JP7388190B2 - 積層造形用サポート材 - Google Patents

積層造形用サポート材 Download PDF

Info

Publication number
JP7388190B2
JP7388190B2 JP2019237643A JP2019237643A JP7388190B2 JP 7388190 B2 JP7388190 B2 JP 7388190B2 JP 2019237643 A JP2019237643 A JP 2019237643A JP 2019237643 A JP2019237643 A JP 2019237643A JP 7388190 B2 JP7388190 B2 JP 7388190B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
support material
additive manufacturing
pva
polyester resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019237643A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021104649A (ja
Inventor
紀人 酒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2019237643A priority Critical patent/JP7388190B2/ja
Publication of JP2021104649A publication Critical patent/JP2021104649A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7388190B2 publication Critical patent/JP7388190B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

積層造形とは、所定の構造を有する立体を造形する方法であって、流動状態の材料が押出された後、固化し、その上にさらに材料が積層されていくことで物品が造形される。積層造形方法にはUV硬化法、熱溶融積層法等が提案されているが、装置構造が簡便であることから、熱溶融積層法が広く使用されている。
サポート材とは、立体を積層造形する際に用いるものであって、本来の立体の構造には存在しない部分を賄う材料のことを指す。積層造形される立体構造には様々な構造があり、造形される過程において、他の何かでサポートしておかないと、造形できない部位を含むものもある。そのような立体構造の部位を支えるために造形過程で用い、最終的には除去されるものである。
従来から、積層造形においてサポート材は検討されており、造形後に主に液体に溶かして除去するものと、削り取るもの、液体や気体で吹き飛ばすものがある。
削り取る場合は、複雑形状の際には、立体に傷がつかないように削り取るのが難しく、吹き飛ばすものは、強度が不足し、十分なサポートができなかった。そこで、液体に溶かして除去できるサポート材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、かかるサポート材として用いられる、水洗除去できる水溶性樹脂としては非結晶性のポリビニルアルコール(以下、ポリビニルアルコールをPVAと言う。)が提案されており、そのPVAに柔軟性を付与する為に生分解性ポリエステルを添加することが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。かかるサポート材は、PLA樹脂との接着性は優れるものであったが、ほかの樹脂との接着性については、改善の余地があった。
特開2014-24329号公報 特開2018-99788号公報
立体構造を形作るものは、モデル材と言われ、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)系樹脂、ポリ乳酸(PLA)系樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレン等種々の樹脂が検討されているが、溶融成形性、熱安定性、固化後の機械物性からABS系樹脂やPLA系樹脂、PC樹脂が、広く使用されている。即ち、サポート材は、少なくとも、PLA樹脂、ABS系樹脂、さらにはPC樹脂との接着性が優れることが要求されている。
そこで、本発明は、このような背景下において、モデル材(PLA樹脂、ABS樹脂及びPC樹脂)との接着性に優れる、生分解性の積層造形用サポート材を提供することを目的とするものである。
そこで、本発明者等は上記事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、サポート材をすべて生分解性の材料で形成するとともに、PVA系樹脂として重合度の比較的低いものを用いることにより、サポート材としての水溶解性と造形性を向上させ、PVA系樹脂と生分解性樹脂を海島構造体とすることにより、サポート樹脂全体が生分解性となることに加え、更には、モデル材、特にPLA系樹脂との接着性に優れたサポート材が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、PVA系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)を含有する組成物からなる積層造形用サポート材において、
組成物中のPVA系樹脂(A)を特定の低ケン化度を特定の低ケン化度とし、ポリエステル系樹脂を生分解性芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂にすることで、種々のモデル材との接着性にも優れる積層造形用サポート材が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、
ポリビニルアルコール系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)を含有する積層造形用サポート材であって、
ポリビニルアルコール系樹脂(A)のケン化度が70~85モル%であり、
ポリエステル系樹脂が生分解性芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂であることを特徴とする積層造形用サポート材に関する。
本発明においては、熱溶融積層法による積層造形においてよく用いられる種々のモデル材(PLA樹脂、ABS樹脂及びPC樹脂)との接着性に優れるサポート材が得られるものである。
本発明で用いられる積層造形用サポート材は、PVA系樹脂のケン化度が低いため、ビニルエステル構造単位が従来よりも多く、疎水性に傾いている。そのため、疎水性であるポリエステル系樹脂との相溶性が向上し、ポリエステル系樹脂がPVA系樹脂中に微分散し、モデル材と接する点が増えたため、種々のモデル材との接着性が向上したものと推測される。
積層造形物の一例の模式図である。1:サポート材 2:モデル材
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
まずは、本発明で用いられるPVA系樹脂(A)について説明する。
〔PVA系樹脂(A)〕
まず、本発明で用いられるPVA系樹脂(A)について説明する。
PVA系樹脂(A)は、ビニルエステル系単量体を重合して得られるポリビニルエステル系樹脂をケン化して得られる、ビニルアルコール構造単位を主体とする樹脂であり、ケン化度相当のビニルアルコール構造単位とケン化されずに残存したビニルエステル構造単位から構成される。
本発明のPVA系樹脂(A)は、溶融成形可能なPVA系樹脂(A)を用いることが好ましい。
本発明で用いられるPVA系樹脂(A)のケン化度は、70~85モル%であることを特徴とするものであり、好ましくは72~83モル%であり、特に好ましくは75~80モル%である。ケン化度が低すぎると固化速度が遅くなり、積層時の形状安定性が低下する傾向がある。なお、ケン化度が高すぎると水溶解性が低下し、さらに生分解性ポリエステル系樹脂(B)との親和性が低下する傾向がある。
なお、ケン化度はJIS K 6726に準拠して測定されたものである。
本発明で用いられるPVA系樹脂(A)の平均重合度(JIS K6726に準拠して測定)は、200~1000であることを特徴とするものであり、好ましくは250~800であり、特に好ましくは300~400である。
かかる平均重合度が低すぎると積層時に安定した形状を形成することができず、高すぎると本発明の効果が得られない。
PVA系樹脂(A)の融点は、通常、120~230℃、好ましくは150~220℃であり、特に好ましくは180~210℃である。融点が高すぎると積層造形の際の加工温度が高くなり樹脂が劣化する恐れがあり、低すぎると積層時の形状安定性が低下する傾向がある。
また、通常のPVA系樹脂(A)の場合、主鎖の結合様式は1,3-ジオール結合が主であり、1,2-ジオール結合の含有量は1.5~1.7モル%程度であるが、ビニルエステル系モノマーを重合する際の重合温度を高温にすることによって含有量を増やすことができ、その含有量を1.8モル%以上、更には2.0~3.5モル%有することが、ポリエステル系樹脂との親和性が向上する点で好ましい。
PVA系樹脂(A)は、ビニルエステル系モノマーを重合し、得られた重合体をケン化することで製造される。
かかるビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的に酢酸ビニルが好ましく用いられる。
また、本発明では、PVA系樹脂(A)として、ビニルエステル系重合体の製造時に各種単量体を共重合させ、これをケン化して得られたものや、PVA系樹脂に後変性によって各種官能基を導入した各種変性PVA系樹脂を用いることができる。かかる変性は、PVA系樹脂(A)の水溶性が失われない範囲で行うことができ、通常は変性率は20モル%以下である。

ビニルエステル系単量体との共重合に用いられる単量体としては、例えば、エチレンやプロピレン、イソブチレン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオレフィン類、3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール、3,4-ジヒドロキシ-1-ブテン等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2-ジアルキル-4-ビニル-1,3-ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル、3,4-ジアセトキシ-1-ブテン等のビニル化合物、酢酸イソプロペニル、1-メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類、塩化ビニリデン、1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、ビニレンカーボネート、等が挙げられる。これらの単量体は、単独で、又は2種以上を併用してもよい。
また、後反応によって官能基が導入されたPVA系樹脂としては、ジケテンとの反応によるアセトアセチル基を有するもの、エチレンオキサイドとの反応によるポリアルキレンオキサイド基を有するもの、エポキシ化合物等との反応によるヒドロキシアルキル基が有するもの、あるいは各種官能基を有するアルデヒド化合物をPVA系樹脂と反応させて得られたものなどを挙げることができる。
かかる変性PVA系樹脂中の変性量、すなわち共重合体中の各種単量体に由来する構成単位、あるいは後反応によって導入された官能基の含有量は、変性種によって特性が大きく異なるため一概には言えないが、通常、0.1~20モル%であり、特に0.5~12モル%の範囲が好ましく用いられる。
また、本発明で用いられるPVA系樹脂(A)は、一種類であっても、二種類以上の混合物であってもよく、その場合は、上述の未変性PVA同士、未変性PVAと各種変性PVA系樹脂、ケン化度、平均重合度、変性種、変性度などが異なるPVA系樹脂同士などの組み合わせを用いることができる。
〔ポリエステル系樹脂〕
本発明で用いられるポリエステル系樹脂は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールを主成分とする生分解性芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(B)を含有するものである。
本発明でいう生分解性とは、ISO 9408、ISO 9439、ISO 10707、JIS K 6950、JIS K 6951、JIS K 6953又は、JIS K 6955のいずれかを満たすものである。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂は、生分解性芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(B)以外の樹脂を含有してもよく、かかる含有量は通常、本発明で用いられる生分解性芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(B)に対して20重量%未満、好ましくは10重量%未満である。
即ち、本発明で用いられるポリエステル系樹脂は、生分解性芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(B)をポリエステル系樹脂中に、80重量%以上含有するものである。
生分解性芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(B)の含有量が少ないと、積層造形時、サポート材として使用すると、メイン樹脂との接着性が十分得られなかったり、途中で折れたりする傾向がある。
本発明の生分解性芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(B)は芳香族ジカルボン酸単位の含量は、脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の全量を基準(100モル%)として、1080モル%、好ましくは20~60モル%、特に好ましくは30~50モル%であることが好ましい。具体的には、例えば、下記式(1)で表される脂肪族ジオ-ル単位、下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、及び、下記式(3)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。
-O-R1-O- (1)
[式(1)中、R1は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
-OC-R2-CO- (2)
[式(2)中、R2は直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
-OC-R3-CO- (3)
[式(3)中、R5は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
式(1)のジオール単位を与えるジオール成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも、炭素数2以上4以下のジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4-ブタンジオールがより好ましく、1,4-ブタンジオールが特に好ましい。
式(2)のジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。中でも、アジピン酸が好ましい。
式(3)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。また、芳香環の一部がスルホン酸塩で置換されている芳香族ジカルボン酸も挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成分及び芳香族ジカルボン酸成分は、それぞれ2種類以上を用いることもできる。また、生分解性芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(B)にも、その性質を損なわない範囲で脂肪族オキシカルボン酸単位が少量含有されていてもよい。生分解性芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(B)としては、ポリブチレンテレフタレートアジペート及び/又はポリブチレンテレフタレートサクシネート系樹脂であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物に用いられる生分解性芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kg荷重で測定した場合、通常1.0g/10分以上、好ましくは2.0g/10分以上であり、最も好ましくは3.0g/10分以上、上限が通常6.0g/10分以下、好ましくは5.0g/10分以下、さらに好ましくは4.0g/10分以下である。MFRが1.0g/10分より小さいと成形時の流動性が悪く好ましくない。またMFRが6.0g/10分より大きいとフィルムや成形品の機械物性が低下する。
かかるポリブチレンアジペートテレフタレート(B1)の市販品としては、例えば、アジピン酸/テレフタル酸と1,4-ブタンジオールの縮重合物(PBAT)を主成分とするBASF社製「Ecoflex」が挙げられる。
本発明で用いられるポリブチレンアジペートテレフタレート(B1)の重量平均分子量は、通常5000~50000であり、好ましくは5500~40000、特に好ましくは6000~30000である。かかる重合度が大きすぎると溶融粘度が高くなり溶融成形しにくくなる傾向があり、逆に小さすぎると成形物が脆くなる傾向がある。
〔積層造形用サポート材〕
本発明の積層造形用サポート材(以下、単にサポート材ということがある。)はPVA系樹脂(A)と生分解性ポリエステル系樹脂(B)を含有するものであるが、サポート材中のポリエステル系樹脂(B)の含有量としては、PVA系樹脂(A)100重量部に対して、5~90重量部であることが好ましく、特に好ましくは、10~60重量部、さらに好ましくは20~50重量部であり、少なすぎると、柔軟性が低下する傾向があり、多すぎると、水溶解性が低下する傾向がある。
また、サポート材はストランドの状態で積層造形装置のヘッド部に供給される為、適度な剛性を有するものが円滑にサポート材を供給できるため好ましい。
また、積層造形装置のヘッド部にストランド状のサポート材を供給する際、チューブの中を通して供給されることがあり、チューブの内面とサポート材の表面の摺動性が良好であることが好ましい。そのため、サポート材の表面状態が平滑であり、かつタック性が低いことが好ましい。
本発明のサポート材には、フィラーを配合しても良く、フィラーとしては生分解性であることが好ましい。生分解性フィラーとしては、例えば、デンプン、セルロース、生分解性プラスチック等が挙げられる。かかるフィラーの平均粒子径としては通常0.5~10μm、更には1~5μm、特には2~3μmが好ましく、小さすぎると樹脂への練り込みが困難となる傾向があり、大きすぎると表面荒れや強度の低下の原因となる傾向がある。なお、ここで言う平均粒子径とは、レーザー回折法で測定した粒子径D50を指す。
フィラーの含有量としてはサポート材中に1~40重量%が好ましく、更には2~30重量%、特には3~10重量%が好ましく、少なすぎるとフィラー添加の効果が発現されない傾向があり、多すぎるとストランド表面の平滑性が低下したり、強度が低下する傾向がある。
また、サポート材には可塑剤が含有されることがあるが、本発明のサポート材の成形安定性を向上させるには可塑剤の含有量は少ないことが好ましく、20重量%以下、さらには10重量%以下、さらには1重量%以下、特には0.1%以下であることが好ましい。
上記成分以外に、酸化防止剤、着色剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤等の公知の添加剤、また他の熱可塑性樹脂を適宜配合することができるが、これらは可塑剤も含めて全て生分解性のものが好ましい。
上記のサポート材の作製方法としては上記の各成分について、所定量を混合、加熱され溶融状態で混練されたのち、ストランド状に押出され、冷却され、リールに巻き取られて積層造形に適用されるサポート材となる。具体的には各成分を予め混合したもの、もしくは別々に単軸または多軸の押出機に供給されたものを、加熱溶融混練し、1穴もしくは多穴のストランドダイスから径1.5~3.0mmのストランド状に押出し、空冷または水冷等により冷却固化した後、リールに巻き取られる。ストランドの径は安定していることが必要で、また、リールに巻きつけられても破断しない程度の柔軟性と靭性を有し、積層造形の際、ヘッドに遅滞なく送り出される程度の剛性が必要である。
〔積層造形方法〕
本発明のサポート材を用いた積層造形方法について説明する。
積層造形に用いられる積層造形装置はモデル材とサポート材を各々押し出せるヘッドを複数個以上持つ熱溶融による積層造形ができるものであれば公知のものを用いればよく、例えば、フラッシュフォージ社製クリエイト、レイズ・エンタープライズ社製Eagleed、3Dシステムズ社製MBot Grid II等のデュアルヘッドタイプの積層造形装置を用いることができる。
モデル材についてもサポート材と同様に、ストランド状に成形され、リールに巻かれた状態で提供される。モデル材とサポート材のストランドは積層造形装置の別々のヘッドに供給され、ヘッド部で加熱溶解され、ステージ上に押し付けられる様に積層されていく。
ヘッド部での溶融温度は通常150~220℃で、200~1000psiの圧力で押出され、積層ピッチは通常100~350μmである。
上記の様に、サポート材およびモデル材により作製された積層物から、サポート材が除去されることで、最終の目的とする積層造形物が得られるのであるが、本発明のサポート材は水により溶解除去することができる。溶解除去の方法として、容器に入れられた水もしくは温水に浸漬しても良いし、流水で洗い流しても良い。浸漬する場合は、除去時間を短縮する為に攪拌したり超音波を与えることが好ましく、また、水温は25~80℃程度が好ましい。溶解除去にはサポート材の重量に対し、10~10000倍程度の水もしくは温水が使用される。
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」は、重量基準を意味する。
実施例1
〔サポート材の作製〕
上記のPVA系樹脂(A)(ケン化度77モル%、平均重合度370の無変性PVA)100部と、生分解性芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(B)としてPBAT(B1)(BASF社製「Ecoflex C1200」)」)43部をペレット状態でブレンドした後、これを二軸押出機に供給し、下記条件で溶融混練し、直径1.75mmのストランド状に押出して、ベルト上で空冷し、リールに巻き取り、サポート材を得た。
押出機:テクノベル社製 15mmφ L/D=60
押出温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/D=90/150/170/180/185/190/190/190/190℃
回転数:200rpm
吐出量:1.5kg/時
〔モデル材との接着性評価〕
上記で得られたサポート材について、接着性の評価を以下の通り行った。
3Dプリンター(Ninjabot社製 FDM-200HW-X)に上記で得られたサポート材(フィラメント)とポリ乳酸のモデル材(PLA、ABS、PC製フィラメント)をセットし、図1に示す構成の立方体を造形し、以下の基準により接着性を評価した。
評価基準
◎:造形可能であり、部材同士の接着力も強く、手では引き剥がせない
〇:造形可能であるが、部材同士の接着力が弱く、手で引き剥がせる
△:部分的に造形不可能な個所あり
×:造形不可能
〔柔軟性評価〕
直径15mmの筒に上記で得られたフィラメントを10周巻き付け、折れた回数を測定した。結果を表1に示す。
〔フィラメントの形状安定性〕
上記で得られたフィラメントの直径を測定し、長さ20m中での1.75mmからの最大ずれた径を測定した。結果を表1に示す。
〔水溶性〕
上記で得られたフィラメントを長さ5mmのペレット状に切断。そのペレット5gを500mlの水(40 ℃)中に浸漬し、スターラーで撹拌し、ペレットが目視で確認できなくなった時間を計測した。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1においてPVA系樹脂(A)をケン化度88モル%、平均重合度370、無変性PVAにした以外は、実施例1と同様にした。
結果を表1に示す。
比較例2
実施例1においてPVA系樹脂(A1)をケン化度99モル%、平均重合度450、側鎖に1,2-ジオール構造の含有量(変性率)を6モル%にした以外は、実施例1と同様にした。
結果を表1に示す。
比較例3
実施例1において、ポリエステル系樹脂(B)をPLA樹脂(ネイチャーワークス社製)に変更した以外は実施例1と同様にした。
結果を表1に示す。

本発明のサポート材を用いた実施例1においては、各種モデル材との接着性に優れ、更に柔軟性、水溶解性、寸法安定性にも優れるものであった。一方、PVAのケン化度が本発明の規定より高いものを用いた比較例1は、各種モデル材との接着性に劣り、溶解時間も長かった。ポリエステル系樹脂として、PBS又はPLAを用いた比較例2,3は、各種モデル材との接着性に劣り、柔軟性も不足しており、さらには溶解時間も長かった。
本発明のサポート材を用いた場合、PLA樹脂、ABS樹脂及びPC樹脂にも接着し、さらに柔軟性に優れるものであった。さらには水溶性、寸法安定性にもう優れるため、積層造形用サポート材に有用である。

Claims (2)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂(A)とポリエステル系樹脂を含有する積層造形用サポート材であって、
    ポリビニルアルコール系樹脂(A)のケン化度が70~85モル%であり、
    ポリビニルアルコール系樹脂(A)が無変性ポリビニルアルコールであり、
    ポリエステル系樹脂が生分解性芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂 (B)を含有すること
    を特徴とする積層造形用サポート材。
  2. 前記ポリエステル系樹脂の含有量が、PVA系樹脂(A)100重量部に対して、5~90重量部であることを特徴とする請求項1記載の積層造形用サポート材。
JP2019237643A 2019-12-27 2019-12-27 積層造形用サポート材 Active JP7388190B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019237643A JP7388190B2 (ja) 2019-12-27 2019-12-27 積層造形用サポート材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019237643A JP7388190B2 (ja) 2019-12-27 2019-12-27 積層造形用サポート材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021104649A JP2021104649A (ja) 2021-07-26
JP7388190B2 true JP7388190B2 (ja) 2023-11-29

Family

ID=76918414

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019237643A Active JP7388190B2 (ja) 2019-12-27 2019-12-27 積層造形用サポート材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7388190B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014024855A1 (ja) * 2012-08-07 2014-02-13 東洋紡株式会社 偏光子保護用ポリエステルフィルム、偏光板および液晶表示装置
JP6812778B2 (ja) * 2016-12-19 2021-01-13 三菱ケミカル株式会社 積層造形用サポート材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021104649A (ja) 2021-07-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO1992020739A1 (en) Biodegradable resin composition and laminated structure made therefrom
JP6812778B2 (ja) 積層造形用サポート材
JP2017132142A (ja) 立体造形用材料、立体造形用材料セット及び立体造形物の製造方法
JP5779744B2 (ja) 樹脂組成物およびその成形品
JP7009994B2 (ja) 樹脂組成物、および積層造形用サポート材
JPWO2019049798A1 (ja) 生分解性酸変性ポリエステル系樹脂及び積層体
JP7159919B2 (ja) 積層造形用サポート材
JP6988484B2 (ja) 造形材料、造形物および造形物の製造方法
JP7388190B2 (ja) 積層造形用サポート材
US20230023495A1 (en) Support material for fused deposition modeling, and manufacturing method of fused deposition modeled structure and three-dimensional object using same
JP2001096530A (ja) エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂ペレットの製造方法
EP2094779A2 (en) Biodegradable composition having high mechanical characteristics
JP7007818B2 (ja) 樹脂粒子の製造方法
JP5979996B2 (ja) 多層延伸フィルムの製造方法
JP2022167851A (ja) エマルジョン用樹脂組成物及びコーティング剤
WO2022225024A1 (ja) エマルジョン用樹脂組成物及びコーティング剤
JP7246374B2 (ja) 樹脂組成物
JP3916765B2 (ja) 多層容器の製法
WO2019073393A1 (ja) 樹脂組成物及びその製造方法
JP2003313404A (ja) 脂肪族ポリエステル樹脂組成物及び脂肪族ポリエステル多層フィルム
JP2000273122A (ja) 熱可塑性カルボキシ変性ポリビニルアルコールおよびその成形品
JP2021172824A (ja) 樹脂組成物及びその製造方法
JP4955469B2 (ja) 積層樹脂フィルムおよびその製造方法
WO2020203536A1 (ja) 成形品及び成形品の製造方法
WO2022045090A1 (ja) 積層造形用サポート材、これを用いた積層造形物及び立体構造体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220707

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230417

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230509

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230707

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231017

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231030

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7388190

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151