JP7410397B2 - 芳香族化合物製造用触媒、芳香族化合物用触媒の製造方法、及び芳香族化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
人為的に排出されている温室効果ガスの中では、二酸化炭素の影響量が最も大きいと見積もられており、二酸化炭素削減のための対策技術開発が各所で精力的に行われている。
対策技術の一つとして、排出された二酸化炭素を有用物に変換する幾つかの試みが提案されている。
しかしながら、水素および二酸化炭素を原料ガスとして用いて、芳香族化合物を効率よく製造可能な方法については、未だ十分に検討されていない。
ソルボサーマル法で調製されたNaFe3O4と
H-ZSM-5ゼオライトと、
を含む芳香族化合物製造用触媒。
<2>
前記NaFe3O4は、ソルボサーマル法で得られた酸化鉄に、Naを担持して調製されている<1>に記載の芳香族化合物製造用触媒。
<3>
前記H-ZSM-5ゼオライトのSi/Al比が、10~50である<1>又は<2>に記載の芳香族化合物製造用触媒。
<4>
前記H-ZSM-5ゼオライトが、ZSM-5ゼオライトを水酸化物処理した後、プロトン交換処理して調製されたH-ZSM-5ゼオライトである<1>~<3>のいずれか1項に記載の芳香族化合物製造用触媒。
<5>
ソルボサーマル法でNaFe3O4を調製する工程と、
調製された前記NaFe3O4とH-ZSM-5ゼオライトとを用いて、触媒を得る工程と、
を含む芳香族化合物製造用触媒の製造方法。
<6>
前記ソルボサーマル法でNaFe3O4を調製する工程は、ソルボサーマル法で得られた酸化鉄に、Naを担持してNaFe3O4を調製している<5>に記載の芳香族化合物製造用触媒の製造方法。
<7>
前記H-ZSM-5ゼオライトのSi/Al比が、10~50である<5>又は<6>に記載の芳香族化合物製造用触媒の製造方法。
<8>
ZSM-5ゼオライトを水酸化物処理した後、プロトン交換処理して、前記H-ZSM-5ゼオライトを調製する工程を有する<5>~<7>のいずれか1項に記載の芳香族化合物製造用触媒の製造方法。
<9>
<1>~<4>のいずれか1項に記載の芳香族化合物製造用触媒または還元後の前記触媒の存在下で、水素と二酸化炭素とを前記触媒に接触させて、芳香族化合物を生成する芳香族化合物の製造方法。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
「好ましい態様の組み合わせ」は、より好ましい態様である。
本発明の芳香族化合物製造用触媒(以下、単に「触媒」とも称する)は、ソルボサーマル法で調製されたNaFe3O4と、H-ZSM-5ゼオライトと、を含む。
ソルボサーマル法で調製されたNaFe3O4は、共沈法で調製されたNaFe3O4に比べ、触媒活性能が高い。その理由は定かではないが、ソルボサーマル法で調製されたNaFe3O4の電子構造が、FT反応(灯軽油製造)用触媒の主活性成分の特性に大きな影響を与えているものと推定している。
そして、芳香族化合物製造用の主活性成分として機能するH-ZSM-5ゼオライトにより、生成したFT合成油から芳香族化合物を製造する。
NaFe3O4は、FT反応(灯軽油製造)用触媒の主活性成分として機能する。
NaFe3O4は、基材としての鉄酸化物に、助触媒としてNaを含む触媒である。
NaFe3O4中のNaの含有量は、生成物の収率向上の観点から、0.5~5.0質量%が好ましい。
なお、NaFe3O4中に、触媒製造工程等で混入する不純物を含んでもよい。ただし、触媒活性向上の面からは不純物量が少ないほど好ましく、できるだけ不純物が混入しないようにすることが好ましい。
触媒の細孔容積は、水銀圧入法で求めることができる。水銀圧入法が使用できない場合は水滴定法により測定することができる。
触媒の平均細孔径は、水銀ポロシメーターによる水銀圧入法により測定することができる。水銀圧入法が使用できない場合はガス吸着法により求めることができる。
なお、本明細書中において「平均粒子径」とは、後述のゼオライトを含めて、湿式のレーザ回折・散乱法による、体積基準50%粒子径(D50)をいう。
具体的には、例えば、ソルボサーマル法によるNaFe3O4の調製は、
ソルボサーマル法により酸化鉄(Fe3O4)を得る第一の工程と、
酸化鉄に、ナトリウムイオンを含む水溶液を含浸させて、酸化鉄の表面にナトリウムイオンを担持する第二の工程と、
ナトリウムイオンを担持した酸化鉄を、乾燥および焼成する第三の工程と、
を有する。
第一工程において、ソルボサーマル法による酸化鉄の製造は、周知の方法が採用できる。例えば、ソルボサーマル法では、加熱及び加圧する機能を有する反応容器(例えば、オートクレーブ等)内で、鉄源(塩化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、クエン酸鉄、リン酸鉄等)を含む溶液を加熱及び加圧して、酸化鉄の前駆体を得る。そして、酸化鉄の前駆体を窒素下で焼成する。それにより、酸化鉄の粉末が得られる。
ここで、ソルボサーマル法において、圧力範囲は、反応容器で昇温した際の圧力で、例えば2~5MPa、温度範囲は180-250℃が例示できる。
また、ソルボサーマル法における溶媒は、水、アルコール(エタノール等)エチレングリコール、メタノール、ジメチルホルムアミド、エギレンジアミン等が使用できる。
なお、溶媒の還元性などの物性により、調製後の酸化鉄粉末の結晶性、表面性状などの性状が異なるため、触媒物性に影響を及ぼすことがある。
第二工程では、酸化鉄に、ナトリウムイオンを含む水溶液を含浸させて、酸化鉄の表面にナトリウムイオンを担持する。
第三工程では、ナトリウムイオンを担持した酸化鉄を、乾燥および焼成する。乾燥後、焼成前に、酸化鉄を粉砕処理してもよい。
焼成は、特に限定されないが、芳香族化合物合成反応の反応温度以上の温度(例えば、300~1000℃)、0.5~20時間)で実施する。不活性ガス(窒素等)雰囲気下で実施することがよい。
なお、焼成温度が300℃未満であると、温度が低すぎて焼結が進まず、高い触媒活性が得られないことがある。一方、焼成温度が1000℃を超えると、焼結が進みすぎて触媒の表面積が小さくなり、高い触媒活性を得ることができないことがある。
酸化鉄の洗浄は、金属イオンを含む水溶液中のアニオン成分を除去するためである。
なお、乾燥及び焼成前に、鉄酸化物に対して、圧縮成型器等による成形処理、篩等による整粒処理を実施してもよい。
以上の工程を経て、NaFe3O4が製造される。
H-ZSM-5ゼオライトは、FT合成油(灯軽油)から芳香族化合物を製造する触媒の主活性成分として機能する。
H-ZSM-5ゼオライトとは、骨格の構造コードがZSM-5(Zeolite Socony Mobil-5)型であり、プロトン交換化されたアルミノシリケートゼオライトを示す。
なお、プロトン交換されていない、骨格の構造コードがZSM-5(Zeolite Socony Mobil-5)型のアルミノシリケートゼオライトを「ZSM-5ゼオライト」と表記する。
そのため、H-ZSM-5ゼオライトのSi/Al比は、10~300が好ましく、10~200がより好ましく、10~100がさらに好ましく、10~50が最も好ましい。
アルミニウム化合物としては硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム等が挙げられる。
ここで、ケイ素化合物とアルミニウム化合物との量比を調整することで、目的とするSi/Al比のZSM-5ゼオライトが得られる。
前駆体溶液の溶媒は、水を主成分とするが、ケイ素化合物の加水分解速度の制御を目的として、エタノール、メタノール等のアルコール系溶媒が含まれていてもよい。
プロトン交換処理は、アルカリ金属をプロトンに置換するため、例えば、硝酸アンモニウム、 炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム等の水溶液に、水酸化処理後のZSM-5ゼオライトを浸漬することで実施する。
本発明の触媒は、NaFe3O4とH-ZSM-5ゼオライトを用いて得られる。
本発明の触媒において、NaFe3O4とH-ZSM-5ゼオライトとの位置関係(混合状態)は特に限定されず、例えば、NaFe3O4とH-ZSM-5ゼオライトとが粒状である場合、物理的に混合されていることができる。又は、NaFe3O4とH-ZSM-5ゼオライトとが層を構成する場合、NaFe3O4とH-ZSM-5ゼオライトとは積層していてもよい。
本発明の芳香族化合物の製造方法は、本発明の触媒または還元後の触媒の存在下で、水素と二酸化炭素とを触媒に接触させて、芳香族化合物を生成する方法である。
水素と二酸化炭素のモル比が0.5未満の場合には、原料ガス中の水素の存在量が少な過ぎるため、二酸化炭素の水素化反応が進み難く、生産性が高くなり難い。
水素と二酸化炭素のモル比が4.0を超える場合には、原料ガス中の二酸化炭素の存在量が少な過ぎるため、触媒活性に関わらず芳香族化合物の生産性が高くなり難い。
(NaFe3O4の製造)
尿素28.8gをエチレングリコール88.8gに溶かし、マグネチックスターラーで1h撹拌した。その溶液へ塩酸鉄六水和物4.32gを投入して30min撹拌して溶解させた。この溶液をテフロン(登録商標)シールのオートクレーブへ移し、200℃の加温下、24h保持した。その後、室温まで冷却した後、触媒成分を回収し、純水、および、エタノールで洗浄した。こうして得られた触媒粉末を、60℃、12hの間、真空乾燥させた。こうして得られた粉末へ、Naが1質量%(対触媒全体)となるように炭酸ナトリウム溶液を担持した。
このようにして、ソルボサーマル法によりNaFe3O4(平均細孔径=5.2nm、比表面積=80m2/g、細孔容量=0.4cc/g、平均粒子径=50μm )を得た。
市販のSi/Al比の異なるZSM-5ゼオライト(東ソー製のZSM-5ゼオライト、Si/Al比が12、Si/Al比が20、Si/Al比が40)を用いて、下に示す特性を持つH-ZSM-5ゼオライトを得た。
ただし、HZ5(20)-2は、Si/Al比が20のZSM-5ゼオライトを用いて以下のアルカリ処理を施すことにより、メソ孔を形成した。
ZSM-5ゼオライトを、0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液へ浸漬して、80℃、1h保持した。このようにして得られたゼオライト2gを、1Mの硝酸アンモニウム水溶液200mLへ浸漬することによりイオン交換した。こうして得られたプロトン交換ゼオライトを、120℃で8h乾燥した後、350℃で6h空気中で焼成した。
・HZ5(20)-1:Si/Al比=20のH-ZSM-5ゼオライト(平均細孔径=2.7nm、比表面積=378m2/g、細孔容量=0.3cc/g、平均粒子径=0.6μm)を得た。
・HZ5(20)-2:Si/Al比=20のH-ZSM-5ゼオライト(平均細孔径=3.1nm、比表面積=395m2/g、細孔容量=0.3cc/g、平均粒子径=0.6μm)を得た。
・HZ5(40) :Si/Al比=40のH-ZSM-5ゼオライト(平均細孔径=2.8nm、比表面積=385m2/g、細孔容量=0.3cc/g、平均粒子径=0.5μm)を得た。
NaFe3O4:0.1gとH-ZSM-5ゼオライト:0.1gとを混合した触媒0.2gを、内径6mmのSUS製反応管の中央に位置するよう石英ウールで固定し、触媒層中央位置に熱電対を挿入し、これら固定床反応管を所定の位置にセットした。
合成反応を始める前に、まず反応器を窒素雰囲気下で400℃まで昇温した後、水素ガスを30mL/min流しながら2h還元処理を行った。その後、室温に下げた後、水素:CO2(mol比=3:1)、内部標準としてArを3%含む原料ガスを30mL/minになるよう導入し、3MPa下、320℃で8h合成を行った。それにより芳香族化合物を生成した。
生成した芳香族化合物は、水分を除去した後、二つのガスクロマトグラフィー(島津製GC-8A)に注入してTCD(Thermal Conductivity Detector)分析、およびFID(Flame Ionization Detector)分析
を行った。
そして、TCD分析及びFID分析による各成分濃度により、次の値を求めた。その結果を表1に示す。
・CO2転化率(%)(CO2 Conv.(%))=(1-(CO2の減少量)/(供給されたCO2の供給量))×100
・CO選択率(%)(CO sel)=(COの体積量)/(供給されたCO2の供給量)×100
・CH4選択率(%)=(CH4の体積量)/(供給されたCO2の供給量)×100
・エタン選択率(%)=(エタンの体積量)/(供給されたCO2の供給量)×100
・プロパン選択率(%)=(プロパンの体積量)/(供給されたCO2の供給量)×100
・ブタン選択率(%)=(ブタンの体積量)/(供給されたCO2の供給量)×100
・エタン、プロパン、ブタンの短鎖パラフィン(C2-C4 (O))選択率(%)=(エタン選択率)+(プロパン選択率)+(プロパン選択率)
・プロピレン選択率(%)=(プロピレンの体積量)/(供給されたCO2の供給量)×100
・ブチレン選択率(%)=(ブチレンの体積量)/(供給されたCO2の供給量)×100
・エチレン、プロピレン、ブチレンの短鎖オレフィン(C2-4 =)の選択率(%)=(エチレン選択率)+(プロピレン選択率)+(ブチレン選択率)
・ペンタン選択率(%)=(ペンタンの体積量)/(供給されたCO2の供給量)×100、等
・ペンタン以降長鎖オレフィン(C5+)(%)=(ペンタン選択率)+…
・トルエン(T)選択率(%)=(トルエンの体積量)/(供給されたCO2の供給量)×100
・o-キシレン(X)選択率(%)=(オルトキシレンの体積量)/(供給されたCO2の供給量)×100
・m-キシレン(X)選択率(%)=(メタキシレンの体積量)/(供給されたCO2の供給量)×100
・p-キシレン(X)選択率(%)=(パラキシレンの体積量)/(供給されたCO2の供給量)×100
・A(C9)選択率(%)=(クメンの体積量)/(供給されたCO2の供給量)×100
・テトラリン選択率(%)=(テトラリンの体積量)/(供給されたCO2の供給量)×100
・テトラメチルベンゼン、n-ブチルベンゼン、ジエチルベンゼンなどの炭素数10以上の芳香族化合物(A(C10+))選択率(%)=(テトラメチルベンゼン選択率)+…
・芳香族化合物(Aromatics)選択率(%)=(B選択率)+(T選択率)+(o-X選択率)+(m-X選択率)+(p-X選択率)+(A(C9)選択率)+(A(C10+)選択)
・芳香族化合物(A)の空時収率(g/Kg-cat・h)=芳香族化合物の生成モル数(mol/kg-cat・h)×14g/CH2-mol
三塩化鉄六水和物31.62gと二塩化物四水和物12.54gを150ccの純水に溶かし、そこへ12.1Mの塩酸水溶液5.1mLを加えてマグネティックスターラーで撹拌した。その水溶液を60℃に加温した状態で、そこへ1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加して沈殿物を形成し、その状態で1h撹拌保持した。その溶液へ塩酸鉄六水和物4.32gを投入して30min撹拌して溶解させた。この溶液をテフロン(登録商標)シールのオートクレーブへ移し、200℃の加温下、24h保持した。その後、室温まで冷却した後、触媒成分を回収し、純水で洗浄した。こうして得られた触媒粉末を、60℃で一晩乾燥させた。こうして得られた粉末上の残留Naは約0.7質量%であった。
このようにして、沈殿法により、NaFe3O4を得た。
また、H-ZSM-5ゼオライトのSi/Al比を適切な範囲とすると、芳香族化合物の収率が上がることがわかる。
Claims (4)
- ソルボサーマル法でNaFe3O4を調製する工程と、
調製された前記NaFe3O4とH-ZSM-5ゼオライトとを用いて、触媒を得る工程と、
を含み、
前記ソルボサーマル法でNaFe 3 O 4 を調製する工程は、ソルボサーマル法で得られた酸化鉄に、Naを担持してNaFe 3 O 4 を調製している芳香族化合物製造用触媒の製造方法。 - 前記H-ZSM-5ゼオライトのSi/Al比が、10~50である請求項1に記載の芳香族化合物製造用触媒の製造方法。
- ZSM-5ゼオライトを水酸化物処理した後、プロトン交換処理して、前記H-ZSM-5ゼオライトを調製する工程を有する請求項1又は請求項2に記載の芳香族化合物製造用触媒の製造方法。
- 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の芳香族化合物製造用触媒の製造方法により得られた芳香族化合物製造用触媒または還元後の前記触媒の存在下で、水素と二酸化炭素とを前記触媒に接触させて、芳香族化合物を生成する芳香族化合物の製造方法。
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