)は以下の一般式(2)で表される。
Figure 0007411296000002
一般式(2)において、RおよびRは任意の炭化水素基であり、Rはアルキレンオキサイド残基である。RおよびRは、少なくとも一方が飽和アルキル基であることが好ましく、双方が飽和アルキル基であることがより好ましい。また、RおよびRは、少なくとも一方が鎖状アルキル基であることが好ましく、双方が鎖状アルキル基であることがより好ましい。したがって、RおよびRの双方が飽和鎖状アルキル基であることが特に好ましい。
は、エチレンオキサイド残基(-(CO)-)およびプロピレンオキサイド残基(-(C-)の一方または双方を含むことが好ましい。
非イオン性界面活性剤(B)が複数種類の非イオン性界面活性剤の混合物である場合は、当該混合物を構成する非イオン性界面活性剤のうちの少なくとも一種類が非イオン性界面活性剤(B1)(一般式(2))であることが好ましく、全ての非イオン性界面活性剤が非イオン性界面活性剤(B1)(一般式(2))であることがより好ましい。
非イオン性界面活性剤(B)がヒドロキシ基を有する化合物のアルキレンオキサイド付加体である場合について、非限定的な例を示す。上記の飽和モノアルコール(A)の非限定的な例として列挙した化合物は、いずれも非イオン性界面活性剤(B)を与えるヒドロキシ基を有する化合物の例である。すなわち、ヒドロキシ基を有する化合物として、2-(1,3,3-トリメチルブチル)-5,7,7-トリメチル-1-オクタノール、2-(4-メチルヘキシル)-8-メチル-1-デカノール、2-ヘキシル-1-デカノール、2-オクチル-1-デカノール、2-ヘキシル-1-ドデカノール、2-オクチル-1-ドデカノール、2-エチル-1-ヘキサノール、2-ブチル-1-オクタノール、2-ドデシル-1-テトラデカノール、2-(4-メチルノニル)-7-メチル-1-テトラデカノール、2-ドデシル-1-ヘキサデカノール、2-テトラデシル-1-オクタデカノール、16-メチル-1-ヘプタデカノール、1-ドデカノール、1-ノナノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、1-オクタデカノール、1-ヘキサノール、およびシクロヘキサノールが例示される。また、ヒドロキシ基を有する化合物の他の例として、11-メチル-ウンデカノール、テトラデシルアルコール、トリデシルアルコール、ドデシルアルコール、2級テトラデシルアルコール、2級トリデシルアルコール、トリスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、およびビスフェノールAが例示される。アルキレンオキサイドの非限定的な例として、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドが例示される。
したがって非イオン性界面活性剤(B)は、たとえば、上記に例示した一種類または複数種類のヒドロキシ基を有する化合物と、上記に例示した一種類または複数種類のアルキレンオキサイドと、を所定のモル比で反応させて得られる化合物でありうる。アルキレンオキサイドの付加反応の性質上、上記の反応の生成物は一般的に、アルキレンオキサイドの付加数が異なる複数の種類の化合物の混合物である。そのため非イオン性界面活性剤(B)は、基質として用いたヒドロキシ基を有する化合物およびアルキレンオキサイドの種類、ならびにこれらのモル比によって特定されうる。
非イオン性界面活性剤(B)は、アミン化合物のアルキレンオキサイド付加体、またはその誘導体(エステル化体などである。)であってもよい。この場合の非限定的な例として、ドデシルアミンのエチレンオキサイド付加体が例示される。
本実施形態に係る処理剤は、不揮発分中において非イオン性界面活性剤(B)が占める割合が10質量%以上70質量%以下であることが好ましい。非イオン性界面活性剤(B)の割合が10質量%以上70質量%以下であると、乳化が容易になる点で好適である。
(平滑剤)
平滑剤(C)は、シリコーン(C1)を含む。平滑剤(C)は、一種類の化合物であってもよいし、複数種類の化合物の混合物であってもよい。平滑剤(C)が複数種類の化合物を含む場合は、複数種類のシリコーン(C1)の混合物であってもよいし、一種類または複数種類のシリコーン(C1)と一種類または複数種類の非シリコーン平滑剤(C2)との混合物であってもよい。平滑剤(C)は、シリコーン(C1)を15質量%以上含むことが好ましい。
シリコーン(C1)は、キャノンフェンスケ粘度計で測定される25℃における動粘度によって特定されうる。シリコーンの25℃における動粘度は、80mm/s以上2000mm/s以下でありうる。
シリコーン(C1)は、アミノ変性シリコーンを含むことが好ましい。アミノ変性シリコーンにおける変性の態様は任意である。したがってアミノ変性シリコーンは、シリコーン主鎖の末端、側鎖、またはその双方にアミノ基が導入された化合物でありうる。また、シリコーン主鎖の末端にアミノ基が導入される場合、双方の末端にアミノ基が導入されてもよいし、片方の末端のみにアミノ基が導入されてもよい。さらに、導入されるアミノ基も任意であり、モノアミン、ジアミン、アミノポリエーテルなどでありうる。なお、末端基が変性されていない場合、当該末端基はヒドロキシ基、メトキシ基などでありうる。
アミノ変性シリコーンは、アセトン60mL、ノルマルヘキサン20mLの混合溶液に対して1g精秤後、濃度既知の過塩素酸溶液で滴定することで測定される全アミン価の値(KOH-mg/g)から計算されるアミノ当量(g/mol)によって特定されうる。アミノ変性シリコーンのアミノ当量は、2000以上8000以下でありうる。
シリコーン(C1)は、アミノ変性シリコーン以外の変性シリコーンであってもよい。かかる変性シリコーンとしては、ポリエーテル変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、ヒドロキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーンなどが例示される。
非シリコーン平滑剤(C2)は、当技術分野において通常使用される任意の非シリコーン平滑剤でありうる。非シリコーン平滑剤(C2)の非限定的な例として、ポリブテニル無水コハク酸とトリエチレンテトラアミンとの反応生成物、ポリブテニル基で変性されたフェノールとホルムアルデヒドとトリエチレンテトラミンとの反応生成物、および鉱物油が例示される。
本実施形態に係る処理剤は、不揮発分中において平滑剤(C)が占める割合が29.9質量%以上89.9質量%以下であることが好ましい。平滑剤(C)の割合が29.9質量%以上であると、摩擦特性の点で好適である。平滑剤(C)の割合が89.9質量%以下であると、乳化性の点で好適である。
(その他の成分)
本実施形態に係る処理剤は、飽和モノアルコール(A)、非イオン性界面活性剤(B)、および平滑剤(C)の他の成分を含有していてもよい。かかる他の成分としては、防腐剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤などが例示されるが、これらに限定されない。
また、処理剤が炭素繊維前駆体の処理に供される場合の典型的な態様として、飽和モノアルコール(A)等の不揮発分を希釈剤で希釈した態様が例示される。かかる希釈剤も、他の成分の一例である。希釈剤としては、水(水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水など)、アセトン、メチルエチルケトン、N-メチル-2-ピロリドンなどが例示されるが、これらに限定されない。なお、不揮発分を希釈剤で希釈した態様の処理剤における不揮発分の濃度は特に限定されないが、たとえば10質量%以上60質量%以下でありうる。前述の通り処理剤の不揮発分とは、処理剤を105℃で2時間熱風乾燥機にて加熱した後に揮発せずに残る成分をいい、その濃度とは、処理剤の質量に対する当該処理剤中の不揮発分の質量の割合をいう。
〔炭素繊維前駆体用処理剤の製造方法〕
本実施形態に係る処理剤は、飽和モノアルコール(A)、非イオン性界面活性剤(B)、および平滑剤(C)、ならびに任意に加えられる成分を公知の方法で混合することによって得られうる。たとえば飽和モノアルコール(A)、非イオン性界面活性剤(B)、および平滑剤(C)、ならびに任意に加えられる成分を20℃から90℃の間で撹拌しながら5時間かけて水を添加することで製造しうる。
〔炭素繊維前駆体〕
本実施形態に係る炭素繊維前駆体は、炭素繊維前駆体として一般に用いられる繊維材料に、本実施形態に係る処理剤が付着した態様である。ここでいう繊維材料とは、焼成工程を経て炭素繊維となる繊維状の材料であり、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、セルロース系繊維、リグニン系繊維、フェノール樹脂、およびピッチ等、またはこれらの組合せでありうる。
繊維材料に処理剤を付着させる方法としては、当分野において繊維材料にこの種の処理剤を付着させる際に通常用いられる方法を適用できる。すなわち、浸漬給油法、スプレー給油法、ローラー給油法、およびガイド給油法などが採用されうる。なお、それぞれの方法を適用するにあたり、処理剤が水等の溶媒で適宜希釈されうる。
本実施形態に係る炭素繊維前駆体において、処理剤の付着量は特に限定されない。たとえば、処理剤が付着した炭素繊維前駆体全体に対して処理剤が0.3質量%以上3質量%以下付着していることが好ましい。
〔その他の実施形態〕
本発明は、飽和モノアルコール(A)、非イオン性界面活性剤(B)、および平滑剤(C)を含有し、前記平滑剤(C)がシリコーン(C1)を含むことを特徴とする炭素繊維前駆体用処理剤でありうる。
当該炭素繊維前駆体用処理剤において、前記飽和モノアルコール(A)の炭素数が8以上26以下でありうる。この構成によれば、ローラースカムが特に生じにくい。
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
以下では、実施例を示して本発明をさらに説明する。なお、以下の実施例は本発明を限定しない。
〔炭素繊維前駆体用処理剤の調製〕
以下の方法で、後掲する表1~表3に示す実施例1~19、参考例1~5、および比較例1~4の炭素繊維前駆体用処理剤を得た。
(1)試薬
(1-1)アルコール
アルコールとして、以下のアルコールA-1~A-18およびa-1~a-3を用いた。このうちアルコールA-1~A-18は飽和モノアルコールである。また、アルコールA-1~A-11は、一般式(1)で表される飽和モノアルコールである。各アルコールについての炭素数ならびにnおよびmの記載の意味は、上記の実施形態と同様である。
A-1 : 2-(1,3,3-トリメチルブチル)-5,7,7-トリメチル-1-オクタノール(炭素数18,n=9,m=7)
A-2 : 2-(4-メチルヘキシル)-8-メチル-1-デカノール(炭素数18,n=9,m=7)
A-3 : 2-ヘキシル-1-デカノール(炭素数16,n=8,m=6)
A-4 : 2-オクチル-1-デカノール(炭素数18,n=8,m=8)と2-ヘキシル-1-ドデカノール(炭素数18,n=10,m=6)とのモル比50:50混合物
A-5 : 2-オクチル-1-ドデカノール(炭素数20,n=10,m=8)
A-6 : 2-エチル-1-ヘキサノール(炭素数8,n=4,m=2)
A-7 : 2-ブチル-1-オクタノール(炭素数12,n=6,m=4)
A-8 : 2-デシル-1-テトラデカノール(炭素数24,n=12,m=10)
A-9 : 2-(4-メチルノニル)-7-メチル-1-テトラデカノール(炭素数25,n=13,m=10)
A-10: 2-ドデシル-1-ヘキサデカノール(炭素数28,n=14,m=12)
A-11: 2-テトラデシル-1-オクタデカノール(炭素数32,n=16,m=14)
A-12: 16-メチル-1-ヘプタデカノール(炭素数18)
A-13: 1-ドデカノール(炭素数12)
A-14: 1-ノナノール(炭素数9)
A-15: 3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール(炭素数9)
A-16: 1-オクタデカノール(炭素数18)
A-17: 1-ヘキサノール(炭素数6)
A-18: シクロヘキサノール(炭素数6)
a-1 : 3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール
a-2 : シス-9-オクタデセン-1-オール
a-3 : 9Z,12Z-オクタデカジエン-1-オール
(1-2)非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤として、以下の非イオン性界面活性剤B-1~B-17を用いた。いずれの非イオン性界面活性剤も上記の実施形態に係る非イオン性界面活性剤(B)に該当し、このうち非イオン性界面活性剤B-1~B-3は、一般式(2)で表される非イオン性界面活性剤(B1)に該当する。ただし、それぞれの非イオン性界面活性剤について示す製造方法はいずれも一例であり、以下に例示する方法と異なる方法で当該非イオン性界面活性剤が製造された場合であっても、実施例、参考例、および比較例の結果は変化しない。
(非イオン性界面活性剤B-1)
2-ヘキシル-1-デカノールとエチレンオキサイドとをモル比1:3で反応させて、2-ヘキシル-1-デカノールのエチレンオキサイド付加体である非イオン性界面活性剤B-1を得た。
(非イオン性界面活性剤B-2)
2-ヘキシル-1-デカノールとエチレンオキサイドとをモル比1:6で反応させて、2-ヘキシル-1-デカノールのエチレンオキサイド付加体である非イオン性界面活性剤B-2を得た。
(非イオン性界面活性剤B-3)
2-ヘキシル-1-デカノールとエチレンオキサイドとをモル比1:9で反応させて、2-ヘキシル-1-デカノールのエチレンオキサイド付加体である非イオン性界面活性剤B-3を得た。
(非イオン性界面活性剤B-4)
ドデシルアルコールとエチレンオキサイドとをモル比1:9で反応させて、ドデシルアルコールのエチレンオキサイド付加体である非イオン性界面活性剤B-4を得た。
(非イオン性界面活性剤B-5)
11-メチル-ウンデカノールとエチレンオキサイドとをモル比1:12で反応させて、11-メチル-ウンデカノールのエチレンオキサイド付加体である非イオン性界面活性剤B-5を得た。
(非イオン性界面活性剤B-6)
テトラデシルアルコールとエチレンオキサイドとをモル比1:7で反応させて、テトラデシルアルコールのエチレンオキサイド付加体である非イオン性界面活性剤B-6を得た。
(非イオン性界面活性剤B-7)
トリデシルアルコールとエチレンオキサイドとをモル比1:15で反応させて、トリデシルアルコールのエチレンオキサイド付加体である非イオン性界面活性剤B-7を得た。
(非イオン性界面活性剤B-8)
ドデシルアルコールとエチレンオキサイドとをモル比1:20で反応させて、ドデシルアルコールのエチレンオキサイド付加体である非イオン性界面活性剤B-8を得た。
(非イオン性界面活性剤B-9)
2級テトラデシルアルコールとエチレンオキサイドとをモル比1:10で反応させて、2級テトラデシルアルコールのエチレンオキサイド付加体である非イオン性界面活性剤B-9を得た。
(非イオン性界面活性剤B-10)
2級トリデシルアルコールとエチレンオキサイドとをモル比1:9で反応させて、2級トリデシルアルコールのエチレンオキサイド付加体である非イオン性界面活性剤B-10を得た。
(非イオン性界面活性剤B-11)
ドデシルアルコールとエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとをモル比1:2:6で反応させて、ドデシルアルコールのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイドランダム付加体である非イオン性界面活性剤B-11を得た。
(非イオン性界面活性剤B-12)
トリスチレン化フェノールとエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとをモル比1:15:9で反応させて、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイドランダム付加体である非イオン性界面活性剤B-12を得た。
(非イオン性界面活性剤B-13)
ジスチレン化フェノールとエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとをモル比1:18:5で反応させて、ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイドランダム付加体である非イオン性界面活性剤B-13を得た。
(非イオン性界面活性剤B-14)
ビスフェノールAとエチレンオキサイドとをモル比1:18で反応させて、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体である非イオン性界面活性剤B-14を得た。
(非イオン性界面活性剤B-15)
トリスチレン化フェノールとエチレンオキサイドとをモル比1:30で反応させて、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド付加体である非イオン性界面活性剤B-15を得た。
(非イオン性界面活性剤B-16)
ドデシルアルコールとエチレンオキサイドとをモル比1:6で反応させて、ドデシルアルコールのエチレンオキサイド付加体である非イオン性界面活性剤B-16を得た。
(非イオン性界面活性剤B-17)
ドデシルアミンとエチレンオキサイドとをモル比1:10で反応させて、ドデシルアミンのエチレンオキサイド付加体である非イオン性界面活性剤B-17を得た。
(1-3)平滑剤
平滑剤として、以下のシリコーンC1-1~C1-11および非シリコーン平滑剤C2-1~C2-5を用いた。このうち、シリコーンC1-1~C1-7はアミノ変性シリコーンである。
(シリコーンC1-1)
25℃の動粘度が80mm/sであり、アミノ当量が4400であり、アミノ基が側鎖ジアミノ型である両末端封鎖型アミノ変性シリコーンを用いた。
(シリコーンC1-2)
25℃の動粘度が800mm/sであり、アミノ当量が3000であり、アミノ基が側鎖モノアミノ型である両末端封鎖型アミノ変性シリコーンを用いた。
(シリコーンC1-3)
25℃の動粘度が1200mm/sであり、アミノ当量が5000であり、アミノ基が側鎖ジアミノ型である両末端OH型アミノ変性シリコーンを用いた。
(シリコーンC1-4)
25℃の動粘度が2000mm/sであり、アミノ当量が7000であり、アミノ基が側鎖ジアミノ型である両末端メトキシ型アミノ変性シリコーンを用いた。
(シリコーンC1-5)
25℃の動粘度が250mm/sであり、アミノ当量が2000であり、アミノ基が側鎖ジアミノ型である両末端封鎖型アミノ変性シリコーンを用いた。
(シリコーンC1-6)
25℃の動粘度が1500mm/sであり、アミノ当量が8000であり、アミノ基が側鎖モノアミノ型であり、末端基がヒドロキシ基とメトキシとの混合型であるアミノ変性シリコーンを用いた。
(シリコーンC1-7)
25℃の動粘度が90mm/sであり、アミノ当量が2200であり、アミノ基が両末端ジアミノ型であるアミノ変性シリコーンを用いた。
(シリコーンC1-8)
25℃の動粘度が300mm/sであり、ジメチルシリコーン主鎖/エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドの重量比率が50/20/30である側鎖型ポリエーテル変性シリコーンを用いた。
(シリコーンC1-9)
25℃の動粘度が1000mm/sであり、ジメチルシリコーン主鎖/エチレンオキサイドの重量比率が70/30であるABn型ポリエーテル変性シリコーンを用いた。
(シリコーンC1-10)
25℃の動粘度が1000mm/sである両末端封鎖型ジメチルシリコーンを用いた。
(シリコーンC1-11)
25℃の動粘度が80mm/sである両末端OH型ジメチルシリコーンを用いた。
(非シリコーン平滑剤C2-1)
ポリブテン部分の数平均分子量が2000であるポリブテニル無水コハク酸とトリエチレンテトラアミンとを反応させて得られた化合物を用いた。
(非シリコーン平滑剤C2-2)
ポリブテン部分の数平均分子量が1500であるポリブテニル基で変性されたフェノールと、ホルムアルデヒドと、トリエチレンテトラアミンと、を反応させて得られた化合物を用いた。
(非シリコーン平滑剤C2-3)
アロマ分0.5%、ナフテン分25%、パラフィン分74.5%の組成を有し、30℃における動粘度が18mm/sである鉱物油を用いた。
(非シリコーン平滑剤C2-4)
アロマ分2%、ナフテン分40%、パラフィン分58%の組成を有し、30℃における動粘度が9mm/sである鉱物油を用いた。
(非シリコーン平滑剤C2-5)
アロマ分0.1%、ナフテン分30%、パラフィン分69.9%の組成を有し、30℃における動粘度が46mm/sである鉱物油を用いた。
(1-4)その他の成分
その他の成分として以下を用いた。
D-1 : 酢酸
D-2 : トリメチルオクチルアンモニウムジメチルホスフェート
希釈剤 : イオン交換水
(2)炭素繊維用処理剤の調製
(実施例1の調製)
アルコールA-1を10質量部、非イオン性界面活性剤B-1を5質量部、非イオン性界面活性剤B-4を5質量部、非イオン性界面活性剤B-7を10質量部、シリコーンC1-1を70質量部、それぞれ秤量し、ビーカーに投入した。上記の各構成成分をよく混合した後、これを撹拌しながら233質量部のイオン交換水を徐々に添加することで実施例1の炭素繊維前駆体用処理剤を調製した。
(他の実施例、参考例、および比較例の調製)
混合対象とする試薬の種類および質量部を変更した他は、実施例1と同様の方法で各例の炭素繊維前駆体用処理剤を調製した。実施例1を含む全ての例の調製条件を、後掲の表1~表3に示す。
〔炭素繊維前駆体用処理剤の評価〕
(1)炭素繊維の作成
(1-1)繊維材料の作成
アクリロニトリル95質量%、アクリル酸メチル3.5質量%、メタクリル酸1.5質量%からなる極限粘度1.80の共重合体を、ジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解し、ポリマー濃度が21.0質量%であり、60℃における粘度が500ポイズである紡糸原液を作成した。紡糸原液を、紡浴温度35℃に保たれたDMACの70質量%水溶液の凝固浴中に孔径(内径)0.075mm、ホール数12,000の紡糸口金よりドラフト比0.8で吐出した。凝固糸を水洗槽の中で脱溶媒と同時に5倍に延伸して水膨潤状態のアクリル繊維ストランドを作成した。
(1-2)炭素繊維前駆体の作成
作成したアクリル繊維ストランドに対して、実施例、参考例、および比較例の各例の炭素繊維前駆体用処理剤の3%イオン交換水溶液を、浸漬法にて、処理剤の付着量が1質量%(溶媒を含まない。)となるように給油した。その後、処理剤が付着したアクリル繊維ストランドに対して150℃の加熱ローラーで乾燥緻密化処理を行い、さらに170℃の加熱ローラー間で1.7倍の延伸を施した後に、糸管に巻き取って炭素繊維前駆体を得た。
(2)スカム発生量の評価
実施例、参考例、および比較例の各例の処理剤について、上記(1)の手順による炭素繊維前駆体の作成を連続的に行い、乾燥緻密化工程の加熱ローラーに対するスカムの堆積の有無および程度を観察した。観察結果に応じて、以下の三水準に区分した。
A:加熱ローラーへのスカム堆積が少なく、断糸等で操業を止めることなく7日以上清掃無しで連続操業が可能であった。
B:加熱ローラーへのスカム堆積がやや見られるが、断糸等で操業を止めることなく3日以上7日未満清掃無しで連続操業が可能であった。
C:加熱ローラーへのスカム堆積が多く、断糸等で操業を止める必要が生じ、3日未満で清掃が必要であった。
(3)巻取集束性の評価
実施例、参考例、および比較例の各例の処理剤について、炭素繊維用前駆体をワインダーに巻き取る際の作業の様子に応じて、以下の三水準に区分した。
A:糸割れはほとんどなく、操業を止めることなく連続的な巻取りが可能だった。
B:糸割れが少し見られたが、操業を止めることなく連続的な巻取りが可能だった。
C:糸割れがひどくトラバースへの巻き付きが発生し、操業を止める必要が生じた。
(4)エマルション安定性
実施例、参考例、および比較例の各例の処理剤の3%イオン交換水溶液を給油浴においてポンプで循環させ、水溶液の状態を目視で観察した。観察結果に応じて、以下の四水準に区分した。
A:7日間経過後にゲルの発生が見られず、スムーズな連続操業が可能であった。
B:7日間経過後に微量のゲルの発生が見られたが、給油浴の清掃はせずにスムーズな連続操業が可能であった。
C:7日間経過後にゲルの発生が見られ給油浴のゲルを除去する清掃を要したが、連続操業が可能であった。
D:7日間経過後に多くのゲルが発生し、給油浴の清掃のために操業を停止する必要があった。
(5)摩擦特性
1%の処理剤を付着させた12K(12000本)の炭素繊維前駆体束に100g重の張力をかけて、1cmのクロム梨地ピンを200rpmで10分間回転させた後の炭素繊維前駆体束の様子を観察した。観察結果に応じて、以下の三水準に区分した。
A:断糸、およびそれに伴う毛羽が目視では確認できなかった。
B:断糸、およびそれに伴うわずかな毛羽(1~10本)が見られた。
C:断糸、およびそれに伴う毛羽が多く(11本以上)見られた。
〔結果〕
実施例、参考例、および比較例の各例の原料構成および各評価の結果を表1~表3に示す。
表1:実施例1~12
Figure 0007411296000003
表2:実施例13~19および参考例1~5
Figure 0007411296000004
表3:比較例1~4
Figure 0007411296000005
本発明は、たとえば炭素繊維前駆体の製造に利用できる。

Claims (7)

  1. 炭素数が8以上26以下である飽和モノアルコール(A)、非イオン性界面活性剤(B)、および平滑剤(C)を含有し、
    前記平滑剤(C)がシリコーン(C1)を含むことを特徴とする炭素繊維前駆体用処理剤。
  2. 前記飽和モノアルコール(A)がヒドロキシ基のβ位に分岐鎖を有する請求項1に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
  3. 不揮発分中において前記飽和モノアルコール(A)が占める割合が0.1質量%以上20質量%以下である請求項1に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
  4. 前記シリコーン(C1)がアミノ変性シリコーンを含む請求項1に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
  5. 前記非イオン性界面活性剤(B)が、ヒドロキシ基のβ位に分岐鎖を有するモノアルコールのアルキレンオキサイド付加物(B1)を含む請求項1に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
  6. 不揮発分中において、
    前記飽和モノアルコール(A)が占める割合が0.1質量%以上20質量%以下であり、
    前記非イオン性界面活性剤(B)が占める割合が10質量%以上70質量%以下であり、かつ、
    前記平滑剤(C)が占める割合が29.9質量%以上89.9質量%以下である請求項1に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載の炭素繊維前駆体用処理剤が付着していることを特徴とする炭素繊維前駆体。
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