JP7388998B2 - 保持装置 - Google Patents

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本発明は、対象物を保持する保持装置に関する。
半導体を製造する際にウェハ等の対象物を保持する保持装置として、例えば、静電チャックが用いられる。静電チャックは、対象物が載置されるセラミックス基板と、セラミックス基板を冷却する冷却部と、セラミックス基板と冷却部とを接合する接合部と、を備える。静電チャックを、例えば、250℃以上の高温プロセスで使用する場合、シリコーン接着剤などにより形成された接合部が、熱により劣化し、剥がれるという問題があった。この問題に対し、セラミックス基板と接合部との間に、樹脂製の断熱材を挿入し、接合部を熱保護する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、セラミックス基板を厚くして、熱抵抗を大きくすることにより、高温使用を可能とする技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
国際公開第2019/176544号 特開2016-72478号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、上記のような高温で使用する際には、セラミックス基板と樹脂断熱材との熱膨張率の差から、静電チャックの端部に応力が発生し、そこから剥がれてしまう可能性がある。また、樹脂断熱材を使用する場合には、たとえ、高耐熱の樹脂であっても、稼働時に軟化して、静電チャックによって保持されたウェハの温度ばらつきが生じる虞がある。
このような課題は、静電チャックに限らず、CVD(chemical vapor deposition)、PVD(physical vapor deposition)、PLD(Pulsed Laser Deposition)等の真空装置用ヒーター装置、サセプタ、載置台等の保持装置に共通する課題である。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、対象物を保持する保持装置において、セラミックス基板と冷却部との剥離を抑制する他の技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、対象物を保持する保持装置が提供される。この保持装置は、セラミックスを主成分とし、第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、を有するセラミックス基板と、無機材料を主成分とし、前記セラミックス基板より熱伝導率が低い無機基板であって、前記セラミックス基板に対して、前記第2面側に配置された無機基板と、前記無機基板に対して、前記セラミックス基板とは反対側に配置された冷却部と、前記無機基板と前記冷却部との間に配置され、前記無機基板と前記冷却部とを接合する接合部と、を備え、前記無機基板の23℃における熱抵抗値をR1(m2K/W)とし、前記接合部の23℃における熱抵抗値をR2(m2K/W)とした場合、R1>R2を満たし、かつ前記無機基板の250℃における熱抵抗値をR3(m2K/W)とし、前記接合部の250℃における熱抵抗値をR4(m2K/W)とした場合、R3>R4を満たす。
この形態の保持装置によれば、セラミックス基板より熱伝導率が低い無機基板を備えるため、無機基板を備えない場合と比較して、熱が無機基板を通過することにより温度が下がるため、接合部の無機基板側の表面の温度を下げることができる。また、無機基板の熱抵抗が接合部の熱抵抗より大きいため、無機基板中で温度が低下し、接合部が高温に晒されなくなり、接合部の劣化を抑制することができる。常温(23℃)においても、高温(250℃)においても、無機基板の熱抵抗が接合部の熱抵抗より大きいため、常温でも高温でも変わらず、接合部の温度を下げることができる。そのため、保持装置を、高温プロセスで使用する場合にも、接合部の熱による劣化を抑制することができ、接合部の剥がれを抑制することができる。また、セラミックス基板と接合部との間に樹脂製の断熱材を用いる場合と比較して、無機基板は耐熱性が高いため、保持装置を高温環境で使用することができる。
(2)上記形態の保持装置であって、前記熱抵抗値R1は、0.0200>R1>0.0002(m2K/W)であり、前記熱抵抗値R1と前記熱抵抗値R2との比R1/R2は、R1/R2>1.2であってもよい。R1>0.0002(m2K/W)、かつR1/R2>1.2にすると、シリコーン等を主成分とする高耐熱の有機系材料で接合部を形成した場合に、接合部の温度を耐熱温度以下にすることができる。また、冷却部をプラズマ発生における電極として用いる場合に、無機基板および接合部の熱抵抗値を、上記範囲に設定することにより、無機基板および接合部の厚みを抑制することが可能となり、プラズマ電極間距離の長大化を抑制することができる。その結果、プラズマ位置の変化を抑制することができる。また、0.0200>R1にすることにより、セラミックス基板から接合部への熱の移動速度の低下を抑制して、温度制御の応答性の低下を抑制することができる。
(3)上記形態の保持装置であって、前記無機基板のヤング率をE2とし、前記接合部のヤング率をE3としたとき、E2>E3となってもよい。このようにすると、接合部が無機基板より変形しやすいため、無機基板と冷却部との熱膨張差を緩和して、セラミックス基板の反りや、接合部の剥離を抑制することができる。
(4)上記形態の保持装置であって、前記セラミックス基板のヤング率をE1とし、前記無機基板のヤング率をE2としたとき、E1>E2となってもよい。このようにすると、無機基板がセラミックス基板より変形しやすいため、セラミックス基板と冷却部との熱膨張差を緩和して、セラミックス基板の反りを抑制することができる。
(5)上記形態の保持装置であって、前記セラミックス基板の23℃から250℃における熱膨張率と、前記無機基板の23℃から250℃における熱膨張率との差は20ppm以下であってもよい。このようにすると、温度変化に伴うセラミックス基板と無機基板との剥がれを抑制することができる。
(6)上記形態の保持装置であって、前記無機基板は、複数の気孔を有する多孔質体であってもよい。このようにすると、例えば、セラミックス基板の形成材料と同一の材料を用いて、セラミックス基板より熱伝導率が低い無機基板を容易に作製することができる。セラミックス基板と無機基板とを同一の材料で形成することにより、セラミックス基板と無機基板との熱膨張差を小さくすることができ、セラミックス基板と無機基板との剥離を抑制することができる。
(7)上記形態の保持装置であって、前記気孔は、閉気孔であってもよい。このようにすると、真空中で保持装置を用いる場合に、無機基板の気孔へのガスの流入を抑制することができる。
(8)上記形態の保持装置であって、前記セラミックス基板に、ヒーターが配置されてもよい。このようにすると、保持装置に保持された対象物を容易に高温にすることができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、保持装置を含む半導体製造装置などの形態で実現することができる。
静電チャックの外観構成を概略的に示す斜視図である。 静電チャックのXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 静電チャックの温度変化に伴う変形を概念的に示す図である。
<実施形態>
図1は、実施形態の静電チャック10の外観構成を概略的に示す斜視図である。図2は、静電チャック10のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。図1、図2には、方向を特定するために、互いに直交するXYZ軸が示されている。図2において、Y軸正方向は、紙面裏側に向かう方向である。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、静電チャック10は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。本実施形態における静電チャック10を、「保持装置」とも呼ぶ。
静電チャック10は、対象物(例えばウェハW)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハWを固定するために使用される。静電チャック10は、上下方向(Z軸方向)に並べて配置されたセラミックス基板100と、冷却部200と、セラミックス基板100と冷却部200との間に配置され断熱材として機能する無機基板300と、セラミックス基板100と無機基板300とを接合する第1接合部400と、無機基板300と冷却部200とを接合する第2接合部500と、を備える。本実施形態における第2接合部500を、単に「接合部」とも呼ぶ。
セラミックス基板100は、第1面S1と、第1面S1の裏面である第2面S2と、を有する板状部材である。詳しくは、セラミックス基板100は、略円形平面状の第1面S1を有する板状部材である第1セラミックス部110(図1)と、第1セラミックス部110より径が大きい略円形平面状の第2面S2(図2)とを有する板状部材である第2セラミックス部120(図1)と、を備え、全体として、下に向かって(Z軸マイナス方向に向かって)階段状に拡径する板状部材である。本実施形態において、セラミックス基板100の第1面S1は、ウェハWが載置される載置面として機能する。セラミックス基板100は、いわゆるファインセラミックス、ニューセラミックスと言われるセラミックス(例えば、アルミナや窒化アルミニウム等)を主成分とする緻密体である。第1セラミックス部110の第1面S1の直径は、例えば、50mm~500mm程度(通常は200mm~350mm程度)であり、セラミックス基板100の厚さは例えば1mm~10mm程度である。
セラミックス基板100の内部には、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成された吸着電極130(図2)が配置されている。Z軸方向視での吸着電極130の形状は、例えば略円形である。吸着電極130に電源(不図示)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWがセラミックス基板100の第1面S1に吸着固定される。
また、セラミックス基板100の内部には、吸着電極130よりも下側(Z軸マイナス側)に、Z軸方向視で渦巻き型のヒーター140(図2)が配置されている。本実施形態において、ヒーター140は、タングステンやモリブデン等により形成されたメタライズ層である。ヒーター140の形状は、本実施形態に限定されず、例えば、円盤形状等でもよい。他の実施形態では、セラミックス基板100は、ヒーター140を備えなくてもよい。
冷却部200は、セラミックス基板100より径が大きい略円形平面状の板状部材である。冷却部200は、熱伝導率が高い金属によって形成されている。例えば、アルミニウム、チタン、モリブデン、これらのそれぞれを主成分とする合金等を用いることができる。冷却部200の直径は、例えば、220mm~550mm程度(通常は220mm~350mm)であり、冷却部200の厚さは、例えば、20mm~40mm程度である。
冷却部200の内部には冷媒流路210(図2)が形成されている。静電チャック10のセラミックス基板100に保持されたウェハWを、プラズマを利用して加工する際、ウェハWに対してプラズマから入熱され、ウェハWの温度が上昇する。冷却部200に形成された冷媒流路210に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)が流されると、冷却部200が冷却される。第2接合部500、無機基板300、および第1接合部400を介した冷却部200とセラミックス基板100との間の伝熱によりセラミックス基板100が冷却され、セラミックス基板100の第1面S1に保持されたウェハWが冷却される。これにより、ウェハWの温度制御が実現される。他の実施形態では、冷却部は内部に冷媒流路が形成されていなくてもよく、外部から冷却してもよい。
無機基板300は、第1面S1と径が等しい略円形平面状の板状部材である。無機基板300は、無機材料を主成分とする、セラミックス基板100より熱伝導率が低い板状部材である。本実施形態において、無機基板300は、複数の閉気孔310(図2)を有する多孔質体である。無機基板300は、セラミックス基板100より熱伝導率が低いため、断熱材として機能する。無機材料としては、例えば、アルミナ・シリカ等を主成分とする天然鉱物、いわゆるファインセラミックス、ニューセラミックスと言われるセラミックスを用いることができる。すなわち、無機材料は、セラミックスと天然鉱物を含む概念である。無機基板300は、例えば、セラミックス基板100と同一のセラミックスを用いて形成することもできる。この場合、無機基板300を、複数の気孔を有する多孔質体にすることにより、熱伝導率をセラミックス基板100より低減させることができる。無機基板300は、セラミックス基板100より熱伝導率が低ければよく、他の実施形態では、無機基板300は、複数の開気孔を有する多孔質体であってもよい。また、無機基板300は、緻密体でもよい。無機基板300の厚さは、例えば0.1mm~10mm程度である。
第1接合部400は、無機基板300と径が等しい略円形平面状の板状部材であり、セラミックス基板100と無機基板300とを接合する。第1接合部400は、耐熱性が高い無機材料の接着剤から成り、例えば、無機基板300の形成材料と同一のアルミナ・シリカを主成分とする。第1接合部400は、耐熱性が高い材料から形成されているため、例えば、セラミックス基板100の温度が250℃等の高温になる場合にも、用いることができる。他の実施形態では、静電チャックは、第1接合部400を備えない構成にしてもよい。例えば、セラミックス基板100と無機基板300とを同時焼成により形成することにより、接着剤を用いず、セラミックス基板100と無機基板300とを接合することができる。
第2接合部500は、無機基板300の径と等しい略円形平面状の板状部材であり、無機基板300と冷却部200とを接合する。第2接合部500は、有機材料を主成分とする接着剤から形成されており、有機材料としては、例えば、シリコーン、アクリル、ポリイミド等を用いることができる。
セラミックス基板100のヤング率E1、無機基板300のヤング率E2、および第2接合部500のヤング率E3は特に限定されないが、E2>E3であることが好ましい。このようにすると、第2接合部500が無機基板300より変形しやすいため、無機基板300と冷却部200との熱膨張差を、第2接合部500により緩和して、セラミックス基板100の反りや、第2接合部500の剥離を抑制することができる。このとき、E1とE2との関係は特に限定されず、E1≦E2であってもよい。
また、E1>E2であることが好ましい。このようにすると、無機基板300がセラミックス基板100より変形しやすいため、セラミックス基板100と冷却部200との熱膨張差を無機基板300により緩和して、セラミックス基板100の反りを抑制することができる。このとき、E2とE3との関係は特に限定されず、E2≦E3であってもよい。E1>E2>E3であることがより好ましい。
図3は、静電チャック10の温度変化に伴う変形を概念的に示す図である。図3では、ヒーター140の図示を省略している。図3に示した静電チャック10において、各層(各部材)のヤング率は、E1>E2>E3である。すなわち、第2接合部500は、セラミックス基板100および無機基板300と比較して、柔らかく、変形しやすい。そのため、熱膨張率が大きい金属を主成分とする冷却部200と、熱膨張率が小さいセラミックスを主成分とするセラミックス基板100との熱膨張率差により発生する応力を、第2接合部500が伸縮することにより、緩和することができる。詳しくは、図3(B)に示すように、セラミックス基板100の熱膨張率が冷却部200の熱膨張率より小さい場合、冷却部200がセラミックス基板100より大きく膨張したとき、第2接合部500が大きく変形すると共に無機基板300も変形することにより、セラミックス基板100と冷却部200の熱膨張差に伴う応力を緩和することができる。また、図3(C)に示すように、冷却部200がセラミックス基板100より大きく収縮したとき、第2接合部500が大きく変形すると共に無機基板300も変形することにより、セラミックス基板100と冷却部200の熱膨張差に伴う応力を緩和することができる。その結果、セラミックス基板100の反り、および各層(部材)間の剥離を抑制することができる。
無機基板300の23℃における熱抵抗値をR1(m2K/W)とし、第2接合部500の23℃における熱抵抗値をR2(m2K/W)とした場合、R1>R2を満たし、かつ無機基板300の250℃における熱抵抗値をR3(m2K/W)とし、第2接合部500の250℃における熱抵抗値をR4(m2K/W)とした場合、R3>R4を満たす。無機基板300の熱抵抗が第2接合部500の熱抵抗より大きいため、無機基板300中で温度が低下し、第2接合部500が高温に晒されなくなり、第2接合部500の劣化を抑制することができる。無機基板300の熱抵抗値が、常温(23℃)においても高温(250℃)においても、第2接合部500の熱抵抗より大きいため、常温でも高温でも変わらず、第2接合部500の温度を下げることができる。そのため、静電チャック10を、高温プロセスで使用する場合にも、第2接合部500の熱による劣化を抑制することができ、第2接合部500の剥がれを抑制することができる。また、無機基板300は耐熱性が高いため、無機基板300に替えて樹脂製の断熱材を用いる場合と比較して、静電チャック10を高温環境で使用することができる。
無機基板300の23℃における熱抵抗値R1(m2K/W)、および第2接合部500の23℃における熱抵抗値R2(m2K/W)は、特に限定されないが、熱抵抗値R1は、0.0200>R1>0.0002(m2K/W)であることが好ましい。また、熱抵抗値R1と熱抵抗値R2との比R1/R2は、R1/R2>1.2であることが好ましい。無機基板300の熱抵抗と第2接合部500の熱抵抗は、互いに影響を及ぼす。R1>0.0002(m2K/W)、かつR1/R2>1.2にすると、シリコーン等を主成分とする高耐熱の有機系材料で接合部を形成した場合に、第2接合部500の温度を耐熱温度以下にすることができる。また、冷却部200をプラズマ発生における電極として用いる場合に、無機基板300および第2接合部500の熱抵抗値を、上記範囲に設定することにより、無機基板300および第2接合部500の厚みを抑制することが可能となり、プラズマ電極間距離の長大化を抑制することができる。その結果、プラズマ位置の変化を抑制することができる。また、0.0200>R1にすることにより、セラミックス基板100から第2接合部500への熱の移動速度の低下を抑制して、温度制御の応答性の低下を抑制することができる。
セラミックス基板100の23℃から250℃における熱膨張率と、無機基板300の23℃から250℃における熱膨張率との差は、特に限定されないが、20ppm以下であるのが好ましい。このようにすると、温度変化に伴うセラミックス基板100と無機基板300との剥がれを抑制することができる。セラミックス基板100の23℃から250℃における熱膨張率と、無機基板300の23℃から250℃における熱膨張率との差は、さらに10ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましい。
実施例により本発明を更に具体的に説明する。
保持装置のサンプル1~11を用いて、熱抵抗値、ヤング率、熱膨張率、接合部温度、反り、剥がれを評価した。サンプル1~7が上記実施形態の静電チャック10の実施例であり、サンプル8~11が比較例の静電チャックである。
表1は、サンプル1~11の諸元を示す。ここで、無機基板300の23℃における熱抵抗値をR1(m2K/W)、第2接合部500の23℃における熱抵抗値をR2(m2K/W)、無機基板300の250℃における熱抵抗値をR3(m2K/W)、第2接合部500の250℃における熱抵抗値をR4(m2K/W)とした。また、セラミックス基板100のヤング率をE1、無機基板300のヤング率をE2、および第1接合部400のヤング率をE3とした。また、無機基板300が多孔質体の場合は〇、その気孔が閉気孔の場合に〇を付して示した。
Figure 0007388998000001
表2は、無機基板および接合部(第2接合部)の材料等を示す。表2に示すように、サンプル1~11は、無機基板の材料、構成、および熱膨張率(CTE)、セラミックス基板と無機基板との接合方法、および接合部の材料を、互いに違えて形成されている。
Figure 0007388998000002
1.保持装置の製造
サンプルの保持装置は、下記の方法により製造された。
・サンプル1
まず、公知の方法により、アルミナを主成分とするセラミックスグリーンシートを作製した。セラミックスグリーンシート上にヒーターや吸着用電極、ビア、通気孔を作製し、積層、熱圧着し、還元雰囲気下1400~1600℃で焼成を行い、セラミックス基板(熱膨張率CTE=7×10-6 1/℃)を得た。
無機基板としてケイ酸塩を主成分とした、緻密体のマイカ基板(熱膨張率CTE=34×10-6 1/℃)を使用した。無機基板を所定のサイズに切断、穴あけ加工、所定の厚さまで研磨を行い、無機系接着剤を用いてセラミック基板と接合した。
上記のセラミック基板と無機基板の接合体と、冷却部を、ポリイミド系接着剤により接合することで、保持装置を得た。すなわち、ポリイミド系接着剤により第2接合部を形成した。ここで、無機基板とポリイミド系接着剤の間には、温度測定用の熱電対を挿入した。
・サンプル2
まず、公知の方法により、アルミナを主成分とするセラミックスグリーンシートを作製した。セラミックスグリーンシート上にヒーターや吸着用電極、ビア、通気孔を作製し、積層、熱圧着し、還元雰囲気下1400~1600℃で焼成を行い、セラミックス基板(熱膨張率CTE=7×10-6 1/℃)を得た。
無機基板としてケイ酸塩を主成分とした、緻密体のマイカ基板(熱膨張率CTE=34×10-6 1/℃)を使用した。無機基板を所定のサイズに切断、穴あけ加工、所定の厚さまで研磨を行い、無機系接着剤を用いてセラミック基板と接合した。
上記のセラミック基板と無機基板の接合体と、冷却部を、ポリイミド系接着剤により接合することで、保持装置を得た。すなわち、ポリイミド系接着剤により第2接合部を形成した。ここで無機基板とポリイミド系接着剤の間には、温度測定用の熱電対を挿入した。サンプル2は、無機基板の熱抵抗がサンプル1と異なる(後述する表3)ものの、他の構成および製造方法は、サンプル1と同じである。
・サンプル3
まず、公知の方法により、アルミナを主成分とするセラミックスグリーンシートを作製した。セラミックスグリーンシート上にヒーターや吸着用電極、ビア、通気孔を作製し、積層、熱圧着し、還元雰囲気下1400~1600℃で焼成を行い、セラミックス基板(熱膨張率CTE=7×10-6 1/℃)を得た。
無機基板としてケイ酸塩を主成分とした、緻密体のマイカ基板(熱膨張率CTE=34×10-6 1/℃)を使用した。無機基板を所定のサイズに切断、穴あけ加工、所定の厚さまで研磨を行い、無機系接着剤を用いてセラミック基板と接合した。
上記のセラミック基板と無機基板の接合体と、冷却部を、アクリル系接着剤により接合することで、保持装置を得た。すなわち、アクリル系接着剤により第2接合部を形成した。無機基板とアクリル系接着剤の間には、温度測定用の熱電対を挿入した。サンプル3は、第2接合部がサンプル2と異なり、第2接合部のヤング率がサンプル2より低い(後述する表3)ものの、他の構成および製造方法は、サンプル2と同じである。
・サンプル4
まず、公知の方法により、アルミナを主成分とするセラミックスグリーンシートを作製した。セラミックスグリーンシート上にヒーターや吸着用電極、ビア、通気孔を作製し、積層、熱圧着し、還元雰囲気下1400~1600℃で焼成を行い、セラミックス基板(熱膨張率CTE=7×10-6 1/℃)を得た。
無機基板としてケイ酸塩を主成分とした、緻密体のマイカ基板(熱膨張率CTE=18×10-6 1/℃)を使用した。無機基板を所定のサイズに切断、穴あけ加工、所定の厚さまで研磨を行い、無機系接着剤を用いてセラミック基板と接合した。
上記のセラミック基板と無機基板の接合体と、冷却部を、アクリル系接着剤により接合することで、保持装置を得た。すなわち、アクリル系接着剤により第2接合部を形成した。無機基板とアクリル系接着剤の間には、温度測定用の熱電対を挿入した。サンプル4は、無機基板の熱膨張率(表2)がサンプル3より低いものの、他の構成および製造方法は、サンプル3と同じである。
・サンプル5
まず、公知の方法により、アルミナを主成分とするセラミックスグリーンシートを作製した。セラミックスグリーンシート上にヒーターや吸着用電極、ビア、通気孔を作製し、積層、熱圧着し、還元雰囲気下1400~1600℃で焼成を行い、セラミックス基板(熱膨張率CTE=7×10-6 1/℃)を得た。
無機基板として、アルミナおよびシリカを主成分とした、気孔率20~30%の多孔質セラミックス基板(熱膨張率CTE=19×10-6 1/℃)を使用した。無機基板を所定のサイズに切断、穴あけ加工、所定の厚さまで研磨を行い、無機系接着剤を用いてセラミック基板と接合した。
上記のセラミック基板と無機基板の接合体と、冷却部を、アクリル系接着剤により接合することで、保持装置を得た。すなわち、アクリル系接着剤により第2接合部を形成した。無機基板とアクリル系接着剤の間には、温度測定用の熱電対を挿入した。サンプル5は、無機基板がサンプル4と異なるものの(表2)、他の構成および製造方法は、サンプル4と同じである。
・サンプル6
まず、従来公知の方法により、アルミナを主成分とするセラミックグリーンシートを作製する。セラミックグリーンシート上に吸着用電極、ビア、通気孔を作製し、積層、熱圧着した。
無機基板としてアルミナおよびシリカを主成分とし、気孔率20~30%となるよう直径10μmの樹脂ビーズを含有したセラミックスグリーンシートを作製した。
先に得られた吸着用電極を有する積層体に多孔質セラミックグリーンシートを熱圧着し、脱脂した後、還元雰囲気下1400~1600℃で焼成を行い、セラミックス基板(熱膨張率CTE=7×10-6 1/℃)と無機基板の接合体を得た。(無機基板の熱膨張率CTE=11×10-6 1/℃)その後、無機基板の熱抵抗を調整するため、無機基板側を所定の厚さまで研磨した。
上記のセラミック基板と無機基板の接合体と、冷却部を、シリコーン系接着剤により接合することで、保持装置を得た。すなわち、シリコーン系接着剤により第2接合部を形成した。保持装置のうち無機基板が露出している部分には無機系接着剤を塗布することで、閉気孔とした。また無機基板とシリコーン系接着剤の間には、温度測定用の熱電対を挿入した。サンプル6がサンプル1~5と異なる点は、以下の通りである。サンプル6は、セラミックス基板と無機基板とを同時焼成により形成しているため、第1接合部400を有さない。また、サンプル6は、ヒーターを有さない。多孔質体である無機基板の気孔が閉気孔である。第2接合部がシリコーン系接着剤により形成された。無機基板の熱膨張率がサンプル4より低い(表2)。
・サンプル7
まず、従来公知の方法により、アルミナを主成分とするセラミックスグリーンシートを作製した。セラミックスグリーンシート上にヒーターや吸着用電極、ビア、通気孔を作製し、積層、熱圧着し、還元雰囲気下1400~1600℃で焼成を行い、セラミックス基板(熱膨張率CTE=7×10-6 1/℃)を得た。
無機基板としてシリカクロスをアルミナによって強化した無機プリプレグ(無機基板の熱膨張率CTE=12×10-6 1/℃)を使用した。無機基板を所定のサイズに切断、穴あけ加工、所定の厚さまで研磨を行い、無機系接着剤を用いてセラミックス基板と接合した。
上記のセラミックス基板と無機基板の接合体と、冷却部を、シリコーン系接着剤により接合することで、保持装置を得た。すなわち、シリコーン系接着剤により第2接合部を形成した。保持装置のうち無機基板が露出している部分には無機系接着剤を塗布することで、閉気孔とした。また無機基板とシリコーン系接着剤の間には、温度測定用の熱電対を挿入した。
・サンプル8
公知の方法により、アルミナを主成分とするセラミックスグリーンシートを作製した。セラミックスグリーンシート上にヒーターや吸着用電極、ビア、通気孔を作製し、積層、熱圧着し、還元雰囲気下1400~1600℃で焼成を行い、セラミックス基板(熱膨張率CTE=7×10-6 1/℃)を得た。
無機基板としてシリカクロスをアルミナによって強化した無機プリプレグ(無機基板の熱膨張率CTE=12×10-6 1/℃)を使用した。無機基板を所定のサイズに切断、穴あけ加工、所定の厚さまで研磨を行い、無機系接着剤を用いてセラミックス基板と接合した。
上記のセラミックス基板と無機基板の接合体と、冷却部を、シリコーン系接着剤により接合することで、保持装置を得た。すなわち、シリコーン系接着剤により第2接合部を形成した。保持装置のうち無機基板が露出している部分には無機系接着剤を塗布することで、閉気孔とした。また無機基板とシリコーン系接着剤の間には、温度測定用の熱電対を挿入した。
サンプル8は、無機基板の熱抵抗と第2接合部の熱抵抗との関係が、サンプル7と逆転しているものの(後述する表3)、他の構成および製造方法は、サンプル7と同じである。
・サンプル9
まず、公知の方法により、アルミナを主成分とするセラミックスグリーンシートを作製した。セラミックスグリーンシート上にヒーターや吸着用電極、ビア、通気孔を作製し、積層、熱圧着し、還元雰囲気下1400~1600℃で焼成を行い、セラミックス基板(熱膨張率CTE=7×10-6 1/℃)を得た。
無機基板としてケイ酸塩を主成分とした、緻密体のマイカ基板(熱膨張率CTE=34×10-6 1/℃)を使用した。無機基板を所定のサイズに切断、穴あけ加工、所定の厚さまで研磨を行い、無機系接着剤を用いてセラミック基板と接合した。
上記のセラミック基板と無機基板の接合体と、冷却部を、アクリル系接着剤により接合することで、保持装置を得た。すなわち、アクリル系接着剤により第2接合部を形成した。無機基板とアクリル系接着剤の間には、温度測定用の熱電対を挿入した。
サンプル9は、無機基板の熱抵抗と第2接合部の熱抵抗との関係が、サンプル3と逆転しているものの(後述する表3)、他の構成および製造方法は、サンプル3と同じである。
・サンプル10
まず、公知の方法により、アルミナを主成分とするセラミックスグリーンシートを作製した。セラミックスグリーンシート上にヒーターや吸着用電極、ビア、通気孔を作製し、積層、熱圧着し、還元雰囲気下1400~1600℃で焼成を行い、セラミックス基板(熱膨張率CTE=7×10-6 1/℃)を得た。
無機基板として、アルミナおよびシリカを主成分とした、気孔率20~30%の多孔質セラミックス基板(熱膨張率CTE=19×10-6 1/℃)を使用した。無機基板を所定のサイズに切断、穴あけ加工、所定の厚さまで研磨を行い、無機系接着剤を用いてセラミック基板と接合した。
上記のセラミック基板と無機基板の接合体と、冷却部を、ポリイミド系接着剤により接合することで、保持装置を得た。すなわち、ポリイミド系接着剤により第2接合部を形成した。無機基板とポリイミド系接着剤の間には、温度測定用の熱電対を挿入した。
・サンプル11
まず、公知の方法により、アルミナを主成分とするセラミックスグリーンシートを作製した。セラミックスグリーンシート上に吸着用電極、ビア、通気孔を作製し、積層、熱圧着し、還元雰囲気下1400~1600℃で焼成を行い、セラミックス基板(熱膨張率CTE=7×10-6 1/℃)を得た。
無機基板としてケイ酸塩を主成分とした、緻密体のマイカ基板(熱膨張率CTE=34×10-6 1/℃)を使用した。無機基板を所定のサイズに切断、穴あけ加工、所定の厚さまで研磨を行い、無機系接着剤を用いてセラミック基板と接合した。
セラミック基板と無機基板の接合体と、冷却部を、ポリイミド系接着剤により接合することで、保持装置を得た。すなわち、ポリイミド系接着剤により第2接合部を形成した。ここで無機基板とポリイミド系接着剤の間には、温度測定用の熱電対を挿入した。
サンプル11は、無機基板がサンプル10と異なり、熱膨張率がサンプル10より高いものの(表2)、他の構成および製造方法は、サンプル10と同じである。
2.各パラメータの調整方法
サンプル1~11における各パラメータは下記の方法により調整した。
・熱抵抗値
<R1>
無機基板の熱抵抗値R1は、無機基板の厚みおよび熱伝導率の値から算出した。R1は無機基板の厚みおよび熱伝導率によって調整することができる。ここで、無機基板の熱伝導率は、緻密質の場合は、アルミナとシリカの組成比によって調整することができ、多孔質の場合は、アルミナとシリカの組成比や気孔率によって調整することができる。
<R2>
第2接合部(単に接合部とも呼ぶ)の熱抵抗値R2は接合部の厚みおよび熱伝導率によって調整することができる。ここで、熱伝導率は樹脂接着剤中に含有される無機フィラーの添加量によって調整することができる。
・ヤング率
<E1>
セラミックス基板のヤング率E1は、使用するセラミックス原料組成や、不純物量、密度によって調整することができる。プロセス時の平面度(反り)、平滑度を保つため、セラミックス基板のヤング率は、高いほうが好ましい。
<E2>
無機基板のヤング率E2は使用する材料組成や、不純物量、密度によって調整することができる。
<E3>
接合部のヤング率E3は、使用する樹脂材料の種類や架橋密度、熱伝導向上のために添加する無機フィラーの添加量によって調整することができる。セラミックス基板と冷却部との熱膨張差から発生するひずみを緩和するため、接合部のヤング率E3は小さいほうが好ましい。
・熱膨張率差
セラミックス基板は高密度のセラミックスであるため、熱膨張率を制御することは難しい。そこで、熱膨張率差は無機基板の組成および気孔率によって調整することができる。無機基板中のアルミナ量を多くすることで、セラミックス基板との熱膨張率差を小さくすることができる。また無機基板中の気孔率を小さくすることでも熱膨張率差を小さくすることができる。
3.評価方法
以下に説明する方法により、サンプル1~11の保持装置の評価を行った。熱伝導率およびヤング率、熱膨張率の評価に使用した試験片(小片)は、サンプル1~11で作製した静電チャックから切削加工することにより得た。ここで、ヤング率の小さな接合部については、カッターによって切り出した。またセラミックス基板および無機基板については、切り出したのち平面研削加工を行ってから使用した。無機基板および接合部の厚みが目的とする試験片のサイズと異なっていても、得られた値を単位面積および単位体積で換算するため、異なるサイズの試験片を使用しても良い。
・熱伝導率
セラミックス基板、無機基板および接合部の熱伝導率は熱伝導率測定装置TCi(RIGAKU製)により測定した。それぞれの測定は23℃および250℃で実施した。
・ヤング率
セラミックス基板および無機基板のヤング率は、各材料について50mm×3mm×4mmの小片を作製し、3点曲げ試験から得られるひずみと応力の値から算出した。また接合部のヤング率は、70mm×10mm×0.35mmの小片を作製し、小片の両端を引っ張った際のひずみと応力の値から算出した。
・熱膨張率
各材料の熱膨張率は、熱機械分析装置Thermo plus(RIGAKU製)により測定した。
・接合部温度
接合部温度は、セラミックス基板を250℃、冷却部を150℃で稼働させた際の、無機基板と接合部間の温度を、挿入した熱電対から測定した。
・反り
保持装置の反りは、ミツトヨ製の画像測定器(Quick Vision)を用いて測定した。セラミックス基板の温度を250℃、冷却部の温度を150℃とし168時間稼働させたあと、セラミックス基板側の形状を測定した。得られた画像から、最大高さと最小高さの差を反り量とした。判断基準は以下の通り。
〇:50μm以下
△:50μmより大きく、100μm以下
×:100μmより大きい
・剥がれ
保持装置内の剥がれは、インサイト株式会社性の超音波探傷器により観察した。保持装置を、セラミック基板の温度を250℃、冷却部の温度を150℃として、168時間稼働させたあと観察を行った。稼働前後の画像から剥がれの有無を評価した。探傷部位は無機基板と接合部の界面、および接合部と冷却部の界面に対して観察した。動作前後で剥がれが見られなければOK(〇)、一か所でも剥がれが確認されればNG(×)とした。
3.評価結果
表3は評価結果を示す。
Figure 0007388998000003
サンプル1~7(実施例)は、下記〔1〕、〔2〕の要件を満たしている(表1)。
〔1〕無機基板の23℃における熱抵抗値をR1(m2K/W)とし、接合部の23℃における熱抵抗値をR2(m2K/W)とした場合、R1>R2を満たす。
〔2〕無機基板の250℃における熱抵抗値をR3(m2K/W)とし、前記接合部の250℃における熱抵抗値をR4(m2K/W)とした場合、R3>R4を満たす。
サンプル2~7は、上記〔1〕、〔2〕の要件に加え、さらに、下記〔3〕の要件を満たしている。
〔3〕熱抵抗値R1は、0.0200>R1>0.0002(m2K/W)であり、熱抵抗値R1と熱抵抗値R2との比R1/R2は、R1/R2>1.2である。
サンプル3~7は、上記〔1〕~〔3〕の要件に加え、さらに、下記〔4〕、〔5〕の要件を満たしている。なお、サンプル1、2は、下記〔5〕の要件を満たしている。
〔4〕無機基板のヤング率をE2とし、接合部のヤング率をE3としたとき、E2>E3となる。
〔5〕セラミックス基板のヤング率をE1とし、無機基板のヤング率をE2としたとき、E1>E2となる。
サンプル4~7は、上記〔1〕~〔5〕の要件に加え、さらに、下記〔6〕の要件を満たしている。
〔6〕セラミックス基板の23℃から250℃における熱膨張率と、無機基板の23℃から250℃における熱膨張率との差は20ppm以下である。
サンプル5~7は、上記〔1〕~〔6〕の要件に加え、さらに、下記〔7〕の要件を満たしている。
〔7〕無機基板は、複数の気孔を有する多孔質体である。
サンプル6~7は、上記〔1〕~〔7〕の要件に加え、さらに、下記〔8〕の要件を満たしている。
〔8〕気孔は、閉気孔である。
サンプル7は、上記〔1〕~〔8〕の要件に加え、さらに、下記〔9〕の要件を満たしている。なお、サンプル1~5も、下記〔9〕の要件を満たしている。
〔9〕セラミックス基板に、ヒーターが配置されている。
これに対して、サンプル8~11(比較例)は、上記〔1〕~〔3〕の要件を、いずれも満たしていない。
サンプル1~7(実施例)は、いずれも、サンプル8~11(比較例)と比較して、接合部温度が低く、サンプル8~11(比較例)では、無機基板と接合部の界面、および接合部と冷却部の界面における剥がれが確認されたのに対し、サンプル1~7(実施例)では剥がれが確認されなかった。サンプル8~11も、セラミックス基板より熱伝導率が低い無機基板を備えるものの、無機基板の熱抵抗が接合部の熱抵抗より小さい。すなわち、無機基板の熱抵抗を接合部の熱抵抗より大きくすることにより(R1>R2、R3>R4)、無機基板と接合部間の温度を下げることができ、接合部の熱による劣化を抑制することができ、接合部の剥がれを抑制することができる。
サンプル2~7は、無機基板と接合部間の温度を、180℃未満にすることができた。一般的な高耐熱接着剤の耐熱性は、180℃前後であり、R1/R2>1.2にすることにより、接合部に入る温度を180℃未満にすることができ、接合部の劣化を抑制することができる。
サンプル3~7は、サンプル1、2と比較して、セラミックス基板の反りを抑制することができた。サンプル3~7は、接合部のヤング率E3がサンプル1、2より小さく、無機基板のヤング率E2>接合部のヤング率E3である。このようにすると、接合部が無機基板より変形しやすいため、無機基板と冷却部との熱膨張差を緩和して、セラミックス基板の反りを抑制することができる。
サンプル4~7は、さらに、セラミックス基板の反りを抑制することができた。サンプル4~7は、セラミックス基板の23℃から250℃における熱膨張率と、無機基板の23℃から250℃における熱膨張率との差が、サンプル1~3より小さく、20ppm以下であった。このようにすると、温度変化に伴うセラミックス基板と無機基板との熱膨張差による反りを抑制することができる。
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
・上記実施形態では、セラミックス基板100の第1面S1の上に対象物が保持される例を示したが、セラミックス基板100の上に、さらに別のセラミックス基板を接合し、その上に対象物が保持される構成にしてもよい。
・上記実施形態において、保持装置として静電チャックを例示したが、保持装置は、静電チャックに限定されない。例えば、CVD、PVD、PLD(Pulsed Laser Deposition)等の真空装置用ヒーター装置、サセプタ、載置台として構成することができる。
・上記実施形態において、保持装置として、略円形平面の板状部材の積層体を備える例を示したが、平面形状は上記実施形態に限定されない。例えば、矩形平面、多角形平面等であってもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
10…静電チャック
100…セラミックス基板
110…第1セラミックス部
120…第2セラミックス部
130…吸着電極
200…冷却部
210…冷媒流路
300…無機基板
310…閉気孔
400…第1接合部
500…第2接合部
S1…第1面
S2…第2面
W…ウェハ

Claims (9)

  1. 対象物を保持する保持装置であって、
    セラミックスを主成分とし、第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、を有するセラミックス基板と、
    無機材料を主成分とし、前記セラミックス基板より熱伝導率が低い無機基板であって、前記セラミックス基板に対して、前記第2面側に配置された無機基板と、
    前記無機基板に対して、前記セラミックス基板とは反対側に配置された冷却部と、
    前記無機基板と前記冷却部との間に配置され、前記無機基板と前記冷却部とを接合する接合部と、
    を備え、
    前記無機基板の23℃における熱抵抗値をR1(m2K/W)とし、前記接合部の23℃における熱抵抗値をR2(m2K/W)とした場合、R1>R2を満たし、かつ
    前記無機基板の250℃における熱抵抗値をR3(m2K/W)とし、前記接合部の250℃における熱抵抗値をR4(m2K/W)とした場合、R3>R4を満たし、
    前記接合部は、有機材料を主成分とする接着剤から形成されており、
    前記無機基板と前記セラミックス基板は無機材料の接着剤から形成されている第1接合部により接合されている、または前記無機基板と前記セラミックス基板は接着剤を用いず接合されていることを特徴とする、
    保持装置。
  2. 対象物を保持する保持装置であって、
    セラミックスを主成分とし、第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、を有するセラミックス基板と、
    無機材料を主成分とし、前記セラミックス基板より熱伝導率が低い無機基板であって、前記セラミックス基板に対して、前記第2面側に配置された無機基板と、
    前記無機基板に対して、前記セラミックス基板とは反対側に配置された冷却部と、
    前記無機基板と前記冷却部との間に配置され、前記無機基板と前記冷却部とを接合する接合部と、
    を備え、
    前記無機基板の23℃における熱抵抗値をR1(m 2 K/W)とし、前記接合部の23℃における熱抵抗値をR2(m 2 K/W)とした場合、R1>R2を満たし、かつ
    前記無機基板の250℃における熱抵抗値をR3(m 2 K/W)とし、前記接合部の250℃における熱抵抗値をR4(m 2 K/W)とした場合、R3>R4を満たし、
    前記無機基板は、複数の気孔を有する多孔質体であることを特徴とする、
    保持装置。
  3. 請求項1に記載の保持装置であって、
    前記無機基板は、複数の気孔を有する多孔質体であることを特徴とする、
    保持装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載の保持装置であって、
    前記気孔は、閉気孔であることを特徴とする、
    保持装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の保持装置であって、
    前記熱抵抗値R1は、0.0200>R1>0.0002(m 2 K/W)であり、
    前記熱抵抗値R1と前記熱抵抗値R2との比R1/R2は、R1/R2>1.2であることを特徴とする、
    保持装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の保持装置であって、
    前記無機基板のヤング率をE2とし、前記接合部のヤング率をE3としたとき、
    E2>E3となることを特徴とする、
    保持装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の保持装置であって、
    前記セラミックス基板のヤング率をE1とし、前記無機基板のヤング率をE2としたとき、
    E1>E2となることを特徴とする、
    保持装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の保持装置であって、
    前記セラミックス基板の23℃から250℃における熱膨張率と、前記無機基板の23℃から250℃における熱膨張率との差は20ppm以下であることを特徴とする、
    保持装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の保持装置であって、
    前記セラミックス基板に、ヒーターが配置されることを特徴とする、
    保持装置。
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