JP7389939B2 - 窒化ホウ素粉末 - Google Patents

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    • C08L83/00Compositions of macromolecular compounds obtained by reactions forming in the main chain of the macromolecule a linkage containing silicon with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon only; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L83/04Polysiloxanes

Description

本発明は、樹脂と混合して使用される窒化ホウ素粉末に関する。
パワーデバイス、トランジスタ、サイリスタ、CPU等の発熱性電子部品においては、使用時に発生する熱を如何に効率的に放熱するかが重要な課題となっている。従来から、このような放熱対策としては、(1)発熱性電子部品を実装するプリント配線板の絶縁層を高熱伝導化する、(2)発熱性電子部品又は発熱性電子部品を実装したプリント配線板を電気絶縁性の熱インターフェース材(Thermal Interface Materials)を介してヒートシンクに取り付ける、ことが一般的に行われてきた。プリント配線板の絶縁層及び熱インターフェース材としては、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂にセラミックス粉末を充填させたものが使用されている。
近年、発熱性電子部品内の回路の高速・高集積化、及び発熱性電子部品のプリント配線板への実装密度の増加に伴って、電子機器内部の発熱密度は年々増加している。そのため、従来にも増して高い熱伝導率を有するセラミックス粉末が求められてきている。
以上のような背景により、高熱伝導率、高絶縁性、比誘電率が低いこと等、電気絶縁材料として優れた性質を有している、窒化ホウ素粉末が注目されている。例えば、特許文献1に記載の樹脂組成物は、窒化ホウ素粉末を含有することにより、熱伝導率を著しく向上させている。
特開2014-40341号公報
窒化ホウ素粉末の一次粒子は鱗片状の形状を有し、その平坦部分の表面((0001)面)は非常に不活性である。このため、窒化ホウ素粉末及び樹脂を混合して放熱シートを作製したとき、窒化ホウ素粒子及び樹脂の間に隙間が生じる場合があり、これが放熱シートのボイドの原因となる。このようなボイドが放熱シートに生じると、放熱シートの絶縁性が悪化する場合がある。
そこで、本発明は、樹脂と混合して製造した放熱シートの絶縁性を改善できる窒化ホウ素粉末を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を進めたところ、所定のシリコーンオイルを用いて窒化ホウ素粉末の表面処理を行うことにより、上記の目的を達成することができた。
本発明は、上記の知見に基づくものであり、以下を要旨とする。
[1]質量平均分子量が5000以上である反応性シリコーンオイルで表面処理された窒化ホウ素粉末。
[2]塊状窒化ホウ素粒子を含む上記[1]に記載の窒化ホウ素粉末。
[3]100分の1の希釈条件の透過法(KBr錠剤法)で測定した前記窒化ホウ素粉末の赤外スペクトルにおける、B-OH伸縮振動に帰属する赤外線吸収ピーク(3220cm-1±10cm-1)のピーク強度が0.1以上である上記[1]又は[2]に記載の窒化ホウ素粉末。
[4]前記反応性シリコーンオイルは、末端及び側鎖の少なくとも1つの位置にシラノール基(Si-OH)を有する上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の窒化ホウ素粉末。
[5]前記反応性シリコーンオイルは、両末端又は片末端にシラノール基(Si-OH)を有する上記[4]に記載の窒化ホウ素粉末。
[6]前記反応性シリコーンオイルの添加量が窒化ホウ素粉末100質量部に対して0.01~50質量部である上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の窒化ホウ素粉末。
本発明によれば、樹脂と混合して製造した放熱シートの絶縁性を改善できる窒化ホウ素粉末を提供することができる。
図1は、本発明の窒化ホウ素粉末の粒度分布の概念図である。 図2は、窒化ホウ素粉末1を使用して作製した放熱シートの電子顕微鏡による断面観察写真を示す。 図3は、窒化ホウ素粉末10を使用して作製した放熱シートの電子顕微鏡による断面観察写真を示す。
[窒化ホウ素粉末]
本発明の窒化ホウ素粉末は、質量平均分子量が5000以上である反応性シリコーンオイルで表面処理されたものである。本発明の窒化ホウ素粉末を上記反応性シリコーンオイルで処理することにより、窒化ホウ素粉末の樹脂に対する濡れ性が良好になり、ボイドの少ない放熱シートを製造することができる。その結果、放熱シートの絶縁性が改善される。なお、窒化ホウ素粉末の樹脂に対する濡れ性が悪いと、窒化ホウ素粒子の表面と樹脂との間に隙間が生じ、ボイド、特に線状のボイドが発生する場合がある。そして、そのボイドにより、放熱シートの絶縁性が悪くなる。また、上記反応性シリコーンオイルで表面処理することによって長期間の保管により発生する窒化ホウ素粉末の凝集を抑制することができる。
(反応性シリコーンオイル)
<反応性シリコーンオイルの反応性を有する基>
反応性シリコーンオイルは、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部に、水酸基及び化学反応性を有する有機基を導入したものである。化学反応性を有する有機基には、例えば、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、カルビノール基、フェノール基、メルカプト基、(メタ)アクリル基等が挙げられる。窒化ホウ素粒子の表面のOH基との脱水縮合反応により、窒化ホウ素粒子の表面と反応性シリコーンオイルを結合させることができるという観点から、本発明の窒化ホウ素粉末に用いる反応性シリコーンオイルは、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部に、水酸基を導入したものが好ましい。反応性シリコーンオイルにおける水酸基の位置は、末端であってもよいし、側鎖であってもよい。すなわち、反応性シリコーンオイルは、末端及び側鎖の少なくとも1つの位置にシラノール基(Si-OH)を有すればよい。さらに、反応性シリコーンオイルは、両末端又は片末端にシラノール基(Si-OH)を有することが好ましい。しかし、反応性シリコーンオイルが両末端にOH基を有している場合、樹脂がシリコーン樹脂のとき、シリコーン樹脂はシラノール基(Si-OH)を有するので、反応性シリコーンオイルの一方の末端のOH基を窒化ホウ素粒子のOH基と脱水縮合反応させ、反応性シリコーンオイルの他方の末端のOH基をシリコーン樹脂中のシラノール基と脱水縮合反応させることができる。また、反応性シリコーンオイルの一方の末端のOH基を1つの窒化ホウ素粒子のOH基と脱水縮合反応させ、反応性シリコーンオイルの他方の末端のOH基を、同じ又は別の窒化ホウ素粒子のOH基と脱水縮合反応させることもできる。このような観点から、反応性シリコーンオイルは、両末端にOH基を有することがより好ましい。すなわち、反応性シリコーンオイルは、両末端にシラノール基(Si-OH)を有することがより好ましい。
<質量平均分子量>
本発明の窒化ホウ素粉末に用いる反応性シリコーンオイルの質量平均分子量は5000以上である。反応性シリコーンオイルの質量平均分子量が5000未満であると、反応性シリコーンオイル中の長鎖ポリジメチルシロキサンによる、窒化ホウ素粉末の樹脂、特にシリコーン樹脂に対する濡れ性改善の効果が小さくなる場合がある。また、反応性シリコーンオイル中の長鎖ポリジメチルシロキサンによる、窒化ホウ素粒子の滑り性の向上の効果も小さくなる。なお、高充填で窒化ホウ素粉末を樹脂に混合して得られた熱伝導性樹脂組成物が流動するとき、窒化ホウ素粒子同士が接触する場合がある。このため、窒化ホウ素粒子の滑り性が良好であると、高充填で窒化ホウ素粉末を樹脂に混合して得られた熱伝導性樹脂組成物の流動性を改善することができる。このような観点から、本発明の窒化ホウ素粉末に用いる反応性シリコーンオイルの質量平均分子量は、好ましくは7000以上、9000以上、10000以上、20000以上、30000以上、40000以上であってよい。また、反応性シリコーンオイルの質量平均分子量は、好ましくは200000以下である。反応性シリコーンオイルの質量平均分子量が200000以下であると、反応性シリコーンオイルを用いて窒化ホウ素粉末を均一に表面処理することが容易になる。このような観点から、本発明の窒化ホウ素粉末に用いる反応性シリコーンオイルの質量平均分子量は、より好ましくは180000以下、160000以下、150000以下、100000以下、70000以下、50000以下であってよい。なお、反応性シリコーンオイルの質量平均分子量は、反応性シリコーンオイルを溶解することができる有機溶媒(例えば、トルエン)を用いて窒化ホウ素粉末から反応性シリコーンオイルを溶出した後、ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して測定することができる。
<表面処理>
上述したように、本発明の窒化ホウ素粉末は、反応性シリコーンオイルで表面処理されたものである。反応性シリコーンオイルによる表面処理は、窒化ホウ素粉末及び反応性シリコーンオイルを乾式混合することによって行ってもよいし、窒化ホウ素粉末及び反応性シリコーンオイルに対して溶媒を加えて、湿式混合することによって行ってもよい。上記溶媒として、例えば、トルエン、キシレンなどの溶解度係数(SP値)が比較的小さい芳香族系溶媒を使用することができる。しかし、反応性シリコーンオイルを溶解した溶媒から窒化ホウ素粉末を分離することが難しい場合があるので、反応性シリコーンオイルによる表面処理は、乾式混合により行うことが好ましい。例えば、以下のようにして、窒化ホウ素粉末及び反応性シリコーンオイルを乾式混合することができる。攪拌機付き処理装置を用意し、そこに窒化ホウ素粉末を充填する。攪拌機を高速攪拌させ、そこに反応性シリコーンオイルの原液、または反応性シリコーンオイルを溶媒に溶解したものを滴下、またはスプレー処理する。溶媒は、例えば、トルエン、キシレンなどの溶解度係数(SP値)が比較的小さい芳香族系溶媒である。なお、攪拌機付き処理装置には、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、V型ブレンダー、自転・公転ミキサーなどが挙げられる。反応性シリコーンオイルと窒化ホウ素粒子のOH基との脱水縮合反応を促進するために、反応性シリコーンオイルによる表面処理は、加熱しながら行ってもよい。また、反応性シリコーンオイルと窒化ホウ素粒子のOH基との脱水縮合反応で発生した水分を除去するために、反応性シリコーンオイルによる表面処理を行った窒化ホウ素粉末に対して乾燥処理を行ってもよい。窒化ホウ素粉末中の窒化ホウ素粒子の表面に反応性シリコーンオイルを十分になじませるために、反応性シリコーンオイルによる表面処理を行った窒化ホウ素粉末に対して熟成を行ってもよい。
<添加量>
反応性シリコーンオイルによる窒化ホウ素粉末の樹脂に対する濡れ性改善の効果と反応性シリコーンオイル添加による窒化ホウ素粉末の製造コスト上昇とのバランスから、反応性シリコーンオイルの添加量は、窒化ホウ素粉末100質量部に対して、好ましくは0.01~50質量部であり、より好ましくは0.1~30質量部であり、さらに好ましくは0.3~15質量部である。
<赤外線吸収ピーク>
100分の1の希釈条件の透過法(KBr錠剤法)で測定した本発明の窒化ホウ素粉末の赤外スペクトルにおける、B-OH伸縮振動に帰属する赤外線吸収ピーク(3220cm-1±10cm-1)のピーク強度は、好ましくは0.1以上である。B-OH伸縮振動に帰属する赤外線吸収ピークのピーク強度が0.1以上であると、反応性シリコーンオイルによる窒化ホウ素粉末の樹脂に対する濡れ性がさらに改善される。このような観点から、B-OH伸縮振動に帰属する赤外線吸収ピークのピーク強度は、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.3以上である。上限は1.0以下、0.8以下、0.7以下であってよい。なお、この赤外線吸収ピークのピーク強度は、赤外線吸収ピークの高さである。
窒化ホウ素粉末が反応性シリコーンオイルによって表面処理されたものであるか否かは、窒化ホウ素粉末の赤外スペクトルを測定することによってわかる場合がある。例えば、反応性シリコーンオイルによって表面処理された窒化ホウ素粉末の赤外スペクトルを透過法(KBr錠剤法)で測定した場合、得られた赤外スペクトルに、反応性シリコーンオイルのSi-O-Siの変角振動に帰属する赤外線吸収ピーク(1100cm-1±10cm-1)及び反応性シリコーンオイルのSi-O-Cの変角振動に帰属する赤外線吸収ピーク(1020cm-1±10cm-1)が現れる場合がある。このような観点から、本発明の窒化ホウ素粉末の赤外スペクトルは、Si-O-Siの変角振動に帰属する赤外線吸収ピーク(1100cm-1±10cm-1)及びSi-O-Cの変角振動に帰属する赤外線吸収ピーク(1020cm-1±10cm-1)を有することが好ましい。
100分の1の希釈条件の透過法(KBr錠剤法)で測定した本発明の窒化ホウ素粉末の赤外スペクトルにおける、反応性シリコーンオイルのSi-O-Siの変角振動に帰属する赤外線吸収ピーク(1100cm-1±10cm-1)のピーク強度は、好ましくは0.3以上である。Si-O-Siの変角振動に帰属する赤外線吸収ピークのピーク強度が0.3以上であると、反応性シリコーンオイルによる窒化ホウ素粉末の樹脂に対する濡れ性がさらに改善される。このような観点から、Si-O-Siの変角振動に帰属する赤外線吸収ピークのピーク強度は、より好ましくは0.4以上であり、さらに好ましくは0.5以上である。上限は1.0以下、0.9以下、0.8以下であってよい。なお、この赤外線吸収ピークのピーク強度は、赤外線吸収ピークの高さである。
<塊状窒化ホウ素粒子>
塊状窒化ホウ素粒子とは、六方晶窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子であって、圧壊強度が1MPa以上のものである。上述したように、窒化ホウ素粉末の一次粒子は鱗片状の形状を有し、その平坦部分の表面((0001)面)は非常に不活性である。一方、窒化ホウ素粉末の一次粒子の端面の表面にはOH基がホウ素原子と共有結合している。通常、窒化ホウ素粉末の合成では、窒化ホウ素の(0001)面が優先的に結晶成長するので、窒化ホウ素粉末の一次粒子の端面の面積が相対的に減少する。このため、通常、窒化ホウ素粉末の一次粒子は、粒径の増加に伴い、OH基の量が少なくなる。一方、塊状窒化ホウ素粒子では、炭化ホウ素を原料として窒化ホウ素を作製するので、窒化ホウ素一次粒子の(0001)面の結晶成長が若干抑制されるため、窒化ホウ素一次粒子の端面の面積が大きくなり、その結果、OH基の量が大きくなる。上述したように、反応性シリコーンオイルは、窒化ホウ素粒子の表面のOH基との脱水縮合反応により窒化ホウ素粒子の表面と結合する。このような観点から、本発明の窒化ホウ素粉末は、好ましくは塊状窒化ホウ素粒子を含む。
反応性シリコーンオイルによる表面処理の観点から、本発明の窒化ホウ素粉末における塊状窒化ホウ素粒子の含有量は、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上である。また、高充填で窒化ホウ素粉末を樹脂に含有させるためには、窒化ホウ素粉末は、粒径の小さい窒化ホウ素粒子を含むことが好ましい。本発明の窒化ホウ素粉末における塊状窒化ホウ素粒子の含有量の上限値は、特に限定されないが、例えば、100質量%以下であり、好ましくは98質量%以下である。なお、上述したように、反応性シリコーンオイルは、窒化ホウ素粒子の滑り性を向上させる効果も有するので、高充填で窒化ホウ素粉末を樹脂に含有させる場合、本発明の窒化ホウ素粉末の効果はさらに顕著になる。
<粒度分布>
図1に示すように、本発明の窒化ホウ素粉末の粒度分布は、好ましくは第1の極大点(MAX1)、第1の極大点(MAX1)よりも粒径が大きい第2の極大点(MAX2)、及び第2の極大点(MAX2)よりも粒径が大きい第3の極大点(MAX3)を少なくとも有する。そして、第1の極大点(MAX1)の粒径が0.4μm以上10μm未満であり、第2の極大点(MAX2)の粒径が10μm以上40μm未満であり、第3の極大点(MAX3)の粒径が40μm以上110μm以下である。これにより、本発明の窒化ホウ素粉末を放熱シートに使用した場合、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高めることができ、放熱シートの熱伝導性をさらに優れたものとすることができる。また、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性を高めることができるので、窒化ホウ素粒子と樹脂との間にボイドが形成されることをさらに抑制でき、これにより、放熱シートの絶縁性がさらに改善される。なお、本発明の窒化ホウ素粉末の粒度分布は、後述の実施例の方法により、測定することができる。また、本発明の窒化ホウ素粉末は、反応性シリコーンオイルにより表面処理されているので、放熱シート中の窒化ホウ素が高充填であっても、放熱シートの作製に用いられる、本発明の窒化ホウ素粉末及び樹脂を含む熱伝導性樹脂組成物の粘度を低減することができる。
第1の極大点(MAX1)の粒径は、好ましくは0.4μm以上10μm未満である。第1の極大点(MAX1)の粒径が0.4μm以上10μm未満であると、本発明の窒化ホウ素粉末を放熱シートに使用した場合、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高くし、放熱シートの熱伝導性をさらに改善することができる。また、窒化ホウ素粒子と樹脂との間にボイドが形成されることをさらに抑制でき、これにより、放熱シートの絶縁性がさらに改善される。このような観点から、第1の極大点(MAX1)の粒径は、より好ましくは2.0~9.0μmであり、さらに好ましくは3.0~8.0μmである。
第2の極大点(MAX2)の粒径は、好ましくは10μm以上40μm未満である。第2の極大点(MAX2)の粒径が10μm以上40μm未満であると、本発明の窒化ホウ素粉末を放熱シートに使用した場合、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高くし、放熱シートの熱伝導性をさらに改善することができる。また、窒化ホウ素粒子と樹脂との間にボイドが形成されることをさらに抑制でき、これにより、放熱シートの絶縁性がさらに改善される。このような観点から、第2の極大点(MAX2)の粒径は、より好ましくは13~36μmであり、さらに好ましくは15~30μmである。
第3の極大点(MAX3)の粒径は、好ましくは40~110μmである。第3の極大点(MAX3)の粒径が40~110μmであると、本発明の窒化ホウ素粉末を放熱シートに使用した場合、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高くし、放熱シートの熱伝導性をさらに改善することができる。また、窒化ホウ素粒子と樹脂との間にボイドが形成されることをさらに抑制でき、これにより、放熱シートの絶縁性がさらに改善される。このような観点から、第3の極大点(MAX3)の粒径は、より好ましくは50~100μmであり、さらに好ましくは65~90μmである。
第1の極大点(MAX1)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量(V1)は好ましくは1~18体積%である。上記積算量(V1)が1~18体積%であると、本発明の窒化ホウ素粉末を放熱シートに使用した場合、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高くし、放熱シートの熱伝導性をさらに改善することができる。また、窒化ホウ素粒子と樹脂との間にボイドが形成されることをさらに抑制でき、これにより、放熱シートの絶縁性がさらに改善される。このような観点から、上記積算量(V1)は、より好ましくは6~12体積%である。なお、第1の極大点(MAX1)を有するピークにおけるピークスタートは、第1の極大点(MAX1)に対して粒径が小さい側にある極小点である。第1の極大点(MAX1)に対して粒径が小さい側に極小点がない場合は、ピークスタートは粒度分布の粒径が小さい側の端(DS)である。また、第1の極大点(MAX1)を有するピークにおけるピークエンドは、第1の極大点(MAX1)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN1)である。そして、頻度の積算量(V1)は、第1の極大点(MAX1)に対して粒径が小さい側にある極小点の粒径もしくは粒度分布の粒径が小さい側の端(DS)の粒径から、第1の極大点(MAX1)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN1)の粒径までの頻度の積算量から、第1の極大点(MAX1)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN1)の粒径の頻度を引き算した値である。なお、第1の極大点(MAX1)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN1)の粒径の頻度を引き算するのは、第1の極大点(MAX1)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量及び第2の極大点(MAX2)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量の両方で、第1の極大点(MAX1)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN1)の粒径の頻度が加算されるのを防ぐためである。
第2の極大点(MAX2)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量(V2)は好ましくは9~27体積%である。上記積算量(V2)が9~27体積%であると、本発明の窒化ホウ素粉末を放熱シートに使用した場合、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高くし、放熱シートの熱伝導性をさらに改善することができる。また、窒化ホウ素粒子と樹脂との間にボイドが形成されることをさらに抑制でき、これにより、放熱シートの絶縁性がさらに改善される。このような観点から、上記積算量(V2)は、より好ましくは15~25体積%である。なお、第2の極大点(MAX2)を有するピークにおけるピークスタートは、第2の極大点(MAX2)に対して粒径が小さい側にある極小点(MIN1)である。また、第2の極大点(MAX2)を有するピークにおけるピークエンドは、第2の極大点(MAX2)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN2)である。そして、頻度の積算量(V2)は、第2の極大点(MAX2)に対して粒径が小さい側にある極小点(MIN1)の粒径から、第2の極大点(MAX2)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN2)の粒径までの頻度の積算量から、第2の極大点(MAX2)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN2)の粒径の頻度を引き算した値である。なお、第2の極大点(MAX2)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN2)の粒径の頻度を引き算するのは、第2の極大点(MAX2)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量及び第3の極大点(MAX3)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量の両方で、第2の極大点(MAX2)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN2)の粒径の頻度が加算されるのを防ぐためである。
第3の極大点(MAX3)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量(V3)は好ましくは66~100体積%である。上記積算量(V3)が66~100体積%であるとであると、本発明の窒化ホウ素粉末を放熱シートに使用した場合、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高くし、放熱シートの熱伝導性をさらに改善することができる。また、窒化ホウ素粒子と樹脂との間にボイドが形成されることをさらに抑制でき、これにより、放熱シートの絶縁性がさらに改善される。このような観点から、上記積算量(V3)はより好ましくは70~90体積%である。なお、第3の極大点(MAX3)を有するピークにおけるピークスタートは、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が小さい側にある極小点(MIN2)である。また、第3の極大点(MAX3)を有するピークにおけるピークエンドは、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が大きい側にある極小点である。第3の極大点(MAX3)に対して粒径が大きい側に極小点がない場合は、ピークエンドは粒度分布の粒径が大きい側の端(DE)である。そして、頻度の積算量(V3)は、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が小さい側にある極小点(MIN2)の粒径から、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が大きい側にある極小点の粒径までの頻度の積算量から、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が大きい側にある極小点の粒径の頻度を引き算した値、または、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が小さい側にある極小点(MIN2)の粒径から、粒度分布の粒径が大きい側の端(PE)の粒径までの頻度の積算量である。なお、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が大きい側にある極小点の粒径の頻度を引き算するのは、第3の極大点(MAX3)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量、及び第3の極大点(MAX3)に隣接する、第3の極大点に対して粒径が大きい側にある極大点を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量の両方で、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が大きい側にある極小点の粒径の頻度が加算されるのを防ぐためである。
本発明の窒化ホウ素粉末における塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度は、1MPa以上であってよい。好ましくは5MPa以上である。塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度が5MPa以上であると、放熱シート製造中に塊状窒化ホウ素粒子が破壊されることを抑制できる。また、放熱シート中の塊状窒化ホウ素粒子の中にボイドが形成されることを抑制でき、これにより、放熱シートの絶縁性がさらに改善される。このような観点から、本発明の窒化ホウ素粉末における塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度は、より好ましくは6MPa以上であり、さらに好ましくは7MPa以上であり、よりさらに好ましくは8MPa以上である。本発明の窒化ホウ素粉末における塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度は、好ましくは20MPa以下である。塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度が20MPa以下であると、放熱シート中の塊状窒化ホウ素粒子の中に樹脂を十分侵入させることができ、放熱シート中の塊状窒化ホウ素粒子の中に空気が残留することを抑制できる。このような観点から、本発明の窒化ホウ素粉末における塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度は、より好ましくは18MPa以下であり、さらに好ましくは16MPa以下又は14MPa以下である。なお、塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性を高めることができる限り、本発明の窒化ホウ素粉末の粒度分布は、上述の第1~3の極大点に加えて、他の極大点を有していてもよい。
[窒化ホウ素粉末の製造方法]
本発明の窒化ホウ素粉末の製造方法の一例を以下説明する。
本発明の窒化ホウ素粉末は、例えば、粒度分布が上記第1の極大点を有する第1の窒化ホウ素粉末、粒度分布が上記第2の極大点を有する第2の窒化ホウ素粉末、及び粒度分布が上記第3の極大点を有する第3の窒化ホウ素粉末をそれぞれ作製し、作製した第1~3の窒化ホウ素粉末を混合して窒化ホウ素粉末のブレンド品を作製し、反応性シリコーンオイルを用いて、そのブレンド品の表面処理を行うことにより、製造することができる。なお、反応性シリコーンオイルを使用して第1~3の窒化ホウ素粉末をそれぞれ表面処理し、表面処理した第1~3の窒化ホウ素粉末を混合することにより、本発明の窒化ホウ素粉末を製造してもよい。
第1~3の窒化ホウ素粉末のうち、第2及び3の窒化ホウ素粉末は、それぞれ塊状窒化ホウ素粒子を少なくとも含む窒化ホウ素粉末であることが好ましい。また、第1の窒化ホウ素粉末は、塊状窒化ホウ素粒子であってもよいが、六方晶窒化ホウ素一次粒子であることが好ましい。第1~3の窒化ホウ素粉末それぞれの極大点は、第1~3の窒化ホウ素粉末それぞれの粒度分布においてピークの頂点を意味する。第1~3の窒化ホウ素粉末の粒度分布は、上述した窒化ホウ素粉末の粒度分布と同様にして測定される。
混合工程では、第3の窒化ホウ素粉末の体積割合が第2の窒化ホウ素粉末の体積割合より多くなるように、そして第2の窒化ホウ素粉末の体積割合が第1の窒化ホウ素粉末の体積割合より多くなるように、第1~3の窒化ホウ素粉末を混合してもよい。これにより、窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高めることができる。第3の窒化ホウ素粉末の体積割合は、放熱シートの熱伝導率を向上させる観点から、第1~3の窒化ホウ素粉末の合計100体積部に対して、好ましくは66~100体積部であり、より好ましくは70~90体積部である。第2の窒化ホウ素粉末の体積割合は、放熱シートの熱伝導率を向上させる観点から、第1~3の窒化ホウ素粉末の合計100体積部に対して、好ましくは9~27体積部であり、より好ましくは15~25体積部である。第1の窒化ホウ素粉末の体積割合は、放熱シートの熱伝導率を向上させる観点から、第1~3の窒化ホウ素粉末の合計100体積部に対して、好ましくは1~18体積部であり、より好ましくは6~12体積部である。
第1~3の窒化ホウ素粉末のそれぞれは、例えば、塊状の炭化ホウ素を粉砕する粉砕工程と、粉砕された炭化ホウ素を窒化して炭窒化ホウ素を得る窒化工程と、炭窒化ホウ素を脱炭させる脱炭工程とを備える製造方法により製造することができる。このように製造された窒化ホウ素粉末の一次粒子である鱗片状の六方晶窒化ホウ素粒子では、端面の面積が大きくなるので、窒化ホウ素粒子の表面に存在するOH基の量を多くすることができる。
粉砕工程では、塊状の炭素ホウ素(炭化ホウ素塊)を一般的な粉砕機または解砕機を用いて粉砕する。このとき、例えば、粉砕時間及び炭化ホウ素塊の仕込み量を調整することにより、所望の極大点を有する炭化ホウ素粉末を得ることができる。なお、炭化ホウ素粉末の極大点は、上述した窒化ホウ素粉末の極大点と同様に測定することができる。このように、炭化ホウ素粉末の極大点を所望の窒化ホウ素粉末の極大点に近づけるよう調整することにより、上述した極大点を有する第1~3の窒化ホウ素粉末が得られる。
続いて、窒化工程では、窒化反応を進行させる雰囲気下かつ加圧条件下で、炭化ホウ素粉末を焼成することにより、炭窒化ホウ素を得る。
窒化工程における雰囲気は、窒化反応を進行させる雰囲気であり、例えば、窒素ガス及びアンモニアガス等であってよく、これらの一種単独または2種以上の組合せであってよい。当該雰囲気は、窒化のしやすさとコストの観点から、好ましくは窒素ガスである。当該雰囲気中の窒素ガスの含有量は、好ましくは95体積%以上、より好ましくは99.9体積%以上である。
窒化工程における圧力は、好ましくは0.6MPa以上、より好ましくは0.7MPa以上であり、好ましくは1.0MPa以下、より好ましくは0.9MPa以下である。当該圧力は、さらに好ましくは0.7~1.0MPaである。窒化工程における焼成温度は、好ましくは1800℃以上、より好ましくは1900℃以上であり、好ましくは2400℃以下、より好ましくは2200℃以下である。焼成温度は、さらに好ましくは1800~2200℃である。圧力条件及び焼成温度は、炭化ホウ素の窒化をさらに好適に進行させ、工業的にも適切な条件であることから、好ましくは、1800℃以上かつ0.7~1.0MPaである。
窒化工程における焼成時間は、窒化が十分に進む範囲で適宜選定され、好ましくは6時間以上、より好ましくは8時間以上であり、好ましくは30時間以下、より好ましくは20時間以下であってよい。
脱炭工程では、窒化工程にて得られた炭窒化ホウ素を、常圧以上の雰囲気にて、所定の保持温度で一定時間保持する熱処理を行う。これにより、脱炭かつ結晶化された六方晶窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子を得ることができる。
脱炭工程における雰囲気は、常圧(大気圧)の雰囲気または加圧された雰囲気である。加圧された雰囲気の場合、圧力は、例えば0.5MPa以下、好ましくは0.3MPa以下であってよい。
脱炭工程では、例えば、まず、所定の温度(脱炭開始可能な温度)まで昇温した後に、所定の昇温速度で保持温度までさらに昇温する。所定の温度(脱炭開始可能な温度)は、系に応じて設定可能であり、例えば、1000℃以上であってよく、1500℃以下であってよく、好ましくは1200℃以下である。所定の温度(脱炭開始可能な温度)から保持温度へ昇温する速度は、例えば5℃/分以下であってよく、好ましくは、4℃/分以下、3℃/分以下、または2℃/分以下であってもよい。
保持温度は、粒成長が良好に起こりやすく、得られる窒化ホウ素粉末の熱伝導率をさらに向上できる観点から、好ましくは1800℃以上、より好ましくは2000℃以上である。保持温度は、好ましくは2200℃以下、より好ましくは2100℃以下であってよい。
保持温度における保持時間は、結晶化が十分に進む範囲で適宜選定され、例えば、0.5時間超えであってよく、粒成長が良好に起こりやすい観点から、好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上、さらに好ましくは5時間以上、特に好ましくは10時間以上である。保持温度における保持時間は、例えば40時間未満であってよく、粒成長が進みすぎて粒子強度が低下することを低減でき、また、コスト削減の観点から、好ましくは30時間以下、より好ましくは20時間以下である。
脱炭工程においては、原料として、窒化工程で得られた炭窒化ホウ素に加えて、ホウ素源を混合して脱炭及び結晶化を行ってもよい。ホウ素源としては、ホウ酸、酸化ホウ素、またはその混合物が挙げられる。この場合、必要に応じて当該技術分野で用いられるその他の添加物をさらに用いてもよい。
炭窒化ホウ素とホウ素源との混合割合は、適宜選定される。ホウ素源としてホウ酸または酸化ホウ素を用いる場合、ホウ酸または酸化ホウ素の割合は、炭窒化ホウ素100質量部に対して、例えば100質量部以上であってよく、好ましくは150質量部以上であり、また、例えば300質量部以下であってよく、好ましくは250質量部以下である。
以上のようにして得られる窒化ホウ素粉末に対して、篩によって所望の粒度分布を有する窒化ホウ素粉末が得られるように分級する工程(分級工程)を実施してもよい。これにより、所望の極大点を有する第1~3の窒化ホウ素粉末がさらに好適に得られる。
得られた第1~3の窒化ホウ素粉末を混合して、上述の第1~3の極大点を有する粒度分布を有するブレンド品を得ることができる。混合方法は、第1~3の窒化ホウ素粉末を均一に混合することができれば、特に限定されない。例えば、容器回転型混合装置を用いて第1~3の窒化ホウ素粉末を混合してもよいし、容器固定型混合装置を用いて第1~3の窒化ホウ素粉末を混合してもよいし、流体運動型混合装置を用いて第1~3の窒化ホウ素粉末を混合してもよい。
得られたブレンド品は、反応性シリコーンオイルにより表面処理される。上述したように、反応性シリコーンオイルによる表面処理は、窒化ホウ素粉末及び反応性シリコーンオイルを乾式混合することによって行ってもよいし、窒化ホウ素粉末及び反応性シリコーンオイルに対して溶媒を加えて、湿式混合することによって行ってもよい。しかし、反応性シリコーンオイルによる表面処理は、乾式混合により行うことが好ましい。例えば、攪拌機付き処理装置を用意し、そこに窒化ホウ素粉末を充填する。攪拌機を高速攪拌させ、そこに反応性シリコーンオイルの原液、または反応性シリコーンオイルを溶媒に溶解したものを滴下、またはスプレー処理する。なお、攪拌機付き処理装置には、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、V型ブレンダー、自転・公転ミキサーなどが挙げられる。上記溶媒には、例えば、トルエン、キシレンなどの溶解度係数(SP値)が比較的小さい芳香族系溶媒等が挙げられる。反応性シリコーンオイルと窒化ホウ素粒子のOH基との脱水縮合反応を促進するために、反応性シリコーンオイルによる表面処理は、加熱しながら行ってもよい。また、反応性シリコーンオイルと窒化ホウ素粒子のOH基との脱水縮合反応で発生した水分を除去するために、反応性シリコーンオイルによる表面処理を行った窒化ホウ素粉末に対して乾燥処理を行ってもよい。窒化ホウ素粉末中の窒化ホウ素粒子の表面に反応性シリコーンオイルを十分になじませるために、反応性シリコーンオイルによる表面処理を行った窒化ホウ素粉末に対して熟成を行ってもよい。
反応性シリコーンオイルによる窒化ホウ素粉末の樹脂に対する濡れ性改善の効果と反応性シリコーンオイル添加による窒化ホウ素粉末の製造コスト上昇とのバランスから、反応性シリコーンオイルの添加量は、窒化ホウ素粉末100質量部に対して、好ましくは0.01~50質量部であり、より好ましくは0.1~30質量部であり、さらに好ましくは0.3~15質量部である。
以下、本発明について、実施例及び比較例により、詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例の窒化ホウ素粉末の原料に用いた窒化ホウ素粉末(原料窒化ホウ素粉末)に対して以下の評価を行った。
(平均粒子径)
原料窒化ホウ素粉末の平均粒子径の測定にはベックマンコールター製レーザー回折散乱法粒度分布測定装置、(LS-13 320)を用いた。得られた平均粒子径は、測定処理の前にホモジナイザーをかけずに原料窒化ホウ素粉末を測定したものを平均粒子径値として採用した。また、得られた平均粒子径は体積統計値による平均粒子径である。
(塊状窒化ホウ素粒子の圧壊強度)
原料窒化ホウ素粉末から、任意に20個の塊状窒化ホウ素粒子を採取した。そして、採取した塊状窒化ホウ素粒子について、JIS R1639-5に準じて粒子強度の測定を実施した。測定装置としては、微小圧縮試験器(「MCT-W500」島津製作所社製)を用いた。粒子強度(σ:MPa)は、20個の塊状窒化ホウ素粒子について、粒子内の位置によって変化する無次元数(α=2.48)と圧壊試験力(P:N)と粒子径(d:μm)からσ=α×P/(π×d2)の式を用いて測定を行い、累積破壊率63.2%時点の値を算出し、その値を圧壊強度とした。
実施例及び比較例の窒化ホウ素粉末に対して以下の評価を行った。
(赤外吸収スペクトルの測定)
錠剤作製用のKBr結晶小片を粉砕して、KBr粉末を作製した。KBr粉末と窒化ホウ素粉末との質量比が100:1となるように、KBr粉末に窒化ホウ素粉末を加え、よく混ぜた。具体的には、KBr粉末及び窒化ホウ素粉末の混合物をメノウ乳鉢で乳棒を用いて力強くつぶしながら均一に混ぜ、表面にうろこ状の模様が現れるまで擦り続けた。得られた混合物の粉末は、KBr錠剤成形器にスパチュラを使用して移し、約10tonの圧力をかけて透明な錠剤を成形した。得られた錠剤を専用の錠剤ホルダーに移して、フーリエ変換赤外分光光度計(商品名:OPUS、ブルカー社製)を使用して、赤外線吸収スペクトルを測定した。そして、B-OH伸縮振動に帰属する赤外線吸収ピーク(3220cm-1±10cm-1)のピーク強度、及び反応性シリコーン由来のピーク(Si-O-Siの変角振動に帰属する赤外線吸収ピーク(1100cm-1±10cm-1))のピーク強度を調べた。なお、参照スペクトルには、KBr粉末のみで作製した錠剤を測定したスペクトルを使用した。
(粒度分布)
窒化ホウ素粉末の粒度分布の測定には、ベックマンコールター製レーザー回折散乱法粒度分布測定装置、(LS-13 320)を用いた。なお、粒度分布の測定前に、ホモジナイザー等を使用して窒化ホウ素粉末を分散させる処理は行わなかった。
実施例及び比較例の窒化ホウ素粉末を使用して作製した放熱シートに対して以下の評価を行った。
(絶縁破壊電圧)
放熱シートの絶縁破壊電圧は、JIS C 2110に準拠して測定した。
具体的には、放熱シートを10cm×10cmの大きさに加工し、加工した放熱シートの一方の面にφ25mmの円形の銅層を形成し、他方の面は面全体に銅層を形成して試験サンプルを作製した。
試験サンプルを挟み込むように電極を配置し、電気絶縁油(商品名:FC-3283、スリーエム ジャパン株式会社製)中で、試験サンプルに交流電圧を印加した。電圧の印加開始から平均10~20秒後に絶縁破壊が起こるような速度(500V/s)で、試験サンプルに印加する電圧を0Vから上昇させた。一つの試験サンプルにつき15回絶縁破壊が起きたときの電圧V15(kV)を測定した。そして、電圧V15(kV)を試験サンプルの厚さ(mm)で割り算して絶縁破壊強さ(kV/mm)を算出した。
(熱伝導率)
ASTM D5470:2017に記載の方法に準拠して、放熱シートの熱伝導率を測定した。
以下のようにして、複数の極大点を有する窒化ホウ素粉末の原料となる、1つの極大点を有する窒化ホウ素粉末A~Iを作製した。
(窒化ホウ素粉末A)
以下のように、炭化ホウ素合成、加圧窒化工程、脱炭結晶化工程にて、窒化ホウ素粉末Aを作製した。
(炭化ホウ素合成工程)
新日本電工株式会社製オルトホウ酸(以下ホウ酸)100質量部と、デンカ株式会社製アセチレンブラック(HS100)35質量部とをヘンシェルミキサーを用いて混合したのち、黒鉛ルツボ中に充填し、アーク炉にて、アルゴン雰囲気で、2200℃にて5時間加熱し炭化ホウ素(BC)を合成した。合成した炭化ホウ素塊をボールミルで3時間粉砕し、篩網を用いて粒径75μm以下に篩分け、さらに硝酸水溶液で洗浄して鉄分等不純物を除去後、濾過・乾燥して平均粒子径5.0μmの炭化ホウ素粉末を作製した。
(加圧窒化工程)
合成した炭化ホウ素を窒化ホウ素ルツボに充填した後、抵抗加熱炉を用い、窒素ガスの雰囲気で、2000℃、9気圧(0.8MPa)の条件で10時間加熱することにより炭窒化ホウ素(BCN)を得た。
(脱炭結晶化工程)
合成した炭窒化ホウ素100質量部と、ホウ酸90質量部とをヘンシェルミキサーを用いて混合したのち、窒化ホウ素ルツボに充填し、抵抗加熱炉を用い0.2MPaの圧力条件で、窒素ガスの雰囲気で、室温から1000℃までの昇温速度を10℃/min、1000℃からの昇温速度を2℃/minで昇温し、焼成温度2020℃、保持時間10時間で加熱することにより、一次粒子が凝集して塊状になった凝集窒化ホウ素粒子を合成した。合成した凝集窒化ホウ素粒子をヘンシェルミキサーにより15分解砕をおこなった後、篩網を用いて、篩目75mのナイロン篩にて分級を行った。焼成物を解砕及び分級することより、窒化ホウ素粉末Aを得た。
得られた窒化ホウ素粉末Aのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は7.0μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Aは鱗片状の窒化ホウ素粒子であった。
(窒化ホウ素粉末B)
平均粒子径3μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Bを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Bのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は5.0μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Bは、鱗片状の窒化ホウ素粒子であった。
(窒化ホウ素粉末C)
平均粒子径16μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Cを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Cのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は22μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Cは、一次粒子が凝集してなる塊状集窒化ホウ素粒子であった。
(窒化ホウ素粉末D)
平均粒子径15μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Dを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Dのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は20μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Dは、一次粒子が凝集してなる塊状集窒化ホウ素粒子であった。
(窒化ホウ素粉末E)
平均粒子径12μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末を作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末のレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は18μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末は、一次粒子が凝集してなる塊状集窒化ホウ素粒子であった。
(窒化ホウ素粉末F)
平均粒子径70μmの炭化ホウ素粉末を用いた点、炭化ホウ素合成工程で150μm以下に篩分けした点、脱炭結晶化工程で150μm以下に篩分けをした点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Fを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Fのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は75μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Fは、一次粒子が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子であった。
(窒化ホウ素粉末G)
平均粒子径65μmの炭化ホウ素粉末を用いた点、炭化ホウ素合成工程で150μm以下に篩分けした点、脱炭結晶化工程で150μm以下に篩分けをした点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Gを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Gのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は71μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Gは、一次粒子が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子であった。
(窒化ホウ素粉末H)
平均粒子径55μmの炭化ホウ素粉末を用いた点、炭化ホウ素合成工程で150μm以下に篩分けした点、脱炭結晶化工程で150μm以下に篩分けをした点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Hを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Hのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は70μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Hは、一次粒子が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子であった。
(窒化ホウ素粉末I)
平均粒子径32μmの炭化ホウ素粉末を用いた点、炭化ホウ素合成工程で75μm以下に篩分けした点、脱炭結晶化工程で150μm以下に篩分けをした点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Iを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Iのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は45μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Iは、一次粒子が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子であった。
以下のようにして、窒化ホウ素粉末1~10を作製した。
[窒化ホウ素粉末1]
窒化ホウ素粉末C及びGの体積比が20:80となるように、窒化ホウ素粉末C及びGを混合して窒化ホウ素粉末C及びGのブレンド品を作製した。
100gの上記ブレンド品及び1gの反応性シリコーンオイル(片末端OH基型ジメチルポリシロキサン、商品名:FM-0425、質量平均分子量:10,000、JNC株式会社製)を自転・公転ミキサー(商品名:あわとり練太郎、型式:ARE-310、株式会社シンキー製)に投入し、3分攪拌して、ブレンド品の表面処理を行った。そして、表面処理をしたブレンド品を150℃の温度で4時間加熱して窒化ホウ素粉末1を作製した。
[窒化ホウ素粉末2]
100gの窒化ホウ素粉末G及び1gの反応性シリコーンオイル(両末端OH基型ジメチルポリシロキサン、商品名:BLUESIL 48V 3 500、質量平均分子量:43,000、エルケムジャパン株式会社製)を自転・公転ミキサー(商品名:あわとり練太郎、型式:ARE-310、株式会社シンキー製)に投入し、3分攪拌して、窒化ホウ素粉末Eの表面処理を行った。そして、表面処理をした窒化ホウ素粉末Gを150℃の温度で4時間加熱して窒化ホウ素粉末2を作製した。
[窒化ホウ素粉末3]
窒化ホウ素粉末C及びGの体積比が20:80となるように、窒化ホウ素粉末C及びGを混合して窒化ホウ素粉末C及びGのブレンド品を作製した。
100gの上記ブレンド品及び1gの反応性シリコーンオイル(両末端OH基型ジメチルポリシロキサン、商品名:BLUESIL 48V 3 500、質量平均分子量:43,000、エルケムジャパン株式会社製)を自転・公転ミキサー(商品名:あわとり練太郎、型式:ARE-310、株式会社シンキー製)に投入し、3分攪拌して、ブレンド品の表面処理を行った。そして、表面処理をしたブレンド品を150℃の温度で4時間加熱して窒化ホウ素粉末3を作製した。
[窒化ホウ素粉末4]
窒化ホウ素粉末D及びFの体積比が20:80となるように、窒化ホウ素粉末D及びFを混合して窒化ホウ素粉末D及びFのブレンド品を作製した。
100gの上記ブレンド品及び1gの反応性シリコーンオイル(両末端OH基型ジメチルポリシロキサン、商品名:BLUESIL 48V 3 500、質量平均分子量:43,000、エルケムジャパン株式会社製)を自転・公転ミキサー(商品名:あわとり練太郎、型式:ARE-310、株式会社シンキー製)に投入し、3分攪拌して、ブレンド品の表面処理を行った。そして、表面処理をしたブレンド品を150℃の温度で4時間加熱して窒化ホウ素粉末4を作製した。
[窒化ホウ素粉末5]
窒化ホウ素粉末A、D及びFの体積比が9:18:73となるように、窒化ホウ素粉末A、D及びFを混合して窒化ホウ素粉末A、D及びFのブレンド品を作製した。
100gの上記ブレンド品及び1gの反応性シリコーンオイル(両末端OH基型ジメチルポリシロキサン、商品名:BLUESIL 48V 3 500、質量平均分子量:43,000、エルケムジャパン株式会社製)を自転・公転ミキサー(商品名:あわとり練太郎、型式:ARE-310、株式会社シンキー製)に投入し、3分攪拌して、ブレンド品の表面処理を行った。そして、表面処理をしたブレンド品を150℃の温度で4時間加熱して窒化ホウ素粉末5を作製した。
[窒化ホウ素粉末6]
窒化ホウ素粉末A、D及びIの体積比が9:18:73となるように、窒化ホウ素粉末A、D及びIを混合して窒化ホウ素粉末A、D及びIのブレンド品を作製した。
100gの上記ブレンド品及び1gの反応性シリコーンオイル(両末端OH基型ジメチルポリシロキサン、商品名:BLUESIL 48V 3 500、質量平均分子量:43,000、エルケムジャパン株式会社製)を自転・公転ミキサー(商品名:あわとり練太郎、型式:ARE-310、株式会社シンキー製)に投入し、3分攪拌して、ブレンド品の表面処理を行った。そして、表面処理をしたブレンド品を150℃の温度で4時間加熱して窒化ホウ素粉末6を作製した。
[窒化ホウ素粉末7]
窒化ホウ素粉末B、E及びHの体積比が9:18:73となるように、窒化ホウ素粉末B、E及びHを混合して窒化ホウ素粉末B、E及びHのブレンド品を作製した。
100gの上記ブレンド品及び1gの反応性シリコーンオイル(両末端OH基型ジメチルポリシロキサン、商品名:BLUESIL 48V 3 500、質量平均分子量:43,000、エルケムジャパン株式会社製)を自転・公転ミキサー(商品名:あわとり練太郎、型式:ARE-310、株式会社シンキー製)に投入し、3分攪拌して、ブレンド品の表面処理を行った。そして、表面処理をしたブレンド品を150℃の温度で4時間加熱して窒化ホウ素粉末7を作製した。
[窒化ホウ素粉末8]
窒化ホウ素粉末C及びGの体積比が20:80となるように、窒化ホウ素粉末C及びGを混合して窒化ホウ素粉末C及びGのブレンド品を作製した。
100gの上記ブレンド品及び1gの反応性シリコーンオイル(両末端OH基型ジメチルポリシロキサン、商品名:YF3802、質量平均分子量:150,000、モメンティブ社製)を自転・公転ミキサー(商品名:あわとり練太郎、型式:ARE-310、株式会社シンキー製)に投入し、3分攪拌して、ブレンド品の表面処理を行った。そして、表面処理をしたブレンド品を150℃の温度で4時間加熱して窒化ホウ素粉末8を作製した。
[窒化ホウ素粉末9]
窒化ホウ素粉末A、D及びFの体積比が9:18:73となるように、窒化ホウ素粉末A、D及びFを混合して窒化ホウ素粉末A、D及びFのブレンド品を作製した。
100gの上記ブレンド品及び1gの反応性シリコーンオイル(両末端OH基型ジメチルポリシロキサン、商品名:BLUESIL 48V 135 000、質量平均分子量:200,000超、エルケムジャパン株式会社製)を自転・公転ミキサー(商品名:あわとり練太郎、型式:ARE-310、株式会社シンキー製)に投入し、3分攪拌して、ブレンド品の表面処理を行った。そして、表面処理をしたブレンド品を150℃の温度で4時間加熱して窒化ホウ素粉末9を作製した。
[窒化ホウ素粉末10]
窒化ホウ素粉末A、D及びFの体積比が9:18:73となるように、窒化ホウ素粉末A、D及びFを混合して窒化ホウ素粉末A、D及びFのブレンド品を作製した。
100gの上記ブレンド品及び0.2gのシランカップリング剤(ジメチルジメトキシシラン、商品名:DOWSIL Z-6329 Silane、質量平均分子量:136、ダウ・東レ株式会社製)を自転・公転ミキサー(商品名:あわとり練太郎、型式:ARE-310、株式会社シンキー製)に投入し、3分攪拌して、ブレンド品の表面処理を行った。そして、表面処理をしたブレンド品を150℃の温度で4時間加熱して窒化ホウ素粉末10を作製した。
窒化ホウ素粉末1~10を使用して、以下のようにして放熱シートを作製した。
[放熱シートの作製]
得られた窒化ホウ素粉末及び液状シリコーン樹脂(メチルビニルポリシロキサン、商品名:CF-3110、ダウ・東レ株式会社製)の合計100体積%に対して、65体積%の窒化ホウ素粉末及び35体積%の液状シリコーン樹脂、シリコーン樹脂100質量部に対して1質量部の硬化剤(2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、商品名:リゴノックス101、化薬ヌーリオン株式会社製)及び上述の原料の合計100質量部に対して110質量部のトルエンを攪拌機(商品名:スリーワンモーター、HEIDON社製)に投入し、タービン型撹拌翼を用いて15時間混合して熱伝導性樹脂組成物のスラリーを作製した。
そして、ドクターブレード法により、上記スラリーを厚さ0.05mmのペットフィルム(キャリアフィルム)上に厚さ0.5mmで塗工し、75℃で5分乾燥させて、ペットフィルム付きのシート状成形体を作製した。2枚のペットフィルム付きのシート状成形体でガラスクロス(商品名:H25、ユニチカ株式会社製)をサンドイッチして、積層体を作製した。なお、この積層体の層構造はペットフィルム/熱伝導性樹脂組成物/ガラスクロス/熱伝導性樹脂組成物/ペットフィルムであった。次いで、得られた積層体に対して、真空下(圧力3.5kPa)、温度155℃、圧力5MPaの条件で30分間の加熱プレスを行い、両面のペットフィルムを剥離して厚さ1.0mmのシートとした。次いで、それを常圧、150℃で4時間の2次加熱を行い、放熱シートとした。
評価結果を以下の表1に示す。また、一例として、窒化ホウ素粉末1を使用して作製した放熱シートの電子顕微鏡による断面観察写真を図2に示し、窒化ホウ素粉末10を使用して作製した放熱シートの電子顕微鏡による断面観察写真を図3に示す。図2から、反応性シリコーンオイルで表面処理した窒化ホウ素粉末1を使用した放熱シートには、ボイドがほとんど発生していないことがわかる。また、図3から、シランカップリング剤を用いて表面処理した窒化ホウ素粉末10を使用した放熱シートには、筋状のボイド(矢印参照)が発生していることがわかる。
Figure 0007389939000001
以上の評価結果から、反応性シリコーンオイルで表面処理した窒化ホウ素粉末を用いることにより、放熱シートの絶縁破壊電圧が大きくなったので、反応性シリコーンオイルで表面処理した窒化ホウ素粉末を用いることにより、放熱シートの絶縁性が改善されることがわかった。

Claims (6)

  1. 質量平均分子量が5000以上150000以下である反応性シリコーンオイルで表面処理された窒化ホウ素粉末。
  2. 塊状窒化ホウ素粒子を含む請求項1に記載の窒化ホウ素粉末。
  3. 100分の1の希釈条件の透過法(KBr錠剤法)で測定した前記窒化ホウ素粉末の赤外スペクトルにおける、B-OH伸縮振動に帰属する赤外線吸収ピーク(3220cm -1 ±10cm -1 )のピーク強度が0.1以上である請求項1又は2に記載の窒化ホウ素粉末。
  4. 前記反応性シリコーンオイルは、末端及び側鎖の少なくとも1つの位置にシラノール基(Si-OH)を有する請求項1又は2に記載の窒化ホウ素粉末。
  5. 前記反応性シリコーンオイルは、両末端又は片末端にシラノール基(Si-OH)を有する請求項4に記載の窒化ホウ素粉末。
  6. 前記反応性シリコーンオイルの添加量が窒化ホウ素粉末100質量部に対して0.01~50質量部である請求項1又は2に記載の窒化ホウ素粉末。
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