JP7405017B2 - トイレットペーパー - Google Patents

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Description

本発明は、保湿剤を含有する薄膜状の衛生用紙に関し、トイレットペーパーに関する。
衛生用紙の一つとして、保湿剤の塗布された用紙が知られている。このように保湿剤を含有した保湿用紙には、保湿トイレットペーパーや保湿ティシュペーパーなどが挙げられ、保湿剤の塗布されていないものよりもしっとりしていることや柔らかいことなどの良好な肌ざわりが求められる。このような付加物性のほか、保湿剤の塗布されていないものと同様に破れにくさも求められる。このような基本物性を付加物性と両立した保湿用紙によれば、良好な触感であって破れにくいことから、ユーザの官能性を満たすことができる。
そこで、CD方向(Cross Direction)やMD方向(Machine Direction)の引張強度を以下に示す閾値1′~閾値2′の範囲に特定することにより、官能性の向上を図る保湿用紙が検討されている(特許文献1参照)。
・閾値1′:基本物性を確保するための下限値
・閾値2′:付加物性を確保するための上限値
特開2013-188291号公報
しかしながら、保湿用紙は、さまざまな方向に引っ張られうることから、CD方向やMD方向の引張強度が特定されるだけでは、引張強度の特定された方向以外に引っ張られたときに破れるおそれがあり、厚み方向に突き破られるおそれもある。このような基本物性の低下を抑えるために引張強度を高めると、肌ざわりの低下から付加物性の低下を招くおそれがある。よって、基本物性および付加物性の両立が困難であり、官能性を高めるうえで改善の余地がある。
本件のトイレットペーパーは、上記のような課題に鑑みて創案されたもので、官能性を高めることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
本願の発明者は、トイレットペーパーの湿潤破裂強度が所定範囲あれば官能性が満たされることを見出した。すなわち、以下に示す閾値1~閾値2の範囲に湿潤破裂強度を特定することにより、トイレットペーパーの官能性が向上するとの知見を得た。
・閾値1:基本物性を確保するための下限値
・閾値2:付加物性を確保するための上限値
ここで開示する第一のトイレットペーパーは、保湿剤を含有する一プライのトイレットペーパーであって、一プライあたりの当該トイレットペーパーの坪量が13.5[g/m2]以上であって26.5[g/m2]以下であり、一プライあたりの当該トイレットペーパーに塗布された前記保湿剤の塗布量が4.0[g/m2]以下であり、当該トイレットペーパーの一部をなす試験片が十枚重ね合わせられた試験体が内径50[mm]の円形枠体に取り付けられた測定状態のもとで、直径16±0.2[mm]の球状をなす測定子を押し込み速度125±5[mm/分]で前記円形枠体の中心に押し込む測定方法において、前記測定子が濡れた状態の湿潤測定子で前記試験体が突き破られたときの強度である湿潤破裂強度が1.9[N/10枚]以上であって5.0[N/10枚]以下である。
ここで開示する第二のトイレットペーパーは、保湿剤を含有する二プライのトイレットペーパーであって、一プライあたりの当該トイレットペーパーの坪量が12.5[g/m2]以上であって18.9[g/m2]以下であり、一プライあたりの当該トイレットペーパーに塗布された前記保湿剤の塗布量が3.3[g/m2]以下であり、当該トイレットペーパーの一部をなす試験片が十枚重ね合わせられた試験体が内径50[mm]の円形枠体に取り付けられた測定状態のもとで、直径16±0.2[mm]の球状をなす測定子を押し込み速度125±5[mm/分]で前記円形枠体の中心に押し込む測定方法において、前記測定子が濡れた状態の湿潤測定子で前記試験体が突き破られたときの強度である湿潤破裂強度が0.7[N/10枚]以上であって1.8[N/10枚]以下である。
本件のトイレットペーパーによれば、官能性を高めることができる。
以下、実施形態としてのトイレットペーパーを説明する。
本実施形態のトイレットペーパーは、衛生用紙の一つであってトイレタリーの一つでもあり、保湿剤を含有したトイレットペーパー(いわゆる「保湿トイレットペーパー」)である。
このトイレットペーパーは、長さ方向(いわゆるMD方向,以下「縦方向」と称する)に延在する長尺紙(「ウェブ」とも称される)が筒状の紙管からなるコアに対してロール状に巻回された形態をなす。このようなトイレットロールと称される形態のほか、ティシュペーパーのように枚葉紙状のシート(「枚葉紙」とも称される)が折り重ねられた形態のトイレットペーパーであってもよい。
ロール状に巻回されたトイレットペーパーには、厚み方向(TD方向)に貫通する切れ込みが幅方向(いわゆるCD方向,以下「横方向」と称する)に沿って断続的に設けられたミシン目が設けられていてもよい。ミシン目は、縦方向において所定間隔おきに設けられることが好ましい。
なお、枚葉状のシートが折り重ねられたトイレットペーパーには、折り重ねられた形態で折り曲げられる箇所に折線が設けられる。そのほか、トイレットペーパーには、エンボス加工が施されていてもよいし、エンボス加工が施されていなくてもよい。
以下、本実施形態のトイレットペーパーに関し、一実施形態を項目[I]で延べ、実施例および比較例を項目[II]で述べる。
[I.一実施形態]
下記の一実施形態では、項目[1]でトイレットペーパーのパラメータを説明し、項目[2]でトイレットペーパーに用いられ得る原料を述べ、項目[3]で項目[1]で挙げたパラメータの調整例を挙げる。
[1.パラメータ]
トイレットペーパーは、良好なトイレットペーパーを得るという所定の観点から、所定範囲あるいは所定値にある所定のパラメータを有する。
本実施形態では、所定のパラメータが所定範囲または所定値のトイレットペーパーとして、プライ数の相違する下記の二種を例示する。
・一プライのトイレットペーパー(以下「第一トイレットペーパー」と称する)
・二プライのトイレットペーパー(以下「第二トイレットペーパー」と称する)
なお、上記の第一トイレットペーパーおよび第二トイレットペーパーを区別せずに示すときには、単に「トイレットペーパー」と記す。
「プライ」とは、薄膜用紙を意味する。一プライのトイレットペーパーは、いわゆる「シングル」のトイレットペーパーであり、一枚(一層)の長尺紙が巻回されている。二プライのトイレットペーパーは、いわゆる「ダブル」のトイレットペーパーであり、二枚(二層)で一組の長尺紙が巻回されている。すなわち、一組のトイレットペーパーを構成する枚数(層数)がプライ数である。
「所定の観点」としては、肌ざわりおよび破れにくさの両立を図る観点を例示する。換言すれば、肌ざわりおよび破れにくさの両立が困難という課題を解決するための観点を例に挙げる。
「所定のパラメータ」としては、湿潤破裂強度を例示する。そのほか、乾燥破裂強度をはじめ、保湿剤の塗布量,坪量,紙厚,密度,引張強さ,伸び,溶解性,ハンドフィール値を含むTSAによる測定値といった種々のパラメータも例に挙げる。
==破裂強度==
本実施形態のトイレットペーパーは、上記のように、肌ざわりおよび破れにくさの両立を図る観点に立脚し、少なくとも湿潤破裂強度が所定範囲にある構成を備えている。このトイレットペーパーは、乾燥破裂強度も所定範囲にある構成を備えていることが好ましい。
以下、湿潤破裂強度および乾燥破裂強度を区別せずに示すときには、単に「破裂強度」と記す。
破裂強度は、ISO12625-9;2015に準拠して測定されたボールバースト強度である。この破裂強度は、所定の測定状態のもとで所定の測定方法で測定されたボールバースト強度である。
「所定の測定状態」とは、トイレットペーパーの一部をなす試験片が十枚重ね合わせられた状態であり、ISO12625-9;2015に規定されているとおり、重ね合わせられた試験体が内径50[mm]の円形枠体に取り付けられた状態である。
「所定の測定方法」とは、ISO12625-9;2015に準拠した測定方法であり、測定子で試験体が突き破られた(破裂する)ときの強度を測定する方法である。この方法に関し、ISO12625-9;2015には、直径16±0.2[mm]の球状をなす測定子を押し込み速度125±5[mm/分]で円形枠体の中心に押し込むことなどが規定されている。
湿潤破裂強度にかかる所定の測定方法と乾燥破裂強度の測定方法とでは、用いる測定子の状態が相異する。湿潤破裂強度に関しては測定子が濡れた状態の湿潤測定子が用いられ、乾燥破裂強度に関しては測定子が乾燥した状態の乾燥測定子が用いられる。
上記のボールバースト試験によって測定される破裂強度は、試験体の延在面に沿うさまざまな直線方向の強度と言える(このことから「二次元強度」とも言える)。一方、〔発明が解決しようとする課題〕の欄で上述したCD方向やMD方向の引張強度は、限られた直線方向の強度であると言える(このことから「一次元強度」とも言える)。
上記の破裂強度が大きくなるほど、印加されうるさまざまな方向の外力によってトイレットペーパーが破れにくくはなるものの、トイレットペーパーの肌ざわりが低下する傾向にある。
そのため、所定の下限値が特定された破裂強度を有するトイレットペーパーは、所定の下限値が特定された引張強度を有するに過ぎない従来のトイレットペーパーに対して有利な下記の効果1を得ることができる。
・効果1:従来のトイレットペーパーにおいて引張強度の特定された方向以外に引っ
張られたときに破れにくく、厚み方向に突き破られにくい。
さらに、所定の上限値が特定された破裂強度を有するトイレットペーパーは、下記の効果2も得ることができる。
・効果2:肌ざわりを確保することができる。
よって、効果1の基本物性と効果2の付加物性とを両立することができ、官能性を高めることができる。
第一トイレットペーパーは、効果1の基本物性を確保する観点から、湿潤破裂強度が下掲に列挙する値以上である。
・少なくとも満たす値: 1.9[N/10枚]
・好ましい値 : 2.1[N/10枚]
・より好ましい値 : 2.3[N/10枚]
・特に好ましい値 : 4.8[N/10枚]
同様に効果1の基本物性を確保する観点から、第一トイレットペーパーの乾燥破裂強度が下掲に列挙する値以上である。
・少なくとも満たす値: 7.5[N/10枚]
・好ましい値 : 8.0[N/10枚]
・より好ましい値 : 8.5[N/10枚]
・特に好ましい値 :18.7[N/10枚]
この第一トイレットペーパーは、効果2の付加物性を確保する観点から、湿潤破裂強度が下掲に列挙する値以下である。
・少なくとも満たす値: 5.0[N/10枚]
・好ましい値 : 4.8[N/10枚]
・より好ましい値 : 4.6[N/10枚]
・特に好ましい値 : 2.5[N/10枚]
同様に効果2の付加物性を確保する観点から、第一トイレットペーパーの乾燥破裂強度が下掲に列挙する値以下である。
・少なくとも満たす値:19.0[N/10枚]
・好ましい値 :18.0[N/10枚]
・より好ましい値 :17.0[N/10枚]
・特に好ましい値 :12.9[N/10枚]
第二トイレットペーパーは、効果1の基本物性を確保する観点から、湿潤破裂強度が下掲に列挙する値以上である。
・少なくとも満たす値: 0.7[N/10枚]
・好ましい値 : 0.8[N/10枚]
・より好ましい値 : 0.9[N/10枚]
同様に効果1の基本物性を確保する観点から、第二トイレットペーパーの乾燥破裂強度が下掲に列挙する値以上である。
・少なくとも満たす値: 8.0[N/10枚]
・好ましい値 : 8.1[N/10枚]
・より好ましい値 : 8.2[N/10枚]
・特に好ましい値 :15.7[N/10枚]
この第二トイレットペーパーは、効果2の付加物性を確保する観点から、湿潤破裂強度の下掲に列挙する値以下の通りである。
・少なくとも満たす値: 1.8[N/10枚]
・好ましい値 : 1.7[N/10枚]
・より好ましい値 : 1.6[N/10枚]
同様に効果2の付加物性を確保する観点から、第二トイレットペーパーの乾燥破裂強度が下掲に列挙する値以下である。
・少なくとも満たす値:15.9[N/10枚]
・好ましい値 :14.0[N/10枚]
・より好ましい値 :12.0[N/10枚]
・特に好ましい値 : 8.2[N/10枚]
よって、第一トイレットペーパーに関しては、湿潤破裂強度が1.9[N/10枚]以上であって5.0[N/10枚]以下である所定範囲であれば、第一トイレットペーパーが湿潤した状態(すなわち通常使用時の状態)において肌ざわりおよび破れにくさを両立することができる。乾燥破裂強度が7.5[N/10枚]以上であって19.0[N/10枚]以下である所定範囲の第一トイレットペーパーによれば、第一トイレットペーパーが乾燥した状態における肌ざわりおよび破れにくさも両立することができる。
また、第二トイレットペーパーに関しては、湿潤破裂強度が0.7[N/10枚]以上であって1.8[N/10枚]以下である所定範囲であれば、第二トイレットペーパーが湿潤した状態(すなわち通常使用時の状態)において肌ざわりおよび破れにくさを両立することができる。乾燥破裂強度が8.0[N/10枚]以上であって15.9[N/10枚]以下である所定範囲の第二トイレットペーパーによれば、第一トイレットペーパーが乾燥した状態における肌ざわりおよび破れにくさも両立することができる。
なお、乾燥した状態のトイレットペーパーに関しては、肌ざわりの確保が求められないとすれば乾燥破裂強度の上限値は特定が不要であり、破れにくさの確保が求められないとすれば乾燥破裂強度の下限値は特定が不要である。
つづいて、保湿剤の塗布量,坪量,紙厚,密度,引張強さ,伸び,溶解性,ハンドフィール値を含むTSAによる測定値の順に、トイレットペーパーの各パラメータを説明する。
==保湿剤の塗布量==
保湿剤の塗布量は、トイレットペーパーに塗布された保湿剤の量であり、一プライ(一枚)あたりの量である。第二トイレットペーパーであれば、二プライのそれぞれに保湿剤の塗布量が設定される。
この塗布量は、少ないほどトイレットペーパーが破れにくくなる傾向にあるもののトイレットペーパーの保湿性(肌ざわり)が低下する傾向にある。そのため、破れを抑える観点および保湿性を確保する観点から、保湿剤の塗布量が所定範囲にあることが好ましい。
上記の塗布量は、トイレットペーパーをなす原紙の坪量について、保湿剤を塗布していない原紙の坪量(下記の式では「未塗布の坪量」)と保湿剤を塗布した原紙の坪量(下記の式では「塗布後の坪量」)との差異を下記の式により算出することで得られる。
保湿剤の塗布量[g/m2]=塗布後の坪量[g/m2]-未塗布の坪量[g/m2
破れを抑える観点からは、第一トイレットペーパーにおける保湿剤の塗布量が下掲に列挙する値以下であることが好ましい。
・好ましい値 : 4.0[g/m2
・より好ましい値 : 3.6[g/m2
・更に好ましい値 : 3.4[g/m2
・特に好ましい値 : 3.0[g/m2
同様に破れを抑える観点からは、第二トイレットペーパーにおける保湿剤の塗布量が下掲に列挙する値以下であることが好ましい。
・好ましい値 : 3.3[g/m2
・より好ましい値 : 3.1[g/m2
・更に好ましい値 : 2.9[g/m2
・特に好ましい値 : 1.1[g/m2
保湿性を確保する観点からは、第一トイレットペーパーにおける保湿剤の塗布量が下掲に列挙する値以上であることが好ましい。
・好ましい値 : 0.8[g/m2
・より好ましい値 : 1.2[g/m2
・更に好ましい値 : 1.6[g/m2
・特に好ましい値 : 3.0[g/m2
同様に破れを抑える観点からは、第二トイレットペーパーにおける保湿剤の塗布量が下掲に列挙する値以上であることが好ましい。
・好ましい値 : 0.5[g/m2
・より好ましい値 : 0.7[g/m2
・更に好ましい値 : 0.9[g/m2
・特に好ましい値 : 1.0[g/m2
なお、トイレットペーパーに塗布される保湿剤としては、下記の表1に列記するものが挙げられる。
Figure 0007405017000001
==坪量==
坪量は、トイレットペーパーの単位面積あたりの質量であり、一プライあたりの質量である。
この坪量は、大きいほどトイレットペーパーが破れにくくなる傾向にあるものの肌ざわりが低下する傾向にある。そのため、破れを抑える観点および肌ざわりを確保する観点から、坪量が所定範囲にあることが好ましい。
破れを抑える観点からは、第一トイレットペーパーの坪量が下掲に列挙する値以上であることが好ましい。
・好ましい値 :13.5[g/m2
・より好ましい値 :15.5[g/m2
・更に好ましい値 :17.5[g/m2
・特に好ましい値 :24.0[g/m2
同様に破れを抑える観点から、第二トイレットペーパーの坪量が下掲に列挙する値以上であることが好ましい。
・好ましい値 :12.5[g/m2
・より好ましい値 :13.5[g/m2
・更に好ましい値 :14.5[g/m2
・特に好ましい値 :16.9[g/m2
肌ざわりを確保する観点からは、第一トイレットペーパーの坪量が下掲に列挙する値以下であることが好ましい。
・好ましい値 :26.5[g/m2
・より好ましい値 :24.5[g/m2
・更に好ましい値 :22.5[g/m2
・特に好ましい値 :20.4[g/m2
同様に肌ざわりを確保する観点からは、第二トイレットペーパーの坪量が下掲に列挙する値以下であることが好ましい。
・好ましい値 :18.9[g/m2
・より好ましい値 :18.5[g/m2
・更に好ましい値 :17.5[g/m2
・特に好ましい値 :16.6[g/m2
==紙厚==
紙厚は、トイレットペーパーの厚み寸法である。この紙厚は、第一トイレットペーパーであれば一枚(一プライ)の測定値であり、第二トイレットペーパーであれば二枚(二プライ)で一組の測定値である。
上記の紙厚は、厚いほどトイレットペーパーが破れにくくなる傾向にあるもののトイレットペーパーの肌ざわりが低下する傾向にある。そのため、破れを抑える観点および肌ざわりを確保する観点から、紙厚が所定範囲にあることが好ましい。
破れを抑える観点からは、第一トイレットペーパーの紙厚が下掲に列挙する値以上であることが好ましい。
・好ましい値 :100[μm]
・より好ましい値 :120[μm]
・更に好ましい値 :140[μm]
・特に好ましい値 :162[μm]
同様に破れを抑える観点から、第二トイレットペーパーの紙厚が下掲に列挙する値以上であることが好ましい。
・好ましい値 :180[μm]
・より好ましい値 :184[μm]
・更に好ましい値 :186[μm]
・特に好ましい値 :190[μm]
肌ざわりを確保する観点からは、第一トイレットペーパーの紙厚が下掲に列挙する値以下であることが好ましい。
・好ましい値 :170[μm]
・より好ましい値 :162[μm]
・更に好ましい値 :160[μm]
・特に好ましい値 :150[μm]
同様に肌ざわりを確保する観点から、第二トイレットペーパーの紙厚が以下に列挙する値以下であることが好ましい。
・好ましい値 :220[μm]
・より好ましい値 :210[μm]
・更に好ましい値 :200[μm]
・特に好ましい値 :186[μm]
==密度==
密度は、トイレットペーパーの単位体積あたりの質量である。この密度は、第一トイレットペーパーであれば一枚(一プライ)の算定値であり、第二トイレットペーパーであれば二枚(二プライ)で一組の算定値である。詳細に言えば、第一トイレットペーパーの密度は坪量を紙厚で除算した値であり、第二トイレットペーパーの密度は二倍にした坪量を紙厚で除算した値である。そのため、密度の好ましい値は、上記の紙厚および坪量から算出することができる。
==引張強さ==
引張強さは、乾燥状態のトイレットペーパーを引っ張って破断したときの負荷の大きさ(乾燥引張強さ)である。この引張強さは、第一トイレットペーパーであれば一枚(一プライ)の測定値であり、第二トイレットペーパーであれば二枚(二プライ)で一組の測定値である。
上記の引張強さには、以下に列挙する四種が含まれる。
・T:縦方向の引張強さ(測定値)
・Y:横方向の引張強さ(測定値)
・√TY:縦方向の引張強さおよび横方向の引張強さの相乗平均(算出値)
・Y/T比:縦方向の引張強さに対する横方向の引張強さの比率(算出値)
通常のトイレットペーパーは、原料繊維の配向が横方向よりも縦方向に沿っているため、横方向よりも縦方向の引張強さが大きい。このような引張強さの異方性は、本実施形態のトイレットペーパーも有している。
そのため、一つの側面としては、トイレットペーパーが種々の方向へ引っ張られた際に横方向の引張強さが律速となるため、縦方向の引張強さの大きさによらず、横方向の引張強さが大きいほどトイレットペーパーが破れにくくなる傾向にある。
もう一つの側面としては、縦方向の引張強さに対する横方向の引張強さの比率が大きいほど、トイレットペーパーにおける強度の異方性が抑えられ(強度の等方性が確保され)ることにより、引っ張られる方向によらず全体的な強度が確保される傾向にある。
上記のような傾向をもつ引張強度(ただし縦方向の引張強さを除く)は、トイレットペーパーの破れを抑える観点から、つぎに述べる下限値であることが好ましい。
第一トイレットペーパーについては、破れを抑える観点から、引張強さが下掲に列挙する値以上であることが好ましい。
――Y:横方向の引張強さ――
・好ましい値 :0.35[N]
・より好ましい値 :0.50[N]
・更に好ましい値 :0.80[N]
・特に好ましい値 :1.20[N]
――√TY:縦方向の引張強さおよび横方向の引張強さの相乗平均――
・好ましい値 :0.65[N]
・より好ましい値 :0.80[N]
・更に好ましい値 :1.49[N]
・特に好ましい値 :1.62[N]
――√TY:縦方向の引張強さおよび横方向の引張強さの相乗平均――
・好ましい値 :32[%]
・より好ましい値 :40[%]
・更に好ましい値 :50[%]
・特に好ましい値 :65[%]
同様に破れを抑える観点から、第二トイレットペーパーの引張強さが下掲に列挙する値以上であることが好ましい。
――Y:横方向の引張強さ――
・好ましい値 :0.40[N]
・より好ましい値 :0.80[N]
・更に好ましい値 :1.20[N]
・特に好ましい値 :1.30[N]
――√TY:縦方向の引張強さおよび横方向の引張強さの相乗平均――
・好ましい値 :0.65[N]
・より好ましい値 :0.90[N]
・更に好ましい値 :1.50[N]
・特に好ましい値 :1.55[N]
――√TY:縦方向の引張強さおよび横方向の引張強さの相乗平均――
・好ましい値 :29[%]
・より好ましい値 :40[%]
・更に好ましい値 :64[%]
・特に好ましい値 :69[%]
なお、縦方向の引張強さについては、上述の異方性により、横方向の引張強さよりも大きいのであれば任意の値で構わない。
==伸び==
伸びは、トイレットペーパーの伸長しやすさを表すパラメータであり、所定の負荷が印加されたときの伸び度合いである。この伸びは、第一トイレットペーパーであれば一枚(一プライ)の測定値であり、第二トイレットペーパーであれば二枚(二プライ)で一組の測定値である。
上記の伸びには、下記の二種が含まれる。
・縦方向の伸び(測定値)
・横方向の伸び(測定値)
通常のトイレットペーパーは、製造過程においてヤンキーロールからこのロールに突き当てられたブレードによって剥がされるときに、微細な皺からなるクレープ(「クレーピング」とも称される)が形成される。このクレープは、トイレットペーパーの縦方向に対応するMD方向に沿って微細な凹凸が連続した構造をなし、製品のトイレットペーパーにも存在する。
トイレットペーパーにおいて、上記のクレープが縦方向への伸び代として機能するため、横方向よりも縦方向のほうが伸びやすい。このような伸び度合いの異方性は、本実施形態のトイレットペーパーも有している。
伸びが大きいほどトイレットペーパーに印加された負荷が吸収されると推察されるものの、伸びたときのトイレットペーパーが薄くなることによって破れやすさを招くとも推察される。
そのため、トイレットペーパーに印加された負荷を吸収する観点と伸びて薄くなり過ぎるのを抑える観点との双方から、所定範囲の伸びであることが好ましい。
第一トイレットペーパーの伸びは、以下に列挙する範囲であることが好ましい。
――縦方向の伸び――
・好ましい範囲 :12.0[%]以上であって20.0[%]である範囲
・より好ましい範囲 :13.0[%]以上であって19.0[%]である範囲
・更に好ましい範囲 :14.0[%]以上であって18.0[%]である範囲
――横方向の伸び――
・好ましい範囲 : 3.0[%]以上であって 6.0[%]である範囲
・より好ましい範囲 : 3.5[%]以上であって 5.5[%]である範囲
・更に好ましい範囲 : 4.0[%]以上であって 5.0[%]である範囲
第二トイレットペーパーの伸びは、以下に列挙する範囲であることが好ましい。
――縦方向の伸び――
・好ましい範囲 : 8.0[%]以上であって18.0[%]である範囲
・より好ましい範囲 :10.0[%]以上であって16.0[%]である範囲
・更に好ましい範囲 :12.0[%]以上であって14.0[%]である範囲
――横方向の伸び――
・好ましい範囲 : 2.0[%]以上であって 7.0[%]である範囲
・より好ましい範囲 : 3.0[%]以上であって 6.0[%]である範囲
・更に好ましい範囲 : 4.0[%]以上であって 5.0[%]である範囲
==溶解性==
溶解性は、水解性とも称され、浸水されたトイレットペーパーの解繊しやすさを表すパラメータであり、トイレットペーパーの一プライがほぐれるまでの時間で表される。
この溶解性は、短い(小さい)ほど水洗便所に廃棄された際の不具合を抑えることができる。
なお、上記の坪量,密度,紙厚といった物質量を表すパラメータが小さいほど、溶解性は大きくなる傾向にある。そのほか、溶解性は、100[秒]以下であれば実用上の問題がないとされる。
第一トイレットペーパーの溶解性は、下掲に列挙する値以下であることが好ましい。
・好ましい値 :70[秒]
・より好ましい値 :62[秒]
・更に好ましい値 :50[秒]
・特に好ましい値 :25[秒]
第二トイレットペーパーの溶解性は、下掲に列挙する値以下であることが好ましい。
・好ましい値 :22[秒]
・より好ましい値 :20[秒]
・更に好ましい値 :18[秒]
・特に好ましい値 :14[秒]
==TSAによる測定値==
TSAによる測定値は、ティシュソフトネスアナライザ(略称「TSA」の測定装置)で測定された値であり、薄膜用紙の品質を表すパラメータである。
このTSAによる測定値には、HF,TS7,TS750,Dの四種が含まれる。
第二トイレットペーパーについては、HF,TS7,TS750,Dのそれぞれに、トイレットペーパーにおける外面(外周面,オモテ面)および内面(内周面,ウラ面)のそれぞれで測定された値の平均値が用いられる。なお、第一トイレットペーパーについては、HF,TS7,TS750,Dのそれぞれに、トイレットペーパーにおける外面で測定された値が用いられる。
「HF」は、ハンドフィール値と呼ばれる算出値であり、トイレットペーパーの外面の滑らかさを示す指標であり、滑らかなほど大きい値である。この「HF」は算出される無次元量である。なお、「HF」は、保湿剤の塗布量が多いほど大きくなる傾向にあり、坪量が小さいほど大きくなる傾向もある。
上記の「HF」は、第一トイレットペーパーの肌ざわりを確保する観点から、下掲に列挙する値以上であることが好ましい。
・好ましい値 :75
・より好ましい値 :80
・更に好ましい値 :85
・特に好ましい値 :90
同様に肌ざわりを確保する観点から、第二トイレットペーパーの「HF」は、下掲に列挙する値以上であることが好ましい。
・好ましい値 :75
・より好ましい値 :80
・更に好ましい値 :87
・特に好ましい値 :91
「TS7」は、トイレットペーパーの表面における柔らかさ(ソフトネス)を示す指標であり、柔らかいほど小さい値である。この「TS7」は、表面における凹凸の有無のみが相違するトイレットペーパーであれば、凹凸の有無にかかわらず同様またはほぼ同様の値が測定され、いわば「真の柔らかさ」に対応する指標である。
上記の「TS7」は、第一トイレットペーパーの品質を高める観点から、下掲に列挙する値以下であることが好ましい。
・好ましい値 :17.0
・より好ましい値 :14.5
・更に好ましい値 :12.5
・特に好ましい値 :11.3
同様に品質を高める観点から、第二トイレットペーパーの「TS7」は、下掲に列挙する値以下であることが好ましい。
・好ましい値 :15.1
・より好ましい値 :11.9
・更に好ましい値 : 9.5
・特に好ましい値 : 9.2
「TS750」は、トイレットペーパーの表面の凹凸度合いを示す指標である。クレープあるいはエンボスといった表面の凹凸が大きいほど、「TS750」の値も大きくなる。
上記の「TS750」は、第一トイレットペーパーの品質を高める観点から、下掲に列挙する値以下であることが好ましい。
・好ましい値 :17.0
・より好ましい値 :14.5
・更に好ましい値 :12.5
・特に好ましい値 :11.3
同様に品質を高める観点から、第二トイレットペーパーの「TS750」は、下掲に列挙する値以下であることが好ましい。
・好ましい値 :17.3
・より好ましい値 :16.8
・更に好ましい値 :15.2
・特に好ましい値 :11.1
「D」は、トイレットペーパーの剛性を示す指標である。剛性が高い(より堅い)ほど、「D」の値は小さくなる。
上記の「D」は、第一トイレットペーパーの品質を高める観点から、下掲に列挙する範囲であることが好ましい。
・好ましい範囲 :3.2[mm/N]以上であって4.2[mm/N]の範囲
・より好ましい範囲 :3.4[mm/N]以上であって4.0[mm/N]の範囲
・更に好ましい範囲 :3.6[mm/N]以上であって3.8[mm/N]の範囲
同様に品質を高める観点から、第二トイレットペーパーの「D」は、以下に列挙する範囲であることが好ましい。
・好ましい範囲 :2.2[mm/N]以上であって3.5[mm/N]の範囲
・より好ましい範囲 :2.4[mm/N]以上であって3.3[mm/N]の範囲
・更に好ましい範囲 :2.6[mm/N]以上であって3.1[mm/N]の範囲
[2.原料]
上記のパラメータを有するトイレットペーパーは、繊維原料を含むスラリーを抄紙した原紙が用いられる。
この繊維原料としては、下記の表2に例示するものが挙げられる。表2のパルプは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
Figure 0007405017000002
繊維原料として針葉樹パルプが用いられる場合には、トイレットペーパーの原紙に含まれるパルプ成分の全質量に対する針葉樹パルプの含有量が下掲に列挙する値[質量%]以上であることが好ましい。
・好ましい値 :20[質量%]
・より好ましい値 :25[質量%]
・更に好ましい値 :30[質量%]
一方、トイレットペーパーの原紙に含まれるパルプ成分の全質量に対する針葉樹パルプの含有量は、下掲に列挙する値[質量%]以下であることが好ましい。
・好ましい値 :80[質量%]
・より好ましい値 :70[質量%]
さらに、繊維原料として針葉樹パルプのほかに広葉樹パルプが併用されることが好ましい。この場合には、トイレットペーパーの原紙に含まれるパルプ成分の全質量に対する広葉樹パルプの含有量が下掲に列挙する値[質量%]以上であることが好ましい。
・好ましい値 :20[質量%]
・より好ましい値 :25[質量%]
・更に好ましい値 :30[質量%]
一方、トイレットペーパーの原紙に含まれるパルプ成分の全質量に対する広葉樹パルプの含有量は、下掲に列挙する値[質量%]以下であることが好ましい。
・好ましい値 :80[質量%]
・より好ましい値 :75[質量%]
・更に好ましい値 :70[質量%]
上述のような針葉樹パルプや広葉樹パルプの含有量(配合比)とすることにより、原紙(トイレットペーパー)の破裂強度や引張強さを確保することが容易となる。
繊維原料の長さ加重平均繊維長は、下掲に列挙する範囲であることが好ましい。ここでいう「長さ加重平均繊維長」は、原料としての繊維長であり、叩解処理などを施す前の繊維長である。
・針葉樹パルプ:0.50[mm]よりも大きく5.00[mm]以下の範囲
・広葉樹パルプ:0.50[mm]以上であって1.00[mm]以下の範囲
なお、トイレットペーパーの原紙に含有されるパルプの繊維成分の長さ加重平均繊維長は、下掲に列挙する値[mm]以上であることが好ましい。ここでいう「長さ加重平均繊維長」は、トイレットペーパーの原紙に含有されるパルプの繊維成分を離解して得られる繊維成分の繊維長であり、離解繊維長とも称される。
・好ましい値 :0.50[mm]
・より好ましい値 :0.60[mm]
一方、この長さ加重平均繊維長(離解繊維長)は、下掲に列挙する値[mm]以下であることが好ましい。
・好ましい値 :5.00[mm]
・より好ましい値 :4.00[mm]
・更に好ましい値 :3.00[mm]
・一層好ましい値 :2.00[mm]
上記の長さ加重平均繊維長(離解繊維長)は、繊維成分(パルプ成分)として針葉樹パルプと広葉樹パルプが併用されている場合には、両方のパルプの繊維長から離解繊維長の長さ加重平均繊維長が算出され、下記の測定方法で算出された繊維長である。
<測定方法>
まず、原紙を水に離解させて得られた繊維分散スラリーを用意する。繊維分散
スラリーは、500[ml]の水の中に、繊維成分が0.002[質量%]
以上0.01[質量%]以下となるよう希釈液を作製し、繊維長測定装置(Va
lmet社、Valmet FS5)を用いて測定し、離解繊維の長さ加重平均
値を算出する。
上述のような平均繊維長とすることにより、原紙(トイレットペーパー)破裂強度や引張強さなどを確保することが容易となる。
そのほか、トイレットペーパーに含有されるパルプの繊維成分のフリーネスは、特に限定されるものではないが、たとえば下掲に列挙する下限値以上であることが好ましく、下掲の上限値以下であることが好ましい。
・好ましい下限値 :350[ml]
・より好ましい下限値:400[ml]
・更に好ましい下限値:450[ml]
・好ましい上限値 :700[ml]
フリーネスは、JIS P 8121に規定するカナダ標準ろ水度(C.S.F.)で示される値であり、繊維の叩解の度合いを示す値である。繊維の叩解は、繊維を分散させた紙料(スラリー)に対して、ビーダー,ディスクリファイナーといった公知の叩解機を用いて実施することができる。通常、繊維のフリーネスの値が小さいほど、叩解の度合いが強く、叩解による繊維の損傷が大きくてフィブリル化が進行している。繊維のフィブリル化が進行すると繊維間の結合点数が増加するため、強度が向上する。
本実施形態のトイレットペーパーには、上記の繊維材料のほかに下記の表3に示す任意成分(添加剤)が含まれていてもよい。この場合には、表3の最右列に例示する割合で各種別の任意成分が含有されることが好ましい。なお、表3の任意成分は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
Figure 0007405017000003
[3.製造方法]
本実施形態のトイレットペーパーは、上記の原料を用いて製造され、以下に記す方法で製造することができる。この製造方法には、下記の三工程が含まれる。
・前処理工程:抄紙工程の原料の前処理を実施する工程
・ 抄紙工程:前処理工程で処理された原料を抄紙する工程
・後処理工程:抄紙工程で得られた原紙の後処理を実施する工程
――前処理工程――
前処理工程には、少なくとも繊維原料を含むスラリーを得る工程(以下「スラリー工程」と称する)が含まれる。スラリー工程には、繊維原料を叩解する工程(以下「叩解工程」と称する)を含むことが好ましい。叩解工程においては、たとえばダブルディスクリファイナーなどを用いて叩解処理を施すことができる。この叩解処理時には、針葉樹パルプおよび広葉樹パルプをそれぞれ単独で叩解してもよいし、これらのパルプを混合させた後に叩解してもよい。
上記の前処理工程には、繊維原料を漂白する工程(以下「漂白工程」と称する)が含まれていてもよい。漂白工程で使用される漂白剤としては、酸素系漂白剤や塩素系漂白剤といった公知の漂白剤が挙げられる。
――抄紙工程――
抄紙工程で用いられる抄紙機としては、円網タイプや長網タイプのサクションブレストフォーマー,ツインワイヤーフォーマー,CラップタイプやSラップタイプの円網フォーマー,クレセントフォーマーといった種々の紙機が挙げられる。
抄紙工程におけるスラリーの形成方法としては、針葉樹パルプおよび広葉樹パルプを混合したパルプスラリーを抄紙して均一な一つの層として湿紙を形成する方法,針葉樹パルプ層と広葉樹パルプ層を抄き合わせて一枚の湿紙を形成する方法などが挙げられ、これらの形成方法の何れの方法を採用してもよい。
抄紙工程では、トイレットペーパーの縦方向の引張強さ(引張強度)をTとするとともに横方向の引張強さ(引張強度)をYとした場合に、Y/T比が30[%]以上であって80[%]以下となるように下記のジェットワイヤー比を調整することが好ましい。このようなジェットワイヤー比とすることにより、原紙(トイレットペーパー)破裂強度や引張強さなどを確保することが容易となる。
ジェットワイヤー比〈J/W比〉=抄き出し水流速度/ワイヤー速度
ジェットワイヤー比とは、スラリーの供給速度とワイヤー走行速度との比であり、ジェットワイヤー比が1よりも大きい場合は、スラリーの供給速度がワイヤーの走行速度よりも速く、「押し地合」と称される。一方、ジェットワイヤー比が1未満の場合は、スラリーの供給速度がワイヤーの走行速度よりも遅く、この場合を「引き地合」と称される。
上記の抄紙工程では、網状のワイヤー上に繊維原料を含むスラリーが供給されてパルプの薄層が形成される。その後、以下に列挙する各工程が実施される。
・脱水工程:パルプの薄層を脱水して湿紙を得る工程
・搾水工程:脱水工程で得られた湿紙をプレスして搾水する工程(プレス工程)
・乾燥工程:搾水工程でプレスされた湿紙を乾燥させる工程
<脱水工程および搾水工程>
脱水工程では、搾水工程へ向けてパルプの薄層の水分が網状のワイヤーの下へ抜かれる。この脱水工程で薄層が搾水されると湿紙が得られる。なお、脱水工程で用いられるワイヤーには、一般に金属またはプラスチック製の網を環にしたものが用いられる。
搾水工程では、脱水工程で得られた湿紙をワイヤーからフェルトへと移動し、このフェルトを介してプレスロールで湿紙に圧力が印加されることにより、湿紙が機械的に搾水される。
<乾燥工程>
乾燥工程としては、湿紙に向かって熱風を吹き付ける工程や湿紙をヤンキードライヤーの外周面に圧着させる工程が好ましい。ヤンキードライヤーによる乾燥工程では、乾燥された紙をヤンキードライヤーからドクターブレードで掻き取ることにより、ちりめん状の皺を形成させるクレープ処理(クレープ工程)を実施することが好ましい。
――後処理工程――
後処理工程には、乾燥工程で乾燥された原紙を巻き取る巻取工程が少なくとも含まれ、乾燥工程の後であって巻取工程の前にカレンダー工程が含まれていてもよく、巻取工程の後のエンボス工程やエンボス工程の後の再巻取工程が含まれていてもよい。
カレンダー工程では、乾燥工程で乾燥された原紙のカレンダー処理が実施される。このカレンダー処理としては、二本の金属ロールによるカレンダー処理や、二本のロールのうち一本を弾性ロールとするソフトカレンダー処理などが挙げられる。
カレンダー処理におけるカレンダーの線圧は、たとえば下掲に列挙する下限値以上であることが好ましく、下掲の上限値以下であることが好ましい。線圧を下掲の範囲内とすることにより、原紙を所望の厚みと柔らかさに調整することが容易となる。
・好ましい下限値 :0.1[kg/cm]
・より好ましい下限値:1.0[kg/cm]
・更に好ましい下限値:2.0[kg/cm]
・好ましい上限値 :13.0[kg/cm]
・より好ましい上限値:12.0[kg/cm]
・更に好ましい上限値:11.0[kg/cm]
エンボス工程は、原紙に対してエンボス加工を施す工程である。エンボス加工としては、エンボスの付与されたエンボスロールによって原紙を加圧することで実施する例が挙げられる。具体的な一例を挙げれば、ヤンキードライヤーによる乾燥工程において、ヤンキードライヤーの外周面に接する側の原紙表面(トイレットペーパーウェブ面)にエンボスロールが接するようにエンボス加工を行うことが好ましい。このようにして、エンボスロールの凸部に対応して原紙表面に凹部が形成される。エンボスロールの押し込み量または押し込み圧を変更することによって、所定のエンボス高さを有するエンボス形状を形成することができる。
エンボス工程で施される原紙上のエンボス高さは、たとえば下掲に列挙する下限値以上であることが好ましい。なお、エンボス高さの上限は特に限定されないが、たとえば280[μm]とすることができる。
・好ましい下限値 :60[μm]
・より好ましい下限値:70[μm]
・更に好ましい下限値:80[μm]
・一層好ましい下限値:90[μm]
・特に好ましい下限値:100[μm]
再巻取工程では、トイレットペーパーに設定された所定の製品長を満たすように、所定の長さ分の巻き取りを実施する。この再巻取工程では、エンボス工程によって形成された凹部(エンボス)が外周側となるように巻き取りを実施することが好ましい。再巻取工程で巻き取られた凹部付きの原紙は、トイレットペーパーに設定された所定の幅に断裁され(裁断工程が実施され)、トイレットペーパーの製品が得られる。
[II.実施例および比較例]
以下、第一トイレットペーパーの実施例および比較例ならびに第二トイレットペーパーの実施例および比較例で共通のパラメータを項目[1]で説明し、評価について項目[2]で述べる。そして、第一トイレットペーパーに関する実施例および比較例を項目[3]で述べ、第二トイレットペーパーに関する実施例および比較例を項目[4]で述べる。
[1.パラメータ]
本実施例および本比較例は、保湿剤の塗布量,巻長,巻径,巻幅およびコア径の基本的なパラメータを有しており、坪量,紙厚,密度,引張強さ,伸び,溶解性,ハンドフィール値を含むTSAのパラメータも有している。これらのパラメータのうち測定されるものについては、トイレットペーパーのミシン目が影響しないようにして測定した。
なお、下記の説明では、一実施形態で上述の内容と重複する事項についての言及を適宜省略し、一実施形態で上述の内容のほか付言すべき事項のないパラメータについても適宜省略する。
==基本的なパラメータ==
巻長は、トイレットペーパーにおいて巻回された長尺紙の長さであり、トイレットペーパーを引き出し可能な最大寸法でもある。
巻径は、トイレットペーパーの外径である。
巻幅は、トイレットペーパーにおける横方向の外寸(寸法)である。
コア径は、トイレットペーパーのコアの直径である。
==坪量==
坪量は、JIS P 8124の規定に従って測定した。
==紙厚==
紙厚は、下記の環境,装置,方法で測定した。
・測定環境:ISO187に準拠した環境(23℃±1℃,湿度50%〈±2%〉)
・測定装置:Universal Electronic Micrometer
MU-25(Xell社製)
・測定方法:ISO12625-3に準拠し、圧力2[kpa]±0.1[kpa
]、加圧面の直径35.7[mm]±0.1[mm]の測定子を1秒間
に2[mm]以下の速度で下ろしたときの値を読み取る。測定値は、十
回の測定の平均を算出した値である。
==密度==
密度は、トイレットペーパーの単位体積あたりの質量であり、上記の坪量および上記の紙厚に基づいて算出した。具体的に言えば、第一トイレットペーパーの密度は坪量を紙厚で除算することにより算出し、第二トイレットペーパーの密度は二倍した坪量を紙厚で除算することにより算出した。
==引張強さ,伸び==
引張強さ,伸びのそれぞれは、下記の環境,装置,方法で測定した。
・測定環境:ISO187に準拠した環境(23℃±1℃,湿度50%〈±2%〉)
・測定装置:万能試験機TENSILON RTC-1250A(株式会社エー・ア
ンド・デイ社製)
・測定方法:トイレットペーパーを幅15[mm]およびスパン長100[mm]に
カットしたサンプル一組を、引張速度が50[mm/分]の条件で引
っ張って測定し、十回の測定の平均を算出した値である。
伸びに関しては、下記の式を用いて算出した。
伸び[%]=重ねられたサンプルの伸び量[mm]×100/スパン長[mm]
==溶解性==
溶解性は、JIS P 4501に準拠して測定したものであり、五回の測定平均値である。
==TSAによる測定値==
TSAによる測定値に含まれるHF,TS7,TS750,Dは、下記の環境,装置,対象,方法,手順で測定した。
・測定環境:ISO187に準拠した環境(23℃±1℃,湿度50%(±2%))
・測定装置:ティシュソフトネスアナライザ(「TSA」と略称される)
(Emtec Electronic GmbH〈ドイツ〉)
・測定対象:直径112.8mmのサンプル
・測定方法:以下に示す振動周波数からTS7,TS750を測定し、以下に示す変
形変位量からDを測定した。これらのTS7,TS750,Dをはじめ
、紙厚,坪量,プライ数を関数とする演算を下記の手順で実施し、HF
を算出(測定)した。
〈振動周波数〉
試料台に設置した測定対象のサンプルに対して、ブレード付きロータを1
00[mN]の押し込み圧力で上方から押し込んだ後に、2.0[回/se
c]で回転させたときの振動周波数。
〈変形変位量〉
試料台に設置した測定対象のサンプルに対して、ブレード付きロータを回
転させずに100[mN]と600[mN]の押し込み圧力でそれぞれに上
方から押し込んだときの上下方向に変形する変位量。
・ 手順 :付属の説明書に従いサンプル(emtec ref.2X〈nn.n〉
)で校正し、アルゴリズムをfacial IIに設定する。計算用ソ
フトウェアは,emetec measurement syste
mを使用した。
==破裂強度==
破裂強度は、ISO12625-9;2015に準拠して、下記の状態のもとで下記の方法によって測定した。
・測定状態:トイレットペーパーの一部をなす十枚の試験片が重ね合わせられた試験体
が円形枠体に取り付けられた状態
・測定方法:円形枠体の中心に押し込まれた球状の測定子で試験体が突き破られたと
きの強度を測定する方法
詳細には、下記の装置,対象,方法で測定した。
・測定装置:ティシュソフトネスアナライザ
(Emtec Electronic GmbH〈ドイツ〉)
・測定対象:110[mm]×110[mm]角の大きさのシート
・測定方法:中央に穴の開いた固定具(すなわち円形枠体)で測定対象の試験体を上
下から挟み、固定する。ボール状の端子(すなわち測定子)を穴の中央
(円形枠体の中心)に降下させ、試験体が破れたときの値を読み取る。
この測定を十回実施し、これらの十回の測定値の平均を取る。
上記の測定状態に要する円形枠体は、ISO12625-9;2015に規定された内径50±0.2[mm]の枠体である。なお、ISO12625-9;2015の添付資料A(原文の表記では「Annex A」)には、上記のように内径50[mm]の枠体を用いて測定された破裂強度と内径89[mm]の枠体を用いて測定された破裂強度とでは、有効な差異は検出されなかったと付記されている。
上記の測定方法で用いる測定子は、ISO12625-9;2015に規定されているように、直径16±0.2[mm]の球状をなす測定子である。この測定子は、押し込み速度125±5[mm/分]で円形枠体の中心に押し込まれ、上記の測定方法で破裂強度が測定される。
湿潤破裂強度の測定には下記の湿潤測定子を用い、乾燥破裂強度の測定には下記の乾燥測定子を用いた。
・湿潤測定子:濡れた状態の湿潤測定子
・乾燥測定子:乾燥した状態の測定子
さらに、湿潤破裂強度については、試験体を上下から挟んで固定した後であって、ボール状の端子(すなわち測定子)を穴の中央(すなわち円形枠体の中心)に降下させる前に、下記の手順を実施してから測定した。
・測定手順:ピペッターに1000[μl]の水を取る。ボールの側面にピペッター
をあて、5秒かけながら水を全量出し切る。
[2.評価]
上述のパラメータを有するトイレットペーパーにかかる各実施例および各比較例に対して、下記のように評価した。
水準を隠した状態で官能評価を実施した。50人のモニターに実施例および比較例のトイレットペーパーをそれぞれ触ってもらい、これらのトイレットペーパーの「肌ざわり」および「使用時の破れにくさ」について、「特に優れている」と感じたものを4点とし、「優れている」と感じたものを3点とし、「やや劣る」と感じたものを2点とし、「劣る」と感じたものを1点として、四段階に評価してもらった。「肌ざわり」および「使用時の破れにくさ」のそれぞれについて、50人全体の評価点の平均値が1点以上であって1.75点未満であれば「×」とし、1.75点以上であって2.5点未満であれば「△」とし、2.5点以上であって3.25点未満であれば「○」とし、3.25点以上~4点以下であれば「◎」とした。これらの四段階評価は、上位の二段階(◎,○)を可とし、下位の二段階(△,×)を不可とした。
[3.第一トイレットペーパー]
一プライの第一トイレットペーパーに関する実施例A1~A4および比較例A5~A7は、巻長が110[m]であり、巻幅が114[mm]であり、コア径が40[mm]であることが共通している。
巻径には、以下に列記するように実施例A1~A4および比較例A5~A7に二種が用いられている。
・実施例A1,A2および比較例A5 :巻径114[mm]
・実施例A3,A4および比較例A6,A7:巻径120[mm]
一方、保湿剤の塗布量は、実施例A1~A4は保湿剤の塗布量が0.8[g/m2]以上であって4.0[g/m2]以下であり、比較例A5,A6は保湿剤の塗布量が0.8[g/m2]未満であり、比較例A7は4.0[g/m2]よりも大きい。
実施例A1~A4および比較例A5~A7は、上記の巻長や巻径などの基本的なパラメータを有する。
これらの実施例A1~A4および比較例A5~A7は、下記の表4に示すように各パラメータを有しており、表4に示す評価結果を得た。
Figure 0007405017000004
湿潤破裂強度が1.9[N/10枚]未満の比較例A5,A7では使用時の破れにくさの評価が「△」(不可)であった。また、湿潤破裂強度が5.0[N/10枚]よりも大きい比較例A6では、肌ざわりの評価が「△」(不可)であった。
これに対し、湿潤破裂強度が1.9[N/10枚]以上であって5.0[N/10枚]以下の実施例A1~A4では、肌ざわりおよび使用時の破れにくさの双方とも「○」以上の評価が得られた。よって、湿潤状態において第一トイレットペーパーの肌ざわりおよび使用時の破れにくさを両立することができ、官能性を高められたことがわかる。
乾燥破裂強度が7.5[N/10枚]未満の比較例A5,A7では使用時の破れにくさの評価が「△」(不可)であった。また、乾燥破裂強度が19.0[N/10枚]よりも大きい比較例A6では、肌ざわりの評価が「△」(不可)であった。
これに対し、乾燥破裂強度が7.5[N/10枚]以上であって19.0[N/10枚]以下の実施例A1~A4では、肌ざわりおよび使用時の破れにくさの双方とも「○」以上の評価が得られた。よって、乾燥状態において第一トイレットペーパーの肌ざわりおよび使用時の破れにくさを両立することができ、官能性を高められたことがわかる。
[4.第二トイレットペーパー]
二プライの第二トイレットペーパーに関する実施例B1~B4および比較例B5~B8は、巻幅が114[mm]で共通しているほかは、第一トイレットペーパーの実施例A1~A4および比較例A5~A7と異なり、巻長,コア径が共通でない。
巻長およびコア径のそれぞれは、以下に示すように、実施例B1~B4および比較例B5,B6,B8で共通なものの、比較例B7のみで異なる。
――巻長――
・実施例B1~B4および比較例B5,B6,B8:巻長55[m]
・比較例B7:巻長44[m]
――コア径――
・実施例B1~B4および比較例B5,B6,B8:コア径40[mm]
・比較例B7:コア径38[mm]
巻径には、以下に列記するように実施例B1~A4および比較例B5~B8に三種が用いられている。
・実施例B1~B3および比較例B5,B6:巻径114[mm]
・実施例B4および比較例B8:巻径120[mm]
・実施例B7:巻径103[mm]
保湿剤の塗布量は、実施例B1~B4および比較例B7は保湿剤の塗布量が0.50[g/m2]以上であって3.30[g/m2]以下であり、比較例B5,B6は保湿剤の塗布量が0.50[g/m2]未満であり、比較例B8は3.30[g/m2]よりも大きい。
実施例B1~B4および比較例B5~B8は、上記の巻長や巻径などの基本的なパラメータを有する。
これらのB1~B4および比較例B5~B8は、下記の表5に示すように各パラメータを有しており、表5に示す評価結果を得た。
Figure 0007405017000005
湿潤破裂強度が0.7[N/10枚]未満の比較例B5,B7,B8では使用時の破れにくさの評価が「△」(不可)であった。また、湿潤破裂強度が1.8[N/10枚]よりも大きい比較例B6では、肌ざわりの評価が「△」(不可)であった。
これに対し、湿潤破裂強度が0.7[N/10枚]以上であって1.8[N/10枚]以下の実施例B1~B4では、肌ざわりおよび使用時の破れにくさの双方とも「○」以上の評価が得られた。よって、湿潤状態において第二トイレットペーパーの肌ざわりおよび使用時の破れにくさを両立することができ、官能性を高められたことがわかる。
乾燥破裂強度が8.0[N/10枚]未満の比較例B5,B7,B8では使用時の破れにくさの評価が「△」(不可)であった。また、乾燥破裂強度が15.9[N/10枚]よりも大きい比較例B6では、肌ざわりの評価が「△」(不可)であった。
これに対し、乾燥破裂強度が8.0[N/10枚]以上であって15.9[N/10枚]以下の実施例B1~B4では、肌ざわりおよび使用時の破れにくさの双方とも「○」以上の評価が得られた。よって、乾燥状態において第二トイレットペーパーの肌ざわりおよび使用時の破れにくさを両立することができ、官能性を高められたことがわかる。
上述のトイレットペーパーはあくまでも例示に過ぎず、本実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
[III.付記]
以上の実施形態に関し、第一トイレットペーパーに関する付記を項目[1]に開示し、第二トイレットペーパーに関する付記を項目[2]に開示する。
[1.第一トイレットペーパー]
〔付記1A〕
保湿剤を含有する一プライのトイレットペーパーであって、
一プライあたりの当該トイレットペーパーの坪量が13.5[g/m2]以上であって26.5[g/m2]以下であり、
一プライあたりの当該トイレットペーパーに塗布された前記保湿剤の塗布量が4.0[g/m2]以下であり、
当該トイレットペーパーの一部をなす試験片が十枚重ね合わせられた試験体が内径50[mm]の円形枠体に取り付けられた測定状態のもとで、直径16±0.2[mm]の球状をなす測定子を押し込み速度125±5[mm/分]で前記円形枠体の中心に押し込む測定方法において、前記測定子が濡れた状態の湿潤測定子で前記試験体が突き破られたときの強度である湿潤破裂強度が1.9[N/10枚]以上であって5.0[N/10枚]以下である
ことを特徴とするトイレットペーパー。
〔付記2A〕
前記測定状態のもとで、前記測定方法において、前記測定子が乾燥した状態の乾燥測定子で前記試験体が突き破られたときの強度である乾燥破裂強度が7.5[N/10枚]以上であって19.0[N/10枚]以下である
ことを特徴とする付記1Aに記載のトイレットペーパー。
〔付記3A〕
ハンドフィール値が80以上である
ことを特徴とする付記1Aまたは2Aに記載のトイレットペーパー。
〔付記4A〕
一プライあたりの当該トイレットペーパーに塗布された前記保湿剤の塗布量が0.8[g/m2]以上である
ことを特徴とする付記1A~3Aの何れか1項に記載のトイレットペーパー。
[2.第二トイレットペーパー]
〔付記1B〕
保湿剤を含有する二プライのトイレットペーパーであって、
一プライあたりの当該トイレットペーパーの坪量が12.5[g/m2]以上であって18.9[g/m2]以下であり、
一プライあたりの当該トイレットペーパーに塗布された前記保湿剤の塗布量が3.3[g/m2]以下であり、
当該トイレットペーパーの一部をなす試験片が十枚重ね合わせられた試験体が内径50[mm]の円形枠体に取り付けられた測定状態のもとで、直径16±0.2[mm]の球状をなす測定子を押し込み速度125±5[mm/分]で前記円形枠体の中心に押し込む測定方法において、前記測定子が濡れた状態の湿潤測定子で前記試験体が突き破られたときの強度である湿潤破裂強度が0.7[N/10枚]以上であって1.8[N/10枚]以下である
ことを特徴とするトイレットペーパー。
〔付記2B〕
前記測定状態のもとで、前記測定方法において、前記測定子が乾燥した状態の乾燥測定子で前記試験体が突き破られたときの強度である乾燥破裂強度が8.0[N/10枚]以上であって15.9[N/10枚]以下である
ことを特徴とする付記1Bに記載のトイレットペーパー。
〔付記3B〕
ハンドフィール値が74以上である
ことを特徴とする付記1Bまたは2Bに記載のトイレットペーパー。
〔付記4B〕
一プライあたりの当該トイレットペーパーに塗布された前記保湿剤の塗布量が0.5[g/m2]以上である
ことを特徴とする付記1B~3Bの何れか1項に記載のトイレットペーパー。

Claims (2)

  1. 保湿剤を含有する二プライのトイレットペーパーであって、
    一プライあたりの当該トイレットペーパーの坪量が12.5[g/m2]以上であって18.9[g/m2]以下であり、
    一プライあたりの当該トイレットペーパーに塗布された前記保湿剤の塗布量が0.5[g/m 2 ]以上であって3.3[g/m2]以下であり、
    ISO12625-3に準拠して測定され、二プライの当該トイレットペーパーの厚み寸法である紙厚が180[μm]以上であって220[μm]以下であり、
    当該トイレットペーパーの一部をなす試験片が十枚重ね合わせられた試験体が内径50[mm]の円形枠体に取り付けられた測定状態のもとで、直径16±0.2[mm]の球状をなす測定子を押し込み速度125±5[mm/分]で前記円形枠体の中心に押し込む測定方法において、前記測定子が濡れた状態の湿潤測定子で前記試験体が突き破られたときの強度である湿潤破裂強度が0.7[N/10枚]以上であって1.8[N/10枚]以下である
    ことを特徴とするトイレットペーパー。
  2. 前記測定状態のもとで、前記測定方法において、前記測定子が乾燥した状態の乾燥測定子で前記試験体が突き破られたときの強度である乾燥破裂強度が8.0[N/10枚]以上であって15.9[N/10枚]以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載のトイレットペーパー
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