JP7390095B2 - 椅子の背凭れロック機構及び椅子 - Google Patents

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Description

本発明は、椅子の背凭れロック機構及び椅子に関するものである。さらに詳述すると、本発明は、椅子の背もたれを任意の位置でロッキング可能とするロック機構及び椅子に関するものである。
従来より、椅子の背凭れを初期位置または任意位置にてロックする機構を設けた椅子は多数存在する。
例えば、座の後方側にて左右に渡るピンを任意の孔に係合させることでロックをかけるもの(例えば、特許文献1)や、また、座の前方側にて背フレームから延びるロック機構にロック部材が飛び込むことにより、任意位置で背凭れをロックすることを可能とするものがある(例えば、特許文献2)。
特開平11-169255号公報 特開2007-130266号公報
しかしながら、いずれの椅子であっても、ロック装置は背凭れのロッキング反力を発生させる反力装置とは別々の位置に設けると共に別々の操作手段を必要とする構造であるため、座下のスペースを大きく使うこととなってしまう。これでは、座下のメカ部分が大きくなってしまい、スマートさに欠ける外観となってしまう。つまり、座下のスペース効率が悪くなるとともに、シンプルですっきりとした外観が得られないものとなってしまう。
本発明は、座下のメカ部分を小型化できる椅子のロック装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するための椅子の背凭れロック機構は、背凭れ及び座を備える椅子の背凭れの背ロッキングを固定するロック機構において、ばねと、その前後端に配置される前ばねマウント及び後ばねマウントと、前ばねマウントと後ばねマウントとの間に配置さればねの座屈を防ぐためのマウントピンとを有し、背凭れの後傾に連動して背凭れを押し戻そうとする力を発生させるばねを利用した背凭れ反力機構と、背凭れと連動する部材と当接することで背凭れの背ロッキングを初期位置でロック可能とするロック部材を有するロック機構とを備え、マウントピンが前ばねマウントを貫通し、ロック部材に当接して背ロッキングが固定され、背凭れ反力機構は、回転角度の変化によって前ばねマウントに与えるカム変位を変化させてばねを圧縮することにより反力を調整する反力調整カムを有し、反力調整カムとロック部材とは、一つの操作軸の回転によって駆動され、操作軸と反力調整カムとは回転方向に常時連結され、操作軸とロック部材とは回転方向に空転する領域を有し、反力調整カムの反力調整回転の領域の外で回転方向に連結されて操作軸と共に回転するようにしている。
ここで、ロック部材は背凭れ反力機構のマウントピンの進入を許容する凹部と、マウントピンの先端に当接してその動きを阻止する度当たり部とを有し、凹部と度当たり部のいずれか一方をマウントピンの前方に配置することで背ロッキングのアンロックあるいはロックを切り替えるようにすることが好ましい。
さらに、操作軸の回転動作は90°回転させることで反力調整カムによる反力調整が可能であり、180°回転することでロック部材が回転して背ロッキングに初期位置でのロックがかかることが好ましい。
また、請求項1からのいずれか1つに記載の背凭れロック機構を組み込んだ椅子であることが好ましい。
請求項1記載の装置によれば、背凭れ反力機構を利用してロック機構を構成できるので、座下のメカ部分を小型化でき、スペース効率を高めるとともに、シンプルですっきりとした外観が得られる。
本発明を適用した椅子の一実施形態を示す下から見た斜視図である。 同椅子の上から見た斜視図であり、肘掛けの図示を省略し且つ座及び背凭れのフレーム部分のみを図示している。 図2の椅子からさらに脚を省いた状態を下から見た斜視図である。 背凭れの分解斜視図である。 背シェルの背板の後ろ斜め下方から見た斜視図である。 背シェルの背フレームの側面図である。 背フレームの前方から見た斜視図である。 背シェルの取付部を上前方から見た斜視図である。 メインフレームと座と背凭れの背支持部材との関係を示す側面図である。 背支支部材の上前方から見た斜視図である。 座の分解斜視図である。 座フレーム及び前ブリッジフレームの上前方から見た斜視図である。 メインフレーム及びばね式の背凭れ反力機構並びにロック機構の一実施形態を示す分解斜視図である。 ばね式の背凭れ反力機構並びにロック機構の分解斜視図である。 ばね式の背凭れ反力機構並びにロック機構の一部を組み立てた分解斜視図である。 後ばねマウントの一実施形態を示す斜視図である。 前ばねマウントの一実施形態を示す斜視図である。 ロック部材の一実施形態を示す斜視図である。 ロック部材の側面図である。 ばね式の背凭れ反力機構の前後のばねマウントとマウントピンとの関係を示す斜視図である。 ばね式の背凭れ反力機構の前ばねマウント及びマウントピンと反力調整カム並びにロック部材との関係を示す斜視図である。 前リンクの一実施形態を内側から見て示す斜視図である。 反力調整カムの一実施形態を示す斜視図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。尚、本明細書において、前後左右の方向は着座者を中心に定められており、「前あるいは前方」とは肘掛け,座及び背凭れのそれぞれにおいて椅子及び当該椅子の座に座った着座者にとっての前あるいは前向きであり、「後あるいは後方」とは同様に椅子及び着座者にとっての後あるいは後向きである。また、前後方向と水平面内において直交する方向が肘掛け,座及び背凭れのそれぞれにおいて着座者にとっての左右方向であり、椅子の幅方向である。さらに、「上」及び「下」は肘掛け,座及び背凭れのそれぞれにおいて椅子及び着座者にとっての上及び下であり、鉛直面内の上と下である。
図1~図23に本発明を適用した椅子の一実施形態を示す。この椅子は、例えば図1に示すように、キャスターを有する脚1と、該脚1に支えられるメインフレーム2と、該メインフレーム2に対して揺動可能に支持されて相互に連動する座3及び背凭れ4とを有する。尚、図中の符号5は肘掛けであり、必要に応じて後ブリッジフレーム11の両端にビス止めなどで固定される。
(背凭れ)
背凭れ4は、特定の構造並びに形状に限定されるものではないが、本実施形態の場合、背シェル6と背くるみ材(図示省略)とで構成され、背シェル6をクッション材(図示省略)と袋状の張地(図示省略)とで全面的に覆うようにした所謂総ぐるみ構造とされ、背凭れ支持部材7を介してメインフレーム2に揺動可能に搭載されている。
椅子の背凭れには、着座者の着座姿勢に追従するような柔軟性のあるものが求められる。その反面、柔軟性があるだけの背凭れでは、背凭れにかかる荷重に耐えることでできず、破損の虞が存在する。そこで、従前の椅子は剛性のある背凭れフレームの前面に、柔軟性のあるインナーシェルと背クッション材とが支持された構造を採ることで、剛性と柔軟性とを併せ持つようにしている。しかし、昨今のオフィス用椅子には、シンプルですっきりとした外観の椅子が好まれる傾向があり、剛性のある背凭れフレーム例えば金属フレームが剥き出しの椅子は避けられる傾向がある。
このことから、シンプルですっきりとした外観でありながら、着座者の着座姿勢に追従する柔軟性を持ちつつ、背凭れ支持部材へは強固に取り付けることが可能な椅子の背凭れが望まれる。本実施形態の背凭れ4は、かかる要望に応えるものであり、柔軟性のある背板9を中央に配置し、その両側を剛性のある背フレーム8で支えるようにして背総くるみで覆うことによってシンプルな外観に構成するようにしている。具体的には、本実施形態の背シェル6は、図4に示すように、左右一対の剛性を備えた背フレーム8と柔軟性のある背板9とで構成されて、強度に対して合理的な部品構成とされている。
本実施形態における背凭れ4は、例えば図2や図3に示すように、側面視において前方に向けて凸となる形状(すなわち、くの字状)に形成されると共に、平面視において後方に向けて凸となるように湾曲した形状をなしている。そして、背シェル6の下端部の背取付座10が背凭れ支持部材7の背シェル取付部12のフランジ13に嵌合されてねじ止めされることで、連続した側面視L形とされる。ねじ止めは、環状の背シェル取付部12の内側からねじ(図示省略)をねじ込むことで、外観に表れずに背シェル6の前方へ突出するコ形の背取付座10と背シェル取付部12とが連結されて一体化されている。これによって、本実施形態では、背凭れ支持部材7と背凭れ4の背シェル6とが連続した側面視L形のすっきりとした外観で構成される。
背シェル6の背取付座10(即ち、背凭れ支持部材7の背シェル取付部12に嵌合される部分)は、図8に示すように、前方に折れ曲がった側面視L形を成すと共に両側の背フレーム8部分が中央の背板9よりもさらに前方に迫り出して背シェル取付部12を囲うようなコ形を成し、背シェル取付部12に対し左右両側と背面との3方向から挟み込むように差し込まれて強固に背シェル取付部12に連結する構造が採られている。
背フレーム8は構造物としての機械的剛性を担保するため、例えばPA6-GF(ポリアミド6)などのガラス繊維入り強化ナイロン等で成形されることが好ましい。他方、背板9は、背凭れとしての凭れ心地をよくするためにある程度の柔軟性を有することが好ましく、例えばPP(ポリプロピレン)などのオレフィン樹脂などで成形することが好ましい。つまり、背凭れとしての強度は両側の背フレーム8で担保しつつ背凭れとしての柔らかさは中央の背板9で担保するようにしている。
本実施形態の背フレーム8は、例えば図4及び図6に示すように、縦長形状をしており、背板9の左右両側下部例えば背板9の大半例えば背支点(着座者の腰部に押し当てられる部分)よりも上の領域まで宛がわれることが好ましい。これによって、背シェル6の補強部材としての機能を発揮させることができる。他方、背板9は所望とされる形状、例えば背フレーム8が宛がわれる部分を含めて補強のための縁部を設けた正面視ほぼ矩形に形成されている。
背板9と両側の背フレーム8とは背凭れ面と平行な凹凸の嵌合とビスによる嵌合部位のビス止めとによって連結され一体化されている。そして、この状態で、背凭れ支持部材7の後部の環状の背シェル取付部12に取り付けられている。尚、図中の符号19はねじ孔である。
これら背フレーム8と背板9との連結箇所を強固なものとすると共に凹凸の少ない滑らかで連続的なものとするため、例えば図4~図7に示すように背板9の両側縁部に段差14を設けて部分的に背フレーム8と重畳する部分(つまり、フランジ15)を形成する一方、背フレーム8の背板9側に面する内側の側面に、背板9のフランジ15を嵌合させる溝16を形成する横断面U形の嵌合部17を形成し、背板9のフランジ15と背フレーム8の溝16とを嵌合させて一体化するように設けられている。背フレーム8は、背板9と重畳する嵌合部17がU形の断面構造でL形に折り曲げられる形状とすることで剛性がさらに強くなる。しかも、溝16に背板9のフランジ15を嵌合させることで剛性をさらに高めうる。また、本実施形態では、背板9のフランジ15を嵌合させる溝16を形成するU形の嵌合部17の一方の縁部分例えば背板9の後側に回り込む後支え部18を内側に向けて迫り出させることにより(つまり、長さを変えることにより)、背板9と前後方向に重畳する部分を設けて更なる強度増大に努めている。尚、本実施形態の背凭れ4は、背シェル6を全面的に覆うようにした所謂総ぐるみ構造によって、背板9のフランジ15と背フレーム8の溝16との嵌合部分は隠蔽される。
他方、背シェル6の背取付座10には、背凭れ支持部材7の背シェル取付部12に向けて対向するようにフランジ用溝20が形成されている。例えば、図8に示すように、中央に背シェル取付部12のフランジ13を嵌合させるためのフランジ用溝20を有すると共にその上下に張地の端(つまり、縁)に縫い付けられた係止部材例えばPP(ポリプロピレン樹脂)コードごと張地を挟み込むための張地用溝21,22をそれぞれ設けている。即ち、上側には、背総くるみを成す前側の張地の縁の係止部材を挟み込むための溝21を、下側には後側の張地の縁の係止部材を挟み込むための溝22を、それぞれ有している。したがって、背シェルの背取付座10の上下の張地用溝21,22にPPコードと張地の縁を差し込んだ状態で背シェル取付部12のフランジ13と背シェル6側の背取付座10の中央のフランジ用溝20とを嵌合させてビス止めすることで、張地は背シェル6と背シェル取付部12との間で挟持されて抜け難くなるように構成されている。
このような構造は、射出成形用金型を製作する場合には型抜きし難い形状となる。即ち、同じ平面で抜き方向が交差するように内向きに存在し、同時にL形に前後方向に湾曲すると共に上から見てコ形である複雑な形状の背取付座10を構成しているので、1部品として射出成形することが困難である。しかし、本実施形態の場合、背シェル6は、左右の背フレーム8と中央の背板9との3部品に分割され、それぞれ型抜き方向が一方向となるので金型構造がスライド型などを用いずとも済み、金型構造を簡単にしてコストがかからないものにできる。即ち、背フレーム8は、左右方向に型割する金型で溝16,20を成形でき、背板9は、奥行き方向・前後方向に割る割型構造とすることで溝20,21,22を成形できる。
左右の背フレーム8と中央の背板9とに3分割することで、全体として組み合わせたときに下端部分が前方に折れ曲がったL形を成すと共に両側の背フレーム8部分が中央の背板9よりも前方に迫り出し後ブリッジフレーム11の背凭れ取付フレーム部を囲うようなコ形を成す空間を内側に形成する型開きし難い構造に形成しても、それぞれ射出成形において通常採用される左右への型開きあるいは前後への型開き構造にすることができるので、型構造がシンプルで安価なものとすることができる。
また、上述の実施形態にかかる背凭れ4の背シェル6と背凭れ支持部材7との取付構造によれば、環状の背シェル取付部12の内側から外側の背取付座10に向けてビスをねじ込むことで背シェル取付部12と背シェル6(つまり、背取付座10)との連結を図っているが、これに特に限られるものではなく、外側から内側に向けてビスをねじ込むことで連結を図っても良い。
背凭れ支持部材7は、後ブリッジフレーム11と環状の背シェル取付部12(内側が空所となっている矩形の枠)とを有している。後ブリッジフレーム11は、左右に伸び上向きに湾曲した翼状のフレームであり、後方の環状の背シェル取付部12と相俟って、座3の後部の座下に空間をつくる。これによって、図示していない座構造物を構成するメッシュやクッションが緩衝することなく鉛直方向に撓むことを可能とする。また、意匠的に軽く見せる効果がある。
さらに、後ブリッジフレーム11の最下部である中央には、メインフレーム2の後端のブラケット48の背凭れ回転軸49を挿通させて揺動自在に連結するための軸受部25と、斜め下前方へ向けて垂下してばね式の背凭れ反力機構の一方のばねマウント例えば後ばねマウント63を受け支えるアーム部26とを備えており、背凭れ4が後傾する際にばね式の背凭れ反力機構の一方のばねマウント63を前方へ押し出させるばね式の背凭れ反力機構を構成するように設けられている。また、後ブリッジフレーム11の上面の両端には、座フレーム31の後方のブラケット33を揺動自在に取り付けるための取付部即ちブラケット28を備えている。ここで、ブラケット28の位置は、図9に示すように、軸受部(つまり、回転軸)25よりも前方、つまり後ブリッジフレーム11が後傾する際に座3を持ち上げる位置に設けられている。例えば、背凭れ支持部材7は、後ブリッジフレーム11の軸受部(換言すれば、背凭れ回転軸49)25がブリッジ背凭れ4を後傾させる際に座3を持ち上げる位置となるように、軸受部(つまり、回転軸)25を中心にしたとき、後ブリッジフレーム11が斜め上前方に迫り出すように傾斜し、且つ後ブリッジフレーム11の後方の背シェル取付部12が斜め上後ろに向けて迫り出す傾斜した形状とされている。尚、背シェル取付部12の外周面には、背シェル6を後方から差し込む為のフランジ13が後方並びに左右両側に向けて突出するように当該背シェル取付部12を囲むように形成されている。しかして、背凭れ支持部材7は、後ブリッジフレーム11、軸受け部25、アーム部26、背シェル取付部12、座フレーム取付部(ブラケット28)、肘取付座29を一つに集約した合理的な構造にされている。
尚、後ブリッジフレーム11の両端には、図2及び図9に示すように、肘掛け5を取付けるための座部(ビス止め可能な凹部であり、以下肘取付座29と呼ぶ)が設けられている。この肘取付座29は、肘掛け5が無いときには凹部となって露出するのでこれを覆い隠すカバー、即ち後ブリッジフレーム11の外殻面と同一に繋がる面で構成されたカバーで塞がれている。
背総くるみは、背シェル6の表側を覆う表側張地と、裏側を覆う裏側張地と、表側張地の裏面に縫い付けられる比較的薄手の緩衝用のウレタンクッションとで構成され、背シェルと相似形状の袋状に縫製されている(図示省略)。これによって、総くるみを背シェル6に被せたときに、背シェル6の前面と背張地との間にクッション材が介在されて、弾力性を発揮させるようにされている。本実施形態の総くるみは、背シェル6の上から被せて底辺附近の背取付座10の溝に樹脂コード毎張地の縁を嵌め込んで固定するものであることから、背取付座10の付近ではコの字形の内側が縫合されずに表側張地と裏側張地とに分岐されている開口部を構成している。尚、本実施形態の背総くるみは、一例として織物製張地を用いているが、素材には特に限定を受けない。
また、背シェル6に被せる総くるみに対して張力を付与しながら固定することができる位置、例えば総くるみを上から被せる本実施例の場合には、上辺とは反対側の辺、即ち下辺側のコ形の背取付座10の内側面には張地の端・縁が固定されるように設けられている(図8参照)。例えば、背シェル6の底辺(背板9の底辺)の外側の面には、薄板状の係止部材を備える張地の縁を嵌め込む2条の張地用溝、即ち総くるみの開口部の表側張地の縁を差し込む表側張地用溝21と裏側張地の縁を差し込む裏側張地用溝22とが上下に並べて形成されている。この張地固定構造は、張地の縁部に板状の係止部材を縫い付け、この係止部材ともども張地の縁を折り返してあるいは折り返さずに背シェル6の張地用溝21,22に押し込むように嵌め込むことによって、張地に引っ張り力が付与されても係止部材が張地用溝に引っ掛かって張地用溝から抜け出ないようにするものである。また、表側張地用溝21と裏側張地用溝22との間には、背シェル取付部12のフランジが差し込まれるフランジ用溝20が形成されている。このフランジ用溝20の途中には、溝を横切る縦リブ23が形成され(つまりフランジ用溝20が断続的に形成され)、且つ縦リブ23には背シェル取付部12をビス止めするための雌ねじ24が設けられている。他方、背シェル取付部12のフランジ13は、フランジ用溝20に設けた縦リブ23と干渉せずにフランジ13がフランジ用溝20内に挿入可能に設けられるように、周方向に断続的に形成されている。したがって、背板9と背フレーム8をくるむ背総くるみの縁が張地用溝21,22に収容された状態で背シェル取付部12が内側から蓋をするように宛がわれてねじ止めされることで、背シェル取付部12と背取付座10との間で背総くるみの縁が固定される。これによって、背総くるみの縁を隠して張地の収め型をすっきりさせると共に、張地を強固に挟み付けて固定の強度も確保できる。
2条の張地用溝21,22は、本実施形態の場合、背シェルのコ形の背取付座10の内周面に設けられているが、これに特に限られるものではなく、総くるみに対してテンションをかけながら装着できる位置であれば固定可能であることから、いかなる位置でも設けることができる。例えば、背シェル6の上辺でも良いし、側方でも良い。また、背シェル6を用いるのではなく、図示していない背枠(中が空洞の枠体)に被せられて固定されることもある。
(座構造)
座3は、特定の構造並びに形状に限定されるものではないが、本実施形態の場合、図11及び図12に示すように、インナーシェル35を図示していないクッション材と袋状の張地とで全面的に覆うようにした所謂総ぐるみの座構造物として、座支持部材30を介してメインフレーム2に揺動可能に搭載されている。
本実施形態の座支持部材30は、環状の座フレーム(内側が空所となっている矩形の枠)31と該座フレーム31の前方を支持する前ブリッジフレーム32と、座フレーム31の中程よりもやや後方寄りの位置を背凭れ支持部材7に連結させるためのブラケット33とを有し、前ブリッジフレーム32の中央部分の軸受部34がメインフレーム2の前リンク41に揺動自在に連結されて支持される一方、座フレーム31の後側のブラケット33が背凭れ支持部材7のブラケット28に図示していない回転軸で連結されて揺動自在に支持されている。したがって、座3は背凭れ4の動きと連動することとなる。
前ブリッジフレーム32は、左右に伸び上向きに湾曲した翼状のフレームであり、背凭れ支持部材7の後ブリッジフレーム11並びに背シェル取付部12と相俟って、座下に空間をつくる(図9参照)。これによって、座構造物を構成するメッシュやクッションが緩衝することなく鉛直方向に撓むことを可能とする。また、意匠的に軽く見せる効果がある。
ここで、後ブリッジフレーム11に対する座フレーム31の後方のブラケット33の取り付け位置は、後ブリッジフレーム11の背凭れ回転軸49よりも前方に設けられており、背凭れ支持部材7が後傾する際に座フレーム31(つまり、座3)を持ち上げられる位置にある。即ち、背もたれ4の後傾に伴って座3が持ち上げられ、背もたれ4の後傾動に対して、着座者の体重の一部が抵抗として作用する(ロッキング抵抗が体重感応する。)体重感知式反力付与機構(あるいは体重感応式反力付与機構と呼ばれる)を構成するように設けられている。
他方、座構造物は、本実施形態の場合、座り心地の良さを重視して、着座者の体重を均等に分散支持する構造部材としてのメッシュ(図示省略)を張り詰めた環状のインナーシェル(中芯)35と、インナーシェル35のメッシュの上に載せられる例えばウレタンフォームなどのクッション材(図示省略)と、クッション材とインナーシェル35とをくるむ張地(図示省略)とで構成され、座フレーム31(アウターシェルに相当する)の上に載せて例えばビス孔39を通して下からビス止めすることで固定されている。本実施形態の張地は、例えば周縁に紐を通す紐通しを有し、紐を引っ張って張地を絞ることでクッション材とインナーシェルとをくるむタイプのものであり、紐の端の処理が必要となる。そこで、座フレーム31の上面の中央には、くるみの紐を収めるための環状の紐溝36を設け、図示していない紐を座フレーム31の紐溝36に収めて外観に表れないようにしている。勿論、紐だけでなく、張地の縁そのものを紐溝36内に収めて外観に表れないようにしても良い。尚、本実施形態の座構造物は、座り心地をよくするために、メッシュとウレタンの二重弾性支持構造としているが、これに特に限られるものではなく、ウレタンだけあるいはメッシュだけで弾力性を持たせるようにしても良い。
尚、本実施形態の場合、前ブリッジフレーム32と座フレーム31並びに後ブリッジフレーム11と背シェル取付部12とは一体成形されているが、場合によっては別体に成形して連結するようにしても良い。
(昇降レバー)
前ブリッジフレーム32の端の座フレーム31に向けて立ち上がる壁部には、脚1のガスシリンダのバルブの開閉を操作する昇降レバーキット37が嵌め込まれる空所38が設けられている。これにより、座支持部材30のフレーム形状の合理化と共にレバー取付位置もスマートに配置されるものとなる。また、操作ワイヤーの取り回しも前ブリッジフレーム32に沿ってレイアウトさせることができる。しかも、フレーム自体にレバー受け(ボックス状のもの)をつくったりするのではなく、前ブリッジフレーム32の空所38に独立した昇降レバーキット37を収めるようにして装備するので、部品コストや組立コストを下げることができる。尚、操作ワイヤーの先端の玉部分は、リンクホルダー91に揺動自在に支持されているL形のリンク(所謂、ベルクランク)92の一方の辺の上端の玉受け部に係留され、操作ワイヤーの引っ張りで他方の辺でガスシリンダのバルブを押しさげるように設けられている。
(反力機構:体重感応式)
本実施形態の椅子は、反力機構として、背シェル6が後傾するときにばねを圧縮して反力を得るばねを用いた反力機構60と、背凭れを後傾させるときに座フレーム31を持ち上げるように連動させることによりて背ロッキングに対する抵抗を使用者の体重に比例させる(感応させる)体重感応式(あるいは感知式)反力付与機構とを併用している。
ここで、メインフレーム2は、本実施形態の場合、構造物としての機械的剛性特に捻り剛性などを高めると共に内側に収容するため、例えば図13及び図15に示すような、左右の側壁部と底壁部とを有する箱形を成し、後方の筒部40が脚柱のガススプリングに嵌合されて支持される一方、前方が左右一対の前リンク41を介して座フレーム31を支持する前ブリッジフレーム32の軸受部34に回転自在に連結されると共に、後方のブラケット48に背凭れ回転軸49を介して後ブリッジフレーム11の軸受部25を連結することにより、座3と背凭れ4とを揺動自在に支持するようにしている。本実施形態では、例えばアルミダイキャストなどで一体成形されているが、これに特に限られるものでは無く、鋼材などを溶接付で箱形あるいはそれ以外の軸承部を有する形状に成形しても良い。
メインフレーム2の内側には、圧縮コイルばねを含む反力機構60が備えられ、メインフレーム2の後端側に揺動自在に支持されている背凭れ支持部材7とメインフレーム2の前端側のリンク軸(本実施形態では、反力調整用の操作軸も兼ねることから、以下操作軸52と呼ぶ)との間に背凭れ4の後傾に連動して背凭れ4を押し戻そうとする力を発生させるように設けられている。
(前リンク)
メインフレーム2と座支持部材30の前ブリッジフレーム32とを連結する前リンク41は、本実施形態の場合、意匠的配慮から、軸端を見せないで組み付ける方式が採用されている。例えば、外側壁部分43が塞がれて前リンク軸42が貫通しないように設けられた左右の一対の前リンク41の間で前リンク軸42を挟持するようにして軸端を見せないで組み付ける構造とされている。前リンク41は、図22に示すように、外観には現れないようにして、メインフレーム2の前方の軸孔47を貫通する操作軸52をリンク軸として支持させる軸受部44と、前ブリッジフレーム32の軸受部34を貫通する前リンク軸42の両端を支持させる軸受部46とを有し、周囲にリブ45を配してリンクとして十分な強度が得られるように配慮されている。尚、一方の前リンクの基部側の軸受部44には、操作軸52の一端に操作レバーを取り付けるため、操作軸52を貫通させる孔50が設けられている。ここで、一方の前リンクの基部側の孔50及びメインフレームの一方の軸孔47には、操作軸52のキーを通過させるためのキー溝51が備えられ、該操作軸52をセットする際にキー86を通過させ得るように配慮されている。
また、前リンク41の基部側の軸受部44の周面には、規制突起(ストッパ)53が設けられ、前リンク41が起き上がるときにメインフレーム2の底54に当接してそれ以上前リンク41が立ち上がらないように回動を阻止するように設けられている。他方、前リンク41の天井部57の内側には、メインフレーム2の前端縁56に当接してそれ以上前リンク41が倒れないように規制する度当たり55が設けられている。この度当たり55は、前リンク41の前後の回転軸中心を結ぶ線分がメインフレーム2の長手方向の延長線上に沿うように配置される位置に設けられている。したがって、前リンク41は、径方向外側に突出する規制突起53とメインフレーム2の前端縁56に当たる度当たり55とでそれぞれ規制される間の範囲内で揺動自在に支持される。
前リンク41は、本実施形態の場合、図3に示すように、メインフレーム2を構成する面(側面、下面、上面)とほぼ同一面で構成され、側面から見てメインフレーム2の一部を構成するかのように見えるように、意匠的に配慮されている。例えば、左右の前リンク41の間の空間を軸受部34などと干渉せずに塞ぐ天井部57及び底面部58を有し、メインフレーム2との間の意匠的な連続性を持たせている。メインフレーム2と前リンク41とは、全体的に先端に向かうに従って細くスマートな一つの塊に見える要素の中に、半円弧状に切りかかれた溝によってリンク41と本体部(メインフレーム2)とに分けられた部品が存在することとなる。具体的には、例えば先端側が基端側に比べて小径で全体的に先端に向かって細くなる長円形に形成されている。尚、メインフレーム2の上面はメインフレーム上蓋59で構成されている。
メインフレーム2と前リンク41の位置関係は、初期位置状態(着座者が存在しない状態)では一軸上に配置されるように設けられている。つまり、前リンク41の前後のリンク軸42,52を結ぶ線の延長線上にメインフレーム2が伸びるように配置されている。これによって、一つの部品であるかのように、かつ意匠的にすっきりとした印象を与えるように見せるデザイン的配慮がなされている。このようにして、座下のメカ部分を小型化・薄型化でき、スペース効率を高めるとともに、スマートな見栄えの良い外観とすることができる。
(ばね式の背凭れ反力機構とロック機構)
ばね式の背凭れ反力機構60は、本実施形態の場合、反力ばね例えば1本の圧縮コイルばね61と、その前後端に配置される前後のばねマウント62,63と、反力調整カム65とで構成され、ばねマウント62,63を介在させてメインフレーム2の前方の回転軸即ち操作軸52と後ブリッジフレーム11のアーム部26との間に装着されている。ばね61の座屈を防ぐためのマウントピン64と、前ばねマウント62を支持する前ばねマウント受け66と、後ばねマウント63を支持する後ばねマウント受け67と、前ばねマウント受け66を前後動自在に保持する前ばねマウントハウジング68と、切り替えレバー69と、該切り替えレバー69によって回転させられる操作軸52と、該操作軸52によって回転させられる反力調整カム65とを有する。
一方のばねマウント(以下、前ばねマウント62と呼ぶ)は、例えば図17に示すように、ばねを受け支える座70と、ばね61の内側に嵌め込まれる縦軸部71と、縦軸部71と直交する方向に軸心を有する回転用の横軸部72並びに座70及び縦軸部71を貫通する孔73とを有し、マウントピン64が当該ばねマウント62を貫通するように設けられている。本実施形態の場合、縦軸部71が中をくりぬいた中空軸とされることにより、部品の軽量化と肉厚を均一にしてひけの発生を防ぐことにも寄与する。この前ばねマウント62は、横軸部72を利用して前ばねマウント受け66に回転自在に支承される。
前ばねマウント受け66は、メインフレーム2にねじ止めなどで固定される前ばねマウントハウジング68内に収容された状態で前後動可能に収容される。前ばねマウントハウジング68の底部の隅には前後方向に延びるレール74が形成され、他方、前ばねマウント受け66の底部の外側の隅にもレール74と嵌合する凹み75が形成され、レール74の上を前ばねマウント受け66が摺動するように設けられている(図14参照)。尚、前ばねマウント受け66の前ばねマウント62の横軸部72を受け止める部分は円弧状の座面とされて揺動自在に支持される。
本実施形態の場合、前ばねマウント62は、前ばねマウント受け66を介してばねマウントハウジング68内を前後方向に摺動可能に収容されている。前ばねマウントハウジング68はメインフレーム2にビス止めされて固定されている。そして、前ばねマウント受け66の前方には、反力調整カム65が配置され、反力調整カム65を回転させることにより前ばねマウント受け66ひいては前ばねマウント62を前後動させるように設けられている。本実施形態の場合、反力調整カム65は、例えば基礎円を含めて少なくとも2段階以上の変位を与える板カムであり、カム変位をばねマウント受けに与えることにより、ばねを圧縮して反力を調整するものである。本実施形態の場合、図23に示すように、基礎円(回転中心軸からの距離L部分)から回転角90°毎に最大変位量(即ち、リフト量:回転中心軸からの距離L部分)となる3つの静止区間とそれらの間の直線的カム面を有し、基礎円部分の変位を含めた強弱の2段階の反力調整を可能としている。即ち、基礎円部分の変位(つまり、弱(距離L))といずれかのリフト量位置の変位(つまり、強(距離L))との2段階の変位を与えるものであり、各リフト位置の前には直線的カム面が設けられ、反力調整カム65を切り替える際にクリック感を与えるように設けられている。尚、反力調整カム65の回転は、切り替えレバー69によって回転操作される操作軸52の回動によって行われる。
他方のばねマウント(以下、後ばねマウント63と呼ぶ)は、例えば図16に示すように、ばね61を伸縮方向に受け支える座76と、ばね61の内方に嵌め込まれる縦軸部77と、縦軸部77と直交する方向に軸心を有する回転軸80を貫通させる横軸受部78並びに座76及び縦軸部77を貫通する孔79とを有し、マウントピン64がばね伸縮方向に貫通するように設けられている。本実施形態の場合、縦軸部77が中をくりぬいた中空軸とされることにより、部品の軽量化と肉厚を均一にしてひけの発生を防ぐことにも寄与する。
マウントピン64の一端例えば後端には脱落防止のためのフランジ81を有し、後ばねマウント63を貫通せずに固定される関係とすることが好ましい。本実施形態の場合、後ばねマウント63の横軸受部78に回転軸80を貫通させてフランジ81をさらに逆方向にも移動不能とすることで、マウントピン64の抜け外れを防止するようにしている。この後ばねマウント63は、横軸受部78を貫通する回転軸80を背凭れ支持部材7のアーム部26の反力受け部27に回転自在に支承されることよって、揺動可能に支持されている。そして、後ブリッジフレーム11の動きを後ばねマウント63に伝達するように設けられている。したがって、背凭れ4が後傾することでブラケット48に支持されている背凭れ回転軸49を中心に後ブリッジフレーム11のアーム部26が前方へ向けて押し出されると、後ばねマウント63を介してマウントピン64並びにばね31が前方へ押し出され、ばねを圧縮する。つまり、後ブリッジフレーム11のアーム部26を介して背凭れ4に反力が付与される。後ばねマウント63を抱え込むように抱持する後ばねマウント受け67は、後ろばねマウント63が前方へ押し出される際に、メインフレーム2の底面から起立した障壁部82に前面が当接することによって、それ以上前に移動できないように規制している。即ち、反力装置の前方への移動量を規制するようにしている。
(ロック機構)
ロック部材83は、背凭れと連動する部材と当接することで背ロッキングを任意位置でロック可能とするものである。例えば本実施形態の場合、マウントピン64の動き、特に初期位置における前方への突き出しを押さえることで、背凭れ4の後傾を固定するものである。つまり、本実施形態のロック部材83は、前ばねマウント62を貫通したマウントピン64の先端が度当たり部84に当接することで、マウントピン64ひいては背凭れ支持部材7(背凭れ)の動きを規制し、即ちばね61がそれ以上縮まらないようにしてばね式の背凭れ反力機構をロックするものである。
ロック部材83は、例えば図18及び図19に示すように、前ばねマウント62を貫通したマウントピン64の先端が嵌入される凹部85と反力調整カム65よりも後ばねマウント63側に突出してマウントピン64の先端と当接する度当たり部84部とを異なる角度でマウントピン64の前方に配置するものであり、操作軸52に嵌め込まれ、マウントピン64の軸線上に配置されている。このロック部材83は、操作軸52が貫通し、操作軸52の回転角度が一定範囲内(つまり、反力調整カム65の作用角の範囲内)では空転し、反力調整カム65の回転角度が所定範囲を超えたときに操作軸52のキー86が当接して、当該ロック部材83を回転させるように設けられている。そして、操作軸52によって回転させられることで、マウントピン64の先端が度当たり部84部に当接してマウントピン64がそれ以上前方へは移動しないように阻止して背凭れの動きを固定する。
操作軸52には、反力調整カム65に開けられたキー溝87と嵌合するキー86と、所定回転したときにロック部材83と係合するキー86とを備え、切り替えレバー69を初期位置から90°の範囲で回転させるときにばね61の反力を切り替え、それを超えて180°回転させたときにロック部材83に係合してロック部材83を回転させ、度当たり部84部がマウントピン64の前に切り替わるように同じ回転動作で連続的に操作できる。尚、本実施形態では、図14に示すように、反力調整カム65のキー溝87と嵌合するキーと、ロック部材83と係合するキーとを同じ1本のキーで共用しているが、場合によっては別々のキーを設けても良い。
ロック部材83は、操作軸52のキー86が概ね180°の間で空転する遊びが設けられている。つまり、操作軸52が180°以上回転したときにキー86がロック部材83の内周面の段差部分(キー当接面88と呼ぶ)に当接してロック部材83を回転させる。ロック部材83の前端面にはマウントピン64の先端面が当接する度当たり部84が形成されている。したがって、マウントピン64の延長線上にロック部材83の度当たり部84が配置されることでマウントピン64の動き(ひいては背凭れ4のロッキング)が固定される。本実施形態の場合、例えば30°程度回転させたときに、アンロック位置(凹部85)からロック位置(度当たり部84)へと切り替わる構造とされている。したがって、ロック部材83はメインフレーム2の細く狭まった先端側においても、メインフレーム2の内部空間に収まり、尚且つ切り替え動作に必要な空間が確保される。
ロック部材83は、常時一定方向に付勢されてマウントピン64と度当たり部84の当接を妨げられること、即ちアンロック状態に保持されることが好ましい。例えば、ロック部材83の回転軸・操作軸52よりも前方に捻りコイルばね89の一端が係合され、当該ロック部材83の前側が常時上向きに付勢されることにより、当該ロック部材83の後側が押し下げられてマウントピン64の前方に凹部85が位置するように(常時アンロック位置に向けて)付勢される。つまり、本実施形態では、ロック部材83には常時付勢されて押しさげられた位置にマウントピン64の先端が挿入されて例えば3~4cm前後の進入・変位を可能とする凹部85が形成され、背凭れの後傾により前方へ押し出されるマウントピン64が凹部85に退避してロック部材83と干渉しないように設けられている。さらにロック部材83は、上述のアンロック位置から例えば30°程度押し上げるように回転させたときに、マウントピン64の前に度当たり部84が位置するように備えており、反力調整カム65による反力調整範囲を超えて操作軸52を回転させたときに回転してマウントピン64の先端と度当たり部84とが当接するように設けられている。尚、図中の符号90は捻りコイルばね89の一端を引っ掛ける穴であり、捻りコイルばね90の他端側は図示していないがメインフレーム2の底部に押し当てられている。
以上のように構成された反力機構によれば、操作軸52に組み付けられたカム即ち反力調整カム65とロック部材83との回転により、ロッキング反力機構と初期位置固定機構とを一つのレバー操作(回転角度によって切り替え可能)で成り立たせることができる。つまり、反力機構と初期位置固定機構とを1軸1ユニットで成り立たせることができる。したがって、背ロッキングの反力調整並びにロックの2つの機構を備えつつ、座下のスペースを小型化でき、また製造コストを抑え、外観面を向上させることができる。
また、反力調整カム65とロック部材83(捻りコイルばね89で強制的に下向きに付勢されている)とは別体にしているので、ロック部材83だけを必要量だけ回転させる構造とすることでコンパクトにできる。他方、反力調整カム65は直線的カム面を乗り越えるようにして切り替わるので、クリック感が生ずる。
また、マウントピン64が一方のばねマウント例えば前ばねマウント62とを貫通することでマウントピン64を長くできる。このため、長いばね61を圧縮して使う場合に、マウントピン64が貫通した状態で組み付けができ、マウントピン64とばねマウント62,63の軸部71,77とが組み込まれた状態(マウントピン64がばねマウント62,63の軸部71,77から外れた状態を採ること無く)でこじれなどが起こる心配が無く、動きがスムーズである。しかも、ばねマウント62,63の軸部71,77も短くできるので、部品コストが下がるし、ばねマウント62,63の間での伸縮の量を大きく設定できる。
なお、上述のばね支持構造の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態は、反力機構の反力調整カム65とロック部材83とは互いに独立した別部品として構成しているがこれに特に限定されるものではなく、1つの部品として構成しても良い。
また、反力機構のロック機構は、上述の実施形態に限られず、反力調整のための操作の延長線上でロックとアンロックとを切り替え可能であれば良い。例えば、反力調整カム65とロック部材83とを1つの部材で構成し、ある回転範囲内ではばねマウント62あるいはばねマウント受け66をばね61の伸縮方向に移動させて反力調整を行う一方、異なる回転範囲例えばある角度以上反力調整カム65を回転させたときに、ロック部材83で背凭れ4の動きを規制する部材例えばマウントピン64などの動きを阻害してロックするようにしても良い。
また、上述の実施形態では、ロック部材83は初期位置状態での反力機構のロックを実施するものであるが、これに特に限られず、動作の途中あるいは任意の位置でのロックを行うようにしても良いし、さらにはマウントピン64の度当たり部84(突き当て位置)を段階的に複数箇所とすることで複数箇所でのロック即ちロック位置を調整可能としても良い。即ち、ロック部材83は、背ロッキングを任意位置でロック可能であり、初期位置でのロックには限定されないものである。
さらに、上述の実施形態では、反力機構のばね61の中を通るマウントピン64の前端をロック部材に突き当てて背凭れ支持部材7ひいては背凭れ4の揺動にロックをかけるようにしているが、これに特に限られるものでは無く、マウントピン64の他の部位で拘束をかけたり、背凭れ4の動きと連動して前後方向に移動する他の部材をロック部材83に突き当てて背凭れの後傾を阻止して固定するようにしても良い。
また、反力調整機構は回転板カム式でなくとも良い。例えば、楔状の一対のカムをマウントピン64の摺動方向と摺動方向に直交する方向とにそれぞれ移動させることで伸縮方向の変位を与える構造でも良い。
また、反力調整カム65の回転角度とロック部材83の回転角度とは、上述の90°、180°に限らない。
上述の実施形態では、椅子の背凭れの後傾に連動して座を上昇させることにより背凭れを押し戻そうとする力を発生させる体重感応式反力付与機構と圧縮ばねを利用した反力付与機構とを併用するシンクロロッキング機構に適用した例を挙げて説明しているが、本発明が適用される椅子はこれに特に限られるものではなく、体重対応式反力付与機構とコイルばねを有する反力付与機構とのいずれか一方のみを有する椅子、例えば背凭れの後傾と連動して座が後方へ移動しながら後端側が沈み込む非体重感知式のシンクロロッキング機構や、背凭れのみが単独で後傾するロッキング機構あるいは座のみがロッキング動作を行うロッキング機構、さらにはロッキング機構を有しない椅子にも適用可能であることは言うまでもない。また、本発明が適用され得るメインフレーム2,座フレーム31,背シェル6などの各構成部材の具体的な形状や態様は、上述の実施形態におけるものに限られるものではなく、椅子の用途やデザインなどを踏まえて適宜選択される。
さらに、本実施形態においては、総くるみにおいて背シェル6あるいは座インナーシェル35を覆う実施形態に適用した例を挙げて説明しているが、これに特に限られるものではなく、例えば弾力性に富むメッシュ素材の張地を用いても良い。即ち、背板9と背フレーム8とで可撓性のある背枠(内側が空所となっている縁のみの枠)を構成してメッシュを貼り付けて背凭れ面を構成するようにしても良い。
さらに、本実施形態では、背シェル取付部12の外周面にフランジ13を備えて背取付座10のフランジ溝20に嵌合させて背シェル取付部12と背取付座10とを固定するようにしているが、これに特に限られず、ピン状の凹凸の嵌合やあるいは嵌合部を設けずに直接ビスなどで締結するようにしても良い。この場合でも、背取付座10に張地の縁を挟み込むための前張地用溝21と後張地用溝22のいずれか一方あるいは双方を備えていれば、背シェル取付部12と背取付座10とを固定するときに張地の端部を被覆することをができる。
さらに、上述の実施形態では、背シェル6は、左右一対の背フレーム8と背板9との3パーツで構成されているが、これに特に限られるものではなく、剛性を備えた背フレーム8と柔軟性のある背板9とを含み、柔軟性のある背板9を中央に配置し、その両側を剛性のある背フレーム8で挟み込むように連結されて背シェル6を構成し、背凭れ支持部材7に取り付けられるものであれば、何パーツに分割されていても良い。例えば、背板9をさらに複数パーツに分割して成形しても良いし、左右方向に分割するばかりでなく、高さ方向に分割して成形しても良い。
1 脚
2 メインフレーム
3 座
4 背凭れ
5 肘掛け
6 背シェル
7 背凭れ支持部材
8 背フレーム
9 背板
10 背取付座
11 後ブリッジフレーム
12 背シェル取付部
13 フランジ(背シェル取付部)
14 段差(背板)
15 フランジ(背板)
16 溝(フランジ15を嵌合させる)
17 嵌合部(背フレーム)
18 後支え部
19 ビス(嵌合部17とフランジ15とを連結する)
20 フランジ用溝(フランジ13用)
21 前張地用溝
22 後張地用溝
23 縦リブ(フランジ用溝20)
24 雌ねじ(フランジ用溝20)
25 軸受部(背凭れ支持部材の)
26 アーム部(背凭れ支持部材の)
27 反力受け部(背凭れ支持部材の)
28 ブラケット(座フレーム31を受け支える)
29 肘取付座
30 座支持部材
31 座フレーム
32 前ブリッジフレーム
33 ブラケット(座フレーム後方の)
34 軸受部
35 インナーシェル
36 紐溝
37 昇降レバーキット
38 空所
39 ビス孔
40 筒部
41 前リンク
42 前リンク軸
43 外側壁部分
44 軸受け部(基部側)
45 リブ
46 軸受け部(前側)
47 軸孔(メインフレーム前方の)
48 ブラケット(メインフレームの後方の)
49 背凭れ回転軸
50 孔
51 キー溝
52 操作軸(リンク軸を兼ねる)
53 規制突起
54 底(メインフレームの)
55 度当たり部
56 先端縁(メインフレームの)
57 天井部(前リンクの)
58 底面部(前リンクの)
59 メインフレーム上蓋
60 ばね式の背凭れ反力機構
61 圧縮コイルばね
62 前ばねマウント
63 後ばねマウント
64 マウントピン
65 反力調整カ
66 前ばねマウント受け
67 後ばねマウント受け
68 前ばねマウントハウジング
69 切り替えレバー
70 座(前ばねマウント)
71 縦軸部(前ばねマウント)
72 横軸部(前ばねマウント)
73 孔(前ばねマウント)
74 レール(前ばねマウントハウジング)
75 凹み(前ばねマウント受け)
76 座(後ばねマウント)
77 縦軸部(後ばねマウント)
78 横軸受部(後ばねマウント)
79 孔(後ばねマウント)
80 回転軸
81 マウントピンのフランジ
82 障壁部
83 ロック部材
84 度当たり部
85 凹部
86 キー
87 キー溝
88 キー当接面
89 捻りコイルばね
90 穴

Claims (4)

  1. 背凭れ及び座を備える椅子の前記背凭れの背ロッキングを固定するロック機構において、
    ばねと、その前後端に配置される前ばねマウント及び後ばねマウントと、前記前ばねマウントと後ばねマウントとの間に配置され前記ばねの座屈を防ぐためのマウントピンとを有し、前記背凭れの後傾に連動して前記背凭れを押し戻そうとする力を発生させるばねを利用した背凭れ反力機構と、
    前記背凭れと連動する部材と当接することで前記背凭れの背ロッキングを初期位置でロック可能とするロック部材を有するロック機構とを備え、
    前記マウントピンが前記前ばねマウントを貫通し、前記ロック部材に当接して背ロッキングが固定され、
    前記背凭れ反力機構は、回転角度の変化によって前記前ばねマウントに与えるカム変位を変化させて前記ばねを圧縮することにより反力を調整する反力調整カムを有し、前記反力調整カムと前記ロック部材とは、一つの操作軸の回転によって駆動され、前記操作軸と前記反力調整カムとは回転方向に常時連結され、前記操作軸と前記ロック部材とは回転方向に空転する領域を有し、前記反力調整カムの反力調整回転の領域の外で回転方向に連結されて操作軸と共に回転する
    ことを特徴とする椅子の背凭れロック機構。
  2. 前記ロック部材は前記背凭れ反力機構の前記マウントピンの進入を許容する凹部と、前記マウントピンの先端に当接してその動きを阻止する度当たり部とを有し、前記凹部と前記度当たり部のいずれか一方を前記マウントピンの前方に配置することで背ロッキングのアンロックあるいはロックを切り替えることを特徴とする請求項1記載の椅子の背凭れロック機構。
  3. 前記操作軸の回転動作は90°回転させることで前記反力調整カムによる反力調整が可能であり、180°回転することで前記ロック部材が回転して背ロッキングに初期位置でのロックがかかることを特徴とする請求項記載の椅子の背凭れロック機構。
  4. 請求項1からのいずれか1つに記載の背凭れロック機構を組み込んだ椅子。
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