以下、一実施形態に係る水洗式便器装置1(以下、「便器装置1」と記載する。)について図面を参照して説明する。図面において、同一および類似の何れかの部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。以下の説明では、特に断らない限り、便器装置1が設置される部屋の床から鉛直に延びる方向を縦方向Hと称する。縦方向Hに直交する一方向を幅方向Wと称する。縦方向H及び幅方向Wに直交する方向を前後方向Dと称する。前後方向Dは、便器装置1の使用者が便座に着座して向く方向を前方Fと称し、前方Fの逆方向で使用者の背側を後方Rと称する。
便器装置1は、洋式の水洗式便器装置である。本実施形態では、壁掛け式の便器装置の例を示す。壁掛け式の便器装置は、便器装置1の背面103が壁に固定される。便器装置1は、便器装置が設置される部屋の壁、ライニングやキャビネット等、便器装置を支持する支持面に、便器装置の背面が取り付けられて固定される。壁掛け式の便器装置では、下端部と床との間が離れている。
便器装置1は、便器本体2と、便器装置本体部3と、カバー部材4とを備える。便器装置1は、上面27に便座ユニット200が設けられている。
便器装置本体部3は、ベースプレート33と、機能部品30と、カバー部材4と、上カバー6とを備える。
機能部品30は、便器装置1に備える各種機能を発揮する複数の装置で構成されている。図3では、機能部品30を模式的に示している。例えば、機能部品30は、便器洗浄装置、便座201に着座した人体の臀部を洗浄する洗浄ノズル装置31、脱臭装置、温風乾燥装置等、便座201の温度調整装置、便座201および便蓋202の回転装置等、公知の機能装置、制御装置、電装部品等の少なくとも一部を含む。
機能部品30は、ベースプレート33に取り付けられている。ベースプレート33は、後述する便器本体2の収容部20内に収容可能な大きさを有する。ベースプレート33上に機能部品30が取り付けられる。機能部品30の上方が上カバー6で覆われる。ベースプレート33の下方に縦方向Hに延びる仕切壁332が設けられている。カバー部材4は、機能部品30の前方に設けられる。
便座ユニット200は、基部203に、便座201および便蓋202が回転可能に取り付けられて構成されている。便器本体2の上面27の後部に基部203が取り付けられ、便器本体2に設置されている。便座201および便蓋202が便鉢21の上方に配置され、便座201および便蓋202が便器本体2の上方で回転可能に設けられる。図1では、便座201および便蓋202が開けられて基部203の上方に配置された状態を示している。
図2は、便器本体2を前方Fから見た斜視図である。図3は、便器装置1の前後方向Dに沿う縦断面図である。図3は、図1に示す便座201および便蓋202の記載を省略している。図2および図3に示すように、便器本体2は、便鉢21と、収容部20と、外周壁28と、ベースプレート支持部22と、を含む。便器本体2は、便鉢21と、収容部20と、外周壁28と、ベースプレート支持部22と、図3に示すトラップ部29とが陶器で一体に形成されている。便器本体2の前部に便鉢21が配置され、便鉢21の後部に収容部20が配置されている。外周壁28は、便器本体2の外周部を構成し、便鉢21の周囲を覆っている。便器本体2は、水洗式便器の一例である。
便鉢21は、便器本体2の上面27に開口している。便鉢21は、吐水口210と、リム通水部23と、棚面24と、溜水部211とを含む。吐水口210は、便器本体2の上面27の開口縁271の下方に形成されている。吐水口210は、便鉢21の側方であってリム通水部23の立ち面231に開口している。吐水口210は、便器本体2内に配置される不図示の給水路と接続されている。吐水口210には、不図示の外部水供給経路から給水路を介して洗浄水が供給される。
リム通水部23は、吐水口210から供給された洗浄水を旋回させて溜水部211に誘導する。リム通水部23は、便器本体2の上面27の開口縁271の下方に設けられている。リム通水部23は、便鉢21の内周面の全域に形成されている。吐水口210は、後述する後部空間BSと同様に、オーバーフロー時、オーバーフロー水を一時的に溜める機能を兼ねる。この結果、例えば、便鉢21内にオーバーフロー水を溜めるための容積を確保できる。
便鉢21の下部には、水を溜める溜水部211が設けられている。溜水部211は、リム通水部23の下方に設けられている。溜水部211の下方にトラップ部29が設けられている。図3に示すように、トラップ部29の下流端には、排水路290が形成されている。排水路290は、外部の排水管300と接続されている。排水路290は、便鉢21からトラップ部29を経由して排水管300へ汚水を流す水路である。ユーザが水を流す操作を行うと、給水経路から吐水口210に洗浄水が供給される。洗浄水は、リム通水部23に沿って流れた後、棚面24内に流入し、溜水部211からトラップ部29および排水路290を経由して排水管300に流れる。
図2および図3に示すように、リム通水部23と、溜水部211との間に棚面24を有する。棚面24は、平面視において、リム通水部23より内側において形成された平坦面である。
収容部20は、便鉢21の後方Rに形成された収納室である。収容部20に機能部品30が設けられる。この他、収容部20には、便鉢21に接続される給水路および排水管300等が設けられる。給水路は、便鉢21内に洗浄水を供給する水路である。
図2から図4に示すように、収容部20と便鉢21との間に、凹部26が形成されている。凹部26は、便器本体2の上面27の後部が前部よりも低く下方に窪んで形成されている。
図2に示すように、収容部20の幅方向Wの両側に一対のベースプレート支持部22が設けられている。ベースプレート支持部22は、ベースプレート33を支持する。ベースプレート支持部22は、凹部26よりも幅方向Wの外側に設けられている。図4に示すように、縦方向Hにおいて、ベースプレート支持部22は、便器本体2の上面27と、凹部26との間に設けられている。ベースプレート支持部22は、凹部26より高く、便器本体2の上面27より低い位置に設けられている。
収容部20と便鉢21とは、凹部26を介して連通している。凹部26には、機能部品30の一部が配置される。
凹部26は、機能部品30を便鉢21内に向けて配置するための開口部として機能する。便器本体2に凹部26を設けることにより、便器本体2の上面27に機能部品30を載せた便器装置に比べて、機能部品30を低い位置に収容できる。この結果、機能部品30が便器本体2の後部の上面27よりも上方に突出する部分の大きさを押さえられ、便器装置1の全体の高さを抑えることができる。
凹部26の後面262は、収容部20の前部を構成する。便鉢21と収容部20との間に凹部26の下方の壁部で区切られている。便鉢21と収容部20とは、凹部26を介して連通している。
凹部26は、便鉢21内の水の量が増加したときのオーバーフロー排水路25としても機能する。凹部26と機能部品との間に隙間が形成されており、オーバーフロー排水路25として機能する。図5に示すように、後面262と収容部20内の機能部品30の仕切壁332との間に隙間が形成されており、オーバーフロー水の排水路250として機能する。オーバーフロー排水路25は、オーバーフロー時、便鉢21の上部まで溜まった水を収容部20側の排水路250に流す排水路である。オーバーフロー排水路25は、凹部26から凹部26の後面262に流れ、便器本体2の下方に流れる。機能部品30において、凹部26の後面262に面する部分には、ベースプレート33、仕切壁332などの遮蔽部材が設けられており、機能部品30はオーバーフロー排水路25から電気的に遮断されている。図3に示すように、収容部20の下方にオーバーフロー排水口251が形成されている。オーバーフロー排水路25は、収容部20の排水路250およびオーバーフロー排水口251に連通している。
凹部26の幅方向Wの少なくとも一部が収容部20と連通してオーバーフロー排水路25を構成していればよい。図4に示す例では、オーバーフロー排水路25は、凹部26の前端261の前方における凹部26の幅方向Wの略全域がオーバーフロー排水口251に連通している。つまり、機能部品30の前端部32の下端321と凹部26との間において凹部26の幅方向Wの略全域がオーバーフロー排水路25として機能する。図5に示すように、前後方向Dにおいて、カバー部材4が凹部26の前端261よりも前方に離れて設けられている。機能部品30の前端部32は、凹部26の前端261よりも前方かつ上方に離れて設けられている。したがって、凹部26と機能部品30およびカバー部材4との間に十分に広い隙間が形成される。この結果、広い開口のオーバーフロー排水路25が形成される。
前後方向Dにおいて、凹部26は、溜水部211の後端より後方に設けられており、溜水部211と凹部26との間に棚面24が形成されている。図3に示すように、前後方向Dにおいて、凹部26の前端261は、棚面24における溜水部211側の前端部241よりも後方に設けられている。溜水部211と凹部26との間の棚面24を棚面後部242と称する。
図2および図3に示すように、凹部26の下方には、後部空間BSが形成されている。後部空間BSは、凹部26の下方に位置する便鉢21のリム通水部23の立ち面231の後部212により囲まれた空間であり、便鉢21と連通している。後部空間BSは、便鉢21の後部の幅方向Wの略全域に広がっている。後部空間BSは、便器本体2内に配置される不図示の給水路と接続されている。後部空間BSには、不図示の外部水供給経路から給水路を介して洗浄水が供給され、便鉢21へ洗浄水を流す。オーバーフロー時、後部空間BS内にオーバーフロー水が流入し、後部空間BSが溜水用の空間として機能する。オーバーフロー排水路からオーバーフロー水が排水される間、後部空間BS内にオーバーフロー水が一時的に溜まる。この結果、例えば、吐水口210から便鉢21への洗浄水の流入量が多い場合等、便鉢21内にオーバーフロー水を溜めるための容積を確保できる。したがって、オーバーフロー水が溜まる速度が速い場合でも、便鉢21の上面27側からオーバーフロー水が溢れることなく、オーバーフロー排水路25から円滑に排水できる。
図3に示すように、機能部品30は、収容部20に収納されている。機能部品30は、複数の装置がベースプレート33および仕切壁332内に収められたユニットの状態で収容部20内に収納され、固定されている。機能部品30の一部である上部は便器本体2の上面27より上方に突出して設けられている。機能部品30の一部である前端部32が凹部26の上方に配置されている。前端部32は、凹部26よりも上方に離れて設けられている。前端部32の下端は、凹部26よりも高く、かつ前方に配置されている。機能部品30の前端部32には、洗浄ノズル装置31が設けられている。洗浄ノズル装置31は、洗浄ノズル311、洗浄ノズル保持体312、および洗浄ノズルの移動機構313等を備える。
機能部品30は、各種動作が行われる機構部を備え、制御装置により機構部の各種動作が制御される。図5は、図3の凹部26近傍を拡大した縦断面図である。例えば、図5に示すように、洗浄ノズル311が洗浄ノズル保持体312に対して前進し、洗浄ノズル311から洗浄水が吐水される。機構部の制御は、制御装置に備える制御基板の制御信号に基づき実行される。この他、洗浄ノズル311から吐水される洗浄水の水温管理等も制御部により制御されている。
図3および図5に示すように、機能部品30の前端部32の前方にシャッタ5が設けられている。シャッタ5は、前端部32を開閉可能に覆う。シャッタ5は、機能部品30の前端部32に回転可能に取り付けられている。図1、図4、および図6に示すように、シャッタ5は、幅方向Wに長い部材である。
例えば、洗浄ノズル311が前進して洗浄ノズル保持体312から突出する時に、シャッタ5が上側に回転して洗浄ノズル保持体312の前部開口が開かれる。洗浄ノズル311が後退して洗浄ノズル保持体312内に収容されると、シャッタ5が下側に回転して洗浄ノズル保持体312の前部開口を閉じる。シャッタ5は、洗浄ノズル装置31に加えて、例えば、温風乾燥装置の前端を開閉可能に設けられている。温風乾燥装置の送風口は、洗浄ノズル装置31と幅方向Wに並んで設けられている。温風乾燥装置の作動時、シャッタ5が上方に回転し、温風が便鉢21内に吐出される。温風乾燥装置が停止されるとシャッタ5が下方に回転して機能部品30の前端部32を閉じる。
図1および図5に示すように、カバー部材4は、便鉢21の後部に便鉢21に面して設けられている。カバー部材4は、便鉢21内における機能部品30の前端部32と便器本体2との間に生じる隙間を覆う。カバー部材4は、機能部品30の前端部32の前方であり、シャッタ5の周囲に設けられている。
図7に示すように、カバー部材4は、取付部44と、上壁42と、一対の横壁45と、バー41とを備える。取付部44は、便器本体2の後部の上面27に取り付けられる。取付部44は、前後方向Dおよび幅方向Wに延びる平面上の部位である。上壁42は、取付部44の幅方向Wの中央部の前端から下方に延びて形成されている。一対の横壁45は、上壁42の幅方向Wの両端部から下方に延びて形成されている。バー41は、カバー部材4の幅方向Wの中央部の下端に設けられている。バー41は、幅方向Wに延びる細長い板状部である。バー41は、上壁42の下方に位置し、一対の横壁45間に架設されている。バー41は下壁の一例である。バー41と上壁42との間に開口部43が形成されている。開口部43は、シャッタ5の正面形状と相似形であり、シャッタ5の面積より僅かに大きい開口である。
図9は、カバー部材4および凹部26の前後方向Dに沿う縦断面図である。図9では、幅方向Wの中央部における縦断面を示している。図9に示すように、バー41は、上端412から下端413に向かって後方に傾斜する傾斜面411が形成されている。カバー部材4は、凹部26から前方Fに離れた位置で、便器本体2の上面27から凹部26まで設けられている。バー41の下端413は、凹部26の最も高さが低い位置の上面263よりも低い。バー41の下端413は、凹部26の前端261の下端264よりも高い。バー41は凹部26の前端261から前方Fに離れており、バー41と凹部26の前端261との間の隙間がオーバーフロー排水路25を構成する。
図11は、カバー部材4の周辺を下方から見た横断面図である。図11に示すように、一対の横壁45は、便鉢21の後部の立ち面214に沿う湾曲形状を有する。カバー部材4の一対の横壁45は、便鉢21の後部の立ち面214から離れた位置で、立ち面214に沿って配置されている。図8から図12に示すように、一対の横壁45の下端部452の背面は、上部451よりもやや後方に湾曲して傾斜している。横壁45の背面453は傾斜部に対応する。一対の横壁45の下端部452は、上部451よりも便鉢21の後部の立ち面214に近い。横壁45の背面453が傾斜しているため、横壁45と便器本体2の開口縁271との間の隙間が狭くなるように覆うことができる。機能部品30の前端部32の下部を広範囲に覆うことができる。この結果、横壁45による飛沫の遮断効果を高めることができる。
傾斜部は、少なくとも横壁45の下部の背面が後方に向かって傾斜していればよい。例えば、傾斜部は、横壁45の上部から下部に向かって傾斜する構成であってもよい。例えば、横壁45の下部の厚さが、上部より厚くなることにより背面が後方に向かって傾斜する構成であってもよい。
図5に示すように、前後方向Dにおいて、機能部品30の前端部32およびシャッタ5は、凹部26の前端261よりも前方Fに配置されている。凹部26の前端261から前端部32の下端321までの前後方向Dの長さD1より、凹部26の前端261から棚面後部242の前端部241までの前後方向Dの長さD2の方が長い。棚面後部242における長さD2は、機能部品30の前端部32が凹部26の前端261からの突出長である長さD1よりも長い。前後方向Dにおいて、機能部品30の前端部32およびシャッタ5は、棚面24の後部の上方、すなわち、凹部26の前端261と、棚面後部242の前端部241との間に配置されている。言い換えると、前後方向Dにおいて、機能部品30の前端部32およびシャッタ5は、溜水部211よりも後方に配置されている。
この結果、機能部品30の前端部32およびシャッタ5と、溜水部211との距離を確保できる。したがって、使用時、尿が溜水部211の水に着水する際に生じる飛沫が機能部品30の前端部32およびシャッタ5に付着し難い。
機能部品30の前端部32の前方Fにカバー部材4を設けているため、上述の飛沫が機能部品30に付着することを防止する。特に、カバー部材4は、機能部品30の前端部32およびシャッタ5の下方にバー41を備えるため、溜水部211からの飛沫をバー41で遮ることができる。
前後方向Dにおいて、凹部26の前端261からカバー部材4の下端413までの長さD3は、上記長さD1より長く、長さD2より短い。
図5および図9に示すように、バー41は、上端412から下端413に向かって後方に傾斜する傾斜面411が形成されている。傾斜面411を有するため、機能部品30の前端部32の下部を広く覆うことができる。この結果、バー41による飛沫の遮断効果を高めることができる。
便器装置1の作用について説明する。シャッタ5が閉じている時、シャッタ5の周囲はカバー部材4で覆われており、機能部品30の前端部32は便鉢21の前方Fに露出していない。ユーザの使用時、尿や溜水部211から跳ね返った飛沫がカバー部材4のバー41、上壁42および横壁45により遮られる。この結果、カバー部材4の後方Rに配置されている機能部品30の前端部32の下部に飛沫が付着することを防止できる。機能部品30の使用によりシャッタ5が開いている時も、シャッタ5の周囲はカバー部材4で覆われており、機能部品30の前端部32の下部に上述の飛沫が付着することを防止できる。機能部品30の前端部32の下部は、ユーザが清掃し難い部位であるため、前端部32の下部に飛沫が付着することを防止できることにより、清掃の負担が軽減される。
凹部26は、上面27よりも低く窪んでいるため、オーバーフロー時、便鉢21内にオーバーフロー水が溜まると、凹部26のオーバーフロー排水路25からオーバーフロー水が排水される。凹部26は、上面27よりも低いため、上面27側からオーバーフロー水が溢れることなくオーバーフロー排水路25から排水される。凹部26は、機能部品30の前端部32よりも後方Rに離れており、オーバーフロー排水路25は、幅方向Wに十分な開口が形成されているため、排水時、十分な流量が確保され、オーバーフロー水を速やかに排水できる。
図8では、カバー部材4は、取付部44と、上壁42と、一対の横壁45と、バー41とが一体に形成されている例を示している。カバー部材4の各部が一体に形成されている構成は必須ではない。カバー部材の上壁、横壁、バーが別部材で形成されて取付部に固定される構成であってもよい。
便器本体2の収容部20の上方に上カバー6が設けられている。上カバー6は、収容部20および機能部品30の上部を覆う外装体である。上カバー6およびカバー部材4は、便器本体2に着脱可能に取り付けられている。上カバー6およびカバー部材4は図13および図14に示すように、一体に形成されていてもよい。図15および図16に示す変形例のカバー部材4Aのように、バー41を備えない構成であってもよい。
実施形態に係る便器装置1は、収容部20が形成されているため、便鉢21より後方Rに機能部品30の少なくとも一部が収納可能である。したがって、便器装置1の上部に機能部品が配置される場合に比べて、便器装置1の上部の突出量が抑えられる。ユーザの視線が届きやすい便器装置の上部に機能部品の設置場所が目立つことがない。この結果、機能部品30が便器装置1の外観意匠性に影響を与え難く、意匠の自由度を高めることができる。
図7に示すように、実施形態に係る便器装置1では、便器本体2のベースプレート支持部22にベースプレート33が支持される。ベースプレート33は、ねじでベースプレート支持部22に固定される。ベースプレート支持部22は、上面27より低く、凹部26よりも高い位置に設けられている。したがって、ベースプレート支持部22にベースプレート33を載せてねじで固定することにより、機能部品30を凹部26から上方に十分に離れた位置に保持できる。この結果、縦方向Hにおける機能部品30と凹部26との間隔を広く開けた状態で機能部品30を凹部26の上方に配置できる。この結果、凹部26上方に十分に広い開口が形成され、開口が広いオーバーフロー排水路25が形成される。この構成により、機能部品30を上面27に支持、固定する場合に比べて、機能部品30の収容部20からの上方への突出量を抑えることができる。
実施形態に係る便器装置1は、凹部26の少なくとも一部がオーバーフロー排水路25を構成するため、収容部20内の排水路250に流入したオーバーフロー水をオーバーフロー排水口251から便器装置1の下方に円滑に排水できる。
実施形態に係る便器装置1は、カバー部材4によりシャッタ5の下部と便鉢21との間の一部を覆うため、使用時の便鉢21側からの飛沫により機能部品30の前端部32の下部が汚れることを防止できる。すなわち、便鉢21側からの飛沫をカバー部材4で遮り、機能部品30の前端部32の下部への飛沫の付着を防ぐ。機能部品30の前端部32の下部は、ユーザが清掃し難い場所であるため、前端部32の下部が汚れることを防ぐことにより清掃の手間を省くことができる。
実施形態のカバー部材4は、シャッタ5の下部を幅方向Wに沿って覆うバー41を備えるため、シャッタ5が閉じている時に、便鉢21の下部からシャッタ5の下方への飛沫が機能部品30の前端部32に付着することを防止できる。例えば、男性が後方Rに向かって立位で小便を行う場合、溜水部211内に溜められた洗浄水内に着水した小便が溜水部211の周囲に飛沫として跳ね返る場合がある。このような飛沫は、下方から上方へ向けて飛散する。しかし、シャッタ5の下部を幅方向Wに沿って覆うため、飛沫をバー41で遮ることができる。シャッタ5の下部がバー41により幅方向Wに沿って覆われるため、飛沫をバー41で遮ることができる。シャッタ5が開いているときも、カバー部材4のバー41により機能部品30の前端部32の下面に飛沫が付着することを防止できる。例えば、洗浄ノズル装置31の使用時、洗浄ノズル装置31から吐水された洗浄水が便鉢21内で飛沫した場合、バー41により飛沫が遮られ、機能部品30の前端部32の下部への付着を防止できる。
実施形態に係る便器装置1は、カバー部材4のバー41が凹部26の前端261よりも前方Fに離れて配置されており、バー41と凹部26との間に隙間が形成されている。この隙間がオーバーフロー排水路25として機能し、オーバーフロー水が便器本体2の後部に排水される。カバー部材4の後方に、幅方向Wに広い隙間が形成可能であり、オーバーフロー水の排水流量を高めることがでる。この結果、例えば、吐水口210からの給水量が多い便器装置において、オーバーフローが発生した場合でも、オーバーフロー水を円滑に排水可能である。
実施形態に係る便器装置は、カバー部材4のバー41の下端が凹部26の最も低い位置の下端より高い位置に配置されている。このため、オーバーフローが発生した場合に、オーバーフロー排水路25からのオーバーフロー水の排水を妨げず、円滑に排水できる。
カバー部材4のバー41は、傾斜面411を有するため、下方からの飛沫をより効果的に遮ることができる。
カバー部材4は、上壁42、バー41、および一対の横壁45が一体に形成されているため、遮蔽部間に隙間が形成されず、カバー部材4の清掃が容易である。
カバー部材4は、シャッタ5の周囲に開口部43が形成され、シャッタ5の周囲に上壁42、バー41、および一対の横壁45により壁が形成されるため、機能部品30への飛沫の付着を効果的に防止できる。
実施形態に係る便器装置1は、シャッタ5が機能部品30に取り付けられている例を示した。シャッタ5が取り付けられる位置は機能部品30に限定されない。例えば、カバー部材4に設けられていてもよい。具体的には、カバー部材4の開口部43に回転可能に取り付けられていてもよい。機能部品30にシャッタ5を備える構成は必須の構成ではない。カバー部材は、機能部品30よりも前方に設けられ、機能部品30への飛沫の付着を防止可能に構成されていればよい。
カバー部材4は、必須の構成ではない。図13および図14に示す変形例の便器装置1Aのように、上記実施形態のカバー部材4が設けられず、機能部品30の前端部32が便鉢21に露出していてもよい。
実施形態に係る便器本体2によれば、便鉢21の上面27に凹部26が形成され、凹部26の少なくとも一部がオーバーフロー排水路25を構成するため、便鉢21内のオーバーフロー水を効率良く排水できる。すなわち、便鉢21の上面27より低い位置にオーバーフロー排水路25が形成されるため、便鉢21の上面27からオーバーフロー水が溢れ出ることを防ぎ、効率良くオーバーフロー水を排水できる。したがって、洗浄水の給水量が多い水洗式便器であっても便鉢21の上面27からオーバーフロー水が溢れ出ることを防止できる。
実施形態に係る便器装置1によれば、オーバーフロー排水路25は、シャッタ5の下方において、シャッタ5の幅方向Wの全域に亘って形成されているため、オーバーフロー排水路25の流入口の面積を広く確保できる。この結果、効率良くオーバーフロー水を排水できる。
実施形態に係る水洗式便器装置1によれば、便器本体2は、リム通水部23と溜水部211との間に形成された棚面24における溜水部211側の前端部241よりも後方Rに凹部26の前端261が配置される。この結果、前後方向Dにおいて、オーバーフロー排水路25の開口面積を広く確保でき、効率良くオーバーフロー水を排水できる。
実施形態に係る便器装置1によれば、便鉢21内においてシャッタ5と便器本体2との間を覆うカバー部材4が設けられているため、凹部26内に設けられた機能部品30およびシャッタ5と便器本体2との隙間が覆われ、機能部品30に飛沫が付着することを防止できる。
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述した。具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、設計変更等も含まれる。上述の実施形態において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。