JP7410310B2 - ポリアリーレンエーテルケトン樹脂 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂、その製造方法、及びポリアリーレンエーテルケトン樹脂を含む成形品に関する。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(以下、PAEK樹脂と略称することがある)は、耐熱性、強靭性に優れ、高温環境下で連続使用可能なスーパーエンジニアリングプラスチックとして、自動車部品から航空機部材等の輸送機器類だけでなく、医療用部品、繊維等の幅広い用途実績がある。特に耐薬品性に優れていることから、洗浄工程の多い半導体分野での使用に適すること、さらには自己消火性にも優れニートレジンの状態でも難燃性(V-0相当)であることから、電気・電子材料用途にも多く利用されている。
従来のPAEK樹脂の製造方法は、(a)芳香族求核置換反応を用いた重合と(b)芳香族求電子置換反応を用いた重合に大別されることが知られている。
(a)を用いた場合には、例えば4,4’-ジフルオロベンゾフェノンとヒドロキノンの二種のモノマーをジフェニルスルホン中で炭酸カリウムを作用させる芳香族求核置換型の重縮合反応により、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(以下、PEEK樹脂と略称することがある)が製造される(特許文献1)。
(b)を用いた場合には、例えばテレフタル酸ジクロリドとジフェニルエーテルの二種のモノマーを用い、無機ルイス酸を作用させることによる芳香族求電子置換型の重縮合反応により、ポリエーテルケトンケトン樹脂(以下、PEKK樹脂と略称することがある)が製造される(特許文献2)。
製造コストの観点からは、(a)を用いる場合にはモノマーに高価な4,4’-ジフルオロベンゾフェノンを使用するため原材料費が高く、かつ、300℃以上の反応温度が必要となるため製造工程費が高く、結果として、樹脂の価格が高価となる傾向がある。(b)を用いる場合、テレフタル酸から誘導・活性化されたテレフタル酸ジクロリドと無水塩化アルミニウムや塩化鉄等の固形の無機ルイス酸を過剰量用いる条件が一般的であり、原材料コストが比較的安価となるため樹脂価格は低く抑えやすいというメリットがあるが、過剰に用いた触媒の除去が困難であるという課題(特許文献3)がある。
PAEK樹脂の製造方法として、例えば、以下のような各種製造方法が知られている。
特許文献3は、AlClを触媒として用いたフリーデルクラフツ反応による芳香族PAEK樹脂の製造について開示し、生成したポリマー中でアルミニウムが強固に骨格中のカルボニル基と錯形成する為、取り除くことは困難であると言及している。そこでマレスカらは、モノマーとしてテレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ジフェニルエーテルを用いて、1,2-ジクロロエタン中で無水塩化アルミニウムを作用させることによるPAEK樹脂の製造を試み、さらには生じた当該樹脂を2,4-ペンタンジオンのアセトン溶液で加熱洗浄することで残存アルミニウム量が1/10までしか除去できない。
特許文献4は無水塩化アルミニウムを触媒として用いるPAEK樹脂の製造時に、生成したポリマー中でアルミニウムが残存することを同様に主張しており、残存アルミニウムが重合生成物の分解や変色に関与する可能性を開示している。ブルーゲルらは、モノマーとしてテレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸クロリド、ジフェニルエーテルを用いて、ジクロロベンゼン中で無水塩化アルミニウムを作用させ重合し、生成したポリマーをメタノールとギ酸で洗浄処理することでPAEK樹脂を得、残留アルミニウムが4000ppm検出されることを開示している。これは、通常の塩化アルミニウムを触媒として用いたPAEK樹脂製造時に最大で4000ppm程度のアルミニウム元素が残存しうることを示しており、当該樹脂の分解や変色を抑えるためにもその元素除去が極めて重要な課題であることを示している。また、本開示においては乾燥PAEK樹脂を乳酸等のヒドロキシ酸中で加熱処理することで、残存アルミニウム量が1/10に抑えられることを開示しているが、特許文献3と同様に原材料費コストの増大を招き、樹脂の価格が高価となる課題が存在する。
一方で、有機スルホン酸と五酸化ニリンの混合物中で芳香族ジカルボン酸とアレーンを縮合させるPAEK樹脂の製造方法も考案されている。しかし、比較的高温の反応条件が必要なだけでなく、他の芳香族求電子置換型の重縮合と同様に、重合したPAEK樹脂から過剰に使用した五酸化ニリンやその加水分解残渣の除去が十分にできず、残留元素が多量に残り、精製をしても除去できないという課題がある。
特許文献5はモノマーにイソフタル酸とジフェニルエーテルを用い、五酸化ニリンをメタンスルホン酸中で作用させるPAEK樹脂の重合方法が開示されている。五酸化ニリンは重縮合の生成物である水によって加水分解し、リン酸を与えるため脱水剤として作用しているが、五酸化ニリンの使用には以下の課題がある。
1.水分に対して高い反応性を示すため取り扱いが困難である。
2.加水分解によって生じたリン酸は、回収・脱水処理により再生することは一般に困難であり、PAEK樹脂重合の停止時の加水分解処理により抽出され排水処理される。
3.再生利用することが困難なため、製造原材料費コストの増大を招く。
4.リン酸等の加水分解生成物はポリマー中に残存し、公知の方法で精製しても残留元素を低くできない。
非特許文献1ではリン酸及びリン酸塩が低カルシウム血症や骨粗しょう症のリスクを誘発するという研究結果も報告されている。そのため、例えば医療用途でPAEK樹脂類を用いる際には、リン酸及びリン酸塩に由来するリン化合物が含まれないことが望ましいが、前述の通り製造時に五酸化ニリンを使用した際には、リン酸除去の課題が残っている。
非特許文献2ではリンやリン酸及びリン酸塩が河川、湖、海洋および湾内の富栄養化をもたらす原因であることが言及されており、下水処理や工業排水処理での水質保全にこれらのリンの除去技術が注目されている。リンの除去技術としてはAl、Fe、Caなどの金属塩を凝集剤として用いる凝集沈殿法が確立されているが、これらの技術では凝集した汚泥が廃棄物として生じる。そのため、PAEK樹脂類を製造する際にはリン酸及びリン酸塩に由来するリン化合物が生じないことが望ましいが、前述の通り製造時に五酸化ニリンを使用した際には、リン酸やリン酸イオン(PO 3-)が副生する課題が残っており、これらが高濃度で含まれる工業排水の処理にも経済的な課題が残っている。
非特許文献3では樹脂のマテリアルリサイクルが直面する課題としてClやBrの除去が課題となっていることが言及されている。これらの残留Cl、Brはリサイクル時の品質悪化の原因にもなり、サーマルリサイクルやケミカルリサイクルの過程で熱分解時に残留Cl、Brに起因するガス状成分が生じ、機器や配管の腐食の原因にもなる。そのため、PAEK樹脂類を製造する際には残留Cl、Brなどが生じないことが望ましいが、製造時に塩化アルミニウムや臭化アルミニウムなどの塩化物や臭化物を触媒として用いたPAEK樹脂の製造の際には、これらPAEK樹脂中にCl、Brなどの元素が残留する潜在課題が残っている。
特許文献4では樹脂のマテリアルリサイクルの際の問題点として、樹脂製造しに使用した金属触媒の残渣が蓄積している可能性が指摘されている。マテリアルリサイクルの過程ではバージン樹脂の熱加工過程で与えられた熱履歴だけでなく、さらに加熱が必要となる加工工程などにより、樹脂の酸化劣化などとともに前期の残留した金属触媒の複合的な要因により、バージン樹脂材と比較しての性能が大きく低下する原因にもなる。そのため、PAEK樹脂類を製造する際には残留金属が生じないことが望ましいが、製造時に金属塩化物などを化学量論以上の量の触媒として用いるPAEK樹脂の製造の際には、これらPAEK樹脂中に金属元素が残留する課題が残っている。
昨今の社会情勢を踏まえ、循環型経済の構築の一環とした使用済み樹脂の高効率なリサイクルや再生原料としての価値を高めるためにも、金属元素やClやBrなどを含まない樹脂材およびその製法開発に課題が残っている。
特開昭54-090296号公報 米国特許第3065205号明細書 米国特許第4611033号明細書 特表平3-505751号公報 特開昭59-135224号公報
The Journal of Toxicological Sciences,(日),2015,Vol.40,No.1,55-69. 環境技術,1982,Vol.11,No.11,44-51. 廃棄物資源循環学会誌,2018,Vol.29,No.2,152-162. 日本ゴム協会誌,2014,Vol.87,No.11,441-446.
上述した従来の無機ルイス酸を作用させることによる芳香族求電子置換型の重縮合反応でPAEK樹脂を製造する場合、モノマーや過剰に用いたルイス酸に起因して、塩素やアルミニウム、鉄等を含む多量の無機塩が副生成物として生じる。また、これらの副生成物は、樹脂の製造後に精製をしても除くことができなかった。昨今の環境負荷低減を要求する社会情勢に対応するためにも、廃棄物の削減や樹脂組成物等の製品内に残存し、リサイクルを妨げる金属元素や塩素等を削減することは解決すべき課題である。
例えば、一般に樹脂が燃焼すると有害ガスを生じることが知られている。EUを中心に電子・電気機器における特定有害物質の使用が制限され、RoHS指令ではハロゲン系難燃剤が規制されている。日本電子回路工業会(JPCA)や米国電子回路協会(IPC)では、電子材料中の塩素及び臭素化合物を対象とし、塩素900ppm、臭素900ppm、(塩素+臭素)1500ppmとして規制されている。工業材料中の残留元素の法規制が進む世相を鑑み、より残留元素の低減が可能なPAEK樹脂の開発は課題である。
本発明は、金属元素やリン、塩素、臭素等の樹脂本来の構成要素には不要な元素の含有量が著しく少なく、金属密着性に優れるPAEK樹脂、それを含む成形体を提供することを目的とする。また、本発明はこのPAEK樹脂の製造に適した製造方法を提供することを目的とする。
本実施形態のPAEK樹脂は、耐熱性に優れ、高いガラス転移温度及び融点を維持し、結晶性並びに融点を制御することが可能で、かつ良好な成形加工性を有するPAEK樹脂であることが好ましい。
芳香族求電子置換型の重縮合反応により製造されるPAEK樹脂の大部分は、前述した酸クロリド等の活性カルボン酸誘導体と、塩化アルミニウムを用いたフリーデルクラフツ反応に基づく重合反応に依存する。しかしながら、従来の方法で製造したPAEK樹脂は、不要な元素を含み、且つ製造後に不要な元素を精製で除くことはできない。従って、PAEK樹脂本来の構成要素に不要な元素を極力含まない形で製造することが求められており、それぞれのPAEK樹脂の重合方法に必要となるモノマーの製造段階や、それらモノマーを用いた重合反応の段階で触媒や溶媒に不要元素をなるべく含まない反応設計が重要である。しかし、産業上有意義な分子量を有する、高品質なPAEK樹脂を提供することは、そのモノマー反応性や重合中のポリマーの溶解性の観点から、本質的に新規な製造条件の開拓を要するため達成されていない。また、そうして製造される高品質なPAEK樹脂が従来どおりの高耐熱性を実現しながら、実際の成形加工において良好な加工性を実現させることは、産業上きわめて重要な課題である。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂のケトン基のモル割合及びエーテル基のモル割合を特定以上とし、且つ残留元素の割合が著しく低くすることで、金属密着性に優れるPEAK樹脂が得られることを見出した。
また、剛直な下記繰り返し単位(1-1)と柔軟でありかつ結晶融点制御を可能とする繰り返し単位(2-1)とを共重合させたPAEK樹脂が、繰り返し単位(1-1)と繰り返し単位(2-1)との割合を適宜調節することで、結晶化度及び融点を制御することが可能で、良好な成形加工性を発現できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
下記(A)~(D)を満たし、
樹脂中に含まれる全繰り返し単位中の全炭素数に対する、全繰り返し単位中のケトン基のモル割合が9.5モル%以上でありかつ全繰り返し単位中のエーテル基のモル割合が4.5モル%以上であり、
数平均分子量Mnが8000以上である、
ことを特徴とする、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂。
(A)安定同位体の存在しないTc(テクネチウム)、Pm(プロメチウム)を除く、周期表3族から13族元素のうち、第2から第6周期に分類されるそれぞれの元素の残存量が100ppm以下である
(B)Cl及びBrのそれぞれの元素の残存量が100ppm以下である
(C)Pの残存量が100ppm以下である
(D)下記一般式(1-1)で表される繰り返し単位(1-1)を含み、さらに下記一般式(2-1)で表される繰り返し単位(2-1)を含んでいてもよい。
[2]
下記(A)(B)(C’)(D)を満たし、
樹脂中に含まれる全繰り返し単位中の全炭素数に対する、全繰り返し単位中のケトン基のモル割合が9.5モル%以上でありかつ全繰り返し単位中のエーテル基のモル割合が4.5モル%以上であり、
数平均分子量Mnが8000以上である、
ことを特徴とする、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂。
(A)安定同位体の存在しないTc(テクネチウム)、Pm(プロメチウム)を除く、周期表3族から13族元素のうち、第2から第6周期に分類されるそれぞれの元素の残存量が100ppm以下である
(B)Cl及びBrのそれぞれの元素の残存量が100ppm以下である
(C’)リン酸イオン(PO 3-)の残存量が100ppm以下である
(D)下記一般式(1-1)で表される繰り返し単位(1-1)を含み、さらに下記一般式(2-1)で表される繰り返し単位(2-1)を含んでいてもよい。
[3]
前記Cl元素の残存量が20ppm以下である、[1]又は[2]に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂。
[4]
前記繰り返し単位(1-1)と、前記繰り返し単位(2-1)との割合(繰り返し単位(1-1):繰り返し単位(2-1))が、モル比で100:0~50:50の範囲である、[1]~[3]のいずれかに記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂。
[5]
ガラス転移温度が145℃以上であり、かつ融点が300℃以上である、[1]~[4]のいずれかに記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂。
[6]
下記式(1-2)で表されるモノマー(1-2)と、下記式(3-1)で表されるモノマー(3-1)とを含み、さらに下記式(2-2)で表されるモノマー(2-2)を含んでいてもよいモノマー成分を、下記一般式(4-1)で表されるフッ素原子含有スルホン酸と下記一般式(5-1)で表されるフッ素原子含有酢酸無水物又は下記一般式(6-1)で表されるフッ素原子含有スルホン酸無水物との存在下で反応させることを特徴とする、[1]~[5]のいずれかに記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法。
(式中のR及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又は炭素数1~8のアルキル基である。)
(式中のR及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又は炭素数1~8のアルキル基である。)
(式中のR及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又は炭素数1~8のアルキル基である。)
[7]
[1]~[5]のいずれかに記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂を含むことを特徴とする、組成物。
[8]
[1]~[5]のいずれかに記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂を含むことを特徴とする、成形品。
本発明は、金属元素やリン、塩素、臭素等の樹脂本来の構成要素には不要な元素の含有量が著しく少なく、または金属元素や残存リン酸イオン(PO 3-)等の含有量が少なく、金属密着性に優れるPAEK樹脂、それを含む成形体を提供することができる。
本実施形態のPAEK樹脂は、従来のPAEK樹脂と同様に耐熱性に優れ、高いガラス転移温度を有し、高い結晶性を保持したまま融点を調節することが可能であることが好ましい。さらに、良好な成形加工性を有することが好ましい。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
(ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK樹脂))
本実施形態のPAEK樹脂は、樹脂中に含まれる全繰り返し単位中の全炭素数に対する、全繰り返し単位中に含まれるケトン基のモル割合が9.5モル%以上でありかつ全繰り返し単位中に含まれるエーテル基のモル割合が4.5モル%以上である。本実施形態のポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、以下の(A)(B)(C)(D)又は(A)(B)(C’)(D)を満たす。
(A)安定同位体の存在しないTc(テクネチウム)、Pm(プロメチウム)を除く、周期表3族から13族元素のうち、第2から第6周期に分類されるそれぞれの元素の残存量が100ppm以下である
(B)Cl及びBrのそれぞれの元素の残存量が100ppm以下である
(C)Pの残存量が100ppm以下である
(C’)リン酸イオン(PO 3-)の残存量が100ppm以下である
(D)一般式(1-1)で表される繰り返し単位(1-1)を含み、さらに一般式(2-1)で表される繰り返し単位(2-1)を含んでいてもよい。
本実施形態のPAEK樹脂は、樹脂中に含まれる全繰り返し単位中のケトン基数量とエーテル基数量が上記範囲を満たし、上述の条件を満たすことで、良好な金属密着性が発現させられる。
本実施形態のPAEK樹脂は、一般式(1-1)で表される繰り返し単位(1-1)を有することが好ましく、さらに一般式(2-1)で表される繰り返し単位(2-1)を有していてもよい。本実施形態のPAEK樹脂は、繰り返し単位(1-1)のみからなる樹脂、又は繰り返し単位(1-1)及び繰り返し単位(2-1)のみからなることがより好ましい。
本実施形態のPAEK樹脂は、繰り返し単位(1-1)を含む構造、又は繰り返し単位(1-1)と繰り返し単位(2-1)の組み合わせを含む構造(好ましくは、繰り返し単位(1-1)のみからなる構造又は繰り返し単位(1-1)及び繰り返し単位(2-1)のみからなる構造)に対して、下記一般式(7-1)、(7-2)、(7-3)及び(7-4)からなる群から選ばれる末端基Eを含む構造が好ましい。
Figure 0007410310000011
(式中のAは(1-1)を含む構造、又は(1-1)と(2-1)の組み合わせを含む構造であってもかまわなく、nは1以上の整数である)
Figure 0007410310000012
(式中のAは(1-1)を含む構造、又は(1-1)と(2-1)の組み合わせを含む構造であってもかまわなく、nは1以上の整数である)
Figure 0007410310000013
(式中のAは(1-1)を含む構造、又は(1-1)と(2-1)の組み合わせを含む構造であってもかまわなく、nは1以上の整数である)
Figure 0007410310000014
(式中のAは(1-1)を含む構造、又は(1-1)と(2-1)の組み合わせを含む構造であってもかまわなく、nは1以上の整数である)
式(7-1)、(7-2)、(7-3)、(7-4)中の左右のEは、それぞれ同一であっても異なってもよく、それぞれ一価の置換基として選択され、例えば下記一般式(7-5)及び下記一般式(7-6)から選択され得るが、それぞれ本実施形態のPAEK樹脂を用いる用途によってその適否は異なり、本例示をもってその選択肢が制限されることはない。例えば、一般的に本実施形態のPAEK樹脂の熱的な安定性や加熱時のガス発生またはいかなる熱時反応による繰り返し単位内に構造変化をもたらすような反応性を考慮する場合には、Eは一般式(7-5)の中でもRがカルボン酸(-COOH)を含まない原子または原子団から選択される置換基及び一般式(7-6)が好ましく、より好ましくは一般式(7-5)の中でもRがカルボン酸(-COOH)、スルホン酸(-S(O)OH)を含まない原子または原子団から選択される。また、本実施形態のPAEK樹脂を他の樹脂や素材との、共有結合や単一もしくはいかなる組み合わせの分子間相互作用を介した組み合わせでの使用を考慮する場合には、Eは一般式(7-5)の中でもRがカルボン酸(-COOH)またはスルホン酸(-S(O)OH)を含む原子または原子団から選択されることが好ましい。
の置換位置はいずれの組み合わせでもよく、より好ましくは一般式(7-5)中のカルボニル炭素―芳香環炭素の単結合周りでの回転を考えた際にC対称となる組み合わせがよい。RおよびRの置換位置はいずれの組み合わせでもよく、より好ましくは一般式(7-6)中の芳香環炭素-X間の単結合周りでの回転を考えた際にC対称となる組み合わせがよい。
Figure 0007410310000015
(式中のnは0~5の整数であり、Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、カルボン酸誘導体(-COOR)、スルホン誘導体(-S(O))、スルホン酸誘導体(-S(O)OR)および炭素数1~20でかつプロトン性置換基を含まない炭素-酸素-硫黄-窒素-水素の一部もしくは全部を構成元素とする原子団から選択されるアルキルまたは置換アリール基である。ここでのプロトン性官能基とは例えば水酸基やアルデヒド基(-CHO)、カルボン酸(-COOH)、第一級または第二級アミンを指す。Rは一価の置換基であり水素原子または炭素数1~20でかつプロトン性置換基を含まない炭素-酸素-硫黄-窒素-水素の一部もしくは全部を構成元素とする原子団から選択されるアルキルまたは置換アリール基である。)
Figure 0007410310000016
(式中のmは0~4の整数、lは0~5の整数であり、Xは酸素原子、硫黄原子、CH、1,4-ジオキシルベンゼンであり、RおよびRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、カルボン酸誘導体(-COOR)、スルホン誘導体(-S(O))、スルホン酸誘導体(-S(O)OR)および炭素数1~20でかつプロトン性置換基を含まない炭素-酸素-硫黄-窒素-水素の一部もしくは全部を構成元素とする原子団から選択されるアルキルまたは置換アリール基である。ここでのプロトン性官能基とは例えば水酸基やアルデヒド基(-CHO)、カルボン酸(-COOH)、第一級または第二級アミンを指す。Rは一価の置換基であり水素原子または炭素数1~20でかつプロトン性置換基を含まない炭素-酸素-硫黄-窒素-水素の一部もしくは全部を構成元素とする原子団から選択されるアルキルまたは置換アリール基である。)
本実施形態のPAEK樹脂は、繰り返し単位(1-1)及び繰り返し単位(2-1)以外の他の繰り返し単位を含んでいてもよい。
本実施形態のPAEK樹脂は、製造後に樹脂内に残留する残留元素を含むことがある。
本実施形態のPAEK樹脂100質量%中の、アルミニウム元素の残存質量の割合は、100ppm以下であり、好ましくは90ppm以下、より好ましくは80ppm以下である。残存質量の割合が上記範囲であることにより、重合生成物の分解や変色の発生が抑制できる。例えば、医療用用途等に適する。
本実施形態のPAEK樹脂100質量%中の、安定同位体の存在しないTc(テクネチウム)、Pm(プロメチウム)を除く、周期表3族から13族元素のうち、第2から第6周期に分類されるそれぞれの元素の残存質量の割合は、100ppm以下であり、好ましくは90ppm以下、より好ましくは80ppm以下である。残存質量の割合が上記範囲であることにより、重合生成物の分解や変色の発生が抑制できる。例えば、医療用用途等に適する。
本実施形態のPAEK樹脂100質量%中の、Cl及びBrのそれぞれの残存質量の割合は、100ppm以下であり、融点以上に本樹脂を加熱した際に発生するガス成分を減少させることができる。好ましくは50ppm以下、より好ましくは20ppm以下である。残存質量の割合が上記範囲であることにより、加熱時に発生するガス成分の発生をさらに抑制することができ、当該PAEK樹脂の変色や、発生したガス成分による他の組み合わせ使用する部材の腐食を抑制する事ができる。本実施形態のPAEK樹脂は例えば、電気電子部品用途等に適する。
本実施形態のPAEK樹脂100質量%中の、Fの残存質量の割合は、2000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1400ppm以下である。残存質量の割合が上記範囲であることにより、融点以上に本樹脂を加熱した際に発生するガス成分を減少させることができる。さらに好ましくは1000ppm以下である。残存質量の割合が上記範囲であることにより、加熱時に発生するガス成分の発生をさらに抑制することができ、当該PAEK樹脂の変色を抑えることができる。特に好ましくは500ppm以下である。残存質量の割合が上記範囲であることにより、発生したガス成分による他の組み合わせ使用する部材の腐食を抑制する事ができる。このFの残存質量の割合は当該樹脂製造工程中の精製工程で減ずることが可能であり、20ppm以下まで減らすことが可能であり、前述のガス成分の発生や腐食は同等以上に抑制することが可能であり、本実施形態のPAEK樹脂は例えば、電気電子部品用途、医療用用途等に一層適する。
本実施形態のPAEK樹脂100質量%中の、Pの残存質量の割合は、100ppm以下であることが好ましく、より好ましくは90ppm以下、さらに好ましくは80ppm以下である。残存質量の割合が上記範囲であることにより、変色の発生や加熱時に発生するガス成分の発生を抑制することができる。例えば、医療用用途等に適する。
本実施形態のPAEK樹脂100質量%中の、リン酸イオン(PO 3-)の残存質量の割合は、100ppm以下であることが好ましく、より好ましくは90ppm以下、さらに好ましくは80ppm以下である。残存質量の割合が上記範囲であることにより、変色の発生や加熱時に発生するガス成分の発生を抑制することができる。例えば、医療用用途等に適する。
本実施形態のPAEK樹脂は、剛直な繰り返し単位(1-1)と柔軟な繰り返し単位(2-1)との割合(例えば、モル割合)を適宜選択することにより、高い結晶化度を維持したまま融点(Tm)を調整することが可能であり、良好な成形加工性を発現させられる。
繰り返し単位(1-1)と繰り返し単位(2-1)との割合(繰り返し単位(1-1):繰り返し単位(2-1))は、モル比で100:0~50:50の範囲であることが好ましく、100:0~52:48の範囲であることがより好ましく、100:0~55:45の範囲であることが特に好ましい。上記モル割合の範囲内で、繰り返し単位(2-1)のモル量に対する、繰り返し単位(1-1)のモル量比を大きくすることで、ガラス転移温度(Tg)、結晶化度及び融点(Tm)を高くすることが可能で、耐熱性に優れたPAEK樹脂を得ることができる。また、上記モル割合の範囲内で、繰り返し単位(2-1)のモル量に対する、繰り返し単位(1-1)のモル量比を小さくすること、融点(Tm)を比較的低温に調節することができ、成形加工性に優れるPAEK樹脂とすることができる。
本実施形態のPAEK樹脂は、繰り返し単位(1-1)と繰り返し単位(2-1)との割合を適宜最適化すること、適宜最適な数平均分子量Mnに重合度を調整することで、耐熱性と成形加工性及び成形体の強度に優れるPAEK樹脂とすることができる。
本実施形態のPAEK樹脂の数平均分子量Mnは、4000以上であることが好ましく、より好ましくは4000~30000、さらに好ましくは4000~25000、さらに好ましくは4000~20000、特に好ましくは4500~15000である。また、上記数平均分子量Mnは8000以上であることが好ましい。
数平均分子量が上記上限値以下であることにより、成形加工性に優れる。また、上記下限値以上であることにより、強度に優れる成形体を得ることができる。
なお、数平均分子量は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態のPAEK樹脂の低分子量成分の割合は、微分分子量分布曲線(dw/d(log M)とlog Mの二軸からなる)ピークのうち、ピーク全体面積値に対するMが3.1を下回る割合範囲の面積値から算出し、この割合が10%以下であることが好ましく、8%以下であることがさらに好ましく、6%以下であることがさらに好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
上記の低分子量成分の割合が上記上限値以下であることにより、変色の発生や加熱時に発生するガス成分の発生を抑制することができる。例えば、この上限値以上である場合には低分子量成分の熱分解によるガスの発生や、低分子量成分の高温化での化学変換や当該PAEK樹脂の変質に寄与することで変色や不可逆的な化学変換等が生じ、溶融加工時の粘度上昇や成形加工性の低下につながりうる。また、上記の低分子量成分の割合が上記上限値以下であることにより、強度に優れる成形体を得ることができる。
なお、微分分子量分布曲線は、後述に記載のGPCによる分子量分布測定方法で測定することができる。
本実施形態のPAEK樹脂の30℃の試験温度および濃HSO中のポリマーの0.5重量/体積%溶液を含む試験溶液を使用して、ASTM D2857に従った測定により得られる固有粘度は、0.5~3.0であることが好ましく、より好ましくは0.5~2.8であり、特に好ましくは0.6~2.7である。固有粘度の上記上限値以下であることにより、成形加工性に優れる。
本実施形態のPAEK樹脂のガラス転移温度は、120~190℃であることが好ましく、より好ましくは125~188℃、さらに好ましくは130~185℃、特に好ましくは130~170℃である。また、本実施形態のPAEK樹脂のガラス転移温度は、145℃以上であることが好ましい。
上記ガラス転移温度は、例えば、繰り返し単位(1-1)と繰り返し単位(2-1)との割合を適宜選択することで、調整することができる。
なお、ガラス転移温度は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態のPAEK樹脂の融点(Tm)は、250~400℃であることが好ましく、より好ましくは260~390℃、さらに好ましくは270~390℃である。本実施形態のPAEK樹脂の融点(Tm)は、300℃以上であることが好ましく、300~380℃であることがより好ましい。
上記融点は、例えば、繰り返し単位(1-1)と繰り返し単位(2-1)との割合を適宜選択することで、調整することができる。
なお、融点は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態のPAEK樹脂の結晶化度は、15~50%であることが好ましく、より好ましくは18~48%、さらに好ましくは20~46%である。
上記結晶化度は、例えば、繰り返し単位(1-1)と繰り返し単位(2-1)との割合を適宜選択することで、調整することができる。
なお、結晶化度は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
(ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PEAK樹脂)の製造方法)
本実施形態のPAEK樹脂の製造方法は、上述の本実施形態のPAEK樹脂を製造できる方法であれば特に限定されない。
中でも、本実施形態のPAEK樹脂の製造方法は、下記式(1-2)で表されるモノマー(1-2)と、下記式(3-1)で表されるモノマー(3-1)とを含み、さらに下記式(2-2)で表されるモノマー(2-2)を含んでいてもよいモノマー成分を、下記式(4-1)で表されるフッ素原子含有スルホン酸と下記式(5-1)で表されるフッ素原子含有酢酸無水物又は下記式(6-1)で表されるフッ素原子含有スルホン酸無水物との存在下で反応させる方法(本明細書において、製造方法(I)と称する場合がある)が好ましい。なお、上記モノマー成分には、オリゴマー成分が含まれていてもよい。
Figure 0007410310000017
Figure 0007410310000018
Figure 0007410310000019
Figure 0007410310000020
(式(4-1)中のR及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又は炭素数1~8(好ましくは炭素数1~4)のアルキル基である。)
Figure 0007410310000021
(式(5-1)中のR及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又は炭素数1~8(好ましくは炭素数1~4)のアルキル基である。)
Figure 0007410310000022
(式(6-1)中のR及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又は炭素数1~8(好ましくは炭素数1~4)のアルキル基である。)
なお、本明細書において、式(4-1)で表されるフッ素原子含有スルホン酸を、単に「フッ素原子含有スルホン酸」と称する場合がある。また、式(5-1)で表されるフッ素原子含有酢酸無水物を単に「フッ素原子含有酢酸無水物」と称する場合がある。また、式(6-1)で表されるフッ素原子含有スルホン酸無水物を、単に「フッ素原子含有スルホン酸無水物」と称する場合がある。
上記製造方法(I)は、溶液中でのフリーデルクラフツ反応型の芳香族求電子置換重縮合反応であることが好ましい。上記芳香族求電子置換重縮合反応であることにより、他の重合条件よりも比較的温和な重合条件で反応させることができる。
本実施形態の製造方法は、上記モノマー成分に対して、上記フッ素原子含有スルホン酸と上記フッ素原子含有酢酸無水物又は上記フッ素原子含有スルホン酸無水物とを添加し、昇温させ、撹拌することでPAEK樹脂を製造することができる。
本実施形態の製造方法において、上記モノマー成分に対して、上記フッ素原子含有スルホン酸と上記フッ素原子含有酢酸無水物又は上記フッ素原子含有スルホン酸無水物との存在下で反応させ始める段階(本明細書において、反応開始段階と称する場合がある)の反応温度は20~80℃であることが好ましい。特に上記フッ素原子含有スルホン酸と上記フッ素原子含有酢酸無水物の組み合わせでの反応開始段階は20℃~45℃であることが好ましい。
反応開始段階での温度での反応時間は1~10時間、総反応時間は、1.1~100時間であることが好ましい。また、反応開始段階での温度での反応時間は、総反応時間よりも短いことが好ましい。上記反応は、単一反応釜に一括して投入させ、反応することが特に好ましいが、上記モノマー成分に対して、上記フッ素原子含有スルホン酸と上記フッ素原子含有酢酸無水物又は上記フッ素原子含有スルホン酸無水物を順次段階的に加えてもよく、単一反応窯に対して任意の順序で加えることでも達成できる。また、この任意の順序は上記の順序に限定されるものではない。
フッ素原子含有スルホン酸としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸、クロロジフルオロメタンスルホン酸等があげられる。上記フッ素原子含有スルホン酸は、一種を単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
上記フッ素原子含有酢酸無水物としては、例えば、モノフルオロ酢酸無水物、ジフルオロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロ酪酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物等があげられる。上記フッ素原子含有酢酸無水物は、一種を単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
上記フッ素原子含有スルホン酸無水物としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、ノナフルオロブタンスルホン酸無水物、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸無水物、クロロジフルオロメタンスルホン酸無水物等があげられる。上記フッ素原子含有スルホン酸無水物は、一種を単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
上記フッ素原子含有スルホン酸と、上記フッ素原子含有酢酸無水物又は上記フッ素原子含有スルホン酸無水物との添加量との割合は、モル比で[フッ素原子含有スルホン酸]:[フッ素原子含有酢酸無水物又はフッ素原子含有スルホン酸無水物]=100:95~100:5の範囲であることが好ましく、100:90~100:10の範囲であることがより好ましい。
上記フッ素原子含有スルホン酸、上記フッ素原子含有酢酸無水物及び上記フッ素原子含有スルホン酸無水物の合計の添加量と、モノマー(1-2)、モノマー(2-2)及びモノマー(3-1)の合計の添加量との割合は、モル比で、[フッ素原子含有スルホン酸、フッ素原子含有酢酸無水物及びフッ素原子含有スルホン酸無水物の合計]:[モノマー(1-2)、モノマー(2-2)及びモノマー(3-1)の合計]=100:95~100:5の範囲であることが好ましく、100:90~100:10の範囲であることがより好ましい。また、上記フッ素原子含有スルホン酸の添加量と、モノマー(1-2)、モノマー(2-2)及びモノマー(3-1)の合計の添加量との割合は、モル比で、[フッ素原子含有スルホン酸]:[モノマー(1-2)、モノマー(2-2)及びモノマー(3-1)の合計]=100:90~100:5の範囲であることが好ましく、100:80~100:20の範囲であることがより好ましい。
上記モノマー成分に対して、上記フッ素原子含有スルホン酸と、上記フッ素原子含有酢酸無水物又はフッ素原子含有スルホン酸無水物とを添加し、反応させる方法とは異なり、上記フッ素原子含有スルホン酸の代わりにメタンスルホン酸やエタンスルホン酸などの有機スルホン酸を用いて反応させる場合には、モノマー(1-2)、モノマー(2-2)、反応により生成する繰り返し単位(1-1)からなるポリマー、及び繰り返し単位(2-1)からなるポリマーの溶解度が低く、析出してしまうことによって反応が停止する。そのため、GPC換算の数平均分子量Mnが4000未満のPAEK樹脂を生じることとなり、成形加工した際の力学物性が低下しやすくなる傾向がある。
上記フッ素原子含有スルホン酸と有機スルホン酸を単独または複数種類混合して用いる場合には、GPC換算の数平均分子量Mnの低下は改善し、Mnが4000以上のPAEK樹脂を得ることもできる。この際、上記フッ素原子含有スルホン酸との添加量と、有機スルホン酸の添加量の合計との割合は、モル比で、[フッ素原子含有スルホン酸]:[有機スルホン酸の合計]=100:100~100:10の範囲であることが好ましく、100:90~100:5の範囲であることがより好ましい。この際得られるPAEK樹脂の数平均分子量Mnは、4000以上であることが好ましく、より好ましくは4000~30000、さらに好ましくは4000~25000、さらに好ましくは4000~20000、特に好ましくは4500~15000である。上記数平均分子量は8000以上であることが好ましい。上記有機スルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等があげられる。上記フッ素原子含有スルホン酸および上記有機スルホン酸は、それぞれ一種を単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
上記モノマー成分に対して、上記フッ素原子含有スルホン酸(または、フッ素原子含有スルホン酸と有機スルホン酸との混合物)と、上記フッ素原子含有酢酸無水物又は上記フッ素原子含有スルホン酸無水物とを添加し、反応させる上記方法において、反応開始段階は30℃より高い温度であると、得られるポリマーはそれぞれ溶解度が低くなりにくく、析出しにくくなり、反応が途中で停止しづらい。そのため、GPC換算の数平均分子量Mnが高い(例えば4000以上、好ましくは8000以上)のPAEK樹脂を得ることができ、成形加工した際の力学物性に優れる。
上記製造方法(I)において、上記モノマー成分に加えオリゴマー成分を添加してもよい。上記オリゴマー成分としては、式(1-1)で表される繰り返し単位又は式(1-2)で表される繰り返し単位を含むオリゴマーが好ましく、下記一般式(8-1)で表されるオリゴマー、下記一般式(8-2)で表されるオリゴマー、下記一般式(8-3)で表されるオリゴマー、下記一般式(8-4)で表されるオリゴマーがより好ましい。上記オリゴマー成分は、一種を単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
また、上記製造方法(I)において、例えば、モノマー(1-2)と、モノマー(3-1)と、下記一般式(8-1)で表されるオリゴマー及び/又は下記一般式(8-2)で表されるオリゴマーとを、上記フッ素原子含有スルホン酸と、上記フッ素原子含有酢酸無水物又は上記フッ素原子含有スルホン酸無水物の存在下で反応させることによっても製造することができる。
あるいはモノマー(1-2)と、モノマー(3-1)と、下記一般式(8-3)で表されるオリゴマー及び/又は下記一般式(8-4)で表されるオリゴマーとを、上記フッ素原子含有スルホン酸と、上記フッ素原子含有酢酸無水物又は上記フッ素原子含有スルホン酸無水物の存在下で反応させることによっても製造することができる。
Figure 0007410310000023
(式中、nは0~5の整数である。)
Figure 0007410310000024
(式中、nは0~5の整数である。)
Figure 0007410310000025
(式中、nは0~5の整数である。)
Figure 0007410310000026
(式中、nは0~5の整数である。)
オリゴマー成分を用いる製造方法も、溶液中でのフリーデルクラフツ反応型の芳香族求電子置換重縮合反応であることが好ましい。上記芳香族求電子置換重縮合反応であることにより、比較的温和な重合条件で反応させることができる。
具体的には、上記モノマー成分と、一般式(8-1)で表されるオリゴマー、一般式(8-2)で表されるオリゴマー、下記一般式(8-3)で表されるオリゴマー、下記一般式(8-4)で表されるオリゴマー等のオリゴマー成分とを、上記フッ素原子含有スルホン酸と、上記フッ素原子含有酢酸無水物又は上記フッ素原子含有スルホン酸無水物との存在下で反応させ、昇温させ、撹拌することでPAEK樹脂を製造することができる。
上記フッ素原子含有スルホン酸と上記フッ素原子含有酢酸無水物又は上記フッ素原子含有スルホン酸無水物との存在下で反応開始段階温度は20~80℃であることが好ましい。特に上記フッ素原子含有スルホン酸と上記フッ素原子含有酢酸無水物の組み合わせでの反応開始段階は20℃~45℃であることがより好ましい。
反応開始段階での温度での反応時間は1~10時間、総反応時間は、1.1~100時間であることが好ましい。また、反応開始段階での温度での反応時間は、総反応時間よりも短いことが好ましい。上記反応は、単一反応釜に一括して投入させ、反応することが特に好ましいが、上記モノマー成分に対して、上記フッ素原子含有スルホン酸と上記フッ素原子含有酢酸無水物又は上記フッ素原子含有スルホン酸無水物を順次段階的に加えてもよく、単一反応窯に対して任意の順序で加えることでも達成できる。また、この任意の順序は上記の順序に限定されるものではない。
上記モノマー(1-2)と、上記モノマー(2-2)と、上記モノマー(3-1)と、上記一般式(8-1)で表されるオリゴマー及び/又は上記一般式(8-2)で表されるオリゴマーとの混合物に、上記フッ素原子含有スルホン酸と、上記フッ素原子含有酢酸無水物又は上記フッ素原子含有スルホン酸無水物とを添加し反応させる方法に対して、上記フッ素原子含有スルホン酸の代わりにメタンスルホン酸やエタンスルホン酸などの有機スルホン酸を単独で用いて反応させる場合には、モノマー(2-2)、オリゴマー(8-1)、オリゴマー(8-2)、繰り返し単位(1-1)からなるポリマー、繰り返し単位(2-1)からなるポリマーの溶解度が低く、析出してしまうことによって反応が停止する。そのため、GPC換算の数平均分子量Mnが4000未満のPAEK樹脂を生じることとなり、成形加工した際の力学物性が低下しやすくなる傾向がある。
上記モノマー(1-2)と、上記モノマー(2-2)と、上記モノマー(3-1)と、上記一般式(8-3)で表されるオリゴマー及び/又は上記一般式(8-4)で表されるオリゴマーとの混合物に、上記フッ素原子含有スルホン酸と、上記フッ素原子含有酢酸無水物又は上記フッ素原子含有スルホン酸無水物とを添加し反応させる方法に対して、メタンスルホン酸やエタンスルホン酸中を単独で用いた場合、モノマー(1-2)、オリゴマー(8-3)、オリゴマー(8-4)、繰り返し単位(1-1)からなるポリマー、繰り返し単位(2-1)からなるポリマーの溶解度が低く、析出してしまうことによって反応が停止する。そのため、GPC換算の数平均分子量Mnが4000以下のPAEK樹脂を生じることとなり、成形加工した際の力学物性が低下しやすくなる傾向がある。
上記フッ素原子含有スルホン酸と有機スルホン酸を単独または複数種類混合して用いる場合には、GPC換算の数平均分子量Mnの低下は改善し、Mnが4000以上のPAEK樹脂を得ることもできる。この際、上記フッ素原子含有スルホン酸との添加量と、有機スルホン酸の添加量の合計との割合は、モル比で、[フッ素原子含有スルホン酸]:[有機スルホン酸の合計]=100:100~100:5の範囲であることが好ましく、100:90~100:10の範囲であることがより好ましい。この際得られるPAEK樹脂の数平均分子量Mnは、4000以上であることが好ましく、より好ましくは4000~30000、さらに好ましくは4000~25000、さらに好ましくは4000~20000、特に好ましくは4500~15000である。上記数平均分子量Mnは、8000以上であることが好ましい。
上記一般式(8-1)~(8-4)で表されるオリゴマーの製法は、(1-2)で表されるモノマー(1-2)と、下記式(3-1)で表されるモノマー(3-1)とを含み、さらに下記式(2-2)で表されるモノマー(2-2)を含んでいてもよいモノマー成分を、下記式(4-1)で表されるフッ素原子含有スルホン酸と下記式(5-1)で表されるフッ素原子含有酢酸無水物又は下記式(6-1)で表されるフッ素原子含有スルホン酸無水物との存在下で反応させる方法から調製したものを用いることが好ましい。
(ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK樹脂)を含む組成物)
本実施形態の組成物は、上述の本実施形態のPAEK樹脂を含む。
本実施形態の組成物は、さらに添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤としては、2,4,8,10-テトラ(tert-ブチル)-6-ヒドロキシ―12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン 6-オキシドナトリウム塩(CAS番号:85209-91-2)、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト(119345-01-6)などが挙げられるが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
本実施形態の組成物100質量%中の上述の本実施形態のPAEK樹脂の質量割合としては、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
(ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK樹脂)を含む成形品)
本実施形態のPAEK樹脂は、金属密着性に優れる。さらに、耐熱性に優れ、高いガラス転移温度(Tg)を有するとともに、高い結晶性を保持したまま融点(Tm)を調整することが可能であり、良好な成形加工性を有することが好ましい。
本実施形態のPAEK樹脂は、ニートレジンとしての使用の他にも、ガラス繊維、炭素繊維、セルロース繊維、フッ素樹脂等をコンパウンドして複合材料としての使用が可能である。
本実施形態のPAEK樹脂は成形加工することで、ペレット、フィルム、ロッド、ボード、フィラメント等の一次加工品や、各種射出成形品あるいは切削加工品により、例えば、ギア、コンポジット、インプラント、3Dプリント成形品等の二次加工品とすることができる。
本実施形態のPAEK樹脂を含む成形品は、特にその用途を限定するものではないが、上述のように、本来、PAEK樹脂の構成元素に含まれない、アルミニウムや鉄等に代表される金属元素や、リン元素およびリン酸イオン(PO 3-)、塩素等の不要元素の含有量が低いため、従来のPEAK樹脂成形品の用途である、自動車、航空機等の他にも、元素含有量規制のある電気電子材料や、健康・安全上を考慮する必要が特に高い医療用部材等での利用が可能である。
以下に実施例を挙げて本発明の詳細をさらに述べるが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(評価)
[ガラス転移温度(Tg)及び結晶融点(Tm)]
実施例及び比較例にて得たPAEK樹脂について、NETZSCH製DSC装置(DSC3500)を用いて、アルミニウムパンに重合後に特別な熱処理をしていない状態の試料5mgを採取したのち、20mL/minの窒素気流下、20℃/minの昇温条件で50℃から400℃までの測定を行い、10℃/minの条件で400℃から50℃まで降温する条件プログラムにより測定した。特に断りのない限りガラス転移温度(Tg)及び結晶融点(Tm)は、上記の昇温条件で測定開始してから2周目のプログラムサイクルに検出されるガラス転移点の変曲点及び融点ピークのピークトップの温度として求めた。
[結晶化度]
実施例及び比較例にて得たPAEK樹脂について、NETZSCH製DSC装置(DSC3500)を用いて、アルミニウムパンに重合後に特別な熱処理をしていない状態の試料5mgを採取したのち、20mL/minの窒素気流下、20℃/minの昇温条件で50℃から400℃まで加熱し、次に5℃/minの降温条件で50℃まで冷却した後、20℃/minの昇温条件で50℃から400℃まで測定を行い、融解熱量を求め、次式で結晶化度を計算した。
結晶化度(%)=ΔHm/ΔHc×100
ここで、ΔHmは試料PAEK樹脂の融解熱量であり、ΔHcはPEEK樹脂の完全結晶の融解熱量である130J/gを用いた。
[分子量分布測定]
実施例及び比較例にて得たPAEK樹脂について、東ソー株式会社製GPC装置(HPLC8320)、装置コントロールソフトは、HLC-83220GPC EcoSEC System Control Version1.14を使用し、検出器は同装置標準装備のRI検出器を用い、溶離液にトリフルオロ酢酸ナトリウム塩を0.4質量%溶解させたヘキサフルオロイソプロパノールを用いて測定した。標準物質にはポリメタクリル酸メチル(PMMA)を使用した。測定結果の解析はHLC-83220GPC EcoSEC Data Analysis Version1.15を用い、ベースラインはクロマトグラフのピークの立ち上がりベースラインから立下りベースラインまでで引き、得られたピークよりそれぞれ数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分子量分布Mw/Mnを標準物質のPMMA検量線より換算して算出した。
[元素分析]
実施例及び比較例にて得たPAEK樹脂試料約0.1gをテトラフルオロメタキシール(TFM)製分解容器に精秤し、硫酸及び硝酸を加えて、マイクロウェーブ分解装置で加圧酸分解を行った。得られた分解液を50mLに定容して、ICP-MS測定に供した。ICP-MS測定には、アジレント・テクノロジー社製装置(Agilent 7900)を使用し、安定同位体の存在しないTc(テクネチウム)、Pm(プロメチウム)を除く、周期表3族から13族元素のうち、第2から第6周期に分類される元素を定量した。また、塩素及び臭素元素の分析にはDionex社イオンクロマトグラフ(ICS-1500)を使用して定量した。
[残留リン酸イオン(PO 3-)の定量]
後述の実施例及び比較例にて得たPAEK樹脂試料の粉末約1gを精秤し、ソックスレー抽出器を用いて、水およびエタノールそれぞれを用いて24時間抽出し、抽出物をエバポレーターで濃縮後、100℃で6時間真空乾燥した。Dionex社イオンクロマトグラフ(Model 10)を使用し、同社の低交換容量陰イオン交換樹脂を充填したプレカラムと分離カラム及び高交換容量イオン交換樹脂を用いて充填した除去カラムを連結して用いた。データ処理はPerkin-Elmer社製のラボデータシステムSigma10を接続して用いた。試薬はいずれも特級品をそのまま用いた。試料は溶離液溶液としてサンプリングループから注入した。溶離液は0.003M炭酸水素ナトリウム―0.0024M炭酸ナトリウム(pH 10.3)を用い、上記でソックスレー抽出により得た残留物を溶解させ分析を行った。本条件でのリン酸イオン由来のピークトップ保持時間は10.0分から11.5分に観測される。定量はここで得られたクロマトグラフのピークの立ち上がりベースラインから立下りベースラインまでの間でのピーク面積値から行った。
[金属密着性評価]
後述の実施例及び比較例のPAEK樹脂について、窒素下にてDSC測定によって明らかとしたそれぞれの結晶融点に20℃を加えた温度で溶融させ、平滑なSUS304板に対してインサート成形により接合し、SUS304-PAEK樹脂試験片をISO19095に基づき引張せん断試験により得られたせん断強度から密着性を評価した。また、JIS K6850を用いて引張せん断試験により、接合したPAEK樹脂部重量(接合樹脂総重量)に対する、せん断試験後のSUS304-PAEK樹脂接合部に密着残留したPAEK樹脂の重量(残留樹脂重量)の割合からも密着性を評価した
[NMRによるPAEK樹脂中のケトン基及びエーテル基数の定量]
後述の実施例及び比較例にて得たPAEK樹脂について、HFIP-dにPAEK樹脂を溶解させ、日本電子製NMR装置(ECZ-500)を使用し、13Cを観測核、待ち時間を5秒、測定温度を25℃、積算回数を250,000回の条件で測定し、樹脂中に含まれる全繰り返し単位炭素に由来する積分値数の和に対する、ケトン基炭素に由来する積分値数又はエーテル基イプソ炭素に由来する積分値の和の半数から、それぞれポリマー中の繰り返し単位中のケトン基数及びエーテル基数を算出した。化学シフトはHFIP-dの化学シフト(68.95ppm)を標準として用い、ケトン基炭素に由来するシグナル及びエーテル基イプソ芳香環炭素に由来するシグナルは、別途dept135°で消失する第四級炭素に由来するシグナルであることを確認し、それぞれの定量には195~205ppm及び155~165ppmに観測されるシグナルを基に算出した。
又は、ペンタフルオロフェノールにPAEK樹脂を40℃で溶解させ、HFIP-d入りの細管を内部標準として導入し、ECZ-500を使用し、13Cを観測核、待ち時間を5秒、測定温度を40℃、積算回数を250,000回の条件で測定し、繰り返し単位炭素に由来する積分値数の和に対するケトン基炭素に由来する積分値数又はエーテル基イプソ炭素に由来する積分値の和の2/3から、それぞれポリマー中の繰り返し単位中のケトン基数及びエーテル基数を算出した。化学シフトはHFIP-dの化学シフト(68.95ppm)を標準として用い、ケトン基炭素に由来するシグナル及びエーテル基イプソ芳香環炭素に由来するシグナルは、別途dept135°で消失する第四級炭素に由来するシグナルであることを確認し、それぞれの定量には195~205ppm及び155~165ppmに観測されるシグナルを基に算出した。
(実施例1)
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸100gとジフェニルエーテル103g、トリフルオロメタンスルホン酸339g、トリフルオロ酢酸無水物315gを仕込み、窒素雰囲気下で35℃まで昇温させ6時間撹拌した。その後、60℃まで昇温させ6時間撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量及び分子量分布を測定したところ、Mnが10,400、Mwが58,200、Mw/Mnが5.6であり、実施例1にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例1に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例2)
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸90gとイソフタル酸10gとジフェニルエーテル103g、トリフルオロメタンスルホン酸339g、トリフルオロ酢酸無水物315gを仕込み、窒素雰囲気下で35℃まで昇温させ6時間撹拌した。その後、60℃まで昇温させ6時間撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量分布を測定したところ、Mnが10,000、Mwが40,400、Mw/Mnが4.0であり、実施例2にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例2に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例3)
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸80gとイソフタル酸20gとジフェニルエーテル103g、トリフルオロメタンスルホン酸339g、トリフルオロ酢酸無水物315gを仕込み、窒素雰囲気下で35℃まで昇温させ6時間撹拌した。その後、60℃まで昇温させ6時間撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量分布を測定したところ、Mnが10,000、Mwが38,400、Mw/Mnが3.8であり、実施例3にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例3に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例4)
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸70gとイソフタル酸30gとジフェニルエーテル103g、トリフルオロメタンスルホン酸339g、トリフルオロ酢酸無水物315gを仕込み、窒素雰囲気下で35℃まで昇温させ6時間撹拌した。その後、60℃まで昇温させ6時間撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量分布を測定したところ、Mnが10,000、Mwが31,400、Mw/Mnが3.1であり、実施例4にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例4に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例5)
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸50gとイソフタル酸50gとジフェニルエーテル103g、トリフルオロメタンスルホン酸339g、トリフルオロ酢酸無水物315gを仕込み、窒素雰囲気下で35℃まで昇温させ6時間撹拌した。その後、60℃まで昇温させ6時間撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量分布を測定したところ、Mnが10,100、Mwが30,900、Mw/Mnが3.1であり、実施例5にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例5に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例6)
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸90gと一般式(7-1)でオリゴマー(n=1)37gとジフェニルエーテル92g、トリフルオロメタンスルホン酸339g、トリフルオロ酢酸無水物315gを仕込み、窒素雰囲気下で35℃まで昇温させ6時間撹拌した。その後、60℃まで昇温させ6時間撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量分布を測定したところ、Mnが10,000、Mwが38,400、Mw/Mnが3.8であり、実施例6にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例6に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例7)
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸100gとジフェニルエーテル103g、トリフルオロメタンスルホン酸339g、トリフルオロ酢酸無水物315gを仕込み、窒素雰囲気下で30℃まで昇温させ24時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量分布を測定したところMnが5,400、Mwが19,400、Mw/Mnが3.6であり、実施例7にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例7に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例8)
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸100gとジフェニルエーテル103g、トリフルオロメタンスルホン酸339g、トリフルオロ酢酸無水物315gを仕込み、窒素雰囲気下で50℃まで昇温させ12時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量分布を測定したところ、Mnが4,800、Mwが16,000、Mw/Mnが3.3であり、実施例8にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例8に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例9)
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸100gとジフェニルエーテル103g、トリフルオロメタンスルホン酸2886g、トリフルオロ酢酸無水物315gを仕込み、窒素雰囲気下で35℃まで昇温させ6時間撹拌した。その後、60℃まで昇温させ6時間撹拌した。その後、室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量分布を測定したところ、Mnが4,700、Mwが15,800、Mw/Mnが3.4であり、実施例9にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例9に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1に示した。
(実施例10)
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸100gとジフェニルエーテル103g、トリフルオロメタンスルホン酸271g、トリフルオロメタンスルホン酸無水物357gを仕込み、窒素雰囲気下で35℃まで昇温させ6時間撹拌した。その後、60℃まで昇温させ6時間撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量及び分子量分布を測定したところ、Mnが4,600、Mwが15,640、Mw/Mnが3.4であり、実施例10にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、実施例10に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表1に示した。
(比較例1)
[五酸化ニリンを使用した重合例]
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、トリフルオロメタンスルホン酸1915gとテレフタル酸100gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後これに、ジフェニルエーテル103gと五酸化ニリン205gを撹拌したフラスコに仕込み、100℃まで昇温後、4時間撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量分布を測定したところ、Mnが10,400、Mwが41,600、Mw/Mnが4.0であり、比較例1にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、比較例1に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表2に示した。
(比較例2)
[酸クロリドモノマー及び無水塩化アルミニウム触媒を使用した重合例]
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸ジクロリド122gとジフェニルエーテル103g、o-ジクロロベンゼン525gを仕込み、窒素雰囲気下で5℃以下を保ちながら無水三塩化アルミニウム204gを加え、0℃で30分撹拌した。その後、o-ジクロロベンゼン2000gを加え、130℃で1時間撹拌し、室温まで冷却後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、残留した反応懸濁液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量分布を測定したところ、Mnが8,000、Mwが28,400、Mw/Mnが3.6であり、比較例3にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、比較例2に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表2に示した。
(比較例3)
[酸クロリドモノマー及び無水塩化アルミニウム触媒を使用した重合例]
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸ジクロリド85gとイソフタル酸ジクロリド37gとジフェニルエーテル103g、o-ジクロロベンゼン525gを仕込み、窒素雰囲気下で5℃以下を保ちながら無水三塩化アルミニウム204gを加え、0℃で30分撹拌した。その後、o-ジクロロベンゼン2000gを加え、130℃で1時間撹拌し、室温まで冷却後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、残留した反応懸濁液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量分布を測定したところ、Mnが8,700、Mwが28,400、Mw/Mnが3.3であり、比較例3にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、比較例3に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表2に示した。
(比較例4)
比較例4にかかわるPEKK樹脂として、Goodfellow社製:PEKKを準備し、GPCを用いた分子量分布測定、ガラス転移温度(Tg)、結晶融点(℃)及び結晶化度等を測定し、結果を表2に示した。
(比較例5)
比較例5にかかわるPEEK樹脂として、Aldrich社製:PEEKを準備し、ガラス転移温度(Tg)、結晶融点(℃)及び結晶化度を測定し、結果を表2示した。
(比較例6)
[ジフェニルエーテルの代わりにビフェニルを使用した重合例]
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸100gとビフェニル92.4g、トリフルオロメタンスルホン酸339g、トリフルオロ酢酸無水物315gを仕込み、窒素雰囲気下で35℃まで昇温させ6時間撹拌した。その後、60℃まで昇温させ6時間撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量及び分子量分布を測定したところ、Mnが9,400、Mwが50,200、Mw/Mnが5.3であり、比較例6にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、比較例6に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表2に示した。
(比較例7)
[ジフェニルエーテルの代わりに1,4-ジフェノキシベンゼンを使用した重合例]
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸100gと1,4-ジフェノキシベンゼン157g、トリフルオロメタンスルホン酸339g、トリフルオロ酢酸無水物315gを仕込み、窒素雰囲気下で35℃まで昇温させ6時間撹拌した。その後、60℃まで昇温させ6時間撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量及び分子量分布を測定したところ、Mnが10,400、Mwが51,200、Mw/Mnが4.9であり、比較例7にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、比較例7に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表2に示した。
(比較例8)
[数平均分子量Mnの低下を指向した重合例]
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、トリフルオロメタンスルホン酸1915gとテレフタル酸100gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後これに、ジフェニルエーテル103gと五酸化ニリン205gを撹拌したフラスコに仕込み、100℃まで昇温後、1時間撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量分布を測定したところ、Mnが5,000、Mwが15,600、Mw/Mnが3.1であり、比較例8にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、比較例8に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表2に示した。このサンプルの元素分析の結果ではリン元素が1100ppm検出され、残留リン酸イオン(PO 3-)分析ではリン酸イオンが1500ppm検出された。
(比較例9)
窒素導入管、温度計、還流冷却管、及び撹拌装置を備えた4つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸100gとジフェニルエーテル103gを仕込み、窒素雰囲気下でトリフルオロメタンスルホン酸無水物1000gを加え、60℃で30分間攪拌後、トリフルオロメタンスルホン酸192.3gを加えて、そのままの温度で6時間撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌した1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、ろ過した。さらに、ろ別したポリマーを蒸留水とエタノールで2回ずつ洗浄した。その後、ポリマーを150℃の真空下で8時間乾燥させた。GPCを用いて分子量及び分子量分布を測定したところ、微分分子量分布はベースラインで分離した二峰性のピークを与える曲線を示し、それぞれを独立のピークとして解析するとMnが2,280および396、Mwが2,400および492、Mw/Mnが1.1および1.2であり、比較例9にかかわるPAEK樹脂が得られていることを確認できた。
また、比較例9に関するPAEK樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶融点(Tm)及び結晶化度を測定し、結果を表2に示した。
[元素分析値、残留リン酸イオン分析値]
実施例1~10及び比較例1~4、8、9のPAEK樹脂について、各種元素分析、残留リン酸イオン分析の結果を表3に示した。実施例1~10のPAEK樹脂は、安定同位体の存在しないTc(テクネチウム)、Pm(プロメチウム)を除く、周期表3族から13族元素のうち、第2から第6周期に分類される全元素、Cl、Br、及びPの残存量、さらには残留リン酸イオン量がいずれも100ppm以下であった。
[金属密着性評価結果]
実施例1~10及び比較例1~9のPAEK樹脂について、金属密着性評価、すなわち、引っ張りせん断強度から密着性を評価しし、その結果を表4および表5に示した。
[NMRによるPAEK樹脂中のケトン基及びエーテル基数の定量結果]
実施例1~10及び比較例1~9のPAEK樹脂について、NMR測定により定量したポリマー中の繰り返し単位の炭素の総数に対するケトン基及びエーテル基の定量値を表4および表5に示した。
実施例1~10のPAEK樹脂は、表1に示されるように130~170℃のガラス転移温度(Tg)、300~390℃の結晶融点(Tm)に調整することができ、市販のPAEK樹脂(表2、比較例4及び5)と同等の耐熱性に優れた樹脂である。
また、実施例1~10のPAEK樹脂は、表3に示されるように従来の芳香族求電子置換型の重縮合反応によるPAEK樹脂の製造方法で課題となっていたAl、Cl、P等の不要元素をほとんど含まないことが判る。テレフタルロイル骨格とイソフタロイル骨格の割合が同一の比較例1~4と比較して、結晶融点(Tm)が低く、良好な成形加工性を有することが判る。
特に実施例1~6のPAEK樹脂は、比較例1~4と比較して引っ張りせん断強度が向上しており、その値は比較例5のPEEK樹脂より高いことが判る。この結果は、実施例1~4のPAEK樹脂の結晶融点が、繰り返し組成が同等な比較例1~4に比べて低下したことで、樹脂自身のせん断応力の向上に寄与したものと考えられる。
また、引っ張りせん断強度からPAEK樹脂-金属間での密着性を評価したところ、実施例1~4のPAEK樹脂の密着性は、繰り返し組成が同等な比較例1~4に比べて優れ、比較例5と比べて良好であることが判る。また、実施例1~6では、せん断試験後のSUS304-PAEK樹脂接合部に密着残留したPAEK樹脂の重量の割合は、比較例1~7と比較して高いことが判る。これらの結果は、実施例1~6のPAEK樹脂が比較例5のPEEK樹脂と比べて、繰り返し単位中のケトン基数量が多いことにより、極性官能基数が増加したことによって、せん断試験後のSUS304-PAEK樹脂接合部に密着残留したPAEK樹脂の重量の割合も増え、金属への密着性が向上していることを確認している。
一方で、実施例7~10のPAEK樹脂は、実施例1~6のPAEK樹脂と比較してせん断強度と金属密着性が低下していることが判る。この結果は、実施例7~10のPAEK樹脂が実施例1~6のPAEK樹脂と比べて、数平均分子量Mnが低下したことにより、もろくなったことを反映したものと考えられる。
さらに、実施例1~10のPAEK樹脂は、比較例6及び7と比較して、せん断試験後のSUS304-PAEK樹脂接合部に密着残留したPAEK樹脂の重量の割合が良好であることが判る。比較例6の結果は、繰り返し単位中のケトン基数量が同じ実施例1~9と同等であるがエーテル基が含まれないため、極性官能基数が減少したことによって金属への密着性が低下したためと考えられる。比較例7の結果は、繰り返し単位中のケトン基数量とエーテル基数量の和が同等であるにもかかわらず、金属密着性が低下している。これらの事実から、良好な金属密着性が発現する為には、繰り返し単位中に9.5モル%以上のケトン基数量と4.5モル%以上のエーテル基数量が必要である。
実施例7~10は、不要元素や残留リン酸イオン量以外の条件が同程度である比較例8よりも高いせん断強度、せん断試験後のSUS304-PAEK樹脂接合部に密着残留したPAEK樹脂の重量の割合が良好であり、優れた効果が得られる。
実施例7~10は、残留元素の分析値が同等で、数平均分子量Mnが低下している比較例9よりも高いせん断強度、せん断試験後のSUS304-PAEK樹脂接合部に密着残留したPAEK樹脂の重量の割合が良好であり、優れた効果が得られる。
Figure 0007410310000027
Figure 0007410310000028
Figure 0007410310000029
Figure 0007410310000030
Figure 0007410310000031
Figure 0007410310000032

Claims (8)

  1. 下記(A)~(D)を満たし、
    樹脂中に含まれる全繰り返し単位中の全炭素数に対する、全繰り返し単位中のケトン基のモル割合が9.5モル%以上でありかつ全繰り返し単位中のエーテル基のモル割合が4.5モル%以上であり、
    数平均分子量Mnが8000以上である、
    ことを特徴とする、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂。
    (A)安定同位体の存在しないTc(テクネチウム)、Pm(プロメチウム)を除く、周期表3族から13族元素のうち、第2から第6周期に分類されるそれぞれの元素の残存量が100ppm以下である
    (B)Cl及びBrのそれぞれの元素の残存量が100ppm以下である
    (C)Pの残存量が100ppm以下である
    (D)下記一般式(1-1)で表される繰り返し単位(1-1)を含み、さらに下記一般式(2-1)で表される繰り返し単位(2-1)を含んでいてもよい。
  2. 下記(A)(B)(C’)(D)を満たし、
    樹脂中に含まれる全繰り返し単位中の全炭素数に対する、全繰り返し単位中のケトン基のモル割合が9.5モル%以上でありかつ全繰り返し単位中のエーテル基のモル割合が4.5モル%以上であり、
    数平均分子量Mnが8000以上である、
    ことを特徴とする、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂。
    (A)安定同位体の存在しないTc(テクネチウム)、Pm(プロメチウム)を除く、周期表3族から13族元素のうち、第2から第6周期に分類されるそれぞれの元素の残存量が100ppm以下である
    (B)Cl及びBrのそれぞれの元素の残存量が100ppm以下である
    (C’)リン酸イオン(PO 3-)の残存量が100ppm以下である
    (D)下記一般式(1-1)で表される繰り返し単位(1-1)を含み、さらに下記一般式(2-1)で表される繰り返し単位(2-1)を含んでいてもよい
  3. 前記Cl元素の残存量が20ppm以下である、請求項1又は2に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂。
  4. 前記繰り返し単位(1-1)と、前記繰り返し単位(2-1)との割合(繰り返し単位(1-1):繰り返し単位(2-1))が、モル比で100:0~50:50の範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂。
  5. ガラス転移温度が145℃以上であり、かつ融点が300℃以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂。
  6. 下記式(1-2)で表されるモノマー(1-2)と、下記式(3-1)で表されるモノマー(3-1)とを含み、さらに下記式(2-2)で表されるモノマー(2-2)を含んでいてもよいモノマー成分を、下記一般式(4-1)で表されるフッ素原子含有スルホン酸と下記一般式(5-1)で表されるフッ素原子含有酢酸無水物又は下記一般式(6-1)で表されるフッ素原子含有スルホン酸無水物との存在下で反応させることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法。
    (式中のR及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又は炭素数1~8のアルキル基である。)
    (式中のR及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又は炭素数1~8のアルキル基である。)
    (式中のR及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又は炭素数1~8のアルキル基である。)
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂を含むことを特徴とする、組成物。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂を含むことを特徴とする、成形品。
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