JP7384055B2 - 車両の後部車体構造 - Google Patents

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Description

この発明は、例えばサスペンションダンパの後方に正面視略環状の環状構造を構成する車両の車体構造に関する。
例えば、特許文献1には、車両の後方に、車幅方向に延びるリアエンドクロスと、左右一対のガセット部材と、左右一対のダンパ支持部を有するリアホイールハウスの上部厚肉構成部と、左右一対のホイールハウスレインフォースメントと、車幅方向に延びるフロア後側クロスメンバとで、車体正面視及び車体平面視において略環状となる車幅方向略環状車体骨格が構成された車両の車体構造が開示されている。このような複数の部材を環状に連結させた環状構造を車両後方に設けることにより、車両後方における剛性を向上させることができる。
ところで、車両後方に設けられる荷室の容量を確保して利便性を向上させるような車両では、リアダンパ支持部とリフトゲート開口との間の前後方向の距離が離れた構造となる。
この場合、特許文献1のように車両の後方に車幅方向略環状車体骨格を設けたとしても、サスペンションから入力される荷重は上下方向が主であるため、車重やリアオーバーハングの条件によっては、リアダンパ支持部やサスペンション取付部に入力された上下方向荷重が、車両の後端部分において上下方向に大きな変位となり、リフトゲート開口にゆがみ変形が生じるおそれがある。
特開2019-151287号公報
この発明は、上述の問題に鑑み、リフトゲート開口のゆがみ変形を抑制することができる車両の車体構造を提供することを目的とする。
この発明は、車両後方において、車両前後方向に延びる左右一対のリアサイドフレームと、前記リアサイドフレームを車幅方向に沿って連結するクロスメンバと、リフトゲート開口の上方で車幅方向に延びるリアヘッダとを備えた車両の車体構造であって、前記クロスメンバと略同じ車両前後方向の位置で、前記リアサイドフレームの下面に配設された左右一対のサスペンション取付部と、前記クロスメンバよりも車両後方に配設され、サスペンションダンパの上端が取り付けられるダンパトップを上端に有する左右一対のリアホイールハウスと、前記クロスメンバ近傍と、前記ダンパトップ前方近傍とを車両上下方向に沿って連結する左右一対のサイドブレースと、前記ダンパトップ後方近傍と前記リアヘッダの車幅方向の両端部近傍とをそれぞれ連結する左右一対の連結部材とを備え、前記クロスメンバと、左右一対の前記サイドブレースと、左右一対の前記連結部材と、前記リアヘッダとで正面視略環状の環状構造が構成されたことを特徴とする。
この発明により、リフトゲート開口のゆがみ変形を抑制することができる。
詳述すると、左右一対のダンパトップ近傍とリアヘッダの車幅方向の両端部近傍とを左右一対の連結部材でそれぞれ連結することで、クロスメンバと、左右一対のサイドブレースと、左右一対の連結部材と、リアヘッダとで正面視略環状の環状構造を形成することができる。
この環状構造を構成するクロスメンバは、サスペンション取付部と略同じ車両前後方向の位置に配置されており、また連結部材がダンパトップ近傍に連結されるため、サスペンション取付部及びダンパトップに入力される上下方向荷重をこの環状構造で受けることができる。
すなわち、正面視略環状の環状構造がサスペンション取付部及びダンパトップに入力される上下方向荷重を軸力としてリアヘッダの近傍に伝達できるため、サスペンション取付部及びダンパトップの変位を抑えることができる。したがって、リフトゲート開口のゆがみ変形を抑制することができる。
この発明の態様として、前記連結部材は、前記サイドブレースに略平行に沿って延伸していてもよい。
この発明により、サスペンション取付部やダンパトップから入力される上下方向荷重の伝達方向を、サイドブレースを介して連結部材へと連続して伝達することができ、より効率的に上下方向荷重を伝達することができる。したがって、入力された上下方向荷重をリアヘッダの近傍に軸力としてより効率よく伝達することができる。
またこの発明の態様として、前記リアホイールハウスは、上方に向けて突出する円弧状のホイールハウス上面と、前記車幅方向の内側に形成されるホイールハウス内面とが交わる稜線部が設けられ、前記連結部材は、前記稜線部に連結されていてもよい。
この発明により、剛性がリアホイールダンパの他の箇所と比べて比較的高い稜線部分に連結部材を連結できるため、サスペンション取付部やダンパトップから入力される上下方向荷重を連続してリアヘッダへと伝達することができる。これにより、リフトゲート開口のゆがみ変形をより抑制することができる。
またこの発明の態様として、前記リアヘッダから下方に延びるとともに、前記リフトゲート開口を構成するリアピラーを備え、前記連結部材には、前記ダンパトップに固定されるダンパトップ側端部から前記リアヘッダに固定されるリアヘッダ側端部まで、前記車幅方向に向いた平面部が備えられ、前記平面部は、前記車幅方向に向いた前記リアピラーの一面及び前記ダンパトップ近傍の一面に固定されていてもよい。
上述の車幅方向に向いたとは、平面部と直交する垂線方向に対して車幅方向が一致する場合のみならず、車幅方向が垂直方向に対して45度より小さい角度で交差する方向でもよい。
この発明により、平面部が捩れや湾曲することなく車幅方向を向いた状態で、ダンパトップ近傍とリアピラーとを連結することができる。このため、連結部は、路面からリアサスダンパを介して入力される上下方向荷重を軸力としてリアヘッダの近傍により効率的よく伝達することができる。
またこの発明の態様として、前記連結部材は、長手方向に沿って延びるビード部が設けられてもよい。
前記ビート部は、基端側から先端側へ向けて一本のビード部が連結部材の長手方向に沿って設けてあってもよいし、複数のビード部が連結部材の長手方向に沿って連続して配置されてもよい。
この発明により、前記連結部材の質量を増加させることなく連結部材の剛性を向上させることができるため、路面からリアサスダンパを介して入力される上下方向荷重を連結部材で確実に伝達することができる。したがって、リフトゲート開口のゆがみ変形をより確実に抑制することができる。
またこの発明の態様として、前記リアヘッダから下方に延びるとともに、前記リフトゲート開口を構成するリアピラーを備え、前記連結部材が連結された前記ダンパトップの近傍と前記リアピラーとを連結するガセット部材が備えられてもよい。
この発明により、より確実に剛性を向上させることができるとともに、ダンパトップから入力される上下方向荷重を、連結部材とガセット部材とに分散することができる。これにより、リフトゲート開口のゆがみ変形をより確実に抑制することができる。
この発明により、リフトゲート開口のゆがみ変形を抑制することができる車両の車体構造を提供することができる。
本実施形態の車両の後部の車体構造の前方から視た斜視図。 本実施形態の車両の後部の平面断面図。 本実施形態の車両の後部の車体構造の要部を示す内側からの側面図。 ガセット部材の正面図。 図4中のB-B矢視端面図。 連結部材の正面図。 図6中のC-C矢視端面図。 連結部材の取付けの説明図。 環状車体骨格を説明する説明図。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
本実施形態の車両1は、搭乗員が乗降する車室の車両後方に荷室が設けられるとともに、荷室の車両後方がバックドア(リフトゲートともいう)により開閉可能に覆われた、所謂ハッチバック型の車両である。このような車両1の車体構造について、図1から図9を用いて説明する。
図1は後部車両を前方から視た斜視図を示し、図2は高さ方向の略中央部分において切断した後部車両を上方から視た平面断面図を示し、図3は図2中のA-A矢視断面図であって、後部車体を内側から視た側面図を示す。
図4はガセット部材51を車幅方向の内側から視た正面図を示し、図5は図4中のB-B矢視断面図を示し、図6は連結部材52を車幅方向の内側から視た正面図を示し、図7は図6中のC-C矢視断面図を示し、図8は連結部材の取付けの説明図を示し、図9は連結部材52が形成する環状車体骨格Fを説明するため後部車両の前方から視た斜視図を示している。
なお、本実施形態の車両1の後部の車体構造は、左右対称であるため、図2、図3,図8では車体右側のみを図示している。
図中において、矢印Fr及びRrは前後方向を示しており、矢印Frは前方を示し、矢印Rrは後方を示している。また、矢印Rh及びLhは幅方向を示しており、矢印Rhは右方向を示し、矢印Lhは左方向を示している。
さらに、矢印INは車幅方向内側を示し、矢印OUTは車幅方向外側を示している。
本実施形態の車両1は、図1に示すように、車幅方向に所定間隔を隔てた位置で車両前後方向に延びる左右一対のサイドシル11と、サイドシル11の後端に連結された車両後方に延びる左右一対のリアサイドフレーム12と、左右一対のサイドシル11、及び左右一対のリアサイドフレーム12の間で車両1の床面を構成するフロアパネル13と、左右一対のリアサイドフレーム12を車幅方向に連結する第1フロアクロスメンバ14とを備えている。
また、車両1は、図1及び図3に示すように、左右一対のサイドシル11よりも車両上方において、車幅方向に所定間隔を隔てた位置で車両前後方向に延びる左右一対のルーフサイドレール21と、左右一対のルーフサイドレール21を車幅方向に連結するルーフパネル22、ルーフレインフォースメント(図示省略)、及びリアヘッダ23と、ルーフサイドレール21の後端から車両後方下方へ延びる左右一対のリアピラー24とを備えている。
さらに車両1は、図1に示すように、左右一対のリアピラー24を車幅方向に連結するとともに、荷室の後壁をなすリアエンド31と、車両1の側壁をなす左右一対のリアサイドパネル32と、サイドシル11の後部、及びルーフサイドレール21を連結する左右一対のサイドピラー33と、リアエンド31よりも車両前方で、車両1の後輪(図示省略)を覆う左右一対のホイールハウスインナ34とを備えている。
このリアヘッダ23、左右一対のリアピラー24、及びリアエンド31で囲われた開口を、バックドアが開閉自在に覆うバックドア開口S1とする。また、サイドシル11、ルーフサイドレール21、サイドピラー33、及び車両1の前方においてサイドシル11とルーフサイドレール21とを連結するヒンジピラー(図示省略)で囲われた開口を、搭乗員が乗降するとともに、サイドドアが開閉自在に覆うサイドドア開口S2とする。
左右一対のサイドシル11は、図1に示すように、車両下部の車体骨格をなす部材であって、後端が第1フロアクロスメンバ14よりも車両前方に位置し、前端が車室の前端に位置する車両前後方向の長さを有する形状に形成されている。
なお、サイドシル11は、車幅方向内側に位置するサイドシルインナ(図示省略)と、車幅方向外側に位置するサイドシルアウタ(図示省略)とを、車幅方向に接合し、車両前後方向に延びる閉断面を形成している。
左右一対のリアサイドフレーム12は、図1に示すように、車両下部の車体骨格をなす部材であって、第1フロアクロスメンバ14を介して前端がサイドシル11の後端に接合され、後端がリアエンド31に接合されている。
なお、リアサイドフレーム12は、車両下方に位置し、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が車両下方へ突出した断面略ハット状のサイドフレームロア(図示省略)と、車両上方に位置し、断面略板状のサイドフレームアッパ(図示省略)とで構成されている。そして、サイドフレームロアとサイドフレームアッパとを車両上下方向に接合することで、リアサイドフレーム12は車両前後方向に延びる閉断面を形成している。
フロアパネル13は、図1乃至図3に示すように、左右一対のサイドシル11、及び左右一対のリアサイドフレーム12の間において、車両1の床面をなすパネル部材である。
第1フロアクロスメンバ14は、図1乃至図3に示すように、左右一対のリアサイドフレーム12の前端近傍、及び後述する左右一対のホイールハウスインナ34の前端下部を車幅方向に連結するとともに、フロアパネル13とで車幅方向に延びる車体骨格を構成している。
この第1フロアクロスメンバ14は、図1に示すように、フロアパネル13に接合されるクロスメンバ14aと、クロスメンバ14aにおける車幅方向の両端から車両上方後方へ延びる左右一対のサイドブレース14bとで構成されている。
クロスメンバ14aは、図3に示すように、車両前後方向に沿った縦断面において、車両上方に突出した断面略ハット形状に形成されている。
サイドブレース14bは、図2に示すように、クロスメンバ14aから連続する断面略ハット状であって、ホイールハウスインナ34に沿うように、クロスメンバ14aから車両上方後方へ延びる形状に形成されている。
また、クロスメンバ14aの車両下方には、図3に示すように、左右一対のリアサイドフレーム12を連結する第2フロアクロスメンバ15が配設されている。この第2フロアクロスメンバ15は、図3に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、車両下方へ突出した断面略ハット状に形成されている。そして、第2フロアクロスメンバ15は、フロアパネル13を挟んで第1フロアクロスメンバ14に接合されることで、車幅方向に延びる閉断面を形成している。
この第1フロアクロスメンバ14及び第2フロアクロスメンバ15の下方には、図3に示すように、トーションビーム式のリアサスペンション17が設けられている。
具体的には、リアサスペンション17は、図3に示すように、車幅方向に所定間隔を隔てて、車両前後方向に延びる閉断面部材である左右一対のトレーリングアーム17aと、トレーリングアーム17aの前部を車幅方向に連結するクロスビーム17bと、コイルスプリングCが載置される左右一対のスプリングシート17cとで構成され、車両1の底部(サイドピラー33の下面)に懸架されている。
そして、このリアサスペンション17は、図3に示すように、クロスメンバ14aを介して前方にトレーリングアーム17aが設けられ、後方にコイルスプリングCを取り付けるスプリングシート17cが設けられている。つまり、リアサスペンション17は、クロスメンバ14aと略同じ車両前後方向の位置に配置されている。
このように構成されたリアサスペンション17は、サイドピラー33の下面に連結されたトレーリングアーム17aの後方に車輪上方側で上下方向に延びるサスペンションダンパ18が連結されており、サスペンションダンパ18とコイルスプリングCによって、路面からの衝撃を緩衝するように構成されている。
なお、図3において、ホイールハウスインナ34に隠れて見えないサスペンションダンパ18の上端部分は、破線で示している。
左右一対のルーフサイドレール21は、詳細な図示を省略するが、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向外側に突出した断面形状のルーフサイドレールアウタと、ルーフサイドレールアウタに対して車幅方向内側に位置するとともに、車幅方向内側に突出した断面形状のルーフサイドレールインナとを接合することで、車両前後方向に延びる閉断面を形成している。
そして、ルーフサイドレール21は、ルーフサイドレールアウタとルーフサイドレールインナとで車両前後方向に延びる閉断面を形成することで、車両前後方向に延びる車体骨格を構成している。
リアヘッダ23は、図1に示すように、ルーフサイドレール21とリアピラー24との接合箇所近傍を車幅方向に連結している。
具体的には、リアヘッダ23は、図3に示すように、車両前後方向に沿った縦断面において、車両上方に突出した縦断面形状のリアヘッダアッパ(図示省略)と、リアヘッダアッパに対して車両下方に位置するとともに、車両下方に突出した縦断面形状のリアヘッダロア23aとを接合することで、車幅方向に延びる閉断面を形成している。
そして、リアヘッダ23は、リアヘッダアッパとリアヘッダロア23aとで車両前後方向に延びる閉断面を形成することで、車両前後方向に延びる車体骨格を構成している。
左右一対のリアピラー24は、車両前後方向に延びるルーフサイドレール21と連結している。すなわち、ルーフサイドレール21を介して車幅方向に延びるリアヘッダ23に連結している。
具体的には、図3に示すように、ルーフサイドレール21の後端部から後方斜め下側に向かって延びたリアピラー上部24aと、リアピラー上部24aの後方斜め下側に向かって延びたリアピラー下部24bとで構成されている。
このリアピラー上部24aの車幅方向内側を向いた面には、後述する連結部材52と締結するための締結部24cが設けられている(図8(a)参照)。この締結部24cは、リアピラー上部24aとルーフサイドレール21との連結部分の上方近傍であって、リアピラー上部24aの前端部分からリアヘッダ23に向けて湾曲する角部25の近傍に設けられている。
このリアピラー24は、リアピラー上部24aとリアピラー下部24bを接合することで、ルーフサイドレール21の閉断面に連続するように、ルーフサイドレール21の後端から車両後方下方へ延びる閉断面を形成している。
また、リアエンド31は、図1及び図2に示すように、荷室の後壁となるパネル部材であるリアエンドパネル35と、リアエンドパネル35の前面に接合されたリアエンドクロスメンバ36とで構成されている。
リアエンドパネル35は、図3に示すように、車両前後方向に厚みを有するパネル部材であって、フロアパネル13の後端に対して立設するように配設されている。
リアエンドクロスメンバ36は、図3に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における縦断面形状が、車両前方に突出した断面略ハット状であって、車幅方向の両端が左右一対のリアピラー24に接合され、後面がリアエンドパネル35に接合されることで、リアピラー24の閉断面と連続するように車幅方向に延びる閉断面を形成している。
このように構成されているリアエンド31は、リアエンドパネル35とリアエンドクロスメンバ36とで、左右一対のリアピラー24における閉断面と連続して車幅方向に延びる閉断面を形成することで、車幅方向に延びる車体骨格を構成している。
左右一対のリアサイドパネル32は、図1及び図3に示すように、サイドシル11、リアサイドフレーム12、ルーフサイドレール21、リアピラー24、リアエンド31、ホイールハウスインナ34、及びサイドピラー33で囲われた部分を覆うパネル部材である。
なお、サイドドア開口S2の後端縁であるリアサイドパネル32の前端縁は、側面視において下端に対して上端が略同じ車両前後方向位置に位置する形状に形成されている。
また、このリアサイドパネル32は、図3に示すように、ホイールハウスインナ34が接合されるサイドパネル下部37と、サイドパネル下部37の上端に接合されたサイドパネル上部38とで構成されている。
サイドパネル下部37は、荷室の側壁をなすとともに、後述するホイールハウスインナ34とで後輪を覆うリアホイールハウス39を形成している。
具体的には、サイドパネル下部37は、図1及び図2に示すように、車幅方向に厚みを有するパネル部材であって、車幅方向外側へ膨出した部分であるホイールハウスアウタ部分37aを有する。
サイドパネル上部38には、図1及び図3に示すように、側面視略三角形状に開口した開口部S3が開口形成されている。この開口部S3は、ウインドウガラス(図示省略)が装着される開口として開口形成されている。
また、左右一対のサイドピラー33は、図1乃至図3に示すように、サイドドア開口S2の後端縁であるリアサイドパネル32の前端縁に沿って、サイドシル11の後部と、ルーフサイドレール21とを車両上下方向に連結している。
より詳しくは、サイドピラー33は、図1及び図2に示すように、車幅方向に沿った水平断面における水平断面形状が、車幅方向外側に突出した断面略ハット状であって、下端がサイドシル11に接合され、上端がルーフサイドレール21に接合される。また、サイドピラー33は車幅方向内側の面がリアサイドパネル32における車幅方向外側の面に接合されている。これにより、サイドピラー33は車両上下方向に延びる閉断面を形成している。
そして、サイドピラー33は、リアサイドパネル32とで車両上下方向に延びる閉断面を形成することで、車両上下方向に延びる車体骨格を構成している。
左右一対のホイールハウスインナ34は、図1乃至図3に示すように、サイドドア開口S2の後端縁よりも車両後方に配設されるとともに、リアサイドパネル32に対して車幅方向内側へ膨出した略ドーム状に形成されている。
具体的には、ホイールハウスインナ34は、図1乃至図3に示すように、上方に向けて突出する円弧状のホイールハウス上面34aと、車幅方向の内側に形成されるホイールハウス内面34bと、ホイールハウス上面34aとホイールハウス内面34bとが交わる部分に稜線部34cとで構成されている。このように構成されたホイールハウスインナ34は、ホイールハウスアウタ部分37aとでリアホイールハウス39を構成している。
ホイールハウス上面34aは、図1乃至図3に示すように、サスペンションダンパ18の上端を支持するリアダンパ支持部34dとして構成されている。つまり、ホイールハウスインナ34は、サスペンションダンパ18を支持するリアサスタワーとして機能している。
より詳しくは、リアダンパ支持部34dは他部材よりも板厚が大きくなるように設定されている。すなわち、リアダンパ支持部34dは周辺部位よりも剛性が高く構成されている。このように高剛性であるリアダンパ支持部34dには、挿通孔に挿通されたサスペンションダンパ18の上端が締結固定されている。すなわち、リアダンパ支持部34dはサスペンションダンパ18の上端を支持している。
このホイールハウスインナ34には、図1乃至図3に示すように、リアピラー24と連結するガセット部材51が接合されるとともに、リアピラー24と連結する連結部材52が締結固定されている。
ガセット部材51は、図4及び図5に示すように、前方から後方に亘って、車両正面視略逆L字状の断面で構成された本体部51aと、本体部51aの取付け状態における前方部分の下端側から車幅方向の内側に突出した車両正面視略逆L字状の断面の突出部51bとで構成された板状の構成部材である。
本体部51aは、ホイールハウスインナ34に固定された状態で、車両後方に向かうに伴い上方に傾斜するように構成されている。この本体部51aの車幅方向を向く面は前後方向に沿って略同じ幅であり、前端部分にはボルト締結可能なボルト孔51cが設けられている。また、本体部51aの後端部分にはリアピラー24と結合される後方接合部51dが、車幅方向を向く面に設けられている。
突出部51bは、ホイールハウス上面34aとホイールハウス内面34bとが交わる部分に構成される稜線部34cの形状に沿うように構成されて、前端側下方には、ホイールハウスインナ34に接合するための前方接合部51eが設けられている。
このように構成されたガセット部材51は、図1乃至図3に示すように、車幅方向内側に膨出するホイールハウスインナ34における稜線部34cに対して車両後方かつ車幅方向内側から被さるようにガセット部材51の前端部が固定され、リアピラー下部24bに対して車両前方かつ車幅方向内側から被さるようにガセット部材51の後端部が固定されている。なお、ガセット部材51は、サスペンションダンパ18の上端が固定されているリアダンパ支持部34dに接合されており、サスペンションダンパ18からの上下方向荷重を後方に伝達することができる。
なお、本実施形態では、ガセット部材51は、サスペンションダンパ18の上端が固定されている箇所に対応しているリアダンパ支持部34dに接合されているが、この場所に限定されない。例えば、サスペンションダンパ18からの上下方向荷重を受け、ガセット部材51に沿って上下方向荷重を伝達することができる範囲であれば、ガセット部材51はリアダンパ支持部34dの近傍のどこに固定してもよい。
連結部材52は、図1乃至図3に示すように、ホイールハウスインナ34におけるリアダンパ支持部34dの車両後方と、リアピラー上部24aの上端とを、サイドブレース14bと略平行となるように車両前後方向に連結している。
詳述すると、図6及び図7に示すように、連結部材52は平面板構造であり、固定状態において、車幅方向を向いた平面で構成された平面部52aと、平面部52aの中央部分において車幅方向の内側に沿って突出するとともに、長手方向に沿って延びるビード部52bとで構成されている。また、平面部52aの四隅には、ボルトで締結可能な締結部52cが設けられている。
換言すると、連結部材52の平面部52aに対して直交する方向は、車幅方向と一致する。
このように構成された連結部材52は、図1、図3、図8(b)に示すように、ホイールハウスインナ34とリアヘッダ23とに溶接固定されたガセット部材51に対して前端が締結固定されるとともに、後端がリアピラー上部24aに締結固定されている。
ガセット部材51と連結部材52の結合について、図8に基づいて詳述する。
上述のようにガセット部材51は、図8(a)に示すように、前方部分が稜線部34cに対して車両後方かつ車幅方向内側から被さるように溶接固定されているとともに、後方部分がリアピラー下部24bに対して車両前方かつ車幅方向内側からから被さるように配置され、後方接合部51dと前方接合部51eとをリアピラー下部24bとホイールハウスインナ34とにそれぞれ溶接固定されている。これにより、ガセット部材51はホイールハウスインナ34とリアピラー下部24bとを連結している。
このようにホイールハウスインナ34とリアピラー下部24bに固定されたガセット部材51のボルト孔51cに対して、図8(b)に示すように、締結部52cを一致させるように連結部材52の前方部分を配置させるとともに、リアピラー上部24aに設けられた締結部24cに連結部材52の後方部分の締結部52cを一致するように連結部材52を配置させ、ホイールハウスインナ34及びリアピラー上部24aに対して連結部材52を締結されている。これにより、連結部材52をホイールハウスインナ34及びリアピラー上部24aに固定されている。
このように、52をホイールハウスインナ34及びリアピラー24と締結固定できる構成とすることで、連結部材52を後付けすることができる。すなわち、連結部材52の車幅方向外側に例えばカースピーカーなどの車載機器を配置したのちに連結部材52を取り付けることができる。
このようにガセット部材51と連結部材52とは、稜線部34cに前端部分が連結されているとともに、後端部分がそれぞれリアピラー下部24bとリアピラー上部24aとに連結されており、ガセット部材51と連結部材52とリアピラー24とで三角形状を構成している。
また、ガセット部材51と連結部材52とが連結するホイールハウスインナ34は、サスペンションダンパ18のサスペンションダンパ18が連結されている部分(すなわち、リアダンパ支持部34d)であるため、ガセット部材51と連結部材52とでサスペンションダンパ18を介してホイールハウスインナ34に入力される上下方向荷重を受け、ガセット部材51及び連結部材52に分散することができる。
さらにまた、上述のように構成された連結部材52は、図9に示すように、リアヘッダ23の近傍であるリアピラー24の上端部分とリアダンパ支持部34d近傍の稜線部34cを連結する。これにより、リアサスペンション17の近傍に設けられたクロスメンバ14aと、クロスメンバ14aの車幅方向端部と連結する左右一対のサイドブレース14bと、車幅方向に沿って設けられたリアヘッダ23と、ホイールハウスインナ34を介してサイドブレース14bとリアヘッダ23の上端部分とを連結する連結部材52とで、正面視略環状の環状車体骨格Fが構成されている。
このように車両1は、車両後方において、車両前後方向に延びる左右一対のサイドピラー33と、サイドピラー33を車幅方向に沿って連結するクロスメンバ14aと、バックドア開口S1の上方で車幅方向に延びるリアヘッダ23とを備えている。また車両1は、クロスメンバ14aと略同じ車両前後方向の位置で、サイドピラー33の下面に配設された左右一対のリアサスペンション17と、クロスメンバ14aよりも車両後方に配設され、サスペンションダンパ18の上端が取り付けられるリアダンパ支持部34dを上端に有する左右一対のホイールハウスインナ34と、クロスメンバ14a近傍と、リアダンパ支持部34d近傍とを車両上下方向に沿って連結する左右一対のサイドブレース14bと、リアダンパ支持部34d近傍とリアヘッダ23の車幅方向の両端部近傍とをそれぞれ連結する左右一対の連結部材52とを備えている。そして、クロスメンバ14aと、左右一対のサイドブレース14bと、左右一対の連結部材52とリアヘッダ23とで正面視略環状の環状車体骨格Fが構成されていることにより、バックドア開口S1のゆがみ変形を抑制することができる車両1の車体構造とすることができる。
詳述すると、左右一対のホイールハウスインナ34の近傍とリアヘッダ23の車幅方向の両端部近傍とを左右一対の連結部材52でそれぞれ連結することで、クロスメンバ14aと、左右一対のサイドブレース14bと、左右一対の連結部材52と、リアヘッダ23とで正面視略環状の環状車体骨格Fを形成することができる。この環状構造を構成するクロスメンバ14aがリアサスペンション17と略同じ車両前後方向の位置に配置されるとともに、サスペンションダンパ18の上端が取り付けられるリアダンパ支持部34dの近傍に連結部材52が連結されるため、リアダンパ支持部34dに入力される上下方向荷重をこの環状車体骨格Fで受けることができる。
すなわち、リアダンパ支持部34dに入力される上下方向荷重を軸力としてリアヘッダ23の近傍に伝達することができ、リアダンパ支持部34dの変位を抑えることができる。これにより、入力された上下方向荷重の伝達によるバックドア開口S1の角部25などがゆがみ変形を抑制し、バックドア開口S1のゆがみ変形を抑制することができる。したがって、搭乗員の乗り心地や操縦安定性を確保することができる。
また、連結部材52は、サイドブレース14bに略平行に沿って延伸しているため、リアサスペンション17やリアダンパ支持部34dから入力される上下方向荷重を、サイドブレース14bを介して連結部材52へと連続して伝達することができ、より効率的に上下方向荷重を伝達することができる。したがって、入力された上下方向荷重をリアヘッダ23の近傍に軸力として効率よく伝達することができる。
さらに、ホイールハウスインナ34は、上方に向けて突出する円弧状のホイールハウス上面34aと、車幅方向の内側に形成されるホイールハウス内面34bとが交わる稜線部34cが設けられ、連結部材52は、稜線部34cに連結されている。これにより、剛性が比較的高い稜線部34cに連結部材52を連結できるため、リアサスペンション17やリアダンパ支持部34dから入力される上下方向荷重を連続してリアヘッダ23へと伝達することができる。
これにより、バックドア開口S1のゆがみ変形をより抑制することができる。
また、連結部材52には、リアダンパ支持部34dに固定されるリアダンパ支持部34d側の端部(車両前方側端部)からリアヘッダ23に固定されるリアヘッダ23側の端部(車両後方側端部)まで、車幅方向に向いた平面部52aが備えられ、平面部52aは、車幅方向に向いたリアピラー24の一面(締結部24c)及びリアダンパ支持部34d近傍の一面に固定されている。これにより、連結部材52は、平面部52aが捩れや湾曲することなく車幅方向を向いた状態で、リアダンパ支持部34d近傍とリアピラー24とを連結することができる。このため、連結部は、路面からリアサスダンパを介して入力される上下方向荷重を軸力としてリアヘッダ23の近傍により効率的よく伝達することができる。
さらにまた、連結部材52は、長手方向に沿って延びるビード部52bが設けられていることにより、連結部材52の質量を増加させることなく連結部材52の剛性を向上させることができるため、路面からリアサスダンパを介して入力される上下方向荷重を連結部材52で確実に伝達することができる。したがって、バックドア開口S1のゆがみ変形をより確実に抑制することができる。
また、リアヘッダ23から下方に延びるとともに、バックドア開口S1を構成するリアピラー24を備え、連結部材52が連結されたリアダンパ支持部34dの近傍とリアピラー24とを連結するガセット部材51が備えられていることにより、より確実に剛性を向上させることができるとともに、リアダンパ支持部34dから入力される上下方向荷重を、連結部材52とガセット部材51とに分散することができる。これにより、バックドア開口S1のゆがみ変形をより確実に抑制することができる。
以上、本発明の構成と、前述の実施態様との対応において、車幅方向において略環状となる車体骨格は、環状車体骨格Fに対応し、
以下同様に、
リアサイドフレームは、サイドピラー33に対応し、
クロスメンバは、クロスメンバ14aに対応し、
リフトゲート開口は、バックドア開口S1に対応し、
リアヘッダは、リアヘッダ23に対応し、
サスペンション取付部は、リアサスペンション17に対応し、
サスペンションダンパは、サスペンションダンパ18に対応し、
ダンパトップは、リアダンパ支持部34dに対応し、
リアホイールハウスは、ホイールハウスインナ34に対応し、
サイドブレースは、サイドブレース14bに対応し、
連結部材は、連結部材52に対応し、
ホイールハウス上面は、ホイールハウス上面34aに対応し、
ホイールハウス内面は、ホイールハウス内面34bに対応し、
稜線部は、稜線部34cに対応し、
平面部は、本体部51aに対応し、
ビード部は、ビード部52bに対応し、
リアピラーは、リアピラー24に対応し、
ガセット部材は、ガセット部材51に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
例えば、本実施形態において、連結部材52は、平面部52aと直交する垂線方向に対して車幅方向が一致した場合としているが、これに限らず、平面部52aが車幅方向の垂直方向に対して45度より小さい角度で交差する方向としてもよい。
また、ビード部52bは、車両前方から車両後方へ向けて一本のビード部52bが連結部材52の長手方向に沿って設けてられているが、例えば複数のビード部52bが連結部材52の長手方向に沿って連続して配置されてもよい。
14a クロスメンバ
14b サイドブレース
17 サスペンション
18 サスペンションダンパ
23 リアヘッダ
33 リアサイドフレーム
34 リアホイールハウス
34a ホイールハウス上面
34b ホイールハウス内面
34c 稜線部
34d リアダンパ支持部
24 リアピラー
51 ガセット部材
52 連結部材
52a 平面部
52b ビード部
S1 リフトゲート開口

Claims (6)

  1. 車両後方において、車両前後方向に延びる左右一対のリアサイドフレームと、前記リアサイドフレームを車幅方向に沿って連結するクロスメンバと、リフトゲート開口の上方で車幅方向に延びるリアヘッダとを備えた車両の車体構造であって、
    前記クロスメンバと略同じ車両前後方向の位置で、前記リアサイドフレームの下面に配設された左右一対のサスペンション取付部と、
    前記クロスメンバよりも車両後方に配設され、サスペンションダンパの上端が取り付けられるダンパトップを上端に有する左右一対のリアホイールハウスと、
    前記クロスメンバ近傍と、前記ダンパトップ前方近傍とを車両上下方向に沿って連結する左右一対のサイドブレースと、
    前記ダンパトップ後方近傍と前記リアヘッダの車幅方向の両端部近傍とをそれぞれ連結する左右一対の連結部材とを備え、
    前記クロスメンバと、左右一対の前記サイドブレースと、左右一対の前記連結部材と、前記リアヘッダとで正面視略環状の環状構造が構成された
    車両の後部車体構造。
  2. 前記連結部材は、
    前記サイドブレースに略平行に沿って延伸している
    請求項1に記載の車両の後部車体構造。
  3. 前記リアホイールハウスは、
    上方に向けて突出する円弧状のホイールハウス上面と、前記車幅方向の内側に形成されるホイールハウス内面とが交わる稜線部が設けられ、
    前記連結部材は、前記稜線部に連結された
    請求項1又は請求項2に記載の車両の後部車体構造。
  4. 前記リアヘッダから下方に延びるとともに、前記リフトゲート開口を構成するリアピラーを備え、
    前記連結部材には、
    前記ダンパトップに固定されるダンパトップ側端部から前記リアヘッダに固定されるリアヘッダ側端部まで、前記車幅方向に向いた平面部が備えられ、
    前記平面部は、前記車幅方向に向いた前記リアピラーの一面及び前記ダンパトップ近傍の一面に固定された
    請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載の車両の後部車体構造。
  5. 前記連結部材は、
    長手方向に沿って延びるビード部が設けられた
    請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載の車両の後部車体構造。
  6. 前記リアヘッダから下方に延びるとともに、前記リフトゲート開口を構成するリアピラーを備え、
    前記連結部材が連結された前記ダンパトップの近傍と前記リアピラーとを連結するガセット部材が備えられた
    請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載の車両の後部車体構造。
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