JP2010001446A - ヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホンとその製造方法 - Google Patents

ヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホンとその製造方法 Download PDF

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昭紀 鹿又
Koji Yamauchi
幸二 山内
Shunsuke Horiuchi
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Hiroaki Sakata
宏明 坂田
Shiro Honda
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Abstract

【課題】 熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のアロイ化剤として好適な、反応性ヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン、および該芳香族ポリエーテルスルホンを経済的且つ簡易な方法で短時間に効率よく製造する方法を提供することを課題とする
【解決手段】 アロイ化剤として好適なヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホンを、あらかじめ重合により得た芳香族ポリエーテルスルホンと二価フェノール化合物、および塩基性化合物を非プロトン性極性溶媒中で加熱することを特徴とするヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は従来の製造方法では製造困難であったヒドロキシフェニル末端基を多量に含有する芳香族ポリエーテルスルホン(以下PESと略す)とその製造方法に関する。より詳しくは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂アロイ用として相溶化効果に優れる高ヒドロキシフェニル末端基含量であり、かつ高純度のPESと、該ポリマーを経済的且つ簡易な方法で効率よく製造する方法に関する。
PESは、その優れた耐熱性、機械特性、電気的特性、難燃性、耐薬品性、耐加水分解性、耐放射線性、低誘電特性、成形加工性により、射出成形用の回路基盤、光ディスク、磁気ディスク等のディスク用支持板、電気絶縁性保護膜、集積回路用層間絶縁膜、集積回路基盤材料などの電気、電子部品、自動車部品、航空機部品および医療用機器部品などに幅広く用いられている。
また、前記優れた性質を活かし、PESを熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂に配合することにより、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の性能を向上させる改質剤としても、幅広く使用されている。
PESをアロイ化する方法としては、例えば、(1)熱可塑性樹脂とPESを溶融混練する方法、(2)熱可塑性樹脂とPESを溶媒中でアロイ化する方法のほか、(3)熱硬化性樹脂のプレポリマーにPESを溶媒中、あるいは溶媒非存在下において溶解させ、その後、硬化させることによりアロイ化する方法などが知られている。
(1)熱可塑性樹脂アロイとしては、ポリカーボネートにPESを特定組成でアロイ化し、モルフォロジーを制御することにより、ポリカーボネートの耐薬品性を向上させ、かつPESの成形性を改良する方法が開示されている(特許文献1)。
(2)熱可塑性樹脂とPESを溶媒中でアロイ化する例として、ポリアミドイミド樹脂にPESをNMP溶液中でアロイ化させ、ポリアミドイミド樹脂の可とう性や耐衝撃性を改良する方法が開示されている(特許文献2)。
(3)熱硬化性樹脂のプレポリマーにPESを溶解させ、硬化させることによりアロイ化する例として、エポキシ樹脂やマレイミド樹脂などの熱硬化性樹脂にPESをアロイ化することにより強靱性を向上させる方法や、熱感光性樹脂や配線板用材料として使用されるエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの熱硬化性樹脂にPESをアロイ化することにより、マトリックスの熱硬化性樹脂本来の特性を維持し、機械物性を向上させる方法が開示されている(特許文献3、4)。
アロイ化による樹脂組成物の品質向上のためには、各ポリマー成分の相分離構造を微細化する必要があるが、前記(1)〜(3)の技術では、マトリックスとなる樹脂中にPESが粗大分散しているのが現状であり、アロイ化による品質向上には、さらなる微分散化技術が必要であった。
ポリマーの分散性を向上させる方法として、一般的には相溶化剤を使用する方法やアロイ成分を化学反応により分子レベルで結合させることにより、分散性を向上させたり、さらには相溶化させることが知られており、これらの知見は、例えば高分子学会編、東京化学同人出版の「ポリマーアロイ 基礎と応用」などの総説にレビューされている。
特許文献5では、前記(3)で述べた方法により、熱硬化性樹脂マトリックス中にPESを、より微分散化させるために熱硬化性樹脂マトリックスの原料として多官能のエポキシ樹脂を用い、PESのポリマー末端にエポキシ基と反応しうる官能基、例えばヒドロキシフェニル末端基を導入することにより、ポリマー間での反応を促進させ、PESを熱硬化性樹脂マトリックス中に微分散化させる方法が開示されている。また本技術を用いたエポキシ樹脂組成物からなる繊維強化複合材料は、PESがマトリックス樹脂中に微分散化されており、さらに該材料の剛性(例えば圧縮強度)、および靭性(例えば、衝撃後圧縮強度)に優れることが開示されている。
同様に特許文献6、7ではPESのポリマー末端にエポキシと反応しうる官能基として、アミノフェニル末端基を導入し、同様の効果が発現することが開示されている。
一般にPESは、有機極性溶媒中、アルカリ金属化合物の存在下、ジハロゲノジフェニルスルホン化合物と二価フェノール化合物との重縮合反応、あるいは、二価フェノール化合物のアルカリ金属二塩をあらかじめ合成しておいて、ジハロゲノジフェニル化合物との重縮合反応によって得られることが知られている(特許文献8、9、10)。
通常重縮合反応は、高分子量化するためには二価フェノール化合物に対し、ジハロゲノジフェニル化合物は、通常等モル使用され、この時、理論上ポリマー末端の一方はヒドロキシフェニル末端基、もう片一方がハロゲノフェニル末端基となる。しかしながら、従来技術により重合されるPESは、溶融粘度が高く、通常の押出成形、射出成形可能なエンジニアリングプラスチックに比べると、加工性に課題があった。すなわちガラス転移温度の高い材料であるため、高温条件での溶融加工が必要となり、そのため溶融加工の段階で、溶融粘度が増加することが知られていた。これは、従来の技術で重合されるPESの末端には活性の高いヒドロキシフェニル末端基が含まれており、加熱によってハロゲノフェニル末端と反応したり、あるいはヒドロキシフェニル末端基の熱劣化や酸化劣化によるものと考えられている。
そのため、PESのヒドロキシフェニル末端基を低減し、溶融安定性を向上させる方法として、例えば特許文献11、12では、2価フェノール化合物、アルカリ金属塩、およびジハロゲノジフェニルスルホンからPESを重合後、クロロメタンを反応させることにより、反応活性なヒドロキシフェニル末端基を封鎖する方法や、特許文献13には、ジハロゲノジフェニルスルホンを二価フェノール化合物よりも過剰に用いて重合後、さらに過剰分のハロゲノフェニル末端に対して、当量以上の1価フェノール化合物を添加して末端封鎖することにより、反応不活性なフェニル基を導入し、溶融可能性を改善する方法が開示されている。
また特許文献14では、重合時の副反応を抑制し、ポリマーの溶融安定性を向上させることに着想し、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを重合溶媒として用いる方法も開示されている。
前述のように、PESの溶融加工性を改良するため様々な工夫が実施されてきたが、その中でも溶融加工性を低下させる原因となるヒドロキシフェニル末端基を低減、あるいは封鎖し、反応不活性なハロゲノフェニル末端にすることが好ましい。しかしながら、PESを熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のアロイ用改質材として使用する場合は、反応活性なヒドロキシフェニル末端基を有するPESの方が、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂との反応を促進することが可能となるため、好ましいと考えられるが、ポリマーそのものの製造の問題だけでなく、アロイ化の際の溶融加工性が悪いという問題があった。ポリマー製造面や溶融加工性に優れる、反応不活性なハロゲノフェニル末端のPESをアロイ化剤として使用した場合、前記特許文献1〜3に記載したように、PESが熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中に分散せず、粗大分散するという課題があった。
一方、特許文献5では、ヒドロキシフェニル末端基のPESを製造する方法については、詳細の記載がないものの、通常公知の方法、すなわち二価フェノール化合物をジハロゲノジフェニルスルホンを原料とした重縮合により製造されている。通常公知の重縮合は、その重縮合理論から二価フェノール化合物をジハロゲノジフェニルスルホンよりも過剰に用いて重合したり、あるいは重合終了時にハロゲノフェニル末端に対して、当量以上の二価フェノール化合物を添加することにより、ハロゲノフェニル末端基よりも、反応活性なヒドロキシフェニル末端基を当量以上導入することが可能となる(理論上、ジハロゲノジフェニルスルホンと二価フェノール化合物の仕込み比が1:1と、当量の場合に、最も高分子量化が可能となり、その時の末端基組成は、ハロゲノフェニル末端基:ヒドロキシフェニル末端基=50:50(モル%)となる)。しかしながら、仕込み比を1:1と、当量仕込んだ場合でも、重合条件によっては、重合途中の成長末端となるアルカリ金属のフェノキシドや二価フェノール化合物のアルカリ金属塩などは、重合時に容易に酸化され、重合時に着色するという課題や、重合時の酸化反応により、仕込みモルバランス、成長末端基バランスが崩れ、高分子量化が困難になるという課題、ハロゲノフェニル末端基量がヒドロキシフェニル末端基量よりも多くなるという課題など、酸化反応により理想的な重縮合反応が妨げられ、分子量制御やヒドロキシ末端基量制御が困難という課題があった。さらに反応性のヒドロキシフェニル末端基量を高めるために、積極的に過剰の二価フェノール化合物を使用した場合では、重縮合理論で知られている通り、2成分のモノマーのモルバランスをずらすことにより、末端基量を微増加することが可能となるものの、同時にポリマー分子量が著しく低下するという課題があった。すなわちヒドロキシフェニル末端基量の増加とポリマー分子量の減少が、同時に進行するという重縮合方法の本質的問題があった。
また特許文献13(特に4頁18行目以降)に開示されている方法を参考に、重合終了時に二価フェノール化合物を添加し、二価フェノール化合物により末端を封鎖する方法を、本発明者らは検討したが、この場合は、ポリマー中のクロロフェニル末端と二価フェノール化合物の重合が進行し、目的とする高ヒドロキシフェニル末端化が進行せず、むしろ二価フェノールの後添加による酸化反応による分解や着色が進行するという問題があった。
さらに、前記のごとく、積極的に過剰の二価のフェノール化合物を重合開始前、重合終了時に使用した場合、得られたPES中に、過剰に加えた酸性の二価フェノール化合物や二価フェノール化合物のアルカリ金属塩、およびアルカリ金属塩そのもののが、ポリマー中に残存し、ポリマーの熱安定性、滞留安定性を低下させるという問題、ヒドロキシフェニル末端基との相互作用により、精製・除去がより困難になるという問題があった。通常、PESは、重合反応後、重合反応溶液をPESを析出させる貧溶媒中に投下することにより、白色固体を析出させ、洗浄・濾過等のクリーン化を実施して、あるいは濾過等を実施することなく、ポリマー粉末を回収するが、ヒドロキシフェニル末端基量を増加させることにより、同時にポリマー分子量を低分子量化させると、高分子量PESのように粉体状態として回収することが困難になり、場合によっては貧溶媒中で軟化し、塊の状態でポリマーが回収されるという課題があった。このようにポリマーを貧溶媒に析出させる段階において、粉体状態として回収することが困難なため、ヒドロキシフェニル末端基を増加させるために、過剰に加えた酸性の二価フェノール化合物や二価フェノール化合物のアルカリ金属塩、あるいはアルカリ金属塩そのものの再沈殿精製・未反応モノマーの除去工程において生産性が顕著に低下するという問題のほか、ヒドロキシフェニル末端基を有するPES中にアルカリ金属塩が残存するという課題があった。このようなPESを熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂とアロイ化すると、熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂の種類によっては、熱分解、アロイ化による着色、加水分解が加速したり、滞留安定性が低下したり、あるいは電気特性が顕著に低下するという問題があり、アロイ用改質剤として使用するには、さらなる純度向上が必要であった。
一方、特許文献6(12頁右上15行)、7(10頁右上10行)のいずれも、ヒドロキシフェニル末端基よりも、エポキシとの反応性が高いアミノ末端基を導入したPESにより、前記特許文献5と同様の効果が得られることが開示されている。本特許文献6で使用されているアミノ基を導入したPESは、ジハロゲノジフェニルスルホンと二価フェノール化合物のカリウム金属塩との重縮合後、アミノフェノール化合物のカリウム塩との反応により得られることが開示されている。しかしながら特許文献6、7のいずれの方法も前記ヒドロキシフェニル末端基PESの公知例と同様の課題を有しており、さらにアミノフェノール化合物やその金属塩は、二価フェノール化合物やその金属塩よりも、さらに熱分解や酸化分解しやすいという化学的性質を有している。さらにアミノフェノール化合物による末端封鎖の場合、アミノ基、ヒドロキシフェニル基のいずれもが、ポリマー成長末端と反応する。そのため、末端基制御・分子量制御が困難となり、かつ精製・後処理効率も低下するという問題があった。さらに得られるPESは熱安定性、滞留安定性、耐加水分解性がさらに劣るという問題の他、反応性の異なるアミノフェニル末端とヒドロキシフェニル末端の両方が存在するため、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂とのアロイ化の際に、均一な反応を促進することが困難であり、その結果、分散性の均一化が困難という問題があった。
<特許文献1〜7:PESの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂アロイに関する公知例>
<特許文献8〜14:PES製造に関する公知例>
特開平7−11134号公報(請求項1) 特開平6−228438号公報(請求項1) 特開平6−157906号公報(請求項1) 特開2001−106921号公報(請求項8) 特開2005−105151号公報(請求項1) 特開平1−118565号公報(請求項1、請求項5) 特開平2−58569号公報(請求項12) 特公昭42−7799号公報(請求項1) 特公昭45−21318号公報(請求項1) 特開昭48−19700号公報(請求項1) 特開昭53−12991号公報(請求項1) 特開昭53−16098号公報(請求項1) 特開平5−163352号公報(請求項1) 特開平5−86186号公報(請求項1)
本発明は上記従来技術の課題を解決し、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂とPESをアロイ化する際に、マトリックス樹脂中のPESを微分散化、さらにはナノサイズに分散化させるのに好適な、反応性のヒドロキシフェニル末端基を有する高純度なPESを、経済的且つ簡易な方法で短時間に効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
上記課題に対し本発明は、
(1)一般式(a−1)および/または一般式(a−2)で表される構造を有する芳香族ポリエーテルスルホン(A)と、一般式(b−1)および/または(b−2)で表される二価フェノール化合物(B)、および塩基性化合物(C)を非プロトン性極性溶媒中で加熱することを特徴とするヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法、
Figure 2010001446
(式中のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基および炭素数6〜8のアリール基から選ばれるいずれかを表し、mは0〜3の整数を表す。Yは直接結合、酸素、硫黄、SO、CO、C(CH2、CH(CH)、およびCHから選ばれるいずれかを表す)
(2)二価フェノール化合物(B)の添加量が、芳香族ポリエーテルスルホン(A)1モルに対して、0.01〜0.5倍モルであることを特徴とする(1)記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法、
(3)塩基性化合物(C)が炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、無水炭酸ナトリウム、無水炭酸カリウムから選ばれる1種または2種以上である(1)、(2)のいずれか1項記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法、
(4)非プロトン性極性溶媒が、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホランから選ばれる少なくとも1種である請求項(1)〜(3)のいずれか1項記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法、
(5)さらに水共沸溶媒を使用することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法、
(6)水共沸溶媒が、炭化水素溶媒、さらに好ましくはベンゼン、トルエン、キシレンのいずれか1種または2種以上の混合物であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法、
(7)加熱温度が100〜200℃であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法、
(8)一般式(a−1)および/または一般式(a−2)で表される構造を有する芳香族ポリエーテルスルホン(A)中、ヒドロキシフェニル末端基組成が50モル%以下(重水素化ジメチルスルホキシド中、H−NMRにより測定され、[6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシルフェニル末端基)]/(6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシフェニル末端基由来)+7.7ppmのピーク面積(クロロフェニル末端基由来)]×100より算出される)であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法、
(9)ヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)中、ヒドロキシフェニル末端基組成が60モル%以上(重水素化ジメチルスルホキシド中、H−NMRにより測定され、[6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシルフェニル末端基)]/(6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシフェニル末端基由来)+7.7ppmのピーク面積(クロロフェニル末端基由来)]×100より算出される)であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法、
(10)ヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)中、ヒドロキシフェニル末端基組成が60モル%以上(重水素化ジメチルスルホキシド中、H−NMRにより測定され、[6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシルフェニル末端基)]/(6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシフェニル末端基由来)+7.7ppmのピーク面積(クロロフェニル末端基由来)]×100より算出される)であり、DMF中、25℃、1g/dlの条件で測定した還元粘度が0.2〜0.4であることを特徴とする(9)記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法、
(11)ヒドロキシフェニル末端基組成が80モル%以上であることを特徴とする(9)、(10)のいずれか1項記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法、さらに、
(12)ヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)中、ヒドロキシフェニル末端基組成が80モル%以上(重水素化ジメチルスルホキシド中、H−NMRにより測定され、[6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシルフェニル末端基)]/(6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシフェニル末端基由来)+7.7ppmのピーク面積(クロロフェニル末端基由来)]×100より算出される)であり、DMF中、25℃、1g/dlの条件で測定した還元粘度が0.2〜0.4であることを特徴とするヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)を提供するものである。
本発明によれば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂とPESをアロイ化する際に、マトリックス樹脂中のPESを微分散化させるのに好適な、反応性のヒドロキシフェニル末端基を有するPESを、経済的且つ簡易な方法で短時間に効率よく製造する方法を提供できる。
以下に、本発明実施の形態を説明する。
(1)芳香族ポリエーテルスルホン(A)(以下PES(A)と略す)
本発明で用いられるPES(A)とは、一般式(a−1)および/または一般式(a−2)で表される構造を有し、
Figure 2010001446
(式中のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基および炭素数6〜8のアリール基から選ばれるいずれかを表し、mは0〜3の整数を表す。Yは直接結合、酸素、硫黄、SO、CO、C(CH2、CH(CH)、およびCHから選ばれるいずれかを表す)
このようなPES(A)は、通常公知の方法により製造することができ、例えば前記特許文献8〜14記載の方法により製造することが可能である。
例えば、アルカリ金属化合物の存在下、有機溶媒中、一般式(I)で表されるジハロゲノジフェニル化合物と一般式(II−1)および/または(II−2)で表される二価フェノール化合物とを重縮合させ、あるいはジハロゲノジフェニル化合物と、あらかじめ調製した一般式(II−1)および/または(II−2)で表される二価フェノール化合物とアルカリ金属化合物とを重縮合させることにより製造することができる。
Figure 2010001446
(式中のXは、ClまたはFを表し、Rは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基および炭素数6〜8のアリール基から選ばれるいずれかを表し、mは0〜3の整数を表す。Yは直接結合、酸素、硫黄、SO、CO、C(CH2、CH(CH)、およびCHから選ばれるいずれかを表す。)
二価フェノール化合物に対し、ジハロゲノジフェニル化合物は、通常等モル使用される。分子量や末端基組成を微調整するために、二価フェノール化合物を等モルからわずかに過剰量あるいは過小量で使用することもできる。また分子量や末端基組成を調整するために、少量のモノハロゲノジフェニル化合物あるいは一価フェノール化合物を重合溶液中に添加することもできる。
重縮合の反応温度は、使用する溶媒の特性に依存するが、通常140〜340℃で実施するのが好ましい。340℃以上より高温で重縮合すると、生成ポリマーの分解反応が進行するため、高分子量体や高純度のPESが得られなくなる傾向があり、140℃より低い温度で重縮合すると、高分子量体が得られない傾向にある。
反応時間は、反応原料成分の種類、重合反応の形式、反応温度により大幅に変化するが、通常は10分〜100時間の範囲であり、好ましくは30分〜24時間の範囲で実施される。反応雰囲気としては、酸素が存在しないことが好ましく、窒素もしくはその他の不活性ガス中で行うことが好ましい。二価フェノール化合物のアルカリ金属塩は酸素の存在下で加熱すると酸化されやすく、目的とする重合反応が妨げられ、高分子量化が困難になるほか、重合体の着色原因ともなる。
また重縮合反応は、重合終了時に、適当な末端停止剤、例えば、メチルクロライド、t−ブチルクロライド、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのような単官能クロライド、多官能クロライドを、反応溶液に重合体の末端停止剤として添加し、例えば90〜150℃で反応させることによって末端封鎖することができる。
ここで、使用される有機溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピペリドンなどのピペリドン系溶媒、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの2−イミダゾリノン系溶媒、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホンなどのジフェニル化合物、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒、スルホランなどのスルホラン系溶媒、これら2種以上の混合物などが挙げられる。
また、重合時に微量の水分、反応中に外部から入ってくる水分、重合時に発生する水は重合の進行を阻害するため、これら反応系内の水を分離する目的で、非プロトン性極性溶媒に相溶し、かつ0.101MPa下において、水と共沸混合物を形成する溶媒を用いることが出来る。このような溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、エチルベンゼン等の炭化水素系溶媒、ジイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセチルアセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブチルアルコール、ヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酪酸ブチル、安息香酸メチル等のエステル系溶媒等、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、安息香酸等のカルボン酸系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、1,2−ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、ヘキサフルオロイソプロパノール等のハロゲン系溶媒、エチレンジアミン、アニリン、ピリジン、メチルピリジン等のアミン系溶媒などが挙げられ、好ましくは、炭化水素、さらに好ましくはベンゼン、トルエン、キシレンから選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
水共沸溶媒の使用量は、系内の水分を除去可能な量であれば特に制限はないが、全モノマーの重量に対して、0.01〜10倍重量の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.02〜5倍量である。
またアルカリ金属化合物としては、例えば、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属アルコキシドなどが挙げられる。なかでも炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩が好ましく、とりわけ無水炭酸カリウム、無水炭酸ナトリウムなどの無水アルカリ金属塩が好ましい。
重縮合により得られた粗PESは、反応溶液中に含まれているアルカリ金属化合物を濾過あるいは遠心分離によって分離した後、あるいは濾過や遠心分離をせずに、反応溶液にPESの貧溶媒を加えて、あるいは貧溶媒に反応溶液を加えて、析出固体として分離することができる。PESの貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトニトリルなどのニトリル類、水などを挙げることができる。またこれらの貧溶媒を2種以上混合して用いることができる。また上記の貧溶媒には、ポリマーが析出可能な範囲で、前記の重合反応溶媒などのポリマーの良溶媒が含有されていてもよい。
析出固体は貧溶媒で洗浄後、乾燥させることによって、PESの粉末を得ることができる。
本発明で使用されるPES(A)は、前記の方法により製造することが可能であるが、最終的に得られるヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)を効率よく、高純度で製造するためには、PES(A)のDMF中、25℃、1g/dlで測定した還元粘度が0.25〜1.0が好ましく、さらに好ましくは0.35〜0.8、より好ましくは0.4〜0.6のものである。
本還元粘度をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、溶媒としてDMF、標準物質としてポリスチレンより換算した数平均分子量(Mn)に置き換えると、その数平均分子量としては、33000〜140000のものが好ましく、さらに好ましくは47000〜110000、より好ましくは54000〜80000である。
本発明の製造方法で使用するPES(A)の還元粘度が低い(数平均分子量が低い)と、最終的に得られるヒドロキシル基含有PES(D)の分子量が極めて小さくなり、低分子量側のポリマーやオリゴマーが貧溶媒に溶解、あるいは膨潤したりし、その結果、ポリマーの回収率や洗浄効率が低下する傾向が認められる。さらに洗浄効率の低下により、ポリマー中にアルカリ金属化合物などの不純物量が増加するという傾向が認められる。また低分子量化に伴いガラス転移温度が低下し、PESの本来の特徴である耐熱性が低下する場合がある。
PES(A)の還元粘度が高い(数平均分子量が高い)と、好ましい範囲の分子量を有するヒドロキシル基含有PES(D)を得るためには、二価フェノール化合物(B)や塩基性化合物(C)の添加量が増えるため、酸性を示す未反応の二価フェノール化合物(B)や、塩基性化合物(C)がポリマー中に残存したり、ポリマーが着色や、洗浄・回収・分離が困難となる傾向がある。
また本発明の製造方法で使用するPES(A)の末端基組成は、PES(A)の製造性や、反応性のヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)を、効率良く製造するためには、ヒドロキシフェニル末端基よりもクロロフェニル末端が相対的に多いPESを使用することが好ましい。より具体的には、PES(A)を原料とし、二価のフェノール化合物との反応により、ヒドロキシフェニル末端基を導入する本発明の方法においては、ヒドロキシフェニル末端基導入効率の面、反応後の後処理効率の面から、PES(A)中のヒドロキシフェニル末端基組成は、0〜50モル%が好ましく、より好ましくは0〜30モル%、さらに好ましくは0〜10モル%である。
このようなPES(A)としては、前記のごとく公知の方法により製造することが可能であるが、前記の方法により製造されている市販品のPES(例えばBASF社製 “ULTRASON E”シリーズ、住友化学(株)製 “スミカエクセル”シリーズ)を使用することができる。これらの中で、好ましくはスミカエクセル3600P、4100P、4800P、5003P、5200P、より好ましくはスミカエクセル3600P、4100P、4800P相当品である。
(2)反応性のヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)の製造方法
本発明の反応性のヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)は、通常公知の方法、すなわち二価フェノール化合物に対し、ジハロゲノジフェニル化合物の重縮合により直接製造したり、重縮合の後半で末端封鎖剤を添加して製造するのではなく、高分子量のPES(A)を原料とし、二価フェノール化合物(B)と、塩基性化合物(C)を、非プロトン性極性溶媒中で加熱することにより、反応性のヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)を製造することを特徴とするものである。
従来の製造方法では、二価フェノール化合物とジハロゲノジフェニル化合物を原料モノマーとするのに対し、本発明の方法では、ジハロゲノジフェニル化合物を反応に使用しない点で大きく異なる。
Figure 2010001446
Figure 2010001446
(式中のXは、ClまたはFを表し、Rは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基および炭素数6〜8のアリール基から選ばれるいずれかを表し、mは0〜3の整数を表す。Yは直接結合、酸素、硫黄、SO、CO、C(CH2、CH(CH)、およびCHから選ばれるいずれかを表し、nは1以上の整数を表す。)
さらに本発明を明確にするため、反応スキームを上記式に示した。まず目的とするヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)よりも、相対的に分子量の高いPES(A)をあらかじめ重合して製造する。ここでは、ジハロゲノジフェニル化合物(I)と二価フェノール化合物(II)(ここではII−1を例示)より、従来公知の方法により重合した後、回収し、その後必要に応じて、洗浄、乾燥したものを使用することができる。重合後の反応溶液には、残存モノマー、溶媒、アルカリ類が残存していることから、本発明で使用するPES(A)は、回収後、洗浄・乾燥したものが特に好ましい。
本ポリマー(A)を中間原料として、二価フェノール化合物(B)(ここではb−1を例示)と非プロトン性極性溶媒中で加熱することにより、二価フェノール化合物(B)によるPES(A)のポリマー主鎖への求核置換反応により(式中矢印αの位置)、ヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)を誘導するものである。
また本発明の反応では、前記ポリマー主鎖への求核置換反応のほかに、ハロゲノフェニル末端と二価フェノール化合物(B)の求核置換反応によっても(式中βの位置)、ヒドロキシフェニル末端基が生成する。ポリマー主鎖モル数に対し、ハロゲノフェニル末端は、ポリマー末端にのみ極わずかに存在するため、ポリマー主鎖への求核置換反応が確率的に優勢となるが、二価フェノール化合物(B)の添加量や、アルカリ金属塩の添加量、反応温度、反応時間を調整することにより、ポリマー主鎖への求核置換反応だけでなく(αの反応)、ハロゲノフェニル末端への求核置換反応(βの反応)も同時に進行させることが可能となり、ヒドロキシフェニル末端基量の高いPES(D)を誘導することができる。
一方、公知の重縮合の場合、二価のフェノール化合物とジハロゲノジフェニルスルホンの仕込みモル比(r)、その時得られるポリマー分子量、ポリマー末端基組成は、高分子化学序論(第2版)(化学同人発行、p206)などに記載されているように、
r=ジハロゲノジフェニルスルホンの仕込みモル数(a)/二価のフェノール化合物の仕込みモル数(b)(ここで過剰成分を分母とし、a/b=rと置く)、反応率をpと置くと、その時得られるポリマーの数平均重合度(Pn)は、
Pn=(1+r)/[2r(1−p)+(1−r)]と表される。
反応率が100%と仮定すると(p=1)、
Pn=(1+r)/(1−r)
この式から、二価のフェノール化合物が1%過剰に存在する場合、その数平均重合度は201となる。また末端基比率は、各モノマー成分の仕込みモル比に準じ、[ハロゲノフェニル末端]/[ヒドロキシフェニル末端]=r=1.0/1.01となり、ヒドロキシフェニル末端基組成は50.2%程度となる(なお反応率が100%以下の場合は、さらに低い値になる)。
一方、得られるポリマー中のヒドロキシフェニル末端基を過剰に生成させるために、二価のフェノール化合物を10%過剰に仕込む場合(r=1.0/1.1)、その数平均重合度は21、ヒドロキシフェニル末端基組成は52.4%程度、さらに二価のフェノール化合物を50%過剰に仕込んだ場合(r=1.0/1.5)、数平均重合度はわずかに5、生成するヒドロキシフェニル末端基組成は60モル%程度であり、その時の理論分子量はきわめて低分子量となってしまい、分子量が高く、高ヒドロキシフェニル末端基組成のポリマーを得ることは、理論的にも不可能であった。
本発明者らは、本反応により効率よく、かつ定量的にヒドロキシフェニル末端基を導入できることを見いだし、さらに本反応によれば、高収率で目的のヒドロキシフェニル末端基を有するPESが得られ、さらに好ましいことに、本反応により高ヒドロキシフェニル末端基を有し、従来の方法に比べ高分子量であり、さらに後処理工程が極めて単純化でき、かつ純度の高いPESが得られることを見いだした。
(3)二価フェノール化合物(B)
本発明で使用される二価フェノール化合物(B)は、下記一般式(b−1)、および/または(b−2)で表されるものである。
Figure 2010001446
(式中のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基および炭素数6〜8のアリール基から選ばれるいずれかを表し、mは0〜3の整数を表す。Yは直接結合、酸素、硫黄、SO、CO、C(CH2、CH(CH)、およびCHから選ばれるいずれかを表す)
このような二価フェノール化合物(B)としては、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、4,4’−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどのジヒドロキシジフェニルスルホン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどのジヒドロキシフェニルエーテル類、およびこれらの構造異性体が挙げられるが、これらの中で、入手性や実用性、価格面から、ハイドロキノン、4,4’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノール−S)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパン)(ビスフェノール−A)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノール−F)、4,4’−エチリデンビスフェノール(ビスフェノール−E)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンが好ましく、またこれら二価フェノールの化合物(B)の構造異性体を使用することもできるが、より好ましくは4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノール−S)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパン)(ビスフェノール−A)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノール−F)、4,4’−エチリデンビスフェノール(ビスフェノール−E)であり、特に好ましくは、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノール−S)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパン)(ビスフェノール−A)である。
本反応で使用する二価フェノール化合物(B)の添加量は、最終的に得ようとするヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)の目標とする末端基量や目標とする分子量によるが、むしろこれらは、二価フェノール化合物(B)の添加量により制御することが可能となる。本反応を定量的に進行させるためには、PES(A)1モルに対し、0.001〜2.0倍モルが好ましく、より好ましくは0.01〜1.5、さらに好ましくは0.01〜1.0倍モル、特に好ましくは0.01〜0.5倍モルである。なおここでPES(A)のモル数は、前記式(a−1)、(a−2)で表される1つの繰り返し単位の分子量を基準に算出されるものである。
二価フェノール化合物(B)の添加量が2.0モル以上になると、得られるヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエールスルホン(D)の分子量が小さくなりすぎ、ポリマーの回収・洗浄が困難となるだけでなく、酸性を示す未反応の二価フェノール化合物(B)や二価フェノール化合物の塩、あるいは塩基性化合物(C)そのものがポリマー中に残存したり、ポリマーが着色する傾向がある。特にヒドロキシフェニル末端基導入量の増加に伴い、ポリマーの溶解性や、塩基性化合物との相互作用が増加するため、洗浄・回収・分離が困難となる傾向がある。一方、0.001以下では、ヒドロキシフェニル末端基を定量的に導入することが困難となる。
(4)非プロトン性極性溶媒
本発明の反応を定量的に進行させるため、本反応の有機溶媒として、非プロトン性極性溶媒を使用する。具体的には、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−メチル−2−ピペリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、およびこれら2種以上の混合物などが挙げられるが、特に好ましくは、ジメチルスルホキシド、DMF、NMPが挙げられる。
本反応に使用される非プロトン性極性溶媒量は、PES(A)、二価フェノール化合物(B)を溶解させる量であれば、特に制限はないが、全モノマーの重量に対して、0.5〜20倍重量の範囲が好ましい。さらに好ましくは2〜10倍量である。
0.5倍未満では原料となるPES(A)、二価フェノール化合物(B)が溶解せず、また反応時の攪拌等の操作が困難となり、均一な反応が困難となる。また溶媒量が20倍量を超えると、ポリマー濃度や二価フェノール化合物(B)の濃度が下がり、反応速度が遅くなったり、再沈殿生成、洗浄、回収が困難になる傾向が認められ、何よりも溶媒量の増加により、生産量の低下、溶媒回収コストに影響する。
なお本発明では非プロトン性極性溶媒中で本反応を実施することが重要であるが、場合によっては、非プロトン性極性溶媒以外の有機溶媒を併用することもできる。特に、原料中に含まれる微量の水分、反応中に外部から入ってくる水分、使用する塩基性化合物の結合水、塩基性化合物水溶液中、塩基性化合物調製時の水分などは、本発明の目的の反応、すなわち中間原料であるPES(A)と二価フェノール化合物の求核置換反応以外に、水による加水分解が進行することがある。反応系内の水分は、本発明の反応を阻害することがあることから、これら反応系内の水を分離する目的で、非プロトン性極性溶媒に相溶し、かつ0.101MPa下において、水と共沸混合物を形成する溶媒を用いることが出来る。このような溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、エチルベンゼン等の炭化水素系溶媒、ジイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセチルアセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブチルアルコール、ヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酪酸ブチル、安息香酸メチル等のエステル系溶媒等、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、安息香酸等のカルボン酸系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、1,2−ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、ヘキサフルオロイソプロパノール等のハロゲン系溶媒、エチレンジアミン、アニリン、ピリジン、メチルピリジン等のアミン系溶媒などが挙げられ、好ましくは、炭化水素、さらに好ましくはベンゼン、トルエン、キシレンから選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
水共沸溶媒の使用量は、系内の水分を除去可能な量であれば特に制限はないが、全モノマーの重量に対して、0.01〜10倍重量の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.02〜5倍量である。また本発明の反応では、反応系に塩基性化合物(C)を添加すると、さらに反応速度を向上させることができる。使用する塩基性化合物(C)としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、無水炭酸カリウム、無水炭酸ナトリウム等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン、N、Nージメチルアミン、N、Nージエチルアミン等の二級アミン、N−メチルアミン、N−エチルアミン等の一級アミン、アンモニアなどが挙げられる。これらの中でも、取り扱い易さから、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、無水炭酸ナトリウム、無水炭酸カリウムなどを使用することができ、なかでも炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、無水炭酸ナトリウム、無水炭酸カリウムから選ばれる1種または2種以上を好ましく使用することができる。
塩基性化合物(C)の添加量は、使用する二価フェノール化合物(B)1モルに対し、0.1〜3倍モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1倍モルである。
塩基性化合物(C)の添加量が二価フェノール化合物(B)1モルに対し、3倍モル以上では、得られるヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)の分子量が小さくなりすぎ、ポリマーの回収・洗浄が困難となるだけでなく、酸性の二価フェノール化合物や二価フェノール化合物の塩、さらには塩基性化合物(C)自身がポリマー中に残存したり、ポリマーが着色する傾向がある。またPES(D)の分子量が小さすぎると、PES本来の耐熱性、機械特性などが損なわれ、アロイ用改質剤として使用した場合に、PES本来の効果が付与できない傾向がある。一方、0.5以下では、反応性のヒドロキシフェニル末端基を導入することが困難となる。
加熱温度は、使用する溶媒種、溶媒の沸点、反応溶液の濃度、二価フェノール化合物(B)の添加量、塩基性化合物(C)の添加量に依存するが、通常100〜250℃で実施するのが好ましく、さらに好ましくは100〜200℃である。250℃以上より高温で反応すると、二価フェノール化合物塩の熱分解、反応系内で生成したヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)そのものの熱分解が進行するため、分子量の制御やヒドロキシフェニル末端基導入量の制御が困難となったり、最終的に得られるPES(D)の熱安定性・滞留安定性の低下や、着色といった傾向が認められるようになる。一方、100℃より低い温度で本反応を行うと、反応が非常に遅くなるという問題がある。
反応に要する時間は、二価フェノール化合物(B)の種類・添加量、塩基性化合物(C)の種類・添加量、反応濃度、反応温度により大幅に変化するが、通常は10分〜10時間の範囲であり、好ましくは30分〜5時間の範囲で実施される。反応雰囲気としては、酸素が存在しないことが好ましく、窒素もしくはその他の不活性ガス中で行うとよい結果が得られる。二価フェノール化合物の塩基性化合物は酸素の存在下で加熱すると酸化されやすく、目的とする反応が妨げられ、その結果、分子量制御、ヒドロキシフェニル末端基導入量の制御が困難となるほか、重合体の着色原因ともなる。
本発明の方法により得られた粗ヒドロキシフェニル末端基を有するPESは、反応溶液中に含まれている塩基性化合物を濾過あるいは遠心分離によって分離した後、あるいは濾過や遠心分離をせずに、反応溶液に貧溶媒を加えて、あるいは貧溶媒に反応溶液を加えて、析出固体として分離することができる。ヒドロキシフェニル末端基を有するPESの貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトニトリルなどのニトリル類、水などを挙げることができる。またこれらの貧溶媒を2種以上混合して用いることができる。また上記の貧溶媒には、ポリマーが析出可能な範囲で、前記の重合反応溶媒などのポリマーの良溶媒が含有されていてもよい。
本発明のヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)を得るためには、本発明のいずれかの工程において酸を接触させることが好ましい。接触させる工程は特に限定されないが、好ましくは、反応後の溶液あるいは貧溶媒による析出時、あるいは回収後、いずれかの工程で、PESと酸を接触させることで、PESに含まれるアルカリ金属塩を効率よく取り除くことが可能となる。
使用される酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、過塩素酸、亜硫酸、クロム酸、次亜塩素酸、過塩素酸、シアン化水素、臭素水素酸、ホウ酸などの無機酸、酢酸、蟻酸、シュウ酸、酒石酸、ステアリン酸、ナフテン酸、ピクリン酸、りんご酸などの有機酸から選ばれる1種または2種以上の混酸を用いることができ、酸の種類はこれらに限るものではない。
使用する酸の量としては、用いる溶媒への溶解性などの影響を受けるため、特に制限はないが、PES1モルに対し、0.001〜2倍モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.01〜1倍モルである。酸の量が上記範囲より少ない場合、アルカリ金属塩が十分に取り除くことができず、好ましくない。
酸接触後のPESを貧溶媒で洗浄後、乾燥させることによって、ヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)を得ることができる。
(5)ヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)の特性
本発明によって得られるヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)の末端基組成は、例えば、重水素化DMSO溶媒中、400MHz H−NMRを用い、積算回数100回により、7.7ppmにクロル置換された芳香族炭素に隣接する2つのプロトン(HCl)と、6.9ppmにヒドロキシル基で置換された芳香族炭素に隣接する2つのプロトン(HOH)が高分解能で観測できること、H−NMRの面積比は周知の通り、そのモル数を反映していることから、ヒドロキシフェニル末端基、クロロフェニル末端基組成(モル%)は、下記式により算出することができる。
[ヒドロキシフェニル末端基組成(モル%)]=
[HOHのピーク面積]/([HOHのピーク面積]+[HClのピーク面積])×100
[クロロフェニル末端基組成(モル%)]=
[HClのピーク面積]/([HOHのピーク面積]+[HClのピーク面積])×100
すなわち、ヒドロキシフェニル末端基とクロロフェニル末端基が1:1存在する場合は、ヒドロキシフェニル末端基/クロロフェニル末端基組成は、50/50モル%で表すことができる。
本発明の製造方法によれば、出発原料となるPES(A)の末端基組成、反応時に使用する二価フェノール化合物(B)の添加量などの反応条件を、本発明の範囲内で選択することにより、ヒドロキシフェニル末端基量や分子量を適宜調整することが可能であるが、最終的に得られるPES(D)の好ましいヒドロキシフェニル末端基組成(モル%)は、60モル%以上が好ましく、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上である。
特に本発明の製造方法によれば、従来公知の製造方法では製造困難であった、ヒドロキシフェニル末端基が60モル%以上のもの、さらには80モル%以上のものも製造可能である。
本発明の好ましい態様によって得られるヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)は、反応性の高いヒドロキシフェニル末端基を高含有量含んでおり、さらに耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的性質並びに機械的性質に優れ、特に従来の方法により得られるPES(A)や、あるいはモルバランスをずらしてヒドロキシフェニル末端基量を増加させた低分子量PESに比べて、生産性に優れ、さらにヒドロキシフェニル末端基量が高く、分子量分布が狭く、且つ、金属含有量が著しく少ないという特徴もある。
本発明のヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)の好ましい分子量は、最終的に得られるポリマーのヒドロキシフェニル末端基量、分子量、ガラス転移温度や、本ポリマーを熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂にアロイ化する際の、末端基反応性のほか、末端基反応による相溶性の向上効果の面から、該ポリマーのDMF中、25℃で測定した還元粘度が0.2〜0.4が好ましく、さらに好ましくは0.25〜0.4である。
本還元粘度をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、溶媒としてDMF中、標準物質としてポリスチレンより換算した数平均分子量(Mn)に置き換えると、その数平均分子量としては、26000〜54000のものが好ましく、さらに好ましくは33000〜54000である。
本発明のヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)は、反応温度や反応時間、水分量や用いる原料の種類などの影響があるため、特に限定はされないが、好ましい態様によって得られるヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)は、原料となるPES(A)の分子量や、二価フェノール化合物(B)の添加量により、得られる分子量やヒドロキシフェニル末端基量に依存する傾向が見られる。
例えば150℃、5時間、DMSO中で、好ましい態様によって得られるPES(D)のヒドロキシフェニル末端基量は二価フェノール化合物(B)添加量に比例する。また、PES(D)の好ましい還元粘度である0.2〜0.4、ヒドロキシフェニル末端基量60〜100%、を得るためには、ヒドロキシフェニル末端基量が50%のPES(A)を用いた場合、好ましいPES(A)の還元粘度はおおよそ0.25〜0.55以上の範囲となり、ヒドロキシフェニル末端基量が0%のPES(A)を用いた場合、好ましいPES(A)の還元粘度はおおよそ0.35〜0.75以上の範囲となる。
しかし、使用するPES(A)の還元粘度が低い(数平均分子量が低い)と、最終的に得られるヒドロキシル基含有PES(D)の分子量が小さくなり、低分子量側のポリマーやオリゴマーが貧溶媒に溶解、あるいは膨潤したりし、その結果、ポリマーの回収率や洗浄効率が低下する傾向が認められる。さらに洗浄効率の低下により、ポリマー中にアルカリ金属化合物などの不純物量が増加するという傾向が認められる。また低分子量化に伴いガラス転移温度が低下し、PESの本来の特徴である耐熱性が低下する場合がある。また、PES(A)の還元粘度が高い(数平均分子量が高い)と、好ましい範囲の分子量を有するヒドロキシル基含有PES(D)を得るためには、二価フェノール化合物(B)や塩基性化合物(C)の添加量が増えるため、酸性を示す未反応の二価フェノール化合物(B)や、塩基性化合物(C)がポリマー中に残存したり、ポリマーが着色や、洗浄・回収・分離が困難となる傾向があるため、原料のPES(A)の還元粘度は0.4を越え0.6以下のものが最も好ましい。
尚、ここで言う還元粘度とは、DMF中、25℃、1g/dlで測定した還元粘度である。
またヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)中に残存するアルカリ金属量は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂とのアロイ化の際の熱安定性、滞留安定性、着色への影響から、少ないほど好ましい。熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂とのアロイ用として使用目的、および本発明の好ましい態様によって得られる残存アルカリ金属量として、1000ppm以下が好ましく、より好ましくは500ppm、さらに好ましくは100ppm以下である。
また好ましい態様によって得られるヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)は、各種熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂とのアロイ用ポリマーとして、熱安定性、滞留安定性、非着色性などに優れるだけでなく、本発明のヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)をアロイ化した熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂からなる組成物は、PES(D)がポリマーマトリックス中に微分散、さらにはナノサイズにまで分散し、さらに使用するヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)の末端基量、その分子量、配合量によっては完全相溶した構造を呈し、機械特性、耐熱性、および電気的特性が極めて優れた熱可塑性樹脂アロイ、熱硬化性樹脂アロイを提供することが可能となる。
特に本発明の製造方法によれば、これらのアロイ用に好適な、反応性のヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)を、極めて簡易的な方法で、効率よく、かつ所望のヒドロキシフェニル末端基量、所望の分子量のポリマーを定量的に製造することが可能となる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。これら例は例示的なものであって限定的なものではない。
(1)還元粘度(ηsp/c)
還元粘度は、オストワルド毛細管粘度計を用い、DMF中、25℃、1g/dlの条件で測定した。
なお還元粘度(ηsp/c)は、下記し記に基づき計算し、5回の測定値を平均化した値を使用した。
ηsp/c=(t−t)/t/c
t;重合体溶液の粘度計における標線間の通過時間(秒)
;純溶媒の粘度計の標線間の通過時間(秒)
c;重合体溶液の濃度(g/dl)
(2)アルカリ金属含有量の定量
PES中のアルカリ金属含有量の定量は下記の方法により行った。試料を石英るつぼに秤量し、電気炉を用いて灰化し、灰化物を濃硝酸で溶解した後、希硝酸で定容とした。得られた定容液をICP重量分析法(装置;Agilent製4500)及びICP発光分光分析法(装置;PerkinElmer製Optima4300DV)に処した。
(3)PESの加熱時重量減少率の測定
PESの加熱時重量減少率は熱重量分析機を用い、下記条件で行った。なお、試料は2mm以下の細粒物を用いた。
装置:パーキンエルマー社製 TGA7
測定雰囲気:窒素気流下 100℃〜600℃、昇温速度10℃/分。
試料仕込み重量:約10mg
上記条件により測定し、10%重量減量を示した温度を「10%重量減量温度」とし、熱安定性を評価した。
(4)数平均分子量測定
ポリマーの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算の数平均分子量を求めた。GPC測定は、検出器に株式会社島津製作所示差屈折計RID−10Aを用い、ポンプにLC−10ADvpを用い、カラムは昭和電工株式会社製GPC用カラム、Shodex KD−806Mを2本接続して行った。測定条件は、流速0.5mL/minとし、溶離液にジメチルホルムアミド(DMF)を用い、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入した。
(5)PES末端基組成
400MHz H−NMR(核磁気共鳴)装置(日本電子株式会社製 AL−400)を用い、試料濃度1mg/mLの重水素化DMSO溶液中、積算回数100回で測定した。
7.7ppmにクロル置換された芳香族炭素に隣接する2つのプロトン(HCl)と、6.9ppmにヒドロキシル基で置換された芳香族炭素に隣接する2つのプロトン(HOH)が、観察される。これらのピーク面積比を用い、末端基組成を下記関係式より算出した。
[ヒドロキシフェニル末端基組成(モル%)]=
[HOHのピーク面積]/([HOHのピーク面積]+[HClのピーク面積])×100
[クロロフェニル末端基組成(モル%)]=
[HClのピーク面積]/([HOHのピーク面積]+[HClのピーク面積])×100
(6)熱可塑性樹脂とのアロイ化
東洋精機製小型ブラベンダーを用い、所定温度で15分間配合して溶融混合し、得られた組成物はペレタイズし、乾燥した。
(7)熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂アロイのモルフォロジー観察
透過型電子顕微鏡(HITACHI、ELECTRON MICROSCOPE H−700)を用いて、得られた樹脂組成物の断面についてモルフォロジー観察を行い、写真上に撮影された、分散した個々の球状分散相の最も長い粒子系を30点測定し、それらの値を平均化した値を平均粒径とした。
(8)熱特性測定
セイコー電子工業(株)製ロボットDSCを用い、サンプル量5〜8mg、窒素雰囲気下で、30℃〜280℃まで20℃/分で昇温、5分滞留後、30℃まで20℃/分で降温、5分滞留し、300℃まで20℃/分で昇温して、2回目の昇温時に得られたガラス転移温度(Tg)を測定した。
<PES(A)の調製>
[参考例1]PES(A−1)の調製
特許文献14(特開平5−86186)に記載の本文、実施例を参考に、攪拌機、温度計、冷却器、留出物分液器および窒素導入管を備えた1Lの四口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(以下DHDPSと略す)(50.06g、0.20モル)、トルエン100ml、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(250.8g)、40%水酸化カリウム水溶液(56.0g、0.39モル)を秤量し、攪拌しながら窒素ガスを通じ、反応系をすべて窒素置換した。窒素ガスを通じながら130℃まで加熱した。反応系の温度が上昇するとともにトルエンの環流が開始され、反応系内の水をトルエンとの共沸で除去し、トルエンを反応系に戻しながら共沸脱水を130℃で4時間行った。この後、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(以下DCDPSと略す)(57.40g、0.20モル)をトルエン40gとともに反応系に加え、反応系を150℃に加熱した。トルエンを留出させながら4時間反応させ、高粘度の茶褐色の溶液を得た。反応液の温度を室温まで冷却し、反応溶液をメタノール1kgに投下し、ポリマー粉を析出させた。濾過によりポリマー粉を回収し、これに水1kgを加え、さらに1Nの塩酸を加え、スラリー溶液をpH3〜4になるまで加え、酸性にした。濾過によりポリマー粉を回収した後、ポリマー粉を水1kgで2回洗浄した。さらにメタノール1kgで洗浄し、150℃で12時間真空乾燥した。得られたポリマー粉は白色粉末状で収量は88.3g(収率95.0%:収率=(88.3/464.53(PES(A)の分子量)/0.2×100より算出)、ガラス転移温度(Tg)=234℃、10%重量減量温度は510℃であった。還元粘度は0.58であった。400MHz H−NMRにより測定したクロロフェニル末端基/ヒドロキシフェニル末端基=50/50(モル%)であった。一連の結果を表1に示した。
[参考例2]PES(A−2)の調製
特許文献13(特開平5−163352)記載の方法により、PESを調製した。攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を取り付けた1Lの四口フラスコに、ジフェニルスルホン(611.6g)、DCDPS(57.43g、0.20モル)、DHDPS(47.55g、0.19モル)、無水炭酸カリウム(30.4g、0.2200モル)を秤量し、窒素雰囲気下、130℃まで徐々に加熱した。ジフェニルスルホンが溶解した後、反応溶液を攪拌しながら反応温度を300℃にまで上昇させ、重合を開始した。反応時間2時間で反応を終了し、反応溶液を1kgのアセトン/メタノール1:1混合溶媒に投下し、析出固体を粉砕、1kgの水で洗浄を2回繰り返し、130℃で12時間真空乾燥した。溶液粘度は0.35(g/dl)であった。400MHz H−NMRにより測定したクロロフェニル末端基/ヒドロキシフェニル末端基=52/48(モル%)であった。結果を表1に示した。
[参考例3]p−tert−ブチルフェニル末端含有PESの製造(A−3)
参考文献13(特開平5−163352)の方法により、末端封鎖したPESを調製した。攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を取り付けた1Lの四口フラスコに、ジフェニルスルホン(611.6g)、DCDPS(57.44g、0.20モル)、DHDPS(48.04g、0.19モル)、無水炭酸カリウム(30.40g、0.22モル)、末端封鎖剤としてp−tert―ブチルフェノール(2.44g、0.016モル)を秤量し、窒素雰囲気下、130℃まで徐々に加熱した。ジフェニルスルホンが溶解した後、反応溶液を攪拌しながら反応温度を300℃にまで上昇させ、重合を開始した。反応時間2時間で反応を終了し、反応溶液を1kgのアセトン/メタノール1:1混合溶媒に投下し、析出固体を粉砕、1kgの水で2回洗浄し、130℃で真空乾燥した。結果を表1に示した。
NMRではフェニルクロロ末端、ヒドロキシフェニル末端基、新たなピークとして1.2ppm付近にt−ブチル基が確認され、このプロトン面積比より、クロロフェニル末端基/ヒドロキシフェニル末端基/p−tert−ブチルフェニル末端=20/10/70(モル%)であった。
[参考例4]クロロフェニル末端基を有するPESの製造方法(A−4)
特許文献13(特開平5−163352)の方法により、末端封鎖したPESを調製した。攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を取り付けた1Lの四口フラスコに、ジフェニルスルホン(611.6g)、DCDPS(57.44g、0.20モル)、DHDPS(48.04g、0.19モル)、無水炭酸カリウム(30.4g、0.22モル)を秤量し、窒素雰囲気下、130℃まで徐々に加熱した。ジフェニルスルホンが溶解した後、反応溶液を攪拌しながら反応温度を300℃にまで上昇させ、重合を開始した。反応時間2時間後、クロロメタン0.096L(0.04モル)を吹き込み、末端封鎖した後、反応溶液を1kgのアセトン/メタノール1:1混合溶媒に投下し、析出固体を粉砕、1kgの水で2回洗浄し、130℃で真空乾燥した。溶液粘度は0.35であった。結果を表1に示した。
NMRではヒドロキシフェニル末端基は確認されないことから、全末端がクロロフェニル末端基に変換したと推測される。
[参考例5]ビスフェノールA型PESの製造(A−5)
参考例1のDHDPSの代わりに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノール−A(bisA)と略す)(45.66g、0.20モル)を使用した以外は参考例1と同様に行った。
得られたポリマー粉は白色粉末状で収量は85.0g(収率96.0%:収率=(85.0/442.55(PESの分子量)/0.2×100)。参考例1〜4とは主鎖骨格が異なるため、ガラス転移温度=191℃、10%重量減量温度は488℃であった。還元粘度は0.56(g/dl)であった。400MHz H−NMRにより測定したクロロフェニル末端基/ヒドロキシフェニル末端基=50/50(モル%)であった。
[参考例6]
住友化学(株)製“スミカエクセル 3600P”
還元粘度は0.36、ガラス転移温度224℃、10%重量原料温度510℃、400MHz H−NMRより、クロロフェニル末端基のみが観察された。
[参考例7]
住友化学(株)製“スミカエクセル4800P”
還元粘度 0.48、ガラス転移温度230℃、10%重量減量温度510℃、400MHz H−NMRより、クロロフェニル末端基のみが観察された。
Figure 2010001446
<ヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)の製造>
[実施例1]
攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を取り付けた300mLの四口フラスコに、参考例1で合成したPES(A−1)(5g、10.7ミリモル(5/464.53×1000で計算))に対し、DHDPS(1.25g、4.99ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 200ml、無水炭酸カリウム(0.7g、5.06ミリモル)を秤量し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)反応溶液を攪拌しながら反応温度を150℃にまで上昇させ、反応時間5時間で反応を終了し、反応溶液を0.1%濃度の酸メタノール500mlに投下し、析出固体を粉砕、500mlの水で2回洗浄し、130℃で真空乾燥した。得られたポリマー粉は白色粉末状で収量は7.2g、収率96%(収率は回収したPES重量/(仕込みPES(A−1)重量+仕込みDHDPS)×100により算出)、ガラス転移温度=185℃、10%重量減量温度は504℃、還元粘度(ηsp/c)は0.25であった。H−NMRではクロロフェニル末端基は確認されず、ヒドロキシフェニル末端基組成が100モル%のPESが得られた。アルカリ金属含量は、80ppmであった。結果を表2にまとめて示す。
[実施例2]
攪拌機、窒素導入管、温度計、ディーンスターク共沸蒸留装置を取り付けた300mLの四口フラスコに、参考例1で合成したPES(A−1)(5g、10.7ミリモル(5/464.53×1000で計算))に対し、DHDPS(1.25g、4.99ミリモル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 200ml、水共沸溶媒としてトルエン20ml、無水炭酸カリウム(0.7g、5.06ミリモル)を秤量し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)反応溶液を攪拌しながら反応温度を150℃にまで上昇させ、水をトルエンとの共沸として取り除きながら、反応時間2時間で反応を終了し、反応溶液を0.1%濃度の酸メタノール500mlに投下し、析出固体を粉砕、500mlの水で2回洗浄し、130℃で真空乾燥した。得られたポリマー粉は白色粉末状で収量は7.5g、収率98.7%(収率は回収したPES重量/(仕込みPES(A−1)重量+仕込みDHDPS)×100により算出)、ガラス転移温度=185℃、10%重量減量温度は505℃、還元粘度(ηsp/c)は0.28であった。H−NMRではクロロフェニル末端基は確認されず、ヒドロキシフェニル末端基組成が100モル%のPESが得られた。アルカリ金属含量は、100ppmであった。結果を表2にまとめて示す。
[実施例3]
溶媒としてNMPの代わりにDMSOを使用した以外は実施例1と同様の方法で実施した。結果を表2にまとめて示す。
[実施例4〜7]
表2に示した仕込み組成により、DHDPSの添加量、無水炭酸カリウム添加量を変更した以外は実施例1の方法で実施した。一連の結果を表2に示した。
[実施例8、9]
塩基性化合物として、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムを使用した以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例10、11]
二価フェノール化合物として、DHDPSの代わりにビスフェノール−A、ハイドロキノンを使用した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
[比較例1]
DHDPSとDCDPSの仕込み量を変更し、DHDPS(55.96g、0.22モル)をDCDPS(57.43g、0.20モル)と、DHDPSをDCDPSに対し、1.1倍モル過剰に使用した以外は、参考例1と同様に実施した。得られたポリマー粉は白色粉末状で収量は68.8g(収率74.1%:収率=(68.8/464.53(PESの分子量)/0.2×100)、ガラス転移温度=167℃、10%重量減量温度は405℃であった。還元粘度は0.23dl/gであった。400MHz H−NMRにより、クロロフェニル末端基/ヒドロキシフェニル末端基=60/40(モル%)、再沈殿中にポリマーの軟化挙動が認められ、アルカリ金属残存量は、1100ppmであった。
[比較例2]
DHDPSとDCDPSの仕込み量を変更し、DHDPS(60.06g、0.24モル)、DCDPS(57.40g、0.20モル)と、DHDPSをDCDPSに対し、1.2倍モル過剰に使用した以外は、参考例1と同様に実施した。結果を表2に示す。
[比較例3]
重合終了時に、末端封鎖剤としてp−tert―ブチルフェノール(2.44g、0.016モル)の代わりに、DHDPS(4.00g、0.016モル)を添加した以外は参考例3と同様に実施した。結果を表2に示した。
Figure 2010001446
実施例1〜実施例11より、PES(A−1)とDHDPS、ビスフェノール−A、HQなどの二価フェノール化合物(B)を無水炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどの塩基性化合物の存在下、非プロトン性極性溶媒としてNMP中で反応することにより、二価フェノール化合物の添加量に応じ、ヒドロキシフェニル末端基を導入することができ、また回収率も高く、さらにはアルカリ金属含量の低いポリマーが得られることがわかる。
実施例1〜7の結果から、DHDPSの添加量をPESに対し、0.04倍モル〜1.1倍モル比の添加範囲において、ヒドロキシフェニル末端基量を増加させることができることがわかった。また水共沸溶媒を用いた実施例2では、反応時間2時間程度でも実施例1とほぼ同等の結果が得られることがわかる。すなわち水共沸溶媒を用い、反応系の水分を留去することにより、本発明の反応速度を高めることができることがわかる。
また反応溶媒としてNMPの代わりにDMSOを用いても、実施例1とほぼ同等の結果が得られることがわかる。
実施例8、9の結果から、無水炭酸カリウムの代わりに、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムを用いると、収率の低下や残存金属量の増加などの傾向は認められるものの、いずれの場合においても高ヒドロキシフェニル末端基含有量のPESが得られており、その熱安定性や残存アルカリ金属含量は低く、熱安定性、ポリマー純度に優れるポリマーが得られたことがわかる。
実施例10、11の結果から、二価フェノール化合物としてDHDPSの代わりに、ビスフェノール−Aやハイドロキノン(HQ)を用いても、同様の結果が得られることが確認された。
一方、DCDPSとDHDPの仕込みモル比をずらして、直接重縮合した比較例1、2では、仕込みモル比をずらしたことにより、ヒドロキシフェニル末端基が増加するものの、その含有量は実施例1〜11に比べ低く、さらにモル比をずらしたことによるポリマー分子量低下は顕著となり、さらに回収工程でのロスが多く、ポリマー収率の顕著な低下が認められた。さらに熱安定性が低下し、ポリマー中不純物であるアルカリ金属残存量が増加していることがわかる。また、重合終了時にDHDPSを添加し、末端封鎖を試みた比較例3では、参考例3と比較しても、ヒドロキシフェニル末端基が増加しておらず、特に反応が進行していないことがわかる。
[実施例12−15]
表3に示した条件により反応を行った。攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を取り付けた1Lの四口フラスコに、参考例2〜5で合成したPES(A−2〜A−5)(40g)、PES1モルに対し0.5倍モルのDHDPS、あるいはビスフェノールA、NMP 500ml、DHDPSと約等モルの無水炭酸カリウムを使用し、合成手順は実施例1と同様に実施した。反応後の溶液を0.1%濃度の酸メタノール5lに投下し、析出固体を粉砕、5lの水で2回洗浄し、130℃で真空乾燥した。一連の結果を表3に示す。
[実施例16]
攪拌機、窒素導入管、温度計、ディーンスターク共沸蒸留装置、冷却管を取り付けた1Lの四口フラスコに、反応系で生成する水分を除去するために、水共沸溶媒としてトルエンを使用し、参考例2で合成したPES(A−2)(40g)、PES1モルに対し0.5倍モルのDHDPS、NMP 500ml、トルエン50ml、DHDPSと約等モルの無水炭酸カリウムを使用し、反応温度を150℃にまで上昇させ、水をトルエンとの共沸として取り除きながら、反応時間2時間で反応を終了した以外は、実施例12と同様に実施した。結果を表3に示す。
[実施例17]
反応溶媒としてNMPの代わりにDMSOを用いた以外は、実施例12と同様に実施した。結果を表3に示す。
[実施例18、19]
市販品のPES(住友化学(株)製、スミカエクセル3600P、4800P)を用いた以外は、実施例12と同様に実施した。一連の結果を表3に示す。
Figure 2010001446
実施例12−15の結果から、分子量、末端基構造の異なるPES(A−2〜4)や、ビスフェノール−A単位からなるPES(A−5)を用い、二価フェノール化合物としてDHDPS、ビスフェノールA、塩基性化合物として無水炭酸カリウム、非プロトン性極性溶媒としてNMPを用い、反応させることにより、150℃というマイルドな条件下で、ヒドロキシフェニル末端基を導入することができ、また収率も高く、さらにはアルカリ金属含量の低いポリマーが得られることがわかる。すなわち原料となるPESの分子量、末端基構造の違いによらず、高ヒドロキシフェニル末端基量のポリマーが、高収率で、かつ高純度で得ることが可能となったことがわかる。
水共沸溶媒を用いた実施例16では、反応時間2時間程度でも実施例12とほぼ同等の結果が得られ、反応系の水分を共沸により留去することにより、本発明の反応速度を高めることができることがわかる。
また反応溶媒としてNMPの代わりにDMSOを用いた実施例17においても、実施例12とほぼ同等の結果が得られることがわかる。
また実施例18、19の結果から、通常公知の重縮合法により製造されている市販のPESを使用しても、同様の結果が得られることがわかる。
<ヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)と熱可塑性樹脂のアロイ化>
[実施例20〜22、比較例4〜6]
アロイ用熱可塑性樹脂として、下記3種類のポリマーを使用した。
・Tm=255℃、Tmc=178℃、固有粘度1.15(フェノール/テトラクロロエタン=5/5(Vol/Vol)、25℃)のポリエチレンテレフタレート樹脂(東レ製T704T)(以下PETと略す)
・Tm=226℃、固有粘度0.85のポリブチレンテレフタレート樹脂(東レ製1100S)(以下PBTと略す)
・Tm=225℃、98%硫酸1g/dlでの相対粘度2.80のナイロン6樹脂(東レ製CM1010)(以下N6と略す)
表4に示した条件により、実施例1、4、5、比較例1〜3で合成した、各種PES5gと、前記熱可塑性樹脂45gを東洋精機製小型ブラベンダーを用い、所定温度で15分間配合して溶融混合し、得られた組成物はペレタイズした。
熱可塑性樹脂マトリックス中のPESのモルフォロジー観察は、透過型電子顕微鏡(HITACHI、ELECTRON MICROSCOPE H−700)を用いて、得られた樹脂組成物ペレットの断面についてモルフォロジー観察を行い、写真上に撮影された、分散した個々の球状分散相の最も長い粒子径を測定し、数平均した値を平均粒径とした。
一連の結果を表4に示したが、実施例20〜22と比較例4〜6のアロイ化検討結果から、本発明の方法により得られるヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)は、PET、PBTなどのポリエステルやナイロンなどの熱可塑性樹脂とのアロイ化に好適であることがわかった。
Figure 2010001446
<ヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)と熱硬化性樹脂のアロイ化>
[実施例23、比較例7](熱硬化性樹脂とのアロイ化)
エポキシ樹脂としてテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(Epikote 604)(ジャパンエポキシレジン社製)と実施例12、比較例1で合成したPES(D)とを表5に示す配合割合でニーダー中にて130℃に加熱・混合させた。ついで得られた混合物を80℃まで冷却し、硬化剤として4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(以下DDSと略す)を表5に示す割合で添加し、よく混合してエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を加熱炉中、180℃で2時間反応、硬化させ、エポキシ樹脂硬化物を得た。エポキシ樹脂中に微分散されているPESの平均粒径測定は、実施例20と同じ方法により測定した。結果を表5に示した。
Figure 2010001446
実施例12で得られたヒドロキシフェニル末端基を有するPESを用いたエポキシ樹脂硬化物は、比較例1で得られたPESを用いた物に比較して、エポキシ樹脂中により微分散していることがわかる。
<ヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)の製造>
[実施例24〜27]
窒素導入管、温度計、ディーンスターク共沸蒸留装置を取り付けた100mLの三口フラスコに、表6に示した仕込み組成により、PES(A−1)、DHDPS、無水炭酸カリウムを秤量し、溶媒に、モレキュラーシーブを入れて1晩以上乾燥処理したジメチルスルホキシド(DMSO)50ml、水共沸溶媒としてトルエン5mlを添加した。窒素フロー下、回転子を入れてDMSO反応溶液を攪拌しながら反応温度を150℃にまで上昇させ、水をトルエンとの共沸として取り除きながら、反応時間5時間で反応を終了した。反応溶液を0.1%希塩酸水500mlに滴下することで、粉体状の析出物を得、さらに500mlの水で2回洗浄し、80℃で6時間真空乾燥し、白色微粉末状のポリマー粉を得た。結果を表6にまとめて示す。
[実施例28〜35]
攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を取り付けた1Lの四口フラスコに、表6に示した仕込み組成により、参考例1〜5で合成したPES(A−1〜A−5)または市販品のPES(住友化学(株)製、スミカエクセル3600P、4800P)、DHDPS、無水炭酸カリウムを秤量し、溶媒に、モレキュラーシーブを入れて1晩以上乾燥処理した、ジメチルスルホキシド(DMSO)400ml、水共沸溶媒としてトルエン20mlを添加した。窒素フロー下、DMSO反応溶液を攪拌しながら反応温度を150℃にまで上昇させ、水をトルエンとの共沸として取り除きながら、反応時間5時間で反応を終了した。反応溶液を0.1%希塩酸水4lに滴下することで、粉体状の析出物を得、さらに4lの水で2回洗浄し、80℃で6時間真空乾燥し、白色微粉末状のポリマー粉を得た。結果を表6にまとめて示す。
Figure 2010001446
実施例24〜27と実施例4〜6の結果から、溶媒にDMSOを用い、水共沸溶媒としてトルエンを加えた方が、より反応が進行していることがわかる。また、ヒドロキシフェニル末端や還元粘度は、実施例1〜11と同じく、添加した二価フェノールの量に依存していることがわかる。
実施例28〜35の結果から、 実施例12〜15と同様に、原料となるPESの分子量、末端基構造の違いによらず、高ヒドロキシフェニル末端基量のポリマーが、高収率で、かつ高純度で得ることが可能となったことがわかる。
H−NMRの結果から、原料に用いた参考例1のPESでは確認された、7.7ppm付近に観察されるクロル置換された芳香族炭素に隣接するプロトン(b)が、反応後の実施例25では観察されず、6.9ppm付近に観察されると、ヒドロキシル基で置換された芳香族炭素に隣接するプロトン(a)が増えていることが確認できる。(図1参照)
<ヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)と熱可塑性樹脂のアロイ化>
[実施例36〜38]
表7に示した条件により、実施例28で合成したPESを用いた以外は実施例20〜22と同様の方法で実施した。
一連の結果を表7に示したが、本発明の方法により得られるヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)は、PET、PBTなどのポリエステルやナイロンなどの熱可塑性樹脂とのアロイ化に好適であることがわかった。実施例20〜22と比較して分散性が向上しているのは、実施例28で実施した、微粉末状での再沈殿回収により向上したと考えられる。
Figure 2010001446
<ヒドロキシフェニル末端基を有するPES(D)と熱硬化性樹脂のアロイ化>
[実施例39〜40]
エポキシ樹脂としてテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(Epikote 604)(ジャパンエポキシレジン社製)と実施例34、35、で合成したPESと参考例7のPESを、試験管中で130℃に加熱し、3時間以上かけて混合させ均一にした。ついで得られた混合物を80℃まで冷却し、硬化剤として4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(以下DDSと略す)を表8に示す割合で添加し、脱泡混練機(株式会社シンキー製:あわとり練太郎ARV−310)を用いて2000rpmで3分混練した後、2000rpmで5分、0.6KPaで減圧・脱泡しながら均一によく混合してエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を加熱炉中、180℃で2時間反応、硬化させ、エポキシ樹脂硬化物を得た。エポキシ樹脂中に微分散されているPESの平均粒径測定は、実施例20と同じ方法により測定した。結果を表8に示した。
Figure 2010001446
実施例34、35で得られたヒドロキシフェニル末端基を有するPESを用いたエポキシ樹脂硬化物は、比較例8のヒドロキシフェニル末端基を含まないPESを用いた場合に比較して、エポキシ樹脂中により微分散していることがわかる。また、そのヒドロキシフェニル末端基が多く、分子量が低い程微分散していることがわかる。実施例23と比較して、実施例39、40の微分散性が大幅に向上しているのは、実施例24〜35で実施した微粉末状での再沈殿回収と、硬化剤添加後の脱泡混練条件により向上したと考えられる。
得られたエポキシ樹脂組成物の断面を透過型電子顕微鏡を用いて観察した結果を図2(参考例7のPES:ヒドロキシフェニル基0%を用いた比較例8)、図3(実施例35のPES:ヒドロキシフェニル基46%を用いた実施例40)、図4(実施例34のPES:ヒドロキシフェニル基82%を用いた実施例39)に示した。
ヒドロキシフェニル末端基を有さないPESを混練した比較例8では分散せず、相分離している様子が観察されるのに対し、実施例40では平均粒径100nmでPESが微分散しており、実施例39では10nm以下で微分散していることがわかる。
参考例1で得たPES、実施例25で得たPESのNMRチャートを示す図である。 比較例8で得たエポキシ樹脂組成物の断面の透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例40で得たエポキシ樹脂組成物の断面の透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例39で得たエポキシ樹脂組成物の断面の透過型電子顕微鏡写真を示す図である。

Claims (12)

  1. 一般式(a−1)および/または一般式(a−2)で表される構造を有する芳香族ポリエーテルスルホン(A)と、一般式(b−1)および/または(b−2)で表される二価フェノール化合物(B)、および塩基性化合物(C)を非プロトン性極性溶媒中で加熱することを特徴とするヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法。
    Figure 2010001446
    (式中のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基および炭素数6〜8のアリール基から選ばれるいずれかを表し、mは0〜3の整数を表す。Yは直接結合、酸素、硫黄、SO、CO、C(CH2、CH(CH)、およびCHから選ばれるいずれかを表す)
  2. 二価フェノール化合物(B)の添加量が、芳香族ポリエーテルスルホン(A)1モルに対して、0.01〜0.5倍モルであることを特徴とする請求項1記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法。
  3. 塩基性化合物(C)が炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、無水炭酸ナトリウムおよび無水炭酸カリウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法。
  4. 非プロトン性極性溶媒が、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドおよびスルホランから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法。
  5. さらに水共沸溶媒を使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法。
  6. 水共沸溶媒が、炭化水素溶媒から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法。
  7. 加熱温度が100〜200℃であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法。
  8. 原料の芳香族ポリエーテルスルホン(A)の、ヒドロキシフェニル末端基組成が50モル%以下(重水素化ジメチルスルホキシド中、H−NMRにより測定され、[6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシルフェニル末端基)]/(6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシフェニル末端基由来)+7.7ppmのピーク面積(クロロフェニル末端基由来)]×100より算出される)であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法。
  9. 得られるヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の、ヒドロキシフェニル末端基組成が60モル%以上(重水素化ジメチルスルホキシド中、H−NMRにより測定され、[6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシルフェニル末端基)]/(6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシフェニル末端基由来)+7.7ppmのピーク面積(クロロフェニル末端基由来)]×100より算出される)であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法。
  10. 得られるヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の、DMF中、25℃、1g/dlの条件で測定した還元粘度が0.2〜0.4であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法。
  11. 得られるヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の、ヒドロキシフェニル末端基組成が80モル%以上(重水素化ジメチルスルホキシド中、H−NMRにより測定され、[6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシルフェニル末端基)]/[(6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシフェニル末端基由来)+7.7ppmのピーク面積(クロロフェニル末端基由来)]×100より算出される)であることを特徴とする請求項9記載のヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)の製造方法。
  12. ヒドロキシフェニル末端基組成が80モル%以上(重水素化ジメチルスルホキシド中、H−NMRにより測定され、[6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシルフェニル末端基)]/[(6.9ppmのピーク面積(ヒドロキシフェニル末端基由来)+7.7ppmのピーク面積(クロロフェニル末端基由来)]×100より算出される)であり、DMF中、25℃、1g/dlの条件で測定した還元粘度が0.2〜0.4であることを特徴とするヒドロキシフェニル末端基を有する芳香族ポリエーテルスルホン(D)。
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