JP7409603B2 - 光造形装置、及び該装置を用いた光造形方法 - Google Patents

光造形装置、及び該装置を用いた光造形方法 Download PDF

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本発明は、光硬化性樹脂を硬化させて三次元物体を造形する光造形装置、及び該装置を用いた光造形方法に関する。
三次元物体の形状を示す三次元形状データから該三次元物体の複数の断面の二次元形状を示す造形データ(本明細書では以下画像データと称する。)を生成し、各画像データの夫々に対応する形状の造形層を順次形成することで、三次元物体(造形物)を造形する光造形装置が知られている。
特許文献1には、光硬化性樹脂を保持する容器の底部に設けられた透光部を介して、二次元形状データに応じた光を照射し、造形物を引き上げながら造形を行う光造形装置が記載されている。
特開2019-77118号公報
しかしながら、特許文献1に記載の光造形装置は、形成された造形物を容器に保持された樹脂から引き上げる際、造形物の底面と容器の底部に設けられた透光部との密着により、造形物を保持する保持板と造形物との界面で剥がれが発生する場合があった。そのような剥がれは、特に造形物の引き上げ時に起こり、造形の失敗を招いていた。
本発明は、このような剥がれの発生を予測することが可能な光造形装置及び該装置を用いた光造形方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するための、本発明の一側面としての光造形装置は、透光部を有し、液状の光硬化性樹脂を保持する容器と、前記透光部を介して前記光硬化性樹脂に光を照射する投影光学系と、前記三次元形状の複数の断面に対応する複数の画像データの夫々に基づいて前記光の照射を制御する制御部と、前記光硬化性樹脂のうち前記光を受けて硬化した造形物を、前記透光部から離れる方向に移動させる、前記造形物を保持する保持板を備える移動機構と、を備え、前記制御部は、前記造形物の第1の造形層の造形開始前に、前記画像データのうち少なくともいずれかに基づき、前記第1の造形層より後に造形される前記造形物の第2の造形層と前記保持板の間の剥がれの発生の有無を予測することを特徴とする。
本発明によれば、簡易な構成で精度良く造形中における剥がれの発生を予測でき、ユーザーはその予測に応じた対応を取りやすくなる。その結果、造形の失敗リスク、失敗により生じるコストの低減を図ることが可能となる。
本発明の実施例1の光造形装置の要部概略図。 剥がれの発生の予測で利用する学習モデルについて説明する図。 本発明の実施例1の光造形方法のフローを説明する図。 図1図示の保持板202の拡大斜視図。 本発明の実施例2の光造形方法のフローを説明する図。 本発明の実施例3の光造形装置の要部概略図。 本発明の実施例3の光造形方法のフローを説明する図。 平坦部位を説明する図。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面は、便宜的に実際とは異なる縮尺で描かれている場合がある。また、各図面において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る光造形装置100の要部概略図(ZX断面図)である。光造形装置100は、造形ユニット200と、造形ユニット200を制御する制御部300とを有し、液状の光硬化性樹脂RAに変調光を照射して造形層を順次形成することで、三次元造形物WBを形成する。制御部300には、外部装置である画像処理装置400(コンピュータ)とディスプレイ401が接続されている。
本実施形態では、変調光として紫外線(UV光)を用い、光硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂(UV硬化性樹脂)を用いている。ただし、UV光以外の変調光及びUV硬化性樹脂以外の光硬化性樹脂を用いてもよい。なお、図1に示した造形ユニット200はあくまで模式図である。
[実施例1]
以下、本発明の実施例1の形態における光造形装置100の詳細について説明する。
本実施例に係る造形ユニット200は、容器201と、造形物WBを支持する保持板202と、移動機構203と、投影ユニット250とを有する。容器201は、液状の光硬化性樹脂RA(本明細書では、簡単のため硬化前の状態も樹脂と呼称する。)を保持する液槽であり、その上部には開口が形成されている。容器201は、容器本体(壁面部)211と、該容器本体211の下部(底面部)に形成された開口を塞ぐように設けられた透光性材料から成る透光板(透光部)212とにより構成されている。
光硬化性樹脂RAは、所定の光量以上のUV光が照射されたときに硬化する特性を有する。このため、硬化させたい領域にのみ所定の光量以上のUV光を照射することで、目的とする形状を有する造形物WBを形成することができる。透光板212の光硬化性樹脂RAの側の面には、硬化した造形物(硬化部)WBが透光板212に固着しないようにするための離型剤がコーティングされている。これにより、各造形層WAの造形中に保持板202が移動できなくなることや、形成された造形物WBを取り外し不能となることを防げる。
移動機構203は、造形物WBを保持する保持板202を備え、容器201の上部の開口を通して保持板202を上下方向(±Z方向)に移動させることが可能である。移動機構203は、パルスモータとボールねじ等により構成され、制御部300からの制御信号に基づいて任意の速度または任意のピッチで保持板202を移動させる。以下の説明では、保持板202の移動方向(図の上下方向)をZ方向、該Z方向に直交する方向(図の左右方向)をX方向、Z方向及びX方向に直交する方向(図の奥行き方向)をY方向とする。なお、X及びY方向は、保持板202の造形物WBを保持する面2021の面内方向と平行である。
移動機構203は、保持板202が下端位置にある状態で、透光板212を通して変調光を光硬化性樹脂RAに照射することで、最初の造形層WAが保持板202に付着した状態で形成される。そして、最初の造形層WAが下端位置から造形層WAの厚さ分に相当する所定量だけ引き上げられた状態で、透光板212を通して変調光を光硬化性樹脂RAに照射することで、最初の造形層WAと透光板212との間に次の造形層WAが形成される。この工程を繰り返すことで、複数の造形層WAが順次積層され、造形物WBを形成することができる。
容器201の下側、すなわち透光板212と対向する位置には投影ユニット250が配置されている。投影ユニット250は、光源251と、ビームスプリッタ252と、LCOS或いはDMDといった画像形成素子(光変調素子)253と、それの駆動手段254と、投影光学系255とを有する。
光源251、ビームスプリッタ252及び光変調素子253はX方向において直列に配置されている。投影光学系255は、ビームスプリッタ252の上側(+Z側)において、最も拡大側の光学面(最終面)が透光板212と対向するように配置されている。光源251は、UV光を発するLEDや高圧水銀ランプ等により構成される。光源251から発せられたUV光は、ビームスプリッタ252を透過して画像形成素子253に入射する。なお、光硬化性樹脂として光硬化性樹脂以外を用いる場合は、光源251はUV光を発するものでなくてもよい。
画像形成素子253は、複数の画素を有し、照射されたUV光を画素ごとに変調して変調光(画像光)を生成する光変調素子である。本実施例では、画像形成素子253として、DMD(Digital Mirror Device)を用いている。DMDとしての画像形成素子253は、二次元配列された複数の画素の夫々が、複数の角度位置(オン位置とオフ位置)の間で変化(回動)する微細なミラーで構成されている。各画素は、ミラーがオン位置にあるオン状態とミラーがオフ位置にあるオフ状態とで明暗を表現する二値制御が可能である。
画像処理装置400は、不図示のスキャニング装置などから得られた三次元物体の形状データを入力され、当該データからZ方向に沿った複数の断面の二次元形状を示す複数の画像データを生成する。各画像データは、二次元配列された複数の画素位置に対して、造形対象となる画素位置(造形画素位置)であることを示す「1」、または造形対象とならない画素位置(非造形画素位置)であることを示す「0」を含む二値化データである。画像処理装置400は、複数の画像データが時系列として配列された一群の画像データを制御部300に出力する。なお、画像処理装置400は光造形装置100の内部に搭載されていてもよい。
制御部300は、CPU301と、入力された一群の画像データを格納するRAM302と、ROM303とを有するコンピュータとして構成されている。ROM303は、プログラム304が記録された記録媒体であり、EEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリである。CPU301は、ROM303に記録されたプログラム304を読み出して造形ユニット200を制御する光造形プロセスを実行する。
なお、プログラム304は、ROM303ではなく制御部300の外部に存在する記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体としては、例えば、不揮発性メモリ(半導体メモリ等)、記録ディスク(光ディスクや磁気ディスク)、記憶装置(ハードディスク)等のコンピュータで読み取り可能なものが採用される。
制御部300は、画像処理装置400から出力された一群の画像データにおける各画像データに基づいて、画像形成素子253の画素ごとに順次二値制御を行うことで、上述したようにUV光を画素ごとに変調する。なお、制御部300は、各画素のオン状態とオフ状態との切り替えを高速で行うデューティ制御によって中間調を表現することもできる。
なお、本実施例では、画像形成素子253としてDMDを用いる場合について説明したが、画像形成素子253として反射型液晶パネルや透過型液晶パネルなどを用いてもよい。この場合も、画素の反射率または透過率の二値制御による明暗表現だけでなく、反射率または透過率の高速スイッチングによる中間調表現も可能である。これらの素子に限らず、明暗や中間調を有する変調光を形成できる素子であれば、他の素子を画像形成素子253として用いてもよい。
また、光変調素子を用いずに、画像データに応じて変調されたレーザ光を走査する構成であってもよい。
ビームスプリッタ252は、前述したように光源251からのUV光を透過させると共に、画像形成素子253からの変調光を投影光学系255に向けて反射する。投影光学系255は、1以上の光学素子(レンズ)により構成されており、ビームスプリッタ252からの変調光を光硬化性樹脂RAに投影(照射)する。このとき、変調光は、容器201内において画像形成素子253と光学的に共役な位置に集光され、画像形成素子253の各画素の像を形成する。
この変調光の集光位置(結像位置)が造形位置であり、この造形位置は容器201内における上述した透光板212の直上の位置に設定される。そして、この位置の光硬化性樹脂RAが変調光を受けることで造形層WAが形成される。投影光学系255における開口絞りを最も絞った状態とすることにより、画像形成素子253の各画素からの変調光を造形位置に高精度に集光させることができ、良好な解像度の造形層WAを形成することができる。
制御部300は、上述した画像形成素子253の制御だけでなく、光源251、移動機構203、及び駆動機構254の制御を行う。このとき、制御部300は、上述した画像データに応じた造形層WAの形成前に移動機構203に保持板202を引き下げさせ、形成後に移動機構203に保持板202を引き上げさせる。これにより、保持板202によって上端が保持された最初の造形層WAに順次新たな造形層WAが積層されるようにして、造形物WBを形成することができる。
このように、本実施例に係る光造形装置100は、順次積層される複数の造形層WAの夫々を形成する際に、投影ユニット250によって変調光を造形位置の広範囲に一括投影している。これにより、広範囲に存在する光硬化性樹脂RAを一度に硬化させることができる。よって、レーザ光などで造形位置を光走査することで一つの造形層WAを部分毎に順次硬化させる装置と比較して、造形物WBの造形に要する時間(造形時間)を短くすることができる。
また、制御部300は、RAM302に格納された画像データにアクセスし、並列的に画像データを処理する。CPU301は、後述する学習モデルを用いて、画像データの夫々に対し、造形中における剥がれの発生の有無を予測する。
ここで剥がれの発生について詳しく説明する。図4は、図1で示された保持板202の拡大図である。図1とは天地逆転し、造形物WBを保持する保持面2021が上向きの状態で示されている。保持板202の保持面2021には造形物WBの密着性と造形後の剥がし易さを考慮し複数の直線状の溝2022が形成されている。
また、一つの造形層WAの形成プロセスは大まかには以下の3つの動作から構成される。
(1)保持板202の保持面2021或いは保持された造形物WBの先端位置を、樹脂の液中に挿入し、造形層WAの厚さ位置まで引き下げる。
(2)その状態で投影ユニット250から変調光を一括投影し、樹脂を硬化させる。
(3)硬化後、造形物WBを液面から引き上げ、次の造形層WAを形成するための樹脂の補充を行う。
上記(2)のプロセスにおいて、硬化した樹脂が容器の底部に設けられた透光部212と密着してしまうという問題がある。透光部212の表面はそのような密着を低減するために離型剤のコーティング処理が施されているが、密着を完全に防ぐことは困難である。そして、密着した部位における密着力が、保持板202の保持面2021と造形物WBとの界面における密着力を上回った場合、保持面2021と造形物WBとが、上記(3)のプロセスにおける引き上げの際に剥離してしまう。本願発明における「剥がれ」とはこのような現象を示している。特に、形成された造形層WAに比較的に大きな面積の平坦部位位が存在する場合、当該部位において密着力が増大し、剥がれが生じ易い傾向にある。即ち、剥がれの発生と造形層WAの二次元形状との間には因果関係があり、造形する造形層WAの二次元形状により造形後の剥がれの発生を予測することが可能である。
本発明では、剥がれが発生した際の造形層WAの画像データを複数枚収集し、それを用いて機械学習を行い、学習済モデルを構築した。
そして、この学習済モデルを用いて、造形中に剥がれが発生するか否かを予測することが可能となった。
次に、本実施例における学習モデルを構築する学習フェーズと、該学習モデルを利用した剥がれの発生の予測を行う推定フェーズについて図2を用いて説明する。
図2(A)は、学習フェーズの概念図である。学習モデル420に対して、学習データとして、剥がれが生じた際の画像データ412をM枚準備し、学習モデル420に入力する。学習モデル420は、入力された画像データを機械学習し、剥がれが発生する二次元形状に共通する特徴量を学習し、学習済モデル430を構築する。
機械学習の具体的なアルゴリズムとしては、最近傍法、ナイーブベイズ法、決定木、サポートベクターマシンなどを利用することができる。またニューラルネットワークを利用して、学習するための特徴量、結合重みづけ係数を自ら生成する深層学習(ディープラーニング)であってもよい。たとえば、深層学習のモデルとして、CNNモデル(Convolutional Neural Network Model)を用いることもできる。
図2(B)は、推定フェーズの概念図である。学習フェーズで構築した学習済モデル430に対して、画像データ440を入力すると、剥がれの発生の有無の予測結果が出力される。この学習済モデル430を用いた処理はCPU301によって実行される。
この予測結果は、ディスプレイ401に表示されるなどしてユーザーに報知される。ユーザーはこの報知に基づき造形の中止、または、造形層WAの二次元形状の再設計(外観形状は変更できないので内部に空洞部を設ける等)を行うなどの判断および対応が可能となる。造形の中止は、不良品コストの低減を図れる。
本実施形態では、特徴量として上述した平坦部位の面積を使用することが可能である。図8は断面層WAの一例である。図8より、断面層WAを分割数が少なくなるように所定の形状で分割した際、平坦部位WC1~WC5に分割することができる。その際、平坦部位WC1の面積が他の平坦部位と比べ非常に大きくなる。これにより、透光部212と平坦部位WC1との密着力が大きくなり、剥がれの原因となりうる。本実施形態では、矩形により分割しているが、断面層WAの形状に応じて、分割数が少なくなるように円形や三角形などを混ぜて分割しても構わない。
次に、本発明の光造形方法について図3を用いて説明する。まず、造形対象となる三次元物体のCADデータ或いはスキャンデータを三次元形状データとして画像処理装置400に入力する(ステップ320)。次に、入力されたデータより三次元物体の複数の断面の二次元形状を示す複数の画像データを生成し、光造形装置100の制御部300に転送する(ステップ330)。ここまでの処理は、本実施形態においては、外部接続された画像処理装置400にて行っている。
光造形装置100は、画像処理装置400から転送された複数の画像データを制御部300内のRAM302に格納する。続いて、CPU301は、格納された複数の画像データの夫々に基づいて、上述した学習済モデル430を利用した剥がれの発生の有無の予測を行う(ステップ340)。予測の結果、剥がれの発生が「有」と予測された画像データが存在する場合、CPU301はその情報を外部接続された画像処理装置400へ通知し、通知を受けた画像処理装置400はディスプレイ401等を通じてユーザーに報知する(ステップ341)。
また、予測の結果、全ての画像データが剥がれの発生が「無」と予測された場合は、造形動作を開始する。
先ず、容器201に一つの造形層WAを形成するのに足る量の樹脂を供給する。そして、保持板202の保持面2021或いは保持された造形物WBの先端位置を、容器201の底面(透光板212)から造形層WAの厚さ相当の位置まで引き下げる(ステップ350)。次に、その状態で投影ユニット250から画像データに基づき変調された変調光を一括投影し、樹脂を硬化させる(ステップ360)。そして、硬化後に造形物WBを樹脂の液面から引き上げる(ステップ370)。この一連の動作を造形物WBが完成するまで繰り返す(ステップ380)。
なお、本実施例においては、報知を受けた以後の動作は、上述したとおりにユーザーによる対応としたが、剥がれの発生が「有」と予測された場合に、造形動作の中止を自動化するように装置を構成しても良い。
[実施例2]
上述の実施例1では、造形開始前に、造形に使用する全ての画像データに対し、剥がれの発生の有無の予測を一括処理したが、本実施例2では、造形層WAの形成毎に予測を行う点(ステップ3401)で実施例1と相違する。その他の動作は実施例1と同様であるため同じ符号を付し詳しい説明は省略する。
次に、実施例2の光造形方法について図5を用いて説明する。ステップ3401において、CPU301は、格納された複数の画像データの中から造形を行うべく造形層WAに対応した画像データを選択し、その画像データに対して、上述した学習済モデル430を利用した剥がれの発生の有無の予測を行う。予測の結果、剥がれの発生が「有」と予測された場合、CPU301はその情報を外部接続された画像処理装置400へ通知し、通知を受けた画像処理装置400はディスプレイ401等を通じてユーザーに報知する(ステップ341)。
ユーザーはこの報知に基づき造形を中止、造形層WAの二次元形状の再設計(外観形状は変更できないので空洞部の設定等)を行うなどの判断および対応が可能となる。
また、予測の結果、画像データが気泡の発生が「無」と予測された場合は、ステップ350以降の動作に進む。なお、ステップ350、ステップ360、ステップ370の動作の詳細は実施例1と同じであるため説明を省略する。
次に、ステップ380において、一連の造形層WAの形成が完了したかを確認する。未完了ならば、ステップ3401に戻り、一連の動作を造形物WBの完成まで繰り返す。
[実施例3]
次に、本発明の実施例3について図6及び図7を用いて説明する。本実施例は、実施例1で説明した光造形装置100の変形例である。相違点は、剥がれの発生が「有」と予測された場合、造形物WBの引き上げ動作時に保持板202をX軸回り、或いはY軸回りにチルトさせる動作、及び構成を実装した点である。その他の構成及び動作は、実施例1で説明した光造形装置100及び動作と同様であるため同じ符号を付し詳しい説明は省略する。
図6に示される光造形装置における移動機構2031は、容器201の上部の開口を通して保持板202を上下方向(±Z方向)に移動させ、また、X軸回り、或いはY軸回りにチルトさせることが可能である。移動機構2031は、パルスモータとボールねじ等により構成され、制御部300からの制御信号に基づいて任意の速度または任意のピッチで保持板202を移動およびチルトさせる。以下の説明では、保持板202の移動方向(図の上下方向)をZ方向、該Z方向に直交する方向(図の左右方向)をX方向、Z方向及びX方向に直交する方向(図の奥行き方向)をY方向とする。なお、X及びY方向は、保持板202の造形物WBを保持する面2021の面内方向と平行である。
次に、本発明の実施例3の光造形方法について図7を用いて説明する。ステップ3401において、CPU301は、格納された複数の画像データの中から造形を行うべく造形層WAに対応した画像データを選択し、その画像データに対して、上述した学習済モデル430を利用した剥がれの発生の有無の予測を行う。予測の結果、剥がれの発生が「有」と予測された場合、容器201に一つの造形層WAを形成するのに足る量の樹脂を供給する。そして、保持板202の保持面2021或いは保持された造形物WBの先端位置を、容器201の底面(透光板212)から造形層WAの厚さ相当の位置まで引き下げる(ステップ3501)。次に、その状態で投影ユニット250から画像データに基づき変調された変調光を一括投影し、樹脂を硬化させる(ステップ3601)。そして、硬化後に、CPU301は移動機構2031に指示を出し、保持板202をX軸回り、或いはY軸回り(図6中ではY軸回りで図示)にチルト(5~10°)させた状態で造形物WBを引き上げる(ステップ3701)。これにより剥がれの発生を抑制することができる。これは、透光部212と造形層WAとを引き剥がす際に、同時に引き剥がす稜線を少なくすることにより引き剥がし易くなるためである。
また、予測の結果、画像データが剥がれの発生が「無」と予測された場合は、ステップ350以降の動作に進む。
次に、ステップ380において、一連の造形層WAの形成が完了したかを確認する。未完了ならば、ステップ3401に戻り、一連の動作を造形物WBの完成まで繰り返す。
なお、上述の実施例では、保持板202をチルトさせて剥がれの発生を抑制したが、保持板202をX-Y面内でZ軸回りに回転させることによっても剥がれの抑制は可能である。また、保持板202を微小振動させることによっても剥がれの抑制は可能である。
100 光造形装置
201 容器
202 保持板
203、2301 移動機構
212 透光板(透光部)
251 光源
253 画像形成素子(光変調素子)
255 投影光学系
300 制御部
RA 光硬化性樹脂
WA 造形層
WB 造形物
WC1、WC2、WC3、WC4、WC5 平坦部位

Claims (21)

  1. 三次元形状の造形物を光造形する光造形装置において、
    透光部を有し、液状の光硬化性樹脂を保持する容器と、
    前記透光部を介して前記光硬化性樹脂に光を照射する投影光学系と、
    前記三次元形状の複数の断面に対応する複数の画像データの夫々に基づいて前記光の照射を制御する制御部と、
    前記光硬化性樹脂のうち前記光を受けて硬化した造形物を、前記透光部から離れる方向に移動させる、前記造形物を保持する保持板を備える移動機構と、を備え、
    前記制御部は、前記造形物の第1の造形層の造形開始前に、前記複数の画像データのうち少なくともいずれかに基づき、前記第1の造形層の後に造形される前記造形物の第2の造形層と前記保持板との間の剥がれの発生の有無を予測することを特徴とする光造形装置。
  2. 前記第1の造形層と前記保持板との間に、前記造形物の第3の造形層が配されていることを特徴とする請求項1に記載の光造形装置。
  3. 前記第1の造形層が前記保持板に接していることを特徴とする請求項1に記載の光造形装置。
  4. 三次元形状の造形物を光造形する光造形装置において、
    透光部を有し、液状の光硬化性樹脂を保持する容器と、
    前記透光部を介して前記光硬化性樹脂に光を照射する投影光学系と、
    前記三次元形状の複数の断面に対応する複数の画像データの夫々に基づいて前記光の照射を制御する制御部と、
    前記光硬化性樹脂のうち前記光を受けて硬化した造形物を、前記透光部から離れる方向に移動させる、前記造形物を保持する保持板を備える移動機構と、を備え、
    前記制御部は、前記造形物の造形開始前に複数の画像データの全てに対して前記造形物と前記保持板との間の剥がれの発生の有無を予測することを特徴とする光造形装置。
  5. 三次元形状の造形物を光造形する光造形装置において、
    透光部を有し、液状の光硬化性樹脂を保持する容器と、
    前記透光部を介して前記光硬化性樹脂に光を照射する投影光学系と、
    前記三次元形状の複数の断面に対応する複数の画像データの夫々に基づいて前記光の照射を制御する制御部と、
    前記光硬化性樹脂のうち前記光を受けて硬化した造形物を、前記透光部から離れる方向に移動させる、前記造形物を保持する保持板を備える移動機構と、を備え、
    前記制御部は、前記複数の画像データの夫々に基づき形成される造形層の形成毎に前記造形物と前記保持板との間の剥がれの発生の有無を予測することを特徴とする光造形装置。
  6. 前記制御部は、前記剥がれの発生を予測する学習済モデルを含み、前記学習済モデルを用いて前記予測を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光造形装置。
  7. 前記学習済モデルは、前記剥がれが発生した際の画像データを学習データとした機械学習により生成されたものであることを特徴とする請求項に記載の光造形装置。
  8. 前記制御部は、前記剥がれの発生が有ると予測された場合、ユーザーに報知することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光造形装置。
  9. 前記制御部は、前記剥がれの発生が無いと予測された場合、前記画像データに基づいた造形動作を開始、或いは繰り返すことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光造形装置。
  10. 前記制御部は、前記剥がれの発生が有ると予測した場合、造形動作を中止することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光造形装置。
  11. 前記制御部は、前記剥がれの発生が有ると予測した場合、前記移動機構を駆動し、前記造形物を保持する前記保持板をチルトさせた状態で前記造形物を引き上げることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光造形装置。
  12. 前記制御部は、前記剥がれの発生が有ると予測した場合、前記移動機構を駆動し、前記造形物を保持する前記保持板を振動させながら前記造形物を引き上げることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光造形装置。
  13. 前記制御部は、前記剥がれの発生が有ると予測した場合、前記移動機構を駆動し、前記造形物を保持する前記保持板を面内方向に回転させた状態で前記造形物を引き上げることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光造形装置。
  14. 三次元形状の造形物を光造形する光造形方法において、
    前記三次元形状の造形物の複数の断面に対応する複数の画像データを格納する工程と、
    液状の光硬化性樹脂に、透光部を介して前記複数の画像データに基づいて変調された光を照射する工程と、
    前記光硬化性樹脂のうち前記光を受けて硬化した造形物を、前記透光部から離れる方向に保持板に保持させた状態で移動させる移動工程と、
    前記光硬化性樹脂を補充する工程と、
    前記造形物の第1の造形層の造形開始前に、前記複数の画像データのうち少なくともいずれかに基づき、前記第1の造形層の後に造形される前記造形物の第2の造形層と前記保持板との間剥がれの発生の有無を予測する予測工程と、を備えることを特徴とする光造形方法。
  15. 前記第1の造形層と前記保持板との間に、前記造形物の第3の造形層が配されていることを特徴とする請求項14に記載の光造形方法。
  16. 前記第1の造形層が前記保持板に接していることを特徴とする請求項14に記載の光造形方法。
  17. 三次元形状の造形物を光造形する光造形方法において、
    前記三次元形状の造形物の複数の断面に対応する複数の画像データを格納する工程と、
    液状の光硬化性樹脂に、透光部を介して前記複数の画像データに基づいて変調された光を照射する工程と、
    前記光硬化性樹脂のうち前記光を受けて硬化した造形物を、前記透光部から離れる方向に保持板に保持させた状態で移動させる移動工程と、
    前記光硬化性樹脂を補充する工程と、
    前記造形物の造形開始前に、前記複数の画像データの全てに対して、前記保持板と前記造形物との間で剥がれの発生の有無を予測する予測工程と、を備えることを特徴とする光造形方法。
  18. 三次元形状の造形物を光造形する光造形方法において、
    前記三次元形状の造形物の複数の断面に対応する複数の画像データを格納する工程と、
    液状の光硬化性樹脂に、透光部を介して前記複数の画像データに基づいて変調された光を照射する工程と、
    前記光硬化性樹脂のうち前記光を受けて硬化した造形物を、前記透光部から離れる方向に保持板に保持させた状態で移動させる移動工程と、
    前記光硬化性樹脂を補充する工程と、
    前記造形物の造形開始前に、前記複数の画像データの夫々に基づき形成される造形層の形成毎に、前記保持板と前記造形物との間で剥がれの発生の有無を予測する予測工程と、を備えることを特徴とする光造形方法。
  19. 更に、前記予測工程において、前記剥がれの発生が有ると予測された場合、ユーザーに報知する工程を有することを特徴とする請求項14乃至18のいずれか一項に記載の光造形方法。
  20. 更に、前記予測工程において、前記剥がれの発生が有ると予測された場合、前記移動工程では、前記保持板をチルトさせた状態で前記造形物を前記透光部から離れる方向に移動させることを特徴とする請求項14乃至19のいずれか一項に記載の光造形方法。
  21. 前記予測工程において、前記剥がれの発生が無いと予測された場合、前記画像データに基づいた造形動作を開始、或いは繰り返すことを特徴とする請求項14乃至20のいずれか一項に記載の光造形方法。
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