JP7400665B2 - アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線の製造方法 - Google Patents

アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、少なくとも一部が単結晶構造を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線の製造方法に関する。
自動車等の用途では、モータおよびワイヤーハーネス等の材料として、金属細線が使用されている。金属細線として、軽量なアルミニウム(合金)細線が検討されている。本明細書において、アルミニウム(合金)は、アルミニウムおよびアルミニウム合金の総称である。
特許文献1には、ワイヤーハーネス等に用いて好適なアルミニウム合金細線が開示されている(請求項1、段落0014等)。
特開2016-041854号公報
従来、シリコンおよびシリコン含有化合物等の半導体では、単結晶の製造方法は公知であるが、アルミニウム(合金)では、単結晶構造の製造方法は知られていない。
特許文献1の試験例1、2では、アルミニウム合金溶湯を用意し、連続鋳造圧延を行ってワイヤーロッド(連続鋳造圧延材)を得、このワイヤーロッドに対して均質化処理および冷間伸線加工を実施して伸線材を得、この伸線材に溶体化処理を施して固溶線材を得、この固溶線材に対して時効処理を施し、アルミニウム合金細線を製造している。
上記のような従来の製造方法で得られるアルミニウム(合金)細線は、多結晶構造を有するものである。例えば、部分的に100μm超または300μm程度の粗大な結晶粒を含む不均一な多結晶構造(特許文献1の段落0012)、または、最大結晶粒径が50μm以下の多結晶構造(特許文献1の請求項1)を有するものである。
自動車等の電動化、高性能化、および高機能化に伴い、多結晶構造よりも高効率な単結晶構造を有するアルミニウム(合金)細線の製造方法が確立されることが好ましい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、少なくとも一部が単結晶構造を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の金属細線の製造方法は、
少なくとも一部が単結晶構造を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線の製造方法であって、
溶湯保持炉内に保持されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる溶湯の表面上に、前記金属細線形成用の貫通孔を有するマスクを設ける工程(S1)と、
前記溶湯内の圧力を高めて、前記貫通孔から、前記溶湯保持炉内の前記マスクより上方の空間部内に前記溶湯を線状に押し出す工程(S2)と、
線状に押し出された前記溶湯を、前記空間部内で徐冷させる工程(S3)とを有する。
本発明によれば、溶湯保持炉内のマスクより上方の空間部内に線状に押し出された溶湯を、そのまま溶湯保持炉内で徐冷させることで、少なくとも一部が単結晶構造を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線を製造することができる。
本発明によれば、既存の溶湯保持炉を用いて、簡易な方法で低コストに、少なくとも一部が単結晶構造を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線を製造することができ、好ましい。
前記マスクとしては、前記溶湯の表面に形成された酸化物含有層に前記貫通孔が形成されたものが好ましい。
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる溶湯の表面に自然にまたは脱ガス処理により形成される酸化物含有層を利用してマスクを形成することにより、簡易に低コストにマスクを用意することができ、好ましい。
工程(S1)においては、前記溶湯内に不活性ガスの気泡を供給する脱ガス処理を行い、前記溶湯の表面に、前記気泡の通過により形成される前記貫通孔を有する前記酸化物含有層を形成することが好ましい。
この方法では、公知の脱ガス装置と不活性ガスを用いて、簡易に低コストに工程(S1)を実施することができ、脱ガス処理による溶湯の清浄化と工程(S1)とを同時に実施することができ、好ましい。
工程(S2)においては、前記溶湯内に不活性ガスの気泡を供給し、当該気泡の供給により前記溶湯内の圧力を高めることが好ましい。
この方法では、簡易に低コストに工程(S2)を実施することができ、好ましい。
不活性ガスの気泡の供給は、公知の脱ガス処理と同様の方法で行うことができる。この方法では、公知の脱ガス装置と不活性ガスを用いて、簡易に低コストに工程(S2)を実施することができ、脱ガス処理による溶湯の清浄化と工程(S2)とを同時に実施することができ、好ましい。
本発明によれば、少なくとも一部が単結晶構造を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線の製造方法を提供することができる。
本発明のアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線の製造方法のフローチャートである。 工程(S1)を示す模式断面図である。 工程(S2)を示す模式断面図である。 脱ガス装置を用いた工程(S1)を示す模式断面図である。 脱ガス装置を用いた工程(S1)を示す模式断面図である。 脱ガス装置を用いた工程(S1)を示す模式断面図である。 脱ガス装置を用いた工程(S2)を示す模式断面図である。 脱ガス装置を用いた工程(S2)を示す模式断面図である。 脱ガス装置を用いた工程(S3)を示す模式断面図である。 実施例1で得られた、貫通孔を有する酸化物含有層からなるマスクと、その上に形成された複数のアルミニウム合金細線とからなる構造体の一例の写真である。 実施例1で得られた試料1~3のアルミニウム合金細線の写真である。 試料1~3のアルミニウム合金細線のSEM断面写真である。 図12Aに示された各断面のIPFマップである。 図10の構造体における、マスクの上端部とマスク上に形成されたアルミニウム合金細線の根元部のSEM断面写真の一例である。 図13Aに示された断面のIPFマップである。
本発明の金属細線の製造方法は、
少なくとも一部が単結晶構造を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線の製造方法であって、
溶湯保持炉内に保持されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる溶湯の表面上に、前記金属細線形成用の貫通孔を有するマスクを設ける工程(S1)と、
前記溶湯内の圧力を高めて、前記貫通孔から、前記溶湯保持炉内の前記マスクより上方の空間部内に前記溶湯を線状に押し出す工程(S2)と、
線状に押し出された前記溶湯を、前記空間部内で徐冷させる工程(S3)とを有する。
図1に、フローチャートを示す。
図2および図3は、本発明のアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線の製造方法を示す模式断面図である。
図2に示すように、工程(S1)では、溶湯保持炉11内に保持された、不純物を含んでいてもよいアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる溶湯21の表面上に、金属細線形成用の貫通孔32を有するマスク30を設ける。図中、符号12は、溶湯保持炉内のマスク30より上方の空間部である。
図3に示すように、工程(S2)では、溶湯保持炉11内に保持された溶湯21内の圧力を高めて、マスク30の貫通孔32から、溶湯保持炉11内のマスク30より上方の空間部12内に溶湯21を線状に押し出す。この工程では、マスク30の位置は、工程(S1)の時点よりも低い位置となる。図中、符号22は、線状に押し出された溶湯である。
工程(S3)では、図3に示す状態を維持し、線状に押し出された溶湯22を、溶湯保持炉11内のマスク30より上方の空間部12内で徐冷させる。
本発明によれば、溶湯保持炉11内のマスク30より上方の空間部12内に線状に押し出された溶湯を、そのまま溶湯保持炉11内で徐冷させることで、少なくとも一部が単結晶構造を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線を製造することができる。
本発明によれば、既存の溶湯保持炉を用いて、簡易な方法で低コストに、少なくとも一部が単結晶構造を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線を製造することができ、好ましい。
本発明では、金属細線の材料として、不純物を含んでいてもよいアルミニウム(純アルミニウムとも言う。)またはアルミニウム合金を用いる。アルミニウム合金は、純アルミニウムよりも、耐衝撃性、屈曲特性、および耐熱性等に優れる傾向があり、好ましい。アルミニウム合金の組成は特に制限されず、例えば、Siを8.5~10.0%質量%含有し、Mgを0.15~0.30質量%含有し、Cu、Fe、Zn、Mn、Ti、Ni、Sn、およびCrからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を任意で微量含有してもよく、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金が好ましい。
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる溶湯21の温度は特に制限されず、好ましくは650~760℃程度、より好ましくは650~680℃程度である。
(工程(S1))
工程(S1)で用いるマスク30としては、金属細線形成用の貫通孔を有するものであれば特に制限されない。例えば、溶湯21の温度に対して耐熱性を有する材料からなる板状部材に公知方法にて貫通孔を形成したものが挙げられる。
マスク30としては、溶湯21の表面に形成された酸化物含有層に貫通孔32が形成されたものが好ましい。
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる溶湯21の表面に自然にまたは脱ガス処理により形成される酸化物含有層を利用してマスク30を形成することにより、簡易に低コストにマスク30を用意することができ、好ましい。
例えば、図4~図6に示すように、溶湯21内に不活性ガスの気泡52を供給する脱ガス処理を行い、溶湯21の表面に、気泡52の通過により形成される貫通孔32を有する酸化物含有層31を形成することができる。不活性ガスとしては特に制限されず、アルゴンガスおよび窒素ガス等が挙げられる。
この方法では、公知の脱ガス装置と不活性ガスを用いて、簡易に低コストに工程(S1)を実施することができ、脱ガス処理による溶湯の清浄化と工程(S1)とを同時に実施することができ、好ましい。
脱ガス装置としては、回転式脱ガス装置が好ましい。回転式脱ガス装置は、高速回転する回転子の先端部から微細な不活性ガスの気泡52を噴出し、溶湯21中に分散させることで、溶湯21中に含まれる水素ガスおよび酸化物等の不純物を除去する装置である。不活性ガスの気泡52は、回転式脱ガス装置の回転子から溶湯21の下部に供給され、溶湯21の表面に向けて上昇し、空間部12に抜けていく。
不活性ガスの気泡52は水素分圧が低いため、溶湯21中の水素ガスが気泡52内に移動し、気泡52と共に浮上することで、溶湯21中の水素ガスが除去される。この水素ガスの除去を「脱ガス」と言う。
酸化物等の不純物は、不活性ガスの気泡52と共に浮上し、酸化物含有層31を形成する。酸化物含有層31は、酸化物およびその他の不純物を含む層である。酸化物含有層31内を気泡52が通過することにより、酸化物含有層31内に貫通孔32が形成される。
脱ガス処理の時間は、マスク30として充分な厚さの酸化物含有層31が形成される時間であればよく、特に制限されない。脱ガス処理の時間は、例えば54時間程度が好ましい。
図4~図6は、回転式脱ガス装置を用いた脱ガス処理により、酸化物含有層31が形成され、この酸化物含有層31内を気泡が通過することで、酸化物含有層31内に貫通孔32が形成される様子を示す模式断面図である。図中、符号51は、回転式脱ガス装置の回転子51である。図6は、部分拡大図である。
(工程(S2))
工程(S2)において、溶湯21内の圧力を高める方法としては、上方からマスク30を押し下げて溶湯21を加圧する方法、および、溶湯21内に気泡を供給して、溶湯21内の圧力を高める方法等が挙げられる。溶湯21にかける圧力は、マスク30の貫通孔32から、空間部12内に溶湯21を線状に押し出すことができれば、特に制限されない。溶湯21にかける圧力は、例えば700~1000Pa程度が好ましい。
溶湯21内に不活性ガスの気泡52を供給し、この気泡52の供給により溶湯21内の圧力を高めることが好ましい。この方法では、簡易に低コストに工程(S2)を実施することができ、好ましい。
不活性ガスの気泡の供給は、工程(S1)と同様、公知の脱ガス処理と同様の方法で行うことができる。この方法では、公知の脱ガス装置と不活性ガスを用いて、簡易に低コストに工程(S2)を実施することができ、脱ガス処理による溶湯21の清浄化と工程(S2)とを同時に実施することができ、好ましい。
図7および図8は、回転式脱ガス装置を用いて、溶湯21内に不活性ガスの気泡52を供給し、この気泡52の供給により溶湯21内の圧力を高め、マスク30の貫通孔32から空間部12内に溶湯21を線状に押し出す様子を示す模式断面図である。これらの図は、図6に対応した部分拡大図であり、図6と同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。
なお、図8では、貫通孔32内に入り込んだ気泡52が、貫通孔32内の溶湯21を線状に押し出している様子が示されているが、気泡52によって押された溶湯21が貫通孔32内の溶湯21を線状に押し出してもよい。すなわち、気泡52は直接的または間接的に貫通孔32内の溶湯21を線状に押し出すことができる。なお、気泡52の供給による溶湯21内の圧力上昇と気泡52の上昇力によって、貫通孔32内の溶湯21が上方に線状に押し出されると考えられる。
(工程(S3))
工程(S3)では、図8に示す状態を維持し、線状に押し出された溶湯22を、溶湯保持炉11内のマスク30より上方の空間部12内で徐冷させる。このようにして、図9に示すように、少なくとも一部が単結晶構造を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線23が得られる。図9は、図6~図8に対応した部分拡大図である。
溶湯保持炉11内の空間部12の温度は、例えば300~600℃程度であり、好ましくは400~500℃程度である。
溶湯保持炉11内の空間部12の上記温度範囲内で徐冷を行うことで、アルミニウムまたはアルミニウム合金の単結晶化が可能であり、少なくとも一部が単結晶構造を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線23を製造することができる。
線状に押し出された溶湯22を空間部12内で保持して徐冷する時間(徐冷時間とも言う。)は、線状に押し出された溶湯22が充分に固化するまでの時間であり、空間部12内の温度に応じて選択される。徐冷時間は、例えば12~18時間程度が好ましい。
工程(S1)において、脱ガス処理により酸化物含有層31を形成する場合、ここで言う徐冷時間は、脱ガス処理により充分な厚さの酸化物含有層31を形成するのに必要な時間(例えば54時間)が経過した後の時間である。例えば、脱ガス装置の起動から工程(S3)の終了まで、66~72時間程度を要する。
以上説明したように、本発明によれば、少なくとも一部が単結晶構造を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線の製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法によれば、少なくとも一部が単結晶構造を有し、例えば20μm~3mm程度の線径を有する金属細線を製造することができる。
本発明に係る実施例について、説明する。
[実施例1]
溶湯保持炉内に保持された650℃程度のアルミニウム合金溶湯(Si:8.5~10.0質量%、Mg:0.15~0.30質量%、Cu:0.2質量%未満、Fe:0.3質量%未満、Zn:0.1質量%未満、Mn:0.5質量%未満、Ti:0.2質量%未満、Ni:0.1質量%未満、Sn:0.1質量%未満、Cr:0.1質量%未満、残部:Al)内に、公知の回転式脱ガス装置を用いて、窒素ガスの気泡を供給した。この脱ガス処理により、溶湯中の水素ガスが除去されると共に、酸化物等の不純物が気泡と共に浮上し、溶湯の表面上に酸化物含有層が形成された。酸化物含有層内を上記気泡が通過することにより、酸化物含有層内に貫通孔が形成され、マスクが形成された(工程(S1))。脱ガス装置を起動してから充分な厚さの酸化物含有層が形成されるまで、54時間を要した。
さらに、回転式脱ガス装置を用いた上記気泡の供給を続けたところ、上記マスクの貫通孔から、溶湯保持炉内のマスクより上方の空間部内に溶湯が線状に押し出された(工程(S2))。気泡の供給によって溶湯にかかる圧力は、700~1000Pa程度であった。気泡の供給による溶湯内の圧力上昇と気泡の上昇力によって、貫通孔内の溶湯が上方に線状に押し出されたと考えられる。
線状に押し出された溶湯を、上記空間部内(450℃程度)で12~18時間程度徐冷させた(工程(S3))。ここで言う徐冷時間は、脱ガスにより充分な厚さの酸化物含有層を形成するのに必要な時間が経過した後の時間である。脱ガス装置の起動から工程(S3)の終了まで、66~72時間を要した。
上記方法により得られた、貫通孔を有する酸化物含有層からなるマスク(30)と、その上に形成された複数のアルミニウム合金細線(23)とからなる構造体の一例の写真を図10に示す。
図10に示した構造体の先端側から、計3本のアルミニウム合金細線を切り取った(試料1~3)。これらの写真を図11に示す。図11に示す各アルミニウム合金細線(試料1~3)について、任意の箇所で切断し、断面観察をした。図11には、切断位置を白破線で示し、白矢印で観察方向を示してある。
図12Aに、各試料の走査型電子顕微鏡(SEM)断面写真を示す。図12Bに、図12Aに示された各断面のIPF(Inverse Pole Figure)マップを示す。図12Aおよび図12Bに示すように、試料1~3は、単結晶構造を有する線径100~200μm程度のアルミニウム合金細線であった。
図10に示した構造体において、マスクの上端部とアルミニウム合金細線の根元部とを切断し、断面観察をした。図10には、切断位置を白破線で示し、白矢印で観察方向を示してある。図13Aに、走査型電子顕微鏡(SEM)断面写真を示す。図13Bに、図13Aに示された断面のIPF(Inverse Pole Figure)マップを示す。図13Aおよび図13Bに示すように、マスクに近いアルミニウム合金細線の根元部は多結晶構造であったが、径方向のサイズが400μm程度、線方向のサイズが2000μm程度の伸長粒が見られ、単結晶構造に近い多結晶構造であった。
本発明の製造方法によれば、少なくとも一部が単結晶構造を有するアルミニウム合金細線を製造できることが確認された。また、マスクに近い根元部分を除けば、単結晶構造を有するアルミニウム合金細線を製造できることが確認された。
本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、適宜設計変更が可能である。
11 溶湯保持炉
12 空間部
21 溶湯
22 線状に押し出された溶湯
23 アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線
30 マスク
31 酸化物含有層
32 貫通孔
51 脱ガス装置の回転子
52 気泡

Claims (4)

  1. 少なくとも一部が単結晶構造を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属細線の製造方法であって、
    溶湯保持炉内に保持されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる溶湯内に不活性ガスの気泡を供給する脱ガス処理を行って、前記溶湯の表面上に酸化物含有層を形成する工程(S1-1)と、
    さらに前記脱ガス処理を続け、前記酸化物含有層内に前記気泡を通過させて複数の気泡通過孔を形成する工程(S1-2)と、
    さらに前記脱ガス処理を続け、前記気泡の供給による前記溶湯内の圧力上昇によって、前記複数の気泡通過孔から、前記溶湯保持炉内の前記酸化物含有層より上方の空間部内に前記溶湯を線状に押し出す工程(S2)と、
    線状に押し出された前記溶湯を、前記空間部内で徐冷させる工程(S3)とを有する、金属細線の製造方法。
  2. 前記金属細線の線径は、20μm~3mmである、請求項1に記載の金属細線の製造方法。
  3. 工程(S1-1)において、前記金属細線の線径より厚い前記酸化物含有層を形成する、請求項1または2に記載の金属細線の製造方法。
  4. 工程(S2)において、前記気泡の供給によって前記溶湯にかける圧力は、700~1000Paである、請求項1~3のいずれか1項に記載の金属細線の製造方法。
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