以下、図を参照しながら、この発明の作業現場安全管理システム、作業現場安全管理サーバ、作業現場安全管理方法の一実施の形態について説明する。例えば、物流拠点、建設現場、採石場などといった種々の作業現場においては、種々の作業用移動体(運搬作業用の大型機械や建設作業用の大型機械)が使用され、その周囲で作業員が作業する場合が多い。この発明は、作業用移動体と作業員が混在して作業を行う種々の作業現場において安全管理のために利用できるものである。
以下においては、この発明を具体的に説明するため、主にコンテナを集積して効率よく運搬できるようにする物流拠点が作業現場である場合を例にして説明する。また、作業現場である物流拠点においては、トップリフター、ストラドルキャリア、リーチスタッカ、ガントリークレーンといった種々の作業用移動体が使用されるが、作業用移動体としてトップリフターが使用される場合を例にして具体的に説明する。従って、トップリフターを他の作業用移動体に置き換えることにより、種々の作業現場において、種々の作業用移動体を用いる場合にも、この発明を適用できることが分かる。
[実施の形態の作業現場安全管理システムの全体構成例]
図1は、実施の形態の作業現場安全管理システムの全体構成例を説明するための図である。この実施の形態の作業現場安全管理システムは、ネットワーク2を通じて、作業現場安全管理サーバ1と、管理端末3と、作業員端末5(1)、5(2)、…と、移動体端末9(1)、9(2)、…とが接続されて、相互に無線通信が可能になっている。また、作業員4(1)、4(2)、…が作業現場において所持する工具箱6(1)、6(2)、…に設けられている回転灯や作業現場の随所に設けられている現場回転灯7(1)、…などを、ネットワーク2を通じて、作業現場安全管理サーバ1から遠隔制御できる。
ネットワーク2は、主にはインターネットであるが、例えば作業員端末5(1)、5(2)、…や移動体端末9(1)、9(2)、…などからインターネットまでを接続する携帯電話網などを含む。従って、図1において、基地局2B(1)、2B(2)、…のそれぞれは、携帯電話網の基地局である。また、工具箱6(1)、6(2)、…に設けられている回転灯や作業現場の随所に設けられている現場回転灯7(1)、…等を作業現場安全管理サーバ1から遠隔制御する場合にも、インターネット及び携帯電話網を通じて無線通信により行う。
なお、携帯電話網は、いわゆる第三世代(3G)、LTE(Long Term Evolution)、第4世代(4G)、第5世代(5G)等のいずれの世代の通信方式を用いるものであってもよい。また、ネットワーク2には、作業現場の状況などに応じて、例えば、Wi-Fi(登録商標)規格の無線LAN(Local Area Network)やその他の近距離無線通信規格に準拠した無線ネットワークを含むように構成することも可能である。この場合には、作業員端末5(1)、5(2)、…等は、無線LANやその他の近距離無線通信規格に準拠した無線ネットワークのアクセスポイントを経由してインターネットに接続されることになる。
また、端末に応じて、インターネットまでの接続経路を変えることも可能である。例えば、作業員端末5(1)、5(2)、…や移動体端末9(1)、9(2)、…は、携帯電話網を通じてインターネットに接続する。一方、工具箱6(1)、6(2)、…に設けられている回転灯や作業現場の随所に設けられている現場回転灯7(1)、…は、無線LANやその他の近距離無線通信規格に準拠した無線ネットワークを経由してインターネットに接続する。このように、インターネットまでの接続経路を、各端末などの用途や機能などに応じて使い分けるようにすることも可能である。
作業現場安全管理サーバ(以下、管理サーバと記載する。)1は、後述する作業員端末5(1)、5(2)、…や移動体端末9(1)、9(2)、…からの現在位置を示す情報(測位位置)に基づいて、当該作業現場における作業員や作業用移動体の位置関係を管理する。管理サーバ1は、作業用移動体同士が接近しすぎいたり、作業用移動体と作業員とが接近しすぎたりした場合に、これを検知して当事者双方に報知する機能を有する。また、例えば危険度が高い特定エリアに作業用移動体や作業員が進入した場合に、これを検知して、進入した作業用移動体のオペレータや作業員に報知する機能を有する。当該報知は、作業員端末5(1)、5(2)、…や移動体端末9(1)、9(2)、…を通じて行ったり、工具箱6(1)、6(2)の回転灯や現場回転灯7(1)を通じて行ったりすることができる。
管理端末3は、例えばパーソナルコンピュータにより実現されるものであり、作業現場の管理棟や管理事務所などといった管理セクションに配置されて使用される。管理端末3は、管理サーバ1からの当該作業現場における作業用移動体や作業員の位置を示す画像情報などの提供を受けて、これをディスプレイの表示画面に表示し、担当者が確認できるようにする。管理端末3を使用する担当者は、作業現場における作業用移動体や作業員の位置関係をリアルタイムに把握することが可能になり、必要な場合には、ネットワーク2を通じて、移動の指示を出したり、退避の指示を出したりすることもできる。
作業員端末5(1)、5(2)、…は、当該作業現場に出て作業を行う作業員4(1)、4(2)、…のそれぞれが常時携帯(所持)するものである。この実施の形態において、作業員4(1)、4(2)、…は、作業用移動体8(1)、8(2)、…のオペレータ(運転者)以外の者であり、当該作業現場に出て作業するものである。従って、作業員4(1)、4(2)、…のそれぞれは、作業用移動体8(1)、8(2)、…などと接触する可能性のある者といる。
作業員端末5(1)、5(2)、…は、いわゆるGPS(Global Positioning System)トラッカーなどと呼ばれるものであり、通信機能と現在位置の測位機能とを有する。作業員端末5(1)、5(2)、…は、所定のタイミングごと(例えば、1秒ごと)に複数の人工衛星G(1)、G(2)、…からの信号を受信して、自機の現在位置を測位する。作業員端末5(1)、5(2)、…は、現在位置を測位するごとに、自機の識別IDと測位した現在位置とを含む作業員位置情報を生成し、ネットワーク2を通じて管理サーバ1に送信する。
これにより、管理サーバ1において、作業員4(1)、4(2)、…の現在位置を、ほぼリアルタイムに把握できる。すなわち、作業員端末5(1)、5(2)、…のそれぞれは、作業現場において作業員が常時携帯(所持)して使用されるものである。従って、作業員端末5(1)、5(2)、…のそれぞれにおいて測位される現在位置は、これらを携帯する作業員4(1)、4(2)、…のそれぞれの現在位置を示すものとなる。
従って、この明細書において、作業員端末5(1)、5(2)、…の現在位置(測位位置)は、これを所持する作業員4(1)、4(2)、…の現在位置を意味する。なお、この実施の形態において、各作業員4(1)、4(2)、…のそれぞれは、予め割り当てられた(決められた)作業員端末5(1)、5(2)、…を使用するようになっている。このため、作業員4(1)、4(2)、…と、作業員端末5(1)、5(2)、…とは、1対1に対応するようになっているものとする。
また、作業員端末5(1)、5(2)、…は、振動機構(バイブレータ)を備え、管理サーバ1からの遠隔制御に応じて振動を発生させ、これを所持する作業員4(1)、4(2)、…に対して、危険の発生などを報知(通知)する機能を備える。なお、作業員端末5(1)、5(2)、…のそれぞれは、同様に構成されるものあるので、以下においては、特に区別して示す必要がある場合を除き、作業員端末5と総称する。また、作業員(1)、4(2)、…についても、特に区別して示す必要がある場合を除き、作業員4と総称する。
工具箱6(1)、6(2)、…は、例えばコンテナの修理、補修などのために使用する種々の工具が収納されたものであり、作業員4(1)、4(2)、…のそれぞれが、作業現場において持ち歩き、自己の近傍に置いて使用するものである。このため、工具箱6(1)、6(2)、…のそれぞれには、通信機能と報知機能としての回転灯とが設けられている。これにより、工具箱6(1)、6(2)、…のそれぞれは、管理サーバ1からのネットワーク2を通じた遠隔制御に応じて回転灯を点灯及び回転させて、近傍に居る作業員4に対して、危険の発生などを報知する。
現場回転灯7(1)、…は、図1においては1つしか示していないが、当該作業現場の随所に設置されている電柱や支柱に設けられるものである。すなわち、当該作業現場には複数の現場回転灯7(1)、…が設けられている。現場回転灯7(1)、…のそれぞれは、当該作業現場内における設置位置が、管理サーバ1において管理されている。現場回転灯7(1)、…は、通信機能を備えており、管理サーバ1からのネットワーク2を通じた遠隔制御に応じて回転灯を点灯及び回転させて、近傍に居る作業員4に対して、危険の発生などを報知する。
なお、工具箱6(1)、6(2)、…のそれぞれは、同様に通信機能と報知機能としての回転灯を備えるものであるため、以下においては、特に区別して示す必要がある場合を除き、工具箱6と総称する。また。現場回転灯7(1)、…についても、そのそれぞれは同様に通信機能と回転灯とを備える構成を有するものであるため、特に区別して示す必要がある場合を除き、現場回転灯7と総称する。
この実施の形態において、作業用移動体8(1)、8(2)、…は、上述もしたように、物流拠点である当該作業現場において、コンテナを運搬するために用いられるトップリフターである。図2は、トップリフターである作業用移動体8(1)、8(2)、…の外観を説明するための図である。作業用移動体8(1)、8(2)、…のそれぞれは、この実施の形態においては同型のものであり、その機能、大きさなども同じであるため、特に区別して示す必要がある場合を除き、作業用移動体8と総称する。
トップリフターである作業用移動体8は、ISO(国際標準化機構)規格を満たす貨物用コンテナの天板四隅に在るツイストロックホールに嵌合してコンテナを吊り上げるスプレッダーを装備したフォークリフトの一種である。なお、ISO規格に準拠したコンテナには、長さ6058mm、幅2438mm、高さ2591mmのいわゆる20フィートコンテナや長さ12192mm、幅2438mm、高さ2591mmのいわゆる40フィートコンテナがある。作業用移動体8は、コンテナの積み下ろしやコンテナの作業現場内の移動に用いられる。トップリフターである作業用移動体8は、スプレッダーによりコンテナを吊り上げ、コンテナの4段積み、5段積みも可能なものである。
図1に示すように、作業用移動体8(1)、(2)、…のそれぞれには、移動体端末9(1)、9(2)、…が搭載される。移動体端末9(1)、9(2)、…のそれぞれは、同様に構成されるものである。このため、以下においては、特に区別して示す必要がある場合を除き、移動体端末9(1)、9(2)、…を、移動体端末9と総称する。移動体端末9は、タブレットPC(Personal Computer)などと呼ばれる携帯型の情報端末によって実現される。移動体端末9は、図2にも示したように、比較的に大きな表示画面を有する表示部を備えたものである。移動体端末9は、作業員端末5と同様に、通信機能と現在位置の測位機能とを有する。
移動体端末9は、所定のタイミングごと(例えば、1秒ごと)に複数の人工衛星G(1)、G(2)、…からの信号を受信して、自機の現在位置を測位する。移動体端末9は、現在位置を測位するごとに、自機の識別IDと測位した現在位置とを含む移動体位置情報を生成し、ネットワーク2を通じて管理サーバ1に送信する。これにより、管理サーバ1において、移動体端末9を搭載した作業用移動体8の現在位置を、ほぼリアルタイムに把握できる。
すなわち、移動体端末9は、作業現場において作業用移動体8に搭載されて(持ち込まれて)使用されるものであり、移動体端末9において測位される現在位置は、これが搭載された(持ち込まれた)作業用移動体の現在位置を示すものとなる。従って、この明細書において、移動体端末9の現在位置(測位位置)は、これが搭載された(持ち込まれた9作業用移動体8の現在位置を意味する。
また、移動体端末9は、比較的に大きな表示画面を有する表示部を備えているので、管理サーバ1より、自機の周囲に存在する他の作業用移動体や作業員の所在位置を示す画像情報の提供を受けて、これを表示部の表示画面に表示する。これにより、当該作業用移動体8のオペレータが、自分が操作する作業用移動体8の周囲の状況を適切に把握し、認識していなかった他の作業用移動体や作業員の存在を認識して、安全管理に資することができるようにしている。
また、移動体端末9は、表示部の他にも、音声の放音機能を備え、管理サーバ1からの遠隔制御に応じて、報知メッセージを表示部の表示画面に表示したり、放音機能によりアラーム音や音声メッセージを放音したりできる。これにより、作業用移動体8のオペレータに対して、危険の発生などを報知することができる。なお、移動体端末9は、作業用移動体8のコックピット(操縦席)の所定の場所に備えつけるようにすることもできるし、オペレータが作業用移動体8に持ち込んで、作業用移動体8のコックピットの所定場所に設置して使用することもできる。
この実施の形態荷おいては、作業用移動体8のオペレータは、自分が使用する作業用移動体8と移動体端末9とは、予め決まっているものとする。すなわち、作業用移動体8のオペレータと、作業用移動体8と、移動体端末9とは、1対1に対応するようになっているものとする。
このように、この実施の形態の作業現場安全管理システムは、管理サーバ1により、当該作業現場に現に存在する作業員と当該作業現場に現に存在する作業用移動体との位置を適切に管理することができる。これにより、当該作業現場の全体における作業員と作業用移動体との現在位置を適切に把握し、安全管理に資することができる。
図3は、作業現場における作業用移動体8と作業員4の位置関係の把握について説明するための図である。図3は、当該作業現場の全体を示す画像情報(作業現場画像情報)に対して、当該作業現場に現に存在する作業員と作業用移動体との位置を示している。作業現場画像情報は、例えば、予め作成された当該作業現場の地図情報、予め取得された当該作業現場の航空写真や衛星写真などであり、管理サーバ1の後述する記憶装置において記憶保持されているものである。図3において、三角形の図形で示しているのが作業員の位置であり、フォークリフトの図形で示しているのが作業用移動体の位置である。
作業員4の現在位置と作業用移動体8の現在位置は、例えば1秒ごとに送信されて来る作業員位置情報、移動体位置情報に応じて更新できる。このため、刻々と変化する作業員4の現在位置や作業用移動体8の現在位置をほぼリアルタイムの把握できる。従って、この発明は、個々の作業用移動体において、当該作業用移動体と作業員との位置関係を把握するものではない。
この発明は、管理サーバ1において、当該作業現場に現に存在する全ての作業員4と全ての作業用移動体8の相対的な位置関係を適切に把握することができる。これにより、管理サーバ1は、作業現場の全体に存在する作業員4及び作業用移動体8を管理し、近付きすぎた作業用移動体8同士のそれぞれに対して、また、近付きすぎた作業用移動体8と作業員とのそれぞれに対して、危険を適切に報知することができる。
この他にも、管理サーバ1においては、予め定められた特定エリアにおける作業員4と作業用移動体8の現在位置の管理や作業員4と作業用移動体の動線の把握などを行うこともできるようになっている。以下においては、管理サーバ1、管理端末3、作業員端末5、移動体端末9の構成と動作、工具箱6の報知機能、現場回転灯7の報知機能について、詳細に説明する。
[作業現場安全管理サーバ1の構成例]
図4は、管理サーバ1の構成例を説明するためのブロック図である。接続端子101Tは、ネットワーク2への接続端部を構成する。通信I/F101は、ネットワーク2を通じた通信機能を実現する。制御部102は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどが、バスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサである。制御部102は、ROMなどに記憶されているプログラムを実行し、管理サーバ1の全体を制御する。
記憶装置103は、例えば、ハードディスクとそのデバイスドライバとを備え、データの書き込み、読み出し、書き換え、削除などを行うものであり、種々の処理の途中結果を保持する作業領域としても用いられる。なお、記憶装置103には、上述した作業現場画像情報や後述する特定エリア管理情報なども記憶保持される。作業員マスタファイル104、移動体マスタファイル105、報知設備マスタファイル106、作業員位置履歴ファイル107、移動体位置履歴ファイル108は、ハードディスクなどの記録媒体とデバイスドライバとからなる記憶装置に形成される。
作業員マスタファイル104は、当該作業現場で作業する作業員に関する情報を記憶保持する。図5は、作業員マスタファイル104の格納データの例を説明するための図である。図5に示すように、作業員マスタファイル104は、作業員ID、作業員氏名、第1端末情報、第2端末情報、第3端末情報、その他の情報からなる作業員情報を記憶保持する。作業員IDは、当該作業現場にいて作業を行う作業員のそれぞれに割り当てられ、各作業員を一意に特定可能な作業員用の識別情報である。作業員氏名は、作業員IDによって特定される作業員の氏名である。第1端末情報、第2端末情報、第3端末情報のそれぞれは、当該作業員が所持する端末を特定するための情報である。その他の情報としては、例えば、担当作業、担当エリアなどの必要情報を管理することアできる。
図5に示した例の場合には、作業員IDが「0001」の作業員は、氏名が「〇〇〇〇」であり、3つの異なる端末を所持していることが管理されている。具体的に、第1端末として作業員端末IDが「XXX…」であるGPSトラッカーを所持し、第2端末として電話番号が「090…」である携帯電話端末を所持し、第3端末として工具箱IDが「AAA…」である工具箱を所持していることが管理されている。
同様に、図5に示した例においては、作業員IDが「0002」の作業員は、氏名が「□□□□」であり、3つの異なる端末を所持していることが管理されている。具体的に、第1端末として作業員端末IDが「YYY…」であるGPSトラッカーを所持し、第2端末として電話番号が「080…」である携帯電話端末を所持し、第3端末として工具箱IDが「BBB…」である工具箱を所持していることが管理されている。
なお、作業員端末ID及び工具箱IDは、ネットワーク2を通じて、各端末を一意に特定し、通信を可能にするための情報であり、具体的には、電話番号、IP(Internet Protocol)アドレス、URL(Uniform Resource Locator)などの情報である。この図5を用いて説明した作業員マスタファイル104の情報により、作業員4と携帯する端末とを関連付けて管理することができる。また、目的とする作業員端末5の作業員端末IDを特定し、その作業員端末IDを用いて、その作業員端末5に報知情報を送信したりすることが可能になる。
なお、工具箱まで端末として管理しているのは、上述もしたように、工具箱6は、通信機能と報知機能としての回転灯機構を備えているため、これを管理し、工具箱6の報知機能を通じて作業員に対して報知を行うためである。また、全ての作業員4が3つの異なる端末を必ず所持しているわけではない。全ての作業員4は、第1端末として作業員端末5であるGPSトラッカーを当該作業現場においては必ず携帯する。しかし、携帯電話端末と工具箱6は、必要に応じて所持する。
また、工具箱6は、作業員によって使用する工具が異なる場合もあるため、基本的には作業員ごとに使用するものが予め決まっている。もちろん、作業内容によっては、いつもと違う工具箱6を所持するといった場合もあると考えられる。この場合には、例えば、自己の携帯電話端末や管理端末3を通じて、管理サーバ1に対して、所持する工具箱6の変更を要求したり、所持する工具箱6に関する情報の削除を要求したりすることにより、工具箱6に関する情報の変更や削除もできる。もちろん、第1端末や第2端末についても、同様にして、変更や削除を管理サーバ1に要求し、変更や削除を実行することもできる。
移動体マスタファイル105は、当該作業現場において用いられる作業用移動体に関する情報を記憶保持する。図6は、移動体マスタファイル105の格納データの例を説明するための図である。図6に示すように、移動体マスタファイル105は、移動体ID、種別、全幅、全長、全高、オペレータID、オペレータ氏名、移動体端末ID、その他の情報からなる移動体情報を記憶保持する。移動体IDは、当該作業現場で用いられる作業用移動体のそれぞれに割り当てられ、各作業用移動体を一意に特定可能な作業用移動体用の識別情報である。種別は、当該作業用移動体が、どのような移動体なのかを示すものである。全幅、全長、全高は、当該作業用移動体のサイズ(大きさ)を示す情報であり、当該作業用移動体の危険範囲を特定する場合の基本情報となる。
オペレータIDは、当該作業用移動体を操作するオペレータのそれぞれに割り当てられ、各オペレータを一意に特定可能なオペレータ用の識別情報である。オペレータ氏名は、オペレータIDによって特定されるオペレータの氏名である。移動体端末IDは、作業用移動体に搭載される移動体端末9のそれぞれに割り当てられ、各移動体端末9を一意に特定可能な移動体端末用の識別情報である。その他の情報として、例えば、使用時間、修理履歴などの必要情報を管理することも可能である。
図6に示した例の場合には、移動体IDが「TL001」の作業用移動体は、種別が「トップリフター」で、その作業用移動体の全幅は「4000mm」、全長は「10265mm」、全高は「8575mm」であることが管理されている。更に、当該作業用移動体の操作者は、オペレータIDが「0012」の氏名が「△△△△」で特定される者であり、搭載される移動体端末の移動体端末IDは「12345…」であることが管理されている。
同様に、図6に示した例の場合には、移動体IDが「TL002」の作業用移動体は、種別が「トップリフター」で、その作業用移動体の全幅は「4000mm」、全長は「10265mm」、全高は「8575mm」であることが管理されている。更に、当該作業用移動体の操作者は、オペレータIDが「0210」の氏名が「〇△□□」で特定される者であり、搭載される移動体端末の移動体端末IDは「24689…」であることが管理されている。
なお、移動体端末IDは、ネットワーク2を通じて、各移動体端末9を一意に特定し、通信を可能にするための情報であり、具体的には、電話番号、IPアドレス、URLなどの情報である。この図6を用いて説明した移動体マスタファイル105の情報により、各作業用移動体と移動体端末とを紐付けると共に、各作業用移動体が、どのような作業用移動体で、その大きさはどの位で、誰が操作するのかを管理することができる。
また、この図6を用いて説明した移動体マスタファイル105の情報により、作業用移動体8と、これに搭載される移動体端末9とを関連付けて管理することができる。また、目的とする移動体端末9の移動体端末IDを特定し、その移動体端末IDを用いて、その移動体端末9に報知情報を送信したりすることが可能になる。
また、基本的には、作業用移動体のオペレータごとに、操作する作業用移動体8と、使用する移動体端末9とは、予め決まっている。しかし、これが変わる場合には、例えば、管理端末3を通じて、管理サーバ1に対して、操作する作業用移動体8や使用する移動体端末9の変更を要求することにより、移動体マスタファイル105の情報を変更することができる。すなわち、作業用移動体8と移動体端末9とオペレータとの関連付けは、適宜の変更が可能である。
報知設備マスタファイル106は、当該作業現場の随所に設けられた現場回転灯7などの報知設備に関する情報を記憶保持する。図7は、報知設備マスタファイル106の格納データの例を説明するための図である。図7に示すように、報知設備マスタファイル106は、設備ID、設備種別、装置ID、設置位置、その他の情報からなる報知設備情報を記憶保持する。設備IDは、当該作業現場に設けられた報知設備のそれぞれに割り当てられ、各報知設備を一意に特定可能な報知設備用の識別情報である。設備種別は、当該報知設備が、どのような設備なのかを示すものである。
装置IDは、当該報知設備を無線通信により遠隔操作するために、当該報知設備が備える通信機能に対してアクセスするための識別情報である。具体的に、装置IDは、電話番号やIPアドレスやURLなどの情報である。設置位置は、当該報知設備が設置されている当該作業現場の位置を示す緯度、経度である。その他の情報としては、例えば、当該報知設備が現場回転灯7である場合に、当該現場回転灯7が見える範囲(エリア)を示す情報などを管理することができる。
図7に示した例の場合には、設備IDが「LT001」の報知設備は、設備種別が「回転灯」で、装置IDが「ABCD…」で、設置位置が、緯度NXXXXXX、経度EYYYYYYであることが管理されている。また、図7に示した例の場合には、設備IDが「LT002」の報知設備は、設備種別が「回転灯」で、装置IDが「3246…」で、設置位置が、緯度NAAAAAA、経度EBBBBBBであることが管理されている。また、図7に示した例の場合には、設備IDが「SP001」の報知設備は、設備種別が「拡声器」で、装置IDが「Z246…」で、設置位置が、緯度NXXXXXX、経度EYYYYYYであることが管理されている。
この図7に示した例の場合、設備IDが「LT001」の回転灯と、設備IDが「SP001」の拡声器とは、作業現場内の同じ位置に設置されているものである。図7を用いて説明した報知設備マスタファイル106の情報により、報知対象の作業用移動体8や作業員4の位置に応じて、報知を行う報知設備を特定し、当該報知設備を制御して、報知を行うことが可能になる。
作業員位置履歴ファイル107は、作業員端末5から送信されてきた過去の作業員位置情報を累積的に記憶保持する。図8は、作業員位置履歴ファイル107の格納データの例を説明するための図である。図8に示すように、作業員位置履歴ファイル107には、作業員端末5の作業員端末IDと作業員IDとをメタデータとして備え、測位年月日、測位時刻、測位位置が累積的に記録されるようになっている。図8においては、2019年7月1日の午前8時10分32秒から1秒おきの当該作業員4についての測位位置が累積記録されている場合を示している。作業員位置履歴ファイル107の情報により、作業員4の動線の分析が可能になる。
移動体位置履歴ファイル108は、移動体端末9から送信されてきた過去の移動体位置情報を累積的に記憶保持する。図9は、移動体位置履歴ファイル108の格納データの例を説明するための図である。図9に示すように、移動体位置履歴ファイル108には、移動体端末9の移動体端末IDと移動体IDとをメタデータとして備え、測位年月日、測位時刻、測位位置が累積的に記録されるようになっている。図9においては、2019年7月1日の午前8時30分03秒から1秒おきの当該作業用移動体8についての測位位置が累積記録されている場合を示している。移動体位置履歴ファイル108の情報により、作業用移動体8の動線の分析が可能になる。
動態管理部109は、通信I/F101を通じて受信する作業員端末5からの作業員位置情報、作業開始情報、作業終了情報に基づいて、作業員位置管理ファイル110に情報を更新する処理を行う。また、動態管理部109は、通信I/F101を通じて受信する移動体端末9からの移動体位置情報、作業開始情報、作業終了情報に基づいて、移動体位置管理ファイル111に情報を更新する処理を行う。作業員位置管理ファイル110の情報により作業員端末5を所持する作業員4の動態管理をほぼリアルタイムに行うことができる。また、移動体位置管理ファイル111の情報により移動体端末9が搭載された(持ち込まれた)作業用移動体8の動態管理をほぼリアルタイムに行うことができる。
作業員位置管理ファイル110は、作業中における作業員端末5から送信されてくる作業員位置情報、作業開始情報、作業終了情報を記憶保持する。すなわち、作業員位置管理ファイル110は、作業当日の作業員4の動態を把握するための情報を記憶保持する。図10は、作業員位置管理ファイル110の格納データの例を説明するための図である。図10に示すように、作業員位置管理ファイル110には、作業員端末5の作業員端末IDと、作業員IDと、作業開始日時、作業終了日時、位置消失フラグをメタデータとして備え、測位年月日、測位時刻、測位位置が累積的に記録される。図10においては、2019年7月1日の午前8時10分32秒から1秒おきの当該作業員4についての測位位置が累積記録されている場合を示している。なお、作業終了後において、作業員位置管理ファイル110に記録された情報が、上述した作業員位置履歴ファイル107に移行されて累積的に蓄積されることになる。
なお、作業開始情報は、作業員端末5からの後述する開始要求を受信した場合に更新され、当該作業員端末5を所持する作業員が当該作業現場において作業を開始した日時(年月日と時刻)示す。従って、作業開始情報として把握される作業開始日時以降から当該作業員端末5から作業員位置情報が所定のタイミングごと(例えば1秒ごと)に送信されて来る。作業終了情報は、作業員端末5からの後述する終了要求を受信した場合に更新され、当該作業員端末5を所持する作業員が当該作業現場における作業を終了した日時を示す。従って、作業終了日時以降においては当該作業員端末5から作業員位置情報が送信されて来ることはない。
位置消失フラグは、作業終了日時が更新されていないのに、所定のタイミングで送信されて来るべき作業員位置情報が送信されてこない場合に「1(オン)」となり、それ以外の場合には「0(オフ)」となる情報である。それ以外の場合は、具体的には、作業開始前及び作業開始後であって、作業員位置情報が適切に送信されてきている場合である。この位置消失フラグにより、作業員端末5を所持する作業員4が、コンテナ内に入ったり、コンテナの影に位置したりして現在位置を測位することができずに、適切な作業員位置情報が送信できない場合を把握することができる。すなわち、当該作業現場内には存在するはずなのに、その現在位置を適切に把握できていない作業員の存在を把握することが可能になる。
移動体位置管理ファイル111は、作業中における移動体端末9から送信されてくる移動体位置情報、作業開始情報、作業終了情報を記憶保持する。すなわち、移動体位置管理ファイル111は、作業当日の作業用移動体8の動態を把握するための情報を記憶保持する。図11は、移動体位置管理ファイル111の格納データの例を説明するための図である。図11に示すように、移動体位置管理ファイル111には、移動体端末9の移動体端末IDと、移動体IDと、作業開始情報、作業終了情報をメタデータとして備え、測位年月日、測位時刻、測位位置が累積的に記録される。図11においては、2019年7月1日の午前8時30分03秒から1秒おきの当該作業用移動体8についての測位位置が累積記録されている場合を示している。なお、作業終了後において、移動体位置管理ファイル111に記録された情報が、上述した移動体位置履歴ファイル108に移行されて累積的に蓄積されることになる。
なお、作業開始情報は、移動体端末9からの後述する開始要求を受信した場合に更新され、当該移動体端末9が搭載された(持ち込まれた)作業用移動体が当該作業現場において作業を開始した時刻示す。従って、作業開始日時以降から当該移動体端末9から移動体位置情報が所定のタイミングごと(例えば1秒ごと)に送信されて来る。作業終了日時は、移動体端末9からの後述する終了要求を受信した場合に更新され、当該移動体端末9が搭載された(持ち込まれた)作業用移動体が当該作業現場における作業を終了した時刻示す。従って、作業終了日時以降においては当該移動体端末9から移動体位置情報が送信されて来ることはない。
位置関係評価部112は、作業員位置管理ファイル110の情報と移動体位置管理ファイル111の情報に基づいて、リアルタイムに当該作業現場全域における全ての作業員4及び全ての作業用移動体8の現在位置を把握する。位置関係評価部112は、把握した現在位置に基づいて、作業用移動体8や作業員4の位置関係を評価して、危険な位置関係にある作業用移動体8や作業員4を特定し、これを報知処理部113に通知する。図12は、位置関係評価部112の作業現場における作業用移動体8及び作業員4の位置関係の把握処理について説明するための図である。
管理サーバ1の記憶装置103には、当該作業現場の全域を表現できる作業現場の地図情報や航空写真や衛星写真である作業現場画像情報が記憶保持されている。位置関係評価部112は、当該作業現場画像情報上に、作業員位置管理ファイル110に記録された最新の作業員位置情報と、移動体位置管理ファイル111に記録された最新の移動体位置情報とをプロットする。これにより、図12に示すように、当該作業現場において、作業中の作業員4や作業用移動体8の現在位置を把握できるようにする。
なお、図12の作業現場画像情報において、複数の長方形を配置して示している場所は、コンテナの集積場所を示している。また、図12の作業現場画像情報において、三角マークで示しているのが作業員4の現在位置であり、移動体(フォークリフト)マークで示しているのが作業用移動体8の現在位置である。また、図12の右下側の点線で囲んだ部分が、特定エリアTArであることが示されている。
なお、位置関係評価部112は、当該作業現場において、特定エリアTArが設定されている場合には、特定エリアTArとその他のエリアとを分けて、作業員4と作業用移動体8の現在位置を把握する。位置関係評価部112は、特定エリアTArに進入した作業員端末5と移動体端末9とを報知処理部113に通知する。また、位置関係評価部112は、特定エリアTArから外に出た作業員端末5と移動体端末9についても報知処理部113に通知する。
この実施の形態において、当該作業現場に設定された特定エリアTArは、コンテナの修理、洗浄のために、作業員がコンテナ内に立ち入る可能性が高いエリアである。従って、特定エリアTArは、作業員4が立ち入っているコンテナを、作業用移動体8が移動させる可能性がある危険性の高いエリアである。図12に示した例の場合には、当該作業現場の特定エリアTAr以外のエリアには、図12の右上端部の表示H1により、6名の作業員4が位置し、5台の作業用移動体8が位置していることが示されている。また、当該作業現場の特定エリアTAr内には、右下端部の表示H2により、3名の作業員4が位置し、2台の作業用移動体8が位置していることが把握されている。
位置関係評価部112は、終了要求が到来しておらず、作業終了情報が更新されていないにもかかわらず、作業員位置情報が送信されてきていない作業員端末5を所持する作業員4の現在位置については、最後に受信した測位情報(現在位置)を保持する。そして、位置関係評価部112は、当該最後に受信した測位情報に応じた位置に作業員マークを位置付ける。図12に示した例においては、特定エリアTAr内の作業員マークSK1が、作業員位置情報の到来が途中から途絶えた(現在位置が消失した)作業員端末5を所持する作業員の位置を示している。
この場合、作業員位置情報の到来が途中から途絶えた作業員端末5を所持する作業員4の位置を示す作業員マークSK1は、正常に作業員位置情報が到来している作業員端末5を所持する作業員4の位置を示す作業員マークとは異なるようにされる。図12に示した例の場合には、作業員位置情報の到来が途中から途絶えた作業員端末5を所持する作業員の位置を示す作業員マークSK1は、塗りつぶされている。これに対して、正常に作業員位置情報が到来している作業員端末5を所持する作業員の位置を示す作業員マークは、白抜きとされている。もちろん、この他の態様で両者を区別するようにしてもよい。
なお、作業員位置情報の到来が途中から途絶えた作業員端末5から作業員位置情報が到来するようになった場合には、作業員マークSK1は、通常の作業員マークに戻るようにされる。図12に示したように把握される当該作業現場における作業員4、作業用移動体8の現在位置を示す情報は、管理端末3に提供され、表示するなどして管理者が利用できるようにされる。図12に示したように把握される当該作業現場における作業員4、作業用移動体8の現在位置を示す情報から、詳しくは後述もするように、各移動体端末9に提供する画像情報が形成される。
更に、位置関係評価部112は、図12に示したように把握される当該作業現場における作業員4と作業用移動体8との位置関係、作業用移動体8同士の位置関係から、接触する危険性がある対象を特定し、これを報知処理部113に通知する。この場合には予め決められる基準に基づいて、接触する危険性がある対象を特定する。図13、図14は、作業用移動体8同士の位置関係、作業用移動体8と作業員4との位置関係を評価する場合の基準の一例を説明するための図である。
ここでは、作業用移動体8のサイズが、全幅が4000mm(4m)、全長が10000mm(10m)である場合を例にして説明する。作業用移動体8のサイズは、図6を用いて説明したように、移動体マスタファイル105で管理されている。また、各作業用移動体8の現在位置は、移動体端末9からの移動体位置情報により、移動体位置管理ファイル111において把握されている。また、移動体端末9の作業用移動体8における設置位置(取り付け位置)は予め決められているものとする。
第1の基準の例は、図13(A)に示すように、1つの円によって基準エリアAr1を定めるものである。図13(A)に示し第1の基準の場合、移動体端末9の現在位置と、現在位置の測位誤差(どの方向に何センチずれるか)と、当該移動体端末9が搭載された作業用移動体8のサイズとに基づいて、現在位置における作業用移動体8の中心位置P0を特定する。移動体端末9の現在位置と現在位置の測位誤差とから、移動体端末9の正確な現在位置が特定でき、この現在位置を基準にして、当該作業用移動体8のサイズから当該作業用移動体の外縁の位置が特定でき、当該作業用移動体8の中心位置P0を特定できる。なお、現在位置の測位誤差も、事前の計測によって予め分かっているものとする。
このようにして特定した中心位置P0を中心して、例えば半径8mの円Cr1を描くようにし、この円Cr1の内側を基準エリアAr1とする。このように、基準エリアAr1を定めた場合には、位置関係評価部112は、当該基準エリアAr1内に作業員4が位置する場合、当該作業用移動体8と当該作業員4とを報知対象とする。また、図13(A)に示したように、基準エリアAr1が設定された作業用移動体8同士の基準エリアAr1同士が一部でも重なり合う場合には、当該作業用移動体同士もまた、報知対象とする。
なお、図13(A)に示したように、基準エリアAr1が設定された場合において、この基準エリアAr1を有する作業用移動体8と、この基準エリアAr1に、自己の外縁の一部でもかかる他の作業用移動体8とを報知対象とすることもできる。しかし、この場合、基準エリアAr1の大きさによっては、作業用移動体8同士が近づき過ぎる場合もあるため、設定する基準エリアAr1の大きさに注意を要する。
第2の基準の例は、図13(B)に示すように、作業用移動体8の前後左右に広がる基準エリアを定めるものである。この例においては、移動体端末9の現在位置と、現在位置の測位誤差と、当該移動体端末9が搭載された作業用移動体8のサイズとに基づいて、現在位置における作業用移動体8の前後左右の外縁の中心P1、P2、P3、P4の位置を特定する。すなわち、中心P1は、当該作業用移動体8の前外縁の中心であり、中心P2は、当該作業用移動体8の右外縁の中心であり、中心P3は、当該作業用移動体8の後外縁の中心であり、中心P4は、当該作業用移動体8の左外縁の中心である。
図13(B)に示すように、中心P1を中心とする例えば半径4mの半円CrWと、中心P2を中心とする例えば半径6mの半円CrXとを描くようにする。同様に、中心P3を中心とする例えば半径4mの半円CrYと、中心P4を中心とする例えば半径6mの半円CrZとを描くようにする。このようにして描いた半円CrW、CrX、CrY、CrZの内側のエリアを、基準エリアAr2とする。
この場合には、作業用移動体8の前後左右の外縁の中心を基準にして基準エリアAr2を定めることができるので、作業用移動体8の前後左右に所望の基準エリアを設けることができる。なお、図13(B)において、半径の数値は一例であり、例えば、作業用移動体8の前後においても、半径6m、半径8mといった大きなエリアを確保することも可能である。逆に、作業用移動体8の左右においては、より小さなエリアとすることもでききる。
第3の基準の例は、作業用移動体8の四隅方向に広がる基準エリアを定めるものである。図14(A)に示すように、移動体端末9の現在位置と、現在位置の測位誤差と、当該移動体端末9が搭載された作業用移動体8のサイズとに基づいて、現在位置における作業用移動体8の四隅の位置(外縁の頂点)Pa、Pb、Pc、Pdの位置を特定する。
この後、図14(A)に示すように、位置Paを中心とする例えば半径5mの半円CrAと、位置Pbを中心とする例えば半径5mの半円CrBとを描くようにする。同様に、位置Pcを中心とする例えば半径5mの半円CrCと、位置Pdを中心とする例えば半径5mの半円CrDとを描くようにする。このようにして描いた半円CrA、CrBの内側のエリアを基準エリアAr3とし、半円CrC、CrDの内側のエリアを基準エリアAr4とする。
この場合には、作業用移動体8の外縁の四隅を基準にして基準エリアAr3、Ar4を定めることができるので、作業用移動体8の前後により広い基準エリアを設けることができる。なお、図14(A)において、半径の数値は一例であり、基準エリアAr3、Ar4は、目的とする大きさにできる。
図13(B)、図14(A)を用いて説明したように、基準エリアAr2、Ar3、Ar4を定めた場合には、位置関係評価部112は、当該基準エリア内に作業員4が位置する場合には、当該作業用移動体8と当該作業員4とを報知対象とする。また、この場合、基準エリアAr2、Ar3、Ar4が設定された作業用移動体8同士の基準エリアAr2が一部でも重なりあう場合、基準エリアAr3、Ar4が一部でも重なり合う場合には、当該作業用移動体8同士もまた、報知対象とする。
なお、図13(B)、図14(A)に示したように、基準エリアAr2、Ar3、Ar4が設定された場合に、報知対象の特定の仕方を変えることもできる。例えば、基準エリアAr2、Ar3、Ar4を有する作業用移動体8と、これらの基準エリアAr2、Ar3、Ar4に、自己の外縁の一部でもかかる他の作業用移動体8とを報知対象とすることもできる。但し、この場合、基準エリアAr2、Ar3、Ar4の大きさによっては、作業用移動体8同士が近づき過ぎる場合もあるため、設定する基準エリアAr2、Ar3、Ar4の大きさに注意を要する。
また、この実施の形態の作業用移動体8は、図2を用いて説明したように、スプレッダーを備え、コンテナを吊り上げて運搬(移動)する。このため、図14(B)に示すように、作業用移動体8のサイズだけでなく、作業用移動体8がコンテナを吊り上げた状態のサイズを考慮して、位置関係を評価するための基準エリアを設定するようにしてもよい。
また、トップリフターである作業用移動体8の場合、コンテナを吊り上げている場合に、そのコンテナの下に作業員4が誤って入ってしまう危険性があり、このような場合については、いち早く警告できなければならない。そこで、上述した基準エリアAr1~Ar4を設定した場合と同様に、作業用移動体8がコンテナを吊り上げている場合のコンテナの位置を特定する。
すなわち、移動体端末9の現在位置と、現在位置の測位誤差と、当該移動体端末9が搭載された作業用移動体8のサイズと、コンテナのサイズとに基づいて、危険エリアを特定する。なお、コンテナは、主に20フィートと40フィートの2種類が存在するが、ここでは、大きな40フィートのコンテナを吊り上げている場合を考える。
移動体端末9の現在位置と現在位置の測位誤差が分かれば、作業用移動体8のサイズに基づき、図14(B)に示すように、作業用移動体8の外縁の位置が分かる。作業用移動体8の外縁の位置が分かれば、コンテナのサイズを考慮することにより、図14(B)に示すように、当該作業用移動体8によって吊り上げられた場合のコンテナ10の外縁の位置が分かる。このコンテナの外縁を基準として、図14(B)において点線で示したように、例えば、縦4.5m、横14mの危険エリアAr5を設定できる。この危険エリアAr5内に、作業員端末5が存在する場合には、作業用移動体8が吊り上げているコンテナ10の下側に作業員4が入り込んでしまっている蓋然性が高い。
そこで、位置関係評価部112は、各作業用移動体8について特定した危険エリアAr5内に作業員端末5が存在する場合には、当該作業用移動体8に搭載された当該移動体端末9と当該作業員端末5とを警告先として特定し、報知処理部113に通知する。なお、移動体端末9からは、実際に、スプレッダーを機能させて、コンテナを吊り上げているか否かを示す情報は提供されない。このため、実際に吊り上げられたコンテナの下側に作業員4が位置していない場合もある。しかし、この実施の形態においては、上述したように、作業用移動体8が吊り上げられているコンテナ10の下側に作業員4が入り込んでしまっている蓋然性が高い場合に、これを検知して警告できるようにしている。
また、ここでは、作業用移動体8と作業員4との位置関係、作業用移動体8同士の位置関係に基づいて、報知や警告を行うものとして説明したが、これに限るものではない。図10を用いて説明したように、作業員位置管理ファイル110の時系列順の測位位置に基づき、各作業員4の移動方向(進行方向)、単位時間当たりの移動距離、移動速度を把握できる。同様に、移動体位置管理ファイル111の時系列順の測位位置に基づき、各作業用移動体8の移動方向、単位時間当たりの移動距離、移動速度を把握できる。
このため、位置関係評価部112は、少なくとも作業用移動体8の移動方向を考慮し、作業員4や他の作業用移動体8に対して近づいている場合に、報知や警告を行うように、報知処理部113に通知を行うようにすることもできる。また、作業用移動体8の移動速度をも考慮して、移動方向が作業員4や他の作業用移動体8に近づく方向で、移動速度が予め決められた速度よりも早い場合に、警告の緊急性の度合を上げて、より強い警告を行うように報知処理部113に通知(指示)を出すこともできる。
また、上述もしたように、図13(A)、図13(B)、図14(A)を用いて説明した作業用移動体8同士の位置関係及び作業用移動体8と作業員4との位置関係を評価する場合の基準の一例は、あくまでも一例である。従って、位置関係を評価する場合の基準エリアは、作業用移動体8の大きさ、更には、作業用移動体の移動速度、運搬するコンテナの重さや大きさにより、適宜のエリアが設定されることになる。
報知処理部113は、位置関係評価部112からの通知に基づいて、作業員端末5や移動体端末9に対して、また、回転灯を備えた工具箱6や現場回転灯7などに対して、危険を報知するように指示を出す。具体的に、報知処理部113は、位置関係評価部112からの通知に基づいて、作業用移動体8同士が近接した場合のそれぞれの移動体端末9に対して、近接する作業用移動体があることを報知するように指示を出す。
また、報知処理部113は、位置関係評価部112からの通知に基づいて、作業員4と作業用移動体8とが近接した場合に、当該作業用移動体8に搭載されている移動体端末9に対して、接近する作業員4が存在することを報知するように指示を出す。同様に、報知処理部113は、位置関係評価部112からの通知に基づいて、作業員4と作業用移動体8とが近接した場合に、当該作業員の所持する作業員端末5に対して、接近する作業用移動体8が存在することを報知するように指示を出す。
この場合、報知処理部113は、移動体端末9に対しては、表示メッセージ、音声メッセージ、報知音(アラーム音)の1つ以上を用いて、報知処理を行うように指示を出す。また、報知処理部113は、作業員端末5に対しては、振動により(バイブレータを用いて)、報知処理を行うように指示を出す。
また、報知処理部113は、報知先となる移動体端末9の現在位置や作業員端末5の現在位置に基づいて、報知設備マスタファイル106を参照し、当該移動体端末9や作業員端末5の近傍に位置する現場回転灯7の装置IDを特定する。報知処理部113は、この特定した装置IDを用いて、ネットワーク2を通じて、当該現場回転灯7に対して、点灯、回転するように指示を出す。
また、報知処理部113は、報知先となる作業員端末5の作業員端末IDに基づいて、作業員マスタファイル104を参照し、当該作業員端末5を携帯する作業員4が工具箱6を所持している場合には、その工具箱6の工具箱IDを特定する。報知処理部113は、特定した工具箱IDを用いて、ネットワーク2を通じて、当該工具箱6に対して、回転灯を点灯、回転するように指示を出す。
また、報知処理部113は、作業用移動体8に吊り上げられたコンテナの下に作業員4が入り込んだ蓋然性が高い場合にも、該当する移動体端末9の移動体端末IDと作業員端末5の作業員端末IDの通知を受ける。この場合には、当該移動体端末9に対しては、吊り上げられたコンテナの下に作業員4が入り込んだ可能性があることを警告するように指示を出す。また、当該作業員端末5に対しては、至急に退避するように指示する強い振動を発生させるように指示を出す。
このように、報知処理部113は、位置関係評価部112からの通知に基づいて、報知や警告を出す処理を行うが、位置関係評価部112からの通知に基づいて、報知や警告のレベルを変えて報知や警告を行うことができる。つまり、注意が必要な場合には、通常のアラーム音や振動により注意を喚起し、危険が差し迫っている場合には、大音量のアラーム音や強い振動により危険回避を促すように報知、警告を行うようにできる。
位置画像生成部114は、図12を用いて説明したように、位置関係評価部112によって把握される当該作業現場における作業用移動体8や作業員4の現在位置に基づいて、各移動体端末9に提供する位置画像を形成する。位置画像生成部114は、生成した各移動体端末用の位置画像を、対応する移動体端末9に対して、ネットワーク2を通じて提供する。
当該作業現場全体の作業用移動体8や作業員4の位置は、図12を用いて説明したように把握される。しかし、当該作業現場の面積が広い場合、当該作業現場の全体を表示する位置画像を形成して移動体端末9に提供しても、画像が細かすぎる場合があると考えられる。この場合、移動体端末9を使用する作業用移動体8のオペレータが、自分の周囲の状況を適切に把握できなかったり、自分の位置さえ迅速に特定できなかったりする場合があると考えられる。
このため、位置画像生成部114は、当該作業現場の面積と移動体端末9の表示画面の大きさとを考慮し、各移動体端末9が位置するエリアであって、移動体端末9の表示画面に表示するのに適した大きさの表示対象エリアを特定する。従って、特定される表示対象エリアは、基本的には、移動体端末9ごとに異なる。但し、当該作業現場は、大きくても限られた面積を有する領域であるので、当該作業現場の端に近い部分では、複数の移動体端末9で同じ表示対象エリアとなる場合もある。
位置画像生成部114は、この特定した表示対象エリアにおける作業用移動体8や作業員4の現在位置を示す位置画像を形成し、これを移動体端末9に提供する。図15は、位置画像生成部114で生成される位置画像の例を説明するための図である。図15(A)、(B)は、いずれも同じ作業現場における位置画像であるが、図15(A)は、作業用移動体8(1)用に生成されたものであり、図15(B)は、作業用移動体8(c)用に生成されたものである。すなわち、図15(A)は、図12に示した作業現場画像情報の右下側のエリアの画像であり、図15(B)は、図12に示した作業現場画像情報の左上側のエリアの画像である。
このように、位置画像生成部114は、各移動体端末9が位置するエリアであって、移動体端末9の表示画面に表示するのに適した大きさの表示対象エリアを特定し、その表示対象エリアの位置画像を生成して提供する。これにより、各作業用移動体8を操作するオペレータに対して、自己が操作する作業用移動体8の周囲の状況を適切に把握できる位置画像を提供できる。
作業動線解析部115は、作業員位置履歴ファイル107の作業員4の位置情報を解析することにより、作業員4の動線を把握できるようにする。また、作業動線解析部115は、移動体位置履歴ファイル108の作業用移動体8の位置情報を解析することにより、作業用移動体8の動線を把握できるようにする。図16は、作業動線解析部115で行われる当該作業現場における作業員4や作業用移動体8の動線の把握処理について説明するための図である。
作業動線解析部115は、記憶装置103に記憶保持されている当該作業現場の作業現場画像情報上に、作業員位置履歴ファイル107の作業員4の位置情報に応じた位置をプロットする。作業動線解析部115は、プロットした作業員の位置を時系列順に線で結ぶことにより、図16に示すように、作業員4の動線を示すことができる。同様に、当該作業現場の作業現場画像情報上に、移動体位置履歴ファイル108の作業用移動体8の位置情報に応じた位置をプロットし、時系列順に線で結ぶことにより、作業用移動体8の動線を示すことができる。また、図16の場合には、図の右上端部に、動線の解析の対象とした測位情報の測位時刻の範囲も示されている。
なお、同じ作業現場画像情報上に、作業員4の動線と作業用移動体8の動線とを色を変えるなどして区別可能に表示することもできる。このように、作業員4の動線や作業用移動体8の動線を把握することにより、移動が集中する部分や時間帯を特定して、作業用移動体の配置位置を分散させたり、コンテナの配置位置を分散させたりするなどといった、種々の対応を取ることができるようになる。これにより、当該作業現場における安全性の向上と作業効率の向上に資することができる。
[作業員端末5の構成例]
図17は、作業員端末5の構成例を説明するためのブロック図である。送受信アンテナ501A及び無線通信部501は、ネットワーク2を通じて通信を行う機能を実現する。制御部502は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどが、バスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサである。制御部502は、ROMなどに記憶されているプログラムを実行し、作業員端末5の全体を制御する。
記憶装置503は、例えば、半導体メモリとそのデバイスドライバとを備え、データの書き込み、読み出し、書き換え、削除などを行うものであり、種々の処理の途中結果を保持する作業領域としても用いられる。操作部504は、例えば電源のオン/オフキーや幾つかのファンクションキーなどが設けられ、作業員による操作を受け付けて、受け付けた操作内容を電気信号として制御部502に通知する。時計回路505は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供するものである。外部I/F(Inter face)506及び接続端子506Tは、例えば、パーソナルコンピュータなどの外部機器との接続を可能にし、データの送受を行う際やプログラムやパラメータのアップデートなどの際に用いられる。
送信情報生成部507は、管理サーバ1に対して送信する送信情報を生成し、これを無線通信部501及び送受信アンテナ501Aを通じてネットワーク2に送出し、管理サーバ1に送信するように処理する。振動通知部508は、いわゆるバイブレータであり、制御部502の制御により、振動を発生させ、報知事象、警告事象の発生を、当該作業員端末5を所持する作業員4に通知する機能を実現する。なお、報知事象と警告事象とで、振動通知部508は、振動パターンを変えることができる。
ここで、報知事象は、例えば、作業用移動体8同士や作業用移動体8と作業員4とが接近し、注意が必要な場合などである。警告事象は、作業用移動体8により吊り上げられたコンテナの下に作業員4が入ったが蓋然性が高く、即時に退避や作業停止が必要な場合などである。GPS部509及びGPSアンテナ509Aは、人工衛星からの信号を利用した現在位置の測位機能を実現する。
図18は、送信情報生成部507において生成される送信情報のフォーマット例を説明するための図である。送信情報生成部507で生成される送信情報は、図18に示すように、端末区分、情報区分、端末ID、生成日時、測位位置からなる。端末区分は、当該送信情報が、作業員端末で生成されたものか、移動体端末で生成されたものかを示す。すなわち、管理サーバ1に対する送信情報は、作業員端末5と移動体端末9とのそれぞれにおいて、同様のフォーマットで生成されて送信されるものである。このため、端末区分は、作業員端末5と移動体端末9のどちらで作成されたものかを区別するために用いられる。
情報区分は、当該送信情報が、開始要求なのか、測位情報なのか、終了要求なのかを示す。生成日時は、当該送信情報が生成された日時を示す情報であって、時計回路505から取得された日時情報が用いられる。測位情報は、GPS部509によって測位された現在位置を示す情報(緯度、経度)である。
この実施の形態においては、当該作業現場での作業開始に当たり、所定の開始操作が行われた場合に、送信情報生成部507が、情報区分が「0」の開始要求を送信情報として生成し、管理サーバ1に送信する。所定の開始操作は、例えば、電源をオンにしたり、あるいは、電源がオンにした後に、所定の開始ボタンを操作したりするといった操作である。また、開始要求の送信情報には、測位位置が含まれない。
開始要求の送信後において、送信情報生成部507は、所定のタイミングごとに測位される測位位置(現在位置)を含む、情報区分が「1」の測位情報を送信情報として生成し、管理サーバ1に送信する。この実施の形態において、現在位置の測位タイミングは、例えば1秒おきであり、生成日時は、現在位置の測位タイミングと一致する。すなわち、測位情報としての送信情報は、開始要求の送信後、1秒間隔で生成されて管理サーバ1に送信される。
この実施の形態においては、当該作業現場での作業を終了する場合には、所定の終了操作が行われた場合に、送信情報生成部507は、情報区分が「2」の終了要求を送信情報として生成し、管理サーバ1に送信される。所定の終了操作は、例えば、電源をオフにしたり、あるいは、所定の終了ボタンを操作したりするといった操作である。また、終了要求の送信情報には、測位位置が含まれない。
このように、作業員端末5は、当該作業現場での作業員の作業の開始、終了を管理サーバ1に通知したり、作業現場での作業中においては、自機の現在位置を所定のタイミングごとに測位して管理サーバ1に通知したりする機能を実現する。なお、図18においては省略したが、送信情報には、送信先である管理サーバ1を特定する情報、即ち、送信先を特定するIPアドレスやURLなどの情報も含まれる。当該送信先を示す情報は、予め、制御部502の不揮発性メモリなどに登録されているものが用いられる。
また、作業員端末5は、振動による報知機能も備えている。なお、図17においては省略したが、音声出力処理部とスピーカとからなるアラーム音の放音機能を備えるようにしてもよい。これにより、アラーム音によって、報知事象や警告事象の発生を作業員に通知することができる。
[移動体端末9の構成例]
図19は、移動体端末9の構成例を説明するためのブロック図である。送受信アンテナ901A及び無線通信部901は、ネットワーク2を通じて通信を行う機能を実現する。制御部902は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどが、バスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサである。制御部502は、ROMなどに記憶されているプログラムを実行し、移動体端末9の全体を制御する。
記憶装置903は、例えば、半導体メモリとそのデバイスドライバとを備え、データの書き込み、読み出し、書き換え、削除などを行うものであり、種々の処理の途中結果を保持する作業領域としても用いられる。操作部904は、例えば電源のオン/オフキーや幾つかのファンクションキーなどが設けられ、作業員による操作を受け付けて、受け付けた操作内容を電気信号として制御部902に通知する。時計回路905は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供するものである。GPS部906及びGPSアンテナ906Aは、人工衛星からの信号を利用した現在位置の測位機能を実現する。
移動体端末9は、ユーザインターフェースとして、タッチパネル909を備える。タッチパネル909は、LCD(Liquid Crystal Display)などの薄型の表示部(表示装置)907の表示画面の全面に対応するようにタッチセンサ908を設けて構成されたものであり、表示機能と指示入力受付機能とを実現する。音声出力処理部910は、例えば、記憶装置903に用意されている種々のデジタル音声データの供給を受けて、これをアナログ音声信号に変換して、スピーカ911に供給する。スピーカ911は、音声出力処理部910からのアナログ音声信号に応じた音声を放音する。これにより、案内メッセージ、注意メッセージ、警告メッセージなどの種々のメッセージやアラーム音などをスピーカ911から放音できる。
送信情報生成部912は、上述した作業員端末5の送信情報生成部507と同様に、管理サーバ1に対して送信する送信情報(図18)を生成する。送信情報生成部912は、生成した送信情報を無線通信部901及び送受信アンテナ901Aを通じてネットワーク2に送出し、管理サーバ1に送信するように処理する。なお、管理サーバ1を送信先として特定する管理サーバ1のIPアドレスやURLなどの情報は、制御部902の不意揮発性メモリなどに予め登録されている。
移動体端末9が、当該作業現場での作業開始に当たり、作業用移動体8のコックピット(操縦席)に持ち込まれて、所定の場所に設置され、所定の開始操作が行われたとする。この場合に、送信情報生成部912が、情報区分が「0」の開始要求を送信情報として生成し、これを管理サーバ1に送信する。所定の開始操作は、例えば、電源がオンにした後に、所定の開始ボタンを操作したりするといった操作である。また、開始要求の送信情報には、測位位置が含まれない。
開始要求の送信後においては、送信情報生成部912は、所定のタイミングごとに測位される測位位置(現在位置)を含む、情報区分が「1」の測位情報を送信情報として生成し、管理サーバ1に送信する。この実施の形態において、現在位置の測位タイミングは、作業員端末5の場合と同様に、例えば1秒おきであり、生成日時は、現在位置の測位タイミングと一致する。すなわち、測位情報としての生成情報は、開始要求の送信後、1秒間隔で生成されて管理サーバ1に送信される。
また、当該作業現場での作業を終了する場合には、当該移動体端末9が搭載された作業用移動体8が、所定の駐機(駐車)場所に止められ、所定の終了操作が行われる。この場合に、送信情報生成部912は、情報区分が「2」の終了要求を送信情報として生成し、管理サーバ1に送信する。所定の終了操作は、例えば、所定の終了ボタンを操作するといった操作である。また、終了要求の送信情報には、測位位置が含まれない。
このように、移動体端末9は、当該作業現場での作業用移動体8を用いた作業の開始、終了を管理サーバ1に通知する。また、移動体端末9は、作業現場での作業用移動体8を用いた作業中においては、作業用移動体に持ち込まれた自機の現在位置を所定のタイミングごとに測位して管理サーバ1に通知する機能を実現する。また、移動体端末9は、表示部907による表示機能と音声出力処理部910及びスピーカ911による放音機能を備えている。これら表示機能及び放音機能を通じて、報知事象や警告事象の発生を、作業用移動体8のオペレータに通知することができる。
[管理端末3の構成例]
図20は、管理端末3の構成例を説明するためのブロック図である。接続端子301Tは、ネットワーク2への接続端部を構成する。通信I/F301は、ネットワーク2を通じた通信機能を実現する。制御部302は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどが、バスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサである。制御部302は、ROMなどに記憶されているプログラムを実行し、管理端末3の全体を制御する。
記憶装置303は、例えば、ハードディスクとそのデバイスドライバとを備え、データの書き込み、読み出し、書き換え、削除などを行うものであり、種々の処理の途中結果を保持する作業領域としても用いられる。操作装置304は、主にはキーボードであるが、いわゆるマウスなどと呼ばれるポンティングデバイスをも含む。表示装置305は、LCDなどのディスプレイ装置である。
音声出力処理部306は、例えば、記憶装置303に用意されている種々のデジタル音声データの供給を受けて、これをアナログ音声信号に変換して、スピーカ307に供給する。スピーカ307は、音声出力処理部306からのアナログ音声信号に応じた音声を放音する。これにより、案内メッセージ、注意メッセージ、警告メッセージなどの種々のメッセージやアラーム音などをスピーカ307から放音できる。
このように構成される管理端末3は、作業現場の例えば管理棟などに設置され、管理サーバ1から情報の提供を受けて、図3、図12に示したように、当該作業現場の全体の状況を表示装置305に表示して管理者に提供することができる。また、管理端末3は、管理サーバ1から情報の提供を受けて、図16に示したように、当該作業現場における作業員や作業用移動体の動線の解析情報を表示装置305に表示し、管理者に提供することもできる。
また、管理端末3は、必要に応じて、ネットワーク2を通じて、作業員端末5や移動体端末9に指示を出したり、情報を提供したりすることも可能である。また、管理端末3は、管理サーバ1と通信を行って、管理サーバ1に指示を出すことも可能である。これにより、例えば、作業員マスタファイル104、移動体マスタファイル105、報知設備マスタファイル106の保守を管理端末3から管理サーバ1に対して行うなどのことが可能である。
[工具箱6の回転灯部分の構成例]
図21は、工具箱6の回転灯部分の構成例を説明するためのブロック図である。なお、作業現場の電柱や支柱に設けられる現場回転灯7もまた同様に構成される。送受信アンテナ601A及び無線通信部601は、ネットワーク2を通じて通信を行う機能を実現する。制御部602は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどが、バスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサである。制御部602は、ROMなどに記憶されているプログラムを実行し、工具箱6の当該回転灯部分の全体を制御する。駆動制御部603は、回転灯604の点灯、回転を制御する。回転灯604は、回転駆動部と電灯部とを備えたものである。
このような構成を有する工具箱6の回転灯部分及び現場回転灯7は、管理サーバ1からのネットワーク2を通じた指示に応じて、制御部602が、駆動制御部603を制御して、回転灯604の点灯、回転を制御する。なお、点灯、回転の制御には、消灯、回転の停止の制御も含む。これにより、作業員4が所持する工具箱6の回転灯や現場回転灯7を通じて、作業員や作業用移動体8のオペレータに対して、報知事象や警告事象の発生を通知できる。
[工具箱6の拡声器部分の構成例]
工具箱6には、回転灯の他にも、例えば放音機能を装備することもできる。図22は、工具箱6の放音機能としての拡声器部分の構成例を説明するためのブロック図である。なお、作業現場の電柱や支柱に設けられる拡声器もまた同様に構成される。送受信アンテナ651A及び無線通信部651は、ネットワーク2を通じて通信を行う機能を実現する。制御部652は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどが、バスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサである。制御部652は、ROMなどに記憶されているプログラムを実行し、工具箱6の当該拡声器部分の全体を制御する。
音声出力処理部653は、例えば、制御部652の不揮発性メモリに用意されている種々のデジタル音声データの供給を受けて、これをアナログ音声信号に変換して、拡声器654に供給する。拡声器654は、音声出力処理部653からのアナログ音声信号に応じた音声を放音する。これにより、アラーム音や音声メッセージの放音が可能となる。なお、デジタル音声データは、制御部652の不揮発性メモリに用意されているものに限らず、例えば、管理サーバ1からネットワーク2を通じて提供されるものを、アナログ音声信号に変換し、拡声器654から放音することもできる。
これにより、作業員4が所持する工具箱6の拡声器部分や現場に設けられた拡声器を通じて、作業員や作業用移動体8のオペレータに対して、音声により、報知事象や警告事象の発生を通知できる。
なお、図21、図22を用いて、回転灯部分、拡声器部分のそれぞれの構成について説明したが、回転灯と拡声器との両方の機能を備えた1つの構成部として構成することもちろん可能である。この場合には、例えば、図21に示した構成に、図22に示した、音声出力処理部653と拡声器654とを設けた構成とすることができる。このように報知設備を構成した場合には、管理サーバ1からの制御により、回転灯部分と拡声器部分との一方又は両方を駆動させて、報知処理を行うことができる。
[作業員端末5、移動体端末9、管理サーバ1の処理のまとめ]
次に、この実施の形態の作業現場安全管理システムを構成する、上述した構成の作業員端末5、移動体端末9、管理サーバ1のそれぞれにおいて行われる処理について、フローチャートを参照しながらまとめる。
<作業員端末5の処理>
図23は、作業員端末5の処理を説明するためのフローチャートである。図23のフローチャートに示す処理は、当該作業現場において、作業員が作業を開始するに当たり、自己が所持する作業員端末5に対して、電源をオンにするなどの所定の開始操作を行った場合に、制御部502において実行される。
まず、制御部502は、送信情報生成部507を制御して、開始要求(図18)を生成し、ネットワーク2を通じて管理サーバ1に送信する(ステップS101)。次に、制御部502は、GPS部509を通じて自機の現在位置を測位し(ステップS102)、これを送信情報生成部507に供給する。そして、制御部502は、送信情報生成部507を制御して、測位情報(図18)を生成し、ネットワーク2を通じて管理サーバ1に送信する(ステップS103)。
次に、制御部502は、管理サーバ1からの要求を受信するようにし(ステップS104)、管理サーバ1からの要求を受信したか否かを判別する(ステップS105)。ステップS105の判別処理において、管理サーバ1からの要求を受信したと判別したときには、受信した当該要求に応じた処理を実行する(ステップS106)。このステップS104からステップS106の処理により、管理サーバ1からの要求に応じて、制御部502が振動通知部508を制御し、振動により報知事象や警告事象の発生を、当該作業員端末5を所持する作業員に通知(報知)することができる。
ステップS105の判別処理において、管理サーバ1からの要求を受信していないと判別したときと、ステップS106の処理の後においては、例えば、当該作業員端末5の電源をオフにする操作などの終了操作が行われたか否かを判別する(ステップS107)。ステップS107の判別処理において、終了操作は行われていないと判別したときには、ステップS102からの処理を繰り返し、測位位置(現在位置)を管理サーバ1に通知する処理を継続する。
ステップS107の判別処理において、終了操作が行われたと判別したときには、制御部502は、送信情報生成部507を制御し、終了要求(図18)を生成して、ネットワーク2を通じて管理サーバ1に送信する処理を行う(ステップS108)。この後、制御部502は、各部への駆動電力の供給を停止するなどの所定の終了処理を行って(ステップS109)、この図23に示す処理を終了する。
このように、作業員端末5は、開始要求、測位情報、終了要求を適切なタイミングで生成し、これを管理サーバ1に送信する機能を実現する。特に、開始要求送信後から終了要求送信までの間においては、所定のタイミングごとに自機の現在位置を測位して、これを管理サーバ1に送信する処理を継続して行う。これにより、作業員端末5を所持する使用者の現在位置を、管理サーバ1において、適切に把握することができる。もちろん、開始要求、終了要求の送信により、当該作業現場における作業員の作業の開始、終了のタイミングも適切に把握可能になる。
<移動体端末9の処理>
図24、図25は、移動体端末9の処理を説明するためのフローチャートである。図24、図25のフローチャートに示す処理は、当該作業現場において、作業用移動体8に持ち込まれた移動体端末9に電源が投入された場合に、制御部902において実行される。
まず、制御部902は、実行可能な処理のそれぞれに対応したアイコンを表示したアイコン選択画面を表示部907に表示し(ステップS201)、作業用移動体8のオペレータからの操作入力を受け付ける(ステップS202)。
制御部902は、ステップS202で受け付けた操作入力が、電源をオフにする操作入力か否かを判別する(ステップS203)。ステップS203において、電源をオフにする操作入力がされたと判別した時には、制御部902は、各部への駆動電力の供給を停止するなどの所定の終了処理を行って(ステップS204)、この図24、図25に示す処理を終了する。
ステップS203の判別処理において、ステップS202で行われた操作入力は、電源をオフにする操作入力ではないと判別したときには、ステップS202で行われた操作入力は、現場処理か否かを判別する(ステップS205)。現場処理は、当該作業現場において、当該移動体端末9を持ち込んだ作業用移動体8を用いて作業を行う場合に実行する処理である。ステップS205の判別処理において、ステップS202で行われた操作入力は、現場処理ではないと判別したときには、制御部902は、ステップS202で受け付けた操作入力により選択された処理を実行する(ステップS206)。ステップS206においては、使用者からの選択入力に応じて、例えば、管理サーバ1において管理されている作業予定の表示処理や作業の入力処理など、種々の処理の実行が可能である。
ステップS205の判別処理において、ステップS202で行われた操作入力は、現場処理であると判別したとする。この場合、制御部902は、送信情報生成部912を制御して、開始要求(図18)を生成し、ネットワーク2を通じて管理サーバ1に送信する(ステップS207)。次に、制御部902は、GPS部906を通じて自機の現在位置を測位し(ステップS208)、これを送信情報生成部912に供給する。制御部902は、送信情報生成部912を制御して、測位情報(図18)を生成し、ネットワーク2を通じて管理サーバ1に送信する(ステップS209)。
次に、制御部902は、管理サーバ1からの要求を受信するようにし(ステップS210)、図25の処理に進んで、管理サーバ1からの要求を受信したか否かを判別する(ステップS211)。ステップS211の判別処理において、管理サーバ1からの要求を受信したと判別したときには、受信した当該要求に応じた処理を実行する(ステップS212)。このステップS210からステップS212の処理により、管理サーバ1からの要求に応じて、表示部907に表示メッセージを表示したり、音声出力処理部910及びスピーカ911を通じて音声メッセージを放音したりすることができるようにされる。すなわち、表示出力や音声出力により、報知事象や警告事象の発生を、当該移動体端末9の使用者である作業用移動体8のオペレータに通知(報知)することができる。
ステップS211の判別処理において、管理サーバ1からの要求を受信していないと判別したときと、ステップS212の処理の後においては、例えば、現場処理を終了させる所定の終了操作が行われたか否かを判別する(ステップS213)。ステップS213の判別処理において、終了操作は行われていないと判別したときには、図24のステップS208からの処理を繰り返し、測位位置(現在位置)を管理サーバ1に通知する処理を継続する。
ステップS213の判別処理において、所定の終了操作が行われたと判別したときには、制御部902は、送信情報生成部912を制御し、終了要求(図18)を生成して、ネットワーク2を通じて管理サーバ1に送信する処理を行う(ステップS214)。この後、制御部902は、現場処理を終了させ(ステップS215)、図24のステップS201からの処理を繰り返すようにする。すなわち、初期画面(アイコンの選択画面)に戻るようにされる。
このように、移動体端末9の場合にも、作業員端末5の場合と同様に、開始要求、測位情報、終了要求を適切なタイミングで生成し、これを管理サーバ1に送信する機能を実現する。特に、開始要求送信後から終了要求送信までの間においては、所定のタイミングごとに自機の現在位置を測位して、これを管理サーバ1に送信する処理を継続して行う。これにより、移動体端末9が持ち込まれた作業用移動体8の現在位置を、管理サーバ1において、適切に把握することができる。もちろん、開始要求、終了要求の送信により、当該作業現場における当該作業用移動体8を用いた作業の開始、終了のタイミングも適切に把握可能になる。
<管理サーバ1の処理>
図26は、作業現場管理サーバの処理を説明するためのフローチャートである。図26のフローチャートに示す処理は、当該作業現場において、作業が行われている間においては、常時、管理サーバ1の制御部102において実行されている。制御部102は、ネットワーク2を通じて自機宛てに送信されて来る作業員端末5や移動体端末9からの送信情報を受信するようにし(ステップS301)、作業員端末5や移動体端末9からの送信情報を受信したか否かを判別する(ステップS302)。
ステップS302判別処理において、作業員端末5や移動体端末9からの送信情報を受信していないと判別したときには、ステップS301からの処理を繰り返す。ステップS302判別処理において、作業員端末5や移動体端末9からの送信情報を受信したと判別したときには、受信した送信情報は、開始要求か否かを判別する(ステップS303)。ステップS303の判別処理において、受信した送信情報は、開始要求であると判別したとする。この場合、制御部102は動態管理部109を制御して、開始登録処理を行う(ステップS304)。
ステップS304の開始登録処理では、受信した開始要求が作業員端末5からのものであるときには、動態管理部109は、当該開始要求の作業員端末IDに基づいて作業員マスタファイル104を参照し、作業員IDを取得する。動態管理部109は、当該開始要求の作業員端末IDと、取得した作業員IDとをメタデータとし、受信した開始要求の生成日時を作業開始日時とする作業員位置管理データを形成し、これを作業員位置管理ファイル110に登録する。
また、ステップS304の開始登録処理では、受信した開始要求が移動体端末9からのものであるときには、動態管理部109は、当該開始要求の作業員端末IDに基づいて移動体マスタファイル105を参照し、移動体IDを取得する。動態管理部109は、当該開始要求の移動体端末IDと、取得した移動体IDとをメタデータとし、受信した開始要求の生成日時を作業開始日時とする移動体位置管理データを形成し、これを移動体位置管理ファイル111に登録する。このような、ステップS304の処理の後においては、制御部102は、ステップS301からの処理を繰り返す。
また、ステップS303の判別処理において、受信した送信情報は、開始要求ではないと判別したとする。この場合、制御部102は、受信した送信情報は、終了要求か否かを判別する(ステップS305)。ステップS305の判別処理において、受信した送信情報は、終了要求であると判別したとする。この場合、制御部102は動態管理部109を制御して、終了登録処理を行う(ステップS306)。
ステップS306の終了登録処理では、受信した終了要求が作業員端末5からのものであるときには、動態管理部109は、当該開始要求の作業員端末IDに基づいて作業員位置管理ファイル110を参照し、該当する作業員位置管理データを特定する。動態管理部109は、受信した終了要求の生成日時を、特定した作業員位置管理データの作業終了日時に更新する。また、ステップS306の終了登録処理では、受信した終了要求が移動体端末9からのものであるときには、動態管理部109は、当該開始要求の移動体端末IDに基づいて移動体位置管理ファイル111を参照し、該当する移動体位置管理データを特定する。動態管理部109は、受信した終了要求の生成日時を、特定した移動体位置管理データの作業終了日時に更新する。このような、ステップS306の処理の後においては、制御部102は、ステップS301からの処理を繰り返す。
また、ステップS305の判別処理において、受信した送信情報は、終了要求ではないと判別したとする。上述したように、作業員端末5、移動体端末9からの送信情報は、開始要求、終了要求、測位情報のいずれかであり、開始要求でも終了要求でもない場合には、測位情報である。このため、制御部102は、動態管理部109を制御して、位置情報登録処理を行う(ステップS307)。
ステップS307の位置情報登録処理では、受信した測位情報が作業員端末5からのものであるときには、動態管理部109は、当該測位情報の作業員端末IDに基づいて作業員位置管理ファイル110を参照し、該当する作業員位置管理データを特定する。動態管理部109は、受信した測位情報の生成日時を、特定した作業員位置管理データの測位年月日、測位時刻に更新し、受信した測位情報の測位位置を、特定した作業員位置管理データの測位位置に更新する。
また、ステップS307の位置情報登録処理では、受信した測位情報が移動体端末9からのものであるときには、動態管理部109は、当該測位情報の移動体端末IDに基づいて移動体位置管理ファイル111を参照し、該当する移動体位置管理データを特定する。動態管理部109は、受信した測位情報の生成日時を、特定した移動体位置管理データの測位年月日、測位時刻に更新し、受信した測位情報の測位位置を、特定した移動体位置管理データの測位位置に更新する。
ステップS301からステップS307までの処理は、複数の作業員端末5や複数の移動体端末9からの送信情報を、並列処理し、当該作業現場における作業員4、作業用移動体8の現在位置を、ほぼリアルアイムに把握することができるようにしている。この後、制御部102は、位置関係評価部112を制御し、位置関係評価処理を実行する(ステップS308)。
ステップS308の位置関係評価処理は、図12~図14を用いて説明したように、位置関係評価部112が、作業員位置管理ファイル110、移動体位置管理ファイル111の情報に基づいて、当該作業現場における作業員、作業用移動体の位置関係を評価する。この位置関係の評価に基づき、位置関係評価部112は、報知事象や警告事象が発生している作業員の作業員端末5、作業用移動体8の移動体端末9を特定し、これを報知処理部113に通知する。
また、ステップS308の位置関係評価処理では、終了要求が送信されてきていないのに、測位情報が送信されてこない作業員端末5を特定し、当該作業員端末5の作業員位置管理データの位置消失フラグを「1(オン)」にする処理も行う。もちろん、位置消失フラグが「1(オン)」にされた作業員位置管理データに対応する作業員端末からの測位情報の送信が復帰した場合には、制御部102の制御の下、動態管理部109が機能して、作業員位置管理データの位置消失フラグを「0(オフ)」にする処理も行う。
次に、制御部102は、報知処理部113を制御し、ステップS308の位置関係評価処理により特定した報知事象や警告事象が発生している作業員端末5や移動体端末9に対して、当該事象の発生を報知する危険報知処理を行う(ステップS309)。ステップS309の危険報知処理では、該当する作業員端末5や移動体端末9に対して、報知事象や警告事象の発生を報知するだけはない。例えば、報知対象の作業員端末5を所持する作業員4が、作業員マスタファイル104の情報に基づいて、工具箱6を所持している場合には、当該工具箱6の回転灯を通じて、報知事象や警告事象の発生を通知する処理も行う。
また、ステップS309の危険報知処理において、報知処理部113は、報知対象の作業員端末5、移動体端末9の現在位置に基づいて、近隣にある報知設備を、報知設備マスタファイル106を参照して特定する。報知処理部113は、特定した報知設備、例えば現場回転灯7などを通じて、報知事象や警告事象の発生を通知する処理も行う。
なお、ステップS309においては、通知先が移動体端末9である場合には、表示部907を備えているため、危険のある対象として特定した部分、当該移動体端末9が位置する部分の拡大画像を提供し、これを表示するようにしてもよい。また、危険と判定した作業用移動体8間の距離、作業用移動体8と作業員4との距離に応じて、報知音の音量や放音御パターンを変えるように制御することもできる。
次に、制御部102は、位置関係評価部112を制御して、特定エリア管理処理を実行する(ステップS310)。ステップS310の特定エリア管理処理では、図12を用いて説明したように、当該作業現場において予め設定された特定エリアTArに入った作業員端末5、移動体端末9を、位置関係評価部112が特定する。位置関係評価部112は、特定した作業員端末5、移動体端末9を、報知処理部113に通知する。
ステップS310の処理の後、制御部102は、報知処理部113を制御して、特定エリア報知処理を行う(ステップS311)。具体的に、ステップS311において、報知処理部113は、位置関係評価部112からの通知に応じて、特定エリアTArに進入した作業員端末5や移動体端末9に対して、特定エリアTArに進入したことを報知する処理を行う。これにより、報知を受けた作業員端末5を所持する作業員4や移動体端末9が持ち込まれた作業用移動体8のオペレータは、特定エリアTArに進入したことを認識し、注意して作業を行うことができる。
この実施の形態において、特定エリアTArは、コンテナの修理、洗浄を行うエリアであり、作業員がコンテナ内に入り込む場合が多いので、作業員4が作業のために入り込んでいるコンテナを作業用移動体8により吊り上げて移動させてしまうといった危険な状態の発生を回避できる。
また、ステップS310の特定エリア管理処理とステップS311の処理を通じて、特定エリアTArに進入した作業員端末5や移動体端末9が、特定エリアTArから退場(退出)した状態が確認できたとする。この場合には、当該作業員端末5や移動体端末9に対して、特定エリアTArから退場したことを報知することもできる。
また、ステップS310の特定エリア管理処理において、特定エリアTArに進入した作業員端末5から測位情報が送信されてこなくなった場合には、作業員位置管理ファイル110の位置消失フラグが「1(オン)」にされる。このタイミングで当該作業員端末5を所持する作業員4の位置を示す三角形の図形を、図12の図形SK1が示すように、測位情報を適切に送信してきている作業員端末5を所持する作業員の位置を示す図形とは、異なる態様で表示する。
これにより、コンテナ内に進入したために、現在位置が測位できなくなった作業員端末5が存在する可能性があることを、移動体端末9が持ち込まれた作業用移動体8のオペレータに通知でき、注意を促すことができる。もちろん、測位情報の送信が復活した場合には、上述したように、作業員位置管理ファイル110の該当する作業員位置管理データの位置消失フラグは「0(オフ)」に戻される。このタイミングで、表示態様を変えた作業員端末5を所持する使用者の位置を示す図形も、通常の図形の表示に戻すようにすればよい。
次に、制御部102は、位置画像生成部114を制御し、位置画像生成処理を実行する(ステップS312)。このステップS312の処理は、図15を用いて説明したように、移動体端末9のそれぞれごとに、移動体端末の現在位置に応じて、自機と、自機の周囲に位置する作業員4や他の作業用移動体8との位置関係を示す画像情報を生成する処理である。位置画像生成部114は、ステップS312で移動体端末9のそれぞれごとに生成した位置画像を、それぞれの移動体端末9に配信する位置画像配信処理を行う(ステップS313)。この後、制御部102は、ステップS301からの処理を繰り返す。
このように、管理サーバ1は、作業員端末5、移動体端末9からの送信情報を受信して集約することにより、当該作業現場全域における、作業員4や作業用移動体8の現在位置を、ほぼリアルタイムに把握できる。また、管理サーバ1は、特定エリアTArへの作業員4や作業用移動体8の進入、退場を検知できる。
[動線の確認処理]
また、上述もしたように、管理サーバ1は、作業員位置履歴ファイル107、移動体位置履歴ファイル108を備え、これらに蓄積されているデータに基づいて、図16を用いて説明したように、作業員4や作業用移動体8の動線の分析もできる。動線は、当該作業現場において、作業員や作業用移動体の移動経路を示したものである。これにより、上述もしたように、移動が集中する部分や時間帯を特定して、作業用移動体の配置位置を分散させたり、コンテナの配置位置を分散させたりするなどといった、種々の対応を取ることができるようになる。これにより、当該作業現場における安全性の向上と作業効率の向上を図ることができる。
なお、作業員や作業用移動体の分析は、作業員位置履歴ファイル107、移動体位置履歴ファイル108にある程度の履歴データが蓄積されていれば、適宜のタイミングで行うことができる。通常は、管理端末3から管理サーバ1に解析要求を出して、作業動線解析部115で解析処理を行い、その結果を管理端末3が提供を受けてすることになる。もちろん、移動体端末9から管理サーバ1に解析要求を出して、作業動線解析部115で解析処理を行い、その結果を移動体端末9が提供を受けて利用することもできる。
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の作業現場安全管理システムによれば、管理対象の作業現場全域において、作業している全ての作業員とすべての作業用移動体の現在位置をリアルタイムに把握できる。当該作業現場全域における作業員4や作業用移動体8の現在位置に基づき、近づき過ぎの状態や吊り上げたコンテナの下に作業員4が入った蓋然性の高い状態を検知し、当事者に対して当該状態を通知できる。すなわち、危険性の高い位置関係にある作業員4と作業用移動体8、あるいは、作業用移動体8同士を特定し、これら特定した相手先に危険な状態にあることを通知できる。
また、管理サーバ1は、特定エリアTArに対する作業員4や作業用移動体8の進入、退場を検知し、これを通知することもできる。また、作業開始後、作業終了前であるにもかかわらず、測位情報が送信されてこない作業員端末5については、最後の測位位置を保持し、その位置を示すと共に、測位情報が送信されてきていない作業員端末5であることも示すことができる。当該機能は、特定エリアでの安全管理に役立てることができる。
すなわち、作業現場における作業用移動体8と作業員4の現在位置をリアルタイムに把握、作業用移動体8と作業員4の動態管理を適切に行うことができる。これにより、作業用移動体8同士、作業用移動体8と作業員4との接触を回避できる。また、特定エリアとそれ以外のエリアとを区分けして、それぞれのエリアにおける作業用移動体8と作業員4の動態管理を行える。
[変形例]
上述した実施の形態において、作業用移動体8は、トップリフターであるものとして説明したが、これに限るものではない。当該作業現場である物流拠点において利用される、例えば、ストラドルキャリア、リーチスタッカ、ガントリークレーンといった種々の作業用移動体が使用される場合にこの発明を適用できる。この場合、例えば、図13、図14を用いて説明した場合のように、用いられる作業用移動体の大きさ、機能、形状などに基づいて、位置関係を評価するための基準エリアを設定するようにすればよい。また、ガントリークレーンの場合には、コンテナを吊り上げるコックピット部分の現在位置を測位するようにし、大きさはコンテナの大きさとなり、機能は、コンテナを吊り上げた状態での上下移動、及び水平移動が可能である点を考慮して、基準位置を設定することになる。
また、上述の実施の形態においては、基本的な例として、作業用移動体8同士の位置関係(距離)、作業用移動体8と作業員4との位置関係(距離)に基づいて報知や警告を行うようにした。しかし、これに限るものではない。上述もしたように、作業用移動体8の移動方向と移動速度の一方又は両方、更には、作業員4の移動速度と移動方向の一方又は両方を考慮して、報知や警告を行う場合(タイミング)と報知や警告の度合を特定し、これに応じて報知や警告を行うようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、作業現場は、物流拠点である場合を例にして説明したが、これに限るものではない。上述もしたように、建設現場、採石場などの種々の作業用移動体(運搬作業用の大型機械や建設作業用の大型機械)が使用される種々の作業現場において安全管理のために利用できる。従って、この発明が適用される作業現場において使用される種々の作業用移動体ごとに、位置関係の評価のための基準エリアを設定することにより、どのような作業現場においても、安全性の向上や作業効率の向上のために、この発明を適用することできる。
従って、種々の作業現場で用いられる作業用移動体の大きさや移動速度、更に当該作業用移動体により運搬される対象物の大きさなどを考慮して、位置関係を評価するための基準エリアを設定することができる。
また、上述した実施の形態では、特定エリアは1つしか設定されていなかったが、これに限るものではない。1つ作業現場において、特定エリアが複数個設定されている場合であっても、その複数個の特定エリアのそれぞれごとに、作業員や作業用移動体の進入、退場を管理することができる。また、これを拡張し、作業現場を複数のエリアに分割し、この分割エリアごとに、作業員や作業用移動体の位置管理を行うようにすることもできる。
また、上述した実施の形態では、現在位置の測位タイミングは、例えば、1秒おきとしたが、これに限るものではない。GPSを利用した現在位置の測位と、それでの測位情報の履歴に基づく予測処理とを加味し、より短い周期で現在位置を特定し、これを用いるようにしてもよい。
また、特定エリアTArへの作業員端末5や移動体端末9の進入、退場は、管理サーバ1の記憶装置103において、特定エリア管理情報として、別途管理するようにし、管理を厳重に行うようにしてもよい。
また、種々の作業現場においては、作業用移動体8の進入は禁止され、作業員4だけ(人間だけ)が通行できる安全通路が設けられたり、休憩場所や緊急時の避難場所として作業員4だけが立ち入ることができる安全エリアが設けられたりする場合がる。このような安全通路や安全エリアの位置、範囲についても管理サーバ1において管理する。これにより、当該安全通路や安全エリアは、報知や警告の対象外とすることができる。すなわち、安全通路や安全エリアには、基本的に作業員4しか存在しないので、作業員と作業用移動体との位置評価の対象外とすることができ、管理サーバの負荷を軽減できる。もちろん、作業員の所在の把握は、安全通路や安全エリアについても行うことができる。
また、上述した実施の形態では、作業員端末5、移動体端末9は、GPS機能を用いて現在位置を測位するものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、作業現場の複数カ所から、そのそれぞれを特定できるようにした現在位置の測位のための測位信号を送信する。そして、作業員端末5、移動体端末9においては、そのそれぞれを受信し、複数カ所からの測位信号の受信強度に応じて、現在位置を特定する方式を用いることもできる。また、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を用いて、自己位置推定と環境地図作成(作業現場画像情報作成)を行うようにしてもよい。
また、作業員端末5を通じての作業員への報知事象、警告事象の通知は、振動により行うようにした。この場合、振動の強さ、振動パターン、振動時間により、緊急性の度合を通知するようにしてもよい。また、作業員端末5が放音手段を備える場合には、アラーム音などの音声により、報知事象、警告事象の通知を行ってもよい。この場合には、音量、放音パターン、放音時間などにより、緊急性の度合を通知するようにしてもよい。
また、作業員4は、携帯電話端末を所持している場合もあり、これを管理サーバ1で管理しているので、管理サーバ1から作業員4が所持する携帯電話端末に電話をかけて、報知事象、警告事象の発生を通知することもできる。もちろん、音声メッセージにより、報知事象、警告事象の発生を通知することもできる。
また、移動体端末9は、表示部907を備えているので、上述したように、自機を含む場所の拡大画像の表示の他にも、種々の表示メッセージや種々の態様の報知画像、警告画像を表示し、報知事象、警告事象の発生を通知することもできる。
また、報知事象、警告事象の発生を通知する場合の振動のオン/オフ、画像の表示/表示終了、アラーム音の放音/放音停止などの制御は、管理サーバ1から行うこともできる。また、一定時間、振動、表示、音声により通知を行うようにし、状況が改善されない場合、繰り返し危険な状態が検知された場合には、繰り返し報知事象、警告事象の発生を通知する態様とすることもできる。
また、上述した実施の形態では、管理サーバ1は、1つの装置として示したが、各処理部やファイルは、ネットワーク2に接続された複数のサーバに分散し、いわゆるクラウドシステムとして構成してももちろんよい。