JP7393760B2 - セメントペースト、モルタル、モルタルの製造方法、及び耐火性木製構造部材 - Google Patents

セメントペースト、モルタル、モルタルの製造方法、及び耐火性木製構造部材 Download PDF

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Description

本発明は、セメントペースト、セメントペーストの製造方法、及び耐火性木製構造部材に関し、特に、木製構造部材への塗布施工用のセメントペースト、セメントペーストの製造方法、及び耐火性木製構造部材に関する。
従来、建築物の荷重を支える梁や柱などの構造部には木材以外では鉄骨や鉄筋コンクリートが採用されるのが一般的であるが、森林の新陳代謝を高めて森の保存を図るという観点から、構造部材料として木材の比率を高めていこうという提案がなされている。
しかしながら、構造部材料として木材を用いる場合、鉄骨等と比べて耐火性能が劣る点が問題となる。特許文献1は、耐火性能を向上させた木製建築部材を開示する。具体的には、特許文献1の木製建築部材は、荷重を受ける長尺且つ短矩形の構造部と、構造部の横断面の四方をその全長にわたって被覆する被覆部と、構造部と被覆部との間に介在する石膏ボードと、を有する。
これによれば、木造建築物に火災が発生した場合に、構造部が石膏ボードに覆われているので火炎にさらされず炭化がごく緩やかに進行し、短時間で焼失することがない。
特許第4359275号公報
特許文献1の木製建築部材によれば、耐火性能が向上し、火災発生から木造建築物倒壊までの時間をかせぐことができるものの、石膏ボードを使用する必要があるため、商業的に実施するとなると石膏ボードの保管設備(および必要により製造設備)が必要となり、また、木製建築部材は現場で組み立てられるため、現場まで石膏ボードを運搬する手間がかかることとなる。
そこで、石膏ボードの保管や運搬の手間を解消するため、発明者らが耐火性能を付与する構造部分について石膏ボードに代えてセメントペーストを現場塗りすることを検討したところ、普通にセメントに水のみを添加した場合やセメントに砂などの細骨材と水のみを添加した場合にはセメントペーストがゾル状となり、柱材の垂直な側面に塗布すると大量の液ダレが発生し、求める耐火性能を満たす塗布厚さを確保できないことがわかった。
ここで、竹小舞のような骨組みを設けておけば塗布厚さを向上させることは可能であるものの、骨組みの作成に今度は別途の手間を要することとなってしまう。
上記課題に鑑みてなされた本発明の目的は、骨組みを別途設けることなく、木造建築物の梁・柱等の構造部に耐火性能に寄与する厚さで塗布可能なセメントペーストを提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、木製構造部材への塗布施工用のセメントペーストであって、セメントと、水と、繊維材と、を含むことを特徴とする。
この発明によれば、添加された繊維材によりセメントペーストの粘度及び凝集性が向上し、あるいはゲル化することで、セメントペーストを柱・梁材の垂直側面に塗布した場合に生じる液ダレを抑制できる。よって、木造建築物の梁・柱等の構造部に耐火性能に寄与する厚さでセメントペーストを塗布することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のセメントペーストにおいて、さらに、珪砂を含むことを特徴とする。
この発明によれば、珪砂の主成分は二酸化ケイ素であることから、得られた硬化物の不燃性が向上するとともに、二酸化珪素により酸素の透過が抑制され、硬化物で覆われた内部の構造体の燃焼も遅延させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のセメントペーストにおいて、前記セメントが、硬化時に水和物を有する結晶を形成する無収縮セメントであることを特徴とする。
この発明によれば、硬化物が水和物の形の水と強く結合しているため、火災が発生した際にはこの水の蒸発時の吸熱反応で周囲温度が低下し、硬化物周囲に位置する構造物の燃焼を遅延させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1~3の何れか一項に記載のセメントペーストにおいて、前記繊維材として、液温50℃±1℃の1.0重量%濃度のNaOH水溶液に3600時間浸漬後の引張強さが前記浸漬前の引張強さと比較して70%以上の高分子材料が用いられることを特徴とする。
この発明によれば、セメントペースト内部は強アルカリ性条件下にあるところ、繊維材が強アルカリ条件下でも強度を維持し得ることから、硬化前には厚塗りに必要なセメントペーストの粘度を維持することができ、硬化後には得られた硬化物の強度を維持することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のセメントペーストにおいて、前記セメント100質量部に対して10質量部以上20質量部以下の前記水を含み、前記繊維材をセメントペーストの全質量に対して0.2質量%以上1.0質量%以下の割合で含むことを特徴とする。
この発明は珪砂を含まないセメントペーストの好適な配合を例示したものであり、この構成によれば、繊維材によりセメントの粘度が向上し、あるいはゲル化し、木造建築物の梁・柱等の構造部に耐火性能に寄与する厚さでセメントペーストを塗布することが可能となる。
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載のセメントペーストにおいて、前記セメント100質量部に対して、それぞれ、5質量部以上20質量部以下の水及び55質量部以上70質量部以下の珪砂を含み、前記繊維材をセメントペーストの全質量に対して0.05質量%以上1.8質量%以下の割合で含むことを特徴とする。
この発明は珪素を含むセメントペーストの好適な配合を例示したものであり、この構成によれば、繊維材によりセメントの粘度が向上し、あるいはゲル化し、木造建築物の梁・柱等の構造部に耐火性能に寄与する厚さでセメントペーストを塗布することが可能となる。
請求項7に記載の発明の耐火性木製構造部材は、柱状の木製構造部材と、該木製構造部材の側周面を被覆する、請求項1~6の何れか一項に記載のセメントペーストの硬化物からなる被覆部と、を有することを特徴とする。
この発明によれば、木造建築物の側周面が厚塗りしたセメントペーストの硬化物からなる被覆材で被覆されることから、耐火性が向上した木製構造部材を提供することができる。また、この被覆材は工場で施工されたものを現場へと運搬するのではなく、セメントペースト現場で木製構造部材の側周面に塗布することで設けることができることから、従来の石膏ボード等の大型資材の保管場所を必要とせず、また、その大型資材の製造設備も不要となる。
請求項8に記載の発明のセメントペーストの製造方法は、セメント、水、繊維材及び珪砂を含む、木製構造部材への塗布施工用のセメントペーストの製造方法であって、セメント及び珪砂を含む粉体(但し、繊維材を除く)を混合し、粉体混合物を得る粉体混合工程と、前記粉体混合物に前記水を添加して混練し、混練物を得る第1混練工程と、前記混練物に前記繊維材を添加してさらに混練し、セメントペーストを得る第2混練工程と、を含むことを特徴とする。
この発明によれば、添加された繊維材によりセメントペーストの粘度及び凝集性が向上し、あるいはゲル化することで、セメントペーストを柱・梁材の垂直側面に塗布した場合に生じる液ダレを抑制できる。よって、木造建築物の梁・柱等の構造部に耐火性能に寄与する厚さでセメントペーストを塗布することが可能となる。
また、本発明のセメントペーストの製造方法により粉体混合工程、第1混練工程及び第2混練工程を経ることで、各材料の分散性が向上し、むらのない厚塗りを可能とするセメントペーストを提供することが可能となる。
本発明によれば、添加された繊維材によりセメントの粘度及び凝集性が向上し、あるいはゲル化することで、セメントペーストを柱・梁材の垂直側面に塗布した場合に生じる液タレを抑制できる。よって、木造建築物の梁・柱等の構造部に耐火性能に寄与する厚さでセメントペーストを塗布することが可能となる。これにより、従来の石膏ボードを使用する場合と比較して、現場にて簡便に木造建築物の構造部に耐火性を付与することができるとともに、本発明のセメントペーストの普及により、構造部材料としての木材の利用を推進することができる。
<セメントペースト>
本発明のセメントペーストは、木製構造部材への塗布施工用のセメントペーストであって、セメントと、水と、繊維材と、を含む。
木製構造部材については、耐火性木製構造部材の項目にて後述する。
セメントは、水で練ったときに硬化性を示す無機質接合材であり、本発明においては、水硬性セメントを用いる。水硬性セメントとしては、ポルトランドセメント、水硬性石灰、ローマンセメント、天然セメントなどの単味セメントを用いてもよく、石灰混合セメント、混合ポルトランドセメントなどの混合セメントを用いてもよい。
なかでも、セメントが、硬化時にセメント水和物の結晶を形成する無収縮セメントであることが好ましい。本発明において、無収縮セメントとは、ポルトランドセメント等のわずかに収縮性を示すセメントの収縮を相殺し得る程度に膨張する膨張性セメントのことをいうものとする。
セメント水和物の結晶としては、アルミン酸カルシウム水和物、ケイ酸カルシウム水和物、セメントバチルス系などが挙げられるが、多量の結晶水を有するセメントバチルス系が特に好ましい。セメントペーストの硬化物が多量の水和物を内包することで、火災時のこの水の蒸発による吸熱効果をより高めることができるからである。セメントバチルス系としては、例えば、3CaO・Al・3CaSO・(30~32)HO(エトリンガイト)、3CaO・Al・CaSO・12HO、3CaO・Fe・3CaSO・32HO、3CaO・Al・3CaSiO・12HO、3CaO・Al・3CaSiO・32HO、3CaO・Al・CaCl・10HO、3CaO・Al・CaCO・nHOが挙げられる。
硬化時にセメント水和物の結晶を形成するためには、セメント中に膨張材を添加することが挙げられ、膨張材としては、エトリンガイトを生成させるカルシウムサルホアルミネート系膨張剤が挙げられる。カルシウムサルホアルミネート系膨張剤としては、アルミン酸三カルシウム(C3A)と石膏との組み合わせ、遊離石灰とアウインと無水石膏との組み合わせ、などが挙げられる。膨張剤の市販品としては、石灰系膨張剤の太平洋ハイパーエクスパン(太平洋マテリアル社製)、エトリンガイト-石灰複合系のスーパーサクス(住友大阪セメント社製)、同じくエトリンガイト-石灰複合系のデンカパワーCSA(デンカ社製)が挙げられる。
硬化時にセメント水和物の結晶を形成する無収縮セメントの市販品としては、エスセイバー(日鉄住金セメント社製)、MG-15Mスーパー(三菱マテリアル社製)、グラウトミックスF(トクヤマ社製)、ノンシュリンクグラウト(シンコー社製)などが挙げられる。
繊維材は、主にセメントペーストに粘性及び凝集性を付与する目的で添加される。繊維材は、セメントペーストに粘性及び凝集性を付与し得るものであればどのようなものであっても良く、植物繊維、ガラス繊維、金属繊維、カーボン繊維、高分子材料繊維など、種々のものから選択することができる。また、繊維材はセメントペーストの硬化物の強度向上にも寄与する。
繊維材としては、ペースト内での分散性の観点からは比重がセメントペーストに近いものが好ましく、具体的には、ガラス繊維、カーボン繊維、高分子材料繊維であることが好ましく、さらにコストと強度の兼ね合いから、高分子材料繊維を用いることが最も好ましい。
また、繊維材は高アルカリ性のセメントペースト中に添加され、硬化後にも存在し続けることとなることから、硬化後の強度維持の観点からアルカリ耐性のものが好ましい。
具体的には、液温50℃±1℃の1.0重量%濃度のNaOH水溶液に3600時間浸漬後の引張強さが前記浸漬前の引張強さと比較して70%以上の繊維材が用いられることが好ましい。
上記引張強さの測定と、高アルカリ性水溶液への浸漬試験は、混合補強土の技術開発に関する共同研究報告書第168号10~13頁(建設省土木研究所著、1997年3月出版)の記載を参考にして実施することができる。
また、引張強さは、例えば、JIS L1013:2010に準拠した方法にて測定されるものとする。
液温50℃±1℃の1.0重量%濃度のNaOH水溶液に3600時間浸漬後の引張強さが前記浸漬前の引張強さと比較して70%以上の高分子材料の繊維材としては、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維が挙げられるが、これに限られるものではない。
なお、繊維材の長さとしては、セメントペーストの塗布厚さ以下であればどのようなものであってもよいが、好ましくは、1μm以上3mm以下であり、より好ましくは10μm以上1mm以下である。
さらに、本発明のセメントペーストは珪砂を含むことが好ましい。珪砂の主成分は二酸化ケイ素であることから、得られた硬化物の不燃性が向上するとともに、二酸化ケイ素により酸素の透過が抑制されることから、硬化物で木製構造部材が被覆された場合には、木製構造部材の燃焼を遅延させることができる。
珪砂は市販のものを使用することができ、2号から8号までの大きさのものを用いることができ、好ましくは4号から6号のものが用いられる。
セメントペーストは、珪砂を含まない場合、好ましくはセメント100質量部に対して10質量部以上20質量部以下、特に、13質量部以上18質量部以下の水を含み、繊維材をセメントペーストの全質量に対して0.2質量%以上1.0質量%以下、特に、0.2質量%以上0.6質量%以下の割合で含む。
一方、珪砂を含む場合、セメントペーストは、セメント100質量部に対して好ましくは5質量部以上20質量部以下、特に、10質量部以上20質量部以下の水と、セメント100質量部に対して55質量部以上70質量部以下、特に、57質量部以上65質量部以下の珪砂と、を含み、繊維材をセメントペーストの全質量に対して0.05質量%以上1.8質量%以下、特に、0.1質量部以上1.0質量部以下の割合で含む。
本発明のセメントペーストは、上記セメント、水、繊維材、珪砂、膨張剤以外に、他の成分を含んでいてもよい。本発明のセメントペーストが含有することができる他の成分としては、増粘剤(セルロース系増粘剤、タンパク質系増粘剤等)、消泡剤(シリコーン系消泡剤、鉱物油系消泡剤等)、凝結遅延剤など、公知慣用の添加剤を挙げることができる。
<セメント系グラウト材の製造方法>
また、本発明は、セメント、水、繊維材及び珪砂を含む、木製構造部材への塗布施工用のセメント系グラウト材の製造方法を提供する。
本発明のセメント系グラウト材の製造方法は、粉体混合工程と、第1混練工程と、第2混練工程と、を含む。
[粉体混合工程]
粉体混合工程は、セメント及び珪砂を含む粉体(但し、繊維材を除く)を混合し、粉体混合物を得る工程である。本工程には、本技術分野において周知のハンドミキサー、パン型ミキサーなどを用いることができ、条件としては材料に水を加えない空練り条件にて、約30秒~2分間の空練りを行うことにより実施される。
[第1混練工程]
第1混練工程は、粉体混合工程で得られた粉体混合物に水を添加して混練し、混練物を得る工程である。混練には、上記ハンドミキサー、パン型ミキサーなどをそのまま用いることができ、混練速度、混練時間については、各ミキサーに好適とされる条件を適宜に選択することができる。一例としては、水を加えてさらに約30秒~2分の混練を行うことができる。
[第2混練工程]
第2混練工程は、第1混練工程で得られた混練物に繊維材を添加してさらに混練し、セメントペーストを得る工程である。第2混練工程は、第1混練工程で用いたミキサーを用いてそのまま実施することができる。
繊維材は、予め好適な量を決定し、その量を添加して混練することとしてもよいが、繊維材を少量ずつ添加して一定時間混練し、所望の粘度が得られた時に繊維材の添加と、混練と停止することとしてもよい。一例としては、繊維材添加後、約1分~3分の混練を行うことができる。
本発明のセメントペーストの製造方法によれば、配合成分の分散性に優れ、塗布に適した凝集性及び付着性を有するセメントペーストを得ることができる。
<耐火性木製構造部材>
本発明の耐火性木製構造部材は、柱状の木製構造部材と、該木製構造部材の側周面を被覆する本発明のセメントペーストの硬化物の被覆部と、を有する。
木製構造部材は、建物の骨組みに用いられる柱状の木製部材であり、建物内で縦方向に設けると柱となり、水平方向に設けると梁となる。形状としては、柱状であればよく、円柱、四角柱、円錐台あるいは倒置された円錐台など、種々の形状を挙げることができる。
また、木製構造部材は、建物の自重や積雪、風、地震などの外力などの各種荷重を考慮して必要な強度を有していればどのように形成されていてもよい。例えば、1本の原木から形成されてもよく、圧縮成形されたものであってもよい。また、所定寸法に切断した木材板やその圧縮材を接着集成してなる集成材であってもよい。
この木製構造部材の側周面にセメントペーストが塗布され、その硬化物により被覆部が形成される。
被覆部は、木製構造部材の耐火性向上の観点からは、木製構造部材の側周面の全周に亘って設けられていることが好ましいが、経済的な観点から、火災の影響を受けやすい面(例えば、建物の室内側の側周面や建物の室外側の側周面など)に限定して被覆部を設けることとしてもよい。
被覆部の厚さは、耐火性向上の観点から1cm以上であればよく、好ましくは2cm以上、特に3cm以上であることが好ましい。ここで、被覆部の厚さとは、本明細書ではセメントペーストの収縮を考慮せず、セメントペーストの塗布直後の塗り厚さをそのまま被覆部の厚さとして表現しているものとする。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、本発明の耐火性木製構造部材は、柱状の木製構造部材が被覆部によって被覆されているが、被覆部自体をさらに化粧板材等で被覆していてもよい。これによれば、耐火性木製構造部材の意匠性が向上するだけでなく、それぞれ、火災に際には化粧板材が燃えしろ部、被覆部が構造部材の耐火性を確保する燃えどまり部、内部の木製構造部材は構造材としての強度を担保する荷重支持部、の各役割を発揮することができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<1.実施例1~3及び比較例1のセメントペーストの調整>
1-1.実施例1
セメント(エスセイバー、日鉄住金セメント社製)10質量部に対して水1.5質量部を添加し、ハンドミキサー(UT1305、マキタ社製)を用いて1分間混練した。得られた混練物に繊維材(パワロンRM182×6D)0.03質量部を添加してさらに上記ハンドミキサーで2分間混練し、実施例1のセメントペーストを得た。
1-2.実施例2
セメント(エスセイバー、日鉄住金セメント社製)11.1質量部及び珪砂(珪砂5号、JFEミネラル社製)6.67質量部を混合し、ハンドミキサー(UT1305、マキタ社製)を用いて30秒間の空練り(混合)を行った。得られた粉体混合物に水2.08質量部を添加し、上記ハンドミキサーでさらに1分間の混練を行った。得られた混練物に繊維材(クラテックRF4000×30mm、クラレ社製)0.083質量部を添加して上記ハンドミキサーでさらに2分間混練し、実施例2のセメントペーストを得た。
1-3.実施例3
セメント(エスセイバー、日鉄住金セメント社製)11.05質量部及び珪砂(珪砂5号、JFEミネラル社製)6.96質量部を混合した。得られた粉体混合物に水1.98質量部を添加して混練した。得られた混練物に繊維材(ZL 59dtex×6mm、ダイワボウ社製)0.03質量部を添加してさらに混練し、実施例3のセメントペーストを得た。なお、使用した装置及び撹拌の条件は、実施例2と同一である。
1-4.比較例1
セメント(エスセイバー、日鉄住金セメント社製)8.75質量部に対して水1.86質量部を添加して混練し、比較例1のセメントペーストを得た。なお、使用した装置及び混練の条件は、実施例1と同一である。
<厚塗り試験>
<1.実施例1~3及び比較例1のセメントペーストの調整>で調整した各セメントペーストを、略垂直に立てて設けた巾約30cm、高さ約60cmの板材の側面に同じ厚みとなるようにコテで塗り付け、塗り付けることができた厚みを以下の基準で評価した。
◎ 3cm以上
○ 2cm以上3cm未満
△ 1cm以上2cm未満
× 1cm未満
厚塗り試験の結果を表1に示す。
Figure 0007393760000001
表1に示す結果から、実施例の繊維材を配合したセメントペーストは、板材への塗布厚を少なくとも1cm以上とすることができることがわかる。

Claims (6)

  1. 木製構造部材への1cm以上の厚さでの塗布施工用のセメントペーストであって、
    セメントと、水と、繊維材と、を含み、
    前記セメントが、硬化時に水和物を有する結晶を形成する無収縮セメントであり、
    前記セメント100質量部に対して10質量部以上20質量部以下の前記水を含み、
    前記繊維材をセメントペーストの全質量に対して0.2質量%以上1.0質量%以下の割合で含むことを特徴とするセメントペースト。
  2. 前記繊維材として、液温50℃±1℃の1.0重量%濃度のNaOH水溶液に3600時間浸漬後の引張強さが前記浸漬前の引張強さと比較して70%以上の高分子材料が用いられることを特徴とする請求項1に記載のセメントペースト。
  3. 木製構造部材への1cm以上の厚さでの塗布施工用のモルタルであって、
    セメントと、水と、繊維材と、珪砂と、を含み、
    前記セメントが、硬化時に水和物を有する結晶を形成する無収縮セメントであり、
    前記セメント100質量部に対して、それぞれ、5質量部以上20質量部以下の水及び55質量部以上70質量部以下の珪砂を含み、
    前記繊維材をモルタルの全質量に対して0.05質量%以上1.8質量%以下の割合で含むことを特徴とするモルタル
  4. 柱状の木製構造部材と、
    該木製構造部材の側周面を被覆する、請求項1若しくは2に記載のセメントペースト又は請求項3に記載のモルタルの硬化物からなる被覆部と、
    を有することを特徴とする耐火性木製構造部材。
  5. 前記被覆部の厚さが1cm以上であることを特徴とする請求項に記載の耐火性木製構造部材。
  6. セメント、水、繊維材及び珪砂を含む、木製構造部材への1cm以上の厚さでの塗布施工用のモルタルの製造方法であって、
    セメント及び珪砂を含む粉体(但し、繊維材を除く)を混合し、粉体混合物を得る粉体混合工程と、
    前記粉体混合物に前記水を添加して混練し、混練物を得る第1混練工程と、
    前記混練物に前記繊維材を添加してさらに混練し、モルタルを得る第2混練工程と、
    を含み、
    前記セメントが、硬化時に水和物を有する結晶を形成する無収縮セメントであり、
    前記セメント100質量部に対して、それぞれ、5質量部以上20質量部以下の水及び55質量部以上70質量部以下の珪砂を含み、
    前記繊維材をモルタルの全質量に対して0.05質量%以上1.8質量%以下の割合で含むことを特徴とするモルタルの製造方法。
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