JP7401116B2 - 新規なl-アミノ酸オキシダーゼ及びd-アミノ酸又はその誘導体の製造方法 - Google Patents

新規なl-アミノ酸オキシダーゼ及びd-アミノ酸又はその誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 (1)集会名 イノベーション・ジャパン2019 開催日 2019年8月29日・30日 (2)集会名 Enzyme Engineering XXV 開催日 2019年9月15~19日(公開日:2019年9月16日) (3)集会名 第71回日本生物工学会大会 開催日 2019年9月16~18日(公開日:2019年9月16日) (4)集会名 第8回食品薬学シンポジウム 開催日 2019年10月18~19日(公開日:2019年10月18日) (5)集会名 JST新技術説明会 開催日 2019年10月29日 (6)掲載アドレス https://www.sbj.or.jp/2019/abstract/index.html 掲載日 2019年8月9日 (7)掲載アドレス https://www.engconf.org/conferences/biotechnology/enzyme-engineering-xxv/ 掲載日 2019年9月 (8)掲載アドレス https://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/news/20191023-3/ 掲載日 2019年10月23日 (9)掲載アドレス https://shingi.jst.go.jp/list/3chubu/2019_3chubu.html https://shingi.jst.go.jp/var/rev0/0001/0242/2019_3chubu_2.pdf 掲載日 2019年10月29日 (10)発行者名 日本薬学会生薬天然物部会 刊行物名 第8回食品薬学シンポジウム講演要旨集、第71~73頁 発行日 2019年9月30日 (11)発行者名 アメリカ化学会(ACS) 刊行物名 ACS Catalysis、第9巻、第11号、第10152~10158頁、S1~S23頁 発行日 2019年9月27日
本発明は、新規なL-アミノ酸オキシダーゼに関するものであり、特にDL-アミノ酸を高効率に動的光学分割してD-アミノ酸を得ることができるL-アミノ酸オキシダーゼに関する。
近年、新たな医薬品として、アミノ酸およびその誘導体が複数個繋がって構成されるペプチド医薬品が注目されている。ペプチド医薬品は、DL-アミノ酸及びこれらの誘導体の組み合わせ、そして立体構造の違いから多様な機能を発揮できることが報告されている。ペプチド医薬品を合成するためには、その前駆体となるアミノ酸、アミノ酸誘導体又は合成中間体について、D体またはL体のいずれか一方だけを取得する必要がある。これは化学合成で作られるアミノ酸及びその誘導体の多くはラセミ体であることに起因している。そこで、ラセミ体のアミノ酸、アミノ酸誘導体又は合成中間体から、D体のみ又はL体のみのアミノ酸を高い収率で合成できる方法として動的光学分割法が報告されている。この動的光学分割法は、酵素を利用した分割方法であり、常圧条件下で実施できることから環境に優しいクリーンな合成方法として今日、注目されている。
動的光学分割法によるL-アミノ酸の合成に関しては、D-アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)が一般的に用いられている。DAAOを用いたL-アミノ酸及びその誘導体の光学分割については、一例として特許文献1及び非特許文献1、2に示すように、多くの文献で報告があり、広く工業利用されている。
他方、動的光学分割法によるD-アミノ酸の合成に関しては、L-アミノ酸オキシダーゼ(LAAO)は、ほとんど利用されていない。ラセミ体のアミノ酸、アミノ酸誘導体又は合成中間体から酵素法によってD体のみを光学分割するにあたっては、L-アミノ酸デアミナーゼ(LAAD)が広く工業利用されているほか、ラセマーゼとアシラーゼとを組み合わせた方法、または、ラセマーゼとアミダーゼとを組み合わせた方法が用いられている。
特表2007-522810号公報
Turner N. J., Curr. Opin. Chem. Biol., Vol.8, 2004年, p.114-119 Henderson R. K. et al., Ind. Biotechnol., Vol.4, 2008年, p.180-192 Yang et al., J. Exp. Biol., Vol.208, 2005年, p.3609-3622 "L-アミノ酸オキシダーゼ ガラガラヘビ毒由来"、[online]、富士フィルム 和光純薬株式会社 ウェブサイト、[平成31年3月5日検索]、インターネット<URL: https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/product/detail/W01MPB02100272.html>
D-アミノ酸の合成にLAAOが用いられない理由としては、LAAOの強い毒性のために大量発現系の構築が困難であること、LAAOに関する研究報告のほとんどが動物(特にヘビ毒)などから直接精製され性質決定された内容に留まっていること、等が挙げられる。LAAOの大量発現が困難である理由としては、基質であるL-アミノ酸が生物自身を構成する重要な化合物であり、さらに、LAAOの酵素反応によって過酸化水素が発生する事も一因であると推測されている。具体的には、LAAOの組換えタンパク質による大量発現系の構築については、大腸菌でAplysia californica(ジャンボアメフラシ)由来のLAAOを発現させたことが報告されているが(非特許文献3)、このAplysia californica由来のLAAOの発現量は非常に僅かであり、培養液1Lあたり0.2mgに留まっている。また、市販されているヘビ毒由来のLAAOは、研究用試薬とはいえ、10mgで22万5千円と非常に高価である(非特許文献4)。このように、L-アミノ酸の合成にはDAAOが工業利用されていることとは対照的に、D-アミノ酸の合成におけるLAAOの利用は現段階では困難であるという問題があった。
また、上述したように、現状ではD-アミノ酸の合成において、L-アミノ酸デアミナーゼ(LAAD)が広く利用されている。しかしながら、LAADを利用した光学分割においては、反応進行のためにフェナジンメトサルフェイト(PMS)等の高価な電子供与体が必要であり、さらには、LAAD自体の活性が数十mU/mg程度と弱いため、大量のLAADを要するという問題があった。
同様に、ラセマーゼとアシラーゼ、もしくはラセマーゼとアミダーゼを組み合わせてD-アミノ酸を合成する方法においては、ラセマーゼの基質特異性が高く、改変も困難であるため、反応基質が限られているという問題を有していた。例えば、アラニンラセマーゼ(EC番号5.1.1.1)やアミノ酸ラセマーゼ(EC番号5.1.1.10)は、特にフェニルアラニンやトリプトファンといった芳香族アミノ酸に対する活性が無いか、非常に低いかのいずれかであり、非天然型の基質、アミノ酸の誘導体や薬剤の合成中間体に対する反応性の報告も皆無であった。また、フェニルアラニンラセマーゼ(EC番号5.1.1.11)であっても、反応自体にATPが必要である等の問題を有していた。さらに、これらアミノ酸ラセマーゼの多くはPLP型酵素で副反応や停止反応が発生しやすい。そして、D-アミノ酸を合成するためには、複数の酵素の安定性、反応性、基質選択性を合わせる必要があり、工業応用には適していないという問題があった。
本発明は上述した点に鑑みてなされたもので、その目的は、L-アミノ酸オキシダーゼそのものを組換えタンパク質の大量発現等により低コスト且つ大量に生産することができ、広い基質選択性を有するL-アミノ酸オキシダーゼを人工的に創出して、新規なL-アミノ酸オキシダーゼとして提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、ラセミ体のアミノ酸、アミノ酸誘導体又は合成中間体に対し、高い活性を有し、高効率の光学分割を可能とする新規なL-アミノ酸オキシダーゼを提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、ラセミ体のアミノ酸、アミノ酸誘導体又は合成中間体から、D-アミノ酸、D-アミノ酸誘導体又は合成中間体を得る方法を提供することにある。
本発明者らは、大腸菌発現系にて大量発現が可能であり、かつ、基質選択性が広く、活性が高いL-アミノ酸オキシダーゼを人工的に設計し、新規な人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO)を得ることに成功した。また、このArtLAAOを用いたDL-アミノ酸からのD-アミノ酸の合成方法、すなわち、動的光学分割方法を開発した。具体的には、後述する実施例にて示すように、本発明のArtLAAOは、複数のDL-フェニルアラニン誘導体について、99%を超えるee値と極めて高い光学純度かつ高い収率にて各々のD-フェニルアラニン誘導体に分割することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するため、本発明の新規なL-アミノ酸オキシダーゼは、(1)配列番号1、配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列、(2)配列番号1、配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列、(3)配列番号1で表わされるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列、又は(4)配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列に対して98%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列、の(1)~(4)のいずれかのアミノ酸配列からなるタンパク質である。これにより、組換えタンパク質の大量発現が可能であり、広い基質選択性を有する新規なL-アミノ酸オキシダーゼが得られる。また、新規なL-アミノ酸オキシダーゼは、ラセミ体のアミノ酸、アミノ酸誘導体又は合成中間体に対し、高効率の光学分割を行うことができる。なお、本発明におけるL-アミノ酸オキシダーゼ活性には、L-アミノ酸オキシダーゼ活性だけでなく、L-アミノ酸誘導体オキシダーゼ活性も含まれる。
また、本発明の新規なL-アミノ酸オキシダーゼの遺伝子は、(5)配列番号1、配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、(6)配列番号1、配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、(7)配列番号1で表わされるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、又は(8)配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列に対して98%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、の(5)~(8)のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子である。これにより、組換えタンパク質の大量発現が可能であり、広い基質選択性を有する新規なL-アミノ酸オキシダーゼの遺伝子が得られる。
また、本発明の組換えベクターは、上述したL-アミノ酸オキシダーゼのタンパク質をコードする遺伝子又は上述したL-アミノ酸オキシダーゼの遺伝子を含む組換えベクターである。これにより、本発明のL-アミノ酸オキシダーゼの組換えタンパク質の大量発現が可能であり、簡単かつ低コストにL-アミノ酸オキシダーゼを大量生産することができる。
また、本発明の宿主細胞は、上述した組換えベクターを含んでいる。これにより、簡単かつ低コストに本発明のL-アミノ酸オキシダーゼを大量生産することができる。
また、本発明のD-アミノ酸又はその誘導体の製造方法は、L-アミノ酸又はその誘導体に対し、上述したタンパク質をL-アミノ酸オキシダーゼとして作用させて、イミノ酸を生じさせる工程と、この生じたイミノ酸に対し、還元剤を作用させる工程と、を有している。L-アミノ酸又はL-アミノ酸の誘導体に対し、本発明の新規なL-アミノ酸オキシダーゼを作用させると、L-アミノ酸又はその誘導体は酸化されてイミノ酸が形成される。このイミノ酸に還元剤を作用させることにより、ラセミ体のアミノ酸又はその誘導体に変換される。ラセミ体のうち、L-アミノ酸又はその誘導体はL-アミノ酸オキシダーゼと反応して再度イミノ酸を形成するが、D-アミノ酸又はその誘導体はL-アミノ酸オキシダーゼとは反応せずに残存する。それゆえ、最終的にはL-アミノ酸又はその誘導体は、D-アミノ酸またはその誘導体に変換される。
また、本発明のケト酸の製造方法は、L-アミノ酸又はその誘導体に対し、上述したタンパク質をL-アミノ酸オキシダーゼとして作用させて、イミノ酸を生じさせる工程と、この生じたイミノ酸を加水分解させる工程と、を有している。L-アミノ酸又はL-アミノ酸の誘導体に対し、本発明の新規なL-アミノ酸オキシダーゼを作用させると、L-アミノ酸又はその誘導体は酸化されてイミノ酸が形成される。このイミノ酸は水系反応液中で自然に加水分解されるため、ケト酸が生じる。ケト酸は有機合成では合成し難い化合物であるところ、本発明においては、上述した新規なL-アミノ酸オキシダーゼによる酵素反応のみで製造できるため、低コストに生産することができる。
また、本発明の光学分割方法は、DL-アミノ酸又はDL-アミノ酸誘導体に対し、上述したタンパク質をL-アミノ酸オキシダーゼとして作用させる工程を有している。DL-アミノ酸等に対し、本発明の新規なL-アミノ酸オキシダーゼを作用させると、D-アミノ酸等とは反応しないが、L-アミノ酸等は酸化され、中間体としてイミノ酸が形成される。このイミノ酸は、(1)還元剤等のラセミ化触媒を作用させることによって再びラセミ体に変換するか、または、(2)反応系中で加水分解してケト酸を形成するものである。(1)の場合には、再び生じたラセミ体のうち、L-アミノ酸等は再度L-アミノ酸オキシダーゼと反応してイミノ酸を形成するが、D-アミノ酸等は反応せずに残存するため、最終的にDL-アミノ酸等がD-アミノ酸等に変換され、分離される。(2)の場合には、未反応のD-アミノ酸等と反応により生じたケト酸とを分離することにより、D-アミノ酸等が分離される。
また、DL-アミノ酸又はDL-アミノ酸の誘導体が、DL-フェニルアラニン、DL-トリプトファン、DL-メチオニン、DL-ロイシン、DL-グルタミン、DL-グルタミン酸、DL-チロシン、DL-イソロイシン、DL-アルギニン及びそれらの誘導体からなる群から選択される化合物であることが好ましい。これにより、基質として好適なアミノ酸が選択される。
また、本発明の光学分割方法は、L-アミノ酸オキシダーゼがDL-アミノ酸又はDL-アミノ酸誘導体に作用することにより生じたイミノ酸に対し、アンモニアボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム及びシアノトリヒドロホウ酸ナトリウムからなる群から選択される還元剤を作用させる工程を有している。これにより、L-アミノ酸等の酸化により形成されたイミノ酸をラセミ化させるラセミ化触媒として好適な化合物が選択される。
本発明によれば、以下のような優れた効果を有する新規なL-アミノ酸オキシダーゼ及びそれを用いたD-アミノ酸又はその誘導体の製造方法、ケト酸の製造方法、並びに新規なL-アミノ酸オキシダーゼを用いた光学分割方法を提供することができる。
(1)大腸菌発現系にて大量発現が可能であるため、簡単且つ低コストにL-アミノ酸オキシダーゼを得ることができる。それゆえ、工業利用も可能である。
(2)基質選択性が広いため、アミノ酸の種類を問わず作用させることができ、汎用性が高い。さらに、アミノ酸だけでなく、アミノ酸誘導体に対しても高い活性で作用することができる。
(3)反応系中に共存するラセミ化触媒である還元剤からの影響を受けることなく、効率の良い動的光学分割をワンポットで行うことができ、高純度の光学活性体を高収率で得ることができる。
実施例4における、DL-フェニルアラニン(DL-1a)の動的光学分割結果を示すキラルHPLCのクロマトグラム(上段:コントロール(光学分割前)、下段:ArtLAAOによる光学分割後)である。 実施例4における、2-フルオロ-DL-フェニルアラニン(DL-1b)の動的光学分割結果を示すキラルHPLCのクロマトグラム(上段:コントロール(光学分割前)、下段:ArtLAAOによる光学分割後)である。 実施例4における、3-フルオロ-DL-フェニルアラニン(DL-1c)の動的光学分割結果を示すキラルHPLCのクロマトグラム(上段:コントロール(光学分割前)、下段:ArtLAAOによる光学分割後)である。 実施例4における、4-フルオロ-DL-フェニルアラニン(DL-1d)の動的光学分割結果を示すキラルHPLCのクロマトグラム(上段:コントロール(光学分割前)、下段:ArtLAAOによる光学分割後)である。 実施例4における、4-ニトロ-DL-フェニルアラニン(DL-1e)の動的光学分割結果を示すキラルHPLCのクロマトグラム(上段:コントロール(光学分割前)、下段:ArtLAAOによる光学分割後)である。 実施例4における、4-ブロモ-DL-フェニルアラニン(DL-1f)の動的光学分割結果を示すキラルHPLCのクロマトグラム(上段:コントロール(光学分割前)、下段:ArtLAAOによる光学分割後)である。 実施例12における3種類のArtLAAOの(A)耐熱性及び(B)耐久性を示すグラフである。
本発明のタンパク質は、次の(1)~(4)のいずれかのアミノ酸配列からなるタンパク質であり、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有する。(1)配列番号1(ArtLAAO1)、配列番号3(ArtLAAO4)又は配列番号5(ArtLAAO5)で表わされるアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列、(2)配列番号1(ArtLAAO1)、配列番号3(ArtLAAO4)又は配列番号5(ArtLAAO5)で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列、(3)配列番号1(ArtLAAO1)で表わされるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列、又は(4)配列番号3(ArtLAAO4)又は配列番号5(ArtLAAO5)で表わされるアミノ酸配列に対して98%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列。ここで、本発明におけるL-アミノ酸オキシダーゼ活性とは、L-アミノ酸オキシダーゼ活性、L-アミノ酸誘導体オキシダーゼ活性、又はこの両方を意味している。
本明細書において、「配列番号1で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸」の欠失、置換又は付加されるアミノ酸の個数の範囲は、アミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたタンパク質が、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質(ArtLAAO1)と同程度の特性を有する限り、特に限定されない。具体的には、そのL-アミノオキシダーゼ活性や基質選択性の広さ、組換えタンパク質が大量発現可能といった優れた特性を備える観点から、欠失、置換又は付加されるアミノ酸の個数の範囲は1~60個が好ましく、1~30個がより好ましく、1~10個がさらに好ましい。
また、本明細書において、「配列番号1で表わされるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列」の同一性の範囲は、異なる同一性を有するタンパク質が、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質(ArtLAAO1)と同程度の特性を有する限り、特に限定されない。具体的には、そのL-アミノオキシダーゼ活性や基質選択性の広さ、組換えタンパク質が大量発現可能といった優れた特性を備える観点から、配列番号1で表わされるアミノ酸配列に対する同一性は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、98%以上であることがさらに好ましい。
また、本明細書において、「配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸」の欠失、置換又は付加されるアミノ酸の個数の範囲は、アミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたタンパク質が、配列番号3又は配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質(ArtLAAO4又はArtLAAO5)と同程度の特性を有する限り、特に限定されない。具体的には、そのL-アミノオキシダーゼ活性や基質選択性の広さ、組換えタンパク質が大量発現可能といった優れた特性を備える観点から、欠失、置換又は付加されるアミノ酸の個数の範囲は1~15個が好ましく、1~10個がより好ましく、1~5個がさらに好ましい。
さらに、本明細書において、「配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列に対して98%以上の同一性を有するアミノ酸配列」の同一性の範囲は、異なる同一性を有するタンパク質が、配列番号3又は配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質(ArtLAAO4又はArtLAAO5)と同程度の特性を有する限り、特に限定されない。具体的には、そのL-アミノオキシダーゼ活性や基質選択性の広さ、組換えタンパク質が大量発現可能といった優れた特性を備える観点から、配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列に対する同一性は、98%以上であることが好ましく、98.5%以上であることがより好ましく、99%以上であることがさらに好ましい。
本発明のタンパク質には、糖鎖等による修飾が付加されたタンパク質も含まれる。タンパク質に付加される糖鎖等の種類、位置等は、組換えタンパク質の製造に用いた宿主細胞によって異なるが、いずれの宿主細胞を用いて得られるタンパク質も含まれる。
本発明のタンパク質は、新規な人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO)であり、以下化学式1に示すように、L-アミノ酸又はその誘導体を酸化し、イミノ酸を形成する作用を有する。ここで、アンモニアボランのような還元剤存在下では、生じたイミノ酸はラセミ化されてラセミ体に変換されるため、最終的にL-アミノ酸はD-アミノ酸に変換される。他方、反応系に還元剤が存在しない場合には、生じたイミノ酸は加水分解されてケト酸が形成されるため、L-アミノ酸又はその誘導体からはケト酸が合成されることとなる。それゆえ、本発明のL-アミノ酸オキシダーゼは、DL-アミノ酸又はその誘導体の光学分割に好適に用いられる。
Figure 0007401116000001
本発明のArtLAAOはいずれも広い基質選択性を有しており、親水性アミノ酸や疎水性アミノ酸だけでなく、芳香族アミノ酸及びこれらの誘導体に対しても、高い活性を有する。このように、本発明のArtLAAOは反応基質を選ばないため、汎用性が高く、医薬品や医薬品の合成中間体等の製造に用いることができる。基質としては、本発明の新規なL-アミノ酸オキシダーゼによって酸化されるL-アミノ酸又はその誘導体であれば特に限定されないが、具体的には、一例として、L-メチオニン、L-ロイシン、L-フェニルアラニン、L-トリプトファン、L-グルタミン、L-グルタミン酸、L-チロシン、L-イソロイシン、L-アルギニン及びこれらの誘導体が挙げられる。このうち、特に高い活性を有する反応基質としては、疎水性アミノ酸ではL-メチオニン又はL-ロイシン、芳香族アミノ酸ではL-フェニルアラニン又はL-トリプトファン、親水性アミノ酸ではL-グルタミン又はL-グルタミン酸が挙げられる。
さらに、本発明のArtLAAOは天然のL-アミノ酸だけでなく、L-アミノ酸の種々誘導体に対する活性も十分に備えている。例えば、後述する実施例では、L-フェニルアラニンのフェニル基部分の水素原子がフッ素原子、臭素原子、ニトロ基、アミノ基、メトキシ基又はトリフルオロメチル基等でそれぞれ置換されたL-フェニルアラニン誘導体、L-トリプトファンのインドール環部分の水素原子がフッ素原子、メチル基又はメトキシ基等でそれぞれ置換されたL-トリプトファン誘導体、並びに、L-チロシンのフェノール基部分の水素原子がフッ素原子又はニトロ基でそれぞれ置換されたL-チロシン誘導体等に対しても優れた活性を備えていることが示されている。それゆえ、本発明のArtLAAOは、L-アミノ酸誘導体をD-アミノ酸誘導体に変換したり、L-アミノ酸誘導体をケト酸に変換することも容易に行うことができる。
また、本発明のArtLAAOのうち、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるArtLAAO1の特性としては、以下の通りである。
(1)至適pHは7~8である。
(2)至適温度は25℃~35℃である。
(3)等電点(pI)は5.01である。
(4)分子量は74.27kDaである。
また、本発明のArtLAAOのうち、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるArtLAAO4の特性としては、以下の通りである。
(1)至適pHは6.5~7.0である。
(2)等電点(pI)は4.9である。
(3)分子量は74.1kDaである。
また、本発明のArtLAAOのうち、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるArtLAAO5の特性としては、以下の通りである。
(1)至適pHは6.0である。
(2)等電点(pI)は5.1である。
(3)分子量は73.9kDaである。
<ArtLAAOの製造方法>
本発明のタンパク質、すなわちArtLAAOは、常法に従い、このタンパク質をコードする遺伝子を用いて、大腸菌等を宿主としたタンパク質発現等により製造することができる。また、化学合成によりArtLAAOを製造することも可能であるが、本発明のArtLAAOは、従来のLAAOと異なり、組換えタンパク質の大量発現を実現できた新規なタンパク質であるため、遺伝子組換え技術を用いて製造することが好ましい。
本発明のArtLAAOの組換えタンパク質を製造するにあたっては、このタンパク質をコードする遺伝子を準備し、この遺伝子を適当な発現系に導入する必要があるところ、このタンパク質をコードする遺伝子は、次の(5)~(8)のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子である。(5)配列番号1、配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、(6)配列番号1、配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、(7)配列番号1で表わされるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、又は(8)配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列に対して98%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質。このArtLAAOタンパク質をコードする遺伝子は、人工遺伝子合成等の既知の方法により得ることができる。
本発明のタンパク質を製造するにあたっては、一例として、配列番号2、配列番号4又は配列番号6で表わされる塩基配列からなる遺伝子を使用することができる。人工遺伝子合成により得られたArtLAAOをコードするDNA断片をインサートとして、適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換えベクターが得られる。プロモーターは宿主細胞において転写活性を示すDNA配列であり、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。この組換えベクターを適当な宿主細胞に導入することにより、本発明のL-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するタンパク質を生産する形質転換体が得られる。形質転換された宿主細胞を培養し、組換えタンパク質の発現を誘導させると、培養細胞又は培養物中にタンパク質が生産される。生産されたタンパク質は、所定の方法にて回収することが可能である。
発現ベクターとしては、宿主細胞において自立的に複製可能なもの、又は宿主細胞の染色体中へ組み込みされるもの、のいずれも用いられるが、宿主細胞において自立的に複製可能なベクターであるプラスミドベクター、ファージベクター又はウイルスベクター等が好適に用いられる。特に限定されないが、一例として、pETベクター、pColdベクター、pBRベクター及びpUCベクター等の大腸菌発現用のプラスミドベクターが好適に用いられる。プロモーターとしては、大腸菌等の宿主細胞中で発現できるものであれば特に限定されず、例えば、trpプロモーター、lacプロモーター、lacT7プロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター等のプロモーターが挙げられる。また、発現ベクターには、上述したプロモーターのほか、エンハンサー等のシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、薬剤耐性遺伝子等の選択マーカー、リボソーム結合部位等を含有していてもよい。
宿主細胞としては、組換えベクターを導入でき、目的とする遺伝子を発現可能であれば、微生物、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等のいずれも使用することができる。微生物としては、特に限定されないが、例えば、エシェリヒア属(大腸菌)、バチルス属、ストレプトミセス属、ストレプトコッカス属、スタフィロコッカス属等の微生物等が挙げられる。用いられる大腸菌としては、具体的には、E.coliのBL21株、BL21(DE3)株、JM109株、HB101株等が挙げられる。また、組換えベクターを宿主細胞に導入する方法としては、公知のあらゆる方法に基づいて行うことができ、例えば、エレクトロポレーションやカルシウムイオンを用いる方法等により行うことができる。
ArtLAAOタンパク質をコードする遺伝子を有する組換えベクターが導入された形質転換体は、宿主細胞の培養に用いられる通常の培地及び培養方法に基づき培養される。タンパク質発現を誘導するプロモーターを含む発現ベクターを用いた際には、誘導剤を培地に添加することにより、タンパク質の発現が生じる。具体的には、例えば、lacプロモーターを含む発現ベクターで形質転換した大腸菌を用いた場合には、イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加することにより、プロモーター下流に連結されたタンパク質が発現する。
形質転換体の培養細胞又は培養液等の培養物から、本発明のタンパク質を回収することにより、目的とするタンパク質が得られる。ここで、「培養物」には、培養処理後の培養液又は培地、培養後の細胞又はこれらの破砕物のいずれもが含まれる。発現したタンパク質が形質転換体の細胞内に蓄積される場合には、公知の方法に従い、細胞を破砕すること等によって発現したタンパク質を回収することができる。他方、発現したタンパク質が形質転換体の細胞外に分泌される場合には、培養液の上清部分を回収することにより、所望のタンパク質が得られる。また、回収されたタンパク質は、既存のタンパク質の精製方法に基づいて精製することが可能である。
本発明の新規なL-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO)は、従来のLAAOとは異なり、大腸菌発現系での大量発現が可能である。これにより、簡単かつ低コストに、L-アミノ酸オキシダーゼを生産することができるため、L-アミノ酸オキシダーゼの工業利用を可能とすることができる。
<ArtLAAOを用いたDL-アミノ酸又はその誘導体の動的光学分割>
本発明のArtLAAOは、DL-アミノ酸又はその誘導体をD-アミノ酸又はその誘導体に変換する動的光学分割に利用でき、工業的なD-アミノ酸又はD-アミノ酸誘導体の製造を実現することができる。本発明のArtLAAOを利用した動的光学分割方法は、以下順序で行われる。DL-アミノ酸又はその誘導体に対し、ArtLAAOを作用させると、ArtLAAOとD-アミノ酸等とは反応しないが、L-アミノ酸等は酸化され、中間体としてイミノ酸が形成される(上記の化学式1参照)。このイミノ酸は、還元剤等のラセミ化触媒を作用させることによって再びラセミ体に変換される。ここで、再び生じたラセミ体のうち、L-アミノ酸等は再度L-アミノ酸オキシダーゼと反応してイミノ酸を形成するが、D-アミノ酸等は反応せずに残存する。この繰り返しによって、最終的にDL-アミノ酸等はD-アミノ酸等に変換され、高純度の光学活性体として得られる。
上述したDL-アミノ酸又はその誘導体の動的光学分割の反応条件としては、反応原料(DL-アミノ酸又はその誘導体)1mM(基質として0.5mM)に対し、生じたイミノ酸のラセミ化を確実に行わせる観点から、還元剤を15mM以上共存させることが好ましく、20mM以上共存させることがさらに好ましく、30mM以上共存させることが特に好ましい。なお、ラセミ化触媒として用いられる還元剤としては、アンモニアボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム等が挙げられ、ArtLAAOと共存させた際においても互いの機能にあまり影響を与えず、互いの反応性を保持できる観点から、アンモニアボランが特に好ましい。
また、反応原料(DL-アミノ酸又はその誘導体)1mM(基質としては0.5mM)に対するArtLAAOの添加量は、1U以上とすることが好ましく、2U以上とすることがさらに好ましい。反応温度は20℃~40℃が好ましく、25℃~35℃がより好ましく、28℃~32℃がさらに好ましい。反応は弱アルカリ性の緩衝液中にて行われることが好ましく、特に限定されないが、例えば、100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH=8.0)等で好適に反応を行うことができる。なお、反応時間は、反応原料の量によって変化するが、3~24時間程度であり、反応終了のタイミングは反応液をキラルHPLC等で分析することにより、判断することも可能である。本発明のArtLAAOを用いることにより、後述する実施例に示すように、99%を超える高い鏡像体過剰率(ee)を有する光学活性体を得ることができており、また、78%を超える収率を示すなど、高効率に高純度の光学活性体がワンポットで得られる動的光学分割が実現される。
<ArtLAAOを用いたD-アミノ酸又はその誘導体の製造方法>
上述した動的光学分割反応条件において、反応原料をラセミ体ではない1組のエナンチオマー又はL-アミノ酸等とした場合においても、上述と同様の反応により、反応原料に含まれるL-アミノ酸等がD-アミノ酸又はその誘導体に変換される。
<ArtLAAOを用いたDL-アミノ酸又はその誘導体の光学分割>
本発明のArtLAAOは、DL-アミノ酸又はその誘導体をD-アミノ酸又はその誘導体とケト酸とに変換する光学分割に利用することも可能である。この場合には、ラセミ化触媒である還元剤の添加は不要となる。本発明のArtLAAOを利用した光学分割方法は、以下順序で行われる。DL-アミノ酸又はその誘導体に対し、ArtLAAOを作用させると、ArtLAAOとD-アミノ酸等とは反応しないが、L-アミノ酸等は酸化され、中間体としてイミノ酸が形成される。このイミノ酸は、ラセミ化触媒が無い条件下では、水系反応液中で自然に加水分解されて、ケト酸に変換される。反応せずに残存したD-アミノ酸等と、酵素反応及び加水分解により生じたケト酸とを分離することにより、D-アミノ酸等とケト酸とをそれぞれ得ることができる。なお、D-アミノ酸等とケト酸との分離は、例えば酸性水溶液中での選択的沈殿方法、又は、イオン交換クロマトグラフィー法等により行うことができる。
<ArtLAAOを用いたケト酸の製造方法>
上述した光学分割反応条件において、反応原料をラセミ体ではなく、例えば、L-アミノ酸等とした場合には、上述と同様の反応により、反応原料に含まれるL-アミノ酸等がケト酸に変換される。ケト酸は有機合成し難い化合物であることから、酵素を用いた工業的なケト酸の合成も実現することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。以下実施例においては、本発明に係る新規なL-アミノ酸オキシダーゼの設計及び作出を行い、その活性及び動的光学分割能を評価した。
[実施例1]
1.人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO1)の設計
基質選択性の広いLAAOを人工的に設計するため、以下の操作を行った。報告のあるL-アルギニン酸化酵素(AROD)のアミノ酸配列について、BLASTプログラムのBlastp(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PAGE=Proteins)で解析した。その後、発明者らの研究室で開発したタンパク質配列マイニング法により検討した結果、以下表1に示す6つのARODホモログ配列を抽出した。
Figure 0007401116000002
得られた6つのARODホモログ配列をマルチプルシーケンスアラインメントソフトウェア(MAFFT)により整列後、系統解析ソフトウェア(MEGA6)を用いて最尤法により系統樹を作成した。これらのデータを祖先配列の確率的再構築のためのソフトウェアであるFastML(http://fastml.tau.ac.il)で解析した。これに基づき、下記表2に示す655アミノ酸のアミノ酸配列(配列番号1)からなる新規な人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO1)を設計した。
Figure 0007401116000003
設計されたArtLAAO1のアミノ酸配列について、データベースに存在する配列との同一性(identity)を確認したところ、上記表1に示すホモログとの同一性が最も高く、その同一性は最も高いもので84%であった。しかしながら、ArtLAAO1のアミノ酸配列にはこれら天然のアミノ酸配列には見られない人工的な変異が100残基以上も含まれていた。これにより、新規な配列を有する人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO)が設計されたことがわかった。
[実施例2]
2.人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO1)の製造
実施例1で得た655残基のアミノ酸からなるArtLAAO1をコードする遺伝子(配列番号2)を人工遺伝子合成により作成した。下記表3にその遺伝子配列を示す。作成したArtLAAO1遺伝子をpET-28bベクター(Novagen社製品)のT7プロモーター下流にクローニングし、ArtLAAO1遺伝子を含む組換えベクターを得た。構築したArtLAAO1発現ベクターを大腸菌BL21(DE3)株に導入して形質転換を行い、ArtLAAO1生産株を得た。
Figure 0007401116000004
得られたArtLAAO1生産株を1LのLB培地に植菌して大量培養を行った。具体的には、37℃の条件で4~6時間程度振とう培養を行い、600nmでのOD値が0.4~0.6に到達した時点でIPTG(イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド)を終濃度0.5mMになるように添加し、ArtLAAO1タンパク質の発現を誘導させた。IPTG添加後は、培養温度を23℃に下げて16時間振とう培養した。培養後の菌体を回収し、菌体から発現したArtLAAO1タンパク質を回収した。タンパク質の回収は、具体的には、次の方法により行った。培養液を6000×gで10分間遠心分離し、LB液体培地を取り除いた。60mLの20mM Tris-HCl(pH8.0)と10mM NaClを含むバッファーに懸濁後、超音波ホモジナイザーにて細胞を破砕した。この破砕液を11000×gで30分間遠心分離し、上清画分を粗酵素液とした。粗酵素液は直ちにHisTrapTM HPカラム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製品)に吸着させ、30mLのバッファーで洗浄した後、70及び300mMのイミダゾールを含むバッファーを用いて溶出した。各溶出画分についてSDS-PAGEを行い、75kDa付近にバンドを持つ溶出画分を回収した。必要に応じて回収した画分を濃縮し、ゲルろ過クロマトグラフィーカラムであるSuperdex 200 Increase(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製品)を用いて精製を行った。
回収したタンパク質について、以下表4に示す活性測定用反応液を調整し、この反応液90μLに、回収したArtLAAO1を10μL添加し、L-アミノ酸オキシダーゼの活性を測定した。その菌体比活性からArtLAAO1タンパク質の発現量を確認した。
Figure 0007401116000005
この結果、1Lの液体培地における培養によって、500U以上ものArtLAAO1が得られたことがわかった。これは培養液1Lあたり、約30mgのArtLAAO1が生産されたことを示している。これまで、L-アミノ酸オキシダーゼの組換えタンパク質の発現による生産については、同じく大腸菌でAplysia californica由来LAAOを発現させたことが報告されているが(非特許文献3)、このAplysia californica由来LAAOでは培養液1Lあたり0.2mgしか生産することができなかった。本発明におけるArtLAAOはこれと比べて150倍ほども収量が多く、大量に生産できることが判明した。
[実施例3]
3.人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO1)の活性測定
20種類のL-アミノ酸及び2種類のL-アミノ酸誘導体、並びに2種類のDL-アミノ酸及び16種類のDL-アミノ酸誘導体について、実施例2で得られた人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO1)の比活性測定を行った。本実施例におけるL-アミノ酸オキシダーゼ活性の測定方法は、具体的には、次のとおりである。表4に示す活性測定用反応液をマイクロチューブに量りとり、これをウォーターバスにて30℃の条件で30分インキュベートした。活性測定用反応液を石英セルに90μL量りとり、実施例2で得られた酵素液を10μL添加して、反応を開始し、直ちに紫外可視分光光度計(UV-2450、株式会社島津製作所)で505nmの吸光度変化を測定して酵素活性を求めた。
20種類のL-アミノ酸、2種類のDL-アミノ酸及び18種類のアミノ酸誘導体についての酵素活性測定結果を以下表5に示す。表5に示すように、配列番号1のタンパク質は、13種類の異なるL-アミノ酸、2種類のDL-アミノ酸及び18種類のアミノ酸誘導体に対して活性を示した。よって、実施例2で得られたタンパク質は広くL-アミノ酸及びアミノ酸誘導体を酸化可能な酵素であることが明らかとなった。
Figure 0007401116000006
20種類のL-アミノ酸のうち、特に高い活性を示した6つのL-アミノ酸(L-メチオニン、L-ロイシン、L-フェニルアラニン、L-トリプトファン、L-グルタミン及びL-グルタミン酸)に関して酵素学的パラメータを決定した。結果を以下表6に示す。解析の結果、ArtLAAO1はL-メチオニンに対する酵素効率が最も高いことが明らかとなった。その一方でArtLAAO1はL-フェニルアラニンに対しても高い活性を有することが明らかとなった。以上の結果より、本発明のArtLAAOは基質選択性の広いL-アミノ酸オキシダーゼであることが示された。
Figure 0007401116000007
[実施例4]
4.人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO1)による動的光学分割(1)
次にDL-フェニルアラニン及びその誘導体について、以下化学式2に示す、ArtLAAOを用いた動的光学分割(DKR)を試みた。以下化学式2では、本実施例4における、本発明の新規なL-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO)を用いたDL-フェニルアラニン誘導体の動的光学分割により、D-フェニルアラニン誘導体が製造されるフローが示されている。DL-フェニルアラニン及びその誘導体として、下記表7に示す10種類の反応原料(DL-1a~DL-1j)を準備した。DKRは、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH=8.0)、5mMの各反応原料、150mMのアンモニアボラン(NH:BH)及び10UのArtLAAO1の反応液を調製したのち、30℃で約20時間反応させることで実施した。
Figure 0007401116000008
DKRの反応終了後、反応液をマイクロチューブに500μL回収し、500μLのメタノールを添加した。遠心分離(15000rpm×15min)にて沈殿物を除去後、その上清を回収した。回収した各上清についてキラルHPLCによる分析を行った。HPLCのランニングバッファーは1.15%(w/v)HClO、キラル分析用カラムはCROWNPAK-CR-I(+)(150mm×3.0mm×5μm、株式会社ダイセル製品)を用いた。その他の分析条件については以下表7に示す通りとした。
Figure 0007401116000009
図1~6にArtLAAO1を用いたDL-フェニルアラニン及びその誘導体(DL-1a~DL-1f)の光学分割の結果を示す。図1~6に示した通り、ArtLAAO添加(+ArtLAAO)によりL体のピークが消失し、D体に変換されることが判明した。さらに、下記表8にD体及びL体のピーク面積値より算出した鏡像体過剰率(ee)及び収率を示す。DL-フェニルアラニン誘導体のうち、4-アミノ-DL-フェニルアラニン(DL-1g)のee値は88%であり、他の誘導体のee値はいずれも99%を超えていた。また、収率はいずれの化合物も68~85%と高い値を示した。以上の結果より本発明のArtLAAOを用いることにより、動的光学分割法により、DL-フェニルアラニン誘導体を高い光学純度かつ高い収率でD-フェニルアラニン誘導体に変換できることが判明した。
Figure 0007401116000010
[実施例5]
5.人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO1)による動的光学分割(2)
さらに、DL-トリプトファン及びその誘導体、並びにグリシン誘導体について、実施例4と同様の方法にてArtLAAO1を用いた動的光学分割(DKR)を試みた。DL-トリプトファン及びその誘導体、並びにグリシン誘導体として、下記表9に示す8種類の反応原料(DL-2a~DL-2h)を準備し、DKRを行った。DKR及びその結果の分析は実施例4と同様の方法で行った。表9に各化合物のキラルHPLCの分析条件及び保持条件を示す。
Figure 0007401116000011
表10にArtLAAO1を用いたDL-トリプトファン及びその誘導体、並びにグリシン誘導体(DL-2a~DL-2h)の光学分割の結果として、D体及びL体のピーク面積値より算出した鏡像体過剰率(ee)及び収率を示す。DL-7-アザトリプトファン(DL-2g)のee値は86%と若干低いものの、他の誘導体のee値はいずれも99%を超えていた。また、収率はいずれの化合物も69~80%と高い値を示した。以上の結果より本発明のArtLAAOを用いることにより、動的光学分割法により、DL-トリプトファン誘導体等についても、高い光学純度かつ高い収率でD-トリプトファン誘導体等に変換できることが判明した。
Figure 0007401116000012
[実施例6]
6.人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO4)の設計
実施例1~5で得られた人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO1)と同様の機能を有する酵素をさらに得るべく、上述した表1に示すARODホモログ配列に基づいて新たな人工L-アミノ酸オキシダーゼの設計を試みた。
表1に示す6つのARODホモログ配列をマルチプルシーケンスアラインメントソフトウェア(MAFFT)により整列後、系統解析ソフトウェア(MEGA6)を用いて最尤法により系統樹を作成した。これらのデータを祖先配列の確率的再構築のためのソフトウェアであるFastML(http://fastml.tau.ac.il)で解析した。これに基づき、下記表11に示す656アミノ酸のアミノ酸配列(配列番号3)からなる新規な人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO4)を設計した。
Figure 0007401116000013
設計されたArtLAAO4のアミノ酸配列について、データベースに存在する配列との同一性(identity)を確認したところ、上記表1に示すホモログとの同一性が最も高く、その同一性は最も高いもので94.5%であった。しかしながら、ArtLAAO4のアミノ酸配列にはこれら天然のアミノ酸配列には見られない人工的な変異が30残基以上も含まれていた。これにより、新規な配列を有する人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO4)が設計されたことがわかった。
[実施例7]
7.人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO4)の製造
実施例6で得た656残基のアミノ酸からなるArtLAAO4をコードする遺伝子(配列番号4)を人工遺伝子合成により作成した。下記表12にその遺伝子配列を示す。作成したArtLAAO4遺伝子をpET-28bベクター(Novagen社製品)のT7プロモーター下流にクローニングし、ArtLAAO4遺伝子を含む組換えベクターを得た。構築したArtLAAO4発現ベクターを大腸菌BL21(DE3)株に導入して形質転換を行い、ArtLAAO4生産株を得た。
Figure 0007401116000014
得られたArtLAAO4生産株を1LのLB培地に植菌して大量培養を行った。具体的には、37℃の条件で4~6時間程度振とう培養を行い、600nmでのOD値が0.4~0.6に到達した時点でIPTG(イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド)を終濃度0.5mMになるように添加し、ArtLAAO4タンパク質の発現を誘導させた。IPTG添加後は、培養温度を23℃に下げて16時間振とう培養した。培養後の菌体を回収し、菌体から発現したArtLAAO4タンパク質を回収した。上述したArtLAAO1と同程度の量のタンパク質を回収できた。タンパク質の回収は、具体的には、次の方法により行った。培養液を6000×gで10分間遠心分離し、LB液体培地を取り除いた。60mLの20mM Tris-HCl(pH8.0)と10mM NaClを含むバッファーに懸濁後、超音波ホモジナイザーにて細胞を破砕した。この破砕液を11000×gで30分間遠心分離し、上清画分を粗酵素液とした。粗酵素液は直ちにHisTrapTM HPカラム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製品)に吸着させ、30mLのバッファーで洗浄した後、70及び300mMのイミダゾールを含むバッファーを用いて溶出した。各溶出画分についてSDS-PAGEを行い、75kDa付近にバンドを持つ溶出画分を回収した。必要に応じて回収した画分を濃縮し、ゲルろ過クロマトグラフィーカラムであるSuperdex 200 Increase(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製品)を用いて精製を行った。上記表4に示した活性測定用反応液90μLに、回収したArtLAAO4タンパク質を10μL添加してL-アミノ酸オキシダーゼ活性の測定を行い、得られたArtLAAO4がL-アミノ酸オキシダーゼ活性を有することを確認した。
[実施例8]
8.人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO4)の活性測定
20種類のL-アミノ酸について、実施例7で得られた人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO4)の比活性測定を行った。L-アミノ酸オキシダーゼ活性の測定は、上述した実施例3と同様の方法で行った。ArtLAAO4の20種類のL-アミノ酸についての酵素活性測定結果を以下表13に示す。
Figure 0007401116000015
表13に示すように、配列番号3のタンパク質は、11種類の異なるL-アミノ酸に対して活性を示した。よって、実施例7で得られたタンパク質は広くL-アミノ酸を酸化可能な酵素であることが明らかとなった。20種類のL-アミノ酸のうち、特に高い活性を示した6つのL-アミノ酸(L-メチオニン、L-ロイシン、L-フェニルアラニン、L-トリプトファン、L-グルタミン及びL-グルタミン酸)に関して酵素学的パラメータを決定した。結果を以下表14に示す。解析の結果、ArtLAAO4はL-メチオニンに対する酵素効率が最も高いことが明らかとなった。その一方でArtLAAO4はL-フェニルアラニンに対しても高い活性を有することが明らかとなった。以上の結果より、本発明のArtLAAOは基質選択性の広いL-アミノ酸オキシダーゼであることが示された。
Figure 0007401116000016
[実施例9]
9.人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO5)の設計
実施例1~5で得られたArtLAAO1及び実施例6~8で得られたArtLAAO4と同様の機能を有する酵素をさらに得るべく、上述した表1に示すARODホモログ配列に基づいて新たな人工L-アミノ酸オキシダーゼの設計を試みた。
表1に示す6つのARODホモログ配列をマルチプルシーケンスアラインメントソフトウェア(MAFFT)により整列後、系統解析ソフトウェア(MEGA6)を用いて最尤法により系統樹を作成した。これらのデータを祖先配列の確率的再構築のためのソフトウェアであるFastML(http://fastml.tau.ac.il)で解析した。これに基づき、下記表15に示す655アミノ酸のアミノ酸配列(配列番号5)からなる新規な人工L-アミノ酸オキシダーゼ(以下、「ArtLAAO5」という)を設計した。
Figure 0007401116000017
設計されたArtLAAO5のアミノ酸配列について、データベースに存在する配列との同一性(identity)を確認したところ、上記表1に示すホモログとの同一性が最も高く、その同一性は最も高いもので95.4%であった。しかしながら、ArtLAAO5のアミノ酸配列にはこれら天然のアミノ酸配列には見られない人工的な変異が30残基以上も含まれていた。これにより、新規な配列を有する人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO5)が設計されたことがわかった。
[実施例10]
10.人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO5)の製造
実施例9で得た655残基のアミノ酸からなるArtLAAO5をコードする遺伝子(配列番号6)を人工遺伝子合成により作成した。下記表16にその遺伝子配列を示す。作成したArtLAAO5遺伝子をpET-28bベクター(Novagen社製品)のT7プロモーター下流にクローニングし、ArtLAAO5遺伝子を含む組換えベクターを得た。構築したArtLAAO5発現ベクターを大腸菌BL21(DE3)株に導入して形質転換を行い、ArtLAAO5生産株を得た。
Figure 0007401116000018
得られたArtLAAO5生産株を1LのLB培地に植菌して大量培養を行い、実施例7と同様の方法でArtLAAO5タンパク質を回収した。上述したArtLAAO1と同程度の量のタンパク質を回収できた。上記表4に示した活性測定用反応液90μLに、回収したArtLAAO5タンパク質を10μL添加してL-アミノ酸オキシダーゼ活性の測定を行い、得られたArtLAAO5がL-アミノ酸オキシダーゼ活性を有することを確認した。
[実施例11]
11.人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO5)の活性測定
20種類のL-アミノ酸について、実施例10で得られた人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO5)の比活性測定を行った。L-アミノ酸オキシダーゼ活性の測定は、上述した実施例3と同様の方法で行った。ArtLAAO5の20種類のL-アミノ酸についての酵素活性測定結果を以下表17に示す。
Figure 0007401116000019
表17に示すように、配列番号5のタンパク質は、8種類の異なるL-アミノ酸に対して活性を示した。よって、実施例10で得られたタンパク質は広くL-アミノ酸を酸化可能な酵素であることが明らかとなった。20種類のL-アミノ酸のうち、特に高い活性を示した5つのL-アミノ酸(L-メチオニン、L-ロイシン、L-フェニルアラニン、L-グルタミン及びL-グルタミン酸)に関して酵素学的パラメータを決定した。結果を以下表18に示す。解析の結果、ArtLAAO5はL-ロイシンに対する酵素効率が最も高いことが明らかとなった。以上の結果より、本発明のArtLAAOは基質選択性の広いL-アミノ酸オキシダーゼであることが示された。
Figure 0007401116000020
[実施例12]
上述の実施例で得られた3種類の人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO1、ArtLAAO4及びArtLAAO5)について、それぞれの耐熱性及び耐久性を調べた。耐熱性については、次のようにして試験を行った。30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃及び80℃に各々設定したヒートブロックで人工L-アミノ酸オキシダーゼの酵素液を10分間インキュベートし、氷浴した。以下表19に示す活性測定用反応液を調製し、ウォーターバスにて30℃で10分間インキュベートした。この活性測定用反応液を石英セルに90μL量りとり、熱処理後の各酵素液を10μL添加して、反応を開始し、直ちに紫外可視分光光度計(UV-2450、株式会社島津製作所)で505nmの吸光度変化を測定して残存する酵素活性を求めた。結果を図7(A)に示す。
Figure 0007401116000021
他方、耐久性については、次のようにして試験を行った。人工L-アミノ酸オキシダーゼの酵素液を30℃に設定したヒートブロックで1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間及び168時間インキュベートした。表19に示す活性測定用反応液を調製し、ウォーターバスにて30℃で10分間インキュベートした。この活性測定用反応液を石英セルに90μL量りとり、熱処理後の各酵素液を10μL添加して、反応を開始し、直ちに紫外可視分光光度計(UV-2450、株式会社島津製作所)で505nmの吸光度変化を測定して残存する酵素活性を求めた。結果を図7(B)に示す。
これらの結果によれば、ArtLAAO1は30~35℃での加熱処理では酵素活性に影響はないが、40~45℃での加熱処理後には酵素活性が半分程度に減少することが分かった。他方、ArtLAAO4及びArtLAAO5は55℃での加熱処理を行った後も9割程度の酵素活性を維持しており、耐熱性に優れることが分かった。さらに、ArtLAAO1は30℃条件下では数時間で酵素活性が1~2割程度に減少するが、酵素活性自体はそのまま144時間(6日間)程度残存するため、長時間の反応にも耐えられることがわかった。他方、ArtLAAO4及びArtLAAO5は24時間後でも3割程度の酵素活性を維持しており、特にArtLAAO4は168時間後(7日後)でも3割程度の酵素活性を維持し、耐久性に優れることが明らかとなった。
本発明の新規なL-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO)は、組換えタンパク質の大量発現が可能であることから安価かつ大量に生産することができ、さらに、広い基質選択性を有することから、D-アミノ酸又はその誘導体の光学分割に広く利用されるものである。それゆえArtLAAOは医薬品原料や原料中間体の合成等に有用である。
本発明は、上記の実施形態又は実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含むものである。
配列番号1:人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO1)のアミノ酸配列
配列番号2:人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO1)をコードする遺伝子の塩基配列
配列番号3:人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO4)のアミノ酸配列
配列番号4:人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO4)をコードする遺伝子の塩基配列
配列番号5:人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO5)のアミノ酸配列
配列番号6:人工L-アミノ酸オキシダーゼ(ArtLAAO5)をコードする遺伝子の塩基配列

Claims (9)

  1. 下記の(1)~(4)のいずれかのアミノ酸配列からなるタンパク質。
    (1)配列番号1、配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列、
    (2)配列番号1、配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列、
    (3)配列番号1で表わされるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列、又は
    (4)配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列に対して98%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列。
  2. 下記の(5)~(8)のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子。
    (5)配列番号1、配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (6)配列番号1、配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (7)配列番号1で表わされるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、又は
    (8)配列番号3又は配列番号5で表わされるアミノ酸配列に対して98%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、L-アミノ酸オキシダーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質。
  3. 請求項1に記載のタンパク質をコードする遺伝子又は請求項2に記載の遺伝子を含む組換えベクター。
  4. 請求項3に記載の組換えベクターを含む宿主細胞。
  5. L-アミノ酸又はその誘導体に対し、請求項1に記載のタンパク質をL-アミノ酸オキシダーゼとして作用させて、イミノ酸を生じさせる工程と、
    前記イミノ酸に対し、還元剤を作用させる工程と、を有することを特徴とするD-アミノ酸又はその誘導体の製造方法。
  6. L-アミノ酸又はその誘導体に対し、請求項1に記載のタンパク質をL-アミノ酸オキシダーゼとして作用させて、イミノ酸を生じさせる工程と、
    前記イミノ酸を加水分解させる工程と、を有することを特徴とするケト酸の製造方法。
  7. DL-アミノ酸又はその誘導体に対し、請求項1に記載のタンパク質をL-アミノ酸オキシダーゼとして作用させる工程を有することを特徴とする光学分割方法。
  8. 前記DL-アミノ酸又はその誘導体が、DL-フェニルアラニン、DL-トリプトファン、DL-メチオニン、DL-ロイシン、DL-グルタミン、DL-グルタミン酸、DL-チロシン、DL-イソロイシン、DL-アルギニン及びそれらの誘導体からなる群から選択される化合物であることを特徴とする請求項7に記載の光学分割方法。
  9. 前記L-アミノ酸オキシダーゼが前記DL-アミノ酸又はその誘導体に作用することにより生じたイミノ酸に対し、
    アンモニアボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム及びシアノトリヒドロホウ酸ナトリウムからなる群から選択される還元剤を作用させる工程を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の光学分割方法。
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丹羽正純、ほか,祖先型設計法を用いたL‐アルギニン酸化酵素の基質特異性の改変と熱安定化,日本農芸化学会大会講演要旨集,2018年,講演番号:3A25a10

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