JP7396537B1 - 顔料組成物、化粧料、インキ、塗料、トナー、及び成形物 - Google Patents

顔料組成物、化粧料、インキ、塗料、トナー、及び成形物 Download PDF

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Abstract

本発明が解決しようとする課題は、例えば化粧料に使用した際の滑りが良く、光沢のある外観を有する顔料組成物、およびこれを含む化粧料、インキ、塗料、トナー、又は成形物を提供することにある。本発明の顔料組成物は、ラウロイルリシンで被覆した無機顔料であり、水に対する接触角が95度以上であり、且つ被覆前後の窒素比表面積比が0.70以下である。また、本発明の顔料組成物は、ラウロイルリシンで被覆した有機顔料であり、水に対する接触角が95度以上であり、且つ被覆前後の窒素比表面積比が0.90以下である。本発明の化粧料、インキ、塗料、トナー、又は成形物は、前記の顔料組成物を含む。

Description

本発明は、顔料組成物及びそれを含む化粧料、インキ、塗料、トナー、又は成形物に関する。
日焼け止めや化粧下地、ファンデーションといったベースメークアップ化粧料、口紅やアイライン、チーク、ネイルといったポイントメークアップ化粧料では、皮膚に塗布して得られる仕上がり感を高めるため、肌に塗布した際の伸びが求められる。しかしながら、上記化粧料は、顔料成分として微粒子酸化チタン等の無機系顔料や染料をレーキさせた有機系顔料が使用されるが、粒子の表面が親水性であるため、油である化粧料への分散性が低く、肌に塗布した際の伸びが悪くなり、色ムラの原因となることがある。そのため、化粧料に用いる顔料には、油への馴染みが良いこと、皮膚に塗布した際の滑りが良いこと、光沢などの外観が良いことといった性能を併せ持つように表面処理されることが求められている。
化粧料に用いる顔料としては、顔料表面に機能性をもつ物質を被覆させたものが知られている。このような被覆顔料としては、例えば、炭素数8ないし22の脂肪族アシル基を分子中に1個有するN-モノ長鎖アシル塩基性アミノ酸によって表面処理された無機顔料を含有することを特徴とする化粧料が知られている(特許文献1)。また、特定のNε-アシルリジンを無機顔料表面に被覆させた無機充填剤用表面改質剤が知られている(特許文献2)。
特開昭61-214257号公報 特開昭60-67565号公報
特許文献1や2に記載の被覆顔料や改質剤では、表面凹凸が大きく、例えば化粧料に使用した際の滑りが悪く、光沢などの外観が悪いことが分かった(本願比較例1参照)。また、特許文献2のN-アシルリジンを被覆した無機充填剤用表面改質剤は、効果として有機溶剤への分散状態のみしか記載されておらず、疎水化度や色相への効果、触り心地については明示されていない。そのため、例えば化粧料に使用した際の滑りが良く、光沢のある外観を有する被覆顔料が求められている。
本発明は、上記被覆顔料における課題を解決し、例えば化粧料に使用した際の滑りが良く、光沢のある外観を有する顔料組成物、およびこれを含む化粧料、インキ、塗料、トナー、又は成形物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ラウロイルリシンを被覆した無機または有機顔料における表面の接触角を一定以上とし、且つ被覆前後の窒素比表面積比を一定以下とすることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
『項1. ラウロイルリシンで被覆した無機顔料であり、水に対する接触角が95度以上であり、且つ被覆前後の窒素比表面積比が0.70以下である顔料組成物。
項2. ラウロイルリシンで被覆した有機顔料であり、水に対する接触角が95度以上であり、且つ被覆前後の窒素比表面積比が0.90以下である顔料組成物。
項3. 前記無機顔料が、金属及び/又は金属酸化物である項1に記載の顔料組成物。
項4. 前記金属酸化物が、酸化チタン及び酸化鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である項3に記載の顔料組成物。
項5. 前記有機顔料が、青色1号、赤色202号及び黄色4号から選ばれる少なくとも1種以上である項2に記載の顔料組成物。
項6. 項1~5のいずれか1項に記載の顔料組成物を含む、化粧料、インキ、塗料、トナー、又は成形物。』に関する。
本発明の顔料組成物は、塗布物における触り心地が良く滑らかであり、光沢が高い。そのため、化粧料、特に日焼け止めや化粧下地、ファンデーションといったベースメークアップ化粧料、口紅やアイライン、チーク、ネイルといったポイントメークアップ化粧料への用途に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[顔料組成物]
本発明の顔料組成物は、粒子表面にラウロイルリシンで被覆した無機または有機顔料であり、水に対する接触角が95度以上である。更に、ラウロイルリシンで被覆した無機顔料の被覆前後の窒素比表面積比が0.70以下であり、ラウロイルリシンで被覆した有機顔料の被覆前後の窒素比表面積比が0.90以下である。本発明において「被覆」とは、粒子表面が完全に覆われていることのみを意味するのではなく、表面の一部のみが覆われている場合(例えば「付着」)も含むこととする。また、「被覆前後の窒素比表面積比」とは、ラウロイルリシン被覆処理前の顔料に対する被覆処理後の窒素比表面積比(被覆処理後/被覆処理前;BET(窒素)未処理比)である。
本発明の顔料組成物は、無機顔料の場合、水に対する接触角が好ましくは105度以上、より好ましくは110度以上、さらに好ましくは115度以上である。また、有機顔料の場合、水に対する接触角が好ましくは95度以上、より好ましくは100度以上である。上記のように接触角が一定以上であることより、塗布物における触り心地が良く滑らかであり、光沢が高くなる。本発明の顔料組成物は、無機顔料であっても有機顔料であっても95度以上であれば効果を奏するが、無機顔料は有機顔料と比べ、より高い接触角、より低い被覆前後の窒素比表面積比が必要である。これは、一般的に無機顔料は有機顔料よりも親水性が強いため、化粧料等の油への分散性を向上させ性能を発揮するためには有機顔料以上にラウロイルリシンによる顔料表面の改質が必要であるためと考えられる。水に対する接触角は、顔料タブレットに1.0μLの水を滴下し、1.0秒後の接触角を接触角計で測定することにより求めることができる(液滴法)。
本発明の顔料組成物は、無機顔料の場合、被覆前後の窒素比表面積比が好ましくは0.75以下、より好ましくは0.70以下である。また、また、有機顔料の場合、被覆前後の窒素比表面積比が好ましくは0.95以下、より好ましくは0.90以下である。上記のように窒素比表面積比が一定以下であることより、塗布物における触り心地が良く滑らかであり、光沢が高くなる。窒素比表面積比は、ガス吸着測定装置を用いて被覆処理前後の窒素比表面積(ガス吸着BET)を求め、被覆処理後/被覆処理前(BET(窒素)未処理比)を算出することで求めることができる。
本発明の顔料組成物は、ガス吸着法による水蒸気・窒素比表面積比は、例えば0.1~0.9、好ましくは0.4~0.9、より好ましくは0.6~0.8である。この比表面積比が上記範囲であると、塗布物における触り心地が良く滑らかであり、光沢が高くなる。水蒸気・窒素比表面積比も、ガス吸着測定装置を用いて水蒸気と窒素それぞれの比表面積(ガス吸着BET)を求め、水蒸気比表面積/窒素比表面積を算出することで求めることができる。また、水蒸気比表面積は、例えば1~300m2/g、好ましくは1~150m2/gであり、窒素比表面積は、例えば1~300m2/g、好ましくは1~150m2/gである。
本発明の顔料組成物の一次粒子径は、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.001~0.8μm、さらに好ましくは0.005~0.6μmである。一次粒子径が上記範囲であると、塗布物における触り心地が良く滑らかであり、光沢が良い。また、本発明の顔料組成物が凝集して二次粒子を形成している場合、その粒子径は、好ましくは0.005~2.0μm、より好ましくは0.01~1.0μmである。
(無機顔料)
本発明の顔料組成物は、無機顔料が、金属及び/又は金属酸化物であることが好ましい。上記金属としては、例えば、ケイ素(Si)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)が挙げられる。また、上記金属酸化物としては、上記で挙げた金属の酸化物、例えば酸化チタン、酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、アルミナが挙げられる。本発明の顔料組成物では、上記の金属あるいは金属酸化物が、酸化チタン及び酸化鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。酸化チタン及び酸化鉄であることにより、塗布物における触り心地が良く滑らかであり、光沢が高いという効果をより一層発揮することができる。これらの金属あるいは金属酸化物は、1種を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
(有機顔料)
本発明の顔料組成物における有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系などの顔料が挙げられ、例えば、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色223号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号、C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4 、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114 、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284 、285、286、287、291、295、296、C.I.Pigment Blue 1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、192、193、194、196、198、199、213、214、C.I. Pigment Violet 1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50、C.I.Pigment Green 1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、37、45、48、50、51、54、55、58、59が挙げられる。なかでも有機顔料としては、例えばブリリアントブルーFCF(青色1号)、リソールルビンBCA(赤色202号)及びタートラジン(黄色4号)から選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。これらの有機顔料は、1種を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。また、本発明における無機または有機顔料は、上述の金属あるいは金属酸化物、有機顔料を複合的に組み合わせたものであってもよい。
上記無機または有機顔料の粒子の大きさとしては、直径が例えば0.001~1.0μm、好ましくは0.005~0.6μmである。
上記無機または有機顔料の含有量は、顔料組成物全量に対して、例えば15~98質量%、好ましくは30~95質量%である。無機または有機顔料の割合が上記範囲であると、塗布物における触り心地が良く滑らかであり、光沢が良い。
本発明の顔料組成物は、ラウロイルリシンで被覆した無機または有機顔料であるが、ラウロイルリシン以外のアミノ酸を合わせて使用してもよい。このようなものとしては、N-アシルアミノ酸が好ましい。
上記N-アシルアミノ酸としては、例えばココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸メチルアラニンナトリウム等のアシルN-メチルアミノ酸塩;ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、ココイルアラニントリエタノールアミンが挙げられる。これらのN-アシルアミノ酸は、1種を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
本発明の顔料組成物におけるラウロイルリシンの含有量は、上記無機または有機顔料100質量部に対して、例えば0.5~10質量部、好ましくは1~5質量部が好ましい。また、ラウロイルリシンの含有量は、顔料組成物全量に対して、例えば0.5~8質量%、好ましくは1~5質量%である。ラウロイルリシンの割合が上記範囲であると、塗布物における触り心地が良く滑らかであり、光沢が良い。また、本発明の顔料組成物におけるラウロイルリシンを含むアミノ酸の含有量は、顔料組成物全量に対して、例えば1.0~10質量%、好ましくは2.0~8質量%である。
(その他の成分)
本発明の顔料組成物は、上述の無機または有機顔料、ラウロイルリシンを含むアミノ酸以外に、その他の成分として、無機粉体や有機粉体などを含んでいてもよい。このような無機粉体としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、セリサイト、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、シリカが挙げられる。
また、上記有機粉体としては、例えば、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、ナイロンパウダー(12ナイロン、6ナイロン)、スチレンアクリル酸共重合体パウダー、ジビニルベンゼンスチレン共重合体パウダー、ビニル樹脂パウダー、尿素樹脂パウダー、フェノール樹脂パウダー、フッ素樹脂パウダー、ケイ素樹脂パウダー、アクリル樹脂パウダー、メラミン樹脂パウダー、エポキシ樹脂パウダー、ポリカーボネイト樹脂パウダー、微結晶繊維粉体パウダー、コメデンプンが挙げられる。上記の有機粉体及び無機粉体を使用する場合、これらの含有量は、顔料組成物全量に対して例えば0.1~85質量%、好ましくは0.5~50質量%である。
[顔料組成物の製造方法]
顔料組成物の製造方法は、無機または有機顔料の表面にラウロイルリシンを被覆させる方法として、例えば、湿式法、気相法、固相法を用いることができる。湿式法は、無機または有機顔料とラウロイルリシンを含む溶剤中で、無機または有機顔料の表面にラウロイルリシンを化学吸着させる方法であり、気相法は、ラウロイルリシンの昇華により無機または有機顔料の表面に被覆させる方法であり、固相法は、乾式複合化装置などを用いて、無機または有機顔料の表面にラウロイルリシンを物理的固着させる方法である。本発明の顔料組成物では、より良い顔料組成物が得られる点で、なかでも固相法が好ましい。なお、上記製造方法においては、吸着剤を用いても良い。
固相法を用いた方法は、例えば、無機または有機顔料とラウロイルリシンをプレミックスして均一に存在するようにした後、乾式粒子複合化装置などを用いて無機または有機顔料とラウロイルリシンを攪拌することにより圧縮、せん断、衝撃を加え、ラウロイルリシンを無機または有機顔料の表面に延伸して固着させる方法である。
乾式粒子複合化装置としては、製品名「ノビルタ(登録商標)NOB」(ホソカワミクロン株式会社製)を好ましく使用することができる。乾式粒子複合化装置における攪拌周速は、例えば5~20m/秒、好ましくは10~20m/秒(例えば1000~5000rpm、好ましくは2000~4000rpm)。攪拌処理時間は、例えば1~10分、好ましくは2~5分である。ラウロイルリシンの配合量は、上記無機または有機顔料100質量部に対して、例えば0.5~10質量部程度である。
[化粧料、インキ、塗料、トナー、又は成形物]
本発明における化粧料、インキ、塗料、トナー、又は成形物は、本発明の顔料組成物を含む限り特に制限されない。本発明の顔料組成物以外の成分は、適宜それぞれの用途・目的に適した一般的な成分を配合することができる。
上記化粧料としては、その種類として、例えば、ファンデーション(フェイスカラー、コンシーラーなど)、化粧下地(メークアップベース、プレメークアップなど)、おしろい(フェイスパウダー)、口紅(リップスティック、リップルージュ、リップカラー、リップペンシル、練紅、リップグロス、リップライナーなど)、アイメークアップ(アイシャドウ、アイカラー、アイライナー、眉墨、アイブローペンシル、アイブローブラッシュ、マスカラ、まつげ化粧料など)、頬化粧料(頬紅、チークカラー、チークルージュなど)、爪化粧料(ネイルエナメル、マニキュア、ネイルカラー、ネイルポリッシュ、ペディキュア、ネイルラッカー、トップコート、ベースコートなど)、毛髪着色料(染毛料、ヘアカラースプレー、ヘアカラースティック、カラーリンス、ヘアマニキュアなど)が挙げられる。
上記化粧料においては、本発明の顔料組成物以外に、粒子を分散安定化させる目的で油性基剤を含むことが好ましい。このような油性基剤としては、例えば常温(25℃)で固体のワックス類や液体の液状油性成分が挙げられる。
上記ワックス類としては、例えば、キャンデリラロウ、カルナバロウ、ライスワックス、木ロウ、サンフラワーワックス等の植物系ワックス、ミツロウ等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物系ワックス、固形パラフィン等の石油系ワックス、シリコーンワックス、合成ミツロウ等の合成ワックスが挙げられる。
上記液状油性成分としては、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、カニバラ果実油、カカオ脂、ラノリン等の植物系油;馬油、タートル油、イノシシ油、ミンク油、サメ油などの動物系油;ワセリン、流動パラフィン、イソデカン、イソドデカン、オクチルドデシル、リンゴ酸ジシソステアリル、水添ポリイソブテン等の炭化水素系油;イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソトリデシル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、オクチルドデカノール、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン等のシリコーン油;ダイマー酸エステル、ダイマージオール誘導体、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル等が挙げられる。上記のワックス類や液状油性成分を使用する場合、これらの含有量は、顔料組成物100質量部に対して例えば0.1~10質量部、好ましくは0.5~5質量部である。
上記インキは、特に印刷インキとして、例えば、平版(オフセット)インキ、凸版インキ、凹版(グラビア)インキ、孔版(スクリーン)インキ、フレキソインキ、UV硬化インキ、水性インキ、油性インキ、植物油インキ、新聞インキ、インクジェット用インキが挙げられる。
上記塗料としては、例えば、粉体塗料、水性(水系)塗料、エポキシ樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料、メラミン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料等の合成樹脂塗料が挙げられる。
上記トナーは、レーザープリンター及び複写機で使用される、帯電性を持ったプラスチック粒子に色粒子を付着させたミクロサイズの粉であり、本発明の顔料組成物は、色粒子として使用できる。
上記成形物は、本発明の顔料組成物をプラスチック着色剤として含む樹脂を用いて成形されたものである。プラスチック着色剤としては、マスターバッチ(MB)、着色ペレット・着色コンパウンド、ドライカラー、ペーストカラー・リキッドマスターバッチなどの形態があるがいずれであってもよい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本実施例の記載で「部」とは「質量部」を意味する。以下の方法で実施例1-5及び比較例1-12の顔料を作製または用意した。そして、これらについて接触角、BET比表面積、MIU、及び光沢の測定を行った。無機顔料を用いたときの評価結果を表1、有機顔料を用いたときの評価結果を表2に示す。
[実施例1]
市販の酸化チタン顔料粒子(C47-060、Sun Chemical製)28.5部と市販のラウロイルリシン(アミホープLL、味の素製)1.5部をプレミックスする。続いて、乾式粒子複合化装置(ノビルタ(登録商標)、ホソカワミクロン(株)製)(Φ=86mmブレードを使用)を用いて、5000rpmで5分間処理後、取り出して被覆顔料(1)を得た。
[実施例2]
実施例1における酸化チタン顔料粒子を酸化鉄顔料粒子(C33-8001、Sun Chemical製)に変更し、乾式粒子複合化装置の回転数を5500rpmに変更した以外は実施例1と同様に行い、被覆顔料(2)を得た。
[実施例3]
実施例1で酸化チタン顔料粒子を青色1号(C39-7733、Sun Chemical製)に変更した以外は実施例1と同様に行い、被覆顔料(3)を得た。
[比較例1]
市販の酸化チタン顔料粒子(C47-060、Sun Chemical製)5.0部と市販のラウロイルリシン(アミホープ(登録商標)LL、味の素(株)製)0.36部、塩化カルシウム2.5部、エタノール118.75部、水6.25部の割合で配合し、ペイントコンディショナーで2時間振とうさせた。振とう後、十分量の水でろ過水洗し、塩化カルシウムを除去することで酸化チタン粒子にラウロイルリシンを被覆させた顔料組成物のウェットケーキを得た。その後、このウェットケーキを乾燥、粉砕し、被覆顔料(4)を得た。
[比較例2]
市販の酸化チタン顔料粒子(C47-060、Sun Chemical製)28.5部と市販のラウロイルリシン(アミホープ(登録商標)LL、味の素(株)製)1.5部を配合することで配合顔料(5)を得た。
[比較例3]
市販の酸化チタン顔料粒子(C47-060、Sun Chemical製)を評価した。
[比較例4]
比較例2で酸化チタン顔料粒子を酸化鉄顔料粒子(C33-8001、Sun Chemical製)に変更した以外は比較例2と同様に行い、配合顔料(6)を得た。
[比較例5]
市販の酸化鉄顔料粒子(C33-8001、Sun Chemical製)を評価した。
[比較例6]
比較例2で酸化チタン顔料粒子を青色1号(C39-7733、Sun Chemical製)に変更した以外は比較例2と同様に行い、配合顔料(7)を得た。
[比較例7]
市販の青色1号(C39-7733、Sun Chemical製)を評価した。
[比較例8]
比較例1で酸化チタン顔料粒子を青色1号(C39-7733、Sun Chemical製))に変更した以外は比較例1と同様に行ったが、青色1号が溶解してしまい、被覆顔料が得られなかった。
[比較例9]
市販の酸化チタン顔料粒子(C47-060、Sun Chemical製)28.5部と市販のN-アシルアミノ酸(N-ラウロイルサルコシン、東京化成工業(株)製)1.5部をプレミックスする。続いて、乾式粒子複合化装置(ノビルタ、ホソカワミクロン株式会社製)(Φ=86mmブレードを使用)を用いて、5000rpmで5分間処理後、取り出して被覆顔料(8)を得た。
[比較例10]
比較例1で酸化チタン顔料粒子を酸化鉄顔料粒子(C33-8001、Sun Chemical製)に変更した以外は比較例1と同様に行い、被覆顔料(9)を得た。
[実施例4]
実施例3で青色1号を赤色202号(C19-7703、Sun Chemical製)に変更した以外は実施例3と同様に行い、被覆顔料(10)を得た。
[比較例11]
市販の赤色202号(C19-7703、Sun Chemical製)を評価した。
[実施例5]
実施例3で青色1号を黄色4号(C69-7724、Sun Chemical製)に変更した以外は実施例3と同様に行い、被覆顔料(11)を得た。
[比較例12]
市販の黄色4号(C69-7724、Sun Chemical製)を評価した。
[接触角の測定(疎水性の評価)]
顔料粉末サンプルに約30MPaの圧力をかけることで押し固めて、得られたタブレットの水の接触角を測定することで評価した。接触角計(DMo-602;協和界面科学(株)製)を用いて、顔料タブレットに1.0μLの水を滴下し、1.0秒後の接触角を測定した。
[BET比表面積]
BET比表面積は、窒素吸着法により測定した。測定は全自動比表面積測定装置Macsorb HM model-1208((株)マウンテック製)により行い、日本工業規格JIS Z8830-1990の付属書2に規定される「1点法による気体吸着量の測定方法」に従った。なお、BET比表面積の値は小数点第二位を四捨五入した。
[MIUの測定]
摩擦感テスター(KES-SE;カトーテック(株)製)を用いて、試料台に広げたサンプルの上にセンサを置き、スライドさせることで摩擦係数MIU値を計測した。なお、初期5mmと最終5mmのデータをカットして20mm間のデータを採用した。MIU値が小さいほど触り心地が滑らかである。
[光沢の測定]
顔料組成物4.0部、NCグラビアニス(DIC(株)製)26.0部、酢酸エチル4.0部、トルエン4.0部、イソプロピルアルコール2.0部の割合で配合し、1/8インチのスチールビーズを150部入れて、ペイントコンディショナーで分散させることでインキ組成物を調整した。得られたインキ組成物をNo.6のバーコーターで透明フィルムに展色し、展色フィルムを得た。得られたインキの展色フィルムを光沢計(MULTI GLOSS 268;コニカミノルタ(株)製)を用いて測定し、光沢値を確認した。光沢値は数値が高い程光沢が良い。
Figure 0007396537000001
Figure 0007396537000002

上記表1及び2では、MIU値や光沢値は基材粒子の顔料種によって数値が変わるため、基材(未処理顔料)の値を1とした時の相対値で示した。
接触角が95度以上且つ被覆前後の窒素比表面積比が0.70以下である上記表1の実施例1及び2は、比較例よりもMIU値と光沢の両性能が優れていることが分かる。比較例9は、光沢値こそ1.4と比較的高いもののMIUが1.1であり、滑らかさが不足している。これは、アミノ酸により顔料表面が被覆されたことにより若干平滑性が向上したもののその程度が実施例に比べるとはるかに小さく、疎水性も不足しているために十分な効果を示していないと考えている。
接触角が95度以上且つ被覆前後の窒素比表面積比が0.90以下である上記表2の実施例3-5は、比較例よりもMIU値と光沢の両性能が優れていることが分かる。
よって、本発明の顔料組成物は、上述のとおり、塗布物における触り心地が良く滑らかであり、光沢にも優れるという効果を奏する。

Claims (5)

  1. ラウロイルリシンで被覆した無機顔料であり、水に対する接触角が105~132度であり、且つ被覆前後の窒素比表面積比が0.45~0.70である顔料組成物であって、
    前記ラウロイルリシンの含有量が、前記無機顔料100質量部に対して、0.5~10質量部であり、
    前記無機顔料が、金属酸化物であり、
    前記金属酸化物が、酸化チタン又は酸化鉄である顔料組成物。
  2. ラウロイルリシンで被覆した有機顔料であり、水に対する接触角が100~117度であり、且つ被覆前後の窒素比表面積比が0.90以下である顔料組成物であって、
    前記ラウロイルリシンの含有量が、前記有機顔料100質量部に対して、0.5~10質量部である顔料組成物であって、
    前記有機顔料が、青色1号及びアゾ系の顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である顔料組成物。
  3. 前記アゾ系の顔料が、赤色202号又は黄色4号である請求項2に記載の顔料組成物。
  4. 固相法によりラウロイルリシンが被覆されている請求項1~3のいずれか一項に記載の 顔料組成物。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載の顔料組成物を含む、化粧料、インキ、塗料、トナー、又は成形物。
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