<本発明の実施形態>
以下、本発明の実施形態について図1を参照しつつ説明する。本発明の実施形態のエンジンユニット11は、オイルパン20A、クランクケース20B、シリンダボディ20C、シリンダヘッド20D、シリンダボア20Ca、ピストン22、冷却液経路51、オイルポンプ43、ピストンクーラー45、相対回転部20B4、およびシリンダボディ油経路41を備える。
オイルパン20Aは、潤滑油を貯留する。オイルパン20Aは、クランクケース20Bに接続されている。クランクシャフト21は、クランクケース20Bに設けられている。シリンダボディ20Cは、クランクケース20Bに接続されている。シリンダヘッド20Dは、シリンダボディ20Cに接続されている。オイルポンプ43は、クランクケース20Bに設けられ、潤滑油を圧送する。シリンダボア20Caは、シリンダボディ20Cの内部に形成されている。ピストン22は、シリンダボア20Caに往復移動可能に設けられている。冷却液経路51の少なくとも一部は、シリンダボディ20Cの内部に形成されている。冷却液経路51の少なくとも一部は、シリンダボアCaの径方向外側に位置するように形成されている。冷却液経路51の内部を冷却液が流れる。ピストンクーラー45は、潤滑油が供給されたときにピストン22に向けて潤滑油を噴射する。ピストンクーラー45は、シリンダボディ20Cまたはクランクケース20Bに設けられる。図1では、ピストンクーラー45は、クランクケース20Bに設けられる。相対回転部20B4は、クランクシャフト21に対して相対回転可能であり、クランクシャフト21と向かい合う。潤滑油は相対回転部20B4に供給される。図1では、2つの相対回転部20B4が図示されている。
シリンダボディ油経路41は、オイルパン20Aの内部における冷却液経路51とは異なる位置に形成される。加圧状態の潤滑油はクランクケース20Bからシリンダボディ油経路41に流入する。シリンダボディ油経路41に流入した加圧状態の潤滑油は、シリンダヘッド20Dを通らずにシリンダボディ油経路41からクランクケース20Bに流出する。シリンダボディ油経路41の少なくとも一部は、シリンダボア20Caの径方向外側に位置する。基本的に、シリンダボディ20Cをシリンダボア20Caの中心軸線と平行な方向に見たとき、シリンダボディ油経路41の潤滑油の流れ方向における下流端は、シリンダボア20Caの径方向外側に位置する。シリンダボディ油経路41を通過してクランクケース20Bに流入した後の潤滑油は、オイルパン20Aに戻る前に、クランクケース20Bに設けられたピストンクーラー45および相対回転部20B4の少なくとも一方に供給される。図1では、シリンダボディ油経路41を通過した後の潤滑油が、ピストンクーラー45と、2つの相対回転部20B4のうち紙面の左にある相対回転部20B4とに供給される。なお、紙面左にある相対回転部20B4は、本発明のクランク軸受の一例である。
エンジンユニット11は、シリンダボディ20Cの内部における冷却液経路51とは異なる位置に形成されたシリンダボディ油経路41を有する。エンジンユニット11の運転時、シリンダボア20Caは、高温の排ガスに接する。そのため、エンジンユニット11の暖機運転時、シリンダボディ20Cはクランクケース20Bよりも素早く温度が上昇する。シリンダボディ油経路41は、シリンダボディ20Cの内部に形成される。しかも、シリンダボディ油経路41の少なくとも一部は、高温の排ガスと接するシリンダボア20Caの径方向外側に位置する。そのため、エンジンユニット11の暖機運転時、潤滑油がシリンダボディ油経路41を流れる間に潤滑油の温度が素早く上昇する。シリンダボディ油経路41を通過してクランクケース20Bに流入した後の潤滑油は、オイルパン20Aに戻る前に、クランクケース20Bに設けられたピストンクーラー45およびクランク軸受20Bbの少なくとも一方に供給される。つまり、潤滑油はシリンダボディ20Cから熱を受けてから、ピストンクーラー45および相対回転部20B4の少なくとも一方に供給される。そのため、潤滑油がクランクケース20Bに設けられたオイルポンプ43から圧送された後、シリンダボディ20Cを通らずにピストンクーラー45および相対回転部20B4に供給される場合に比べて、エンジンユニット11の暖機運転時にピストンクーラー45および相対回転部20B4の前記少なくとも一方に供給される潤滑油の温度が高くなる。そのため、ピストン22とシリンダボア20Caとの間の摩擦損失が小さくなる。それに加えて、または、その代わりに、クランクシャフト21と相対回転部20B4との間の摩擦損失が小さくなる。そのため、エンジンユニット11の燃費が向上する。
さらに、潤滑油はエンジンユニット11内を循環するため、潤滑油がクランクケース20Bに設けられたオイルポンプ43から圧送された後、シリンダボディ20Cを通らずにピストンクーラー45および相対回転部20B4に供給される場合に比べて、エンジンユニット11の暖機運転時、エンジンユニット11内の潤滑油全体の温度がより素早く上昇する。そのため、エンジンユニット11の上記以外の箇所の摩擦損失も小さくなる。そのため、エンジンユニット11の燃費がより向上する。
シリンダボディ油経路はシリンダボディ20Cの内部に形成される。潤滑油はクランクケース20Bからシリンダボディ油経路41に流入し、シリンダボディ油経路41を通過した潤滑油はクランクケース20Bに流出する。シリンダボディ油経路41を通過してクランクケース20Bに流入した後の潤滑油は、オイルパン20Aに戻る前に、クランクケース20Bに設けられたピストンクーラー45またはクランク軸受20Bbの少なくとも一方に供給される。従って、オイルポンプ43からピストンクーラー45および相対回転部20B4の前記少なくとも一方まで潤滑油が流れる経路は、クランクケース20Bとシリンダボディ20Cにのみ形成される。そのため、オイルポンプ43からピストンクーラー45および相対回転部20B4の前記少なくとも一方まで潤滑油が流れる経路がクランクケース20Bとシリンダボディ20Cとシリンダヘッド20Dに形成される場合と比べて、オイルポンプ43からピストンクーラー45および相対回転部20B4の前記少なくとも一方まで潤滑油が流れる経路の合計長さを短くできる。そのため、エンジンユニット11の暖機運転時の潤滑油の圧力損失を抑えることができる。そのため、エンジンユニット11の燃費が向上する。
以上のように、エンジンユニット11の暖機運転時に、潤滑油の圧力損失を抑えつつ、エンジンユニット11内の潤滑油の温度を素早く上昇させることにより、燃費を向上させることができる。
<実施形態の具体例1>
次に、上述した本発明の実施形態の具体例1について、図2~図8を用いて説明する。以下の説明において、上述した本発明の実施形態と同じ部位についての説明は省略する。具体例1は上述した本発明の実施形態に包含される。本実施形態の具体例1は、本発明を自動二輪車1に適用した一例である。以下の説明において、特に限定が無い限り、前後方向とは、車両の前後方向のことである。車両の前後方向とは、自動二輪車1の後述するシート5に着座したライダーから見た前後方向のことである。以下の説明において、左右方向とは、車両の左右方向のことである。車両の左右方向とは、自動二輪車1の後述するシート5に着座したライダーから見た左右方向のことである。車両の左右方向は、自動二輪車1の車幅方向でもある。以下の説明において、特に限定が無い限り、上下方向とは、車両の上下方向のことである。車両の上下方向とは、全ての車輪が水平な路面に接触した自動二輪車1を水平な路面に直立させた状態における上下方向である。車両前後方向と車両左右方向と車両上下方向は互いに直交する。図2、図4、図6、図7に示す矢印F、矢印B、矢印U、矢印D、矢印L、矢印Rは、それぞれ、前方、後方、上方、下方、左方、右方を表している。
[1]自動二輪車の概略構成
図2に示すように、自動二輪車1は、前輪2と、後輪3と、車体フレーム4とを含む。
車体フレーム4の上部にはシート5が支持されている。車体フレーム4は、エンジンユニット11を支持する。また、車体フレーム4は、エンジンユニット11の後述するECU(Electronic Control Unit)75および各種センサなどの電子機器に電力を供給するバッテリ(図示せず)を支持する。ECU75(図2参照)は、エンジンユニット11の動作を制御する。ECU75は、後述する点火プラグ27および燃料噴射装置28などを制御する。ECU75は、プロセッサ(演算処理部)およびメモリを含む。ECU75は、離れた位置に配置された複数の装置で構成されていてもよい。
[2]エンジンユニットの構成
以下、エンジンユニット11の構成について説明する。図3および図4は、エンジンユニット11の構成を示す模式図である。エンジンユニット11は、エンジン本体20と、吸気管61と、排気管66とを有する。吸気管61および排気管66は、エンジン本体20の外部に位置する。また、エンジンユニット11は、潤滑ユニット40Aと、冷却ユニット50を有する。
エンジン本体20の内部には、クランクシャフト21、ピストン22、吸気バルブ25、排気バルブ26、点火プラグ27、燃料噴射装置28の少なくとも一部、およびバルブ駆動機構30の少なくとも一部が配置される。エンジンユニット11は、単気筒エンジンである。エンジンユニット11は、吸入行程、圧縮行程、燃焼行程(膨張行程)、および排気行程を繰り返す4ストローク式のエンジンである。
エンジン本体20は、オイルパン20A、クランクケース20B、シリンダボディ20C、シリンダヘッド20D、およびヘッドカバー20Eを有する。これらはこの順で連結されている。オイルパン20Aはクランクケース20Bの下部に接続されている。図4に示すように、クランクケース20Bは左右一対の分割ケース20Baを有している。左右の分割ケース20Baにはそれぞれクランク軸受20Bbが設けられている。クランクシャフト21の左部は、左の分割ケース20Baのクランク軸受20Bbに回転可能に支持されている。クランクシャフト21の右部は、右の分割ケース20Baのクランク軸受20Bbに回転可能に支持されている。クランクシャフト21の回転中心軸線21Xは、左右方向と平行である。左の分割ケース20Baの右端面と右の分割ケース20Baの左端面は接触している。即ち、一対の分割ケース20Baはクランクシャフト21の回転中心軸線21Xと平行な方向に並ぶ。
シリンダボディ20Cは、シリンダボア20Caを有する。シリンダボア20Caの中心軸線をシリンダ軸線20Xと定義する。シリンダ軸線20Xと平行な方向であって、クランクケース20Bからシリンダボディ20Cに向かう方向を、シリンダ上方向と定義する。シリンダ軸線20Xと平行な方向であって、シリンダボディ20Cからクランクケース20Bに向かう方向を、シリンダ下方向と定義する。図2~図4および図7に示す矢印Uaはシリンダ上方向を表し、矢印Daはシリンダ下方向を表す。
シリンダボディ20Cは、図5および図6に示す3本のボルト20B1、20B2、20B3を含む複数のボルトによってクランクケース20Bに固定されている。より詳細には、シリンダボディ20Cおよびシリンダヘッド20Dが、これら複数のボルトによってクランクケース20Bに固定されている。各ボルトは、両端にねじ溝を有するスタッドボルトであってもよく、一端にねじ溝を有し、他端にボルト頭部を有するボルトであってもよい。
クランクケース20Bは、シリンダボディ20Cのクランクケース接合面20Cbに接続される。クランクケース接合面20Cbは、シリンダボディ20Cのシリンダ下方向Daの端面である。クランクケース20Bのシリンダ上方向Uaの端面が、クランクケース接合面20Cbに接続される。クランクケース接合面20Cbとクランクケース20Bとの間にはシール部材20a(図3参照)が設けられている。シール部材20aには、ボルト20B1、20B2、20B3を含む複数のボルトがそれぞれ貫通する複数の貫通孔(図示せず)が形成されている。
図2に示すように、エンジンユニット11を左右方向に見たときに、シリンダ軸線20Xの上部は下部よりも前方に位置する。エンジンユニット11を左右方向に見たときに、シリンダ軸線20Xの上下方向に対する傾斜角度は0°より大きく45°以下である。なお、シリンダ軸線20Xは、シリンダボア20Caが存在する領域だけに存在する線分ではなく、無限に延びる直線である。シリンダボア20Caのシリンダ下方向Daの端は、シリンダボディ20Cのシリンダ下方向Daの端である。図5に示すように、3本のボルト20B1、20B2、20B3はシリンダ軸線20Xに沿っている。より詳細には、3本のボルト20B1、20B2、20B3の中心軸はシリンダ軸線20Xと平行である。
ピストン22は、シリンダボア20Ca内に、シリンダ軸線20Xに沿って往復動可能に設けられる。ピストン22の外周面には、2つのピストンリング22bが装着されている。ピストン22が上死点(図示せず)と下死点(図3の仮想線の位置)との間を移動するとき、2つのピストンリング22bは常にシリンダボア20Caとシリンダボア20Caの径方向に向かい合う。ピストン22は、コネクティングロッド23を介してクランクシャフト21に連結される。コネクティングロッド23のシリンダ下方向Daの端部23a(図4参照)は環状であって、この環状端部23aを、クランクシャフト21のクランクピン部21aが相対回転可能に貫通している。コネクティングロッド23の環状端部23aの内面は、クランクピン部21aと向かい合う。
図5に示すように、シリンダボディ20Cには3つのボルト貫通孔20C1、20C2、20C3が形成されている。ボルト貫通孔20C1、20C2、20C3はシリンダ軸線20Xに沿った直線状である。より詳細には、ボルト貫通孔20C1、20C2、20C3の中心軸はシリンダ軸線20Xと平行な直線状である。スタッドボルト貫通孔20C1、20C2、20C3はシリンダボディ20Cを貫通している。
図6に示すように、シリンダヘッド20Dには3つのボルト貫通孔20D1、20D2、20D3が形成されている。ボルト貫通孔20D1、20D2、20D3はシリンダ軸線20Xに沿った直線状である。より詳細には、ボルト貫通孔20D1、20D2、20D3の中心軸はシリンダ軸線20Xと平行な直線状である。ボルト貫通孔20D1、20D2、20D3はシリンダヘッド20Dを貫通している。シリンダボディ20Cのシリンダ上方向Uaの端面とシリンダヘッド20Dのシリンダ下方向Daの端面との間にはヘッドガスケット(図示せず)が設けられている。ヘッドガスケットには、ボルト20B1、20B2、20B3を含む複数のボルトがそれぞれ貫通する複数のボルト貫通孔(図示せず)が形成されている。
図5および図6に示すように、ボルト貫通孔20C1の内周面およびボルト貫通孔20D1の内周面とボルト20B1の外周面との間の環状の隙間が、直線経路41A-2である。なお、本明細書において、経路とは、流体(例えば気体)が通過する空間を意味する。ボルト貫通孔20C2の内周面およびボルト貫通孔20D2の内周面とボルト20B2の外周面との間の環状の隙間が、直線経路41A-5である。ボルト貫通孔20C3の内周面およびボルト貫通孔20D3の内周面とボルト20B3の外周面との間の環状の隙間が、直線経路41A-9である。直線経路41A-2、41A-5、41A-9は、シリンダ軸線20Xに沿った直線状である。より詳細には、直線経路41A-2、41A-5、41A-9は、シリンダ軸線20Xと平行な直線状である。直線経路41A-2、直線経路41A-5、直線経路41A-9のシリンダ下方向Daの端は、シリンダボディ20Cのシリンダ下方向Daの端面であるクランクケース接合面20Cbに位置する。
シリンダヘッド20Dは、内部吸気経路20Da、および内部排気経路20Dbを有する。燃焼室24は、シリンダヘッド20D、シリンダボア20Ca、およびピストン22によって形成される。燃焼室24は、シリンダヘッド20Dに形成される吸気口24aおよび排気口24bを有する。空気は吸気口24aから燃焼室24に供給される。燃焼室24で発生した排ガスは排気口24bから排出される。内部吸気経路20Daは、吸気口24aに接続される。内部排気経路20Dbは、排気口24bに接続される。
内部吸気経路20Daの空気の流れ方向の上流端は、吸気管61に接続される。吸気管61内には、スロットルバルブ62が配置される。大気中の空気は、吸気管61および内部吸気経路20Daを通って、燃焼室24に供給される。
内部排気経路20Dbの排ガスの流れ方向の下流端は、排気管66に接続される。排気管66内には、排ガスを浄化する触媒(図示せず)が配置される。燃焼室24で発生した排ガスは、内部排気経路20Dbと排気管66を通って、大気に排出される。
吸気バルブ25は、吸気口24aを開閉するようにシリンダヘッド20Dに設けられる。排気バルブ26は、排気口24bを開閉するようにシリンダヘッド20Dに設けられる。吸気バルブ25および排気バルブ26は、バルブ駆動機構30によって駆動される。バルブ駆動機構30は、クランクシャフト21の回転によって吸気バルブ25および排気バルブ26を駆動する。バルブ駆動機構30は、吸気バルブ25が吸気口24aを開閉しかつ排気バルブ26が排気口24bを開閉するように、吸気バルブ25および排気バルブ26に作用する動弁部品を含む。バルブ駆動機構30は、例えば、SOHC(Single Over Head Camshaft)型であってもよく、DOHC(Double Over Head Camshaft)型であってもよい。また、バルブ駆動機構30は、ロッカーアーム式であっても、直打式(直動式ともいう)であってもよい。また、バルブ駆動機構30がロッカーアーム式の場合、ロッカーアームは、シーソー式であってもスイングアーム式であってもよい。バルブ駆動機構30がSOHC型またはDOHC型の場合、シリンダヘッド20Dまたは/およびヘッドカバー20Eの内部に設けられる。バルブ駆動機構30は、シリンダボディ20Cにカムシャフトが配置されるOHV(Over Head Valve)型であってもよい。
例えば、バルブ駆動機構30がSOHC型の場合、バルブ駆動機構30は、吸気カムと排気カムを有するカムシャフトと、吸気ロッカーアームと、排気ロッカーアーとを有する。吸気カムおよび排気カムは、カムシャフトと一体的に回転する。吸気ロッカーアームの一端は、吸気カムに接触し、他端は、吸気バルブ25に接触する。吸気バルブ25は、バネによって吸気口24aを閉じる方向に押圧される。
図3に示すように、点火プラグ27の先端部が、燃焼室24内に配置される。点火プラグ27は、燃焼室24内の燃料(例えばガソリン)と空気とを含む混合気に点火する。燃料噴射装置28は、内部吸気経路20Da内で燃料を噴射するようにシリンダヘッド20Dに設けられる。なお、燃料噴射装置28は、吸気管61内で燃料を噴射するように配置されてもよい。
図3に示すように、シリンダヘッド20Dのシリンダ上方向Uaの端面であるヘッドカバー接合面20Dcには、ヘッドカバー20Eのシリンダ下方向Daの端面が接続されている。ヘッドカバー20Eによってバルブ駆動機構30等が覆われる。
図3~図8に示すように、エンジンユニット11の潤滑ユニット40Aは、潤滑油経路40A1、オイルポンプ43、およびピストンクーラー45を有する。オイルポンプ43が作動しているとき、潤滑油経路40A1を潤滑油LO(図3参照)が流れる。潤滑油経路40A1は、エンジン本体20の内部に形成されている。オイルポンプ43はクランクケース20Bに設けられている。オイルポンプ43は、エンジン本体20の内部に配置されている。オイルポンプ43は、クランクシャフト21の回転力を受けて作動する。オイルポンプ43はクランクシャフト21に接続されていてもよく、クランクシャフト21の回転に連動して回転するシャフトに接続されていてもよい。ピストンクーラー45はクランクケース20Bの内部に設けられている。以下の潤滑ユニット40Aの説明において、上流とは、潤滑油LOの流れ方向の上流を意味する。下流とは、潤滑油LOの流れ方向の下流を意味する。
図7および図8に示すように、潤滑油経路40A1は、第1上昇経路41A-1、直線経路41A-2、左部下降経路41A-3、中間経路41A-4、直線経路41A-5、連絡経路41A-6、右部下降経路41A-7、クランクシャフト内部経路41A-8、直線経路41A-9、第2上昇経路41A-10、および戻り経路41A-11を有する。なお、直線経路41A-2、直線経路41A-5のシリンダ上方向Uaの端部は閉塞されている。
図4に示すように、第1上昇経路41A-1の一部は、クランクケース20Bの内部に形成されている。第1上昇経路41A-1の上流端はオイルポンプ43に接続されている。第1上昇経路41A-1の下流端はシリンダボディ20Cの内部に形成されている。第1上昇経路41A-1の下流端は、直線経路41A-2のシリンダ下方向Daの端部の近傍に接続されている。
直線経路41A-2のシリンダ下方向Daの端部は、左部下降経路41A-3の上流端に接続されている。図4に示すように、左部下降経路41A-3はクランクケース20Bの内部に形成されている。左部下降経路41A-3の下流端は、左のクランク軸受20Bbに接続されている。
直線経路41A-2には、中間経路41A-4の上流端が接続されている。図4および図8に示すように、中間経路41A-4はシリンダボディ20Cの内部に形成されている。中間経路41A-4はシリンダボア20Caの径方向外側に位置する。中間経路41A-4はクランクシャフト21の回転中心軸線21Xに沿った直線状である。より詳細には、中間経路41A-4はクランクシャフト21の回転中心軸線21Xと平行な直線状である。中間経路41A-4の下流端は、直線経路41A-5に接続されている。直線経路41A-5のシリンダ下方向Daの端部は、連絡経路41A-6の上流端に接続されている。直線経路41A-5の一部はシリンダボディ20Cの内部に形成されており、直線経路41A-5の別の一部はシリンダヘッド20Dの内部に形成されている。直線経路41A-2の一部はシリンダボディ20Cの内部に形成されおり、直線経路41A-2の別の一部はシリンダヘッド20Dの内部に形成されている。
直線経路41A-2の一部、中間経路41A-4、および直線経路41A-5の一部は、シリンダボディ油経路41A1を構成する。シリンダボディ油経路41A1は、シリンダボディ20Cの内部に形成される。シリンダボディ油経路41A1を構成する直線経路41A-2の一部、および、直線経路41A-5の一部は、それぞれ、本発明の直線経路に相当する。シリンダボディ油経路41A1は、直線経路41A-2におけるシリンダ下方向Daの端と中間経路41A-4に接続された位置との間の部分を含む。シリンダボディ油経路41A1は、直線経路41A-5におけるシリンダ下方向Daの端と中間経路41A-4に接続された位置との間の部分を含む。シリンダボディ油経路41A1の下流端は、シリンダボディ20Cのシリンダ下方向Daの端にある。図5に示すように、シリンダボディ油経路41A1は、シリンダボア20Caの径方向外側に位置する。つまり、図4に示すように、シリンダ軸線20Xと平行な方向の位置が、シリンダボア20Caの少なくとも一部とシリンダボディ油経路41A1とが同じである。図4に示すように、シリンダボディ油経路41A1のシリンダ上方向Uaの端は、冷却液経路51のシリンダ下方向Daの端51cを通りシリンダ軸線20Xに直交する平面PLP(第2平面)よりシリンダ下方向Daに位置する。なお、シリンダボディ油経路41A1のシリンダ上方向Uaの端が、平面PLP(第2平面)内にあってもよい。シリンダボディ油経路41A1のシリンダ上方向Uaの端は、中間経路41A-4のシリンダ上方向Uaの端である。
図7に示すように、シリンダボディ油経路41A1と内部吸気経路20Daとの間の最短距離をLi1と定義する。さらに、シリンダボディ油経路41A1と内部排気経路20Dbとの間の最短距離をLe1と定義する。図5に示すように、シリンダボディ20Cをシリンダ軸線20Xと平行な方向に見たときに、シリンダボディ油経路41A1の中間経路41A-4と内部排気経路20Dbが重なる。一方、シリンダボディ20Cをシリンダ軸線20Xと平行な方向に見たときに、シリンダボディ油経路41A1と内部吸気経路20Daは重ならない。従って、図7に示すように、距離Le1は距離Li1より短い。つまり、シリンダボディ油経路41A1は、内部吸気経路20Daよりも内部排気経路20Dbに近い。
図7に示すように、シリンダボディ油経路41A1を構成する直線経路41A-2の一部(本発明の直線経路に相当する部位)と内部排気経路20Dbとの間の最短距離をLe2と定義する。シリンダボディ油経路41A1を構成する直線経路41A-5の一部(本発明の直線経路に相当する部位)と内部排気経路20Dbとの間の最短距離をLe3と定義する。シリンダボディ油経路41A1を構成する直線経路41A-2の一部(本発明の直線経路に相当する部位)と内部吸気経路20Daとの間の最短距離をLi2と定義する。シリンダボディ油経路41A1を構成する直線経路41A-5の一部(本発明の直線経路に相当する部位)と内部吸気経路20Daとの間の最短距離をLi3と定義する。距離Le2は距離Li2より短い。距離Le3は距離Li3より短い。つまり、シリンダボディ油経路41A1を構成する直線経路41A-2の一部、および、シリンダボディ油経路41A1を構成する41A-5の一部は、内部吸気経路20Daよりも内部排気経路20Dbに近い。
図4に示すように、連絡経路41A-6はクランクケース20Bの内部に形成されている。連絡経路41A-6の下流端はピストンクーラー45に接続されている。連絡経路41A-6の潤滑油LOの流れ方向の中間部は、右部下降経路41A-7の上流端に接続されている。なお、本明細書において、経路の流れ方向の中間部とは、経路の上流端と下流端を除く位置を意味する。経路の流れ方向の中間部は、経路の長さの半分の位置に限らない。図4に示すように、右部下降経路41A-7はクランクケース20Bの内部に形成されている。右部下降経路41A-7の下流端は、右のクランク軸受20Bbに接続されている。
クランクシャフト内部経路41A-8は、クランクシャフト21の内部に形成されている。クランクシャフト内部経路41A-8の上流端は、クランクシャフト21の右端部において開口する右開口端である。この右開口端は、右のクランク軸受20Bbに接続されている。クランクシャフト内部経路41A-8の下流端は、クランクピン部21aにおいて開口する中間開口部である。中間開口部は、コネクティングロッド23の環状端部23aと向かい合っている。
右部下降経路41A-7の潤滑油LOの流れ方向の中間部は、直線経路41A-9の上流端に接続されている。直線経路41A-9には、第2上昇経路41A-10の上流端が接続されている。直線経路41A-9の一部はシリンダボディ20Cの内部に形成されており、直線経路41A-9の別の一部はシリンダヘッド20Dの内部に形成されている。第2上昇経路41A-10の一部はシリンダヘッド20Dの内部に形成され、第2上昇経路41A-10の別の一部はヘッドカバー20Eの内部に形成されている。第2上昇経路41A-10の下流端は、バルブ駆動機構30、吸気バルブ25、および排気バルブ26を介して、戻り経路41A-11に接続されている。戻り経路41A-11は、ヘッドカバー20E、シリンダヘッド20D、シリンダボディ20C、およびクランクケース20Bの内部に形成されている。戻り経路41A-11の下流端は、オイルパン20Aに接続されている。
図4~図8に示すように、エンジンユニット11の冷却ユニット50は、冷却液経路51、流入経路52、排出経路53、冷却液ポンプ54、ラジエータ55、第1送液チューブ56、および第2送液チューブ57を有する。
図4に示すように、冷却液経路51は、シリンダボディ20Cの内部に形成された第1冷却液経路51aを含む。第1冷却液経路51aは、シリンダボア20Caの径方向外側に位置する。第1冷却液経路51aは、シリンダボア20Caを全周にわたって取り囲むように形成されている。第1冷却液経路51aのシリンダ下方向Daの端は、シリンダボディ20Cのシール部材20aとの接触面よりシリンダ上方向Uaに位置する。第1冷却液経路51aのシリンダ下方向Daの端は塞がれている。第1冷却液経路51aのシリンダ上方向Uaの端は、シリンダボディ20Cのシリンダ上方向Uaの端面において開放されている。上記ヘッドガスケットには、シリンダ軸線20Xに見て、第1冷却液経路51aのシリンダ上方向Uaの端と重なる貫通孔が形成されている。
図4および図6に示すように、冷却液経路51は、シリンダヘッド20Dに形成された第2冷却液経路51bを含む。シリンダ軸線20Xと平行な方向に見て、第2冷却液経路51bの大部分は、燃焼室24と重なる。第2冷却液経路51bのシリンダ上方向Uaの端は、燃焼室24のシリンダ上方向Ua方向の端よりシリンダ上方向Uaに位置する。第2冷却液経路51bのシリンダ上方向Uaの端は、燃焼室24のシリンダ上方向Ua方向の端よりシリンダ下方向Daに位置してもよい。第2冷却液経路51bのシリンダ下方向Daの端は、シリンダヘッド20Dのシリンダ下方向Daの端面において開放されている。シリンダ軸線20Xに見て、上記ヘッドガスケットの貫通孔は、第2冷却液経路51bのシリンダ下方向Daの端と重なる。図4に示すように、シリンダ軸線20Xと平行な方向の位置が、シリンダボディ油経路41A1と冷却液経路51とで異なる。より詳細には、シリンダボディ油経路41A1が、冷却液経路51のシリンダ下方向Daの端よりシリンダ下方向Daに位置する。
図4に示すように、シリンダヘッド20Dの内部には、流入経路52および排出経路53が形成されている。流入経路52の冷却液の流れ方向の下流端は第2冷却液経路51bに接続されている。流入経路52の冷却液の流れ方向の上流端は、シリンダヘッド20Dの外面において開口している。排出経路53の冷却液の流れ方向の上流端は第2冷却液経路51bに接続されている。排出経路53の冷却液の流れ方向の下流端は、シリンダヘッド20Dの外面において開口している。
冷却液ポンプ54は、冷却ユニット50を流れる冷却液を圧送する。冷却液ポンプ54は、エンジン本体20の内部に配置されてもよく、例えば図4に示すようにエンジン本体20の外部に配置されてもよい。冷却液ポンプ54は、電動式ポンプであってもよく、クランクシャフト21の回転力を受けて回転する機械式ポンプであってもよい。
ラジエータ55、第1送液チューブ56および第2送液チューブ57は、エンジン本体20の外部に位置する。図4に示すように、第1送液チューブ56の冷却液の流れ方向の下流端は、流入経路52の冷却液の流れ方向の上流端に接続されている。図3に示すように、第1送液チューブ56の冷却液の流れ方向の上流端は、ラジエータ55に接続されている。図4に示すように、第2送液チューブ57の冷却液の流れ方向の上流端は、排出経路53の冷却液の流れ方向の下流端に接続されている。図3に示すように、第2送液チューブ57の冷却液の流れ方向の下流端はラジエータ55に接続されている。冷却液ポンプ54は、例えば、第2送液チューブ57の冷却液の流れ方向の中間部に設けられていてもよい。
[3]潤滑ユニットにおける潤滑油の流れ
クランクシャフト21が回転すると、クランクシャフト21の回転力によってオイルポンプ43が作動する。すると、オイルポンプ43がオイルパン20Aに貯留された潤滑油LOを吸引して圧送する。オイルポンプ43によって圧送された潤滑油LOは第1上昇経路41A-1に流入する。潤滑油LOは第1上昇経路41A-1から直線経路41A-2に流入する。
直線経路41A-2に流入した潤滑油LOの一部は、直線経路41A-2から左部下降経路41A-3に流入する。潤滑油LOは、左部下降経路41A-3から左のクランク軸受20Bbに供給される。左のクランク軸受20Bbに供給された潤滑油LOは、左のクランク軸受20Bbを潤滑した後、重力によってオイルパン20Aに流れ落ちる。
直線経路41A-2に流入した潤滑油LOの残部は、中間経路41A-4に流入する。潤滑油LOは、中間経路41A-4から直線経路41A-5に流入する。潤滑油LOは、直線経路41A-5から連絡経路41A-6に流入する。
連絡経路41A-6に流入した潤滑油LOの一部は、ピストンクーラー45に供給される。すると、ピストンクーラー45からピストン22に向けて潤滑油LOが噴射される。ピストンクーラー45から噴射された潤滑油LOの一部は、ピストン22およびコネクティングロッド23に付着し、その後、落下してオイルパン20Aに戻る。ピストンクーラー45から噴射された潤滑油LOの一部は、シリンダボア20Caに付着し、その後、ピストン22のピストンリング22bによって掻き落とされてオイルパン20Aに戻る。つまり、潤滑油LOは、ピストンクーラー45から噴射された後、オイルパン20Aに戻るまでの間に、シリンダボディ20Cを経由する場合がある。ただし、図8は、ピストンクーラー45からオイルパン20Aまでの潤滑油LOの流れの一部を省略して表示している。後述する図10、図15、および図17も同様である。
連絡経路41A-6に流入した潤滑油LOの残部は、右部下降経路41A-7に流入する。右部下降経路41A-7に流入した潤滑油LOの一部は、右のクランク軸受20Bbに供給される。右のクランク軸受20Bbに供給された潤滑油LOの一部は、クランクシャフト内部経路41A-8に流入する。右のクランク軸受20Bbに供給された潤滑油LOの一部は、右のクランク軸受20Bbを潤滑した後、クランクシャフト内部経路41A-8に流入せずに、重力によってオイルパン20Aに流れ落ちる。ただし、図8は、右のクランク軸受20Bbからオイルパン20Aまでの潤滑油LOの流れを省略して表示している。後述する図10、図15、および図17も同様である。潤滑油LOは、クランクシャフト内部経路41A-8からコネクティングロッド23の環状端部23aに供給される。コネクティングロッド23の環状端部23aを潤滑した後の潤滑油LOは、重力によってオイルパン20Aに流れ落ちる。
右部下降経路41A-7に流入した潤滑油LOの残部は、直線経路41A-9に流入する。潤滑油LOは、直線経路41A-9から第2上昇経路41A-10に流入する。第2上昇経路41A-10から流出した潤滑油LOは、バルブ駆動機構30、吸気バルブ25、および排気バルブ26に供給されてこれらを潤滑する。その後、潤滑油LOは、重力によって戻り経路41A-11を流れてオイルパン20Aに戻る。
このように、シリンダボディ油経路41A1を通過した後の潤滑油は、オイルパン20Aに戻る前に、ピストンクーラー45、コネクティングロッド23の環状端部23a、および右のクランク軸受20Bbに供給される。
[4]冷却ユニットにおける冷却液の流れ
冷却液ポンプ54が作動すると、冷却ユニット50の内部を冷却液が循環する。具体的には、ラジエータ55によって冷却された冷却液は、第1送液チューブ56から流入経路52に流入し、さらに流入経路52から冷却液経路51に流入する。冷却液経路51に流入した冷却液は、第1冷却液経路51aおよび第2冷却液経路51bの内部を通過した後、排出経路53に流入する。冷却液が第1冷却液経路51aおよび第2冷却液経路51bを流れる間に、シリンダボディ20C(シリンダボア20Ca、燃焼室24)の熱およびシリンダヘッド20D(燃焼室24)の熱の一部が、第1冷却液経路51aおよび第2冷却液経路51bを流れる冷却液へ移動する。排出経路53に流入した冷却液は第2送液チューブ57へ流れる。すると冷却液ポンプ54によって、冷却液が第2送液チューブ57からラジエータ55へ流れ、ラジエータ55によって冷却液が冷却される。
以上、本発明の実施形態の具体例1について説明した。具体例1では、シリンダボディ油経路41A1を通過した後の潤滑油LOが、オイルパン20Aに戻る前に、ピストンクーラー45、コネクティングロッド23の環状端部23a、および右のクランク軸受20Bbに供給される。そのため、潤滑油LOがクランクケース20Bに設けられたオイルポンプ43から圧送された後、シリンダボディ20Cを通らずにピストンクーラー45に供給される場合に比べて、エンジンユニット11の暖機運転時にピストンクーラー45に供給される潤滑油LOの温度が高くなる。そのため、ピストン22とシリンダボア20Caとの間の摩擦損失が小さくなる。さらに、潤滑油LOがクランクケース20Bに設けられたオイルポンプ43から圧送された後、シリンダボディ20Cを通らずにコネクティングロッド23の環状端部23aおよび右のクランク軸受20Bbに供給される場合に比べて、エンジンユニット11の暖機運転時にコネクティングロッド23の環状端部23aおよび右のクランク軸受20Bbに供給される潤滑油LOの温度が高くなる。そのため、クランクシャフト21とコネクティングロッド23の環状端部23aとの間の摩擦損失、および、クランクシャフト21と右のクランク軸受20Bbとの間の摩擦損失が小さくなる。そのため、エンジンユニット11の暖機運転時の燃費が向上する。
本発明の実施形態の具体例1は、上述した本発明の実施形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
図4に示すように、シリンダボディ油経路41A1のシリンダ上方向Uaの端は、冷却液経路51のシリンダ下方向Daの端51cよりシリンダ下方向Daに位置する。そのため、シリンダボディ油経路41A1のシリンダ上方向Uaの端が、冷却液経路51のシリンダ下方向Daの端51cよりシリンダ上方向Uaに位置する場合と比べて、シリンダボディ油経路41A1を流れる潤滑油LOの熱が、冷却液経路51内の冷却液に移動し難い。そのため、エンジンユニット11の暖機運転時に、ピストンクーラー45、コネクティングロッド23の環状端部23a、および右のクランク軸受20Bbに供給される潤滑油LOの温度をより素早く上昇させることが可能である。また、エンジンユニット11内の潤滑油LO全体の温度もより素早く上昇させることが可能である。そのため、エンジンユニット11の燃費がより向上する。
上述したように、シリンダボディ油経路41A1と内部排気経路20Dbとの間の最短距離Le1は、シリンダボディ油経路41A1と内部吸気経路20Daとの間の最短距離Li1より短い。即ち、シリンダボディ油経路41A1は、内部吸気経路20Daよりも内部排気経路20Dbに近い。内部排気経路20Dbの内部を高温の排ガスが流れるので、内部排気経路20Dbは高温になり易い。そのため、距離Le1が距離Li1と同じかそれより長い場合に比べて、シリンダボディ油経路41A1を流れる潤滑油LOが、内部排気経路20Dbから熱を受け易い。さらに、シリンダボディ油経路41A1を構成する直線経路41A-2の一部と内部排気経路20Dbとの間の最短距離Le2は、直線経路41A-2の一部と内部吸気経路20Daとの間の最短距離Li2より短い。さらに、シリンダボディ油経路41A1を構成する直線経路41A-5の一部と内部排気経路20Dbとの間の最短距離をLe3は、直線経路41A-5の一部と内部吸気経路20Daとの間の最短距離Li3より短い。そのため、エンジンユニット11の暖機運転時に、潤滑油LOがシリンダボディ油経路41A1を流れる間に、潤滑油LOの温度がより上昇し易くなる。そのため、エンジンユニット11の暖機運転時に、ピストンクーラー45、コネクティングロッド23の環状端部23a、および右のクランク軸受20Bbに供給される潤滑油LOの温度をより素早く上昇させることが可能である。また、エンジンユニット11内の潤滑油LO全体の温度もより素早く上昇させることが可能である。そのため、エンジンユニット11の燃費がより向上する。
シリンダボディ油経路41A1は、シリンダ軸線20Xに平行な直線状にそれぞれ形成された直線経路41A-2の一部および直線経路41A-5の一部を含む。シリンダボディ油経路41A1に含まれる直線経路41A-2の一部は、シリンダボディ20Cの内部に形成されたボルト貫通孔20C1とボルト20B1との間の隙間で構成される。シリンダボディ油経路41A1に含まれる直線経路41A-5の一部は、シリンダボディ20Cの内部に形成されたボルト貫通孔20C2とボルト20B2との間の隙間で構成される。このように、シリンダボディ油経路41A1は、ボルト貫通孔20C1、20C2を利用して形成される。そのため、シリンダボディ油経路41A1を形成するスペースを確保しやすい。また、シリンダボディ油経路41A1を形成しやすい。
上述したように、シリンダボディ油経路41A1に含まれる直線経路41A-2の一部、および直線経路41A-5の一部は、内部吸気経路20Daよりも内部排気経路20Dbに近い。そのため、シリンダボディ油経路41A1に含まれるシリンダ軸線20Xに平行な全ての直線経路が、内部排気経路20Dbよりも内部吸気経路20Daに近い場合に比べて、シリンダボディ油経路41A1を流れる潤滑油LOが、内部排気経路20Dbから熱を受け易い。そのため、エンジンユニット11の暖機運転時に、潤滑油LOがシリンダボディ油経路41A1を流れる間に、潤滑油LOの温度がより上昇し易くなる。そのため、エンジンユニット11の暖機運転時に、ピストンクーラー45、コネクティングロッド23の環状端部23a、および右のクランク軸受20Bbに供給される潤滑油LOの温度をより素早く上昇させることが可能である。また、エンジンユニット11内の潤滑油LO全体の温度もより素早く上昇させることが可能である。そのため、エンジンユニット11の燃費がより向上する。
図3に示すように、互いに別体であるクランクケース20Bとシリンダボディ20Cとの間にシール部材20aが設けられている。シール部材20aによって、シリンダボディ20Cからクランクケース20Bへの熱の移動が抑制される。そのため、オイルポンプ43からピストンクーラー45、コネクティングロッド23の環状端部23a、および右のクランク軸受20Bbまで潤滑油LOが流れる経路がクランクケース20Bの内部だけに形成された場合は、潤滑油LOがオイルポンプ43からピストンクーラー45、コネクティングロッド23の環状端部23a、および右のクランク軸受20Bbまで流れる間に潤滑油LOの温度が上昇し難い。
しかし、具体例1のオイルポンプ43からピストンクーラー45、コネクティングロッド23の環状端部23a、および右のクランク軸受20Bbまで潤滑油LOが流れる経路は、シリンダボディ20Cの内部に形成されるシリンダボディ油経路41A1を含む。そのため、クランクケース20Bとシリンダボディ20Cとの間にシール部材20aがあるにも拘わらず、潤滑油LOがオイルポンプ43からピストンクーラー45、コネクティングロッド23の環状端部23a、および右のクランク軸受20Bbまで流れる間に潤滑油LOの温度を素早く上昇させることが可能である。そのため、エンジンユニット11の暖機運転時に、ピストンクーラー45、コネクティングロッド23の環状端部23a、および右のクランク軸受20Bbに供給される潤滑油LOの温度をより素早く上昇させることが可能である。また、エンジンユニット11内の潤滑油LO全体の温度もより素早く上昇させることが可能である。クランクケース20Bとシリンダボディ20Cとの間にシール部材20aが配置されている場合、燃費向上のためには、シリンダボディ油経路41A1を設けることが特に有効である。
図4に示すように、シリンダボティ20Cのクランクケース接合面20Cbと、冷却液経路51のシリンダ軸線20Xと平行な方向におけるシリンダ下方向Daの端である端51cと、の間に中間経路41A-4が位置する。そのため、冷却液経路51の端51cと中間経路41A-4との間の距離が短くなる。そのため、例えば、エンジンユニット11が暖機運転を行った後に中間経路41A-4内の潤滑油LOの温度が、冷却液経路51内の冷却液の温度より高くなった場合に、中間経路41A-4内の潤滑油LOの熱が冷却液経路51内の冷却液に移動し易い。そのため、潤滑油経路40A1にある潤滑油LOが過剰に高温になり難い。そのため、エンジンユニット11の燃費が向上する。
<実施形態の具体例2>
次に、上述した本発明の実施形態の具体例2について図9および図10を用いて説明する。以下の説明において、上述した本発明の実施形態の具体例1と同じ部位についての説明は省略する。本発明の実施形態の具体例2は、上述した本発明の実施形態に包含される。具体例2の潤滑ユニット40Bは、具体例1の潤滑ユニット40Aと異なる。
具体例2のエンジンユニット11の潤滑ユニット40Bは、潤滑油経路40B1、オイルポンプ43、およびピストンクーラー45を有する。以下の潤滑ユニット40Bの説明において、上流とは、潤滑油LOの流れ方向の上流を意味する。下流とは、潤滑油LOの流れ方向の下流を意味する。
潤滑油経路40B1は、第1上昇経路41B-1、連絡経路41B-2、右部下降経路41B-3、クランクシャフト内部経路41B-4、直線経路41B-5、第2上昇経路41B-6、戻り経路41B-7、直線経路41B-8、中間経路41B-9、直線経路41B-10、および左部下降経路41B-11を有する。
第1上昇経路41B-1は、クランクケース20Bの内部に形成されている。第1上昇経路41B-1の上流端はオイルポンプ43に接続されている。第1上昇経路41B-1の潤滑油LOの流れ方向の中間部は、連絡経路41B-2の上流端に接続されている。連絡経路41B-2は、クランクケース20Bの内部に形成されている。連絡経路41B-2の下流端はピストンクーラー45に接続されている。連絡経路41B-2の潤滑油LOの流れ方向の中間部は、右部下降経路41B-3の上流端に接続されている。右部下降経路41B-3、クランクシャフト内部経路41B-4、直線経路41B-5、第2上昇経路41B-6、および戻り経路41B-7の構造は、具体例1の右部下降経路41A-7、クランクシャフト内部経路41A-8、直線経路41A-9、第2上昇経路41A-10、および戻り経路41A-11の構造と、それぞれ同一である。さらに、潤滑油LOの流れ方向もそれぞれ同一である。なお、本明細書において、2つの経路の構造が同じであるとは、形状、位置、寸法が同じであることを意味する。
第1上昇経路41B-1の下流端は、直線経路41B-8のシリンダ下方向Daの端部に接続されている。直線経路41B-8には、中間経路41B-9の上流端が接続されている。中間経路41B-9の下流端は、直線経路41B-10に接続されている。直線経路41B-8、中間経路41B-9、および直線経路41B-10の構造は、具体例1の直線経路41A-5、中間経路41A-4、および直線経路41A-2の構造と、それぞれである。しかし、潤滑油LOの流れ方向はそれぞれ逆方向である。直線経路41B-10のシリンダ下方向Daの端部は、左部下降経路41B-11の上流端に接続されている。左部下降経路41B-11はクランクケース20Bの内部に形成されている。左部下降経路41B-11の下流端は、左のクランク軸受20Bbに接続されている。
直線経路41B-8の一部、中間経路41B-9、および直線経路41B-10の一部は、シリンダボディ油経路41B1を構成する。シリンダボディ油経路41B1は、具体例1のシリンダボディ油経路41A1と同じ構造である。シリンダボディ油経路41B1の潤滑油LOの流れ方向は、具体例1のシリンダボディ油経路41A1の潤滑油LOの流れ方向と反対である。
具体例2のエンジンユニット11の動作は、具体例1とほぼ同一である。具体例2のエンジンユニット11の潤滑油LOの流れは、具体例1のエンジンユニット11の潤滑油LOの流れと異なる。以下、具体例2の潤滑油LOの流れについて説明する。
オイルポンプ43によって圧送された潤滑油LOは、第1上昇経路41B-1に流入する。第1上昇経路41B-1に流入した潤滑油LOの一部は、連絡経路41B-2に流入する。連絡経路41B-2に流入した潤滑油LOの一部は、ピストンクーラー45に供給される。潤滑油LOは、ピストンクーラー45から噴射された後、オイルパン20Aに戻る
連絡経路41B-2に流入した潤滑油LOの残部は、右部下降経路41B-3に流入する。右部下降経路41B-3に流入した潤滑油LOの一部は、右のクランク軸受20Bbに供給される。右のクランク軸受20Bbに供給された潤滑油LOの一部は、クランクシャフト内部経路41B-4に流入する。右のクランク軸受20Bbに供給された潤滑油LOの一部は、右のクランク軸受20Bbを潤滑した後、クランクシャフト内部経路41B-4に流入せずに、オイルパン20Aに戻る。潤滑油LOは、クランクシャフト内部経路41B-4からコネクティングロッド23の環状端部23aに供給される。コネクティングロッド23の環状端部23aを潤滑した後の潤滑油LOは、オイルパン20Aに戻る。
右部下降経路41B-3に流入した潤滑油LOの残部は、直線経路41B-5に流入する。潤滑油LOは、直線経路41B-5から第2上昇経路41B-6に流入する。第2上昇経路41B-6から流出した潤滑油LOは、バルブ駆動機構30、吸気バルブ25、および排気バルブ26を潤滑した後、戻り経路41B-7を通ってオイルパン20Aに戻る。
第1上昇経路41B-1に流入した潤滑油LOの残部は、直線経路41B-8に流入する。潤滑油LOは、直線経路41B-8、中間経路41B-9、直線経路41B-10、および左部下降経路41B-11を順に通過した後、左のクランク軸受20Bbに供給される。左のクランク軸受20Bbを潤滑した後の潤滑油LOは、オイルパン20Aに戻る。
このように、具体例2では、シリンダボディ油経路41B1を通過した後の潤滑油LOは、オイルパン20Aに戻る前に、左のクランク軸受20Bbに供給される。つまり、潤滑油LOはシリンダボディ20Cから熱を受けた後に、左のクランク軸受20Bbに供給される。そのため、潤滑油LOがクランクケース20Bに設けられたオイルポンプ43によって圧送された潤滑油LOが、シリンダボディ20Cを通らずに左のクランク軸受20Bbに供給される場合に比べて、エンジンユニット11の暖機運転時に左のクランク軸受20Bbに供給される潤滑油LOの温度が高くなる。そのため、クランクシャフト21と左のクランク軸受20Bbとの間の摩擦損失が小さくなる。そのため、エンジンユニット11の暖機運転時の燃費が向上する。
具体例2は、具体例1と同様の構成に関して、上述した具体例1と同様の効果を奏する。但し、具体例1では、エンジンユニット11の暖機運転時に、ピストンクーラー45、コネクティングロッド23の環状端部23a、および右のクランク軸受20Bbに供給される潤滑油LOの温度をより素早く上昇させるという効果が得られたのに対して、具体例2では、エンジンユニット11の暖機運転時に、左のクランク軸受20Bbに供給される潤滑油LOの温度をより素早く上昇させるという効果が得られる。
<実施形態の具体例3>
次に、上述した本発明の実施形態の具体例3について図11~図15を用いて説明する。以下の説明において、上述した本発明の実施形態の具体例1と同じ部位についての説明は省略する。本発明の実施形態の具体例3は、上述した本発明の実施形態に包含される。具体例3の潤滑ユニット40Cは、具体例1の潤滑ユニット40Aと異なる。
具体例3のエンジンユニット11の潤滑ユニット40Cは、潤滑油経路40C1、オイルポンプ43、およびピストンクーラー45を有する。以下の潤滑ユニット40Cの説明において、上流とは、潤滑油LOの流れ方向の上流を意味する。下流とは、潤滑油LOの流れ方向の下流を意味する。
潤滑油経路40C1は、第1上昇経路41C-1、直線経路41C-2、左部下降経路41C-3、中間経路41C-4、直線経路41C-5、連絡経路41C-6、右部下降経路41C-7、クランクシャフト内部経路41C-8、第2上昇経路41C-10、および戻り経路41C-11を有する。
第1上昇経路41C-1、直線経路41C-2、左部下降経路41C-3、中間経路41C-4、クランクシャフト内部経路41C-8、および戻り経路41C-11の構造は、具体例1の第1上昇経路41A-1、直線経路41A-2、左部下降経路41A-3、中間経路41A-4、クランクシャフト内部経路41A-8、および戻り経路41A-11の構造と、それぞれ同一である。さらに、潤滑油LOの流れ方向もそれぞれ同一である。
直線経路41C-5のシリンダ下方向Daの端は、シリンダボディ20Cのシリンダ下方向Daの端面に位置する。直線経路41C-5のシリンダ上方向Uaの端の近傍部は、第2上昇経路41A-10に接続されている。シリンダ軸線20Xと平行な方向に見て、直線経路41C-5の位置は、具体例1の直線経路41A-5の位置と同じである。直線経路41C-5のシリンダ軸線20Xの方向の寸法は、具体例1の直線経路41A-5より長い。
連絡経路41C-6の上流端は、直線経路41C-5の下流端に接続されている。連絡経路41C-6の下流端はピストンクーラー45に接続されている。連絡経路41C-6の流れ方向の中間部は、右部下降経路41C-7の上流端に接続されている。右部下降経路41C-7の構造および潤滑油LOの流れ方向は、具体例1の右部下降経路41A-7の構造および潤滑油LOの流れ方向と同一である。右部下降経路41C-7は、直線経路41A-2、41C-5以外の直線経路に接続されていない。
直線経路41C-2の一部、中間経路41C-4、および直線経路41C-5の一部は、シリンダボディ油経路41C1を構成する。シリンダボディ油経路41C1は、具体例1のシリンダボディ油経路41A1と同じ構造である。シリンダボディ油経路41C1の潤滑油LOの流れ方向は、具体例1のシリンダボディ油経路41A1の潤滑油LOの流れ方向と同じである。
直線経路41C-5の一部と、第2上昇経路41C-10とによって、動弁潤滑経路41C2が構成される。動弁潤滑経路41C2は、シリンダボディ油経路41C1から分岐している。直線経路41C-5の中間経路41C-4との接続部よりシリンダ上方向Uaに位置する部位が、動弁潤滑経路41C2に含まれる。直線経路41C-5の中間経路41C-4との接続部および接続部よりシリンダ下方向Daに位置する部位が、本発明の直線経路に相当する。動弁潤滑経路41C2の一部は、シリンダボディ20Cの内部およびシリンダヘッド20Dの内部に形成される。動弁潤滑経路41C2の別の一部は、ヘッドカバー20Eの内部に形成される。動弁潤滑経路41C2は、バルブ駆動機構30、吸気バルブ25、および排気バルブ26に潤滑油LOを供給する。バルブ駆動機構30が本発明の動弁部品に相当する。
図11~図14に示すように、第2上昇経路41C-10は、第1経路41C-10a、第2経路41C-10b、第3経路41C-10c、および第4経路41C-10dを有する。
図11および図12に示すように、第1経路41C-10aの上流端は直線経路41C-5に接続されている。第1経路41C-10aは、シリンダヘッド20Dの内部に形成される。さらに、図12に示すように、シリンダ軸線20Xを中心とする径方向にエンジン本体20を見たときに、第1経路41C-10aは直線経路41C-5に対して直交する。さらに図13に示すように、シリンダ軸線20Xと平行な方向にエンジン本体20を見たときに、第1経路41C-10aの中心を通る軸線はクランクシャフト21の回転中心軸線21Xに対して傾斜する。第1経路41C-10aの中心を通る軸線は無限直線である。図14に示すように、第2経路41C-10bのシリンダ上方向Uaの端は、シリンダヘッド20Dのヘッドカバー接合面20Dcよりシリンダ下方向Daに位置する。第2経路41C-10bのシリンダ下方向Daの端は、燃焼室24のシリンダ上方向Uaの端よりシリンダ上方向Uaに位置する。
図11および図13に示すように、第2経路41C-10bの上流端は第1経路41C-10aの下流端に接続されている。第2経路41C-10bは、シリンダヘッド20Dの内部に形成される。シリンダ軸線20Xと平行な方向にエンジン本体20を見たときに、第2経路41C-10bは、クランクシャフト21の回転中心軸線21Xに直交する方向に沿う。
図11、図12、および図14に示すように、第3経路41C-10cの上流端は第2経路41C-10bの下流端に接続されている。第3経路41C-10cは、シリンダヘッド20Dの内部とヘッドカバー20Eの内部に形成される。第3経路41C-10cはシリンダ軸線20Xに沿う。
図11~図14に示すように、第4経路41C-10dの上流端は第3経路41C-10cの下流端に接続されている。第4経路41C-10dは、ヘッドカバー20Eの内部に形成される。シリンダ軸線20Xと平行な方向にエンジン本体20を見たときに、第4経路41C-10dはクランクシャフト21の回転中心軸線21Xに沿う。
図11、13に示すように、動弁潤滑経路41C2の一部である第2経路41C-10bは、内部排気経路20Dbの近傍を通る。内部排気経路20Dbの径をL5(図13参照)と定義する。さらに、第2経路41C-10bと内部排気経路20Dbとの間の最短距離をL6(図13参照)と定義する。この場合、第2経路41C-10bが内部排気経路20Dbの近傍を通るとは、距離L6が径L5より短いことを意味する。第2経路41C-10bが、本発明の熱交換経路に相当する。
上述のように、直線経路41C-5の中間経路41C-4との接続部よりシリンダ上方向Uaに位置する部位が、動弁潤滑経路41C2に含まれる。そして図11、13に示すように、直線経路41C-5の中間経路41C-4との接続部よりシリンダ上方向Uaに位置する部位(以下、直線経路41C-5の上部41C-5a)は、内部排気経路20Dbの近傍を通る。ここで、直線経路41C-5の上部41C-5aと内部排気経路20Dbとの間の最短距離をL7(図12および図13参照)と定義する。この場合、直線経路41C-5の上部41C-5aが内部排気経路20Dbの近傍を通るとは、距離L7が径L5より短いことを意味する。直線経路41C-5の上部41C-5aが、本発明の熱交換経路に相当する。
具体例3のエンジンユニット11の動作は、具体例1とほぼ同一である。具体例3のエンジンユニット11の潤滑油LOの流れは、具体例1のエンジンユニット11の潤滑油LOの流れと異なる。以下、具体例1の潤滑油LOの流れとは異なる具体例3の潤滑油LOの流れについて説明する。
潤滑油LOは、直線経路41C-5から第2上昇経路41C-10に流入する。第2上昇経路41C-10の第4経路41C-10dの下流端から流出した潤滑油LOは、バルブ駆動機構30、吸気バルブ25、および排気バルブ26に供給されてこれらを潤滑する。その後、潤滑油LOは、戻り経路41C-11を通ってオイルパン20Aに戻る。
具体例3では、具体例1と同様に、シリンダボディ油経路41C1を通過した後の潤滑油LOは、オイルパン20Aに戻る前に、ピストンクーラー45、コネクティングロッド23の環状端部23a、および右のクランク軸受20Bbに供給される。
具体例3は、具体例1と同様の構成に関して、上述した具体例1と同様の効果を奏する。
動弁潤滑経路41C2の一部である第2経路(熱交換経路)41C-10bおよび直線経路41C-5の上部41C-5a(熱交換経路)は、内部排気経路20Dbの近傍を通る。そのため、第2経路41C-10bを流れる潤滑油LOは、内部排気経路20Dbから熱を受け易い。そのため、エンジンユニット11の暖機運転時に、エンジンユニット11内の潤滑油LOの温度を素早く上昇させることが可能である。そのため、エンジンユニット11の燃費が向上する。
<実施形態の具体例4>
次に、上述した本発明の実施形態の具体例4について図16~図18を用いて説明する。以下の説明において、上述した本発明の実施形態の具体例1と同じ部位についての説明は省略する。本発明の実施形態の具体例4は、上述した本発明の実施形態に包含される。具体例4の潤滑ユニット40Dは、具体例1の潤滑ユニット40Aと異なる。
具体例4のエンジンユニット11の潤滑ユニット40Dは、潤滑油経路40D1、オイルポンプ43、およびピストンクーラー45を有する。以下の潤滑ユニット40Dの説明において、上流とは、潤滑油LOの流れ方向の上流を意味する。下流とは、潤滑油LOの流れ方向の下流を意味する。
潤滑油経路40D1は、第1上昇経路41D-1、直線経路41D-2、第1連絡経路41D-3、直線経路41D-4、左部下降経路41D-5、中間経路41D-6、第2連絡経路41D-7、第3連絡経路41D-8、直線経路41D-9、右部下降経路41D-10、クランクシャフト内部経路41D-11、直線経路41D-12、第2上昇経路41D-13、および戻り経路41D-14を有する。
第1上昇経路41D-1の一部は、クランクケース20Bの内部に形成されている。第1上昇経路41D-1の上流端はオイルポンプ43に接続されている。第1上昇経路41D-1の下流端は、直線経路41D-2に接続されている。直線経路41D-2の構造および潤滑油LOの流れ方向は、具体例1の直線経路41A-2の構造および潤滑油LOの流れ方向と同一である。直線経路41D-2の潤滑油LOの流れ方向の中間部は、第1連絡経路41D-3の上流端、および、中間経路41D-6の上流端に接続されている。第1連絡経路41D-3および中間経路41D-6は、シリンダボディ20Cの内部に形成される。
第1連絡経路41D-3の下流端は、直線経路41D-4の上流端に接続されている。直線経路41D-4はシリンダボディ20Cの内部に形成されている。直線経路41D-4はシリンダ軸線20Xに沿った直線状である。より詳細には、直線経路41D-4はシリンダ軸線20Xに平行な直線状である。直線経路41D-4のシリンダ上方向Uaの端部は閉塞されている。直線経路41D-4にボルトは挿入されていない。直線経路41D-4の下流端は、左部下降経路41D-5の上流端に接続されている。左部下降経路41D-5はクランクケース20Bの内部に形成されている。左部下降経路41D-5の下流端は、左のクランク軸受20Bbに接続されている。
図16に示すように、中間経路41D-6はクランクシャフト21の回転中心軸線21Xに沿っている。より詳細には、中間経路41D-6はクランクシャフト21の回転中心軸線21Xと平行である。中間経路41D-6の構造および潤滑油LOの流れ方向は、具体例1の中間経路41A-4の構造および潤滑油LOの流れ方向と同一である。中間経路41D-6の下流端は、第2連絡経路41D-7の上流端に接続されている。第2連絡経路41D-7はシリンダボディ20Cの内部に形成されている。
第2連絡経路41D-7の潤滑油LOの流れ方向の中間部は、第3連絡経路41D-8の上流端が接続されている。第3連絡経路41D-8はシリンダボディ20Cの内部とクランクケース20Bの内部に形成されている。第3連絡経路41D-8におけるシリンダボディ20Cの内部に形成された部分は、シリンダ軸線20Xに沿った直線状である。より詳細には、シリンダ軸線20Xに平行な直線状である。クランクケース20Bの内部に形成された第3連絡経路41D-8の下流端に、ピストンクーラー45が接続されている。
第2連絡経路41D-7の潤滑油LOの流れ方向の中間部は、直線経路41D-9の上流端が接続されている。直線経路41D-9はシリンダボディ20Cの内部に形成されている。直線経路41D-9はシリンダ軸線20Xに沿った直線状である。より詳細には、直線経路41D-9はシリンダ軸線20Xに平行な直線状である。直線経路41D-9にボルトは挿入されていない。
直線経路41D-9の下流端は、右部下降経路41D-10の上流端に接続されている。右部下降経路41D-10はクランクケース20Bの内部に形成されている。右部下降経路41D-10の下流端は、右のクランク軸受20Bbに接続されている。クランクシャフト内部経路41D-11は、具体例1のクランクシャフト内部経路41A-8と構造および潤滑油LOの流れ方向が同じである。
直線経路41D-2の一部、第1連絡経路41D-3、直線経路41D-4、中間経路41D-6、第2連絡経路41D-7、第3連絡経路41D-8の一部、および直線経路41D-9は、シリンダボディ油経路41D1を構成する。シリンダボディ油経路41D1は、シリンダボディ20Cの内部に形成される。シリンダボディ油経路41D1を構成する直線経路41D-2の一部、直線経路41D-4、第3連絡経路41D-8の一部、直線経路41D-9は、それぞれ、本発明の直線経路に相当する。シリンダボディ油経路41D1は、直線経路41D-2におけるシリンダ下方向Daの端と中間経路41D-6に接続された部位との間の部分を含む。シリンダボディ油経路41D1は、第3連絡経路41D-8におけるシリンダ下方向Daの端と第2連絡経路41D-7に接続された部位との間の部分を含む。シリンダボディ油経路41D1の3つの下流端は、シリンダボディ20Cのシリンダ下方向Daの端にある。図18に示すように、シリンダボディ油経路41D1は、シリンダボア20Caの径方向外側に位置する。つまり、シリンダ軸線20Xと平行な方向の位置が、シリンダボア20Caの少なくとも一部とシリンダボディ油経路41D1とが同じである。シリンダボディ油経路41D1のシリンダ上方向Uaの端は、冷却液経路51のシリンダ下方向Daの端51cよりシリンダ下方向Daに位置する。シリンダボディ油経路41D1のシリンダ上方向Uaの端は、中間経路41D-6および第2連絡経路41D-7のシリンダ上方向Uaの端である。
図16に示すように、シリンダボディ油経路41D1と内部吸気経路20Daとの間の最短距離をLi4と定義する。さらに、シリンダボディ油経路41A1と内部排気経路20Dbとの間の最短距離をLe4と定義する。図18に示すように、シリンダボディ20Cをシリンダ軸線20Xと平行な方向に見たときに、シリンダボディ油経路41D1と内部排気経路20Dbが重なる。一方、シリンダボディ20Cをシリンダ軸線20Xと平行な方向に見たときに、シリンダボディ油経路41D1と内部吸気経路20Daは重ならない。従って、図16に示すように、距離Le4は距離Li4より短い。つまり、シリンダボディ油経路41D1は、内部吸気経路20Daよりも内部排気経路20Dbに近い。
図16に示すように、直線経路41D-2のうちシリンダボディ油経路41D1を構成する部分と内部排気経路20Dbとの間の最短距離はLe5である。直線経路41D-2と内部吸気経路20Daとの間の最短距離はLi5である。距離Le5は距離Li5より短い。即ち、直線経路41D-2のうちシリンダボディ油経路41D1を構成する部分は、内部吸気経路20Daよりも内部排気経路20Dbに近い。
第2連絡経路41D-7の下流端は、直線経路41D-12の潤滑油LOの流れ方向の中間部に接続されている。直線経路41D-12、第2上昇経路41D-13、および戻り経路41D-14の構造は、具体例1の直線経路41A-9、第2上昇経路41A-10、および戻り経路41A-11の構造とそれぞれ同一である。さらに潤滑油LOの流れ方向もそれぞれ同一である。
具体例4のエンジンユニット11の動作は、具体例1とほぼ同一である。具体例4のエンジンユニット11の潤滑油LOの流れは、具体例1のエンジンユニット11の潤滑油LOの流れと異なる。以下、具体例1の潤滑油LOの流れとは異なる具体例4の潤滑油LOの流れについて説明する。
直線経路41D-2に流入した潤滑油LOの一部は、第1連絡経路41D-3に流入する。潤滑油LOは、第1連絡経路41D-3、直線経路41D-4、左部下降経路41D-5を順に通過した後、左のクランク軸受20Bbに供給される。直線経路41D-2に流入した潤滑油LOの残部は、中間経路41D-6に流入する。
潤滑油LOは、中間経路41D-6から第2連絡経路41D-7に流入する。第2連絡経路41D-7に流入した潤滑油LOの一部は、第3連絡経路41D-8を通過した後、ピストンクーラー45に供給される。
第2連絡経路41D-7に流入した潤滑油LOの別の一部は、直線経路41D-9に流入する。直線経路41D-9に流入した潤滑油LOは、右部下降経路41D-10を通過した後、右のクランク軸受20Bbに供給される。
第2連絡経路41D-7に流入した潤滑油LOの残部は、直線経路41D-12に流入する。潤滑油LOは、直線経路41D-12から第2上昇経路41D-13に流入する。第2上昇経路41D-13から流出した潤滑油LOは、吸気バルブ25、排気バルブ26、およびバルブ駆動機構30を潤滑した後、戻り経路41D-14を通ってオイルパン20Aに戻る。
このように、具体例4では、具体例1、3と同様に、シリンダボディ油経路41D1を通過した後の潤滑油LOは、オイルパン20Aに戻る前に、ピストンクーラー45、コネクティングロッド23の環状端部23a、および左右のクランク軸受20Bb、20Bbに供給される。
具体例4は、具体例1と同様の構成に関して、上述した具体例1と同様の効果を奏する。
シリンダボディ油経路41A1と内部排気経路20Dbとの間の最短距離Le4が、シリンダボディ油経路41D1と内部吸気経路20Daとの間の最短距離Li4より短い。さらに、直線経路41D-2のうちシリンダボディ油経路41D1を構成する部分と内部排気経路20Dbとの間の最短距離Le5は、直線経路41D-2のうちシリンダボディ油経路41D1を構成する部分と内部吸気経路20Daとの間の最短距離Li5より短い。そのため、エンジンユニット11の暖機運転時に、潤滑油LOがシリンダボディ油経路41D1を流れる間に、潤滑油LOの温度がより上昇し易くなる。そのため、エンジンユニット11の暖機運転時に、ピストンクーラー45、コネクティングロッド23の環状端部23a、および右のクランク軸受20Bbに供給される潤滑油LOの温度をより素早く上昇させることが可能である。また、エンジンユニット11内の潤滑油LO全体の温度もより素早く上昇させることが可能である。そのため、エンジンユニット11の燃費がより向上する。
<実施形態の具体例5>
次に、上述した本発明の実施形態の具体例5について図19を用いて説明する。以下の説明において、上述した本発明の実施形態の具体例1と同じ部位についての説明は省略する。本発明の実施形態の具体例5は、上述した本発明の実施形態に包含される。具体例5のシリンダボディ20Ccは、具体例1のシリンダボディ20Cと異なる。
具体例5のエンジン本体20は、オイルパン20A、クランクケース20B、シリンダボディ20Cc、シリンダヘッド20D、およびヘッドカバー20Eを有する。これらはこの順で連結されている。なお、図19では、オイルパン20A、シリンダヘッド20D、およびヘッドカバー20Eの図示は省略されている。クランクシャフト21の左部は、左の分割ケース20Baのクランク軸受20Bb(図示せず)に回転可能に支持されている。クランクシャフト21の右部は、右の分割ケース20Baのクランク軸受20Bb(図示せず)に回転可能に支持されている。左の分割ケース20Baの右端面と右の分割ケース20Baの左端面は接触している。
具体例5のシリンダボディ20Ccには1つのシリンダボア20Caが形成されている。シリンダボディ20Ccの下端部にはシリンダボア構成部20C4が設けられている。シリンダボア構成部20C4はシリンダ軸線20Xを中心とする円筒形状である。シリンダボア構成部20C4の内周面がシリンダボア20Caの下端部である。シリンダボア構成部20C4の下端面20C5はシリンダ軸線20Xに対して直交している。シリンダボア20Caのシリンダ下方向Daの端である下端面20C5が、シリンダボディ20Ccのシリンダ下方向Daの端である。
クランクケース20Bは、シリンダボディ20Ccのクランクケース接合面20Cbに接続される。クランクケース接合面20Cbは、シリンダボディ20Ccのシリンダ下方向Daの端よりシリンダ上方向Uaに位置する。クランクケース20Bのシリンダ上方向Uaの端面が、クランクケース接合面20Cbに接続される。
図19に示すように、シリンダボディ油経路41A1がシリンダボディ20Ccの内部に形成されている。シリンダボディ油経路41A1の下流端(直線経路41A-5のシリンダ下方向Daの端)は、シリンダボディ20Ccのシリンダ下方向Daの端である下端面20C5よりシリンダ上方向Uaに位置する。
<実施形態の具体例6>
次に、上述した本発明の実施形態の具体例6について図20~図22を用いて説明する。以下の説明において、上述した本発明の実施形態の具体例1と同じ部位についての説明は省略する。本発明の実施形態の具体例6は、上述した本発明の実施形態に包含される。具体例6は、シリンダボディおよびクランクケースの構成が具体例1と異なる。さらに、具体例6は、エンジンユニットの気筒数が具体例1と異なる。
具体例6のエンジンユニット68は、多気筒エンジンである。具体例6のエンジン本体69は、ヘッドカバー(図示せず)、シリンダヘッド70A、第1ブロック70B、第2ブロック70C、およびオイルパン70Dを有する。これらはこの順で連結されている。
第1ブロック70Bは、シリンダボディ70B1およびクランクケース上部70B2を有する一体成形品である。第2ブロック70Cは、クランクケース下部70C1を構成する。クランクケース上部70B2とクランクケース下部70C1が、本発明のクランクケースを構成する。第1ブロック70Bが金属製の場合は、例えば鋳造により第1ブロック70Bを製造可能である。
図21および図22に示すように、シリンダボディ70B1には、複数のシリンダボア70B3が形成されている。なお、具体例6のシリンダボディ70B1には3つのシリンダボア70B3が形成されているが、シリンダボア20Caの数は複数であればいくつであってもよい。シリンダボディ70B1を各シリンダボア70B3が各シリンダ軸線20Xの方向に貫通している。各シリンダボア70B3のシリンダ軸線20Xは互いに平行である。複数のシリンダボア70B3は、クランクシャフト71の回転中心軸線71Xと平行な方向に並んでいる。クランクシャフト21の回転中心軸線71Xは、左右方向と平行である。クランクシャフト71は、シリンダボア70B3と同数のクランクピン部71aを有する。
各シリンダボア70B3のシリンダ下方向Daの端は、シリンダボディ70B1のシリンダ下方向Daの端である。各シリンダボア70B3の内部にはピストン22がそれぞれ設けられている。図20に示すように、下死点に位置するピストン22のシリンダ下方向Daの端22cを通りかつシリンダ軸線20Xに直交する平面をPLPaとする。下死点に位置するピストン22の最もシリンダ下方向Daの端に位置するピストンリング22bを通りシリンダ軸線20Xに直交する平面(第1平面)をPLPbとする。シリンダボディ70B1のシリンダ下方向Daの端は、平面PLPbよりもシリンダ下方向Daに位置する。シリンダボディ70B1のシリンダ下方向Daの端は、平面PLPaよりシリンダ下方向Daで、かつ、平面PLPbよりシリンダ上方向Uaに位置する。なお、シリンダボディ70B1のシリンダ下方向Daの端は、平面PLPb内にあってもよい。シリンダボディ70B1のシリンダ下方向Daの端は、平面PLPaよりシリンダ下方向Daに位置してもよい。
各ピストン22には、コネクティングロッド23が回転可能に接続されている。各コネクティングロッド23の環状端部23aを、各クランクピン部71aが相対回転可能に貫通している。
第1ブロック70Bのシリンダ下方向Daの端面70B5は、シリンダ軸線20Xに対して直交する。クランクケース上部70B2の下端部には、シリンダボア70B3の総数より1つ多い数の分割軸受70B6が設けられている。
シリンダボディ70B1の内部には、シリンダボア70B3と同数の第1冷却液経路51aが形成されている。各第1冷却液経路51aは、シリンダボア70B3の径方向外側に位置する。各第1冷却液経路51aは、シリンダボア70B3を全周にわたって取り囲むように形成されている。各第1冷却液経路51aのシリンダ下方向Daの端は、シリンダボディ70B1のシリンダ下方向Daの端よりシリンダ上方向Uaに位置する。第1冷却液経路51aのシリンダ下方向Daの端は塞がれている。第1冷却液経路51aのシリンダ上方向Uaの端は、シリンダボディ70B1のシリンダ上方向Uaの端面70B7において開放されている。
シリンダボディ70B1と第1ブロック70Bとの間には、ヘッドガスケット(図示せず)が設けられている。上記ヘッドガスケットには、シリンダ軸線20Xに見て第1冷却液経路51aのシリンダ上方向Uaの端と重なる貫通孔が形成されている。
シリンダボディ70B1は、複数のボルト72(図1に1つだけ表示)によって、第1ブロック70Bに固定されている。各ボルト72は、両端にねじ溝を有するスタッドボルトであってもよく、一端にねじ溝を有し、他端にボルト頭部を有するボルトであってもよい。
図21に示すように、シリンダボディ70B1には、複数のねじ孔70B8が形成されている。複数のボルト72の端部は、複数のねじ孔70B8にそれぞれ固定される。図22に示すように、シリンダヘッド70Aには、複数のボルト72が貫通する複数のボルト貫通孔70A1が形成されている。各ボルト貫通孔70A1は、シリンダ軸線20Xに沿う。より詳細には、各ボルト貫通孔70A1の中心軸はシリンダ軸線20Xと平行である。各ボルト貫通孔70A1は、シリンダヘッド70Aを貫通している。上記ヘッドガスケットには、複数のボルト72がそれぞれ貫通する複数のボルト貫通孔(図示せず)が形成されている。
シリンダヘッド70Aの内部には、第1冷却液経路51aと同数の第2冷却液経路51b(図20~図22では図示せず)が形成されている。シリンダヘッド70Aの内部には、各第2冷却液経路51b同士を連通させる連通路(図示せず)が形成されている。シリンダヘッド70Aの内部には、流入経路52および排出経路53が形成されている(図20~図22では図示せず)。流入経路52は、最も左に位置する第2冷却液経路51bに接続されている。排出経路53は、最も右に位置する第2冷却液経路51bに接続されている。流入経路52は、具体例1と同様に、第1送液チューブ56に接続される。排出経路53は、具体例1と同様に、第2送液チューブ57に接続される。なお、図20~図22では、冷却液ポンプ54、第1送液チューブ56、第2送液チューブ57、およびラジエータ55は省略されている。
第2ブロック70Cは一体成形品である。第2ブロック70Cのシリンダ上方向Uaの端面70C3は、シリンダ軸線20Xに対して直交する。第2ブロック70Cの上端部には、分割軸受70B6と同数の分割軸受70C4が設けられている。
第1ブロック70Bの端面70B5と第2ブロック70Cの端面70C3とを接触させた状態で、第2ブロック70Cは第1ブロック70Bに固定される。各クランクシャフト71の右部は、分割軸受70B6と分割軸受70C4とによって回転可能に支持される。各クランクシャフト71の左部は、分割軸受70B6と分割軸受70C4とによって回転可能に支持される。分割軸受70B6および分割軸受70C4を合わせたものが、本発明のクランク軸受に相当する。
具体例6のエンジンユニット68の潤滑ユニット75Aは、潤滑油経路75A1、オイルポンプ43、およびピストンクーラー45を有する。以下の潤滑ユニット75Aの説明において、上流とは、潤滑油LOの流れ方向の上流を意味する。下流とは、潤滑油LOの流れ方向の下流を意味する。
潤滑油経路75A1は、第1上昇経路75A-1、直線経路75A-2、左部下降経路75A-3、連絡通路75A-3a、中間経路75A-4、連絡通路75A-4a、直線経路、連絡経路75A-6、下降経路75A-7、クランクシャフト内部経路(図示せず)、直線経路41A-9、第2上昇経路75A-10、および戻り経路75A-11を有する。
第1上昇経路75A-1、直線経路75A-2、左部下降経路75A-3、直線経路75A-5、連絡経路75A-6、下降経路75A-7、クランクシャフト内部経路、直線経路75A-9、第2上昇経路75A-10、および戻り経路75A-11は、具体例1の第1上昇経路41A-1、直線経路41A-2、左部下降経路41A-3、中間経路41A-4、直線経路41A-5、連絡経路41A-6、右部下降経路41A-7、クランクシャフト内部経路41A-8、直線経路41A-9、第2上昇経路75A-10、および戻り経路41A-11にそれぞれ対応する。但し、第1上昇経路75A-1、直線経路75A-2、左部下降経路75A-3、直線経路75A-5、連絡経路75A-6、下降経路75A-7、クランクシャフト内部経路、直線経路75A-9、第2上昇経路75A-10、および戻り経路75A-11の構造は、具体例1の第1上昇経路41A-1、直線経路41A-2、左部下降経路41A-3、中間経路41A-4、直線経路41A-5、連絡経路41A-6、右部下降経路41A-7、クランクシャフト内部経路41A-8、直線経路41A-9、第2上昇経路75A-10、および戻り経路41A-11の構造とはそれぞれ異なる。
第1上昇経路75A-1は、第2ブロック70Cの内部および第1ブロック70Bのクランクケース上部70B2の内部に形成されている。第1上昇経路75A-1の上流端は、第2ブロック70Cに設けられたオイルポンプ43に接続されている。オイルポンプ43はクランクシャフト71の回転力を受けて作動する。
左部下降経路75A-3は、第1ブロック70Bのクランクケース上部70B2の内部に形成されている。左部下降経路75A-3は、シリンダ軸線20Xと平行な直線状である。左部下降経路75A-3の流れ方向の中間部は、第1上昇経路75A-1の流れ方向の下流端に接続されている。左部下降経路75A-3のシリンダ上方向Uaの端部は、直線経路75A-2の上流端に接続されている。左部下降経路75A-3のシリンダ下方向Daの端部が、最も左の分割軸受70B6に接続されている。
直線経路75A-2は、第1ブロック70Bのシリンダボディ70B1の内部に形成されている。直線経路75A-2のシリンダ下方向Daの端は、シリンダボディ70B1のシリンダ下方向Daの端にある。直線経路75A-2は、シリンダ軸線20Xに沿った直線状である。より詳細には、直線経路75A-2は、シリンダ軸線20Xと平行な直線状である。具体例6では、直線経路75A-2は、左部下降経路75A-3より後方に位置しかつ最も左のねじ孔70B8と、シリンダ軸線20Xと平行な方向に並ぶ。
図21に示すように、第1ブロック70Bのシリンダボディ70B1の内部に連絡通路75A-3aが形成されている。シリンダ軸線20Xの方向に見たときに、連絡通路75A-3aは前後方向に沿う。直線経路75A-2のシリンダ下方向Daの端部に、連絡通路75A-3aの後端部が接続されている。左部下降経路75A-3のシリンダ上方向Uaの端部に、連絡通路75A-3aの前端部が接続されている。
第1ブロック70Bのシリンダボディ70B1の内部には、中間経路75A-4が形成されている。図21および図22に示すように、中間経路75A-4は回転中心軸線71Xに沿った直線状である。より詳細には、中間経路75A-4は回転中心軸線71Xと平行な直線状である。さらにシリンダ軸線20Xに見たときに、3つの第1冷却液経路51aの一部と中間経路75A-4とが互いに重なる。直線経路75A-2のシリンダ上方向Uaの端部が、中間経路75A-4の左端部に接続されている。
図22に示すように、第1ブロック70Bのシリンダボディ70B1の内部には、シリンダボア70B3と同数の直線経路75A-5が形成されている。直線経路75A-5は、シリンダ軸線20Xに沿った直線状である。より詳細には、直線経路75A-5は、シリンダ軸線20Xと平行な直線状である。各直線経路75A-5の上流端が、中間経路75A-4の3つの部位にそれぞれ接続されている。各直線経路75A-5のシリンダ下方向Daの端は、シリンダボディ70B1のシリンダ下方向Daの端である。最も左に位置する直線経路75A-5とは異なる複数の直線経路75A-5は、左部下降経路75A-3より後方に位置しかつ最も左に位置するねじ孔70B8とは異なる複数のねじ孔70B8と、それぞれシリンダ軸線20Xと平行な方向に並ぶ。
図21に示すように、第1ブロック70Bのシリンダボディ70B1の内部には、シリンダボア70B3と同数の連絡通路75A-4aが形成されている。シリンダ軸線20Xと平行な方向に見たときに、各連絡通路75A-4aは前後方向に沿う。各連絡通路75A-4aの後端部が、直線経路75A-5のシリンダ下方向Daの端部にそれぞれ接続されている。
第1ブロック70Bのクランクケース上部70B2の内部には、直線経路75A-5と同数の連絡経路75A-6が形成されている。図22に示すように、各連絡経路75A-6はシリンダ軸線20Xに沿った直線状である。各連絡経路75A-6のシリンダ上方向Uaの端部は、各連絡通路75A-4aのシリンダ下方向Daの端部に接続されている。第1ブロック70Bのクランクケース上部70B2にはピストンクーラー45が設けられている。各連絡経路75A-6の下流端は、ピストンクーラー45に接続されている。
第1ブロック70Bのクランクケース上部70B2の内部には、連絡経路75A-6と同数の下降経路75A-7が形成されている。図22に示すように、各下降経路75A-7はシリンダ軸線20Xと平行な直線状である。各下降経路75A-7の上流端は、各連絡経路75A-6の流れ方向の中間部に接続されている。各下降経路75A-7の下流端は、最も左の分割軸受70B6以外の複数の分割軸受70B6に接続されている。
クランクシャフト71の内部にはクランクシャフト内部経路(図示せず)が形成されている。クランクシャフト内部経路の上流端は、クランクシャフト71の右端部において開口する右開口端である。この右開口端は、最も右の分割軸受70B6に接続されている。クランクシャフト内部経路の下流端は、各クランクピン部71aにおいて開口する中間開口部である。各中間開口部は、対応するコネクティングロッド23の環状端部23aと向かい合っている。
第1ブロック70Bのシリンダボディ70B1の内部およびクランクケース上部70B2の内部には、直線経路75A-9が形成されている。図22に示すように、直線経路75A-9はシリンダ軸線20Xと平行な直線状である。直線経路75A-9の上流端は、最も右に位置する連絡経路75A-6に接続されている。直線経路75A-9のシリンダ上方向Uaの端は、第1ブロック70Bの端面70B7にある。
直線経路75A-9の下流端は、第2上昇経路75A-10の上流端に接続されている。第2上昇経路75A-10はシリンダヘッド70Aの内部およびヘッドカバーの内部に形成されている。第2上昇経路75A-10の下流端は、バルブ駆動機構30、複数の吸気バルブ25、および複数の排気バルブ26を介して、戻り経路75A-11に接続されている。図20~図22では、バルブ駆動機構30、複数の吸気バルブ25、および複数の排気バルブ26の図示は省略している。具体例4のバルブ駆動機構30は、複数の吸気バルブ25および複数の排気バルブ26を駆動する。
具体例6では、直線経路75A-2、中間経路75A-4、および各直線経路75A-5が、シリンダボディ油経路75A2を構成する。シリンダボディ油経路75A2は、第1ブロック70Bのシリンダボディ70B1の内部に形成される。シリンダボディ油経路75A2を構成する直線経路75A-2および直線経路75A-5は、それぞれ、本発明の直線経路に相当する。直線経路75A-2および直線経路75A-5は、ボルトを挿入するための孔ではない。シリンダボディ油経路75A2は、複数の下流端を有する。シリンダボディ油経路75A2の複数の下流端は、シリンダボディ70B1のシリンダ下方向Daの端にある。図21に示すように、シリンダボディ油経路75A2は、各シリンダボア70B3の径方向外側に位置する。つまり、図20に示すように、シリンダ軸線20Xと平行な方向の位置が、シリンダボア70B3の少なくとも一部とシリンダボディ油経路75A2とが同じである。
図20に示すように、シリンダボディ油経路75A2のシリンダ上方向Uaの端は、冷却液経路51のシリンダ下方向Daの端51cを通りシリンダ軸線20Xに直交する平面PLP(第2平面)よりシリンダ下方向Daに位置する。なお、シリンダボディ油経路75A2のシリンダ上方向Uaの端が、平面PLP内にあってもよい。シリンダボディ油経路75A2のシリンダ上方向Uaの端は、中間経路75A-4のシリンダ上方向Uaの端である。
さらに図20に示すように、下死点に位置するピストン22のシリンダ下方向Daの端22cを通りかつシリンダ軸線20Xに直交する平面PLPaと第1冷却液経路51aのシリンダ下方向Daの端51cとの間に、シリンダボディ油経路75A2の一部である中間経路75A-4が位置する。中間経路75A-4は、平面PLPaよりシリンダ上方向Uaに位置する。
以下、具体例6のエンジンユニット68の潤滑油LOの流れについて説明する。
オイルポンプ43によって圧送された潤滑油LOは、第1上昇経路75A-1を通って左部下降経路75A-3に流入する。左部下降経路75A-3に流入した潤滑油LOの一部は、最も左の分割軸受70B6および分割軸受70C4に供給される。左部下降経路75A-3に流入した潤滑油LOの別の一部は、連絡通路75A-3a、直線経路75A-2、中間経路75A-4、複数の直線経路75A-5、および複数の連絡通路75A-4aを順に通過した後、複数の連絡経路75A-6に流入する。
各連絡経路75A-6に流入した潤滑油LOの一部は、ピストンクーラー45に供給される。潤滑油LOは、各ピストンクーラー45から噴射された後、オイルパン70Dに戻る。各連絡経路75A-6に流入した潤滑油LOの別の一部は、複数の右部下降経路75A-7に流入する。複数の右部下降経路75A-7に流入した潤滑油LOは、最も左の分割軸受70B6以外の複数の分割軸受70B6および最も左の分割軸受70C4以外の複数の分割軸受70C4に供給される。複数の分割軸受70B6および複数の分割軸受70C4に供給された潤滑油LOの一部は、複数の分割軸受70B6および複数の分割軸受70C4を潤滑した後、オイルパン70Dに戻る。最も右の分割軸受70B6および分割軸受70C4に供給された潤滑油LOの一部は、クランクシャフト内部経路に流入する。潤滑油LOは、クランクシャフト内部経路から複数のコネクティングロッド23の環状端部23aに供給される。各コネクティングロッド23の環状端部23aを潤滑した後の潤滑油LOは、オイルパン70Dに戻る。
最も右に位置する連絡経路75A-6に流入した潤滑油LOの一部は、直線経路75A-9に流入する。潤滑油LOは、直線経路75A-9から第2上昇経路75A-10に流入する。第2上昇経路75A-10から流出した潤滑油LOは、バルブ駆動機構30、複数の吸気バルブ25、および複数の排気バルブ26に供給されてこれらを潤滑する。その後、潤滑油LOは、重力によって戻り経路75A-11を流れてオイルパン20Aに戻る。
具体例6では、加圧状態の潤滑油LOはクランクケース上部70B2からシリンダボディ油経路75A2に流入する。シリンダヘッド70Aに流入した加圧状態の潤滑油LOはシリンダヘッド70Aを通らずにシリンダボディ油経路75A2からクランククケース上部70B2に流出する。シリンダボディ油経路75A2を通過してクランクケース上部70B2に流入した後の潤滑油LOは、オイルパン70Dに戻る前に、複数のピストンクーラー45、複数のコネクティングロッド23の環状端部23a、および最も左の分割軸受70B6、70C4以外の複数の分割軸受70B6、70C4に供給される。
具体例6は、具体例1と同様の構成に関して、上述した具体例1と同様の効果を奏する。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施形態およびその具体例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。以下、本発明の実施形態の変更例について説明する。
本発明のオイルポンプが、マグネット駆動式ポンプ装置であってもよい。マグネット駆動式ポンプ装置は、例えば、ポンプ本体に永久磁石が設けられる。この永久磁石は、例えば、回転可能な磁性材料製のポンプシャフトに磁力を及ぼす。例えば、永久磁石がポンプ本体のインペラに固定され、かつ、ポンプシャフトがカムシャフトに接続される場合を想定する。この場合は、カムシャフトが回転すると、永久磁石が発生する磁力によって、インペラがカムシャフトと一緒に回転する。
本発明のオイルポンプは、電動モータによって作動する電動式ポンプであってもよい。
本発明のオイルポンプは、エンジン本体の外部に配置されていてもよい。但し、本発明のオイルポンプは、クランクケースに設けられる。
本発明のエンジンユニットが、シリンダボディに設けられたピストンクーラーを備えてもよい。この場合、シリンダボディ油経路から分岐した経路が、シリンダボディに設けられたピストンクーラーに接続されてもよい。
本発明のエンジンユニットは、複数のピストンクーラーを有していてもよい。複数のピストンクーラーは全てクランクケースに設けられてもよい。複数のピストンクーラーは全てシリンダボディに設けられてもよい。複数のピストンクーラーは、クランクケースに設けられたピストンクーラーと、シリンダボディに設けられたピストンクーラーの両方を含んでいてもよい。
本発明の動弁潤滑経路は、内部排気経路の近傍を通る熱交換経路を有さなくてよい。
本発明のシリンダボディ油経路は、クランクシャフトの回転中心軸線と平行な部分を含まなくてもよい。本発明のシリンダボディ油経路は、クランクシャフトの回転中心軸線に沿った部分を含まなくてもよい。
本発明のシリンダボディ油経路は、シリンダボアに沿った円弧状に形成された部分を含んでもよい。
本発明のシリンダボディ油経路のシリンダ上方向の端は、冷却液経路のシリンダ下方向の端を通りシリンダ軸線に直交する平面内にあってもよく、この平面よりシリンダ下方向に位置してもよい。
本発明のシリンダボディ油経路が、ボルト貫通孔とボルトとの間の隙間で構成された複数の直線経路を含む場合、複数の直線経路は、以下の第1条件を満たす直線経路と、以下の第2条件を満たす直線経路の両方を含んでいてもよい。第1条件とは、直線経路と内部吸気経路との間の最短距離が直線経路と内部排気経路との最短距離より短いことである。第2条件とは、直線経路と内部吸気経路との間の最短距離が直線経路と内部排気経路との最短距離と同じかそれより長いことである。本発明のシリンダボディ油経路が、ボルト貫通孔とボルトとの間の隙間で構成された少なくとも1つの直線経路を含む場合、全ての直線経路が上述の第2条件を満たしてもよい。
本発明のシリンダボディ油経路は、ボルト貫通孔とボルトとの間の隙間で構成された直線経路を含まなくてもよい。
本発明のシリンダボディ油経路は、シリンダ軸線に平行な直線状に形成された直線経路を含まなくてもよい。
ボルト貫通孔の内周面とボルトの外周面との間の環状の隙間によって構成された直線経路のシリンダ下方向の端部は、クランクケースの内部に形成されてもよい。
具体例6の直線経路75A-2および直線経路75A-5の少なくとも一方が、ボルト貫通孔とボルトとの間の隙間で構成された直線経路であってもよい。
本発明のシリンダボディ油経路は、以下の条件を満たしてもよい。シリンダボディ油経路と内部排気経路との間の最短距離は、シリンダボディ油経路と内部吸気経路との間の最短距離と同じかそれより長い。
本発明のシリンダボディ油経路の下流端の数は1つであってもよく、複数であってもよい。
本発明のシリンダボディ油経路の下流端は、シリンダボディのシリンダ下方向の端面に形成されるとは限らない。本発明のシリンダボディ油経路の下流端は、シリンダボディの外周面に形成されてもよい。
本発明の冷却液経路がシリンダボディの内部とシリンダヘッドの内部に形成されている場合、冷却液経路のシリンダ上方向の端は、燃焼室のシリンダ上方向の端を通りかつシリンダ軸線に直交する平面内にあってもよく、この平面よりシリンダ下方向に位置してもよい。
本発明の冷却液経路は、シリンダボディにのみ形成されてもよい。
本発明のシリンダボアのシリンダ下方向の端は、シリンダボディのシリンダ下方向の端になくてもよい。本発明のシリンダボアのシリンダ下方向の端は、シリンダボディのシリンダ下方向の端よりシリンダ上方向に位置していてもよい。
本発明のエンジンユニットは、シリンダヘッドに接続されるヘッドカバーを有してもよく、有さなくてもよい。エンジンユニットがヘッドカバーを有さない場合、シリンダヘッドのシリンダ上方向の端は開放されない。
本発明のエンジンユニットが車両に搭載される場合、クランクシャフトの回転中心軸線は、車両左右方向に限らない。例えば、クランクシャフトの回転中心軸線が、車両前後方向と平行であってもよい。
本発明のエンジンユニットが車両に搭載される場合、シリンダボアの中心軸線であるシリンダ軸線は、上記具体例の方向に限定されない。エンジンユニットを車両の左右方向に見たときに、シリンダ軸線は車両上下方向と平行であってもよい。エンジンユニットを車両の左右方向に見たときに、シリンダ軸線の上下方向に対する傾斜角度は、45°より大きく90°以下であってもよい。
本発明のエンジンユニットのシリンダボディおよびシリンダヘッドの少なくとも一方は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であってもよい。
本発明のエンジンユニットが具体例6とは異なる多気筒エンジンユニットであってもよい。本発明のエンジンユニットは、V型エンジンであってもよい。本発明のエンジンユニットは、例えば、V型2気筒エンジンであってもよく、4気筒以上のV型エンジンであってもよい。本発明のエンジンユニットが4気筒以上のV型エンジンである場合、エンジンユニットは、互いに平行に配置されたシリンダ軸線を有する2つ以上の気筒を含んでもよい。
本発明のエンジンユニットが、1つの燃焼室に対して複数の吸気口を有していてもよい。本発明のエンジンユニットが、1つの燃焼室に対して複数の排気口を有していてもよい。
本発明のエンジンユニットが多気筒エンジンユニットの場合、または、本発明のエンジンユニットが1つの燃焼室に対して複数の吸気口を有する場合、エンジンユニットは、複数の吸気口にそれぞれ接続される複数の内部吸気経路を有してもよい。
本発明のエンジンユニットが多気筒エンジンユニットの場合、または、本発明のエンジンユニットが1つの燃焼室に対して複数の吸気口を有する場合、内部吸気経路は、複数の吸気口にそれぞれ接続される複数の分岐内部吸気経路と、複数の分岐内部吸気経路の上流端に接続される1つの集合内部吸気経路とを有してもよい。
本発明のエンジンユニットが多気筒エンジンユニットの場合、または、本発明のエンジンユニットが1つの燃焼室に対して複数の排気口を有する場合、エンジンユニットは、複数の排気口にそれぞれ接続される複数の内部排気経路を有してもよい。
本発明のエンジンユニットが多気筒エンジンユニットの場合、または、本発明のエンジンユニットが1つの燃焼室に対して複数の排気口を有する場合、内部吸気経路は、複数の排気口にそれぞれ接続される複数の独立内部排気経路と、複数の独立内部排気経路の下流端に接続される1つの集合内部吸気経路とを有してもよい。
本発明のエンジンユニットが直噴式エンジンユニットであってもよい。直噴式エンジンユニットとは、燃焼室内で燃料が噴射されるタイプのエンジンユニットである。本発明のエンジンユニットが2ストロークエンジンユニットであってもよい。本発明のエンジンユニットがディーゼル式エンジンユニットであってもよい。本発明のエンジンユニットは、過給機を備えた過給エンジンであってもよい。過給機は、燃焼室に供給される空気を圧縮する装置である。過給機は、機械式過給機であってもよく、排気タービン式過給機(いわゆるターボチャージャ)であってもよい。
本発明のエンジンユニットが搭載される車両は、自動二輪車に限らない。本発明は、自動二輪車以外の鞍乗型車両に搭載されてもよい。鞍乗型車両とは、乗員が鞍にまたがるような状態で乗車する車両全般を指す。本発明のエンジンユニットが搭載される鞍乗型車両には、例えば、自動二輪車、三輪車、四輪バギー(ATV:All Terrain Vehicle(全地形型車両))、水上バイク、スノーモービル等が含まれる。自動二輪車としては、例えば、スクータ型、オフロード型、モペット型等がある。本発明のエンジンユニットは、鞍乗型車両以外の車両に搭載されてもよい。例えば、本発明のエンジンユニットは、鞍乗型車両ではない四輪車両(自動車)または船舶に搭載されてもよい。本発明が適用される車両は、駆動源としてエンジンユニットおよび電動モータを有するハイブリッド車両であってもよい。また、本発明のエンジンユニットは車両以外の装置に搭載されてもよい。