JP4177576B2 - ロータンクの構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータンクの構造に関し、詳しくは温水洗浄装置付き便器と密結する構造を有したロータンクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、便器に温水洗浄装置を取り付ける場合、便器の後部に設置された既設のロータンクの前面側にロータンクと隣合うように温水洗浄装置を取り付けるようにしていた。図13は従来の一般のロータンク3の内部構造を示している。図中の5aは給水部5を構成するボールタップ、6は吐出口、7は排水口、8は排水弁、20は洗浄レバー、Wは貯留水を示している。
【0003】
しかし、ロータンクの前方に温水洗浄装置を設置するスペースを設けると、便器の前後方向の寸法が長くなり、このため便器とトイレルームの壁との距離が近い設置場所では便器を設置できなくなったり、また設置できたとしても便器と壁との距離が狭まり、特に、身体の不自由な人や高齢者等にとって使いづらくなる。
【0004】
特に、将来介護などが必要になったことを想定して、あるいは実際に介護が必要であるために、トイレルーム内の介助スペースを求める要求が近年の市場の声としてよく聞かれ、且つ住宅品質確保促進法に基づく住宅性能表示制度でも介助スペースの大きさによって等級区分されている。そこで各メーカーは、限られたトイレルーム空間内に、より大きな介助スペースを設けることができるよう、便器の寸法を小さくした商品を開発している。
【0005】
しかしながら、単に便器の寸法を小さくすると、便座の寸法が小さくなって座り心地が悪くなったり、ロータンクに背中があたることで不快感を感じたりすることがある。そこで、便座の寸法、ロータンクと便座とのピッチを変えずに、ロータンクの寸法を薄くする方向で商品化が進められているのが現状である。
【0006】
ところが、例えばロータンク・温水洗浄機能・便器一体型とのシャワートレイにおいては、コンパクト化を達成するために、ほとんどのメーカーがロータンクを薄型にすることに加えて2重タンク方式として、内部のロータンクハウジング内部に貯留機能部・排水機能部・温水洗浄機能部などの中枢機能を集積するようにしている。そのため、各部品の取り合いに工夫が必要となるが、多くはロータンクの形状を変形させてその隙間にその他の部品を配置することで集積率をアップさせている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
また、ロータンクを変形させることは、タンク排水性能に大きな影響を与えることは明らかである。特に排水弁周囲のタンク形状がすぼまったり、あるいは排水弁の開く向きがロータンク壁に接近していると、排水弁が早締まりをしたり、あるいは不安定な開放動作をすることが実験的にも確認されている。つまり、排水弁の開放動作が妨げられると、ロータンクから便器内への排水流量が少量となり、洗浄効果が低下するという問題が生じる。
【0008】
またロータンクのコンパクト化を重視するため、ロータンクヘの給水部(ボールタップ)と排水弁8とが同じ垂直線上に配置されることも考えられる。その一例を図14に示す。図14において図13と同じ部位には同一符号を付しておく。図14中の矢印イ,イ’は水の流れを示し、矢印ロは排水弁8の開閉方向を示している。この場合は条件によっては、給水圧力によって開いた排水弁8が強制的に閉じられてしまうことも確認されている。
【0009】
更なるコンパクト化を達成するためには、ロータンク3の排水弁8の動作を安定的に動作させるようにすることが必須となる。各メーカーでは特殊な排水弁8の動作機構を新たに開発しているところもあるが、コスト面などで問題がある。
【0010】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、本発明では、現状の排水弁の動作機構をそのまま踏襲して、部品の共用化などを図りながら、ロータンク内の排水弁の開放動作を安定させることが可能なロータンクの構造を提供することにあり、更に他の目的とするところは、水平方向の邪魔板を設置した場合においてロータンク内部での水跳ねを最小限に抑えることができるロータンクの構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明にあっては、温水洗浄装置2付き便器1の後部に設置されるロータンクの構造において、ロータンク3の前面下部にその内部に向かって凹没した凹所4を形成し、この凹所4内に温水洗浄装置2を収納可能にすると共に、ロータンク3内の底面の排水口7を開閉するための排水弁8の上方に水平方向Aに邪魔板9を配置し、ロータンク3内の上部に配置される給水部5の吐出口6と上記排水弁8とがほぼ垂直線上に配置されており且つ給水部5の吐出口6と上記排水弁8との間の水路を上記邪魔板9により水平方向Aに仕切るようにしたことを特徴としており、このように構成することで、ロータンク3の前面下部に凹設された凹所4に温水洗浄装置2を収納することで、温水洗浄装置2付き便器1の全長を短くできるようになる。一方、排水弁8の上方に水平方向Aの邪魔板9を配置することによって給水部5の吐出口6と排水弁8との間の水路を仕切ることにより、ロータンク3の前面下部に設けた凹所4によって、ロータンク3下部の排水弁8周囲のタンク形状がすぼまり、給水部5からの給水圧力で排水弁8の安定開放が阻害されるのを水平方向Aの邪魔板9によって防止できるようになり、排水弁8の開放動作の安定性を高めることができる。
【0012】
また上記水平方向Aの邪魔板9の下方に垂直方向Bの邪魔板10を設けることを特徴とするのが好ましく、この場合、水平方向Aの邪魔板9で方向が変えられた水流が排水弁8の背面8a側に当たるのを、さらに垂直方向Bの邪魔板10によって防止できる。
【0013】
また上記水平方向Aの邪魔板9とロータンク壁3aとの間に、排水弁8の開放面8bに向かって水を送り込むための通水用隙間11を設けることを特徴とするのが好ましく、この場合、ロータンク3内の貯留水Wが排水される時に、この通水用隙間11からも排水口7に向けて水が噴出するようになり、これによって、排水時に弁開放状態を持続する方向にアシストする力が排水弁8に加わる。
【0014】
また上記排水弁8の開放動作時に、排水弁8の開放面8bに向かって水を強制的に送り込むためのガイド水路12を設けることを特徴とするのが好ましく、この場合、排水弁8が開いた時にガイド水路12を通った水が排水弁8の開放面8bに向かって噴射されることで、開放状態を持続させることができる。
【0015】
また上記水平方向の邪魔板9の給水が当たる給水接触部50の断面形状を上方に向かって凸となった略半球状に形成したことを特徴とするのが好ましく、この場合、水平部を有しない形状として、給水接触部50を上方に向かって凸となった半球状の断面形状にしてあるので、上方に向かって水跳ねが起こりにくいものとなる。
【0016】
また上記水平方向の邪魔板9の給水が当たる給水接触部50の周辺に切り溝51を設けて、給水接触部50を下方に向かって弾性変形可能としたことを特徴とするのが好ましく、この場合、邪魔板9の給水接触部50に切り溝51を設けて板バネの特性を持たせるようにしたから、給水の衝撃によって板バネ状の給水接触部50が下方に弾性変形して、衝撃を緩和することができると共に、下方に変形することで、水平面が生じないため、上方への水跳ねが起こりにくくなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0018】
本実施形態の便器1の後部には、図2に示すように、温水洗浄装置2とロータンク3とが載設されている。温水洗浄装置2は、リザーブタンクやポンプにて構成される水供給部や温水タンク13、洗浄ノズル15、さらに消臭装置、乾燥装置、回路基板等の種々の部品(図示せず)が収納配置されており、水道等より供給された水が温水タンク13にて暖められ、温水が洗浄ノズル15より噴射されて洗浄されるようになっている。洗浄ノズル15は人体臀部を温水で洗浄したりビデ洗浄するためのものであり、便蓋の開閉に邪魔にならない位置に便器1内部に向けて配置されている。
【0019】
ロータンク3の前面下部には、図2、図3に示すように、ロータンク3内に向かって凹没した凹所4が形成されている。この凹所4内には上記温水洗浄装置2が収納され、温水洗浄装置2により便器1の全長寸法が長くなるのを防止している。なお凹所4の形状は図示されたものに限定されるものではなく、温水洗浄装置2の形状、大きさによって種々の形状が用いられるものである。なおロータンク3の底面に設けられる排水口7及び排水弁8の位置は従来と同様とする。
【0020】
このロータンク3内の上部には、図2に示すように、給水管16に接続されるボールタップ5aが設けられており、ボールタップ5aの吐出口6が下方に向けられている。ロータンク3の底面には図1に示す排水口7が設けられ、排水弁8によって開閉可能とされている。本例では、吐出口6と排水弁8とがほぼ垂直線上に配置されており、排水弁8及び排水口7の位置は従来と同じ位置に設けられている。なお、図1中の17は排水口7に接続されるオーバーフロー管である。
【0021】
上記排水弁8の軸部8aは排水口7側に枢着され、排水弁8は上下方向に回転自在とされ、閉弁位置では開放面8bが排水口7の弁座に接触して排水口7を閉じている。またロータンク3の外部に設けた洗浄レバー20を操作することにより鎖21を介して排水弁8が引き上げられると、開放面8bが弁座から離れて排水口7を開放し、ロータンク3内の貯水が排水口7から便器1の排水路部(図示せず)に流出し、さらに便器1の上部外周に設けられたリム通水路(図示せず)から噴出して便器ボウル内を洗浄するようになっている。このとき、ロータンク3内の水面低下によりボールタップ5aの浮玉が降下して内蔵する弁体の開閉作動がなされ、給水管16からの水が吐出口6からロータンク3内に供給され、ロータンク3内の水位が所定レベルに達するまで給水が継続されるようになっている。
【0022】
しかして、ロータンク3の前面下部に凹設された凹所4に温水洗浄装置2を嵌め込むようにして温水洗浄装置2を設置することで、温水洗浄装置2をロータンク3内に取り込むことができ、温水洗浄装置2付き便器1の全長を短くできる。従って、将来介護などが必要になったことを想定して、あるいは実際に介護が必要であるために、トイレルーム内の介助スペースを確保するにあたって、限られたトイレルーム空間内により大きな介助スペースを設けることができるようになる。しかも、ロータンク3と一体感を持たせて温水洗浄装置2を配置できるものであり、外観をまとまりのあるすっきりとしたものとすることができる。
【0023】
ところで、ロータンク3に温水洗浄装置2を収納するための凹所4を設けると、ロータンク3の下部の排水弁8周囲のタンク形状がすぼまり、このためボールタップ5aの吐出口6の下方に排水弁8が配置されていると、吐出口6からの給水圧力によって開いた排水弁8が強制的に閉じられてしまうという問題が生じる。そこで、本発明では、排水弁8を安定開放させる方策としては、(1)不安定動作を誘因している因子を取り除き、(2)排水弁8の開放状態を持続できるようアシストする力を加えるようにしている。この方策に基づく本発明の実施形態を以下説明する。
【0024】
先ず、不安定動作の因子として考えられる給水圧力による影響を除去する方策を提示する。図1に示すように、給水圧力による強制閉止を防ぐため排水弁8の上方に水平方向Aに邪魔板9を設け、直接ロータンク3ヘの給水が排水弁8にかからないようにした。この水平方向Aの邪魔板9は、ボールタップ5aの吐出口6からの水圧によって排水弁8の開放動作が妨げられるのを防止する働きをする。すなわち、上記のようにロータンク3に温水洗浄装置2を収納するための凹所4を設けることで温水洗浄装置2付き便器1の全長を短くした構造に加えて、ロータンク3内部に水平方向Aの邪魔板9を設けて、ボールタップ5aの吐出口6と排水弁8との間の水路を仕切ることによって、水の流れは図1の矢印ハ→ニ→ホの流れとなり、排水弁8の開放動作が給水圧力によって妨げられることがなくなり、また排水弁8の開く向きがロータンク壁3aに接近していても、排水弁8が早締まりをしたり、あるいは不安定な開放動作をすることもなくなる。従って、排水弁8の開放動作の安定性を高めることができ、コンパクト化を目標とした便器1の商品化を実現できると共に、排水弁8も従来のものと共用化ができるため、部品点数の集約化を図ることができる。つまり現状の排水弁8の動作機構をそのまま踏襲して、部品の共用化などを図りながら、ロータンク3内の排水弁8の開放動作を安定させることが可能となる。
【0025】
ところで、水平方向Aの邪魔板9を設けることで排水弁8の開放時のタンク内部の水の流れは図1の矢印ハ→ニ→ホの流れとなるが、矢印ニの流れが排水弁8の背面8a側に当たることがあり、この場合、結果的に排水弁8を閉止する力が加わることになる。その力を弱めるため、図4に示すように、水流ニの流れを下向きに向ける形で、水平方向Aの邪魔板9の先端から垂直方向Bに向けて邪魔板10を設置するのが好ましい。なおこの場合において、垂直方向Bの邪魔板10によって水流ニ→ホの流れが妨げられないようにするため、垂直方向Bの邪魔板10の左右両側に通水用隙間(図示せず)を設け、さらに下方に通水用隙間30を設けるのが望ましい。これにより、垂直方向Bの邪魔板10によって水流が排水弁8の背面8a側に当たるのを防止しながら、排水流量を確保できるようになる。しかして排水弁8の開放動作を妨げるものをなくすことで、大流量にて水が流出されるようになり、便器1に洗浄効果を一層高めることができる。なお、垂直方向Bの邪魔板10と水平方向Aの邪魔板9との継ぎ目には、排水弁8開放時への影響を少なくするため、隙間が無いことが望ましい。
【0026】
次に排水弁8の開放状態へのアシスト力を増やす方策として、図5〜図7の実施形態を説明する。図5は水平方向Aの邪魔板9において、ロータンク壁3aと邪魔板9との間に、排水弁の開放面に向かって水を送り込むための通水用隙間11を設けた場合を示している。この通水用隙間11は排水弁8の開放面8bに最も近い位置に設けてあり、ロータンク3内の貯留水が排水される時に、水の流れは図5の矢印ハ→ニ→ホの流れに加えて、矢印ヘ→トの流れも加わり、通水用隙間11からも排水口7に向けて水を噴出させることができる。これによって、排水時に弁開放状態を持続する方向にアシストする力が排水弁8に加わり、安定動作が行われるようになる。
【0027】
同じように弁開放状態へのアシスト力を増やすための方策として、図6、図7は排水弁8の開放動作時に、排水弁8の開放面8bに向かって水を強制的に送り込むためのガイド水路12を設けた場合を示している。図6の例ではガイド水路12の入口が水平方向Aの邪魔板9と面一とされ、水の流れは矢印ハ→ニ→ホの流れに加えて、矢印ヘ→トの流れとなる。また図7の例ではガイド水路12の入口が水平方向Aの邪魔板9よりも上方に突出した構造とされ、水の流れは矢印ハ→ニ→ホの流れに加えて、矢印チ→トの流れとなる。いずれの場合も排水弁8が開いた時にガイド水路12を通った水が矢印トのように排水弁8の開放面8bに向かって噴射されることで、開放状態を持続させることができ、排水弁8の安定動作を図ることができるものである。なお、ガイド水路12からの水の噴射方式としては、(1)貯留水が排水されるときの水流を用いる方法、(2)ボールタップ5aからの給水を用いる方法、(3)ポンブなどによる加給水を用いる方法などが挙げられる。
【0028】
ところで、給水衝撃による排水弁動作への影響をカットするために水平方向に邪魔板9を設けた場合、高水圧区域になると給水の衝撃が大きいため、給水が邪魔板9に当たった時の水跳ねが大きくなる可能性がある。水跳ねがロータンク3内部で生じると、ロータンク3の蓋内側に水滴が付着して、カビの発生あるいは蓋を外す時に水垂れの原因となる。
【0029】
邪魔板9での水跳ねを防止する方策として、(1)給水が邪魔板9に当たった後、跳ね返りが上方に行かないよう、邪魔板9の断面形状を工夫する第1の水跳ね防止構造と、(2)給水が邪魔板9に当たったときの衝撃を緩和されるよう、邪魔板9を加工する第2の水跳ね防止構造とを以下説明する。
【0030】
先ず、第1の水跳ね防止構造として、ロータンク3内部での水跳ねを最小限に抑えることができるようにした邪魔板9の形状を図8〜図10に示す。なお図9中の55はオーバーフロー管に連通するように立設されたダグラスバルブ、60はパッキン、61は下ケース、62は締め付けナットである。また、ロータンク3の凹所4によってロータンク3内部に生じる段部3bを利用して邪魔板9の一端部がネジ止めされており、邪魔板9にはネジ64が挿通するダルマ穴状のネジ挿通孔63が設けられている。他の構成は図1、図2の実施形態と同様であり、対応する部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。また邪魔板9により給水部5からの給水圧力で排水弁8の安定開放が阻害されるのを防止できる点、さらに垂直方向の邪魔板10(図4)、ガイド水路12(図7)等を設けてもよい点は、前記実施形態と同様であり、異なる点だけを述べる。本例では水跳ね方向(図10(b)の矢印イ、ロ方向)をコントロールするため、邪魔板9における給水が当たる部分(以下、給水接触部50という。)の上面形状が平面となっていない。ちなみに、例えば紙やすりのようにミクロ的に凹凸形状にしても、マクロ的に見て水平ならば、水平平面の場合と同等の水跳ね性を有することが実験にて確認されている。そこで、本例では、水平部としない方法として、給水接触部50に上方に向かって凸となった半球状の断面形状の突部50aを突設させている。このような半球状の突部50aならばその頂点のみに僅かな水平面が生じるが、それ以外のほとんどの部分では水平ではないため、水の流れは図10(b)の矢印で示すイ,ロ’の方向となり、上方に向かって水跳ねが起こりにくいものとなる。しかも、突部50aの断面形状を半球状に形成すればよいので、部品点数を増加させることがなく、簡単な構造で水跳ね防止効果が得られる。なお、半球状の突部50aは、水平方向の邪魔板9と一体形成されている場合に限らず、例えば、邪魔板9とは別部品の半球状部材(突部50a)を邪魔板9の平面状をした給水接触部50の上面に取り付けるようにしてもよいものである。
【0031】
次に第2の水跳ね防止構造として、給水接触部50の周囲に切り溝51を入れて、平板からなる給水接触部50を下方に向かって弾性変形可能とした例を図11(a)、(b)に示す。図11(a)は邪魔板9の端縁から給水接触部50の両側に沿わせて平行な2条の切り溝51を入れて、切り溝51間の給水接触部50を板バネ状の板部50bを形成した場合を示しており、図11(b)は給水接触部50の周囲3辺に切り溝51を入れて、給水接触部50を残りの一辺に沿って下方に折り曲げて板バネ状の板部50bを形成した場合を示している。しかして、邪魔板9の給水接触部50に切り溝51を設けて板バネの特性を持つ板部50bを形成したので、給水の衝撃によって板部50bは下方(図11(b)の矢印ハで示す方向)に弾性変形して、衝撃を緩和する。また下方に変形することで、上方への水跳ねが起こりにくくなる。しかも、邪魔板9の一部に切り溝51を入れるだけでよいので、部品点数を増加させることがなく、簡単な構造で水跳ね防止効果が得られるものである。
【0032】
図12は給水接触部50に上方に向かって凸となった半球状の突部50aを形成し且つこの突部50aの周囲に切り溝51を入れて下方に撓むことができるようにした場合を示している。しかして、上記半球状による水跳ね防止構造と板バネ状の水跳ね防止構造とを併用することで、水洗便器と密結する構造を有したコンパクト形のロータンク3であってその内部に水平方向の邪魔板9を収納したものにおいて、給水時の水跳ねを効果的に防止することができ、衝撃音の低減に加えて、ロータンク3の蓋内側に水滴が付着して、カビの発生あるいは蓋を外す時に水垂れが発生するという問題も同時に解消されるものである。また、図10と図11(a)(或いは図10と図11(b))の2種類の水跳ね防止構造を組み合わせることで、より一層の水跳ね防止効果が得られるようになる。
【0033】
【発明の効果】
上述のように請求項1記載の発明にあっては、温水洗浄装置付き便器の後部に設置されるロータンクの構造において、ロータンクの前面下部にその内部に向かって凹没した凹所を形成し、この凹所内に温水洗浄装置を収納可能にすると共に、ロータンク内の底面の排水口を開閉するための排水弁の上方に水平方向に邪魔板を配置し、ロータンク内の上部に配置される給水部の吐出口と上記排水弁とがほぼ垂直線上に配置されており且つ給水部の吐出口と上記排水弁との間の水路を上記邪魔板により水平方向に仕切るようにしたので、ロータンクの前面下部に凹設された凹所に温水洗浄装置を収納することで、温水洗浄装置付き便器の全長を短くできる。従って、便器と壁との距離が近い設置場所であっても便器の設置ができると共に、ロータンクと一体感を持たせて温水洗浄装置を配置でき、外観が向上する。また凹所によって排水弁周囲のタンク形状がすぼまると、給水部からの給水圧力で排水弁の安定開放が阻害されるが、排水弁の上方に水平方向の邪魔板を配置することによってこれを防止できるようになり、従って、排水弁の開放動作を妨げるものがなくなり、ロータンクから排水するための排水弁の開放動作の安定性を高めることができ、コンパクト化を目標とした水洗便器の商品化を実現できると共に、排水弁も従来のものと共用化ができるため、部品点数の集約化を図ることができる。つまり現状の排水弁の動作機構をそのまま踏襲して、部品の共用化などを図りながら、ロータンク内の排水弁の開放動作を安定させることが可能となる。
【0034】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、水平方向の邪魔板の下方に垂直方向の邪魔板を設けたので、水平方向の邪魔板で方向が変えられた水流が排水弁の背面側に当たるのを、垂直方向の邪魔板によって防止でき、排水弁の開放動作を妨げるものを一層なくすことができる。
【0035】
また請求項3記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、水平方向の邪魔板とロータンク壁との間に排水弁の開放面に向かって水を送り込むための通水用隙間を設けたので、ロータンク内の貯留水が排水される時に、この通水用隙間からも排水口に向けて水が噴出するようになり、これによって、排水時に弁開放状態を持続する方向にアシストする力が排水弁に加わり、安定動作が行われるようになる。
【0036】
また請求項4記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、排水弁の開放動作時に、排水弁の開放面に向かって水を強制的に送り込むためのガイド水路を設けたので、排水弁が開いた時にガイド水路を通った水が排水弁の開放面に向かって噴射されることで、開放状態を持続させることができ、排水弁の開放動作を一層安定化させることができる。
【0037】
また請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の効果に加えて、水平方向の邪魔板における給水が当たる給水接触部の断面形状を上方に向かって凸となった略半球状に形成したので、つまり、水平部を有しない形状として、給水接触部を上方に向かって凸となった半球状の断面形状にしてあるので、上方に向かって水跳ねが起こりにくいものとなる。しかも、給水接触部の断面形状を半球状に形成すればよいので、部品点数を増加させることがなく、簡単な構造で水跳ね防止効果が得られる。この結果、便器と密結する構造を有したコンパクト形のロータンクであってその内部に水平方向の邪魔板を収納したものにおいて、給水時の水跳ねを効果的に防いで衝撃音を低減できると共に、ロータンクの蓋内側に水滴が付着して、カビの発生あるいは蓋を外す時に水垂れが発生するという問題も同時に解消できるものである。
【0038】
また請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の効果に加えて、水平方向の邪魔板における給水が当たる給水接触部の周辺に切り溝を設けて、給水接触部を下方に向かって弾性変形可能としたので、つまり、邪魔板の給水接触部に切り溝を設けて板バネの特性を持たせるようにしたから、給水の衝撃によって板バネ状の給水接触部が下方に弾性変形して、衝撃を緩和することができると共に、下方に変形することで、水平面が生じないため、上方への水跳ねが起こりにくくなる。しかも、邪魔板の一部に切り溝を入れるだけでよいので、部品点数を増加させることがなく、簡単な構造で水跳ね防止効果が得られる。この結果、便器と密結する構造を有したコンパクト形のロータンクであってその内部に水平方向の邪魔板を収納したものにおいて、給水時の水跳ねを効果的に防いで衝撃音を低減できると共に、ロータンクの蓋内側に水滴が付着して、カビの発生あるいは蓋を外す時に水垂れが発生するという問題も同時に解消できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の一例を示す側面断面図である。
【図2】 同上のロータンクの凹所に温水洗浄装置を収納した状態を説明する正面断面図である。
【図3】 (a)は同上のロータンクの斜視図、(b)は底面図、(c)は正面図、(d)は側面図である。
【図4】 本発明の他の実施形態の側面断面図である。
【図5】 本発明の更に他の実施形態の側面断面図である。
【図6】 本発明の更に他の実施形態の側面断面図である。
【図7】 本発明の更に他の実施形態の側面断面図である。
【図8】 本発明の更に他の実施形態の平面断面図である。
【図9】 同上の側面断面図である。
【図10】 (a)は同上の邪魔板の平面図、(b)は(a)のN−N線に沿う断面図である。
【図11】 (a)は同上の邪魔板の他例の平面図、(b)は更に他例の斜視図である。
【図12】 本発明の更に他の実施形態の平面図である。
【図13】 従来のロータンクの内部構造の説明図である。
【図14】 ロータンクに凹所を設けた場合の排水弁に給水圧力がかかる場合を説明する参考図である。
【符号の説明】
1 便器
2 温水洗浄装置
3 ロータンク
3a ロータンク壁
4 凹所
5 給水部
6 吐出口
7 排水口
8 排水弁
8a 背面
8b 開放面
9 水平方向の邪魔板
10 垂直方向の邪魔板
11 通水用隙間
12 ガイド水路
50 給水接触部
51 切り溝
A 水平方向
B 垂直方向
Claims (6)
- 温水洗浄装置付き便器の後部に設置されるロータンクの構造において、ロータンクの前面下部にその内部に向かって凹没した凹所を形成し、この凹所内に温水洗浄装置を収納可能にすると共に、ロータンク内の底面の排水口を開閉するための排水弁の上方に水平方向に邪魔板を配置し、ロータンク内の上部に配置される給水部の吐出口と上記排水弁とがほぼ垂直線上に配置されており且つ給水部の吐出口と上記排水弁との間の水路を上記邪魔板により水平方向に仕切るようにしたことを特徴とするロータンクの構造。
- 水平方向の邪魔板の下方に垂直方向の邪魔板を設けたことを特徴とする請求項1記載のロータンクの構造。
- 水平方向の邪魔板とロータンク壁との間に、排水弁の開放面に向かって水を送り込むための通水用隙間を設けたことを特徴とする請求項1記載のロータンクの構造。
- 排水弁の開放動作時に、排水弁の開放面に向かって水を強制的に送り込むためのガイド水路を設けたことを特徴とする請求項1記載のロータンクの構造。
- 水平方向の邪魔板における給水が当たる給水接触部の断面形状を上方に向かって凸となった略半球状に形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のロータンクの構造。
- 水平方向の邪魔板における給水が当たる給水接触部の周辺に切り溝を設けて、給水接触部を下方に向かって弾性変形可能としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のロータンクの構造。
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Publications (2)
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