JP2017209820A - 光造形装置および光造形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化層を樹脂槽から剥離するときに、硬化層が破損する恐れを低減する。【解決手段】光照射手段により樹脂槽に貯留された光硬化性樹脂に照射される三次元造形物の断面形状を示す画像の面積たる照射画像面積を取得する照射画像面積取得手段と、照射画像面積が大きくなるほどプラットフォームの上昇速度が低くなるという照射画像面積とプラットフォームの上昇速度との関係を記憶した記憶手段と、記憶手段から照射画像面積取得手段が取得した照射画像面積に対応する上昇速度を取得する上昇速度取得手段と、上昇速度手段により取得された上昇速度でプラットフォームを上昇する上昇制御手段とを有する。【選択図】 図2
Description
本発明は、光造形装置および光造形方法に関し、さらに詳細には、面露光によって光硬化性樹脂を硬化させて硬化層を生成して積層する手法により三次元造形物を形成する光造形装置および光造形方法に関する。
一般に、可視光または紫外光などの光の照射により硬化する光硬化性樹脂を用いて三次元造形物を作製する三次元造形装置たる光造形装置が知られている。
こうした光造形装置としては、例えば、光硬化性樹脂に光を照射することにより所定の形状に硬化させた硬化層を、プラットフォームの底面に順次積層して三次元造形を行う吊り上げ積層構造方式の光造形装置が知られている。
この吊り上げ積層構造方式の光造形装置は、光を透過する透光板により液体状態の光硬化性樹脂を貯留する樹脂槽の底板を形成している。
こうした吊り上げ積層構造方式の光造形装置により三次元造形を行う場合には、プラットフォームを下降させて樹脂槽の光硬化性樹脂内にプラットフォームの下面を配置し、透光板の下方側に備えたプロジェクタなどの光照射手段を用いて、面露光により三次元造形物の断面形状を示す画像を透光板に向けて照射する。
これにより、樹脂槽に貯留された光硬化性樹脂内に配置したプラットフォームの下面側において樹脂槽内の光硬化性樹脂を硬化させ、プラットフォームと樹脂槽との間に三次元造形物の断面形状を示す画像の形状の硬化層を生成する。
硬化層の生成を終了すると、プラットフォームを上昇させて、プラットフォームごと硬化層を樹脂槽から剥離する。
その後に、再度プラットフォームを下降して、上記と同様な手法により、プラットフォームの下面側に形成した断面形状の次の断面形状を示す画像の形状の硬化層を生成する。
そして、こうした処理を繰り返し行い、三次元造形物の全ての断面形状を表す画像に基づく断面形状の硬化層を順次形成することで、三次元造形物を作製することとなる。
ここで、樹脂槽の底板の上面、即ち、プラットフォームと対向する面には、上記した硬化層を容易に剥離可能なようにシリコーンが塗布されてシリコーン層が形成されている。
ところで、上記したような従来の光造形装置においては、各層毎に生成される硬化層の面積、換言すれば、光照射手段により透光板に向けて照射される三次元造形物の断面形状を示す画像の面積に関わらず、硬化層を樹脂槽から剥離するためにプラットフォームを上昇させる際の上昇速度、換言すれば、硬化層を樹脂槽から剥離する際の剥離速度は常に一定であった。
即ち、剥離速度が一定のため、光照射手段により照射される三次元造形物の断面形状を示す画像の面積(以下、「照射画像面積」と適宜に称する。)に関わらず、常に一定の剥離強度で硬化層を樹脂槽から剥離することになっていた。
そうすると、照射画像面積が大きく(広く)なるに従って、剥離強度が大きい状態で硬化層を樹脂槽から剥離することとなり、剥離時に硬化層が破損する恐れがあるという問題点があった。
ここで、一般に、剥離強度は、剥離速度に依存することが知られている。即ち、剥離強度は、剥離速度が速くなるにつれて増加し、剥離速度が遅くなるにつれて減少するという特性がある。
例えば、シリコーンについても、非特許文献1に示すように、剥離速度が速くなるにつれて増加し、剥離速度が遅くなるにつれて減少するという特性がある。
柴野富四著、「特別寄稿 剥離紙概論No.11 シリコーンの剥離性について(1)」、コンバーテック2015.8、第44頁〜第49頁
本発明は、従来の技術の有する上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、硬化層を樹脂槽から剥離するときに、硬化層が破損する恐れを低減することのできる光造形装置および光造形方法を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明による光造形装置は、剥離強度は剥離速度に依存する、即ち、剥離強度は剥離速度が速くなるにつれて増加し、剥離速度が遅くなるにつれて減少するという特性に鑑みてなされたものである。
即ち、本発明による光造形装置は、照射画像面積が大きくなるに従って、当該照射画像面積に基づき生成される硬化層の樹脂槽と接する面積が大きくなるため、当該硬化層を樹脂槽から剥離し難くなるので、剥離速度を遅くして剥離強度を下げるようにしたものである。
つまり、本発明による光造形装置は、光照射手段により三次元造形物の断面形状を示す画像を樹脂槽に貯留された光硬化性樹脂に照射して、上記樹脂槽に貯留された上記光硬化性樹脂内に配置したプラットフォームの下面側において上記光硬化性樹脂を硬化させて硬化層を生成した後に、上記プラットフォームを上昇させて上記プラットフォームごと上記硬化層を上記樹脂槽から剥離する光造形装置において、光照射手段により樹脂槽に貯留された光硬化性樹脂に照射される三次元造形物の断面形状を示す画像の面積たる照射画像面積を取得する照射画像面積取得手段と、上記照射画像面積が大きくなるほどプラットフォームの上昇速度が低くなるという上記照射画像面積と上記プラットフォームの上昇速度との関係を記憶した記憶手段と、上記記憶手段から上記照射画像面積取得手段が取得した照射画像面積に対応する上昇速度を取得する上昇速度取得手段と、上記上昇速度手段により取得された上昇速度で上記プラットフォームを上昇する上昇制御手段とを有するようにしたものである。
また、本発明による光造形装置は、上記した本発明による光造形装置において、上記記憶手段に記憶された上記照射画像面積と上記プラットフォームの上記上昇速度との関係は、上記光照射手段による照射回数が多くなるほど上記上昇速度が低くなるようにしたものである。
また、本発明による光造形装置は、上記した本発明による光造形装置において、上記樹脂槽は、上記プラットフォームと対向する面にシリコーンが塗布されたものである。
また、本発明による光造形方法は、光照射手段により三次元造形物の断面形状を示す画像を樹脂槽に貯留された光硬化性樹脂に照射して、上記樹脂槽に貯留された上記光硬化性樹脂内に配置したプラットフォームの下面側において上記光硬化性樹脂を硬化させて硬化層を生成した後に、上記プラットフォームを上昇させて上記プラットフォームごと上記硬化層を上記樹脂槽から剥離する光造形方法において、光照射手段により樹脂槽に貯留された光硬化性樹脂に照射される三次元造形物の断面形状を示す画像の面積たる照射画像面積が大きくなるほど、プラットフォームを上昇させる上昇速度を低くするようにしたものである。
また、本発明による光造形方法は、上記した本発明による光造形方法において、上記光照射手段による照射回数が多くなるほど上記上昇速度を低くするようにしたものである。
また、本発明による光造形方法は、上記した本発明による光造形方法において、上記樹脂槽の上記プラットフォームと対向する面にシリコーンが塗布されているようにしたものである。
本発明は、以上説明したように構成されているので、硬化層を樹脂槽から剥離するときに、硬化層が破損する恐れを低減することができるという優れた効果を奏する。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による光造形装置および光造形方法の実施の形態の一例を詳細に説明することとする。
図1には、本発明による光造形装置の実施の形態の一例として、吊り上げ積層構造方式による光造形装置の説明図が示されている。
この光造形装置10は、底板12aが透光板によって形成されるとともに、光の照射により硬化する液体状態の光硬化性樹脂を貯留する樹脂槽12を備えている。
この樹脂槽12の底板12aの上面、即ち、プラットフォーム18(後述する。)と対向する面には、シリーコンが塗布されて、シリコーン層20が形成されている。
また、光造形装置10は、樹脂槽12の底板12aへ面露光により三次元造形物の断面形状を示す画像を投影するプロジェクター14と、昇降部材16にネジ(図示せず。)やボルト(図示せず。)などの適宜な締結手段によって取り外し自在に配設されて樹脂槽12内で硬化した光硬化性樹脂の硬化層を保持するプラットフォーム18とを有している。
プラットフォーム18は、昇降部材16により昇降自在、即ち、上方向の任意の位置に上昇自在であり、下方向の任意の位置に下降自在である。
光造形装置10においては、樹脂槽12に貯留された光硬化性樹脂内に配置したプラットフォーム18の下面18a側において、プロジェクター14による面露光によって樹脂槽12内の光硬化性樹脂を硬化させて、三次元造形物の断面形状を示す画像の形状の硬化層を生成し、生成した硬化層を順次積層して三次元造形物を形成する。
こうした本発明による光造形装置10の全体の動作は、マイクロコンピューター22により制御されている。
ここで、上記した本発明による光造形装置10は、従来より公知の光造形装置と比較すると、プラットフォーム18の下面18a側において硬化層を生成した後に、プラットフォーム18ごと硬化層を樹脂槽12から剥離する際におけるプラットフォーム18の上昇速度を制御する点のみが異なり、他の構成ならびに作用については従来より公知の光造形装置と異なることころがない。
従って、以下の説明においては、プラットフォーム18ごと硬化層を樹脂槽12から剥離する際におけるプラットフォーム18の上昇速度を制御するための構成および作用のみを詳細に説明することとし、光造形装置10におけるその他の構成ならびに作用の説明は省略する。
図2には、プラットフォーム18ごと硬化層を樹脂槽12から剥離する際におけるプラットフォーム18の上昇速度を制御するためのマイクロコンピューター22の機能的構成を示すブロック構成説明図が示されている。
マイクロコンピューター22は、プラットフォーム18の上昇速度を制御する上昇速度制御部22aと、形成予定の三次元造形物の断面形状を示す画像の照射画像面積を記憶する照射画像面積記憶部22bと、プロジェクター14により照射される三次元造形物の断面形状を示す画像の面積たる照射画像面積とプラットフォーム18の上昇速度との関係を示す上昇速度制御用テーブル記憶部22cとを有している。
上昇速度制御用テーブル記憶部22cには、発明者が、剥離強度は剥離速度に依存する、即ち、剥離強度は剥離速度が速くなるにつれて増加し、剥離速度が遅くなるにつれて減少するという特性に鑑みて、照射画像面積とプラットフォーム18の上昇速度との関係を実験的に求めた値を記憶した上昇速度制御用テーブルが記憶されている。
図3には、上昇速度制御用テーブル記憶部22cに記憶された上昇速度制御用テーブルの一例が示されており、照射画像面積が大きくなるに従って、プラットフォーム18の上昇速度は低下している。
以上の構成において、従来より公知の手法を用いて本発明による光造形装置10によりプラットフォーム18の下面18a側に硬化層を積層して三次元造形物の形成を行うものであるが、本発明による光造形装置10は、プラットフォーム18ごと硬化層を樹脂槽12から剥離する際に、図4のフローチャートに示す処理によりプラットフォーム18の上昇速度を制御する点においてのみ従来より公知の手法と異なる。
即ち、プロジェクター14により三次元造形物の断面形状を示す画像を照射して、樹脂槽12に貯留された光硬化性樹脂内に配置したプラットフォーム18の下面18a側において硬化層の生成を完了すると、メインルーチンのインターラプトルーチンとして図4に示すフローチャートに示す処理が起動する。
この図4に示すフローチャートに示す処理が起動すると、まず、上昇速度制御部22aは、照射画像面積記憶部22bからこの処理の起動直前に生成が完了した硬化層に係る照射画像面積を取得する(ステップS402)。
次に、上昇速度制御部22aは、上昇速度制御用テーブル記憶部22cに記憶された上昇速度制御用テーブルからステップS402の処理で取得した照射画像面積に対応する上昇速度を取得する(ステップS404)。
例えば、上昇速度制御部22aは、ステップS402で取得した照射画像面積が45mm2であるならば、上昇速度制御用テーブル記憶部22cに記憶された上昇速度制御用テーブルより、上昇速度として1.0mm/sを取得する。
それから、上昇速度制御部22aは、ステップS404で取得した上昇速度によってプラットフォーム18が上昇するように昇降部材16を駆動し、所定の位置までプラットフォーム18を上昇する(ステップS406)。
ステップS406の処理を終了すると、メインルーチンへ戻り、公知の手法によりプラットフォーム18を下降させて、プラットフォーム18の下面側18aへの硬化層の生成を行う。
以上において説明したように、本発明による光造形装置や光造形方法によれば、照射画像面積が大きくなるに従って、当該照射画像面積に基づき生成される硬化層を樹脂槽から剥離する際の剥離速度が遅くなって剥離強度が下がるので、硬化層が破損する恐れを低減することができるようになる。
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(3)に示すように変形するようにしてもよい。
(1)上記した実施の形態においては、プラットフォーム18の下面側18a側に形成された硬化層と樹脂槽12との剥離性を向上するために、樹脂槽12の底板12aの上面にシリコーン層20を形成するようにしたが、こうしたシリコーン層20を形成しなくてもよいことは勿論である。
(2)上記した実施の形態においては、上昇速度制御用テーブル記憶部22cが単一の上昇速度制御用テーブル(図3を参照する。)を記憶している場合について説明したが、これに限られるものではないことは勿論である。
例えば、シリコーン層20はプロジェクター14からの光照射により剥離性が劣化して、硬化層がシリコーン層20から剥がれ難くなる性質を備えてている。
このため、図5に示すように、プロジェクター14による樹脂槽12への光照射の回数が多くなるほど、同一の照射画像面積でも上昇速度が遅くなるようにした複数のテーブルを用意しておく。
そして、プロジェクター14による樹脂槽12への光照射の回数に応じてテーブルを選択するようにして、光照射の回数が増加するに従って同一の照射画像面積でも剥離速度が遅くするようにしてもよい。
図5に示す上昇速度制御用テーブルを参照しながら説明すると、プロジェクター14による樹脂槽12への光照射回数が、例えば、500回以上1000回未満であるならば、「光照射回数500回以上1000回未満用テーブル」を参照して、プラットフォーム18の上昇速度を取得する。
(3)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(2)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
本発明は、光照射によりプラットフォーム上に三次元造形物を形成する光造形装置に用いることができる。
10 光造形装置、12 樹脂槽、12a 底板、14 プロジェクター、16 昇降部材、18 プラットフォーム、18a 下面、20 シリコーン層、22 マイクロコンピューター、22a 上昇速度制御部、22b 照射画像面積記憶部、22c 上昇速度制御用テーブル記憶部
Claims (6)
- 光照射手段により三次元造形物の断面形状を示す画像を樹脂槽に貯留された光硬化性樹脂に照射して、前記樹脂槽に貯留された前記光硬化性樹脂内に配置したプラットフォームの下面側において前記光硬化性樹脂を硬化させて硬化層を生成した後に、前記プラットフォームを上昇させて前記プラットフォームごと前記硬化層を前記樹脂槽から剥離する光造形装置において、
光照射手段により樹脂槽に貯留された光硬化性樹脂に照射される三次元造形物の断面形状を示す画像の面積たる照射画像面積を取得する照射画像面積取得手段と、
前記照射画像面積が大きくなるほどプラットフォームの上昇速度が低くなるという前記照射画像面積と前記プラットフォームの上昇速度との関係を記憶した記憶手段と、
前記記憶手段から前記照射画像面積取得手段が取得した照射画像面積に対応する上昇速度を取得する上昇速度取得手段と、
前記上昇速度手段により取得された上昇速度で前記プラットフォームを上昇する上昇制御手段と
を有することを特徴とする光造形装置。 - 請求項1に記載の光造形装置において、
前記記憶手段に記憶された前記照射画像面積と前記プラットフォームの前記上昇速度との関係は、前記光照射手段による照射回数が多くなるほど前記上昇速度が低くなる
ことを特徴とする光造形装置。 - 請求項1または2のいずれか1項に記載の光造形装置において、
前記樹脂槽は、前記プラットフォームと対向する面にシリコーンが塗布された
ことを特徴とする光造形装置。 - 光照射手段により三次元造形物の断面形状を示す画像を樹脂槽に貯留された光硬化性樹脂に照射して、前記樹脂槽に貯留された前記光硬化性樹脂内に配置したプラットフォームの下面側において前記光硬化性樹脂を硬化させて硬化層を生成した後に、前記プラットフォームを上昇させて前記プラットフォームごと前記硬化層を前記樹脂槽から剥離する光造形方法において、
光照射手段により樹脂槽に貯留された光硬化性樹脂に照射される三次元造形物の断面形状を示す画像の面積たる照射画像面積が大きくなるほど、プラットフォームを上昇させる上昇速度を低くする
ことを特徴とする光造形方法。 - 請求項4に記載の光造形方法において、
前記光照射手段による照射回数が多くなるほど前記上昇速度を低くする
ことを特徴とする光造形方法。 - 請求項4または5のいずれか1項に記載の光造形方法において、
前記樹脂槽の前記プラットフォームと対向する面にシリコーンが塗布されている
ことを特徴とする光造形方法。
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JP2020040386A (ja) * | 2018-09-11 | 2020-03-19 | 三緯國際立體列印科技股▲ふん▼有限公司XYZprinting, Inc. | 持上げパラメータを動的に調整する方法 |
JP2021094753A (ja) * | 2019-12-16 | 2021-06-24 | キヤノン株式会社 | 光造形装置、及び該装置を用いた光造形方法 |
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