JP7399746B2 - 車両用ルームミラー - Google Patents

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本発明は、車両の室内に設置されるルームミラーに関する。
昨今、車両の室内に設置されるルームミラーについて、鏡状態、防眩状態、画像表示状態の3つの機能を備えることが期待されている。これについて、例えば特許第4348061号公報に記載されている「画像表示状態と鏡状態とを切り替え可能な装置」を用いることで、上記3つの機能を備えたルームミラーを実現できると考えられる。
ところで、上記のようにしてルームミラーを構成する場合に、画像表示部の電極端子部などを隠して全面を鏡状態にできるようにするには、例えば透過偏光軸可変部の前面にガラス板を配置し、その前面のガラス板に電極端子部などを隠すための枠状鏡面部を設けることが考えられる。この枠状鏡面部は、鏡面が得られる金属膜などを用いて形成することができる。しかし、この方法では、前面のガラス板に設けた枠状鏡面部による視認可能な影が透過偏光軸可変部の上面に生じてしまうので、ルームミラーの全面を鏡状態としたことによるデザイン性を損なうことになる。
特許第4348061号公報
本発明に係る具体的態様は、デザイン性を高めることが可能な車両用ルームミラーを提供することを目的の1つとする。
本発明に係る一態様の車両用ルームミラーは、(a)少なくとも鏡状態と画像表示状態とを切り替え可能な車両用ルームミラーであって、(b)画像表示部と、(c)前記画像表示部の前面側に配置される透過偏光軸可変部と、(d)透光性を有しており前記透過偏光軸可変部の前面側に配置される前面保護部と、を含み、(e)前記透過偏光軸可変部と前記前面保護部との間には、前記透過偏光軸可変部の光出射面の外縁第1枠状鏡面部が設けられており、(f)前記透過偏光軸可変部の内部には、前記第1枠状鏡面部と平面視において重なる範囲に第2枠状鏡面部が設けられており、(g)平面視における前記第1枠状鏡面部の幅よりも前記第2枠状鏡面部の幅のほうが大きく設定され、かつ前記第2枠状鏡面部の一端が前記第1枠状鏡面部の一端よりも前記透過偏光軸可変部の光出射面の外縁からより遠い位置まで設けられており、(h)前記透過偏光軸可変部は、前記第2枠状鏡面部よりも前記画像表示部に近い側であって当該画像表示部の直前に配置される透過反射偏光板を有する、車両用ルームミラーである。
上記構成によれば、全面を鏡状態とすることが可能な車両用ルームミラーにおけるデザイン性を高めることができる。
図1は、第1実施形態の車両用ルームミラーの構成を概略的に示す分解斜視図である。 図2は、第1実施形態の車両用ルームミラーの構成を示す模式的な断面図である。 図3は、第2実施形態の車両用ルームミラーの構成を概略的に示す分解斜視図である。 図4は、第2実施形態の車両用ルームミラーの構成を示す模式的な断面図である。 図5は、第3実施形態の車両用ルームミラーの構成を示す模式的な断面図である。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の車両用ルームミラーの構成を概略的に示す分解斜視図である。また、図2は、車両用ルームミラーの構成を示す模式的な断面図である。図1に示すように車両用ルームミラーは、画像表示部1と、透過偏光軸可変部2と、前面ガラス板(前面保護部)3を含んで構成されている。画像表示部1は、図示しないコントローラ等からの制御信号を受けて種々の画像を表示するものであり、例えば液晶表示装置や有機EL表示装置などである。透過偏光軸可変部2は、画像表示部1の前面に配置され、透過光の偏光軸を可変に設定するものである。画像表示部1や透過偏光軸可変部2の基本的な構成は上記した特許第4348061号公報に記載されているものと同様である。前面ガラス板3は、透過偏光軸可変部2の前面に配置される保護用のガラス板である。
各図に示すように透過偏光軸可変部2は、透過反射偏光板21、下基板22、上基板23、透過吸収偏光板24を含み、下基板22と上基板23との間に枠状鏡面部(第2枠状鏡面部)25、液晶層26を挟んで構成されている。また、前面ガラス3は、枠状鏡面部(第1枠状鏡面部)31を含んで構成されている。
透過反射偏光板21は、予め定めた方向の直線偏光成分を透過し、それと直交する直線偏光成分を反射する部材である。
下基板22と上基板23は、例えばガラス基板などの透明基板であり、対向配置されている。これら下基板22と上基板23の間には枠状鏡面部25と液晶層26が配置されている。下基板22と上基板23の各々には、液晶層26と接する面に図示しない電極が設けられており、当該電極によって液晶層26へ電界を与えることにより、入射光が透過する際の偏光軸を変化させる状態と偏光軸を変化させない状態とを電気的に切り替えることができる。
透過吸収偏光板24は、予め定めた方向の直線偏光成分を透過し、それと直交する方向の直線偏光成分を吸収する部材である。
枠状鏡面部25(第2枠状鏡面部に相当)は、上基板23の一面(下基板22と対向する面)においてその外縁から所定範囲に枠状に設けられている。この枠状鏡面部25は、鏡面が得られる金属膜(例えば、Cr膜ないしCr合金膜、Ag膜ないしAg合金膜、Al膜ないしAl合金膜など)を用いて形成されている。なお、この枠状鏡面部25の下基板22側には液晶層26を囲むシール材(図示省略)が設けられるので、シール材との密着性を向上させるために枠状鏡面部25の下基板22側にITO(インジウム錫酸化物)膜などを設けることも好ましい。なお、枠状鏡面部25は、下基板22の一面に設けられてもよい。
枠状鏡面部31(第1枠状鏡面部に相当)は、前面ガラス3の一面(透過吸収偏光板24と対向する面)においてその外縁から所定範囲に枠状に設けられている。この枠状鏡面部31は、鏡面が得られる金属膜(例えば、Cr膜ないしCr合金膜、Ag膜ないしAg合金膜、Al膜ないしAl合金膜など)を用いて形成されている。
上記のような構成により、第1実施形態の車両用ルームミラーでは、透過偏光軸可変部2を動作させることにより、鏡状態、防眩状態、画像表示状態の3つの機能を実現することができる。具体的には、透過偏光軸可変部2と画像表示部1の双方をオフとすることで鏡状態とすることができ、透過偏光軸可変部2と画像表示部1の双方をオンとすることで画像表示状態とすることができ、透過偏光軸可変部2をオン、画像表示部1をオフとすることで防眩状態とすることができる。
次に、第1実施形態の車両用ルームミラーによるデザイン性向上の原理について図2を参照しながら説明する。図2に示すように第1実施形態の車両用ルームミラーでは、図中上側からの平面視において、枠状鏡面部25の幅(図中左右方向の長さ)を枠状鏡面部31の幅(図中左右方向の長さ)よりも大きく設定されており、かつ平面視において重なるように配置されている。図示の例では、枠状鏡面部25の幅は枠状況面部31の幅に対して概ね2倍以上となっている。また、枠状鏡面部25の一端が枠状鏡面部31の一端よりも透過偏光軸可変部2の光出射面(図示の例では上基板23の前面ガラス板3と対向する面)の外縁からより遠い位置まで設けられている。このようにすることで、図中に外光の入射から反射までの経路を示すように外光により生じる影を枠状鏡面部31により生じる影と枠状鏡面部25により生じる影に分離することができる。それにより、それぞれの影の幅をより狭くすることができるので、ユーザが視認する際に目立ちにくくすることができるので、車両用ルームミラーのデザイン性を向上させることができる。
具体的には、例えば下基板22の厚さが0.7mm、上基板23と透過吸収偏光板24を合わせた厚さが0.9mm、下基板22および上基板23の屈折率が1.51、外光の入射角度(上基板23の法線方向に対する角度)が15°であるとすると、枠状鏡面部31により生じる影の幅L1は約0.3mm、枠状鏡面部25により生じる影の幅L2は約0.24mmとなる。このように、それぞれの影がより細いものとなるので視認時に目立ちにくくなる。なお、枠状鏡面部25および枠状鏡面部31の幅は、車両用ルームミラーとしての機能性とデザイン性を考慮して適宜設定されるが、概ね3mmから20mmの間、または車両用ルームミラーの横方向の長さに対して1%から8%の間とすることが好適である。
なお、下基板22と上基板23の厚さをさらに薄く(例えば0.3mm)とすれば、影の幅L1、L2を0.1mm程度まで細くすることができる。この場合、外光の入射角度を20°と想定しても各影の幅は約0.13mmとなり、外光の入射角度を25°と想定しても各影の幅は約0.15mmとなる。それにより、デザイン性を一層向上させることができる。なお、下基板22と上基板23をより薄くする方法としては、研磨材で研磨する方法やフッ酸等の薬剤でエッチングする方法などがある。
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態の車両用ルームミラーの構成を概略的に示す分解斜視図である。また、図4は、車両用ルームミラーの構成を示す模式的な断面図である。第2実施形態の車両用ルームミラーの構成は基本的に上記した第1実施形態の車両用ルームミラーと共通である。相違点は、第1実施形態では前面ガラス板3に設けられていた枠状鏡面部31が透過偏光軸可変部2に設けられた点のみである。具体的には、枠状鏡面部31aは、透過偏光軸可変部2の上基板23の前面側(前面ガラス板3と対向する側)に設けられている。
次に、第2実施形態の車両用ルームミラーによるデザイン性向上の原理について図4を参照しながら説明する。図4に外光の入射から反射までの経路を示すように外光により生じる影を枠状鏡面部31aにより生じる影と枠状鏡面部25により生じる影に分離することができる。それにより、それぞれの影の幅をより狭くすることができるので、ユーザが視認する際に目立ちにくくすることができるので、車両用ルームミラーのデザイン性を向上させることができる。
具体的には、例えば上記した第1実施形態と同条件、すなわち下基板22の厚さが0.7mm、上基板23と透過吸収偏光板24を合わせた厚さが0.9mm、下基板22および上基板23の屈折率が1.51、外光の入射角度(上基板23の法線方向に対する角度)が15°であるとすると、枠状鏡面部31により生じる影の幅L1は約0.24mm、枠状鏡面部25により生じる影の幅L2は約0.24mmとなる。このように、それぞれの影がより細いものとなるので視認時に目立ちにくくなる。また、第2実施形態の車両用ルームミラーでは、枠状鏡面部25、枠状鏡面部31a、透過反射偏光板21の各々による反射光がすべて透過吸収偏光板24を透過するため、それぞれの反射率、反射光の色味の差がより少なくなる。それにより、車両用ルームミラーを前面側から視認した際のデザイン性がさらに向上する。また、上記第1実施形態でも説明したように、下基板22と上基板23の厚さをより薄くすればより一層デザイン性を向上させることができる。
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態の車両用ルームミラーの構成を示す模式的な断面図である。第3実施形態の車両用ルームミラーの構成は基本的に上記した第2実施形態の車両用ルームミラーと共通である。相違点は、第2実施形態では設けられていた枠状鏡面部25が省略された点のみである。
次に、第3実施形態の車両用ルームミラーによるデザイン性向上の原理について図5を参照しながら説明する。図5に外光の入射から反射までの経路を示すように外光により生じる影は、枠状鏡面部31により生じる影のみとなる。このとき、例えば下基板22と上基板23の厚さをそれぞれ0.15mm(又はそれ以下)にしたとすると、外光の入射角度(上基板23の法線方向に対する角度)が15°であるときに枠状鏡面部31aにより生じる影の幅L1は約0.1mmとなる。また、外光の入射角度を20°と想定しても影の幅L1は約0.13mm、外光の入射角度を25°と想定しても影の幅L1は約0.15mmとなる。このように、影がより細いものとなるので視認時に目立ちにくくなる。なお、下基板22と上基板23をより薄くする方法としては、上記の通り、研磨材で研磨する方法やフッ酸等の薬剤でエッチングする方法などがある。また、第3実施形態では、枠状況面部25を不要となることから、コスト低減の効果が得られる。
なお、本発明は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。
1:画像表示部、2:透過偏光軸可変部、前面ガラス板3、21:透過反射偏光板、22:下基板、23:上基板、24:透過吸収偏光板、25:枠状鏡面部、26:液晶層26、31、31a:枠状鏡面部

Claims (4)

  1. 少なくとも鏡状態と画像表示状態とを切り替え可能な車両用ルームミラーであって、
    画像表示部と、
    前記画像表示部の前面側に配置される透過偏光軸可変部と、
    透光性を有しており前記透過偏光軸可変部の前面側に配置される前面保護部と、
    を含み、
    前記透過偏光軸可変部と前記前面保護部との間には、前記透過偏光軸可変部の光出射面の外縁に第1枠状鏡面部が設けられており、
    前記透過偏光軸可変部の内部には、前記第1枠状鏡面部と平面視において重なる範囲に第2枠状鏡面部が設けられており、
    平面視における前記第1枠状鏡面部の幅よりも前記第2枠状鏡面部の幅のほうが大きく設定され、かつ前記第2枠状鏡面部の一端が前記第1枠状鏡面部の一端よりも前記透過偏光軸可変部の光出射面の外縁からより遠い位置まで設けられており、
    前記透過偏光軸可変部は、前記第2枠状鏡面部よりも前記画像表示部に近い側であって当該画像表示部の直前に配置される透過反射偏光板を有する、
    車両用ルームミラー。
  2. 前記第1枠状鏡面部は、前記前面保護部の前記透過偏光軸可変部と向かい合う一面に設けられている、
    請求項1に記載の車両用ルームミラー。
  3. 前記第1枠状鏡面部は、前記透過偏光軸可変部の前記前面保護部と向かい合う一面に設けられている、
    請求項1に記載の車両用ルームミラー。
  4. 前記第1枠状鏡面部の幅に対して前記第2枠状鏡面部の幅が2倍以上である、
    請求項1~3の何れか1項に記載の車両用ルームミラー。
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